説明

撮像素子検査システムにおける光源の調整方法及び装置

【課題】実態に即したメンテナンスを行うことが可能な撮像素子検査システムにおける光源の調整方法を提供する。
【解決手段】まず、検査対象となる撮像素子12と同一品種の光源調整用撮像素子であって、撮像素子12の検査を行う際の理想的な撮像条件と同じ条件下での撮像により得られる撮像データAが既知の光源調整用撮像素子を準備する。光源13のメンテナンスのタイミングになると、検査工程が一時中断され、光源調整用撮像素子が載置部11へと搬送されて載置され(S1)、撮像素子12を検査する際の撮像条件と同じ条件で、光源調整用撮像素子により撮像が行われる(S2)。光源調整用撮像素子から撮像データBが出力されると、撮像データBと撮像データAが比較され、両者が一致していない場合(S3:NO)は、光量調整用信号が生成されて光源13の光量調整が行われる(S4)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子に光源から基準光量の光を照射した状態で前記撮像素子により撮像して得られる撮像データに基づいて、前記撮像素子の検査を行う撮像素子検査システムにおける前記光源の調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像素子をパッケージ化した後の検査工程においては、パッケージ化された撮像素子に光源から光を照射した状態で、該撮像素子で撮像を行って得られる画像データを、テスターと呼ばれる検査装置に取り込み、その検査装置にて各種検査データを生成することが行われている。このような検査においては、光源から常に一定光量の光が照射される必要があるが、時間と共に、この光量に変動を生ずるため、光源の定期的なメンテナンスが必要となる。一般的には、光源から照射される光量を照度計で測定し、その測定値を元に光源の絞り等を調整することで、メンテナンスを行っている。
【0003】
【特許文献1】特開平5−79904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記検査工程は、基本的に全て自動で行われるが、光源のメンテナンスを行う場合は、作業者が照度計を用意して、手動で行う必要があり、メンテナンス作業が面倒である。又、検査工程のラインが一旦止まるため、ラインの稼働率が低下したり、照度のばらつきで歩留まりが悪化したりするという問題がある。また、検査工程とは全く関係のない照度計を用いて光源を調整するため、実際の検査工程における検査条件を考慮したメンテナンスが行われているとは言えず、実態に即さないメンテナンスとなる。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、実態に即したメンテナンスを行うことが可能な撮像素子検査システムにおける光源の調整方法及び装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮像素子検査システムにおける光源の調整方法は、撮像素子に光源から光を照射した状態で前記撮像素子により撮像して得られる撮像データに基づいて、前記撮像素子の検査を行う撮像素子検査システムにおける前記光源の調整方法であって、前記撮像素子と同一品種の光源調整用撮像素子であって、前記撮像素子の検査を行う際の理想的な撮像条件と同じ条件下での撮像により得られる第1の撮像データが既知の光源調整用撮像素子を準備する準備ステップと、前記撮像素子の検査を行う際の撮像条件と同じ条件下で、前記光源調整用撮像素子により撮像を行う撮像ステップと、前記撮像ステップで前記光源調整用撮像素子から得られる第2の撮像データと、前記第1の撮像データとに基づいて、前記光源から照射される光量の調整を行う光量調整ステップとを含む。
【0007】
本発明の撮像素子検査システムにおける光源の調整方法は、前記光量調整ステップでは、前記第2の撮像データが前記第1の撮像データとほぼ一致するように、前記光源から照射される光量を調整する。
【0008】
本発明の撮像素子検査システムにおける光源の調整方法は、前記撮像素子検査システムが、前記撮像素子を載置するための載置部と、前記撮像素子を前記載置部に搬送する搬送部と、前記載置部に載置された撮像素子に光を照射するための前記光源とを有し、前記光源調整用撮像素子を前記載置部に載置する載置ステップを含み、前記撮像ステップでは、前記載置部に載置された前記光源調整用撮像素子に前記光源から光を照射した状態で撮像を行う。
【0009】
本発明の撮像素子検査システムにおける光源の調整方法は、前記載置ステップでは、前記光源調整用撮像素子を前記搬送部により搬送して前記載置部に載置する。
【0010】
本発明の撮像素子検査システムにおける光源の調整装置は、撮像素子に光源から光を照射した状態で前記撮像素子により撮像して得られる撮像データに基づいて、前記撮像素子の検査を行う撮像素子検査システムにおける前記光源の調整装置であって、前記撮像素子と同一品種の光源調整用撮像素子であって、前記撮像素子の検査を行う際の理想的な撮像条件と同じ条件下での撮像により得られる第1の撮像データが既知の光源調整用撮像素子により、前記撮像素子の検査を行う際の撮像条件と同じ条件下で撮像して得られる第2の撮像データと、前記第1の撮像データとに基づいて、前記光源から照射される光量を調整する光量調整手段を備える。
【0011】
本発明の撮像素子検査システムにおける光源の調整装置は、前記光量調整手段が、前記第2の撮像データが前記第1の撮像データとほぼ一致するように、前記光源から照射される光量を調整する。
【0012】
本発明の撮像素子検査システムにおける光源の調整装置は、前記撮像素子検査システムが、前記撮像素子を載置するための載置部と、前記撮像素子を前記載置部に搬送する搬送部と、前記載置部に載置された撮像素子に光を照射するための前記光源とを有し、前記載置部に載置された前記光源調整用撮像素子に前記光源から光を照射した状態で、前記光源調整用撮像素子により撮像を行わせる撮像制御手段を備え、前記撮像制御手段の制御によって前記光源調整用撮像素子から得られた撮像データが前記第2の撮像データである。
【0013】
本発明の撮像素子検査システムにおける光源の調整装置は、前記載置部に前記光源調整用撮像素子を搬送させる制御を前記搬送部に対して行う搬送制御手段を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、実態に即したメンテナンスを行うことが可能な撮像素子検査システムにおける光源の調整方法及び装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態である撮像素子検査システムの概略構成を示す図である。図2は、図1に示したシステムにおいて光源のメンテナンスを行う場合の動作を説明するためのフローチャートである。
【0017】
図1に撮像素子検査システム10は、パッケージ化された撮像素子12を載置するための載置部11と、載置部11に載置された撮像素子12に光を照射するための光源13と、撮像素子12で撮像を行って得られた撮像データを取り込み、この撮像データに基づいて撮像素子12の各種特性を示す検査データを生成するテスター等の検査装置14と、検査前の撮像素子12が保管されている場所から1つの撮像素子12を取り出して載置部11の所定位置に搬送し、検査終了後の撮像素子12を検査済みの撮像素子12が保管される保管場所に搬送する搬送装置16と、光源13から照射される光の光量を調整したり、光源13のオンオフを制御したりする光源制御装置15とを備える。
【0018】
光源13は、例えばハロゲン光を発する電球や発光素子であり、照射する光量を絞りによって調整することが可能となっている。光源13は、撮像素子12の検査時においては、基準光量の光が照射されるように設定されている。
【0019】
搬送装置16は、対象物を掴んで搬送するアーム部(不図示)と、このアーム部を制御する制御部(不図示)とを備える。
【0020】
検査装置14は、搬送装置16の制御を行う搬送制御部14aと、載置部11に載置された撮像素子12を駆動して撮像素子12による撮像を行わせる制御を行う撮像素子制御部14bと、検査工程時に撮像素子12から得られた撮像データに基づいて検査データを生成する検査データ生成部(不図示)とを備える。
【0021】
搬送制御部14aは、例えば、撮像素子12の検査工程において所定数の撮像素子12の検査が終わったタイミングや、撮像素子12の検査工程を開始する直前のタイミングや、作業者が設定した任意のタイミング等において、検査対象となる撮像素子12と同一品種の光源調整用撮像素子が保管されている場所から載置部11の所定位置へ、該光源調整用撮像素子を搬送するように、搬送装置16の制御部に指示を出す。尚、搬送制御部14aは、検査装置14に内蔵されていなくても良い。例えば、搬送装置16内に内蔵しておいても良い。
【0022】
撮像素子制御部14bは、載置部11に載置された撮像素子12又は光源調整用撮像素子を駆動して撮像を行わせる。
【0023】
光源調整用撮像素子は、撮像素子12の検査を行う際の理想的な撮像条件と同一の条件下、つまり、載置部11に載置して光源13から基準光量の光を照射した状態、で撮像を行った際に得られる撮像データ(以下、Aとする)が既知であり、この撮像データAは、検査装置14内部のメモリに記憶されている。
【0024】
検査装置14は、更に、光源調整用撮像素子により、撮像素子12の検査を行う際の撮像条件と同じ条件下、つまり、光源調整用撮像素子を載置部11に載置して光源13から光(この光の光量は基準光量からずれている可能性もある)を照射させた状態、で撮像を行って得られる撮像データ(以下、Bとする)と、撮像データAとに基づいて、光源13から照射される光量を調整するための光量調整用信号を生成する光量調整用信号生成部14cとを備える。
【0025】
光量調整用信号生成部14cは、撮像データBが撮像データAとほぼ一致するように、光量調整用信号を生成する。例えば、光量調整用信号生成部14cは、撮像データBの特定位置の画素データの輝度値(以下、bとする)と、撮像データAの該特定位置の画素データの輝度値(以下、aとする)とを比較する。比較の結果、輝度値bが輝度値aを下回っていた場合は、光源13から照射される光量が基準光量よりも下がっていると判断し、光量を上げるための光量調整用信号を生成して、光源制御装置15に出力する。輝度値bが輝度値aを上回っていた場合は、光源13から照射される光量が基準光量よりも上がっていると判断し、光量を下げるための光量調整用信号を生成して、光源制御装置15に出力する。輝度値bが輝度値aと同じだった場合は、光源13から照射される光量が基準光量と一致していると判断し、光量調整用信号の生成を行わない。
【0026】
光源制御装置15は、光量調整用信号生成部14cからの光量調整用信号に応じて、光源13の絞りを制御して、光源13から照射される光量を多く或いは少なくしたりする。
【0027】
撮像素子12の検査工程においては、搬送装置16が、検査前の撮像素子12を保管場所から搬送して載置部11に載置し、載置部11に載置された撮像素子12に光源13から光をあてた状態で、検査装置14が撮像素子12を駆動して、撮像素子12に撮像を行わせる。撮像により撮像素子12から出力される撮像データを検査装置14が取り込み、この撮像データに基づいて検査データの生成を行う。このような処理が検査対象となる全ての撮像素子12に対して行われる。
【0028】
次に、撮像素子検査システムにおいて光源13のメンテナンスを行う場合の動作について図2を参照して説明する。
【0029】
所定数の撮像素子12の検査が終了して光源13のメンテナンスのタイミングになると、検査工程が一時中断され、光源調整用撮像素子が載置部11へと搬送され、載置される(ステップS1)。光源調整用撮像素子が載置部11に載置されると、撮像素子制御部14bの制御によって、撮像素子12を検査する際の撮像条件と同じ条件で、光源調整用撮像素子により撮像が行われる(ステップS2)。光源調整用撮像素子から撮像データBが出力されると、撮像データBと撮像データAが比較され、両者が一致していない場合(ステップS3:NO)は、光量調整用信号が生成されて光源13の光量調整が行われる(ステップS4)。光量調整後は、ステップS2に処理を移行し、撮像素子制御部14bの制御により、光源調整用撮像素子によって再び撮像が行われる。一方、両者がほぼ一致していた場合(ステップS3:YES)は、載置部11に載置された光源調整用撮像素子が、搬送装置16によって保管場所へと搬送される(ステップS5)。以上のような処理を、定期的に行うことで、撮像素子12に照射される光量は常に一定となり、安定した検査を実施することが可能となる。
【0030】
以上のように、本実施形態の撮像素子検査システムによれば、撮像素子12を検査するときと同一の撮像条件下で光源調整用撮像素子により撮像して得られた撮像データBに基づいて、光源13から照射される光量が基準光量となるように調整することができるため、照度計を用いる従来に比べて、より実態に即したメンテナンスが可能となる。
【0031】
又、本実施形態の撮像素子検査システムによれば、光源13のメンテナンスを、既存の検査工程に用いている搬送装置16、載置部11、及び検査装置14を利用して行うことができる。このため、例えば既存のシステムにある装置のプログラム変更のみで対応することができ、コストを低く抑えることができる。
【0032】
又、本実施形態の撮像素子検査システムによれば、光源13のメンテナンスを自動的に行うことができるため、作業者がメンテナンスを意識する必要がなくなり、作業者への負担を減少させることができる。又、従来のように、作業者が、検査工程のラインを中断した上で照度計を準備してメンテナンスを行い、メンテナンス終了後、検査工程のラインを再開させるといった手間がなく、ラインの稼働率が向上する。
【0033】
尚、以上の説明では、光源13のメンテナンス時に、搬送装置16が光源調整用撮像素子を載置部11まで搬送するものとしたが、この作業は人が行っても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態である撮像素子検査システムの概略構成を示す図
【図2】図1に示したシステムにおいて光源のメンテナンスを行う場合の動作を説明するフローチャート
【符号の説明】
【0035】
10 撮像素子検査システム
11 載置部
12 撮像素子
13 光源
14 検査装置
14a 搬送制御部
14b 撮像素子制御部
14c 光量調整用信号生成部
15 光源制御装置
16 搬送装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子に光源から光を照射した状態で前記撮像素子により撮像して得られる撮像データに基づいて、前記撮像素子の検査を行う撮像素子検査システムにおける前記光源の調整方法であって、
前記撮像素子と同一品種の光源調整用撮像素子であって、前記撮像素子の検査を行う際の理想的な撮像条件と同じ条件下での撮像により得られる第1の撮像データが既知の光源調整用撮像素子を準備する準備ステップと、
前記撮像素子の検査を行う際の撮像条件と同じ条件下で、前記光源調整用撮像素子により撮像を行う撮像ステップと、
前記撮像ステップで前記光源調整用撮像素子から得られる第2の撮像データと、前記第1の撮像データとに基づいて、前記光源から照射される光量の調整を行う光量調整ステップとを含む撮像素子検査システムにおける光源の調整方法。
【請求項2】
請求項1記載の撮像素子検査システムにおける光源の調整方法であって、
前記光量調整ステップでは、前記第2の撮像データが前記第1の撮像データとほぼ一致するように、前記光源から照射される光量を調整する撮像素子検査システムにおける光源の調整方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の撮像素子検査システムにおける光源の調整方法であって、
前記撮像素子検査システムが、前記撮像素子を載置するための載置部と、前記撮像素子を前記載置部に搬送する搬送部と、前記載置部に載置された撮像素子に光を照射するための前記光源とを有し、
前記光源調整用撮像素子を前記載置部に載置する載置ステップを含み、
前記撮像ステップでは、前記載置部に載置された前記光源調整用撮像素子に前記光源から光を照射した状態で撮像を行う撮像素子検査システムにおける光源の調整方法。
【請求項4】
請求項3記載の撮像素子検査システムにおける光源の調整方法であって、
前記載置ステップでは、前記光源調整用撮像素子を前記搬送部により搬送して前記載置部に載置する撮像素子検査システムにおける光源の調整方法。
【請求項5】
撮像素子に光源から光を照射した状態で前記撮像素子により撮像して得られる撮像データに基づいて、前記撮像素子の検査を行う撮像素子検査システムにおける前記光源の調整装置であって、
前記撮像素子と同一品種の光源調整用撮像素子であって、前記撮像素子の検査を行う際の理想的な撮像条件と同じ条件下での撮像により得られる第1の撮像データが既知の光源調整用撮像素子により、前記撮像素子の検査を行う際の撮像条件と同じ条件下で撮像して得られる第2の撮像データと、前記第1の撮像データとに基づいて、前記光源から照射される光量を調整する光量調整手段を備える撮像素子検査システムにおける光源の調整装置。
【請求項6】
請求項5記載の撮像素子検査システムにおける光源の調整装置であって、
前記光量調整手段は、前記第2の撮像データが前記第1の撮像データとほぼ一致するように、前記光源から照射される光量を調整する撮像素子検査システムにおける光源の調整装置。
【請求項7】
請求項5又は6記載の撮像素子検査システムにおける光源の調整装置であって、
前記撮像素子検査システムが、前記撮像素子を載置するための載置部と、前記撮像素子を前記載置部に搬送する搬送部と、前記載置部に載置された撮像素子に光を照射するための前記光源とを有し、
前記載置部に載置された前記光源調整用撮像素子に前記光源から光を照射した状態で、前記光源調整用撮像素子により撮像を行わせる撮像制御手段を備え、
前記撮像制御手段の制御によって前記光源調整用撮像素子から得られた撮像データが前記第2の撮像データである撮像素子検査システムにおける光源の調整装置。
【請求項8】
請求項7記載の撮像素子検査システムにおける光源の調整装置であって、
前記載置部に前記光源調整用撮像素子を搬送させる制御を前記搬送部に対して行う搬送制御手段を備える撮像素子検査システムにおける光源の調整装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−14909(P2008−14909A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−189251(P2006−189251)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】