説明

摩擦接合装置の回転ツール

【課題】異種の金属板同士の接合を安定して行なうことのできる回転ツールを提供すること。
【解決手段】第1金属板W1と、第1金属板より融点の高い第2金属板W2とを重ね、第1金属板W1側から点接合するための摩擦接合装置に用いられる回転ツール4において、先端面4dが凹状に形成された略円柱状の本体部4aと、本体部4aの先端面中央に設けられ、本体部4aよりも小径の略円柱状のピン部4bと、を備え、本体部4aの先端外縁4cが形成する面から突出するピン部4bの長さA及び先端面4dの形状を、第1金属板W1の厚みに応じて設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の金属板を接合する摩擦接合装置に用いられる回転ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、重ねられた複数の被接合材を回転ツールの回転によって接合する摩擦接合装置が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−48082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の摩擦接合装置は、アルミニウムなどの融点のほぼ等しい軽金属同士を接合する際には有効であるが、例えばアルミニウム材と鋼材といった融点の異なる金属同士の接合においては、その摩擦接合方法をそのまま採用すると問題が生じていた。
【0004】
即ち、アルミニウムなどの融点のほぼ等しい軽金属同士を接合する際には、回転ツールの先端部分が、2層目の金属材まで達しても問題がないが、例えばアルミニウム材と鋼材といった融点の異なる金属同士の接合においては、回転ツールの先端部分が鋼材に達してしまい、鋼材が水などに触れる状態になると、電位差により耐食性が著しく低下してしまうと言う問題があった。ところが、従来は、回転ツールの先端形状と、被結合材の形状との関係について十分な考察が為されておらず、回転ツールの先端形状は必ずしも最適な形状とはなっていなかった。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、異種の金属板同士の接合を安定して行なうことのできる回転ツールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明にあっては、第1金属板と、該第1金属板より融点の高い第2金属板とを重ね、前記第1金属板側から点接合するための摩擦接合装置に用いられる回転ツールにおいて、
略円柱状の本体部と、前記本体部の先端面中央に設けられ、前記本体部よりも小径の略円柱状のピン部と、を備え、
前記本体部の先端面から前記回転ツールの回転軸心方向に突出する前記ピン部の長さを、前記第1金属板の板厚より短く設定し、
前記本体部の先端面に、接合時に前記第1金属板の材料を充填するための環状の凹部を形成したことを特徴とする。
【0007】
これにより、ピン部の長さが第1金属板の厚みよりも短く設定するので、ピン部の先端が、第2金属板に当接することなく、前記凹部に前記第1金属板の材料を充填させることができる。結果として、接合後の表面に第2金属板を露出させることなく第1金属板と第2金属板とを点接合することができ、電位差による耐食性の低下を防止しつつ安定した接合品質を確保することができる。
【0008】
前記凹部はすり鉢状に形成されており、その傾斜角は、前記第1金属板の厚みに応じて設定されることを特徴とする。このように、すり鉢状の凹部の傾斜角を第1金属板の厚みに応じて設定すれば、凹部内に軟化した第1金属板を確実に充填させることができ、接合時のバリの生成を抑えつつ、摩擦による塑性流動を促進でき、安定した接合強度を得ることができる。
【0009】
前記摩擦接合装置は、前記回転ツールの回転による摩擦熱で前記第1金属板を軟化し、塑性流動させて、前記第1金属板と前記第2金属板との合わせ面を固相接合することを特徴とする。これによれば、異種の金属板同士を十分な強度で接合することが可能となる。
【0010】
前記本体部の先端外縁から前記回転ツールの軸心方向に突出する前記ピン部の長さをAとし、
前記本体部の先端外縁の外径をBとし、
前記ピン部の外径をCとし、
前記先端面の凹部の傾斜角をαとし、
前記第1金属板の厚みをTとした場合に、
0.2≦A≦T−((B−C)×tanα)/2−0.2(単位はmm)
となるようにそれぞれの寸法を決定したことを特徴とする。このように回転ツールの各寸法を決定すれば、回転ツールの旋回を安定させつつ、接合面に第2金属板が露出することによる耐食性の低下を防止することができる。
【0011】
前記第1金属板がアルミニウム合金材料、前記第2金属板が鋼材料であることを特徴とする。これによれば、従来は困難であったアルミニウム合金材と鋼材との接合を十分な強度で行なうことが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、異種の金属板同士の接合を安定して行なうことのできる回転ツールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る摩擦接合装置の全体構成を示す図である。この摩擦接合装置100は、自動車ボディ等に用いられる複数の被接合材を点接合するために用いられる。この摩擦接合装置を用いれば、例えば、被接合材としてアルミニウム合金板と鋼板とを接合することができる。摩擦接合装置100は、接合ガン1と、接合ガン1を所望の位置及び角度に移動するロボット2と、接合ガン1及びロボット2を制御する制御部3とを備えている。ロボット2としては、例えば汎用の6軸垂直多関節型ロボットが用いられる。
【0015】
接合ガン1は接合用工具として、回転ツール4と、受け具5とを備えている。回転ツール4は、押圧手段としての不図示の加圧軸モータにより加圧のために昇降移動されると共に、回転駆動手段としての不図示の回転軸モータにより回転される。回転軸モータとしては、インダクションモータやサーボモータが用いることができ、加圧軸モータとしては、サーボモータを用いることができる。受け具5は、L字状のアームの先端に回転ツール4に対向して配置されている。尚、回転ツール4及び受け具5は、接合ガン1に対して着脱可能な構成となっている。
【0016】
なお、制御部3は、ロボット2の六軸と、接合ガン1における回転ツール4の回転数及び押圧力を制御可能な構成となっている。つまり、制御部3は、加圧軸モータ及び回転軸モータを制御する。
【0017】
図2Aは、回転ツール4の先端部の構成について説明するための図である。回転ツール4は、先端面が凹状に形成された略円柱状の本体部4aと、本体部の先端面中央に設けられ、前記本体部よりも小径の略円柱状のピン部4bとを一体的に有している。ピン部4bは、回転ツールのセンタリング(位置決め機能、位置ずれ防止機能)を適格に行なうために設けられている。ピン部4bの先端は、本体部4aの先端面から回転ツールの回転軸心X方向に突出しており、ピン部4bの軸心は本体部4aの軸心に合致している。
【0018】
この回転ツールは、異種材料、特に融点(軟質性)が異なる材料として、アルミニウム板W1と鋼板W2とを接合するためのものである。そのため、ピン部4bの突出長さは、同種の材料(例えばアルミニウム材同士)を接合するための回転ツールに比べて短く設定されている。これは、ピン部4bを長くして下方の鋼板W2に突き当たると、鋼板W2の表面に予め形成されためっき層8がはがれ、鋼板W2の表面が水などに触れることになり腐食が起こりやすくなるからである。
【0019】
めっき層8は、鋼板W2の表面に酸化膜が生成されることを防止するために形成されているものであり、例えば亜鉛や亜鉛合金などからなる。具体的には、例えば、板厚0.7〜2.0mmの5000系アルミ合金板または6000系アルミ合金板に対して、亜鉛めっき付着量90g/m2板厚1〜1.2mmの亜鉛めっき鋼板を接合することができる。
【0020】
なお、図2(a)ではピン部4bの先端は平坦面に形成されているが、これに限定されるものではなく、曲面形状を為していてもよいし、或いは、円錐形状を為していても良い。
【0021】
一方、本体部の先端面には、本体部4aの先端外周に存在するショルダー部4cからピン部4bの外周面に向けて、接合時に前記第1金属板の材料を充填するための環状の凹部4dが形成されている。摩擦熱で軟化したアルミニウム板W1は、その凹部4dに充填されるため、回転ツール4の外側に流動するW1の量が少なくなり、バリの発生を抑えることができる。また、凹部4dに充填されたアルミニウム板W1は回転ツールの回転方向軸心X方向に大きく塑性流動することができ、回転ツール4の先端面に凹部4dが形成されない場合に比べ接合強度が高くなる。
【0022】
図において本体部4aの先端面から回転ツールの軸心方向に突出するピン部4bの長さA1は、第1金属板であるアルミニウム板W1の厚みTよりも小さく設定されている。このように、ピン部4bの長さA1を第1金属板の厚みより小さくに設定すれば、接合面に第2金属板を露出させることなく第1金属板と第2金属板とを点接合することができ、電位差による耐食性の低下を防止しつつ安定した接合品質を確保することができる。
【0023】
本体部4aの凹部4dは、図のようにすり鉢状に形成されているが、本体部4aの凹部4dの傾斜角αは、アルミニウム板W1の厚みTに応じて設定される。具体的には、軟化したアルミニウム板W1をバリとして排出しにくくし、十分な加圧力を発生させるため、傾斜角αを0°よりも大きい値とする。更に、傾斜角αは、ピン部4bで押しのけたアルミニウム板W1が回転ツール4の凹部4dに充填される角度以下とする。つまり、凹部4aの傾斜角αが所定値以上になると、回転させた回転ツール4でアルミニウム板W1を押圧する際に、凹部4d内にアルミニウム板W1の充填されないスペースが形成されてしまう。この所定値は、アルミニウム板W1の厚みTによってきまり、傾斜角αをそのような所定値より小さい値としなければならない。
【0024】
このように、すり鉢状の凹部4dの傾斜角αをアルミニウム板W1の厚みTに応じて設定すれば、凹部4d内に軟化したアルミニウム板W1を確実に充填させることができ、接合時のバリの生成を抑えつつ、摩擦による塑性流動を促進でき、安定した接合強度を得ることができる。
【0025】
また、本体部の先端外縁のショルダー部4cから回転ツールの軸心X方向に突出するピン部4bの長さAと、ショルダー部4cの外径Bと、ピン部4bの外径Cと、傾斜角をαと、アルミニウム板W1の厚みTとが、以下の関係を満たすように、回転ツール4の寸法が決定されている。
【0026】
0.2≦A≦T−((B−C)×tanα)/2−0.2(単位はmm)…(1)
ここで、ピン長さAを0.2mmよりも大きくしたのは、接合中の回転ツール4の旋回中心を安定させるためである。また、上記式において右側の項で0.2を減算したのは、凹部4dの最深部(ピン部4bの根元)にアルミニウム板W1が充填された押し込み状態において、ピン部4bの先端と鋼板W2の上面との間に必ず0.2mmの余裕を持たせるためである。上記式(1)を変形し、回転ツール4の寸法とアルミニウム板W1の寸法とを分けて書くと、以下のようになる。
【0027】
A+((B−C)×tanα)/2+0.2≦T…(2)
ここで右側の項は、ピン部4bの根元からの長さに0.2mmを加えたものであり、その値が、アルミニウム板W1の厚みTよりも少なくなるように設定されている。
【0028】
このように回転ツールの各寸法を決定すれば、回転ツールの旋回を安定させつつ、接合後の表面に鋼板W2が露出することによる耐食性の低下を防止することができる。
【0029】
また、更に、以下の式を満たすようにショルダー部4cの外径Bと、ピン部4bの外径Cとが設定されている。
【0030】
0.2×B≦C≦0.5×B…(3)
このように回転ツールの各寸法を決定すれば、アルミニウム板W1に接触した際のピン部4bの折損を防止でき、かつ回転ツール4の回転による摩擦熱を十分に生じさせることができる。
【0031】
なお、図2Aでは、本体部4aの先端面4dは、すり鉢状としたが、これに限定されるものではなく、環状の凹部であれば、さまざまな形状が考えられる。例えば、断面が曲線を為すようなお椀状であってもよい。また、凹部の内部やショルダー部4cの外縁に、アルミニウム板W1の表面と平行な平面が形成されていても良い。
【0032】
図3は、制御部3による回転ツール4の押圧力及び回転数の制御について説明する図である。
【0033】
まず、回転ツール4を下降させてアルミニウム板W1に当接させ、回転ツールのピン部4bと受け具5とにより金属板であるアルミニウム板W1と鋼板W2とが把持された状態で、回転ツール4の押圧力をN1(例えば0.98〜3.43kN)に、回転数をP1(例えば3000〜3500rpm)に維持する。これにより、アルミニウム板W1の表面に、回転ツール4の回転による発熱(摩擦熱)を生じさせる。このようなアルミニウム板W1に対する加熱により、アルミニウム板W1が軟化し、ピン部4bによるセンタリングを確実に行なうことができ、回転ルーツ4の旋回中心が決まる。
【0034】
次に、回転開始から所定時間後に回転ツール4の押圧力をN2(例えば2.45〜5.88kN)まで増加させる。N2に押圧力を増加することで、回転ツール4は、軟化したアルミニウム板W1内に侵入する。ただし、この時ピン部4bが鋼板W2に当接しないようにN2が定められている。これにより、図2Bに示すように、回転ツール4と接触圧力の高い部分のアルミニウムが塑性流動し、これに伴って、熱を受けて軟化した亜鉛めっき8が拡散され、回転ツール4の外周側へ排出される。同時にアルミニウム板W1の鋼板W2側表面の酸化膜も破壊され、アルミニウム板W1の新生面と鋼板W2の新生面とが直接接触し、固相接合が生じる。
【0035】
この時、回転数が高いと、アルミニウム板W1の塑性流動が極めて回転ツール4に近い範囲のみで行なわれる結果となり、固相接合がうまく行なわれない場合がある。そのため、ここでは、回転数をP2(例えば1500〜2500rpm)まで低下させ、比較的ゆっくりした回転で、大きく塑性流動を生じさせる。
【0036】
図4(a)〜(c)は、ピン長さAを様々に変えた場合の、本体部4aの先端面形状とピン部4bの形状との関係及び許容範囲を示す図である。図4(a)、(b)は、ショルダー径Bを10mmとし、ピン径Cを2mmとした場合に、長さAが0.3mm、0.5mm、0.8mmのピン部4bを持つ3種類の回転ツール4の傾斜角αを1°から9°まで2°ずつ増加させて、ピン先端から付け根までの距離(ピン部4b全体の長さ)に0.2mmを加えた値がどのように変化するかを示したグラフである。即ち、全部で15種類の回転ツール4を想定してピン部4b全体の長さに0.2mmを加えた値をプロットしたものである。
【0037】
上述した式(2)で示したように、ピン先端から付け根までの距離(ピン部4b全体の長さ)に0.2mmを加えた値は、アルミニウム板W1の厚みTよりも小さくなければならない。したがって、アルミニウム板W1の厚みTが0.8mmの場合、図4(a)に示すように、想定した15種類の回転ツール4のうち、ピン部4bの長さAが0.3mmであって、傾斜角αが1°または3°のものであれば、問題なく接合を行なえることが分かる。即ち、厚み0.8mm程度の薄板接合の場合、ピン長さ、傾斜角とも、限られた範囲でしか設定できない。特に傾斜角αが大きい3°の方がバリ発生を抑制し、塑性流動を促進する上で好ましい。
【0038】
一方、アルミニウム板W1の厚みTが1.4mmの場合、図4(b)に示すように、想定した15種類の回転ツール4のうち、ピン部4bの長さAが0.8mmであって、傾斜角αが7°または9°のものを除けば、問題なく接合を行なえることが分かる。即ち、厚み1.4mm程度の厚板接合の場合、ピン長さ、傾斜角とも、広い範囲で設定可能である。ただし、傾斜角が小さいとバリが発生しやすく強度の低下を招くため、厚板接合では薄板接合に比べ、傾斜角が大きくなることが望ましい。
【0039】
図4(c)は、ショルダー径B:10mm、ピン径C:5mm、ピン部4b長さA:0.2mmの回転ツール4と、ショルダー径B:10mm、ピン径C:2mm、ピン部4b長さA:0.5mmの回転ツール4と、ショルダー径B:10mm、ピン径C:2mm、ピン部4b長さA:0.8mmの回転ツール4と、を想定している。そして、厚み2.0mmの厚板接合の場合に、これらの3種類の回転ツール4について、どの程度まで傾斜角αを大きくできるかを示している。
【0040】
図4(c)に示すように、ピン部4bの長さが小さいほど、ピン径Cが大きいほど、傾斜角αを大きくすることができ、ショルダー径B:10mm、ピン径C:5mm、ピン部4b長さA:0.2mmの回転ツール4であれば、約33°まで傾斜角を大きくしても、2mmの厚板接合の場合には問題にならないことが分かる。
【0041】
以上説明したとおり、本実施形態では、第1金属板W1と、第1金属板より融点の高い第2金属板W2とを重ね、第1金属板W1側から点接合するための摩擦接合装置に用いられる回転ツール4において、略円柱状の本体部4aと、本体部4aの先端面中央に設けられ、本体部4aよりも小径の略円柱状のピン部4bと、を備え、本体部4aの先端面から回転ツールの軸心方向に突出するピン部4bの長さA1を、第1金属板W1の板厚Tより短く設定し、本体部4aの先端面に、接合時に第1金属板W1を充填するための環状の凹部4bを形成した。
【0042】
これにより、接合後の表面に第2金属板W2を露出させることなく第1金属板W1と第2金属板W2とを点接合することができ、電位差による耐食性の低下を防止しつつ安定した接合品質を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態に係る摩擦接合装置の概略構成を示す図である。
【図2A】本発明の実施形態に係る回転ツールの概略構成を示す図である。
【図2B】本発明の実施形態に係る回転ツールを回転しながら押し込んだ接合状態を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る押圧力制御及び回転数制御を説明する図である。
【図4】本発明の実施形態の係る回転ツールの最適形状について説明するグラフである。
【符号の説明】
【0044】
100 摩擦接合装置
1 接合ガン
2 ロボット
3 制御部
4 回転ツール
5 受け具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属板と、該第1金属板より融点の高い第2金属板とを重ね、前記第1金属板側から点接合するための摩擦接合装置に用いられる回転ツールにおいて、
略円柱状の本体部と、
前記本体部の先端面中央に設けられ、前記本体部よりも小径の略円柱状のピン部と、
を備え、
前記本体部の先端面から前記回転ツールの回転軸心方向に突出する前記ピン部の長さを、前記第1金属板の板厚より短く設定し、
前記本体部の先端面に、接合時に前記第1金属板の材料を充填するための環状の凹部を形成したことを特徴とする摩擦接合装置の回転ツール。
【請求項2】
前記凹部はすり鉢状に形成されており、その傾斜角は、前記第1金属板の厚みに応じて設定されることを特徴とする請求項1に記載の摩擦接合装置の回転ツール。
【請求項3】
前記摩擦接合装置は、前記回転ツールの回転による摩擦熱で前記第1金属板を軟化し、塑性流動させて、前記第1金属板と前記第2金属板との合わせ面を固相接合することを特徴とする請求項1に記載の摩擦接合装置の回転ツール。
【請求項4】
前記本体部の先端外縁から前記回転ツールの軸心方向に突出する前記ピン部の長さをAとし、
前記本体部の先端外縁の外径をBとし、
前記ピン部の外径をCとし、
前記先端面の凹部の傾斜角をαとし、
前記第1金属板の厚みをTとした場合に、
0.2≦A≦T−((B−C)×tanα)/2−0.2(単位はmm)
となるようにそれぞれの寸法を決定したことを特徴とする請求項2に記載の摩擦接合装置の回転ツール。
【請求項5】
前記第1金属板がアルミニウム合金材料、前記第2金属板が鋼材料であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の摩擦接合装置の回転ツール。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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