説明

携帯電子機器

【課題】簡単な構成で、かつ、電磁石の制御が簡単な携帯電子機器を提供すること。
【解決手段】携帯電話機1は、閉状態の場合に、スピーカ用永久磁石42の第1の磁束中心が閉方向電磁石22の第2の磁束中心よりも開方向位置にオフセットした位置になるように配置され、開状態の場合に、スピーカ用永久磁石42の第1の磁束中心が開方向電磁石26の第2の磁束中心よりも閉方向位置にオフセットした位置になるように配置され、制御部57は、閉状態の場合に、開閉スイッチ20が操作された場合には、閉方向電磁石22のみにバッテリ32からの電力を供給し、開状態の場合に、開閉スイッチ20が操作された場合には、開方向電磁石26のみにバッテリ32からの電力を供給して第1筐体2をスライドさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話機、PDA、携帯型ゲーム機、携帯用テレビ、携帯用ラジオ等の携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、2つ以上のコイルで構成され、コイルごとに磁極を変え、磁気的引力によりスライドするように構成したリニアモータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003―348204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように、スライド式携帯電話機をリニアモータで構成した場合、制御が複雑になり、かつ、部品点数が増加するという不利益があった。
【0005】
本発明の目的は、簡単な構成で、かつ、電磁石の制御が簡単な携帯電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の携帯電子機器は、受話部及びスピーカを含む第1の筐体と、前記第1の筐体を開方向にスライドして開状態、又は、閉方向にスライドして閉状態に変化可能に形成され、送話部を含む第2の筐体と、前記第1の筐体又は前記第2の筐体に配設される操作部と、前記第1の筐体又は前記第2の筐体に配設されるバッテリと、前記第1の筐体又は前記第2の筐体に配設され、前記閉状態から前記開状態へ又は前記開状態から前記閉状態へのスライドを指示する開閉スイッチと、前記スライドを制御する制御部と、を有し、前記第1の筐体には、スピーカを構成する第1の磁石が配置され、前記第2の筐体の第1筐体がスライドして閉状態となる閉方向側の位置には電磁石からなる第2の磁石が配置され、前記第2の筐体の第1筐体がスライドして開状態となる開方向側の位置には電磁石からなる第3の磁石が配置され、前記閉状態の場合に、前記第1の磁石の第1の磁束中心が前記第2の磁石の第2の磁束中心よりも開方向位置にオフセットした位置になるように配置され、前記開状態の場合に、前記第1の磁石の第1の磁束中心が前記第3の磁石の第2の磁束中心よりも閉方向位置にオフセットした位置になるように配置され、前記制御部は、前記閉状態の場合に、前記開閉スイッチが操作された場合には、前記第2の磁石のみに前記バッテリからの電力を供給し、前記開状態の場合に、前記開閉スイッチが操作された場合には、前記第3の磁石のみに前記バッテリからの電力を供給して前記第1の筐体をスライドさせる。
【0007】
好適には、本発明の携帯電子機器は、スライド省電力モードを備え、前記スライド省電力モードは、前記閉状態から前記開状態への開動作、又は、前記開状態から前記閉状態への閉動作、若しくは両方の動作を設定可能である。
【0008】
好適には、前記第2の磁石又は前記第3の磁石のコイルの抵抗値と、前記バッテリの内部抵抗とが一致している。
【0009】
好適には、前記第2の磁石及び前記第3の磁石は、軟鉄性の鉄心及びヨークを有する。
【0010】
好適には、前記制御部は、前記バッテリが所定量以下になった場合に、前記第2の磁石及び前記第3の磁石へ電力供給を行わない。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、簡単な構成で、かつ、電磁石の制御が簡単な携帯電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話機の外観を閉状態で示す斜視図である。
【図2】携帯電話機の外観を開状態で示す斜視図である。
【図3】閉状態における、表面方向の位置から見た携帯電話機の正面図及び断面図である。
【図4】図3(a)のIV−IVにおける断面図である。
【図5】第2筐体のみの正面図である。
【図6】開状態における、表面方向の位置から見た携帯電話機の正面図である。
【図7】図6のVII−VIIにおける断面図である。
【図8】本発明の携帯電話機の信号処理系を示すブロック図である。
【図9】スライド省電力モードについて説明する説明図である。
【図10】スピーカ、閉方向電磁石、開方向電磁石等の構成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る携帯電話機1の外観を閉状態で示す斜視図である。
【0014】
携帯電話機1は、スライド式の携帯電話機1として構成されている。
つまり、第1筐体2を図1中の矢印の方向に移動させることによってスライドさせて開状態としている。
第1筐体2と第2筐体3は、図1の矢印の方向に相対移動することは可能であるが、その他の方向に相対運動させることはできない。
つまり、一方方向にのみ第1筐体2と第2筐体3とは摺動しつつ往復運動のみが可能である。
なお、第1筐体2と第2筐体3とをスライドさせる機構は、例えば、直動ベアリング等による。
第1筐体2及び第2筐体3は直方体形状を有している。また、第1筐体2と第2筐体3とが接合する面が縦横の長さが長く、その他の面の幅は狭く構成されている。つまり、高さの低い四角柱形状となっている。
さらに、図1のように、第1筐体2及び第2筐体3の縦横の比率は縦の方が2倍程度で形成されている。
また、図1の矢印方向を開方向といい、逆の方向を閉方向という。
また、第1筐体2を開方向にスライドさせた状態を開状態といい、第1筐体2を閉方向にスライドさせた状態を閉状態という。
【0015】
また、第1筐体2の側部の閉方向の位置には、図示していないスピーカ24の音を第1筐体2の外部に出力するためのスピーカ用穴部21が設けられている。
なお、必ずしも、この位置にスピーカ用穴部21が設けられている必要はない。
【0016】
第2筐体3の側部の開方向の位置には、自動的に第1筐体2を閉方向又は開方向にスライドさせるための開閉スイッチ20が配置されている。
この開閉スイッチ20を押すことによって、開状態であれば閉状態になり、閉状態であれば開状態となる。
【0017】
図2は、携帯電話機1の外観を開状態で示す斜視図である。
【0018】
図2のように、第1筐体2をスライドさせると、第1筐体2の下部分と第2筐体3の上部分のみが密接した状態になる。
図2のように、第1筐体2の表面部分(第2筐体3と接合している側とは反対の面)には表示部8が配置されている。
この表示部8が配置されている第1筐体2の面を第1筐体表面17といい、反対側の第1筐体2の面を第1筐体裏面18という。
また、第1筐体2をスライドして開状態にする方向側の面を第1筐体上側面16といい、その反対側を第1筐体下側面15という。
【0019】
図2のように、第2筐体3の表面部分(第1筐体2と接合している側の面)には入力部10が配置されている。
この入力部10が配置されている第2筐体3の面を第2筐体表面13といい、反対側の第2筐体3の面を第2筐体裏面14という。
また、第1筐体2をスライドして開状態にする方向側の面を第2筐体上側面11といい、その反対側を第2筐体下側面12という。
【0020】
第1筐体2の第1筐体裏面18と第2筐体3の第2筐体表面13とが接している。閉状態においては、第1筐体裏面18と第2筐体表面13とは、面全体が対向状態となっており、携帯電話機1の外部からこの面を確認することはできない。
開状態においては、第1筐体裏面18の第1筐体下側面15側の一部の面と、第2筐体表面13の第2筐体上側面11側の一部の面とが対向状態である。その結果、第1筐体裏面18と第2筐体表面13とが対向していない部分の面は、ユーザが確認及び操作することができる。
この開状態とした時に外部に現れる第2筐体表面13に入力部10が配置されている。
【0021】
表示部8は、携帯電話機1の状態、ユーザの操作内容、発信先電話番号、電子メールの内容の表示、ゲーム画面等の様々な情報を表示するためのものである。
また、表示部8はLCD(液晶ディスプレイ)、OLED(Organic light-emitting diode:有機EL)等によって構成されている。
【0022】
この入力部10は、キー等で構成されており、このキー等をユーザが操作することによって、携帯電話機1に命令の入力、文字の入力等がなされる。
【0023】
第1筐体2の第1筐体表面17の開方向位置には受話部30が配置されている。
第2筐体3の第2筐体表面13の閉方向位置には送話部28が配置されている。
【0024】
なお、方向を示すときは、第2筐体3から第1筐体2の方向を表面方向又は第1筐体の位置する方向という。また、表面方向の逆を裏面方向という。
【0025】
図3(a)は、閉状態における、表面方向の位置から見た携帯電話機1の正面図である。
【0026】
図3(a)のように、第1筐体2の閉方向の位置には、スピーカ24が配置されている。
スピーカ24は、2個配置されており、第1筐体2の左側に左側スピーカ24a、第1筐体2の右側に右側スピーカ24bが配置されている。
また、スピーカ24が配置されているのと、ほぼ同一の位置の第2筐体3に閉方向電磁石22が配置されている。
つまり、左側スピーカ24aの位置に左側閉方向電磁石22aが、右側スピーカ24bの位置に右側閉方向電磁石22bが配置されている。
もっとも、左側スピーカ24aと左側閉方向電磁石22aとの位置関係、及び、右側スピーカ24bと右側閉方向電磁石22bとの位置関係は、後述するようにオフセットされている(図4及び図7参照のこと)。
図3(b)は、図3(a)のb−bにおける断面図である。
【0027】
図3(b)のように、左側スピーカ24aの位置に左側閉方向電磁石22aが、右側スピーカ24bの位置に右側閉方向電磁石22bが配置されている。
【0028】
図4は、図3(a)のIV−IVにおける断面図である。
【0029】
図4のように、右側スピーカ24bは右側閉方向電磁石22bに比べて、開方向の位置にオフセットされて配置されている。
つまり、右側スピーカ24bのスピーカ用永久磁石42の磁束中心が右側閉方向電磁石22bの閉方向コイル40の磁束中心よりも開方向位置にオフセットした位置になっている(図9参照のこと)。
なお、図4のように、第2筐体3の開方向の位置には右側開方向電磁石26bが配置されている。
さらになお、左側スピーカ24aと左側閉方向電磁石22aとの位置関係は、右側スピーカ24bと右側閉方向電磁石22bとの位置関係と同一である。
【0030】
以上のように、右側スピーカ24bは右側閉方向電磁石22bに比べて、開方向の位置にオフセットされて配置されていることから、右側閉方向電磁石22bに電流を供給してスピーカ用永久磁石42と反発力を生じさせると、自動的に第1筐体2が開方向にスライドする。
【0031】
図5は、第2筐体3のみの正面図である。
【0032】
図5のように、第2筐体の短手方向における中心線の開方向寄りの位置には、開方向電磁石26が配置されている。
【0033】
図6は、開状態における、表面方向の位置から見た携帯電話機1の正面図である。
【0034】
図6のように、スピーカ24は開状態においては開方向電磁石26とほぼ同一の位置に位置する。
【0035】
図7は、図6のVII−VIIにおける断面図である。
【0036】
図7のように、開状態においても、右側スピーカ24bは右側開方向電磁石26bに比べて、閉方向の位置にオフセットされて配置されている。
つまり、右側スピーカ24bのスピーカ用永久磁石42の磁束中心が右側開方向電磁石26bの開方向コイル50の磁束中心よりも開方向位置にオフセットした位置になっている(。図9参照のこと)
さらになお、左側スピーカ24aと左側開方向電磁石26aとの位置関係は、右側スピーカ24bと右側開方向電磁石26bとの位置関係と同一である。
【0037】
以上のように、右側スピーカ24bは右側開方向電磁石26bに比べて、閉方向の位置にオフセットされて配置されていることから、右側開方向電磁石26bに電流を供給してスピーカ用永久磁石42と反発力を生じさせると、自動的に閉方向に第1筐体2がスライドする。
【0038】
図8は、本発明の携帯電話機1の信号処理系を示すブロック図である。
【0039】
図8に示されるように、携帯電話機1は、制御・処理の中枢である制御部57と、電源制御部59と、通信部51と、操作部52と、音声入出力部53と、表示部8と、記憶部56のそれぞれが、アドレス、データ、コントロールのためのラインが複数本からなるシステムバス58に共通に接続され、構成される。
【0040】
電源制御部59は、携帯電話機1が携帯して使用されている場合には、携帯電話機1内の、表示部8及び制御部57等が実装される回路基板等への電力の供給を制御している。
また、充電時には充電回路を制御して、バッテリ32への充電開始及び停止、並びに充電の速度等を制御している。
本実施形態では、電源制御部59は、バッテリ32から閉方向電磁石22及び開方向電磁石26への電力供給を制御している。
つまり、制御部57は、開閉スイッチ20の入力に基づいて、電源制御部59に対して電流の供給の有無、及び、供給電流の向きを指示する。
そして、電源制御部59は、制御部57の指示に基づき、閉方向電磁石22及び開方向電磁石26へ電力供給を行う。
【0041】
通信部51は、無線通信システムを捕捉し、通信ネットワークに接続される基地局300との間で無線通信を行い、各種データの送受信を行う。各種データとは、Web上のダウンロードサイトからダウンロードされるファイルのデータ、音声通話時の音声データ、メール送受信時のメールデータ、ウェブ閲覧時のウェブページデータ、等である。
【0042】
操作部52は、入力部10その他の部分から入力されるユーザの指示を受け付ける。
入力部10には、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キー、ファンクションキーなど、各種の機能が割り当てられたキーが配置されている。
そして、これらのキーがユーザによって操作された場合に、その操作内容に対応する信号を発生し、これをユーザの指示として制御部57に出力する。
本実施形態では、操作部52は、開閉スイッチ20が押されたか否かを制御部57に出力する役割を有している。
【0043】
音声入出力部53は、受話部30及びスピーカ24(左側スピーカ24a、右側スピーカ24b)から出力される音声信号や送話部28において入力される音声信号の入出力処理を行う。
すなわち、音声入出力部53は、送話部28から入力された音声を増幅し、アナログ/デジタル変換を行い、更に符号化等の信号処理を施し、デジタルの音声データに変換して制御部57に出力する。
また、音声入出力部53は、制御部57から供給される音声データに復号化、デジタル/アナログ変換、増幅等の信号処理を施し、アナログの音声信号に変換して受話部30及びスピーカ24に出力する。
なお、スピーカ24は、送話用以外の着信音の出力、音楽の再生音の出力等を行う。
【0044】
表示部8は、例えばLCDやOLEDを用いて構成されており、制御部57から供給される映像信号に応じた画像を表示する。
【0045】
記憶部56では、携帯電話機1の各種処理に利用される各種データを記憶する。記憶部56は、例えば制御部57が実行するコンピュータのプログラム、通信相手の電話番号や電子メールアドレス等の個人情報を管理するアドレス帳、着信音やアラーム音を再生するための音声ファイル、待ち受け画面用の画像ファイル、各種の設定データ、プログラムの処理過程で利用される一時的なデータが記憶される。
【0046】
制御部57は、携帯電話機1の全体的な動作を統括的に制御する。
すなわち、制御部57は、携帯電話機1の各種処理(回線交換網を介して行われる音声通話、電子メールの作成と送受信、インターネットのWeb上のダウンロードサイトの閲覧など)が操作部52の操作に応じて適切な手順で実行されるように、上述した各ブロックの動作(通信部51における信号の送受信、表示部8における画像の表示等)を制御する。
さらに、制御部57は、記憶部56に格納されるプログラム(オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行するコンピュータ(マイクロプロセッサ)を備えており、このプログラムにおいて指示された手順に従って上述した処理を実行する。
すなわち、制御部57は、記憶部56に格納されるオペレーティングシステムやアプリケーションプログラム等のプログラムから命令コードを順次受け取って処理を実行する。
本実施形態では特に、制御部57は、開閉スイッチ20の入力に基づいて、電源制御部59に対して電流の供給の有無、及び、供給電流の向きを指示する。
【0047】
図9は、スライド省電力モードについて説明する説明図である。
【0048】
図9のように、通常は通常モードM01となっているが、スライド省電力モードM02とすることも可能である。
そして、ユーザはスライド省電力モードにおいて、開状態から閉状態にスライドしないようにするように設定することも可能である。
また、ユーザは、閉状態から開状態にスライドしないようにするように設定することも可能である。
さらに、開状態から閉状態及び閉状態から開状態へのスライドの両方を行わないように設定することも可能である。
このように設定したことによって、よりバッテリ32の消費を低減することができる。
【0049】
図10は、スピーカ24、閉方向電磁石22、開方向電磁石26等の構成の説明図である。
【0050】
スピーカ24は、スピーカ用永久磁石42と、このスピーカ用永久磁石42の磁束を出す方向を除いて覆うスピーカ用ヨーク44を有する。
スピーカ用永久磁石42の磁束を出す方向とは、裏面方向、つまり第2筐体3の方向である。
なお、スピーカ24は他にも、電磁石等からも構成されているが、本実施形態においてはそれらの部材は重要ではないから省略している。
【0051】
また、閉方向電磁石22は、閉方向鉄心38、閉方向コイル40及び閉方向ヨーク36から構成されている。
閉方向コイル40は、閉方向鉄心38を中心にして巻かれている。
また、閉方向ヨーク36は、閉方向鉄心38及び閉方向コイル40の磁束を出す方向を除いて閉方向鉄心38及び閉方向コイル40を覆っている。
閉方向鉄心38及び閉方向コイル40の磁束を出す方向とは、表面方向、つまり第1筐体2の方向である。
なお、閉方向鉄心38は軟鉄によって構成するのが好適である。
スピーカ24は閉方向電磁石22に比べて、開方向の位置にオフセットされて配置されている。
これによって、閉方向電磁石22に電流を供給してスピーカ用永久磁石42と反発力を生じさせると、自動的に第1筐体2が開方向にスライドする。
【0052】
さらに、開方向電磁石26は、開方向鉄心48、開方向コイル50及び開方向ヨーク46から構成されている。
開方向コイル50は、開方向鉄心48を中心にして巻かれている。
また、開方向ヨーク46は、開方向鉄心48及び開方向コイル50の磁束を出す方向を除いて開方向鉄心48及び開方向コイル50を覆っている。
開方向鉄心48及び開方向コイル50の磁束を出す方向とは、表面方向、つまり第1筐体2の方向である。
なお、開方向鉄心48は軟鉄によって構成するのが好適である。
スピーカ24は開方向電磁石26に比べて、閉方向の位置にオフセットされて配置されている。
これによって、開方向電磁石26に電流を供給してスピーカ用永久磁石42と反発力を生じさせると、自動的に第1筐体2が閉方向にスライドする。
【0053】
電源制御部59は、開方向電磁石26及び閉方向電磁石22へのバッテリ32からの電流を制御している。
なお、バッテリ32には内部抵抗32aを有している。
ここで、開方向電磁石26及び閉方向電磁石22の抵抗値と内部抵抗32aの抵抗値を一致するように構成することが好適である。
このように構成したことによって、バッテリ32の電力をより有効に使用することができる。
【0054】
また、制御部57は、バッテリ32が所定値以下になった場合には、開方向電磁石26及び閉方向電磁石22への電源供給を行わないように制御するのが好適である。
このように構成したことによって、バッテリ32の電力を消費しないで、より有効に使用することができる。
【0055】
以上の実施形態によれば、携帯電話機1は、受話部30及びスピーカ24を含む第1筐体2と、第1筐体2を開方向にスライドして開状態、又は、閉方向にスライドして閉状態に変化可能に形成され、送話部28を含む第2筐体3と、を有している。
また、携帯電話機1は、第1筐体2又は第2筐体3に配設される操作部52を有している。
さらに、携帯電話機1は、第1筐体2又は第2筐体3に配設されるバッテリ32と、第1筐体2又は第2筐体3に配設され、閉状態から開状態へ又は開状態から閉状態へのスライドを指示する開閉スイッチ20とを有している。
加えて、携帯電話機1は、スライドを制御する制御部57を有している。
そして、第1筐体2には、スピーカ24を構成するスピーカ用永久磁石42が配置され、第2筐体3の第1筐体3がスライドして閉状態となる閉方向側の位置には電磁石からなる閉方向電磁石22が配置され、第2筐体3の第1筐体3がスライドして開状態となる開方向側の位置上方エリアには電磁石からなる開方向電磁石26が配置されている。
また、閉状態の場合に、スピーカ用永久磁石42の第1の磁束中心が閉方向電磁石22の第2の磁束中心よりも開方向位置にオフセットした位置になるように配置されている。
そして、開状態の場合に、スピーカ用永久磁石42の第1の磁束中心が開方向電磁石26の第2の磁束中心よりも閉方向位置にオフセットした位置になるように配置されている。
その上で、制御部57は、閉状態の場合に、開閉スイッチ20が操作された場合には、閉方向電磁石22のみにバッテリ32からの電力を供給し、開状態の場合に、開閉スイッチ20が操作された場合には、開方向電磁石26のみにバッテリ32からの電力を供給して第1筐体2をスライドさせる。
このように構成したことによって、簡単な構成で、かつ、電磁石の制御が簡単な携帯電子機器を提供することができる。
さらに、スピーカ24のスピーカ用永久磁石42をスライド構造のための磁石と併用することができ部品点数を削減できる。
【0056】
携帯電話機1は、スライド省電力モードM02を備え、スライド省電力モードM02は、閉状態から開状態への開動作、又は、開状態から閉状態への閉動作、若しくは両方の動作を設定可能である。
このように設定したことによって、よりバッテリ32の消費を低減することができる。
【0057】
閉方向電磁石22又は開方向電磁石26の閉方向コイル40又は開方向コイル50の抵抗値と、バッテリ32の内部抵抗とが一致している。
このように構成したことによって、バッテリ32の電力をより有効に使用することができる。
【0058】
閉方向電磁石22及び開方向電磁石26は、軟鉄性の鉄心及びヨークを有する。
このように構成したことによって、磁力をより有効に活用することができる。
【0059】
制御部57は、バッテリ32が所定量以下になった場合に、閉方向電磁石22及び開方向電磁石26へ電力供給を行わない。
このように構成したことによって、バッテリ32の電力を消費しないで、より有効に使用することができる。
【0060】
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0061】
携帯電子機器は、携帯電話機1に限定されない。例えば、携帯電子機器は、ノートパソコン、PDA、ゲーム機、カメラであってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…携帯電話機、2…第1筐体(第1の筐体)、3…第2筐体(第2の筐体)、8…表示部、10…入力部、11…第2筐体上側面、12…第2筐体下側面、13…第2筐体表面、14…第2筐体裏面、15…第1筐体下側面、16…第1筐体上側面、17…第1筐体表面、18…第1筐体裏面、20…開閉スイッチ、21…スピーカ用穴部、22…閉方向電磁石(第2の磁石)、22a…左側閉方向電磁石、22b…右側閉方向電磁石、24…スピーカ、24a…左側スピーカ、24b…右側スピーカ、26…開方向電磁石(第3の磁石)、26a…左側開方向電磁石、26b…右側開方向電磁石、28…送話部、30…受話部、32…バッテリ、32a…内部抵抗、36…閉方向ヨーク、38…閉方向鉄心、40…閉方向コイル、42…スピーカ用永久磁石(第1の磁石)、44…スピーカ用ヨーク、46…開方向ヨーク、48…開方向鉄心、50…開方向コイル、51…通信部、52…操作部、53…音声入出力部、55…撮像部、56…記憶部、57…制御部、58…システムバス、59…電源制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受話部及びスピーカを含む第1の筐体と、
前記第1の筐体を開方向にスライドして開状態、又は、閉方向にスライドして閉状態に変化可能に形成され、送話部を含む第2の筐体と、
前記第1の筐体又は前記第2の筐体に配設される操作部と、
前記第1の筐体又は前記第2の筐体に配設されるバッテリと、
前記第1の筐体又は前記第2の筐体に配設され、前記閉状態から前記開状態へ又は前記開状態から前記閉状態へのスライドを指示する開閉スイッチと、
前記スライドを制御する制御部と、を有し、
前記第1の筐体には、スピーカを構成する第1の磁石が配置され、
前記第2の筐体の第1筐体がスライドして閉状態となる閉方向側の位置には電磁石からなる第2の磁石が配置され、
前記第2の筐体の第1筐体がスライドして開状態となる開方向側の位置には電磁石からなる第3の磁石が配置され、
前記閉状態の場合に、
前記第1の磁石の第1の磁束中心が前記第2の磁石の第2の磁束中心よりも開方向位置にオフセットした位置になるように配置され、
前記開状態の場合に、
前記第1の磁石の第1の磁束中心が前記第3の磁石の第2の磁束中心よりも閉方向位置にオフセットした位置になるように配置され、
前記制御部は、
前記閉状態の場合に、前記開閉スイッチが操作された場合には、前記第2の磁石のみに前記バッテリからの電力を供給し、
前記開状態の場合に、前記開閉スイッチが操作された場合には、前記第3の磁石のみに前記バッテリからの電力を供給して
前記第1の筐体をスライドさせる
携帯電子機器。
【請求項2】
スライド省電力モードを備え、
前記スライド省電力モードは、
前記閉状態から前記開状態への開動作、又は、前記開状態から前記閉状態への閉動作、若しくは両方の動作を設定可能である
請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記第2の磁石又は前記第3の磁石のコイルの抵抗値と、前記バッテリの内部抵抗とが一致している
請求項1又は2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記第2の磁石及び前記第3の磁石は、
軟鉄性の鉄心及びヨークを有する
請求項1〜3いずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、
前記バッテリが所定量以下になった場合に、前記第2の磁石及び前記第3の磁石へ電力供給を行わない
請求項1〜4いずれか1項に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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