説明

撮像装置およびその制御方法

【課題】サブ撮像素子を用いて測光と被写体探索とを行う場合に、測光に対するダイナミックレンジの拡大と被写体探索の精度維持とを両立する。
【解決手段】撮像装置201は、撮影光学系からの光により形成された光学像をそれぞれ光電変換する第1の撮像素子211および第2の撮像素子208と、第1の撮像素子からの出力を用いて表示および記録用の第1の画像を生成する撮像系303と、第2の撮像素子からの出力を用いて第2の画像を生成し、該第2の画像を用いて測光および被写体探索を行う検出系303とを有する。検出系は、測光において第2の撮像素子からの出力の画素加算を行うか否かの選択が可能であり、該画素加算を行わないときは被写体探索を行い、画素加算を行うときは被写体探索を制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一眼レフデジタルカメラ等の撮像装置に関し、特に生成した画像から被写体を検出する機能を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような撮像装置には、撮影光学系からの光により形成された撮影用の被写体像(光学像)を光電変換するメイン撮像素子からの出力信号を用いて、表示/記録用画像を生成する撮像系が設けられている。また、該撮像装置には、撮影光学系からの光により形成された測光用の被写体像を光学変換するサブ撮像素子からの出力信号を用いて測光用画像を生成し、該測光用画像から被写体輝度の情報を得る検出系を有するものがある。一眼レフデジタルカメラでは、撮影光学系からの光路に対して進退するミラーによって、撮影光学系かの光が検出系に導かれる状態と撮像系に導かれる状態とに切り替えられる。
【0003】
このような検出系を有する撮像装置において、サブ撮像素子として、被写体認識ができるようなある程度高い解像度を有する測光用画像の生成が可能な撮像素子を用いることもできる。これにより、測光用画像を用いて、測光だけでなく、人物の顔等の特定被写体の探索(追跡)を行い、明るさや位置が変化する特定被写体に対して自動的に適正露出設定を行ったり撮影光学系の合焦状態を維持したりするような制御を行うことも可能である。
【0004】
ところで、サブ撮像素子の解像度(画素数)が増加すると、1画素ごとのダイナミックレンジが狭くなり、様々な輝度の被写体に対して良好な測光が行えない可能性がある。このため、特に低輝度側でのダイナミックレンジを拡げるために、複数の画素の出力値を加算して、その結果を1画素相当の出力値として扱う、いわゆる画素加算が行われることがある。特許文献1には、被写体の移動速度と輝度(光量)に応じて、画素加算を行うか否かを切り換える撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−217355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、画素加算を行うと、サブ撮像素子を用いて得られる測光用画像の解像度が低下するため、この測光用画像を用いた被写体探索の精度が低下し、誤った被写体に対して上述した制御を行ってしまう可能性がある。この結果、露出がアンダー又はオーバーであったりピントがぼけたりした表示/記録用画像が生成されることになる。
【0007】
本発明は、サブ撮像素子を用いて測光と被写体探索とを行う場合に、測光に対するダイナミックレンジの拡大と被写体探索の精度維持とを両立できるようにした撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面としての撮像装置は、撮影光学系からの光により形成された光学像をそれぞれ光電変換する第1の撮像素子および第2の撮像素子と、第1の撮像素子からの出力を用いて表示および記録用の第1の画像を生成する撮像系と、第2の撮像素子からの出力を用いて第2の画像を生成し、該第2の画像を用いて測光および被写体探索を行う検出系とを有する。そして、検出系は、測光において第2の撮像素子からの出力の画素加算を行うか否かの選択が可能であり、該画素加算を行わないときは被写体探索を行い、画素加算を行うときは被写体探索を制限することを特徴とする。
【0009】
本発明の他の一側面としての撮像装置は、撮影光学系からの光により形成された光学像をそれぞれ光電変換する第1の撮像素子および第2の撮像素子と、第1の撮像素子からの出力を用いて表示および記録用の第1の画像を生成する撮像系と、第2の撮像素子からの出力を用いて第2の画像を生成し、該第2の画像を用いて測光および被写体探索を行う検出系とを有する。そして、検出系は、測光において第2の撮像素子からの出力の画素加算を行うか否かの選択が可能であり、該画素加算を行わないときの被写体探索の結果の使用を許可し、画素加算を行ったときの被写体探索の結果の使用を制限することを特徴とする。
【0010】
本発明の他の一側面としての制御方法は、撮影光学系からの光により形成された光学像をそれぞれ光電変換する第1の撮像素子および第2の撮像素子と、第1の撮像素子からの出力を用いて表示および記録用の第1の画像を生成する撮像系と、第2の撮像素子からの出力を用いて第2の画像を生成し、該第2の画像を用いて測光および被写体探索を行う検出系とを有する撮像装置に適用される。そして、該制御方法は、測光において第2の撮像素子からの出力の画素加算を行うか否かを選択するステップと、画素加算を行わないときは被写体探索を行い、画素加算を行うときは被写体探索を制限するステップとを有することを特徴とする。
【0011】
本発明の他の一側面としての制御方法は、撮影光学系からの光により形成された光学像をそれぞれ光電変換する第1の撮像素子および第2の撮像素子と、第1の撮像素子からの出力を用いて表示および記録用の第1の画像を生成する撮像系と、第2の撮像素子からの出力を用いて第2の画像を生成し、該第2の画像を用いて測光および被写体探索を行う検出系とを有する撮像装置に適用される。そして、該制御方法は、測光において第2の撮像素子からの出力の画素加算を行うか否かを選択するステップと、画素加算を行わないときの被写体探索の結果の使用を許可し、画素加算を行ったときの被写体探索の結果の使用を制限するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第2の撮像素子からの出力の画素加算を行うことで、第2の画像を用いた測光におけるダイナミックレンジを拡大することができ、良好な測光を行うことができる。また、第2の撮像素子からの出力の画素加算を行わずに生成された十分な解像度を有する第2の画像において精度の高い被写体探索を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例である撮像装置の光学的構成を示す断面図。
【図2】実施例の撮像装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】実施例の撮像装置における焦点検出領域の配置を示す図。
【図4】実施例の撮像装置における連写時の被写体追跡処理を示すフローチャート。
【図5】実施例の撮像装置における被写体追跡処理の例を示す図。
【図6】実施例の撮像装置におけるAEセンサの画素配列と画素加算の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1には、本発明の実施例1である一眼レフデジタルカメラ本体(以下、単にカメラという)201と該カメラ201に対して着脱(交換)が可能な交換レンズ202とにより構成されるカメラシステムの主として光学的な構成を示している。カメラ201と交換レンズ202は、不図示のマウント接点群を介して電気的に接続される。
【0016】
交換レンズ202内には、不図示のレンズ(変倍レンズや固定レンズ等)と、フォーカスレンズ213と、絞り214とにより構成された撮影光学系が収容されている。撮影光学系は、不図示の被写体からの光に光学像である被写体像を形成させる。交換レンズ202は、マウント接点群を介してカメラ201から送信される制御信号に応じて、フォーカスレンズ213を移動させて焦点調節を行ったり、絞り214の開口径を変化させてカメラ201内に取り込む光量を調節したりする。
【0017】
カメラ201内において、203はメインミラーであり、ハーフミラーにより構成されている。メインミラー203は、光学ファインダ観察状態では、撮影光学系からの光路内に配置され(ミラーダウン状態)、撮影光学系からの光の一部をファインダ光学系に向けて反射する。また、このときメインミラー203を透過した光は、メインミラー203の背後に配置されたサブミラー204を介してAFユニット(焦点検出ユニット)205に導かれる。
【0018】
一方、撮影状態では、メインミラー203およびサブミラー204は撮影光学系からの光路外に退避する(ミラーアップ状態)。これにより撮影光学系からの光は、シャッタ210および撮影用の撮像素子(第1の撮像素子:以下、メイン撮像素子という)211に向かう。ミラーアップ状態においてシャッタ210が開閉することでメイン撮像素子211は撮影光学系からの光によって露光され、メイン撮像素子211はその撮像面上に形成された被写体像を光電変換する。メイン撮像素子211からの出力信号を用いて、表示および記録用の画像データ(第1の画像:以下、メイン画像という)が生成される。メイン画像は、カメラ201の背面に設けられたモニタ212に電子ビューファインダ画像として表示されたり、不図示の記録媒体に記録されたりする。
【0019】
AFセンサ205は、サブミラー204からの光に一対の被写体像(以下、2像という)を形成させる二次結像光学系と、該2像を光電変換する一対の受光素子列(ラインセンサ)とを、撮影画面内に複数設けられた焦点検出領域に対応して複数組備えている。図3には、撮影画面(撮影範囲)内に設けられた複数の焦点検出領域の配置を示している。一対のラインセンサから出力された一対の像信号の位相差を演算することで、撮影光学系の焦点状態(デフォーカス量)を検出することができる。そして、該デフォーカス量に応じて算出された合焦位置にフォーカスレンズ213を移動させることで、撮影光学系の合焦状態を得ることができる。このようにして、位相差検出方式によるオートフォーカス(AF)を行うことができる。
【0020】
図1において、206は撮影光学系の予定結像面に配置されたピント板であり、該ピント板206上にはメインミラー203で反射した光によって被写体像が形成される。207はペンタプリズムであり、ピント板206からの光を反射してその光路を変更する。これらピント板206、ペンタプリズム207および不図示の接眼レンズによってファインダ光学系が構成される。209はアイピースであり、ユーザはここから接眼レンズおよびペンタプリズム207を通してピント板206上に形成された被写体像を観察することができる。
【0021】
また、208はAEセンサであり、ピント板206上の被写体像からペンタプリズム207を介して入射した光(つまりは被写体像)を光電変換する測光用の撮像素子(第2の撮像素子:以下、サブ撮像素子という)を備えている。サブ撮像素子からの出力信号を用いて生成された画像データ(第2の画像:以下、サブ画像という)から、被写体輝度を検出することができる。
【0022】
サブ撮像素子は、図3に示す撮影範囲全体の被写体像を光電変換可能な大きさの撮像面を有し、該撮像面には図6の上図に示すように複数の画素(R,G,B)が配置されている。なお、複数のR画素、G画素およびB画素はそれぞれ、垂直方向に延びる列を形成するように配置されており、R画素列、G画素列およびB画素列が水平方向に順に繰り返し配置されている。このような画素配列を、本実施例では、ストライプ配列という。
【0023】
このサブ撮像素子では、図6の下図に示すように、R画素列、G画素列およびB画素列のそれぞれにおいて垂直方向にて隣接する5画素を1つの画素群とし、1画素群内の5画素の出力値(画素値)を加算して1つの画素出力とする画素加算を行うことができる。この画素加算により、サブ画像の垂直方向での解像度は画素加算をしない場合の1/5となるが、測光に関しては特に低輝度被写体に対して広いダイナミックレンジが得られる。このように、サブ撮像素子の出力(信号読み出し)に関して画素加算を行うか否かを選択することができる。
【0024】
また、本実施例では、図6の上図に示した多数のR,G,B画素に対応する解像度を有するサブ画像を用いて、被写体探索(被写体検出ともいう)を行う。被写体探索は、人物の顔等の特定被写体をサブ画像内からパターンマッチング等の画像処理方法を用いて検出する処理である。そして、この被写体探索により検出された特定被写体の明るさや位置の変化に追従して測光やAFを行うことができる。このようにサブ画像を用いた被写体探索の結果を用いて該特定被写体を追跡しながら測光やAFを行う処理を被写体追跡処理という。
【0025】
以下の説明において、メイン撮像素子211によるメイン画像の取得のための動作をメイン撮像といい、サブ撮像素子(AEセンサ208)によるサブ画像の取得のための動作をサブ撮像という。
【0026】
図2には、上記カメラシステムの電気的な構成を示している。図2において、図1に示した構成要素と同じ構成要素には、図1と同符号を付す。
【0027】
カメラ201において、操作検出部308は、ユーザによるボタン、スイッチおよびダイヤル等の操作部材の操作を検出して、該操作に応じた信号をシステム制御部303に出力する。例えば、操作検出部308は、不図示のレリーズボタンが半押し操作されることに応じてSW1信号をシステム制御部303に出力する。レリーズボタンが全押し操作されることに応じてSW2信号をシステム制御部303に出力する。
【0028】
なお、以下の説明において、ユーザがレリーズボタンの半押し操作を維持した状態をSW1保持状態といい、レリーズボタンの全押し操作を維持した状態をSW2保持状態という。また、操作検出部308は、ユーザがレリーズボタンの半押し操作を解除したことに応じてSW1解除信号をシステム制御部303に出力し、レリーズボタンの全押し操作を解除したことに応じてSW2解除信号をシステム制御部303に出力する。
【0029】
ミラー制御部309は、システム制御部303からのミラー駆動信号に応じて、メインミラー203およびサブミラー204の動作を制御する。システム制御部303は、操作検出部308からSW1信号を受け取ったときと連写時のミラーダウン状態とにおいて、AFセンサ205の各焦点検出領域に対応する一対のラインセンサからの像信号を読み込む。そして、AFを行う焦点検出領域の選択と該焦点検出領域での合焦位置(フォーカスレンズ移動量)の演算を行う。そして、演算されたフォーカスレンズ移動量に対応するレンズ駆動信号を交換レンズ202内のレンズ駆動部314に送信する。レンズ駆動部314は、該レンズ駆動信号に基づいてフォーカスレンズ213を移動させ、合焦状態を得る。
【0030】
システム制御部303は、メイン撮像素子211からの出力信号に対して各種画像生成処理を行ってメイン画像を生成し、該メイン画像をディスプレイ制御部312および画像記録部311に出力する。ディスプレイ制御部312は、メイン画像を表示に適した画像に変換してモニタ212に表示する。また、画像記録部311は、メイン画像を記録に適した画像に変換して半導体メモリや光ディスク等の記録媒体に記録する。システム制御部303は、メイン撮像素子211とともに撮像系を構成する。
【0031】
メインメモリ307は、システム制御部303が行う演算に必要なデータやコンピュータプログラムを格納する。
【0032】
また、システム制御部303は、AEセンサ208(サブ撮像素子)からの出力信号に対して各種画像生成処理を行ってサブ画像を生成し、該サブ画像を用いて被写体輝度を検出する。システム制御部303は、AEセンサ208(サブ撮像素子)とともに検出系を構成する。
【0033】
システム制御部303は、検出した被写体輝度に基づいて適正露光のための露出演算(絞り値やシャッタ速度の演算)を行う。そして、演算した絞り値に対応する絞り駆動信号を交換レンズ202の絞り制御部313に出力するとともに、該シャッタ速度に対応するシャッタ駆動信号をシャッタ制御部310に出力する。絞り制御部313は、絞り駆動信号に基づいて絞り214を駆動してその開口径を変化させる。また、システム制御部303は、メイン撮像において、シャッタ駆動信号に対応したシャッタ速度でシャッタ210を開閉動作させる。
【0034】
さらに、システム制御部303は、連写時において、サブ画素を用いた被写体探索を行い、サブ画素中での特定被写体の位置を検出し、検出した特定被写体の位置に対応する焦点検出領域を図3に示した複数の焦点検出領域の中から1つ(又は2以上)選択する。そして、選択した焦点検出領域での合焦位置の演算結果に基づいて、レンズ駆動部314にレンズ駆動信号を送信する。
【0035】
次に、本実施例のカメラシステムにおける連写時の処理(制御方法)について、図4のフローチャートを用いて説明する。この連写処理は、主としてシステム制御部303が、メインメモリ307に格納されたコンピュータプログラムに従って実行する。ステップS401〜ステップS405での処理はSW1保持状態にて行われる処理であり、連写準備動作に相当する。また、ステップS406以降の処理は、連写準備動作の完了後のレリーズボタンの全押し操作に応じたSW2保持状態にて行われる処理であり、連写動作に相当する。この連写動作中にサブ画像における被写体探索を含む被写体追跡処理が行われる。
【0036】
ユーザによるレリーズボタンの半押し操作に応じて操作検出部308からSW1信号がシステム制御部303に入力されると、システム制御部303は処理を開始する。
【0037】
ステップS401では、システム制御部303は、操作検出部308でのユーザによる選択操作またはコンピュータプログラムによる選択処理によって図3に示した複数の焦点検出領域の中から1つ(又は2以上)の焦点検出領域を選択する。そして、AFセンサ205から該選択された焦点検出領域に対応して出力された像信号に基づいて合焦位置演算を行う。
【0038】
次にステップS402では、システム制御部303は、AEセンサ208からの出力信号を用いてサブ画像を生成する。そして、サブ画像のうちステップS401で選択された焦点検出領域を中心とする所定の領域内の画像を抽出するとともに、該抽出画像およびサブ画像内での画像抽出領域の中心座標をメインメモリ307に保存する。以下の説明において、メインメモリ307に保存された抽出画像をテンプレート画像といい、画像抽出領域の中心座標を直前被写体位置という。なお、ここでは、被写体輝度が十分に高く、この時点においてサブ撮像素子での画素加算は行われないものとする。
【0039】
次にステップS403では、システム制御部303は、ステップS402で生成したサブ画像を用いて露出演算を行い、その結果をシステム制御部303に出力する。
【0040】
次にステップS404では、システム制御部303は、AEセンサ208での画素加算状態(画素加算を行うか否か)をメインメモリ307に保存する。前述したようにこの時点では画素加算は行われていないので、画素加算が行われていないこと(画素非加算であること)をメインメモリ307に保存する。
【0041】
次にステップS405では、システム制御部303は、ステップS401での合焦位置演算の結果およびステップS403での露出演算の結果に基づいて、フォーカス駆動信号および絞り駆動信号をそれぞれレンズ駆動部314および絞り制御部313に送信する。これにより、撮影光学系の合焦状態が得られるとともに、絞り214の開口径が調節される。
【0042】
次にステップS406では、システム制御部303は、ユーザがレリーズボタンの全押し操作を行うか半押し操作を解除するまで待機する。そして、操作検出部308からSW2信号またはSW1解除信号が入力されると、ステップS407に進む。
【0043】
ステップS407では、システム制御部303は、ステップS406で入力された信号がSW1解除信号かSW2信号かを判断する。SW1解除信号であれば連写処理を終了し、SW2信号であればステップS408に進んで連写動作を開始する。
【0044】
ステップS408では、システム制御部303は、ミラー制御部309にミラー駆動信号を出力して、ミラー203,204をアップ状態に向けて動作させる。
【0045】
続いてステップS409では、システム制御部303は、シャッタ制御部310にシャッタ駆動信号を出力してシャッタ210を開閉させ、メイン撮像素子211を露光する。そして、システム制御部303は、メイン撮像素子211からの出力信号を用いてメイン画像を生成し、前述したモニタ212への表示と画像記録部311での記録媒体への記録とを行う。
【0046】
次にステップS410では、システム制御部303は、ミラー制御部309にミラー駆動信号を出力し、ミラー203,204をミラーダウン状態に向けて動作させる。
【0047】
次に、ステップS411では、システム制御部303は、SW2保持状態が解除された(SW2解除信号を受け取った)か否かを判断する。SW2解除信号を受け取っていれば連写処理を終了する。SW2解除信号を受け取っていなければステップS412に進む。
【0048】
ステップS412では、システム制御部303は、メインメモリ307に保存されている前回のフローにおけるAEセンサ208の画素加算状態を読み出し、それが画素非加算か否かを判断する。画素非加算であればステップS413に進み、画素加算であればステップS415に進む。
【0049】
ステップS413では、システム制御部303は、現在の被写体輝度(測光の結果)に応じて、今回のフローにおいてAEセンサ208からの信号読み出しを画素加算とするか否か、つまりは画素非加算から画素加算に切り換えるか否かを判断する。画素非加算から画素加算に切り換えるときはステップS414に進み、そうでなければ(画素非加算のままであれば)ステップS417に進む。ステップS417では、前回のフローから実行されている被写体追跡処理を続行する。
【0050】
ステップS414では、システム制御部303は、AEセンサ208からの信号読み出しが画素加算による読み出しとなったことで、サブ画像での被写体探索を精度良く行えないものとして被写体探索および被写体追跡処理を中止(制限)する。そして、ステップS418に進む。
【0051】
一方、ステップS415では、システム制御部303は、現在の被写体輝度(測光の結果)に応じて、今回のフローにおいてAEセンサ208からの信号読み出しを画素非加算とするか否か、つまりは画素加算から画素非加算に切り換えるか否かを判断する。画素加算から画素非加算に切り換えるときはステップS416に進み、そうでなければ(画素加算のままであれば)ステップS418に進む。
【0052】
ステップS416では、システム制御部303は、AEセンサ208からの信号読み出しが画素非加算となり、サブ画像での被写体探索を精度良く行えるものとして、該被写体探索を開始する。具体的には、システム制御部303は、AEセンサ208からの出力信号を用いてサブ画像を生成するとともに、メインメモリ307からテンプレート画像を読み出す。そして、これら2つの画像の相関(マッチング)を取り、サブ画像中におけるテンプレート画像に含まれる特定被写体と同じ被写体の位置を検出する。
【0053】
被写体探索のためのマッチングを行うに際して、まずシステム制御部303は、メインメモリ307から直前被写体位置を読み出す。そして、図5に示すように、第1段階としてサブ画像中にてマッチングを行う範囲を、直前被写体位置を中心とした狭い第1の被写体探索範囲(上下方向に焦点検出領域3つおよび左右方向に焦点検出領域5つの範囲)に限定する。
【0054】
なお、第1の被写体探索範囲にて特定被写体を検出できない場合には、第2段階としてサブ画像中にてマッチングを行う範囲をサブ画像のほぼ全域に相当する広い第2の被写体探索範囲に限定する。
【0055】
さらに、システム制御部303は、サブ画像およびテンプレート画像の解像度をもとの解像度の1/2に変換した上でマッチングを行う。マッチングを第1の被写体探索範囲で行ったり1/2解像度の画像を用いて行ったりすることにより、マッチングを高速で行うことができ、この後のフォーカスレンズ駆動を含めた被写体追跡処理に要する時間を短縮することができる。こうして被写体探索を開始した後、システム制御部303は、ステップS417に進み、被写体追跡処理を開始する。以下の説明において、ステップS416にてAEセンサ208の出力信号から生成した1/2解像度のサブ画像を第1のサブ画像という。
【0056】
また、システム制御部303は、サブ画像中にて検出した位置を中心とする所定領域の画像を新たなテンプレート画像として抽出し、該新たなテンプレート画像とその画像抽出領域の中心座標とがメインメモリ307に保存される。保存された新たなテンプレート画像と画像抽出領域の中心座標は、次回の被写体探索に用いられる。この後、システム制御部303は、ステップS418に進む。
【0057】
ステップS418では、システム制御部303は、今回のフローでのAEセンサ208の画素加算状態をメインメモリ307に保存する。
【0058】
次にステップS419では、システム制御部303は、再びAEセンサ208の出力信号を用いて第2のサブ画像を生成し、ステップS416で生成した第1のサブ画像との足し合わせを行って新たなサブ画像(以下、合成サブ画像という)を生成する。そして、システム制御部303は、合成サブ画像を用いて露出演算を行い、その結果を保存する。このように、露出演算を合成サブ画像を用いて行うことにより、第1のサブ画像を用いて行う場合に比べて、ノイズを低下させたり画素値を増加させたりすることができ、安定した露出演算を行うことができる。
【0059】
次にステップS420では、システム制御部303は、被写体追跡処理中である場合はサブ画像中で検出された特定被写体の位置に対応する焦点検出領域にて焦点検出および合焦位置演算を行う。また、被写体追跡処理中でない場合はステップS401にて選択された焦点検出領域にて焦点検出および合焦位置演算を行う。
【0060】
続いてステップS421では、システム制御部303は、ステップS420での合焦位置演算の結果およびステップS419での露出演算の結果に基づいて、フォーカス駆動信号および絞り駆動信号をそれぞれレンズ駆動部314および絞り制御部313に送信する。これにより、撮影光学系の合焦状態が得られるとともに、絞り214の開口径が調節される。この後は、システム制御部303は、ステップS408に戻る。
【0061】
以上説明したように、本実施例によれば、サブ撮像素子からの信号読み出しにおいて画素加算を行うことにより、ダイナミックレンジを拡大した良好な測光を行うことができる。さらに、サブ撮像素子からの信号読み出しにおいて画素加算を行わず、十分な解像度を有するサブ画像を生成することで、該サブ画像における精度の高い被写体探索を行うことができ、良好な被写体追従処理を行うことができる。
【0062】
しかも、被写体探索(および被写体追従処理)を行っているときに画素加算を行うとの選択がなされること(画素加算への切り換え)に応じて自動的に被写体探索を中止(中断)し、画素非加算の状態に戻ることで自動的に被写体探索が再開される。このため、上述した良好な測光と精度の高い被写体探索(良好な被写体追従処理)の自動切り換えを、ユーザに切り換え操作等の負担をかけることなく、実行することができる。
【0063】
なお、上記実施例では、テンプレートマッチングによるサブ画像での被写体探索を行う際のテンプレート画像として、最初に保存した1つの画像のみを用いる場合について説明した。しかし、連写中に新たに生成された画像から特定被写体を含む領域を切り出して新たなテンプレート画像としてもよい。
【0064】
また、被写体探索を、上記実施例で説明したテンプレートマッチングによって行うだけでなく、色情報を用いた被写体探索や、顔検出による結果を用いた被写体探索を行ってもよい。さらに、オプティカルフローを利用した動体解析やエッジ検出によるシーン認識技術を用いて被写体探索を行ってもよい。
【0065】
また、上記実施例では、画素加算を行わないときは被写体探索を行い、画素加算を行うときは被写体探索を中止(中断または禁止)する場合について説明した。しかし、画素加算を行うときの被写体探索に対して、中止を含めた何らかの制限を加えればよい。制限には、中止だけでなく、特定の条件の下でのみ被写体探索を許可するというように中止以外の対処も含まれる。例えば、画素加算して生成されたサブ画素中の特定被写体の大きさが、該特定被写体を良好な精度で検出可能な大きさである場合に限り被写体探索を許可してもよい。また、テンプレート画像を画素加算の度合いに応じて縮小して使用することで被写体探索を許可するようにしてもよい。また、被写体探索を特定被写体の色を検出する方法(色追跡)で行うことで被写体探索を許可してもよい。この場合に、テンプレート画像を特定被写体の色で塗りつぶす処理を行ってもよい。
【0066】
さらに、画素加算を行うときに被写体探索を中止等、制限するのではなく、画素加算を行わない場合と同様に被写体探索を許可するが、その結果の使用を制限する(使用を禁止したり、信頼度が低いとして暫定的な使用のみを許可したりする)ようにしてもよい。この場合のシステム制御部303による処理(制御方法)は、基本的に図4のフローチャートで示した処理と同様に行われる。ただし、図4中のステップS414を、「被写体探索および被写体追跡処理を中止(制限)する」から、「被写体探索および被写体追跡処理の結果の使用を制限する」に変更する。
【0067】
そして、この場合も、被写体探索の結果の使用が許可されているときに画素加算を行うとの選択をすることに応じて被写体探索の結果の使用を制限し、該画素加算を行わない状態に戻ることで該結果の使用を再許可するようにすることができる。
【0068】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0069】
良好な測光と高精度の被写体探索とを行える撮像装置を提供できる。
【符号の説明】
【0070】
201 カメラ
202 交換レンズ
208 AEセンサ(サブ撮像素子)
211 メイン撮像素子
303 システム制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系からの光により形成された光学像をそれぞれ光電変換する第1の撮像素子および第2の撮像素子と、
前記第1の撮像素子からの出力を用いて表示および記録用の第1の画像を生成する撮像系と、
前記第2の撮像素子からの出力を用いて第2の画像を生成し、該第2の画像を用いて測光および被写体探索を行う検出系とを有し、
前記検出系は、前記測光において前記第2の撮像素子からの出力の画素加算を行うか否かの選択が可能であり、該画素加算を行わないときは前記被写体探索を行い、前記画素加算を行うときは前記被写体探索を制限することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記検出系は、前記被写体探索を行っているときに前記画素加算を行うとの選択をすることに応じて該被写体探索を制限し、該画素加算を行わない状態に戻ることで前記被写体探索を再開することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
撮影光学系からの光により形成された光学像をそれぞれ光電変換する第1の撮像素子および第2の撮像素子と、
前記第1の撮像素子からの出力を用いて表示および記録用の第1の画像を生成する撮像系と、
前記第2の撮像素子からの出力を用いて第2の画像を生成し、該第2の画像を用いて測光および被写体探索を行う検出系とを有し、
前記検出系は、前記測光において前記第2の撮像素子からの出力の画素加算を行うか否かの選択が可能であり、該画素加算を行わないときの前記被写体探索の結果の使用を許可し、前記画素加算を行ったときの前記被写体探索の結果の使用を制限することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
前記検出系は、前記被写体探索の結果の使用が許可されているときに前記画素加算を行うとの選択をすることに応じて該結果の使用を制限し、該画素加算を行わない状態に戻ることで該結果の使用を再許可することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
撮影光学系からの光により形成された光学像をそれぞれ光電変換する第1の撮像素子および第2の撮像素子と、前記第1の撮像素子からの出力を用いて表示および記録用の第1の画像を生成する撮像系と、前記第2の撮像素子からの出力を用いて第2の画像を生成し、該第2の画像を用いて測光および被写体探索を行う検出系とを有する撮像装置の制御方法であって、
前記測光において前記第2の撮像素子からの出力の画素加算を行うか否かを選択するステップと、
前記画素加算を行わないときは前記被写体探索を行い、前記画素加算を行うときは前記被写体探索を制限するステップとを有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項6】
撮影光学系からの光により形成された光学像をそれぞれ光電変換する第1の撮像素子および第2の撮像素子と、前記第1の撮像素子からの出力を用いて表示および記録用の第1の画像を生成する撮像系と、前記第2の撮像素子からの出力を用いて第2の画像を生成し、該第2の画像を用いて測光および被写体探索を行う検出系とを有する撮像装置の制御方法であって、
前記測光において前記第2の撮像素子からの出力の画素加算を行うか否かを選択するステップと、
前記画素加算を行わないときの前記被写体探索の結果の使用を許可し、前記画素加算を行ったときの前記被写体探索の結果の使用を制限するステップとを有することを特徴とする撮像装置の制御方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−253462(P2012−253462A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−122786(P2011−122786)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】