説明

撮像装置、撮像方法およびプログラム

【課題】特定の撮像系でエラーが生じても高画質な画像を提供すること。
【解決手段】撮像装置は、互いに撮像光軸の位置が異なり、それぞれ少なくとも第1波長域の光で被写体を撮像する3以上の撮像系を有する撮像部と、3以上の撮像系により撮像された3以上の画像を比較して、同一被写体が撮像された画像領域で他の複数の画像との差が予め定められた値より大きい少なくとも一つの画像を選択する画像選択部と、3以上の撮像系により撮像された3以上の画像のうち、画像選択部が選択した画像を除く複数の画像を、画像選択部が選択した画像より大きい重みづけで合成して、出力画像を生成する画像合成部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
2つの撮像光学系で撮像センサ出力に差が生じた場合にエラーを出力する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、複数の撮像手段で撮像する技術として、下記特許文献2および特許文献3に記載の技術が知られている。
特許文献1 特開2003−235053号公報
特許文献2 特表2007−520107号公報
特許文献3 特開2010−154311号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複数の撮像光学系を備えても、エラーの有無を検出するだけでは、エラー領域の画像を提供することができない。エラー領域についても、きちんと画像を提供できるだけでなく、より高画質な画像を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の一態様においては、撮像装置であって、互いに撮像光軸の位置が異なり、それぞれ少なくとも第1波長域の光で被写体を撮像する3以上の撮像系を有する撮像部と、3以上の撮像系により撮像された3以上の画像を比較して、同一被写体が撮像された画像領域で他の複数の画像との差が予め定められた値より大きい少なくとも一つの画像を選択する画像選択部と、3以上の撮像系により撮像された3以上の画像のうち、画像選択部が選択した画像を除く複数の画像を、画像選択部が選択した画像より大きい重みづけで合成して、出力画像を生成する画像合成部とを備える。
【0005】
画像合成部は、3以上の撮像系により撮像された3以上の画像のうち、画像選択部が選択した画像を除く複数の画像を合成して、出力画像を生成してよい。
【0006】
画像選択部は、3以上の画像を複数の画像領域毎に比較して、少なくとも一つの画像を複数の画像領域毎に選択し、画像合成部は、画像選択部が選択した画像を除く複数の画像を、複数の画像領域毎に合成して、出力画像を生成してよい。
【0007】
撮像部は、第1波長域とは異なる波長域の光で被写体を撮像する撮像系をさらに有してよい。第1波長域は、Gの波長域であり、撮像部は、Rの波長域の光で被写体を撮像する撮像系、および、Bの波長域の光で被写体を撮像する撮像系を有してよい。
【0008】
撮像部は、第1波長域の光で被写体を撮像する3以上の第1撮像系と、第2波長域の光で被写体を撮像する3以上の第2撮像系と、第3波長域の光で被写体を撮像する3以上の第3撮像系とを有し、画像選択部は、撮像部が有する同一の波長域の光で被写体を撮像する3以上の撮像系毎に、少なくとも一つの画像を選択し、画像合成部は、撮像部が有する同一の波長域の光で被写体を撮像する3以上の撮像系毎に、画像選択部が選択した画像を除く複数の画像を合成することにより、第1波長域、第2波長域および第3波長域のそれぞれの光による3の出力画像を生成してよい。
【0009】
3以上の撮像系は、それぞれ時間的に連続して撮像し、画像選択部は、同一の撮像系が連続して撮像した複数の画像のそれぞれにおいて、他の複数の画像との差が予め定められた値より大きい場合に、当該撮像系が連続して撮像した複数の画像を選択してよい。
【0010】
3以上の撮像系は、それぞれ互いに異なる結像特性を有する光学系をそれぞれ有してよい。
【0011】
画像合成部は、3以上の撮像系で撮像された画像の明るさが予め定められた値以下である場合に、画像選択部が選択した画像を除く複数の画像を合成してよい。
【0012】
撮像部は、同一基板上に形成された複数の受光素子を有し、撮像部が有する撮像系は、基板上の対応する領域に形成された複数の受光素子で被写体を撮像してよい。
【0013】
3以上の撮像系がそれぞれ撮像した3以上の画像に対して被写体像の位置合わせをする補正を施す位置補正部をさらに備え、画像選択部は、位置補正部により補正された3以上の画像を比較して、少なくとも一つの画像を選択し、画像合成部は、位置補正部により補正された3以上の画像のうち、画像選択部が選択した画像を除く複数の画像を合成して、出力画像を生成してよい。
【0014】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】撮像装置100のブロック構成の一例を模式的に示す図である。
【図2】撮像装置100が備えるレンズ部の一例を模式的に示す図である。
【図3】撮像モジュールのブロック構成の一例を模式的に示す図である。
【図4】G成分出力画像の生成処理の一例を模式的に示す図である。
【図5】画像選択部330が画像の比較に用いる情報の一例を示す図である。
【図6】連続して撮像した画像に対する処理の一例を模式的に示す図である。
【図7】画像信号生成部170における処理フローの一例を示す図である。
【図8】画像合成部340における合成処理の一例を模式的に示す図である。
【図9】画像合成部340における合成処理の他の一例を模式的に示す図である。
【図10】レンズ部の他の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0017】
図1は、撮像装置100のブロック構成の一例を模式的に示す。本実施形態に係る撮像装置100は、画像内のエラー領域についてもきちんと画像を提供すること、望ましくは、より高画質な画像を提供することを目的とする。撮像装置100は、撮像部160、画像信号生成部170、および、記録部180を備える。撮像部160は、複数の第1撮像系101a〜c、第2撮像系102、第3撮像系103を有する。複数の第1撮像系101a〜cを、第1撮像系101と総称する場合がある。第1撮像系101、第2撮像系102、第3撮像系103、および、画像信号生成部170は、撮像装置100に組み込まれる撮像モジュールとして機能してよい。
【0018】
第1撮像系101a〜cは、緑に属する波長域の光であるG光で被写体を撮像する。第2撮像系102は、赤に属する波長域の光であるR光で被写体を撮像する。第3撮像系103は、青に属する波長域の光であるB光で被写体を撮像する。G光は、第1波長域の一例とする。このように、撮像部160は、互いに撮像光軸の位置が異なり、それぞれ少なくとも第1波長域の光で被写体を撮像する3の第1撮像系101と、第1波長域とは異なる波長域の光で被写体を撮像する、第2撮像系102および第3撮像系103とを有する。
【0019】
第1撮像系101a〜cは、それぞれ同様の機能を持つ光学要素を有するので、ここでは第1撮像系101aが有する光学要素について説明する。第1撮像系101aは、第1光学系115aおよび第1受光部119aを有する。第1光学系115aは、被写体光を結像する第1レンズ110a、および、第1光学系115aを通過する光の量を調整する第1絞り部112aを持つ。第1受光部119aは、被写第1レンズ110aにより結像された被写体光のうちG光を受光して、被写体を撮像する。第1撮像系101a〜cが有する各光学要素は、各光学要素が属する第1撮像系101の符号の添え字により区別する。
【0020】
第2撮像系102および第3撮像系103も、第1撮像系101aが有する光学要素と類似の機能を持つ光学要素を持つ。具体的には、第2撮像系102は、第2光学系125および第2受光部129を有する。第2光学系125は、第2レンズ120および第2絞り部122を持つ。第3撮像系103は、第3光学系135および第3受光部139を有する。第3光学系135は、第3レンズ130および第3絞り部132を持つ。第2レンズ120および第3レンズ130は、第1レンズ110に対応する光学要素であり、第2絞り部122および第3絞り部132は、第1絞り部112に対応する光学要素である。第2光学系125及び第3光学系135は、それぞれ赤に属する波長域および青に属する波長域に対して光学設計されている点を除き、第1光学系115と略同様の機能を持つ。
【0021】
第2受光部129および第3受光部139は、第1受光部119に対応する光学要素である。第2受光部129および第3受光部139は、それぞれR光およびB光で被写体を撮像する点を除き、第1受光部119と略同様の機能を持つ。
【0022】
このように、第1撮像系101、第2撮像系102および第3撮像系103は、同一の被写体を互いに異なる波長域の光で撮像する。第1撮像系101、第2撮像系102および第3撮像系103は、それぞれ被写体を撮像して、撮像画像を示す撮像信号を生成する。画像信号生成部170は、第1撮像系101、第2撮像系102および第3撮像系103から、それぞれ撮像信号を取得する。画像信号生成部170は、取得した撮像信号から1つの出力画像を示す画像信号を生成する。例えば、画像信号生成部170は、取得した撮像信号を色合成して、1つの出力画像を示す画像信号を生成する。
【0023】
撮像装置100は、G光で撮像する撮像系を3つ備える。画像信号生成部170は、当該3つの撮像系、すなわち第1撮像系101a、第1撮像系101b、第1撮像系101cからの撮像信号を比較する。一例として、第1撮像系101bの第1レンズ110bが、異物が付着するなどして汚れたとする。この場合、汚れの影響により、第1撮像系101bからの撮像信号は、第1撮像系101aからの撮像信号および第1撮像系101cからの撮像信号とは異なる信号となる。
【0024】
画像信号生成部170は、第1撮像系101bからの撮像信号が、第1撮像系101aおよび第1撮像系101cからの撮像信号と実質的に差があり、第1撮像系101aからの撮像信号および第1撮像系101cからの撮像信号に実質的に差がない場合、第1撮像系101aからの撮像信号および第1撮像系101cからの撮像信号を用いて、G成分の画像信号を生成する。そして、画像信号生成部170は、生成したG成分の画像信号を、第2撮像系102からの撮像信号および第3撮像系103からの撮像信号と色合成して、1つの出力画像を示す画像信号を生成する。このため、画像信号生成部170は、第1レンズ110bに汚れが付着した場合でも、汚れの影響で出力画像のカラーバランスにくずれが生じる確率を、低減することができる。
【0025】
記録部180は、画像信号生成部170が生成した画像信号を記録する。記録部180は、画像信号生成部170から供給された画像信号が示す画像を、不揮発性メモリに記録してよい。当該不揮発性メモリは、記録部180が有してよい。また、当該不揮発性メモリは、撮像装置100に対して着脱可能に設けられた外部メモリであってよい。記録部180は、撮像装置100の外部に画像を出力してもよい。
【0026】
撮像装置100は、カメラ機能付きの携帯電話、デジタルカメラなどの撮像機器であってよい。第1撮像系101、第2撮像系102、第3撮像系103および画像信号生成部170を有する撮像モジュールは、これらの撮像機器用のカメラモジュールとして提供することができる。
【0027】
図2は、撮像装置100が備えるレンズ部の一例を模式的に示す。レンズ部は、複数の第1レンズ110a〜c、第2レンズ120、第3レンズ130、および、レンズ鏡筒200を有する。本図には、各レンズの中央部分に、それぞれの撮像系が撮像に利用する光の波長域をR、G、Bで示されている。本図は、物体側からレンズ部を見た場合の第1レンズ110、第2レンズ120、および、第3レンズ130の位置を示す。第1レンズ110aは、レンズ鏡筒200の中心に設けられる。第1レンズ110b、第1レンズ110c、第2レンズ120、および、第3レンズ130は、第1レンズ110aの周囲に設けられる。
【0028】
第1レンズ110a〜c、第2レンズ120、および、第3レンズ130は、光軸が互いに離間して設けられる。具体的には、第1レンズ110a、第1レンズ110b、および、第1レンズ110cは、x方向に離間して設けられる。第2レンズ120および第3レンズ130は、光軸がy方向に離間して設けられる。
【0029】
第1レンズ110、第2レンズ120、および、第3レンズ130の光軸は、互いに平行であるとする。すなわち、第1撮像系101、第2撮像系102、および、第3撮像系103の撮像光軸は、互いに平行であり、各撮像系は、撮像光軸に垂直な面内で、互いに撮像光軸の位置を異ならせて設けられることとなる。
【0030】
図3は、撮像装置100が有する撮像モジュールのブロック構成の一例を模式的に示す。ここでは、第1撮像系101、第2撮像系102、第3撮像系103のブロック構成が、画像信号生成部170のブロック構成とともに示される。本図の第1撮像系101、第2撮像系102、および、第3撮像系103のブロック構成は、第1レンズ110、第2レンズ120、および、第3レンズ130の光軸を含む面で切断した模式断面図とする。
【0031】
画像信号生成部170は、読み出し部310、位置補正部320、画像選択部330、および、画像合成部340を有する。第1撮像系101が有する第1受光部119、第2撮像系102が有する第2受光部129、および、第3撮像系103が有する第3受光部139は、受光部309として一体に設けられる。
【0032】
第1受光部119aは、第1カラーフィルタアレイ116aおよび第1受光素子アレイ118aを含む。第2受光部129は、第2カラーフィルタアレイ126および第2受光素子アレイ128を含む。第3受光部139は、第3カラーフィルタアレイ136および第3受光素子アレイ138を含む。
【0033】
第1撮像系101aが持つ光学構成について説明する。第1レンズ110aは、結像レンズである。第1光学系115aを通過する光は、第1絞り部112aの開口部を通過するものに制限される。
【0034】
第1カラーフィルタアレイ116aは、緑の波長域の光を選択的に透過する複数のカラーフィルタを含む。第1受光素子アレイ118aは、被写体からの光を第1光学系115aを通じて受光する複数の受光素子を含む。第1受光素子アレイ118aが含む複数の受光素子は、第1カラーフィルタアレイ116aが含む複数のカラーフィルタに対応して設けられる。各受光素子は、第1カラーフィルタアレイ116aに入射した被写体光のうち、対応するカラーフィルタを透過した光を受光する。各受光素子は、受光した光の量に応じた強度の撮像信号を出力する。このように、第1受光素子アレイ118aは、第1レンズ110aにより結像された被写体光により撮像する複数の受光素子を有する。
【0035】
ここでは、第1撮像系101bが有する第1受光部119b、および、第1撮像系101cが有する第1受光部119cは、第1受光部119aと同様の光学構成を有する。第1受光部119bおよび第1受光部119cも、受光部309として一体に設けられる。このため、説明を省略する。
【0036】
第2撮像系102および第3撮像系103が持つ光学構成について説明する。第2レンズ120は、結像レンズである。第2光学系125を通過する光は、第2絞り部122の開口部を通過するものに制限される。第3レンズ130は、結像レンズである。第3光学系135を通過する光は、第3絞り部132の開口部を通過するものに制限される。
【0037】
第2カラーフィルタアレイ126は、赤の波長域の光を選択的に透過する複数のカラーフィルタを含む。第3カラーフィルタアレイ136は、青の波長域の光を選択的に透過する複数のカラーフィルタを含む。
【0038】
第2受光素子アレイ128は、第2カラーフィルタアレイ126を通じて被写体光を受光する点を除いて、第1受光素子アレイ118と略同一の光学構成を持つので、説明を省略する。同様に、第3受光素子アレイ138は、第3カラーフィルタアレイ136を通じて被写体光を受光する点を除いて、第1受光素子アレイ118と略同一の光学構成を持つので、説明を省略する。
【0039】
受光部309の光学構成について説明する。第1受光部119、第2受光部129および第3受光部139がそれぞれ有する複数の受光素子は、同一平面上に設けられる。例えば、第1受光素子アレイ118が有する複数の受光素子、第2受光素子アレイ128が有する複数の受光素子、および、第3受光素子アレイ138が有する複数の受光素子は、同一基板上に形成される。例えば、各受光素子は、同一プロセスで同一基板の一面に同時に形成される。また、第1カラーフィルタアレイ116、第2カラーフィルタアレイ126、および、第3カラーフィルタアレイ136が有する複数のカラーフィルタも、対応する受光素子の上部に同一プロセスで同時に形成される。これにより、第1受光部119、第2受光部129および第3受光部139を一体に含む1つの受光部309が製造される。第1受光部119の撮像面、第2受光部129の撮像面、および第3受光部139の撮像面は、当該受光部309が持つ撮像面の部分領域となる。このように、撮像部160は、同一基板上に形成された複数の受光素子を有する。そして、撮像部160が有する撮像系は、基板上の対応する領域に形成された複数の受光素子で被写体を撮像する。なお、第1受光部119、第2受光部129、および、第3受光部139は、互いに別個に製造して組み付けられてもよい。
【0040】
各撮像系が備える複数の受光素子は実質的に同時に露光される。各受光素子が露光されると、読み出し部310は、当該複数の受光素子から、撮像信号を読み出す。読み出し部310は、複数の受光素子と同一基板上に形成された読み出し回路を有してよい。当該読み出し回路は、各撮像系に対して1つ設けられ、1つの読み出し回路が、各撮像系が備える複数の受光素子から、撮像信号を順次に読み出してよい。なお、当該読み出し回路は、各撮像系に対してそれぞれ別個に設けられてもよい。
【0041】
各撮像系が備える複数の受光素子は、MOS型撮像素子を形成してよい。各受光素子が同一プロセスで同一基板の一面に形成されMOS型撮像素子として実装されている場合、読み出し部310は、各撮像系が備える光学系毎に、部分的に読み出しをすることができる。各撮像系が含む複数の受光素子は、MOS型撮像素子の他、CCD型撮像素子などの固体撮像素子として実装されてよい。
【0042】
読み出し部310が各撮像系が備える受光素子から読み出した撮像信号は、位置補正部320に供給される。位置補正部320は、各撮像系がそれぞれ撮像した画像に対して被写体像の位置合わせをする補正を施す。一例として、位置補正部320は、対応点マッチング等の画像解析によって各画像間の対応点を検出して、対応点を位置合わせする補正を、各撮像系がそれぞれ撮像した画像に対して施してよい。このように、位置補正部320は、3以上の撮像系がそれぞれ撮像した3以上の画像に対して被写体像の位置合わせをする補正を施す。
【0043】
位置補正部320により補正された画像は、画像選択部330および画像合成部340に供給される。画像選択部330は、第1撮像系101a〜cで撮像された画像を比較して、同一被写体が撮像された画像領域で他の2つの画像との差が予め定められた値より大きい画像が存在するか否かを判断する。画像選択部330は、複数の画素から形成されるブロックのボケ量またはエッジ量の差、当該ブロックの平均輝度の差等を、画像の差として検出してよい。画像選択部330は、他の2つの画像との差が予め定められた値より大きい画像が存在すると判断した場合、当該画像を特定する情報を画像合成部340に供給する。このように、画像選択部330は、3以上の撮像系により撮像された3以上の画像を比較して、同一被写体が撮像された画像領域で他の複数の画像との差が予め定められた値より大きい少なくとも一つの画像を選択する。具体的には、画像選択部330は、位置補正部320により補正された3以上の画像を比較して、少なくとも一つの画像を選択する。
【0044】
画像合成部340は、各撮像系から読み出された画像を合成して、1つの出力画像を示す画像信号を生成する。このとき、画像合成部340は、第1レンズ110a〜cで撮像された画像のうち、画像選択部330が選択した画像を除く2つの画像を合成して、G光による画像を示すG成分出力画像を生成する。そして、画像合成部340は、生成したG成分出力画像を、第2撮像系102で撮像された画像および第3撮像系103で撮像された画像と合成して、1つの出力画像を生成する。このように、画像合成部340は、3以上の撮像系により撮像された3以上の画像のうち、画像選択部330が選択した画像を除く複数の画像を、画像選択部330が選択した画像より大きい重みづけで合成して、出力画像を生成する。具体的には、画像合成部340は、位置補正部320により補正された3以上の画像のうち、画像選択部330が選択した画像を除く複数の画像を合成して、出力画像を生成する。
【0045】
撮像装置100によると、第1撮像系101で撮像された画像のうち2つ以上の画像の間で差が実質的に検出されなかった場合には、当該2つ以上の画像を用いてG成分出力画像を生成することができる。このため、第1レンズ110a〜cのいずれかに汚れが付着した場合でも、汚れの影響を受けた画像を高い確率で特定でき、G成分出力画像の生成処理から除外することができる。このため、G成分出力画像が汚れの影響を受ける確率を低減することができる。また、2つ以上の画像を合成することができるので、高画質のG成分出力画像を提供することができる。
【0046】
図4は、G成分出力画像の生成処理の一例を模式的に示す。G成分画像400a、G成分画像400b、および、G成分画像400cは、それぞれ第1撮像系101a、第1撮像系101b、および、第1撮像系101cによって撮像された画像とする。G成分画像400b内の画像領域402bは、第1レンズ110bに汚れが付着したことにより生じた汚れ像を含む。
【0047】
G成分画像400a内の画像領域402a、および、G成分画像400c内の画像領域402cは、画像領域402bに撮像された被写体と同一の被写体が撮像された領域とする。画像領域402aおよび画像領域402cには、同一の被写体が撮像されているので、位置補正部320によって対応点を特定することができる。G成分画像400aとG成分画像400cとの間で対応点の位置ズレ量が特定できれば、当該位置ズレ量、および、第1レンズ110a〜cの光軸の位置に基づき、G成分画像400b内の対応点を特定することができる。したがって、位置補正部320は、画像領域402aおよび画像領域402cの位置ズレ量、および、第1レンズ110a〜cの光軸の位置に基づいて、画像領域402aおよび画像領域402cと同一被写体が撮像されているべき画像領域402bを特定することができる。
【0048】
画像合成部340は、G成分画像400a〜cを用いてG成分出力画像410を生成する。このとき、画像合成部340は、画像領域402aおよび画像領域402cを合成して、G成分出力画像410内の画像領域412の画像を生成する。一方、画像合成部340は、G成分出力画像410内の画像領域412以外の画像領域の画像を、G成分画像400a内の画像領域402a以外の画像領域、G成分画像400bの画像領域402b以外の画像領域、および、G成分画像400cの画像領域402c以外の画像領域を合成することにより、生成する。
【0049】
撮像装置100によれば、第1レンズ110bに付着した汚れの影響を含む画像領域402bを除外して、G成分出力画像410を生成することができる。このため、G成分出力画像410に汚れの影響が混入することを未然に防ぐことができる。また、画像領域412以外の画像領域を、第1撮像系101a〜cが撮像した画像を合成して生成することができる。画像領域412についても、第1撮像系101aおよび第1撮像系101cが撮像した画像を合成して生成することができる。このため、撮像装置100によると、汚れが付着した領域についても複数の画像を合成することができ、その領域の画質を高めることができる。
【0050】
図5は、画像選択部330が画像の比較に用いる情報の一例を示す。画像選択部330は、各撮像系で撮像された画像からそれぞれ空間周波数成分を抽出して、抽出した空間周波数成分を比較する。画像選択部330は、それぞれ複数の画素から形成される複数の画素ブロックのからそれぞれ空間周波数成分を抽出して、画素ブロック毎に比較する。なお、画像選択部330は、画素ブロックの平均輝度値で空間周波数成分を規格化してよい。例えば、画像選択部330は、空間周波数0の空間周波数成分で各空間周波数成分を規格化した値を用いて、画素ブロック毎に比較してよい。
【0051】
画像領域402a、画像領域402bおよび画像領域402cからそれぞれ抽出された空間周波数成分の信号強度を、それぞれ本図のA、BおよびCに模式的に示す。ここではx方向の空間周波数成分を一例として示す。本図のAおよびCの間では、各空間周波数において信号強度に実質的な差はない。一方、第1レンズ110bに付着した汚れの像は、ボケ像となる。このため、本図のBに示されるように、比較的に低い空間周波数では、他の画像と信号強度の差は小さいものの、比較的に高い空間周波数での信号強度は、他の画像の信号強度よりも小さくなる。このため、画像選択部330は、本信号強度の差に基づき、画像領域402bを合成から除外すべき画像領域として選択する。
【0052】
例えば、画像選択部330は、空間周波数成分の信号強度の差を比較する。具体的には、ある一の画像と他の複数の画像とを比較する場合、画像選択部330は、他の画像にわたる信号強度の平均値を、空間周波数毎に算出する。そして、画像選択部330は、当該平均値との間の信号強度の差を、空間周波数毎に算出して、算出した差を空間周波数にわたり加算する。画像選択部330は、当該加算値を各画像について算出して、算出した加算値の絶対値が最も大きい画像を、合成から除外すべき画像として選択する。
【0053】
画像選択部330は、当該加算値を算出する場合に、空間周波数に応じて予め定められた重みづけで重みづけ加算をしてもよい。例えば、画像選択部330は、より高い空間周波数に、より大きい重みづけを設定して、加算してよい。予め定められた空間周波数より低い空間周波数の重みづけを0として、予め定められた空間周波数以上の空間周波数の重みづけを0より大きい値としてよい。なお、他の画像にわたる信号強度の平均値を算出するとしたが、全画像にわたる信号強度の平均値を算出するとしてもよい。
【0054】
このように、画像選択部330が空間周波数領域で画像を比較するので、第1レンズ110に付着した汚れの影響を受けた画像を適切に選択することができる。また、画素単位ではなく一定の面積を持つ画素ブロック単位で画像の差を判断するので、画素単位で画素値の差を判定する場合と比較して、汚れ等の影響の有無を安定的に判断することができる。また、画像選択部330が、平均輝度で空間周波数成分を規格化して比較することで、第1レンズ110の明るさの違いを適切に補正して比較することができる。
【0055】
ここでは空間周波数領域でG成分画像を比較するとしたが、種々の種類の指標に基づきG成分画像を比較することができる。例えば、画像選択部330は、G成分画像のエッジ量に基づき比較してよい。エッジ量としては、画素値の1次微分値または2次微分値などの濃度勾配特性を例示することができる。画像選択部330は、ブロック内で画素値の平均値を算出して、当該平均値の差に基づき、比較してもよい。
【0056】
図3および図4では、分かり易く説明すべく、1つの画像領域402に対する画像選択部330および画像合成部340の処理を例示した。画像選択部330は、複数の画像領域毎に、異なるG成分画像を選択することができる。そして、画像合成部340は、複数の画像領域毎に、選択されたG成分画像を除く複数のG成分画像を合成することができる。これにより、異なるレンズの異なる場所に汚れが付着した場合でも、合成すべきG成分画像を適切に選択することができる。このように、画像選択部330は、3以上の撮像系で撮像された3以上の画像を複数の画像領域毎に比較して、少なくとも一つの画像を、複数の画像領域毎に選択する。そして、画像合成部340は、画像選択部330が選択した画像を除く複数の画像を、複数の画像領域毎に合成して、出力画像を生成する。
【0057】
図6は、連続して撮像した画像に対する画像信号生成部170の処理の一例を模式的に示す。画像選択部330は、他の画像との間に差が生じた状態が予め定められた時間長さより長い期間にわたって継続したことを条件として、差が生じた画像を、合成から除外すべき画像として選択する。他の画像との間に差が生じた状態が予め定められた時間長さ継続するまでの間は、画像選択部330は、合成の重みづけを他の画像よりも小さくすべき画像として選択する。
【0058】
本図において、G成分画像600a〜cは、それぞれ第1撮像系101a〜cが時刻t0で撮像した画像とする。G成分画像600a〜cには、第1撮像系101a〜cの間で画像の差が実質的に存在しない。このため、いずれの画像も除外画像として選択されることはない。画像合成部340は、全画像領域にわたってG成分画像600a〜cを加算してG成分出力画像605を生成する。
【0059】
第1撮像系101a〜cは、時刻t0から予め定められた期間が経過した時刻t10で撮像して、G成分画像610a〜cを生成する。G成分画像610bには、第1レンズ110に付着した汚れの像である汚れ像612が含まれる。画像選択部330は、G成分画像610bを、汚れ像612の画像領域において合成の重みづけを他の画像より低くすべき画像として選択する。画像合成部340は、汚れ像612以外の画像領域については、各画像の重みづけを予め定められた等しい値に設定する。一方、画像合成部340は、汚れ像612の画像領域については、G成分画像610bの重みづけを小さく設定する。例えば重みづけを、他の画像に対する重みづけの半分とする。これにより、画像領域617で第1レンズ110bの汚れの影響を多少含むG成分出力画像615が生成される。
【0060】
その後、第1撮像系101a〜cは、予め定められた時間間隔で連続的に撮像していき、時刻t20でそれぞれG成分画像620a〜cを撮像する。G成分画像610bには、第1レンズ110に付着した汚れの像である汚れ像622が含まれる。なお、時刻t10〜t20の間に第1撮像系101bが撮像したG成分画像のいずれにも、汚れ像が含まれていたとする。しかし、時刻t10〜時刻t20の期間は予め定められた時間長さより短い期間であるので、画像選択部330は、時刻t10と同様、G成分画像620bを、合成の重みづけを他の画像より低くすべき画像として選択する。このため、画像合成部340は、時刻t10で得られた画像に対する重みづけと同様の重みづけで合成することにより、G成分出力画像625を生成する。
【0061】
G成分出力画像615の画像領域617、および、G成分出力画像625の画像領域627には、第1レンズ110bの汚れの影響を多少含む。しかしながら、第1撮像系101aおよび第1撮像系101cで得られた2つの画像には汚れの影響が含まれておらず、かつ、第2撮像系102bが撮像した画像は小さい重みづけで合成処理される。このため、G成分出力画像615および625における汚れの影響は、単眼で撮像した場合と比較すれば極めて小さい。
【0062】
次に、第1撮像系101a〜cは、時刻t20から予め定められた期間が経過した時刻t30で撮像して、G成分画像630a〜cを生成する。G成分画像630bには、第1レンズ110に付着した汚れの像である汚れ像632が含まれる。ここで、時刻t10〜時刻t30の期間は、予め定められた時間長さより長い期間とする。この場合、他の画像との間に差が生じた状態が予め定められた時間長さより長い期間にわたって継続したことになるので、画像選択部330は、G成分画像630bの汚れ像632の画像領域を、合成から除外すべき画像として選択する。つまり、画像合成部340は、汚れ像622以外の画像領域については、各画像の重みづけを予め定められた等しい値に設定する。一方、画像合成部340は、汚れ像632の画像領域については、G成分画像610bの重みづけを0とする。これにより、汚れ像632に対応する画像領域でも、第1レンズ110bの汚れの影響を含まないG成分出力画像635を生成することができる。
【0063】
このように、3以上の第1撮像系101は、それぞれ時間的に連続して撮像する。そして、画像選択部330は、同一の撮像系が連続して撮像した複数の画像のそれぞれにおいて、他の複数の画像との差が予め定められた値より大きい場合に、当該撮像系が連続して撮像した複数の画像を選択する。そして、画像合成部340は、3以上の第1撮像系101により撮像された3以上の画像のうち、画像選択部330が選択した画像を除く複数の画像を合成して、出力画像を生成する。
【0064】
このように、撮像装置100は、他の画像との間に差が生じた状態が予め定められた期間にわたって継続したことを条件として、他の画像との間で差が生じたG成分画像を、合成処理から除外することができる。このため、汚れ等の影響ではない一時的な画素変動によって、合成処理から除外される画像が頻繁に切り替わってしまうことを未然に防ぐことができる。また、撮像装置100は、他の画像との間に差が生じた状態が予め定められた時間長さに達するまでは、重みづけを低減させる。このため、第1レンズ110bに本当に汚れ等が付着した場合であっても、汚れの影響がG成分出力画像に顕著に表れてしまうことを未然に防ぐことができる。また、汚れの影響がいきなりなくなってしまうことがないので、比較的に見易いG成分出力画像を提供することができる。
【0065】
図7は、画像信号生成部170における処理フローの一例を示す。S710において、位置補正部320は、第1撮像系101a〜cが撮像したG成分画像のうち、対応点が明確なG成分画像の組を選択する。例えば図4において、画像領域402bには汚れ像が含まれるが、画像領域402aおよび画像領域402cには汚れ像は含まれていないので、画像領域402aおよび画像領域402cの対応点は明確であるといえる。対応点が明確であるか否かは、画素値の差に基づいて特定してよい。また、位置補正部320は、任意の組のG成分画像の間で対応点マッチングを行い、最も小さい誤差が得られたG成分画像の組を、対応点が明確なG成分画像の組として選択してもよい。
【0066】
S712において位置補正部320は、S710で選択したG成分画像の組から検出した対応点を揃えることにより、被写体像の位置合わせを施す。また、S710で選択されなかったG成分画像についても、S710で選択したG成分画像の組から検出した対応点の位置の差と、第1レンズ110の間の光軸位置の差とに基づいて、他のG成分画像と被写体像の位置合わせをすることができる。S710では対応点が明確なG成分画像の組から対応点マッチングをするので、1つの第1レンズ110に汚れが付着していた場合でも、高い精度で対応点を検出することができる。
【0067】
S714において画像選択部330は、第1撮像系101が撮像した複数のG成分画像を比較する。画像選択部330は、図5等に関連して説明した処理によりG成分画像を比較することができる。S716において、画像選択部330は、予め定められた値以上の画像差があるか否かを判断する。なお、S716では、予め定められた値以上の画像差があるか否かを、画像領域毎に判断する。本図のS716からS740の処理は、特に言及しないが画像領域毎にそれぞれ行うとする。
【0068】
S716において予め定められた値以上の画像差がないと判断された場合、画像選択部330は、合成処理から除外すべきG成分画像がない旨を、画像合成部340に通知する。そして、S730において、画像合成部340は、十分な明るさで撮像されているか否かを判断すべく、第1撮像系101a〜cが撮像したG成分画像の中に、予め定められた輝度値よりも高い輝度値を持つG成分画像が存在するか否かを判断する。
【0069】
予め定められた輝度値よりも高い輝度値を持つG成分画像が存在する場合、画像合成部340は、G成分出力画像として、第1撮像系101a〜cのいずれか1つの撮像系が撮像したG成分画像を選択する(S732)。そして、S740において、S732で選択したG成分画像を、第2撮像系102が撮像したR成分画像および第3撮像系103が撮像したB成分画像と色合成し出力画像を生成して、処理を終了する。
【0070】
S730において、予め定められた輝度値よりも高い輝度値を持つG成分画像が存在しない場合、画像合成部340は、第1撮像系101a〜cが撮像したG成分画像を合成して、G成分出力画像を生成する(S734)。そして、画像合成部340は、S740において、S734で生成したG成分出力画像を、第2撮像系102が撮像したR成分画像および第3撮像系103が撮像したB成分画像と色合成処理をして出力画像を生成する。このように、撮像装置100は、十分に明るいG成分画像が得られなかったことを条件として、第1撮像系101a〜cで得られたG成分画像を合成する。十分に明るい画像はSN比が高い画像であるといえるので、合成処理で画質を向上させずとも十分な画質の出力画像を提供することができる場合がある。一方、暗い画像はSN比が低く低画像な画像であるといえる。このため、合成処理によって画質を向上することが期待できる。このように、画像合成部340は、3以上の撮像系で撮像された画像の明るさが予め定められた値以下である場合に、複数の画像を合成する。
【0071】
S716において予め定められた値以上の画像差があると判断された場合、画像選択部330は、図6に関連して説明したように、画像差がある状態が予め定められた時間長さより長い期間にわたって継続したか否かを判断する(S718)。画像差がある状態が予め定められた時間長さより長い期間にわたって継続していない場合、画像選択部330は、G成分画像に対する重みづけを決定する。重みづけの大きさは、図6に関連して説明したように予め定められた値であってよい。画像選択部330は、画像差がある状態が継続した時間が長いほど、より小さい重みづけを決定してよい。画像選択部330は、画像差がある旨が判断されたG成分画像および重みづけを特定する情報を、画像合成部340に供給する。
【0072】
S730およびS732の処理は、S730での判断対象となるG成分画像、および、S732での選択対象となるG成分画像が、画像選択部330から供給された情報が示すG成分画像以外のG成分画像であることを除き、上述した処理と同様である。このように、画像合成部340は、画像選択部330が選択した画像を除く複数の画像の少なくとも一方を出力画像として出力する。また、S734での処理は、S720で決定された重みづけで合成する点を除き、上述した合成処理と同様である。また、S740での色合成処理は、上述したようにS732でG成分出力画像として選択されたG成分画像、または、S734で生成されたG成分出力画像を、第2撮像系102および第3撮像系103が撮像したR成分画像およびB成分画像と色合成する処理となる。
【0073】
S718に戻って、画像差がある状態が予め定められた時間長さより長い期間にわたって継続している場合、画像選択部330は、合成処理に使用できるG成分画像として、画像差がある旨が判断されたG成分画像を除く画像を選択する。すなわち、画像選択部330は、画像差がある旨が判断されたG成分画像を特定する情報を、画像合成部340に供給する。S730以後の処理は、画像差がある旨が判断されたG成分画像に対して重みづけを0にした場合の処理と事実上等価であるので、説明を省略する。このように、画像合成部340は、3以上の撮像系で撮像された画像の明るさが予め定められた値以下である場合に、画像選択部330が選択した画像を除く複数の画像を合成する。
【0074】
図8は、画像合成部340における合成処理の一例を模式的に示す。第1撮像系101aと第1撮像系101cとの間の視差および被写体までの距離に応じて、両撮像系が互いに異なる点をサンプリングすることになる場合がある。本図では、第1撮像系101aが撮像したG成分画像900aを形成する画素と、第1撮像系101cが撮像したG成分画像900cを形成する画素との間の位置関係を示す。G成分画像900aの画素は黒丸で示すように格子の交点に位置しているとする。本図では、白丸で示したG成分画像900cの画素上に、当該格子を重畳することで、G成分画像900aとG成分画像900cとの間の画素の対応関係を示す。
【0075】
ここでは分かり易さを目的として、第1撮像系101aと第1撮像系101cとの間の視差によって、G成分画像900cの画素が、G成分画像900aの画素からx方向に半画素分ずれた点の画素に対応する場合を例示した。例えば、画素901cは、画素901aと画素902aとの中点の画素値を表す。また、画素903cは、画素903aおよび画素904aの中点の画素値を表す。視差による対応点のズレ幅が、画素間隔の(N+1/2)倍に一致した場合に、本図の例の状態となる(Nは整数とする)。
【0076】
視差ズレが図示した状態にある場合、画像合成部340は、G成分画像900aとG成分画像900cとを単に重ね合わせることで、G成分出力画像910を生成することができる。G成分出力画像910は、x方向に画素901a、画素901c、画素902a、画素902c・・・の順で並ぶ画素で形成される。このため、x方向の解像度が2倍のG成分出力画像910を生成することができる。
【0077】
本重ね合わせよっても、y方向の画素ピッチは、G成分画像900aおよびG成分画像900cと変わらない。しかしながら、画像合成部340は、周辺画素の画素値を用いてy方向の中間位置の画素値を算出することで、y方向の解像度を高めることができる。例えば、画像合成部340は、画素901c、画素902a、画素902c、画素903c、画素904aおよび画素904cの画素値を用いて、画素911の画素値を算出する。例えば、画像合成部340は、画素901c、画素902a、画素902c、画素903c、画素904aおよび画素904cの画素値を、それぞれ補間係数に基づく予め定められた係数値で加重加算することによって、画素911の画素値を算出することができる。このように、画像合成部340は、周辺画素の画素値を補間演算することで、y方向の解像度を高めることができる。
【0078】
本図の例では、x方向にズレた位置の画素値をG成分画像900cが提供することができる。このため、画素902aおよび画素904aの画素値を用いて画素911の画素値を補間演算する場合よりも、追加で画素901〜904cの画素値を用いることができる。このため、画素911の画素値をより高精度で算出することができ、y方向についても実質的に解像度を高めることができる。
【0079】
図9は、画像合成部340における合成処理の他の一例を模式的に示す。本図では、G成分画像900cの画素が、G成分画像900aと全く同じ点の画素を表す場合を示した。視差による対応点のズレ幅が画素間隔の整数倍に一致した場合に、本図の例の状態となる。本図で例示する状態の場合、画像合成部340は、G成分画像900aとG成分画像900aとを、対応する画素の画素値を足し合わせることで、G成分出力画像910の画素値を算出する。具体的には、画像合成部340は、画素901aの画素値と画素901cの画素値を足し合わせることで、画素911の画素値を算出する。
【0080】
G成分画像900aおよびG成分画像900cの画素値を足し合わせることで、例えばランダムノイズを統計的に低減することができる。このため、G成分出力画像910のSN比を直接的に高めることができる。
【0081】
図8および図9では、視差により生じる対応点の位置ズレ量が画素間隔の1/2の整数倍となった場合を例に挙げて、合成処理による画質向上効果を説明した。対応点の位置ズレ量が画素間隔の1/2の整数倍でない場合であっても、補間演算で中間点の画素値を高精度に算出できる。このため、解像度を実質的に高めることができる。また、補間演算する場合でも、複数の画素値を加算することになるので、ランダムノイズを低減することができる。以上は2つの画像を合成することによる画質向上効果を説明したが、3以上の画像を合成する場合も同様である。
【0082】
なお、対応点の位置ズレ量は、例えば対応点マッチングで算出することができる。対応点マッチングでは、画像をサブピクセル単位でずらしていき、複数の画素にわたる誤差の合計値が最小となるズレ量を位置ズレ量として決定することで、位置ズレ量をサブピクセル精度で算出することができる。また、対応点の位置ズレ量は、測距情報および光軸位置の違いから算出することができる。この場合でも、測距精度を十分に高めることで、位置ズレ量をサブピクセル精度で算出することができる。
【0083】
図10は、撮像装置100が備えるレンズ部の他の一例を模式的に示す。本例におけるレンズ部は、第1レンズ110a〜c、第2レンズ120に対応する第2レンズ120a、第3レンズ130に対応する第3レンズ130aに加えて、第2レンズ120bおよび第2レンズ120c、第3レンズ130bおよび第3レンズ130cを備える。第2レンズ120b、第2レンズ120c、第3レンズ130b、および、第3レンズ130cは、それぞれ異なる撮像系のレンズとして機能する。すなわち、本例のレンズ部を備える撮像装置100は、9の撮像系を備える。
【0084】
各レンズの中央部分に、それぞれの撮像系が撮像に利用する光の波長域をR、G、Bで示したとおり、第2レンズ120bおよび第2レンズ120cは、R光で被写体を撮像する撮像系のレンズであり、第3レンズ130bおよび第3レンズ130cは、B光で被写体を撮像する撮像系のレンズである。すなわち、本例に係る撮像装置100は、G光で被写体を撮像する3の第1撮像系101と、R光で被写体を撮像する3の第2撮像系102と、B光で被写体を撮像する3の第3撮像系103とを有する撮像部160を備える。
【0085】
図1から図9にかけて、画像選択部330および画像合成部340が、第1撮像系101が撮像したG成分画像に対して画像の選択処理および合成処理を説明した。本例に係る構成でば、画像選択部330および画像合成部340は、第1撮像系101が撮像した3のG成分画像だけでなく、第2撮像系102が撮像した3のR成分画像、および、第3撮像系103が撮像した3のB成分画像に対しても、上述の選択処理および合成処理を適用することができる。このため、G成分画像だけでなく、R成分画像およびB成分画像についても、汚れの影響が混入することを防ぎつつ、出力画像の画質を高めることができる。
【0086】
撮像装置100が備える第1撮像系101、第2撮像系102および第3撮像系103の数は、3に限定されない。すなわち、撮像装置100は、第1波長域の光で被写体を撮像する3以上の第1撮像系101と、第2波長域の光で被写体を撮像する3以上の第2撮像系102と、第3波長域の光で被写体を撮像する3以上の第3撮像系103と有する撮像部160を備える構成を採用することができる。この場合、画像選択部330は、撮像部160が有する同一の波長域の光で被写体を撮像する3以上の撮像系毎に、少なくとも一つの画像を選択する。そして、画像合成部340は、撮像部160が有する同一の波長域の光で被写体を撮像する3以上の撮像系毎に、画像選択部330が選択した画像を除く複数の画像を合成することにより、第1波長域、第2波長域および第3波長域のそれぞれの光による3の出力画像を生成する。
【0087】
以上に説明した撮像装置100では、各撮像系は特定の波長域の光で被写体を撮像するとしたが、各撮像系は、複数の波長域の光で撮像してもよい。例えば、3以上の第1撮像系101のうちの少なくとも1つの第1撮像系101が、R光、G光およびB光で被写体を撮像するとしてよい。この場合でも、3以上の第1撮像系101が、特定の波長域の光で被写体を撮像することになるので、以上に説明した撮像装置100と同様の効果を奏することができる。
【0088】
各撮像系は、撮像に利用する光の波長域を除き、撮像特性が同一であってよい。例えば、各撮像系の光学系は、結像特性が同一であってよい。より具体的には、各撮像系が備えるレンズの結像特性が同一であってよい。同一波長域の光で撮像する3以上の撮像系が、それぞれ互いに異なる撮像特性を有する構成を採用してもよい。例えば、当該3以上の撮像系は、それぞれ互いに異なる光学特性を有する光学系をそれぞれ有してよい。当該3以上の撮像系は、それぞれ互いに異なる結像特性を有するレンズを有してよい。レンズの結像特性としは、レンズのF値、倍率、焦点深度等を例示することができる。他にも、同一波長域の光で撮像する3以上の撮像系は、互いに受光特性が異なる受光部を有してよい。3以上の撮像系は、それぞれ互いに異なるピッチで受光素子が配列された受光部を有してよい。
【0089】
図8および9において具体的に説明したように、3以上の撮像系が同一の撮像特性を有する場合でも、合成処理により画質を高めることができる。3以上の撮像系が異なる撮像特性を有する構成においても、撮像された画像を合成することで、出力画像の画質を高めることができる。例えば、第1レンズ110cが第1レンズ110aよりも高倍率のレンズである場合、G成分出力画像は、G成分画像900cが持つ高周波成分を含むことができる。また、第1レンズ110cが第1レンズ110aよりも明るいレンズである場合、第1レンズ110cで得られた画像の画素値から、暗い画像領域の画素値を高精度に算出することができる。このため、ダイナミックレンジの広いG成分出力画像を生成することができる。
【0090】
なお、以上に説明した撮像装置100の各部の機能は、コンピュータおよびプログラムによって実現することができる。例えば、コンピュータが備えるプロセッサが、プログラムによって提供される命令に従って動作し周辺デバイスを制御することで、コンピュータは、撮像装置100の画像信号生成部170の各部および記録部180として機能することができる。当該プログラムは、CD−ROM、半導体メモリ、ハードディスク等の記録媒体に記録されてよい。コンピュータに、当該記録媒体に記録されたプログラムを読み込ませることで、コンピュータにプログラムを提供することができる。
【0091】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0092】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0093】
100 撮像装置
101 第1撮像系
102 第2撮像系
103 第3撮像系
110 第1レンズ
112 第1絞り部
115 第1光学系
116 第1カラーフィルタアレイ
118 第1受光素子アレイ
119 第1受光部
120 第2レンズ
122 第2絞り部
125 第2光学系
126 第2カラーフィルタアレイ
128 第2受光素子アレイ
129 第2受光部
130 第3レンズ
132 第3絞り部
135 第3光学系
136 第3カラーフィルタアレイ
138 第3受光素子アレイ
139 第3受光部
160 撮像部
170 画像信号生成部
180 記録部
200 レンズ鏡筒
309 受光部
310 読み出し部
320 位置補正部
330 画像選択部
340 画像合成部
400 G成分画像
402 画像領域
410 G成分出力画像
412 画像領域
600、610、620、630 G成分画像
612、622、632 汚れ像
605、615、625、635 G成分出力画像
617、627 画像領域
900 G成分画像
901、902、903、904 画素
910 G成分出力画像
911 画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに撮像光軸の位置が異なり、それぞれ少なくとも第1波長域の光で被写体を撮像する3以上の撮像系を有する撮像部と、
前記3以上の撮像系により撮像された3以上の画像を比較して、同一被写体が撮像された画像領域で他の複数の画像との差が予め定められた値より大きい少なくとも一つの画像を選択する画像選択部と、
前記3以上の撮像系により撮像された3以上の画像のうち、前記画像選択部が選択した画像を除く複数の画像を、前記画像選択部が選択した画像より大きい重みづけで合成して、出力画像を生成する画像合成部と
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記画像合成部は、前記3以上の撮像系により撮像された3以上の画像のうち、前記画像選択部が選択した画像を除く複数の画像を合成して、前記出力画像を生成する
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記画像選択部は、前記3以上の画像を複数の画像領域毎に比較して、前記少なくとも一つの画像を複数の画像領域毎に選択し、
前記画像合成部は、前記画像選択部が選択した画像を除く複数の画像を、前記複数の画像領域毎に合成して、前記出力画像を生成する
請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像部は、前記第1波長域とは異なる波長域の光で被写体を撮像する撮像系をさらに有する
請求項1から3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1波長域は、Gの波長域であり、
前記撮像部は、Rの波長域の光で被写体を撮像する撮像系、および、Bの波長域の光で被写体を撮像する撮像系を有する
請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記撮像部は、
前記第1波長域の光で被写体を撮像する3以上の第1撮像系と、
第2波長域の光で被写体を撮像する3以上の第2撮像系と、
第3波長域の光で被写体を撮像する3以上の第3撮像系と
を有し、
前記画像選択部は、前記撮像部が有する同一の波長域の光で被写体を撮像する3以上の撮像系毎に、前記少なくとも一つの画像を選択し、
前記画像合成部は、前記撮像部が有する同一の波長域の光で被写体を撮像する3以上の撮像系毎に、前記画像選択部が選択した画像を除く複数の画像を合成することにより、前記第1波長域、前記第2波長域および前記第3波長域のそれぞれの光による3の出力画像を生成する
請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記3以上の撮像系は、それぞれ時間的に連続して撮像し、
前記画像選択部は、同一の撮像系が連続して撮像した複数の画像のそれぞれにおいて、前記他の複数の画像との差が予め定められた値より大きい場合に、当該撮像系が連続して撮像した複数の画像を選択する
請求項1から6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記3以上の撮像系は、それぞれ互いに異なる結像特性を有する光学系をそれぞれ有する
請求項1から7のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記画像合成部は、前記3以上の撮像系で撮像された画像の明るさが予め定められた値以下である場合に、前記画像選択部が選択した画像を除く複数の画像を合成する
請求項1から8のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記撮像部は、同一基板上に形成された複数の受光素子を有し、
前記撮像部が有する撮像系は、前記基板上の対応する領域に形成された複数の受光素子で前記被写体を撮像する
請求項1から9のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記3以上の撮像系がそれぞれ撮像した3以上の画像に対して被写体像の位置合わせをする補正を施す位置補正部
をさらに備え、
前記画像選択部は、前記位置補正部により補正された3以上の画像を比較して、前記少なくとも一つの画像を選択し、
前記画像合成部は、前記位置補正部により補正された3以上の画像のうち、前記画像選択部が選択した画像を除く複数の画像を合成して、前記出力画像を生成する
請求項1から10のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項12】
互いに撮像光軸の位置が異なり、それぞれ少なくとも第1波長域の光で被写体を撮像する3以上の撮像系を有する撮像部で撮像する段階と、
前記3以上の撮像系により撮像された3以上の画像を比較して、同一被写体が撮像された画像領域で他の複数の画像との差が予め定められた値より大きい少なくとも一つの画像を選択する画像選択段階と、
前記3以上の撮像系により撮像された3以上の画像のうち、前記画像選択段階において選択された画像を除く複数の画像を、前記画像選択段階において選択された画像より大きい重みづけで合成して、出力画像を生成する画像合成段階と
を備える撮像方法。
【請求項13】
撮像装置用のプログラムであって、コンピュータを、
互いに撮像光軸の位置が異なり、それぞれ少なくとも第1波長域の光で被写体を撮像する3以上の撮像系を有する撮像部の撮像を制御する撮像制御部、
前記3以上の撮像系により撮像された3以上の画像を比較して、同一被写体が撮像された画像領域で他の複数の画像との差が予め定められた値より大きい少なくとも一つの画像を選択する画像選択部、
前記3以上の撮像系により撮像された3以上の画像のうち、前記画像選択部が選択した画像を除く複数の画像を、前記画像選択部が選択した画像より大きい重みづけで合成して、出力画像を生成する画像合成部
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−65093(P2012−65093A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206736(P2010−206736)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】