説明

撮像データ管理方法および撮像装置

【課題】取材指示データ内のタイトル情報に基づいて収録されるファイルに対するファイル名が自動的に付与され、撮像から放送局素材サーバへの取込み処理までの作業を効率的に行うことが可能となる。
【解決手段】S101において、メニューにおける設定が調べられる。取材指示データ内のタイトル情報に基づく命名を選択したと判定されると、S104において、取材指示データの有無が判定される。取材指示データが有り、その中にタイトル情報が有る場合には、S105において、取材指示データ内のタイトル情報に基づく命名がなされて処理が終了する。若し、S104において、取材指示データが無いと判定される場合、並びに取材指示データが有るが、その中にタイトル情報が無い(または無効)場合には、S102において、標準名によるクリップ名が付けられて処理終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光ディスク等のメディアに対して撮像データを記録するレコーダ一体型のビデオカメラに対して適用される撮像データ管理方法および撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
放送局が例えばニュース番組を制作する場合、どのようなニュースを取材するかの計画が立てられる。この計画に基づいて、カメラオペレータがレコーダ一体型のビデオカメラ(以下、カムコーダと適宜省略する)によって撮像を行う取材がなされる。取材で収集された素材が素材記録サーバに蓄積される。そして、取材計画に基づいて蓄積されている素材が編集されて最終的に放送されるニュース番組映像が作成される。
【0003】
取材を行うカメラオペレータに対して取材指示を行うために、下記の特許文献1には、取材指示のメタデータを放送局から撮像場所に移動する撮像装置に対して無線通信により送信し、撮像装置がメタデータを映像データおよび音声データと共に記録媒体に記録することが記載されている。
【0004】
【特許文献1】再公表特許 WO01/060059
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている撮像装置では、計画段階で作成されたメタデータが撮像装置の記憶装置に記録し、映像を記録する際に、映像データおよび音声データと共に記録媒体に記録されている。しかしながら、特許文献1において記載されている記録媒体は、テープ状媒体であって、シーケンシャルな記録を行うものであった。最近では、ランダムアクセス可能な記録媒体例えばディスク状記録媒体を使用し、予め規定されたファイル構造を有するように、映像データを記録するカムコーダが実用化されている。ファイルは、撮像時のシーン、カット等に対応しており、ファイルを集合として番組が作成される。この場合では、特許文献1に記載のものより細かいファイル単位でもって取材指示との関連付けを行えることが必要とされる。
【0006】
さらに、取材現場の事情を考慮すると、取材指示を受けるタイミングに柔軟性があることが望まれる。例えば撮像直前に限らず、前もって取材指示を受けることができる。さらに、取材指示受信後に電源オフに影響されず、さらに、取材指示情報をカムコーダにロードした後に電源をオフしても、電源オン後に直ちに取材指示に基づく収録を行えることが望まれる。
【0007】
したがって、この発明の目的は、ファイル単位でもって自動的に取材指示内容との関連付けを行うことができ、さらに、取材指示を受けるタイミングが直前に限定されない撮像データ管理方法および撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、この発明は、レコーダが一体構成の撮像装置に対して取材指示データが入力され、不揮発性メモリおよび記録メディアに取材指示データが記録される取材指示データ入力ステップと、
ファイル単位で撮像データを取得する記録ステップと、
記録メディアに記録されるファイルに対するファイル名が取材指示データに含まれるタイトル情報に基づき自動的に命名され、命名されたファイル名が不揮発性メモリおよび記録メディアに記録されるステップと
からなる撮像データ管理方法である。
【0009】
取材指示データがUSBメモリまたはディスク経由で撮像装置に対して入力される。
【0010】
取材指示データが無線通信によって撮像装置に対して入力される。
【0011】
さらに、次に収録するファイルに対するファイル名がビューファインダに表示される。
【0012】
ファイル名がタイトル名と記録の度に1づつ変化する連続番号とからなる。
【0013】
撮像装置の電源のオン時に、次に設定される取材指示内容を不揮発性メモリから取得し、自動的に制御部に対してロードする。
【0014】
さらに、取材指示データに対して記録されたファイルの識別子を追記する。
【0015】
この発明は、撮像部と、
撮像部からの撮像信号に対して信号処理を行う信号処理部と、
ビューファインダと、
記録メディアとのメディアインターフェース部と、
コンピュータ、不揮発性メモリおよびメモリを有する制御部と、
制御部に対して接続される操作部、表示部および入力インターフェース部とを備え、
制御部は、メディアインターフェース部および入力インターフェース部の少なくとも一方を制御して取材指示データを取得し、
制御部は、不揮発性メモリおよび記録メディアに取材指示データを記録し、
制御部は、記録メディアに記録されるファイルに対するファイル名を取材指示データに含まれるタイトル情報に基づき自動的に命名し、命名されたファイル名を不揮発性メモリおよび記録メディアに記録する
撮像装置である。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、取材指示データに含まれるタイトル情報に基づいて収録されるファイルに対するファイル名が自動的に生成される。したがって、撮像から放送局素材サーバへの取込み処理までの作業を効率化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、この発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、この発明の範囲は、以下の説明において、特にこの発明を限定する旨の記載がない限り、実施の形態に限定されないものとする。
【0018】
この発明は、レコーダが一体構成の撮像装置に対して取材指示データが入力され、不揮発性メモリおよび記録メディアに取材指示データが記録される取材指示データ入力ステップ(図3に示す無線LAN経由の入力、図5に示すUSBメモリ経由の入力、図6に示すディスク経由の入力)と、
ファイル単位で撮像データを取得する記録ステップ(図11に示す記録処理)と、
記録メディアに記録されるファイルに対するファイル名が取材指示データに含まれるタイトル情報に基づき自動的に命名され、命名されたファイル名が不揮発性メモリおよび記録メディアに記録されるステップ(図11におけるステップS93〜S96、並びに図12におけるステップS104、S105)と
からなる撮像データ管理方法である。
【0019】
この発明は、撮像部(カメラブロック1)と、
撮像部からの撮像信号に対して信号処理を行う信号処理部2と、
ビューファインダ3と、
記録メディアとのメディアインターフェース部(ディスクドライブ4)と、
コンピュータ6、不揮発性メモリ9およびメモリ8を有する制御部5と、
制御部5に対して接続される操作部、表示部および入力インターフェース部(操作パネルおよび液晶表示部10、USBインターフェース11、無線LANインターフェース12)とを備え、
制御部5は、メディアインターフェース部および入力インターフェース部の少なくとも一方を制御して取材指示データを取得し、
制御部5は、不揮発性メモリ9および記録メディア(ディスク)に取材指示データを記録し、
制御部5は、記録メディアに記録されるファイルに対するファイル名を取材指示データに含まれるタイトル情報に基づき自動的に命名し、命名されたファイル名を不揮発性メモリ9および記録メディア(ディスク)に記録する
撮像装置である。
例えば制御部5のDRAM8から不揮発性メモリ9へ取材指示データおよび命名されたファイル名が伝達されて不揮発性メモリ9へ記録され、DRAM8から記録メディア(ディスク)へ取材指示データおよび命名されたファイル名が伝達されて記録メディア(ディスク)へ記録される。
【0020】
この発明の一実施の形態について、図1を参照して概略的に説明する。放送局101において、例えばニュース番組の取材計画が策定され、取材指示が作成される。取材指示が収録を行うカムコーダに対して入力される。入力方法として3種類の方法が可能とされている。
【0021】
第1の方法は、放送局101からネットワーク103を介して電子メールに添付した取材指示データ(取材指示の内容を表しているので、以下の記載において取材指示内容と表記する場合もある)をスマートフォン104に対して送信する。スマートフォン104が取材指示データを受信し、無線LAN(Local Area Network)経由でカムコーダ102に対してスマートフォン104が取材指示データを送信する。
【0022】
第2の方法は、USB(Universal Serial Bus)メモリ105を介して取材指示データを放送局101がカムコーダ102に入力する方法である。第3の方法は、ディスク106を介して取材指示データを放送局101がカムコーダ102に入力する方法である。USBメモリ105およびディスク106に対しては、放送局101において、予め取材指示データが書き込まれている。
【0023】
カムコーダ102は、例えばディスクを記録媒体として使用し、取材指示データが書き込まれるディスク106に対して映像音声データが収録される。ディスク106は、カートリッジ内に相変化記録型の光ディスクが配され、シャッターを有するものである。405nmの波長のレーザが使用され、単層光ディスクの場合で23.3GBで、2層光ディスクの場合で50GBの容量を有する。
【0024】
ディスク106には、例えばMPEG2(Moving Picture Experts Group2)により圧縮
された高解像度映像音声データが記録される。さらに、ディスク106には、日付、時刻、各種コメント等の収録映像の付加情報や、オフライン編集用に活用可能なプロキシAV(Audio Visual)データ(低ビットレート映像データ)がメタデータとして記録される。
取材指示データは、メタデータの一つとしてディスク106に記録される。ディスク106に対する記録は、ファイル単位で行われる。ファイルは、シーン、カット等に対応した高解像度映像音声データであり、クリップと称される。番組は、クリップの集合体である。ファイルの形式としては、種々のものを使用できる。
【0025】
取材指示データには、取材指示のタイトルが含まれている。カムコーダ102は、収録したクリップに対して、クリップ名(ファイル名)を付加する。ファイル名の付け方として例えば3種類の方法が提供され、ユーザがその一つの方法を設定する。すなわち、ファイル名として標準的な名前を与える方法、ユーザが入力したタイトルを与える方法、取材指示のタイトルを反映したファイル名を付与する方法の何れかが予め設定される。取材指示のタイトルに基づいてファイル名を与えることによって、後の編集工程を効率的に行うことが可能となる。
【0026】
図2を参照してカムコーダ102の構成について説明する。カメラブロック1には、撮像素子、撮像素子駆動回路、レンズ系、A/Dコンバータ等が含まれる。カメラブロック1からの撮像データが信号処理部2に供給される。信号処理部2において、撮像データに対して、圧縮符号化、エラー訂正符号化、フォーマット化等の信号処理が施される。さらに、ディスクから再生されたデータに対してフォーマット分解、エラー訂正符号の復号、圧縮符号化の復号等の処理がなされる。
【0027】
信号処理部2に対して接続されたビューファインダ3には、撮像画像が表示される。信号処理部2に対してディスクドライブ4が接続される。ディスクドライブ4によって光学ディスクに対してデータが記録され、また、ディスクから読み込まれたデータが信号処理部2に供給される。
【0028】
カメラブロック1、信号処理ブロック2、ディスクドライブ4を制御するための制御部5が設けられている。制御部5は、カムコーダを全体的に制御するCPU(Central Processing Unit)6が設けられる。CPU6に対して、フラッシュメモリ7、DRAM(Dynamic Random Access Memory)8および不揮発性メモリ9が接続される。DRAM8および不
揮発性メモリ9は、CPU6の制御の下で、必要なデータを記憶する。例えば取材指示データ中および命名されたファイル名が記憶される。
【0029】
さらに、制御部5に対して操作パネルおよび液晶表示部10が接続され、ユーザの操作の情報が制御部5に供給され、制御部5からの情報が液晶パネルに表示可能とされている。制御部5に対してUSBメモリインターフェース11および無線LANインターフェース12がそれぞれ接続されている。
【0030】
取材指示データは、メタデータの一つであり、上述したカムコーダの制御部5が解釈可能な形式を有する。例えば取材指示データは、XML(eXtensible Markup Language)形式のファイルとされている。
【0031】
〔取材指示ファイルのカムコーダに対する入力〕
取材指示ファイルをカムコーダに入力する入力方法としては、3通りの方法が可能とされている。取材指示ファイル中に取材指示データが記述されている。第1の方法は、スマートフォンを使用して無線LAN経由でカムコーダに対して取材指示ファイルを転送する方法である。スマートフォンとは、通話機能のみならず、コンピュータとしての機能をも有する携帯電話である。放送局から取材指示が電子メールに添付されてスマートフォンに対して送信される。スマートフォンでは、取材指示メールを受信し、取材指示内容を確認する。そして、無線LAN経由でカムコーダに対して取材指示ファイルが転送される。
【0032】
なお、電子メールを受信し、受信した取材指示ファイルをカムコーダに無線LANを経由して転送できる機能を有する電子機器であれば、スマートフォンに限らず、PDA、携帯型パーソナルコンピュータ等を使用しても良い。
【0033】
第2の方法は、USBメモリ経由で取材指示ファイルをカムコーダに入力する方法である。放送局にて取材指示ファイルをUSBメモリに書き込む。このUSBメモリをカムコーダに対して装着する。カムコーダがUSBメモリに格納されている取材指示ファイルを取り込む。USBメモリに代えてメモリカードを使用しても良い。
【0034】
第3の方法は、ディスク経由の方法である。放送局において、取材指示ファイルをディスクにメタデータとして書き込む。このディスクは、カムコーダが取材時に使用するものと同一のものである。このディスクがカムコーダに挿入される。ディスクに格納されている取材指示ファイルがカムコーダに取り込まれる。
【0035】
図3を参照して、スマートフォンを使用して無線LAN経由でカムコーダに対して取材指示ファイルを入力する方法についてより詳細に説明する。なお、以下のフローチャートで説明される処理は、カムコーダ内の制御部のCPUの制御の下でなされる。ステップS1において、スマートフォンとカムコーダとの無線LANの接続確立がなされる。ステップS2において、接続が確立(OK)されたか否かが判定される。若し、接続が確立されない場合には、処理が中止される(ステップS3)。
【0036】
接続が確立されたとステップS2において判定されると、ステップS4において、スマートフォンからカムコーダへ取材指示ファイルが転送される。カムコーダでは、受信した取材指示ファイルが取材のために装着されているディスクに書き込まれる。ステップS5において、取材指示ファイルの転送が完了したか否かが判定され、転送が完了するまで、データが転送される。
【0037】
ステップS5において、転送が完了したと判定されると、ステップS6において、スマートフォンとカムコーダとの無線接続が切断される。
【0038】
カムコーダでは、取材指示ファイルの内容がチェックされる(ステップS7)。すなわち、カムコーダの制御部において、受信した取材指示ファイルのデータの内容を解析し、正常か否かが調べられる。チェックの結果が正しい(OK)か否かがステップS8において判定される。若し、チェックの結果が正しくない(NG)であれば、ステップS9において、受信データがNGであることが液晶表示部に表示されて、処理が終了する。
【0039】
ステップS8の判定結果が正しいものであると、ステップS10において、受信した取材指示ファイルが不揮発性メモリに保存される。この場合、不揮発性メモリの容量の制約から取材指示ファイルの一部が保存されるようにしても良い。但し、ディスクに対しては、取材指示ファイルが全てメタデータとして書かれる。そして、ステップS11において、取材指示ファイル入力が完了したことが液晶表示部に表示される。
【0040】
ステップS12において、受信した取材指示ファイルに基づき、次に撮影するクリップの名前が設定される。この場合、クリップ名に含まれる「3桁数値」の初期値(001)を不揮発性メモリに保存する。ステップS13において、設定した次に撮影するクリップの名前がビューファインダーに表示される。以上で処理が終了する。
【0041】
ステップS13では、一例として、図4に示すように、カムコーダのビューファインダー51にクリップ名52として「Interview 050 」が表示される。
【0042】
図5を参照して、USBメモリ経由で取材指示ファイルをカムコーダに入力する方法についてより詳細に説明する。ステップS21において、放送局にて取材指示ファイルが書き込まれたUSBメモリがカムコーダに対して装着される。ステップS22において、読み取った取材指示ファイルをディスクに書き込むために、カムコーダに対してディスクが挿入される。
【0043】
ステップS23において、操作パネルが操作され、USBメモリからの取材指示ファイルの読み取りモードが設定される。
【0044】
ステップS24において、液晶表示部にUSBメモリ上のファイル名が表示される。ステップS25において、操作パネルが操作され、読み込む取材指示ファイルが選択される。
【0045】
ステップS26において、選択された取材指示ファイルがUSBメモリより読み込まれる。ステップS27において、読み込んだ取材指示ファイルの内容がチェックされる。すなわち、カムコーダの制御部において、読み込んだ取材指示ファイルのデータの内容を解析し、正常か否かが調べられる。
【0046】
チェックの結果が正しい(OK)か否かがステップS28において判定される。若し、チェックの結果が正しくない(NG)であれば、ステップS29において、読み込んだデータがNGであることを液晶表示部に表示して、処理が終了する。
【0047】
ステップS28の判定結果が正しいものであると、ステップS30において、読み込んだ取材指示ファイルがディスクに書き込まれる。ステップS31において、読み込んだ取材指示ファイルが不揮発性メモリに保存される。この場合、不揮発性メモリの容量の制約から取材指示ファイルの一部が保存されるようにしても良い。但し、ディスクに対しては、取材指示ファイルが全て書かれる。
【0048】
ステップS32において、読み込んだ取材指示データに基づき、次に撮影するクリップの名前が設定される。この場合、クリップ名に含まれる「3桁数値」の初期値(001)を不揮発性メモリに保存する。ステップS33において、設定した次に撮影するクリップの名前がビューファインダーに表示される。以上で処理が終了する。
【0049】
図6を参照して、ディスク経由で取材指示ファイルをカムコーダに入力する方法についてより詳細に説明する。ステップS41において、放送局にて取材指示ファイルが書き込まれたディスクがカムコーダに対して挿入される。
【0050】
ステップS42において、操作パネルが操作され、ディスクからの取材指示ファイルの読み取りモードが設定される。
【0051】
ステップS43において、液晶表示部にディスク上のファイル名が表示される。ステップS44において、操作パネルが操作され、読み込む取材指示ファイルが選択される。
【0052】
ステップS45において、選択された取材指示ファイルがディスクより読み込まれる。ステップS46において、読み込んだ取材指示ファイルの内容がチェックされる。すなわち、カムコーダの制御部において、読み込んだ取材指示ファイルのデータの内容を解析し、正常か否かが調べられる。
【0053】
チェックの結果が正しい(OK)か否かがステップS47において判定される。若し、チェックの結果が正しくない(NG)であれば、ステップS48において、読み込んだデータがNGであることを液晶表示部に表示して、処理が終了する。
【0054】
ステップS47の判定結果が正しいものであると、ステップS49において、読み込んだ取材指示データが不揮発性メモリに保存される。この場合、不揮発性メモリの容量の制約から取材指示ファイルの一部が保存されるようにしても良い。但し、ディスクに対しては、取材指示ファイルが全て書かれる。
【0055】
ステップS50において、読み込んだ取材指示データに基づき、次に撮影するクリップの名前が設定される。この場合、クリップ名に含まれる「3桁数値」の初期値(001)を不揮発性メモリに保存する。ステップS51において、設定した次に撮影するクリップの名前がビューファインダーに表示される。以上で処理が終了する。
【0056】
〔入力された取材指示内容の確認〕
上述した3種類の方法の何れかによって入力された取材指示ファイルの内容は、カムコーダの液晶表示部に表示して確認することが可能とされている。図7のステップS61に示すように、カムコーダの操作パネルが操作されて取材指示内容の表示モードが設定される。ステップS62において、液晶表示部に取材指示内容が表示される。
【0057】
図8に示すように、取材指示内容の一例が液晶表示部51に表示される。取材指示内容には、「指示ID」「指示作成日時」「指示更新日時」「指示者」「タイトル(英語)」「タイトル(日本語)」「取材場所」「取材日」「収録済みクリップ数」の項目が含まれている。
【0058】
〔電源投入時の取材指示内容の自動的ロード〕
上述したように、取材指示内容を入力した後、カムコーダの電源をオフしても、次の電源オン時に、先に入力した取材指示内容を自動的にカムコーダの制御部のDRAM(図2参照)へロードする。これによって、取材指示の入力を前もって行っておくことができ、直ぐに収録を行うことができる。
【0059】
図9に示すように、ステップS71において、カムコーダの電源がオンとされる。ステップS72において、取材指示内容およびファイル名に含まれている「3桁数値」の値が不揮発性メモリから読み込まれる。
【0060】
ステップS73において、読み込んだ内容に基づき次に撮影するクリップ名が設定される。ステップS74において、次に撮影するクリップ名がビューファインダに表示される。
【0061】
さらに、上述した自動的ロードの処理がなされた後に、ディスクがカムコーダに挿入されている場合には、ディスク内の取材指示ファイルを自動的に制御部のメモリへロードする動作がなされる。上述したように、不揮発性メモリの容量は、制約されており、取材指示ファイルの情報の一部しか格納していない場合がある。そのため、ディスク上に同一のファイルが存在してる場合には、全ての情報を含むディスク上のファイルの内容が読み取られるようになされる。
【0062】
図10に示すように、ステップS81において、ディスク中に不揮発性メモリに記憶されているものと同一のファイル名の取材指示ファイルが有るか否かが判定される。取材指示ファイルが無いと判定されると、処理が終了する。
【0063】
ステップS81において、取材指示ファイルが有ると判定されると、ステップS82において、取材指示内容がディスクから読み込まれる。ステップS83において、読み込んだ取材指示内容およびファイル名に含まれる3桁数値の値を不揮発性メモリに反映する。
【0064】
ステップS84において、読み込んだ内容に基づいて次に撮影するクリップ名が設定される。ステップS85において、次に撮影するクリップ名がビューファインダに表示される。
【0065】
〔取材指示に基づいた収録の実行〕
取材指示ファイルが入力されているカムコーダによって収録を行うと、収録クリップに対して取材指示ファイルに基づくタイトルが自動的に付与される。
【0066】
図11におけるステップS91において、カムコーダの記録開始操作がなされる。ステップS92において、記録が開始される。ステップS93において、クリップのタイトルが取材指示に基づく内容に決定される。
【0067】
ステップS94において、記録完了操作が行われる。ステップS95において、記録クリップが確定され、ディスク上の取材指示ファイルに記録クリップとの関連情報が付加される。ステップS96において、クリップ名の「3桁数値」の値がインクリメントされ、次に撮影するクリップ名が設定される。このとき、インクリメントした「3桁数値」の値でもって不揮発性メモリの内容が更新される。
【0068】
〔クリップ名のルール〕
クリップ名の付与(命名)の方法としては、下記の3種類の方法が可能とされている。
1.標準名
大文字の「C」の後に4桁の数値(自動生成される)が付く形式である。例えば「C0001」。
2.ユーザ設定のタイトルに基づく命名
カムコーダ本体のメニュー操作によりユーザが入力したタイトル。
3.取材指示データ内のタイトル情報に基づく命名
この方法は、この発明の一実施の形態の特徴とするものであり、この内容については、後で詳述する。
【0069】
これらの3種類の方法の何れの方法を使用するかは、カムコーダ本体の操作パネルおよび液晶表示部を使用したメニュー設定によって選択される。メニュー設定によるクリップ名の付け方の方法の選択について図12を参照して説明する。
【0070】
ステップS101において、メニュー「AUTO FILE NAMING」における設定が設定値から調べられる。標準名を選択した場合の設定値が「C****」である。別メニュー項目で入力したタイトルに基づく命名を選択した場合の設定値が「title 」である。取材指示データ内のタイトル情報に基づく命名を選択した場合の設定値が「plan」である。但し、取材指示データそのものが存在しなかったり、データ中にタイトル情報が無い(または無効)場合は、クリップ名が標準名となる。
【0071】
設定値が「C****」であると判定されると、ステップS102において、標準名によるクリップ名が付けられて処理が終了する。設定値が「title 」であると判定されると、ステップS103において、ユーザが入力したタイトルに基づく命名がなされて処理が終了する。
【0072】
設定値が「plan」であると判定されると、ステップS104において、取材指示データの有無が判定される。取材指示データが有り、その中にタイトル情報が有る場合には、ステップS105において、取材指示データ内のタイトル情報に基づく命名がなされて処理が終了する。若し、ステップS104において、取材指示データが無いと判定される場合、並びに取材指示データが有るが、その中にタイトル情報が無い(または無効)場合には、ステップS102において、標準名によるクリップ名が付けられて処理終了する。
【0073】
取材指示データ内のタイトル情報に基づく命名の内容の一例について、図13に示す表を参照して説明する。クリップ名の形式は、「タイトル情報に基づくPrefix」+「3桁の数値」とされる。「3桁の数値」は、001から開始して新たなクリップが生成されるごとに数値が1ずつ増加する。
【0074】
「Prefix」は、図13に示すように、Title 要素およびus-ascii属性の内容によって決められる。Title 自体(Title 要素)は、多国の言語に対応しているが、英語表示しかできないシステムの存在を考慮して、英字のみの表記(us-ascii属性)が可能とされている。53バイト以上を不採用とするのは、ファイルシステムで制限されるファイル名の文字数制限を超えてしまうためである。
【0075】
〔取材指示データの内容の例〕
取材指示データの具体例について説明する。取材指示データの記述形式は、XMLを採用している。図14に、放送局から送られてきた取材指示内容の一例を示す。最初の行(記述部分)61には、XMLで記載されていること、並びに文字コードがUTF−8であることが記載されている。
【0076】
次の記述部分62には、「PlanningMetadata」で取材指示データの記述を行うことが示されている。「assignId」は、1件の取材指示ごとに一意に付けられるIDである。放送局内では、このIDによって、例えばタイトルが後で変更になっても同一の取材指示であることが識別可能とされている。「creationDate」および「lastUpdate」は、それぞれ生成、最終更新の日時を示す。
【0077】
次の記述部分63の「Properties」は、ここから取材指示の基本的な属性内容の記述を行うことが示す。その後の「update」および「modifiedBy」によって、いつ誰か最終更新した指示かが分かる。
【0078】
次の記述部分64は、取材指示のタイトルである。この発明の一実施の形態において、収録クリップ名に反映させる元情報となる。この例では、「大相撲初場所」がタイトルの内容であり、「xml:lang="ja" 」によって日本語表記であることが示される。さらに、ASCII の文字以外の表示ができない機器等に対応するために、「usAscii=」によって英文字表記のタイトルが併記されている。この例では、「January Grand Sumo Tounament」の表記が使用されている。
【0079】
次の記述部分65においては、「Meta name=」によって、取材指示に含めたい項目名が定義され、その内容が記載される。この例では、カメラオペレータの名前、プロデューサーの名前、レポーターの名前、場所、収録日時、オフィス、アポ日時が記載されている。
【0080】
最後の記述部分66では、「Description 」において、任意のテキスト記述(コメント)が記載可能とされている。この例では、取材に伴い行うべきことの指示が記載されている。すなわち、「19時までに局にプロキシAVデータを送信すること」が記載されている。
【0081】
図14に示す取材指示に基づいて実際に収録を行った場合の取材指示データの内容を図15に示す。すなわち、取材指示に基づいて収録を行うと、実際に収録されたクリップを対応付ける情報が追記される。図15において、図14と対応する部分に対しては同一の参照符号を付す。
【0082】
図15の中で、「MaterialGroup 」以下が追記された記載である。収録されたクリップのUMIDが記載される。UMIDは、SMPTE(Society Of Motion Picture and Television Engineers)330M として国際標準化されたAV(Audio Visual)素材等をグローバルユニークに特定するための識別子である。このUMIDによって、ディスクに収録されたどのクリップがこの取材指示に基づくものかが認識できる。
【0083】
UMIDを使うことによって、クリップタイトルが後で変更されても、対応付け情報が損なわれない。一方、機器のユーザがこのUMIDを直接見て対応付けを認識することは困難であり、上述したように、取材指示のタイトルをクリップに反映させることによって、分かり易くなる利点がある。
【0084】
図15において、記述部分67aが最初に収録したクリップのUMIDであり、次の記述部分67bが2番目に収録したクリップのUMIDであり、さらに次の記述部分67cが3番目に収録したクリップのUMIDである。取材指示ファイル中にクリップのタイトルが記述されないが、図15の例では、収録クリップのタイトルが次のようになる。
【0085】
最初に収録したクリップのタイトルは、「大相撲初場所 001」となる。
2番目に収録したクリップのタイトルは、「大相撲初場所 002」となる。
3番目に収録したクリップのタイトルは、「大相撲初場所 003」となる。
【0086】
この発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えばディスク以外に半導体メモリ(カード状、カードリッジに収納された半導体)を記録メディアとして使用しても良い。また、取材指示ファイルの形式は、撮像装置が理解できるものであれば良く、XML以外の形式であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】取材指示データをカムコーダに入力する複数の方法を説明するための略線図である。
【図2】この発明の一実施の形態におけるカムコーダのブロック図である。
【図3】この発明の一実施の形態において取材指示データを無線LANによってカムコーダに入力するための方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】入力された取材指示データ内のクリップ名の表示例を示す略線図である。
【図5】この発明の一実施の形態において取材指示データをUSBメモリ経由でカムコーダに入力するための方法を説明するためのフローチャートである。
【図6】この発明の一実施の形態において取材指示データをディスク経由でカムコーダに入力するための方法を説明するためのフローチャートである。
【図7】この発明の一実施の形態において入力された取材指示内容を確認する場合の処理を示すフローチャートである。
【図8】液晶表示部に表示される取材指示内容の一例を示す略線図である。
【図9】不揮発性メモリから電源投入時の取材指示内容を自動的にロードする場合の処理を示すフローチャートである。
【図10】ディスクから電源投入時の取材指示内容を自動的にロードする場合の処理を示すフローチャートである。
【図11】この発明の一実施の形態において取材指示に基づいた収録を実施する場合の処理を示すフローチャートである。
【図12】この発明の一実施の形態において、メニュー設定によりクリップ名の付け方を選択する場合の処理を示すフローチャートである。
【図13】取材指示データ内のタイトル情報に基づく命名のルールを説明するための略線図である。
【図14】取材指示データの一例を示す略線図である。
【図15】取材指示に基づいて収録を行った後の取材指示データの内容を示す略線図である。
【符号の説明】
【0088】
1・・・カメラブロック
2・・・信号処理部
3・・・ビューファインダ
4・・・ディスクドライブ
5・・・制御部
6・・・CPU
9・・・不揮発性メモリ
10・・・操作パネルおよび液晶表示部
11・・・USBインターフェース
12・・・無線LANインターフェース
101・・・放送局
102・・・カムコーダ
104・・・スマートフォン
105・・・USBメモリ
106・・・ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レコーダが一体構成の撮像装置に対して取材指示データが入力され、不揮発性メモリおよび記録メディアに上記取材指示データが記録される取材指示データ入力ステップと、
ファイル単位で撮像データを取得する記録ステップと、
上記記録メディアに記録される上記ファイルに対するファイル名が上記取材指示データに含まれるタイトル情報に基づき自動的に命名され、命名された上記ファイル名が上記不揮発性メモリおよび記録メディアに記録されるステップと
からなる撮像データ管理方法。
【請求項2】
上記取材指示データがUSBメモリまたはディスク経由で撮像装置に対して入力される請求項1記載の撮像データ管理方法。
【請求項3】
上記取材指示データが無線通信によって撮像装置に対して入力される請求項1記載の撮像データ管理方法。
【請求項4】
さらに、次に収録するファイルに対するファイル名をビューファインダに表示する請求項1記載の撮像データ管理方法。
【請求項5】
上記ファイル名がタイトル名と記録の度に1づつ変化する連続番号とからなる請求項1記載の撮像データ管理方法。
【請求項6】
撮像装置の電源のオン時に、次に設定される上記取材指示内容を上記不揮発性メモリから取得し、自動的に制御部に対してロードする請求項1記載の撮像データ管理方法。
【請求項7】
さらに、上記取材指示データに対して記録されたファイルの識別子を追記する請求項1記載の撮像データ管理方法。
【請求項8】
撮像部と、
上記撮像部からの撮像信号に対して信号処理を行う信号処理部と、
ビューファインダと、
記録メディアとのメディアインターフェース部と、
コンピュータ、不揮発性メモリおよびメモリを有する制御部と、
上記制御部に対して接続される操作部、表示部および入力インターフェース部とを備え、
上記制御部は、上記メディアインターフェース部および上記入力インターフェース部の少なくとも一方を制御して取材指示データを取得し、
上記制御部は、上記不揮発性メモリおよび上記記録メディアに上記取材指示データを記録し、
上記制御部は、上記記録メディアに記録されるファイルに対するファイル名を上記取材指示データに含まれるタイトル情報に基づき自動的に命名し、命名された上記ファイル名を上記不揮発性メモリおよび記録メディアに記録する
撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−252316(P2009−252316A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−101123(P2008−101123)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】