説明

撮像装置および画像処理プログラム

【課題】 暗部階調の補正を行う際に、ハイライト部のコントラストを改善しつつ、画像全体の明るさを維持すること。
【解決手段】 被写体像を撮像して画像データを生成する撮像部と、画像データの暗部階調の補正を行わない第1の撮影モードと、画像データの暗部階調の補正を行う第2の撮影モードとの何れかを選択する選択部と、第1の撮影モードが選択された場合には第1の入出力特性にしたがって階調変換処理を行い、第2の撮影モードが選択された場合には第1の入出力特性とは異なる第2の入出力特性にしたがって階調変換処理を行う階調変換処理部と、第2の撮影モードが選択された場合に、階調変換処理部により第2の入出力特性にしたがって階調変換処理が施された画像データの暗部階調の明度を向上する補正を行う補正部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置および画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、輝度差の大きな被写体を撮影することにより、画像データの暗部階調が暗く潰れるという現象が知られている。そこで、特許文献1の発明では、暗部階調のゲインを上げることで階調を圧縮し、暗部階調の黒つぶれを改善している。
【特許文献1】特許2663189号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述した特許文献1の発明では、上述した階調圧縮にともなって、画像全体の印象も明るくなる。この結果、階調圧縮を行った画像と行っていない画像とで明るさの印象が異なりユーザが違和感を感じるという問題があった。また、上述した暗部階調の黒潰れと逆に、ハイライト部の白とびを階調圧縮により改善する技術が考えられているが、白とびを抑えることによりハイライト部のコントラストが低下するという問題があった。
【0004】
本発明の撮像装置および画像処理プログラムは、暗部階調の補正を行う際に、ハイライト部のコントラストを改善しつつ、画像全体の明るさを維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の撮像装置は、被写体像を撮像して画像データを生成する撮像部と、前記画像データの暗部階調の補正を行わない第1の撮影モードと、前記画像データの暗部階調の補正を行う第2の撮影モードとの何れかを選択する選択部と、前記第1の撮影モードが選択された場合には第1の入出力特性にしたがって階調変換処理を行い、前記第2の撮影モードが選択された場合には前記第1の入出力特性とは異なる第2の入出力特性にしたがって階調変換処理を行う階調変換処理部と、前記第2の撮影モードが選択された場合に、前記階調変換処理部により前記第2の入出力特性にしたがって階調変換処理が施された前記画像データの暗部階調の明度を向上する補正を行う補正部とを備える。
【0006】
なお、好ましくは、前記第2の入出力特性は、階調の暗部において、同じレベルの入力に対して前記第1の入出力特性よりも低い出力レベルを実現する特性を有しても良い。
【0007】
また、好ましくは、前記第2の入出力特性は、階調の暗部において、前記第1の入出力特性よりも小さい傾きを有する階調カーブにより定義されても良い。
【0008】
また、好ましくは、前記第2の入出力特性は、階調の明部において、前記第1の入出力特性よりもコントラストを強調する特性を有しても良い。
【0009】
また、好ましくは、前記第2の入出力特性は、階調の明部において、前記第1の入出力特性よりも大きい傾きを有する階調カーブにより定義されても良い。
【0010】
また、好ましくは、前記補正部による暗部階調の明度向上量を取得する取得部をさらに備え、前記階調変換処理部は、前記明度向上量にしたがって、予め定められた複数の入出力特性から何れかの入出力特性を前記第2の入出力特性として選択し、選択した入出力特性にしたがって前記階調変換処理を行い、前記補正部は、前記明度向上量にしたがって、前記画像データの暗部階調を補正しても良い。
【0011】
また、好ましくは、前記補正部による暗部階調の明度向上量を取得する取得部をさらに備え、前記階調変換処理部は、前記明度向上量にしたがって前記第2の入出力特性を決定し、決定した入出力特性にしたがって前記階調変換処理を行い、前記補正部は、前記明度向上量にしたがって、前記画像データの暗部階調を補正しても良い。
【0012】
また、上記発明に関する構成を、処理対象の画像データに対する画像処理をコンピュータで実現するための画像処理プログラムに変換して表現したものも本発明の具体的態様として有効である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の撮像装置および画像処理プログラムによれば、暗部階調の補正を行う際に、ハイライト部のコントラストを改善しつつ、画像全体の明るさを維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態では、本発明のカメラの一例として、一眼レフタイプの電子カメラを用いて説明する。
【0015】
図1は、本実施形態の電子カメラ1の構成を示す図である。図1に示すように、電子カメラ1は、撮影レンズ2、絞り3、クイックリターンミラー4、サブミラー5、拡散スクリーン6、コンデンサレンズ7、ペンタプリズム8、ビームスプリッタ9、接眼レンズ10、結像レンズ11、AEセンサ12、シャッタ13、撮像素子14、焦点検出部15の各部を備える。
【0016】
AEセンサ12は、例えば、5分割の測光センサである。撮像素子14は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの半導体デバイスである。焦点検出部15は、例えば、位相差方式の焦点検出を行い、撮影レンズ2の焦点状態を検出する。また、電子カメラ1は、AEセンサ12により検出される輝度に基づいて、コントラスト方式の焦点検出を行い、撮影レンズ2の焦点状態を検出する。位相差方式の焦点検出とコントラスト方式の焦点検出とのどちらを行うかは、ユーザ操作に応じて設定可能とするのが好ましい。また、位相差方式の焦点検出とコントラスト方式の焦点検出とを組み合わせて撮影レンズ2の焦点状態を検出する構成としても良い。
【0017】
また、電子カメラ1は、撮像により生成された画像などを表示する液晶モニタなどのモニタ16、各部を制御する制御部17をさらに備える。制御部17は、内部に不図示のメモリを備え、各部を制御するためのプログラムを予め記録する。
【0018】
非撮影時、すなわち撮影を行わない場合には、クイックリターンミラー4は、図1に示すように、45°の角度に配置される。そして、撮影レンズ2および絞り3を通過した光束は、クイックリターンミラー4で反射され、拡散スクリーン6、コンデンサレンズ7、ペンタプリズム8、ビームスプリッタ9を介して接眼レンズ10に導かれる。ユーザは、接眼レンズ10を介して被写体の像を目視することにより構図確認を行う。一方、ビームスプリッタ9により、上方に分割された光束は、結像レンズ11を介してAEセンサ12の撮像面上に再結像される。また、クイックリターンミラー4を透過した光束は、サブミラー5を介して焦点検出部15に導かれる。
【0019】
一方、撮影時には、クイックリターンミラー4が、破線で示す位置に退避してシャッタ13が開放し、撮影レンズ2からの光束は撮像素子14に導かれる。
【0020】
図2は、本実施形態の電子カメラ1の機能ブロック図である。図2に示すように、電子カメラ1は、図1の構成に加えて、タイミングジェネレータ20、信号処理部21、A/D変換部22、バッファメモリ23、バス24、カードインターフェース25、圧縮伸長部26、画像表示部27の各部を備える。タイミングジェネレータ20は、撮像素子14に出力パルスを供給する。また、撮像素子14で生成される画像データは、信号処理部21(撮像感度に対応するゲイン調整部を含む)およびA/D変換部22を介して、バッファメモリ23に一時記憶される。バッファメモリ23は、バス24に接続される。このバス24には、カードインターフェース25、図1で説明した制御部17、圧縮伸張部26、および画像表示部27が接続される。カードインターフェース25は、着脱自在なメモリカード28と接続し、メモリカード28に画像データを記録する。また、制御部17には、電子カメラ1のスイッチ群29(不図示のレリーズ釦などを含む)、タイミングジェネレータ20、およびAEセンサ12が接続される。さらに、画像表示部27は、電子カメラ1の背面に設けられたモニタ16に画像などを表示する。
【0021】
また、電子カメラ1は、画像データの暗部階調の補正を行わない階調非圧縮モードと、暗部階調の補正を行う階調圧縮モードとを備える。何れのモードにより撮影を実行するかは、ユーザによりスイッチ群29を介して予め選択される。また、階調圧縮モードにおいては、階調圧縮量(明度向上量)の大きさを2段階(大/小)に設定可能である。この設定も、ユーザによりスイッチ群29を介して予め行われる。
【0022】
以上説明した構成の電子カメラ1の撮影時の動作について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。
【0023】
ステップS1において、制御部17は、ユーザによりスイッチ群29を介して撮影開始が指示されたか否かを判定する。そして、制御部17は、撮影開始が指示されたと判定するとステップS2に進む。
【0024】
ステップS2において、制御部17は、各部を制御し、撮像素子14により被写体像を撮像して画像データを生成する。撮像素子14により生成された画像データは、信号処理部21およびA/D変換部22を介して、バッファメモリ23に一時記憶される。
【0025】
ステップS3において、制御部17は、バッファメモリ23から画像データを読み出し、通常の画像処理を行う。通常の画像処理とは、ホワイトバランス調整、補間処理、色調補正処理などである。各処理の具体的な方法は公知技術と同様であるため説明を省略する。
【0026】
ステップS4において、制御部17は、階調圧縮モードであるか否かを判定する。そして、制御部17は、階調圧縮モードであると判定すると後述するステップS6に進む。一方、階調圧縮モードでない(階調非圧縮モードである)と判定すると、制御部17はステップS5に進む。
【0027】
ステップS5において、制御部17は、階調カーブG1を選択する。階調カーブは、後述するステップS6またはステップS10で行われる階調変換処理に用いられるものである。制御部17は、内部の不図示のメモリに、図4に示す3種類の階調カーブ(G1〜G3)を予め記録している。
【0028】
階調非圧縮モードにおいては、制御部17は、図4に示す階調カーブG1を選択する。階調カーブG1は公知技術と同様の通常の階調変換処理に用いられる階調カーブである。ただし、階調カーブG1は、図4に示すように、点P1よりも暗部側においてガンマ特性を有し、点P1よりも明部側においてニー特性を有する。ニー特性については、本出願人が既に出願した特開2006−287323号公報と同様である。階調カーブG1がニー特性を有することにより、明部(ハイライト部)の白とびを抑えることができる。
【0029】
ステップS6において、制御部17は、ステップS5で選択した階調カーブG1にしたがって、ステップS3で画像処理を施した画像データに対して階調変換処理を行う。階調変換処理の詳細は公知技術と同様であるため説明を省略する。そして、制御部17は、後述するステップS12に進む。
【0030】
ステップS7において、制御部17は、階調圧縮量が「大」であるか否かを判定する。そして、制御部17は、階調圧縮量が「大」であると判定すると後述するステップS9に進む。一方、階調圧縮量が「大」でない(階調圧縮量が「小」である)と判定すると、制御部17はステップS8に進む。
【0031】
ステップS8において、制御部17は、階調カーブG2を選択する。階調カーブG2は、図4に示すように、点P2よりも暗部側においてガンマ特性を有し、点P2よりも明部側においてニー特性を有する。ただし、階調カーブG2は、上述した階調カーブG1と比較して、階調の暗部において、入力レベルに対して低い出力レベルを実現する特性を有する。そのため、上述した階調カーブG1と比較して、階調の暗部において、階調カーブG1よりも小さい傾きを有する。また、階調カーブG2は、上述した階調カーブG1と比較して、階調の明部において、コントラストをより強調する特性を有する。そのため、上述した階調カーブG1と比較して、階調の明部において、階調カーブG1よりも大きい傾きを有する。
【0032】
ステップS9において、制御部17は、階調カーブG3を選択する。階調カーブG3は、図4に示すように、暗部側のガンマ特性と明部側のニー特性とが連続した特性を有する。ただし、階調カーブG3は、上述した階調カーブG2と比較して、階調の暗部において、入力レベルに対してさらに低い出力レベルを実現する特性を有する。そのため、上述した階調カーブG1および階調カーブG2と比較して、階調の暗部において、階調カーブG1および階調カーブG2よりも小さい傾きを有する。また、階調カーブG3は、上述した階調カーブG2と比較して、階調の明部において、コントラストをさらに強調する特性を有する。そのため、上述した階調カーブG1および階調カーブG2と比較して、階調の明部において、階調カーブG1および階調カーブG2よりも大きい傾きを有する。
【0033】
ステップS10において、制御部17は、ステップS8で選択した階調カーブG2またはステップS9で選択した階調カーブG3にしたがって、ステップS3で画像処理を施した画像データに対して階調変換処理を行う。階調変換処理の詳細は公知技術と同様であるため説明を省略する。そして、制御部17は、後述するステップS11に進む。
【0034】
ステップS10における階調変換処理では、図4に示すように、階調の暗部において通常の階調カーブG1よりも小さい傾きを有するとともに、階調の明部において階調カーブG1よりも大きい傾きを有する階調カーブG2または階調カーブG3が用いられる。その結果、通常の階調カーブG1にしたがって行われる階調変換処理よりも全体的に暗めの階調変換処理が施されることになる。また、白とびを抑えつつ、ハイライト部のコントラストを改善することができる。
【0035】
ステップS11において、制御部17は、ステップS10で階調圧縮処理を施した画像データに対して階調圧縮処理を行う。
【0036】
図5は、階調圧縮のパラメータfgを示す図である。パラメータfgは、図5に示すように、画像の明度Yに応じたゲインを有する。そして、明度Yが小さいほど(処理画素を含む近傍範囲が暗いほど)、パラメータfgは大きくなる。逆に、明度Yが大きいほど(処理画素を含む近傍範囲が明るいほど)、パラメータfgは1に近づく。なお、図5中のF2は、階調圧縮量の大きさが「小」である場合のパラメータfgを示し、F3は、階調圧縮量の大きさが「大」である場合のパラメータfgを示す。すなわち、ステップS10において階調カーブG2にしたがって階調変換処理を行った場合には、図5のF2に示すパラメータfgを用いて階調圧縮処理を行う。また、ステップS10において階調カーブG3にしたがって階調変換処理を行った場合には、図5のF3に示すパラメータfgを用いて階調圧縮処理を行う。
【0037】
各画素R[x,y],G[x,y],B[x,y]における階調圧縮演算は以下の式1から式4により行う。
【0038】
【数1】

式1〜式4中のYは、Yは注目画素の輝度値を示す。また、式1中のkr,kg,kbは所定の係数である。また、式2〜式4中のLpwは、注目画素周りのローパスフィルタであり、このローパスフィルタは、図6に示す特性を有する。また、式2〜式4中のfgは、上述したパラメータfgに対応する。
【0039】
ステップS12において、制御部17は、ステップS11で階調圧縮処理を施した画像データ、またはステップS6で階調変換処理を施した画像データを、カードインターフェース25を介してメモリカード28に記録し、一連の処理を終了する。なお、画像データをメモリカード28に記録する前に、圧縮伸長部26を介して、必要に応じて画像圧縮処理(JPEG圧縮処理など)を施しても良い。
【0040】
以上説明したように、本実施形態によれば、画像データの暗部階調の補正を行わない第1の撮影モードと、暗部階調の補正を行う第2の撮影モードとを選択可能に有し、第1の撮影モードが選択された場合には第1の入出力特性にしたがって階調変換処理を行い、第2の撮影モードが選択された場合には第1の入出力特性とは異なる第2の入出力特性にしたがって階調変換処理を行う。そして、第2の撮影モードが選択された場合には、階調変換処理部により第2の入出力特性にしたがって階調変換処理が施された画像データの暗部階調の明度を向上する補正を行う。したがって、暗部階調の補正を行う前段階として最適な階調変換処理を行うことができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、第2の入出力特性は、階調の暗部において、同じレベルの入力に対して第1の入出力特性よりも低い出力レベルを実現する特性を有する。また、本実施形態によれば、第2の入出力特性は、階調の暗部において、第1の入出力特性よりも小さい傾きを有する階調カーブにより定義される。したがって、階調変換処理の結果を暗めに抑えておくことができるので、階調圧縮処理の前後で画像全体の明るさを維持することができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、第2の入出力特性は、階調の明部において、第1の入出力特性よりもコントラストを強調する特性を有する。また、本実施形態によれば、第2の入出力特性は、階調の明部において、第1の入出力特性よりも大きい傾きを有する階調カーブにより定義される。したがって、白とびを抑えつつ、ハイライト部のコントラストを改善することができる。したがって、好ましい描写の画像を生成することができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、暗部階調の明度向上量にしたがって、予め定められた複数の入出力特性から何れかの入出力特性を第2の入出力特性として選択し、選択した入出力特性にしたがって階調変換処理を行うとともに、明度向上量にしたがって、画像データの暗部階調を補正する。したがって、暗部階調の明度向上量に応じた最適な階調変換処理を行うことができる。
【0044】
なお、本実施形態では、図4に示した複数の階調カーブ(階調カーブG1〜G3)から何れかの階調カーブを選択して使用する例を示したが、制御部17が、階調圧縮量に応じて適宜階調カーブを決定する構成としても良い。このような構成とすることにより、階調圧縮量に応じた最適な階調変換処理を行うことができる。
【0045】
また、本実施形態では、階調圧縮量(明度向上量)の大きさを2段階(大/小)に設定可能である例を示したが、制御部17により自動的に階調圧縮量を決定する構成としても良い。例えば、画像データを複数の領域に分割し、輝度最大の領域と輝度最小の領域との輝度差を求め、その輝度差に応じて階調圧縮量を決定する構成としても良い。また、明部のコントラストに応じて階調圧縮量を決定する構成としても良い。
【0046】
また、本実施形態では、階調変換処理に用いる階調カーブを、階調圧縮量に応じて調整する例を示したが、さらに、露出補正による影響を加味する構成としても良い。例えば、露出補正により画像全体の明るさの維持をある程度実現することができる場合には、階調圧縮時に用いる階調カーブの変更量を少なめとしても良い。
【0047】
また、本実施形態では、図4で説明したように、階調非圧縮時の階調カーブ(階調カーブG1)に対して、階調圧縮時の階調カーブ(階調カーブG2およびG3)の明部と暗部との両方の特性を変更する例を示したが、一方のみの特性を変更する構成としても良い。例えば、階調の暗部においてのみ、階調カーブG1よりも小さい傾きを有する構成としても良いし、階調の明部においてのみ、階調カーブG1よりも大きい傾きを有する構成としても良い。さらに、階調圧縮時の階調カーブ(階調カーブG2およびG3)を、撮影モード(例えば、「ポートレートモード」、「風景モード」など)に応じて変更する構成としても良いし、画像のコントラストの強弱に応じて変更する構成としても良いし、画像の調整モードに応じて変更する構成としても良い。
【0048】
また、上述した実施形態では、本発明の技術を電子カメラ1において実現する例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、コンパクトタイプの電子カメラや動画撮影を行うムービーカメラなどにも本発明を同様に適用することができる。
【0049】
また、コンピュータと画像処理プログラムとにより、本実施形態で説明した画像処理装置をソフトウェア的に実現しても良い。この場合、図3のフローチャートで説明したステップS4以降の処理の一部または全部をコンピュータで実現する構成とすれば良い。コンピュータで実現するためには、画像データとともに、階調圧縮モードであるか否かの情報や、階調圧縮量を示す情報などをコンピュータに供給すれば良い。このような情報は画像データのEXIF情報などを利用して供給することができる。このような構成とすることにより、本実施形態と同様の処理を実施することが可能になる。
【0050】
なお、本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、前述の実施例はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本実施形態の電子カメラ1の構成を示す図である。
【図2】本実施形態の電子カメラ1の機能ブロック図である。
【図3】本実施形態の電子カメラ1の撮影時の動作を示すフローチャートである。
【図4】階調カーブについて説明する図である。
【図5】階調圧縮のパラメータfgについて説明する図である。
【図6】ローパスフィルタについて説明する図である。
【符号の説明】
【0052】
1…電子カメラ,2…撮影レンズ,14…撮像素子,17…制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像して画像データを生成する撮像部と、
前記画像データの暗部階調の補正を行わない第1の撮影モードと、前記画像データの暗部階調の補正を行う第2の撮影モードとの何れかを選択する選択部と、
前記第1の撮影モードが選択された場合には第1の入出力特性にしたがって階調変換処理を行い、前記第2の撮影モードが選択された場合には前記第1の入出力特性とは異なる第2の入出力特性にしたがって階調変換処理を行う階調変換処理部と、
前記第2の撮影モードが選択された場合に、前記階調変換処理部により前記第2の入出力特性にしたがって階調変換処理が施された前記画像データの暗部階調の明度を向上する補正を行う補正部と
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記第2の入出力特性は、階調の暗部において、同じレベルの入力に対して前記第1の入出力特性よりも低い出力レベルを実現する特性を有する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記第2の入出力特性は、階調の暗部において、前記第1の入出力特性よりも小さい傾きを有する階調カーブにより定義される
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記第2の入出力特性は、階調の明部において、前記第1の入出力特性よりもコントラストを強調する特性を有する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置において、
前記第2の入出力特性は、階調の明部において、前記第1の入出力特性よりも大きい傾きを有する階調カーブにより定義される
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記補正部による暗部階調の明度向上量を取得する取得部をさらに備え、
前記階調変換処理部は、前記明度向上量にしたがって、予め定められた複数の入出力特性から何れかの入出力特性を前記第2の入出力特性として選択し、選択した入出力特性にしたがって前記階調変換処理を行い、
前記補正部は、前記明度向上量にしたがって、前記画像データの暗部階調を補正する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記補正部による暗部階調の明度向上量を取得する取得部をさらに備え、
前記階調変換処理部は、前記明度向上量にしたがって前記第2の入出力特性を決定し、決定した入出力特性にしたがって前記階調変換処理を行い、
前記補正部は、前記明度向上量にしたがって、前記画像データの暗部階調を補正する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
処理対象の画像データに対する画像処理をコンピュータで実現するための画像処理プログラムであって、
前記画像データと、前記画像データの暗部階調の補正を行わない第1の撮影モードと前記画像データの暗部階調の補正を行う第2の撮影モードとの何れのモードにより前記画像データが生成されたかを示す情報とを取得する取得ステップと、
前記画像データが前記第1の撮影モードにより生成された場合には第1の入出力特性にしたがって階調変換処理を行い、前記画像データが前記第2の撮影モードにより生成された場合には前記第1の入出力特性とは異なる第2の入出力特性にしたがって階調変換処理を行う階調変換処理ステップと、
前記画像データが前記第2の撮影モードにより生成された場合に、前記階調変換処理ステップにおいて前記第2の入出力特性にしたがって階調変換処理が施された前記画像データの暗部階調の明度を向上する補正を行う補正ステップと
をコンピュータで実現することを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項9】
請求項8に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記第2の入出力特性は、階調の暗部において、同じレベルの入力に対して前記第1の入出力特性よりも低い出力レベルを実現する特性を有する
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記第2の入出力特性は、階調の暗部において、前記第1の入出力特性よりも小さい傾きを有する階調カーブにより定義される
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項11】
請求項8に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記第2の入出力特性は、階調の明部において、前記第1の入出力特性よりもコントラストを強調する特性を有する
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記第2の入出力特性は、階調の明部において、前記第1の入出力特性よりも大きい傾きを有する階調カーブにより定義される
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項13】
請求項8に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記取得ステップでは、前記補正ステップにおける暗部階調の明度向上量をさらに取得し、
前記階調変換処理ステップでは、前記明度向上量にしたがって、予め定められた複数の入出力特性から何れかの入出力特性を前記第2の入出力特性として選択し、選択した入出力特性にしたがって前記階調変換処理を行い、
前記補正ステップでは、前記明度向上量にしたがって、前記画像データの暗部階調を補正する
ことを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項14】
請求項8に記載の画像処理プログラムにおいて、
前記取得ステップでは、前記補正ステップにおける暗部階調の明度向上量をさらに取得し、
前記階調変換処理ステップでは、前記明度向上量にしたがって前記第2の入出力特性を決定し、決定した入出力特性にしたがって前記階調変換処理を行い、
前記補正ステップでは、前記明度向上量にしたがって、前記画像データの暗部階調を補正する
ことを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−301371(P2008−301371A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−147327(P2007−147327)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】