説明

撮像装置、画像処理装置、方法およびプログラム

【課題】人物の顔領域と服領域とがともに高画質な画像を自動的に撮像する。
【解決手段】撮像条件を変化させた連続的な撮像動作が行われて、複数の撮像画像データ15aが得られた後、顔領域抽出部31は、一つの撮像画像データ15aから人物の顔を検出してその顔領域を検出し、服領域抽出部32は、検出された顔に対応する服領域を検出する。顔領域用画像選択部33および服領域用画像選択部34は、複数の撮像画像データ15aを基に、検出された顔領域および服領域を解析し、各領域における画質がそれぞれ最も適正な画像データを複数の撮像画像データ15aから一つずつ選択する。画像合成部35は、複数の撮像画像データ15aのうち一つの画像データにおける顔領域および服領域のデータを、顔領域用画像選択部33および服領域用画像選択部34によってそれぞれ選択された画像データで置換して合成画像データを生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、画像処理装置、方法およびプログラムに関し、特に、顔検出機能を備えた撮像装置、画像処理装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラなどのデジタル方式の撮像装置では、撮影シーンに応じて露出設定などを最適化するモード選択機能を備えているものが多い。このような撮影シーンとしては、例えば被写体として風景、人物、スポーツ、夜景、集合写真などを撮影する場合などが考えられる。その中でも、特に人物の顔の画質を高めることが重要視されている。
【0003】
一方、最近では、入力画像からデジタル画像処理によって人物の顔を検出する技術が急速に発達しており、このような顔検出技術を用いて、撮像された画像の画質を高めることが考えられている。そのような技術の代表例として、撮像した画像から顔を検出し、顔の有無やその面積を基にシーンを判別して、シーンに応じて階調や彩度を補正する画像処理装置があった(例えば、特許文献1参照)。また、顔の判別精度を向上させるために、入力画像から肌色領域を抽出し、その肌色領域に基づいて、頭頂部、目、口などの顔の特徴点の位置を検出して、その検出結果から肌色領域が顔か否かを判定するようにした画像処理装置もあった(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−173932号公報(段落番号〔0034〕〜〔0041〕、図1)
【特許文献2】特開2004−5384号公報(段落番号〔0051〕、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般的に、人物を撮像する代表的なシーンとしては、結婚式、入学式などの各種の祝い事や儀式などが考えられ、これらのシーンでは顔だけでなく、衣服の画質についても重要視される。しかし、上記の特許文献に記載された技術は、人物の顔を検出し、その顔の領域の画質を最適化するものであり、それ以外の画像領域の画質については考慮されていない。このため、顔の領域が最適な階調や彩度とされても、衣服の領域が白飛び状態となったり、黒く潰れた状態となるなど、衣服の画質が低くなる場合があることが問題となっていた。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、画像内の人物の顔の領域と衣服の領域とをともに高画質化できるようにした撮像装置、画像処理装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では上記課題を解決するために、固体撮像素子により画像を撮像する撮像装置において、撮像条件を変化させて撮像動作を連続的に実行させる連続撮像制御部と、前記連続撮像制御部の制御による撮像動作によって得られた複数の画像データのうち一つの画像データから、人物の顔を検出してその顔領域を検出する顔領域検出部と、前記顔領域検出部によって顔が検出された画像データから、検出された顔に対応する服領域を検出する服領域検出部と、前記複数の画像データを基に、検出された前記顔領域および前記服領域を解析し、前記顔領域および前記服領域における画質がそれぞれ最も適正な画像データを前記複数の画像データから一つずつ選択する画像選択部と、前記複数の画像データのうち一つの画像データにおける前記顔領域および前記服領域のデータを、前記画像選択部によってそれぞれ選択された画像データで置換して合成画像データを生成する画像合成部とを有することを特徴とする撮像装置が提供される。
【0007】
このような撮像装置では、連続撮像制御部の制御により、撮像条件を変化させた連続的な撮像動作が行われ、これにより複数の画像データが得られる。顔領域検出部は、得られた複数の画像データのうちの一つから、人物の顔を検出してその顔領域を検出し、服領域検出部は、同じ画像データを基に、検出された顔に対応する服領域を検出する。画像選択部は、上記の複数の画像データを基に、検出された顔領域および服領域を解析し、各領域における画質がそれぞれ最も適正な画像データを複数の画像データから一つずつ選択する。画像合成部は、複数の画像データのうち一つの画像データにおける顔領域および服領域のデータを、画像選択部によってそれぞれ選択された画像データで置換して合成画像データを生成する。
【0008】
また、本発明では、固体撮像素子により画像を撮像する撮像装置において、1回の撮像動作により得られた画像データから、人物の顔を検出してその顔領域を検出する顔領域検出部と、前記顔領域検出部によって顔が検出された画像データから、検出された顔に対応する服領域を検出する服領域検出部と、前記顔領域検出部によって顔が検出された画像データを解析して、検出された前記顔領域および前記服領域の画質がそれぞれ適正となるような顔領域用撮像条件および服領域用撮像条件を決定する撮像条件決定部と、決定された前記顔領域用撮像条件および前記服領域用撮像条件と、画像全体の画質が適正となるような通常撮像条件とをそれぞれ適用して、連続的な撮像動作を実行させる連続撮像制御部と、前記通常撮像条件を適用して得られた画像データにおける前記顔領域および前記服領域のデータを、前記顔領域用撮像条件および前記服領域用撮像条件を適用してそれぞれ得られた画像データで置換して合成画像データを生成する画像合成部とを有することを特徴とする撮像装置が提供される。
【0009】
このような撮像装置では、まず、1回の撮像動作により得られた画像データから、顔領域検出部によって顔領域が検出され、さらに、服領域検出部によってその顔に対応する服領域が検出される。そして、撮像条件決定部により、その画像データが解析されて、顔領域および服領域の画質がそれぞれ適正となるような顔領域用撮像条件および服領域用撮像条件が決定される。次に、連続撮像制御部の制御により、顔領域用撮像条件および服領域用撮像条件と、画像全体の画質が適正となるような通常撮像条件とがそれぞれ適用されて、連続的な撮像動作が実行され、これにより複数の画像データが得られる。画像合成部は、通常撮像条件を適用して得られた画像データにおける顔領域および服領域のデータを、顔領域用撮像条件および服領域用撮像条件を適用してそれぞれ得られた画像データで置換して、合成画像データを生成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の撮像装置によれば、連続的に撮像されて得られた画像データから、顔領域および服領域の画質がそれぞれ最も適正なものが選択され、それらの画像データが顔領域および服領域に合成された合成画像データが生成されることにより、顔領域および服領域の両方が高画質な画像を自動的に撮像できるようになる。
【0011】
また、本発明の撮像装置によれば、1回の撮像動作により得られた画像データから顔が検出されると、その顔領域と対応する服領域とが検出され、各領域の画質がそれぞれ適正となるような撮像条件で連続的な撮像動作が実行され、得られた複数の画像データを用いて、顔領域および服領域がそれぞれ適正化された画像データを対応する領域に合成した合成画像データが生成される。これにより、顔領域および服領域の両方が高画質な画像を自動的に撮像できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る撮像装置の要部構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示す撮像装置は、デジタルスチルカメラあるいはデジタルビデオカメラなどとして実現されるものである。この撮像装置は、光学ブロック11、ドライバ11a、撮像素子12、タイミングジェネレータ(TG)12a、アナログフロントエンド(AFE)回路13、カメラ信号処理回路14、画像メモリ15、画像エンコーダ16、記録装置17、グラフィック処理回路18、ディスプレイ19、システムコントローラ20、および入力部21を具備する。
【0014】
光学ブロック11は、被写体からの光を撮像素子12に集光するためのレンズ、レンズを移動させてフォーカス合わせやズーミングを行うための駆動機構、シャッタ機構、アイリス機構などを具備している。ドライバ11aは、システムコントローラ20からの制御信号に基づいて、光学ブロック11内の各機構の駆動を制御する。
【0015】
撮像素子12は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)型、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型などの固体撮像素子であり、TG12aから出力されるタイミング信号に基づいて駆動され、被写体からの入射光を電気信号に変換する。TG12aは、システムコントローラ20の制御の下でタイミング信号を出力する。
【0016】
AFE回路13は、撮像素子12から出力された画像信号に対して、CDS(Correlated Double Sampling)処理によりS/N(Signal/Noise)比を良好に保つようにサンプルホールドを行い、さらにAGC(Auto Gain Control)処理により利得を制御し、A/D変換を行ってデジタル画像データを出力する。
【0017】
カメラ信号処理回路14は、AFE回路13からの画像データに対して、AF(Auto Focus)、AE(Auto Exposure)、各種画質補正処理のための検波処理や、検波情報を基にシステムコントローラ20から出力される信号に応じた画質補正処理を施す。なお、後述するように、本実施の形態では、このカメラ信号処理回路14は、顔や衣服の領域を検出する機能やその領域の明るさなどを解析する機能、複数の画像データを合成する機能などを備えている。
【0018】
画像メモリ15は、例えばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)などからなり、カメラ信号処理回路14で処理される画像データを一時的に格納する。
画像エンコーダ16は、カメラ信号処理回路14から出力された画像データを圧縮符号化し、符号化データを記録装置17に出力する。具体的には、カメラ信号処理回路14で処理された1フレーム分の画像データを、JPEG(Joint Photographic Experts Group)などの符号化方式に従って圧縮符号化し、静止画像の符号化データを出力する。なお、静止画像だけでなく、動画像のデータを圧縮符号化できるようにしてもよい。
【0019】
記録装置17は、画像エンコーダ16からの符号化データを画像ファイルとして記録する装置であり、例えば、磁気テープ、光ディスクなどの可搬型記録媒体のドライブ装置、あるいはHDD(Hard Disk Drive)などとして実現される。
【0020】
グラフィック処理回路18は、カメラ信号処理回路14から出力された画像データを、ディスプレイ19に表示するための信号に変換し、ディスプレイ19に供給する。ディスプレイ19は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などからなり、グラフィック処理回路18からの画像信号を基に画像を表示する。
【0021】
システムコントローラ20は、CPU(Central Processing Unit)や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などのメモリを備えるマイクロコンピュータとして構成され、メモリに格納されたプログラムを実行することで、この撮像装置を統括的に制御する。
【0022】
入力部21は、各種の入力スイッチを備え、これらの入力スイッチに対するユーザによる操作入力に応じた制御信号を、システムコントローラ20に出力する。
図2は、この撮像装置の外観を示す斜視図であり、(A)は撮像装置を前面から見たときの図、(B)は背面から見たときの図である。
【0023】
この図2に示すように、撮像装置の前面には光学レンズ11bが設けられ、例えば上面には、シャッタ操作を行うためのシャッタレリーズボタン21aと、電源のオン/オフ操作を行うための電源ボタン21bが設けられている。また、撮像装置の背面には、撮像画像のモニタ用のディスプレイ19が設けられ、その横には、各種設定操作のための複数の操作キーからなる操作パネル21cが設けられている。
【0024】
以上の撮像装置では、撮像素子12によって受光されて光電変換された信号が、順次AFE回路13に供給され、CDS処理やAGC処理が施された後、デジタル画像データに変換される。カメラ信号処理回路14は、AFE回路13から供給された画像データを画質補正処理し、処理後の画像データはグラフィック処理回路18に供給されて表示用の画像信号に変換される。これによりディスプレイ19には、現在撮像中の画像(カメラスルー画像)が表示され、撮影者はこの画像を視認して画角を確認できるようになる。
【0025】
また、この状態から、シャッタレリーズボタン21aが押下されることなどにより、システムコントローラ20に対して画像の記録が指示されると、カメラ信号処理回路14からの画像データは画像エンコーダ16に供給され、圧縮符号化処理が施されて、記録装置17に記録される。静止画像の記録の際には、カメラ信号処理回路14からは1フレーム分の画像データが画像エンコーダ16にも供給され、動画像の記録の際には、処理された画像データが画像エンコーダ16に連続的に供給される。
【0026】
次に、この撮像装置において静止画像を撮像する際に、顔および衣服をともに良好な画質にすることが可能な撮像モードについて説明する。以下、この撮像モードを「人物撮像モード」と呼ぶことにする。
【0027】
図3は、人物撮像モードを実現するために撮像装置に設けられた機能を示すブロック図である。
本実施の形態に係る撮像装置は、人物撮像モードの実現のために、顔領域抽出部31、服領域抽出部32、顔領域用画像選択部33、服領域用画像選択部34、画像合成部35、および複数画像撮像制御部36を備えている。また、画像メモリ15には、後述する複数回露光動作によって連続的に得られた複数フレーム分の撮像画像データ15aが、一時的に記憶される。
【0028】
顔領域抽出部31は、画像メモリ15内の1フレーム分の撮像画像データ15aを基に、その画像内に存在する人物の顔を検出して、顔領域の位置や顔の向きなどを示す顔検出情報を生成する。
【0029】
服領域抽出部32は、顔領域抽出部31によって生成された顔検出情報と、画像メモリ15内の1フレーム分の撮像画像データ15aとを基に、検出された顔に対応する衣服の領域を抽出し、その領域の位置を示す服領域情報を生成する。
【0030】
顔領域用画像選択部33は、画像メモリ15内の複数フレーム分の撮像画像データ15aを用いて、顔領域抽出部31からの顔検出情報に基づく顔領域をフレームごとに解析し、その解析結果を基に、画像合成部35において顔領域に合成するのに最適な画像を選択して、その選択情報を顔領域の位置を示す顔領域情報とともに出力する。
【0031】
服領域用画像選択部34は、画像メモリ15内の複数フレーム分の撮像画像データ15aを用いて、服領域抽出部32からの服領域情報に基づく服領域をフレームごとに解析し、その解析結果を基に、画像合成部35において服領域に合成するのに最適な画像を選択して、その選択情報を服領域情報とともに出力する。
【0032】
画像合成部35は、顔領域用画像選択部33および服領域用画像選択部34からの各制御情報に基づき、画像メモリ15内の複数フレーム分の撮像画像データ15aのうちのいずれかを画素ごとに選択して合成し、顔領域および服領域の画質がともに最適化された画像データを生成する。
【0033】
複数画像撮像制御部36は、複数の画像を連続的に高速に撮像する、いわゆるブラケット撮像を行うための制御機能であり、複数の画像のそれぞれを撮像する際の露出制御値などの撮像条件を演算して、ドライバ11aやTG12aに対して制御信号を出力し、撮像動作を実行させる。
【0034】
以上の各機能ブロックによる動作を簡単に説明すると、まず、複数画像撮像制御部36による制御によって、露出制御値などの撮像条件が異なる複数回の露光動作が実行され、各露光動作によって得られた撮像画像データ15aが画像メモリ15に一旦格納される。次に、これらの撮像画像データ15aのうち一つを基に、顔領域抽出部31および服領域抽出部32がそれぞれ顔領域および服領域の抽出を行う。
【0035】
次に、それらの抽出結果に基づいて、顔領域用画像選択部33および服領域用画像選択部34によって、複数の撮像画像データ15aにおける顔領域および服領域の解析がそれぞれ行われ、それらの解析結果を基に、顔領域および服領域の画質がそれぞれ最適な画像データが選択される。そして、それらの選択情報と合成位置とが画像合成部35に指示される。これにより、画像合成部35では、画像メモリ15内の複数の撮像画像データ15aが画素ごとに適宜選択されて合成され、顔および衣服の画質がともに最適化された1フレーム分の画像データが生成される。
【0036】
なお、以上の顔領域抽出部31、服領域抽出部32、顔領域用画像選択部33、服領域用画像選択部34、画像合成部35、および複数画像撮像制御部36の機能は、例えば、システムコントローラ20によるソフトウェア処理によって実現される。しかし、例えば、顔領域抽出部31、服領域抽出部32、顔領域用画像選択部33、および服領域用画像選択部34が備える輝度情報、色相情報などの検波機能やそれらのヒストグラム検出機能など、上記機能の一部またはすべてを、カメラ信号処理回路14内のハードウェアとして実現してもよい。
【0037】
図4は、第1の実施の形態での人物撮像モードにおける撮像装置内の処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートを用いて、上記各機能ブロックの処理についてより詳しく説明する。
【0038】
〔ステップS1〕ユーザによりシャッタレリーズボタン21aに対する全押し操作が行われると、複数画像撮像制御部36の制御の下で、撮像条件をそれぞれ変えて複数回の露光動作が実行される。各露光動作によって得られた撮像画像データ15aは、画像メモリ15に一時的に格納される。
【0039】
より具体的には、例えば、複数画像撮像制御部36はまず、1フレーム分の撮像画像データからの輝度の検波情報を取得し、その検波情報を基に、従来の一般的なAE制御手法に従って画像全体で好適な露出となるような露出制御値を算出する。そして、この露出制御値を中心として、その上下方向にそれぞれ1段または数段分シフトさせた露出制御値を算出して、これらのすべての露出制御値をそれぞれ用いて連続的な露光動作を実行させる。
【0040】
なお、このステップでの露光動作は3回〜7回程度が適当であり、各露光動作の間隔はできるだけ短くすることが好ましい。このため、例えば、シャッタ速度をできるだけ高速に設定して固定し、アイリスの絞り量のみを変化させることで複数回の露光動作を行うようにする。これによって、得られた各画像間での被写体位置の変化を少なくして、後の画像合成部35での合成処理時の画質劣化を抑制できる。
【0041】
また、撮像間隔を短縮するためには、例えばCMOS型センサなど、画像信号の転送速度が高速な撮像素子12を用いることが望ましい。また、標準のフレームレート(例えば1/30秒)より高速のフレームレート(例えば1/120秒)で撮像できるようなシステム構成であれば、さらに有効である。一例として、撮像素子12において、画素補間などを行うことで有効画素数より低い画素数の画像データを標準より高速なフレームレートで出力するようにし、AFE回路13などの後段回路において処理周波数を高めることなく高速なフレームレートの画像データを処理できるようにする手法が考えられる。
【0042】
なお、複数回の露光動作を行う際には、AE制御手法を用いずに、例えば、その中間的な撮像条件について、あるいはすべての露光動作の撮像条件について、ユーザの操作入力に応じて任意に設定できるようにしてもよい。
【0043】
〔ステップS2〕画像メモリ15内の撮像画像データ15aのうちの一つを基に、顔領域抽出部31によって顔領域の検出が行われる。
ここでは例えば、複数の撮像画像データ15aのうち、中間的な露出条件(例えば通常のAE制御手法による露出条件)で撮像されたものを、背景画像データとして選択する。この背景画像データは、画像合成部35において、顔領域および服領域を除いた背景領域で使用されるデータとなる。顔領域抽出部31は、背景画像データから検波した輝度情報または色差情報、またはそれらの双方を基に、顔領域やその顔の傾きなどを検出する。
【0044】
顔の検出手法としては既知の手法を用いることができるが、例えば、特許3763293号公報に記載された以下のような手法を用いることができる。まず、入力画像データの各画素値を色空間上の座標値に変換し、その座標値のヒストグラムの極大点近傍を含む初期領域を設定する。次に、初期領域を画素の分布状態に応じて複数の領域に分割し、人間の肌の色に対応する領域を抽出する。元の入力画像データと抽出された肌色領域のデータとから、人物の頭頂部、口、目、顔の中心線を検出し、その検出結果を基に顔領域である肌色領域を判別して出力する。
【0045】
顔領域抽出部31は、上記処理により、顔領域の位置情報や、顔の傾き情報などを含む顔検出情報を生成する。この顔検出情報は、図示しないRAMに一時的に記憶される。
〔ステップS3〕顔領域の検出対象と同じ撮像画像データ15a、すなわち上述した背景画像データを基に、服領域抽出部32によって服領域の検出が行われる。
【0046】
ここで、図5は、図4のステップS3における服検出処理の流れを示すフローチャートである。
服領域抽出部32は、まず、顔領域抽出部31により生成された顔検出情報を取得し(ステップS11)、その情報に含まれる顔領域の位置情報や顔の傾き情報を基に、背景画像内の服領域を大まかに推定する(ステップS12)。その後、推定した大まかな服領域、またはその領域を含む領域の画像データを解析して、より正確な服領域を検出する(ステップS13)。
【0047】
図6は、大まかな服領域を推定する手法を説明するための図である。
図5のステップS12では、背景画像において、顔検出情報に基づく顔領域51の下方の一定領域を、大まかな服領域52として設定する。服領域52の形状としては典型的な衣服の形状をあらかじめ規定しておけばよく、図6では例として、服領域52を高さBH、幅BWの矩形領域として規定している。
【0048】
服領域52の具体的な推定手順としては、まず、顔領域51の位置情報に基づき、その顔領域51が収まるような高さFH、幅FWの矩形領域を検出する。次に、服領域52の高さBH、幅BWを、それぞれFH,FWの値に対してあらかじめ決められた倍率で乗算することで決定する。例えば、高さBHをFHの2倍〜3倍程度とし、幅BWをFWの1.5倍〜2倍程度とする。次に、顔検出情報に含まれる顔の傾き情報を基に、顔の矩形領域に対して服領域52を配置する方向を決定し、顔の矩形領域から下方に所定画素分だけ離れた領域に、高さBH、幅BWの服領域52を設定する。このとき、服領域52の位置情報を、例えば、右上の座標Pbと、その座標Pbを基準とした大きさ(BW,BH)として算出する。
【0049】
なお、この撮像装置に重力センサを設けておき、その検出結果を基に服領域52の配置方向を決定してもよい。また、顔領域抽出部31において顔のパーツ(頭頂部、目、鼻、口など)の位置情報が検出されている場合には、その位置情報を基に服領域の配置方向を決定してもよい。また、顔の傾き情報などを基に、例えば、顔の矩形領域に対する服領域52の相対位置を縦横方向にシフトさせたり、服領域52を決定する際の倍率やその形状を変化させてもよい。
【0050】
図7は、正確な服領域を検出する手順を説明するための図である。
図5のステップS13では、背景画像データのうち、ステップS12で求めた大まかな服領域のデータを解析して、服領域と背景領域とのエッジを検出し、服領域の範囲を画素単位で正確に求める。なお、ここでは例として、解析の対象領域をステップS12で求めた服領域に一致させるものとするが、この解析対象領域としては、大まかな服領域をその周囲に所定画素数分だけ拡大あるいは縮小した領域としてもよい。
【0051】
ここでは、まず、図7(A)に示すように、大まかな服領域における輝度情報あるいは色相情報の階調ごとの度数を示すヒストグラムを検出する。そして、このヒストグラムのピーク位置の階調を、服領域を最も多く占める階調を示すモード値(代表階調値)として算出する。
【0052】
次に、図7(B)に示すように、大まかな服領域の階調をラインごとに水平方向にスキャンし、隣接画素間の差分値を基に服領域と背景領域とのエッジを検出する。例えば、大まかな服領域の中心を始点に両側に向かって隣接画素間の差分値を演算し、差分値が大きくなる位置をエッジとする。このとき、エッジか否かを正確に判定するために、モード値を利用できる。例えば、階調の値がモード値を中心とした一定範囲内にあれば、その位置をエッジとは判定しないようにする。また、モード値との差分値が大きい領域は背景領域と推定できることから、モード値を基に背景領域を大まかに推定しておき、隣接画素間の差分値が大きい場合にその推定した背景領域との境界に近ければ、エッジであると判定することもできる。
【0053】
なお、服領域と背景領域の各階調の値が近接していて、差分に基づくエッジが検出できない場合には、例えばステップS12で求めた大まかな服領域など、あらかじめ設定しておいた領域を最終的な服領域として採用すればよい。一方、このエッジ検出のための解析処理では、解析対象のデータとして輝度情報あるいは色相情報のいずれか一方を用いればよいが、それらの両方を用いることで、エッジをより正確に判別することができる。
【0054】
例えば、上記のモード値算出およびエッジ検出の手順を輝度情報および色相情報の双方について実行し、色相情報より輝度情報についての隣接画素間の差分値が大きい場合は、輝度情報に基づいてエッジを判別し、その逆の場合は色相情報に基づいてエッジを判別する。これにより、服領域と背景領域との境界で、明るさと色のいずれか一方に差があればエッジを検出可能になる。また、服領域は顔領域とは異なり、多数の色が混在する場合も多く、そのような場合には輝度情報と色相情報の両方を用いることが有効である。
【0055】
以上の処理によって、服領域抽出部32では、正確な服領域の位置が座標情報として算出される。その座標情報は服領域情報として、図示しないRAMなどに一旦格納される。
以下、図4に戻って説明する。
【0056】
〔ステップS4〕顔領域用画像選択部33は、画像メモリ15内の複数の撮像画像データ15aのそれぞれに対して、顔検出情報に基づく顔領域の解析を行い、顔の画質が最も適切な撮像画像データ15aを選択する。また、服領域用画像選択部34も同様に、画像メモリ15内の複数の撮像画像データ15aのそれぞれに対して、服領域情報に基づく服領域の解析を行い、衣服の画質が最も適切な撮像画像データ15aを選択する。
【0057】
ここで、図8は、画像選択のための画像解析手順を説明するための図である。
図8は、検出された顔領域または服領域内のあるライン(あるいは垂直方向のある列でもよい)の輝度情報の階調分布を示したものである。図8(A)は画像メモリ15内の複数の撮像画像データ15aのうちの一つから検出されたグラフであり、(B)は他の撮像画像データ15aから検出されたグラフである。
【0058】
顔領域用画像選択部33および服領域用画像選択部34では、基本的に、それぞれ顔領域および服領域における明るさのコントラストが高い画像を、各領域の画質が高いものとして選択する。これによって、顔領域および服領域の双方において、輝度の階調表現性が豊かで、白飛びや黒つぶれのない鮮明な画像が選択されるようになる。図8の例では、(A)における輝度階調の最大値と最小値との差分D1の方が、(B)における差分D2より大きいことから、(A)に対応する撮像画像データ15aが最適なものとして選択される。
【0059】
このような輝度分布の比較は、各画像データについて1行または1列だけ行ってもよいし、複数行または複数列について行ってそれらの平均などを基に選択してもよい。また、水平方向と垂直方向の両方について行ってもよい。なお、複数の画像データ間で輝度階調の差分がほぼ同じである場合には、AE制御によって得られた撮像画像データ15a(すなわち背景画像データ)、またはこのときの露出制御値に近い露出制御値により撮像された撮像画像データ15aを選択すればよい。
【0060】
また、行あるいは列ごとの輝度階調分布の他に、行あるいは列ごと、もしくは各領域全体における輝度階調の度数を示すヒストグラムから、コントラストの高い画像を選択してもよい。この場合、ヒストグラム上で度数がある一定の値以上となる輝度の最小値と最大値との差分を基に、最適な撮像画像データ15aを選択すればよい。
【0061】
また、このような差分値を演算によって求める方法の他、例えば、顔領域、服領域についてそれぞれ適切とされるヒストグラム形状のテンプレートを保持しておき、このテンプレートと各画像から検出されたヒストグラムとをマッチングさせて、テンプレートのヒストグラム形状に近い撮像画像データ15aを選択してもよい。
【0062】
以上の手順により、顔領域および服領域としてそれぞれ適切な撮像画像データ15aが選択されると、顔領域用画像選択部33および服領域用画像選択部34ではそれぞれ、選択した撮像画像データ15aを示す選択情報と、顔領域および服領域の正確な位置を示す顔領域情報および服領域情報とが生成されて、これらの情報が図示しないRAMなどに一旦格納される。
【0063】
以下、図4に戻って説明する。
〔ステップS5〕顔領域用画像選択部33および服領域用画像選択部34によって生成された顔領域情報、服領域情報、および選択情報に基づいて、画像合成部35が、画像メモリ15内の複数の撮像画像データ15aを適宜選択して、合成画像データを生成する。なお、顔領域および服領域以外の背景領域には、上述した背景画像に対応する撮像画像データ15aが合成される。
【0064】
なお、上記の処理において、顔領域抽出部31によって複数の顔が検出された場合には、例えば、検出された顔ごとに顔領域および服領域を求め、顔領域および服領域にそれぞれ適切な撮像画像データ15aの選択処理(ステップS4)を、検出された顔ごとに行えばよい。また、多数の顔が検出された場合には、例えば顔領域が広い順など、優先される所定数の顔についてのみ、それらの顔領域および服領域に対応する画像選択処理を行うようにしてもよい。このとき、選択処理が行われなかった顔の領域については、背景画像データが合成されてもよいし、あるいは、選択処理が行われた他のいずれかの顔およびその衣服に対応する画像データが合成時に選択されてもよい。さらに、検出された複数の顔のうち、例えば顔領域が最も広いものなど、代表的な顔についてのみ、画像データの選択処理を行い、検出されたすべての顔領域およびそれらの対応する服領域について、同じ画像データを選択して合成してもよい。
【0065】
以上説明した処理によれば、撮像画像から顔が検出されると、顔領域だけでなく、その顔に対応する衣服の服領域の画質が適正化された画像が、自動的に生成される。特に、露出制御値などの撮像条件を変化させて複数回の撮像を行うことで、顔領域および服領域の画質、特に明るさが適切に撮像された画像を確実に取得して合成できる。従って、撮像条件の設定方法などの知識が少ないユーザなどでも、顔領域および服領域の画質が向上された画像を確実に撮像することができるようになる。
【0066】
[第2の実施の形態]
図9は、第2の実施の形態に係る撮像装置の主な機能を示すブロック図である。なお、この図9では、図3に対応するブロックについては同じ符号を付して示しており、その説明については省略する。
【0067】
図9において、顔領域抽出部31、服領域抽出部32、および画像合成部35は、図3に示したものと同様の機能を備える。ただし、顔領域抽出部31および服領域抽出部32は、後述するように、1回の露光動作によって得られた撮像画像データ15bを基に、顔領域および服領域をそれぞれ抽出する。
【0068】
撮像条件決定部37は、撮像画像データ15bを基に、顔検出情報に基づく顔領域、および服領域情報に基づく服領域が、それぞれ適正な画質となるような撮像条件を演算する。また、撮像条件決定部37は、これらの領域に関係なく画像全体が適正な画質となるような撮像条件も演算する。
【0069】
複数画像撮像制御部36aは、撮像条件決定部37によって演算された撮像条件をそれぞれ適用した撮像動作を連続的に実行させる。その結果、複数の撮像画像データ15cが得られて、画像メモリ15に一時的に格納される。また、複数画像撮像制御部36aは、顔領域および服領域の位置をそれぞれ示す顔領域情報および服領域情報と、顔領域および服領域にそれぞれ適するとして選択した画像を示す選択情報とを生成する。これらの情報は、画像合成部35における画像合成処理時に利用される。
【0070】
なお、上記の複数画像撮像制御部36aおよび撮像条件決定部37の機能は、例えば、システムコントローラ20によるソフトウェア処理によって実現されればよいが、例えば、撮像条件決定部37が備える輝度情報の検波機能など、上記機能の一部またはすべてを、カメラ信号処理回路14内のハードウェアとして実現してもよい。
【0071】
図10は、第2の実施の形態での人物撮像モードにおける撮像装置内の処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートを用いて、上記各機能ブロックの処理についてより詳しく説明する。
【0072】
〔ステップS21〕システムコントローラ20の制御の下で、例えば、ユーザによる人物撮像モードの設定操作、あるいは、シャッタレリーズボタン21aに対する半押し操作などに応じて、1回の露光動作が実行されて、撮像画像データ15bが画像メモリ15に取り込まれる。この露光動作では、例えば、通常のAE制御手法によって求められた露出制御値などの撮像条件に従って露光が行われればよい。そして、この撮像画像データ15bを基に、顔領域抽出部31により顔領域が抽出される。この顔領域の抽出処理手順は、図4のステップS2と同様である。
【0073】
〔ステップS22〕服領域抽出部32は、顔領域抽出部31で生成された顔検出情報に基づいて、撮像画像データ15bから服領域を抽出する。この服領域の抽出処理手順は、図4のステップS3と同様である。
【0074】
〔ステップS23〕撮像条件決定部37は、顔検出情報に含まれる顔領域の位置情報と服領域情報とを取得し、撮像画像データ15bを解析して、顔領域および服領域がそれぞれ適正な画質となるような撮像条件を演算する。ここでは、例えば、撮像画像データ15bに基づく輝度情報、あるいはそれらの輝度値ごとの度数を示すヒストグラムなどの検波が行われ、それらの検波結果を基に、顔領域および服領域の明るさがそれぞれ適正となるような露出制御値が算出される。また、これらの領域に対応する露出制御値とともに、画像全体の明るさを適正化するような露出制御値も算出される。
【0075】
なお、画像全体に対応する露出制御値は、例えば撮像画像データ15bを基に通常のAE制御手法によって算出されてもよいが、撮像画像データ15bの取り込みの際にAE制御手法による露出制御値が算出されている場合には、この値をそのまま用いてもよい。後者の場合、顔領域および服領域に対応する露出制御値は、画像全体に対応する露出制御値に対する露出補正値や露出補正段数として算出されてもよい。
【0076】
〔ステップS24〕複数画像撮像制御部36aの制御により、複数回の露光動作が実行されて、得られた複数の撮像画像データ15cが画像メモリ15に一旦格納される。ここでは、撮像条件決定部37によって算出された複数の撮像条件がそれぞれ適用されて、露光動作が連続的に行われる。これにより、撮像画像データ15cとして、顔領域を適正化した画像データと、服領域を適正化した画像データと、画像全体を適正化した背景領域用の背景画像データとが取り込まれる。また、複数画像撮像制御部36aは、顔領域用および服領域用にそれぞれ対応する撮像画像データ15cを示す選択情報を生成し、顔領域および服領域の位置をそれぞれ示す顔領域情報および服領域情報とともに、図示しないRAMなどに一旦格納する。
【0077】
なお、顔領域用、服領域用、背景領域用の各撮像条件のうち、同一のものについては、露光動作を共通化して、露光回数を少なくすることが望ましい。この場合、対応する領域で使用する画像データを示す選択情報は、同じ撮像画像データ15cを使用するように設定される。
【0078】
〔ステップS25〕複数画像撮像制御部36aから出力された顔領域情報、服領域情報、および選択情報に基づいて、画像合成部35が、画像メモリ15内の複数の撮像画像データ15cを適宜選択して、合成画像データを生成する。なお、顔領域および服領域以外の背景領域には、上述した背景画像に対応する撮像画像データ15cが合成される。
【0079】
なお、画像合成部35による合成の直前に、複数のうちのいずれかの撮像画像データ15cから顔領域および服領域をあらためて抽出し、それによって生成された顔領域情報および服領域情報に基づいて合成処理を行ってもよい。これにより、被写体が動いた場合でも、顔領域および服領域を確実に抽出して適切な画像データを合成でき、合成画像データにおける画質を向上させることができる。
【0080】
また、上記の処理において、顔領域抽出部31によって複数の顔が検出された場合には、例えば、検出された顔ごとに顔領域および服領域を求め、顔領域および服領域にそれぞれ適切な撮像条件を算出して、検出された顔ごとに露光動作を行って撮像画像データ15cを取り込めばよい。また、多数の顔が検出された場合には、例えば顔領域が広い順など、優先される所定数の顔についてのみ、それらの顔領域および服領域に対応する撮像画像データ15cを取り込むようにしてもよい。このとき、撮像条件の演算対象とされなかった顔の領域については、背景画像データが合成されてもよいし、あるいは、撮像条件の演算対象とされた他のいずれかの顔およびその衣服に対応する画像データが合成時に選択されてもよい。さらに、検出された複数の顔のうち、例えば顔領域が最も広いものなど、代表的な顔についてのみ、対応する撮像画像データ15cの取り込みを行い、検出されたすべての顔領域およびそれらの対応する服領域について、同じ撮像画像データ15cを選択して合成してもよい。
【0081】
以上説明した第2の実施の形態での処理によれば、最終的な合成処理に用いる画像の撮像の前に、顔領域および服領域の画質が適正となるように撮像条件が決められ、その撮像条件で画像が撮像されることで、顔領域および服領域の画質を確実に向上できる。これとともに、その合成のための複数の画像の撮像回数を必要最小限に留めることができる。従って、撮像時のユーザの違和感を軽減できるとともに、被写体が動いた場合の合成時の画質劣化を防止することもできる。
【0082】
なお、以上の各実施の形態では、本発明をデジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラといった撮像専用の装置に適用した場合について説明したが、同様な撮像機能を備えた携帯電話機、携帯端末などの各種の電子機器に、本発明を適用することも可能である。
【0083】
また、撮像機能を外付けしたPC(パーソナルコンピュータ)などの情報処理機器において、上記の図3や図9に示した処理機能をコンピュータにおけるソフトウェア処理によって実現することもできる。
【0084】
さらに、第1の実施の形態における処理機能については、撮像機能を持たない画像処理装置に適用することも可能である。この場合、事前にブラケット撮像により得られた複数の画像データを画像処理装置に入力して、顔領域や服領域を抽出し、各領域に適切な画像データを選択して合成する。また、このような画像処理装置の処理機能をコンピュータにおけるソフトウェア処理によって実現することもできる。
【0085】
また、上記の処理機能をコンピュータによって実現する場合には、そのような処理機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。すなわち、そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。また、処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気テープやハードディスクなどの磁気記録媒体、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。
【0086】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録された光ディスクなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、そのプログラムを、サーバコンピュータからネットワークを介して他のコンピュータに転送することもできる。
【0087】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムまたはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自機に接続された記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、その記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】第1の実施の形態に係る撮像装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】撮像装置の外観を示す斜視図であり、(A)は撮像装置を前面から見たときの図、(B)は背面から見たときの図である。
【図3】第1の実施の形態において、人物撮像モードを実現するために撮像装置に設けられた機能を示すブロック図である。
【図4】第1の実施の形態での人物撮像モードにおける撮像装置内の処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】服検出処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】大まかな服領域を推定する手法を説明するための図である。
【図7】正確な服領域を検出する手順を説明するための図である。
【図8】画像選択のための画像解析手順を説明するための図である。
【図9】第2の実施の形態に係る撮像装置の主な機能を示すブロック図である。
【図10】第2の実施の形態での人物撮像モードにおける撮像装置内の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
11……光学ブロック、11a……ドライバ、11b……光学レンズ、12……撮像素子、12a……タイミングジェネレータ(TG)、13……アナログフロントエンド(AFE)回路、14……カメラ信号処理回路、15……画像メモリ、15a……撮像画像データ、16……画像エンコーダ、17……記録装置、18……グラフィック処理回路、19……ディスプレイ、20……システムコントローラ、21……入力部、21a……シャッタレリーズボタン、21b……電源ボタン、21c……操作パネル、31……顔領域抽出部、32……服領域抽出部、33……顔領域用画像選択部、34……服領域用画像選択部、35……画像合成部、36……複数画像撮像制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体撮像素子により画像を撮像する撮像装置において、
撮像条件を変化させて撮像動作を連続的に実行させる連続撮像制御部と、
前記連続撮像制御部の制御による撮像動作によって得られた複数の画像データのうち一つの画像データから、人物の顔を検出してその顔領域を検出する顔領域検出部と、
前記顔領域検出部によって顔が検出された画像データから、検出された顔に対応する服領域を検出する服領域検出部と、
前記複数の画像データを基に、検出された前記顔領域および前記服領域を解析し、前記顔領域および前記服領域における画質がそれぞれ最も適正な画像データを前記複数の画像データから一つずつ選択する画像選択部と、
前記複数の画像データのうち一つの画像データにおける前記顔領域および前記服領域のデータを、前記画像選択部によってそれぞれ選択された画像データで置換して合成画像データを生成する画像合成部と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記服領域検出部は、前記顔領域検出部によって顔が検出された画像において、前記顔領域に対して所定の位置にあらかじめ決められた形状の仮服領域を設定し、前記仮服領域内の画像データを解析して前記服領域をより正確に検出することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記服領域検出部は、前記服領域の検出処理において、前記仮服領域内の画像データを基に前記服領域とその背景領域とのエッジを検出することを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記服領域検出部は、前記服領域の検出処理において、前記仮服領域内の画像データの輝度情報および色相情報の両方を用いて隣接画素間の差分値を検出し、前記輝度情報および前記色相情報のうち前記差分値が大きい方を基に前記エッジを判定することを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記服領域検出部は、前記服領域の検出処理において、前記仮服領域を最も多く占める階調値である、輝度情報または色差情報の少なくとも一方による代表階調を検出し、前記代表階調との差分値の大きさを基に前記エッジを判定することを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項6】
前記画像選択部は、前記顔領域および前記服領域のそれぞれにおける輝度情報の分布状態を基に、前記画質が最も適正な画像データを選択することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項7】
前記画像選択部は、前記顔領域および前記服領域のそれぞれにおけるコントラストが高いものを、前記画質が最も適正な画像データとして選択することを特徴とする請求項6記載の撮像装置。
【請求項8】
前記連続撮像制御部は、前記撮像条件として露出制御値を変化させることで連続的な撮像動作を実行させることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項9】
前記連続撮像制御部は、標準よりも高速なフレームレートで連続的な撮像動作を実行させることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項10】
固体撮像素子により画像を撮像する撮像装置において、
1回の撮像動作により得られた画像データから、人物の顔を検出してその顔領域を検出する顔領域検出部と、
前記顔領域検出部によって顔が検出された画像データから、検出された顔に対応する服領域を検出する服領域検出部と、
前記顔領域検出部によって顔が検出された画像データを解析して、検出された前記顔領域および前記服領域の画質がそれぞれ適正となるような顔領域用撮像条件および服領域用撮像条件を決定する撮像条件決定部と、
決定された前記顔領域用撮像条件および前記服領域用撮像条件と、画像全体の画質が適正となるような通常撮像条件とをそれぞれ適用して、連続的な撮像動作を実行させる連続撮像制御部と、
前記通常撮像条件を適用して得られた画像データにおける前記顔領域および前記服領域のデータを、前記顔領域用撮像条件および前記服領域用撮像条件を適用してそれぞれ得られた画像データで置換して合成画像データを生成する画像合成部と、
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
前記撮像条件決定部は、前記顔領域用撮像条件および前記服領域用撮像条件として、前記顔領域および前記服領域の明るさがそれぞれ適正となるような露出制御値を決定することを特徴とする請求項10記載の撮像装置。
【請求項12】
前記顔領域検出部および前記服領域検出部は、前記連続撮像制御部の制御により複数回の撮像動作が実行された後、前記通常撮像条件を適用して得られた画像データを基に前記顔領域および前記服領域を再度検出し、
前記画像合成部は、前記通常撮像条件を適用して得られた画像データに基づく前記顔領域および前記服領域の検出結果を用いて、前記合成画像データを生成する、
ことを特徴とする請求項10記載の撮像装置。
【請求項13】
前記連続撮像制御部は、前記通常撮像条件として、前記顔領域検出部によって顔が検出された画像データの撮像時における撮像条件を適用することを特徴とする請求項10記載の撮像装置。
【請求項14】
入力された画像データを処理して一つの合成画像データを出力する画像処理装置において、
撮像条件を変化させて連続的に撮像された複数の画像データの入力を受ける画像入力部と、
前記複数の画像データのうち一つの画像データから、人物の顔を検出してその顔領域を検出する顔領域検出部と、
前記顔領域検出部によって顔が検出された画像データから、検出された顔に対応する服領域を検出する服領域検出部と、
前記複数の画像データを基に、検出された前記顔領域および前記服領域を解析し、前記顔領域および前記服領域における画質がそれぞれ最も適正な画像データを前記複数の画像データから一つずつ選択する画像選択部と、
前記複数の画像データのうち一つの画像データにおける前記顔領域および前記服領域のデータを、前記画像選択部によってそれぞれ選択された画像データで置換して前記合成画像データを生成する画像合成部と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項15】
固体撮像素子により画像を撮像する撮像方法において、
連続撮像制御部が、撮像条件を変化させて撮像動作を連続的に実行させ、
顔領域検出部が、前記連続撮像制御部の制御による撮像動作によって得られた複数の画像データのうち一つの画像データから、人物の顔を検出してその顔領域を検出し、
服領域検出部が、前記顔領域検出部によって顔が検出された画像データから、検出された顔に対応する服領域を検出し、
画像選択部が、前記複数の画像データを基に、検出された前記顔領域および前記服領域を解析し、前記顔領域および前記服領域における画質がそれぞれ最も適正な画像データを前記複数の画像データから一つずつ選択し、
画像合成部が、前記複数の画像データのうち一つの画像データにおける前記顔領域および前記服領域のデータを、前記画像選択部によってそれぞれ選択された画像データで置換して合成画像データを生成する、
ことを特徴とする撮像方法。
【請求項16】
固体撮像素子により画像を撮像する撮像方法において、
顔領域検出部が、1回の撮像動作により得られた画像データから、人物の顔を検出してその顔領域を検出し、
服領域検出部が、前記顔領域検出部によって顔が検出された画像データから、検出された顔に対応する服領域を検出し、
撮像条件決定部が、前記顔領域検出部によって顔が検出された画像データを解析して、検出された前記顔領域および前記服領域の画質がそれぞれ適正となるような顔領域用撮像条件および服領域用撮像条件を決定し、
連続撮像制御部が、決定された前記顔領域用撮像条件および前記服領域用撮像条件と、画像全体の画質が適正となるような通常撮像条件とをそれぞれ適用して、連続的な撮像動作を実行させ、
画像合成部が、前記通常撮像条件を適用して得られた画像データにおける前記顔領域および前記服領域のデータを、前記顔領域用撮像条件および前記服領域用撮像条件を適用してそれぞれ得られた画像データで置換して合成画像データを生成する、
ことを特徴とする撮像方法。
【請求項17】
入力された画像データを処理して一つの合成画像データを出力する画像処理方法において、
画像入力部が、撮像条件を変化させて連続的に撮像された複数の画像データの入力を受け、
顔領域検出部が、前記複数の画像データのうち一つの画像データから、人物の顔を検出してその顔領域を検出し、
服領域検出部が、前記顔領域検出部によって顔が検出された画像データから、検出された顔に対応する服領域を検出し、
画像選択部が、前記複数の画像データを基に、検出された前記顔領域および前記服領域を解析し、前記顔領域および前記服領域における画質がそれぞれ最も適正な画像データを前記複数の画像データから一つずつ選択し、
画像合成部が、前記複数の画像データのうち一つの画像データにおける前記顔領域および前記服領域のデータを、前記画像選択部によってそれぞれ選択された画像データで置換して前記合成画像データを生成する、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項18】
入力された画像データを処理して一つの合成画像データを出力するための画像処理プログラムにおいて、
コンピュータを、
撮像条件を変化させて連続的に撮像された複数の画像データの入力を受ける画像入力部、
前記複数の画像データのうち一つの画像データから、人物の顔を検出してその顔領域を検出する顔領域検出部、
前記顔領域検出部によって顔が検出された画像データから、検出された顔に対応する服領域を検出する服領域検出部、
前記複数の画像データを基に、検出された前記顔領域および前記服領域を解析し、前記顔領域および前記服領域における画質がそれぞれ最も適正な画像データを前記複数の画像データから一つずつ選択する画像選択部、
前記複数の画像データのうち一つの画像データにおける前記顔領域および前記服領域のデータを、前記画像選択部によってそれぞれ選択された画像データで置換して前記合成画像データを生成する画像合成部、
として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−172395(P2008−172395A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−2131(P2007−2131)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】