説明

撮像装置及びその制御方法及びプログラム及び記憶媒体

【課題】撮像部と画像表示部とを有する撮像装置において、撮影した類似画像を詳細に見比べることことができるようにする。
【解決手段】撮像部14と画像表示部28とを有する撮像装置において、撮影した複数の画像を並べて画像表示部に表示し、画像選択部70により選択された複数の画像を1つの操作で同時に拡大したり、スクロールしたりすることで複数画像の詳細比較を容易にする。また比較が終わった一枚の画像を次の画像に置き換える際に、拡大率と表示位置を保持したまま次の画像を表示することで、次の類似画像の拡大などの操作を不要とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置における画像表示技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラには、画像再生装置として主にLCDディスプレイが備えられており、撮影した画像をすぐに確認することができる利便性がある。撮影した画像を1枚ずつ表示して、各画像に対し拡大などの操作が可能であり、ヒストグラムなどの情報を同時に表示することができる。またごく小さなサムネイルをマルチ表示し、所望の画像を見つけることもできる。
【0003】
しかし、例えばブラケット撮影を行って最もよい画像を選ぶなど、複数の画像を詳細まで比較することは困難であった。その原因の一つは、従来のこの種の画像再生装置はかなり小型で、マルチ画像表示してそれぞれの画像を比較するなどの利用には堪えられなかったことである。近年では画像再生装置として比較的大型のLCDディスプレイがデジタルカメラに用いられるようになるとともに、マルチ画像表示の有用性が高まっている。
【0004】
従来のマルチ画像表示の一例として、一連の画像データのうち、前後に続く複数の画像データを1画面上に同時に表示してスライドさせることができるものが知られている(特許文献1参照)。この手法を用いれば、前後して撮影した画像を並べて見ることができ、大まかに比較することが可能であり、多数の画像の中から所望の画像を選び出すことが容易である。しかしこの手法を用いても、類似画像を詳細に比較することは容易ではなかった。
【0005】
他に、撮影した画像データを撮影日時に基づいてグループ分けし、グループ毎にマルチ画像表示できるものが知られている(特許文献2参照)。この手法を用いれば、多数の画像を整理したり、その中から所望の画像を選び出すことが容易になるが、類似画像の比較に関する優位性はない。この他にもマルチ画像表示を特徴とする文献は多数見られるが、類似画像を詳細に比較可能とする技術を開示したものはない。
【特許文献1】特開平9−97268号公報
【特許文献2】特開2003−299028号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
デジタルカメラで、例えばブラケット撮影や連写撮影を行った後に、撮影画像を詳細に見比べたいという要求がある。しかし従来のデジタルカメラにおける画像表示方式では複数の画像を拡大したり、拡大画面の表示位置を動かしながら比較することは困難であった。
【0007】
従って、本発明は上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、撮像部と画像表示部とを有する撮像装置において、撮影した類似画像を詳細に見比べることことができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係わる撮像装置は、被写体像を撮像する撮像手段と、該撮像手段から得られた画像信号を表示する画像表示手段と、該画像表示手段に表示された特定の複数の画像のうち、選択された所定数の画像に対して、少なくとも画像の拡大処理又は画像の移動処理を含む複数の処理の中から選択された処理を同時に行なう表示制御手段と、を具備することを特徴とする。
【0009】
また、この発明に係わる撮像装置において、前記表示制御手段は、前記撮像手段による撮像動作の直後に、該撮像手段により撮像された画像を前記画像表示手段に表示させるレックレビュー動作を行なう機能を有し、該レックレビュー動作を継続する指示を受けた場合に、前記特定の複数の画像を自動的に前記画像表示手段に表示させることを特徴とする。
【0010】
また、この発明に係わる撮像装置において、前記特定の複数の画像とは、ブラケット撮影時において連続して撮影された複数の画像、連写撮影時において連続して撮影された複数の画像、最初の撮影時から予め設定された時間内に撮影された複数の画像のうちのいずれかであることを特徴とする。
【0011】
また、この発明に係わる撮像装置において、前記表示制御手段は、前記特定の複数の画像を前記表示手段に表示させるとともに、少なくとも画面中の輝度分布を示すヒストグラム、白飛び範囲のいずれか又は双方を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0012】
また、この発明に係わる撮像装置において、前記表示制御手段は、前記特定の複数の画像の位置を入れ替える指示を受けた場合に、前記特定の複数の画像の位置を入れ替えて前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0013】
また、この発明に係わる撮像装置において、前記特定の複数の画像のうちの選択された画像を削除する削除手段を更に具備することを特徴とする。
【0014】
また、この発明に係わる撮像装置において、前記特定の複数の画像のうちの選択された画像以外の画像を削除する削除手段を更に具備することを特徴とする。
【0015】
また、この発明に係わる撮像装置において、前記特定の複数の画像のうちの選択された画像をプロテクトするプロテクト手段を更に具備することを特徴とする。
【0016】
また、この発明に係わる撮像装置において、前記特定の複数の画像のうちの選択された画像を外部のプリンタにプリントさせるプリント手段を更に具備することを特徴とする。
【0017】
また、この発明に係わる撮像装置において、前記表示制御手段は、前記表示手段に表示されている複数の画像に連続する次画像の表示の指示を受けた場合に、前記表示手段に既に表示されている複数の画像の拡大倍率及び画像位置を保持したまま、前記次画像を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係わる撮像装置の制御方法は、被写体像を撮像する撮像手段と、該撮像手段から得られた画像信号を表示する画像表示手段とを備える撮像装置を制御する方法であって、前記画像表示手段に特定の複数の画像を表示させる表示工程と、該表示工程で表示された特定の複数の画像のうち、選択された所定数の画像に対して、少なくとも画像の拡大処理又は画像の移動処理を含む複数の処理の中から選択された処理を同時に行なう表示制御工程と、を具備することを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係わるプログラムは、上記の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係わる記憶媒体は、上記のプログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、撮像部と画像表示部とを有する撮像装置において、撮影した類似画像を詳細に見比べることことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好適な一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置(本実施形態ではデジタルカメラ)の概略構成を示すブロック図である。
【0024】
図1において、100は画像処理装置である。10は撮影レンズ、12は絞り機能を備えるシャッター、14は光学像を電気信号に変換する撮像素子、120は撮像素子14のアナログ信号出力を増幅してカメラの感度を設定するゲインアンプ、16は撮像素子14のアナログ信号出力をデジタル信号に変換するA/D変換器である。
【0025】
18は撮像素子14、A/D変換器16、D/A変換器26にクロック信号や制御信号を供給するタイミング発生回路であり、メモリ制御回路22及びシステム制御回路50により制御される。20は画像処理回路であり、A/D変換器16からのデータ或いはメモリ制御回路22からのデータに対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。また、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行ない、得られた演算結果に基づいてシステム制御回路50が露光制御部40、測距制御部42に対して制御を行なう、TTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理を行っている。
【0026】
さらに、画像処理回路20においては、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行ない、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。
【0027】
22はメモリ制御回路であり、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、メモリ30、圧縮・伸長回路32を制御する。A/D変換器16のデータが画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して、或いはA/D変換器16のデータが直接メモリ制御回路22を介して、画像表示メモリ24或いはメモリ30に書き込まれる。
【0028】
また、システム制御回路50は露出演算部122、輝度レベル演算部123、補正ゲイン演算部124を含み、露出演算部122はメモリ制御回路22を介してTTLによって測光された輝度レベルを基に適正露出値を演算し露光制御部40を制御する。輝度レベル演算部123はメモリ制御回路22を介して撮像した画像データから輝度レベルを演算し、補正ゲイン演算部124は露出演算部122によって測光された輝度レベルと輝度レベル演算部123によって演算された輝度レベルを比較し、適正レベルとなるように補正値を演算して画像処理回路20によりデジタルゲイン補正を加える。
【0029】
24は画像表示メモリ、26はD/A変換器、28はTFT LCD等から成る画像表示部であり、画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器26を介して画像表示部28により表示される。画像表示部28を用いて撮像した画像データを逐次表示すれば、電子ファインダ機能を実現することが可能である。
【0030】
また、画像表示部28は、システム制御回路50の指示により任意に表示をON/OFFすることが可能であり、表示をOFFにした場合には画像処理装置100の電力消費を大幅に低減することが出来る。なお、システム制御回路50は画像表示制御手段としても機能し、画像表示部28の表示状態も制御する。30は撮影した静止画像や動画像を格納するためのメモリであり、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶容量を備えている。これにより、複数枚の静止画像を連続して撮影する連写撮影やパノラマ撮影の場合にも、高速かつ大量の画像書き込みをメモリ30に対して行うことが可能となる。また、メモリ30はシステム制御回路50の作業領域としても使用することが可能である。
【0031】
32は適応離散コサイン変換(ADCT)等により画像データを圧縮伸長する圧縮・伸長回路であり、メモリ30に格納された画像を読み込んで圧縮処理或いは伸長処理を行い、処理を終えたデータをメモリ30に書き込む。40は絞り機能を備えるシャッター12を制御する露光制御部であり、フラッシュ48と連携することによりフラッシュの調光機能も有するものである。
【0032】
42は撮影レンズ10のフォーカシングを制御する測距制御部、44は撮影レンズ10のズーミングを制御するズーム制御部である。
【0033】
露光制御部40、測距制御部42はTTL方式を用いて制御されており、撮像した画像データを画像処理回路20によって演算した演算結果に基づき、システム制御回路50が露光制御部40、測距制御部42に対して制御を行う。50は画像処理装置100全体を制御するシステム制御回路、52はシステム制御回路50の動作用の定数、変数、プログラム等を記憶するメモリである。
【0034】
54はシステム制御回路50でのプログラムの実行に応じて、文字、画像、音声等を用いて動作状態やメッセージ等を表示する液晶表示装置、スピーカー等の表示部であり、画像処理装置100の操作部近辺の視認し易い位置に単数或いは複数個所設置され、例えばLCDやLED、発音素子等の組み合わせにより構成されている。また、表示部54は、その一部の機能が光学ファインダ104内に設置されている。
【0035】
表示部54の表示内容のうち、LCD等に表示するものとしては、シングルショット/連写撮影表示、セルフタイマー表示、圧縮率表示、記録画素数表示、記録枚数表示、残撮影可能枚数表示、シャッタースピード表示、絞り値表示、露出補正表示、フラッシュ表示、赤目緩和表示、マクロ撮影表示、ブザー設定表示、時計用電池残量表示、電池残量表示、エラー表示、複数桁の数字による情報表示、記録媒体200及び210の着脱状態表示、通信I/F動作表示、日付け・時刻表示、等がある。
【0036】
また、表示部54の表示内容のうち、光学ファインダ104内に表示するものとしては、合焦表示、手振れ警告表示、フラッシュ充電表示、シャッタースピード表示、絞り値表示、露出補正表示、等がある。56は電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。
【0037】
62、64、66、68及び70は、システム制御回路50の各種の動作指示を入力するための操作部であり、スイッチやダイアル、タッチパネル、視線検知によるポインティング、音声認識装置等の単数或いは複数の組み合わせで構成される。ここで、これらの操作部の具体的な説明を行う。
【0038】
62はシャッタースイッチSW1で、シャッタースイッチ63の操作途中でONとなり、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理等の動作開始を指示する。64はシャッタースイッチSW2で、シャッタースイッチ63の操作完了でONとなり、撮像素子14から読み出した信号をA/D変換器16、メモリ制御回路22を介してメモリ30に画像データとして書き込む露光処理、画像処理回路20やメモリ制御回路22での演算を用いた現像処理、メモリ30から画像データを読み出し、圧縮・伸長回路32で圧縮を行い、記録媒体200或いは210に画像データを書き込む記録処理という一連の処理の動作開始を指示する。
【0039】
66は画像表示ON/OFFスイッチで、画像表示部28のON/OFFを設定することが出来る。この機能により、光学ファインダ104を用いて撮影を行う際に、TFT LCD等から成る画像表示部への電流供給を遮断することにより、省電力を図ることが可能となる。
【0040】
68はレックレビューON/OFFスイッチで、撮影直後に撮影した画像データを自動再生するレックレビュー(クイックレビュー)機能を設定する。なお、本実施形態では特に、画像表示部28をOFFとした場合におけるレックレビュー機能の設定をする機能を備えるものとする。また、121は計時部で、シャッタースイッチSW1(62)が押されてからシャッタースイッチSW2(64)が押されるまでの時間を計測することが可能である。
【0041】
70は各種ボタンやタッチパネル等からなる操作部で、メニューボタン、セットボタン、マクロボタン、マルチ画面再生改ページボタン、フラッシュ設定ボタン、単写/連写/セルフタイマー切り替えボタン、メニュー移動+(プラス)ボタン、メニュー移動−(マイナス)ボタン、再生画像移動+(プラス)ボタン、再生画像移動−(マイナス)ボタン、撮影画質選択ボタン、露出補正ボタン、日付/時間設定ボタン等がある。
【0042】
80は電源制御部で、電池検出回路、DC−DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成されており、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行い、検出結果及びシステム制御回路50の指示に基づいてDC−DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録媒体を含む各部へ供給する。
【0043】
82はコネクタ、84はコネクタ、86はアルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等からなる電源部である。
【0044】
90及び94はメモリカードやハードディスク等の記録媒体とのインタフェース、92及び96はメモリカードやハードディスク等の記録媒体と接続を行うコネクタ、98はコネクタ92及び或いは96に記録媒体200或いは210が装着されているか否かを検知する記録媒体着脱検知部である。
【0045】
なお、本実施形態では記録媒体を取り付けるインタフェース及びコネクタを2系統持つものとして説明している。もちろん、記録媒体を取り付けるインタフェース及びコネクタは、単数或いは複数、いずれの系統数を備える構成としても構わない。また、異なる規格のインタフェース及びコネクタを組み合わせて備える構成としても構わない。インタフェース及びコネクタとしては、PCMCIAカードやCF(コンパクトフラッシュ(登録商標))カード等の規格に準拠したものを用いて構成して構わない。
【0046】
さらに、インタフェース90及び94、そしてコネクタ92及び96をPCMCIAカードやCFカード等の規格に準拠したものを用いて構成した場合、LANカードやモデムカード、USBカード、IEEE1394カード、P1284カード、SCSIカード、PHS等の通信カード、等の各種通信カードを接続することにより、他のコンピュータやプリンタ等の周辺機器との間で画像データや画像データに付属した管理情報を転送し合うことが出来る。
【0047】
104は光学ファインダであり、画像表示部28による電子ファインダ機能を使用すること無しに、光学ファインダのみを用いて撮影を行うことが可能である。また、光学ファインダ104内には、表示部54の一部の機能、例えば、合焦表示、手振れ警告表示、フラッシュ充電表示、シャッタースピード表示、絞り値表示、露出補正表示などが設置されている。
【0048】
110は通信部で、RS232CやUSB、IEEE1394、P1284、SCSI、モデム、LAN、無線通信、等の各種通信機能を有する。112は通信部110により画像処理装置100を他の機器と接続するコネクタ或いは無線通信の場合はアンテナである。
【0049】
200はメモリカードやハードディスク等の記録媒体である。記録媒体200は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部202、画像処理装置100とのインタフェース204、画像処理装置100と接続を行うコネクタ206を備えている。
【0050】
210はメモリカードやハードディスク等の記録媒体である。記録媒体210は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部212、画像処理装置100とのインタフェース214、画像処理装置100と接続を行うコネクタ216を備えている。
【0051】
以下に、再生モードにおける本実施形態の特徴的な構成について詳細に説明する。
【0052】
まず、通常の再生モード時における1画像表示状態を図2に示す。ここで、複数表示指示操作を行うと複数表示状態となる。複数表示状態となった表示装置のイメージを図3に示す。この複数表示指示操作は画像処理装置100の操作部70に備えられたある特定のボタンを押下あるいは長押しする操作でもよいし、画像表示部28のメニュー画面から選択する方法でもよい。
【0053】
また、ここでは説明を簡単にするために2画像表示の場合を示すが2画像に限定するものではなく、表示画像数を選択できるようにしてもよい。
【0054】
また、表示部中の下方に、操作対象画像選択のための指示表示を示しているが、操作対象画像選択部をトグルに限定するものではない。例えば十字ボタンで指定してセットボタンで選択/解除してもよく、タッチパネルを備えたシステムであればタッチパネルで選択してもよい。
【0055】
ここでは一例としてセットボタントグルによる操作対象画像選択を行うが、セットボタンを一度押すと図4に示すように選択画像が切り替わって1画像選択状態となり、この状態では全ての画像操作(拡大、移動など)が、選択された画像に対してのみ行われる。もう一度セットボタンを押すと、今度は図5に示す様にもう一方の画像が選択される。この状態も1画像選択状態である。さらにもう一度セットボタンを押すと、二画像選択状態となる。この複数画像選択状態において、拡大、表示位置移動操作を行ったとき、図6に示すように選択された複数画像が同時に操作される(選択された複数画像全てが同時に拡大、表示位置移動操作される)。拡大した状態で再び1画像選択状態にし、次の画像を表示する操作を行うと、拡大倍率および表示位置が保持されたまま次の画像が表示される。言い換えると、次の画像に対しても既に表示中の画像に対する拡大倍率及び表示位置の設定が適用される。
【0056】
1画像選択状態で拡大、表示位置移動を行った後に、再度複数画像選択状態にして拡大操作、表示位置移動操作等を行なう場合において、選択された複数画像それぞれの拡大倍率と表示位置が異なっている場合は、各複数画像の操作直前の状態に対して、同時に拡大操作、表示位置移動操作等が加えられる。例えば、1画像選択状態で既に等倍と2倍に拡大されている2画像を、複数画像選択して同時に2倍拡大する操作を行った場合、2倍と4倍の画像となる。拡大や移動の限界に達した場合は操作は反映されない。縦画像と横画像が同時に表示される場合は、縦画像は縦になり、操作に関しては横画像と同様である。拡大、表示位置を保持したまま次の画像が表示される際に縦、横が異なる場合は、座標からほぼ同位置を拡大した画像が表示される。
【0057】
操作部70に配置された操作ボタンまたはメニューからの選択操作である画像位置入れ替え指示により、システム制御回路50は、選択中の2つの画像の位置を相互に入れ替えることが可能である。また、操作部70に配置された操作ボタンまたはメニューからの選択操作である指示により、表示中の各画像のヒストグラムと白飛び範囲を表示することが可能である。
【0058】
システム制御回路50は、表示中の複数画像のうちで、選択された1つもしくは複数の画像を同時に削除することが可能である。この操作に関して、逆に選択されていない1つもしくは複数の画像を同時に削除することが可能であってもよい。同様の操作により、表示中の複数画像のうちで、選択された1つもしくは複数の画像を同時にプロテクトすることが可能である。また同様に、表示中の複数画像のうちで、選択された1つもしくは複数の画像をプリント対象画像に指定し、デジタルカメラに接続した外部出力装置によるダイレクトプリントを行うことが可能である。
【0059】
本実施形態で示した画像表示手法、表示画像操作手法は、デジタルカメラの画像再生モードにおいてのみならず、レックレビューホールド時のマルチ表示指示においても実行される。レックレビューとは、撮影直後に撮影した画像データを画像表示部28に一定時間自動表示する機能であり、通常は、撮影直後に画像表示メモリ24又はメモリ30に記憶された画像を読み出して画像表示部28に表示する。そして、レックレビューホールドとは、レックレビューの表示期間内に操作部70に配置されたレビューホールド指示ボタンを押すことにより、レビューホールド解除ボタンを押すまでの間レックレビュー表示状態が保持される機能である。
【0060】
本実施形態は、画像表示部28に複数の類似画像を表示し、それらを同時に拡大、移動等して、それらを比較可能とするものであるが、レックレビューホールド時に表示される比較対象である複数画像は、ブラケット撮影におけるブラケット画像、連写撮影における連写画像全て、標準撮影における指定時間内に撮影された画像のいずれかである。それぞれの画像群は、全てが同時にマルチ表示(複数画像表示)されてもよく、予め指定されていた枚数ずつマルチ表示されてもよい。
【0061】
図7は、このレックレビューホールド時に、複数画像を同時表示する動作を示すフローチャートである。
【0062】
まず、撮影を行なうと(ステップS701)、その直後に、撮影した画像データを画像表示部28に表示するレックレビュー表示が行なわれる(ステップS702)。レックレビュー表示が行なわれている間にレックレビューホールドが指示されているか否かが判断され(ステップS703)、レックレビューホールドが指示されていない場合には、所定時間経過後レックレビュー表示を終了する(ステップS707)。ステップS703においてレックレビューホールドが指示されている場合には、レックレビュー表示をそのまま継続すると共に、複数画像表示が指示されているか否かを判断する(ステップS704)。ステップS704において複数画像表示が指示されていない場合には、ステップS706でレックレビューホールドの指示が解除されるまで待ち、解除されるとレックレビュー表示を終了する。ステップS704において複数画像表示が指示されている場合には、ステップS705に進み複数画像を表示する。その後、必要に応じてユーザが上記の実施形態で説明したような画像の拡大操作、画像移動操作などを行なって画像の確認を行ない、レックレビューホールドの指示が解除された後(ステップS706Yes)に、レックレビュー表示を終了する(ステップS707)。
【0063】
また、予めレックレビューホールドのときに、複数画像を表示するモード(マルチ表示モード)を指定しておくことで、レックレビューホールド時に自動的に上記画像群がマルチ表示される。図8は、このときの動作を示すフローチャートである。
【0064】
まず、撮影を行なうと(ステップS801)、その直後に、撮影した画像データを画像表示部28に表示するレックレビュー表示が行なわれる(ステップS802)。レックレビュー表示が行なわれている間にレックレビューホールドが指示されているか否かが判断され(ステップS803)、レックレビューホールドが指示されていない場合には、所定時間経過後レックレビュー表示を終了する(ステップS806)。ステップS803においてレックレビューホールドが指示されている場合には、レックレビュー表示をそのまま継続すると共に、複数画像の表示を行なう(ステップS804)。その後、必要に応じてユーザが上記の実施形態で説明したような画像の拡大操作、画像移動操作などを行なって画像の確認を行ない、レックレビューホールドの指示が解除された後(ステップS805Yes)に、レックレビュー表示を終了する(ステップS807)。
【0065】
なお、上記で説明した本実施形態の動作は、システム制御回路50が、メモリ制御回路22、画像表示メモリ24、メモリ30等を制御することにより行なわれる。
【0066】
以上説明したように、上記の実施形態によれば、ほぼ同様の構図の画像の詳細な比較を、デジタルカメラで撮影後にその場で容易に行うことができる。
【0067】
また、複数の画像についてズームアップや表示位置の移動を、一つの操作で同時に実行できるため、操作効率がよい。
【0068】
また、詳細比較を画像再生時だけでなく、撮影直後のレックレビュー時にもできるので、不要画像の削除などの処理も行なうことができ、記録メディアが有効に使える上、後の画像整理の負担も軽減される。
【0069】
(他の実施形態)
また、各実施形態の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体(または記録媒体)を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0070】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0071】
本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明した手順に対応するプログラムコードが格納されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態に係る撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】1画像表示状態の画面を示す図である。
【図3】マルチ画像表示(2画像表示)状態において複数画像を選択した状態を示す図である。
【図4】マルチ画像表示(2画像表示)状態において左側の1画像を選択した状態を示す図である。
【図5】マルチ画像表示(2画像表示)状態において右側の1画像を選択した状態を示す図である。
【図6】マルチ画像表示(2画像表示)状態において複数画像を同時に操作(拡大)した状態を示す図である。
【図7】レックレビューホールド時の動作を示すフローチャートである。
【図8】レックレビューホールド時の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
10 撮影レンズ
12 シャッター
14 撮像素子
16 A/D変換器
18 タイミング発生回路
20 画像処理回路
22 メモリ制御回路
24 画像表示メモリ
26 D/A変換器
28 画像表示部
30 メモリ
32 画像圧縮・伸長回路
40 露光制御部
42 測距制御部
44 ズーム制御部
48 フラッシュ
50 システム制御回路
52 メモリ
54 表示部
56 不揮発性メモリ
60 モードダイアルスイッチ
62 シャッタースイッチSW1
63 シャッタースイッチ
64 シャッタースイッチSW2
66 画像表示ON/OFFスイッチ
68 レックレビューON/OFFスイッチ
70 操作部
80 電源制御部
82 コネクタ
84 コネクタ
86 電源部
90 インタフェース
92 コネクタ
94 インタフェース
96 コネクタ
98 記録媒体着脱検知部
100 画像処理装置
104 光学ファインダ
110 通信部
112 コネクタ(またはアンテナ)
120 ゲインアンプ
121 計時部
122 露出演算部
123 輝度レベル演算部
124 補正ゲイン演算部
200 記録媒体
202 記録部
204 インタフェース
206 コネクタ
210 記録媒体
212 記録部
214 インタフェース
216 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像を撮像する撮像手段と、
該撮像手段から得られた画像信号を表示する画像表示手段と、
該画像表示手段に表示された特定の複数の画像のうち、選択された所定数の画像に対して、少なくとも画像の拡大処理又は画像の移動処理を含む複数の処理の中から選択された処理を同時に行なう表示制御手段と、
を具備することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記撮像手段による撮像動作の直後に、該撮像手段により撮像された画像を前記画像表示手段に表示させるレックレビュー動作を行なう機能を有し、該レックレビュー動作を継続する指示を受けた場合に、前記特定の複数の画像を自動的に前記画像表示手段に表示させることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記特定の複数の画像とは、ブラケット撮影時において連続して撮影された複数の画像、連写撮影時において連続して撮影された複数の画像、最初の撮影時から予め設定された時間内に撮影された複数の画像のうちのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記特定の複数の画像を前記表示手段に表示させるとともに、少なくとも画面中の輝度分布を示すヒストグラム、白飛び範囲のいずれか又は双方を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記特定の複数の画像の位置を入れ替える指示を受けた場合に、前記特定の複数の画像の位置を入れ替えて前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記特定の複数の画像のうちの選択された画像を削除する削除手段を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記特定の複数の画像のうちの選択された画像以外の画像を削除する削除手段を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記特定の複数の画像のうちの選択された画像をプロテクトするプロテクト手段を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記特定の複数の画像のうちの選択された画像を外部のプリンタにプリントさせるプリント手段を更に具備することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記表示制御手段は、前記表示手段に表示されている複数の画像に連続する次画像の表示の指示を受けた場合に、前記表示手段に既に表示されている複数の画像の拡大倍率及び画像位置を保持したまま、前記次画像を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
被写体像を撮像する撮像手段と、該撮像手段から得られた画像信号を表示する画像表示手段とを備える撮像装置を制御する方法であって、
前記画像表示手段に特定の複数の画像を表示させる表示工程と、
該表示工程で表示された特定の複数の画像のうち、選択された所定数の画像に対して、少なくとも画像の拡大処理又は画像の移動処理を含む複数の処理の中から選択された処理を同時に行なう表示制御工程と、
を具備することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムをコンピュータ読み取り可能に記憶したことを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−5640(P2006−5640A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179658(P2004−179658)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】