説明

撮像検査装置および撮像検査方法

【課題】被検査物のパターンを検査して求めた欠陥を再検査するレビュー動作の時間を短縮できる撮像検査装置を提供する。
【解決手段】被検査物(109)と被検査物(109)を撮像走査して欠陥を検出する検査光学系(103)をX方向に相対移動させる検査光学系移動機構(107)と、被検査物と欠陥の周辺のみを撮像するレビュー光学系(104)をX方向に相対移動させつつ、検査光学系(103)とレビュー光学系(104)をX方向と直交するY方向に相対移動させるレビュー光学系移動機構(105)と、検査光学系移動機構(107)とレビュー光学系移動機構(105)を運転する制御機構(300)を有し、制御機構(300)が、検査光学系(103)の撮像走査中にレビュー光学系(104)を制御して欠陥の周辺を撮像させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の上に形成されたパターンの形状を、撮像検査する装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマ表示装置や液晶表示装置や太陽電池などの製造では、被検査物である基板109の上に形成されたパターンの形状を検査光学系203によって撮像して、このパターンの形状を検査している。この撮像と検査には、図31に示す撮像検査装置を使用する。
【0003】
この検査によって第1欠陥群の欠陥と判断された部分を、検査光学系203とは別に備えたレビュー光学系204によって、再度撮像することがある。このように再度撮像することで、より詳細な情報を得ることができる。
【0004】
ここでは、レビュー光学系204によって第1欠陥郡の周辺を撮像し、その撮像結果に基づいて、第2欠陥群として、より高精度に欠陥を検出することをレビューと呼ぶ。
このレビュー光学系204は、検査光学系203とは光学分解能が異なっている場合や、光学系を構成するレンズの開口数が異なっている場合や、カラー撮像が行えるカメラである場合がある。この検査装置の基板109の両側のステージには、X軸レール207が設けられている。検査光学系203とレビュー光学系204は、Y軸可動子201に取り付けられている。Y軸可動子201の移動経路となるY軸レール206は、X軸可動子208に設けられている。このX軸可動子208は、X軸レール207に跨った基板109の上方位置を、X軸レール207に沿って移動する。
【0005】
前記レビューで得られた画像により、検査光学系203によって第1欠陥群と判断された欠陥の部分についてのより詳細な情報が得られる。そして、得られた詳細な情報を用いて、第2欠陥群として、その部分が実際に欠陥であるのか、またどのような欠陥の種類であるのか、といった判断を、より高精度に行う。
【0006】
しかしながら、この検査装置では、検査光学系203による検査動作が完了した後に前記レビュー動作を行っているため、検査とレビューを合わせた時間が長いという課題がある。例えば、特許文献1には、半導体LSIを対象として、欠陥を光学的手段で検出し、その検出結果を同一装置内の別な電子光学系により観察する機能を有する装置が開示されている。
【0007】
これを解決するために、図32に示すように、特許文献1の検査装置210では、検査光学系203によって被検査物の基板109を撮像して検査し、レビュー光学系204を備えた検査装置210とは別のレビュー装置211に移し替えている。このように移し替えることで、パイプライン式に2つの動作を疑似的に並行して、検査光学系203による検査と、レビュー光学系204によるレビューとを動作させている。特許文献2には半導体LSIを対象として、欠陥を光学的手段で検出し、その結果を同一または検出情報を別装置へ転送し、別な電子光学系により観察する機能を有する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭60−218845号公報
【特許文献2】特開昭58−33154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献2では、検査時間を短縮できるが、検査装置の面積が2倍程度必要なため、全体として装置が大型化する課題がある。被検査物が大型化するに伴い、このような方法による解決は困難になる。
【0010】
本発明は、検査後のレビュー動作の時間を短縮することができ、しかも被検査物が大型化にも対応できる撮像検査装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の撮像検査装置は、被検査物を載置する載置部と、前記被検査物を撮像して第1欠陥群として欠陥を検出する検査光学系と、前記被検査物と前記検査光学系をX方向に相対移動させる検査光学系移動機構と、前記検査光学系で検出された前記第1欠陥群を撮像して第2欠陥群として欠陥を検出するレビュー光学系と、前記被検査物と前記レビュー光学系を前記X方向に相対移動させつつ、前記検査光学系と前記レビュー光学系を前記X方向と直交するY方向に相対移動させるレビュー光学系移動機構と、前記検査光学系の撮像中に前記レビュー光学系に前記第1欠陥群を撮像させ、前記第2欠陥群とレビュー光学系で撮像されていない前記第1欠陥群を欠陥として検出する制御機構とを備えたことを特徴とする。
【0012】
具体的には、前記レビュー光学系のY方向の相対移動量が、前記検査光学系のY方向の相対移動量と等しいことを特徴とする。また、複数の前記検査光学系と複数の前記レビュー光学系とを有し、前記Y方向において、前記レビュー光学系が前記検査光学系から独立して前記被検査物の全幅に移動可能であることを特徴とする。また、複数の前記検査光学系と1つの前記レビュー光学系とを有し、前記Y方向において、前記レビュー光学系が前記検査光学系から独立して前記被検査物の全幅に移動可能であることを特徴とする。また、複数の前記検査光学系と複数の前記レビュー光学系とを有し、前記Y方向において、前記複数のレビュー光学系が前記検査光学系に対して相対的に移動可能であることを特徴とする。
【0013】
本発明の撮像検査方法は、検査光学系とレビュー光学系を前記検査対象物上でX方向に相対移動させると共にY方向に移動させ、前記検査光学系の撮像結果に基づいて検出された第1欠陥群の欠陥を前記レビュー光学系によって撮像して第2欠陥群の欠陥を検出する方法であって、前記検査光学系がY方向の1走査を終了するたびに、それまで検出された第1欠陥群のうちの前記レビュー光学系によって撮像されていない欠陥について、前記レビュー光学系で撮像できる欠陥の数が最大となるスケジュールになるように、前記レビュー光学系による撮像のレビュースケジュールを計算し、前記検査光学系のY方向の次の走査において、前記レビュースケジュールに従って前記レビュー光学系を撮像させることを特徴とする。
【0014】
具体的には、前記レビュースケジュールの計算は、検出された前記欠陥の特徴量に基づいて優先順位を決定し、前記優先順位および欠陥の個数に基づく評価値を算出し、前記評価値が最大になるように計算されることを特徴とする。また、前記欠陥の特徴量は、欠陥の反射率、面積、形状、座標のいずれかを少なくとも含むことを特徴とする。また、前記レビュースケジュールの計算は、検出された第1欠陥群の欠陥の特徴量に基づいて優先順位を決定し、前記優先順位および欠陥の個数に基づくスケジュールの評価値を算出し、前記評価値が最大になるように計算され第1のスケジュールと、前記第1のスケジュールから優先順位の高い欠陥を除外した後、前記優先順位および欠陥の個数に基づく評価値を算出し、前記評価値が最大になるように計算され計算した第2のスケジュールとを比較して、評価値の高いスケジュールをレビュースケジュールとして計算されることを特徴とする。また、検出された複数の前記欠陥の特徴量の総和:をPとし、検出された前記欠陥の数をNとした場合に、
E = k・P+j・N
なお、kはPの重み付け係数、jはNの重み付け係数
によってスケジュールの評価値Eを計算し、前記評価値Eの大きいスケジュールを、レビュースケジュールとして計算することを特徴とする。
【0015】
本発明の撮像検査方法は、被検査物と検査光学系とをX方向に相対移動させながら前記被検査物を前記検査光学系で撮像して第1欠陥群として欠陥を検出する第1欠陥群検出工程と、前記被検査物とレビュー光学系とを前記X方向に相対移動させながら、前記第1欠陥群検出工程で検出された欠陥を前記レビュー光学系で撮像して第2欠陥群として欠陥を検出するレビュー工程と、前記第2欠陥群と前記レビュー工程で撮像されなかった前記第1欠陥群を欠陥として検出する欠陥検出工程とを有し、前記検査光学系と前記レビュー光学系とは、前記X方向では独立して相対移動し、前記X方向と直交するY方向では連携して相対移動して、前記第1欠陥群検出工程と前記レビュー工程とを同時に行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
この構成によれば、被検査物とレビュー光学系をX方向に相対移動させつつ、レビュー光学系移動機構によって検査光学系とレビュー光学系をY方向に相対移動させ、制御機構によって検査光学系の撮像走査中に欠陥の周辺をレビュー光学系に撮像するので、検査後のレビュー動作の時間を従来と比較して短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1における検査光学系が移動する撮像検査装置の斜視図
【図2】同実施の形態1における図1の撮像検査装置の正面の模式図と側面の模式図
【図3】同実施の形態1における被検査物が移動する撮像検査装置の斜視図
【図4】同実施の形態1における図3の撮像検査装置の正面の模式図と側面の模式図
【図5】同実施の形態1における撮像検査装置の正面の模式図と側面の模式図
【図6】同実施の形態1における検査とレビューを同時に行う際のフローチャート
【図7】スケジュール作成の処理フローの前半部分を説明するフローチャート
【図8】同実施の形態1における検査光学系とレビュー光学系の軌跡を示す図
【図9】レビューが完了していない第1欠陥群のリストを示す図
【図10】スケジュール作成途中における第1欠陥群リストの状態(欠陥数1個)を示す図
【図11】スケジュール作成途中における第1欠陥群リストの状態(欠陥数2個)を示す図
【図12】スケジュール作成途中における第1欠陥群リストの状態(欠陥数3個)を示す図
【図13】スケジュール作成が完了した第1欠陥群リストの状態を示す図
【図14】ある第1欠陥群をレビューすることで多くの第1欠陥群がレビューできなくなる例の説明図
【図15】より効率的なスケジュールを算出するフローチャート
【図16】改善対象となるスケジュールの説明図
【図17】スケジュールを改善中の状態の説明図
【図18】本発明の実施の形態2における撮像検査装置の斜視図
【図19】同実施の形態2における撮像検査装置の正面の模式図と側面の模式図
【図20】本発明の実施の形態3における撮像検査装置の正面の模式図と側面の模式図
【図21】本発明の実施の形態4における実施例1の撮像検査装置の斜視図
【図22】同実施の形態4における実施例1における撮像検査装置の正面の模式図と側面の模式図
【図23】同実施の形態4における実施例2の撮像検査装置の斜視図
【図24】同実施の形態4における実施例2における撮像検査装置の正面の模式図と側面の模式図
【図25】同実施の形態4における実施例3の撮像検査装置の斜視図
【図26】同実施の形態4における実施例3における撮像検査装置の正面の模式図と側面の模式図
【図27】本発明の実施の形態5における撮像検査装置の正面の模式図と側面の模式図
【図28】本発明の実施の形態6における実施例6の撮像検査装置の正面の模式図と側面の模式図
【図29】同実施の形態6における実施例7の撮像検査装置の正面の模式図と側面の模式図
【図30】本発明の実施の形態7における移動機構の制御を説明する図
【図31】従来例の撮像検査装置の斜視図
【図32】別の従来例の撮像検査装置の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明における実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の説明において、同じ構成には同じ符号を付けて説明する。
(実施の形態1)
図1〜図17は本発明の実施の形態1を示す。
【0019】
被検査物の基板109がセットされる撮像検査装置200のステージには、両側にX軸レール107が設けられている。この両側のX軸レール107に跨ってX軸可動子108に設けられている。
【0020】
具体的には、X軸レール107が送りねじで構成されており、この送りねじに螺合するナットがX軸可動子108に設けられている。X軸可動子108の移動量に応じてX軸レール107としての送りねじがモータによって回転駆動される。
【0021】
X軸可動子108には、X軸レール107と交差する方向に第1のY軸レール106と第2のY軸レール105が設けられている。第1のY軸レール106には第1のY軸可動子101が設けられている。第1のY軸可動子101には、基板109を撮像するように検査光学系103が取り付けられている。第2のY軸レール105には第2のY軸可動子102が設けられている。第2のY軸可動子102には、基板109を撮像するようにレビュー光学系104が取り付けられている。
【0022】
具体的には、第1,第2のY軸レール106,105が送りねじで構成されており、この送りねじに螺合するナットが第1のY軸可動子101,第2のY軸可動子102に設けられている。第1のY軸可動子101の移動量に応じて第1のY軸レール106としての送りねじがモータによって回転駆動される。第2のY軸可動子102の移動量に応じて第2のY軸レール105としての送りねじがモータによって回転駆動される。
【0023】
本発明では、検査光学系103で検出された欠陥である第1欠陥群のうち、より重要なものをレビュー光学系104で第2欠陥群として検出する。そして、演算装置301による検査結果として、第2欠陥群と、レビューされなかった第1欠陥群とを、その検査での欠陥とする。
【0024】
制御機構300は、載置部に載置された基板109と検査光学系103をX方向に相対移動させる検査光学系移動機構と、検査光学系103とレビュー光学系104をY方向に相対移動させるレビュー光学系移動機構との動作を制御する。この制御機構300の制御により、基板109とレビュー光学系104をX方向に相対移動させつつ、検査光学系103の撮像走査中にレビュー光学系104の位置制御を実行して撮像させる。この制御機構300は、マイクロコンピュータを主要部とした演算装置301によって構成されている。
【0025】
この演算装置の構成を動作に基づいて具体的に説明する。
先ず、この撮像検査装置200のX方向の動作について述べる。
検査動作は、図2(a)(b)に示すように基板109を撮像検査装置200のステージに固定して、X軸可動子108をX軸レール107に沿って移動させることによって、検査光学系103とレビュー光学系104をX方向に移動させる。
【0026】
なお、ここでは、撮像検査装置200が、図1に示すように構成された場合を例に挙げて説明するが、撮像検査装置200が、図3および図4(a)(b)に示すように検査光学系103とレビュー光学系104を固定して基板109を動かすように構成されている場合も同様である。図3の撮像検査装置200では、ステージのY軸方向の中央付近に間隔を空けてX軸レール107が設けられており、基板109は、このX軸レール107に沿ってX軸方向に移動する。検査光学系103とレビュー光学系104を搭載しているX軸可動子108は、ステージのX軸方向の中央付近に固定されている。そして、基板109がX軸可動子108の内側を通過する際に撮像する。
【0027】
また、撮像検査装置200が、図5(a)(b)に示すように基板109をX軸方向に移動させると共に、X軸可動子108をX軸方向に移動させることによって、検査光学系103とレビュー光学系104をX方向に動かすように構成されている場合も同様である。
【0028】
図1〜図5に示したように、基板109と検査光学系103を相対的に移動させて、X軸方向に基板109を走査する。
次に、撮像検査装置200のY方向の動作について述べる。
【0029】
検査光学系103の視野は、一般に基板109の幅よりも小さいため、1回の動作で基板109の全面を走査することができない。そのため、本発明の撮像検査装置200では、Y方向へピッチ送り動作をしながら、X軸可動子108をX方向へ移動させて複数回の走査を行うことで、基板109の全面を走査する。そのために、本発明の撮像検査装置200は、検査光学系103とレビュー光学系104とが、Y方向への移動を行うための機構を持つ。
【0030】
撮像検査装置200のレビュー光学系104について述べる。
レビュー光学系104は、X方向においては検査光学系103と一体として設置する。このレビュー光学系104は、図1〜図5に示したように、検査光学系103と独立してY方向に移動可能な機構を持って設置されている。レビュー光学系104の移動可能な範囲は、基板109のY方向の幅よりも大きくする。
【0031】
続いて、レビューの動作について述べる。
レビュー光学系104での撮像は、検査光学系103での検査動作と同時に実行することができる。検査光学系103での検査の走査が行われているとき、前述のようにX方向においては、基板109と検査光学系103とが相対速度(以下、X方向の相対速度、とする。)を持った状態で、検査範囲を移動走査する。ここで、レビュー光学系104はX方向において検査光学系103と一体であるから、レビュー光学系104も、基板109に対して相対速度を持った状態で、同様に検査範囲を移動する。すなわち、X方向について、基板109の全幅をレビュー光学系104の視野が通過することになる。
【0032】
なお、検査光学系103とレビュー光学系104が、X方向においてずれた位置に設置されている場合には、レビュー光学系104のX方向の移動範囲をそのずれの量だけ増加させる必要がある。またY方向については、レビュー光学系104自身が移動機構を持ち、その移動可能な範囲が基板109よりも大きいとしているので、基板109の任意の位置へレビュー光学系104が移動できる。
【0033】
このようにしてレビュー光学系104は、基板109の任意の場所を視野にとらえて撮像することができる。本実施の形態においては、レビュー光学系104は、Y方向については静止して撮像することができるが、X方向については基板109との間で相対的に静止せず通過するため、タイミングを計って撮像を行うことで第1欠陥群の欠陥の画像を得る。
【0034】
このときの動作例のフローチャートを図6に示す。
まず、ステップS601では、検査光学系103を用いて基板109の1ライン目の検査走査が行われる。装置の構成によっては、検査光学系103が基板109の欠陥の上を通過した瞬間にその欠陥の位置を把握することも可能である。だが、ここでは説明を平易とするため、1ラインの検査走査が終了したタイミングで、その走査ライン上に存在する欠陥の位置が把握できるものとする。ステップS601では、欠陥の位置を把握し、第1欠陥群として検出する。
【0035】
ステップS602では、検査光学系103による基板109の2ライン目の走査と同時に、ステップS601で検出した第1欠陥群の欠陥の位置について、どの順序でレビュー光学系104を用いて1ライン目のレビューをすれば良いかを計算により求める。
【0036】
なお、必ずしも全ての第1欠陥群の欠陥のレビューが必要であるとは限らないし、必ずしも全ての第1欠陥群の欠陥のレビューが可能であるとも限らない。そのため、ここではレビューが必要な第1欠陥群の欠陥のうち、優先順位を設けてレビュー可能な第1欠陥群の欠陥を抽出し、レビュー光学系104を移動するためのレビュースケジュールを作成する。レビュースケジュールを作成する具体例は後述する。
【0037】
ステップS602でのレビュースケジュール作成が終了したら、ステップS603では、検査光学系103による基板109の2ライン目の検査走査(ステップS603−a)を行う。この検査走査(ステップS603−a)と同時並行に、ステップS602で計算して作成したスケジュールに従って1ライン目で検出された第1欠陥群のレビュー(ステップS603−b)を行う。ステップS604以降は、ラインを1つずつずらしながら、この繰り返しを行う。
【0038】
つまり、ステップS604では、ステップS603において検出された2ライン目の第1欠陥群のうちレビューが必要な第1欠陥群の欠陥と、ステップS601において検出されたがステップS603−aにおいてレビューが行われていない1ライン目の第1欠陥群の欠陥をあわせた第1欠陥群の集合について、レビュースケジュールを計算する。ここで、ステップS601において検出されたがステップS603−aにおいてレビューが行われていない第1欠陥群の欠陥は、レビューが必要であるにもかかわらずスケジュールの都合によりレビューが行われなかった第1欠陥群である。
【0039】
ステップS605では、3ライン目の検査走査(ステップS605−a)と、ステップS604にて作成したスケジュールによる1ライン目および2ライン目のレビュー(ステップS605−b)を同時並行に実行する。ステップS606、ステップS607も同様である。
【0040】
つまり、ステップS606では、ステップS605において検出された3ライン目の第1欠陥群のうちレビューが必要なものと、ステップS601,ステップS603−a,ステップS605−aにおいて検出され、レビューが必要であるにもかかわらずスケジュールの都合によりレビューが行われていない1〜3ライン目の第1欠陥群をあわせた第1欠陥群の集合について、レビュースケジュールを計算する。
【0041】
ステップS607では、4ライン目の検査走査(ステップS607−a)と、ステップS606にて作成したスケジュールによる1〜3ライン目のレビュー(ステップS607−b)を同時並行に実行する。
【0042】
ステップS608は検査動作における最終ライン(Nライン目)での動作を示す。
本実施の形態では、検査走査が終了するまで最終ラインの第1欠陥群の欠陥の位置が確定できないと定義したため、この走査ラインで検出された第1欠陥群の欠陥は検査と同時にレビューすることができない。そこで、最終ラインの走査検査が終了した後、レビューが必要な第1欠陥群のうちレビューが完了していない欠陥がある場合、ステップS609において、検査走査と同時並行でない通常のレビューを行う。
【0043】
検査光学系103の動作する軌跡を図8(a)に示す。
701は検査光学系103の走査1ライン目の軌跡、706は走査1ライン目で検査される領域、黒丸で示されている705は検出された第1欠陥群を表している。同様に、702〜704は検査光学系103の走査2〜4ライン目の軌跡、707〜709は走査2〜4ライン目で検査される領域である。
【0044】
レビュー光学系104の動作する軌跡を図8(b)に示す。
710はレビュー光学系104の走査2ライン目の軌跡、711はレビュー光学系104の走査3ライン目の軌跡、712はレビュー光学系104の走査4ライン目の軌跡である。
【0045】
なお、この図8(a)(b)においては、検査は2往復、計4回の走査によって行われるものとする。図6で示した例と同様に、各走査が完了したタイミングで、直前に走査したラインの第1欠陥群の欠陥の位置を把握できるものとしている。この場合、検査Nライン目の走査と同時にレビューすることのできる第1欠陥群は、Nライン目から1ライン前((N−1)ライン目)で検出されたものである。実際には、第1欠陥群の欠陥の位置が把握できるタイミングはその構成により様々である。
【0046】
レビュースケジュールを作成する具体例について述べる。
検査の走査と同時にレビューを実施する目的から必然的に、レビューする順序は第1欠陥群の座標によって一意に決まる。第1欠陥群それぞれについて、レビューするかしないかの2通りを取り得るので、N個の第1欠陥群をレビューするときのレビュースケジュールには2通りの組み合わせがある。すなわち、レビュースケジュールを得るための演算量は、ランダウ(Landau)の記号Oを用いて、O(2)のオーダであると言える。一般にレビュースケジュール作成の対象となる第1欠陥群の欠陥の数は1000個程度のオーダであることを考えると、総当たりによってレビューのスケジュールを求めることは現実的ではなく、何らかの効率的な手段によらなければならない。その効率的な手段として、まず、N個の第1欠陥群の欠陥に対するレビュースケジュールを、N回の演算によって、すなわちO(n)のオーダの演算量で決定できる手法を示す。
【0047】
検出された欠陥は、それぞれ特徴量を持つ。特徴量とは、欠陥のさまざまな性質を数値で表したものである。この特徴量は、例えば、欠陥の反射率や面積、形状、欠陥の座標などである。この特徴量に基づいて、第1欠陥群のうちで、どのような欠陥を優先的にレビューしたいのか、予め決める。例えば、面積が大きい欠陥を優先する、反射率が小さい欠陥を優先する、などである。そのうえで、第1欠陥群のうちで、レビュー対象となる欠陥の数を最大化できるような経路を求める。
【0048】
レビューする欠陥に優先順位を設定したくない場合、すなわちレビューする欠陥を特徴量によらずランダムに決定したい場合は、あらかじめ特徴量として乱数をとっておく。これにより、乱数による特徴量が大きい欠陥を優先すると考えれば良い。また、2種類以上の特徴量を使って優先順位を決定しても良い。なお、以下は説明を容易にするため、ある1種類の特徴量のみを対象とし、この特徴量の値が大きい欠陥を優先してレビューするレビュースケジュールを作成する例を示す。
【0049】
すでに検出している第1欠陥群のうち、まだレビューが完了していない第1欠陥群のリスト(以下、レビュースケジュールリスト、とする。)が、図9のように、第1欠陥群が欠陥801,802,803,804の4つで構成されている場合の例を示す。欠陥を撮像する優先順位も、この順に高いものとする。
【0050】
図6に示したスケジュール作成の処理フローの前半部分の例を図7に示す。
ここでは、最も優先順位の高い欠陥から処理を行う。最初、レビュースケジュールリストには、何も含まれていないとする(ステップS1)。まず、第1欠陥群のうちで、優先順位が最も高い欠陥である欠陥801を、レビュースケジュールリストに加える。これにより、レビュースケジュールリストはただ1個の欠陥801で構成されることになる。このときの様子を図10に示す。レビュー対象が1個のみであれば、その対象は当然レビュー可能である。あらかじめレビュー光学系104を欠陥の位置へ移動しておけば良いからである。このときレビュー光学系104の取る軌跡を矢印901で示す。
【0051】
次に、優先順位が2位の欠陥802をレビュースケジュールリストに加える(ステップS2)。すなわち、レビュースケジュールリストは2個の欠陥801、802で構成されていることになる。このリストを図11に示す。レビュースケジュールリストに新たな欠陥を加える場合は、その欠陥の検査走査軸方向の座標が、レビュー開始時のレビュー光学系104の位置に近い順となるようにする。加えた欠陥802の前後について、レビュー光学系104の移動が可能かどうかを判定する(ステップS3)。レビュー光学系104の移動が可能かどうかは、レビュー光学系104の取り付けられている軸の運動性能、すなわち最高速度や加速度と、検査走査軸の速度、欠陥の間の距離から決まる。すなわち、2つの欠陥の、検査走査方向の距離と検査走査軸の速度から得られる到達時間(t1とする)に対し、2つの欠陥のレビュー光学系104の軸方向の距離とレビュー光学系104の運動性能から得られる到達時間(t2とする)の関係が、下記(式1)であればレビュー光学系104の移動が可能である。なお、dは余裕時間である。
【0052】
t1> t2+d ・・・(式1)
図11に示した例では、欠陥801から欠陥802へのレビュー光学系104の移動が可能であるとした。レビュースケジュールリストに加えた欠陥の前後いずれ(前後いずれかしか存在しない場合は、そのいずれか)の場合にもレビュー光学系104の移動が可能である場合、加えた欠陥はそのままレビュースケジュールリストに残す(ステップS6)。このときレビュー光学系104の取る軌跡を矢印1001で示す。
【0053】
同様に、優先順位が3位の欠陥803をレビュースケジュールリストに加える。すなわち、レビュースケジュールリストは3個の欠陥801,803,802で構成されていることになる。これを図12に示す。
【0054】
前回と同様に、レビュースケジュールリストに加えた欠陥803の前後について、レビュー光学系104の移動が可能かどうかを判定する。この例では、欠陥801と欠陥803の検査走査方向への距離が小さいことから、欠陥801から欠陥803へのレビュー光学系104の移動はできないとする。逆に、欠陥803から欠陥802へのレビュー光学系104の移動はできるとする。レビュー光学系104の取る軌跡を矢印1101で示す。移動できない軌跡は点線で示した。
【0055】
レビュースケジュールリストに加えた欠陥の前後いずれか、もしくは両方について、レビュー光学系104の移動ができない場合、加えた欠陥(ここでは803)をレビュースケジュールリストから削除する(ステップS4)。すなわち、レビュースケジュールリストは図11の状態に戻ることになる。
【0056】
これを繰り返す(ステップS5)ことで、第1欠陥群のうちのN個の欠陥に対するレビュースケジュールを、N回のループ処理によって得ることができる。処理の結果を図13に示す。このときレビュー光学系104の取る軌跡を1201に示す。
【0057】
しかしながら、この方法によって得られたスケジュールは、特徴量による優先順位に束縛される。例えば、図14に示すように、優先順位が5位の欠陥1301をレビューすることで、優先順位が6位の欠陥1302、優先順位が7位の欠陥1303、優先順位が8位の欠陥1304、優先順位が9位の欠陥1305、優先順位が10位の欠陥1308の5個の欠陥の全てのレビューができなくなるという状況を仮定する。上記の手法では、優先順位が5位の欠陥1301をレビューする軌跡1307で示すスケジュールが得られる。しかし、欠陥をレビューする機会は検査光学系が往復する度に複数回あるので、軌跡1308のように優先順位が6位から10位の5個の欠陥1302,1303,1304,1305,1308のレビューを実施し、優先順位が5位の欠陥1301については、次以降の検査走査の機会や、検査走査が終了した後に改めてレビューするようにした方が、全体として多くの欠陥をレビューできる場合(第1欠陥群のうちで、レビューできる欠陥の数が最大となる場合)がある。
【0058】
より多くの欠陥をレビューするため、一旦得られたレビュースケジュールについて、スケジュールの再計算を行うことで改善できる具体例を示す。
まず、得られたレビュースケジュールの優劣を定量的に評価し、いくつかのレビュースケジュールを比較できるように、レビュースケジュールの評価値を算出する例を示す。レビュースケジュールの評価値として、例えばレビュー対象の欠陥の特徴量の総和がある。仮に特徴量が大きい欠陥を優先的にレビューする場合、この評価値が大きいレビュースケジュールほど優れたスケジュールであると言える。また、レビュー対象の欠陥の数が多いほど優れたスケジュールであるとするならば、その数を評価値とすることもできる。もちろん、両者を組み合わせても良い。特徴量の総和をP、レビュー対象の欠陥の数をNとすると、レビュースケジュールの評価値Eを、下記(式2)と定義し、係数kとjを適当に決めることで、両者を組み合わせることができる。
【0059】
E = k×P+j×N ・・・(式2)
特徴量が大きい欠陥を優先的にレビューする場合はkを正の数に、特徴量が小さい欠陥を優先的にレビューする場合はkを負の数にする。jは常に0または正の数とする。こうすることで、評価値Eが大きな値をとるレビュースケジュールほど優れたスケジュールであると言える。
【0060】
レビュースケジュールを定量評価する手法を用いて、評価の高いレビュースケジュールを効率的に求める具体例を図15に示す。このフローを、第1欠陥群の欠陥の総数が20個の場合を例に説明する。なお、このフローは図6に示したステップS604,S606,S609において実行されている。
【0061】
ステップS1401では、これらの20個の欠陥について、先に示した図7でスケジュールを算出し、得られたスケジュールをS1とする。この様子を図16に示す。ここで、レビュー対象となる欠陥は全部で6個あるとし、それぞれレビューする順に1501〜1506とする。レビュー対象でない残りの14個の欠陥をまとめて第1欠陥群1507とする。
【0062】
ステップS1402では、スケジュールS1の評価値を(式2)によって算出する。算出した結果をE1とする。
ステップS1402−1を経てステップS1403では、最初のレビュー対象の欠陥1501を除いた場合(欠陥1501が存在しなかった場合)のレビュースケジュールを、前述のように作成する。作成したスケジュールをS2とする。
【0063】
ステップS1404では、スケジュールS2の評価値を(式2)によって算出する。算出した結果をE2とする。
ステップS1405では、E1とE2を比較する。これにより、欠陥1501のレビューを取り止めた場合、第1欠陥群1507のいくつかがレビュー可能となり、結果としてより高い評価値を持つレビュースケジュールが得られないかどうかを調べる。このときの様子を図17に示す。この例では、欠陥1501のレビューを取り止めることで、新たに欠陥1601,1602,1603がレビュー可能になる。
【0064】
ステップS1405における比較の結果、スケジュールS1がスケジュールS2より優れたスケジュールだった場合には、欠陥1501のレビューを取り止めるべきでないことになる。この場合は、ステップS1405−1,ステップS1405−2を経てステップS1403に戻って、次の欠陥1502について同様に処理を行う。
【0065】
なお、ステップS1405−1ではNをN+1し、ステップS1405−2では、そのときのNがレビュースケジュールの対象となる欠陥数であるか判定し、Nがレビュースケジュールの対象となる欠陥数でない場合にステップS1403に戻る。
【0066】
ステップS1405における比較の結果、スケジュールS2がスケジュールS1より優れたレビュースケジュールであった場合、欠陥1501のレビューを取り止めたほうがよいということになる。この場合は、ステップS1406,ステップS1407を経てステップS1402−1に戻る。
【0067】
ステップS1406では、レビュースケジュールの対象とする第1欠陥群から欠陥1501を取り除く。
ステップS1407では、スケジュールS1をスケジュールS2に置き換えるとともに、評価値E1を評価値E2に置き換え、もういちど最初の欠陥から処理を行う。
【0068】
これを最後の欠陥1506まで順に処理することで、優れたレビュースケジュールを得ることができる。ここに示す手段の演算量は、スケジュール対象となる欠陥の数をn、最初に得られたレビュースケジュールにおいてレビュー可能な欠陥の数をmとして、O(n×m)のオーダである。定義より、n ≧ mである。レビュー光学系104の軸移動速度が律速するため、通常は n >> m である。ただし、nが小さい値の場合にはこの限りではない。すなわち、演算量は最悪の場合O(n)のオーダであるが、多くの場合にはO(n)のオーダに近いため、ここで示したアルゴリズムは、少ない演算量で優れたスケジュールを求めることができる。
【0069】
レビュー光学系104が欠陥を撮像できる機会は、基板109上における欠陥の位置によるが、一般的に複数回ある。これは、検査光学系103とレビュー光学系104が、基板109をX方向に複数回走査するからである。より早い時刻でなされた走査において検出された欠陥の方が、より遅い時刻でなされた走査において検出された欠陥よりもレビュー光学系104で撮像しうる機会が多いため、検査の走査と同時にレビューできる可能性が高い。すなわち、最後の走査で検出された欠陥(最終ラインの欠陥)は、検査走査と同時にレビューできる可能性が低い。
【0070】
また、同一ライン上に存在するX方向で近接する欠陥同士を、1回の走査の間にレビュー光学系104が撮像することは困難である。これは、レビュー光学系104のY方向移動機構の速度や加速度が律速するからである。すなわち、検査走査が完了した段階でどの程度レビューが完了しているかは、主として基板109上の欠陥の分布状態とX方向の検査走査速度と、Y方向のレビュー光学系104の運動性能に依存する。第1欠陥群のうちで、検査の走査と同時にレビューできなかった欠陥については、検査が終了した後に従来と同様にして、1つずつレビュー光学系104で撮像すれば良い。
【0071】
先にも触れたように、レビュー光学系104が撮像を行う際、X方向については移動中に撮像することとなる。移動を一旦止めることができればレビュー光学系104にとって都合が良いが、困難である場合が多い。なぜならば、検査光学系103にラインセンサやTDI(Time Delay Integration)動作のイメージセンサを用いた場合、そのセンサの性質上、基板109と検査光学系103の相対速度を一定に保つことが望ましいからである。検査光学系103で得られる画像に影響が及ばないような方法で、走査の途中でX方向の動作を停止させたり速度を遅くすることは困難である。また、速度を遅くすれば当然に検査に要する時間が増大する。
【0072】
レビュー光学系104の撮像において相対速度を持った状態で撮像する(移動中に撮像する)と、撮像した画像に被写体ブレが発生する。そのため、この被写体ブレに対する対策が必要である。ここで、被写体ブレの程度は、X方向の相対速度とレビュー光学系104の分解能とレビュー光学系104の露光時間によって決まる。X方向の相対速度が大きいほど、またレビュー光学系104の分解能が小さいほど、またその露光時間が長いほど、それぞれ被写体ブレが大きく発生する。
【0073】
逆に、X方向の相対速度がゼロでない限り、被写体ブレをなくすことはできない。被写体ブレの対策とは、被写体ブレの影響を知覚できない、あるいは実用上影響がないと見なせる程度まで軽減することを意味する。
【0074】
様々な実験の結果、被写体ブレが知覚できないレビュー光学系104と基板109の相対速度の上限は、相対速度をV[m/s]、レビュー光学系104の分解能をR[m/pix]、レビュー光学系104のカメラの露光時間(またはカメラの露光中に照明が照射されている時間、以下同じ)をT[s]とすると、下記(式3)として表されることがわかった。
【0075】
V = (0.5×R)÷T ・・・(式3)
例えば、レビュー光学系104の分解能Rを0.5×10−6[m/pix](=0.5[μm/pix])、その露光時間Tを1×10−3[s](=1[ms])とすると、相対速度V=0.00025[m/s]、すなわちV=0.25[mm/s]よりも相対速度を大きくすると被写体ブレが発生する。
【0076】
しかしながら、検査光学系103は一般的に100[mm/s]以上の相対速度で動作するため、被写体ブレが発生してしまい、何らかの対策が必要である。この対策として、前記(式3)よりレビュー光学系104のカメラの露光時間Tを短くすることが考えられる。露光時間Tを短くすれば、検査動作に必要な相対速度Vを満足しつつ被写体ブレを知覚できない画像を撮像することができる。例えば、相対速度Vとして100[mm/s]を得たい場合、露光時間Tを前記(式3)より算出される2.5[μs]以下にすれば良い。具体的には、レビュー光学系104のカメラに電子シャッタを用いるなどにより、短い露光時間を実現できる。
【0077】
しかしながら、単に露光時間を短くするだけでは得られる画像が暗くなる。これについては、高感度のカメラを使ったり、高輝度な照明を使ったりすることで解決できるが、現在のところ高感度が得られるカメラは非常に高価であり、またそのようなものを用いても露光時間を10[μs]以下とすることは困難であることがわかっている。また、高輝度照明も同様であり、照度を高めることによる被検査物への悪影響も懸念される。
【0078】
そこで、本実施の形態では、単に露光時間を短くするだけではなく、ストロボに代表される閃光照明を用いている。この閃光照明を用いると、照明がなされている時間を短くすることができるため、連続光照明において露光時間を短くした場合と同様の効果が得られる。ストロボには閃光時間が1[μs]程度と高速なものが存在し、単位時間あたりの光量も大きい。そのため、このようなストロボと通常感度のカメラを組み合わせることで、相対速度V=500[mm/s]程度の速度でも被写体ブレが知覚できない画像の撮像が可能である。また、同様の目的で照明にレーザを用いても良い。この場合、さらに短い閃光時間が実現でき、また単位時間あたりの光量も大きくできる。
【0079】
なお、被検査物の欠陥を修正できるレーザ光や装置を用いることで、検査と同時に欠陥を修正可能な構成とすることもできる。
(実施の形態2)
図18と図19(a)(b)は本発明の実施の形態2を示す。
【0080】
前述の実施の形態1では、図1〜図5に示したように検査光学系103とレビュー光学系104は、それぞれ独立してY方向に移動するように構成し、レビュー光学系104は基板109の全幅を移動するよう構成したが、この実施の形態2では、レビュー光学系104を検査光学系103に対して相対的にY方向に移動させるように構成した点が異なっている。
【0081】
つまり、検査光学系103が搭載されているY軸可動子101に、Y軸可動子101の範囲内でY方向に移動するようにレビュー光学系104が取りつけられている。なお、レビュー光学系104のY方向の移動機構は、検査光学系103が1回に走査できるY方向の範囲よりも大きい。
【0082】
この構成によると、レビュー光学系104が備えるY方向の移動機構の移動可能範囲が狭くても、基板109の全幅をレビュー光学系で撮像することができるので、レビュー光学系104が備えるY方向の移動機構の移動範囲が小さい場合でも、レビュー光学系104が第1欠陥群の欠陥を撮像しうる機会が減少することはない。
【0083】
(実施の形態3)
図20(a)(b)は本発明の実施の形態3を示す。
実施の形態2では、レビュー光学系104のY方向の移動機構は、検査光学系103が1回に走査できるY方向の範囲よりも大きいものであったが、この実施の形態3ではレビュー光学系104が最小限備えるべきY方向の移動機構は、検査光学系103が1回に走査できるY方向の範囲に等しい。
【0084】
この構成によると、レビュー光学系104が第1欠陥群の欠陥を撮像しうる機会は1回である。
(実施の形態4)
図21と図22(a)(b),図23と図24(a)(b),図25,図26は、それぞれ本発明の実施の形態4を示す。
【0085】
上記の各実施の形態において検査光学系103とレビュー光学系104は、それぞれ単数であったが、この実施の形態4では複数の検査光学系103と、複数のレビュー光学系104を有している点が異なっている。
【0086】
図21と図22(a)(b)に示す実施の形態4の実施例1では、X軸可動子108の上に4つのY軸可動子101−1,101−2,101−3,101−4が設けられている。Y軸可動子101−1には第1検査光学系103−1が設けられている。Y軸可動子101−1には第2検査光学系103−2が設けられている。Y軸可動子101−1には第3検査光学系103−3が設けられている。Y軸可動子101−4には第4検査光学系103−4が設けられている。また、X軸可動子108の上には、2つのY軸可動子102−1,102−2が設けられている。Y軸可動子102−1には第1レビュー光学系104−1が設けられている。Y軸可動子102−2には第2レビュー光学系104−2が設けられている。
【0087】
実施の形態4の実施例1ではY軸可動子102−1,102−2が、共通のレビュー光学系Y軸105の上を移動するように構成されていたが、図23および図24(a)(b)に示す実施の形態4の実施例2では、レビュー光学系Y軸105−1,105−2が、間隔を空けて並列に設けられている。Y軸可動子102−1がレビュー光学系Y軸105−1の上を移動するように構成され、Y軸可動子102−2が、レビュー光学系Y軸105−2の上を移動するように構成されている点が実施例1と異なっている。この場合には、Y軸可動子102−1,102−2が移動することによって、基板109の全幅にわたって第1レビュー光学系104−1と第2レビュー光学系104−2が、順次に撮像できる。
【0088】
図25(a)(b)に示す実施例3では、レビュー光学系Y軸105−1とレビュー光学系Y軸105−2がY軸方向にずらせて設けられており、第1レビュー光学系104−1と第2レビュー光学系104−2とで基板109の全幅をカバーするように構成されている。
【0089】
この実施の形態4の実施例1〜実施例3に示すように、実際の検査装置においては、複数の検査光学系103と、複数のレビュー光学系104を備えている場合があって、検査光学系103とレビュー光学系104がそれぞれ独立してY方向に可動し、全体として基板109の全幅を移動できる機構を備えるように構成されていれば良い。また、検査光学系103とレビュー光学系104の数は異なっていても良い。
【0090】
また、図26(a)(b)に示す実施の形態4の実施例4のように、レビュー光学系Y軸105−2に第2レビュー光学系104−2と第3レビュー光学系104−3の複数のレビュー光学系104を設けても良い。同一の軸上に複数のレビュー光学系104が配置される場合には、レビュー光学系104同士が衝突しないよう配慮する必要がある。このためには、複数のレビュー光学系104は、それぞれ基板109に対するレビュー範囲をあらかじめ決めておいても良いし、衝突しないように電気的あるいは機械的な方法で制御されていても良い。もちろん検査光学系103が1組の場合にも、このようにレビュー光学系104を複数個備えることで、検査の走査と同時にレビューが可能である確率を上げることができる。
【0091】
(実施の形態5)
図27は本発明の実施の形態5を示す。
図20と図21(a)(b)に示した実施の形態4の実施例1では、レビュー光学系Y軸105に複数のレビュー光学系104を備えていたが、この実施の形態5の実施例5ではレビュー光学系Y軸105に単数のレビュー光学系104を設けて、このレビュー光学系104が基板109の全幅を移動できるように構成されている点だけが異なっている。
【0092】
(実施の形態6)
図28(a)(b),図29(a)(b)はそれぞれ本発明の実施の形態6を示す。
図28(a)(b)に示す実施の形態6の実施例6では、X軸可動子108の上面に設けられた第1のY軸レール106に沿って移動するY軸可動子101に、第1検査光学系103−1と第2検査光学系103−2が間隔を空けて設けられている。Y軸可動子101には、第1,第2レビュー光学系Y軸105−1,105−2が、間隔を空けて並列に設けられている。第1レビュー光学系Y軸105−1には第1レビュー光学系104−1が設けられている。第2レビュー光学系Y軸105−2には第2レビュー光学系104−2が設けられている。
【0093】
図29(a)(b)に示す実施の形態6の実施例7では、第1,第2レビュー光学系104−1,104−2が共通の第1レビュー光学系Y軸105−1に沿って移動するように構成されている点が、実施の形態6の実施例6とは異なっている。
【0094】
この実施の形態6の実施例6,実施例7のように、複数のレビュー光学系として第1,第2レビュー光学系104−1,104−2を搭載する場合にも、図18と図19(a)(b)に示した実施の形態2で説明したのと同様に、移動範囲が狭い移動機構を用いることができる。
【0095】
(実施の形態7)
図30は本発明の実施の形態7を示す。
図1〜図17に示した実施の形態1で説明したように、基板109を静止させずにレビュー光学系104が撮像を行うためには被写体ブレへの対策が必要である。実施の形態1で説明した方法でも対策は可能であるが、この実施の形態7では、被写体ブレの影響を軽減するために、レビュー光学系104にX方向への移動機構を、さらに設けた点が実施の形態1とは異なっている。
【0096】
このレビュー光学系104にX方向への移動機構は、レビュー光学系104が撮像を行う期間に、基板109とレビュー光学系104の相対速度を打ち消す方向へ、この移動機構を駆動する。
【0097】
図30では、111が基板109とレビュー光学系104の相対速度と方向を表している。相対速度と方向111は既知であるから、実施の形態7では被写体ブレの影響を軽減するために、レビュー光学系104を、相対速度と方向111と速度が同じで向きが逆である110で示すキャンセル速度で駆動を行えば良い。
【0098】
具体的には、この移動機構は図5に示すよう基板109と光学系の両方を動かせるような機構で実現できる。また、この移動機構はレビュー光学系104の視野中心がX方向へ可動できれば十分であるため、必ずしもX軸方向への平行移動機構によらず、例えばレビュー光学系104を傾けるなどの手段で視野中心を可動させる機構によって実現することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本発明は液晶表示装置やプラズマ表示装置や太陽電池などに用いられる大型の基板の生産性の向上に寄与できる。
【符号の説明】
【0100】
200 撮像検査装置
300 制御機構
301 演算装置
101 第1のY軸可動子
102 第2のY軸可動子
103 検査光学系
104 レビュー光学系
105 第2のY軸レール
106 第1のY軸レール
107 X軸レール
108 X軸可動子
109 基板
110 キャンセル速度と方向
111 基板109とレビュー光学系104の相対速度と方向
701 検査光学系の走査1ライン目の軌跡
702〜704 検査光学系の走査2〜4ライン目の軌跡
705 欠陥
706 走査1ライン目で検査される領域
707〜709 走査2〜4ライン目で検査される領域
710 レビュー光学系の走査2ライン目の軌跡
711 レビュー光学系の走査3ライン目の軌跡
712 レビュー光学系の走査4ライン目の軌跡
801,802,803,804 欠陥
901,1001,1101,1201 レビュー光学系の軌跡
P 特徴量の総和
N レビュー対象の第1欠陥群の数
E スケジュールの評価値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物を載置する載置部と、
前記被検査物を撮像して第1欠陥群として欠陥を検出する検査光学系と、
前記被検査物と前記検査光学系をX方向に相対移動させる検査光学系移動機構と、
前記検査光学系で検出された前記第1欠陥群を撮像して第2欠陥群として欠陥を検出するレビュー光学系と、
前記被検査物と前記レビュー光学系を前記X方向に相対移動させつつ、前記検査光学系と前記レビュー光学系を前記X方向と直交するY方向に相対移動させるレビュー光学系移動機構と、
前記検査光学系の撮像中に前記レビュー光学系に前記第1欠陥群を撮像させ、前記第2欠陥群とレビュー光学系で撮像されていない前記第1欠陥群を欠陥として検出する制御機構と
を備えた撮像検査装置。
【請求項2】
前記レビュー光学系のY方向の相対移動量が、前記検査光学系のY方向の相対移動量と等しい
請求項1に記載の撮像検査装置。
【請求項3】
複数の前記検査光学系と複数の前記レビュー光学系とを有し、
前記Y方向において、前記レビュー光学系が前記検査光学系から独立して前記被検査物の全幅に移動可能である
請求項1に記載の撮像検査装置。
【請求項4】
複数の前記検査光学系と1つの前記レビュー光学系とを有し、
前記Y方向において、前記レビュー光学系が前記検査光学系から独立して前記被検査物の全幅に移動可能である
請求項1に記載の撮像検査装置。
【請求項5】
複数の前記検査光学系と複数の前記レビュー光学系とを有し、
前記Y方向において、前記複数のレビュー光学系が前記検査光学系に対して相対的に移動可能である
請求項1に記載の撮像検査装置。
【請求項6】
検査光学系とレビュー光学系を前記検査対象物上でX方向に相対移動させると共にY方向に移動させ、前記検査光学系の撮像結果に基づいて検出された第1欠陥群の欠陥を前記レビュー光学系によって撮像して第2欠陥群の欠陥を検出する方法であって、
前記検査光学系がY方向の1走査を終了するたびに、それまで検出された第1欠陥群のうちの前記レビュー光学系によって撮像されていない欠陥について、前記レビュー光学系で撮像できる欠陥の数が最大となるスケジュールになるように、前記レビュー光学系による撮像のレビュースケジュールを計算し、
前記検査光学系のY方向の次の走査において、前記レビュースケジュールに従って前記レビュー光学系を撮像させる
撮像検査方法。
【請求項7】
前記レビュースケジュールの計算は、
検出された前記欠陥の特徴量に基づいて優先順位を決定し、前記優先順位および欠陥の個数に基づく評価値を算出し、前記評価値が最大になるように計算される
請求項6記載の撮像検査方法。
【請求項8】
前記欠陥の特徴量は、欠陥の反射率、面積、形状、座標のいずれかを少なくとも含む
請求項6記載の撮像検査方法。
【請求項9】
前記レビュースケジュールの計算は、
検出された第1欠陥群の欠陥の特徴量に基づいて優先順位を決定し、前記優先順位および欠陥の個数に基づくスケジュールの評価値を算出し、前記評価値が最大になるように計算され第1のスケジュールと、
前記第1のスケジュールから優先順位の高い欠陥を除外した後、前記優先順位および欠陥の個数に基づく評価値を算出し、前記評価値が最大になるように計算され計算した第2のスケジュールとを比較して、評価値の高いスケジュールをレビュースケジュールとして計算される
請求項6記載の撮像検査方法。
【請求項10】
検出された複数の前記欠陥の特徴量の総和:をPとし、検出された前記欠陥の数をNとした場合に、下記(式2)によってスケジュールの評価値Eを計算し、前記評価値Eの大きいスケジュールを、レビュースケジュールとして計算する
請求項7記載の撮像検査方法。
E = k・P+j・N ・・・(式2)
なお、kはPの重み付け係数、jはNの重み付け係数
【請求項11】
被検査物と検査光学系とをX方向に相対移動させながら前記被検査物を前記検査光学系で撮像して第1欠陥群として欠陥を検出する第1欠陥群検出工程と、
前記被検査物とレビュー光学系とを前記X方向に相対移動させながら、前記第1欠陥群検出工程で検出された欠陥を前記レビュー光学系で撮像して第2欠陥群として欠陥を検出するレビュー工程と、
前記第2欠陥群と前記レビュー工程で撮像されなかった前記第1欠陥群を欠陥として検出する欠陥検出工程と
を有し、前記検査光学系と前記レビュー光学系とは、前記X方向では独立して相対移動し、前記X方向と直交するY方向では連携して相対移動して、前記第1欠陥群検出工程と前記レビュー工程とを同時に行う
撮像検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2010−256338(P2010−256338A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51205(P2010−51205)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】