説明

携帯電話機及び携帯電話機の筐体成型方法

【課題】 耐衝撃性、防水性、防塵性などに優れ、かつ、デザインの拡張性を有する携帯電話機を提供する。
【解決手段】 携帯電話機1としての機能を有するパッケージ化された基盤部12の周囲に、透明又は半透明のシリコンゴムなどの合成樹脂を固着させることによって、外部からの衝撃、水滴や湿気、塵などから基盤部を保護するための筐体部11を形成する。ただし、携帯電話機の機能に鑑み、送話口としての役割を有するマイクロホン部20、受話口としての役割を有するレシーバ部14、データ送受信や充電などを行うためのケーブルを接続するI/Oコネクタ部21、着信通知音などを発するスピーカ部に関しては、筐体部を形成する合成樹脂で覆わずに、外部に露出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通話機能を有し、持ち運び可能な携帯電話機及びその筐体成型方法に関し、特に、耐衝撃性、防水性、防塵性を考慮した携帯電話機及びその筐体成型方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯電話機は、例えば、落下などによって衝撃が加えられたり、雨の中で使用されたりした場合でも、正常な機能が維持されるように、特に、耐衝撃性、防水性、防塵性などの点において様々な工夫が施されている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、ハウジング内に部品の設置空間を備えており、このハウジング外表面に材料を注入、固化して、さらに、当該ハウジング外表面にシリコンゴム状の基体を固着、成型し、さらに、当該基体外表面に柔軟な表層を塗布により設けることによって、独特の手触り及び質感を提供するとともに、振動吸収性及び衝撃保護性を実現することを可能とする技術が記載されている。
【0004】
また、市販の携帯電話機の耐衝撃性、防水性、防塵性を向上させるための技術も存在する。例えば、下記の特許文献2には、開口部を有するケース本体内に、開口部から携帯電話機を収容し、蓋部によって開口部を閉じて、この閉じた状態を係止部によって維持することにより、携帯電話機に加わる衝撃を保護ケースによって保護することを可能とする技術が開示されている。また、下記の特許文献3には、シリコンゴムなどの合成樹脂を用いて、底部に開口部を有するボトル状の本体を成型し、この底部から携帯電話機を収容した場合には、底部に栓をして、携帯電話機を完全に密封することにより、外部からの水滴や湿気、衝撃などから携帯電話機を保護することを可能とする技術が開示されている。
【特許文献1】実用新案登録第3086930号公報
【特許文献2】特開平11−42110号公報
【特許文献3】実用新案登録第3060175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の携帯電話機において、耐衝撃性、防水性、防塵性を実現するためには、部品点数が多くなってしまい、したがって、複数の製造工程を経て、各部品の設置及び組み立てを行わなければならないという課題がある。また、特許文献1に開示されている技術では、携帯電話機の機能(例えば、通話機能や情報報知機能など)が全く考慮されておらず、携帯電話機に適用した場合には、実際に使用することが可能な携帯電話機を実現することが不可能であるという課題がある。また、特許文献2及び特許文献3に開示されている技術では、内部に収容される携帯電話機の構造やデザインに応じた保護ケースを作成する必要があるとともに、特別な部材(蓋部や栓)によって密封状態を実現するため、完全な密封状態を実現することは困難であるという課題がある。
【0006】
上記課題に鑑み、本発明は、耐衝撃性、防水性、防塵性などに優れ、かつ、デザインの拡張性を有する携帯電話機及びその筐体成型方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の携帯電話機は、持ち運び可能な携帯電話機であって、
当該携帯電話機として機能するパッケージ化された基盤部と、
所定の融点以上で溶融し、前記所定の融点より低い温度で弾力性を有する部材に固化する材料で構成されており、前記基盤部において、当該携帯電話機の機能上、外部に露出させるべき構成要素以外の部分に、前記所定の融点以上に加熱して溶融させた前記材料を配置した後、前記材料を前記所定の融点より低い温度に下げ、前記外部に露出させるべき構成要素以外の前記部分に前記材料を固着させることによって形成された筐体部とを有している。
上記の構成により、本発明は、耐衝撃性、防水性、防塵性などに優れ、かつ、デザインの拡張性を有するとともに、実際に使用することが可能な携帯電話機を提供することが可能となる。
【0008】
また、さらに、本発明の携帯電話機は、当該携帯電話機の機能上、前記外部に露出させるべき構成要素が、通話機能を実現するマイクロホン部及びレシーバ部、音声出力機能を有するスピーカ部、データ交換機能及び充電機能を実現するI/Oコネクタ部のいずれか1つ以上であるよう構成されている。
【0009】
また、さらに、本発明の携帯電話機は、前記材料が、前記所定の融点よりも低い温度において透明又は半透明となるシリコンゴムであるよう構成されている。
【0010】
また、さらに、本発明の携帯電話機は、当該携帯電話機の機能上、前記外部に露出させるべき構成要素が、情報表示機能を有する表示部であるよう構成されている。
【0011】
また、上記目的を達成するため、本発明の携帯電話機は、持ち運び可能な携帯電話機であって、
当該携帯電話機として機能するパッケージ化された基盤部と、
所定の融点以上で溶融し、前記所定の融点より低い温度で弾力性を有する部材に固化する第1の材料で構成されており、前記基盤部において、当該携帯電話機の機能上、外部に露出させるべき構成要素、及び、情報を表示するための表示部が形成する表示画面以外の部分に、前記所定の融点以上に加熱して溶融させた前記第1の材料を配置した後、前記第1の材料を前記所定の融点より低い温度に下げ、前記外部に露出させるべき構成要素以外の前記部分に前記第1の材料を固着させることによって形成された筐体部と、
所定の融点以上で溶融し、前記所定の融点より低い温度で弾力性を有し、かつ、透明又は半透明となる部材に固化する第2の材料で構成されており、前記表示画面上に、前記所定の融点以上に加熱して溶融させた前記第2の材料を配置した後、前記第2の材料を前記所定の融点より低い温度に下げ、前記表示画面上に前記第2の材料を固着させることによって形成された表示画面被覆部とを有している。
上記の構成により、本発明は、耐衝撃性、防水性、防塵性などに優れ、かつ、デザインの拡張性を有するとともに、実際に使用することが可能な携帯電話機を提供することが可能となる。
【0012】
また、上記目的を達成するため、本発明の携帯電話機の筐体成型方法は、持ち運び可能な携帯電話機の筐体を成型するための携帯電話機の筐体成型方法であって、
当該携帯電話機として機能するパッケージ化された基盤部を所定の型の内部に配置するステップと、
所定の融点以上で溶融し、前記所定の融点より低い温度で弾力性を有する部材に固化する材料を加熱して溶融させるステップと、
前記基盤部において、当該携帯電話機の機能上、外部に露出させるべき構成要素以外の部分に前記材料が固着するように、溶融させた前記材料を前記型の内部に流し込むステップと、
前記型の内部に流し込んだ前記材料を前記所定の融点より低い温度に下げて、前記外部に露出させるべき構成要素以外の前記部分に前記材料を固着させるステップとを有している。
上記の構成により、本発明は、耐衝撃性、防水性、防塵性などに優れ、かつ、デザインの拡張性を有するとともに、実際に使用することが可能な携帯電話機を提供することが可能となる。
【0013】
また、さらに、本発明の携帯電話機の筐体成型方法は、当該携帯電話機の機能上、前記外部に露出させるべき構成要素が、通話機能を実現するマイクロホン部及びレシーバ部、音声出力機能を有するスピーカ部、データ交換機能及び充電機能を実現するI/Oコネクタ部のいずれか1つ以上であるよう構成されている。
【0014】
また、さらに、本発明の携帯電話機の筐体成型方法は、前記材料が、前記所定の融点よりも低い温度において透明又は半透明となるシリコンゴムであるよう構成されている。
【0015】
また、さらに、本発明の携帯電話機の筐体成型方法は、当該携帯電話機の機能上、前記外部に露出させるべき構成要素が、情報表示機能を有する表示部であるよう構成されている。
【0016】
また、上記目的を達成するため、本発明の携帯電話機の筐体成型方法は、持ち運び可能な携帯電話機の筐体を成型するための携帯電話機の筐体成型方法であって、
当該携帯電話機として機能するパッケージ化された基盤部を所定の型の内部に配置するステップと、
所定の融点以上で溶融し、前記所定の融点より低い温度で弾力性を有する部材に固化する第1の材料を加熱して溶融させるステップと、
前記基盤部において、当該携帯電話機の機能上、外部に露出させるべき構成要素、及び、情報を表示するための表示部が形成する表示画面以外の部分に、溶融させた前記第1の材料を前記型の内部に流し込むステップと、
前記型の内部に流し込んだ前記第1の材料を前記所定の融点より低い温度に下げて、前記外部に露出させるべき構成要素以外の前記部分に前記第1の材料を固着させるステップと、
所定の融点以上で溶融し、前記所定の融点より低い温度で弾力性を有し、かつ、透明又は半透明となる部材に固化する第2の材料を加熱して溶融させるステップと、
前記表示画面上に、前記第2の材料を配置させるステップと、
前記第2の材料を前記所定の融点より低い温度に下げて、前記表示画面上に前記第2の材料を固着させるステップとを有している。
上記の構成により、本発明は、耐衝撃性、防水性、防塵性などに優れ、かつ、デザインの拡張性を有するとともに、実際に使用することが可能な携帯電話機を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の携帯電話機及びその筐体成型方法は、上記構成を有するので、耐衝撃性、防水性、防塵性などに優れ、かつ、デザインの拡張性を有する携帯電話機を実現できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
<第1の実施の形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の第1〜第3の実施の形態について説明する。図1は、本発明の第1〜第3の実施の形態における携帯電話機の模式的な正面図、図2は、本発明の第1〜第3の実施の形態における携帯電話機の模式的な背面図、図3は、本発明の第1〜第3の実施の形態における携帯電話機の側面図、図4は、本発明の第1〜第3の実施の形態における携帯電話機の模式的な底面図である。
【0019】
なお、後述のように、筐体部11は、材料として、半透明又は透明のシリコンゴムなどの合成樹脂を使用することが可能であり、図1〜図4に点線で示す各構成要素は、筐体部11の内部に埋設されているにもかかわらず、筐体部11に透明の合成樹脂を使用した場合に、筐体部11を透過して視認することが可能なものである。
【0020】
図1〜図4に示すように、本発明に係る携帯電話機1は、パッケージ化された基盤部12の周囲にシリコンゴムなどの合成樹脂が固着されて、筐体部11を形成する構造を有している。なお、パッケージ化された基盤部12は、それ自体で携帯電話機1としての機能を果たし得るものであり、すなわち、基盤部12のパッケージ内部及び表面には、携帯電話機1の通話機能、情報処理機能、表示機能などを実現するための回路や、その他の各部品(内蔵アンテナなど)が設置されている。
【0021】
また、筐体部11を形成する合成樹脂は、内部に基盤部12が配置された所定の成型用の型(モールド)に、所定の融点以上に加熱されて溶融された状態で流し込まれ、その後、例えば、気泡を除去する処理などが行われて、冷却されることによって、固化される。その結果、筐体部11を形成する合成樹脂は、パッケージ化された基盤部12に完全に密着した状態となり、かつ、筐体部11の外形が、所定のモールドの形状に成型される。なお、パッケージ化された基盤部12は、筐体部11を形成する合成樹脂の融点における熱耐性を少なくとも有するように考慮して構成されることが望ましい。
【0022】
また、上述のようにして筐体部11の成型を行う場合に、合成樹脂の固化後の状態において、基盤部12の機能(携帯電話機1としての機能)が損なわれないように考慮する必要がある。すなわち、携帯電話機1に必要な機能としては、例えば、通話機能、情報報知機能、ケーブルなどによるデータ交換機能、充電機能などが挙げられ、筐体部11及び基盤部12が一体化された成型後の状態において、これらの機能が正常に動作する必要がある。
【0023】
図1〜図4には、例えば、通話機能を実現するための構成要素として、受話口としての役割を有するレシーバ部14と、送話口としての役割を有するマイクロホン部20が図示されている。また、図1〜図4には、例えば、情報報知機能(音声出力機能)を実現するための構成要素として、着信通知音などの聴覚的な情報の報知を行うためのスピーカ部16が図示されている。また、図1〜図4には、例えば、データ交換機能や充電機能を実現するための構成要素として、基盤部12内のCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)や情報格納用メモリとの接続を行うためのデータ交換用ケーブルや、携帯電話機1の動作に必要となる電力を蓄電する電池パック部17に電力を供給するための充電用ケーブルの接続を可能とするI/Oコネクタ部21が図示されている。
【0024】
上述のような、通話機能を実現するためのレシーバ部14及びマイクロホン部20、情報報知機能を実現するためのスピーカ部16、データ交換機能や充電機能を実現するためのI/Oコネクタ部21は、受話音声の報知及び送話音声の取り込みや、データ交換用ケーブル及び充電用ケーブルの接続のために、それぞれ外部に露出されることが望ましい。なお、必ずしも、上記のレシーバ部14及びマイクロホン部20、スピーカ部16、I/Oコネクタ部21のすべてが外部に露出される必要はなく、携帯電話機1に搭載されている機能に応じて、外部に露出される構成要素を選択することが可能である。例えば、I/Oコネクタ部21を搭載していない携帯電話機1の場合には、上記のレシーバ部14及びマイクロホン部20、スピーカ部16が外部に露出されるようにすればよく、また、レシーバ部14やスピーカ部16などに骨伝導スピーカを使用する場合には、レシーバ部14やスピーカ部16を外部に露出せずに、それらの機能を実現することが可能である。
【0025】
本発明では、成型後の携帯電話機1におけるレシーバ部14、スピーカ部16、マイクロホン部20、I/Oコネクタ部21の配置に関して十分に考慮する。例えば、図3や後述の図5〜図7に図示されているように、レシーバ部14、スピーカ部16、マイクロホン部20、I/Oコネクタ部21に関しては、筐体部11を形成する合成樹脂に埋設されないように、レシーバ部14、スピーカ部16、マイクロホン部20、I/Oコネクタ部21のそれぞれに係る基盤部12の形状を工夫し、その結果、レシーバ部14、スピーカ部16、マイクロホン部20、I/Oコネクタ部21が外部に露出され、携帯電話機1において、それぞれの所定の機能が実現されるようにしている。なお、ここでは、特に、外部に露出すべき構成要素のそれぞれに関して、基盤部12の形状に工夫を施しているが、単に、外部に露出すべき構成要素付近に、筐体部11を形成する合成樹脂が覆い被さらないような空洞部を設け、この空洞部を通じて、外部に露出すべき構成要素が露出されるようにすることも可能である。
【0026】
なお、このように、外部に露出されるレシーバ部14、スピーカ部16、マイクロホン部20、I/Oコネクタ部21に関しては、筐体部11を形成する合成樹脂によって保護されていないため、特に、防水性や防塵性に対する別の工夫を施すことが望ましい。また、図面では(特に、図3では)、I/Oコネクタ部21が電池パック部17と接続されている例について図示されているが、I/Oコネクタ部21は、基盤部12と接続される場合や、基盤部12及び電池パック部17の両方と接続される場合もある。また、上述の外部に露出すべき構成要素は一例であり、例えば、撮像機能を実現するためのカメラのレンズ部など、外部に露出すべき他の様々な構成要素が存在する。
【0027】
また、例えば、操作機能を実現するための構成要素として、ユーザによる操作ボタン部15の押下を検出するための操作検出部19(ここでは、テンキーなどの操作ボタン部15のそれぞれに係る押下を検出するために、各操作ボタンに対応した操作検出部19が設けられている)が図示されている。図3、図4に示すように、例えば、操作ボタン部15の各操作ボタンに関しては、ユーザが押下しやすいように、外側に突出させて成型することが可能である。これによって、ユーザは押下すべき適切な位置を把握することが可能となり、ユーザの操作によって操作ボタンに加えられた応力は、対応する操作検出部19に的確に伝達されて、携帯電話機1における操作機能が確実に達成される。
【0028】
また、図1〜図4に加えて、さらに図5を参照しながら、携帯電話機1の情報表示機能について説明する。図5は、本発明の第1の実施の形態における、図1に示すA−Bの断面図である。上述のレシーバ部14やスピーカ部16は、聴覚的な情報(音声情報)を報知するために情報報知機能を実現する構成要素であるが、一方、携帯電話機1は、画像やテキストなどの視覚的な情報を報知するための情報報知機能(情報表示機能)も有している。
【0029】
例えば、図面には、情報表示機能を実現するための構成要素として、視覚的な情報の報知を行うための液晶ディスプレイなどの表示部18(本明細書では、表示デバイスそのものを表示部18と呼び、ユーザが視認可能な情報表示箇所(表示部18が作る表示画面)を表示画面部13と呼ぶ)が図示されている。
【0030】
本発明の第1の実施の形態では、筐体部11を形成する合成樹脂として、透明又は半透明の材料を用い、表示部18の表面を合成樹脂で覆うことによって表示画面部13を形成する。その結果、表示部18によって表示された情報は、透明又は半透明の合成樹脂を通じて外部から視認可能となるとともに、表示部18が合成樹脂によって保護されるようになる。
【0031】
<第2の実施の形態>
また、図1〜図4に加えて、さらに図6を参照しながら、本発明の第2の実施の形態における携帯電話機1について説明する。図6は、本発明の第2の実施の形態における、図1に示すA−Bの断面図である。上述の第1の実施の形態では、図5に示すように、筐体部11を形成する合成樹脂によって、表示部18の表面を覆う場合について説明したが、この本発明の第2の実施の形態では、筐体部11を形成する合成樹脂とは異なる透明又は半透明の表示部被覆用合成樹脂30によって、表示部18の表面を覆うようにする。この場合、表示部18によって表示された情報は、透明又は半透明の表示部被覆用合成樹脂30を通じて外部から視認可能となるとともに、この表示部被覆用合成樹脂30によって、表示部18が保護されるようになる。一方、筐体部11を形成する合成樹脂に関しては、表示部18における視認性などを考慮する必要がなく、例えば、不透明な合成樹脂によって、筐体部11を形成できるようになり、デザインの拡張性(デザインの自由度)が向上する。
【0032】
<第3の実施の形態>
また、図1〜図4に加えて、さらに図7を参照しながら、本発明の第3の実施の形態における携帯電話機1について説明する。図7は、本発明の第3の実施の形態における、図1に示すA−Bの断面図である。上述の第2の実施の形態では、図6に示すように、筐体部11を形成する合成樹脂とは異なる表示部被覆用合成樹脂30によって、表示部18の表面を覆う場合について説明したが、この本発明の第3の実施の形態では、表示部18の表面に合成樹脂を配置しないようにして、表示部18をそのまま外部に露出する。これは、従来の携帯電話機1における表示部18(特に表示画面部13)が、防水性や防塵性に優れていることを考慮したものであり、上述の第1や第2の実施の形態に比べて、表示部18によって表示された情報の視認性がさらに大きく向上する。また、上述の第2の実施の形態と同様に、筐体部11を形成する合成樹脂に関しては、表示部18における視認性などを考慮する必要がなく、デザインの拡張性(デザインの自由度)が向上する。
【0033】
また、図8は、本発明の第1〜第3の実施の形態における携帯電話機の使用時の状態を示す斜視図である。本発明の携帯電話機1は、シリコンゴムなどの弾力性を有する筐体部11の使用によって、外部からの衝撃から基盤部12が保護され、従来の携帯電話機1の筐体に比べて、耐衝撃性が大きく向上する。また、筐体部11は、防水性や防塵性にも優れており、外部からの水滴や湿気、塵などから基盤部12が保護され、従来の携帯電話機1の筐体に比べて、防水性及び防塵性が大きく向上する。
【0034】
また、携帯電話機1のデザイン(形状)においても、従来よりも簡便に3次曲線の形状などを作成することが可能であり、従来の携帯電話機1の機械的なデザインに比べ、より人間の手に適した柔らかなデザインを実現することが可能となるとともに、操作性や利便性の高い形状を作り出すことが容易となる。また、筐体部11の弾力性によって、ユーザに安らぎを与える質感や手触りを実現することが可能となる。また、本発明では、特に、実際に使用することが可能な携帯電話機1の実現を考慮し、携帯電話機1の各機能が損なわれないように、筐体部11と基盤部12とが一体化した携帯電話機1を実現することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、耐衝撃性、防水性、防塵性などに優れ、かつ、デザインの拡張性を有する携帯電話機を提供するものであり、通話機能を有し、持ち運び可能な携帯電話機及びその筐体成型方法に関する技術分野に適用され、特に、耐衝撃性、防水性、防塵性を考慮した携帯電話機及びその筐体成型方法に関する技術分野に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1〜第3の実施の形態における携帯電話機の模式的な正面図
【図2】本発明の第1〜第3の実施の形態における携帯電話機の模式的な背面図
【図3】本発明の第1〜第3の実施の形態における携帯電話機の側面図
【図4】本発明の第1〜第3の実施の形態における携帯電話機の模式的な底面図
【図5】本発明の第1の実施の形態における、図1に示すA−Bの断面図
【図6】本発明の第2の実施の形態における、図1に示すA−Bの断面図
【図7】本発明の第3の実施の形態における、図1に示すA−Bの断面図
【図8】本発明の第1〜第3の実施の形態における携帯電話機の使用時の状態を示す斜視図
【符号の説明】
【0037】
1 携帯電話機
11 筐体部
12 基盤部
13 表示画面部
14 レシーバ部
15 操作ボタン部
16 スピーカ部
17 電池パック部
18 表示部
19 操作検出部
20 マイクロホン部
21 I/Oコネクタ部
30 表示部被覆用合成樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
持ち運び可能な携帯電話機であって、
当該携帯電話機として機能するパッケージ化された基盤部と、
所定の融点以上で溶融し、前記所定の融点より低い温度で弾力性を有する部材に固化する材料で構成されており、前記基盤部において、当該携帯電話機の機能上、外部に露出させるべき構成要素以外の部分に、前記所定の融点以上に加熱して溶融させた前記材料を配置した後、前記材料を前記所定の融点より低い温度に下げ、前記外部に露出させるべき構成要素以外の前記部分に前記材料を固着させることによって形成された筐体部とを、
有する携帯電話機。
【請求項2】
当該携帯電話機の機能上、前記外部に露出させるべき構成要素が、通話機能を実現するマイクロホン部及びレシーバ部、音声出力機能を有するスピーカ部、データ交換機能及び充電機能を実現するI/Oコネクタ部のいずれか1つ以上であるよう構成されている請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記材料が、前記所定の融点よりも低い温度において透明又は半透明となるシリコンゴムであるよう構成されている請求項1又は2に記載の携帯電話機。
【請求項4】
当該携帯電話機の機能上、前記外部に露出させるべき構成要素が、情報表示機能を有する表示部であるよう構成されている請求項2に記載の携帯電話機。
【請求項5】
持ち運び可能な携帯電話機であって、
当該携帯電話機として機能するパッケージ化された基盤部と、
所定の融点以上で溶融し、前記所定の融点より低い温度で弾力性を有する部材に固化する第1の材料で構成されており、前記基盤部において、当該携帯電話機の機能上、外部に露出させるべき構成要素、及び、情報を表示するための表示部が形成する表示画面以外の部分に、前記所定の融点以上に加熱して溶融させた前記第1の材料を配置した後、前記第1の材料を前記所定の融点より低い温度に下げ、前記外部に露出させるべき構成要素以外の前記部分に前記第1の材料を固着させることによって形成された筐体部と、
所定の融点以上で溶融し、前記所定の融点より低い温度で弾力性を有し、かつ、透明又は半透明となる部材に固化する第2の材料で構成されており、前記表示画面上に、前記所定の融点以上に加熱して溶融させた前記第2の材料を配置した後、前記第2の材料を前記所定の融点より低い温度に下げ、前記表示画面上に前記第2の材料を固着させることによって形成された表示画面被覆部とを、
有する携帯電話機。
【請求項6】
持ち運び可能な携帯電話機の筐体を成型するための携帯電話機の筐体成型方法であって、
当該携帯電話機として機能するパッケージ化された基盤部を所定の型の内部に配置するステップと、
所定の融点以上で溶融し、前記所定の融点より低い温度で弾力性を有する部材に固化する材料を加熱して溶融させるステップと、
前記基盤部において、当該携帯電話機の機能上、外部に露出させるべき構成要素以外の部分に前記材料が固着するように、溶融させた前記材料を前記型の内部に流し込むステップと、
前記型の内部に流し込んだ前記材料を前記所定の融点より低い温度に下げて、前記外部に露出させるべき構成要素以外の前記部分に前記材料を固着させるステップとを、
有する携帯電話機の筐体成型方法。
【請求項7】
当該携帯電話機の機能上、前記外部に露出させるべき構成要素が、通話機能を実現するマイクロホン部及びレシーバ部、音声出力機能を有するスピーカ部、データ交換機能及び充電機能を実現するI/Oコネクタ部のいずれか1つ以上であるよう構成されている請求項6に記載の携帯電話機の筐体成型方法。
【請求項8】
前記材料が、前記所定の融点よりも低い温度において透明又は半透明となるシリコンゴムであるよう構成されている請求項6又は7に記載の携帯電話機の筐体成型方法。
【請求項9】
当該携帯電話機の機能上、前記外部に露出させるべき構成要素が、情報表示機能を有する表示部であるよう構成されている請求項7に記載の携帯電話機の筐体成型方法。
【請求項10】
持ち運び可能な携帯電話機の筐体を成型するための携帯電話機の筐体成型方法であって、
当該携帯電話機として機能するパッケージ化された基盤部を所定の型の内部に配置するステップと、
所定の融点以上で溶融し、前記所定の融点より低い温度で弾力性を有する部材に固化する第1の材料を加熱して溶融させるステップと、
前記基盤部において、当該携帯電話機の機能上、外部に露出させるべき構成要素、及び、情報を表示するための表示部が形成する表示画面以外の部分に、溶融させた前記第1の材料を前記型の内部に流し込むステップと、
前記型の内部に流し込んだ前記第1の材料を前記所定の融点より低い温度に下げて、前記外部に露出させるべき構成要素以外の前記部分に前記第1の材料を固着させるステップと、
所定の融点以上で溶融し、前記所定の融点より低い温度で弾力性を有し、かつ、透明又は半透明となる部材に固化する第2の材料を加熱して溶融させるステップと、
前記表示画面上に、前記第2の材料を配置させるステップと、
前記第2の材料を前記所定の融点より低い温度に下げて、前記表示画面上に前記第2の材料を固着させるステップとを、
有する携帯電話機の筐体成型方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−19812(P2006−19812A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−192954(P2004−192954)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000187725)パナソニック モバイルコミュニケーションズ株式会社 (38)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】