説明

撚線導体

【課題】37心の撚線導体において、素線を低い圧縮率で圧縮加工又は圧縮加工することなく、その外形形状を略真円形状にすることができる撚線導体を提供することを目的とする。
【解決手段】1心の素線を中心線11とし、中心線11の周囲を6心の素線が覆い囲んで第1層12を形成し、第1層12の外周を12心の素線が覆い囲んで第2層13を形成し、第2層13の外周を18心の素線が覆い囲んで最外層14を形成する37心の撚線導体1であって、前記最外層14を構成する18心の内の12心の素線、及び、第2層13を構成する12心の内の6心の素線の基となる線材の直径を、中心線11及び第1層12を構成する素線の基となる線材の直径と同一に、最外層14を構成する前記以外の6心の素線、及び、第2層13を構成する前記以外の6心の素線の基となる線材の直径を、中心線11及び第1層12を構成する素線の基となる線材の直径よりも小さく設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撚線導体に関するもので、詳しくは、電線等に使用される37心の同心撚り配列で構成される撚線導体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電線等に使用される撚線導体を構成する各々の素線は、一般的に、全て断面円形の丸線で、かつ、同一径である。該素線として銅線が主として用いられ、その銅線に、錫、ニッケル、銀をメッキしたものやアルミ線、各種合金線が使用される。
【0003】
また、37心の素線で構成される撚線導体は、一般的に、図7に示すように、中心に1心の素線101を配置してなる中心線102と、その周囲を6心の素線101が覆い囲んで形成する第1層103と、該第1層103の外周を12心の素線101が覆い囲んで形成する第2層104と、該第2層104の外周を18心の素線101が覆い囲んで形成する第3層(最外層)105で撚線導体100が構成されている。また、その素線101を形成する線材を撚線機により、同一方向に撚ることで撚線導体100が製造される。
【0004】
前記の各素線101は全て、断面円形で、かつ、同一径の線材から形成されていることから、素線101で構成される37心の同心撚り配列の撚線導体100における横断面の外形形状は、図7に示すように、六角形状に近似した形状となり、丸形状に近似した形状とはならない。以下、前記の撚線導体100を従来技術1とする。
【0005】
また、前記撚線導体100は、一般的に、図7に示すように、外周部に絶縁材110を被覆した被覆線として、電線等に使用される。この被覆線の外形形状は、略真円形状であることが望まれている。一方、絶縁材110は、耐圧特性の点から撚線導体101の外周部に略均一の厚みに被覆されることが望ましい。したがって、撚線導体の外形形状は真円であることが望まれている。
【0006】
また、石油を主成分とする絶縁材110の減量化は、資源の有効利用の観点からも大変重要であり、撚線導体の細径化や丸形化が要求されている。
【0007】
しかし、前記のように撚線導体100の外形形状が六角形で、かつ、被覆線の外面形状を真円とすると、図7に示すように、撚線導体100の外形形状が六角形の頂点部の近傍に位置する絶縁材110の厚みは薄く、六角形の辺部の中央に至るほど厚くなり、絶縁材110の厚みが不均一となるという問題が生じる。また、耐圧不良を防止するためには、前記六角形の頂点部に位置する絶縁材110の厚みを一定以上確保する必要がある。そのため、撚線導体100の中心からその頂点までの径よりも被覆線を細くすることができず、被覆線の細径化、軽量化には限界があるという問題がある。
【0008】
また、六角形の辺部に位置する絶縁材110の肉厚は、性能の観点からは過剰であるが、断面を真円とするためには必要であるため、絶縁材110の減量化にも限界が生じるという問題がある。
【0009】
また、撚線導体100の外形形状が六角形であると、被覆線を端末加工する時等において、被覆材110をストリップする際に撚線導体101を傷つける虞があるという問題がある。
【0010】
上記の問題点は、撚線導体の外形形状を略真円とすることで解決することができる。
この解決手段として、特許文献1記載のように、全て断面円形で、かつ、同一径の線材を、一方向に撚りながら圧縮ダイスを通すことにより、図8に示すように、撚線導体201の外層素線202の外面203を加圧変形して、その撚線導体201の外形形状を略真円とする方法が提案されている。以下、該撚線導体201を従来技術2とする。
【特許文献1】特開2000−057852号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記、従来技術2の撚線導体201において、外形形状を略真円形状とするためには、4%以上の圧縮率((1−圧縮ダイスの内径/線材を寄集めた時の外径)×100)が必要となる。このように、外層素線202が、高い圧縮率で変形されると、その撚線導体201におけるのび特性、柔軟性、可とう性等の物理特性が損なわれるという問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、37心の素線で構成される撚線導体において、該素線を従来技術2の撚線導体よりも低い圧縮率で圧縮加工し、又は圧縮加工することなく、撚線導体の外形形状を略真円形状にすることができる撚線導体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、1心の素線を中心線とし、該中心線の周囲を6心の素線が覆い囲んで第1層を形成し、該第1層の外周を12心の素線が覆い囲んで第2層を形成し、該第2層の外周を18心の素線が覆い囲んで最外層を形成する37心の撚線導体であって、
前記最外層を構成する18心の内の12心の素線の基となる線材の直径、及び、第2層を構成する12心の内の6心の素線の基となる線材の直径を、前記中心線及び第1層を構成する素線の基となる線材の直径と同一に設定し、
前記最外層を構成する18心の内の他の6心の素線の基となる線材の直径、及び、第2層を構成する12心の内の他の6心の素線の基となる線材の直径を、前記中心線及び第1層を構成する素線の基となる線材の直径よりも小さく設定したことを特徴とするものである。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記第2層を、前記中心線の基となる線材の直径よりも小さい直径の線材から形成される素線と、前記中心線の基となる線材の直径と同一の直径の線材から形成される素線とを、周方向に交互に配列して構成し、
前記第2層を構成し、かつ、前記中心線の基となる線材の直径よりも小さい直径の線材から形成された素線の頂点部に、前記最外層を構成し、かつ、前記中心線の基となる線材の直径よりも小さい直径の線材から形成された素線を配列したことを特徴とするものである。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記中心線の中心点から、前記最外層を構成し、かつ、前記中心線の基となる線材の直径よりも小さい直径の線材から形成された素線の最縁端までの距離と、
前記中心線の中心点から、前記最外層を構成し、かつ、前記中心線の基となる線材の直径と同一の直径の線材から形成された素線の最縁端までの距離とが、
同一であることを特徴とするものである。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明において、前記最外層を構成する素線の基となる線材で、かつ、前記中心線の基となる線材の直径よりも小さい直径を有する線材の直径と、
前記第2層を構成する素線の基となる線材で、かつ、前記中心線の基となる線材の直径よりも小さい直径を有する線材の直径とが、
同一であることを特徴とするものである。
【0017】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明において、前記最外層を構成する素線の基となる線材で、かつ、前記中心線の基となる線材の直径よりも小さい直径を有する線材の直径を、
前記第2層を構成する素線の基となる線材で、かつ、前記中心線の基となる線材の直径よりも小さい直径を有する線材の直径よりも
小さくしたことを特徴とするものである。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の発明において、前記最外層を圧縮変形して形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、素線は圧縮変形されることなく、若しくは、従来技術2よりも低い圧縮率で、撚線導体の外形形状を略真円形状とすることができる。
【0020】
また、従来技術1、2の撚線導体100、201よりも最大外径を細くできる。
このように、撚線導体の外形が略真円形状で、かつ、上述のように、従来技術1、2の撚線導体100、201よりも細径化できることにより、絶縁材の被覆の厚みを全周にわたって薄くでき、かつ、略均一化することができ、絶縁材を減量でき、コストを低減することができる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、更に、線材を圧縮しなくても従来技術1の撚線導体100よりも、撚線導体の外形形状を真円に近づけることができる。
【0022】
また、圧縮変形する場合においても、従来技術2の撚線導体201よりも、低い圧縮率で外形形状を略真円形状とすることができるため、線材ののび特性、柔軟性、可とう性等の物理特性の低下が少なく、素線の物理特性を高く維持することができ、信頼性の高い品質を得ることができる。
【0023】
また、請求項4記載の発明によれば、更に、請求項5記載の発明よりも、少ない種類の線材により製造できるため、製造コストを低く抑えることができる。
【0024】
請求項5記載の発明によれば、更に、従来技術2の撚線導体201のように、線材を圧縮ダイスに通すことがなく、すなわち、外層素線を、圧縮変形することなく撚線導体の外形形状を略真円形状とすることができるため、線材ののび特性、柔軟性、可とう性等の物理特性を損うことがなく、素線の物理特性を維持することができ、信頼性の高い品質を得ることができる。
【0025】
また、圧縮ダイスが不要であるため、圧縮ダイスが必要なものと比較して、製造機械(撚線機)の回転数を一定値以下にし、かつ、回転数を安定させる必要がないため、生産効率を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明を実施するための最良の形態を図1乃至図6に基づいて説明する。
【実施例1】
【0027】
図1乃至図4は、本発明の実施例1を示すものである。
図1は、撚線導体1の軸方向と直交する方向に切断した断面模式図で、各素線の基となる線材の断面形状と素線の断面形状が同一とした場合の模式図である。なお、各素線の断面を示す斜線は、図の煩雑を避けるために省略した。
【0028】
実施例1に示す該撚線導体1は、図1に示すように、総数37心の素線で構成され、該素線は、太径線(素線)2と、該太径線2より直径が小さい細径線(素線)3の2種類により構成されている。
【0029】
また、前記撚線導体1は、中心に位置する1心の太径線2により形成された中心線11と、該中心線11の外周を覆い囲むように配置された6心の太径線2により形成された第1層12と、該第1層12の外周を覆い囲むように配置された6心の太径線2と6心の細径線3からなる総計12心により形成された第2層13と、該第2層13の外周を覆い囲むように配置された12心の太径線2と6心の細径線3からなる総計18心により形成された第3層(最外層)14とで構成されている。
【0030】
なお、前記素線2、3は、断面円形(丸形)の線材2a、3a(図3参照)を基にして形成されたものである。この線材2a、3aとしては、従来と同様に、銅線や該銅線に、錫、ニッケル、銀をメッキしたもの、或いはアルミ線、各種合金線が使用できる。
【0031】
前記第1層12を形成する各太径線2は、図1に示すように、中心線11の中心Aから等距離に位置し、かつ、隣接する第1層12を形成する太径線2の相互、及び中心線11と点接触するように配置されている。この接触は、図1の断面においては点接触し、軸方向では線接触している。
【0032】
前記第2層13を形成する6心の太径線2は、それぞれ、その一部が第1層12における隣接する太径線2、2の外周面間で形成された各谷部16に入り込み、かつ、第1層12を形成する少なくとも一心の太径線2と点接触するように配置されている。そして、第2層13の周方向に隣り合う太径線2と太径線2との間には、図1に示すように、1心の細径線3が配置されている。すなわち、第2層13の周方向には、太径線2と細径線3が交互に配置されている。
【0033】
前記最外層14を形成する6心の細径線3は、それぞれ、第2層を形成する細径線3の頂点部、すなわち、中心線11の中心Aと第2層を形成する細径線3の中心を結ぶ線の延長線上、若しくは、その近傍に最外層14を形成する細径線3の中心が位置するように配置されている。そして、最外層14の周方向に隣り合う細径線3と細径線3との間には、図1に示すように、2心の太径線2、2が配置されている。すなわち、最外層14の周方向において、各細径線3と3との間に、2心の太径線2、2が配置されている。
【0034】
上記の構成により、撚線導体1の外形形状は、従来技術1の撚線導体100と比較してより略真円形状に近い形状となる。すなわち、中心線11の中心Aから最外層14を形成する細径線3の最外縁端Bまでの距離L1と、中心線11の中心Aから最外層を形成する太径線2の最外縁端Cまでの距離L2が略同一となるように形成されている。つまり、最外層14を形成する全ての太径線2及び細径線3の最外縁端B、Cは、図1に示すように、中心線11の中心Aから細径線3の最外縁端Bまでの距離L1を半径とする真円線に近い位置に位置するように形成されている。
【0035】
次に、撚線導体1において、中心線11の中心Aから最外層14を形成する細径線3の最外縁端Bまでの距離L1と、中心線11の中心Aから最外層14を形成する太径線2の最外縁端Cまでの距離L2が略同一となるような関係について説明する。
【0036】
太径線2、細径線3と、それぞれの基となる線材2a、3aの断面形状はそれぞれ同一形状の真円であるとし、太径線2(線材2a)の直径をdとし、細径線3(線材3a)の直径をdとする。
【0037】
中心線11の中心Aから最外層14を形成する細径線3の最外縁端Bまでの距離L1は、
L1=d/2+d+d+d ・・・(1)
となる。
【0038】
本実施例1の撚線導体1は、従来技術1(図7)の撚線導体100における最外層105の六角形の頂点部を形成する6心の素線106、及び、その6心の素線106と中心線102の中心Aとを結んだ線上に位置する第2層を形成する6心の素線108を、その他の素線と径の異なる素線に置き換えたものである。
【0039】
そのため、従来技術1の撚線導体100における中心線102の中心Aから最外層105を形成する頂点部の素線106の隣の辺部の素線107の最外縁端C1までの距離L3と、本実施例1の撚線導体1における中心線11の中心Aから最外層14を形成する太径線2の最外縁端Cまでの距離L2は、従来技術1の撚線導体100の素線の直径と、本実施例1の太径線2の直径dとが同一の場合に同一となる。
【0040】
図7において、隣接する辺部の素線107、107間の接点をDとし、中心線102の中心Aから点Dまでの距離をxとし、素線107の中心をEとし、線ADと線AEとで形成される角度をθとすると、
L3=L2=AE+d/2
=x×secθ+d/2 ・・・(2)
となる。
【0041】
また、頂点部の素線106の中心をFとすると、
cos30°=AD/A
=x/(3×d
より、x=3d・cos30° ・・・(3)
また、tanθ=DE/A
=(d/2)/x ・・・(4)
式(3)、(4)より
θ=10.89339° ・・・(5)
となり、式(2)、(3)、(5)より
L2=3.14575d ・・・(6)
となる。
【0042】
従って、L1=L2となるのは、
式(1)、(6)より、
=0.822875d ・・・(7)
という関係式が得られ、このような関係が成り立つ太径線2、細径線3を用いて本実施例1の撚線導体1を構成することにより、中心線11の中心Aから最外層14を形成する細径線3の最外縁端Bまでの距離L1と、中心線11の中心Aから最外層を形成する太径線2の最外縁端Cまでの距離L2を略同一とすることができる。
【0043】
また、本実施例1の撚線導体1の外径D1は、D1=2×L1であるので、式(1)より
D1=2×(d/2+d+d+d) ・・・(8)
となり、この式(8)に式(7)を導入すると
D1=6.2915×d ・・・(9)
となる。
【0044】
一方、従来技術1において、各素線の直径をdと仮定した場合の撚線導体100の最大外径D2は、図7からも明らかなように、
D2=7×d ・・・(10)
である。
【0045】
また、従来技術2の撚線導体201の外径D3は、各素線(線材)の直径をdで、かつ、その圧縮率を直径比において3%(撚線導体201における最良の圧縮率)と仮定すると、
D3=7×d×(1−3/100)=6.79×d・・・(11)
である。
【0046】
従って、D1<D3<D2となり、本実施例1の撚線導体1は、従来技術1、2の撚線導体100、201よりも、最大外径を小さくすることができることが分かる。
【0047】
しかし、このように従来技術1、2の素線をdと仮定すると、本実施例1の撚線導体1と従来技術1、2の撚線導体101、201とでは、導体断面積が異なる。
【0048】
そこで、次に、本実施例1の撚線導体1と従来技術1、2の撚線導体100、201の導体断面積を同一にした場合の撚線導体1、100、201の外径D1’、D2’、D3’の比較を行なう。
【0049】
本実施例1の撚線導体1の断面積S1は、
S1=(π/4×d×25)+(π/4×d×12) ・・・(12)
この式(12)に式(7)を導入すると、
S1=26.01675×d・・・(13)
となる。
【0050】
一方、従来技術1の撚線導体100の素線(線材)の直径をdとすると、撚線導体100の断面積S2は、
S2=π/4×d×37
=29.0598×d ・・・(14)
となる。
【0051】
撚線導体1の導体断面積と、従来技術1の撚線導体101の導体断面積とが同一となるのは、S1=S2、式(13)、(14)より、
=1.05686×d ・・・(15)
となる。
【0052】
従って、撚線導体1の外径D1’は、式(9)、(15)より、
D1’=6.2915×d=6.64922×d ・・・(16)
また、従来技術1、2の撚線導体100、201の外径D2’、D3’は、式(10)、(11)より、
D2’=7×d ・・・(17)
D3’=6.79×d ・・・(18)
となる。
【0053】
従って、本実施例1の撚線導体1と従来技術100、201の導体断面積を同一にした場合においても、D1’<D3’<D2’の関係が成り立ち、本実施例1の撚線導体1は、従来技術1の撚線導体100よりも約5%、従来技術2の撚線導体201よりも約2%、外径を細くできることが分かる。
【0054】
上記のように、計算された関係を有する太径線2、細径線3と同径の線材を用いて、圧縮することなく撚線導体を製造すると、図2に示すように、最外層14を形成する細径線3の外面が、隣接する太径線2、2の外面と干渉して、理論上の位置よりも、若干外側に位置して撚線導体が形成される。そのため、中心線11の中心Aから最外層14を形成する細径線3の最外縁端Bまでの距離L1と、中心線11の中心Aから最外層を形成する太径線2の最外縁端Cまでの距離L2が完全に同一とはならないが、従来技術1の撚線導体100よりも真円形状に近い撚線導体1を得ることができる。
【0055】
図2に示す撚線導体1を、より真円形状に近づけるためには、線材を、圧縮ダイスを通しながら撚線導体1を製造することで実現できる。圧縮ダイスを用いて真円形状に近づける場合においても、圧縮率は約2%以下でよく、圧縮率4%以上である従来技術2よりも、低い圧縮率で真円形状に近づけることができるため、従来技術2と比較して、撚線導体1におけるのび特性、柔軟性、可とう性等の物理特性の低下を低く抑えることができる。
【0056】
次に、圧縮ダイスを用いた撚線導体1の製造方法について述べる。
本実施例1の撚線導体1は、図3に示すような、集線口15を有する撚線機16を用いて製造する。該集線口15内には圧縮ダイス17が設けられ、該集線口15より後方には前記目板18が設けられている。該目板18には、図4に示すように、前記圧縮ダイス17の中心軸を中心とする円上に所定の間隔で37個の線材通過穴18a、18b、18cが目板18の表裏を貫通して形成されている。
【0057】
また、目板18の後方には、線材供給部19、20が配置され、該線材供給部19、20から太径線2、細径線3の基となる断面円形(丸形)の線材2a、3aが供給される。
【0058】
先ず、図3(a)に示すように、線材供給部19、20から線材2a、3aを、前記目板18の線材通過穴18a、18bへ供給する。このとき、線材2a、3aが、最外周方向の18個の線材通過穴18a、18b及び、その内側に設けられた12個の線材通過穴18a、18bへ供給されるようになっている。線材2aは、図4に示すように、図1における太径線2の位置に対応する線材通過穴18aへと供給され、線材3aは、図4に示すように、図1における細径線3の位置に対応する線材通過穴18bへと供給される。
【0059】
前記線材通過穴18a、18bを通過した線材2a、3aは、目板18の中心方向、すなわち、圧縮ダイス17の中心方向に均等に寄せ集められる。
【0060】
寄り集められた線材2a、3aは、撚線機16に供給される。該撚線機16に線材2a、3aが供給される際、図3(a)に示すように、線材2a、3aとで形成される円の中心に位置するようにリードワイヤ40を同時に供給する。
【0061】
該リードワイヤ40の直径は、第2層13の内径である第1層12の外径、すなわち、太径線2の直径の3倍の直径と同一のものを使用する。また、リードワイヤ40の長さは、素線2、3の長さより短ければよく、本実施例においては150mmのものを用いた。リードワイヤ40の材質は、限定されるものではないが、線材2a、3aと同じ材質とすることが望ましい。
【0062】
線材2a、3aは、所定の配列で配設された状態で、リードワイヤ40と圧縮ダイス17間を通過するとともに、撚線機16により一方向に撚られる。なお、圧縮ダイス17による圧縮率は任意に設定し、撚りピッチも任意に設定する。
【0063】
圧縮ダイス17及びリードワイヤ40により、線材2a、3aは、圧縮変形されて、太径線2及び細径線3となり、第2層13及び最外層14を形成する。
【0064】
次に、図3(b)に示すように、線材供給部19から線材2aを、前記目板18の線材通過穴18cへ供給する。このとき、線材2aが、中心部の1個の線材通過穴18c、及び、その外側に設けられた6個の線材通過穴18cへ供給されるようになっている。なお、線材供給部19、20からも、線材2a、3aを、前記と同様に、前記目板18の線材通過穴18a、18bへ供給し続ける。
【0065】
線材2aは、図4に示すように、線材通過穴18cへと供給され、線材通過穴18cを通過した線材2aは、目板18の中心方向、すなわち、圧縮ダイス17の中心方向に均等に寄せ集められる。
【0066】
寄り集められた線材2aの最先端は、前記リードワイヤ40の後端部に接着連結されており、寄り集められた線材2aは、リードワイヤー40が位置した場所に供給される。
【0067】
供給された線材2aは、撚線機16により一方向に撚られ、太径線2となり、中心線12及び第1層13を形成する。
【0068】
以上により、圧縮ダイスを用いた撚線導体1が連続的に形成される
なお、圧縮ダイスを用いず圧縮変形することなく、撚線導体1を製造する場合には、圧縮ダイス17及びリードワイヤ40を用いず、上記と同様の製造方法により製造する。
【0069】
本実施例1の撚線導体1は、上記の構造を有しているために、次のような作用、効果を奏する。
【0070】
撚線導体1の外形形状を略真円形状とすることができる。
撚線導体1の外形が略真円形状で、かつ、上述のように、従来技術1、2の撚線導体100、201よりも細径化できることにより、絶縁材の被覆を外周全体にわたって、厚みを薄く、かつ、略均一化することができ、絶縁材の減量を図り、コストを低減することができる。
【0071】
また、本実施例1の撚線導体1は、従来技術2の撚線導体201と比較して、最外層14を形成する素線2、3が、圧縮変形されることなく、若しくは低い圧縮率の圧縮変形により形成されるため、のび特性、柔軟性、可とう性等の物理特性を損うことなく、若しくは物理特性の低下率を低く抑え、線材の物理特性を高く維持することができ、信頼性の高い撚線導体1を得ることができる。
【0072】
次に、本実施例1の具体的な適用例について説明する。
上記式(7)の関係となるように、太径線2の基となる直径dを0.260mmの線材2aと、細径線3の基となる直径dをd=0.822875×d=0.214mmの線材3aを用いて、撚ピッチ15.6mm、圧縮率1.9%で一括撚線として撚線導体1を得、これを実施品1とした。なお、線材2a、3aの材質は、錫メッキ軟銅線である。
【0073】
この実施品1を顕微鏡にて観察すると、各素線は隣接する素線と複数の接触点を有していた。
【0074】
また、0.260mmの錫メッキ軟銅線を線材として用い、撚ピッチ14.4mm、圧縮率4.6%にて、従来技術2の撚線導体201を作成し、これを比較品1とした。
【0075】
実施品1の外層を構成する素線の伸び率の平均値は13.3%であった。一方、比較品1の外層を構成する素線の伸び率の平均値は6.1%であった。
【0076】
本願発明の撚線導体1の伸び率は、比較品1と比較して圧縮率が低いことから、従来技術2のものよりも物理特性が高く、品質の高いものが得られることが分った。
【実施例2】
【0077】
図5、6は、本実施例2を示すものである。
図5は、撚線導体21の軸方向と直交する方向に切断した断面模式図である。なお、各素線の断面を示す斜線は、図の煩雑を避けるために省略した。
【0078】
実施例2に示す該撚線導体21は、図5に示すように、総数37心の素線で構成され、該素線は、太径線(素線)22と、該太径線22より直径が小さい中径線(素線)23と、該中径線23より直径が小さい細径線(素線)24との3種類により構成されている。
【0079】
また、前記撚線導体21は、中心に位置する1心の太径線22により形成された中心線31と、該中心線31の外周を覆い囲むように配置された6心の太径線22により形成された第1層32と、該第1層32の外周を覆い囲むように配置された6心の太径線22と6心の中径線23からなる総計12心により形成された第2層33と、該第2層33の外周を覆い囲むように配置された12心の太径線22と6心の細径線24からなる総計18心により形成された第3層(最外層)34とで構成されている。
【0080】
なお、前記素線22、23、24は、断面円形(丸形)の線材を基にして形成されたものである。この線材としては、従来と同様に、銅線や該銅線に、錫、ニッケル、銀をメッキしたもの、或いはアルミ線、各種合金線が使用できる。
【0081】
前記第1層32を形成する各太径線22は、図5に示すように、中心線31の中心Aから等距離に位置し、かつ、隣接する第1層を形成する太径線22の相互、及び中心線31と点接触するように配置されている。この接触は、図5の断面においては点接触し、軸方向では線接触している。
【0082】
前記第2層33を形成する6心の太径線22は、それぞれ、その一部が第1層32における隣接する太径線22、22の外周面間で形成された各谷部36に入り込み、かつ、第1層32を形成する少なくとも一心の太径線22と点接触するように配置されている。そして、第2層33の周方向に隣り合う太径線22と太径線22との間には、図5に示すように、1心の中径線23が配置されている。すなわち、第2層13の周方向には、太径線22と中径線23が交互に配置されている。
【0083】
前記最外層34を形成する6心の細径線24は、それぞれ、第2層を形成する中径線23の頂点部、すなわち、中心線31の中心Aと第2層を形成する中径線23の中心を結ぶ線の延長線上、若しくは、その近傍に最外層34を形成する細径線24の中心が位置するように配置されている。そして、最外層34の周方向に隣り合う細径線24と細径線24との間には、図5に示すように、2心の太径線22、22が配置されている。すなわち、最外層34の周方向において、各細径線24と24との間に、2心の太径線22、22が配置されている。
【0084】
また、上記の構成により撚線導体21の外形形状は、略真円形状、つまり、中心線31の中心Aから最外層34を形成する細径線24の最外縁端Bまでの距離L5と、中心線31の中心Aから最外層を形成する太径線22の最外縁端Cまでの距離L6が略同一となるように形成されている。つまり、最外層34を形成する全ての太径線22及び細径線24の最外縁端B、Cは、図5に示すように、中心線31の中心Aから細径線24の最外縁端Bまでの距離L5を半径とする略真円線の上に位置するように形成されている。
【0085】
次に、撚線導体21において、中心線31の中心Aから最外層34を形成する細径線24の最外縁端Bまでの距離L5と、中心線31の中心Aから最外層34を形成する太径線22の最外縁端Cまでの距離L6が略同一となるような関係について説明する。
【0086】
太径線22、中径線23、細径線24と、それぞれの基となる線材の断面形状はそれぞれ同一形状の真円であるとし、太径線22の直径をd11とし、中径線23の直径をd12とし、細径線24の直径をd13とする。
【0087】
中心線31の中心Aから最外層34を形成する細径線24の最外縁端Bまでの距離L5は、
L5=d11/2+d11+d12+d13 ・・・(21)
となる。
【0088】
本実施例2の撚線導体21は、従来技術1(図7)の撚線導体100における最外層の六角形の頂点部を形成する6心の素線106、及び、その6心と中心線とを結んだ線上に位置する第2層を形成する6心の素線108を、その他の素線と径の異なる素線に置き換えたものである。
【0089】
そのため、図7の従来技術1の撚線導体100における中心線102の中心Aから最外層105を形成する頂点部の素線106の隣の素線107の最外縁端Cまでの距離L3と、本実施例2の撚線導体21における中心線31の中心Aから最外層34を形成する太径線22の最外縁端Cまでの距離L6は、従来技術1の撚線導体100の素線の直径と、太径線22の直径をd11とが同一の場合に同一となると仮定する。
【0090】
図7において、隣接する辺部の素線107、107間の接点をDとし、中心線102の中心Aから点Dまでの距離をxとし、素線107の中心をEとし、線ADと線AEとで形成される角度をθとすると、
L6=L2=AE+d11/2
=x×secθ+d11/2 ・・・(22)
となり、素線106の中心をFとすると、
cos30°=AD/A
=x/(3×d11
より、x=3d11・cos30° ・・・(23)
となる。
【0091】
また、tanθ=DE/A
=(d11/2)/x ・・・(24)
式(23)、(24)より
θ=10.89339° ・・・(25)
となり、式(22)、(23)、(25)より
L6=3.14575d11 ・・・(26)
となる。
【0092】
以上より、L5=L6となるのは、
式(21)、(26)より、
12+d13=1.64575d11 ・・・(27)
となる。
【0093】
従来技術1の撚線導体100の頂点部の素線106の中心点をG(図6参照)とし、距離BGをyとすると、図6に示すように、
L6=L5 = 距離AG+y
= d11/2+d11+d11+d11/2+y ・・・(28)
となり、式(26)、(28)より
y=0.14575d11 ・・・(29)
となる。
【0094】
撚線導体21の最外層34を形成する太径線22の中心点をHとすると、
距離GH=d11/2+d11/2
となり、撚線導体21の最外層34を形成する細径線24の中心点をIとし、従来技術1の撚線導体100の素線107とその内側に位置する素線108との接点をJとし、距離IJ=距離IGと仮定すると、
IB=d13/2
=y+距離IG =y+距離JG/2 ・・・(30)
となり、線HJと線HGとで形成される角度を30度と近似すると、
距離JG=距離HG×sin30°=d11/2 ・・・(31)
となる。
【0095】
従って、式(29)〜(31)より、
13=0.79150d11 ・・・(32)
となり、式(27)、(32)より
12=0.85425d11 ・・・(33)
という関係式が得られ、このような関係が成り立つ太径線22、中径線23、細径線24を用いて撚線導体21を構成することにより、中心線31の中心Aから最外層34を形成する細径線24の最外縁端Bまでの距離L5と、中心線31の中心Aから最外層を形成する太径線22の最外縁端Cまでの距離L6が略同一とすることができる。
【0096】
また、本実施例2の撚線導体21の外径D4は、D4=2×L5であるので、式(21)より
D4=2×(d11/2+d11+d12+d13) ・・・(34)
となり、この式(34)に式(32)、(33)を導入すると
D4=6.2915×d11 ・・・(35)
となる。
【0097】
一方、従来技術1において、各素線(線材)の直径をd11と仮定した場合の撚線導体100の最大外径D5は、図4からも明らかなように、
D5=7×d11 ・・・(36)
である。
【0098】
また、従来技術2の撚線導体201の外径D6は、各素線(線材)の直径をdで、かつ、その圧縮率を直径比において3%(撚線導体201における最良の圧縮率)と仮定すると、
D6=7×d11×(1−3/100)=6.79×d11 ・・・(37)
である。
【0099】
従って、D4<D6<D5となり、本実施例2の撚線導体21は、従来技術1、2の撚線導体101、201よりも、最大外径を小さくすることができることが分かる。
【0100】
しかし、このように従来技術1、2の素線をd11と仮定すると、本実施例2の撚線導体21と従来技術の撚線導体101、201とでは、導体断面積が異なる。
【0101】
そこで、次に、本実施例2の撚線導体21と従来技術1、2の撚線導体101、201の導体断面積を同一にした場合の撚線導体1、101、201の外径D4’、D4’、D6’の比較を行なう。
【0102】
本実施例2の撚線導体1の断面積S4は、
S4=(π/4×d11×25)+(π/4×d12×6)+(π/4×d13×6) ・・・(38)
この式(38)に式(32)、(33)を導入すると、
S4=26.0260×d11・・・(39)
となる。
【0103】
一方、従来技術1の撚線導体101の素線の直径をdとすると、撚線導体100の断面積S2は、
S5=π/4×d×37
=29.0598×d ・・・(40)
となる。
【0104】
撚線導体21の導体断面積S4と、従来技術1の撚線導体101の導体断面積S5とが同一となるのは、S4=S5、式(39)、(40)より、
11=1.05667×d ・・・(41)
となる。
【0105】
従って、撚線導体1の外径D4’は、式(35)、(41)より、
D4’=6.2915×d=6.64803×d ・・・(42)
また、従来技術1、2の撚線導体100、201の外径D2’、D3’は、式(36)、(37)より、
D5’=7×d ・・・(43)
D6’=6.79×d ・・・(44)
となる。
【0106】
従って、撚線導体21と従来技術100、201の導体断面積を同一にした場合においても、D4’<D6’<D5’の関係が成り立ち、本実施例2の撚線導体21は、従来技術1の撚線導体100よりも約5%、従来技術2の撚線導体201よりも約2%、外径を細くできることが分かる。
【0107】
上記のように、計算された関係を有する太径線22、中径線23、細径線24と同径の線材を用いて、圧縮することなく撚線導体を製造すると、図6に示すように、中心線31の中心Aから最外層34を形成する細径線24の最外縁端Bまでの距離L5と、中心線31の中心Aから最外層を形成する太径線22の最外縁端Cまでの距離L6が略同一となる撚線導体を得ることができる。
【0108】
本実施例2の撚線導体21の製造方法は、前記実施例1と同様である。
本実施例2の撚線導体21は、前記実施例1と同様の作用、効果を奏する。
【0109】
また、本実施例2の撚線導体21は、圧縮しない状態で、前記実施例1よりも、より真円形状に近い撚線導体21を得ることができる。
【0110】
次に、本実施例2の具体的な適用例について説明する。
上記式(32)、(33)の関係となるように、太径線22の直径d11を0.260mm、中径線23の直径d12をd12=0.85425×d11=0.222mm、細径線24の直径d13をd13=0.79150×d11=0.206mmとする3種類の素線22、23、24を用いて、撚ピッチ18.7mmで一括撚線として撚線導体21を得、これを実施品2とした。なお、素線22、23、24の材質は、錫メッキ軟銅線である。
【0111】
この実施品2を顕微鏡にて観察すると、各素線は隣接する素線と複数の接触点を有していた。
【0112】
また、実施品2の外層を構成する素線の伸び率の平均値は19.2%であった。本実施品2は、圧縮していないため、低い圧縮率の前記実施例1における実施品1(伸び率の平均値13.3%)よりも伸び率が高く、前記実施例1のものよりも、物理特性が高く、品質の高いものが得られることが分った。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明における実施例1の撚線導体の軸方向と直交する方向に切断した断面模式図。
【図2】本発明における実施例1を説明するための部分拡大図。
【図3】本発明における実施例1の撚線導体の製造方法を示す概略図。
【図4】本発明における実施例1の撚線導体の製造時に用いる目板の正面図。
【図5】本発明における実施例2の撚線導体の軸方向と直交する方向に切断した断面模式図。
【図6】本発明における実施例2を説明するための部分拡大図。
【図7】従来技術1の撚線導体の軸方向と直交する方向に切断した断面図。
【図8】従来技術2の撚線導体の軸方向と直交する方向に切断した断面図。
【符号の説明】
【0114】
1、21 撚線導体
2、22 太径線(素線)
23 中径線(素線)
3、24 細径線(素線)
2a、3a 線材
11、31 中心線
12、32 第1層
13、33 第2層
14、34 最外層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1心の素線を中心線とし、該中心線の周囲を6心の素線が覆い囲んで第1層を形成し、該第1層の外周を12心の素線が覆い囲んで第2層を形成し、該第2層の外周を18心の素線が覆い囲んで最外層を形成する37心の撚線導体であって、
前記最外層を構成する18心の内の12心の素線の基となる線材の直径、及び、第2層を構成する12心の内の6心の素線の基となる線材の直径を、前記中心線及び第1層を構成する素線の基となる線材の直径と同一に設定し、
前記最外層を構成する18心の内の他の6心の素線の基となる線材の直径、及び、第2層を構成する12心の内の他の6心の素線の基となる線材の直径を、前記中心線及び第1層を構成する素線の基となる線材の直径よりも小さく設定したことを特徴とする撚線導体。
【請求項2】
前記第2層を、前記中心線の基となる線材の直径よりも小さい直径の線材から形成される素線と、前記中心線の基となる線材の直径と同一の直径の線材から形成される素線とを、周方向に交互に配列して構成し、
前記第2層を構成し、かつ、前記中心線の基となる線材の直径よりも小さい直径の線材から形成された素線の頂点部に、前記最外層を構成し、かつ、前記中心線の基となる線材の直径よりも小さい直径の線材から形成された素線を配列したことを特徴とする請求項1記載の撚線導体。
【請求項3】
前記中心線の中心点から、前記最外層を構成し、かつ、前記中心線の基となる線材の直径よりも小さい直径の線材から形成された素線の最縁端までの距離と、
前記中心線の中心点から、前記最外層を構成し、かつ、前記中心線の基となる線材の直径と同一の直径の線材から形成された素線の最縁端までの距離とが、
同一であることを特徴とする請求項2記載の撚線導体。
【請求項4】
前記最外層を構成する素線の基となる線材で、かつ、前記中心線の基となる線材の直径よりも小さい直径を有する線材の直径と、
前記第2層を構成する素線の基となる線材で、かつ、前記中心線の基となる線材の直径よりも小さい直径を有する線材の直径とが、
同一であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撚線導体。
【請求項5】
前記最外層を構成する素線の基となる線材で、かつ、前記中心線の基となる線材の直径よりも小さい直径を有する線材の直径を、
前記第2層を構成する素線の基となる線材で、かつ、前記中心線の基となる線材の直径よりも小さい直径を有する線材の直径よりも
小さくしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撚線導体。
【請求項6】
前記最外層を圧縮変形して形成したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の撚線導体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−54410(P2009−54410A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219989(P2007−219989)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(395005169)三洲電線株式会社 (10)
【Fターム(参考)】