説明

撮像装置、撮像方法、プログラムおよび記録媒体

【課題】撮像装置の傾きを考慮して人物の顔を正確に検出、追尾できるようにする。
【解決手段】撮像対象物について、本体の姿勢に対応する基準画像データを複数記憶する記憶手段と、本体の姿勢を検出する姿勢検出手段と、被写体を撮像し、画像データを取得する撮像手段と、姿勢検出手段により検出された姿勢に基づいて記憶手段から対応する基準画像データを取得し、取得した基準画像データを用いて、撮像手段により取得された画像データから撮像対象物の検出を行う対象物検出手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像方法、この方法を実行するプログラムおよびコンピュータ読取可能な記録媒体に関し、特に顔検出機能および傾き検出機能を有する撮像装置、撮像方法、この方法を実行するプログラムおよびコンピュータ読取可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮像装置で人物を撮影する際、必ずしも顔の正面から撮影を行うとは限らない。撮影者によってはわざと顔の正面以外から撮影を行う場合がある。また、顔追尾を行っている際に撮影構図を決めるために、撮像装置を傾けるように動かす場合がある。そこで、上述のような場合にも正確に顔検出や顔追尾を行うことができるよう、改良する余地がある。
【0003】
従来のデジタルカメラ等の撮像装置で人物の顔に合わせた写真を撮影する技術としては、画面内で人物の顔を検出し、検出された顔に対して追尾を行い、撮影時には顔に対して最適な撮影条件を決定する方式等が使用されている。
【0004】
顔検出を行う際に撮像装置の傾きを考慮する手法として、従来より、撮像装置の傾きによって、エッジ検出の方向を変えるなどの顔検出手段の検出方法を変更させる手法が提案されている(例えば特許文献1)。また、人物の顔の検出を行い、検出された人物の顔の少なくとも一部を測距エリアとして自動合焦を行う技術が提案されている(例えば特許文献2)。
【特許文献1】特開2005−130468号公報
【特許文献2】特開2003−107335号公報
【非特許文献1】松橋聡、外3名、「顔領域抽出に有効な修正HSV表色系の提案」、テレビジョン学会誌、1995年、第49巻、第6号、p.787−797
【非特許文献2】安居院猛、外2名、「静止濃淡情景画像からの顔領域の抽出」、電子情報通信学会誌 D−II、1991年11月、第74巻、第11号、p.1625−1627
【非特許文献3】上野秀幸、「テレビ電話用顔領域検出とその効果」、画像ラボ、1991年11月、p.39−42
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、顔検出を行う際、一般的に顔の正面からの撮影のみ考慮し、顔の正面以外からの撮影(例えば上から角度をつけて撮影するなど)する場合等は考慮しておらず、その場合は、顔検出を行う際の基準データファイルと不一致と判断され、顔検出や顔追尾が正常に行えない場合があった。また、特許文献2では、顔検出を行う際に撮像装置の傾きは考慮されていない。
更には、近年、デジタルカメラなどの撮像装置において、撮影画像中から人物の顔を検出して検出した顔領域にフォーカスや露出等が合うように制御される機能や、検出された顔があらかじめ登録されている顔であるかどうかを認証する機能が実現されている。これらの機能をいろいろな向きの顔に対して実施しようとした場合、使用するテンプレートを顔の向きに応じて複数種類保持する必要があるが、顔の向きがわからなければ全てのテンプレートを用いて検出処理を実行しなくてはならず、時間がかかってしまう。そこで、カメラの姿勢を検出することで被写体の顔の向きを推定し、向きに応じて処理を変える手法が開発されている。
例えば、特許文献1のように、姿勢センサによって得られた姿勢情報に基づいて撮像装置が横置きか縦置きかを瞬時に判断し、判断結果に応じて異なるスキャン方向の2つのフィルタ処理のうち、いずれか一方のみのフィルタ処理を行うことで、カメラに対して縦向きの顔と横向きの顔の両方に対応した顔検出機能を実現する技術がある。しかし、縦向きなら縦向きの顔のみの検出となってしまい、縦向きのときに顔が横向きに近くなるように被写体がポーズをとっている場合には顔の検出ができなくなってしまう。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、撮像装置の傾きを考慮して人物の顔を正確に検出、追尾できるようにする技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明における撮像装置は、撮像対象物について、本体の姿勢に対応する基準画像データを複数記憶する記憶手段と、本体の姿勢を検出する姿勢検出手段と、被写体を撮像し、画像データを取得する撮像手段と、姿勢検出手段により検出された姿勢に基づいて記憶手段から対応する基準画像データを取得し、取得した基準画像データを用いて、撮像手段により取得された画像データから撮像対象物の検出を行う対象物検出手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
姿勢検出手段により検出された姿勢に基づいて記憶手段から対応する基準画像データを取得し、取得した基準画像データを用いて、対象物検出手段により検出された撮像対象物を追尾する対象物追尾手段を備えることを特徴とする。
【0009】
姿勢検出手段は、ロール角とピッチ角の両方、又は何れか一方を検出することを特徴とする。
【0010】
撮像対象物は、人物の顔であることを特徴とする。
【0011】
姿勢検出手段により検出された姿勢に基づいて記憶手段から取得する基準画像データの優先順位を決定することを特徴とする。
【0012】
姿勢検出手段により検出された姿勢に基づいて検出領域を変更することを特徴とする。
【0013】
また、本発明における撮像方法は、撮像対象物について、本体の姿勢に対応する基準画像データを複数記憶する記憶ステップと、本体の姿勢を検出する姿勢検出ステップと、被写体を撮像し、画像データを取得する撮像ステップと、姿勢検出ステップにより検出された姿勢に基づいて記憶ステップにて記憶した対応する基準画像データを取得し、取得した基準画像データを用いて、撮像ステップにより取得された画像データから撮像対象物の検出を行う対象物検出ステップと、を備えることを特徴とする。
【0014】
姿勢検出ステップにより検出された姿勢に基づいて記憶ステップからにて記憶した対応する基準画像データを取得し、取得した基準画像データを用いて、対象物検出ステップにより検出された撮像対象物を追尾する対象物追尾ステップを備えることを特徴とする。
【0015】
姿勢検出ステップは、ロール角とピッチ角の両方、又は何れか一方を検出することを特徴とする。
【0016】
撮像対象物は、人物の顔であることを特徴とする。
【0017】
姿勢検出手段により検出された姿勢に基づいて記憶手段から取得する基準画像データの優先順位を決定することを特徴とする。
【0018】
姿勢検出手段により検出された姿勢に基づいて検出領域を変更することを特徴とする。
【0019】
また、本発明におけるプログラムは、上記いずれかに記載の撮像方法をコンピュータに実行させる。
【0020】
また、本発明における記録媒体は、上記のプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、撮像装置は検出された傾きに対し、最適な基準画像データを使用して顔検出を行うことで、顔検出の精度を向上することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
(カメラシステム説明)
まず、図を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。なお、各図の番号は、同じ部材や同じ処理に関しては、極力、同じ番号を付けている。
【0024】
図1、2、3は、本発明の実施形態における撮像装置の一例であるデジタルカメラの外観図である。また、図4は、本発明の実施形態における撮像装置の一例であるデジタルカメラのブロック図、図5は本発明の実施形態における顔画像検出部の概略ブロック図の一例である。
【0025】
まず、図1〜図5を使用して、本発明の実施形態の撮像装置の一例であるデジタルカメラの動作を説明する。
【0026】
図1〜図4において、鏡胴ユニット7は、被写体の光学画像を取り込むズームレンズ7−1a、ズーム駆動モータ7−1bからなるズーム光学系7−1、フォーカスレンズ7−2a、フォーカス駆動モータ7−2bからなるフォーカス光学系7−2、絞り7−3a、絞りモータ7−3bからなる絞りユニット7−3、メカシャッタ7−4a、メカシャッタモータ7−4bからなるメカシャッタユニット7−4、各モータを駆動するモータドライバ7−5を有する。そして、モータドライバ7−5は、リモコン受光部6入力や操作部KeyユニットSW1〜SW13の操作入力に基づく、後述するディジタルスチルカメラプロセッサ104内にあるCPUブロック104−3からの駆動指令により駆動制御される。
【0027】
ROM108には、CPUブロック104−3にて解読可能なコードで記述された、制御プログラムや制御するためのパラメータが格納されている。このデジタルカメラの電源がオン状態になると、前記プログラムは不図示のメインメモリにロードされ、前記CPUブロック104−3はそのプログラムに従って装置各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータ等を、一時的に、RAM107、及び後述するディジタルスチルカメラプロセッサ104内にあるLocal SRAM104−4に保存する。ROM108に書き換え可能なフラッシュROMを使用することで、制御プログラムや制御するためのパラメータを変更することが可能となり、機能のVerUpが容易に行える。
【0028】
CCD101は、光学画像を光電変換するための固体撮像素子であり、F/E(フロントエンド)−IC102は、画像ノイズ除去用相関二重サンプリングを行うCDS102−1、利得調整を行うAGC102−2、ディジタル信号変換を行うA/D102−3、CCD1制御ブロック104−1より、垂直同期信号(以下、VDと記す。)、水平同期信号(以下、HDと記す。)を供給され、CPUブロック104−3によって制御されるCCD101、及びF/E−IC102の駆動タイミング信号を発生するTG102−4を有する。
【0029】
ディジタルスチルカメラプロセッサ104は、CCD101よりF/E―IC102の出力データにホワイトバランス設定やガンマ設定を行い、又、前述したように、VD信号、HD信号を供給するCCD1制御ブロック104−1、フィルタリング処理により、輝度データ、色差データへの変換を行うCCD2制御ブロック104−2、前述した装置各部の動作を制御するCPUブロック104−3、前述した制御に必要なデータ等を、一時的に保存するLocal SRAM104−4、パソコンなどの外部機器とUSB通信を行うUSBブロック104−5、パソコンなどの外部機器とシリアル通信を行うシリアルブロック104−6、JPEG圧縮、伸張を行うJPEG CODECブロック104−7、画像データのサイズを補間処理により拡大/縮小するRESIZEブロック104−8、画像データを液晶モニタやTVなどの外部表示機器に表示するためのビデオ信号に変換するTV信号表示ブロック104−9、撮影された画像データを記録するメモリカードの制御を行うメモリカードブロック104−10を有する。
【0030】
SDRAM103は、前述したディジタルスチルカメラプロセッサ104で画像データに各種処理を施す際に、画像データを一時的に保存する。保存される画像データは、例えば、CCD101から、F/E−IC102を経由して取りこんで、CCD1信号処理ブロック104−1でホワイトバランス設定、ガンマ設定が行われた状態の「RAW−RGB画像データ」やCCD2制御ブロック104−2で輝度データ、色差データ変換が行われた状態の「YUV画像データ」、JPEG CODECブロック104−7で、JPEG圧縮された「JPEG画像データ」などである。メモリカードスロットル121は、着脱可能なメモリカードを装着するためのスロットルである。内蔵メモリ120は、前述したメモリカードスロットル121にメモリカードが装着されていない場合でも、撮影した画像データを記憶できるようにするためのメモリである。
【0031】
LCDドライバ117は、後述するLCDモニタ10に駆動するドライブ回路であり、TV信号表示ブロック104−9から出力されたビデオ信号を、LCDモニタ10に表示するための信号に変換する機能も有している。
【0032】
LCDモニタ10は、撮影前に被写体の状態を監視する、撮影した画像を確認する、メモリカードや前述した内臓メモリ120に記録した画像データを表示する、などを行うためのモニタである。ビデオAMP118は、TV信号表示ブロック104−9から出力されたビデオ信号を、75Ωインピーダンス変換するためのアンプであり、ビデオジャック119は、TVなどの外部表示機器と接続するためのジャックである。
【0033】
USBコネクタ122は、パソコンなどの外部機器とUSB接続を行う為のコネクタである。シリアルドライバ回路123−1は、パソコンなどの外部機器とシリアル通信を行うために、前述したシリアルブロック104−6の出力信号を電圧変換するための回路であり、RS−232Cコネクタは、パソコンなどの外部機器とシリアル接続を行う為のコネクタである。SUB−CPU109は、ROM、RAMをワンチップに内蔵したCPUであり、操作KeyユニットSW1〜13やリモコン受光部6の出力信号をユーザの操作情報として、前述したCPUブロック104−3に出力し、また、前述したCPUブロック104−3より出力されるカメラの状態を、後述するサブLCD1、AF LED8、ストロボLED9,ブザー113の制御信号に変換して、出力する。
【0034】
サブLCD1、例えば、撮影可能枚数など表示するための表示部であり、LCDドライバ111は、前述したSUB−CPU109の出力信号より、前述したサブLCD1を駆動するためのドライブ回路である。
【0035】
AF LED8は、撮影時の合焦状態を表示するためのLEDであり、ストロボLED9は、ストロボ充電状態を表すためのLEDである。尚、このAF LED8とストロボLED9を、メモリカードアクセス中などの別の表示用途に使用しても良い。
【0036】
操作KeyユニットSW1〜13は、ユーザが操作するKey回路であり、リモコン受光部6は、ユーザが操作したリモコン送信機の信号の受信部である。
【0037】
音声記録ユニット115は、ユーザが音声信号を入力するマイク115−3、入力された音声信号を増幅するマイクAMP115−2、増幅された音声信号を記録する音声記録回路115―3からなる。
【0038】
音声再生ユニット116は、記録された音声信号をスピーカーから出力できる信号に変換する音声再生回路116−1、変換された音声信号を増幅し、スピーカーを駆動するためのオーディオAMP116−2、音声信号を出力するスピーカー116−3からなる。
【0039】
加速度センサ124はPCB上に実装され、2軸X,Yと温度Tのデータを出力する。そのデータからカメラのロール角、ピッチ角等の傾きを演算し、LCDモニタ10等に表示する。加速度センサの水平に対するロール角θは以下の式で表される。
【0040】
【数1】

【0041】
G0は重力ゼロ時の出力である。
【0042】
カメラが図2、図3の姿勢のときに、カメラのロール角θが0度であるとし、LCDモニタ10が時計回り方向に傾いた場合に正の傾き、反時計回りに傾いた場合に負の傾きであるとする。
【0043】
図5は、本発明の実施の形態における顔画像検出部の概略ブロック図である。この構成は、被写体の画像を1枚分以上記憶する画像メモリ200と、そのメモリから所定の単位で他のメモリあるいはレジスタに取り込む画像取り込み部201と、全体の制御を司る制御部202と、複数の顔の特徴を格納する顔特徴記憶部204と、画像取り込み部201からのデータと顔特徴記憶部204からのデータを比較してその結果を制御部202に伝える比較部203と、最終的な判断結果を外部に出力する出力部205から構成されている。ここで、画像メモリ200は図4のRAM107を使用しても良い。また、その他の部分は図4のディジタルスチルカメラプロセッサ104により実現しても構わないし、あるいは専用のLSIにより実現しても良い。
【0044】
(顔検出方法の説明)
本発明の実施形態での顔認識は従来の個人の顔として確実に認識できるレベルである必要は無く、被写体が顔か、あるいはそれ以外の他の物体かの2者択一の認識レベルで充分である。顔画像認識における対象項目は大きく分けると次の2つとなる。
1)人物の識別:対象人物が誰であるかを識別する。
2)表情識別:人物がどのような表情をしているかを識別する。
【0045】
すなわち、1)の人物識別は顔の構造認識であり静的識別といえる。また、2)の表情識別は顔の形状変化の認識であり、動的識別ともいえる。本発明の実施形態の場合は、前記よりさらに単純な識別といえる。また、これらの識別の手法として、1)2次元的手法、2)3次元的手法があり、コンピュータでは主に1)2次元的手法が使用されている。これらの詳しい内容はここでは省略する。
【0046】
次に、本発明の実施形態における顔画像の検出方法について説明する。被写体の画像データは、CCD101により光電変換され、画像処理されてRAM107に一時的に保存される。その画像データは、ある所定の単位(フレーム、バイト)で画像取り込み部に取り込まれる。
【0047】
一般に、人物を撮影する際、被写体となる人物の顔は頭部が上となるように撮影されることが多いが、そのような場合に撮影時にカメラの姿勢が変化することで、カメラの取得画像において顔の向きが必ずしも頭部が上とはならない。カメラが水平状態であるときは、図6のように取得画像において被写体となる人物500の頭部501が上側となるが、カメラのロール角が+90度であるときは、取得画像において被写体となる人物500の顔501は図7のように左回転した状態で写り、カメラのロール角が−90度であるときは、図8のように取得画像において被写体となる人物の顔は右回転した状態で写る。本発明の実施形態によると、取得されたカメラのロール角から、人物500の顔501の向きを予測し、カメラが水平の場合に図6、カメラのロール角が+90度の場合に図7、カメラのロール角が−90度の場合に図8のような顔の向きを優先的に顔検出できるように、検出時に使用する顔特徴記憶部204のデータをロール角により変更することで、顔検出の速度および精度を向上することができる。
【0048】
本発明における実施の形態で、被写体像の中から人物像を検出する方法は、以下に示す手法のいずれかにより実装を行う。
【0049】
非特許文献1の「顔領域抽出に有効な修正HSV表色系の提案」に示されるように、カラー画像をモザイク画像化し、肌色領域に着目して顔領域を抽出する方法。
【0050】
非特許文献2の「静止濃淡情景画像からの顔領域を抽出する手法」に示されているように、髪や目や口など正面人物像の頭部を構成する各部分に関する幾何学的な形状特徴を利用して正面人物の頭部領域を抽出する方法。
【0051】
非特許文献3の「テレビ電話用顔領域検出とその効果」に示されるように、動画像の場合、フレーム間の人物の微妙な動きによって発生する人物像の輪郭エッジを利用して正面人物像を抽出する方法。
【0052】
(フローチャートの説明)
図9においてまず、CPU104−3は人物の顔検出を実行する顔検出動作モードであるか否かを判断する(ステップS101)。この判断の結果、顔検出動作モードであると判断した場合には、CPU104−3は、加速度センサから計測(ステップS102)されたデータをもとにカメラのロール角θを計算し、カメラのロール角θから顔認識に使用する顔特徴記憶部データを判断する(ステップS103)。
【0053】
ステップS103での判断の結果、カメラのロール角θが、−45°≦θ<+45°であるときは、図10のように人物500が写っていると判断し、顔特徴記憶部データDvを使用して顔検出処理を実行し(ステップS104)、CPU104−3は、顔を検出したかどうかを判断する(ステップS105)。図10の矢印は、撮影された画像から顔特徴点を抽出する際の、画像のスキャン方向である。顔501を検出したと判断した場合にレリーズ1が押されたら(ステップS106)、検出された顔501を対象としてAF、AE等の制御を行い(ステップS107)、その後レリーズ2が押されたら(ステップS108)画像を取り込み(ステップS109)、検出された顔501を対象にAWB等の制御を行い(ステップS110)、画像を記録する(ステップS111)。
【0054】
また、ステップS102での判断の結果、カメラのロール角θが、θ≧+45°である場合は、図11のように人物500が写っていると判断し、顔特徴記憶部データDh1を使用して顔検出処理を実行し(ステップS112)、CPU104−3は、顔501を検出したかどうかを判断する(ステップS105)。図11の矢印は、撮影された画像から顔特徴点を抽出する際の、画像のスキャン方向である。顔501を検出したと判断した場合にレリーズ1が押されたら(ステップS106)、検出された顔501を対象としてAF、AE等の制御を行い(ステップS107)、その後レリーズ2が押されたら(ステップS108)画像を取り込み(ステップS109)、検出された顔501を対象にAWB等の制御を行い(ステップS110)、画像を記録する(ステップS111)。
【0055】
また、ステップS102での判断の結果、カメラのロール角θが、θ<−45°である場合は、図12のように人物500が写っていると判断し、顔特徴記憶部データDh2を使用して顔検出処理を実行し(ステップS113)、CPU104−3は、顔501を検出したかどうかを判断する(ステップS105)。図12の矢印は、撮影された画像から顔特徴点を抽出する際の、画像のスキャン方向である。顔を検出したと判断した場合にレリーズ1が押されたら(ステップS106)、検出された顔を対象としてAF、AE等の制御を行い(ステップS107)、その後レリーズ2が押されたら(ステップS108)画像を取り込み(ステップS109)、検出された顔501を対象にAWB等の制御を行い(ステップS110)、画像を記録する(ステップS111)。
【0056】
なお、ステップS101で顔検出動作モードでない場合、または、ステップS104、S112、S113のいずれかで顔を検出していないと判断した場合には、レリーズ1が押されたら(ステップS112)通常のAF、AE等の制御を行い(ステップS113)、その後レリーズ2が押されたら(ステップS114)、画像を取り込み(ステップS115)、通常のAWB等の制御を行い(ステップS116)、画像を記録する(ステップS111)。
【0057】
以上説明したように、上記実施の形態によればCPU104−3は、カメラのロール角θから最適な顔特徴記憶部データを用いて顔検出を行うことで顔検出の精度および速度を向上させ、検出された顔に対して最適な条件で撮影した画像を得ることが可能となる。
【0058】
続いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施形態における撮像装置の一例であるデジタルカメラの外観図、ブロック図、および顔画像検出部の概略ブロック図は第1の実施の形態と同様で、図1から図5で示したとおりである。
【0059】
(顔検出方法の説明)
人物を撮影する際、被写体となる人物に対して、斜め上方向からカメラにピッチ角をつけて撮影を行う際には、顔の正面から撮影を行う際(図6)と比較して、人物500の顔501部分の縦横比が異なって撮影されることがある(図13)。このように撮影を行う場合、図14のように顔特徴記憶部204のデータと画像の顔部分の縦横比が一致せず、顔の正面から撮影を行う際と比較して顔検出の精度が劣化する可能性がある。本発明の実施形態によると、カメラは加速度センサから得られたデータをもとにカメラのピッチ角の取得を行い、ピッチ角が30度以上である場合に顔検出時に使用する顔特徴記憶部データを変更することで、顔検出の速度および精度を向上することができる。
【0060】
(フローチャートの説明)
図15において、第1の実施の形態と同様に顔検出モードであるかの判断を行い(ステップS201)、顔検出モードであると判断した場合にCPU104−3は加速度センサから計測された(ステップS202)データをもとにカメラのピッチ角ψを計算し、カメラのピッチ角ψから顔検出に最初に使用する顔特徴記憶部データを判断する(ステップS203)。なお、本実施の形態ではカメラのロール角は0度であるとする。
【0061】
ステップS203での判断の結果、カメラのピッチ角ψが30度未満であるときは、図10のように正面から人物500が撮影されていると判断し、顔特徴記憶部データDv1を使用して顔検出処理を実行し(ステップS204)、CPU104−3は、顔501を検出したかどうかを判断する(ステップS205)。図10の矢印は、撮影された画像から顔特徴点を抽出する際の、画像のスキャン方向である。顔を検出したと判断した場合にレリーズ1が押されたら(ステップS206)、検出された顔を対象としてAF、AE等の制御を行い(ステップS207)、その後レリーズ2が押されたら(ステップS208)画像を取り込み(ステップS209)、検出された顔を対象にAWB等の制御を行い(ステップS210)、画像を記録する(ステップS211)。
【0062】
また、ステップS203での判断の結果、カメラのピッチ角ψが30度以上であるときは、最初に図16のように撮影されていると判断し、顔特徴記憶部データDv2を使用して顔検出処理を実行し(ステップS212)、CPU104−3は、顔を検出したかどうかを判断する(ステップS213)。図16の矢印は、撮影された画像から顔特徴点を抽出する際の、画像のスキャン方向である。顔501を検出したと判断した場合にレリーズ1が押されたら(ステップS206)、検出された顔を対象としてAF、AE等の制御を行い(ステップS207)、その後レリーズ2が押されたら(ステップS208)、画像を取り込み(ステップS209)、検出された顔を対象にAWB等の制御を行い(ステップS210)、画像を記録する(ステップS211)。
【0063】
ステップS213で顔を検出できなかったと判断した場合には、続いて顔特徴記憶部データDv1を使用して顔検出処理を実行し(ステップS204)、CPU104−3は、顔を検出したかどうかを判断する(ステップS205)。図10の矢印は、撮影された画像から顔特徴点を抽出する際の、画像のスキャン方向である。顔501を検出したと判断した場合にレリーズ1が押されたら(ステップS206)、検出された顔を対象としてAF、AE等の制御を行い(ステップS207)、その後レリーズ2が押されたら(ステップS208)画像を取り込み(ステップS209)、検出された顔を対象にAWB等の制御を行い(ステップS210)、画像を記録する(ステップS2)。
【0064】
なお、ステップS201で顔検出動作モードでない場合、または、ステップS205で顔501を検出していないと判断した場合には、レリーズ1が押されたら(ステップS214)通常のAF、AE等の制御を行い(ステップS215)、その後レリーズ2が押されたら(ステップS216)、画像を取り込み(ステップS217)、通常のAWB等の制御を行い(ステップS218)、画像を記録する(ステップS211)。
【0065】
以上説明したように、上記実施の形態によればCPU104−3は、カメラのピッチ角ψから最適な顔特徴記憶部データを用いて顔検出を行うことで顔検出の精度および速度を向上させ、検出された顔に対して最適な条件で撮影した画像を得ることが可能となる。
【0066】
続いて、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施形態における撮像装置の一例であるデジタルカメラの外観図、ブロック図、および顔画像検出部の概略ブロック図は実施例1および2と同様で、図1から図5で示したとおりである。
【0067】
(顔追尾方法の説明)
顔検出を行った後に、カメラの姿勢情報を用いて検出された人物の顔の追尾を行う例について説明する。なお、顔追尾の手法については本実施の形態に記載した限りではなく、別の手法を用いても良い。
【0068】
前記顔検出手法により人物の顔が検出された後、撮影を行うまでの間、検出された人物の顔を追尾する必要がある。追尾時は、顔検出を行ったスキャンよりも簡易的にスキャンを行うことで高速に顔情報の検出を行い、追尾する必要がある。たとえば、図17において、顔検出を行う際には実線と破線の矢印を使って画像のスキャンを行っているが、顔追尾を行う際には実線部のみを用いて画像のスキャンを行うことや、検出された人物の顔情報やカメラの移動量等の情報から画像内で顔追尾を行う範囲を限定してスキャンを行うなどの方法を用いることで、顔検出時より高速に行うことができる。
【0069】
人物の顔を追尾する際にカメラのロール角が急変した場合、同じ座標にある同じ顔に対しても、ロール角急変前のスキャン方法では追尾を行うのは困難であり、再度顔検出を行う必要がある。カメラが水平の状態から、ロール角+90度の状態に急変した場合、図6から図7のように構図が変化するが、ロール角急変前後で顔追尾に使用する顔特徴記憶部データを変更せずに図6の構図と同じ顔特徴記憶部データを用いてスキャンを行うと、図7のような構図では人物の顔を追尾できない。本発明の実施形態によると、カメラが水平である状態からロール角+90度の状態にロール角が急変した場合にも、ロール角の変化を検出した時点で顔追尾に使用する顔特徴記憶部データを変更することで、顔検出をやりなおすことなく人物の顔を追尾することが可能となる。
【0070】
(フローチャートの説明)
図18において、第1の実施の形態と同様に顔検出モードであるかの判断を行い(ステップS301)、顔検出モードであると判断した場合に、顔検出動作を行う(ステップS302)。次に、顔検出できたかどうかの判断を行い(ステップS303)、顔検出できた場合に、CPU104−3は加速度センサから計測されたデータをもとにカメラのロール角θを計算し(ステップS304)、カメラのロール角から顔認識制御手段を判断する(ステップS305)。
【0071】
ステップS305での判断の結果、カメラのロール角θが、−45°≦θ<+45°であるときは、図10のように人物500が写っていると判断し、顔特徴記憶部データDvを用いて顔追尾処理を実行し(ステップS306)、CPU104−3は、顔501を追尾できたかどうかを判断する(ステップS307)。顔を追尾できたと判断した場合、レリーズ1が押されたかどうかの判断を行い(ステップS308)、レリーズ1が押されたと判断したら追尾された人物の顔からAFやAE等の制御を行い(ステップS309)、レリーズ2が押されたかどうかの判断を行い(ステップS310)、レリーズ2が押されたと判断したら(ステップS310)、画像の取り込みを行い(ステップS311)、追尾された人物の顔からWB等の制御を行い(ステップS312)、画像を記録する(ステップS313)。
【0072】
ステップS305での判断の結果、カメラのロール角θが、θ≧+45°であるときは、図11のように人物500が写っていると判断し、顔特徴記憶部データDh1を用いて顔追尾処理を実行し(ステップS314)、CPU104−3は、顔を追尾できたかどうかを判断する(ステップS307)。顔を追尾できたと判断した場合、レリーズ1が押されたかどうかの判断を行い(ステップS308)、レリーズ1が押されたと判断したら追尾された人物の顔からAFやAE等の制御を行い(ステップS309)、レリーズ2が押されたかどうかの判断を行い(ステップS310)、レリーズ2が押されたと判断したら画像の取り込みを行い(ステップS311)、追尾された人物の顔501からAWB等の制御を行い(ステップS312)、画像を記録する(ステップS313)。
【0073】
ステップS305での判断の結果、カメラのロール角θが、θ<−45°であるときは、図12のように人物500が写っていると判断し、顔特徴記憶部データDh2を用いて顔追尾処理を実行し(ステップS315)、CPU104−3は、顔501を追尾できたかどうかを判断する(ステップS3207)。顔を追尾できたと判断した場合、レリーズ1が押されたかどうかの判断を行い(ステップS308)、レリーズ1が押されたと判断したら追尾された人物の顔からAFやAE等の制御を行い(ステップS309)、レリーズ2が押されたかどうかの判断を行い(ステップS310)、レリーズ2が押されたと判断したら画像の取り込みを行い(ステップS311)、追尾された人物の顔からAWB等の制御を行い(ステップS312)、画像を記録する(ステップS313)。
【0074】
ステップS301で顔検出モードでないと判断した場合には、顔検出動作および顔追尾動作を行わずに、レリーズ1が押されたら(ステップS316)通常のAF、AE等の制御を行い(ステップS3317)、その後レリーズ2が押されたら(ステップS318)、画像を取り込み(ステップS319)、通常のAWB等の制御を行い(ステップS320)、画像を記録する(ステップS313)。
【0075】
ステップS307で顔追尾できなかったと判断した場合は、ステップS302に戻り、顔検出の動作以降を行う。また、ステップS308でレリーズ1が押されなかったと判断した場合はステップS304に戻り、カメラのロール角計測動作以降を行う。
【0076】
以上のように、上記実施の形態によれば、CPU104−3は、カメラのロール角θから最適な顔特徴記憶部データを用いて顔追尾を行うことで顔追尾の精度および速度を向上させ、追尾された顔に対して最適な条件で撮影した画像を得ることが可能となる。
【0077】
本発明の実施形態は、例えばポートレートモード等、基本的には人がカメラの前で正面を向いている状態で撮影を行う場合を想定しており、その場合に、カメラの傾き(ロール、ピッチ)が変化した場合の顔検出に用いられるものである。
【0078】
そこで、本発明の実施の形態においては、まず、予めカメラの傾き(ロール、ピッチのそれぞれの角度について)に対応する顔特徴データを複数記憶しておく。この顔特徴データは、ロール角、ピッチ角がそれぞれ0°のカメラの前で人が正面を向いている状態を基準として、人は動かないまま、ロール角、ピッチ角をそれぞれ変更させて撮影して、取得する。そして、カメラで撮影を行う際に、カメラ本体の傾き(ロール角、ピッチ角)を検出し、検出された傾きに応じて、用いる顔特徴データを変えて、顔検出処理を行うようにしている。
【0079】
続いて、本発明の第4の実施の形態について説明する。
まず、顔検出の方法について説明する。
被写体像の中から人物像を検出する方法は、多くの手法が公知となっており、例えば以下の方法が用いられてよい。
【0080】
P.Viola and M.Jones, "Rapid Object Detection using a Boosted Cascade of Simple Features", Proc. IEEE International Conference on Computer Vision and Pattern Recognition, vol.1, pp.511-518 2001 に示されているように、AdaBoost学習により多数の弱識別器をカスケード型に線形結合したものを識別器として作成し、識別器に基づいてHaar-Like特徴量を計算し、顔を検出する方法がある。
【0081】
以下、ここでは、上記手法における弱識別器を特徴データ、弱識別器をカスケード型に線形結合した識別器を特徴データ群として記述する。
【0082】
次に、顔検出処理について説明する。
図19は撮像光学系によって撮像された画像に対し、顔検出処理を実施して画像の中から人物の顔を検出する顔検出処理のフローである。
【0083】
カメラの動作モードが顔検出処理を実施するモードである時、顔検出モジュールはモニタリング画像の中からあるタイミングで一枚の画像をコピーする(ステップS401)。CPUはコピーした画像に対して顔検出処理を実施し、画像内に人物の顔があるか否かを判断する。
【0084】
顔検出処理はあらかじめメモリ内に保持している人物の顔の特徴データ群の中の一つ一つの特徴データと画像内の対称矩形との類似度を算出していくが、本実施例では特徴データ群が顔の向きに応じて±0度の顔用、+90度の顔用、-90度の顔用の3種類の特徴データ群があるものとする。
【0085】
まず、加速度センサからの出力により顔検出処理開始時のカメラの姿勢を判断する(ステップS402)。ここでは、カメラの姿勢は±0度、-90度、プラス90度の何れか3種類、一番近いものに分類する。180度に関しては通常のカメラ使用上、まずありえない状態であるため、ここでは考慮せず、±0度と同等の動作になるものとする。これにより得られたカメラの姿勢から、顔の向きとして可能性の高いものから順番になるように、3種類の特徴データ群の優先順位を決定する(ステップS403)。図21は、カメラの姿勢に基づいて決定される特徴データ群の優先順位の例であり、(a)はカメラの姿勢が±0度の時の例である。カメラの姿勢が±0どれある時は、顔の向きも0度付近である可能性が高いため、±0度の顔用の特徴データ群が最も高い優先度となる。それに続いて-90度の顔用の特徴データ群、+90度の顔用の特徴データ群、といった順番となる。(b)はカメラの向きが-90度(撮影者側から見てカメラが反時計回りに90度倒れた状態)の時の例である。ここでは、顔の向きも90度傾いている可能性が高いため、-90度の顔用の特徴データ群が最も高い優先順位となる。続いて、±0度の顔用の特徴データ群が2番目に高い優先順位となり、-90度から180度離れている+90度は優先順位が最も低い特徴データ群となる。
【0086】
次に、画像の中から最初の対象矩形を決定する(ステップS404)。ここでは画像の左上の端とする。本実施の形態では、図20に示すように画像の左上の端から右下の端まで順に対象矩形領域を少しずつずらしながらスキャンしていくものとする。なお、図21の(b)右側に示すように、画像内のスキャン方向は、カメラの姿勢によらず、一定であるものとする。
【0087】
最初は優先順位xが1である特徴データ群を使用して顔検出処理を実施する(ステップS405〜S407)。ここでは、特徴データ群の中の一つ一つの特徴データと対象矩形領域の類似度を算出して行き、類似度が特徴データごとに定められた所定の閾値を超えたものの数が、特徴データ群ごとに定められた所定の閾値を超えれば、当該対象矩形領域が顔であると判断される。
【0088】
顔であったと判断された場合にはその対象領域を顔として登録し、画像中の座標とサイズを記録する(ステップS411)。顔検出処理を実施した対象矩形領域が顔でなかった場合、使用した特徴データ群よりも優先順位の低い特徴データ群がまだ残っているかどうかを判断し(ステップS409)、まだ残っていた場合には次の優先順位の特徴データ群を選択し(ステップS410、S406)、再び顔検出処理を実施する(ステップS407)。もし使用した特徴データ群が最も低い優先順位のものであった場合には、ここで顔検出処理を実施した対象矩形領域は顔でなかったと判断される。1つの対象矩形領域について顔検出処理が終了したら、画像中の全ての領域をスキャンしたかどうかを判断し(ステップS412)、まだスキャン領域が残っている場合には対象矩形領域をずらした上で、再度同様の顔検出処理を実施する。
【0089】
画像中の全ての領域をスキャンし終わった場合、顔検出モードを継続するかどうかを判断し(ステップS413)、継続するのであれば再びモニタリング画像から顔検出用画像をコピーして顔検出処理を実施する。顔検出モードを終了するのであればここで一連の処理を終了する。なお、顔検出モード継続か終了かの判断は、ユーザから顔検出モードから抜ける旨の操作があったかどうかにより判断する。
【0090】
本実施の形態ではカメラの姿勢および特徴データ群を±0度、-90度、+90度の3種類、としたが、もちろんもっと細かい分類、例えば±0度、-45度、+45度、-90度、+90度、-135度、+135度、±180度の8種類などとしてもよい。
【0091】
続いて、本発明の第5の実施の形態について説明する。
顔を検出する方法は、上記と同様に、公知の手法を用いることとする。
図22に本実施の形態における顔検出・顔認証処理のフローを示す。
【0092】
カメラの動作モードが顔検出処理を実施するモードである時、顔検出モジュールはモニタリング画像の中からあるタイミングで一枚の画像をコピーする(ステップS501)。CPUはコピーした画像に対して顔検出処理を実施し、画像内に人物の顔があるか否かを判断する。
【0093】
顔検出処理はあらかじめメモリ内に多数保持している人物の顔の特徴データ群の一つ一つの特徴データと画像内の対称矩形領域との類似度を算出していく。
【0094】
まず、カメラに実装されている加速度センサの出力からカメラの姿勢を判断する(ステップS502)。ここでは、第4の実施の形態と同様に±0度、-90度、+90度の3種類にカメラの姿勢を分類するものとする。次に、カメラの姿勢に基づき、画像内で顔検出処理をする領域を限定する(ステップS502)。図23はカメラの姿勢に基づいて顔検出処理をする領域を限定している例である。ここでは、破線矩形枠が顔検出処理をする領域を表しており、画角の下端側に顔が写っている可能性が少ないものとしてそれぞれの姿勢において下側となる領域を顔検出処理をする領域から外している。即ち、顔検出領域は、全体の画角から、画角の下端側の所定画素分幅の領域を除いた領域である。
【0095】
次に、前段で限定された顔検出領域の中から顔検出処理を実施する対象矩形を決定する(ステップS504)。この対象矩形と特徴データの類似度を算出し(ステップS505)、類似度が所定の閾値よりも高い場合には対象矩形が特徴にマッチしたと判断される。対象矩形が特徴にマッチしたと判断された場合には対象矩形を顔として登録する(ステップS507)。
【0096】
以上のようにしてステップS503で限定した顔検出領域全てをスキャンする。本実施の形態では第4の実施の形態と同様に、カメラの姿勢が±0度であるときの左上から右下に向かって順次少しずつ対象矩形領域をずらしながらスキャンしていくものとする。顔検出領域を全てスキャンした後、顔検出モードを継続するか否かを判断する。もしユーザから顔検出モードを抜ける旨の操作があった場合には顔検出処理を終了し、そうでなければ再びモニタリング画像から顔検出用画像をコピーし、顔検出処理を実施していく。
【0097】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、次の効果を得ることができる。
【0098】
(1)撮像対象物について、本体の姿勢に対応する基準画像データを複数記憶する記憶手段と、前記本体の姿勢を検出する姿勢検出手段と、被写体を撮像し、画像データを取得する撮像手段と、前記姿勢検出手段により検出された前記姿勢に基づいて前記記憶手段から対応する前記基準画像データを取得し、取得した基準画像データを用いて、前記撮像手段により取得された画像データから前記撮像対象物の検出を行う対象物検出手段と、を備えるようにしたので、撮像装置は検出された傾き(姿勢)に対し、最適な基準画像データを使用して顔検出を行うことで、顔検出の精度を向上することが可能となる。
【0099】
(2)上記の撮像装置において、前記姿勢検出手段により検出された姿勢に基づいて前記記憶手段から対応する前記基準画像データを取得し、取得した基準画像データを用いて、前記対象物検出手段により検出された前記撮像対象物を追尾する対象物追尾手段を備えるようにしたので、撮像装置は検出された傾き(姿勢)に対し、最適な基準画像データを使用して顔追尾を行うことで、顔追尾の精度を向上することが可能となる。
【0100】
(3)上記の撮像装置において、前記姿勢検出手段から出力された姿勢情報が変化した際に、検出された姿勢情報をもとに、検出または追尾されている顔の追尾時に特徴抽出を行うための基準画像データを変更すると、顔追尾時に撮像装置の傾きが変化した場合にも高精度で顔追尾を行うことが可能となる。
【0101】
(4)上記の撮像装置において、動きを検知する手段を有し、前記対象物追尾手段は、前記動き検出手段から出力された撮像装置の動き情報と、前記姿勢検出手段から出力された姿勢情報と、検出または追尾された人物の顔の位置情報に基づき、特徴点抽出を行うブロックを決定するようにすると、撮像装置は検出された動きや傾き、検出された顔の位置情報から決定した画素ブロックに対してのみ顔追尾を行うことで、高速な顔追尾を行うことが可能となる。
【0102】
(5)上記の撮像装置において、前記対象物検出手段、または前記対象物追尾手段により検出または追尾された人物の顔情報に基づき、前記撮像手段の撮像条件を決定する制御手段を有するようにすると、撮像装置は前記対象物検出手段および対象物追尾手段により検出された人物の顔に対して最適な画像を撮像することが可能となる。
【0103】
(6)上記の撮像装置では、カメラの縦横を瞬時に判断して最適な特徴データ群(基準画像データ)を選択することで無駄な処理を減らして検出を高速化し、さらにカメラに対する顔の向きが異なってしまう場合においても顔の検出を可能とする撮像装置を実現する。 すなわち、センサによってカメラの姿勢を検出することにより、カメラに対する顔の向きを推定し、最適な基準特徴データ群(基準画像データ)を即時に選択することを可能とする。
【0104】
また、上記の撮像装置において、前記対象物検出手段によりある特徴データ群(基準画像データ)に基づいて対象物(顔)が検出された場合にはその特徴データ群よりも優先順位の低い特徴データ群での顔検出処理は実施しないこととすれば、不要な処理を省くことで顔検出処理を高速化することを可能とする。
【0105】
また、上記の撮像装置において、姿勢検出手段によって判断された自身の姿勢に基づいて前記対象物検出手段において使用される基準特徴データ群をひとつだけ選択することとすれば、不要な処理を省くことで顔検出処理を高速化することを可能とする。
【0106】
また、上記の撮像装置において、AF・AE・AWBの少なくとも1つの処理を対象物検出手段において検出された顔領域の情報に基づいて実施することとすれば、顔検出の結果に基づいてAF・AE・AWB処理をすることで、人物が画像の中央付近にいない場合においても人物に容易に合焦させたり適正露出にしたりすることを可能とする。
【0107】
また、上記の撮像装置において、姿勢検出手段(姿勢検出センサ)はロール角とピッチ角の両方、又は何れか一方を検出することとすれば、被写体に向けて変えられうる撮像装置の姿勢を検出することを可能とする。
【0108】
尚、各フローチャートに示す処理を、CPUが実行するためのプログラムは本発明の実施形態によるプログラムを構成する。また、このプログラムを記録する記録媒体は、本発明によるコンピュータ読み取り可能な記録媒体を構成する。この記録媒体としては、半導体記憶装置や光学的及び/又は磁気的な記憶装置等を用いることができる。このようなプログラム及び記録媒体を、前述した実施の形態とは異なる構成の装置やシステム等で用い、そこのCPUで上記プログラムを実行させることにより、本発明と実質的に同じ効果を得ることができる。
【0109】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の実施の形態による撮像装置の上面図である。
【図2】本発明の実施の形態による撮像装置の正面図である。
【図3】本発明の実施の形態による撮像装置の背面図である。
【図4】本発明の実施の形態によるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態による顔認識検出部の構成を示すブロック図である。
【図6】撮像装置のロール角に応じて得られる画像の向きを説明する構成図である。
【図7】撮像装置のロール角に応じて得られる画像の向きを説明する構成図である。
【図8】撮像装置のロール角に応じて得られる画像の向きを説明する構成図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態による処理手順を示すフローチャートである。
【図10】画像スキャンと顔特徴点抽出を示す構成図である。
【図11】画像スキャンと顔特徴点抽出を示す構成図である。
【図12】画像スキャンと顔特徴点抽出を示す構成図である。
【図13】撮像装置にピッチ角がついた場合に得られる画像を示す構成図である。
【図14】撮像装置にピッチ角がついた場合に得られる画像に対する従来の顔特徴点抽出結果を示す構成図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態による処理手順を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第2の実施の形態による画像スキャンと顔特徴点抽出を示す構成図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態による画像スキャンを示す構成図である。
【図18】本発明の第3の実施の形態による処理手順を示すフローチャートである。
【図19】本発明の第4の実施の形態による処理手順を示すフローチャートである。
【図20】画像のスキャンの手法を示す図である。
【図21】カメラの姿勢に応じた特徴データ群の優先順位を示す図である。
【図22】本発明の第5の実施の形態による処理手順を示すフローチャートである。
【図23】カメラの姿勢に基づいた画像中の顔検出対象領域を示す図である。
【符号の説明】
【0111】
7 鏡胴ユニット
SW1〜SW13 操作部Keyユニット
101 CCD
104 ディジタルスチルカメラプロセッサ
108 ROM
124 加速度センサ
200 画像メモリ
201 画像取り込み部
202 制御部
203 比較部
204 顔特徴記憶部
205 出力部
500 人物
501 顔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像対象物について、本体の姿勢に対応する基準画像データを複数記憶する記憶手段と、
前記本体の姿勢を検出する姿勢検出手段と、
被写体を撮像し、画像データを取得する撮像手段と、
前記姿勢検出手段により検出された前記姿勢に基づいて前記記憶手段から対応する前記基準画像データを取得し、取得した基準画像データを用いて、前記撮像手段により取得された画像データから前記撮像対象物の検出を行う対象物検出手段と、を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記姿勢検出手段により検出された姿勢に基づいて前記記憶手段から対応する前記基準画像データを取得し、取得した基準画像データを用いて、前記対象物検出手段により検出された前記撮像対象物を追尾する対象物追尾手段を備えることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記姿勢検出手段は、ロール角とピッチ角の両方、又は何れか一方を検出することを特徴とする請求項1又は2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像対象物は、人物の顔であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記対象物検出手段は、前記姿勢検出手段により検出された姿勢に基づいて前記記憶手段から取得する前記基準画像データの優先順位を決定することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記対象物検出手段は、前記画像データ内の検出領域から前記撮像対象物の検出を行い、前記姿勢検出手段により検出された姿勢に基づいて前記検出領域を変更することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
撮像対象物について、本体の姿勢に対応する基準画像データを複数記憶する記憶ステップと、
前記本体の姿勢を検出する姿勢検出ステップと、
被写体を撮像し、画像データを取得する撮像ステップと、
前記姿勢検出ステップにより検出された前記姿勢に基づいて前記記憶ステップにて記憶した対応する前記基準画像データを取得し、取得した基準画像データを用いて、前記撮像ステップにより取得された画像データから撮像対象物の検出を行う対象物検出ステップと、
を備えることを特徴とする撮像方法。
【請求項8】
前記姿勢検出ステップにより検出された姿勢に基づいて前記記憶ステップにて記憶した対応する前記基準画像データを取得し、取得した基準画像データを用いて、前記対象物検出ステップにより検出された前記撮像対象物を追尾する対象物追尾ステップを備えることを特徴とする請求項7記載の撮像方法。
【請求項9】
前記姿勢検出ステップは、ロール角とピッチ角の両方、又は何れか一方を検出することを特徴とする請求項7又は8記載の撮像方法。
【請求項10】
前記撮像対象物は、人物の顔であることを特徴とする請求項7から9のいずれか1項に記載の撮像方法。
【請求項11】
前記対象物検出ステップは、前記姿勢検出ステップにより検出された姿勢に基づいて、取得する前記基準画像データの優先順位を決定することを特徴とする請求項7から10のいずれか1項に記載の撮像方法。
【請求項12】
前記対象物検出ステップは、前記画像データ内の検出領域から前記撮像対象物の検出を行い、前記姿勢検出ステップにより検出された姿勢に基づいて前記検出領域を変更することを特徴とする請求項7から11のいずれか1項に記載の撮像方法。
【請求項13】
請求項7から12のいずれか1項に記載の撮像方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項14】
請求項13記載のプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−88093(P2010−88093A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318367(P2008−318367)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】