説明

携帯電話機情報視覚化装置、携帯電話機情報視覚化システム及びそれらに用いる携帯電話機情報視覚化方法

【課題】 正確な位置精度や地域指定の方法に基づいた携帯電話機の使用者の個人情報を一般の人が利用することが可能な携帯電話機情報視覚化装置を提供する。
【解決手段】 携帯電話機情報視覚化装置(サーバ装置1)は、携帯電話端末(4−1〜4−n)の通信事業者が有する携帯電話端末各々の情報を、空間、時間、速度、前記携帯電話端末の個別識別番号に付帯した情報、前記携帯電話端末の状態のうちの少なくとも一つの情報に基づいてグルーピングする手段(携帯電話端末グルーピング部11)と、そのグルーピングした集団の構成数と当該集団の動きと当該集団と他の集団との関係を視覚化するための表示データを作成する手段(携帯電話端末表示データ作成部12)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話機情報視覚化システム、携帯電話機情報視覚化装置及びそれらに用いる携帯電話機情報視覚化方法に関し、特に携帯電話機の使用者の個人情報を集団情報化して表示する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機の使用者の個人情報としては、加入者の氏名や年齢、性別、携帯電話機の位置情報等の個人情報がある。このような個人情報は、警察や消防が事件等の緊急事態対処のために使用する場合、あるいは保護者が子供の安全確保のためにGPS(Global Positioning System)付き携帯電話機で子供の位置を確認する場合、さらに携帯電話機の保有者が本人の現在位置を確認する場合等での使用に限られている。
【0003】
但し、本発明に関連する技術としては、携帯電話機の位置情報を利用して特定の地域の人口を推定するという方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、携帯電話機の応答数を携帯電話機の普及率で割ることで人口の推定を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−122877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、本発明に関連する技術では、携帯電話機の使用者の個人情報を利用することが可能なケースが上述したような場合に限られており、一般の人が、上記のような携帯電話機の使用者の個人情報を利用することができないようになっている。
【0006】
また、上記の特許文献1に記載の技術では、携帯電話機の応答数を携帯電話機の普及率で割って人口を推定するという大雑把なものであり、GPS等による現在位置の検出が行われておらず、位置精度や地域指定の方法が不正確である。
【0007】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、正確な位置精度や地域指定の方法に基づいた携帯電話機の使用者の個人情報を一般の人が利用することができる携帯電話機情報視覚化装置、携帯電話機情報視覚化システム及びそれらに用いる携帯電話機情報視覚化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による携帯電話機情報視覚化装置は、携帯電話端末の通信事業者が有する前記携帯電話端末各々の情報を、空間、時間、速度、前記携帯電話端末の個別識別番号に付帯した情報、前記携帯電話端末の状態のうちの少なくとも一つの情報に基づいてグルーピングする手段と、そのグルーピングした集団の構成数と当該集団の動きと当該集団と他の集団との関係を視覚化するための表示データを作成する手段とを備え、
前記グルーピングする手段は、予め設定されたゲートを通過した携帯電話端末をグルーピングし、
予め指定された時間内に前記ゲートを通過した携帯電話端末の数を要求先に返送して電子地図上に指定されたゲートの出口の近傍に表示させることを特徴とする。
【0009】
本発明による携帯電話機情報視覚化システムは、上記の携帯電話機情報視覚化装置を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明による携帯電話機情報視覚化方法は、携帯電話機情報視覚化装置が、携帯電話端末の通信事業者が有する前記携帯電話端末各々の情報を、空間、時間、速度、前記携帯電話端末の個別識別番号に付帯した情報、前記携帯電話端末の状態のうちの少なくとも一つの情報に基づいてグルーピングし、そのグルーピングした集団の構成数と当該集団の動きと当該集団と他の集団との関係を視覚化するための表示データを作成し、
前記携帯電話機情報視覚化装置が、予め設定されたゲートを通過した携帯電話端末をグルーピングし、
予め指定された時間内に前記ゲートを通過した携帯電話端末の数を要求先に返送して電子地図上に指定されたゲートの出口の近傍に表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記のような構成及び動作とすることで、正確な位置精度や地域指定の方法に基づいた携帯電話機の使用者の個人情報を一般の人が利用することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態による携帯電話機情報視覚化システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の携帯電話端末グルーピング部の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における個人情報を集団情報にグルーピングする方法を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態による携帯電話機情報視覚化システムの動作例を示すシーケンスチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態による携帯電話端末の情報のグルーピング結果の表示例を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態による携帯電話端末の情報のグルーピング結果の他の表示例を示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態によるサーバ装置の構成例を示すブロック図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態におけるゲートを組み合わせた携帯電話端末の情報のグルーピング結果の表示例を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態によるサーバ装置の構成例を示すブロック図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態におけるグルーピング結果の表示例を示す図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態におけるグルーピング結果の他の表示例を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態によるサーバ装置の構成例を示すブロック図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態におけるグルーピング結果の表示例を示す図である。
【図14】本発明の第5の実施の形態による携帯電話機情報視覚化システムの構成例を示すブロック図である。
【図15】本発明の第6の実施の形態による集団内相関を説明するための図である。
【図16】本発明の第6の実施の形態による集団間相関を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、本発明の概要について説明する。本発明は、携帯電話端末を空間、時間、速度、携帯電話端末の個別識別番号に付帯した情報(住所、氏名、年齢等)、更に携帯電話端末の状態(電源ONか、電源OFFか、通話通中か否か)等の情報を指定された情報に基づいてグルーピングし、グルーピングした集団の構成数、集団の動き、集団間の関係等を視覚化して表示するものである。
【0014】
この場合、本発明では、指定した場所や指定した時間、あるいは指定した速度に基づいて、道路の渋滞状況やイベント会場の入場者数、電車の駅の混雑状況、過去の状況の再現、指定した集団と集団との関係等を分析して表示することができるため、正確な位置精度や地域指定の方法に基づいた携帯電話端末の使用者の個人情報を一般の人が利用することができる。尚、本発明は、上記の分析結果を用いるような分野、例えば交通運輸、旅行、小売、商品企画、危機管理等の広範な分野に適用することができる。
【0015】
図1は本発明の第1の実施の形態による携帯電話機情報視覚化システムの構成例を示すブロック図である。図1において、本発明の第1の実施の形態による携帯電話機情報視覚化システムは、サーバ装置1と、電子地図データベース2と、携帯電話端末個別情報データベース3と、携帯電話端末4−1〜4−n(nは正の整数)と、基地局5と、基地局制御装置6と、携帯電話端末やパーソナルコンピュータ(以下、パソコンとする)等のユーザ端末7と、IP(Internwt protocol)網100とから構成されている。
【0016】
サーバ装置1は、通信事業者のサーバ装置であり、携帯電話端末4−1〜4−nの各種情報を指定された条件に基づいてグルーピングする携帯電話端末グルーピング部11と、携帯電話端末グルーピング部11でグルーピングされた情報を基にユーザ端末7への表示データを作成する携帯電話端末表示データ作成部12とを備えている。また、サーバ装置1は、基地局5及び基地局制御装置6とともに移動通信網を形成している。
【0017】
電子地図データベース2は、携帯電話端末4−1〜4−nの各種情報をグルーピングする際にユーザ端末7が指定条件を入力するための電子地図データを蓄積している。
【0018】
携帯電話端末個別情報データベース3は、携帯電話端末4−1〜4−nの各種情報、つまり空間、時間、速度、携帯電話端末の個別識別番号に付帯した情報(住所、氏名、年齢等)、更に携帯電話端末の状態(電源ONか、電源OFFか、通話通中か否か)等の情報を蓄積している。
【0019】
図2は図1の携帯電話端末グルーピング部11の構成例を示すブロック図である。図2において、携帯電話端末グルーピング部11は、携帯電話端末情報取得部111と、グルーピング部112と、グループ構成数導出部113と、グループの動き検出部114と、グループの関係検出部115とを備えている。
【0020】
携帯電話端末情報取得部111は、ユーザ端末7からの入力された指定条件を基に携帯電話端末個別情報データベース3から携帯電話端末4−1〜4−nの各種情報を取得する。グルーピング部112は、携帯電話端末情報取得部111で取得した携帯電話端末4−1〜4−nの各種情報を、ユーザ端末7から指定された条件に基づいてグルーピングする。
【0021】
グループ構成数導出部113は、グルーピング部112でグルーピングされた情報を基に、グループ構成数を導出する。グループの動き検出部114は、グルーピング部112でグルーピングされた情報を基に、グループの動きを検出する。グループの関係検出部115は、グルーピング部112でグルーピングされた情報を基に、グループの関係を検出する。
【0022】
携帯電話端末グルーピング部11は、グルーピング部112、グループ構成数導出部113、グループの動き検出部114、グループの関係検出部115各々の結果をグルーピングされた情報及び検出結果として携帯電話端末表示データ作成部12に渡す。携帯電話端末表示データ作成部12は、携帯電話端末グルーピング部11からのグルーピングされた情報及び検出結果を基にユーザ端末7からの要求に沿った表示データを作成する。
【0023】
図3は図2のグルーピング部112における個人情報を集団情報にグルーピングする方法を示す図である。図3において、フィルタは、携帯電話端末個別情報データベース3に保管されている個々の携帯電話端末の位置情報、識別情報(ID番号、氏名、年齢、性別等)、あるいは通信状態等に関するログ情報のデータを、その個々の携帯電話端末を空間条件、時間条件、速度条件、ゲート条件等によってグルーピングし、個々の携帯電話端末のグルーピングを行う。
【0024】
つまり、フィルタでは、携帯電話端末個別情報データベース3に保管されているデータをグルーピングして、空間グルーピング集団、時間グルーピング集団、速度グルーピング集団、ゲートグルーピング集団、IDグルーピング集団、ロググルーピング集団等の集団情報を作成する。
【0025】
したがって、本実施の形態では、このフィルタのグルーピング処理によって、個人情報である携帯電話端末のIDや位置情報等をグルーピングして不特定多数の集団の情報として編成することができる。
【0026】
図4は本発明の第1の実施の形態による携帯電話機情報視覚化システムの動作例を示すシーケンスチャートである。これら図1〜図4を参照して本発明の第1の実施の形態による携帯電話機情報視覚化システムの動作について説明する。
【0027】
サーバ装置1は、ユーザ端末7から電子地図要求を受信すると(図4のa1)、電子地図データベース2から電子地図の読出しを行い(図4のa2,a3)、読出した電子地図をユーザ端末7に送る(図4のa4)。
【0028】
その後、サーバ装置1では、ユーザ端末7が電子地図上にて任意の閉鎖図形(エリア)を指定して閉鎖図形内のグループの構成数、動き、関係を示す情報を要求してくると(図4のa5,a6)、携帯電話端末グルーピング部11において、携帯電話端末情報取得部111がその閉鎖図形に関連する携帯電話端末4−1〜4−nの各種情報(個別情報)を携帯電話端末個別情報データベース3から読出す(図4のa7,a8)。
【0029】
サーバ装置1では、携帯電話端末グルーピング部11において、携帯電話端末情報取得部111が読出した個別情報携帯電話端末の状態に応じてグルーピング部112にてグルーピングを行う(図4のa9)。携帯電話端末グルーピング部11においては、グルーピング部112によるグルーピングの結果を基に、グループ構成数導出部113、グループの動き検出部114、グループの関係検出部115各々で処理を行い、その結果を携帯電話端末表示データ作成部12に渡す。
【0030】
サーバ装置1では、携帯電話端末表示データ作成部12にて、携帯電話端末グルーピング部11において求められたグループの構成数、動き、関係を示す表示データを作成し(図4のa10)、その表示データをユーザ端末7に送る(図4のa11)。ユーザ端末7は、送られてきた表示データを表示部(図示せず)に表示する(図4のa12)。
【0031】
ここで、本実施の形態では、電子地図上で指定したいエリアを、ファンクションボタンやメニューボタン、あるいはタッチペンやマウス等を使って円や矩形等の閉鎖図形で囲み、そこで作成した閉鎖図形(エリア)の緯度経度の情報をサーバ装置1に送信する。サーバ装置1では、通信事業者が有するGPS(Global Positioning System)等による携帯電話端末の位置情報と照合し、指定したエリアの中に存在する携帯電話端末の数を算出する。
【0032】
例えば、円で指定する場合には、円の中心の緯度経度と半径Rとをサーバ装置1に送れば、サーバ装置1の中に保管されている顧客の携帯電話端末の位置情報を使って、円の中心から携帯電話端末の位置までの距離を測定し、その距離が円の半径Rより短いものを選び出してグルーピングする。
【0033】
サーバ装置1は、グルーピングした集団内の携帯電話端末の数を、要求してきたユーザ端末7に返送し、ユーザ端末7の表示部において、電子地図上で指定した閉鎖図形(エリア)の内部あるいは閉鎖図形(エリア)の近傍に表示する。
【0034】
図5は本発明の第1の実施の形態による携帯電話端末の情報のグルーピング結果の表示例を示す図である。図5においては、電子地図上に任意の閉鎖エリアを円で描き、その閉鎖エリアの内部に存在する携帯電話端末の数を示している。
【0035】
まず、ユーザ端末7の使用者は、緯度経度の座標を持つ電子地図上に描いた閉鎖図形をサーバ装置1に送信する。サーバ装置1は、ユーザ端末7から送られてきた閉鎖図形の情報と、携帯電話端末個別情報データベース3に保有するGPS等による携帯電話端末の位置情報とを照合する。
【0036】
図5に示す参照符号Oは、円の中心の座標を示す。B及びCは、個々の携帯電話端末の位置である。これらの位置は全て緯度経度で表される。参照符号Aは、円周上の1点であり、OAは半径Rである。OB及びOCは、円の中心から個々の携帯電話端末までの距離である。OBは円の半径OAより短いので、B点の携帯電話端末は円の内側にある。一方、OCは円の半径OAより長いので、C点の携帯電話端末は円の外側に存在する。
【0037】
また、図5において、20は携帯電話端末の位置、21は円の中心の緯度経度、22は指定エリアを囲む円、23は円の半径、24は指定エリア内の携帯電話端末の数をそれぞれ示している。
【0038】
本実施の形態では、上記のようにして、電子地図上の任意の場所に描いた円による閉鎖空間の中に存在する携帯電話端末の数を調べ、その結果を要求してきたユーザ端末7(パソコンや携帯電話端末)に返送して、電子地図上に描いた円による閉鎖図形の中に表記する。
【0039】
図6は本発明の第1の実施の形態による携帯電話端末の情報のグルーピング結果の他の表示例を示す図である。図6においては、電子地図上に円でエリアを指定し、そのエリア内に存在する携帯電話端末の数が1200台であることを示している。尚、図6において、22は指定エリアを囲む円、25は指定エリアの男女の携帯電話の数をそれぞれ示している。
【0040】
エリア内の携帯電話端末の数は、携帯電話端末の個別識別番号に付随しているデータ(氏名、住所、性別、年齢等)によって更に分類することができる。ここでは、1200台の携帯電話端末の持ち主は、800台が男性で、400台が女性であることを示している。実際には、携帯電話端末の数は、携帯電話端末を持った人がこのエリアに出入りするたびに変化するので、単位時間毎に数値を更新する。
【0041】
このように、本実施の形態では、携帯電話端末4−1〜4−nに関する個人情報(個別情報)を集団情報としてグルーピングし、携帯電話端末4−1〜4−nの加入者である顧客が自ら進んでこのサービスに加入するための魅力あるコンテンツとして提供することができる。よって、本実施の形態では、正確な位置精度や地域指定の方法に基づいた携帯電話機の使用者の個人情報を集団情報化することで、一般の人がその情報を利用することができるようにしている。
【0042】
図7は本発明の第2の実施の形態によるサーバ装置の構成例を示すブロック図である。図7において、サーバ装置1aは、ゲート通過携帯電話端末検出部13を追加した以外は、図1に示す本発明の第1の実施の形態によるサーバ装置1と同様の構成となっている。
【0043】
本実施の形態では、閉鎖図形をエリアと見るのではなく、ゲートと考えて、閉鎖図形の中に存在する携帯電話端末ではなく、ゲートを通過した携帯電話端末をグルーピングすることによって、指定した時刻T1から時刻T2までにゲートを通過した携帯電話端末の延べ台数を要求してきたユーザ端末7(携帯電話端末やパソコン)に返送し、電子地図上に指定したゲートの出口の近傍に表示している。
【0044】
また、本実施の形態では、ゲートについて、入り口と出口とを明確にした一方向性のゲートと、入り口と出口との区別のない双方向性のゲートと、円形のように360度どこから出てきてもカウントする全周性ゲートとを必要に応じて指定することができる。
【0045】
さらに、本実施の形態では、上記のように、流出する携帯電話端末だけをカウントするゲートではなく、流入する携帯電話端末だけをカウントするゲートも必要に応じて指定することができる。
【0046】
ゲート通過携帯電話端末検出部13は、上記の処理を可能とするために、携帯電話端末個別情報データベース3から読出した携帯電話端末の位置情報を基に、予め設定されたゲート各々を入出する携帯電話端末を検出しており、その検出結果を保持している。
【0047】
携帯電話端末グルーピング部11は、ゲート通過携帯電話端末検出部13に保持している検出結果を基に各ゲートを入出した携帯電話端末をグルーピングする。また、携帯電話端末グルーピング部11は、ユーザ端末7から指定された時間内に各ゲートを入出した携帯電話端末の延べ台数を算出する。携帯電話端末表示データ作成部12は、携帯電話端末グルーピング部11で算出した延べ台数を電子地図上に指定したゲートの出口の近傍に表示するための表示データを作成する。
【0048】
図8は本発明の第2の実施の形態におけるゲートを組み合わせた携帯電話端末の情報のグルーピング結果の表示例を示す図である。図8においては、ゲートを道路上に3箇所設置した例を示している。
【0049】
図8のAは左から右への一方通行のゲートであり、Bは右から左への一方通行のゲートであり、Cは全周性のゲートである。ユーザ端末7の使用者は、目的に応じて、車の流れや車線を考慮して、最適なゲートを選択して設置することが必要である。
【0050】
本実施の形態では、図8に示すように、複数のゲートを設置し、Aゲートを通過した携帯電話端末の数を求めることもできるが、これら携帯電話端末の延べ台数に対して論理演算を適用することによって、Aゲートを通過し且つBゲートを通過した携帯電話端末の数を求めることもできる。また、本実施の形態では、Aゲートを通過しかつBゲートを通過せずにCゲートを通過した携帯電話端末の数も容易に求めることができる。
【0051】
図9は本発明の第3の実施の形態によるサーバ装置の構成例を示すブロック図である。図9において、サーバ装置1bは、速度ベクトル導出部14及び速度ベクトル比較部15を追加した以外は、図1に示す本発明の第1の実施の形態によるサーバ装置1と同様の構成となっている。
【0052】
速度ベクトル導出部14は、携帯電話端末個別情報データベース3から読出した携帯電話端末の位置情報を基に、携帯電話端末4−1〜4−nを携帯する人物が歩行や自動車、あるいは電車で移動することによって生じる速度ベクトルを、GPSの位置情報の単位時間当たりの変化から、あるいは携帯電話端末4−1〜4−nの応答信号のドップラー周波数から個々の携帯電話機の速度ベクトルとして導出する。
【0053】
速度ベクトル比較部15は、速度ベクトル導出部14で導出された速度ベクトル同士を比較し、その比較結果を携帯電話端末グルーピング部11に渡す。携帯電話端末グルーピング部11は、速度ベクトル比較部15の比較結果を基に同じ大きさの速度ベクトルを持ったもの同士を一つのグループとしてグルーピングする。携帯電話端末表示データ作成部12は、それらのグループの追尾結果を電子地図上に表示するように表示データを作成する。
【0054】
図10は本発明の第3の実施の形態におけるグルーピング結果の表示例を示す図である。図10においては、道路上のベクトル集合を示しており、電子地図上の道路上に円形の閉鎖エリアを指定し、そのエリア内に存在する携帯電話端末の数を示している。図10の26,27は速度ベクトル集団を示している。
【0055】
上述した本発明の第1の実施の形態では、図10に示す内容をスカラー表示しているので70台の携帯電話端末を表示することとなる。しかしながら、本実施の形態では、ベクトル表示にしているので、方向や速度の異なるベクトルが別のグループとなるので、20台が右向きに30km/hの速度で移動し、50台が左向きに50km/hの速度で移動しているものと表示される。
【0056】
図11は本発明の第3の実施の形態におけるグルーピング結果の他の表示例を示す図である。図11の31は指定エリアを、32は指定エリアから流出する速度ベクトル集団をそれぞれ示している。
【0057】
図11においては、指定エリアから流出するベクトル集合を示しており、指定したエリア内の携帯電話機の数5000台が、速度ベクトル毎のグループを形成し、指定エリアから流出していく様子を示している(図11の31)。この場合、指定エリアを一つの色(例えば、赤)で塗ることで、指定エリアから流出していく携帯電話端末を同じ赤色で視覚的に追尾することができる。
【0058】
図11では、64台の携帯電話端末が東へ50km/hで、48台の携帯電話端末が東南東へ速度36km/hで、524台の携帯電話端末が南へ4km/hで移動している状態を表示しているが(図11の32)、64台の携帯電話端末は電車で移動中で、48台の携帯電話端末はバスか車で移動中で、524台の携帯電話端末は徒歩で移動中であることが想像できる。
【0059】
このように、本実施の形態では、閉鎖エリアを道路上に設定して、その内部に存在する携帯電話端末をベクトル表示することで、任意の場所の渋滞状況を簡単に知ることができる。つまり、本実施の形態では、携帯電話端末をグルーピングした集団をスカラーで表現するだけでなく、ベクトルで表現することによって、集団がどの方向にどのくらいの速度で移動しているのか等の情報を視覚化することができる。
【0060】
すなわち、本実施の形態では、速度グルーピングを行うために、指定した電子地図上の閉鎖図形の中に存在する携帯電話端末を、携帯電話端末が移動する時に生じる速度ベクトル(GPSの位置信号の変化、あるいは携帯電話端末の応答信号のドップラー周波数を測定して算出)を使って、速度ベクトルの方向と大きさとが同じ携帯電話端末をグルーピングしている。
【0061】
この場合、本実施の形態では、グルーピングした集団の携帯電話端末の数が設定した一定の値を越えた場合、新たな速度ベクトル集団として登録し、任意の図形で表記し、その移動方向を矢印で速度の大きさを数字で表示している(図11参照)。
【0062】
また、本実施の形態では、上記の方法で道路上に任意のエリアを指定し、其の中に存在する携帯電話端末をベクトル表示することによって、そのエリア内の携帯電話端末の数と速度とが分かるため、そのエリアにおける車の渋滞状況を知ることができる。
【0063】
更に、本実施の形態では、速度ベクトルの集団が一定の速度より早い場合(例えば、6km/hより早い場合)、その集団が電子地図上の道路の近くにあれば車に乗った集団と判断し、鉄道の近くであれば電車に乗った集団と判断して表記することもできる。
【0064】
尚、本実施の形態では、上記のようにグルーピングして登録した速度ベクトルの集団が次第に分離し、集団を構成する携帯電話端末の数が少なくなれば、携帯電話端末の保有者の自宅や会社が判明する可能性があるため、速度ベクトルの集団の携帯電話端末の数が、設定した一定の値より少なくなった時点で個人情報保護の観点からその集団の表記を風船のように弾けて消滅させるように表示することもできる。
【0065】
図12は本発明の第4の実施の形態によるサーバ装置の構成例を示すブロック図である。図12において、サーバ装置1cは、携帯電話端末移動軌跡記録部16を追加した以外は、図9に示す本発明の第3の実施の形態によるサーバ装置1bと同様の構成となっている。
【0066】
携帯電話端末移動軌跡記録部16は、速度ベクトル導出部14及び速度ベクトル比較部15の結果を基に携帯電話端末グルーピング部11でグルーピングされた速度ベクトル集団Aの軌跡を記録する。
【0067】
携帯電話端末グルーピング部11は、携帯電話端末移動軌跡記録部16に記録された速度ベクトル集団Aの軌跡と直交する直線を引き、軌跡からの直線の長さが距離Rより短い距離にある携帯電話端末を全てグルーピングする。携帯電話端末表示データ作成部12は、グルーピングされた集団の携帯電話端末の数nを基に、電子地図上の速度ベクトル集団Aの後方にA(R)=nのように表示するための表示データを作成する。
【0068】
また、本実施の形態では、A(R)=nのような集団を、境界のはっきりした集団として表現することが困難な場合も生じるので、その場合にはベクトル表示だけでなく、煙の拡散や水の流れのようなイメージで表現することも可能である。
【0069】
図13は本発明の第4の実施の形態におけるグルーピング結果の表示例を示す図である。図13の41は速度ベクトル集団Aを、42は速度ベクトル集団Aの軌跡をそれぞれ示している。
【0070】
図13においては、符号41を鳥インフルエンザ等の感染者の集合と仮定すれば、感染者が移動した軌跡が符号42である。本実施の形態では、この軌跡と直交する直線を引き、軌跡からの距離R(例えば、5m以内)の人を感染者に接触した疑いのある人と仮定して、その人々をグルーピングすることによって、感染症予備軍の集団を把握して追跡することができる。
【0071】
このように、本実施の形態では、携帯電話端末が移動した時に、その携帯電話端末の軌跡の周りに存在する携帯電話端末をグルーピングすることによって、例えば伝染病の感染者が動いた経路や感染者に接触した可能性のある人々に関する的確な情報等を得ることができる。
【0072】
図14は本発明の第5の実施の形態による携帯電話機情報視覚化システムの構成例を示すブロック図である。図14においては、携帯電話端末の個人情報をグルーピングして集団情報にするためのシステムを示している。
【0073】
本実施の形態によるシステムの大部分は、携帯電話端末の通信事業者が保有する既存のシステムであり、この既存システムを使って、消防に電話をした人の現在地が自動的に表示されるサービスや本人の現在地を知らせるサービス、あるいは子供の居場所を保護者に知らせるサービス等が、限定された利用者に対するサービスとして既に実施されている。
【0074】
図14において、本発明の第5の実施の形態による携帯電話機情報視覚化システムは、HLR(Home Location Register)(#1〜#n)51−1〜51−nと、位置情報サーバ52と、契約者情報53と、位置情報の保存ストレージ54と、集団化処理プロセッサ55と、入出力インタフェース56とを備えている。
【0075】
図14においては、位置情報サーバ52に対して限定された利用者(例えば、警察、消防、保護者、本人等)からの個人情報の要求があると、それに対して個人情報の返信を行っている。また、入出力インタフェース56に対して一般の利用者から集団情報の要求があると、それに対して集団情報の返信を行っている。
【0076】
HLR(#1〜#n)51−1〜51−nと位置情報サーバ52と契約者情報53とは、携帯電話端末の通信事業者が保有する既存のシステムである。本実施の形態では、この既存のシステムに集団化処理プロッセサ55を追加し、携帯電話端末の個人情報を空間、時間、速度等でグルーピングして集団化している。また、本実施の形態では、個々の携帯電話端末の位置情報をある程度の期間保存するための巨大なストレージ(位置情報の保存ストレージ54)と、利用者が集団情報を要求する時に携帯電話端末やパソコン等のユーザ端末とシステムとを結ぶインタフェース(入出力インタフェース56)とを備えている。
【0077】
本実施の形態では、携帯電話端末の位置情報を位置情報の保存ストレージ54に記録し、必要に応じて読出せるように構成している。そして、本実施の形態では、この位置情報の保存ストレージ54に記録した過去の位置情報を使って、電子地図上の閉鎖図形の中に存在する携帯電話端末を現在の時刻の携帯電話端末ではなく、過去の指定した時刻の携帯電話端末でグルーピングし、グルーピングした過去の集団の携帯電話端末の数を要求してきた携帯電話端末やパソコン等のユーザ端末に返送し、電子地図上に指定した閉鎖図形の内部あるいは閉鎖図形の近傍に表示している。
【0078】
一般的に、伝染病患者は、日本に入国して数日後に発病することが多い。そのような場合には、上記の位置情報の保存ストレージ54から感染者が日本に入国した数日前の携帯電話端末の位置情報を呼び出し、過去の位置情報に基づいて上記の接触集団を把握することができる。
【0079】
これによって、本実施の形態では、感染症の拡大を防ぐための的を絞った消毒や隔離等の最も効果的な対策を実施することができる。この他、過去の位置情報を使うものとしては、犯罪の起こった時点に戻って現場を再現することができるため、犯人その者、あるいは近くにいた目撃者の携帯電話端末の状況が再現されるため、犯人検挙率の向上に効果を発揮するものと思われる。
【0080】
図15は本発明の第6の実施の形態による集団内相関を説明するための図であり、図16は本発明の第6の実施の形態による集団間相関を説明するための図である。尚、本発明の第6の実施の形態による携帯電話機情報視覚化システムの構成は、図1に示す本発明の第1の実施の形態による携帯電話機情報視覚化システムと同様の構成となっているので、その説明を省略する。
【0081】
また、以下に述べる同一集団内の構成要員の親密度に相当する相関度、異なる集団間の親密度に相当する相関度は、図2に示す本発明の第1の実施の形態によるサーバ装置1の携帯電話端末グルーピング部11内における、グループ構成数導出部113、グループの動き検出部114、グループの関係検出部115によって算出することができるので、本実施の形態によるサーバ装置の図示は省略する。
【0082】
図15においては、同一集団内の構成要員の親密度に相当する相関度を表しており、集団内で互いに通話している回線が何回線あるかを調べて集団の携帯電話端末の数で割った数字で表す。この場合、同一集団内の構成要員の親密度は、%で表すことも、単に携帯電話端末の数と回線の数とを併記する方法でもよい。図15では、集団の携帯電話端末の数が500台で、通話中の回線が6回線であるのでの、相関度は0.012で、1.2%である。
【0083】
図16においては、異なる集団間の親密度に相当する相関度を表しており、ここではA集団とB集団との間で互いに通話している回線が何回線あるかを調べて集団の携帯電話端末の数で割った数字で表す。図16の場合には、A集団とB集団との間に通話している回線が2回線あり、A集団は携帯電話端末が200台で、B集団は携帯電話端末が500台なので、A集団から見たB集団の相関度は1%で、B集団からみたA集団の相関度は0.4%となる。
【0084】
相関度は、上記の説明のように、その時の通話状態で判断することもできるが、正確な相関度を出すためには、ある程度時間をかけて計測する方がより好適である。
【0085】
更に、上記の様々な条件でグルーピングした集団と集団に、ANDやORやNAND等の論理演算を行うことにより、更に複雑な条件に基づくグルーピングが可能となり、ユーザが欲しいと思う集団を自由に作ることのできる選択肢が増加することで、道路の渋滞状況やデパートや駅のリアルタイムな入場者数、大事故が発生した現場における人の行動や過去に起こった事件現場の再現等の他に、ゲートAを通りゲートBは通らずゲートCを通った集団等の様な複雑なアプリケーションを簡単な操作で提供することを特徴とする。
【0086】
更に、本発明は携帯電話の通信ログを利用することによって、集団の中の携帯電話機同士の通話やメールの回数、あるいはA集団とB集団の間の通話やメールの回数を集団の分母である携帯電話機の数で割ることによって、独立した関係だけでなく、集団内あるいは集団と集団の関係の深さを表示することを特徴とする。
【0087】
このように、本実施の形態では、携帯電話端末の状態(電源ONか電源OFFか、通話中か待機中か、通話中の回線の接続先、メールの送信先、インタネットのサイトとの接続状況等)の情報を使うことによって、上記の本発明の第1〜第5の実施の形態による各種条件でグルーピングした集団において、その集団内の相関度、あるいは集団と集団との相関度を分析して表示することができる。
【0088】
このように、本発明では、携帯電話端末の通信事業者が保有する情報(性別、職業、年齢、住所、家族等)や携帯電話端末の状態(通話中か否か等)を活用することによって、多種多様な集団に分類してその多様な集団の特徴や動きの情報をうることができる。
【0089】
加えて、本発明では、携帯電話端末の通信ログ等を利用することによって、集団内あるいは集団と集団との関係の深さに関する情報(通信中の回線数/携帯電話端末の数)を得ることができる。
【0090】
本発明では、上述した各実施の形態による方法を組み合わせることによって、日本全国あらゆる道路の渋滞状況や都会の昼と夜の人口の移動状況、デパートやイベント会場、あるいは野球場等のリアルタイムな入場者数、またその入場者がどこから集まり、どこに帰るのか、あるいは男女のグループによる行動の相違、さらに大事故が発生した現場における人の行動や過去に起こった事件現場の状況、伝染病患者の感染経路等、集団と集団との関係が深いか浅いか等の様々な情報を得ることができる。
【0091】
尚、本発明は、携帯電話端末の付帯情報のグルーピングを行うために、閉鎖図形の中に存在する携帯電話端末を、携帯電話端末の識別番号に付帯した苗字や年齢、性別等でグルーピングし、グルーピングした集団の携帯電話機の数を要求してきた携帯電話端末やパソコン等のユーザ端末に返送し、電子地図上に表示することも可能である。
【0092】
また、本発明は、将来、携帯電話端末のログにインタネットのサイトへのアクセス回数やランドマークを訪れた回数等が記録されれば、それらの情報を使って更に多様なグルーピングをすることも可能である。
【0093】
さらに、本発明では、携帯電話端末の状態情報のグルーピングを行うために、閉鎖図形の中に存在する携帯電話端末を、携帯電話端末の状態(通話通中かスタンバイ中か等)によってグルーピングし、グルーピングした集団の携帯電話端末の数及びその状態を、それらの情報を要求してきた携帯電話端末やパソコン等のユーザ端末に返送し、電子地図上に表示することも可能である。
【0094】
さらにまた、本発明では、上述した各実施の形態による方法でグルーピングした集団が、時間の変化とともに空間内の携帯電話端末の数や集団の速度ベクトル、あるいは携帯電話端末の通話状態等が変化するので、その変化を単位時間毎に更新することも可能である。
【0095】
本発明では、指定したエリアを囲む閉鎖図形を一つの色(例えば、赤色)で塗りつぶし、そのエリアから流出した同じ速度ベクトルを持った集団を、あらゆる方向に何個形成されても、閉鎖図形と同じ色で表記することも可能である。
【0096】
また、上記の赤で塗りつぶした指定したエリアが継続して指定されている場合には、そのエリアから流出した同じ速度ベクトルの構成要素の携帯電話端末が離散集合を繰り返し、設定数より増えたり減ったりする場合、その集団を表現する図形も消えたり現れたりさせることも可能である。
【0097】
更に、指定エリアを取り消した場合には、その指定エリアから流出した集団の図形も全て消滅させることも可能である。
【0098】
本発明では、指定したエリアAを含むより大きなエリアBを設定し、エリアBの中に存在する携帯電話端末の数Zのベクトルを調べて、Zの中からA方向を向いたベクトルを選び出し、その数を表記することによって、どこからどれだけの人がA方向に向かって集まりつつあるかを知ることができる。
【0099】
本発明では、グルーピングした様々な集団の中に含まれる携帯電話端末の数Xと、人間の数Yと、あるいは携帯電話端末の数Xと自動車の数Zとの間に1対1の対応はないが、なんらかの相関関係があると仮定し、集団内の人間の数Yや自動車の数Zを実際に計測するか、公表されている人口統計資料等から取得し、Y=F(X)やZ=G(X)を満足する関数Fや関数Gを確定する。本発明では、その関数Fや関数Gを使って携帯電話端末の数Xから推定人口の数Yや推定車両量数Zを導出して表示することもできる。
【0100】
Y=F(X)やZ=G(X)は、地域や時間によって一様ではなく、ばらつきがあるため、なるべく時間や地域を細分化して数多くのデータを取得し、それぞれの地域や時間帯に応じて重み関数を設定して精度を向上すればより好適である。
【0101】
本発明では、様々な条件でグルーピングした集団と集団とに、AND(アンド)演算やOR(オア)演算、NAND(ナンド)演算等の論理演算を行うことによって、更に複雑な条件に基づくグルーピングが可能となり、ユーザが欲しいと思う集団を自由に作ることができる選択肢を増加させることができる。
【0102】
本発明では、様々な条件でグルーピングした集団が、空間、時間、速度、携帯電話端末の数やその状態等の多変数関数であるため、ユーザが欲しいと思う集団の情報を求めるために、多変数関数のどの変数を固定し、どの変数を変化させるのかを明確にする必要がある。
【0103】
そのため、本発明では、ユーザが目的―場所―時間等を選択することで、エリアを固定するのか、初期設定の携帯電話端末の数を固定するのか、速度を固定するのか等を自動的に設定することができる。
【0104】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、本発明の技術を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。
【0105】
上記の実施の形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下の記載に限定されない。
【0106】
[付記1]
携帯電話端末の通信事業者が有する前記携帯電話端末各々の情報を、空間、時間、速度、前記携帯電話端末の個別識別番号に付帯した情報、前記携帯電話端末の状態のうちの少なくとも一つの情報に基づいてグルーピングする手段と、そのグルーピングした集団の構成数と当該集団の動きと当該集団と他の集団との関係を視覚化するための表示データを作成する手段とを有し、
前記グルーピングする手段は、予め設定されたゲートを通過した携帯電話端末をグルーピングし、
予め指定された時間内に前記ゲートを通過した携帯電話端末の数を要求先に返送して電子地図上に指定されたゲートの出口の近傍に表示させ、
前記グルーピングする手段は、前記時間の情報に基づいてグルーピングを行う際に、前記通信事業者が保有する前記携帯電話端末の位置情報をストレージに記録し、そのストレージに記録した過去の位置情報を用いて前記携帯電話端末各々の情報をグルーピングすることを特徴とする携帯電話機情報視覚化装置。
【0107】
[付記2]
前記グルーピングする手段は、前記速度の情報に基づいてグルーピングを行う際に、前記携帯電話端末が移動する時に生じる速度ベクトルの方向と大きさとが同じ携帯電話端末をグルーピングし、そのグルーピングした集団の携帯電話端末の数が設定した一定の値を越えた場合に新たな速度ベクトル集団として登録し、当該速度ベクトル集団を任意の図形で表記させるとともに、その移動方向を矢印で表示させ、その速度の大きさを数字で表示させることを特徴とする付記1に記載の携帯電話機情報視覚化装置。
【0108】
[付記3]
前記速度ベクトル集団が次第に分離し、当該速度ベクトル集団を構成する携帯電話端末の数が設定した一定値より少なくなった時に当該速度ベクトル集団の図形を消滅させることを特徴とする付記2に記載の携帯電話機情報視覚化装置。
【0109】
[付記4]
前記グルーピングする手段は、前記速度ベクトル集団の軌跡に直交する直線を引き、その直線の長さが所定距離より短い距離にある携帯電話端末をグルーピングし、そのグルーピングした携帯電話端末の数を当該速度ベクトル集団の図形に関連付けて表示させることを特徴とする付記2または付記3に記載の携帯電話機情報視覚化装置。
【0110】
[付記5]
前記グルーピングする手段にてグルーピングした集団の携帯電話端末各々の情報の変化を単位時間毎に更新することを特徴とする付記1から付記4のいずれかに記載の携帯電話機情報視覚化装置。
【0111】
[付記6]
前記グルーピングする手段にてグルーピングした集団の携帯電話端末の数と人間の数との相関関係の関数、または前記携帯電話端末の数と自動車の数との相関関係の関数を確定し、その関数を用いて推定人口または推定車両量数を導出して表示させることを特徴とする付記1から付記5のいずれかに記載の携帯電話機情報視覚化装置。
【0112】
[付記7]
前記グルーピングする手段にてグルーピングした集団と他の集団とにおいて、前記情報の論理演算を行って複雑な条件に基づくグルーピングを行うことを特徴とする付記1から付記6のいずれかに記載の携帯電話機情報視覚化装置。
【0113】
[付記8]
前記グルーピングする手段にてグルーピングした集団において、少なくともユーザが設定した目的、場所、時間に基づいて、エリアと初期設定の携帯電話端末の数と速度とのうちの少なくともいずれか一つを固定することを特徴とする付記1から付記7のいずれかに記載の携帯電話機情報視覚化装置。
【0114】
[付記9]
前記グルーピングする手段にてグルーピングした集団において、前記携帯電話端末の状態情報に基づいて当該集団内の相関度あるいは当該集団と他の集団との相関度を分析して表示させることを特徴とする付記1から付記8のいずれかに記載の携帯電話機情報視覚化装置。
【0115】
[付記10]
携帯電話機情報視覚化装置が、携帯電話端末の通信事業者が有する前記携帯電話端末各々の情報を、空間、時間、速度、前記携帯電話端末の個別識別番号に付帯した情報、前記携帯電話端末の状態のうちの少なくとも一つの情報に基づいてグルーピングし、そのグルーピングした集団の構成数と当該集団の動きと当該集団と他の集団との関係を視覚化するための表示データを作成し、
前記携帯電話機情報視覚化装置が、予め設定されたゲートを通過した携帯電話端末をグルーピングし、
予め指定された時間内に前記ゲートを通過した携帯電話端末の数を要求先に返送して電子地図上に指定されたゲートの出口の近傍に表示させ、
前記携帯電話機情報視覚化装置が、前記時間の情報に基づいてグルーピングを行う際に、前記通信事業者が保有する前記携帯電話端末の位置情報をストレージに記録し、そのストレージに記録した過去の位置情報を用いて前記携帯電話端末各々の情報をグルーピングすることを特徴とする携帯電話機情報視覚化方法。
【0116】
[付記11]
前記携帯電話機情報視覚化装置が、前記速度の情報に基づいてグルーピングを行う際に、前記携帯電話端末が移動する時に生じる速度ベクトルの方向と大きさとが同じ携帯電話端末をグルーピングし、そのグルーピングした集団の携帯電話端末の数が設定した一定の値を越えた場合に新たな速度ベクトル集団として登録し、当該速度ベクトル集団を任意の図形で表記させるとともに、その移動方向を矢印で表示させ、その速度の大きさを数字で表示させることを特徴とする付記10に記載の携帯電話機情報視覚化方法。
【0117】
[付記12]
前記携帯電話機情報視覚化装置が、前記速度ベクトル集団が次第に分離し、当該速度ベクトル集団を構成する携帯電話端末の数が設定した一定値より少なくなった時に当該速度ベクトル集団の図形を消滅させることを特徴とする付記11に記載の携帯電話機情報視覚化方法。
【0118】
[付記13]
前記携帯電話機情報視覚化装置が、前記速度ベクトル集団の軌跡に直交する直線を引き、その直線の長さが所定距離より短い距離にある携帯電話端末をグルーピングし、そのグルーピングした携帯電話端末の数を当該速度ベクトル集団の図形に関連付けて表示させることを特徴とする付記11または付記12に記載の携帯電話機情報視覚化方法。
【0119】
[付記14]
前記携帯電話機情報視覚化装置がグルーピングした集団の携帯電話端末各々の情報の変化を単位時間毎に更新することを特徴とする付記10から付記13のいずれかに記載の携帯電話機情報視覚化方法。
【0120】
[付記15]
前記携帯電話機情報視覚化装置がグルーピングした集団の携帯電話端末の数と人間の数との相関関係の関数、または前記携帯電話端末の数と自動車の数との相関関係の関数を確定し、その関数を用いて推定人口または推定車両量数を導出して表示させることを特徴とする付記10から付記14のいずれかに記載の携帯電話機情報視覚化方法。
【0121】
[付記16]
前記携帯電話機情報視覚化装置がグルーピングした集団と他の集団とにおいて、前記情報の論理演算を行って複雑な条件に基づくグルーピングを行うことを特徴とする付記10から付記15のいずれかに記載の携帯電話機情報視覚化方法。
【0122】
[付記17]
前記携帯電話機情報視覚化装置がグルーピングした集団において、少なくともユーザが設定した目的、場所、時間に基づいて、エリアと初期設定の携帯電話端末の数と速度とのうちの少なくともいずれか一つを固定することを特徴とする付記10から付記16のいずれかに記載の携帯電話機情報視覚化方法。
【0123】
[付記18]
前記携帯電話機情報視覚化装置がグルーピングした集団において、前記携帯電話端末の状態情報に基づいて当該集団内の相関度あるいは当該集団と他の集団との相関度を分析して表示させることを特徴とする付記10から付記17のいずれかに記載の携帯電話機情報視覚化方法。
【符号の説明】
【0124】
1,1a〜1c サーバ装置
2 電子地図データベース
3 携帯電話端末個別情報データベース
4−1〜4−n 携帯電話端末
5 基地局
6 基地局制御装置
7 ユーザ端末
11 携帯電話端末グルーピング部
12 携帯電話端末表示データ作成部
13 ゲート通過携帯電話端末検出部
14 速度ベクトル導出部
15 速度ベクトル比較部
16 携帯電話端末移動軌跡記録部
20 携帯電話機の位置
21 円の中心の緯度経度
22 指定エリアを囲む円
23 円の半径
24 指定エリア内の携帯電話の数
25 指定エリアの男女の携帯電話の数
26,27 速度ベクトル集団
31 指定エリア
32 指定エリアから流出する速度ベクトル集団
51−1〜51〜n HLR(#1〜#n)
52 位置情報サーバ
53 契約者情報
54 位置情報の保存ストレージ
55 集団化処理プロセッサ
56 入出力インタフェース
100 IP網
111 携帯電話端末情報取得部
112 グルーピング部
113 グループ構成数導出部
114 グループの動き検出部
115 グループの関係検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話端末の通信事業者が有する前記携帯電話端末各々の情報を、空間、時間、速度、前記携帯電話端末の個別識別番号に付帯した情報、前記携帯電話端末の状態のうちの少なくとも一つの情報に基づいてグルーピングする手段と、そのグルーピングした集団の構成数と当該集団の動きと当該集団と他の集団との関係を視覚化するための表示データを作成する手段とを有し、
前記グルーピングする手段は、予め設定されたゲートを通過した携帯電話端末をグルーピングし、
予め指定された時間内に前記ゲートを通過した携帯電話端末の数を要求先に返送して電子地図上に指定されたゲートの出口の近傍に表示させることを特徴とする携帯電話機情報視覚化装置。
【請求項2】
前記ゲートとして、入口と出口とを明確にした一方向性のゲートと、入口と出口との区別のない双方向性のゲートと、全周のどこから出てきてもカウントする全周性ゲートとを指定可能としたことを特徴とする請求項1記載の携帯電話機情報視覚化装置。
【請求項3】
前記ゲートとして、流入する携帯電話端末だけをカウントするゲートを指定可能としたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の携帯電話機情報視覚化装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の携帯電話機情報視覚化装置を含むことを特徴とする携帯電話機情報視覚化システム。
【請求項5】
携帯電話機情報視覚化装置が、携帯電話端末の通信事業者が有する前記携帯電話端末各々の情報を、空間、時間、速度、前記携帯電話端末の個別識別番号に付帯した情報、前記携帯電話端末の状態のうちの少なくとも一つの情報に基づいてグルーピングし、そのグルーピングした集団の構成数と当該集団の動きと当該集団と他の集団との関係を視覚化するための表示データを作成し、
前記携帯電話機情報視覚化装置が、予め設定されたゲートを通過した携帯電話端末をグルーピングし、
予め指定された時間内に前記ゲートを通過した携帯電話端末の数を要求先に返送して電子地図上に指定されたゲートの出口の近傍に表示させることを特徴とする携帯電話機情報視覚化方法。
【請求項6】
前記ゲートとして、入口と出口とを明確にした一方向性のゲートと、入口と出口との区別のない双方向性のゲートと、全周のどこから出てきてもカウントする全周性ゲートとを指定可能としたことを特徴とする請求項5記載の携帯電話機情報視覚化方法。
【請求項7】
前記ゲートとして、流入する携帯電話端末だけをカウントするゲートを指定可能としたことを特徴とする請求項5または請求項6記載の携帯電話機情報視覚化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−13143(P2013−13143A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−220862(P2012−220862)
【出願日】平成24年10月3日(2012.10.3)
【分割の表示】特願2008−106279(P2008−106279)の分割
【原出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】