説明

摩擦圧接方法と摩擦圧接装置

【課題】金属部材の接合面全面を均一に溶着させて強固な接合強度が得られると共に、異質金属部材の摩擦圧接も可能になる摩擦圧接方法を提供する。
【解決手段】互いに接合せんとする金属部材aとbの接合面間に、この金属部材aとbよりも高融点又は高耐熱性の摩擦部材4を介在させ、両金属部材aとbの接合面を摩擦部材4に押し当てて摩擦圧力を加え、前記両金属部材aとbを回転又は摩擦部材4を振動させることで両金属部材aとbの接合面に摩擦熱を発生させ、この摩擦熱で金属部材aとbの接合面及び接合面近傍が溶融又は軟化した状態で摩擦部材4を抜き取り、両金属部材aとbにアップセット圧力を加えることで両金属部材aとbの接合面を直接圧接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、二つの金属部材の接合面及び接合面近傍を摩擦熱によって溶融又は軟化させることにより接合する摩擦圧接方法と摩擦圧接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の摩擦圧接方法(例1)は、二つの金属部材の接合面を直接押し当て、両金属部材に摩擦圧力を加えた状態で両金属部材に相対回転を与え、接合面及び接合面近傍を摩擦熱によって溶融又は軟化させた後、両金属部材にアップセット圧力を加えることにより、接合面を接合するようにしている。
【0003】
次に、別の摩擦圧接方法(例2)としては、金属部材の端面相互間に充填材として中間部材を配置し、両金属部材に摩擦圧力を加えた状態で、両金属部材に相対回転を与え、中間部材及び両金属部材の接合面及び接合面近傍を摩擦熱によって溶融又は軟化させた後、両金属部材にアップセット圧力を加えることにより、中間部材を挟んだまま両金属部材の接合面を接合するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、別の摩擦圧接方法(例3)としては、金属部材の端面相互間に充填材として中間部材を配置し、該中間部材を高速回転若しくは高速振動させると共に、金属部材をそれぞれ中間部材に押し当ててその相互にて摩擦圧力を発生させ、次いで、該中間部材の回転若しくは振動を停止させると同時に、両金属部材にアップセット圧力を加えることにより、中間部材を挟んだまま両金属部材を接合するようにしている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0005】
更に、別の摩擦圧接方法(例4)としては、金属製の回転円盤を用い、この回転円盤の両面で外周寄りの位置に金属部材の接合面を押し当て、両金属部材に回転円盤を挟む摩擦圧力を加えた状態で回転円板を回転させることで、両金属部材の接合面及び接合面近傍を摩擦熱によって溶融又は軟化させ、接合面及び接合面近傍が溶融又は軟化すると両金属部材の接合面間から回転円盤を抜き取り、両金属部材の接合面を圧接させてアップセット圧力を加えることにより、接合面を接合するようにしている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−272834号公報
【特許文献2】特開2002−66756号公報
【特許文献3】特開2007−136499号公報
【特許文献4】特開昭57−149099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前者(例1)の摩擦圧接方法は、両金属部材を同軸心状に配置して相対回転させながら、接合面及び接合面近傍を溶融又は軟化させて圧接させるため、接合面における軸心部と外周部での摩擦発熱量にバラツキが生じ、外周部が溶融又は軟化しても軸心部では十分に溶融又は軟化しないため、金属部材の接合面が大型になると、接合面全面を均一に溶着させることができないので接合強度が低下するという問題がある。
【0008】
また、2つの金属部材の接合面を直接押し当て、両金属部材に摩擦圧力を加えた状態で両金属部材に相対回転を与え、接合面に摩擦熱を発生させるため、両金属部材の界面での発熱量が同じであり、両金属部材の変形抵抗や融点が大きく異なる場合、両金属部材の溶融又は軟化の程度が異なり、アプセット圧力をかける段階で、一方の金属部材のみが変形し、接合が十分に行われないという問題がある。
【0009】
さらに、2つの金属部材の接合面を直接押し当て、両金属部材に摩擦圧力を加えた状態で両金属部材に相対回転を与え、接合面に摩擦熱を発生させるため、摩擦圧力による発熱の段階で、金属部材の組み合わせによっては、接合界面に金属間化合物を生ずるため接合が十分に行われないという問題がある。
【0010】
また、金属部材の端面同士を直接接触、両金属部材を相対的に回転させることにより摩擦熱を生じさせる方法は、非円形部材を接合する場合、圧接時に金属部材の回転位相を制御しなければ接合した金属部材間に位相ズレが発生することになり、実質的に困難である。
【0011】
また、例2の摩擦圧接方法は、段落[0008]、[0009]の課題について、金属部材の接合が困難な組合せのうち、適当な中間材の適用によりある程度の接合が可能となることはあるが、最適な中間材がない場合が多く、一部の解決にとどまっている。さらに[0007]、[0010]の課題は未解決のままである。
【0012】
次に、例3の摩擦圧接方法は、上記した段落[0007]、[0010]の課題について、解決されるが、段落[0009]が一部の解決にとどまるとともに、段落[0008]が全く解決できない。また、接合後中間材が挟まれたままになっているので加工が必要で、工程の増加によるコストアップや作業の煩雑性があり、レールなど複雑な形状の接合に適さない。また、根本的に中間材の異物が両金属部材の間に挟まれた状態にあることから継手の効率は十分でない。
【0013】
次に、例4の摩擦圧接方法は、段落[0007]、[0008]、[0009]、[0010]の課題は解決に寄与するが、回転円盤の側面で外周寄りの位置に金属部材を押し当てるため、回転円盤の側面に対して金属部材の溶融金属が付着し、回転円盤の側面に付着した溶融金属が金属部材から離れて一回転した後、再び金属部材と回転円盤の間に戻る状態が繰り返され、この付着した溶融金属が空気に触れることで酸化し、これが金属部材の接合面の軟化金属に混入することで、接合強度が低下するという問題がある
【0014】
更に、回転円盤全体の面積が大きくなることから、摩擦発熱の回転円盤による抜熱が大きくなり、金属部材の溶融又は軟化が十分に行われにくいという欠点もある。
【0015】
そこで、この発明の課題は、上記のような問題点を解決するため、金属部材の接合面及び接合面近傍全面を均一に溶融又は軟化させることができ、しかも、接合面への酸化物の混入発生がなく、強固な接合強度が得られると共に、形状や大きさにかかわらず、融点や変形抵抗の大きく異なる場合も含んだ異質金属部材の摩擦圧接も可能になる摩擦圧接方法と摩擦圧接装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記のような課題を解決するため、第1の方法の発明は、互いに接合せんとする金属部材の接合面間に、この金属部材よりも高融点又は高耐熱性の摩擦部材を介在させ、両金属部材の接合面を摩擦部材に押し当てて摩擦圧力を加えた状態で、前記両金属部材を回転運動させることで両金属部材の接合面に摩擦熱を発生させ、この摩擦熱で金属部材の接合面及び接合面近傍が溶融又は軟化した状態で金属部材間から摩擦部材を抜き取り、両金属部材にアップセット圧力を加えることで接合面を直接圧接し、異物としての摩擦部材を間に挟まない高強度な継手を作成するようにしたものである。
【0017】
第2の方法の発明は、互いに接合せんとする金属部材の接合面間に、この金属部材よりも高融点又は高耐熱性の摩擦部材を介在させ、両金属部材の接合面を摩擦部材に押し当てて摩擦圧力を加えた状態で、前記摩擦部材を往復運動させることで両金属部材の接合面に摩擦熱を発生させ、この摩擦熱で金属部材の接合面及び接合面近傍が溶融又は軟化した状態で金属部材間から摩擦部材を抜き取り、両金属部材にアップセット圧力を加えることで接合面を圧接するようにしたものである。
【0018】
上記摩擦部材を往復運動させることで両金属部材の接合面に摩擦熱を発生させるとき、両金属部材の何れか一方又は両方に回転を与えるようにすることができる。
【0019】
また、上記摩擦部材の往復運動が直線的な往復運動又は揺動による往復運動であり、この摩擦部材の両側が、摩擦特性の異なる部材とすることで、材質の異なる金属部材の摩擦圧接が可能になる。
【0020】
更に、上記摩擦発熱工程からアップセット圧力工程への移行が、金属部材の摩擦溶融もしくは軟化箇所の発熱量又は、金属部材に生じる摩擦寄り代量の変化をもとに、自動的に切り換えるようにすることができる。
【0021】
また、装置の発明は、互いに接合せんとする金属部材を両部材の接合面が対向するようそれぞれ固持するチャック部材を、固持した両金属部材に摩擦圧力とアップセット圧力を加えることができる接近離反動自在に配置し、前記両チャック部材の対向面間に位置させる摩擦部材を金属部材よりも高融点又は高耐熱性の材料を用いて形成し、この摩擦部材を前記両チャック部材間に対して進退動自在となるよう配置し、前記摩擦部材に往復運動付与機構で往復運動を付与するようにしたものである。
【0022】
上記チャック部材が、固持した金属部材に回転を与えるよう回転駆動機で回転が付与されるようにし、上記摩擦部材の両側が、摩擦特性の異なる摩擦面になっているようにしたり、前記摩擦部材の往復運動付与機構が、摩擦部材に直線的な往復運動又は揺動による往復運動を付与するように形成され、これら往復運動の周期が、1〜100〔KHz〕になっているようにすることができる。
【0023】
また、上記両チャック部材の対向面間に位置させる摩擦部材が、後端を支点に上下に揺動可能となる揺動アームの先端に上下に揺動可能に取付けられ、この揺動アームに前記摩擦部材を上下に揺動させる往復運動付与手段を設け、前記揺動アームに、摩擦部材を両金属部材の接合面間に対して出し入れする引き抜き機構を連動させた構造とすることができる。
【0024】
更に、上記両チャック部材の対向面間に位置させる摩擦部材が、後端を支点に上下に揺動可能となる揺動アームの先端側に前後方向の移動が可能に取付けられ、この揺動アームに前記摩擦部材を直線的に前後動させる往復運動付与手段を設け、前記揺動アームに、摩擦部材を両金属部材の接合面間に対して出し入れする引き抜き機構を連動させた構造としてもよい。
【0025】
また、上記両チャック部材の対向面間に位置させる摩擦部材が、前記金属部材の軸方向に移動可能に配置されているようにすることができる。
【0026】
ここで、摩擦圧接装置における摩擦部材の往復運動付与機構は、摩擦部材振動用モータの回転をクランク機構やリンク機構、カム機構を用い、摩擦部材に直進や揺動の往復運動を与えるように形成され、この摩擦部材は接合せんとする金属部材よりも高融点又は高耐熱性の材料を用いることになるが、異質の金属部材を接合させる場合、一方金属部材に対応する高融点又は高耐熱性の材料と他方金属部材に対応する高融点又は高耐熱性の材料を重ね合わせた構造とすることができる。
【0027】
上記した一対のチャック部材は、ベース支持台上に水平状態で対向するよう同軸心状に配置され、一方のチャック部材はベース支持台上の定位置に回転可能となるよう支持され、トルク計やクラッチを介して回転摩擦モータで駆動されるようになっている。
【0028】
また、他方のチャック部材はベース支持台に設けた移動テーブルの上に回転可能となるよう支持され、移動テーブルの上に設けたトルク計やクラッチを介して回転摩擦モータで駆動されるようになっており、前記移動テーブルは、ベース支持台との間に設けた送り機構とこれを駆動するアップセットモータによって、一方のチャック部材に対する進退動が付与されるようになっている。
【0029】
上記した摩擦部材の往復運動付与機構は、両チャック部材間の側方でチャックの軸方向に可動となるよう配置したテーブルの上に設けられ、前記摩擦部材は、引き抜き用モータによって往復動させることで、チャック部材の対向面間に出没させるようになっている。
【発明の効果】
【0030】
この発明によると、互いに接合せんとする金属部材の接合面間に摩擦部材を介在させ、両金属部材に摩擦圧力を加えた状態で、両金属部材を回転または摩擦部材を往復運動させ、発生した摩擦熱で金属部材の接合面及び接合面近傍が溶融又は軟化した状態で金属部材間から摩擦部材を抜き取り、両金属部材にアップセット圧力を加えることで接合面を圧接するので、金属部材の接合面全面を均一に接合させることができ、摩擦圧接による強固な接合強度が得られることになる。
【0031】
また、摩擦部材を固定或いは摩擦部材の振幅幅を小さく設定することで、摩擦部材に付着した溶融金属が空気と接触するのを防ぐことができ、これによって接合面への酸化溶融金属の混入発生がなく、摩擦圧接による強固な接合強度が得られることになる。
【0032】
更に、摩擦部材の両側を摩擦特性の異なる摩擦面にし、摩擦部材と金属部材間の発熱量を両側で変えることにより、異質となる金属部材の接合面及び接合面近傍を同じ程度に溶融又は軟化させることができ、異質となる金属部材の摩擦圧接も可能になる。
【0033】
また、摩擦部材による金属部材の接合面及び接合面近傍を溶融又は軟化させるとき、摩擦部材の往復動と金属部材への回転付与を併用することにより摩擦効率が向上し、金属部材接合面及び接合面近傍の溶融又は軟化が効率的に行えることになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明に係る摩擦圧接装置の第1の例を示す圧接前の正面図
【図2】この発明に係る摩擦圧接装置の第1の例を示す圧接前の平面図
【図3】(a)は摩擦圧接装置に組み込む往復運動付与機構の圧接時の状態を示す側面図、(b)は同じく往復運動付与機構の摩擦部材を引き抜いた状態を示す側面図
【図4】摩擦圧接装置に組み込む往復運動付与機構の圧接時の状態を示す拡大した側面図
【図5】(a)はこの発明に係る摩擦圧接装置の第2の例を示す圧接前の平面図、(b)は同正面図
【図6】摩擦圧接装置に組み込む往復運動付与機構の圧接時の状態を示す側面図
【図7】摩擦圧接装置に組み込む往復運動付与機構の圧接時の状態を示す拡大した側面図
【図8】摩擦圧接装置に組み込む往復運動付与機構の圧接時の状態を示す拡大した一部切り欠き平面図
【図9】摩擦部材による金属部材の摩擦加熱時の状態を示し、(a)は金属部材に回転を与えないで加熱する状態の斜視図、(b)は金属部材に回転を与えて加熱する状態の斜視図、(b)は異質金属部材を加熱する状態の斜視図
【図10】摩擦圧接のプロセスの一例を示す説明図
【図11】摩擦圧接時の鉄筋に生じる摩擦寄り代量の変化の一例を示す説明図
【図12】摩擦部材に付与する往復動の1サイクルでの最大ストロークを示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0036】
図1と2は、この発明の摩擦圧接方法の実施に用いる摩擦圧接装置の第1の例を示し、横長となるベース支持台1の上面に、互いに接合せんとする金属部材a、bを、接合面が対向するよう同軸心状の配置に固持する一対のチャック部材2、3と、このチャック部材2、3の対向面間に進退自在の配置となり、チャック部材2、3で固持された金属部材a、bの接合面間に介在させ、往復運動により金属部材a、bの接合面及び接合面近傍を摩擦熱によって溶融又は軟化させる摩擦部材4と、この摩擦部材4に往復運動を与える往復運動付与機構5を設けて形成されている。
【0037】
上記摩擦部材4は、接合せんとする金属部材a、bよりも高融点又は高耐熱性の材料を用いて板状に形成され、異質の金属部材a、bを接合させる場合、一方金属部材aに対応する高融点又は高耐熱性の材料と他方金属部材bに対応する高融点又は高耐熱性の硬質材料を重ね合わせた構造とすることができる。
【0038】
上記一対のチャック部材2、3は、ベース支持台1上に水平状態で対向するよう同軸心状に配置され、一方のチャック部材2はベース支持台1上に設けた固定テーブル6の上面に軸受機構7で回転可能となるよう定位置に支持され、固定テーブル6に固定した回転摩擦モータ8でトルク計9やクラッチ10を介して駆動されるようになっている。
【0039】
また、他方のチャック部材3は、ベース支持台1にレールでガイドされてチャック部材3の軸方向に移動自在となるよう設けた移動テーブル11の上に軸受機構12で回転可能となるよう支持され、移動テーブル11の上に設けたトルク計13やクラッチ14を介して回転摩擦モータ15で駆動されるようになっており、前記移動テーブル11は、ベース支持台1との間に設けた回転ねじとナットからなる送り機構16と、これを駆動するようベース支持台1に固定したアップセットモータ17によって、一方チャック部材2に対する進退動が付与されるようになっている。
【0040】
なお、図示の場合、両チャック部材2と3は共に回転させることができるようにしたが、摩擦部材4による金属部材接合面及び接合面近傍の溶融又は軟化工程時に、金属部材a、bの材質によって、両チャック部材2と3を回転させないで行ったり、何れか一方のチャック部材2又は3の回転を停止させたりすることができる。
【0041】
上記両チャック部材2と3間の後方に、チャック部材2、3の軸方向に平行する水平のガイド軸18を設け、このガイド軸18でテーブル19を、チャック部材2、3の軸方向、即ち、チャック部材2、3で固持した金属部材a、bの軸方向に可動となるよう支持し、上記した摩擦部材4の往復運動付与機構5は、前記テーブル19の上に設けられ、その摩擦部材4は、金属部材a、bの軸方向に可動となっていると共に、後述する引き抜き用モータによって往復動させることで、チャック部材2と3の対向面間に出没させるようになっている。
【0042】
図3と図4は、往復運動付与機構5として摩擦部材4を上下の揺動によって往復運動させる構造を示し、テーブル19の上に設けた水平の支点軸20に揺動アーム21の後端を枢止し、支点軸20を中心に上下に揺動可能にすると共に、この揺動アーム21の中間部に、往復運動付与手段を構成する偏心回転軸22及び、この偏心回転軸22と出力軸を連動した摩擦部材振動用モータ23を設け、前記揺動アーム21の先端に前部リンク24を水平の枢軸25で上下に揺動自在となるよう取付け、この前部リンク24の後端と前記偏心回転軸22をリンク26で連結し、前記前部リンク24の先端に、板厚が垂直の配置となる摩擦部材4が前方に向けて突出するよう固定されている。
【0043】
上記摩擦部材4の引き抜き機構は、テーブル19の前面側下部に固定した摩擦部材引き抜き用モータ27によって駆動される偏心回転軸28と、揺動アーム21の途中下部とを連杆29で繋ぎ、偏心回転軸28の回転で揺動アーム21に上下の揺動を与え、上昇位置と下降位置の何れかに停止させることができるようになっている。
【0044】
上記偏心回転軸28が上死点にあるとき、図3(a)のように、揺動アーム21は上昇して水平の位相になり、摩擦部材4は揺動アームの水平状態でチャック部材2と3の間に位置し、また、偏心回転軸28が下死点に回動すると、図3(b)のように、揺動アーム21は連杆29で引き下げられて前方下がりに傾斜し、摩擦部材4がチャック2と3の間に対して下方に位置することになる。
【0045】
上記摩擦部材振動用モータ23を起動すると、偏心回転軸22の回転でリンク26が前部リンク24の後端を前後動させることになり、前部リンク24は枢軸25を支点に揺動し、この前部リンク24の先端に突設した摩擦部材4も枢軸25を支点に上下に揺動することになる。
【0046】
第1の例の摩擦圧接装置は、上記のような構成であり、次にこの摩擦圧接装置を用いた圧接方法を説明する。
【0047】
図1と図2のように、接合せんとする軸状の金属部材aとbを離反させたチャック部材2と3で固持し、同軸心状に配置すると共に、揺動アーム21を図3(a)のように摩擦部材引き抜き用モータ27で水平に保持し、この揺動アーム21の先端に固定した摩擦部材4を金属部材aとbの対向する先端接合面間に位置させる。
【0048】
この状態でアップセットモータ17を正回転させ、他方チャック部材3を前進動させて金属部材bの先端で摩擦部材4を押すことにより、両金属部材a、bの接合面で摩擦部材4を挟むことにより、接合面を摩擦部材4に押し当てて摩擦圧力を加えた状態で、摩擦部材振動用モータ23を起動する。
【0049】
このとき、摩擦部材4は両金属部材a、bの軸方向に移動可能になっているので、一方の金属部材bの先端で摩擦部材4を押すことにより、両金属部材a、bの接合面で摩擦部材4を挟むことができる。
【0050】
上記摩擦部材振動用モータ23の起動により、揺動アーム21の先端に固定した摩擦部材4は、図4や図9(a)の破線矢印のように上下に揺動し、摩擦部材4に摩擦圧力で圧接されている金属部材a、bの先端接合面は、揺動する摩擦部材4との摩擦により摩擦熱が発生し、この摩擦熱で金属部材a、bの接合面及び接合面近傍が所定の溶融又は軟化状態になると、摩擦部材振動用モータ23を停止させて圧接力を少し減圧すると同時に、摩擦部材引き抜き用モータ27を起動し、図3(b)のように、揺動アーム21を連杆29で引き下げることで前方下がりに傾斜させ、摩擦部材4を金属部材aとbの接合面間から抜き取る。
【0051】
上記金属部材aとbの接合面間から摩擦部材4が抜けると、直ぐにアップセットモータ17を更に正回転させて一方金属部材bを前進させ、両金属部材a、bの接合面を圧接させてアップセット圧力を加えることにより、溶融又は軟化した両金属部材a、bの接合面は互いに圧接することになる。
【0052】
両金属部材a、bの接合面が互いに圧接すると、アップセットモータ17を停止させ、チャック部材2、3を開いて金属部材a、bの固持を解き、アップセットモータ17を逆回転させてチャック部材3を後退位置に戻せば、圧接した金属部材a、bをチャック部材2と3から取出すことができる。
【0053】
なお、金属部材a、bの接合面を溶融又は軟化させる工程時において、一方金属部材bを前進させて両金属部材a、bの接合面を溶融又は軟化させる場合、両金属部材a、bの接合面が溶融又は軟化して摩擦寄り代が発生し、摩擦部材4は他方金属部材aの側に移動することになる。
【0054】
また、金属部材a、bの接合面を溶融又は軟化させる工程時において、両金属部材a、bを共に前進させる構造を採用した場合、両金属部材a、bの摩擦寄り代が摩擦部材4に対して接近することになり、摩擦部材4は定位置に停止のままでよく、従って、両金属部材a、bを共に前進させるようにした摩擦圧接装置の場合、摩擦部材4は両金属部材a、bの軸方向に対して固定配置した構造を採用してもよい。
【0055】
上記した金属部材a、bの圧接時において、摩擦部材4との摩擦により金属部材a、bの接合面及び接合面近傍を溶融又は軟化させる場合に、回転摩擦モータ8と15を起動させ、図9(b)のように、金属部材a、bにその軸心を中心とする回転を付与し、摩擦部材4の往復揺動と金属部材a、bの回転を併用することで摩擦熱の発生効率を向上させ、圧接工程の効率化を図るようにすることができる。
【0056】
また、圧接せんとする金属部材a、bが異質の場合、高融点側の金属部材だけを回転させて両金属部材a、bの接合面及び接合面近傍の溶融又は軟化状態が同一状態になるようにすることができる。
【0057】
更に、摩擦部材は接合せんとする金属部材よりも高融点又は高耐熱性の材料を用いることになるが、圧接せんとする金属部材a、bが異質の場合、図9(c)に示すように、摩擦部材4の両側が摩擦特性の異なる摩擦面、即ち、一方金属部材aに対応する高融点又は高耐熱性の材料4aと他方金属部材bに対応する高融点又は高耐熱性の材料4bを重ね合わせた二層構造とすることができる。
【0058】
上記金属部材a、bの圧接時において、両金属部材a、bの接合面の軟化を効率よく行うために、摩擦部材4の往復運動の周期は、1〜100〔KHz〕、また、金属部材a、bに付与する回転運動は、1〜5,000rpm、両金属部材a、bに付与する摩擦圧力とアップセット圧力が、5〜1,000Mpaの範囲に設定するのが好ましい。
【0059】
また、両金属部材a、bの接合面及び接合面近傍の溶融又は軟化させる摩擦発熱工程からアップセット圧力工程への移行のタイミングは、金属部材a、bの摩擦軟化箇所の発熱量又は、金属部材aとbに生じる摩擦寄り代量の変化をもとに、自動的に切り換えるようにすることができる。
【0060】
図10は、例えば、直径10mmの鉄筋を圧接する場合の上記した摩擦圧接のプロセスの一例を示し、両面に鉄筋の接合面を当接させた摩擦部材4の振動が2000rpm、ストローク幅10mmに達すると、鉄筋と摩擦部材4の面圧を40Mpaに上昇させて初期予熱を行い、5sec程度の時間経過後に面圧を80Mpa程度に上昇させて摩擦発熱を行い、同時に鉄筋の回転を10rpm程度にして鉄筋の接合面を軟化させる。
【0061】
上記鉄筋の接合面を摩擦発熱させるとき、摩擦部材4の揺動を高速にすることで摩擦発熱の効率が向上し、又、揺動のストローク幅を小さくすることで、摩擦部材4の面に付着した溶融金属が空気に曝されるのを極力少なくすることができ、接合面が酸化されるのを防ぐことができる。
【0062】
鉄筋の接合面が軟化すると、鉄筋の押圧を一時的に停止し、摩擦部材4を速やかに引き抜いて揺動を停止させ、摩擦部材4が抜けると、鉄筋の面圧を100Mpa程度の条件に上昇させ、鉄筋の回転を10rpm程度に続けることで鉄筋の圧接を完了する。
【0063】
上記鉄筋の押圧停止から摩擦部材4を引き抜いて本圧接に移行する時間は0.1から0.5secの間で行い、軟化した接合面の酸化を抑制するようにする。
【0064】
図11は、摩擦圧接時の鉄筋に生じる摩擦寄り代量の変化の一例を示し、図11(a)の予備摩擦時のように、直径10mmで長さ100mmの鉄筋を圧接する場合、摩擦発熱時は図11(b)のように5mm程度短くなるまで押圧し、図11(c)のようにアップセット後は、更に5mm短くなるまで押圧するようにし、これにより、鉄筋の圧接面近傍はバリの発生のため鉄筋よりも太径になる。
【0065】
なお、両チャック部材2と3を共に回転させることができるようにした構造では、摩擦部材4を停止させた状態で、金属部材a、bを摩擦部材4に押付けて回転させることにより金属部材の接合面及び接合面近傍を溶融又は軟化させ、この後、金属部材a、b間から摩擦部材4を抜き取り、両金属部材a、bにセットアップ圧力を加え、金属部材a、bの溶融又は軟化した接合面を直接圧接させる方法を採用することができる。
【0066】
次に、図5乃至図8は、摩擦圧接装置の第2の例を示し、往復運動付与機構5aが摩擦部材4を前後に直線的な往復運動させるようにした構造を有している。なお、第1の例の摩擦圧接装置と同一部分には同一符号を用いて説明する。
【0067】
この第2の例の摩擦圧接装置は、ベース台1のテーブル6上に設けた一方チャック部材2を回転しないよう定位置に固定配置し、一方チャック部材2と同軸心で対向する配置となる他方チャック部材3は、軸受3aで軸方向に可動となるよう支持された水平移動軸3bの先端に取付けられ、水平移動軸3bを介してテーブル6に固定したアップセットシリンダ31で、一方チャック部材2に対して進退動するようになっている。
【0068】
上記往復運動付与機構5aは、ベース台1の上で両チャック部材2と3間の後方に、チャック部材2、3の軸方向に平行する支点軸32を配置し、この支点軸32に後端を枢止して上下の揺動と軸方向の移動が可能となる揺動アーム33の一面側に、ホルダー34をガイドに直線的な前後動可能となる進退軸35を設け、揺動アーム33の他面側に往復運動付与手段となる摩擦部材振動用モータ36を固定し、このモータ36の出力軸と、前記進退軸35の後端を偏心回転前後機構37の前後動軸38を介して連結し、この進退軸35の先端に板厚が垂直の配置となる摩擦部材4を前方に向けて突出させるようホルダー39を用いて固定し、前記摩擦部材振動用モータ36の回転で進退軸35とこれに固定した摩擦部材4が一定ストロークを前後に往復動するようにしている。
【0069】
なお、上記前後動軸38には、進退軸35と摩擦部材4の重量に釣り合うためのバランスウエイト40が取付けてある。
【0070】
上記揺動アーム33は、先端寄りの下部に固定した二又保持具41が、ベース台1に対して固定配置した支持軸42によって支持され、水平状態が保持されると共に、先端下部に引き抜き機構を構成する摩擦部材引き抜き用シリンダ43がヒンジの枢軸44を介して連結され、このシリンダ43を伸縮させることにより、前記摩擦部材4をチャック部材2と3の対向面間に出没させる上昇位置(図7の一点鎖線)と水平の下降位置(図7の実線)の何れかに停止させることができるようになっている。
【0071】
第2の例の摩擦圧接装置は、上記のような構成であり、次にこの摩擦圧接装置を用いた圧接方法を説明する。
【0072】
図5乃至図7のように、接合せんとする金属部材aとbを離反させたチャック部材2と3で固持し、同軸心状に配置すると共に、揺動アーム33を水平に保持し、先端に固定した金属部材a、bよりも高融点又は高耐熱性の摩擦部材4を金属部材aとbの先端間に位置させる。
【0073】
この状態でアップセットシリンダ31を伸長させ、他方チャック部材3を前進動させて金属部材bの先端で摩擦部材4を押すことにより、両金属部材a、bの接合面を摩擦部材4に押し当てて摩擦圧力を加えた状態で、摩擦部材振動用モータ36を起動する。
【0074】
上記摩擦部材振動用モータ36の起動により、揺動アーム33で保持した摩擦部材4は、図9(a)の実線矢印のように前後に進退動し、摩擦部材4に摩擦圧力で圧接されている金属部材a、bの先端接合面は、進退動する摩擦部材4との摩擦により摩擦熱が発生し、この摩擦熱で金属部材a、bの接合面及び接合面近傍が所定の溶融又は軟化状態になると、摩擦部材振動用モータ36を停止させて圧接力を少し減圧させると同時に、摩擦部材引き抜き用シリンダ43を伸長させ、図7の一点鎖線のように、揺動アーム33を押し上げることで前方上がりに傾斜させ、摩擦部材4を金属部材aとb間から抜き取る。
【0075】
上記金属部材aとb間から摩擦部材4が抜けると、速やかにアップセットシリンダ31を更に伸長させて金属部材bを前進させ、両金属部材a、bの接合面を圧接させてアップセット圧力を加えることにより、溶融又は軟化した両金属部材a、bの接合面は互いに圧接されることになる。
【0076】
両金属部材a、bの接合面が互いに圧接されると、アップセットシリンダ31を停止させ、チャック部材2、3を開いて金属部材a、bの固持を解き、アップセットシリンダ31を収縮させてチャック部材3を後退位置に戻せば、圧接した金属部材a、bをチャック部材2と3から取出すことができる。
【0077】
なお、第2の例の摩擦圧接装置では、両チャック部材2と3は、図示の場合、回転付与機構を省いたが、上記した金属部材a、bの圧接時に、第1の例の摩擦圧接装置と同様に、金属部材a、bに回転を付与するようにすることができ、また、圧接せんとする金属部材a、bが異質の場合、高融点側の金属部材だけを回転させるようにしたり、摩擦部材4の両側が摩擦特性の異なる摩擦面となる二層構造とすることができる。
【0078】
図12は、金属部材a、bの接合面が円形の場合において、摩擦部材4に付与する往復動の1サイクルにおけるストロークの一例を示し、金属部材a、bにおける接合面の半径をdとすると、摩擦部材4の1サイクルにおける最大ストロークは2d兀に設定し、摩擦部材4と金属部材a、bの接合面との接触が常に維持されるように摩擦部材4の大きさに形成すると共に、最小ストロークは0以上に設定する。このような、摩擦部材4の往復動における1サイクルのストロークと摩擦部材4の大きさの関係は、上記第1の例の摩擦圧接装置における摩擦部材4の揺動ストロークにも適用する。
【0079】
また、上記金属部材a、bの圧接時における摩擦部材4の前後往復運動の周期や、金属部材a、bに付与する回転運動、両金属部材a、bに付与する摩擦圧力とアップセット圧力は、上記第1の例の摩擦圧接装置と同様の範囲に設定すればよく、両金属部材a、bの接合面及び接合面近傍の溶融又は軟化させる摩擦発熱工程からアップセット圧力工程への移行のタイミングも、金属部材a、bの摩擦溶融又は軟化箇所の発熱量又は、図11に示したように、金属部材aとbに生じる摩擦寄り代量の変化をもとに、自動的に切り換えるようにすればよい。
【0080】
なお、第1と第2の例の摩擦圧接装置において、圧接せんとする金属部材a、bの材質は、摩擦熱によって溶融又は軟化するものであればよく、摩擦部材は、金属部材a、bよりも融点又は耐熱性の高いものであれば材質は限定されないが、摩擦熱の発生効率を高めるには、摩擦係数の高いものを選ぶようにすればよく、また、金属部材a、bを回転させずに圧接させる場合は、図示例のような軸状の金属部材だけでなく、各種形状の金属部材に対する圧接を行うことができる。
【符号の説明】
【0081】
1 ベース支持台
2 チャック部材
3 チャック部材
4 摩擦部材
5 往復運動付与機構
5a 往復運動付与機構
6 固定テーブル
7 軸受機構
8 回転摩擦モータ
9 トルク計
10 クラッチ
11 移動テーブル
12 軸受機構
13 トルク計
14 クラッチ
15 回転摩擦モータ
16 送り機構
17 アップセットモータ
18 ガイド軸
19 テーブル
20 支点軸
21 揺動アーム
22 偏心回転軸
23 摩擦部材振動用モータ
24 前部リンク
25 枢軸
26 リンク
27 摩擦部材引き抜き用モータ
28 偏心回転軸
29 連杆
31 アップセットシリンダ
32 支点軸
33 揺動アーム
34 ホルダー
35 進退軸
36 摩擦部材振動用モータ
37 偏心回転前後機構
38 前後動軸
39 ホルダー
40 バランスウエイト
41 二又保持具
42 支持軸
43 摩擦部材引き抜き用シリンダ
44 枢軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接合せんとする金属部材の接合面間に、この金属部材よりも高融点又は高耐熱性の摩擦部材を介在させ、両金属部材の接合面を摩擦部材に押し当てて摩擦圧力を加えた状態で、前記両金属部材を回転運動させることで両金属部材の接合面に摩擦熱を発生させ、この摩擦熱で金属部材の接合面及び接合面近傍が溶融又は軟化した状態で金属部材間から摩擦部材を抜き取り、両金属部材にアップセット圧力を加えることで接合面を圧接する摩擦圧接方法。
【請求項2】
互いに接合せんとする金属部材の接合面間に、この金属部材よりも高融点又は高耐熱性の摩擦部材を介在させ、両金属部材の接合面を摩擦部材に押し当てて摩擦圧力を加えた状態で、前記摩擦部材を往復運動させることで両金属部材の接合面に摩擦熱を発生させ、この摩擦熱で金属部材の接合面及び接合面近傍が溶融又は軟化した状態で金属部材間から摩擦部材を抜き取り、両金属部材にアップセット圧力を加えることで接合面を圧接する摩擦圧接方法。
【請求項3】
上記摩擦部材を往復運動させることで両金属部材の接合面に摩擦熱を発生させるとき、両金属部材の何れか一方又は両方に回転を与える請求項2に記載の摩擦圧接方法。
【請求項4】
上記摩擦部材の往復運動が直線的な往復運動又は揺動による往復運動である請求項2又は3に記載の摩擦圧接方法。
【請求項5】
上記摩擦部材の両側が、摩擦特性の異なる摩擦面になっている請求項1乃至4の何れかに記載の摩擦圧接方法。
【請求項6】
上記摩擦発熱工程からアップセット圧力工程への移行が、金属部材の摩擦溶融もしくは軟化箇所の発熱量又は、金属部材に生じる摩擦寄り代量の変化をもとに、自動的に切り換えるようにする請求項1乃至5の何れかに記載の摩擦圧接方法。
【請求項7】
互いに接合せんとする金属部材を両金属部材の接合面が対向するようそれぞれ固持し、回転駆動機によって回転が付与される一対のチャック部材を、固持した両金属部材に摩擦圧力とアップセット圧力を加えることができる接近離反動自在に配置し、前記両チャック部材の対向面間に位置させる摩擦部材を前記金属部材よりも高融点又は高耐熱性の材料を用いて形成し、この摩擦部材と前記両チャック部材を、両金属部材の接合面間に対して摩擦部材の進入と抜き取りができるよう、相対的に移動自在となるよう配置した摩擦圧接装置。
【請求項8】
互いに接合せんとする金属部材を両金属部材の接合面が対向するようそれぞれ固持するチャック部材を、固持した両金属部材に摩擦圧力とアップセット圧力を加えることができる接近離反動自在に配置し、前記両チャック部材の対向面間に位置させる摩擦部材を前記金属部材よりも高融点又は高耐熱性の材料を用いて形成し、この摩擦部材と前記両チャック部材を、両金属部材の接合面間に対して摩擦部材の進入と抜き取りができるよう、相対的に移動自在となるよう配置し、前記摩擦部材に往復運動付与機構で往復運動を付与するようにした摩擦圧接装置。
【請求項9】
上記チャック部材が、固持した金属部材に回転を与えるよう回転駆動機で回転が付与されるようになっている請求項8に記載の摩擦圧接装置。
【請求項10】
上記摩擦部材の両側が、摩擦特性の異なる摩擦面になっている請求項7乃至9の何れかに記載の摩擦圧接装置。
【請求項11】
上記摩擦部材の往復運動付与機構が、摩擦部材に直線的な往復運動又は揺動による往復運動を付与するように形成されている請求項8乃至10の何れかに記載の摩擦圧接装置。
【請求項12】
上記両チャック部材の対向面間に位置させる摩擦部材が、後端を支点に上下に揺動可能となる揺動アームの先端に上下に揺動可能に取付けられ、この揺動アームに前記摩擦部材を上下に揺動させる往復運動付与手段を設け、前記揺動アームに、摩擦部材を両金属部材の接合面間に対して出し入れする引き抜き機構を連動させた請求項7乃至11の何れかに記載の摩擦圧接装置。
【請求項13】
上記両チャック部材の対向面間に位置させる摩擦部材が、後端を支点に上下に揺動可能となる揺動アームの先端側に前後方向の移動が可能に取付けられ、この揺動アームに前記摩擦部材を直線的に前後動させる往復運動付与手段を設け、前記揺動アームに、摩擦部材を両金属部材の接合面間に対して出し入れする引き抜き機構を連動させた請求項7乃至11の何れかに記載の摩擦圧接装置。
【請求項14】
上記両チャック部材の対向面間に位置させる摩擦部材が、前記チャック部材の軸方向に移動可能に配置されている請求項7乃至13の何れかに記載の摩擦圧接装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−214388(P2010−214388A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61428(P2009−61428)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(391015236)大裕株式会社 (11)
【出願人】(503420833)学校法人常翔学園 (62)
【Fターム(参考)】