説明

携帯電話機、送信電力制御方法及びプログラム

【課題】外部機器と基地局との間でデータを中継する機能を有する携帯電話機に関し、SARが一定基準値を満たすようにしつつも、データを中継する期間以外の期間では、通信断を極力防ぐようにした携帯電話機を提供する。
【解決手段】携帯電話機は、外部機器及び基地局と無線接続し、当該外部機器と当該基地局との間でデータを中継する機能を有する携帯電話機であって、前記外部機器と無線通信を行う第1無線通信部と、前記基地局と無線通信を行う第2無線通信部とを備え、前記外部機器と前記基地局との間でデータを中継する期間においては、第1上限電力値より小さい第2上限電力値を上限とし、前記第2上限電力値を上限とした制御中において、音声通話を開始するときには、前記第1上限電力値を上限として、前記第2無線通信部による送信電力を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部機器と基地局との間でデータを中継する中継機能を有する携帯電話機に関し、特に、送信電力の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電波を発する機器に関しては、人体に対する電波の影響を考慮して、人体に許容される電波の基準が定められている。
この基準の指標としては、単位質量の組織に単位時間に吸収されるエネルギー量であるSAR(Specific Absorption Rate)が用いられており、その単位は、W/kgである。SARは、その値が大きいほど人体への影響が大きいということになる。
【0003】
例えば、米国では、任意の1g当たりの人体組織に6分間に吸収されるエネルギー量が1.6W/kg以下に定められており、電波を発する機器の中でも、特に、いわゆるワイヤレスルータに関しては、携帯電話機等と比較し、SARの測定基準がより厳しく定められている。即ち、測定基準として、例えばSARの測定位置が、ワイヤレスルータについては、通常の携帯電話機の場合よりも、機器に近接した位置に定められている。
【0004】
従って、携帯電話機であっても、外部機器と基地局とに無線接続し、この外部機器と基地局との間でデータを中継する機能を有する場合、中継する期間においては、より近接した位置で測定したSARが、上記一定基準値以下になるようにする必要がある。
なお、日本では、任意の10g当たりの人体組織に6分間に吸収されるエネルギー量が、2.0W/kg以下になるように、電波を発する機器を設計する必要がある。
【0005】
ここで、SARは、送信電力の大きさに応じて増大することになるため、中継機能を有する携帯電話機に対しては、通常の携帯電話機の送信電力の上限よりも、その上限をより低いものに設定することが考えられる。
送信電力の上限値を低減する技術としては、例えば非特許文献6の技術が知られている。また、SARを低減させるための一般的な技術として、例えば特許文献1の技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−67512号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】LGエレクトロニクスUSA(LG Electronics USA)、“SARコンプライアンス評価報告書(SAR COMPLIANCE EVALUATION REPORT)”、[online]、2011年3月25日、p.18、[2011年7月22日検索]、インターネット<URL: http://www.phonescoop.com/phones/fcc_query.php?gc=BEJ&pc=P999DW>、同URLにて特定されるページの上から3番目の項目の「Detail」を選択して表示されたページの「RF Exposure Info 1」を選択
【非特許文献2】モトローラ・モビリティ(Motorola Mobility Inc.)、“携帯電話機SARテスト報告書(Portable Cellular Phone SAR Test Report)”、[online]、2011年5月25日、p.5、[2011年7月22日検索]、インターネット<URL: http://www.phonescoop.com/phones/fcc_query.php?gc=IHD&pc=P56LS2>、同URLにて特定されるページの上から6番目の項目の「Detail」を選択して表示されたページの「SAR Report 1」を選択
【非特許文献3】パンテック(Pantech Co., Ltd.)、“SARテスト報告書(SAR Test Report)”、[online]、2011年5月2日、p.35、[2011年7月22日検索]、インターネット<URL: http://www.phonescoop.com/phones/fcc_query.php?gc=JYC&pc=P8000>、同URLにて特定されるページの上から6番目の項目の「Detail」を選択して表示されたページの「SAR Report r3 pt1」を選択
【非特許文献4】ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズAB(SONY Ericsson Mobile Communications AB)、“SARコンプライアンス評価報告書(SAR COMPLIANCE EVALUATION REPORT)”、[online]、2011年4月1日、p.20、[2011年7月22日検索]、インターネット<URL: http://www.phonescoop.com/phones/fcc_query.php?gc=PY7&pc=A6880004>、同URLにて特定されるページの上から1番目の項目の「Detail」を選択して表示されたページの「SAR Report 1」を選択
【非特許文献5】ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズAB(SONY Ericsson Mobile Communications AB)、“認定されたSARラボラトリーにより公表されたテストレポート(Test Report issued by Accredited SAR Laboratory)”、[online]、2011年3月11日、p.15、16、[2011年7月22日検索]、インターネット<URL: http://www.phonescoop.com/phones/fcc_query.php?gc=PY7&pc=A3880087>、同URLにて特定されるページの上から3番目の項目の「Detail」を選択して表示されたページの「11a SAR report」を選択
【非特許文献6】“トランジスタ技術Special No.47”、CQ出版株式会社、1995年7月、P.77〜P.79
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、送信電力の上限をより低いものに設定した場合、通信状況によっては、途中で通信が切れたり、通信が全くできなくなったりしてしまうケースがより多く発生し得る。
そこで、本発明は係る問題に鑑みてなされたものであり、外部機器と基地局との間でデータを中継する機能を有する携帯電話機に関し、SARが一定基準値を満たすようにしつつも、外部機器と基地局との間でデータを中継する期間以外の期間では、通信断を極力防ぐようにした携帯電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯電話機は、外部機器及び基地局と無線接続し、当該外部機器と当該基地局との間でデータを中継する機能を有する携帯電話機であって、前記外部機器と無線通信を行う第1無線通信部と、前記基地局と無線通信を行う第2無線通信部と、通信状況に応じた送信電力となるように、第1上限電力値以下の範囲で、前記第2無線通信部による送信電力を制御する送信電力制御部とを備え、前記送信電力制御部は、前記外部機器と前記基地局との間でデータを中継する期間においては、前記第1上限電力値より小さい第2上限電力値を上限として、前記第2無線通信部による送信電力を制御し、前記第2上限電力値を上限とした制御中において、音声通話を開始するときには、前記第1上限電力値を上限として、前記第2無線通信部による送信電力を制御し、前記第1及び第2上限電力値は、それぞれ、当該第1上限電力値で送信した場合に測定したSARと、当該第2上限電力値で送信した場合において当該SARの測定位置よりも自機に一定程度近接した位置で測定したSARとが共に一定基準値以下になるように定められたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記構成を備える本発明に係る携帯電話機によれば、SARが一定基準値を満たすようにしつつも、外部機器と基地局との間でデータを中継する期間以外の期間では、通信断を極力防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態に係る携帯電話機100を含むデータ中継システムのシステム構成を示す図
【図2】携帯電話機100の閉状態及び開状態の外観を示す図
【図3】携帯電話機100の主要部の機能構成を示すブロック図
【図4】携帯電話機100の第2無線通信部120の主要部の機能構成を示すブロック図
【図5】携帯電話機100の送信電力制御処理を示すフローチャート
【図6】携帯電話機100の中継期間であるかの判定処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る携帯電話機の一実施形態について説明する。
≪実施の形態≫
<1.システム構成>
図1は、実施の形態に係る携帯電話機100を含むデータ中継システムのシステム構成を示す図である。
【0013】
このデータ中継システムは、実施の形態に係る携帯電話機100の他、外部機器の一例であるノートPC(Personal Computer)10A及び携帯端末10Bと、回線網30に接続する基地局20とを含む。
携帯電話機100は、音声通話機能、メール送受信機能等といった一般的な携帯電話機としての機能の他に、外部機器(10A及び10B)と基地局20との間でデータを中継する中継機能(いわゆるワイヤレスルータとしての機能であり、「テザリング機能」とも呼ばれる)を有する。
【0014】
なお、この実施の形態では、携帯電話機100は、一般的な携帯電話機としての機能と、ワイヤレスルータとしての機能とを同時に実行することはできないものとする。
携帯電話機100は、後述するように、無線LAN(Wireless Local Area Network)規格に従って、ノートPC10A及び携帯端末10Bと無線通信を行う第1無線通信部110と、基地局20とCDMA(Code Division Multiple Access)方式で無線通信を行う第2無線通信部120とを備えている。
【0015】
なお、本実施の形態では、上記第2無線通信部は、PCS(Personal Communications Service)帯及びCellular帯を用いた通信が可能であるものとする。
ここで、人体に許容される電波の基準は各国で定められているが、特に米国では、一般的な携帯電話機に対する人体に許容される電波の基準よりも、ワイヤレスルータに対する人体に許容される電波の基準のほうがより厳しく定められている。
【0016】
即ち、一般的な携帯電話機については、その筐体(略直方体状)の前面及び背面それぞれについて、その表面からの距離が15mmとなる位置で測定したSARを、一定基準値(1.6W/kg)以下にすることが求められる。以下、この一般的な携帯電話機に適用されるルールを「15mmルール」という。
また、ワイヤレスルータについては、その筐体(略直方体状)を構成する6面のうちのアンテナから15mm以上離れる面を除く各面それぞれについて、その表面からの距離が10mmとなる位置で測定したSARを、上記一定基準値(1.6W/kg)以下にすることが求められる。以下、このワイヤレスルータに適用されるルールを、「10mmルール」ともいう。
【0017】
この10mmルールは、外部機器(10A又は10B)と基地局20との間でデータを中継する期間(以下、「中継期間」という)においては、この携帯電話機100にも適用される。
従って、携帯電話機100は、中継期間においては、上記第2無線通信部による送信電力の上限を、上記10mmルールを満たすよう定められた上限電力値(以下、「第2上限電力値」という)に制御する。なお、中継期間であるかの判定方法については、後述する。
【0018】
また、第2上限電力値に制御中に、音声通話を開始する場合には、ワイヤレスルータとしては機能していないため、携帯電話機100は、上記第2無線通信部による送信電力の上限を、上記15mmルールを満たすように定められた上限電力値(以下、「第1上限電力値」という)に制御する。
このようにすることで、この携帯電話機100は、ワイヤレスルータとして機能している期間においては10mmルールを満たしつつも、一般的な携帯電話機として機能している期間には、通信断を極力防ぐことができる。
【0019】
<2.装置構成>
まず、実施の形態に係る携帯電話機100の装置構成について説明する。
図2(a)は、携帯電話機100の閉状態の外観を示す斜視図であり、図2(b)は、携帯電話機100の開状態の外観を示す斜視図である。
図2(a)及び(b)に示すように、携帯電話機100は、第1筐体101と第2筐体102からなる、いわゆるスライド式の端末である。
【0020】
第1筐体101には、レシーバ104、ディスプレイ105及び第1キー群106aが備えられており、第2筐体102には、マイク103及び第2キー群106bが備えられている。
<3.機能構成>
図3は、実施の形態に係る携帯電話機100の主要部の機能構成を示すブロック図である。
【0021】
同図に示すように、携帯電話機100は、マイク103、レシーバ104、ディスプレイ105、キー群106、開閉検出センサ107、音声処理部108、第1無線通信部110、第2無線通信部120及び制御部140を備える。
なお、携帯電話機100は、プロセッサ及びメモリを含んで構成されており、制御部140の機能は、このメモリに記憶されているプログラムをこのプロセッサが実行することにより実現される。
【0022】
ここで、ディスプレイ105は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)であり、制御部140の指示に応じて、文字等を表示する機能を有する。
また、キー群106は、図2(a)及び(b)に示す第1キー群106a及び第2キー群106bを含むものであり、ユーザにより押下されたキーに対応する入力信号を制御部140に送出する機能を有する。キー群106は、例えば、ユーザが、携帯電話機100をワイヤレスルータとして機能させるか否かを切り替える際や、音声着信があった場合に、オフフック操作を行う際等に用いられる。
【0023】
開閉検出センサ107は、携帯電話機100の開閉状態を検出する機能を有する。開閉検出センサ107は、例えば、閉状態において接触する第1筐体101の副表面の位置と第2筐体102の主表面の位置との一方の位置に埋め込まれた磁石と、その磁力を検出する他方の位置に埋め込まれたホールセンサとにより実現される。ホールセンサは、磁力の検出時に、検出したことを示す所定信号を制御部140に出力する。なお、ここでは、第1筐体101の第1キー群106aが配置されている面に対向する面を「第1筐体101の副表面」と表現し、第2筐体102の第2キー群106が配置されている面を「第2筐体102の主表面」と表現している。
【0024】
音声処理部108は、制御部140を介して第2無線通信部120から受領した受話信号をD/A変換し、得られた音声信号をレシーバ104から出力する機能と、マイク103から入力された音声信号をA/D変換し、得られた送話信号を、制御部140を介して第2無線通信部120に送出する機能を有する。
第1無線通信部110は、外部機器(ノートPC10A、携帯端末10B)と無線通信を行う回路であり、例えば、IEEE 802.11規格に準拠した無線LANアダプタにより実現される。
【0025】
第2無線通信部120は、基地局20とCDMA方式で無線通信を行う機能を有する。
図4は、第2無線通信部120の主要部の機能構成を示すブロック図である。
同図に示すように、第2無線通信部120は、PCS帯用の通信部120aと、Cellular帯用の通信部120bとから構成される。
PCS帯用の通信部120aは、記憶部121a、通信制御部122a、ベースバンド部123a、無線部124a、フィルタ125a、増幅器126a、アイソレータ127a、デュプレクサ128a、アンテナ129a及び受信回路130aを含む。
【0026】
また、Cellular帯用の通信部120bは、記憶部121b、通信制御部122b、ベースバンド部123b、無線部124b、フィルタ125b、増幅器126b、アイソレータ127b、デュプレクサ128b、アンテナ129b及び受信回路130bを含む。
PCS帯用の通信部120aとCellular帯用の通信部120bとは、送信周波数が異なる以外は、基本的に同様の構成であるため、以下では、PCS帯用の通信部120aを例に説明する。
【0027】
ここで、記憶部121aは、増幅器126aにおける現在の上限電力値を示す情報(以下、「上限値情報」という)を記憶するためのメモリ領域である。
通信制御部122aは、制御部140からの指示を受けて、CDMA方式での無線通信を制御する機能を有し、特に、記憶部121aに記憶されている上限値情報が示す現在の上限電力値の範囲で、電力増幅を行うよう無線部124a及び増幅器126aに指示する。
【0028】
ベースバンド部123aは、通信制御部122aからベースバンド信号を受領してデジタル変調し、無線部124aにデジタル変調後の信号を送出する機能を有する。
無線部124aは、ベースバンド部123aから受領したデジタル変調後の信号を無線信号に変換し、フィルタ125aを介して増幅器126aに送出する機能を有する。
フィルタ125aは、無線部124aと増幅器126aとの間に挿入され、無線部124aから受領した無線信号のうち、増幅器126aに対応するPCS帯の信号を通過させるバンドパスフィルタである。
【0029】
増幅器126aは、PCS帯の送信信号の電力増幅用の増幅器であり、フィルタ125aを介して受領した信号を、通信制御部122aからの指示に従って増幅する機能を有する。
アイソレータ127aは、送信信号の逆流を防ぐ非可逆回路素子である。
デュプレクサ128aは、アンテナ129aと接続し、送信経路と受信経路とを電気的に分離するための素子であり、この素子によって同時送受信が可能になる。
【0030】
受信回路130aは、図示しない受信用増幅器等を含み、受信した信号を、無線部124aへ送出する回路である。
また、図3に示す制御部140は、携帯電話機100全体の制御を行うものであり、特に、記憶部121aの上限値情報を設定、つまり更新することで、第2無線通信部120がPCS帯で送信する際の送信電力の上限を制御する機能を有する。
【0031】
なお、本実施の形態では、携帯電話機100が開状態である場合において、第2無線通信部120が、PCS帯での送信を第1上限電力値で行った場合には10mmルールを満たさず、Cellular帯での送信を第1上限電力値で行った場合には10mmルールを満たすものとして説明する。
従って、記憶部121bには、第1上限電力値を示す上限値情報が記憶されたまま、制御部140は、この上限値情報については、特に更新しない。
【0032】
制御部140は、図3に示すように、モード切替部141、通信制御部142、カウント部143及び送信電力制御部144を含んで構成される。
ここで、モード切替部141は、キー群106からの入力信号に基づいて、携帯電話機100をワイヤレスルータとして機能させるモード(以下、「中継モード」という)と、ワイヤレスルータとして機能させないモードとを切り替える機能を有する。
【0033】
通信制御部142は、外部機器(10A、10B)及び基地局20と無線接続を確立し、第1無線通信部110及び第2無線通信部120を介して、データの授受を行う機能を有する。即ち、通信制御部142が、外部機器から受信した基地局20宛のデータを基地局20に、基地局20から受信した外部機器宛のデータをその外部機器に送信することで、中継機能を実現する。
【0034】
なお、通信制御部142は、外部機器間、つまり、ノートPC10Aと携帯端末10Bとの間のデータを中継する場合もある。また、通信制御部142は、通常の無線LANの接続シーケンスに従って外部機器との無線接続を確立し、通常の無線LANの切断シーケンスに従って切断を行う。
カウント部143は、現在無線LAN接続を確立している外部機器の数(以下、「接続数」という)をカウントする機能を有する。
【0035】
即ち、通信制御部142が外部機器からの接続要求(Association-Request)に対し、接続応答(Association-Response)を行った際に、カウント部143は、接続数を1増加させる。また、通信制御部142が外部機器からの切断要求(Terminate-Request)に対し、切断応答(Terminate-Ack)を行った際に、カウント部143は、接続数を1減少させる。
【0036】
送信電力制御部144は、中継期間であるかと音声通話の有無とに従って、第2無線通信部120による送信電力の上限を第2上限電力値(例えば、21dBm)と、第1上限電力値(例えば、23dBm)とのいずれかに制御する機能を有する。
<4.動作>
次に、上記構成を備える携帯電話機100の動作について、図5及び図6を用いて説明する。
【0037】
図5は、携帯電話機100の送信電力制御部144による送信電力制御処理を示すフローチャートである。
なお、同図に示す送信電力制御処理は、携帯電話機100の電源がONになると開始され、特に図示していないが、電源がOFFになると終了される。
同図に示すように、制御部140の送信電力制御部144は、まず、中継期間であるかを判定する(ステップS10)。なお、中継期間であるかの判定方法については、図6を用いて、後に説明する。
【0038】
中継期間であると判定した場合に(ステップS10:YES)、送信電力制御部144は、音声通話が行われているか否かを判定する(ステップS20)。具体的には、送信電力制御部144は、第2無線通信部120を介して、呼び出し信号(リンガ)を受信した際に、オフフック操作がなされた場合に、音声通話が開始されたことを検出し、音声通話が開始された後に、オンフック操作がなされた場合に、音声通話が終了したことを検出する。そして、音声通話の開始を検出後、音声通話の終了を検出するまでの間、音声通話が行われていると判定する(ステップS20:YES)。
【0039】
ステップS20で、音声通話が行われていないと判定した場合には(ステップS20:NO)、送信電力制御部144は、第2上限電力値を示すように、記憶部121aの上限値情報を設定し(ステップS30)、ステップS10から再び処理を行う。
一方、ステップS10で中継期間でないと判定した場合(ステップS10:NO)、又はステップS20で、音声通話が行われていると判定した場合には(ステップS20:YES)、送信電力制御部144は、第1上限電力値を示すように、記憶部121aの上限値情報を設定し(ステップS40)、ステップS10から再び処理を行う。
【0040】
続いて、上記ステップS10で説明した中継期間であるかの判定処理の詳細な内容について説明する。
図6は、携帯電話機100の送信電力制御部144による中継期間であるかの判定処理を示すフローチャートである。
まず、送信電力制御部144は、通信制御部142が、接続を確立している外部機器からデータを受信し、受信したデータが、基地局20へ送信すべきデータであるか否かに従って、CDMA方式でのデータ通信を行うかを判定する(図6のステップS11)。
【0041】
即ち、通信制御部142が受信したデータが、基地局20へ送信すべきデータである場合には、送信電力制御部144は、CDMA方式でのデータ通信を行うと判定する(ステップS11:YES)。また、通信制御部142がデータを受信していない場合、又は通信制御部142が受信したデータが、他の外部機器(10A又は10B)宛のデータである場合には、送信電力制御部144は、CDMA方式でのデータ通信を行わないと判定する(ステップS11:NO)。
【0042】
CDMA方式でのデータ通信を行うと判定した場合に(ステップS11:YES)、送信電力制御部144は、そのCDMA方式でのデータ通信をPCS帯で送信するか否かを判定する(ステップS12)。PCS帯で送信するかを判定するのは、この実施の形態では、PCS帯での送信を第1上限電力値で行った場合には10mmルールを満たさないとしているためである。
【0043】
PCS帯で送信する場合には(ステップS12:YES)、送信電力制御部144は、モード切替部141に、現在のモードが中継モードであるか否かを問い合わせる(ステップS13)。中継モードでない場合には、外部機器と基地局との間でのデータの中継が発生し得ないためである。
また、中継モードである場合には(ステップS13:YES)、送信電力制御部144は、カウント部143に、現在の接続数が1以上であるか否かを問い合わせる(ステップS14)。接続数が0である場合には、外部機器と基地局との間でのデータの中継が発生し得ないためである。
【0044】
また、現在の接続数が1以上である場合に(ステップS14:YES)、送信電力制御部144は、開閉検出センサ107からの信号に基づいて、現在の開閉状態が、開状態であるか否かを判定する(ステップS15)。
現在の開閉状態が、開状態であるかを判定するのは、この実施の形態では、携帯電話機100が開状態である場合において、PCS帯での送信を第1上限電力値で行った場合に10mmルールを満たさないとしているためである。
【0045】
開状態である場合に(ステップS15:YES)、送信電力制御部144は、中継期間であると判定し(ステップS16)、中継期間であるかの判定処理を終了する。
また、ステップS11〜S15において、否定的な判定を行った場合に(ステップS11:NO、S12:NO、S13:NO、S14:NO、S15:NO)、送信電力制御部144は、中継期間でないと判定し(ステップS17)、中継期間であるかの判定処理を終了する。
【0046】
≪補足≫
以上、本発明に係る携帯電話機を、実施の形態に基づいて説明したが、以下のように変形することも可能であり、本発明は上述した実施の形態で示した通りの携帯電話機に限られないことは勿論である。
(1)実施の形態では、外部機器の一例として、ノートPC10Aと携帯端末10Bとの2台の機器を用いて説明したが、携帯電話機100と無線接続可能な機器であれば、これ以外の機器であってもよく、その台数も2台に限らず、1台以上であれば何台でもよい。
【0047】
また、実施の形態に係る携帯電話機100は、外部機器(10A及び10B)とIEEE 802.11規格に従った無線通信を行うものとして説明したが、これ以外の規格に従って無線通信を行ってもよい。例えば、Bluetooth(登録商標)による無線通信を行うようにしてもよい。
(2)実施の形態に係る携帯電話機100の第2無線通信部120は、PCS帯用の通信部120aと、Cellular帯用の通信部120bとを備えるものとして説明したが、PCS帯用の通信部120aだけ備えるようにしてもよい。なお、その場合、第2無線通信部120は、必ずPCS帯での通信を行うことになるため、図6のステップS12の判定処理は不要である。
【0048】
また、実施の形態に係る第2無線通信部120は、PCS帯及びCellular帯での送信を行うものとして説明したが、この送信周波数帯は一例であり、これ以外の周波数帯を用いて送信してもよい。
また、実施の形態に係る第2無線通信部120は、CDMA方式で通信を行うものとして説明したが、これは一例であり、これ以外の通信システムを用いてもよい。
【0049】
また、実施の形態では、一例として、第1上限電力値は23dBmであり、第2上限電力値は21dBmであると説明したが、第1上限電力値は15mmルールを、第2上限電力値は10mmルールを満たすように定めれば、どのような値に設定してもよく、ユーザが設定できるようにしてもよい。但し、通信断を極力防ぐためには、第1上限電力値は、15mmルールを満たすより大きい値に、第2上限電力値は10mmルールを満たすより大きい値に設定することが望ましい。
【0050】
(3)実施の形態では、第2無線通信部120が、PCS帯での送信を第1上限電力値で行った場合には、10mmルールを満たさず、Cellular帯での送信を第1上限電力値で行った場合には、10mmルールを満たすものとして説明したが、これは一例である。
即ち、PCS帯での送信を第1上限電力値で行った場合には、10mmルールを満たし、Cellular帯での送信を第1上限電力値で行った場合には、10mmルールを満たさない場合にも本発明を適用することができる。具体的には、図5のステップS30、S40で行う設定を、記憶部121aに代えて、記憶部121bの上限値情報に対して行うように変形し、図6のステップS12の判定を、Cellular帯で送信するか否かを判定するように変形すればよい。
【0051】
また、PCS帯での送信を第1上限電力値で行った場合にも、Cellular帯での送信を第1上限電力値で行った場合にも、10mmルールを満たさない場合にも、同様に本発明を適用することができる。具体的には、図5のステップS30、S40で行う設定を、両記憶部(121a及び121b)の上限値情報に対して行うように変形し、図6のステップS12の判定を、PCS帯又はCellular帯で送信するか否かを判定するように変形すればよい。
【0052】
(4)実施の形態に係る携帯電話機100の第2無線通信部120を、例えば、PCS帯でのCDMA方式によるデータ通信中に、送信周波数帯をPCS帯からCellular帯に切り替えられるようにしてもよい。
このように変形した場合、切り替えた後においては、図6のステップS12において、PCS帯で送信しないと判定されるので、(ステップS12:NO)で、図5のステップS10では、中継期間でないとの判定がなされ(ステップS10:NO)、第1上限電力値を示すように、記憶部121aの上限値情報が設定されることになる(ステップS40)。
【0053】
つまり、このように変形した場合でも、中継期間以外の期間においては、通信断を極力防ぐことができる。
(5)実施の形態において説明した各構成要素のうち、全部又は一部を1チップ又は複数チップの集積回路で実現してもよいし、コンピュータのプログラムで実現してもよいし、その他どのような形態で実現してもよい。
【0054】
また、実施の形態において説明した各構成要素は、携帯電話機が有するプロセッサと協働することにより、その機能を実現する。
(6)実施の形態において説明した携帯電話機の送信電力制御処理(図5及び図6参照)をプロセッサに実行させるためのプログラムを、記録媒体に記録し又は各種通信路等を介して、流通させ頒布することもできる。このような記録媒体には、ICカード、ハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、ROM、フラッシュメモリ等がある。流通、頒布されたプログラムは、機器におけるプロセッサで読み取り可能なメモリ等に格納されることにより利用に供され、そのプロセッサがそのプログラムを実行することにより実施の形態で示した携帯電話機の各機能が実現される。
【0055】
(7)実施の形態に係る携帯電話機に、上記(1)〜(6)の一部又は全部の変形を組み合わせて適用してもよい。
(8)以下、更に本発明の一実施形態に係る携帯電話機の構成及びその変形例と各効果について説明する。
(a)本発明の一実施形態に係る携帯電話機は、外部機器及び基地局と無線接続し、当該外部機器と当該基地局との間でデータを中継する機能を有する携帯電話機であって、前記外部機器と無線通信を行う第1無線通信部と、前記基地局と無線通信を行う第2無線通信部と、通信状況に応じた送信電力となるように、第1上限電力値以下の範囲で、前記第2無線通信部による送信電力を制御する送信電力制御部とを備え、前記送信電力制御部は、前記外部機器と前記基地局との間でデータを中継する期間においては、前記第1上限電力値より小さい第2上限電力値を上限として、前記第2無線通信部による送信電力を制御し、前記第2上限電力値を上限とした制御中において、音声通話を開始するときには、前記第1上限電力値を上限として、前記第2無線通信部による送信電力を制御し、前記第1及び第2上限電力値は、それぞれ、当該第1上限電力値で送信した場合に測定したSARと、当該第2上限電力値で送信した場合において当該SARの測定位置よりも自機に一定程度近接した位置で測定したSARとが共に一定基準値以下になるように定められたものであることを特徴とする。
【0056】
この携帯電話機は、外部機器と基地局の間でデータを中継する期間においては、第2無線通信部による送信電力の上限を、第2上限電力値に制御する。従って、この携帯電話機によれば、自機により近接した位置で測定したSARを一定基準値以下にすることができる。
また、この携帯電話機は、第2上限電力値に制御中に、音声通話を開始するときには、つまり、外部機器と基地局との間でデータを中継する期間でないときには、第2上限電力値より大きい第1上限電力値に、第2無線通信部による送信電力の上限を制御する。従って、この携帯電話機によれば、外部機器と基地局との間でデータを中継する期間でないときには、通信断を極力防ぐことができる。
【0057】
(b)また、前記第2無線通信部は、CDMA方式による無線通信を行うものであり、前記携帯電話機は、更にユーザ操作に応じて、前記中継機能を実行する中継モードと当該中継機能を実行しない非中継モードとを切り替えるモード切替部を備え、前記第1及び第2上限電力値は、それぞれ、CDMA方式に用いられる所定周波数帯により、当該第1上限電力値で送信した場合に測定したSARと、当該第2上限電力値で送信した場合に当該SARの測定位置よりも自機に一定程度近接した位置で測定したSARとが共に一定基準値以下になるように定められたものであり、前記外部機器と前記基地局との間でデータを中継する期間は、前記中継モードであり、かつ前記所定周波数帯でのデータ通信が行われる期間であることとしてもよい。
【0058】
この携帯電話機が、所定周波数帯により第1上限電力値で送信した場合に自機により近接した位置で測定するという条件の下では、SARが上記一定基準値以下にならないものであると仮定する。この場合であっても、この携帯電話機は、外部機器と基地局の間でデータを中継する期間においては、第2無線通信部による送信電力の上限を、この条件の下で測定したSARが上記一定基準以下になるよう定められた第2上限電力値に、第2無線通信部による送信電力の上限を制御する。
【0059】
従って、この携帯電話機によれば、外部機器と基地局の間でデータを中継する期間において、自機により近接した位置で測定したSARを一定基準値以下にすることができる。
また、この携帯電話機によれば、非中継モードであり、外部機器と基地局との間でのデータの中継が発生し得ない状況で、無駄に第2無線通信部による送信電力の上限を第2上限電力値に制限することなく、通信断を極力防ぐことができる。
【0060】
(c)また、前記携帯電話機は、複数の外部機器と同時に無線接続可能であり、更に無線接続中の外部機器の数をカウントするカウント部を備え、前記外部機器と前記基地局との間でデータを中継する期間は、更に前記カウント部がカウントした無線接続中の外部機器の数が1以上である期間であることとしてもよい。
この携帯電話機によれば、無線接続中の外部機器の数が0であり、外部機器と基地局との間でのデータの中継が発生し得ない状況で、無駄に第2無線通信部による送信電力の上限を第2上限電力値に制限することなく、通信断を極力防ぐことができる。
【0061】
(d)また、前記携帯電話機は、第1筐体及び第2筐体からなり、各筐体の相対位置が変更自在に構成されたものであり、前記第1及び第2上限電力値は、それぞれ、各筐体の相対位置が所定位置にあり、かつCDMA方式に用いられる所定周波数帯により、当該第1上限電力値で送信した場合に測定したSARと、当該第2上限電力値で送信した場合に当該SARの測定位置よりも自機に近接した位置で測定したSARとが共に一定基準値以下になるように定められたものであり、前記外部機器と前記基地局との間でデータを中継する期間は、更に各筐体の相対位置が前記所定位置にある期間であることとしてもよい。
【0062】
各筐体の相対位置が変更自在に構成された携帯電話機(例えば、折りたたみ式や、スライド式の携帯電話機)では、送信時の各筐体の相対位置に応じて、SARが変化するのが一般的である。
この携帯電話機が、各筐体の相対位置が所定位置にある場合に自機により近接した位置で測定するという条件の下では、SARが上記一定基準値以下にならないものであると仮定する。この場合であっても、この携帯電話機は、外部機器と基地局の間でデータを中継する期間においては、第2無線通信部による送信電力の上限を、この条件の下で測定したSARが上記一定基準以下になるよう定められた第2上限電力値に、第2無線通信部による送信電力の上限を制御する。
【0063】
従って、この携帯電話機によれば、外部機器と基地局の間でデータを中継する期間において、自機により近接した位置で測定したSARを一定基準値以下にすることができる。
(9)本発明に係る携帯電話機の第1無線通信部及び第2無線通信部は、それぞれ、実施の形態に係る携帯電話機100の第1無線通信部110及び第2無線通信部120に相当し、本発明に係る携帯電話機の送信電力制御部、モード切替部及びカウント部は、それぞれ、実施の形態に係る携帯電話機100の送信電力制御部144、モード切替部141及びカウント部143に相当する。
【0064】
また、本発明に係る携帯電話機が無線接続する外部装置は、実施の形態に係る携帯電話機100が無線接続するノートPC10A及び携帯端末10Bに相当し、本発明に係る携帯電話機が無線接続する基地局は、実施の形態に係る携帯電話機100が無線接続する基地局20に相当する。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係る携帯電話機は、外部機器と基地局との間でデータを中継する中継機能を有する携帯電話機に関し、送信電力を制御するために利用される。
【符号の説明】
【0066】
100 携帯電話機
101 第1筐体
102 第2筐体
103 マイク
104 レシーバ
105 ディスプレイ
106 キー群
107 開閉検出センサ
108 音声処理部
110 第1無線通信部
120 第2無線通信部
140 制御部
141 モード切替部
142 通信制御部
143 カウント部
144 送信電力制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器及び基地局と無線接続し、当該外部機器と当該基地局との間でデータを中継する機能を有する携帯電話機であって、
前記外部機器と無線通信を行う第1無線通信部と、
前記基地局と無線通信を行う第2無線通信部と、
通信状況に応じた送信電力となるように、第1上限電力値以下の範囲で、前記第2無線通信部による送信電力を制御する送信電力制御部とを備え、
前記送信電力制御部は、
前記外部機器と前記基地局との間でデータを中継する期間においては、前記第1上限電力値より小さい第2上限電力値を上限として、前記第2無線通信部による送信電力を制御し、
前記第2上限電力値を上限とした制御中において、音声通話を開始するときには、前記第1上限電力値を上限として、前記第2無線通信部による送信電力を制御し、
前記第1及び第2上限電力値は、それぞれ、当該第1上限電力値で送信した場合に測定したSAR(Specific Absorption Rate)と、当該第2上限電力値で送信した場合において当該SARの測定位置よりも自機に一定程度近接した位置で測定したSARとが共に一定基準値以下になるように定められたものである
ことを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記第2無線通信部は、CDMA(Code Division Multiple Access)方式による無線通信を行うものであり、
前記携帯電話機は、更に
ユーザ操作に応じて、前記中継機能を実行する中継モードと当該中継機能を実行しない非中継モードとを切り替えるモード切替部を備え、
前記第1及び第2上限電力値は、それぞれ、CDMA方式に用いられる所定周波数帯により、当該第1上限電力値で送信した場合に測定したSARと、当該第2上限電力値で送信した場合に当該SARの測定位置よりも自機に一定程度近接した位置で測定したSARとが共に一定基準値以下になるように定められたものであり、
前記外部機器と前記基地局との間でデータを中継する期間は、前記中継モードであり、かつ前記所定周波数帯でのデータ通信が行われる期間である
ことを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記携帯電話機は、複数の外部機器と同時に無線接続可能であり、更に
無線接続中の外部機器の数をカウントするカウント部を備え、
前記外部機器と前記基地局との間でデータを中継する期間は、更に前記カウント部がカウントした無線接続中の外部機器の数が1以上である期間である
ことを特徴とする請求項2記載の携帯電話機。
【請求項4】
前記携帯電話機は、第1筐体及び第2筐体からなり、各筐体の相対位置が変更自在に構成されたものであり、
前記第1及び第2上限電力値は、それぞれ、各筐体の相対位置が所定位置にあり、かつCDMA方式に用いられる所定周波数帯により、当該第1上限電力値で送信した場合に測定したSARと、当該第2上限電力値で送信した場合に当該SARの測定位置よりも自機に近接した位置で測定したSARとが共に一定基準値以下になるように定められたものであり、
前記外部機器と前記基地局との間でデータを中継する期間は、更に各筐体の相対位置が前記所定位置にある期間である
ことを特徴とする請求項2記載の携帯電話機。
【請求項5】
外部機器及び基地局と無線接続し、当該外部機器と当該基地局との間でデータを中継する機能を有し、当該外部機器と無線通信を行う第1無線通信部と、当該基地局と無線通信を行う第2無線通信部とを備える携帯電話機における送信電力制御方法であって、
通信状況に応じた送信電力となるように、第1上限電力値以下の範囲で、前記第2無線通信部による送信電力を制御する送信電力制御ステップを含み、
前記送信電力制御ステップは、
前記外部機器と前記基地局との間でデータを中継する期間においては、前記第1上限電力値より小さい第2上限電力値を上限として、前記第2無線通信部による送信電力を制御し、
前記第2上限電力値を上限とした制御中において、音声通話を開始するときには、前記第1上限電力値を上限として、前記第2無線通信部による送信電力を制御し、
前記第1及び第2上限電力値は、それぞれ、当該第1上限電力値で送信した場合に測定したSAR(Specific Absorption Rate)と、当該第2上限電力値で送信した場合において当該SARの測定位置よりも自機に一定程度近接した位置で測定したSARとが共に一定基準値以下になるように定められたものである
ことを特徴とする送信電力制御方法。
【請求項6】
外部機器及び基地局と無線接続し、当該外部機器と当該基地局との間でデータを中継する機能を有し、当該外部機器と無線通信を行う第1無線通信部と、当該基地局と無線通信を行う第2無線通信部とを備える携帯電話機におけるプロセッサに、送信電力制御処理を行わせるためのプログラムであって、
前記送信電力制御処理は、
通信状況に応じた送信電力となるように、第1上限電力値以下の範囲で、前記第2無線通信部による送信電力を制御する送信電力制御ステップを含み、
前記送信電力制御ステップは、
前記外部機器と前記基地局との間でデータを中継する期間においては、前記第1上限電力値より小さい第2上限電力値を上限として、前記第2無線通信部による送信電力を制御し、
前記第2上限電力値を上限とした制御中において、音声通話を開始するときには、前記第1上限電力値を上限として、前記第2無線通信部による送信電力を制御し、
前記第1及び第2上限電力値は、それぞれ、当該第1上限電力値で送信した場合に測定したSAR(Specific Absorption Rate)と、当該第2上限電力値で送信した場合において当該SARの測定位置よりも自機に一定程度近接した位置で測定したSARとが共に一定基準値以下になるように定められたものである
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−48400(P2013−48400A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−148142(P2012−148142)
【出願日】平成24年7月2日(2012.7.2)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】