撮像モジュール及びカメラ
【課題】 貫通電極を備えた撮像素子チップの受光面が良好な平坦性を有し、高画質な画像を得ることができる撮像モジュール及びカメラを実現することを目的とする。
【解決手段】 カバー部材と、フォトダイオードを備えた撮像素子チップと、撮像素子チップの周辺に配置され、カバー部材と撮像素子チップとを固定する固定部材と、撮像素子チップのカバー部材側とは反対側に配置された再配線基板と、を備え、カバー部材と撮像素子チップと固定部材とで囲まれた空間を有し、撮像素子チップは、半導体基板を有し、半導体基板は、カバー部材側の第1主面と第1主面の反対側の第2主面とを貫通する貫通電極を有し、撮像素子チップと再配線基板とを接続する接続部材を有し、撮像モジュールをカバー部材側から見た固定部材に対応する固定領域に、貫通電極と接続部材とが配置され、空間に対応する領域の半導体基板の厚みより薄くなる境界が、固定領域に配置されている。
【解決手段】 カバー部材と、フォトダイオードを備えた撮像素子チップと、撮像素子チップの周辺に配置され、カバー部材と撮像素子チップとを固定する固定部材と、撮像素子チップのカバー部材側とは反対側に配置された再配線基板と、を備え、カバー部材と撮像素子チップと固定部材とで囲まれた空間を有し、撮像素子チップは、半導体基板を有し、半導体基板は、カバー部材側の第1主面と第1主面の反対側の第2主面とを貫通する貫通電極を有し、撮像素子チップと再配線基板とを接続する接続部材を有し、撮像モジュールをカバー部材側から見た固定部材に対応する固定領域に、貫通電極と接続部材とが配置され、空間に対応する領域の半導体基板の厚みより薄くなる境界が、固定領域に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像モジュール及びカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の撮像装置には、撮像素子と貫通電極とを有する半導体基板と、光透過性支持基板とを撮像素子上に開口を有する接着剤を介して固定したWL−CSP(ウエハレベルチップサイズパッケージ)がある。そして、半導体基板は、撮像素子が形成された半導体基板の第1主面とは反対側の第2主面の広い領域に形成されたハンダボールを介して実装基板に直接実装されて、撮像モジュールを構成している(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−158863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貫通電極を有する撮像素子チップの半導体基板の厚みは、貫通電極の製造プロセスのスループット向上や信頼性向上のため、ワイヤーボンディングを用いる撮像素子チップの半導体基板の厚みに比べて薄いため、剛性が低い。そして、撮像素子チップと実装基板とを溶融した半田で接続する際には、半田の固化が融点を下回った時点で始まることによって、常温に冷却した後の撮像素子チップは、半田の付着部分と付着していない部分とで収縮量が異なってしまう。そのため、特許文献1の中空部の下に配置された半田ボールを介して撮像素子と実装基板が接続された撮像装置の場合、撮像素子チップは半田の位置に応じた凹凸が発生し、受光面の平坦性が低下することから画質低下の問題点があった。
【0005】
上記問題点に対しては、撮像素子チップの半導体基板の厚みを単純に厚くすれば、剛性が高くなるため受光面の平坦性は改善されるが、貫通電極の形成が難しくなる。
【0006】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、貫通電極を備えた撮像素子チップの受光面が良好な平坦性を有し、高画質な画像を得ることができる撮像モジュール及びカメラを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、上記目的を達成するために、本発明にかかる撮像モジュールは、カバー部材と、フォトダイオードを備えた撮像素子チップと、前記撮像素子チップの周辺に配置され、前記カバー部材と前記撮像素子チップとを固定する固定部材と、前記撮像素子チップの前記カバー部材側とは反対側に配置された再配線基板と、を備え、前記カバー部材と前記撮像素子チップと前記固定部材とで囲まれた空間を有し、前記撮像素子チップは、半導体基板を有し、前記半導体基板は、前記カバー部材側の第1主面と、前記第1主面の反対側の第2主面と、を貫通する貫通電極を有し、前記撮像素子チップと前記再配線基板とを接続する接続部材を有し、前記撮像モジュールを前記カバー部材側から見た前記固定部材に対応する固定領域に、前記貫通電極と前記接続部材とが配置され、前記空間に対応する領域の前記半導体基板の厚みより薄くなる境界が、前記固定領域に配置されている構成としたものである。
【発明の効果】
【0008】
貫通電極を備えた撮像素子チップの受光面が良好な平坦性を有し、高画質な画像を得ることができる撮像モジュール及びカメラを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の撮像モジュールの透視平面図及び断面図である。
【図2】実施例1の撮像モジュールの再配線基板の断面図である。
【図3】実施例1の撮像モジュールの部分的な断面図である。
【図4】実施例1の撮像モジュールの部分的な断面図である。
【図5】実施例1の撮像モジュールの部分的な断面図である。
【図6】実施例2の撮像モジュールの断面図である。
【図7】撮像モジュールを、撮像システムの一例であるデジタルカメラへ適用した場合のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図1〜図7に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は本発明の撮像モジュールの第一の実施例を示す図で、透視平面図及びX−X´線に沿った断面図である。
【0012】
撮像モジュールは、カバー部材1と、撮像素子チップ2と、カバー部材1と撮像素子チップ2の間に配置された固定部材3と、撮像素子チップ2と電気的に接続された再配線基板4を有する。撮像素子チップ2は複数のフォトダイオードを備える撮影領域5の周辺に貫通電極6を有する。
【0013】
カバー部材1は、撮像素子チップ2の受光部であるフォトダイオードへの入射光が通過する部分で少なくとも光透過性を有する。光透過性を有するカバー部材1は、水晶、ガラス、樹脂などが用いられる。撮像素子チップ2に用いられる半導体基板11がシリコンの場合、ガラスは、SCHOTT社のTEMPAX Float(登録商標)、CORNING社のPYREX(登録商標)、AGC旭硝子社のSWガラス基板などが好ましい。そして、カバー部材1が樹脂の場合は、ポリカーボネイト樹脂などで形成される光学用プラスチックも用いられる。これらのガラス、樹脂のカバー部材はシリコンと近い線膨張係数を持つ材料であるため好ましい材料である。撮像素子チップ2のフォトダイオードを形成するための半導体基板11は、主にシリコン基板が用いられる。固定部材3は、カバー部材1と撮像素子チップ2とを固定するための接着剤が用いられ、カバー部材または撮像素子チップの少なくとも一方の表面に、たとえばパターニングによって形成される。
【0014】
カバー部材1と撮像素子チップ2とは固定部材3によって固定されている。カバー部材1と撮像素子チップ2と固定部材3とで囲まれることによって空間7が構成されている。撮像素子チップ2の半導体基板上には配線構造12、第1平坦化膜14、カラーフィルタ15、第2平坦化膜16が配置され、マイクロレンズ17が配置されている。半導体基板11の下側(光入射側とは反対側)には、絶縁膜20、導電膜21、絶縁部材23が配置されている。絶縁膜20は、酸化膜や窒化膜などが用いられ、導電膜21はAl、Cuなどが用いられ、絶縁部材23はソルダーレジストなどが用いられる。撮像素子チップ2は、半導体基板11の光入射側であるカバー部材側の第1主面と、第1主面とは反対側の第2主面とを貫通する貫通電極6を有する。貫通電極6は導電膜21の一部によって構成されている。貫通電極6は配線構造内の表面電極13に電気的に接続されている。また、再配線基板4と電気的に接続するために撮像素子チップ2は、導電膜21の一部によって構成されている裏面電極22を有する。再配線基板4は、撮像素子チップ側の第1主面に配置された第1接続端子25と、第1主面とは反対側の第2主面に配置された第2接続端子26と、を有する。さらに、再配線基板4は、第1接続端子25と第2接続端子26とをここに電気的に接続するための不図示の導電部材を有する。撮像素子チップ2と再配線基板4とは、接続部材24を介して撮像素子チップ2の裏面電極22と再配線基板4の第1接続端子25によって電気的に接続されている。接続部材24は、本実施例においては異方性導電性部材を用いている。たとえば、ACP、ACF、NCPなどの異方性導電性部材が好適に用いることができる。また、接続部材24として半田も用いることができる。
【0015】
ここで、図2を用いて、再配線基板4を説明する。再配線基板4は、シリコン基板31とシリコン基板内に形成された貫通電極32と、シリコン基板上の配線構造33と、第1主面上の表面電極25と、第2主面上の裏面電極34と、を有する。配線構造33は、再配線のための導電パターンが形成されている。このような構造により、再配線基板4の表面電極である第1接続端子25と、再配線基板の裏面電極である第2接続端子34とが電気的に接続されて、再配線構造をとっている。再配線基板4の裏面電極には、半田ボール等が形成され、不図示の他の実装基板との接続に使用される。このような再配線基板を用いることにより、再配線基板4の第2主面側にマトリクス状に半田端子を形成できるため、多ピン化にも対応できる構造となる。再配線基板4の材料は特に限定無く、セラミック積層基板や多層エポキシ基板、シリコン基板などを用いることが可能である。しかし、半導体基板11と再配線基板4とがシリコン基板であれば、線膨張係数が一致するため反りが発生を低減できるため、好適な組み合わせである。この場合、シリコン基板を用いた再配線基板4にフレキシブル基板やガラスエポキシ基板を接続したとしても、その熱収縮率の違いによる応力が撮像素子チップ2の受光面には伝わりにくいため、高い平坦性を得ることができる。
【0016】
次に、図1を用いて撮像モジュールの平面レイアウトを説明する。撮像モジュールは、光入射側から見て、固定部材3が配置されている領域を固定領域とし、固定領域は固定部材3の内周27から外側に対応し、固定部材3の内周27より内側は撮影領域を含む領域を素子領域とする。固定領域には、撮像素子チップの表面電極13、貫通電極6、接続部材24などの電極部が配置されている。そして、撮像素子チップ2の半導体基板11は、厚みが変化する境界が固定部材の下部、すなわち光入射側から見て固定領域の範囲内に配置されている。また、撮像素子チップ2と再配線基板4とを電気的に接続する接続部材24は、固定領域の範囲内に配置されている。この構成については、図1のA部の拡大図である図3を用いて説明する。
【0017】
図3に示すように、固定領域内には、半導体基板が第1厚みT1を有する領域と、第1厚みT2より薄い第2厚みT2を有する領域とを有する。半導体基板の厚みを薄くする方法としては、エッチング、グラインドの少なくとも一方を用いて行われる。貫通電極6と接続部材24とは固定領域の範囲内に配置されている。そして、接続部材24は第1厚みT1を有する領域に配置され、貫通電極6は第2厚みT2を有する領域に配置されている。第1厚みT1を有する領域は、固定領域内であることと、半導体基板の厚みが厚い部分ということから剛性が高い。そのため、半導体基板11の厚みの厚い部分である第1厚みT1の部分に接続部材24を配置することによって、接続部材24の形成時に半導体基板11へ加わる応力の影響を低減することができる。そして、剛性が高いことから、接続時に必要な圧力を加えることができることから、電気的そして機械的に安定した接続が可能となる。また、半導体基板11の厚みの薄い部分である第2厚みT2の部分に貫通電極6を形成することによって、半導体基板11に容易に貫通電極6を形成することができる。そして、接着剤下の厚みT1を有する部分に電気的接続手段を設けた場合には、固定部材の下であってシリコンの厚い部分であるという両方の点から剛性が高くなる。そのため、接続時に相応の圧力を加えることが可能となり、接続を安定的に形成することが可能であり、歩留りや信頼性を向上することができる。また、空間の下方、すなわち素子領域の範囲内に接続部材を配置していないため、半田の収縮による半導体基板に加わる応力の影響を低減できる。
【0018】
従って、撮像モジュールは、撮影領域表面である受光面が良好な平坦性を有し、高画質な画像を得ることができる。
【0019】
次に、図4を用いて、図1の撮像モジュールの変形例を説明する。
【0020】
図4は、図3と同様に図1のA部に対応する部分的な断面図である。
【0021】
図4の撮像モジュールが図1、図3と異なる構成は、貫通電極より外側の半導体基板11の端部が第1の厚みT1を有する点である。このように第2厚みT2を有する領域を挟んで第1厚みT1を有する領域があっても同様な効果が得られる。
【0022】
次に、図5を用いて、図3の撮像モジュールとは異なる図1の撮像モジュールの変形例を説明する。
【0023】
図5は、図3と同様に図1のA部に対応する部分的な断面図である。
【0024】
図5の撮像モジュールが図1、図3と異なる構成は、接続部材24が第1厚みT1を有する領域から第2厚みT2を有する領域にわたって配置されている点である。このように、接続部材24の接続面積を大きくすることで歩留りや信頼性をより向上することができる。
【0025】
以上説明したように、本実施例で説明した撮像モジュールによって、貫通電極を備えた撮像素子チップの受光面が良好な平坦性を有し、高画質な画像を得ることができる撮像モジュールを得ることができる。
【0026】
また、半田を形成するコンベア型のリフロー炉では、炉から出る時の複数の半田ボールの固化タイミングが場所で異なってしまうが、剛性の高い領域での接続となるため、ばらつきが低減され、受光面は高い平坦性が維持される。
【実施例2】
【0027】
図6は本発明の撮像モジュールの第二の実施例を示す断面図である。
【0028】
図1の撮像モジュールと異なる点は、再配線基板の表面電極上にバンプ電極が配置されている点である。バンプ電極は、金バンプや半田バンプであり、再配線基板の表面電極である第1接続端子上に配置されている。
【0029】
バンプ電極30と、撮像素子チップ2の裏面電極22とは、実施例1と同様に異方性導電性部材で接続されている。また、バンプ電極30を用いる場合には、各バンプ毎に導電性接着剤を設けて接合してもよい。
【0030】
バンプ電極30を用いることで、撮像素子チップ2と再配線基板4との接続が複数の点接触となる為、接続時の荷重を大きく低減することができ、半導体基板11の変形や割れなどをさらに防止することができる。
【0031】
図6(a)と図6(b)とは、固定部材3の厚み、すなわち空間4の広さの違いと、カバー部材1とマイクロレンズ17とが接触しているか否かが異なる点である。図6(b)の構成は、より剛性が高くなるため受光面の高い平坦性を有する。なお、これらの構成は実施例1の構成にも適用することができる。
【実施例3】
【0032】
(デジタルカメラへの応用)
図7は、本発明の第1、第2の実施例にて説明した撮像モジュールを、撮像システムの一例であるデジタルカメラへ適用した場合のブロック図である。
【0033】
撮像モジュールである固体撮像装置704へ光を取り込むための構成として、シャッター701、撮像レンズ702、絞り703がある。シャッター701は固体撮像装置704への露出を制御し、入射した光は、撮像レンズ702によって固体撮像装置704に結像される。このとき、絞り703によって光量が制御される。
【0034】
取り込まれた光に応じて固体撮像装置704から出力された信号は、撮像信号処理回路705にて処理され、A/D変換器706によってアナログ信号からデジタル信号へ変換される。出力されたデジタル信号は、更に信号処理部707にて演算処理され撮像画像データが生成される。撮像画像データは、ユーザーの動作モードの設定に応じ、デジタルカメラに搭載されたメモリ710への蓄積や、外部I/F部713を通してコンピュータやプリンタなどの外部の機器への送信ができる。また、記録媒体制御I/F部711を通して、デジタルカメラに着脱可能な記録媒体712に撮像画像データを記録することも可能である。
【0035】
固体撮像装置704、撮像信号処理回路705、A/D変換器706、信号処理部707はタイミング発生部708により制御されるほか、システム全体は全体制御部・演算部709にて制御される。また、これらのシステムは、固体撮像装置704と同一の半導体基板上に、同一工程によって形成することも可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 カバー部材
2 撮像素子チップ
3 固定部材
4 再配線基板
5 撮影領域
6 貫通電極
7 空間
11 半導体基板
12 配線構造
13 表面電極
14 第1平坦化膜
15 カラーフィルタ
16 第2平坦化膜
17 マイクロレンズ
20 絶縁膜
21 導電膜
22 裏面電極
23 絶縁部材
24 接続部材
25 第1接続端子
26 第2接続端子
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像モジュール及びカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の撮像装置には、撮像素子と貫通電極とを有する半導体基板と、光透過性支持基板とを撮像素子上に開口を有する接着剤を介して固定したWL−CSP(ウエハレベルチップサイズパッケージ)がある。そして、半導体基板は、撮像素子が形成された半導体基板の第1主面とは反対側の第2主面の広い領域に形成されたハンダボールを介して実装基板に直接実装されて、撮像モジュールを構成している(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−158863号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
貫通電極を有する撮像素子チップの半導体基板の厚みは、貫通電極の製造プロセスのスループット向上や信頼性向上のため、ワイヤーボンディングを用いる撮像素子チップの半導体基板の厚みに比べて薄いため、剛性が低い。そして、撮像素子チップと実装基板とを溶融した半田で接続する際には、半田の固化が融点を下回った時点で始まることによって、常温に冷却した後の撮像素子チップは、半田の付着部分と付着していない部分とで収縮量が異なってしまう。そのため、特許文献1の中空部の下に配置された半田ボールを介して撮像素子と実装基板が接続された撮像装置の場合、撮像素子チップは半田の位置に応じた凹凸が発生し、受光面の平坦性が低下することから画質低下の問題点があった。
【0005】
上記問題点に対しては、撮像素子チップの半導体基板の厚みを単純に厚くすれば、剛性が高くなるため受光面の平坦性は改善されるが、貫通電極の形成が難しくなる。
【0006】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、貫通電極を備えた撮像素子チップの受光面が良好な平坦性を有し、高画質な画像を得ることができる撮像モジュール及びカメラを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そして、上記目的を達成するために、本発明にかかる撮像モジュールは、カバー部材と、フォトダイオードを備えた撮像素子チップと、前記撮像素子チップの周辺に配置され、前記カバー部材と前記撮像素子チップとを固定する固定部材と、前記撮像素子チップの前記カバー部材側とは反対側に配置された再配線基板と、を備え、前記カバー部材と前記撮像素子チップと前記固定部材とで囲まれた空間を有し、前記撮像素子チップは、半導体基板を有し、前記半導体基板は、前記カバー部材側の第1主面と、前記第1主面の反対側の第2主面と、を貫通する貫通電極を有し、前記撮像素子チップと前記再配線基板とを接続する接続部材を有し、前記撮像モジュールを前記カバー部材側から見た前記固定部材に対応する固定領域に、前記貫通電極と前記接続部材とが配置され、前記空間に対応する領域の前記半導体基板の厚みより薄くなる境界が、前記固定領域に配置されている構成としたものである。
【発明の効果】
【0008】
貫通電極を備えた撮像素子チップの受光面が良好な平坦性を有し、高画質な画像を得ることができる撮像モジュール及びカメラを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の撮像モジュールの透視平面図及び断面図である。
【図2】実施例1の撮像モジュールの再配線基板の断面図である。
【図3】実施例1の撮像モジュールの部分的な断面図である。
【図4】実施例1の撮像モジュールの部分的な断面図である。
【図5】実施例1の撮像モジュールの部分的な断面図である。
【図6】実施例2の撮像モジュールの断面図である。
【図7】撮像モジュールを、撮像システムの一例であるデジタルカメラへ適用した場合のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図1〜図7に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は本発明の撮像モジュールの第一の実施例を示す図で、透視平面図及びX−X´線に沿った断面図である。
【0012】
撮像モジュールは、カバー部材1と、撮像素子チップ2と、カバー部材1と撮像素子チップ2の間に配置された固定部材3と、撮像素子チップ2と電気的に接続された再配線基板4を有する。撮像素子チップ2は複数のフォトダイオードを備える撮影領域5の周辺に貫通電極6を有する。
【0013】
カバー部材1は、撮像素子チップ2の受光部であるフォトダイオードへの入射光が通過する部分で少なくとも光透過性を有する。光透過性を有するカバー部材1は、水晶、ガラス、樹脂などが用いられる。撮像素子チップ2に用いられる半導体基板11がシリコンの場合、ガラスは、SCHOTT社のTEMPAX Float(登録商標)、CORNING社のPYREX(登録商標)、AGC旭硝子社のSWガラス基板などが好ましい。そして、カバー部材1が樹脂の場合は、ポリカーボネイト樹脂などで形成される光学用プラスチックも用いられる。これらのガラス、樹脂のカバー部材はシリコンと近い線膨張係数を持つ材料であるため好ましい材料である。撮像素子チップ2のフォトダイオードを形成するための半導体基板11は、主にシリコン基板が用いられる。固定部材3は、カバー部材1と撮像素子チップ2とを固定するための接着剤が用いられ、カバー部材または撮像素子チップの少なくとも一方の表面に、たとえばパターニングによって形成される。
【0014】
カバー部材1と撮像素子チップ2とは固定部材3によって固定されている。カバー部材1と撮像素子チップ2と固定部材3とで囲まれることによって空間7が構成されている。撮像素子チップ2の半導体基板上には配線構造12、第1平坦化膜14、カラーフィルタ15、第2平坦化膜16が配置され、マイクロレンズ17が配置されている。半導体基板11の下側(光入射側とは反対側)には、絶縁膜20、導電膜21、絶縁部材23が配置されている。絶縁膜20は、酸化膜や窒化膜などが用いられ、導電膜21はAl、Cuなどが用いられ、絶縁部材23はソルダーレジストなどが用いられる。撮像素子チップ2は、半導体基板11の光入射側であるカバー部材側の第1主面と、第1主面とは反対側の第2主面とを貫通する貫通電極6を有する。貫通電極6は導電膜21の一部によって構成されている。貫通電極6は配線構造内の表面電極13に電気的に接続されている。また、再配線基板4と電気的に接続するために撮像素子チップ2は、導電膜21の一部によって構成されている裏面電極22を有する。再配線基板4は、撮像素子チップ側の第1主面に配置された第1接続端子25と、第1主面とは反対側の第2主面に配置された第2接続端子26と、を有する。さらに、再配線基板4は、第1接続端子25と第2接続端子26とをここに電気的に接続するための不図示の導電部材を有する。撮像素子チップ2と再配線基板4とは、接続部材24を介して撮像素子チップ2の裏面電極22と再配線基板4の第1接続端子25によって電気的に接続されている。接続部材24は、本実施例においては異方性導電性部材を用いている。たとえば、ACP、ACF、NCPなどの異方性導電性部材が好適に用いることができる。また、接続部材24として半田も用いることができる。
【0015】
ここで、図2を用いて、再配線基板4を説明する。再配線基板4は、シリコン基板31とシリコン基板内に形成された貫通電極32と、シリコン基板上の配線構造33と、第1主面上の表面電極25と、第2主面上の裏面電極34と、を有する。配線構造33は、再配線のための導電パターンが形成されている。このような構造により、再配線基板4の表面電極である第1接続端子25と、再配線基板の裏面電極である第2接続端子34とが電気的に接続されて、再配線構造をとっている。再配線基板4の裏面電極には、半田ボール等が形成され、不図示の他の実装基板との接続に使用される。このような再配線基板を用いることにより、再配線基板4の第2主面側にマトリクス状に半田端子を形成できるため、多ピン化にも対応できる構造となる。再配線基板4の材料は特に限定無く、セラミック積層基板や多層エポキシ基板、シリコン基板などを用いることが可能である。しかし、半導体基板11と再配線基板4とがシリコン基板であれば、線膨張係数が一致するため反りが発生を低減できるため、好適な組み合わせである。この場合、シリコン基板を用いた再配線基板4にフレキシブル基板やガラスエポキシ基板を接続したとしても、その熱収縮率の違いによる応力が撮像素子チップ2の受光面には伝わりにくいため、高い平坦性を得ることができる。
【0016】
次に、図1を用いて撮像モジュールの平面レイアウトを説明する。撮像モジュールは、光入射側から見て、固定部材3が配置されている領域を固定領域とし、固定領域は固定部材3の内周27から外側に対応し、固定部材3の内周27より内側は撮影領域を含む領域を素子領域とする。固定領域には、撮像素子チップの表面電極13、貫通電極6、接続部材24などの電極部が配置されている。そして、撮像素子チップ2の半導体基板11は、厚みが変化する境界が固定部材の下部、すなわち光入射側から見て固定領域の範囲内に配置されている。また、撮像素子チップ2と再配線基板4とを電気的に接続する接続部材24は、固定領域の範囲内に配置されている。この構成については、図1のA部の拡大図である図3を用いて説明する。
【0017】
図3に示すように、固定領域内には、半導体基板が第1厚みT1を有する領域と、第1厚みT2より薄い第2厚みT2を有する領域とを有する。半導体基板の厚みを薄くする方法としては、エッチング、グラインドの少なくとも一方を用いて行われる。貫通電極6と接続部材24とは固定領域の範囲内に配置されている。そして、接続部材24は第1厚みT1を有する領域に配置され、貫通電極6は第2厚みT2を有する領域に配置されている。第1厚みT1を有する領域は、固定領域内であることと、半導体基板の厚みが厚い部分ということから剛性が高い。そのため、半導体基板11の厚みの厚い部分である第1厚みT1の部分に接続部材24を配置することによって、接続部材24の形成時に半導体基板11へ加わる応力の影響を低減することができる。そして、剛性が高いことから、接続時に必要な圧力を加えることができることから、電気的そして機械的に安定した接続が可能となる。また、半導体基板11の厚みの薄い部分である第2厚みT2の部分に貫通電極6を形成することによって、半導体基板11に容易に貫通電極6を形成することができる。そして、接着剤下の厚みT1を有する部分に電気的接続手段を設けた場合には、固定部材の下であってシリコンの厚い部分であるという両方の点から剛性が高くなる。そのため、接続時に相応の圧力を加えることが可能となり、接続を安定的に形成することが可能であり、歩留りや信頼性を向上することができる。また、空間の下方、すなわち素子領域の範囲内に接続部材を配置していないため、半田の収縮による半導体基板に加わる応力の影響を低減できる。
【0018】
従って、撮像モジュールは、撮影領域表面である受光面が良好な平坦性を有し、高画質な画像を得ることができる。
【0019】
次に、図4を用いて、図1の撮像モジュールの変形例を説明する。
【0020】
図4は、図3と同様に図1のA部に対応する部分的な断面図である。
【0021】
図4の撮像モジュールが図1、図3と異なる構成は、貫通電極より外側の半導体基板11の端部が第1の厚みT1を有する点である。このように第2厚みT2を有する領域を挟んで第1厚みT1を有する領域があっても同様な効果が得られる。
【0022】
次に、図5を用いて、図3の撮像モジュールとは異なる図1の撮像モジュールの変形例を説明する。
【0023】
図5は、図3と同様に図1のA部に対応する部分的な断面図である。
【0024】
図5の撮像モジュールが図1、図3と異なる構成は、接続部材24が第1厚みT1を有する領域から第2厚みT2を有する領域にわたって配置されている点である。このように、接続部材24の接続面積を大きくすることで歩留りや信頼性をより向上することができる。
【0025】
以上説明したように、本実施例で説明した撮像モジュールによって、貫通電極を備えた撮像素子チップの受光面が良好な平坦性を有し、高画質な画像を得ることができる撮像モジュールを得ることができる。
【0026】
また、半田を形成するコンベア型のリフロー炉では、炉から出る時の複数の半田ボールの固化タイミングが場所で異なってしまうが、剛性の高い領域での接続となるため、ばらつきが低減され、受光面は高い平坦性が維持される。
【実施例2】
【0027】
図6は本発明の撮像モジュールの第二の実施例を示す断面図である。
【0028】
図1の撮像モジュールと異なる点は、再配線基板の表面電極上にバンプ電極が配置されている点である。バンプ電極は、金バンプや半田バンプであり、再配線基板の表面電極である第1接続端子上に配置されている。
【0029】
バンプ電極30と、撮像素子チップ2の裏面電極22とは、実施例1と同様に異方性導電性部材で接続されている。また、バンプ電極30を用いる場合には、各バンプ毎に導電性接着剤を設けて接合してもよい。
【0030】
バンプ電極30を用いることで、撮像素子チップ2と再配線基板4との接続が複数の点接触となる為、接続時の荷重を大きく低減することができ、半導体基板11の変形や割れなどをさらに防止することができる。
【0031】
図6(a)と図6(b)とは、固定部材3の厚み、すなわち空間4の広さの違いと、カバー部材1とマイクロレンズ17とが接触しているか否かが異なる点である。図6(b)の構成は、より剛性が高くなるため受光面の高い平坦性を有する。なお、これらの構成は実施例1の構成にも適用することができる。
【実施例3】
【0032】
(デジタルカメラへの応用)
図7は、本発明の第1、第2の実施例にて説明した撮像モジュールを、撮像システムの一例であるデジタルカメラへ適用した場合のブロック図である。
【0033】
撮像モジュールである固体撮像装置704へ光を取り込むための構成として、シャッター701、撮像レンズ702、絞り703がある。シャッター701は固体撮像装置704への露出を制御し、入射した光は、撮像レンズ702によって固体撮像装置704に結像される。このとき、絞り703によって光量が制御される。
【0034】
取り込まれた光に応じて固体撮像装置704から出力された信号は、撮像信号処理回路705にて処理され、A/D変換器706によってアナログ信号からデジタル信号へ変換される。出力されたデジタル信号は、更に信号処理部707にて演算処理され撮像画像データが生成される。撮像画像データは、ユーザーの動作モードの設定に応じ、デジタルカメラに搭載されたメモリ710への蓄積や、外部I/F部713を通してコンピュータやプリンタなどの外部の機器への送信ができる。また、記録媒体制御I/F部711を通して、デジタルカメラに着脱可能な記録媒体712に撮像画像データを記録することも可能である。
【0035】
固体撮像装置704、撮像信号処理回路705、A/D変換器706、信号処理部707はタイミング発生部708により制御されるほか、システム全体は全体制御部・演算部709にて制御される。また、これらのシステムは、固体撮像装置704と同一の半導体基板上に、同一工程によって形成することも可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 カバー部材
2 撮像素子チップ
3 固定部材
4 再配線基板
5 撮影領域
6 貫通電極
7 空間
11 半導体基板
12 配線構造
13 表面電極
14 第1平坦化膜
15 カラーフィルタ
16 第2平坦化膜
17 マイクロレンズ
20 絶縁膜
21 導電膜
22 裏面電極
23 絶縁部材
24 接続部材
25 第1接続端子
26 第2接続端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー部材と、フォトダイオードを備えた撮像素子チップと、前記撮像素子チップの周辺に配置され、前記カバー部材と前記撮像素子チップとを固定する固定部材と、前記撮像素子チップの前記カバー部材側とは反対側に配置された再配線基板と、を備え、前記カバー部材と前記撮像素子チップと前記固定部材とで囲まれた空間を有する撮像モジュールであって、
前記撮像素子チップは、半導体基板を有し、前記半導体基板は、前記カバー部材側の第1主面と、前記第1主面の反対側の第2主面と、を貫通する貫通電極を有し、
前記撮像素子チップと前記再配線基板とを接続する接続部材を有し、
前記撮像モジュールを前記カバー部材側から見た前記固定部材に対応する固定領域に、前記貫通電極と前記接続部材とが配置され、
前記空間に対応する領域の前記半導体基板の厚みより薄くなる境界が、前記固定領域に配置されていることを特徴とする撮像モジュール。
【請求項2】
前記接続部材が、前記空間に対応する領域と同じ前記半導体基板の厚みを有する前記固定領域に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像モジュール。
【請求項3】
前記接続部材が、異方性導電性部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像モジュール。
【請求項4】
前記再配線基板は半導体基板を有し、
前記撮像素子チップの前記半導体基板と前記再配線基板の前記半導体基板は、シリコン基板であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の撮像モジュール。
【請求項5】
前記再配線基板は、前記撮像素子チップ側の主面上に配置されたバンプ電極を有し、前記バンプ電極と前記接続部材とを介して前記撮像素子チップと前記再配線基板とが接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の撮像モジュール。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の撮像モジュールと、
前記撮像モジュールによって得られた信号を処理する信号処理部と、
を備えることを特徴とするカメラ。
【請求項1】
カバー部材と、フォトダイオードを備えた撮像素子チップと、前記撮像素子チップの周辺に配置され、前記カバー部材と前記撮像素子チップとを固定する固定部材と、前記撮像素子チップの前記カバー部材側とは反対側に配置された再配線基板と、を備え、前記カバー部材と前記撮像素子チップと前記固定部材とで囲まれた空間を有する撮像モジュールであって、
前記撮像素子チップは、半導体基板を有し、前記半導体基板は、前記カバー部材側の第1主面と、前記第1主面の反対側の第2主面と、を貫通する貫通電極を有し、
前記撮像素子チップと前記再配線基板とを接続する接続部材を有し、
前記撮像モジュールを前記カバー部材側から見た前記固定部材に対応する固定領域に、前記貫通電極と前記接続部材とが配置され、
前記空間に対応する領域の前記半導体基板の厚みより薄くなる境界が、前記固定領域に配置されていることを特徴とする撮像モジュール。
【請求項2】
前記接続部材が、前記空間に対応する領域と同じ前記半導体基板の厚みを有する前記固定領域に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像モジュール。
【請求項3】
前記接続部材が、異方性導電性部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像モジュール。
【請求項4】
前記再配線基板は半導体基板を有し、
前記撮像素子チップの前記半導体基板と前記再配線基板の前記半導体基板は、シリコン基板であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の撮像モジュール。
【請求項5】
前記再配線基板は、前記撮像素子チップ側の主面上に配置されたバンプ電極を有し、前記バンプ電極と前記接続部材とを介して前記撮像素子チップと前記再配線基板とが接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の撮像モジュール。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の撮像モジュールと、
前記撮像モジュールによって得られた信号を処理する信号処理部と、
を備えることを特徴とするカメラ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2012−44114(P2012−44114A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186464(P2010−186464)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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