説明

撮像素子およびその製造方法

【課題】 オンチップレンズとフォトダイオードとの間で発生する混色を低減できるようにする。
【解決手段】 撮像素子は、光を受光するフォトダイオード部と、フォトダイオード部の少なくとも一部と対向する第1のカラーフィルタと、第1のカラーフィルタと対向する第2のカラーフィルタとを含む第1の単位画素を備え、第1のカラーフィルタと第2のカラーフィルタとは離間している。本技術は、撮像素子または撮像装置に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、撮像素子およびその製造方法に関し、特に、オンチップレンズとフォトダイオードとの間で発生する混色を低減できる、撮像素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子には、一般的に、1種類のカラーフィルタが1層のみ配置される構成の画素が採用されている(例えば、特許文献1参照)。その他、例えば、2種類のカラーフィルタが積層されて配置される構成の画素(例えば、特許文献2参照)や、配置されるカラーフィルタの高さが色別に異なる構成の画素(例えば、特許文献3参照)が、従来の撮像素子に採用される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−232595号公報
【特許文献2】特開2002−184965号公報
【特許文献3】特開平2−285674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1乃至3を含む従来の構成の画素では、オンチップレンズにより集光されてカラーフィルタを透過した光が、フォトダイオードに入射するまでの間に隣接画素のフォトダイオードに漏れ込むことによって、混色が発生する。混色は、S/N(Signal to Noise Ratio)や色再現性の低下につながるおそれがある。このため、オンチップレンズとフォトダイオードとの間で発生する混色を低減する手法が要求されている状況である。
【0005】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、オンチップレンズとフォトダイオードとの間で発生する混色を低減できるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本技術の第1の側面の撮像素子は、光を受光するフォトダイオード部と、前記フォトダイオード部の少なくとも一部と対向する第1のカラーフィルタと、前記第1のカラーフィルタと対向する第2のカラーフィルタとを含む第1の単位画素を備え、前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタとは離間している。
【0007】
前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタは、それぞれ同一の分光透過率特性を有する。
【0008】
光を受光するフォトダイオード部を含む第2の単位画素をさらに備える。
【0009】
前記第2の単位画素は、さらに、前記フォトダイオード部の少なくとも一部と対向する第3のカラーフィルタを含む。
【0010】
前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタは、それぞれ異なる分光透過率特性を有しており、さらに、前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタがそれぞれ有する分光透過率特性の類似度は、前記第1のカラーフィルタと前記第2の単位画素に含まれる前記第3のカラーフィルタがそれぞれ有する分光透過率特性の類似度よりも高く、前記第2のカラーフィルタと前記第2の単位画素に含まれる前記第3のカラーフィルタがそれぞれ有する分光透過率特性の類似度よりも高い。
【0011】
前記第2の単位画素は、前記第3のカラーフィルタと離間している第4のカラーフィルタをさらに含む。
【0012】
前記第1の単位画素及び前記第2の単位画素の各々は、さらに、光を集光するオンチップレンズをそれぞれ含む。
【0013】
前記第1の単位画素は、前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタを含むN枚のカラーフィルタを有し、前記第2の単位画素は、前記第3のカラーフィルタを含むM枚のカラーフィルタを有し、Nは2以上の整数値であり、MはNとは異なる1以上の整数値である。
【0014】
前記第1のカラーフィルタは、前記フォトダイオードの直上に配置される。
【0015】
前記フォトダイオードの上には平坦化膜が塗布されており、前記第1のカラーフィルタは、前記平坦化膜の上に配置される。
【0016】
前記フォトダイオードの上には導波路が形成されており、前記第1のカラーフィルタは、前記導波路の上に配置される。
【0017】
本技術の第2の側面の撮像素子の製造方法は、フォトダイオードの直上、前記フォトダイオード上に塗布された平坦化膜上、または前記フォトダイオード上に形成された導波路上に第1のカラーフィルタを形成し、前記第1のカラーフィルタの上に平坦化膜を塗布し、前記平坦化膜の上に第2のカラーフィルタを形成し、前記第2のカラーフィルタの上にオンチップレンズを形成することによって単位画素を製造する複数の前記単位画素からなる。
【0018】
本技術の第1の側面の撮像素子においては、光を受光するフォトダイオード部と、前記フォトダイオード部の少なくとも一部と対向する第1のカラーフィルタと、前記第1のカラーフィルタと対向する第2のカラーフィルタとが含まれる第1の単位画素が備えられ、前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタとは離間されている。
【0019】
本技術の第2の側面の撮像素子の製造方法においては、フォトダイオードの直上、前記フォトダイオード上に塗布された平坦化膜上、または前記フォトダイオード上に形成された導波路上に第1のカラーフィルタが形成され、前記第1のカラーフィルタの上に平坦化膜が塗布され、前記平坦化膜の上に第2のカラーフィルタが形成され、前記第2のカラーフィルタの上にオンチップレンズが形成されることによって単位画素が製造される複数の前記単位画素からなる。
【発明の効果】
【0020】
以上のごとく、本技術によれば、オンチップレンズとフォトダイオードとの間で発生する混色を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一般的な構成の画素ユニットの断面図である。
【図2】単位画素の上層の低層化について説明する図である。
【図3】本技術が適用された単位画素から構成される画素ユニットの断面図である。
【図4】カラーフィルタの分光透過率曲線を示す図である。
【図5】混色の低減について説明する図である。
【図6】赤用フォトダイオードへの入射量を、カラーフィルタの透過率を用いて示す図である。
【図7】製造装置の機能的構成例を示すブロック図である。
【図8】画素ユニットの製造処理の流れを説明するフローチャートである。
【図9】画素ユニットの製造処理の流れを示す図である。
【図10】瞳補正が加えられた画素ユニットについて説明する図である。
【図11】複数層のカラーフィルタの数が色別に変えられて配置される画素ユニットについて説明する図である。
【図12】一部の色のカラーフィルタのみが複数層配置される画素ユニットの断面図である。
【図13】フォトダイオード上に段差がある場合の画素ユニットの断面図である。
【図14】ホワイト用単位画素が適用された画素ユニットについて説明する図である。
【図15】表面型照射イメージセンサに採用される単位画素の断面図である。
【図16】画素ユニットの製造処理の流れを説明するフローチャートである。
【図17】画素ユニットの製造処理の流れを示す図である。
【図18】本技術を適用した撮像装置の主な構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本技術の実施の形態について説明する。
【0023】
本発明者は、まず、イメージセンサを構成する一般的な画素を用いて、オンチップレンズとフォトダイオード間で発生する混色について検討を行った。ここで、イメージセンサの受光面を上面とし、当該受光面の反対側の面を下面として、当該受光面の法線と平行な方向を上下方向、受光面と平行な方向を横方向として、以下説明する。
【0024】
[一般的な構成の画素]
図1は、裏面型照射イメージセンサに採用される、一般的な構成の画素ユニットの断面図である。画素ユニットは、例えば3色の単位画素、すなわち赤用単位画素、緑用単位画素、及び青用単位画素から構成される。しかしながら、ここでは説明の都合上、2色の単位画素、より具体的には緑用単位画素と赤用単位画素の組のみを図示する。なお、単位画素は、フォトダイオード、カラーフィルタ、オンチップレンズ等の構成要素から構成される。
【0025】
図1Aは、1種類のカラーフィルタが1層のみ配置される単位画素の2つの組から構成される画素ユニット10の断面図である。画素ユニット10においては、緑用フォトダイオード21−1及び赤用フォトダイオード21−2が隣接して配置されている。緑用フォトダイオード21−1の上には、緑用フィルタ部22−1及びオンチップレンズ23−1が下方から順に積層されている。また、赤用フォトダイオード21−2の上には、赤用フィルタ部22−2及びオンチップレンズ23−2が下方から順に積層されている。
【0026】
緑用フィルタ部22−1は、下方から順に、平坦化膜31の左側部分及び緑用カラーフィルタ32−1が積層されて構成される。赤用フィルタ部22−2は、下方から順に、平坦化膜31の右側部分及び赤用カラーフィルタ32−2が積層されて構成される。換言すると、緑用フィルタ部22−1と赤用フィルタ部22−2との組は、下方から順に、平坦化膜31、及び、緑用カラーフィルタ32−1と赤用カラーフィルタ32−2との組が積層されて構成される。なお、平坦化膜31は、光を透過する膜である。
【0027】
オンチップレンズ23−1に入射された光は、緑用カラーフィルタ32−1及び平坦化膜31を透過して、緑用フォトダイオード21−1に集光され、入射する。より正確には、緑用カラーフィルタ32−1において、オンチップレンズ23−1から射出された光のうち、特定の波長帯域(すなわち、緑色の波長帯域)の光だけが透過し、さらに平坦化膜31を透過して、緑用フォトダイオード21−1に入射する。緑用フォトダイオード21−1は、入射した光の量、すなわち受光量に応じたレベルの電気信号を出力する。
【0028】
オンチップレンズ23−2に入射された光は、同様の経路により、赤用フォトダイオード21−2に集光され、入射する。ただし、この場合、赤用カラーフィルタ32−2において、オンチップレンズ23−2から射出された光のうち、特定の波長帯域(すなわち、赤色光の波長帯域)の光だけが透過する点が異なる。
【0029】
図1Aに示されるように、オンチップレンズ23−1から射出された光のうち、緑用カラーフィルタ32−1を透過した光の一部は、隣接する赤用フォトダイオード21−2へ漏れ込み、漏れ込んだ光が混色成分となって混色が発生する。同様に、オンチップレンズ23−2から射出された光のうち、赤用カラーフィルタ32−2を透過した光の一部は、隣接する緑用フォトダイオード21−1へ漏れ込み、漏れ込んだ光が混色成分となって混色が発生する。
【0030】
図1Bは、2種類のカラーフィルタが積層されて配置される単位画素の2つの組から構成される画素ユニット50の断面図である。画素ユニット50においては、緑用フォトダイオード61−1及び赤用フォトダイオード61−2が隣接して配置されている。緑用フォトダイオード61−1の上には、緑用フィルタ部62−1及びオンチップレンズ63−1が下方から順に積層されている。また、赤用フォトダイオード61−2の上には、赤用フィルタ部62−2及びオンチップレンズ63−2が下方から順に積層されている。
【0031】
緑用フィルタ部62−1は、下方から順に、平坦化膜71の左側部分、下段のカラーフィルタ72−1と上段のカラーフィルタ73−1からなる緑用カラーフィルタが積層されて構成される。赤用フィルタ部62−2は、下方から順に、平坦化膜71の右側部分、下段のカラーフィルタ72−2と赤用カラーフィルタ73−2からなる赤用カラーフィルタが積層されて構成される。換言すると、緑用フィルタ部62−1と赤用フィルタ部62−2との組は、下方から順に、平坦化膜71、及び、下段のカラーフィルタ72−1と上段のカラーフィルタ73−1からなる緑用カラーフィルタと、下段のカラーフィルタ72−2と上段のカラーフィルタ73−2からなる赤用カラーフィルタとの組が積層されて構成される。なお、緑用カラーフィルタを構成する下段のカラーフィルタ72−1と上段のカラーフィルタ73−1は接着している。同様に、赤用カラーフィルタを構成する下段のカラーフィルタ72−2と上段のカラーフィルタ73−2は接着している。
【0032】
オンチップレンズ63−1に入射された光は、上段のカラーフィルタ73−1と下段のカラーフィルタ72−1からなる緑用カラーフィルタ、及び平坦化膜71を透過して、緑用フォトダイオード61−1に集光され、入射する。より正確には、上段のカラーフィルタ73−1と下段のカラーフィルタ72−1からなる緑用カラーフィルタにおいて、オンチップレンズ63−1から射出された光のうち、緑色の波長帯域の光だけが透過し、さらに平坦化膜71を透過して、緑用フォトダイオード61−1に入射する。緑用フォトダイオード61−1は、入射した光の量、すなわち受光量に応じたレベルの電気信号を出力する。
【0033】
オンチップレンズ63−2に入射された光は、同様の経路により、赤用フォトダイオード61−2に集光され、入射する。ただし、この場合、上段のカラーフィルタ73−2と下段のカラーフィルタ72−2からなる赤用カラーフィルタにおいて、オンチップレンズ63−2から射出された光のうち、赤色の波長帯域の光だけが透過する点が異なる。
【0034】
図1Bに示されるように、オンチップレンズ63−1から射出された光のうち、上段のカラーフィルタ73−1と下段のカラーフィルタ72−1からなる緑用カラーフィルタを透過した光の一部は、隣接する赤用フォトダイオード61−2へ漏れ込み、漏れ込んだ光が混色成分となって混色が発生する。同様に、オンチップレンズ63−2から射出された光のうち、上段のカラーフィルタ73−2及び下段のカラーフィルタ72−2からなる赤用カラーフィルタを透過した光の一部は、隣接する緑用フォトダイオード61−1へ漏れ込み、漏れ込んだ光が混色成分となって混色が発生する。
【0035】
図1Cは、配置されるカラーフィルタの高さが、色別に異なる単位画素の2つの組から構成される画素ユニット90の断面図である。画素ユニット90においては、緑用フォトダイオード101−1及び赤用フォトダイオード101−2が隣接して配置されている。緑用フォトダイオード101−1の上には、緑用フィルタ部102−1及びオンチップレンズ103−1が下方から順に積層されている。また、赤用フォトダイオード101−2の上には、赤用フィルタ部102−2及びオンチップレンズ103−2が下方から順に積層されている。
【0036】
緑用フィルタ部102−1は、下方から順に、平坦化膜111の左側部分及び緑用カラーフィルタ112−1が積層されて構成される。赤用フィルタ部102−2は、下方から順に、平坦化膜111の右側部分及び赤用カラーフィルタ112−2が積層されて構成される。換言すると、緑用フィルタ部102−1及び赤用フィルタ部102−2の組は、下方から順に、平坦化膜111、及び、緑用カラーフィルタ112−1と赤用カラーフィルタ112−2との組が積層されて構成される。なお、緑用カラーフィルタ112−1及び赤用カラーフィルタ112−2は、緑用フォトダイオード101−1と緑用カラーフィルタ112−1との間の距離と、赤用フォトダイオード101−2と赤用カラーフィルタ112−2との間の距離とが異なるように、それぞれ配置される。
【0037】
オンチップレンズ103−1に入射された光は、緑用カラーフィルタ112−1及び平坦化膜111を透過して、緑用フォトダイオード101−1に集光され、入射する。より正確には、緑用カラーフィルタ112−1において、オンチップレンズ103−1から射出された光のうち、緑色の波長帯域の光だけが透過し、さらに平坦化膜111を透過して、緑用フォトダイオード101−1に入射する。緑用フォトダイオード101−1は、入射した光の量、すなわち受光量に応じたレベルの電気信号を出力する。
【0038】
オンチップレンズ103−2に入射された光は、同様の経路により、赤用フォトダイオード101−2に集光され、入射する。ただし、この場合、赤用カラーフィルタ112−2において、オンチップレンズ103−2から射出された光のうち、赤色の波長帯域の光だけが透過する点が異なる。
【0039】
図1Cに示されるように、オンチップレンズ103−1から射出された光のうち、緑用カラーフィルタ112−1を透過した光の一部は、隣接する赤用フォトダイオード101−2へ漏れ込み、漏れ込んだ光が混色成分となって混色が発生する。同様に、オンチップレンズ103−2から射出された光のうち、赤用カラーフィルタ112−2を透過した光の一部は、隣接する緑用フォトダイオード101−1へ漏れ込み、漏れ込んだ光が混色成分となって混色が発生する。
【0040】
上述のように、一般的な構成の画素ユニット10等においては、オンチップレンズ23−1と緑用フォトダイオード21−1との間のように、オンチップレンズとフォトダイオードとの間で混色が発生する。このようにして発生する混色は、S/Nや色再現性の低下の要因となるおそれがある。
【0041】
[上層が低層化された画素]
混色を低減する手法としては、単位画素の上層を低層化する手法が存在する。ここで、上層とは、フォトダイオードの上方に積層された部分、すなわち、フィルタ部及びオンチップレンズをいい、主に平坦化膜を薄くすることにより上層の低層化が図られる。
【0042】
図2は、単位画素の上層の低層化について説明する図である。
【0043】
図2Aの画素ユニット10は、単位画素の上層を低層化する前の画素ユニットであるとする。緑用フォトダイオード21−1に示される両矢印は、オンチップレンズ23−1により集光された光が照射する領域(以下、集光ポイントと称する)を示している。画素ユニット10においては、図1Aで説明したように、混色が発生する。
【0044】
したがって、図2Bに示されるように、緑用フィルタ部22−1と赤用フィルタ部22−2に含まれる平坦化膜31を薄くして、オンチップレンズ23−1及びオンチップレンズ23−2と、緑用フォトダイオード21−1及び赤用フォトダイオード21−2との距離を短くして低層化を図る。このように単位画素の上層を低層化することにより、上層部の光路が短縮される分だけ、上層部において隣接する画素へ漏れ込む光量が減少するため、混色は低減する。
【0045】
しかしながら、図2Bに示されるように、緑用フォトダイオード21−1の集光ポイントは、単位画素の上層を低層化することにより広がってしまう。集光ポイントが広がると、感度の低下やフォトダイオード内での混色の発生を招くおそれがある。この場合、オンチップレンズ23−1の曲率を調整することで、集光ポイントの調整は可能である。例えば、単位画素の上層を低層化した場合には、オンチップレンズの曲率を大きくすることにより、集光ポイントの広がりを抑制することが可能である。しかしながら、画素サイズの微細化に伴って製造工程での加工の難易度が高くなるため、オンチップレンズの曲率を調整するのが困難な場合がある。
【0046】
そこで、本発明者等は、1つの単位画素に対して、上下方向に複数層の同色のカラーフィルタを離間して配置する、という手法を開発した。このような手法を、以下、本技術の手法と称すると、本技術の手法を適用することで、オンチップレンズとフォトダイオードとの間で発生する混色を低減できる。
【0047】
[本技術が適用された単位画素]
図3Aは、裏面型照射イメージセンサに採用される、本技術が適用された単位画素から構成される画素ユニット200の断面図である。ここでは説明の都合上、2色の単位画素、より具体的には緑用単位画素と赤用単位画素の組のみを図示するが、当然のことながら、これに限定されない。画素ユニット200を構成する単位画素には、それぞれ上下方向に複数層のカラーフィルタが離間して配置される。なお、以下の説明においては、1つの単位画素に対して、カラーフィルタが2層配置される場合について説明するが、配置されるカラーフィルタの数はこれに限定されない。
【0048】
画素ユニット200においては、緑用フォトダイオード211−1及び赤用フォトダイオード211−2が隣接して配置されている。緑用フォトダイオード211−1の上には、緑用フィルタ部212−1及びオンチップレンズ213−1が下方から順に積層されている。また、赤用フォトダイオード211−2の上には、赤用フィルタ部212−2及びオンチップレンズ213−2が下方から順に積層されている。
【0049】
緑用フィルタ部212−1は、下方から順に、下段の緑用カラーフィルタ221−1、平坦化膜222の左側部分、及び上段の緑用カラーフィルタ223−1が積層されて構成される。赤用フィルタ部212−2は、下方から順に、下段の赤用カラーフィルタ221−2、平坦化膜222の右側部分、及び上段の赤用カラーフィルタ223−2が積層されて構成される。換言すると、緑用フィルタ部212−1と赤用フィルタ部212−2との組は、下方から順に、下段の緑用カラーフィルタ221−1と下段の赤用カラーフィルタ221−2との組、平坦化膜222、及び、上段の緑用カラーフィルタ223−1と上段の赤用カラーフィルタ223−2との組が積層されて構成される。なお、下段の緑用カラーフィルタ221−1と下段の赤用カラーフィルタ221−2との組は、それぞれ緑用フォトダイオード211−1及び赤用フォトダイオード211−2の直上か、若しくは可能な限り緑用フォトダイオード211−1及び赤用フォトダイオード211−2の近傍に配置される。また、下段の緑用カラーフィルタ221−1と上段の緑用カラーフィルタ223−1、下段の赤用カラーフィルタ221−2と上段の赤用カラーフィルタ223−2とは、それぞれ平坦化膜222がその間に配置されることにより、離間して配置される。
【0050】
図3Aの例では、1つの単位画素に対して、カラーフィルタが2層配置される場合について説明したが、カラーフィルタが2層以上配置される場合には、対向する2層のカラーフィルタの組のうち、少なくとも1組の間が離間するように配置される。なお、対向する2層とは、最も近くに配置される2層、すなわち近接する2層を意味する。
【0051】
図3Bは、カラーフィルタが3層配置された単位画素から構成される画素ユニット200eの断面図である。例えば、画素ユニット200eの緑用単位画素において、対向する2層のカラーフィルタの組とは、下段の緑用カラーフィルタ221−1aと中段の緑用カラーフィルタ224−1aとの組(以下、第1の組と称する)、及び、中段の緑用カラーフィルタ224−1aと上段の緑用カラーフィルタ223−1aとの組(以下、第2の組と称する)のことをいう。ここで、下段の緑用カラーフィルタ221−1aと上段の緑用カラーフィルタ223−1aとの組は、近接する2層ではないので、対向する2層のカラーフィルタの組ではない。
【0052】
図3Bに示される緑用単位画素においては、対向する2層のカラーフィルタの組、すなわち第1の組と第2の組は、どちらも2層のカラーフィルタの間が離間するように配置されているが、第1の組と第2の組のうちの少なくとも1組の間が離間するように配置されればよい。
【0053】
ここで、下段の緑用カラーフィルタ221−1及び上段の緑用カラーフィルタ223−1の各々は、それぞれ同色のカラーフィルタであるとする。また、下段の赤用カラーフィルタ221−2及び上段の赤用カラーフィルタ223−2の各々は、それぞれ同色のカラーフィルタであるとする。ここで、同色とは、カラーフィルタの材料がもつ分光透過率特性が同一であるか、または分光透過率特性が異なっていても同色であることを意味する。画素ユニット200を構成する単位画素に配置されるカラーフィルタの色について図4を参照して説明する。
【0054】
[単位画素に配置されるカラーフィルタの色]
図4は、画素ユニット200を構成する単位画素に配置されるカラーフィルタの分光透過率曲線を示す図である。図4において、縦軸は透過率を示し、横軸は波長を示している。
【0055】
図4Aに示されるように、点線で示される下段の緑用カラーフィルタ221−1及び上段の緑用カラーフィルタ223−1の特性は、同一の分光透過率を有しており、どちらも波長が520nm近辺で透過率が最も高くなる。また、実線で示される下段の赤用カラーフィルタ221−2及び上段の赤用カラーフィルタ223−2の特性は、同一の分光透過率を有しており、どちらも波長が600nm近辺で透過率が最も高くなる。すなわち、下段の緑用カラーフィルタ221−1及び上段の緑用カラーフィルタ223−1と、下段の赤用カラーフィルタ221−2及び上段の赤用カラーフィルタ223−2とは、それぞれ分光透過率特性が同一になるような材料からできている。このように、画素ユニット200を構成する単位画素に対して上下方向に配置される複数層のカラーフィルタは、図4Aに示されるように、それぞれ同一の分光透過率特性を有するものが採用される。
【0056】
また、図4Bに示されるように、一点鎖線で示される下段の緑用カラーフィルタ221−1の特性と点線で示される上段の緑用カラーフィルタ223−1の特性は、それぞれ異なる分光透過率を示しているが、どちらも波長が520nm近辺で透過率が最も高くなる。また、破線で示される下段の赤用カラーフィルタ221−2の特性と実線で示される上段の赤用カラーフィルタ223−2の特性は、それぞれ異なる分光透過率を示しているが、どちらも波長が600nm近辺で透過率が高くなる。すなわち、下段の緑用カラーフィルタ221−1及び上段の緑用カラーフィルタ223−1の特性と、下段の赤用カラーフィルタ221−2及び上段の赤用カラーフィルタ223−2の特性とは、それぞれ分光透過率特性が異なっていても同色である。
【0057】
ここでの同色とは、例えば、第1の色の単位画素のフォトダイオードの上方に配置される下段のカラーフィルタの分光透過率特性は、隣接する第2の色の単位画素のフォトダイオードの上方に配置される複数層のカラーフィルタの分光透過率特性よりも、第1の色の単位画素のフォトダイオードの上方に配置される上段のカラーフィルタの分光透過率特性に近似することを意味する。分光は、上下方向に配置された複数層のカラーフィルタの分光透過率の乗算により算出されるため、図4Bに示されるように、1つの単位画素に対して、分光透過率が異なっていても同色であるカラーフィルタが上下方向に複数層配置されることにより、分光形状の調整が可能となる。このように、画素ユニット200を構成する単位画素に対して上下方向に配置される複数層のカラーフィルタは、図4Bに示されるように、それぞれ異なる分光透過率特性を有していても同色であるものが採用される。
【0058】
このように、画素ユニット200において、1つの単位画素に対して上下方向に配置される複数層(図3Aの例では2層)のカラーフィルタは、それぞれ同色のカラーフィルタであるとする。
【0059】
図3Aの説明に戻り、オンチップレンズ213−1に入射された光は、上段の緑用カラーフィルタ223−1、平坦化膜222、及び下段の緑用カラーフィルタ221−1を透過して、緑用フォトダイオード211−1に集光され、入射する。より正確には、上段の緑用カラーフィルタ223−1において、オンチップレンズ213−1から射出された光のうち、緑色の波長帯域の光だけが透過し、平坦化膜222を透過する。さらに、下段の緑用カラーフィルタ221−1において、上段の緑用カラーフィルタ223−1及び平坦化膜222を透過した緑色の波長帯域の光だけが透過し、緑用フォトダイオード211−1に入射する。緑用フォトダイオード211−1は、入射した光の量、すなわち受光量に応じたレベルの電気信号を出力する。
【0060】
オンチップレンズ213−2に入射された光は、同様の経路により、赤用フォトダイオード211−2に集光され、入射する。ただし、この場合、上段の赤用カラーフィルタ223−2及び下段の赤用カラーフィルタ221−2において、オンチップレンズ213−2から射出された光のうち、赤色の波長帯域の光だけが透過する点が異なる。
【0061】
このように、画素ユニット200を構成する単位画素には、それぞれ上下方向に複数層(図3Aの例では2層)の同色のカラーフィルタが離間して配置される。これにより、次の図5に示されるように、オンチップレンズとフォトダイオードとの間で発生する混色を低減することができる。
【0062】
[画素ユニット200による混色の低減]
図5は、混色の低減について説明する図である。
【0063】
図5Aは、一般的な構成の画素ユニット10の断面図である。図5Aに示されるように、オンチップレンズ23−1から射出された光のうち、緑用カラーフィルタ32−1を透過した緑色の波長帯域の光の一部は、隣接する赤用フォトダイオード21−2へ漏れ込み、漏れ込んだ光が混色成分となって混色が発生する。
【0064】
これに対して、図5Bに示される本技術が適用された単位画素から構成される画素ユニット200においては、オンチップレンズ213−1から射出された光のうち、上段の緑用カラーフィルタ223−1を透過した緑色の波長帯域の光の一部は、赤用フォトダイオード211−2に漏れ込む前に下段の赤用カラーフィルタ221−2によりほぼ吸収されるので、赤用フォトダイオード211−2に入射する光は低減する。すなわち、下段の赤用カラーフィルタ221−2は、赤色の波長帯域の光だけを透過するので、上段の緑用カラーフィルタ223−1を透過した緑色の波長帯域の光は、下段の赤用カラーフィルタ221−2を透過せずにほぼ吸収される。したがって、本技術が適用された単位画素から構成される画素ユニット200によれば、図6に示されるように、混色を低減することができる。
【0065】
図6は、緑用カラーフィルタを透過した光が、赤用フォトダイオードに入射されて混色となる場合における、赤用フォトダイオードへの入射量を、カラーフィルタの透過率を用いて示す図である。図6において、縦軸は透過率を示し、横軸は波長を示している。
【0066】
すなわち、所定の波長の光が、赤用フォトダイオードへ入射される量は、透過率が大きくなる程多くなる。したがって、緑色の光が赤用フォトダイオードへ漏れ込んで入射される量、換言すると赤用フォトダイオードにおいて発生する混色の影響度合は、520nm前後の波長帯域の透過率の大小により判定することができる。
【0067】
図6の実線は、緑用カラーフィルタの分光透過率曲線を示している。図1Aに示された一般的な構成の画素ユニット10においては、図6の実線の特性を有する緑用カラーフィルタ32−1の1層のみが設けられているため、図6の実線がそのまま、隣接する赤用フォトダイオード21−2に漏れ込んで入射される量、換言すると赤用フォトダイオードにおいて発生する混色の影響度合を示すことになる。
【0068】
これに対して、本技術が適用された単位画素から構成される画素ユニット200において、上段の緑用カラーフィルタ223−1を透過した緑色の光は、下段の赤用カラーフィルタ221−2を透過した後に、赤用フォトダイオード211−2に入射される。ここで、上段の緑用カラーフィルタ223−1が図6の実線の特性を有し、下段の赤色用カラーフィルタ221−2が図4Bの破線で示される特性を有するものとすると、図6の実線と図4Bの破線とを合算した曲線、すなわち図6の点線が、上段の緑用カラーフィルタ223−1と下段の赤用カラーフィルタ221−2とを組み合わせた特性を示すことになる。この図6の点線が、本技術が適用された場合における、隣接する赤用フォトダイオード211−2に漏れ込んで入射される量、換言すると赤用フォトダイオードにおいて発生する混色の影響度合を示すことになる。
【0069】
従来についての図6の実線の特性と、本技術についての図6の点線の特性とを比較するに、520nm前後の波長帯域の透過率は、図6の点線の特性の方が圧倒的に低くなっている。このことは、本技術を適用した場合には、従来の場合と比較して、緑色の光が赤用フォトダイオードへ漏れ込んで入射される量、換言すると赤用フォトダイオードにおいて発生する混色の影響度合が圧倒的に低減されることを意味している。
【0070】
これは、本技術の画素ユニット200においては、上段の緑用カラーフィルタ223−1を透過した緑色の光は、隣接する赤用フォトダイオード211−2に漏れ込む前に、下段の赤用カラーフィルタ221−2により吸収されるからである。
【0071】
このように、画素ユニット200を構成する単位画素に対して、それぞれ上下方向に複数層の同色カラーフィルタが離間して配置されることにより、オンチップレンズとフォトダイオードとの間で発生する混色を低減することができることがわかる。
【0072】
[裏面型照射イメージセンサにおける画素ユニット200の製造処理]
次に、裏面型照射イメージセンサに採用される、画素ユニット200の製造処理について図7乃至図9を用いて説明する。
【0073】
図7は、画素ユニット200を製造する製造装置230の機能的構成例を示すブロック図である。
【0074】
製造装置230は、形成部231及び塗布部232を有している。
【0075】
形成部231は、配線層、カラーフィルタ、及びオンチップレンズを形成する。また、形成部232は、図15を参照して後述する半導体基板及び電極用の開口部を形成する。
【0076】
塗布部232は、平坦化膜を塗布する。
【0077】
図8は、裏面型照射イメージセンサにおける画素ユニット200の製造処理の流れを説明するフローチャートである。また、図9は、裏面型照射イメージセンサにおける画素ユニット200の製造処理の流れを示す図である。画素ユニット200の製造処理においては、適宜人手が介在したり、複数の装置により分担されて画素ユニット200が製造されることがあるが、本実施形態では説明を簡略化するために、1台の製造装置が、画素ユニット200を製造するまでの一連の処理を全て実行するものとする。
【0078】
ステップS1において、形成部231は、緑用フォトダイオード211−1及び赤用フォトダイオード211−2上に、配線層240を形成して、それを裏返す。この状態が、状態S1として示されている。
【0079】
ステップS2において、形成部231は、下段の緑用カラーフィルタ221−1を緑用フォトダイオード211−1の上方に形成する。この状態が、状態S2として示されている。なお、下段の緑用カラーフィルタ221−1は、カラーフィルタレジストの塗布及びリソグラフィにより形成される。
【0080】
ステップS3において、形成部231は、下段の赤用カラーフィルタ221−2を赤用フォトダイオード211−2の上方に形成する。すると、この状態が、状態S3として示されている。なお、下段の赤用カラーフィルタ221−2は、カラーフィルタレジストの塗布及びリソグラフィにより形成される。
【0081】
ステップS4において、塗布部232は、下段の緑用カラーフィルタ221−1と下段の赤用カラーフィルタ221−2との組の上方に、平坦化膜222を塗布する。この状態が、状態S4として示されている。
【0082】
ステップS5において、形成部231は、平坦化膜222の左側部分の上方に、上段の緑用カラーフィルタ223−1を形成する。この状態が、状態S5として示されている。なお、上段の緑用カラーフィルタ223−1は、カラーフィルタレジストの塗布及びリソグラフィにより形成される。
【0083】
ステップS6において、形成部231は、平坦化膜222の右側部分の上方に、上段の赤用カラーフィルタ223−2を形成する。この状態が、状態S6として示されている。なお、上段の赤用カラーフィルタ223−2は、カラーフィルタレジストの塗布及びリソグラフィにより形成される。
【0084】
ステップS7において、形成部231は、上段の緑用カラーフィルタ223−1と上段の赤用カラーフィルタ223−2との組の上方に、オンチップレンズ213−1とオンチップレンズ213−2をそれぞれ形成する。この状態が、状態S7として示されている。
【0085】
これにより、裏面型照射イメージセンサにおける画素ユニット200の製造処理は終了する。
【0086】
なお、ステップS4において、下段の緑用カラーフィルタ221−1と下段の赤用カラーフィルタ221−2との組の上方に塗布される平坦化膜222の厚みが調整されることにより、画素ユニット200の高さが調整される。ここで、画素ユニット200の高さに応じて、感度や混色及びシェーディングの度合いが変化する。したがって、感度が最も高く、混色及びシェーディングの発生が最も低減するような画素ユニット200の高さとなるように、平坦化膜222の厚みが調整されると好適である。
【0087】
[瞳補正の適用]
画素ユニット200を構成する単位画素に上下方向に配置される複数層の同色のカラーフィルタ、及びオンチップレンズに対して、瞳補正が加えられてもよい。瞳補正については、例えば特開2010−232595号公報等に記載されている。なお、以下に説明する画素ユニットは、図3Aの画素ユニット200と基本的に同様の構成をとるが、一部異なった構成をとる。そこで、以下の画素ユニットの構成の説明としては、図3Aの構成とは異なる構成の点についてのみ説明する。
【0088】
図10は、瞳補正が加えられた単位画素から構成される画素ユニットについて説明する図である。
【0089】
画素ユニット200cは、撮像素子260の中心部に配置される画素ユニットであり、画素ユニット200eは、撮像素子260の端部に配置される画素ユニットである。
【0090】
撮像素子260の中心部に配置される画素ユニット200cにおいては、オンチップレンズ213−1cの中心軸方向から光が入射されるので、上段の緑用カラーフィルタ223−1c、平坦化膜222c、及び下段の緑用カラーフィルタ221−1cを透過した光は、緑用フォトダイオード211−1cに垂直に入射する。オンチップレンズ213−2cに入射された光も、同様に、赤用フォトダイオード211−2cに垂直に入射する。したがって、撮像素子260の中心部に配置される画素ユニット200cにおいては、オンチップレンズ213−1c及びオンチップレンズ213−2cと、緑用フィルタ部212−1c及び赤用フィルタ部212−2cには、瞳補正が加えられない。
【0091】
これに対して、斜め方向からの光が入射される撮像素子260の端部に配置される画素ユニット200eにおいては、オンチップレンズ213−1eの中心軸に対して斜め方向から光が入射されるので、上段の緑用カラーフィルタ223−1e、平坦化膜222e、及び下段の緑用カラーフィルタ221−1cを透過した光は、緑用フォトダイオード211−1eに斜めに入射する。オンチップレンズ213−2eに入射された光も、同様に、赤用フォトダイオード211−2eに斜めに入射する。すなわち、緑用フォトダイオード211−1e及び赤用フォトダイオード211−2eに対して入射光が効率よく集光されない。したがって、斜め方向から入射される光が効率よく集光されるように、オンチップレンズ213−1e及びオンチップレンズ213−2eと、緑用フィルタ部212−1e及び赤用フィルタ部212−2eには、光の入射角に応じた瞳補正が加えられる。
【0092】
すなわち、撮像素子260の中心部から端部に向かうにしたがって瞳補正量が大きくなるように、撮像素子260に配置された画素ユニット200に対して瞳補正が加えられる。また、画素ユニット200内においては、緑用フォトダイオード211−1及び赤用フォトダイオード211−2から離れた位置にある構成要素ほど瞳補正量が大きくなるように、オンチップレンズ213−1e及びオンチップレンズ213−2eと、緑用フィルタ部212−1及び赤用フィルタ部212−2に瞳補正が加えられる。具体的には、画素ユニット200eにおいては、下段の緑用カラーフィルタ221−1eと下段の赤用カラーフィルタ221−2eとの組、上段の緑用カラーフィルタ223−1eと上段の赤用カラーフィルタ223−2eとの組、オンチップレンズ213−1e及びオンチップレンズ213−2eとの組になるにつれて、瞳補正量が大きくなるように、画素ユニット200eに対して瞳補正が加えられる。なお、瞳補正量とは、フォトダイオードの中心を起点とした時のカラーフィルタ及びオンチップレンズのずらし量をいう。
【0093】
このように、撮像素子260に配置される画素ユニット200を構成する単位画素のオンチップレンズ及びカラーフィルタに対して瞳補正が加えられることにより、撮像素子260は、画角端においても、感度が高く、混色の発生を低減することができる。
【0094】
[カラーフィルタの数の変形例]
上述の例では、画素ユニットを構成する単位画素に配置される複数層のカラーフィルタは、どの色の単位画素に配置されるカラーフィルタも同数とされた。しかしながら、単位画素に配置される複数層のカラーフィルタは、色別にその数が変えられて配置されてもよい。
【0095】
図11は、複数層のカラーフィルタの数が色別に変えられて配置される単位画素から構成される画素ユニットについて説明する図である。
【0096】
図11Aは、画素ユニット200fと、画素ユニット200fに隣接する画素ユニット200gの断面図である。
【0097】
図11Aに示されるように、画素ユニット200f,200gは、それぞれ平坦化膜222f,222gが厚く、オンチップレンズとフォトダイオードとの間の距離が長い。このような場合、1つの単位画素を超えて混色が発生するおそれがある。
【0098】
具体的には、図11Aに示されるように、オンチップレンズ213−2gから射出された光のうち、上段の赤用カラーフィルタ223−2gを透過した光の一部は、隣接する画素ユニット200fの赤用単位画素の赤用フォトダイオード211−2fへ漏れ込むおそれがある。すなわち、画素ユニット200gの赤用単位画素のオンチップレンズ213−2gから射出された光が、画素ユニット200gの緑用単位画素を飛びこえて、隣接する画素ユニット200fの赤用単位画素の赤用フォトダイオード211−2fへ漏れ込み、漏れ込んだ光が混色成分となって混色が発生するおそれがある。この場合、赤用単位画素の赤用フォトダイオード211−2fへ漏れ込む光が、赤用カラーフィルタ223−2gを透過した赤色の光(すなわち同色)であっても、解像度劣化等が生じるおそれがある。
【0099】
このようにして発生する混色を低減するために、画素ユニット200f,200gに配置される複数層のカラーフィルタの数を色別に増やす。
【0100】
図11Bは、複数層のカラーフィルタの数が色別に変えられて配置されている単位画素から構成される画素ユニット200fと、画素ユニット200fに隣接する画素ユニット200gの断面図である。図11Bに示されるように、画素ユニット200f,200gは、図11Aと比較して、それぞれ中段の緑用カラーフィルタ261−1f,261−1gがさらに配置されている。
【0101】
具体的には、図11Bに示されるように、画素ユニット200gの赤用単位画素のオンチップレンズ213−2gから射出された光のうち、上段の赤用カラーフィルタ223−2gを透過した赤色の波長帯域の光の一部は、隣接する画素ユニット200fの赤用単位画素の赤用フォトダイオード211−2fへ漏れ込むおそれがあったとしても、中段の緑用カラーフィルタ261−1gによりほぼ吸収される。したがって、隣接する画素ユニット200fの赤用単位画素の赤用フォトダイオード211−2fへ漏れ込む光は低減する。すなわち、中段の緑用カラーフィルタ261−1gは、緑色の波長帯域の光だけを透過するので、上段の赤用カラーフィルタ223−2gを透過した赤色の波長帯域の光は、中段の緑用カラーフィルタ261−1gを透過せずにほぼ吸収されるので、赤用フォトダイオード211−2fへ漏れ込む光は低減する。
【0102】
このように、画素ユニット200を構成する単位画素に配置されるカラーフィルタの数を、色別に変えることにより、1つの単位画素を超えて漏れ込む光による混色を低減することができる。なお、当然のことながら、他の色の単位画素のカラーフィルタの数が増やされてもよく、また配置されるカラーフィルタの数も上述の例に限定されない。
【0103】
[カラーフィルタの数の他の変形例]
上述の例では、画素ユニットを構成する単位画素に配置される複数層のカラーフィルタは、全て複数層とされた。しかしながら、画素ユニットを構成する単位画素に配置されるカラーフィルタは、一部の色のカラーフィルタのみが複数層配置されてもよい。
【0104】
図12は、一部の色のカラーフィルタのみが複数層配置される単位画素から構成される画素ユニット200hの断面図である。図12に示されるように、緑用フィルタ部212−1hは、下方から順に、下段の緑用カラーフィルタ221−1h、平坦化膜222hの左側部分、及び上段の緑用カラーフィルタ223−1hが積層されて構成される。一方、赤用フィルタ部212−2hは、下方から順に、平坦化膜222hの右側部分及び上段の赤用カラーフィルタ223−2hが積層されて構成される。
【0105】
すなわち、画素ユニット200hのうち、赤用単位画素には、一般的な構成の単位画素と同様に赤用カラーフィルタ223−2hが1層のみ配置される。これに対して、緑用単位画素には、複数層の緑用カラーフィルタ221−1h,223−1hが配置される。この場合、赤用カラーフィルタ223−2hを透過した赤色の波長帯域の光のうち、緑用フォトダイオード211−1hに漏れ込む光を低減させることができる。これに対して、緑用カラーフィルタ223−1hを透過した緑色の波長帯域の光のうち、赤用フォトダイオード211−2hに漏れ込む光を低減させることは困難となる。
【0106】
しかしながら、単位画素に配置するカラーフィルタの数を減らすことで画素ユニット200hの製造処理の工数を減らすことができるので、コストを抑制することができる。したがって、画素ユニットの設計者は、混色の量とコストの関係とのバランスを考えて、画素ユニットを構成する単位画素に配置するカラーフィルタの数を決定すると好適である。なお、当然のことながら、他の色の単位画素のカラーフィルタのみが複数層配置されてもよい。
【0107】
[カラーフィルタの配置位置の例]
上述の例では、画素ユニットを構成する単位画素に配置されるカラーフィルタの位置は、フォトダイオードの直上とされた。しかしながら、単位画素のフォトダイオード上に段差ある場合などは、カラーフィルタの配置位置は、フォトダイオードの直上に限定されない。
【0108】
図13は、フォトダイオード上に段差がある場合の画素ユニットの断面図である。段差がある場合とは、例えば、フォトダイオード上に他の部品が配置されている場合等があり、図13の例では、画素ユニットのフォトダイオード上に金属遮光膜280乃至282が配置されている。
【0109】
したがって、図13Aに示されるように、はじめに画素ユニット200iの緑用フォトダイオード211−1i及び赤用フォトダイオード211−2i上に平坦化膜300iが塗布されて、緑用フォトダイオード211−1i及び赤用フォトダイオード211−2iの表面が平坦化される。その後、下段の緑用カラーフィルタ221−1iと下段の赤用カラーフィルタ221−2iとの組が配置されてもよい。
【0110】
また、図13Bに示されるように、画素ユニット200jのフォトダイオード上に配置された金属遮光膜280乃至282の間に、下段の緑用カラーフィルタ221−1jと下段の赤用カラーフィルタ221−2jとの組が配置されてもよい。具体的には、金属遮光膜280と金属遮光膜281の間に下段の緑用カラーフィルタ221−1jが配置され、金属遮光膜281と金属遮光膜282の間に下段の赤用カラーフィルタ221−2jが配置されてもよい。
【0111】
このように、画素ユニットを構成する単位画素のフォトダイオード上に段差がある場合であっても、複数層のカラーフィルタを配置することが可能である。これにより、混色を低減することができる。
【0112】
[ホワイト画素が適用される例]
上述の例では、画素ユニットは、例えば3色の単位画素、すなわち赤用単位画素、緑用単位画素、及び青用単位画素から構成されるとした。しかしながら、画素ユニットを構成する単位画素の色として、ホワイト用単位画素が適用されてもよい。ホワイト用単位画素については、例えば特開2009−296276号公報等に記載されている。ホワイト用単位画素は、フォトダイオード、透明なフィルタ、オンチップレンズ等の構成要素から構成される。なお、ホワイト用単位画素は、透明なフィルタを有さずに、カラーフィルタそのものを有さない構成であってもよい。図14の画素ユニットの例では、説明の都合上、緑用単位画素とホワイト用単位画素の組のみを図示する。
【0113】
図14は、ホワイト用単位画素が適用された画素ユニットについて説明する図である。
【0114】
図14Aは、ホワイト用単位画素が配置された一般的な構成の画素ユニット10wの断面図である。画素ユニット10wにおいては、緑用フォトダイオード21−1w及びホワイト用フォトダイオード21−2wが隣接して配置されている。緑用フォトダイオード21−1wの上には、緑用フィルタ部22−1w及びオンチップレンズ23−1wが下方から順に積層されている。また、ホワイト用フォトダイオード21−2wの上には、ホワイト用フィルタ部22−2w及びオンチップレンズ23−2wが下方から順に積層されている。
【0115】
緑用フィルタ部22−1wは、下方から順に、平坦化膜31wの左側部分及び緑用カラーフィルタ32−1wが積層されて構成される。ホワイト用フィルタ部22−2wは、平坦化膜31wの右側部分から構成される。すなわち、ホワイト用フィルタ部22−2wは、カラーフィルタ自体を有さない構成である。
【0116】
図14Bは、ホワイト用単位画素が配置される本技術が適用された単位画素から構成される画素ユニット200wの断面図である。画素ユニット200wにおいては、緑用フォトダイオード211−1w及びホワイト用フォトダイオード211−2wが隣接して配置されている。緑用フォトダイオード211−1wの上には、緑用フィルタ部212−1w及びオンチップレンズ213−1wが下方から順に積層されている。また、ホワイト用フォトダイオード211−2wの上には、ホワイト用フィルタ部212−2w及びオンチップレンズ213−2wが下方から順に積層されている。
【0117】
緑用フィルタ部212−1wは、下方から順に、下段の緑用カラーフィルタ221−1w、平坦化膜222wの左側部分、及び上段の緑用カラーフィルタ223−1wが積層されて構成される。ホワイト用フィルタ部212−2wは、平坦化膜222wの右側部分から構成される。すなわち、ホワイト用フィルタ部212−2wは、カラーフィルタ自体を有さない構成である。
【0118】
図14Aに示されるように、ホワイト用単位画素が配置された一般的な構成の画素ユニット10wにおいては、オンチップレンズ23−2wから射出された赤色光,緑色光,青色光の一部は、隣接する緑用フォトダイオード21−1wへ漏れ込み、漏れ込んだ赤色光,緑色光,青色光が混色成分となって混色が発生する。
【0119】
これに対して、図14Bに示される本技術が適用された単位画素から構成される画素ユニット200wにおいては、オンチップレンズ213−2wから射出された赤色光,緑色光,青色光の一部は、隣接する緑用フォトダイオード211−1wに漏れ込む前に、赤色光と青色光は下段の緑用カラーフィルタ221−1wによりほぼ吸収され、緑色光のみが透過するので、緑用フォトダイオード211−2wに入射する光は低減する。すなわち、下段の緑用カラーフィルタ221−1wは、緑色の波長帯域の光だけを透過するので、オンチップレンズ213−2wから射出された赤色光,緑色光,青色光のうち、赤色光と青色光は、下段の緑用カラーフィルタ221−1wを透過せずに、ほぼ吸収される。すなわち、混色成分の量を低減することができる。したがって、本技術が適用された単位画素から構成される画素ユニット200wによれば、混色を低減することができる。なお、当然のことながら、緑色用単位画素以外の他の色の単位画素のカラーフィルタが複数層配置されてもよい。
【0120】
本技術は、CMOSイメージセンサまたはCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサに配置される画素に適用することができる。また、本技術は、ベイヤ配列、クリアビット配列、またはその他の配列で配置される画素に対して適用することができる。また、本技術の単位画素に配置されるカラーフィルタの素材は、顔料系または染料系のどちらでもよい。また、本技術の単位画素は、裏面型照射イメージセンサに限らず、図15に示される表面型照射イメージセンサに適用することもできる。
【0121】
[表面型照射イメージセンサに採用される本技術が適用された単位画素]
図15は、表面型照射イメージセンサに採用される単位画素の断面図である。なお、表面型照射イメージセンサについては、例えば特開2010−232595号公報、特開2010−41034号公報等に記載されている。
【0122】
図15Aは、表面型照射イメージセンサの撮像素子に採用される、一般的な構成の単位画素500の断面図である。単位画素500においては、半導体基板511、配線層512、フィルタ部513、及びオンチップレンズ514が下方から順に積層されている。
【0123】
半導体基板511には、フォトダイオード521が配置される。配線層512には、複数の配線531、導波路532、及び電極用の開口部533が含まれる。フィルタ部513は、下方から順に、平坦化膜541及びカラーフィルタ542が積層されて構成される。すなわち、単位画素500には、1種類のカラーフィルタ542が1層のみ配置される。
【0124】
オンチップレンズ514に入射された光は、カラーフィルタ542及び平坦化膜541を透過して、導波路532を通過してフォトダイオード521に入射する。ここで、図示せぬ隣接する単位画素のオンチップレンズから射出された光のうち、図示せぬ隣接する単位画素のカラーフィルタを透過した光は、導波路532の上部に漏れ込み、漏れ込んだ光が導波路532を通過してフォトダイオード521に入射し、混色が発生する。混色は、S/Nや色再現性の低下の要因となるおそれがあることから、このような混色を低減するために、図15Bに示されるように、1つの単位画素に対して複数層のカラーフィルタを配置する。
【0125】
図15Bは、表面型照射イメージセンサに採用される、本技術が適用された単位画素560の断面図である。単位画素560においては、半導体基板571、配線層572、フィルタ部573、及びオンチップレンズ574が下方から順に積層されている。
【0126】
半導体基板571には、フォトダイオード581が配置される。配線層572には、複数の配線591、導波路592、及び電極用の開口部593が含まれる。フィルタ部573は、下方から順に、第1の平坦化膜601、下段のカラーフィルタ602、第2の平坦化膜603、及び上段のカラーフィルタ604が積層されて構成される。すなわち、単位画素560には、上下方向に複数層(図15Bの例では2層)の同色のカラーフィルタ、すなわち下段のカラーフィルタ602及び上段のカラーフィルタ604が配置される。
【0127】
オンチップレンズ574に入射された光は、上段のカラーフィルタ604、第2の平坦化膜603、下段のカラーフィルタ602、及び第1の平坦化膜601を透過して、導波路592を通過してフォトダイオード581に入射する。
【0128】
単位画素560においては、図示せぬ隣接する単位画素のオンチップレンズから射出された光のうち、図示せぬ隣接する単位画素の上段のカラーフィルタを透過した光が、単位画素560に漏れ込んだとしても、漏れ込んだ光は下段のカラーフィルタ602によりほぼ吸収されるので、導波路592の上層への漏れ込みを低減でき、フォトダイオード581に入射する光は低減する。下段のカラーフィルタ602は、特定の第1の波長帯域の光だけを透過するので、図示せぬ隣接する単位画素のカラーフィルタを透過した特定の第2の波長帯域の光は、下段のカラーフィルタ602を透過せずに、ほぼ吸収される。したがって、本技術が適用された単位画素560によれば、混色を低減することができる。
【0129】
[表面型照射イメージセンサにおける画素ユニット560の製造処理]
次に、表面型照射イメージセンサの撮像素子に採用される、画素ユニット560の製造処理について図16,図17を用いて説明する。
【0130】
図16は、表面型照射イメージセンサにおける画素ユニット560の製造処理の流れを説明するフローチャートである。また、図17は、表面型照射イメージセンサにおける画素ユニット560の製造処理の流れを示す図である。画素ユニット560の製造処理においては、適宜人手が介在したり、複数の装置により分担されて画素ユニット560が製造されることがあるが、本実施形態では説明を簡略化するために、1台の製造装置230が、画素ユニット560を製造するまでの一連の処理を全て実行するものとする。
【0131】
ステップS21において、形成部231は、半導体基板571及び配線層572を形成する。ステップS22において、塗布部232は、配線層572の上方に第1の平坦化膜601を塗布する。ステップS23において、形成部231は、第1の平坦化膜601の上方に下段のカラーフィルタ602を形成する。この状態が、状態S21,S22,S23として示されている。
【0132】
ステップS24において、塗布部232は、下段のカラーフィルタ602の上方に、第2の平坦化膜603を塗布する。この状態が、状態S24として示されている。
【0133】
ステップS25において、形成部231は、第2の平坦化膜603の上方に上段のカラーフィルタ604を形成する。この状態が、状態S25として示されている。
【0134】
ステップS26において、形成部231は、上段のカラーフィルタ604の上方に、オンチップレンズ574を形成する。この状態が、状態S26として示されている。
【0135】
ステップS27において、形成部231は、電極用の開口部593を形成する。この状態が、状態S27として示されている。
【0136】
これにより、表面型照射イメージセンサにおける画素ユニット560の製造処理は終了する。
【0137】
以上、説明したように、1つの単位画素に対して、上下方向に複数層の同色のカラーフィルタを離間して配置することにより、オンチップレンズとフォトダイオードとの間で発生する混色を低減することができる。混色の低減により、高S/Nや高色再現性が実現可能となる。さらに、隣接画素からの光の漏れ込みが低減することにより、解像度の向上も可能となる。
【0138】
[撮像装置]
図18は、以上説明した本技術を適用した画素ユニットから構成される撮像素子を搭載した撮像装置、すなわち、本技術を適用した撮像装置の主な構成例を示すブロック図である。
【0139】
図18に示されるように、撮像装置700は、レンズ部711、撮像素子712、操作部713、制御部714、画像処理部715、表示部716、コーデック処理部717、および記録部718を有する。
【0140】
レンズ部711は、被写体までの焦点を調整し、焦点が合った位置からの光を集光し、撮像素子712に供給する。
【0141】
撮像素子712は、フィルタ部731及び画素部732、並びに画素信号読み出し部733から構成される。
【0142】
フィルタ部731及び画素部732は、上述した本技術が適用された複数の画素ユニット200(図3参照)の集合体である。すなわち、画素ユニット200の観点からすると、オンチップレンズ213−1及び緑用フィルタ部212−1、並びにオンチップレンズ213−2及び赤用フィルタ部212−2が、フィルタ部731の一部を構成する。緑用フォトダイオード211−1及び赤用フォトダイオード211−2が、画素部732の一部を構成する。換言すると、各画素ユニット200の各々についてのオンチップレンズ213−1及び緑用フィルタ部212−2、並びにオンチップレンズ213−2及び赤用フィルタ部212−2の集合体が、フィルタ部731を構成する。各画素ユニット200の各々についての緑用フォトダイオード211−1及び赤用フォトダイオード211−2の集合体が、画素部732を構成する。
【0143】
画素部732は、レンズ711及びフィルタ部731を介して入射される光を受光し、これを光電変換して光の強度に応じた電圧信号(アナログ信号)を出力する。画素信号読み出し部733は、画素部732から画素毎のアナログ信号を画素信号として読み出して、A/D(Analog/Digital)変換を施してデジタル信号となった画素信号を画像処理部715に供給する。
【0144】
操作部713は、例えば、ジョグダイヤル(商標)、キー、ボタン、またはタッチパネル等により構成され、ユーザによる操作入力を受け、その操作入力に対応する信号を制御部714に供給する。
【0145】
制御部714は、操作部713により入力されたユーザの操作入力に対応する信号に基づいて、レンズ部711、撮像素子712、画像処理部715、表示部716、コーデック処理部717、および記録部718を制御する。
【0146】
画像処理部715は、撮像素子712から供給された画像信号に対して、例えば、ホワイトバランス調整、デモザイク処理、マトリックス処理、ガンマ補正、およびYC変換等の各種画像処理を施し、表示部716およびコーデック処理部717に供給する。
【0147】
表示部716は、例えば、液晶ディスプレイ等として構成され、画像処理部715からの画像信号に基づいて、被写体の画像を表示する。
【0148】
コーデック処理部717は、画像処理部715からの画像信号に対して、所定の方式の符号化処理を施し、符号化処理の結果得られた画像データを記録部718に供給する。
【0149】
記録部718は、コーデック処理部717からの画像データを記録する。記録部718に記録された画像データは、必要に応じて画像処理部715に読み出されることで、表示部716に供給され、対応する画像が表示される。
【0150】
なお、本技術を適用した固体撮像素子を備える撮像装置は、上述した構成に限らず、他の構成であってもよい。
【0151】
また、以上において、1つの装置(または処理部)として説明した構成が、複数の装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成が、まとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成が付加されるようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部が他の装置(または他の処理部)の構成に含まれるようにしてもよい。つまり、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0152】
なお、本技術は、以下のような構成もとることができる。
(1)
光を受光するフォトダイオード部と、
前記フォトダイオード部の少なくとも一部と対向する第1のカラーフィルタと、前記第1のカラーフィルタと対向する第2のカラーフィルタと
を含む第1の単位画素を備え、
前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタとは離間している
撮像素子。
(2)
前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタは、それぞれ同一の分光透過率特性を有する
前記(1)に記載の撮像素子。
(3)
光を受光するフォトダイオード部
を含む第2の単位画素を
前記(1)または(2)に記載の撮像素子。
(4)
前記第2の単位画素は、さらに、前記フォトダイオード部の少なくとも一部と対向する第3のカラーフィルタを含む
前記(1)、(2)、または(3)に記載の撮像素子。
(5)
前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタは、それぞれ異なる分光透過率特性を有しており、
さらに、前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタがそれぞれ有する分光透過率特性の類似度は、前記第1のカラーフィルタと前記第2の単位画素に含まれる前記第3のカラーフィルタがそれぞれ有する分光透過率特性の類似度よりも高く、前記第2のカラーフィルタと前記第2の単位画素に含まれる前記第3のカラーフィルタがそれぞれ有する分光透過率特性の類似度よりも高い
前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の撮像素子。
(6)
前記第2の単位画素は、
前記第3のカラーフィルタと離間している第4のカラーフィルタをさらに含む
前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の撮像素子。
(7)
前記第1の単位画素及び前記第2の単位画素の各々は、
さらに、光を集光するオンチップレンズをそれぞれ含む
前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の撮像素子。
(8)
前記第1の単位画素は、前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタを含むN枚のカラーフィルタを有し、
前記第2の単位画素は、前記第3のカラーフィルタを含むM枚のカラーフィルタを有し、
Nは2以上の整数値であり、MはNとは異なる1以上の整数値である
前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の撮像素子。
(9)
前記第1のカラーフィルタは、前記フォトダイオードの直上に配置される
前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の撮像素子。
(10)
前記フォトダイオードの上には平坦化膜が塗布されており、
前記第1のカラーフィルタは、前記平坦化膜の上に配置される
前記(1)乃至(9)のいずれかに記載の撮像素子。
(11)
前記フォトダイオードの上には導波路が形成されており、
前記第1のカラーフィルタは、前記導波路の上に配置される
前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の撮像素子。
(12)
フォトダイオードの直上、前記フォトダイオード上に塗布された平坦化膜上、または前記フォトダイオード上に形成された導波路上に第1のカラーフィルタを形成し、
前記第1のカラーフィルタの上に平坦化膜を塗布し、
前記平坦化膜の上に第2のカラーフィルタを形成し、
前記第2のカラーフィルタの上にオンチップレンズを形成することによって単位画素を製造する、
複数の前記単位画素からなる撮像素子の製造方法。
【0153】
本技術は、撮像素子または撮像装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0154】
200 画素ユニット, 211−1,211−2 フォトダイオード, 212−1,212−2 フィルタ部, 213−1,213−2 オンチップレンズ, 221−1 下段の緑用カラーフィルタ, 221−2 下段の赤用カラーフィルタ, 223−1 上段の緑用カラーフィルタ, 223−2 上段の赤用カラーフィルタ, 240 配線層, 712 撮像素子, 731 フィルタ部, 732 画素部, 733 画素読み出し部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を受光するフォトダイオード部と、
前記フォトダイオード部の少なくとも一部と対向する第1のカラーフィルタと、前記第1のカラーフィルタと対向する第2のカラーフィルタと
を含む第1の単位画素を備え、
前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタとは離間している
撮像素子。
【請求項2】
前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタは、それぞれ同一の分光透過率特性を有する
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項3】
光を受光するフォトダイオード部
を含む第2の単位画素を
さらに備える請求項1に記載の撮像素子。
【請求項4】
前記第2の単位画素は、さらに、前記フォトダイオード部の少なくとも一部と対向する第3のカラーフィルタを含む
請求項3に記載の撮像素子。
【請求項5】
前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタは、それぞれ異なる分光透過率特性を有しており、
さらに、前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタがそれぞれ有する分光透過率特性の類似度は、前記第1のカラーフィルタと前記第2の単位画素に含まれる前記第3のカラーフィルタがそれぞれ有する分光透過率特性の類似度よりも高く、前記第2のカラーフィルタと前記第2の単位画素に含まれる前記第3のカラーフィルタがそれぞれ有する分光透過率特性の類似度よりも高い
請求項4に記載の撮像素子。
【請求項6】
前記第2の単位画素は、
前記第3のカラーフィルタと離間している第4のカラーフィルタをさらに含む
請求項3に記載の撮像素子。
【請求項7】
前記第1の単位画素及び前記第2の単位画素の各々は、
さらに、光を集光するオンチップレンズをそれぞれ含む
請求項3に記載の撮像素子。
【請求項8】
前記第1の単位画素は、前記第1のカラーフィルタと前記第2のカラーフィルタを含むN枚のカラーフィルタを有し、
前記第2の単位画素は、前記第3のカラーフィルタを含むM枚のカラーフィルタを有し、
Nは2以上の整数値であり、MはNとは異なる1以上の整数値である
請求項3に記載の撮像素子。
【請求項9】
前記第1のカラーフィルタは、前記フォトダイオードの直上に配置される
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項10】
前記フォトダイオードの上には平坦化膜が塗布されており、
前記第1のカラーフィルタは、前記平坦化膜の上に配置される
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項11】
前記フォトダイオードの上には導波路が形成されており、
前記第1のカラーフィルタは、前記導波路の上に配置される
請求項1に記載の撮像素子。
【請求項12】
フォトダイオードの直上、前記フォトダイオード上に塗布された平坦化膜上、または前記フォトダイオード上に形成された導波路上に第1のカラーフィルタを形成し、
前記第1のカラーフィルタの上に平坦化膜を塗布し、
前記平坦化膜の上に第2のカラーフィルタを形成し、
前記第2のカラーフィルタの上にオンチップレンズを形成することによって単位画素を製造する、
複数の前記単位画素からなる撮像素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−30652(P2013−30652A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166382(P2011−166382)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】