説明

撮像装置、および信号処理方法、並びにプログラム

【課題】異なる複数の露光時間設定画素の画素値合成処理を実行して高ダイナミックレンジ画像を生成する装置、方法を提供する。
【解決手段】画素ブロックを構成する複数の同一色画素各々に対して異なる露光時間の制御を行い、画素ブロックの複数の同一色画素の出力を加算した加算画素値を生成する。加算画素値の生成は、例えば、画素ブロックの複数の同一色画素の出力を加算する加算部を有する演算部において実行される。あるいは、画素ブロック単位で設定されるフローティングディフュージョン(FD)によって実行され、フローティングディフュージョン(FD)において、画素ブロックを構成する複数の同一色画素各々から出力する電荷を集積して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置、および信号処理方法、並びにプログラムに関する。さらに詳細には、ダイナミックレンジの広い画像を生成する撮像装置、および信号処理方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラやデジタルスチルカメラなどに用いられるCCDイメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサのような固体撮像デバイスは入射光量に応じた電荷を蓄積し、蓄積した電荷に対応する電気信号を出力する光電変換を行う。しかし、光電変換素子における電荷蓄積量には上限があり、一定以上の光量を受けると蓄積電荷量が飽和レベルに達してしまい、一定以上の明るさの被写体領域は飽和した輝度レベルに設定されるいわゆる白とびが発生してしまう。
【0003】
このような現象を防止するため、外光の変化等に応じて、光電変換素子における電荷蓄積期間を制御して露光時間を調整し、感度を最適値に制御するといった処理が行なわれる。例えば、明るい被写体に対しては、シャッタを高速に切ることで露光時間を短縮し光電変換素子における電荷蓄積期間を短くして蓄積電荷量が飽和レベルに達する以前に電気信号を出力させる。このような処理により被写体に応じた階調を正確に再現した画像の出力が可能となる。
【0004】
しかし、明るいところと暗いところが混在するような被写体の撮影においては、シャッタを高速に切ると、暗い部分で十分な露光時間がとれないためにS/Nが劣化し画質が落ちることになる。このように明るいところと暗いところが混在する被写体の撮影画像において、明るい部分、暗い部分の輝度レベルを正確に再現するためには、イメージセンサ上での入射光が少ない画素では長い露光時間として高いS/Nを実現し、入射光が多い画素では飽和を回避する処理が必要となる。
【0005】
このような処理を実現する手法として、露光時間の異なる複数の画像を連続的に撮影して合成する手法が知られている。すなわち、長時間露光画像と短時間露光画像を連続的に個別に撮影し、暗い画像領域については長時間露光画像を利用し、長時間露光画像では白とびとなってしまうような明るい画像領域では短時間露光画像を利用する合成処理によって、1つの画像を生成する手法である。このように、複数の異なる露光画像を合成することで、白とびのないダイナミックレンジの広い画像、すなわち高ダイナミックレンジ画像(HDR画像)を得ることができる。
【0006】
例えば特許文献1(特開2000−50151号公報)は、複数の異なる露光時間を設定した2枚の画像を撮影し、これらの画像を合成して広いダイナミックレンジの画像を得る構成を開示している。図1を参照して、この処理について説明する。撮像デバイスは、例えば、動画撮影においては、ビデオレート(30−60fps)内に2つの異なる露光時間の画像データを出力する。また、静止画撮影においても、2つの異なる露光時間の画像データを生成して出力する。図1は、撮像デバイスが生成する2つの異なる露光時間を持つ画像(長時間露光画像と、短時間露光画像)の特性について説明する図である。横軸は時間(t)であり、縦軸は固体撮像素子の1つの画素に対応する光電変換素子を構成する受光フォトダイオード(PD)における蓄積電荷量(e)である。
【0007】
例えば、受光フォトダイオード(PD)の受光量が多い、すなわち明るい被写体に対応する場合、図1に示す高輝度領域11に示すように、時間経過に伴う電荷蓄積量は急激に上昇する。一方、受光フォトダイオード(PD)の受光量が少ない、すなわち暗い被写体に対応する場合、図1に示す低輝度領域12に示すように、時間経過に伴う電荷蓄積量は緩やかに上昇する。
【0008】
時間t0〜t3が長時間露光画像を取得するための露光時間TLに相当する。この長時間の露光時間TLとしても低輝度領域12に示すラインは、時間t3において電荷蓄積量は飽和レベルに達することなく(非飽和点Py)、この電荷蓄積量(Sa)に基づいて得られる電気信号を利用して決定する画素の階調レベルにより、正確な階調表現を得ることができる。
【0009】
しかし、高輝度領域11に示すラインは、時間t3に至る以前に、すでに電荷蓄積量は飽和レベル(飽和点Px)に達することが明らかである。従って、このような高輝度領域11は、長時間露光画像からは飽和レベルの電気信号に対応する画素値しか得られず、結果として白とび画素になってしまう。
【0010】
そこで、このような高輝度領域11では、時間t3に至る前の時間、例えば図に示す時間t1(電荷掃き出し開始点P1)において、一旦、受光フォトダイオード(PD)の蓄積電荷を掃き出す。電荷掃き出しは、受光フォトダイオード(PD)に蓄積された全ての電荷ではなく、フォトダイオード(PD)において制御される中間電圧保持レベルまでとする。この電荷掃き出し処理の後、再度、露光時間TS(t2〜t3)とした短時間露光を実行する。すなわち、図に示す短時間露光開始点P2〜短時間露光終了点P3までの期間の短時間露光を行なう。この短時間露光によって電荷蓄積量(Sb)が得られ、この電荷蓄積量(Sb)に基づいて得られる電気信号に基づいて、画素の階調レベルを決定する。
【0011】
なお、低輝度領域12における長時間露光によって得られる電荷蓄積量(Sa)に基づく電気信号と、高輝度領域251における短時間露光によって得られる電荷蓄積量(Sb)に基づく電気信号とに基づいて画素値を決定する際は、同一時間露光を行なった場合の推定電荷蓄積量またはその推定電荷蓄積量に対応する電気信号出力値を算出して、算出した結果に基づいて画素値レベルを決定する。
【0012】
このように、短時間露光画像と長時間露光画像を組み合わせることで、白とびのないダイナミックレンジの広い画像を得ることができる。
【0013】
しかしながら、上記の特許文献1に記載された構成は、いずれも長時間露光画像と短時間露光画像を個別に撮影して合成するという処理を行うことが必要となる。
【0014】
このように、露光時間を変えた複数枚の画像を利用することで、高ダイナミックレンジ画像(HDR画像)を生成可能であるが、この複数画像に基づく処理には、例えば以下の課題がある。
課題1:複数回の撮影を行うことが必要であり、さらに、これらの画像を格納するメモリを必要とする点。
課題2:撮影タイミングが異なる複数の画像を合成したり、長時間露光の撮影データを用いるため、カメラのブレに弱い点。
【0015】
このように複数の画像を利用することなく、1枚の撮影画像内に長時間露光画素と短時間露光画素を設定してこれらの異なる露光時間の画素を合成して高ダイナミックレンジ画像を生成する処理についても提案されている。
例えば、特許文献2(特開平11−29880号公報)、特許文献3(特開2000−69491号公報)などに記載がある。
【0016】
これらは、撮像素子(イメージセンサ)に2×2画素のR画素、2×2画素のG画素、2×2画素のB画素等、同色の複数画素を配置する設定とし、同一色の2×2画素の構成画素を異なる露光時間に設定して撮影を実行するものである。このイメージセンサで撮影された異なる露光時間の同色の画素値の合成を実行して、高ダイナミックレンジ画像を得る。
【0017】
しかし、これらの開示構成では、素子やフィルタの製造バラツキなどに起因するノイズが発生する可能性が高く、高品質な画像を取得することが困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2000−50151号公報
【特許文献2】特開平11−29880号公報
【特許文献3】特開2000−69491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本開示は、例えばこのような状況に鑑みてなされたものであり、1回の撮影画像に基づいて高品質な高ダイナミックレンジ画像を生成可能とした撮像装置、および信号処理方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【0020】
さらに、本開示は、例えばベイヤ配列と異なる配列を持つ撮影画像に基づいて高ダイナミックレンジ画像を生成する撮像装置、および信号処理方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本開示の第1の側面は、
複数の同一色画素から構成される画素ブロックを配列した画素部と、
前記画素ブロックを構成する複数の同一色画素各々に対して異なる露光時間の制御を行う制御部と、
前記画素ブロックの複数の同一色画素の出力を加算した加算画素値を生成する加算画素値生成部と、
を有する撮像装置にある。
【0022】
さらに、本開示の撮像装置の一実施態様において、前記加算画素値生成部は、前記画素ブロックの複数の同一色画素の出力を加算する加算部を有する加算回路によって構成される。
【0023】
さらに、本開示の撮像装置の一実施態様において、前記画素ブロックは、複数行×複数列の複数画素からなる同一色画素によって構成され、前記加算回路は、前記画素ブロックの先行読み出し行に設定された複数画素の画素値を格納するレジスタと、前記画素ブロックの後続読み出し行に設定された複数画素の読み出し画素値と、前記レジスタの格納画素値とを加算する加算部を有する。
【0024】
さらに、本開示の撮像装置の一実施態様において、前記画素ブロックは、2行×2列の4画素からなる同一色画素によって構成され、前記加算回路は、前記画素ブロックの先行読み出し行に設定された2画素の画素値を格納するレジスタと、前記画素ブロックの後続読み出し行に設定された2画素の読み出し画素値と、前記レジスタの格納画素値とを加算する加算部を有する。
【0025】
さらに、本開示の撮像装置の一実施態様において、前記加算画素値生成部は、前記画素ブロック単位で設定されるフローティングディフュージョン(FD)によって構成され、前記フローティングディフュージョン(FD)は、前記画素ブロックを構成する複数の同一色画素各々から出力する電荷を集積する構成を持つ。
【0026】
さらに、本開示の撮像装置の一実施態様において、前記画素部は、4分割ベイヤ型RGB配列を有し、RGB各色単位で4つの画素からなる画素ブロックを配列した構成である。
【0027】
さらに、本開示の撮像装置の一実施態様において、前記画素部は、4分割ベイヤ型RGB配列におけるG画素を全可視光波長透過型のW画素に置換した4分割WRB配列を有し、WRB各色単位で4つの画素からなる画素ブロックを配列した構成である。
【0028】
さらに、本開示の第2の側面は、
撮像装置において実行する信号処理方法であり、
前記撮像装置は、複数の同一色画素から構成される画素ブロックを配列した画素部を有し、
制御部が、前記画素ブロックを構成する複数の同一色画素各々に対して異なる露光時間の制御を行う露光制御処理と、
加算画素値生成部が、前記画素ブロックの複数の同一色画素の出力を加算した加算画素値を生成する加算画素値生成処理を実行する信号処理方法にある。
【0029】
さらに、本開示の第3の側面は、
撮像装置において信号処理を実行させるプログラムであり、
前記撮像装置は、複数の同一色画素から構成される画素ブロックを配列した画素部を有し、
前記プログラムは、
制御部に、前記画素ブロックを構成する複数の同一色画素各々に対して異なる露光時間の制御を行わせる露光制御処理と、
加算画素値生成部に、前記画素ブロックの複数の同一色画素の出力を加算した加算画素値を生成させる加算画素値生成処理を実行させるプログラムにある。
【0030】
なお、本開示のプログラムは、例えば、様々なプログラム・コードを実行可能な情報処理装置やコンピュータ・システムに対して、コンピュータ可読な形式で提供する記憶媒体、通信媒体によって提供可能なプログラムである。このようなプログラムをコンピュータ可読な形式で提供することにより、情報処理装置やコンピュータ・システム上でプログラムに応じた処理が実現される。
【0031】
本開示のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本開示の実施例や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。なお、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【発明の効果】
【0032】
本開示の一実施例の構成によれば、長時間露光画素と短時間露光画素の画素値合成処理を実行して高ダイナミックレンジ画像を生成する装置、方法が実現される。
具体的には、例えば、画素ブロックを構成する複数の同一色画素各々に対して異なる露光時間の制御を行い、画素ブロックの複数の同一色画素の出力を加算した加算画素値を生成する。加算画素値の生成は、例えば、画素ブロックの複数の同一色画素の出力を加算する加算部を有する演算部において実行される。あるいは、画素ブロック単位で設定されるフローティングディフュージョン(FD)によって実行され、フローティングディフュージョン(FD)において、画素ブロックを構成する複数の同一色画素各々から出力する電荷を集積して出力する。
これらの構成により、高ダイナミックレンジ画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】複数の画像撮影による高ダイナミックレンジ画像の撮影処理例について説明する図である。
【図2】撮像素子の構成例について説明する図である。
【図3】撮像装置の構成例について説明する図である。
【図4】撮像デバイスの構成例について説明する図である。
【図5】露光制御と出力画像の生成例について説明する図である。
【図6】撮像デバイスの構成例について説明する図である。
【図7】撮像デバイスの構成例について説明する図である。
【図8】露光制御シーケンスについて説明する図である。
【図9】撮像デバイスの構成例について説明する図である。
【図10】撮像デバイスの構成例について説明する図である。
【図11】露光制御シーケンスについて説明する図である。
【図12】撮像素子の構成と処理例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら本開示の撮像装置、および信号処理方法、並びにプログラムの詳細について説明する。なお、説明は以下の項目に従って行う。
1.撮像デバイスの画素部構成例について
2.撮像装置の構成例について
3.撮像デバイスの構成例について
4.画素部の露光時間制御構成と出力画素値の算出処理例について
5.撮像デバイスの具体的回路構成例について
6.フローティングディフージョン(FD)加算構成例
7.その他の実施例について
8.本開示の構成のまとめ
【0035】
[1.撮像デバイスの画素部構成例について]
図2を参照して本開示の撮像装置の構成要素である撮像デバイスの画素部の構成例について説明する。図2には、以下の3つの撮像デバイスの画素部構成例を示している。
(1)ベイヤ(Bayer)配列
(2)4分割ベイヤ型RGB配列
(3)4分割WRB型配列
【0036】
(1)ベイヤ(Bayer)配列は多くのカメラにおいて採用されている配列であり、このベイヤ配列を持つカラーフィルタを持つ撮像画像に対する信号処理はほぼ確立している。
しかし、(2)4分割ベイヤ型RGB配列や、(3)4分割WRB型配列については、まだ、これらのフィルタを備えた撮像素子によって撮影された画像に対する信号処理について十分な検討がなされているとは言えないというのが現状である。
なお、(2)4分割ベイヤ型RGB配列は、(1)に示すベイヤ配列の1つのR,G,B各画素を4つの画素として設定した配列に相当する。
(3)4分割WRB配列は、(1)に示すベイヤ配列の1つのR,G,B各画素を4つの画素として設定し、G画素の代わりにW(ホワイト)画素を設定した配列に相当する。
【0037】
以下の実施例では、一例として図2に示す(2)4分割ベイヤ型RGB配列を持つカラーフィルタを備えた撮像素子によって撮影される画像に対する信号処理を実行する撮像装置について説明する。
【0038】
[2.撮像装置の構成例について]
図3は、本開示の撮像装置100の構成例を示すブロック図である。光学レンズ101を介して入射される光は撮像部、例えばCMOSイメージセンサなどによって構成される撮像デバイス102に入射し、光電変換による画像データを出力する。出力画像データは信号処理部103に入力される。信号処理部103は、例えばホワイトバランス(WB)調整、ガンマ補正等、一般的なカメラにおける信号処理を実行して出力画像120を生成する。出力画像120は図示しない記憶部に格納される。あるいは表示部に出力される。
【0039】
制御部105は、例えば図示しないメモリに格納されたプログラムに従って各部に制御信号を出力し、各種の処理の制御を行う。
【0040】
[3.撮像デバイスの構成例について]
次に、撮像デバイス102の構成例について図4を参照して説明する。
図4は、本開示の一実施例の撮像デバイス102の構成を示す図である。
撮像デバイス102は、図4に示すように画素部151、加算画素値生成部としての演算部160を有する。
演算部160はAD変換部161、画素情報合成部162、出力部163を有する。
なお、演算部160は、画素部151と同一のチップ上の構成、すなわちオンチップにある設定としてもよいし、画素部151と異なるチップや装置内に設定する構成としてもよい。
【0041】
画素部151は、多数の画素各々に被写体光に基づく電荷を蓄積し、高解像度画像である高画素数の画像データを出力する。
なお、画素部151は、詳細については図5以下を参照して説明するが、2×2画素単位の同一色画素ブロック単位で4種類の異なる露光時間の画素情報を出力する構成となっている。すなわち、図4に示す複数の異なる露光時間画素情報181を出力する。
【0042】
加算画素値生成部として機能する演算部160は、画素部151から、複数の異なる露光時間画素情報181が入力される。
演算部160のA/D変換部161はこれらの入力信号のA/D変換、すなわちアナログ信号をデジタル信号に変換する処理を実行して、変換後のデジタル値を画素情報合成部162に入力する。
【0043】
画素情報合成部162では、複数の異なる露光時間画素情報181の加算処理により出力画素値を算出する。例えば、4つの画素信号に基づいて出力画像の1つの画素値を算出する。このような画素値合成処理を実行して画素数を削減した高ダイナミックレンジ画像を生成して出力部163を介して出力する。
【0044】
[4.画素部の露光時間制御構成と出力画素値の算出処理例について]
次に、画素部151の露光時間制御構成と演算部160の画素情報合成部162において実行する出力画素値の算出処理例について説明する。
【0045】
図5には、以下の各図を示している。
(1)露光制御処理
(2)出力画素値算出処理
本処理例において、画素部151は、図5(2)の(a)に示すように、先に図2(2)を参照して説明した4分割ベイヤ型RGB配列を有する。4分割ベイヤ型RGB配列は、図2(1)に示すベイヤ配列の1つのR,G,B各画素を4つの画素として設定した配列に相当する。
【0046】
画素部の構成は、図5(2)の(a)に示す4分割ベイヤ型RGB配列を有する。すなわち、同一色(RまたはGまたはB)画素各々について、2×2の4画素のブロックが設定された構成となっている。
これらの各同一色ブロックの4画素各々に対して、図5(1)に示すように4つの露光時間の設定の下で画像撮影を行う。
図5(1)には、露光時間制御シーケンスとして、
Φ1、
Φ2、
Φ3、
Φ4、
これら4つの異なる露光時間の制御シーケンスを示している。
露光時間の長さは、
Φ1>Φ3>Φ4>Φ2
上記設定としている。
【0047】
図5(2)の(b)に示すように、R,G,Bの各4画素ブロック単位で、これらの4つの異なる露光時間設定の下で撮影を行う。
この露光制御の下で撮影された画像は、図5(2)の(c)に示すように、R,G,Bの各4画素ブロック単位で、4つの異なる露光画素値を取得することになる。
例えば、図5(2)(c)の左上部の4つのG画素では、
G1=露光制御パターンΦ1に従った1番目に長い露光時間対応の画素値
G3=露光制御パターンΦ3に従った2番目に長い露光時間対応の画素値
G4=露光制御パターンΦ4に従った3番目に長い露光時間対応の画素値
G2=露光制御パターンΦ2に従った4番目に長い露光時間対応の画素値
これらの4つの露光時間対応の画素値が得られる。
その他、すべてのR,G,B画素ブロックについても同様であり、4つの露光時間対応の画素値が得られる。
【0048】
このように、4分割ベイヤ型配列の同色4画素それぞれに異なる露光時間で露光した後、演算部160の画素情報合成部162は、同色4画素の画素値を加算した信号を生成して出力する。
図5(2)の(d)に示すように、4つの画素からなるブロックに対応する1つの出力画素値を設定して出力する。この処理によって、高ダイナミックレンジ画像を生成して出力する。
この構成によって、固定パターンノイズの増大を抑制し、ダイナミックレンジを電子的に調整可能な構成が実現される。
【0049】
[5.撮像デバイスの具体的回路構成例について]
次に、撮像デバイスの具体的回路構成例について説明する。
図6は、CMOSイメージセンサの1つの画素構造を示している。
PD:フォトダイオード
FD:フローティングディフュージョン
M1〜M4:トランジスタ(MOSFET)
RS:リセット信号線
TR:転送信号線
SL:行(Row)選択信号線
SIG:列(Column)信号線
である。
【0050】
画素に光が入射されるとフォトダイオード(PD)において光電変換により光量に応じた電荷が発生する。フォトダイオード(PD)に蓄積した電荷はトランジスタ(M1)を介してフローティングディフュージョン(FD)に転送される。トランジスタ(M1)は、転送信号線(TR)の制御信号によって制御される。トランジスタ(M2)は、通電することによって、フローティングディフュージョン(FD)に蓄積された電荷のリセット動作を行う。トランジスタ(M2)は、リセット信号線(RS)の制御信号によって制御される。フローティングディフュージョン(FD)に蓄積された電荷はトランジスタ(M3)によって増幅され、トランジスタ(M4)を介して列(Column)信号線(SIG)から出力される。トランジスタ(M4)は行(Row)選択信号線を介した制御信号によって制御される。
【0051】
図7は、本開示の同一色の4画素ブロック201において取得する異なる露光時間に対応する画素値の加算信号を出力する演算部を含む回路構成例を示している。
図7は、ある同一色の4つの画素からなる画素ブロック、すなわち、例えば図2(2)に示す4分割ベイヤ型RGB配列におけるR,G,Bのいずれかの1つの色の画素によって構成される2×2画素と、その出力に対する演算処理構成を示している。
【0052】
同一色の2×2画素単位中に、図6に示す内部構成をもつ異なる露光時間制御がなされる4画素がある。
以下、これらの4画素を(Φ1、Φ2、Φ3、Φ4)として説明する。
【0053】
画素制御信号は行セレクタ(ROW SELETOR)202より供給される。同じ行(Row)にある画素Φ1とΦ2、および画素Φ3とΦ4は、それぞれリセット信号線RSとRow選択信号線SLを共有する。
転送信号線TRは画素Φ1、Φ2、Φ3、Φ4それぞれに配線され、共有しない。
各画素から読みだされる画素信号は列(Column)信号線SIGを通って、ADコンバータ(A/D CONVERTOR)203においてデジタル値に変換される。画素からの読み出しは1H(水平)周期で、1行(Row)分が同期しておこなわれる。
【0054】
ADコンバータ(A/D CONVERTOR)203においてデジタル値に変換された画素信号は、加算回路204において、同色2×2画素単位で加算されて1つの画素信号となる。
ADコンバータ(A/D CONVERTOR)203からの出力が、4画素ブロック201の上側の行(行2i)の画素の出力信号Row(2i)であるとき、加算回路204のスイッチ(SW)205はレジスタ(Reg)206側に開き、Row(2i)の画素信号は一旦レジスタ(Reg)206に保持される。
【0055】
一方、ADコンバータ(A/D CONVERTOR)203からの出力が4画素ブロック201の下側の行(行2i+1)の画素の出力信号Row(2i+1)であるとき、加算回路204のスイッチ(SW)205は加算器(ADD)207側に開き、Row(2i+1)の画素信号は直前にレジスタ(Reg)206に保持されたRow(2i)の画素信号と加算器(ADD)207で加算される。その後,後段の加算器(ADD)208によって隣接する列(Column)の加算後の画素信号と加算され、4画素加算信号を得る。
加算後の画素信号は、タイミングジェネレータ(TG)210からの選択制御信号に従って、列セレクタ(COLUMN SELECTOR)209から順次選択されて出力信号線へ送られる。
【0056】
図8は、例えば図7に示す4画素からなる画素ブロック201に含まれる4つの画素の各々に異なる露光時間を設定するための画素制御信号のタイミングチャートを示す図である。
【0057】
1V(垂直)周期で伝達される「実線マル」で囲まれた読み出し制御信号301と、露出の長さに応じて各画素に適宜伝達される「破線マル」で囲まれたPDリセット制御信号302の組み合わせによって、異なる露光時間制御を実現している。
【0058】
読み出し制御信号301(実線マル)は、1つの行(1Row)の画素が同期して画素信号を、ADコンバータ(A/D CONVERTOR)203に送るための制御信号である。
【0059】
そのため、例えば、図7に示す4画素からなる画素ブロック201の上側の行の画素の出力信号Row(2i)と、下側の行の出力信号Row(2i+1)はタイミングが1H分ずれる。
【0060】
図7に示す4画素からなる画素ブロック201の4さつの画素の構成は、先に図6を参照して説明した構成である。各画素における画素信号の生成処理について図6を参照して説明する。
最初にリセット信号RSがトランジスタM2に印加されて、フローティングディフュージョンFD内の蓄積電荷がリセットされる。十分にリセットレベルに達したところでRow選択信号SLがトランジスタM4に印加され、FDのリセットレベルに応じたトランジスタM3のソース電流がColumn信号線(SIG)に流れて、図7に示すADコンバータ(A/D CONVERTOR)203へリセットレベルとして伝達される。
【0061】
次にリセット信号RSと、Row選択信号SLが一旦オフとなり、変わって転送信号TSがトランジスタM1に印加され、フォトダイオードPDで発生した電荷がフローティングディフュージョンFDに転送される。転送が十分に完了したところで、再びColumn選択信号SLがトランジスタM4に印加され、フローティングディフュージョンFDの電荷量に応じたトランジスタM3のソース電流がColumn信号線に流れて、図7に示すADコンバータ(A/D CONVERTOR)203へ画素信号レベルとして伝達される。ADコンバータ(A/D CONVERTOR)203では、リセットレベルと画素信号レベル間の差分を検出することで正確な画素信号が得られるようになっている。
【0062】
読み出し制御と1V後の次の読み出し制御の間が露光期間である。リセット制御信号(破線マル)302は、その露光期間中に適宜、転送信号TSを与えることにより、フォトダイオードPDで蓄積された電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する制御である。リセット制御により転送された電荷は、読み出し制御において最初にリセットされてしまうので、画素信号として読みだされない。そのため、リセット制御の転送信号から読み出し制御の転送信号までの期間が実質的な露光期間となる。本発明の構成では、2×2画素単位内の4画素に独立に転送信号TSを印加出来るようになっているので、所望の4画素の露光期間の組み合わせを作ることができる。
【0063】
図8に示すタイミングチャートでは、画素Φ1にはリセット制御を与えず、その他の画素Φ2、Φ3、Φ4に異なるタイミングでリセット制御信号302を与えて異なるリセット制御をおこなって、Φ1⇒長時間、Φ2⇒短時間、Φ3⇒中短時間、Φ4⇒中長時間の露光を実現している例を示している。図8に示すCHG Φ1〜CHG Φ4において実線の期間が露光期間を示す。
露光期間は、
Φ1>Φ4>Φ3>Φ2
上記設定としている。
【0064】
[6.フローティングディフージョン(FD)加算構成例]
前述した実施例では、画素ブロックを構成する4つの画素各々が、図6に示す構成を有し、各画素からの出力を、加算回路を持つ演算部において加算して出力画素値を生成する構成であった。
各画素は、図6に示すように画素単位で個別のフローティングディフージョン(FD)を有し、各FDからの出力を図7に示す加算回路204において加算する構成としていた。
【0065】
次に、図9に示すように、各画素単位のフローティングディフージョン(FD)を省略して、画素ブロックを構成する4つの画素単位で1つの共有フローティングディフージョン(FD)を設定して、この共有フローティングディフージョン(FD)において画素ブロックの画素値の加算処理を行う構成例について説明する。すなわち、共有フローティングディフージョン(FD)が加算画素値生成部として機能する。
【0066】
本実施例では、図9に示すように、同色4画素の各画素Φ1,401〜Φ4,404はそれぞれ異なる転送信号線(TR1〜TR4)から転送信号を受け、共有フローティングディフュージョン(FD)412とリセット信号線(RS)を共有する。
各画素Φ1,401〜Φ4,404において異なる露光時間の下で発生した電荷は、すべて1つの共有フローティングディフュージョン(FD)412に集積される。
【0067】
この構成により、異なる露光時間の4画素Φ1,401〜Φ4,404の画素信号は、1つの共有フローティングディフュージョン(FD)412において加算することが可能になる。
【0068】
本構成では、4つの画素の画素値の個別読み出しが不要となり、1つの共有フローティングディフュージョン(FD)412での加算結果の読み出しを行えばよく、必要な読み出し回数が1/4になるので高速駆動が可能となる。
【0069】
図9を参照して、フローティングディフージョン(FD)加算を行う撮像デバイスの構成と処理について説明する。
図9には、同色2×2画素単位の画素部の回路構成を示している。4つの実線矩形に囲まれた領域が画素(Φ1,401、Φ2,402、Φ3,403、Φ4,404)に対応する。
画素毎にフォトダイオードPD1〜PD4と、転送トランジスタM1〜M4を持つ。
【0070】
各画素(Φ1,401、Φ2,402、Φ3,403、Φ4,404)の外の構成は、これら2×2画素の画素ブロックで共有する部分であり、
リセットトランジスタM5,411、
フローティングディフュージョンFD412、
増幅トランジスタM6,413、
行(Row)選択トランジスタM7,417、
これらが画素ブロック単位の共有素子として設定されている。
このように、リセット信号線RSと行(Row)選択信号線はこの2×2画素で共有し、転送信号線TS(TS1、TS2、TS3、TS4)は各画素に個別に供給される。
【0071】
図10は、図9に示すフローティングディフージョン(FD)加算構成を持つ画素部と演算部の構成例を示す図である。
図10には、同色2×2画素の画素ブロック501と出力制御部502の各構成を示している。
2×2画素単位の画素ブロック501には、図9を参照して説明した内部構成を有する4画素(Φ1、Φ2、Φ3、Φ4)がある。
【0072】
画素制御信号は行セレクタ(ROW SELETOR)511から供給される。
行セレクタ(ROW SELETOR)511からは、各画素ブロックが設定される2行(2Row)単位で、
リセット信号線RS、
Row選択信号線SL、
4つの転送信号線TS、
これらが行(Row)方向にのび、行(Row)方向に並置される2×2画素単位に、これらの制御信号を供給する。
【0073】
2×2画素単位の各画素ブロック501からは、各画素ブロック内の2×2=4画素の画素値を内部の共有フローティングディフュージョン(FD)において加算した画素信号が列(Column)信号線SIGを通って、ADコンバータ(A/D CONVERTOR)521に入力され、ADコンバータ(A/D CONVERTOR)521においてデジタル値に変換される。なお、本構成では、2×2画素の各画素ブロック501単位で加算された画素値の読み出し処理が実行されるため、画素からの画素値読み出しは2H周期でおこなわれる。
【0074】
ADコンバータ(A/D CONVERTOR)521においてデジタル値に変換された画素信号は、タイミングジェネレータ(TG)522を介して出力される制御信号に従って、列セレクタ(COLUMN SELECTOR)523から順次選択されて出力信号線へ送られる。
【0075】
図11は、図9、図10を参照して説明したフローティングディフージョン(FD)加算処理を行う構成における画素制御信号のタイミングチャートを示す図である。
【0076】
1V周期で伝達される「実線マル」で囲まれた読み出し制御信号601と、露出の長さに応じて各画素に適宜伝達される「破線マル」で囲まれたPDリセット制御信号602の組み合わせによって露光時間制御がなされる。
【0077】
読み出し制御信号601は、2Rowの画素が同期して画素信号を図10に示すADコンバータ(A/D CONVERTOR)521に送るための制御である。
2×2=4画素からなる各画素ブロックの上側の行の画素信号Row(2i)と、下側の行の画素信号Row(2i+1)は、各画素ブロックに設定された1つのフローティングディフュジョン(FD)における加算処理が行われるため、この読み出し制御信号601は、4画素単位の1つの同じタイミングとなる。
【0078】
最初にリセット信号RSが、図9に示すトランジスタM5,411に印加されて、画素ブロック単位の共有FDであるFD412内の蓄積電荷がリセットされる。十分にリセットレベルに達したところでRow選択信号SLがトランジスタM7,414に印加され、FD412のリセットレベルに応じたトランジスタM6,413のソース電流がColumn信号線に流れて、図10に示すADコンバータ(A/D CONVERTOR)521へリセットレベルとして伝達される。
【0079】
次に、リセット信号RSとRow選択信号SLが一旦オフとなり、2×2画素からなる画素ブロックを構成する各画素対応の4つの転送信号TR1、TR2、TR3、TR4が、図9に示す各画素Φ1,401〜Φ4,404の各トランジスタM1、M2、M3、M4に印加され、4つの画素Φ1,401〜Φ4,404各々のフォトダイオードPDで発生した電荷が、画素ブロック単位のフローティングディフュージョンFD412に転送され、その総電荷量がFD412に蓄積される。転送が十分に完了したところで、再びColumn選択信号SLがトランジスタM7,414に印加され、FD412の電荷量に応じたトランジスタM6,413のソース電流がColumn信号線に流れて、図10に示すADコンバータ(A/D CONVERTOR)521へ画素信号レベルとして伝達される。図10に示すADコンバータ(A/D CONVERTOR)521では、リセットレベルと画素信号レベル間の差分を検出することで正確な画素信号が得られるようになっている。
【0080】
図11に示すタイミングチャートにおいて、読み出し制御信号601aと、1V後の次の読み出し制御信号601bの間が露光期間である。リセット制御信号602は、その露光期間中に適宜転送信号TSを与えることにより、各画素のフォトダイオードPDで蓄積された電荷を共有FD412に転送する制御信号である。リセット制御により転送された電荷は、読み出し制御において最初にリセットされてしまうので、画素信号として読みだされない。そのため、リセット制御の転送信号から読み出し制御の転送信号までの期間が実質的な露光期間となる。本開示の構成では、2×2画素単位内の4画素に独立に転送信号TSを印加出来るようになっているので、所望の4画素の露光期間の組み合わせを作ることができる。
【0081】
なお、図11に示す制御は、画素Φ1にはリセット制御を与えず、画素Φ2、Φ3、Φ4に異なるタイミングのリセット制御信号602によるリセット処理をおこなって、Φ1⇒長時間、Φ2⇒短時間、Φ3⇒中短時間、Φ4⇒中長時間の露光を実現している例である。CHG Φ1〜CHG Φ4において実線の期間が露光期間を示す。
この例では、露光期間は、
Φ1>Φ4>Φ3>Φ2
上記設定である。
【0082】
[7.その他の実施例について]
上述した実施例では、図1(2)に示す4分割ベイヤ型RGB配列を持つに撮像素子に対する処理例を説明したが、本開示の構成はその他の画素構成に対しても適用可能である。
【0083】
すなわち、2×2画素単位で同色の設定となる画素配列であれば、2×2画素の色の配列については特に制限がない。画素加算出力後に信号処理によってカラー画像を得るためには、RGBの2×2画素をBayer配列のように配置するのが有効であるが、適切な信号処理(デモザイク処理や色補正、カラーマトリクス処理)が用意できるのであれば、RGBのベイヤ(Bayer)配列以外の配列に本発明を適用することは可能である。
【0084】
例えば、先に図2(3)を参照して説明した4分割WRB型配列に対しても適用可能である。
すなわち、図12(2)に示すように、4分割RGB型配列におけるG画素を全可視光波長透過型のW画素に(例えば全可視光波長を透過するオンチップフィルタを利用)に置き換えたWRB型の2×2画素のベイヤ(Bayer)配列に対しても同様の処理が実行できる。
【0085】
なお、前述した実施例において説明した露光時間制御や演算処理は、例えば制御部において実行するプログラムに従った処理として実行することが可能である。
【0086】
[8.本開示の構成のまとめ]
以上、特定の実施例を参照しながら、本開示の実施例について詳解してきた。しかしながら、本開示の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本開示の要旨を判断するためには、特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0087】
なお、本明細書において開示した技術は、以下のような構成をとることができる。
(1) 複数の同一色画素から構成される画素ブロックを配列した画素部と、
前記画素ブロックを構成する複数の同一色画素各々に対して異なる露光時間の制御を行う制御部と、
前記画素ブロックの複数の同一色画素の出力を加算した加算画素値を生成する加算画素値生成部と、
を有する撮像装置。
【0088】
(2)前記加算画素値生成部は、前記画素ブロックの複数の同一色画素の出力を加算する加算部を有する加算回路によって構成される前記(1)に記載の撮像装置。
(3)前記画素ブロックは、複数行×複数列の複数画素からなる同一色画素によって構成され、前記加算回路は、前記画素ブロックの先行読み出し行に設定された複数画素の画素値を格納するレジスタと、前記画素ブロックの後続読み出し行に設定された複数画素の読み出し画素値と、前記レジスタの格納画素値とを加算する加算部を有する前記(1)または(2)に記載の撮像装置。
(4)前記画素ブロックは、2行×2列の4画素からなる同一色画素によって構成され、前記加算回路は、前記画素ブロックの先行読み出し行に設定された2画素の画素値を格納するレジスタと、前記画素ブロックの後続読み出し行に設定された2画素の読み出し画素値と、前記レジスタの格納画素値とを加算する加算部を有する前記(1)〜(3)いずれかに記載の撮像装置。
【0089】
(5)前記加算画素値生成部は、前記画素ブロック単位で設定されるフローティングディフュージョン(FD)によって構成され、前記フローティングディフュージョン(FD)は、前記画素ブロックを構成する複数の同一色画素各々から出力する電荷を集積する構成を持つ前記(1)に記載の撮像装置。
【0090】
(6)前記画素部は、4分割ベイヤ型RGB配列を有し、RGB各色単位で4つの画素からなる画素ブロックを配列した構成である前記(1)〜(5)いずれかに記載の撮像装置。
(7)前記画素部は、4分割ベイヤ型RGB配列におけるG画素を全可視光波長透過型のW画素に置換した4分割WRB配列を有し、WRB各色単位で4つの画素からなる画素ブロックを配列した構成である前記(1)〜(5)いずれかに記載の撮像装置。
【0091】
さらに、上記した装置およびシステムにおいて実行する処理の方法や、処理を実行させるプログラムおよびプログラムを記録した記録媒体も本開示の構成に含まれる。
【0092】
また、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。例えば、プログラムは記録媒体に予め記録しておくことができる。記録媒体からコンピュータにインストールする他、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介してプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
【0093】
なお、明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。また、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【産業上の利用可能性】
【0094】
以上、説明したように、本開示の一実施例の構成によれば、長時間露光画素と短時間露光画素の画素値合成処理を実行して高ダイナミックレンジ画像を生成する装置、方法が実現される。
具体的には、例えば、画素ブロックを構成する複数の同一色画素各々に対して異なる露光時間の制御を行い、画素ブロックの複数の同一色画素の出力を加算した加算画素値を生成する。加算画素値の生成は、例えば、画素ブロックの複数の同一色画素の出力を加算する加算部を有する演算部において実行される。あるいは、画素ブロック単位で設定されるフローティングディフュージョン(FD)によって実行され、フローティングディフュージョン(FD)において、画素ブロックを構成する複数の同一色画素各々から出力する電荷を集積して出力する。
これらの構成により、高ダイナミックレンジ画像を生成することができる。
【符号の説明】
【0095】
10 輝度閾値レベル
11 高輝度領域
12 低輝度領域
100 撮像装置
101 光学レンズ
102 撮像デバイス
103 信号処理部
105 制御部
120 出力画像
151 画素部
160 演算部
161 AD変換部
162 画素情報合成部
163 出力部
181 複数の異なる露光時間画素情報
201 画素ブロック
202 行セレクタ
203 ADコンバータ
204 加算回路
205 スイッチ
206 レジスタ
207,208 加算部
209 列セレクタ
210 タイミングジェネレータ(TG)
401〜404 画素
411,413,414 トランジスタ
412 フローティングディフュージョン(FD)
501 画素ブロック
502 出力制御部
511 行セレクタ
521 ADコンバータ
522 タイミングジェネレータ(TG)
523 列セレクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の同一色画素から構成される画素ブロックを配列した画素部と、
前記画素ブロックを構成する複数の同一色画素各々に対して異なる露光時間の制御を行う制御部と、
前記画素ブロックの複数の同一色画素の出力を加算した加算画素値を生成する加算画素値生成部と、
を有する撮像装置。
【請求項2】
前記加算画素値生成部は、
前記画素ブロックの複数の同一色画素の出力を加算する加算部を有する加算回路によって構成される請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記画素ブロックは、複数行×複数列の複数画素からなる同一色画素によって構成され、
前記加算回路は、
前記画素ブロックの先行読み出し行に設定された複数画素の画素値を格納するレジスタと、
前記画素ブロックの後続読み出し行に設定された複数画素の読み出し画素値と、前記レジスタの格納画素値とを加算する加算部を有する請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記画素ブロックは、2行×2列の4画素からなる同一色画素によって構成され、
前記加算回路は、
前記画素ブロックの先行読み出し行に設定された2画素の画素値を格納するレジスタと、
前記画素ブロックの後続読み出し行に設定された2画素の読み出し画素値と、前記レジスタの格納画素値とを加算する加算部を有する請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記加算画素値生成部は、
前記画素ブロック単位で設定されるフローティングディフュージョン(FD)によって構成され、
前記フローティングディフュージョン(FD)は、前記画素ブロックを構成する複数の同一色画素各々から出力する電荷を集積する構成を持つ請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記画素部は、4分割ベイヤ型RGB配列を有し、RGB各色単位で4つの画素からなる画素ブロックを配列した構成である請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記画素部は、4分割ベイヤ型RGB配列におけるG画素を全可視光波長透過型のW画素に置換した4分割WRB配列を有し、WRB各色単位で4つの画素からなる画素ブロックを配列した構成である請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
撮像装置において実行する信号処理方法であり、
前記撮像装置は、複数の同一色画素から構成される画素ブロックを配列した画素部を有し、
制御部が、前記画素ブロックを構成する複数の同一色画素各々に対して異なる露光時間の制御を行う露光制御処理と、
加算画素値生成部が、前記画素ブロックの複数の同一色画素の出力を加算した加算画素値を生成する加算画素値生成処理を実行する信号処理方法。
【請求項9】
撮像装置において信号処理を実行させるプログラムであり、
前記撮像装置は、複数の同一色画素から構成される画素ブロックを配列した画素部を有し、
前記プログラムは、
制御部に、前記画素ブロックを構成する複数の同一色画素各々に対して異なる露光時間の制御を行わせる露光制御処理と、
加算画素値生成部に、前記画素ブロックの複数の同一色画素の出力を加算した加算画素値を生成させる加算画素値生成処理を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図5】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−66140(P2013−66140A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−273426(P2011−273426)
【出願日】平成23年12月14日(2011.12.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】