説明

携帯電話端末

【課題】携帯電話端末において、音力発電を行うとともに、通話時の不具合を防止することが可能な構成を提供する。
【解決手段】携帯電話端末のマイク9を構成する圧電変換器40と音声処理部27との間に、両者の導通状態をオンまたはオフの状態にする連動スイッチ45を設ける。連動スイッチ45の動作は、ユーザの操作に連動し、圧電変換器40と音声処理部27と導通状態をオフの状態にすると、圧電変換器40と電源部20との導通状態をオンの状態にし、圧電変換器40と電源部20との導通状態をオフの状態にすると、圧電変換器40と音声処理部27との導通状態をオンの状態にする。このように、ユーザの操作によって、圧電変換器40の出力先が音声処理部27および電源部20のいずれか一方に切り替わるように構成した。この構成により、音力充電と通話とが同時に行われることがなく、なお且つ、いずれか一方が行われ得る状態が維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電可能なバッテリ(二次電池、蓄電池、充電式電池)を駆動電源とする携帯電話端末に関する。
【背景技術】
【0002】
現在普及しているほとんどの携帯電話端末は、ACアダプタによってバッテリを充電することが可能に構成されている。
また、自然エネルギーを合理的に活用すること等を目的として、携帯電話端末にソーラーパネルを搭載したモデルも市場に流通し始めている。この種のソーラーパネル搭載型携帯電話端末(以下「ソーラー携帯電話」と略す)では、ユーザがソーラーパネル(ひいては端末本体)を太陽光に直接晒すように屋外等で所定時間放置することで、ソーラーパネルにて発電できた電力がバッテリに供給され、これによりバッテリが充電される。
【0003】
ところで、このようなソーラー携帯電話では、現状、充電場所が屋外等の太陽光が直接当たるところに限定されたり、充電可能な時間帯が日中に限られたりするといった場所や時間帯による制約や、そもそも太陽が出ていなければ充電できないといった天候による制約があるというように課題が多い。
【0004】
一方、ソーラーパネル以外にバッテリを充電可能な装置の一つとして、人の話し声や騒音等の音波による振動によって発電する(即ち、音力発電を行う)圧電変換器を備える発電装置(以下「音力発電装置」という)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−330424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
つまり、このような音力発電装置を携帯電話端末に搭載することで、太陽に関する制約から解放され得ることから、新たな市場の開拓等が期待される。
しかし、携帯電話端末に音力発電装置を単純に搭載すると、携帯電話端末のマイクとしても圧電変換器が使用され得ることから、通話用のマイクとは別に充電用の圧電変換器が搭載されることになり、非経済的な構成になってしまうという問題がある。
【0007】
また、通話用と充電用とを兼ねるように圧電変換器の共通化を単純に図ろうとすると、通話時に圧電変換器の出力の一部がバッテリに流れてしまうため、これにより圧電変換器から通話に必要な出力を取り出せず、通話中に不具合が生じてしまう可能性がある。
【0008】
本発明は、これらの問題点を鑑みてなされたものであり、携帯電話端末において、音力発電による充電を行うとともに、通話時の不具合を防止することが可能な構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた発明である請求項1に記載の携帯電話端末は、充電可能なバッテリを駆動電源とする端末であって、外部から受ける振動によって発電する圧電変換器と、圧電変換器の出力に基づいて通話に必要な音声データを生成する音声処理部と、圧電変換器の出力によってバッテリを充電する電源部とを備える。以下、音波による振動によって発電してバッテリを充電することを「音力充電」という。
【0010】
本発明の携帯電話端末では、出力切替手段により、ユーザの操作に基づいて、圧電変換器の出力先を音声処理部および電源部のいずれか一方に切り替えるように構成した。
このように構成された携帯電話端末では、ユーザの操作によって圧電変換器の出力先が電源部に決定されると、振動発生部の出力によってバッテリが充電され、ユーザの操作によって圧電変換器の出力先が音声処理部に決定されると、圧電変換器から通話に必要な出力が取り出されることになる。つまり、音力充電と通話とが同時に行われることがなく、なお且つ、音力充電と通話のいずれか一方だけが行われ得る状態が維持される。
【0011】
従って、本発明の携帯電話端末によれば、通話用の圧電変換器とは別に充電用の圧電変換器を備えることなく音力充電を行うことができ、なお且つ、ユーザの操作によって通話時に圧電変換器の出力がバッテリに流れてしまうことを防止できるため、これにより通話中の不具合を防止することができる。
【0012】
また、本発明の携帯電話端末によれば、人の話し声や騒音等といった日頃無駄にされている音のエネルギーを電力に変換できるため、自然環境を損なうことなくエネルギーを合理的に活用することができる。
【0013】
なお、本発明の携帯電話端末において、出力切替手段が圧電変換器の出力先を切り替える際のトリガは、ユーザの操作であればどのような操作であっても構わないものとする。例えば、ユーザによる他装置からの遠隔操作をトリガとしてもよい。
【0014】
また、請求項2に記載のように、出力切替手段は、ユーザの手動操作によって圧電変換器の出力先を切り替えるための切替スイッチを有する構成であってもよい。
このような構成によれば、遠隔操作等を行うことなく、圧電変換器の出力先(即ち、音力充電を行うか通話を行うかの選択)をユーザに容易に切り替えさせることができる。
【0015】
さらに、請求項2に記載の携帯電話端末において、請求項3に記載のように、切替スイッチは通話を開始するためのオフフックボタンであり、出力切替手段は、オフフックボタンが押下されると、圧電変換器の出力先を電源部から音声処理部に切り替えるように構成すると、ユーザにとってより一層便利になる。
【0016】
つまり、このような構成では、例えばユーザが他の電話端末に向けて発信する場合や、ユーザが他の電話端末からの着呼に応答する場合に、オフフックボタンが押下されることから、オフフックボタンが押下されると、自動的に圧電変換器の出力先が電源部から音声処理部に切り替わることになる。
【0017】
このため、圧電変換器の出力先(即ち、音力充電を行うかどうかの選択)をユーザに意識させることなく、通話中の不具合を防止することができる。
また、請求項2または請求項3に記載の携帯電話端末において、請求項4に記載のように、切替スイッチは通話を終了するためのオンフックボタンであり、出力切替手段は、オンフックボタンが押下されると、圧電変換器の出力先を音声処理部から電源部に切り替えるように構成してもよい。
【0018】
このような構成では、ユーザが通話を終了すると、自動的に圧電変換器の出力先が音声処理部から電源部に切り替わることになるため、音力充電を行うかどうかの選択をユーザに意識させることなく、通話時以外の時間を最大限に利用して音力充電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】携帯電話端末の外観構成の一例を示す説明図である。
【図2】携帯電話端末の内部構成の一例を示す第1のブロック図である。
【図3】携帯電話端末の圧電変換器および切替スイッチの一例を示す説明図である。
【図4】携帯電話端末の電源部の一例を示す第1の回路ブロック図である。
【図5】携帯電話端末の制御部が実行する充電制御処理の一例を示す第1のフローチャートである。
【図6】携帯電話端末の制御部が実行する充電制御処理の一例を示す第2のフローチャートである。
【図7】携帯電話端末の内部構成の一例を示す第2のブロック図である。
【図8】携帯電話端末の電源部の一例を示す第2の回路ブロック図である。
【図9】携帯電話端末の制御部が実行する充電制御処理の一例を示す第3のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明が適用された実施形態の携帯電話端末としてのスマートフォンについて図面と共に説明する。なお、本実施形態のスマートフォンは、通話機能の他に、メール機能、カメラ機能、インターネット上のホームページの閲覧等を行うブラウザ機能、ゲーム等の各種アプリケーションを実行するアプリケーション機能に代表される各種機能を実現する多機能携帯電話端末である。
【0021】
[第1実施形態]
本実施形態のスマートフォン1は、図1(a)に示すように、板状に形成された端末本体のおもて面に大画面のメインディスプレイ11を有するタッチパネル3、タッチパネル3の下方部に複数の操作ボタンからなる操作ボタン群5、タッチパネル3の上方部(端末本体の上端部)にスピーカ7、操作ボタン群5の下方部(端末本体の下端部)にマイク9が各々設けられている。
【0022】
また、本実施形態のスマートフォン1は、図1(b)に示すように、端末本体の裏面に小画面のサブディスプレイ12、サブディスプレイ12の下方部に切替スイッチ14、サブディスプレイ12の上方部にカメラ16が各々設けられている。
【0023】
メインディスプレイ11は、矩形状に形成され、例えば対角線が3.5インチの薄型の液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイにて構成されている。一方、サブディスプレイ12には、少なくともメインディスプレイ11よりも小型の液晶ディスプレイあるいは有機ELディスプレイが用いられている。
【0024】
タッチパネル3は、メインディスプレイ11、及びメインディスプレイ11の表面に一体的に配設された操作パネル13からなる。操作パネル13は、ユーザによるメインディスプレイ11の画像表示面への押下操作(指やペン等による押下操作)を検出して、その押下操作がなされた画像表示面上の座標位置を検出するものである。なお、操作パネル13としては、マトリックススイッチ方式や、抵抗膜方式、表面弾性波方式、電磁誘導方式、静電容量方式などの周知の方式のうちいずれの方式のものが採用されてもよい。
【0025】
操作ボタン群5では、端末本体のおもて面において左側から順にオフフックボタン15、機能設定操作ボタン17、オンフックボタン19が等間隔に配置されている。オフフックボタン15は、ユーザが他の電話端末に向けて発信する場合や、ユーザが他の電話端末からの着呼に応答する場合等、通話を開始(つまり通信を接続状態に)するためにユーザによって押下されるボタンである。一方、オンフックボタン19は、通話を終了(つまり通信を非接続状態に)するためにユーザによって押下されるボタンである。また、オンフックボタン19は、ユーザによって長押しされると、スマートフォン1本体の電源状態をオン状態からオフ状態、またはオフ状態からオン状態に切り替えることが可能になっている。機能設定操作ボタン17は、各種設定機能や電話帳機能等の各種機能を作動させるためにユーザによって押下されるボタンである。なお、これら以外のボタン、例えば電話番号や各種文字等を入力するための入力操作ボタンや、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作ボタン等は、ユーザの操作に応じてメインディスプレイ11に適宜表示され、操作パネル13を介して押下操作される(つまりタッチパネル3によって実現される)。
【0026】
次に、本実施形態のスマートフォン1の詳細について説明する。
本実施形態のスマートフォン1は、図2に示すように、端末機能部10および電源部20を備えるものとして構成される。
【0027】
[端末機能部の構成]
端末機能部10は、制御バスL1およびデータバスL2からなるシステムバスSBに対して、無線通信部21、表示部23、メモリ25、音声処理部27、画像処理部29、制御部30が接続され、制御バスL1に対して操作部31およびバイブレータ33が接続されている。なお、一部図示を省略するが、表示部23は、前述のメインディスプレイ11およびサブディスプレイ12によって構成され、操作部31は、操作パネル13、切替スイッチ14、および操作ボタン群5によって構成される。
【0028】
無線通信部21には、アンテナ22が接続されている。無線通信部21は、アンテナ22を介してスマートフォン1の位置をカバーする通信エリア内の基地局に接続され、他の電話端末との間で通話に関する音声データや画像データ、電子メールに関するデータ等の授受を行ったり、システムバスSBを介して各種データの入出力を行ったりする。また、無線通信部21は、インターネット網を介して、WEB上のサーバ等との間で各種データのダウンロード及びアップロードを行ったりする。
【0029】
メモリ25は、例えばフラッシュメモリ等の半導体メモリであり、動画や静止画等の画像を表す画像データ、入力操作ボタンや決定操作ボタンを含む操作画面あるいは選択画面等の画面を表す画面データ、音楽やメッセージ・呼出し音等を表す音声データ、電話帳やメール等に関する各種データ等が格納される。
【0030】
音声処理部27には、スピーカ7が接続されている。音声処理部27は、復調器やアンプ等を有し、システムバスSBを介して入力された音声データを復調器によって音声信号に復調し、復調された音声信号をアンプによって増幅して、増幅された音声信号に基づく出力をスピーカ7によって行うように構成されている。
【0031】
また、音声処理部27は、切替スイッチ14の動作に連動する連動スイッチ45(後述する)を介してマイク9に接続されている。音声処理部は、この連動スイッチ45を介してマイク9に接続されている状態において、マイク9からの入力電圧に基づいて、電圧信号を音声データに変換する処理を行い、この処理によって生成された音声データをシステムバスSBに出力するように構成されている。
【0032】
なお、バイブレータ33は、スマートフォン1がマナーモードに設定されているときに着信があったとき等に振動を発生するものである。
画像処理部29には、カメラ16に接続されている。画像処理部29は、カメラ16から入力された電圧信号に基づいて画像データを生成したり、画像データの圧縮等の加工を行ったりする、なお、カメラ16は、レンズを介して結像される光学的な被写体を光電変換して電荷を保持する撮像素子を有し、この撮像素子を介して入力した電圧信号を画像処理部29に出力するように構成されている。
【0033】
制御部30は、CPU,ROM,RAM,I/O,及び各部を接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータ(マイコン)を中心に構成されている。制御部30では、CPUが、ROMやメモリ25に記憶されたプログラム(OSやアプリケーション等)に基づいて、RAMを作業エリアとして、多機能携帯電話端末としての各種機能を実現するための処理(後述する充電制御処理を含む)を実行する。
【0034】
例えば、制御部30のCPUは、通話機能を実現するための処理として、音声処理部27から入力された音声データを、無線通信部21を介して他の電話端末に送信したり、他の電話端末から無線通信部21を介して受信した音声データに基づく出力を、音声処理部27を介して行ったりする。また、例えば、制御部30のCPUは、画像処理部29にて生成された画像データをメモリ25に記憶したり、メモリ25やRAMに記憶されている各種データを、無線通信部21を介して外部に送信したりする。
【0035】
また、制御部30のCPUは、OSやアプリケーション等のプログラムに予め割り当てられたタスクに基づいて、表示部23に各種画像を表示したり、操作部31からの入力に対応するタスクを実行したりする。例えば、制御部30のCPUは、タッチパネル3から入力された座標位置に基づいて、ユーザによって押下操作された画像や画面データに対応するタスクを実行したり、表示画面を軽くつつくような押下操作(タップ)や、表示画面をすばやく続けて2回つつくような押下操作(ダブルタップ)、表示画面を押下したまま上下左右にずらす操作(ドラッグ)を認識したりする。
【0036】
[マイクの構成]
ここで、本実施形態のマイク9について詳細に説明する。
本実施形態のマイク9は、図3に示すように、外部から入力される音波による振動等、外部から受ける振動によって発電する圧電変換器40、及びFET(電界効果トランジスタ)を増幅素子として利用するように構成された周知のFETアンプ41を備えるものとして構成される。
【0037】
圧電変換器40は、マイク9の外部から入力される音波等によって振動する振動板としての可動電極42、マイク9の内部に固定された固定電極44、及びこれら可動電極42と固定電極44とからなるコンデンサ43内部に設けられた圧電素子46とを有する周知のコンデンサマイクロフォンを構成するものである。
【0038】
圧電素子46は、絶縁性の高い高分子フィルムに電荷を蓄積させたエレクトレットであり、エレクトレットの特性によってコンデンサ43内部に電界が放出される。そして、圧電変換器40では、可動電極42の変位(可動電極42と固定電極44との距離)と電界強度に比例してコンデンサ43内部(つまり、圧電素子46)の電位差が変化し、この電位差の変化分が出力電圧として取り出される。つまり、圧電変換器40では、可動電極42に与えられた振動が圧電効果によって電圧に変換されることになる。
【0039】
そして、マイク9は、圧電変換器40にて生成された電圧をFETアンプ41によって増幅することにより、音波による振動を通話に必要な電圧信号に変換して音声処理部27に出力するように構成されている。
【0040】
また、圧電変換器40とFETアンプ41との間には、両者の導通状態をオンまたはオフの状態にする連動スイッチ45が設けられている。連動スイッチ45は、圧電変換器40とFETアンプ41と導通状態をオフの状態にすると、圧電変換器40と電源部20との導通状態をオンの状態にし、圧電変換器40と電源部20との導通状態をオフの状態にすると、圧電変換器40とFETアンプ41との導通状態をオンの状態にする。つまり、連動スイッチ45は、圧電変換器40の出力先をFETアンプ41(ひいては音声処理部27)および電源部20のいずれか一方に切り替える。なお、連動スイッチ45は、制御部30からの指令によっても圧電変換器40の出力先を切り替え可能に構成されている。
【0041】
[電源部]
次に、本実施形態の電源部20について詳細に説明する。
本実施形態の電源部20は、図4に示すように、スマートフォン1の駆動電源となる充電式のバッテリ50、電圧変換部52、発電モニタ部54、バッテリ状態モニタ部56、および充電回路部60を有するものとして構成される。なお、バッテリ50は、例えばリチウムイオンバッテリである。
【0042】
充電回路部60は、例えば、保護回路61、充電制御IC(集積回路)63、FET(電界効果トランジスタ)65、電流検出用抵抗67からなる。
保護回路61は、ACアダプタ70からの入力ポート62とバッテリ50との間、及び圧電変換器40の入力ポート64とバッテリ50との間に設けられ、ACアダプタ70によるバッテリ50の充電時に、バッテリ50からACアダプタ70に電流が流れるのを阻止し、圧電変換器40によるバッテリ50の充電時に、バッテリ50からACアダプタ70に電流が流れるのを阻止するための回路である。
【0043】
FET65および電流検出用抵抗67は、保護回路61とバッテリ50との間に設けられている。充電制御IC63は、ACアダプタ70によるバッテリ50の充電時、あるいは圧電変換器40によるバッテリ50の充電時に、電流検出用抵抗67に流れる電流が一定値となる(安定する)ようにFET65を動作させるための回路である。
【0044】
なお、ACアダプタ70による充電時には、ACアダプタ70から保護回路61、FET65および電流検出用抵抗67を通じてバッテリ50に充電電流が流れ、バッテリ50が充電される。ちなみに、バッテリ50に流れる充電電流(ひいては電流検出用抵抗67に流れる電流)は、ACアダプタ70による充電時の方が、圧電変換器40による充電時よりも大きくなる。
【0045】
電圧変換部52は、圧電変換器40の出力電圧Vsを、バッテリ50を充電するのに最適な出力電圧Vaに変換するものである。圧電変換器40と電源部20との導通状態がオンの状態であるとき、この出力電圧Vaによって、保護回路61、FET65および電流検出用抵抗67を通じてバッテリ50が充電される。
【0046】
発電モニタ部54は、圧電変換器40の出力電圧Vsによって、圧電変換器40の発電状態を監視し、システムバスSBに対して、圧電変換器40の発電状態を表す出力(発電モニタ出力)を行う。
【0047】
バッテリ状態モニタ部56は、バッテリ50の充電電圧Vmを監視し、バッテリ50が充電を必要としない状態(バッテリ50が満充電、または満充電に近い状態)にあるか、バッテリ50が充電を必要とする状態にあるかを検出し、システムバスSBに対して、その検出結果を表す出力(バッテリ状態モニタ出力)を行う。
【0048】
[作用]
このように構成されたマイク9および電源部20では、連動スイッチ45によって圧電変換器40とFETアンプ41との導通状態がオフの状態になると、圧電変換器40と電源部20との導通状態がオンの状態となり、圧電変換器40の発電による出力によってバッテリ50が充電される。これにより、バッテリ50が充電されると、スマートフォン1本体のオン・オフ状態に係わらず、バッテリ50から制御部30を含む端末機能部10の各部に電源が供給されることになる。
【0049】
また、連動スイッチ45によって圧電変換器40と電源部20との導通状態がオフの状態になると、圧電変換器40とFETアンプ41との導通状態がオンの状態となり、圧電変換器40の発電による出力がバッテリ50の充電に供されることなく、スマートフォン1本体がオン状態であれば、圧電変換器40からFETアンプ41を介して音声処理部27に電圧が出力されることになる。
【0050】
なお、本実施形態では、連動スイッチ45が切替スイッチ14の動作に連動することから、ユーザの操作によって切替スイッチ14が充電側に切り替えられると、圧電変換器40とFETアンプ41との導通状態がオフの状態になり、圧電変換器40と電源部20との導通状態がオンの状態となる。また、ユーザの操作によって切替スイッチ14が音声側に切り替えられると、連動スイッチ45によって圧電変換器40と電源部20との導通状態がオフの状態になり、圧電変換器40とFETアンプ41との導通状態がオンの状態となる。
【0051】
[充電制御処理]
ここで、制御部30のCPUが実行する充電制御処理について詳細に説明する。なお、本処理は、バッテリ50から制御部30を含む端末機能部10の各部に電源が供給されている間、繰り返し実行される。
【0052】
図5に示すように、本処理が開始されると、まず、S110では、制御部30のCPUは、切替スイッチ14がユーザによって操作されたか否かを判断し、ここで肯定的に判断した場合にはS120に移行し、一方否定的に判断した場合には、切替スイッチ14がユーザによって操作されるまで待機する。
【0053】
S120では、ユーザによって切替スイッチ14が充電側に操作されたか否かを判断し、ここで肯定的に判断した場合にはS150に移行し、一方否定的に判断した場合、つまりユーザによって切替スイッチ14が音声側に操作されたと判断した場合にはS130に移行する。
【0054】
S130では、切替スイッチ14の動作に連動して、連動スイッチ45によって圧電変換器40と電源部20との導通状態がオフの状態、圧電変換器40とFETアンプ41との導通状態がオンの状態になっているか否かを確認し、ここで肯定的に判断した場合にはS140に移行し、一方否定的に判断した場合はS135に移行する。
【0055】
S135では、圧電変換器40の出力先を電源部20からFETアンプ41(ひいては音声処理部27)に切り替えるための指令を連動スイッチ45に出力し、S140に移行する。
【0056】
S140では、圧電変換器40(ひいてはマイク9)が通話に必要な動作を行うモード(通常モード)であることを、サブディスプレイ12に表示させる処理を行い、本処理を終了する。なお、ここでのサブディスプレイ12への表示は、所定時間だけ行ってもよいし、サブディスプレイ12が他の表示を必要とするまで行ってもよい。
【0057】
一方、S150では、バッテリ状態モニタ部56からの出力(バッテリ状態モニタ出力)に基づいて、バッテリ50が充電を必要とする状態であるか否かを判断し、ここで肯定的に判断した場合にはS160に移行し、一方否定的に判断した場合にはS180に移行する。
【0058】
S160では、切替スイッチ14の動作に連動して、連動スイッチ45によって圧電変換器40と電源部20との導通状態がオンの状態、圧電変換器40とFETアンプ41との導通状態がオフの状態になっているか否かを確認し、ここで肯定的に判断した場合にはS170に移行し、一方否定的に判断した場合はS165に移行する。
【0059】
S165では、圧電変換器40の出力先をFETアンプ41(ひいては音声処理部27)から電源部20に切り替えるための指令を連動スイッチ45に出力し、S170に移行する。
【0060】
S170では、圧電変換器40(ひいてはマイク9)が充電に必要な動作を行うモード(充電モード)であることを、サブディスプレイ12に表示させる処理を行い、本処理を終了する。なお、ここでのサブディスプレイ12への表示は、サブディスプレイ12が他の表示を必要とするまで行ってもよいが、消費電力を抑制するためにも、所定時間だけ行う方が好ましい。また、充電モードである旨の表示後、発電モニタ部54からの出力(発電モニタ出力)に基づいて、圧電変換器40の発電状態をサブディスプレイ12に表示させる処理を行ってもよい。
【0061】
S180では、バッテリが充電を必要とする状態でないことを示すメッセージ(充電不要メッセージ)を、サブディスプレイ12に表示させる処理を行い、本処理を終了する。なお、充電不要メッセージには、切替スイッチ14を音声側に切り替えるようにユーザに促すためのメッセージが含まれていてもよい。
【0062】
[効果]
以上説明したように、本実施形態のスマートフォン1では、ユーザによる切替スイッチ14の操作によって、マイク9を構成する圧電変換器40の出力が、音声処理部27による音声データの変換、及び電源部20によるバッテリ50の充電のいずれか一方に使用されることになる。
【0063】
従って、本実施形態のスマートフォン1によれば、通話用の圧電変換器40とは別に充電用の圧電変換器40を備えることなる音力充電を行うことができ、なお且つ、通話時に圧電変換器40の出力がバッテリ50に流れてしまうことを防止できるため、通話中の不具合を防止することができる。
【0064】
また、スマートフォン1では、圧電変換器40が外部から受ける振動によって発電するため、ユーザの操作によって切替スイッチ14が充電側に切り替えられた場合には、例えば当該スマートフォン1がゲーム等のアプリケーション機能を実現するための処理を実行中に、ユーザがタッチパネル操作によってスマートフォン1本体を振動させることによっても、圧電変換器40が発電することになり、バッテリ50を充電することができる。
【0065】
また、スマートフォン1は、バッテリ50から制御部30を含む端末機能部10の各部に電源が供給されている間、制御部30からも連動スイッチ45の切替制御を行うように構成されている。このため、仮にユーザによる切替スイッチ14の操作に連動スイッチ45の動作が連動しない場合であっても、制御部30による切替制御がフェールセーフ機能を実現することになり、スイッチ操作の確実性を向上させることができる。
【0066】
さらに、スマートフォン1では、ユーザによって切替スイッチ14が充電側に操作された場合であっても、バッテリ50が充電を必要とする状態でない場合には、音力充電が禁止されるため、圧電変換器40を無駄に動作させることを防止でき、これにより圧電変換器40の動作負担を軽減させることができる。
【0067】
なお、本実施形態において、少なくとも切替スイッチ14および連動スイッチ45が出力切替手段の一例に相当する。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態は、第1実施形態と比べて、制御部30のCPUが実行する充電制御処理の内容が主に異なるだけであるため、その他の内容については説明を省略する。
【0068】
本実施形態の充電制御処理は、スマートフォン1本体の電源状態がオンの状態である間、繰り返し実行される。
図6に示すように、本処理が開始されると、まず、S110では、制御部30のCPUは、操作部31を介して直接入力あるいは電話帳機能を利用して電話番号が選択されたか否か(つまり、他の電話端末に向けての発信準備の有無)を判断し、ここで肯定的に判断した場合にはS230に移行し、一方否定的に判断した場合にはS220に移行する。
【0069】
S220では、無線通信部21を介して他の電話端末から着信があるか否か(つまり、他の電話端末からの着呼の有無)を判断し、ここで肯定的に判断した場合にはS230に移行し、一方否定的に判断した場合にはS250に移行する。
【0070】
S230では、通話を開始するためにオフフックボタン15がユーザによって押下されたか否かを判断し、ここで肯定的に判断した場合にはS240に移行し、一方否定的に判断した場合にはS210に戻る。
【0071】
S240では、圧電変換器40の出力先を電源部20からFETアンプ41(ひいては音声処理部27)に切り替えるための指令を連動スイッチ45に出力し、本処理を終了する。
【0072】
一方、S250では、無線通信部21を介して他の電話端末との間で通話中であるか否かを判断し、ここで肯定的に判断した場合にはS260に移行し、一方否定的に判断した場合にはS210に戻る。
【0073】
S260では、通話を終了するためにオンフックボタン19がユーザによって押下されたか否かを判断し、ここで肯定的に判断した場合にはS270に移行し、一方否定的に判断した場合にはそのまま待機する。
【0074】
S270では、圧電変換器40の出力先をFETアンプ41(ひいては音声処理部27)から電源部20に切り替えるための指令を連動スイッチ45に出力し、本処理を終了する。
【0075】
つまり、本実施形態の充電制御処理では、スマートフォン1本体の電源状態がオンの状態である間、通話を開始するためにオフフックボタン15が押下されると、圧電変換器40の出力先が電源部20から音声処理部27に切り替わり、通話を終了するためにオンフックボタン19が押下されると、圧電変換器40の出力先が音声処理部27から電源部に切り替わる。
【0076】
従って、本実施形態の充電制御処理によれば、第1実施形態のようにスマートフォン1本体に切替スイッチ14を設けることなく、なお且つ、音力充電を行うかどうかの選択をユーザに意識させることなく、通話時以外の時間を最大限に利用して音力充電を行うことができる。
【0077】
なお、本実施形態の充電制御処理においても、第1実施形態のようにバッテリ50が充電を必要とする状態でない場合に音力充電を禁止するようにしてもよいし、マイク9に関するモード状態(通常モード,充電モード)やメッセージ等をサブディスプレイ12に表示させる処理を行ってもよい。
【0078】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、本実施形態は、第1及び第2実施形態と比べて、マイク7を構成する圧電変換器40とは別に充電用の圧電変換器80をスマートフォン1に搭載した点、及び制御部30のCPUが実行する充電制御処理の内容が主に異なるだけであるため、その他の内容については説明を省略する。
【0079】
また、本実施形態は、第1及び第2実施形態の構成では通話中に音力充電が行えない点を鑑みてなされた発明の実施形態であり、通話中においても効率的に音力充電を行うことを目的とするものである。
【0080】
本実施形態のスマートフォン1は、図7に示すように、マイク9が音声処理部27に切替スイッチ14(図2参照)を介さずに接続されている。なお、本実施形態の音声処理部27は、通話中におけるマイク9からの入力電圧に基づいて、ユーザが発する音声(ひいては音波)の周波数(以下「音声周波数」という)を換算し、この音声周波数を示す周波数情報をシステムバスSBに出力するように構成されている。
【0081】
また、図8に示すように、充電用の圧電変換器80が連動スイッチ45(図4)を介さずに電源部20に接続されている。つまり、本実施形態のスマートフォン1は、マイク7を構成する圧電変換器40とは別に充電用の圧電変換器80が搭載されたことに伴い、切替スイッチ14および連動スイッチ45が構成要素から排除されている。
【0082】
これにより、充電用の圧電変換器80と電源部20との導通状態が常にオンの状態となり、スマートフォン1本体のオン・オフ状態に係わらず、この圧電変換器80の発電による出力によってバッテリ50が充電されることになる。
【0083】
そして、本実施形態の充電制御処理は、スマートフォン1本体の電源状態がオンの状態である間、繰り返し実行される。
図9に示すように、本処理が開始されると、まず、S310では、制御部30のCPUは、無線通信部21を介して他の電話端末との間で通話中であるか否かを判断し、ここで肯定的に判断した場合にはS320に移行し、一方否定的に判断した場合にはそのまま待機する。
【0084】
S320では、システムバスSBを介して音声処理部27から周波数情報を取得し、続くS330では、この周波数情報が示す音声周波数と、システムバスSBを介して発電モニタ部54から送られてくる発電モニタ出力とを参照する。本実施形態では、音声周波数と発電モニタ出力との関係を示す周波数発電テーブルがメモリ25に予め記憶されており、S320にて取得した周波数情報(音声周波数)と、周波数情報の取得時に発電モニタ部54から送られてきた発電モニタ出力とを対応づけて、メモリ25内の周波数発電テーブルに記憶する。
【0085】
続くS340では、メモリ25内の周波数発電テーブルの中から、圧電変換器40の発電効率が最もよいときの音声周波数を抽出し、抽出した音声周波数を理想周波数として、S320にて取得した周波数情報が示す音声周波数と理想周波数とが一致するか否かを判断し、ここで肯定的に判断した場合には本処理を終了し、一方否定的に判断した場合にはS350に移行する。
【0086】
S350では、S340における理想周波数と比較して、S320にて取得した周波数情報が示す音声周波数(以下「対象周波数」という)が大きい場合には、ユーザに低音による発話を促すためのメッセージを出力し、理想周波数と比較して対象周波数が小さい場合には、ユーザに高音による発話を促すためのメッセージを出力して、本処理を終了する。なお、このようなメッセージの出力は、例えばサブディスプレイ12に表示させる態様であってもよいし、スピーカ7から出力させる態様であってもよい。また、サブディスプレイ12にメッセージを表示させる前に、バイブレータ33やスピーカ7を用いてユーザに注意喚起させる態様であってもよい。
【0087】
このように構成されたスマートフォン1では、圧電変換器80の発電による出力によってバッテリ50を常時充電することが可能となり、しかも通話中において、音声周波数と発電モニタ出力との関係を学習して最適な音声周波数が得られるようにユーザの発話を促すことが可能となる。従って、本実施形態のスマートフォン1によれば、通話中においても効率的に音力充電を行うことができる。
【0088】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、様々な態様にて実施することが可能である。
【0089】
例えば、上記第1及び第2実施形態では、ユーザのスイッチ操作やボタン操作、タッチパネル操作によって、連動スイッチ45の切替制御を行っているが、これに限定されるものではなく、例えばユーザによる他の通信端末からの遠隔操作によって、無線通信部21を介して連動スイッチ45の切替制御を行うようにしてもよい。
【0090】
また、上記第1及び第3実施形態では、音力充電に係る各種メッセージをサブディスプレイ12に表示させているが、これに限定されるものではなく、例えばメインディスプレイ11に表示させてもよいし、スピーカ7を介して出力してもよい。
【0091】
また、上記第1〜第3実施形態では、スマートフォン1を例に挙げて本発明の内容を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば二つ折型の携帯電話端末等の各種の携帯電話端末に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0092】
1…スマートフォン、3…タッチパネル、5…操作ボタン群、7…スピーカ、9…マイク、10…端末機能部、11…メインディスプレイ、12…サブディスプレイ、13…操作パネル、14…切替スイッチ、15…オフフックボタン、19…オンフックボタン、20…電源部、21…無線通信部、27…音声処理部、30…制御部、40…圧電変換器、41…FETアンプ、42…可動電極、44…固定電極、45…連動スイッチ、46…圧電素子、50…バッテリ、60…充電回路部、70…ACアダプタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電可能なバッテリを駆動電源とする携帯電話端末であって、
外部から受ける振動によって発電する圧電変換器と、
前記圧電変換器の出力に基づいて通話に必要な音声データを生成する音声処理部と、
前記圧電変換器の出力によって前記バッテリを充電する電源部と、
ユーザの操作に基づいて、前記圧電変換器の出力先を前記音声処理部および前記電源部のいずれか一方に切り替える出力切替手段と、
を備えることを特徴とする携帯電話端末。
【請求項2】
前記出力切替手段は、前記ユーザの手動操作によって前記圧電変換器の出力先を切り替えるための切替スイッチを有することを特徴とする請求項1に記載の携帯電話端末。
【請求項3】
前記切替スイッチは、通話を開始するためのオフフックボタンであり、
前記出力切替手段は、前記オフフックボタンが押下されると、前記圧電変換器の出力先を前記電源部から前記音声処理部に切り替えることを特徴とする請求項2に記載の携帯電話端末。
【請求項4】
前記切替スイッチは、通話を終了するためのオンフックボタンであり、
前記出力切替手段は、前記オンフックボタンが押下されると、前記圧電変換器の出力先を前記音声処理部から前記電源部に切り替えることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の携帯電話端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−106276(P2013−106276A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250060(P2011−250060)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(399031827)エイディシーテクノロジー株式会社 (163)
【Fターム(参考)】