説明

撮像装置および表示制御方法

【課題】ファインダ窓を覗いた際に撮影禁止状態であることが容易に認識できる撮像装置の技術を提供する。
【解決手段】撮像装置1は、電源スイッチにより電源オン状態と電源オフ状態との切替えが可能であり、電源オフ状態では、シャッターボタンによる撮影指示の入力があっても撮影動作を実行しない撮影禁止状態に設定される。また、撮像装置1は、撮影レンズユニット3を介して入射された被写体光をファインダ窓10に導く光学ファインダ10の光路LQ上に設けられる透過型表示部16を備えている。この透過型表示部16は、被写体光を透過させる透明状態と不透明状態との切替えが可能な表示画面を有しており、電源オフ状態で撮影禁止状態に設定される場合には表示画面が不透明状態にされる。これにより、ファインダ窓10を覗いた際に撮影禁止状態であるこが容易に把握できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ファインダを備えた撮像装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル一眼レフカメラなどの撮像装置においては、電源スイッチによって電源がオフにされた場合や、パワーセーブモードに移行された場合には、シャッターボタンを操作しても即座に撮影できない状態(撮影禁止状態)に遷移するものが多い。このような撮影禁止状態ではユーザがファインダ窓を覗いて撮影しようとしても、即時の撮影を行えないためシャッターチャンスを逃してしまうことがある。
【0003】
一方、光学ファインダの光路上に透過型の液晶パネルを設け、その透過率を変化させることにより撮影の際に焦点検出領域(AFエリア)などの表示をファインダ窓の被写体像に重畳させるスーパーインポーズ表示を行える撮像装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−110564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の撮像装置では、その電源オン時にユーザがファインダ窓を覗いて撮影する際にはAFエリア等を適切に認識できるものの、電源オフ時等での撮影禁止状態においては、撮影禁止状態であることをユーザに適切に認識させるようには構成されていない。これでは、上述のようにシャッターチャンスを逸してしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ファインダ窓を覗いた際に撮影禁止状態であることが容易に認識できる撮像装置の技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面は、撮像装置であって、撮影指示の入力に応じて撮影動作を制御する撮影制御手段と、撮像装置がアクティブな状態と、当該状態より消費電力が低い低電力状態との切替えを行う切替手段と、撮影光学系を介して入射された被写体光を所定の光路に沿ってファインダ窓に導く光学ファインダ手段と、前記所定の光路上に設けられ、前記被写体光を透過させる透過状態と前記透過状態より透過率が低い低透過状態との切替えが可能な表示画面を有する透過型表示手段と、前記表示画面に関して前記透過状態と前記低透過状態との間で前記透過率に関する制御を行う表示制御手段とを備えており、前記撮影制御手段は、前記撮影指示の入力があっても前記撮影動作を実行しない撮影禁止状態に設定する撮影禁止手段を有するとともに、前記表示制御手段は、前記低電力状態において前記撮影禁止状態に設定される場合には、前記表示画面における所定の領域を前記低透過状態にする手段を有する。
【0008】
本発明の第2の側面は、表示制御方法であって、撮影指示の入力に応じて撮像装置での撮影動作を制御する撮影制御工程と、撮像装置がアクティブな状態と、当該状態より消費電力が低い低電力状態との切替えを行う切替工程と、撮影光学系を介して入射された被写体光をファインダ窓に導く光学ファインダ手段の光路上に設けられ、前記被写体光を透過させる透過状態と前記透過状態より透過率が低い低透過状態との切替えが可能な透過型表示手段の表示画面に関して、前記透過状態と前記低透過状態との間で前記透過率に関する制御を行う表示制御工程とを備えており、前記撮影制御工程は、前記撮影指示の入力があっても前記撮影動作を実行しない撮影禁止状態に設定する撮影禁止工程を有するとともに、前記表示制御工程は、前記低電力状態において前記撮影禁止状態に設定される場合には、前記表示画面における所定の領域を前記低透過状態にする工程を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アクティブな状態より消費電力が低い低電力状態において、撮影指示の入力があっても撮影動作を実行しない撮影禁止状態に設定される場合には、撮影光学系を介して入射された被写体光をファインダ窓に導く光学ファインダ手段の光路上に設けられ、被写体光を透過させる透過状態と透過状態より透過率が低い低透過状態との切替えが可能な透過型表示手段の表示画面における所定の領域を低透過状態にする。これにより、ファインダ窓を覗いた際に撮影禁止状態であることが容易に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る撮像装置の外観構成を示す図である。
【図2】撮像装置の外観構成を示す図である。
【図3】撮像装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】透過型表示部の構成を説明するための概念図である。
【図5】ファインダ窓に表示される画面を説明するための図である。
【図6】ファインダ窓に表示される画面を説明するための図である。
【図7】ファインダ窓に表示される画面を説明するための図である。
【図8】撮像装置の基本的な動作を示すフローチャートである。
【図9】ファインダ窓に表示される画面を説明するための図である。
【図10】ファインダ窓に表示される画面を説明するための図である。
【図11】透過型表示部の他の構成を説明するための概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
[撮像装置の要部構成]
図1および図2は、本発明の実施形態に係る撮像装置1の外観構成を示す図である。図1は、撮像装置1の背面外観図であり、図2は、撮像装置1の上面外観図である。この撮像装置1は、レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルカメラとして構成されている。
【0012】
図2等に示すように、撮像装置1は、カメラ本体部(カメラボディ)2を備えている。また、このカメラ本体部2に対して、交換式の撮影レンズユニット(交換レンズ)3が着脱可能である。
【0013】
撮影レンズユニット3は、主として、鏡胴36、ならびに鏡胴36の内部に設けられるレンズ群及び絞り等によって構成された撮影光学系として機能する。このレンズ群には、光軸方向に移動することによって焦点位置を変更するフォーカスレンズ等が含まれている。
【0014】
カメラ本体部2は、撮影レンズユニット3が装着される円環状のマウント部を正面略中央に備え、撮影レンズユニット3を着脱するための着脱ボタン89を円環状のマウント部付近に備えている。
【0015】
また、カメラ本体部2は、正面左端部(背面から見て右側)にユーザが把持するためのグリップ部14を備えている。グリップ部14の上面前側には露光開始等を指示するためのシャッターボタン11が設けられている。グリップ部14の内部には電池収納室とカード収納室とが設けられている。電池収納室にはカメラの電源として使用される電池9(図3参照)が収納されており、カード収納室には撮影画像の画像データを記録するためのメモリカードが着脱可能に収納されるようになっている。
【0016】
シャッターボタン11は、半押し状態(S1状態)と全押し状態(S2状態)との2つの状態を検出可能な2段階検出ボタンである。シャッターボタン11が半押しされS1状態になると、被写体に関する記録用静止画像(本撮影画像)を取得するための準備動作(例えば、AF制御動作およびAE制御動作等)が行われる。また、シャッターボタン11がさらに押し込まれてS2状態になると、本撮影の撮影動作(撮像素子5(図3参照)を用いて被写体像に関する露光動作を行い、その露光動作によって得られた画像信号に所定の画像処理を施す一連の動作)が行われる。
【0017】
図1において、カメラ本体部2の背面略中央上部には、ファインダ窓17が設けられている。ファインダ窓17には、撮影レンズユニット3からの被写体像が導かれる。ユーザは、ファインダ窓17を覗くことによって、被写体を視認することができる。より具体的には、撮影レンズユニット3を通過してきた被写体像を、カメラ本体部2の内部に設けられたミラー機構6(図3参照)で上方に反射させ、ペンタプリズム15(図3参照)を通した像を接眼レンズを介して見ることで、被写体像を視認することができる。このように、ファインダ窓17を用いて構図決めを行うことが可能である。なお、本撮影時においては、ミラー機構6は被写体像の光路から待避し、撮影レンズユニット3からの光がシャッタ4(図3参照)の開放タイミングに合わせて撮像素子5(図3参照)に到達し、被写体に係る撮影画像(撮影画像データ)が得られる。
【0018】
カメラ本体部2の背面の略中央(より詳細には若干左寄りの位置)には、背面モニタ12が設けられている。この背面モニタ12は、例えばカラー液晶ディスプレイ(LCD)として構成される。背面モニタ12は、撮影条件等を設定するためのメニュー画面を表示したり、再生モードにおいてメモリカードに記録された撮影画像を再生表示したりすることが可能な表示部である。
【0019】
カメラ本体部2の背面右下部、より詳細には背面モニタ12の右下部には、電源スイッチ81が設けられている。電源スイッチ81はレバー式スイッチとして構成された操作部材であり、電源スイッチ81のレバー部を左方の「OFF」位置に設定すると、電源がオフになり、当該レバー部を右方の「ON」位置に設定すると、電源がオンになる。換言すれば、電源スイッチ81により、電源オンの状態、つまり撮像装置1がアクティブな状態と、この状態より消費電力が低い電源オフの状態(低電力状態)との切替えを行える。この電源スイッチ81への操作入力に応じて電源オフの状態に移行させた場合には、撮像装置1において必要最小限の機能(例えば電源スイッチ81による電源オンの受付け)を維持するために必要な制御部101(図3参照)のCPUへの電力供給だけを行い、シャッターボタン11の操作による撮影動作をも受付けない状態となる。
【0020】
カメラ本体部2の背面右上部、より詳細には背面モニタ12の右側には、マルチセレクタ83が設けられている。このマルチセレクタ83は、ジョイスティックタイプの操作部材であり、そのスティック部83eを上下左右の4方向に傾ける操作をそれぞれ検出することが可能であるとともに、当該スティック部83eの押下操作をも検出することが可能である。
【0021】
また、カメラ本体部2の背面右上部、より詳細には背面モニタ12の右側かつマルチセレクタ83の上側には、後側コマンドダイヤル82と、AF/MFコントロールボタン84と、AEロックボタン85と、再生ボタン86とが設けられている。
【0022】
後側コマンドダイヤル82は、回転式の操作部材であり、その回転操作に応じて各種の設定内容を変更することが可能である。
【0023】
AF/MFコントロールボタン84は、オートフォーカス(AF)とマニュアルフォーカス(MF)との切り換え指示を受け付けるボタンである。撮影状態において、このボタン84を押下するごとに、オートフォーカス(AF)とマニュアルフォーカス(MF)とが順次に切り替わる。
【0024】
AEロックボタン85は、撮影時において自動露光動作によって調整された露光状態を固定する「AEロック」の指示を受け付けるボタンである。
【0025】
再生ボタン86は、再生モードへの変更指示を受け付けるボタンである。撮影モードにおいて再生ボタン86が押下されると、撮影装置1は再生モードに移行し、撮影済み画像が背面モニタ12に表示される。
【0026】
また、カメラ本体部2の背面左側部、より詳細には背面モニタ12の左側には、メニューボタン87と、ファンクションボタン88aと、メモリー切換ボタン88bと、画質調整ボタン88cと、画面切換ボタン88dとが設けられている。
【0027】
メニューボタン87は、メニュー画面の表示機能(呼出機能)を実現するボタンである。このメニューボタン87が押下されると、各種設定を行うための複数の項目を有するメニュー画面が背面モニタ12に表示される。
【0028】
ファンクションボタン88aは、上記メニュー画面に含まれる複数の項目のうちの一部の項目に関するサブメニュー画面を背面モニタ12に表示させる機能(呼出機能)を実現するボタンである。例えば、撮影時にファンクションボタン88aが押下されると撮影用のメニュー画面が背面モニタ12に表示され、再生時にファンクションボタン88aが押下されると再生用のメニュー画面が背面モニタ12に表示される。
【0029】
メモリー切換ボタン88bは、撮影画像の記録先の記録媒体(メモリカード等)を切り換えるボタンである。この撮像装置1においては、複数の種類のメモリカードを撮像装置1内の各所定位置にいずれも装填しておくことが可能である。メモリー切換ボタン88bの押下操作等によれば、複数の種類のメモリカードが装填された場合にいずれの種類のメモリカードを記録先として選択するかを予め設定しておくことができる。
【0030】
画質調整ボタン88cは、記録画像の画質(スタンダード、ファイン、RAW等)を選択的に設定するためのボタンである。記録画像の画質は、圧縮(JPEG圧縮等)の有無を切り換えること、あるいは圧縮記録時の圧縮率を切り換えることによって、変更される。
【0031】
画面切換ボタン88dは、再生画像に重畳的に撮影情報を表示させるか否か、および重畳的に表示する撮影情報の内容を切り換えるボタンである。例えば、画面切換ボタン88dの押下によって、再生画像のみを表示する画面と、再生画像上に文字情報を重畳的に表示させる画面と、輝度に関するヒストグラムを再生画像上に重畳的に表示させる画面とを、選択的且つ循環的に切り換えることが可能である。
【0032】
また、図2に示すように、カメラ本体部2の上面には、モード設定ボタン92と、ライトボタン93と、ホワイトバランスボタン94aと、ISO感度ボタン94bと、露出補正ボタン94cと、調光補正ボタン94dと、液晶表示パネル96とが設けられている。また、シャッターボタン11の前側には、前側コマンドダイヤル91が設けられている。
【0033】
前側コマンドダイヤル91は、回転式の操作部材であり、その回転操作に応じて各種の設定内容を変更することが可能である。
【0034】
モード設定ボタン92は、カメラの各種モードの設定動作(切替動作)を行うための操作部材である。モード設定ボタン92を押下するごとに、設定内容が順次に(且つ循環的に)変更され、設定内容が決定される。このようなモード設定ボタン92の押下操作によって、各種撮影モード(具体的には、Pモード(プログラムモード)、Aモード(絞り優先モード)、Sモード(シャッタスピード優先モード)、Mモード(マニュアルモード)、人物撮影モード、風景撮影モード、およびフルオート撮影モード等)のうちから、所望のモードを選択することができる。
【0035】
ホワイトバランスボタン94aは、ホワイトバランスの調整を行うためのボタンであり、ISO感度ボタン94bは、ISO感度の調整を行うためのボタンである。露出補正ボタン94cは、画像全体の明るさを補正する露出補正を行うためのボタンであり、調光補正ボタン94dは、フラッシュの発光量を調整する調光補正を行うためのボタンである。
【0036】
液晶表示パネル96は、現在の各種設定内容を表示する表示部である。液晶表示パネル96のバックライトのオンおよびオフは、ライトボタン93の押下操作に応じて変更される。
【0037】
また、後側コマンドダイヤル82あるいは前側コマンドダイヤル91を操作することによれば、各種撮影モードにおける制御値を設定することが可能である。例えば、Sモード(シャッタスピード優先モード)においては、前側コマンドダイヤル91の回転操作によって複数段階の設定可能値の中から所望のシャッタスピードを選択することが可能である。さらに、ISO感度ボタン94bの押下後に、前側コマンドダイヤル91を回転させることによって、複数段階の設定可能値の中から所望の値を選択してISO感度値を設定することが可能である。同様に、ホワイトバランスボタン94aと前側コマンドダイヤル91との組合せ、露出補正ボタン94cと前側コマンドダイヤル91との組合せ、あるいは、調光補正ボタン94dと前側コマンドダイヤル91との組合せによっても、同様の設定操作でそれぞれのボタンに対応する設定内容を決定することが可能である。なお、前側コマンドダイヤル91に代えて後側コマンドダイヤル82を使用することによっても同様の設定操作を行うことが可能である。
【0038】
次に、図3を参照しながら、撮像装置1の機能ブロックについて説明する。図3は、撮像装置1の機能構成を示すブロック図である。
【0039】
図3に示すように、撮像装置1は、操作部80、制御部101、フラッシュ41、電源回路54等を備えている。
【0040】
操作部80は、シャッターボタン11(図2参照)を含む各種ボタンおよびスイッチ等を備えて構成される。操作部80に対するユーザーの入力操作に応答して、制御部101が各種動作を実現する。
【0041】
制御部101は、マイクロコンピュータとして構成され、主にCPU、メモリ、及びROM等を備える。制御部101は、ROM内に格納されるプログラムを読み出し、当該プログラムをCPUで実行することによって、各種機能をソフトウェア的に実現する。
【0042】
制御部101は、ユーザによる撮影指示の入力に応じて撮影動作を制御する撮影制御部101aを備えている。この撮影制御部101aにより、撮像装置1の電源オン状態においてシャッターボタン11が全押しされた場合には撮像素子4を露光し画像信号を生成する撮影動作が実行される一方、電源オフ状態にはシャッターボタン11による撮影指示の入力があっても撮影動作を実行しない撮影禁止状態に設定される。
【0043】
制御部101は、カメラ本体部2内のレンズ制御部31に制御信号を送出しレンズ駆動部32を介してフォーカスレンズの位置を制御する合焦制御動作を行う。また、制御部101は、ミラー駆動部60を介してミラー機構6が被写体の光路LPから退避した状態(ミラーアップ状態)とミラー機構6が光路LPを遮断した状態(ミラーダウン状態)との状態切替を制御する。このミラーダウン状態では、撮影レンズユニット3を介して入射された被写体光がミラー機構6で上方に反射され、ペンタプリズム15を備えた光学ファインダ10の光路LQ(破線で図示)に沿ってファインダ窓17に導かれる。そして、ペンタミラー15の下方に配設された透過型表示部16に表示される内容を被写体光像に重畳させるスーパーインポーズ表示がファインダ窓17で行えるようになっている。この透過型表示部16は、例えば透過型の液晶パネルとして構成され、ミラー機構6で反射された被写体光を透過させる透明状態(透過状態)と、この透明状態より透過率が低い不透明状態(低透過状態)との切替えが可能な表示画面を有している。この表示画面に関しては、制御部101の表示制御部101bにより透明状態と不透明状態との間で透過率に関する制御が行われることとなる。なお、透過型表示部16の表示内容については、後で詳述する。
【0044】
制御部101は、測光センサ(不図示)の測光結果に基づき絞り駆動部30に制御信号を送出して絞り38の開口径(開度)を調整する。また、制御部101は、駆動アクチュエータ(不図示)を介してシャッタ4の開閉を制御する。
【0045】
撮像素子(例えばCMOSセンサ)5は、光電変換作用により被写体の光像を電気的信号に変換して、撮像画像に係る画像信号を生成する。撮像素子5は、制御部101により電荷の蓄積開始および蓄積終了が制御されて、受光面に結像された被写体像の露光を行い、当該被写体像に係る画像信号を生成する。そして、撮像素子5で生成された画像信号は、A/D(アナログ/デジタル)変換回路51に入力される。
【0046】
撮像素子5で生成された画像信号は、A/D変換回路51によってデジタル画像データ(画像データ)に変換される。このA/D変換回路51で変換された画像データは、例えば制御部101においてγ補正等の画像処理が施された後、背面モニタ12に画像表示される。
【0047】
フラッシュ41は、例えばポップアップ式のフラッシュとして構成されており、コンデンサ42に蓄積された電力を用いて発光する。このフラッシュ41の点灯の有無および点灯時間等は、制御部101等によって制御される。
【0048】
電源回路54は、電池9の電力を使用して、制御部101を含む撮像装置の各部に電力を供給する回路として構成される。
【0049】
[透過型表示部16の表示内容について]
図4は、透過型表示部16の構成を説明するための概念図である。
【0050】
透過型表示部16は、図3のように光学ファインダ10の光路LQ上に設けられている。そして、透過型表示部16は、それぞれ所定の面積を有した10個のセグメントG0〜G9を備えており、各セグメントG0〜G9では、透明状態とグレイ色の不透明状態との2段階にて透過率を変更できる。詳細には、透過型表示部16は表示画面一面に拡がったコモン層と10個のセグメントG0〜G9に領域分割された電極層とに液晶層が挟まれる構造を有しており、電極層に対する電圧の印加・非印加を選択すれば各セグメントG0〜G9ごとに透明状態と不透明状態との切替えが可能である。なお、セグメントG1〜G9それぞれは、矩形環状の領域RSと、この領域RSから画面端部に伸びる線状(帯状)の領域RTとで構成されるが、図示の便宜上、図4では線状の領域RTを実際より幅広に描いている。
【0051】
このような構成の透過型表示部16では、例えばセグメントG1〜G9に電圧を印加せずセグメントG0のみに電圧を印加すれば、図5に示すようにAFセンサ(不図示)によるAF可能な箇所に相当する9つのAFエリア(焦点検出領域)J1〜J9を示す画面Haをファインダ窓17にて表示させることができる。これらの各AFエリアJ1〜J9は、セグメントG1〜G9における矩形環状の領域RS(図4)に対応している。よって、シャッターボタン11が半押しされAF制御による合焦動作(ピント合わせ)が完了した後には、例えば図6に示す画面Hbのように人物などの主被写体SBにおいてピントが合っている各AFエリアJ6、J8、J9を被写体像にスーパーインポーズ表示することが可能である。
【0052】
一方、全てのセグメントG0〜G9に電圧を印加しなければ、図7に示す画面Hcのように画面全域が不透明状態となってファインダ窓17で被写体の視認性が低下した状態となる。本実施形態では、電源スイッチ81の操作により撮像装置1が電源オフの状態に移行しシャッターボタン11が押下されても撮影できない状態(以下では「撮影禁止状態」ともいう)となった場合に、図7に示す画面Hcをファインダ窓17に表示させるようにする。これにより、ファインダ窓17を覗いた際に被写体の確認が困難な画面Hc(図7)が視認されるため、ユーザは撮像装置1が撮影禁止状態であることを直感的に把握できることとなる。なお、透過型表示部16の表示画面においてファインダ窓17で視認可能な全領域を含む画面領域を不透明状態にすれば、図7に示す画面Hcをファインダ窓17に表示させることが可能である。
【0053】
以下では、撮像装置1の具体的な動作について詳しく説明する。
【0054】
[撮像装置1の動作]
図8は、撮像装置1の基本的な動作を示すフローチャートである。この動作は、制御部101によって実行される。
【0055】
ステップST1では、撮像装置1において電源がオン状態であるかを判定する。具体的には、電源スイッチ81(図1)のレバー部が「ON」位置に設定されているか否かを判断する。ここで、電源がオン状態の場合には、ステップST2に進み、電源がオン状態でなくオフ状態の場合には、ステップST3に進む。
【0056】
ステップST2では、AF制御が完了したかを判定する。具体的には、シャッターボタン11が半押しされ開始されたピント合わせ(合焦制御)が終了したか否かを判断する。ここで、AF制御が完了した場合には、ステップST4に進み、完了していない場合には、ステップST5に進む。
【0057】
ステップST3では、撮像装置1の電源がオフ状態である旨の表示をファインダ窓17で行う。具体的には、全域が不透明状態となって被写体の視認が困難な画面Hc(図7)を透過型表示部11によりファインダ窓17に表示する。これにより、撮影しようとファインダ窓17を覗き込んだユーザに、撮像装置1が電源オフの状態で撮影禁止状態であることを容易に気付かせることができる。また、図7に示す画面Hcの表示には、透過型表示部16に対しての電圧の印加が不要であるため、電源オフ状態において省電力化が図れることとなる。
【0058】
ステップST4では、AF制御が完了した旨の表示をファインダ窓17で行う。具体的には、図6に示すように合焦された各AFエリアJ6、J8、J9が被写体像にスーパーインポーズ表示される画面Hbを透過型表示部11によりファインダ窓17に表示する。これにより、ファインダ窓17を覗くユーザに、ピントが合っている被写体の箇所を伝えることができる。
【0059】
ステップST5では、撮像装置1の電源がオン状態である旨の表示をファインダ窓17で行う。具体的には、図9に示すようにAFエリアJ1〜J9が被写体像にスーパーインポーズ表示される画面Hdを透過型表示部11によりファインダ窓17に表示する。これにより、ファインダ窓17を覗くユーザに、ピント合わせが可能な9つのAFエリアJ1〜J9の位置を伝えることができる。
【0060】
以上のような撮像装置1の動作により、電源オフ状態(低電力状態)で撮影禁止状態に設定される場合には、透過型表示部16の表示画面を不透明状態にしてファインダ窓17で図7に示す画面Hcを表示させるため、ユーザがファインダ窓10を覗いた際に撮影禁止状態であることが容易に把握できる。
【0061】
なお、撮像装置1では、電源オフ時の撮影禁止状態において、図7に示す画面Hcのようにファインダ窓17内で被写体像が映る画面全域を不透明状態にするのは必須でなく、図10に示す画面Heのように画面の端部を透明状態にして画面の大部分の領域を不透明状態にするようにしても良い。この場合には、例えば図11に示すようにセグメントG0(図4)に対して画面上下左右の縁部を分離させた透過型表示部16Aを採用して、セグメントG11〜G20への電圧印加を行えば、図10に示す画面Heをファインダ窓17に表示させることができる。このような画面Heによっても、ファインダ窓17を覗き込むユーザに撮像装置1が撮影禁止状態であることを容易に認識させることが可能となる。
【0062】
また、撮像装置1が省電力化を目的としたパワーセーブ機能(パワーセーブモード)を備える場合には、このパワーセーブ状態に移行して撮影禁止状態となった際に、被写体の視認が困難な不透明状態の画面Hc(図7)をファインダ窓17に表示しても良い。すなわち、電源オン状態の撮像装置1において操作部80への操作入力が一定期間行われない場合に移行されるパワーセーブ状態(低電力状態)で撮影禁止状態に設定される場合には、図7に示す画面Hcをファインダ窓17に表示させるようにする。なお、パワーセーブモードにおいて移行後の経過時間に応じて異なる2段階の制御、例えば予め定められた時間αが経過する前にはシャッターボタン11による撮影指示の入力を受け付ける第1段階の制御と、上記の時間αの経過後には撮影指示の入力を受け付けない第2段階の制御とが実行される場合には、この第2段階の制御が開始され撮影禁止状態となってから図7に示す画面Hcを表示するようにする。
【0063】
<変形例>
上記の実施形態における透過型表示部については、電圧の印加により不透明状態から透明状態に遷移するものを採用するのは必須でなく、透明状態から不透明状態に遷移するものを採用しても良い。この場合には、電源オフ時において図7に示す画面Hcを表示するのに一定の電力が必要となるものの、上述した実施形態と同様にファインダ窓17を覗くユーザに撮影禁止状態であることを直感的に認識させることができる。
【0064】
上記の実施形態における透過型表示部については、透過率を2段階に変更可能なものを採用するのは必須でなく、透過率を3段階以上、または連続的に変更可能なものを採用してもよい。この場合にも、電源オフ時の撮影禁止状態において透過型表示部を、撮影装置の通常使用時(撮影装置のアクティブ状態)に設定される透明状態に比べて光透過率が低い状態(低透過状態)にすることで、撮影禁止状態であることをユーザに適切に伝えることが可能である。
【0065】
上記の実施形態における撮像装置については、デジタルカメラとして構成されるのは必須でなく、銀塩フィルムを用いるフィルムカメラとして構成されても良い。
【0066】
本発明は詳細に説明されたが、以上の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0067】
1 撮像装置
2 カメラ本体部
3 撮影レンズユニット(交換レンズ)
5 撮像素子
10 光学ファインダ
11 シャッターボタン
15 ペンタプリズム
16、16A 透過型表示部
17 ファインダ窓
80 操作部
81 電源スイッチ
101 制御部
101a 撮影制御部
101b 表示制御部
G0〜G20 セグメント
J1〜J9 AFエリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影指示の入力に応じて撮影動作を制御する撮影制御手段と、
撮像装置がアクティブな状態と、当該状態より消費電力が低い低電力状態との切替えを行う切替手段と、
撮影光学系を介して入射された被写体光を所定の光路に沿ってファインダ窓に導く光学ファインダ手段と、
前記所定の光路上に設けられ、前記被写体光を透過させる透過状態と前記透過状態より透過率が低い低透過状態との切替えが可能な表示画面を有する透過型表示手段と、
前記表示画面に関して前記透過状態と前記低透過状態との間で前記透過率に関する制御を行う表示制御手段と、
を備えており、
前記撮影制御手段は、
前記撮影指示の入力があっても前記撮影動作を実行しない撮影禁止状態に設定する撮影禁止手段、
を有するとともに、
前記表示制御手段は、
前記低電力状態において前記撮影禁止状態に設定される場合には、前記表示画面における所定の領域を前記低透過状態にする手段、
を有する撮像装置。
【請求項2】
所定の操作部材への操作入力に応じて、前記撮像装置を電源オフの状態に移行させる手段、
をさらに備え、
前記低電力状態は、前記電源オフの状態である請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像装置に対する操作入力が一定期間行われない場合に、前記撮像装置をパワーセーブ状態に移行させる手段、
をさらに備え、
前記低電力状態は、前記パワーセーブ状態である請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記所定の領域は、前記表示画面において前記ファインダ窓で視認可能な全領域を含む請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
撮影指示の入力に応じて撮像装置での撮影動作を制御する撮影制御工程と、
撮像装置がアクティブな状態と、当該状態より消費電力が低い低電力状態との切替えを行う切替工程と、
撮影光学系を介して入射された被写体光をファインダ窓に導く光学ファインダ手段の光路上に設けられ、前記被写体光を透過させる透過状態と前記透過状態より透過率が低い低透過状態との切替えが可能な透過型表示手段の表示画面に関して、前記透過状態と前記低透過状態との間で前記透過率に関する制御を行う表示制御工程と、
を備えており、
前記撮影制御工程は、
前記撮影指示の入力があっても前記撮影動作を実行しない撮影禁止状態に設定する撮影禁止工程、
を有するとともに、
前記表示制御工程は、
前記低電力状態において前記撮影禁止状態に設定される場合には、前記表示画面における所定の領域を前記低透過状態にする工程、
を有する表示制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−249932(P2010−249932A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96986(P2009−96986)
【出願日】平成21年4月13日(2009.4.13)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】