説明

撮像光学系及び電子撮像装置

【課題】簡易な構成で、幅広い自然の被写体に対して、色フレアを低減させた良好な像を再現できる撮像光学系及び電子撮像装置の提供。
【解決手段】電子撮像素子上に被写体像を形成する撮像光学系を、最小F値をFminとし、F値がFminのときの任意の波長λのマージナル光線の球面収差量の絶対値をLλ、波長587.56nmにおけるマージナル光線の球面収差量の絶対値をLdとしたときに次の条件式(1)を満足する波長をλ1としたときに、波長λ1が波長587.56nm以下の波長域に存在し、透過率が波長587.56nmの透過率に対し半値となる波長λcが次の条件式(2)を満足する。 (Lλ−Ld)/Fmin = 0.05mm ……(1) λ1 ≦ λc ≦ 587.56nm ……(2)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCCD等のカラー画像を得るための3つ以上の異なる分光特性を有する複数の画素を含む電子撮像素子の撮像面上に被写体像を形成する撮像光学系及び電子撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子撮像素子を用いた電子撮像装置では、電子撮像素子の受光量を確保するために、可視光線の短波長から紫外線波長に至るまでの感度を確保している。又、電子撮像素子で受光した光量が弱い場合等には、ガンマ特性をコントロールすることによって、画像再生時に光電変換素子への入力の比率以上の出力を得る場合もある。この場合、被写体の分光状態が、ほぼ一定であれば特に問題ないが、h線(波長404.7nm)付近の波長のエネルギーが、例えば、g線(波長435.8nm)付近に対して大きい場合、再生像の色味が実際の人間の目で見た色味に対して、青くなるという問題がでてくる。これは、人間の目の感度が可視域の短波長側に対してはかなり低いにもかかわらず、電子撮像素子は、感度が短波長域でも高いため、短波長を人間の目で見えやすい色に再生してしまうからである。
【0003】
一方、近年のデジタルカメラの高画素化、低価格化、小型化が進み、撮像光学系も、高性能化、小型化、ズームなどの高機能化、低コスト化の要求が高まっている。高性能化を達成するには、光学系の受光感度のもつ波長域全体での結像性能を高くする必要がある。ここでは、波長による結像性能の変化を色収差と呼ぶ。
【0004】
色収差は、一般に材質ごとに波長に対する屈折率の変化の割合(分散)が異なることを利用して補正される。例えば、正の焦点距離を持つ光学系の場合、正の屈折力を持つ光学素子に分散の小さい材質を、負の屈折力を持つ光学素子に分散の大きい材質を用いて色収差を補正する。
【0005】
又、上述のように光学素子を組み合わせて色収差を補正する場合には、色収差だけではなく像面全体の結像性能をも考慮しなければならないので、光学素子の枚数を増やすなどの対応がとられる。正の焦点距離を有するレンズ群と負の焦点距離を有するレンズ群を含む複数のレンズ群の間隔を変化させて全系の焦点距離を変化させるズームレンズ系では、さらに複雑な光学素子の組み合わせが必要となる。このとき、ガラスやプラスチックの材質で屈折型光学素子(レンズ)を形成するとき、材質により差があるが、長波長から短波長へと波長が変化するにつれて屈折率が高くなりさらにその変化の程度が激しくなる。
【0006】
図27は550nmの波長で屈折力(焦点距離の逆数)が1となる単レンズを代表的な硝子材料と超低分散ガラスと呼ばれる材質で構成したときの、波長による屈折力の変化を示す図である。又、図28は500nmの波長を基準にしたときの、一般的な屈折型光学素子のみからなる光学系の波長に対する後側焦点位置のずれ量を示す図で、横軸が波長で縦軸がずれ量である。
【0007】
図27からわかるように屈折型光学素子は、普通の材質も超低分散の材質も波長に対するパワーの変化は同じような傾向であるので、実用的な範囲の材質よりなる屈折型光学素子で構成された撮像光学系の軸上色収差は、図28に実線で示すように略V字型になり、二つの波長でのみ同じ点に結像し、短波長側と長波長側では色収差が大きくなる。特に短波長側での色収差は激しい。この色収差を緩和するために螢石や超低分散ガラス等のような特殊なガラスを用いることが提案されているが、これらの特殊なガラスも図27で示したような特性をもっており、短波長側の色収差を十分に少なくすることは困難である。
【0008】
よって、電子撮像素子を用いた場合、短波長側での色のにじみは色収差によって現れ、不自然な色のにじみとして認識されてしまうという問題が生じる。
【0009】
この点に関する先行技術として、回折型光学素子を用いてこの短波長側の色収差を十分に少なくする提案が、特許文献1に記載されている。
この特許文献1に記載の技術では、回折光学素子の逆分散特性を利用することによって使用次数光での色収差を補正している。しかしながら、回折光学素子は、使用次数光以外の次数の回折光が不要次数光として現れ、ゴースト、フレアの原因となる。この点に関し、この特許文献1に記載の技術では、波長帯域を制限することによって回折光学素子の不要次数光の影響を低減している。
【特許文献1】特開平10−170822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、この不要次数光は、使用次数光とは非連続的(独立的)に結像面に到達する。又、分光波長特性も不要次数光と使用次数光とは非連続的である。
この特許文献1に記載の技術は、正規(使用次数光による)の結像とは全く無関係な不要次数光をその波長特性の差に着目して低減させるものである。
そのため、良像を得るためには、不要次数光による像の強度を大幅に低減させる必要が生じる。
【0011】
この特許文献1に記載の技術では、420nmの波長でほとんど感度のない光学系を具体例として提案している。
しかしながら、420nmの波長は、人間の視覚において、特に色の認知に対して影響を有しており、この波長域を極端に低減するのは、色再現性の観点からみると必要以上に短波長成分を低減させてしまうことになり、自然な色の再現を損なう可能性が高い。
よって、この特許文献1に記載の技術では、不要次数光による影響を目立たなくするために、人間の視覚に影響を与える短波長域を大幅にカットしなければならないので、高水準での色再現性と、フレア除去との両立が難しいという問題点があった。
【0012】
そこで、本発明は、上述の問題点に鑑み、簡易な構成で、幅広い自然の被写体に対して、色フレアを低減させた良好な像を再現できる電子撮像装置及び撮像光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
可視光領域を撮影するカメラ等の撮像装置においては、一般的に可視光域の中間波長近辺を基に撮像光学系の最適化を行なう。このときに、可視光域の全てで良好な光学性能を得ようとすると、色収差を補正するために特殊な硝材を用いたり、またレンズ枚数を多くしたりする必要が生じ、光学系が高価となってしまう。
そこで、本発明の構成の趣旨は、ある程度の色収差を許容すると共に、それに起因する色フレアが発生し易い状況下では、特に色収差の目立つ波長域を光学的に目立たなくさせることによって、安価な光学系であっても色フレアの目立たない撮像光学系及び撮像装置を実現するというものである。
【0014】
上記課題を解決するための本発明による撮像光学系は、電子撮像素子上に被写体像を形成する撮像光学系であって、最小F値をFminとし、F値がFminのときの任意の波長λのマージナル光線の球面収差量の絶対値をLλ、d線(波長587.56nm)におけるマージナル光線の球面収差量の絶対値をLdとしたときに次の条件式(1)を満足する波長をλ1としたときに、波長λ1がd線(波長587.56nm)以下の波長域に存在し、透過率がd線(波長587.56nm)の透過率に対し半値となる波長λcが次の条件式(2)を満足することを特徴とする。
(Lλ−Ld)/Fmin = 0.05mm ……(1)
λ1 ≦ λc ≦ 587.56nm ……(2)
【0015】
また、上記課題を解決するための本発明による撮像光学系は、電子撮像素子上に被写体像を形成する撮像光学系であって、任意の波長λの最大像高の像高比0.9におけるd線(波長587.56nm)に対する倍率色の横収差量をSλとしたときに次の条件式(3)を満足する波長をλ2としたときに、波長λ2がd線(波長587.56nm)以下の波長域に存在し、透過率がd線(波長587.56nm)の透過率に対し半値となる波長λcが次の条件式(4)を満足することを特徴とする。
|Sλ| = 0.025mm ……(3)
λ2 ≦ λc ≦ 587.56nm ……(4)
【0016】
また、上記課題を解決するための本発明による撮像光学系は、電子撮像素子上に被写体像を形成する撮像光学系であって、最小F値をFminとし、F値がFminのときの任意の波長λのマージナル光線の球面収差量の絶対値をLλ、d線(波長587.56nm)におけるマージナル光線の球面収差量の絶対値をLdとしたときに次の条件式(1)を満足する波長をλ1としたときに、波長λ1が次の条件式(6)を満足すると共に、透過率がd線(波長587.56nm)の透過率に対し半値となる波長λcが次の条件式(5)を満足することを特徴とする。
(Lλ−Ld)/Fmin = 0.05mm ……(1)
390nm ≦ λc ≦ 440nm ……(5)
390nm ≦ λ1 ≦ 430nm ……(6)
【0017】
また、上記課題を解決するための本発明による撮像光学系は、電子撮像素子上に被写体像を形成する撮像光学系であって、任意の波長λの最大像高の像高比0.9におけるd線(波長587.56nm)に対する倍率色の横収差量をSλとしたときに次の条件式(3)を満足する波長をλ2としたときに、波長λ2が次の条件式(5)を満足すると共に、透過率がd線(波長587.56nm)の透過率に対し半値となる波長λcが次の条件式(7)を満足することを特徴とする。
|Sλ| = 0.025mm ……(3)
390nm ≦ λc ≦ 440nm ……(5)
390nm ≦ λ2 ≦ 430nm ……(7)
【0018】
また、上記課題を解決するための本発明による撮像光学系は、電子撮像素子上に被写体像を形成する撮像光学系であって、最小F値をFminとし、F値がFminのときの任意の波長λのマージナル光線の球面収差量の絶対値をLλ、d線(波長587.56nm)におけるマージナル光線の球面収差量の絶対値をLdとしたときに次の条件式(1)を満足する波長をλ1としたときに、波長λ1が次の条件式(8)を満足し、d線(波長587.56nm)の透過率に対する波長λ1の透過率比をτ(λ1)、d線(波長587.56nm)の透過率に対する波長λ1+30nmの透過率比をτ(λ1+30)としたときに次の条件式(9)、(10)を満足することを特徴とする。
(Lλ−Ld)/Fmin = 0.05mm ……(1)
390nm ≦ λ1 ≦ 530nm ……(8)
τ(λ1) ≦ 10% ……(9)
τ(λ1+30) ≧ 50% ……(10)
【0019】
また、上記課題を解決するための本発明による撮像光学系は、電子撮像素子上に被写体像を形成する撮像光学系であって、任意の波長λの最大像高の像高比0.9におけるd線(波長587.56nm)に対する倍率色の横収差量をSλとしたときに次の条件式(3)を満足する波長をλ2としたときに、波長λ2が次の条件式(11)を満足し、d線(波長587.56nm)の透過率に対する波長λ2の透過率比をτ(λ2)、d線(波長587.56nm)の透過率に対する波長λ2+30nmの透過率比をτ(λ2+30)としたときに次の条件式(12)、(13)を満足することを特徴とする。
|Sλ| = 0.025mm ……(3)
350nm ≦ λ2 ≦ 550nm ……(11)
τ(λ2) ≦ 10% ……(12)
τ(λ2+30) ≧ 50% ……(13)
【0020】
また、本発明は、好ましくは、上記の構成において、上記条件式(1)を次の式(1’)に置き換えると良い。
(Lλ−Ld)/Fmin = 0.04mm ……(1’)
【0021】
また、本発明は、好ましくは、上記の構成において、上記条件式(1)を次の式(1”)に置き換えると良い。
(Lλ−Ld)/Fmin = 0.03mm ……(1”)
【0022】
また、本発明は、好ましくは、上記の構成において、上記条件式(3)を次の式(3’)に置き換えたると良い。
|Sλ| = 0.02mm ……(3’)
【0023】
また、本発明は、好ましくは、上記の構成において、上記条件式(3)を次の式(3’’)に置き換えたると良い。
|Sλ| = 0.015mm ……(3”)
【0024】
また、上記課題を解決するための本発明による撮像光学系は、電子撮像素子上に被写体像を形成する撮像光学系であって、最小F値をFminとし、F値がFminのときのh線(波長404.7nm)のマージナル光線の球面収差量の絶対値をLh、g線(波長435.8nm)のマージナル光線の球面収差量の絶対値をLg、d線(波長587.56nm)のマージナル光線の球面収差量の絶対値をLd、d線(波長587.56nm)の透過率に対するh線(波長404.7nm)の透過率比をτh、d線(波長587.56nm)の透過率に対するg線(波長435.8nm)の透過率比をτgとしたときに、次の条件式(14)を満足し、且つ、透過率がd線(波長587.56nm)の透過率に対し半値となる波長λcが、次の条件式(15)を満足することを特徴とする。
(Lh−Ld)/Fmin×τh ≦ (Lg−Ld)/Fmin×τh
……(14)
404.7nm < λc < 435.8nm ……(15)
【0025】
また、上記課題を解決するための本発明による撮像光学系は、電子撮像素子上に被写体像を形成する撮像光学系であって、透過率がd線(波長587.56nm)の透過率に対し半値となる波長λcが、次の条件式(15)を満足し、且つ、最大像高の像高比0.9におけるd線(波長587.56nm)に対するh線(波長404.7nm)の倍率色の横収差量をSh、最大像高の像高比0.9におけるd線(波長587.56nm)に対するg線(波長435.8nm)の倍率色の横収差量をSg、d線(波長587.56nm)の透過率に対するのh線(波長404.7nm)の透過率比をτh、d線(波長587.56nm)の透過率に対するg線(波長435.8nm)の透過率比をτgとしたときに、次の条件式(16)を満足することを特徴とする。
404.7nm < λc < 435.8nm ……(15)
|Sh|×τh ≦ |Sg|×τg ……(16)
【0026】
また、本発明は、好ましくは、上記の構成において、波長補正を行うためのコーティング膜を平面上に施すと良い。
【0027】
また、本発明は、好ましくは、上記の構成において、前記撮像光学系中にローパスフィルターを配設すると共に、前記ローパスフィルターの少なくとも一面に波長補正を行うためのコーティング膜を施すと良い。
【0028】
また、本発明は、好ましくは、上記の構成において、前記撮像光学系中に赤外光成分を低減する赤外カットフィルターを配設すると共に、前記赤外カットフィルターの少なくとも一面に波長補正を行うためのコーティング膜を施すと良い。
【0029】
また、本発明は、好ましくは、上記の構成において、h線(波長404.7nm)とg線(波長435.8nm)との間、及び波長600nmと波長700nmの間において透過率がd線(波長587.56nm)の透過率に対し、半値となる波長が存在する特性を示すコーティング膜を、前記撮像光学系中に施すと良い。
【0030】
また、本発明は、好ましくは、上記の構成において、前記撮像光学系の光路中に光路分割手段を設け、前記電子撮像素子のg線(波長435.8nm)での感度特性がe線での感度特性の30%以上の感度を有する撮像領域を有する撮像素子側の光路のみに、波長補正素子を配設するよ良い。
【0031】
また、本発明は、好ましくは、上記の構成において、前記光路分割手段によって分割される光路のうちの1つを、観察者の眼球に光路を導く観察用光路とすると良い。
【0032】
また、本発明は、好ましくは、上記の構成において、前記光路分割手段にて複数の光路に分割し、分割された光路のうちの複数の光路の各々に分光感度特性が異なる撮像素子を配設すると共に、g線(波長435.8nm)での感度特性がe線での感度特性の30%以上の感度を有する撮像領域を有する撮像素子側の光路のみに前記波長補正素子を配設すると良い。
【0033】
また、上記課題を解決するための本発明による撮像光学系は、電子撮像素子上に被写体像を形成する撮像光学系であって、光路中に光量調節を行う調節素子を有し、前記調節素子が、h線(波長404.7nm)とg線(波長435.8nm)の間における透過率がe線の透過率の半値となる波長補正作用を備えていることを特徴とする。
【0034】
また、本発明は、好ましくは、上記の構成において、前記撮像光学系中の焦点距離の決定に関わる光学素子を、屈折現象のみを用いた光学素子で構成すると良い。
【0035】
また、本発明は、好ましくは、上記の構成において、前記撮像光学系の後側焦点位置に、カラー画像を得るための3つ以上の異なる分光感度特性を有する電子撮像素子を配設する電子撮像装置に用いると良い。
【0036】
また、本発明は、好ましくは、上記の構成において、前記電子撮像素子のうち、少なくとも一つの電子撮像素子の分光特性は、2つの高いピーク波長を持ち、その2つのピーク波長の間に、その2つのピーク波長の双方に対して50%以下の感度の波長を有すると良い。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、簡易な構成で、幅広い自然の被写体に対して、色を含め良好な像の再現を可能とする撮像光学系及び撮像装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
実施例の説明に先立ち、本発明において、色収差による色フレアを光学的に低減させる構成について説明する。
図1に色フレアを光学的に低減させる本発明にかかる撮像光学系の概念図を示す。撮像光学系1は波長補正手段としてのフィルター3等を含んでいる。撮像光学系1を透過した光束は撮像素子2上に被写体像を形成する。そして、像面4上には、可視光域全域を含んだ像が形成される。なお、像面中心についての結像状態は球面収差図を基に判断できる。
【0039】
図2は図1の撮像光学系の球面収差図を示す。図2において、絞り開放時のF値、つまり最小F値Fminでの最大入射高の各波長のマージナル光線と光軸との交わる位置と近軸像点との差の絶対値、つまり球面収差量の絶対値をLλと表している。波長λがd線(波長587.56nm)であれば、d線(波長587.56nm)の球面収差量の絶対値をLdと表している。
【0040】
図2の収差図において、LdとLλは、最大入射高における焦点位置のずれ量を示しており、これを撮像光学系1の後側焦点部分の断面図で見ると、図3のようになる。
図3において、実線はd線(波長587.56nm)の最大入射高のマージナル光線、破線は任意の波長λの最大入射高のマージナル光線を示している。そして、近軸像面4に対する各波長の像面のずれは、近軸像面における色フレアとして認識される。
【0041】
また、図3では、近軸像面4上の光軸5を中心としたフレアの直径を、それぞれLd/Fmin、Lλ/Fminと表している。
このLd/FminとLλ/Fminとの差が大きいと色フレアが発生し易くなるが、特にd線(波長587.56nm)よりも短波長側は色収差の補正が難しく撮像光学系全体で色収差を良好に補正するのは困難であるため、安価な撮像光学系を達成するには短波長側の色収差をある程度残さざるを得なくなる。
【0042】
このため、本発明による撮像光学系においては、Ld/FminとLλ/Fminとの差が0.05mm、つまり、次の条件式(1)
(Lλ−Ld)/Fmin = 0.05mm ……(1)
を満足する波長をλ1としたときに、波長λ1がd線(波長587.56nm)以下の電子撮像素子が感知可能な範囲内に存在し、像の良好なd線(波長587.56nm)は結像に必要な光量を確保し、かつ、色フレアとなる波長λ1の光量を低減させるために、透過率がd線(波長587.56nm)の透過率に対し半値となる波長λcが、次の条件式(2)を満足する特性を示すように構成する。
λ1 ≦ λc ≦ 587.56nm ……(2)
【0043】
このように構成すれば、結像性能の良好なd線(波長587.56nm)付近は光量を確保することができるとともに、色フレアの原因となる波長λ1の光量を低く抑えて再現することができ、簡易な光学系であっても色フレアを抑えることができる。波長λcが上記条件式(2)の下限を超えて小さくなると色フレアが目立つようになる。また、上限を超えると色再現性が悪くなる。
【0044】
なお、Ld/FminとLλ/Fminとの差が0.05mmとなる波長λ1について、上記条件式(2)を満足すると好ましい旨を説明したが、得られた電子画像を引き伸ばして観察することを考慮すると、Ld/FminとLλ/Fminとの差が0.04mmとなる波長をλ1とし、上記条件式(2)を満足するとより好ましい。また、Ld/FminとLλ/Fminとの差が0.03mmとなる波長をλ1とし、上記条件式(2)を満足するとより好ましい。
なお、上記条件式(2)を満足させるためには、波長補正用のフィルター3の分光透過率特性、または、波長補正のコーティング等を施すことによる撮像光学系1全体の分光透過率特性を調整すればよい。
【0045】
ここまでは光軸上の色収差について説明したが、倍率の色収差についても同様である。図4はd線(波長587.56nm)に対する波長λの倍率の色収差量を示す収差図である。図4において、最大像高IHに対し最大像高の像高比0.9におけるd線(波長587.56nm)に対する波長λの倍率色の横収差量Sλは、矢印で示している。これを、図1の近軸像面2上で表すと、像面上の像高比0.9における色収差の様子は、図5に示すようになり、色フレアが発生することになる。
【0046】
そこで、本発明による撮像光学系は、任意の波長λの最大像高の像高比0.9におけるd線(波長587.56nm)に対する倍率色の横収差量をSλとしたときに近軸像面4上でのずれ量|Sλ|が0.025mm、つまり、次の条件式(3)
|Sλ| = 0.025mm ……(3)
を満足する波長をλ2としたときに、λ2がd線(波長587.56nm)よりも短波長側に存在し、透過率がd線(波長587.56nm)の透過率に対し半値となる波長λcが、次の条件式(4)を満足する特性を示すように構成するのが好ましい。
λ2 ≦ λc ≦ 587.56nm ……(4)
波長λcが上記条件式(4)の下限を超えて小さくなると色フレアが目立つようになる。また、上限を超えると色再現性が悪くなる。
【0047】
なお、|Sλ|が0.025mmとなる波長λ2について、上記条件式(4)を満足すると好ましい旨を説明したが、得られた電子画像を引き伸ばして観察することを考慮すると、|Sλ|が0.02mmとなる波長をλ2とし、上記条件式(4)を満足するとより好ましい。また、|Sλ|が0.015mmとなる波長をλ2とし、上記条件式(4)を満足するとより好ましい。
【0048】
また、上記条件式(2)と上記条件式(4)とを同時に満足するような分光透過率を示す撮像光学系として構成すると、光軸上においても、光軸外においても共に色フレアを抑えた撮像光学系が達成できる。
【0049】
また、可視光域の撮像においては、可視光域の短波長側は、人間の目の感度が低いため、紫外線域に近い可視光線は人間の目では認識されにくい。一方、撮像素子は、人間の目の感度とは違い、紫外線域に近い可視光線域も人間の目で認識できるレベルに再現してしまう。そのため、紫外線に近い領域の再現性を低下させる一方、人間の目に強く認識される領域の光量を確保する必要が生じる。
【0050】
そこで、人間の目には認識されにくい波長390nmよりも短波長側の光量を低下させるとともに、人間の目には認識され易い波長430nmよりも長波長側の光量を確保するために、透過率がd線(波長587.56nm)の透過率に対し半値となる波長λcが次の条件式(5)を満足する撮像光学系を用いることが好ましい。
390nm ≦ λc ≦ 440nm ……(5)
【0051】
それに合わせて、撮像光学系自体の光軸上の色収差を上記波長域よりも短波長側では収差性能を悪化させても、再現される像に対する影響は少ない。
そのため、この撮像光学系の最小F値をFminとし、F値がFminのときの任意の波長λのマージナル光線の球面収差量の絶対値をLλ、d線(波長587.56nm)におけるマージナル光線の球面収差量の絶対値をLdとしたときに次の条件式(1)
(Lλ−Ld)/Fmin = 0.05mm ……(1)
を満足する波長をλ1としたときに、波長λ1が、次の条件式(6)を満足するように光学系を構成することが好ましい。
390nm ≦ λ1 ≦ 430nm ……(6)
【0052】
波長λ1が上記条件式(6)の下限を超えて小さくなると、光学系の精度が求められるため、光学系が安価に構成できなくなる。また、上限を超えると色フレアが除去しきれなくなる。
また、上記条件式(5)の下限を超えると短波長側の色フレアが目立つようになる。また、上限を超えると色再現性が悪くなる。
【0053】
なお、Ld/FminとLλ/Fminとの差が0.05mmとなる波長λ1について、上記条件式(6)を満足すると好ましい旨を説明したが、得られた電子画像を引き伸ばして観察することを考慮すると、Ld/FminとLλ/Fminとの差が0.04mmとなる波長をλ1とし、上記条件式(6)を満足するとより好ましい。また、Ld/FminとLλ/Fminとの差が0.03mmとなる波長をλ1とし、上記条件式(6)を満足するとより好ましい。
【0054】
また、本発明による撮像光学系は、倍率の色収差についても同様に、上記条件式(5)を満たした状態で、最大像高の像高比0.9におけるd線(波長587.56nm)に対する波長λの倍率色の横収差量をSλとしたときに次の条件式(3)
|Sλ| = 0.025mm ……(3)
を満足する波長をλ2としたときに、波長λ2が、次の条件式(7)を満足する特性を示すように構成するのが好ましい。
390nm ≦ λ2 ≦ 430nm ……(7)
【0055】
波長λ2が上記条件式(7)の下限を超えて小さくなると、光学系の精度が求められるため、光学系が安価に構成できなくなる。また、上限を超えると色フレアが除去しきれなくなる。
【0056】
なお、|Sλ|が0.025mmとなる波長λ2について、上記条件式(7)を満足すると好ましい旨を説明したが、得られた電子画像を引き伸ばして観察することを考慮すると、|Sλ|が0.02mmとなる波長をλ2とし、上記条件式(7)を満足するとより好ましい。また、|Sλ|が0.015mmとなる波長をλ2とし、上記条件式(7)を満足するとより好ましい。
【0057】
また、上記条件式(5)、(6)、(7)を同時に満足すると、光軸上においても、光軸外においても共に色フレアを抑えた撮像光学系が達成できる。
【0058】
また、本発明の撮像光学系は、電子撮像素子上に被写体像を形成する撮像光学系であって、この撮像光学系の最小F値をFminとし、F値がFminのときの任意の波長λのマージナル光線の球面収差量の絶対値をLλ、d線(波長587.56nm)におけるマージナル光線の球面収差量の絶対値をLdとしたときに次の条件式(1)
(Lλ−Ld)/Fmin = 0.05mm ……(1)
を満足する波長をλ1とし、波長λ1が次の条件式(8)を満足し、d線(波長587.56nm)の透過率に対する波長λ1での撮像光学系の透過率比をτ(λ1)、d線(波長587.56nm)の透過率に対する波長λ1+30nmの透過率比をτ(λ1+30)としたときに、次の条件式(9)、(10)を満足する特性を示すように構成するとよい。
350nm ≦ λ1 ≦ 550nm ……(8)
τ(λ1) ≦ 10% ……(9)
τ(λ1+30) ≧ 50% ……(10)
【0059】
このように構成すれば、光軸上の色収差が発生する短波長側で色フレアとなる波長を低減させることができるとともに、人間の眼で認識される波長域においては色収差の影響を抑え、且つ光量を確保でき、色再現性と描写性能とを両立させた小型の撮像光学系を達成することができる。
【0060】
なお、波長λ1が上記条件式(8)の下限を超えて小さくなると、撮像光学系の精度が求められてくるため、撮像光学系を安価に構成することができなくなる。また、上限を超えると色フレアが除去しきれなくなる。
また、波長λ1での透過率が10%を超えて大きくなると色フレアが目立つようになる。また、波長λ1+30nmでの透過率が50%より下回ると色再現性が悪くなる。
【0061】
なお、Ld/FminとLλ/Fminとの差が0.05mmとなる波長λ1について、上記条件式(8)を満足すると好ましい旨を説明したが、得られた電子画像を引き伸ばして観察することを考慮すると、Ld/FminとLλ/Fminとの差が0.04mmとなる波長をλ1とし、上記条件式(8)、(9)、(10)を満足するとより好ましい。また、Ld/FminとLλ/Fminとの差が0.03mmとなる波長をλ1とし、上記条件式(8)、(9)、(10)を満足するとより好ましい。
【0062】
また、本発明による撮像光学系は、倍率の色収差についても光軸上の色収差ついての条件と同様に、最大像高の像高比0.9におけるd線(波長587.56nm)に対する波長λの倍率色の横収差量をSλとしたときに、次の条件式(3)
|Sλ| = 0.025mm ……(3)
を満足する波長をλ2としたときに、波長λ2が次の条件式(11)を満足し、d線(波長587.56nm)の透過率に対する波長λ2の透過率比をτ(λ2)、d線(波長587.56nm)の透過率に対する波長λ2+30nmの透過率比をτ(λ2+30)としたときに、次の条件式(12)、(13)を満足するとよい。
350nm ≦ λ2 ≦ 550nm ……(11)
τ(λ2) ≦ 10% ……(12)
τ(λ2+30) ≧ 50% ……(13)
【0063】
このように構成すれば、倍率の色収差が発生する短波長側で色フレアとなる波長を低減するとともに、人間の眼で認識される波長域において色収差の影響を抑え、且つ光量を確保でき色再現性と描写性能とを両立させた小型の撮像光学系を達成することができる。
【0064】
なお、波長λ2が上記条件式(11)の下限を超えて小さくなると、撮像光学系の精度が求められてくるため、撮像光学系を安価に構成することができなくなる。また、上限を超えると色フレアが除去しきれなくなる。
また、波長λ2での透過率が10%を超えて大きくなると色フレアが目立つようになる。また、波長λ2+30nmでの透過率が50%より下回ると色再現性が悪くなる。
【0065】
なお、|Sλ|が0.025mmとなる波長λ2について、上記条件式(11)、(12)、(13)を満足すると好ましい旨を説明したが、得られた電子画像を引き伸ばして観察することを考慮すると、|Sλ|が0.02mmとなる波長をλ2とし、上記条件式(11)、(12)、(13)を満足するとより好ましい。また、|Sλ|が0.015mmとなる波長をλ2とし、上記条件式(11)、(12)、(13)を満足するとより好ましい。
【0066】
また、上記条件式(8)、(9)、(10)、(11)、(12)、(13)を同時に満たすと、光軸上においても、光軸外においても共に色フレアを抑えた撮像光学系が達成できる。
【0067】
また、本発明による撮像光学系は、電子撮像素子上に被写体像を形成する撮像光学系であって、この撮像光学系の最小F値をFminとし、F値がFminのときのh線(波長404.7nm)のマージナル光線の球面収差量の絶対値をLh、g線(波長435.8nm)のマージナル光線の球面収差量の絶対値をLg、d線(波長587.56nm)のマージナル光線の球面収差量の絶対値をLd、d線(波長587.56nm)に対するこの撮像光学系のh線(波長404.7nm)の透過率比をτh、d線(波長587.56nm)に対するg線の透過率比をτgとしたときに、次の条件式(14)を満足し、且つ、透過率がd線(波長587.56nm)の透過率に対し半値となる波長λcがh線(波長404.7nm)とg線(波長435.8nm)との間に存在する、つまり、次の条件式(15)を満足する特性を示すように構成してもよい。
(Lg−Ld)/Fmin×τh ≦ (Lg‐Ld)/Fmin×τg
……(14)
404.7nm < λc < 435.8nm ……(15)
【0068】
上記条件式(14)の左辺は、光軸近傍のd線(波長587.56nm)の色のにじみに対するh線(波長404.7nm)の色のにじみの大きさと、h線(波長404.7nm)の透過率とをかけたものである。一方右辺は、光軸近傍のd線(波長587.56nm)の色のにじみに対するg線(波長435.8nm)の色のにじみの大きさと、g線(波長435.8nm)の透過率とをかけたものである。
【0069】
一般に、可視光域を光源として用いる撮像光学系においては、d線(波長587.56nm)近辺で収差が出ないように設計する。そのため、h線(波長404.7nm)とg線(波長435.8nm)とでは、h線(波長404.7nm)のほうが色のにじみが強く出るためh線(波長404.7nm)の透過率を小さくし、g線(波長435.8nm)の透過率を大きくして上記条件式(14)を満足させれば、h線(波長404.7nm)に依存する色フレアを抑えることができる。
そして、透過率がd線(波長587.56nm)の透過率に対し半値となる波長λcがh線(波長404.7nm)とg線(波長435.8nm)との間に存在するように上記条件式(15)を満足させれば、g線(波長435.8nm)の光量を確保し、色再現性を確保できる。
【0070】
また、本発明による撮像光学系は、倍率の色収差についても光軸上の色収差についての条件と同様に、最大像高の像高比0.9におけるd線(波長587.56nm)に対するh線(波長404.7nm)の倍率色の横収差量をSh、最大像高の像高比0.9におけるd線(波長587.56nm)に対するg線(波長435.8nm)の倍率色の横収差量をSg、d線(波長587.56nm)に対するこの撮像光学系のh線(波長404.7nm)の透過率比をτh、d線(波長587.56nm)に対するg線(波長435.8nm)の透過率比をτgとしたときに、次の条件式(16)を満足し、且つ、透過率がd線(波長587.56nm)の透過率に対し半値となる波長λcがh線(波長404.7nm)とg線(波長435.8nm)との間に存在するように上記条件式(15)を満たすことが好ましい。
|Sh|×τh ≦ |Sg|×τg ……(16)
404.7nm < λc < 435.8nm ……(15)
【0071】
上記条件式(16)の左辺は、倍率の色収差によるd線(波長587.56nm)に対するh線(波長404.7nm)の色ずれと、h線(波長404.7nm)の透過率とをかけたものである。一方右辺は、倍率の色収差によるd線(波長587.56nm)に対するg線(波長435.8nm)の色ずれと、g線(波長435.8nm)の透過率とをかけたものである。
また、上述と同様に、h線(波長404.7nm)とg線(波長435.8nm)とでは、h線(波長404.7nm)のほうが色のにじみが強く出るため、h線(波長404.7nm)の透過率を小さくし、g線(波長435.8nm)の透過率を大きくして上記条件式(16)を満足させれば、h線(波長404.7nm)に依存する色フレアを抑えることができる。
そして、透過率がd線(波長587.56nm)の透過率に対し半値となる波長λcがh線(波長404.7nm)とg線(波長435.8nm)との間に存在するように上記条件式(15)を満足させれば、g線(波長435.8nm)の光量を確保し、色再現性を確保できる。
【0072】
以上の各条件式に示した各使用波長の制限内容は、光学系の硝材のトータルで達成されるものでよいが、主に波長補正を行なう波長補正素子としてのフィルターを撮像光学系中に設けて達成してもよい。また、レンズ面上に波長補正を行なうためのコーティングを施すことで達成しても良い。
【0073】
また、波長2正を行なうためのコーティング膜を平面上に施すと、製造が容易になる。
また、撮像光学系中にローパスフィルターを配設すると共に、このローパスフィルターの少なくとも一面に波長補正を行なうコーティングを施せば、部品点数を減らすことができる。
【0074】
また、撮像光学系中に赤外光成分を低減する赤外カットフィルターを配設すると共に、この赤外カットフィルターの少なくとも一面に波長補正を行なうコーティングを施せば、部品点数を減らすことができる。
【0075】
また、透過率がh線(波長404.7nm)とg線(波長435.8nm)との間、及び波長600nmと波長700nmとの間において透過率がd線(波長587.56nm)の透過率に対し半値となる波長が存在するようなコーティングを施せば、赤外カットフィルターを別途、配設する必要が無く、部品点数を減らすことができる。
【0076】
また、撮像光学系の光路中の光路分割手段を設けて波長補正を行なう場合には、g線(波長435.8nm)での感度特性がe線での感度特性の30%以上の感度を有する撮像領域を有する撮像素子側の光路のみに上記波長補正素子を配設すると良い。
つまり、g線(波長435.8nm)での感度特性がe線での感度特性の30%以上を有するということは、短波長での色フレアが発生しやすいということである。そのため、上記波長補正素子により色収差の原因となる波長を低減させれば、他の光路では短波長の影響が少ないので、上記波長補正素子を配設しなくても、光量を確保できる。
【0077】
例えば、光路分割手段によって分割される光路の一つを、観察者の眼球に光路を導く観察用光路とすると、人間の目はもともと短波長側の感度が低いので波長補正素子を配設する必要が無い。
また、光路分割手段によって複数の光路に分割し、分割された光路のうちの複数にそれぞれ分光感度特性が異なる撮像素子を配設した、いわゆる多板型の撮像装置に用いる場合には、短波長域の受光感度が小さい撮像素子側の光路では、上記波長補正素子が不要となる。
【0078】
また、本発明による撮像光学系は、電子撮像素子上に被写体像を形成する撮像光学系であって、この撮像光学系の光路中に光量調節を行なう調節素子を有し、この調節素子がh線(波長404.7nm)とg線(波長435.8nm)との間における透過率がe線の透過率の半値となる波長補正作用を備えるように構成すると好ましい。
【0079】
このように構成すれば、波長補正手段を別途設ける必要が無く、部品点数を減らすことができる。
具体的には、波長補正作用を、コーティングや吸収色素を上記調節素子に混ぜることにより達成できる。
なお、本発明においても、無論、その特性がこれまでに示した上記条件式の少なくともいずれかを満たすとより好ましい。また、上記各条件式は、それぞれ任意に組み合わせて構わない。
【0080】
また、本発明による撮像光学系は、上記撮像光学系中の焦点距離の決定に関わる光学素子を、屈折現象のみを用いた光学素子で構成すれば、構成が簡易になるので好ましい。
【0081】
また、本発明による撮像装置は、撮像光学系の後側焦点位置に、カラー画像を得るための3つ以上の異なる分光感度特性を有する電子撮像素子を配設して構成してもよい。
【0082】
以下に、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
図6は本発明による電子撮像装置の第1実施形態を示す所謂デジタルカメラ13の構成図である。
本実施形態のデジタルカメラは、物点から発せられた光束が、屈折現象のみを用いた光学素子から構成されていて、色収差が発生する撮影光学系1’で結像作用を受けて、CCDなどの電子撮像素子2に像を形成するようになっている。このとき、撮像素子が規則正しい光電変換素子(画素)の集まりであることから生じる所謂モワレ現象を防ぐために、ローパス効果を持つローパスフィルター6が電子撮像素子2の撮像面4より物体側に配置されている。なお、設計の必要に応じて、赤外光をカットするIRカットの効果をもつIRカットフィルターを配置してもよい。
【0083】
電子撮像素子2の入射面にはカラー画像を得るための3つ以上の異なる分光特性を有するモザイクフィルターが配置されており、各画素に各波長域の光束が入射するようになっている。
電子撮像素子2に入射した光束は、光電変換素子である各画素で輝度及び色の情報を含む電気信号に変換され、撮像素子の各画素における輝度及び色の情報を含む電気信号とがコントローラ7に入力され、コントローラ7においてガンマ補正や画像圧縮処理等の信号処理がなされ、内蔵メモリ8やインターフェース9を介して、パソコン10などに出力される。又、コントローラ7から液晶モニタ11へ送信され、撮影しようとする画像や撮像された画像を撮影者が確認することができるようになっている。又、内蔵メモリ8から、いわゆるスマートメディア(商標名)等の補助メモリ12へ画像データを送信することもできるようになっている。
【0084】
ここで、本実施形態の電子撮像装置の特徴としては、撮影光学系1を透過した光路上に張り合わせプリズム14からなる光路分割光学素子が配設されていて、分割された一方の光路に高輝度差境界部検出手段としての二次元エリア測光センサー15が配設されている。そして、二次元エリアセンサー15の表面には、撮像素子2よりも感度が−3段、つまり1/8となるように、NDフィルターが配設されている。
【0085】
二次元エリア測光センサー15上には、撮像面4上の像とほぼ同じ像が結像されるようになっている。そして、二次元エリア測光センサー15は、図7に示すように、複数の測光エリア16が規則的に配置された受光面を有しており、各々の測光エリア16で受光した被写体の輝度の情報を含む電気信号がコントローラ7へと送信されるようになっている。
【0086】
コントローラ7では、撮像素子3からの輝度及び色の情報を含む電気信号の輝度情報を基に、適正露出となるように像の読み取り時間(銀塩カメラでいうシャッタースピード)と絞り値(Fナンバー)を決定するようになっている。なお、撮像素子3からの輝度情報の代わりに、二次元エリア測光センサー15の輝度の情報を含む電気信号から適正露出となるように像の読み取り時間と絞り値が調整されるようにしてもよい。
【0087】
このように構成した本実施形態の電子撮像装置を用いて、図8に示すような、晴天を背景とした逆光状態での室内撮影などの明暗差の激しい被写体を撮影して、電子撮像素子2において隣接する一定の数の画素間(例えば6画素間)において輝度差が一定レベル以上の画素(例えば適正露出に対して受光レベルが+2EV以上の画素と−1EV以下の画素)が存在する状況が撮像素子2、または二次元エリア測光センサー15の輝度の情報を含む電気信号からコントローラ7を介して算出された場合には、撮影光学系1の色収差による色フレア19が目立つようになる。
【0088】
そこで、液晶モニタ11上において、高輝度差の激しい領域が画面上にある旨の表示を行ない、観察者にカメラアングルの変更を促すと共に、ストロボ機構17を自動でポップアップし補助照明の準備をおこなうなどの、撮影時の明暗差を少なくして色フレアを低減するための動作を行なう。また、ブザー18を介して警告音を発するようにしても良い。
【0089】
また、明暗差の激しい領域を含んで撮影した場合には、大きな色収差を含んだ像が撮像面4上に形成される。このため、コントローラ7を介して一定の数の画素間において輝度差が一定レベル以上になる境界部を検出し、検出された境界部近傍(ここでは境界部および周辺へ1画素分)の色フレアを低減するために、撮像素子3からの輝度及び色の情報を含む電気信号とを電気的に調節するように構成されている。
【0090】
図9は、撮像面4の一部を拡大した各画素ごとの適正露出に対する輝度差の例を示す状態説明図である。図において、夫々のマス目は画素20を表している。本実施形態においては、各画素20の輝度信号はコントローラ7により解析され、適正露出に対して+2EV以上の領域と−1EV以下の領域を算出した後その間が6画素以内の境界部を割り出すようになっている。図9においては、境界部に該当する画素を×印で表している。そして、その境界部に隣接する1画素分(図において斜線で示す)を含めて、その範囲の色フレアを除去するようにコントローラ7を介して信号処理を行なう。この信号処理は、境界部近傍の補正であれば、境界部のみの補正や、境界部の最周辺の画素を補正の対象から外す等、どのような方式を用いてもよい。
【0091】
なお、境界部の割り出しは、撮像素子の信号から算出する代わりに、二次元エリア測光センサー15の各測光エリア16を各画素20に対応させて、測光センサー15の信号から算出しても良い。
【0092】
次に信号処理の方法について述べる。信号処理方法の一例としては、境界部近傍による映像の彩度を低下させることで色のにじみを低減させることができる。色のにじみは、明部から暗部にかけて長波長や短波長の色フレアが発生しやすいため、実際の像よりも青や赤が強く現れ、不自然な明るさの色となる。そこで、各画素に対応した各々の分光特性のうち、輝度の強い画素に相応する色の再現性を他の色の輝度レベルまで落とすことで、彩度と輝度を低下させ、色のにじみを目立たなくさせることができる。
【0093】
または、信号処理手段としてのコントローラ7により、境界部及び境界部に隣接し輝度の低い暗部側の境界部近傍の色度を、境界部から暗部側へ一定画素(例えば2画素)以上離れた暗部側の色度に近い度数となるように調節することによって色のにじみを低減させてもよい。
【0094】
また、高輝度差の境界部を検出する方法としては、コントローラ7を介して適正露出を産出し、撮影と同時または前後して、図10に示す二次元エリア測光センサー15を介して、適正露出に対して3EVアンダーの露出において露出レベルが飽和したエリア(図中の斜線部分)に対応する画素及び飽和した画素に隣接する飽和していない画素を検出し、その画素間を輝度差の大きい境界部として検出しても良い。
【0095】
また、図6に示す二次元エリア測光センサー15の代わりに、図11に示すような、電子撮像素子2の撮像面4上に感度低下手段としてのNDフィルターを施した複数の測光エリア16としての画素を設け、それぞれの画素で受光した輝度の情報を含む電気信号の輝度情報を用いて上記と同様に境界部を検出するように構成してもよい。なお、コントローラ7内の信号処理の概略フローチャートを図12に示しておく。図12に示すように、電子撮像素子の各画素からの輝度及び色の情報を含む電気信号は、回路部により輝度信号と色信号とに変換される。この輝度信号及び/又は色信号も、本願の輝度及び色の情報を含む電気信号の概念に含まれるものである。
【0096】
次に、電子撮像素子2に用いる色フィルターについて説明する。カラー画像を得るには、3つ以上の異なる波長特性の光電変換素子を有するように電磁撮像素子に図13や図14に示すようなカラーフィルターを配置する。図13は、原色フィルターと呼ばれるタイプで、赤(R)、緑(G)、青(B)のフィルターからなる。なお、それぞれの波長特性を図15に示す。図15は補色フィルターと呼ばれるタイプでシアン(C)マゼンダ(M)、黄(Ye)、緑(G)のフィルターからなる。なお、それぞれの波長特性を図16に示す。
【0097】
ここで、補色フィルターの場合には、C、M、Ye、Gは、コントローラ7で次のような処理を行なうことによって、R、G、Bに変換される。
輝度信号
Y=|G+M+Ye+C|×1/4
色信号
R−Y=|(M+Ye)−(G+C)|
B−Y=|(M+C)−(G+Ye)|
原色フィルターは、色を再現するための処理が容易であり、補色フィルターは、光電変換面への光量を増やすことができる。
【0098】
また、カラー画像を得るには、例えば、図17に示すように、撮影光学系1の像側に第1プリズム20と第2プリズム21と第3プリズム23からなる色分解プリズム24を配置して、撮像光学系からの光をR、G、Bに分解して3つ以上の撮像素子2R、2G、2Bの上に像を形成してもよい。
【0099】
ここで、上述の構成に用いる、色収差の発生する撮像光学系の実施例を数値データとして示す。
【実施例1】
【0100】
図18は本実施形態による撮像光学系の実施例1を示すレンズ断面図、図19は本実施例の撮像光学系における広角端の無限遠合焦時の球面収差図とd線(波長587.56nm)に対する倍率の色収差を表す図である。
【0101】
以下に示す数値データにおいて、r1、r2、r3・・・・・・、各レンズ面の曲率半径、d1、d2、d3・・・・・・は、各レンズの肉厚または空気間隔、n1、n2、n3・・・・・・は、各レンズのd線(波長587.56nm)での屈折率、v1、v2、v3・・・・・・は、各レンズのアッベ数である。
【0102】
なお、非球面形状は光軸方向にzを、光軸に直交する方向にyをとり、曲率半径をr、円錐係数をk、非球面係数をAC2、AC4、AC6、AC8、AC10、AC12としたとき、次の式で表される。
z = (y2/r)/[1+√{1−(1+k)・(y/r)2}]
+AC22+AC44+AC66+AC88+AC1010+AC1212
また、以下の数値データにおいては、電子撮像素子の最小画素ピッチP=0.003mmとする。
以下に、本実施例の数値データを数値例1として示す。
【0103】
数値例1
Fmin = 2.039
焦点距離 6.5mm−19.5mm Fナンバー 2.039−2.

(無限遠物点合焦時)
r1 = 36.6880
d1 = 4.1400 n1 = 1.48749 v1 = 70.23
r2 = ∞
d2 =(可変)
r3 = 21.7500
d3 = 1.2500 n3 = 1.84666 v3 = 23.78
r4 = 8.0540
d4 = 5.4500
r5 = -27.5110
d5 = 1.0000 n5 = 1.48749 v5 = 70.23
r6 = 10.4120
d6 = 4.5000 n6 = 1.84666 v6 = 23.78
r7 = 40.5500
d7 =(可変)
r8 = ∞(絞り)
d8 =(可変)
r9 = 17.5830(非球面)
d9 = 3.4200 n9 = 1.58913 v9 = 61.30
r10 = -35.6700
d10 = 0.2000
r11 = 9.3900
d11 = 4.3500 n11 = 1.77250 v11 = 49.60
r12 = 87.9430
d12 = 0.9000 n12 = 1.84666 v12 = 23.78
r13 = 6.6090
d13 =(可変)
r14 = 13.5530(非球面)
d14 = 3.2800 n14 = 1.58913 v14 = 61.30
r15 = -30.8080
d15 =(可変)
r16 = ∞
d16 = 0.8000 n16 = 1.51633 v16 = 64.14
r17= ∞
d17 = 1.8000 n17 = 1.54771 v17 = 62.84
r18= ∞
d18 = 0.8000
r19= ∞
d19 = 0.7500 n19 = 1.51633 v19 = 64.14
r20 = ∞
d20 =(可変)
電子撮像素子 ∞
【0104】
第9面
k = 0.
AC2 = 0.0000 AC4 = -4.6605×10-5 AC6 = -1.3335×10-6
AC8 = 6.8826×10-8 AC10 = -1.1817×10-9 AC12 = 1.2187×10-12
【0105】
第14面
k = 0.
AC2 = 0.0000 AC4 = -9.9337×10-5 AC6 = -9.7631×10-7
AC8 = 3.2104×10-7 AC10 = -1.9517×10-8 AC12 = 3.7414×10-10
【0106】
面間隔
面番号 広角端 中間焦点距離 望遠端
2 1.00000 9.66000 15.80000
7 16.20000 7.55000 1.50000
8 8.66000 5.46000 1.50000
13 3.46000 5.00000 5.71000
15 3.39200 5.16000 8.51000
20 1.16922 1.01169 0.91052
【0107】
面番号 硝材(オハラ商標) 435.84(g線屈折率) 404.656(h線屈折率)
1 S-FSL5_0 1.49596 1.49898
3 S-TIH53_0 1.89418 1.91428
5 S-FSL5_0 1.49596 1.49898
6 S-TIH53_0 1.89418 1.91428
9 BACD5_H 1.60100 1.60531
11 S-LAH66_0 1.79197 1.79917
12 S-TIH53_0 1.89418 1.91428
14 BACD5_H 1.60100 1.60531
16 S-BSL7_0 1.52621 1.52977
17 BAL21_0 1.55843 1.56226
19 S-BSL7_0 1.52621 1.52977
【0108】
各収差量
Lh = 0.0865mm
Lg = 0.0324mm
Ld = 0.0061mm

(Lh−Ld)/Fmin = 0.0394mm = 13.1P
(Lλ−Ld)/Fmin = 0.05mmとなるとき
Lλ = 0.0959mm、 λ1 = 401nm
(Lλ−Ld)/Fmin = 0.04mmとなるとき
Lλ = 0.0755mm、 λ1 = 409nm
(Lλ−Ld)/Fmin = 0.03mmとなるとき
Lλ = 0.0551mm、 λ1 = 420nm
【0109】
|Sh| = 0.0218mm = 7.3P
|Sg| = 0.0083mm

|Sλ| = 0.025mmとなるとき
λ2 = 400nm
|Sλ| = 0.02mmとなるとき
λ2 = 408nm
|Sλ| = 0.015mmとなるとき
λ2 = 418nm
【実施例2】
【0110】
図20は本実施形態による撮像光学系の実施例2を示すレンズ断面図、図21は本実施例の撮像光学系における無限遠合焦時の球面収差図とd線(波長587.56nm)に対する倍率の色収差を表す図である。
実施例2では軸上の色収差を補正しているが、倍率の色収差が補正しきれていない例として示してある。以下に、本実施例の数値データを数値例2として示す。
【0111】
数値例2
Fmin = 2.881
焦点距離 5.56mm Fナンバー 2.881

(無限遠物点合焦時)
r1 = 14.0020
d1 = 2.4200 n1 = 1.84666 v1 = 23.78
r2 = 56.9710
d2 = 0.2500
r3 = 8.4400
d3 = 0.8700 n3 = 1.48749 v3 = 70.21
r4 = 2.5510
d4 = 2.4300
r5 = ∞
d5 = 1.0000
r6 = ∞
d6 = 1.2000
r7 = -8.7540
d7 = 0.8000 n7 = 1.84666 v7 = 23.78
r8 = 10.5000
d8 = 3.7700 n8 = 1.72916 v8 = 54.68
r9 = -5.4690
d9 = 0.1500
r10 = 10.2500(非球面)
d10 = 3.3300 n10 = 1.56384 v10 = 60.67
r11 = -12.6780
d11 = 2.0000
r12 = ∞
d12 = 1.9100 n12 = 1.51633 v12 = 64.14
r13 = ∞
d13 = 0.8000 n13 = 1.51633 v13 = 64.14
r14 = ∞
d14 = 1.8700
r15 = ∞
d15 = 0.7500 n15 = 1.48749 v15 = 70.23
r16 = ∞
d16 = 1.4633
電子撮像素子 ∞
【0112】
第10面
k = 0.
AC2 = 0.0000 AC4 = -3.6137×10-4 AC6 = 6.0453×10-7
AC8 = 0.0000 AC10 = 0.0000 AC12 = 0.0000
【0113】
面番号 硝材(オハラ商標) 435.84(g線屈折率) 404.656(h線屈折率)
1 S-TIH53_0 1.89416 1.91428
3 S-FSL5_0 1.49597 1.49898
7 S-TIH53_0 1.89416 1.91428
8 S-LAL18_0 1.74570 1.75173
10 S-BAL41_0 1.57532 1.57947
12 S-BSL7_0 1.52621 1.52977
13 S-BSL7_0 1.52621 1.52977
15 S-FSL5_0 1.49596 1.49898
【0114】
各収差量
Lh=0.02972mm
Lg=0.04734mm
Ld=0.04041mm

(Lh−Ld)/Fmin = −0.003mm = −1P

(Lλ−Ld)/Fmin = 0.05mmとなるとき
Lλ = 0.1036mm、 λ1 = 344nm
(Lλ−Ld)/Fmin = 0.04mmとなるとき
Lλ = 0.0748mm、 λ1 = 351nm
(Lλ−Ld)/Fmin = 0.03mmとなるとき
Lλ = 0.0460mm、 λ1 = 360nm
【0115】
|Sh| = 0.0226mm = 7.5P
|Sg| = 0.0100mm

|Sλ| = 0.025mmとなるとき
λ2 = 400nm
|Sλ| = 0.02mmとなるとき
λ2 = 409nm
|Sλ| = 0.015mmとなるとき
λ2 = 420nm
【0116】
その他、本実施形態の電子撮像装置は、図22に示すように、撮影光学系1と電子撮像素子2とを含む電子撮像装置本体13において撮影光学系1を着脱可能にするマウント部25を有しても良い。それにより撮影条件に応じて種々の撮影光学系1に交換して撮像でき、また、各々の状態で色フレア補正ができる。なお、マウント部25としては、スクリュータイプやバヨネットタイプ等を用いるとよい。なお、その他の構成は、基本的には、図6に示す撮像光学系とほぼ同様である。
【0117】
本実施形態による電子撮像装置は、以上のように構成したので、撮像光学系を小型軽量化したことにより色収差が発生するような場合であっても、撮像される映像の輝度信号や色信号を調節することで、色のにじみを低減させた電子撮像装置を実現することができる。
【0118】
次に、本発明による電子撮像装置の第2実施形態を図23に示す。なお、第1実施形態と同じ構成は、同じ番号を付しその説明は省略する。
本実施形態の電子撮像装置は、波長補正を行なうための波長補正フィルターを用いて光学的に色フレアを除去する構成となっている。
具体的には、信号処理系には色フレアを除去する構成の代わりに、平行平面板の片面に波長補正を行なうコーティング膜を施して短波長域の光線の透過率を低減させた波長補正フィルター3を、撮像光学系1の光路中に配設した点で、第1実施形態と構成が異なる。
【0119】
撮像光学系1には、上記実施例1または実施例2の数値データに示す撮像光学系を用いてもよい。
なお、この撮像光学系は、焦点距離の決定に関わる光学素子は、屈折現象のみを用いた光学素子で構成されている。
そして、撮像光学系におけるこれらの光学素子のみの部分(撮影光学系1’)の分光透過率曲線と、波長補正フィルター3を介した場合の分光透過率曲線とを図24に示す。
図24に示すように、波長補正フィルター3を介した場合には、撮影光学系1’のみの特性に比べて、色フレアの発生しやすい短波長側の光量を低下させることで良好な像が得られることがわかる。
以下に、本実施形態における撮像光学系の具体的な数値データを数値例3として示す。
【0120】
数値例3
λc = 430nm
τh = 0%
τg = 60%
電子撮像素子のg線(波長435.8nm)での感度特性/e線での感度特性=0.35とする。
【0121】
数値例1との組み合わせにおいて
(Lλ−Ld)/Fmin = 0.05mmとなるとき
τ(λ1) = 0%
τ(λ1+30) = 52%
(Lλ−Ld)/Fmin = 0.04mmとなるとき
τ(λ1) = 0%
τ(λ1+30) = 62%
(Lλ−Ld)/Fmin = 0.03mmとなるとき
τ(λ1) = 5%
τ(λ1+30) = 82%
【0122】
|Sλ| = 0.025mmとなるとき
τ(λ2) = 0%
τ(λ2+30) = 50%
|Sλ| = 0.02mmとなるとき
τ(λ2) = 0%
τ(λ2+30) = 63%
|Sλ| = 0.015mmとなるとき
τ(λ2) = 4%
τ(λ2+30) = 80%
【0123】
(Lh−Ld)/Fmin×τh = 0
(Lg−Ld)/Fmin×τg = 0.01133mm
|Sh|×τh = 0
|Sg|×τg = 0.00498mm
【0124】
数値例2との組み合わせにおいて
(Lλ−Ld)/Fmin=0.05mmとなるとき
τ(λ1) = 0%
τ(λ1+30) = 0%
(Lλ−Ld)/Fmin=0.04mmとなるとき
τ(λ1)=0%
τ(λ1+30)=0%
(Lλ−Ld)/Fmin=0.03mmとなるとき
τ(λ1)=0%
τ(λ1+30)=0%
【0125】
|Sλ| = 0.025mmとなるとき
τ(λ2) = 0%
τ(λ2+30) = 50%
|Sλ| = 0.02mmとなるとき
τ(λ2) = 0%
τ(λ2+30) = 65%
|Sλ| = 0.015mmとなるとき
τ(λ2) = 5%
τ(λ2+30) = 82%
【0126】
(Lh−Ld)/Fmin×τh = 0
(Lg−Ld)/Fmin×τg = 0.004158mm
|Sh|×τh = 0
|Sg|×τg = 0.006mm
【0127】
また、本実施形態の撮像装置は、図23の電子撮像装置とは別タイプの撮像装置にも適用可能であり、図25に示すように、電子撮像素子より物体側で、光束を分割し観察者眼球に光路を導く観察用光路とし、ファインダー光学系26に導く所謂TTLファインダー形式の撮像装置に適用できる。なお、図25の撮像光学装置においても撮像光学系1は上記各数値例に示したものを使用している。このTTLファインダー形式のタイプのものは、電力の消費を少なくし、被写体を観察することができるという特徴がある。また、図25のタイプの撮像装置では、ファインダー光学系26と撮影光学系1’との光路分割手段として、ハーフミラープリズム27を用いている。そして、電子撮像素子としてのCCD2のg線(波長435.8nm)での感度特性がe線での感度特性の30%以上の感度を有する撮像領域を有し、電子撮像素子側の光路のみに、上述の波長補正を行なうコーティング膜28を射出面に施し入射面側を凸凹に形成したローパスフィルター6を配設している。
【0128】
なお、ローパスフィルター6を赤外カットフィルターの代わりに、片面に先のコーティング膜を施しても良い。
また、透過率がh線(波長404.7nm)とg線(波長435.8nm)の間、及び波長600nmと波長700nmとの間において透過率がd線(波長587.56nm)の透過率に対し半値となる波長が存在する特性を示すようにコーティングをすることによって、赤外カットフィルターの作用と色フレア低減作用をさせてもよい。
また、図17に示すような3板式の撮像素子において、g線(波長435.8nm)での感度特性がe線での感度特性の30%以上の感度を有する撮像領域を有する青色撮像用の撮像素子(B)側の光路のみに点線で示す波長補正素子3を配してもよい。
【0129】
さらに、本発明による電子撮像装置の他の実施形態の要部の構成を図26に示す。本実施形態では、撮像光学系1と電子撮像素子2の間の光軸5の光路上に、0段、−1段、−2段、−3段の明るさ調節を可能とするターレット29を配置している。なお、撮像光学系等のその他の構成は上記各実施形態と同様である。
【0130】
ターレット29には、平行平板30、−1段NDフィルター31、−2段NDフィルタ−32、−3段NDフィルタ33−が配設され、ターレット29の回動に併せて光軸5の光路上に順次位置するように構成されている。それにより、撮像素子2の入射する光量を調節している。平行平板30及び各NDフィルターの表面には、h線(波長404.7nm)とg線(波長435.8nm)との間において透過率がe線の透過率の半値となる波長補正作用を備えるコーティング膜28を施して、短波長の色収差による色フレアを低減させるようになっている。なお、コーティング膜と光学系との分光感度特性は、先に示した図24に同じである。そして、各NDフィルターに対応して、全体の透過率が1/2、1/4、1/8と低下するように作用する。
【0131】
以上、種々の実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されることなく、設計の必要に応じて上記各実施形態において記載された構成を種々組み合わせたり、変更したりしても構わないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】色フレアを光学的に低減させる本発明にかかる撮像光学系の概念図である。
【図2】図1の撮像光学系の球面収差図である。
【図3】図1の撮像光学系を後側焦点部分の断面で見たときの最大入射高における焦点位置のずれ量を示す状態説明図である。
【図4】図1の撮像光学系におけるd線(波長587.56nm)に対する波長λの倍率の色収差を示す収差図である。
【図5】図1の撮像光学系において像面上の像高比0.9における色収差の様子を近軸像面上で表した図である。
【図6】本発明による電子撮像装置の第1実施形態を示す所謂デジタルカメラ13の構成図である。
【図7】第1実施形態の電子撮像装置に用いる二次元エリア測光センサーの概略構成図である。
【図8】晴天を背景とした室内撮影のような明暗差の激しい被写体を撮影するときの状態説明図である。
【図9】撮像面の一部を拡大した各画素の適正露出に対する輝度差の例を示す状態説明図である。
【図10】第1実施形態の電子撮像装置に用いる二次元エリア測光センサーの状態説明図である。
【図11】電子撮像素子の撮像面上に感度低下手段としてのNDフィルターを施した複数の測光エリアとしての画素を設け、その画素での受光した輝度信号を用いて上記記載の如く境界部を検出する様に構成した図である。
【図12】第1実施形態の電子撮像装置におけるコントローラ7内の信号処理のフローチャートである。
【図13】第1実施形態に用いる原色フィルターの概略構成図である。
【図14】第1実施形態に用いる補色フィルターの概略構成図である。
【図15】図13の原色フィルターの波長特性図である。
【図16】図14の補色フィルターの波長特性図である。
【図17】色分解プリズムを用いた本実施形態の撮像光学系の変形例を示す概略構成図である。
【図18】第1実施形態の撮像光学系における実施例1(数値例1)のレンズ断面図である。
【図19】図18の撮像光学系における広角端の無限遠合焦時の球面収差図とd線(波長587.56nm)に対する倍率の色収差を表す図である。
【図20】第1実施形態の撮像光学系における実施例2(数値例2)のレンズ断面図である。
【図21】図20の撮像光学系における無限遠合焦時の球面収差図とd線(波長587.56nm)に対する倍率の色収差を表す図である。
【図22】第1実施形態の変形例を示す概略構成図である。
【図23】波長補正を行なうための波長補正フィルターを用いて光学的に色フレアを除去した本発明による電子撮像装置の第2実施形態を示す概略構成図である。
【図24】撮像光学系のみの分光透過率曲線と、波長補正フィルター3を介した場合の分光透過率曲線を示す図である。
【図25】第2実施形態の変形例として、撮像素子より物体側で、光束を分割し観察者眼球に光路を導く観察用光路とし、ファインダー光学系26に導く所謂TTLファインダー形式の観察光学系を示す概略構成図である
【図26】本発明のさらに別の実施形態を示す要部構成図である。
【図27】550nmの波長で屈折力(焦点距離の逆数)が1となる単レンズを代表的なガラス材料と超低分散ガラスと呼ばれる材質で構成した時の、波長による屈折力の変化を示す図である。
【図28】500nmを基準にした時、一般的な屈折型光学素子のみからなる光学系の波長に対する後側焦点位置のずれ量を示す図で、横軸が波長で縦軸がずれ量である。
【符号の説明】
【0133】
1、1’ 撮像光学系
2 電子撮像素子
3 撮像素子
4 像面
5 近軸像面4上の光軸
6 ローパスフィルター
7 コントローラ
8 内蔵メモリ
9 インターフェース
10 P.C.
11 液晶モニタ
12 補助メモリ
13 電子撮像装置
14 張り合わせプリズム
15 二次元エリア測光センサー
16 測光エリア
17 ストロボ機構
18 ブザー
19 色フレア
20 第1プリズム
21 第2プリズム
23 第3プリズム
24 色分解プリズム
25 マウント
26 ファインダー光学系
27 ハーフミラープリズム
28 コーティング膜
29 ターレット
30 平行平板
31 −1段NDフィルタ
32 −2段NDフィルタ
33 −3段NDフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子撮像素子上に被写体像を形成する撮像光学系であって、最小F値をFminとし、F値がFminのときの任意の波長λのマージナル光線の球面収差量の絶対値をLλ、波長587.56nmにおけるマージナル光線の球面収差量の絶対値をLdとしたときに次の条件式(1)を満足する波長をλ1としたときに、波長λ1が波長587.56nm以下の波長域に存在し、透過率が波長587.56nmの透過率に対し半値となる波長λcが次の条件式(2)を満足することを特徴とする撮像光学系。
(Lλ−Ld)/Fmin = 0.05mm ……(1)
λ1 ≦ λc ≦ 587.56nm ……(2)
【請求項2】
電子撮像素子上に被写体像を形成する撮像光学系であって、任意の波長λの最大像高の像高比0.9における波長587.56nmに対する倍率色の横収差量をSλとしたときに次の条件式(3)を満足する波長をλ2としたときに、波長λ2が波長587.56nm以下の波長域に存在し、透過率が波長587.56nmの透過率に対し半値となる波長λcが次の条件式(4)を満足することを特徴とする撮像光学系。
|Sλ| = 0.025mm ……(3)
λ2 ≦ λc ≦ 587.56nm ……(4)
【請求項3】
電子撮像素子上に被写体像を形成する撮像光学系であって、最小F値をFminとし、F値がFminのときの任意の波長λのマージナル光線の球面収差量の絶対値をLλ、波長587.56nmにおけるマージナル光線の球面収差量の絶対値をLdとしたときに次の条件式(1)を満足する波長をλ1としたときに、波長λ1が次の条件式(6)を満足すると共に、透過率が波長587.56nmの透過率に対し半値となる波長λcが次の条件式(5)を満足することを特徴とする撮像光学系。
(Lλ−Ld)/Fmin = 0.05mm ……(1)
390nm ≦ λc ≦ 440nm ……(5)
390nm ≦ λ1 ≦ 430nm ……(6)
【請求項4】
電子撮像素子上に被写体像を形成する撮像光学系であって、任意の波長λの最大像高の像高比0.9における波長587.56nmに対する倍率色の横収差量をSλとしたときに次の条件式(3)を満足する波長をλ2としたときに、波長λ2が次の条件式(5)を満足すると共に、透過率が波長587.56nmの透過率に対し半値となる波長λcが次の条件式(7)を満足することを特徴とする撮像光学系。
|Sλ| = 0.025mm ……(3)
390nm ≦ λc ≦ 440nm ……(5)
390nm ≦ λ2 ≦ 430nm ……(7)
【請求項5】
電子撮像素子上に被写体像を形成する撮像光学系であって、最小F値をFminとし、F値がFminのときの任意の波長λのマージナル光線の球面収差量の絶対値をLλ、波長587.56nmにおけるマージナル光線の球面収差量の絶対値をLdとしたときに次の条件式(1)を満足する波長をλ1としたときに、波長λ1が次の条件式(8)を満足し、波長587.56nmの透過率に対する波長λ1の透過率比をτ(λ1)、波長587.56nmの透過率に対する波長λ1+30nmの透過率比をτ(λ1+30)としたときに次の条件式(9)、(10)を満足することを特徴とする撮像光学系。
(Lλ−Ld)/Fmin = 0.05mm ……(1)
390nm ≦ λ1 ≦ 530nm ……(8)
τ(λ1) ≦ 10% ……(9)
τ(λ1+30) ≧ 50% ……(10)
【請求項6】
電子撮像素子上に被写体像を形成する撮像光学系であって、任意の波長λの最大像高の像高比0.9における波長587.56nmに対する倍率色の横収差量をSλとしたときに次の条件式(3)を満足する波長をλ2としたときに、波長λ2が次の条件式(11)を満足し、波長587.56nmの透過率に対する波長λ2の透過率比をτ(λ2)、波長587.56nmの透過率に対する波長λ2+30nmの透過率比をτ(λ2+30)としたときに次の条件式(12)、(13)を満足することを特徴とする撮像光学系。
|Sλ| = 0.025mm ……(3)
350nm ≦ λ2 ≦ 550nm ……(11)
τ(λ2) ≦ 10% ……(12)
τ(λ2+30) ≧ 50% ……(13)
【請求項7】
上記条件式(1)を次の式(1’)に置き換えたことを特徴とする請求項1,3及び5の何れかに記載の撮像光学系。
(Lλ−Ld)/Fmin = 0.04mm ……(1’)
【請求項8】
上記条件式(1)を次の式(1”)に置き換えたことを特徴とする請求項1,3及び5の何れかに記載の撮像光学系。
(Lλ−Ld)/Fmin = 0.03mm ……(1”)
【請求項9】
上記条件式(3)を次の式(3’)に置き換えたことを特徴とする請求項2,4及び6の何れかに記載の撮像光学系。
|Sλ| = 0.02mm ……(3’)
【請求項10】
上記条件式(3)を次の式(3”)に置き換えたことを特徴とする請求項2,4及び6の何れかに記載の撮像光学系。
|Sλ| = 0.015mm ……(3”)
【請求項11】
電子撮像素子上に被写体像を形成する撮像光学系であって、最小F値をFminとし、F値がFminのときの波長404.7nmのマージナル光線の球面収差量の絶対値をLh、波長435.8nmのマージナル光線の球面収差量の絶対値をLg、波長587.56nmのマージナル光線の球面収差量の絶対値をLd、波長587.56nmの透過率に対する波長404.7nmの透過率比をτh、波長587.56nmの透過率に対する波長435.8nmの透過率比をτgとしたときに、次の条件式(14)を満足し、且つ、透過率が波長587.56nmの透過率に対し半値となる波長λcが、次の条件式(15)を満足することを特徴とする撮像光学系。
(Lh−Ld)/Fmin×τh ≦ (Lg−Ld)/Fmin×τh
……(14)
404.7nm < λc < 435.8nm ……(15)
【請求項12】
電子撮像素子上に被写体像を形成する撮像光学系であって、透過率が波長587.56nmの透過率に対し半値となる波長λcが、次の条件式(15)を満足し、且つ、最大像高の像高比0.9における波長587.56nmに対する波長404.7nmの倍率色の横収差量をSh、最大像高の像高比0.9における波長587.56nmに対する波長435.8nmの倍率色の横収差量をSg、波長587.56nmの透過率に対するの波長404.7nmの透過率比をτh、波長587.56nmの透過率に対する波長435.8nmの透過率比をτgとしたときに、次の条件式(16)を満足する特性を示すことを特徴とする撮像光学系。
404.7nm < λc < 435.8nm ……(15)
|Sh|×τh ≦ |Sg|×τg ……(16)
【請求項13】
波長補正を行うためのコーティング膜を平面上に施したことを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の撮像光学系。
【請求項14】
前記撮像光学系中にローパスフィルターを配設すると共に、前記ローパスフィルターの少なくとも一面に波長補正を行うためのコーティング膜を施したことを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の撮像光学系。
【請求項15】
前記撮像光学系中に赤外光成分を低減する赤外カットフィルターを配設すると共に、前記赤外カットフィルターの少なくとも一面に波長補正を行うためのコーティング膜を施したことを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の撮像光学系。
【請求項16】
波長435.8nmと波長404.7nmの間、及び波長600nmと波長700nmの間において透過率が波長587.56nmの透過率に対し、半値となる波長が存在する特性を示すコーティング膜を、前記撮像光学系中に施したことを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の撮像光学系。
【請求項17】
前記撮像光学系の光路中に光路分割手段を設け、前記電子撮像素子の波長435.8nmでの感度特性がe線での感度特性の30%以上の感度を有する撮像領域を有する撮像素子側の光路のみに、波長補正素子を配設したことを特徴とする請求項1乃至12の何れかに記載の撮像光学系。
【請求項18】
前記光路分割手段によって分割される光路のうちの1つを、観察者の眼球に光路を導く観察用光路としたことを特徴とする請求項17に記載の撮像光学系。
【請求項19】
前記光路分割手段にて複数の光路に分割し、分割された光路のうちの複数の光路の各々に分光感度特性が異なる撮像素子を配設すると共に、波長435.8nmでの感度特性がe線での感度特性の30%以上の感度を有する撮像領域を有する撮像素子側の光路のみに前記波長補正素子を配設したことを特徴とする請求項17に記載の撮像光学系。
【請求項20】
電子撮像素子上に被写体像を形成する撮像光学系であって、光路中に光量調節を行う調節素子を有し、前記調節素子が、波長404.7nmと波長435.8nmの間における透過率がe線の透過率の半値となる波長補正作用を備えていることを特徴とする撮像光学系。
【請求項21】
前記撮像光学系中の焦点距離の決定に関わる光学素子を、屈折現象のみを用いた光学素子で構成したことを特徴とする請求項1乃至20の何れかに記載の撮像光学系。
【請求項22】
前記撮像光学系の後側焦点位置に、カラー画像を得るための3つ以上の異なる分光感度特性を有する電子撮像素子を配設したことを特徴とする請求項1乃至20の何れかに記載の撮像光学系を有する電子撮像装置。
【請求項23】
前記電子撮像素子のうち、少なくとも一つの電子撮像素子の分光特性は、2つの高いピーク波長を持ち、該2つのピーク波長の間に、該2つのピーク波長の双方に対して50%以下の感度の波長を有することを特徴とする請求項1乃至22の何れかに記載の撮像光学系又は電子撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2007−328352(P2007−328352A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−162589(P2007−162589)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【分割の表示】特願平11−325685の分割
【原出願日】平成11年11月16日(1999.11.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】