撮像装置及びその制御方法
【課題】焦点検出部における被写体の輝度分布の検出能力を向上させ、より正確な焦点検出を行うこと。
【解決手段】撮像装置は、撮像素子107と合成手段902と連結手段903と演算手段904とを備える。撮像素子107は瞳分割された第1の焦点検出用画素901aと第2の焦点検出用画素901bとで構成される焦点検出部901を複数有し、合成手段902は撮像素子107にそれぞれ割り当てられた複数のセクションCSTにおいて、第1の焦点検出用画素901aからの出力信号を合成して第1の合成信号を得る処理と、第2の焦点検出用画素901bからの出力信号を合成して第2の合成信号を得る処理とを行い、連結手段903は前記第1の合成信号を連結して第1の連結信号を得る処理と、前記第2の合成信号を連結して第2の連結信号を得る処理とを行い、演算手段904は前記第1の連結信号及び前記第2の連結信号に基づいて、焦点ずれ量を演算する。
【解決手段】撮像装置は、撮像素子107と合成手段902と連結手段903と演算手段904とを備える。撮像素子107は瞳分割された第1の焦点検出用画素901aと第2の焦点検出用画素901bとで構成される焦点検出部901を複数有し、合成手段902は撮像素子107にそれぞれ割り当てられた複数のセクションCSTにおいて、第1の焦点検出用画素901aからの出力信号を合成して第1の合成信号を得る処理と、第2の焦点検出用画素901bからの出力信号を合成して第2の合成信号を得る処理とを行い、連結手段903は前記第1の合成信号を連結して第1の連結信号を得る処理と、前記第2の合成信号を連結して第2の連結信号を得る処理とを行い、演算手段904は前記第1の連結信号及び前記第2の連結信号に基づいて、焦点ずれ量を演算する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元に構成された複数の光電変換素子で静止画及び動画の少なくとも一方を撮像可能な撮像素子を用いた撮像装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置の自動焦点検出・調節方法で撮影光学系を通過した光束を用いる一般的な方式として、コントラスト検出方式(ぼけ方式と呼ばれる)と位相差検出方式(ずれ方式と呼ばれる)とがある。
【0003】
コントラスト検出方式は動画撮影用ビデオムービー機器(カムコーダー)や電子スチルカメラで多く用いられる方式であり、撮像素子が焦点検出用センサとして用いられるものである。撮像素子の出力信号、特に高周波成分の情報(コントラスト情報)に着目し、その評価値が最も大きくなる撮影光学系の位置を合焦位置とする方式である。しかしながら、山登り方式とも言われるように、撮影光学系を微少量動かしながら評価値を求め、その評価値が結果的に最大であったとわかるまで動かす事が必要であるため、高速な焦点調節動作には不向きとされている。
【0004】
もう一方の位相差検出方式は、銀塩フィルムによる一眼レフカメラに多く用いられ、自動焦点検出(Auto Focus:AF)一眼レフカメラの実用化に最も貢献した技術である。位相差検出方式では、撮影光学系の射出瞳を通過した光束を2分割し、2分割した光束を一組の焦点検出用センサによりそれぞれ受光する。そして、その受光量に応じて出力される信号のずれ量、すなわち、光束の分割方向の相対的位置ずれ量を検出することで撮影光学系のピント方向のずれ量を直接求めるものである。従って、焦点検出用センサにより一度蓄積動作を行なえばピントずれの量と方向が得られ、高速な焦点調節動作が可能となっている。但し、撮影光学系の射出瞳を通過した光束を2分割し、それぞれの光束に対応する信号を得るためには、撮像光路中にクイックリターンミラーやハーフミラー等の光路分割手段を設け、その先に焦点検出用光学系とAFセンサを設けるのが一般的である。そのため、装置が大型、かつ高価となる欠点がある。
【0005】
この欠点を解消するために、撮像素子に位相差検出機能を付与し、専用のAFセンサを不要とし、かつ高速の位相差AFを実現するための技術も開示されている。
【0006】
例えば、特許文献1では、撮像素子の一部の受光素子(画素)において、オンチップマイクロレンズの光軸に対して受光部の感度領域を偏心させることで瞳分割機能を付与している。そしてこれらの画素を焦点検出用画素とし、撮像用画素群の間に所定の間隔で配置することで、位相差式焦点検出を行なう。また、焦点検出用画素が配置された箇所は撮像画素の欠損部に相当するため、周辺の撮像画素情報から補間して画像情報を生成している。
【0007】
また、特許文献2では、撮像素子の一部の画素の受光部を左右方向又は上下方向に2分割することで瞳分割機能を付与している。そしてこれらの画素を焦点検出用画素(焦点検出部)とし、撮像用画素群の間に所定の間隔で配置することで、位相差式焦点検出を行なう。また、当技術においても焦点検出用画素が配置された箇所は撮像画素が欠損しているため、周辺の撮像画素情報から補間して画像情報を生成している。
【0008】
また、特許文献3では、撮像素子の一部の画素の受光部を上下方向に2分割することで瞳分割機能を付与し、2分割された受光部の出力を個別に処理することで、上下方向に輝度分布を有した被写体に対して位相差式焦点検出を行なう。また、2分割受光部の出力を合算することで撮像信号にも用いるほか、左右方向に隣接した画素間のコントラストを検出することで、該方向に輝度分布を有する被写体に対してコントラスト式焦点検出を行なう技術が開示されている。
【0009】
また、特許文献4では、受光部を左右方向又は上下方向に分割した焦点検出用素子を、撮像素子の1行おきに繰り返し配置することで、左右方向及び上下方向に輝度分布を有した被写体に対して位相差式焦点検出を行なう技術が開示されている。
【特許文献1】特開2000−156823号公報
【特許文献2】特開2000−292686号公報
【特許文献3】特開2001−305415号公報
【特許文献4】特開2003−153291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1〜4のいずれも、焦点検出部の1つ1つの輝度は小さく、被写体の輝度分布を十分に検出することが出来ない場合があった。そのため、正確な焦点検出を行うことが困難であるという課題があった。
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、焦点検出部における検出能力を向上させ、より正確な焦点検出を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の側面は、撮像装置に係り、瞳分割された第1の焦点検出用画素と第2の焦点検出用画素とで構成される焦点検出部を複数有する撮像素子と、複数の前記焦点検出部を含むように前記撮像素子にそれぞれ割り当てられた複数のセクションの各々において、前記第1の焦点検出用画素からの出力信号を合成して第1の合成信号を得る処理と、前記第2の焦点検出用画素からの出力信号を合成して第2の合成信号を得る処理とを行う合成手段と、前記複数のセクションに渡って、前記第1の合成信号を連結して第1の連結信号を得る処理と、前記第2の合成信号を連結して第2の連結信号を得る処理とを行う連結手段と、前記第1の連結信号及び前記第2の連結信号に基づいて、結像光学系の焦点ずれ量を演算する演算手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の側面は、瞳分割された第1の焦点検出用画素と第2の焦点検出用画素とで構成される焦点検出部を複数有する撮像素子を備えた撮像装置の制御方法に係り、前記撮像素子に前記焦点検出部を複数含むセクションを複数割り当てる工程と、前記複数のセクションの各々において、前記第1の焦点検出用画素からの出力信号を合成して第1の合成信号を得る工程と、前記複数のセクションの各々において、前記第2の焦点検出用画素からの出力信号を合成して第2の合成信号を得る工程と、前記複数のセクションに渡って、前記第1の合成信号を連結して第1の連結信号を得る工程と、前記複数のセクションに渡って、前記第2の合成信号を連結して第2の連結信号を得る工程と、前記第1の連結信号及び前記第2の連結信号に基づいて、結像光学系の焦点ずれ量を演算する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、焦点検出部における検出能力を向上させ、より正確な焦点検出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態に係る撮像装置及びその制御方法について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1〜図20は本発明の実施形態に係る撮像装置及びその制御方法を説明する図である。以下、図を用いて実施形態の作用を説明する。
【0017】
図1は本発明の好適な実施の形態に係る撮像装置の構成図であり、撮像素子を有したカメラ本体と撮影光学系が一体となった電子カメラを示している。同図において、101は撮影光学系(結像光学系)の先端に配置された第1レンズ群であり、光軸方向に進退可能に保持される。102は絞り兼用シャッタであり、その開口径を調節することで撮影時の光量調節を行なうほか、静止画撮影時には露光秒時調節用シャッタとしての機能も備える。103は第2レンズ群である。そして絞り兼用シャッタ102及び第2レンズ群103は一体となって光軸方向に進退し、第1レンズ群101の進退動作との連動により、変倍作用(ズーム機能)をなす。
【0018】
105は第3レンズ群であり、光軸方向の進退により、焦点調節を行なう。106は光学的ローパスフィルタであり、撮影画像の偽色やモアレを軽減するための光学素子である。107はCMOSイメージセンサとその周辺回路で構成された撮像素子である。この撮像素子は、横方向m画素、縦方向n画素の受光画素上に、ベイヤー配列の原色カラーモザイクフィルタがオンチップで形成された、2次元単板カラーセンサが用いられる。
【0019】
111はズームアクチュエータであり、不図示のカム筒を回動することで、第1レンズ群101〜第3レンズ群103を光軸方向に進退駆動し、変倍操作を行なう。112は絞りシャッタアクチュエータであり、絞り兼用シャッタ102の開口径を制御して撮影光量を調節すると共に、静止画撮影時の露光時間制御を行なう。114はフォーカスアクチュエータであり、第3レンズ群105を光軸方向に進退駆動して焦点調節を行なう。
【0020】
115は撮影時の被写体照明用電子フラッシュであり、キセノン管を用いた閃光照明装置が好適であるが、連続発光するLEDを備えた照明装置を用いても良い。116はAF補助光手段であり、所定の開口パターンを有したマスクの像を、投光レンズを介して被写界に投影し、暗い被写体や低コントラスト被写体に対する焦点検出能力を向上させる。
【0021】
121はCPUであり、撮像装置内でカメラ本体の種々の制御を司る。CPU121は、例えば、演算部、ROM、RAM、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェイス回路等を有する。そして、CPU121は、ROMに記憶された所定のプログラムに基づいて、撮像装置が有する各種回路を駆動し、AF、撮影、画像処理と記録等の一連の動作を実行する。
【0022】
122は電子フラッシュ制御回路であり、撮影動作に同期して照明手段115を点灯制御する。123は補助光駆動回路であり、焦点検出動作に同期してAF補助光手段116を点灯制御する。124は撮像素子駆動回路であり、撮像素子107の撮像動作を制御するとともに、取得した画像信号をA/D変換してCPU121に送信する。125は画像処理回路であり、撮像素子107が取得した画像のγ変換、カラー補間、JPEG圧縮等の処理を行なう。
【0023】
126はフォーカス駆動回路であり、焦点検出結果に基づいてフォーカスアクチュエータ114を駆動制御し、第3レンズ群105を光軸方向に進退駆動して焦点調節を行なう。128は絞りシャッタ駆動回路であり、絞りシャッタアクチュエータ112を駆動制御して絞り兼用シャッタ102の開口を制御する。129はズーム駆動回路であり、撮影者のズーム操作に応じてズームアクチュエータ111を駆動する。
【0024】
131はLCD等の表示器であり、撮像装置の撮影モードに関する情報、撮影前のプレビュー画像と撮影後の確認用画像、焦点検出時の合焦状態表示画像等を表示する。132は操作スイッチ群であり、電源スイッチ、レリーズ(撮影トリガ)スイッチ、ズーム操作スイッチ、撮影モード選択スイッチ等で構成される。133は着脱可能なフラッシュメモリであり、撮影済み画像を記録する。
【0025】
図2は本発明の好適な実施形態に係る撮像素子の概略的回路構成図を示したものであり、本発明者による特開平09−046596号公報等に開示された技術を用いて製造されうる。図2はCMOSイメージセンサが2次元に配列されたエリアセンサのうち2列×4行の画素領域を示したものである。撮像素子として利用する場合は、図2に示した画素領域が複数配置され、高解像度画像の取得を可能としている。本実施形態においては、画素ピッチが2μm、有効画素数が横3000列×縦2000行=600万画素、撮像画面サイズが横6mm×縦4mmのデジタルスチルカメラ用の撮像素子を一例として説明を行なう。
【0026】
図2において、1はトランジスタで構成された光電変換素子、2はフォトゲート、3は転送スイッチトランジスタである。光電変換素子1、フォトゲート2及び転送スイッチトランジスタ3により画素30−11〜30−32のうちの1画素が構成されている。4はリセット用トランジスタ、5はソースフォロワアンプトランジスタ、6は水平選択スイッチトランジスタ、7はソースフォロワの負荷トランジスタである。8は暗出力転送トランジスタ、9は明出力転送トランジスタ、10は暗出力蓄積容量CTN、11は明出力蓄積容量CTS、12は水平転送トランジスタである。13は水平出力線リセットトランジスタ、14は差動出力アンプ、15は水平走査回路、16は垂直走査回路である。なお、図2に示す各トランジスタは、例えば、MOSトランジスタで構成されうる。
【0027】
図3に2画素で構成されるユニットの断面図を示す。図3のユニット301は、図2の画素30−11及び画素30−21の2画素を1ユニットで構成したものを例示的に示したものである。図3において、17はPウェル、18は酸化膜等で形成されるゲート絶縁膜、19は一層目のポリSi、20は二層目のポリSi、21はn+フローティングディフュージョン部(FD)である。21のFDは他の転送トランジスタを介して他の光電変換素子と接続される。図3において、2つの転送スイッチトランジスタ3のドレインとFD部21を共通化して微細化とFD部21の容量低減による感度向上を図っているが、Al等の配線でFD部21を接続しても良い。
【0028】
次に、図4のタイミングチャートを用いて動作を説明する。このタイミングチャートは全画素独立出力の場合である。図4において、横軸は時間、縦軸は各信号の信号波形を示す。
【0029】
まず垂直走査回路16からのタイミング出力によって、制御パルスφLをハイとして垂直出力線をリセットする。また制御パルスφR0,φPG00,φPGe0をハイとし、リセット用トランジスタ4をオンとし、フォトゲート2の一層目のポリSi19をハイとしておく。期間T0において、制御パルスφS0をハイとし、選択スイッチトランジスタ6をオンさせ、第1、第2ラインの画素を選択する。次に制御パルスφR0をロウとし、FD部21のリセットを止め、FD部21をフローティング状態とする。FD部21に蓄積される電荷は、ソースフォロワアンプトランジスタ5のゲートを介して、電圧の変化としてソースから読み出される。その後、期間T1において制御パルスφTNをハイとし、FD部21から読み出された暗電圧をソースフォロワ動作で蓄積容量CTN10に出力させる。
【0030】
次に、第1ラインの画素の光電変換出力を行うため、第1ラインの制御パルスφTX00をハイとして転送スイッチトランジスタ3を導通した後、期間T2において制御パルスφPG00をローとする。この時フォトゲート2の下に拡がっていたポテンシャル井戸を上げて、光発生キャリアをFD部21に完全転送させるような電圧関係が好ましい。従って完全転送が可能であれば制御パルスφTXはパルスではなくある固定電位でもかまわない。
【0031】
期間T2でフォトダイオードの光電変換素子1からの電荷がFD部21に転送されることにより、FD部21の電位が光に応じて変化することになる。この時ソースフォロワアンプトランジスタ5がフローティング状態であるので、FD部21の電位を期間T3において制御パルスφTsをハイとして蓄積容量CTS11に出力する。この時点で第1ラインの画素の暗出力と光出力はそれぞれ蓄積容量CTN10とCTS11に蓄積されている。そして、期間T4で制御パルスφHCを一時ハイとして水平出力線リセットトランジスタ13を導通して水平出力線をリセットし、水平転送期間において水平走査回路15の走査タイミング信号により水平出力線に画素の暗出力と光出力が出力される。この時、蓄積容量CTN10とCTS11の差動増幅器14によって、差動出力VOUTを取れば、画素のランダムノイズ、固定パターンノイズを除去したS/Nの良い信号が得られる。また画素30−12、30−22の光電荷は、画素30−11、30−21と同時に夫々の蓄積容量CTN10とCTS11に蓄積される。しかしながら、その読み出しは水平走査回路15からのタイミングパルスを1画素分遅延させて、水平出力線に読み出して差動増幅器14から出力される。
【0032】
本実施形態では、差動出力VOUTをチップ内で行う構成を示しているが、チップ内に含めず、外部で従来のCDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)回路を用いても同様の効果が得られる。
【0033】
蓄積容量CTS11に明出力を出力した後、制御パルスφR0をハイとしてリセット用トランジスタ4を導通し、FD部21を電源VDDにリセットする。第1ラインの水平転送が終了した後、第2ラインの読み出しを行う。第2ラインの読み出しは、制御パルスφTXe0、制御パルスφPGe0を同様に駆動させ、制御パルスφTN、φTSに夫々ハイパルスを供給して、蓄積容量CTN10とCTS11に夫々光電荷を蓄積し、暗出力及び明出力を取り出す。以上の駆動により、第1、第2ラインの読み出しが夫々独立に行なえる。この後、垂直走査回路を走査させ、同様に第2n+1ライン、第2n+2ライン(n=1、2、…)の読み出しを行なえば、全画素独立出力が行える。例えば、n=1の場合は、まず制御パルスφS1をハイとし、次に次にφR1をローとする。次いで、制御パルスφTN、φTX01をハイとし、制御パルスφPG01をロー、制御パルスφTSをハイ、制御パルスφHCを一時ハイとして画素30−31、30−32の画素信号を読み出す。続いて、制御パルスφTXe1、φPGe1及び上記と同様に制御パルスを印加して、画素30−41、30−42の画素信号を読み出す。
【0034】
図5〜図7は、撮像用画素と焦点検出用画素の構造を説明する図である。本発明の好適な実施形態においては、2行×2列の4画素のうち、対角2画素にG(緑色)の分光感度を有する画素を配置し、他の2画素にR(赤色)とB(青色)の分光感度を有する画素を各1個配置した、ベイヤー配列が採用されている。そして、このベイヤー配列の間に、後述する構造の焦点検出用画素が所定の規則にて分散配置される。
【0035】
図5に撮像用画素の配置と構造を示す。図5(a)は2行×2列の撮像用画素の平面図である。周知のように、ベイヤー配列では対角方向にG画素が、他の2画素にRとBの画素が配置される。そして2行×2列の構造が繰り返し配置される。
【0036】
図5(a)におけるA−A断面図を図5(b)に示す。MLは各画素の最前面に配置されたオンチップマイクロレンズ、CFRはR(赤色)のカラーフィルタ、CFGはG(緑色)のカラーフィルタである。PD(Photo Diode)は図3で説明したCMOSイメージセンサの光電変換素子を模式的に示したものである。CL(Contact Layer)は、CMOSイメージセンサ内の各種信号を伝達する信号線を形成するための配線層である。TLは撮影光学系を模式的に示したものである。
【0037】
ここで、撮像用画素のオンチップマイクロレンズMLと光電変換素子PDは、撮影光学系TL(Taking Lens)を通過した光束を可能な限り有効に取り込むように構成されている。換言すると、撮影光学系TLの射出瞳EP(Exit Pupil)と光電変換素子PDは、マイクロレンズMLにより共役関係にあり、かつ光電変換素子の有効面積は大面積に設計される。また、図5(b)ではR画素の入射光束について説明したが、G画素及びB(青色)画素も同一の構造となっている。従って、撮像用のRGB各画素に対応した射出瞳EPは大径となり、被写体からの光束(光量子)を効率よく取り込んで画像信号のS/Nを向上させている。
【0038】
図6は、撮影光学系の水平方向(横方向)に瞳分割を行なうための焦点検出用画素の配置と構造を示す。ここで水平方向又は横方向とは、撮影光学系の光軸と撮影画面の長辺とが地面に平行となるように撮像装置を構えたとき、この光軸に直交し、かつ水平方向に伸びる直線に沿った方向をいう。また、図6における瞳分割方向は水平方向である。図6(a)は、焦点検出用画素を含む2行×2列の画素の平面図である。記録又は観賞のための画像信号を得る場合、G画素で輝度情報の主成分を取得する。そして人間の画像認識特性は輝度情報に敏感であるため、G画素が欠損すると画質劣化が認知されやすい。一方でR画素又はB画素は、色情報(色差情報)を取得する画素であるが、人間の視覚特性は色情報には鈍感であるため、色情報を取得する画素は多少の欠損が生じても画質劣化は認識され難い。そこで本実施形態においては、2行×2列の画素のうち、G画素は撮像用画素として残し、R画素とB画素を焦点検出用画素に置き換える。この焦点検出用画素を図6(a)においてSHA及びSHBと示す。
【0039】
図6(a)におけるA−A断面図を図6(b)に示す。マイクロレンズMLと、光電変換素子PDは図5(b)に示した撮像用画素と同一構造である。本実施形態においては、焦点検出用画素の信号は画像生成には用いないため、色分離用カラーフィルタの代わりに透明膜CFW(白色)が配置される。また、撮像素子で瞳分割を行なうため、配線層CLの開口部はマイクロレンズMLの中心線に対して一方向に偏倚している。具体的には、画素SHA及の開口部OPHAは右側に偏倚しているため、撮影光学系TLの左側の射出瞳EPHAを通過した光束を受光する。同様に、画素SHBの開口部OPHBは左側に偏倚しているため、撮影光学系TLの右側の射出瞳EPHBを通過した光束を受光する。よって、画素SHAを水平方向に規則的に配列し、これらの画素群で取得した被写体像をA像とする。また、画素SHBも水平方向に規則的に配列し、これらの画素群で取得した被写体像をB像とすると、A像とB像の相対位置を検出することで、被写体像のピントずれ量(デフォーカス量)が検出できる。
【0040】
なお、上記画素SHA及びSHBでは、撮影画面の横方向に輝度分布を有した被写体、例えば縦線に対しては焦点検出可能だが、縦方向に輝度分布を有する横線は焦点検出不能である。そこで本実施形態では、後者についても焦点状態を検出できるよう、撮影光学系の垂直方向(縦方向)にも瞳分割を行なう画素も備えるよう構成されうる。
【0041】
図7は、撮影光学系の垂直方向(上下方向又は縦方向)に瞳分割を行なうための焦点検出用画素の配置と構造を示す。ここで垂直方向、上下方向及び縦横方向は、撮影光学系の光軸と撮影画面の長辺とが地面に平行となるように撮像装置を構えたとき、この光軸に直交し、鉛直方向に伸びる直線に沿った方向をいう。また、図7における瞳分割方向は垂直方向である。図7(a)は、焦点検出用画素を含む2行×2列の画素の平面図であり、図6(a)と同様に、G画素は撮像用画素として残し、R画素とB画素のを焦点検出用画素としている。この焦点検出用画素を図7(a)においてSVC及びSVDと示す。
【0042】
図7(a)のA−A断面図を図7(b)に示す。図6(b)の画素が横方向に瞳分離する構造であるのに対して、図7(b)の画素は瞳分離方向が縦方向になっているが、その他の画素の構造は同様である。画素SVCの開口部OPVCは下側に偏倚しているため、撮影光学系TLの上側の射出瞳EPVCを通過した光束を受光する。同様に、画素SVDの開口部OPVDは上側に偏倚しているため、撮影光学系TLの下側の射出瞳EPVDを通過した光束を受光する。よって、画素SVCを垂直方向に規則的に配列し、これらの画素群で取得した被写体像をC像とする。また、画素SVDも垂直方向に規則的に配列し、これらの画素群で取得した被写体像をD像とする。すると、C像とD像の相対位置を検出することで、垂直方向に輝度分布を有する被写体像のピントずれ量(デフォーカス量)が検出できる。
【0043】
図8は、本発明の好適な実施形態における焦点検出を概略的に示す図である。撮像素子107は、瞳分割された第1の焦点検出用画素901aと第2の焦点検出用画素901bとで構成される焦点検出部901を複数有する。撮像素子107はまた、撮影光学系(結像光学系)で結像された被写体像を光電変換するための撮像用画素を複数含む。CPU121は、合成手段902と、連結手段903と、演算手段904と、を含む。CPU121はまた、複数の焦点検出部901を含むように、撮像素子107の撮像面にセクション(領域)CSTを複数割り当てる。CPU121は、セクションCSTの大きさ、配置、数等を適宜変更することができる。合成手段902は、撮像素子107に割り当てられた複数のセクションCSTの各々において、第1の焦点検出用画素901aからの出力信号を合成して1画素の第1の合成信号を得る処理を行う。合成手段902はまた、各セクションCSTにおいて、第2の焦点検出用画素901bからの出力信号を合成して1画素の第2の合成信号を得る処理を行う。連結手段903は、複数のセクションCSTにおいて、第1の合成信号である各画素を連結して第1の連結信号を得る処理と、第2の合成信号を連結して第2の連結信号を得る処理とを行う。このように、第1の焦点検出用画素901a及び第1の焦点検出用画素901bのそれぞれに対して、セクション数の画素が連結された連結信号が得られる。演算手段904は、第1の連結信号及び第2の連結信号に基づいて、結像光学系の焦点ずれ量を演算する。このように、セクション内に配置された同一の瞳分割方向における焦点検出用画素の出力信号を合成するため、焦点検出部の1つ1つの輝度は小さい場合であっても、被写体の輝度分布を十分に検出することが可能となる。また、後述するように、焦点検出部901を瞳分割方向(図8では、水平方向)に密に配置することにより、細線(高周波パターン)の画像捕捉能力が向上する。なお、図8では、説明を簡略化するために水平方向に瞳分割する場合を例に示したが、後述するように垂直方向に瞳分割する場合についても同様である。
【0044】
図9〜図11は、図5〜図7に示した撮像用画素及び焦点検出用画素の配置規則を説明する図である。
【0045】
図9は撮像用画素の間に焦点検出用画素を離散的に配置する場合の、本発明の好適な第1の実施形態に係る最小単位の配置規則を説明するための図である。図9において、10行×10列=100画素の正方形領域を1つのブロックと定義する。左上のブロックBLKh(1、1)において、一番左下のR画素とB画素を、水平方向(第1の方向)に瞳分割を行なう1組の焦点検出用画素(第1の焦点検出部)SHA及びSHBで置き換える。
【0046】
その右隣りのブロックBLKv(1、2)においては、同じく一番左下のR画素とB画素を、垂直方向(第2の方向)に瞳分割を行なう1組の焦点検出用画素(第2の焦点検出部)SVC及びSVDで置き換える。また、最初のブロックBLKh(1、1)の下に隣接したブロックBLKv(2、1)の画素配列は、ブロックBLKv(1、2)と同一とする。そして、その右隣りのブロックBLKh(2、2)の画素配列は、先頭のブロックBLKh(1、1)と同一とする。
【0047】
この配置規則を一般化すると、ブロックBLK(i、j)において、i+jが偶数であれば水平瞳分割用の焦点検出画素を配置し、i+jが奇数であれば垂直瞳分割用の焦点検出画素を配置することになる。そして、図9の2×2=4ブロック、すなわち20行×20列=400画素の領域を、ブロックの上位の配列単位として、クラスタと定義する。
【0048】
図10は、上記のクラスタを単位とした配置規則を説明するための図である。図10において、20行×20列=400画素で構成された一番左上のクラスタをCST(u、w)=CST(1、1)とする。クラスタCST(1、1)においては、各ブロックの一番左下のR画素とB画素を、焦点検出用画素SHA及びSHB、又は、SVC及びSVDで置き換える。
【0049】
その右隣りのクラスタCST(1、2)においては、ブロック内における焦点検出用画素の配置を、クラスタCST(1、1)に対して上方向に2画素分シフトした位置に配置する。また、最初のクラスタCST(1、1)の下に隣接したクラスタCST(2、1)においては、ブロック内における焦点検出用画素の配置を、クラスタCST(1、1)に対して右方向に2画素分シフトした位置に配置する。以上の規則を繰り返し適用すると図10に示した配置が得られる。
【0050】
この配置規則を一般化すると以下のようになる。なお、焦点検出用画素の座標は、図6又は図7で示したG画素を含む4画素を一つの単位(ペア)とし、そのうちの左上の画素の座標で規定する。また各ブロック内の座標は左上を(1、1)とし、下方向と右方向を正とする。
【0051】
以上の定義を適用すると、クラスタCST(u、w)において、各ブロック内の焦点検出用画素ペアの水平座標は2×u−1となり、垂直座標は11−2×wとなる。そして、図10の5×5=25クラスタ、すなわち100行×100列=1万画素の領域を、クラスタの上位の配列単位として、フィールドと定義する。
【0052】
図11は、上記のフィールドを単位とした配置規則を説明するための図である。同図において、100行×100列=1万画素で構成された一番左上のフィールドをFLD(q、r)=FLD(1、1)とする。そして本実施形態では、すべてのフィールドFLD(q、r)は先頭フィールドFLD(1、1)と同様の配列となっている。そこで、FLD(1、1)を水平方向に30個、垂直方向に20個配列すると、3000列×2000行=600万画素の撮像領域は600個のフィールドで構成される。そして撮像領域全面に渡って焦点検出用画素を均一に分布させることができる。
【0053】
次に図12〜図15を用いて、焦点検出時の画素のグループと信号加算方法について説明する。図12は、撮影光学系によって形成された被写体像の、横ずれ方向の焦点検出を行なう場合の画素グループ化方法を説明する図である。横ずれ方向の焦点検出とは、図6で説明した、撮影光学系の射出瞳を横方向(左右方向、水平方向)に分割するための焦点検出用画素を用いて、位相差式焦点検出を行なうことを指す。
【0054】
図12に示す画素配列は図10で説明したものであるが、焦点検出の際には、横方向に1ブロック、縦方向に10ブロックの合計10ブロックを1つのグループとし、これをセクション(ここでは、第1のセクション)と定義する。そして、本実施形態では、一例として、横方向に複数配列された30個のセクションで、1つの焦点検出領域を構成する。すなわち、100行×300列=3万画素の領域が1つの焦点検出領域となる。この1つの焦点検出領域をAFエリアと定義する。ここで、1つのセクション内においては、横方向における一方の瞳分割を行なう画素SHAが5個、他方の瞳分割を行なう画素SHBも5個含まれている。そこで本実施形態においては、5個のSHAの出力を加算して1画素の信号とし、位相差演算用の一方の画像信号(A像と称する)の1AF画素を得る。同様に、5個のSHBの出力を加算して1画素の信号とし、位相差演算用の他方の画像信号(B像と称する)の1AF画素を得る。
【0055】
図13は、一つのセクションにおける、被写体像の捕捉能力を説明するための図である。図13(a)は図12の左端のセクションを切り出したものである。下端に示された水平線PRJhは、焦点検出用画素SHA及びSHBの瞳分割方向(第1の方向)と直交する第2の方向に延伸した第1の射影軸(Projection Line)である。右端に示された垂直線PRJvは、瞳分割方向に延伸した第2の射影軸である。ここで、1つのセクション内の画素SHAはすべて加算され、SHBも加算される。そこで、1つのセクションを1つのAF画素と見なした場合、1つのAF画素に含まれる受光部を瞳分割方向と直交する方向の射影軸PRJhに射影すると、画素SHAとSHBが交互に緻密に並ぶことがわかる。このときの、瞳分割方向と直交する方向の射影軸PRJhにおける画素SHAの配列ピッチをP1とすると、P1=PHh=2(単位は画素)となる。ピッチの代わりに空間周波数F1で表わすと、F1=0.5(単位は画素/画素)となる。同様に射影軸PRJhにおける画素SHBの配列ピッチもP1=2(単位は画素)、空間周波数表記ではF1=0.5(単位は画素/画素)となる。
【0056】
一方、1つのAF画素に含まれる受光部を瞳分割方向の射影軸PRJvに射影すると、画素SHAとSHBはまばらに並ぶことがわかる。このときの、射影軸PRJvにおける画素SHAの配列ピッチをP2とすると、P2=PHv=20(単位は画素)となる。ピッチの代わりに空間周波数F2で表わすと、F2=0.05(単位は画素/画素)となる。同様に射影軸PRJvにおける画素SHBの配列ピッチも、P2=20(単位は画素)、空間周波数表記ではF2=0.05(単位は画素/画素)となる。
【0057】
すなわち、本実施形態におけるAF画素は、上記グループ化前の分散特性については、瞳分割方向とこれに直交する方向の配置上のピッチが等しい。しかしながら、グループ化する際のグループ形状を長方形とすることで、瞳分割方向のサンプリング誤差を低減している。具体的には、1セクションの瞳分割方向と直交する方向の最大寸法L1は10画素、瞳分割方向の最大寸法L2は100画素としている。すなわち、セクション寸法をL1<L2とすることで、瞳分割方向と直交する方向のサンプリング周波数F1を高周波(密)に、瞳分割方向のサンプリング周波数F2を低周波(疎)としている。
【0058】
図13(a)で説明したAF画素(一つのセクション)に、細線の被写体像が投影された場合の画像捕捉能力を図13(b)にて説明する。図13(b)において、LINEvは、撮像素子107上に投影された細い縦線を表わし、その幅は画素換算で4画素、画像の実寸では幅8μmになっている。この時、セクションSCTh(1)内では、ブロックBLK(3、1)とブロックBLK(5、1)に含まれる焦点検出用画素が被写体像を捕捉する。なお、被写体像の最小寸法は、撮影光学系の収差と撮像素子前面に配置された光学LPFの特性で決まるが、通常は非常に細い線でも2画素以上の幅になる。従って、本実施形態の1つのセクション内では、最低でも各1個ずつの画素SHAとSHBで画像を捕捉することになり、捕捉洩れは生じない。
【0059】
一方、図13(b)のLINEhは、撮像素子107上に投影された細い横線を表わし、その幅は前述のLINEvと同様に画素換算で4画素、画像の実寸では幅8μmになっている。この時には、横線LINEhはブロックBLK(5、1)にかかっているが、焦点検出用画素SHA及びSHBには捕捉されない。しかしながら、セクションSCTh(1)は、縦線のように横方向に輝度分布を有する被写体について焦点検出を行なうためのものである。従って、横線のように縦方向に輝度分布を有する被写体については、焦点検出用画素による像の捕捉洩れが生じても構わない。
【0060】
図14は、撮影光学系によって形成された被写体像の、縦ずれ方向の焦点検出を行なう場合の画素グループ化方法を説明する図である。縦ずれ方向の焦点検出とは、図7で説明した、撮影光学系の射出瞳を縦方向(上下方向、すなわち垂直方向)に分割するための焦点検出用画素を用いて、位相差式焦点検出を行なうことをいう。すなわち、図12を90度回転したものに相当する。
【0061】
図14に示す画素配列も図10で説明したものであるが、焦点検出の際には、横方向に10ブロック、縦方向に1ブロックの合計10ブロックを1つのグループとし、これをセクション(ここでは、第2のセクション)と定義する。そして、本実施形態では、一例として、縦方向に複数配列された30個のセクションで、1つの焦点検出領域を構成する。すなわち、300行×100列=3万画素の領域が1つの焦点検出領域となる。この1つの焦点検出領域も図12と同様にAFエリアと定義する。ここで、1つのセクション内においては、縦方向における一方の瞳分割を行なう画素SVCが5個、他方の瞳分割を行なう画素SVDも5個含まれている。そこで本実施形態においては、5個のSVCの出力を加算して、位相差演算用の一方の画像信号(C像と称する)の1AF画素とする。同様に、5個のSVDの出力を加算して、位相差演算用の他方の画像信号(D像と称する)の1AF画素とする。
【0062】
図15は、一つのセクションにおける被写体像の捕捉能力を説明するための図であり、図13を90度回転したものと等価である。図15(a)は図14の上端のセクションを切り出したものである。そして右端に示された垂直線PRJvは、焦点検出用画素SVC及びSVDの瞳分割方向(第2の方向)と直交する第1の方向に延伸した第3の射影軸、下端に示された水平線PRJhは、瞳分割方向に延伸した第4の射影軸である。図15(a)においても、1つのセクション内の画素SVCはすべて加算され、SVDも加算される。そこで、1セクションを1AF画素と見なした場合、1AF画素に含まれる受光部を瞳分割方向と直交する方向の射影軸PRJvに射影すると、画素SVC及びSVDが交互に緻密に並ぶことがわかる。このときの、瞳分割方向と直交する方向の射影軸PRJvにおける画素SVCの配列ピッチをP1とすると、P1=PVv=2(単位は画素)となる。ピッチの代わりに空間周波数F1で表わすと、F1=0.5(単位は画素/画素)となる。同様に射影軸PRJvにおける画素SVDの配列ピッチもP1=2(単位は画素)、空間周波数表記ではF1=0.5(単位は画素/画素)となる。
【0063】
一方、1つのAF画素に含まれる受光部を瞳分割方向の射影軸PRJhに射影すると、画素SVCとSVDはまばらに並ぶことがわかる。このときの、射影軸PRJhにおける画素SVCの配列ピッチをP2とすると、P2=PVh=20(単位は画素)となる。ピッチの代わりに空間周波数F2で表わすと、F2=0.05(単位は画素/画素)となる。同様に射影軸PRJvにおける画素SVDの配列ピッチも、P2=20(単位は画素)、空間周波数表記ではF2=0.05(単位は画素/画素)となる。
【0064】
以上のように、図15におけるAF画素のサンプリング特性は、瞳分割方向を基準に考えると、図13と同様の特性、すなわちF1>F2となっている。これは、図15のセクションにおいても、瞳分割方向と直交する方向のセクション寸法L1と、瞳分割方向の寸法L2を、L1<L2としたからである。これにより、空間周波数の高い被写体に対しても瞳分割方向と直交する方向の輝度情報を正確に検出することができるとともに、被写体輝度が低くても複数画素の加算によって焦点検出信号のS/N比を向上させることができる。
【0065】
図15(a)で説明したAF画素(一つのセクション)に、細線の被写体像が投影された場合の画像捕捉能力を図15(b)にて説明する。図15(b)において、LINEhは、撮像素子107上に投影された細い横線を表わし、その幅は画素換算で4画素、画像の実寸では幅8μmになっている。この時、セクションSCTv(1)内では、ブロックBLK(1、4)とブロックBLK(1、6)に含まれる焦点検出用画素が被写体像を捕捉する。
【0066】
一方、図15(b)のLINEvは、撮像素子107上に投影された細い縦線を表わし、その幅は前述のLINEhと同様に画素換算で4画素、画像の実寸では幅8μmになっている。この時には、縦線LINEvはブロックBLK(1、6)にかかっているが、焦点検出用画素SVC及びSVDには捕捉されない。しかしながら、セクションSCTv(1)は、横線のように縦方向に輝度分布を有する被写体について焦点検出を行なうためのものである。従って、縦線のように横方向に輝度分布を有する被写体については、焦点検出用画素による像の捕捉洩れが生じても構わない。
【0067】
図16は、第1の実施形態における撮像素子の瞳分割機能を概念的に説明する図である。TLは撮影光学系、107は撮像素子、OBJは被写体、IMGは被写体像である。
【0068】
撮像用画素は図5で説明したように、撮影光学系の射出瞳全域EPを通過した光束を受光する。一方、焦点検出用画素は図6及び図7で説明したように、瞳分割機能を有している。具体的には、図6の画素SHAは撮像面からレンズ後端を見て左側の瞳を通過した光束LHA、すなわち図16の瞳EPHAを通過した光束を受光する。同様に画素SHB、SVC及びSVDはそれぞれ瞳EPHB、EPVC及びEPVDを通過した光束LHB、LHC、LHDをそれぞれ受光する。そして、焦点検出用画素は、図11で説明したように撮像素子107の全領域に渡って分布しているため、撮像領域全域で焦点検出も可能となっている。
【0069】
図17は、焦点検出時に取得した画像と焦点検出領域を説明する図である。図17において、撮像面に形成された被写体像には、中央に人物、左側に近景の樹木、右側に遠景の山並みが写っている。そして本実施形態においては、焦点検出用画素は、横ずれ検出用の画素ペアSHA及びSHBと、縦ずれ検出用の画素ペアSVC及びSVDが、図11に示したように撮像領域全域に渡って均等な密度で配置されている。そして横ずれ検出の際には、位相差演算のためのAF画素信号を図12及び図13で示したようにグループ化処理する。また、縦ずれ検出の際には、位相差演算のためのAF画素信号を図14及び図15で示したようにグループ化処理する。よって、撮像領域の任意位置において、横ずれ検出及び縦ずれ検出のための測距領域を設定可能である。
【0070】
図17においては、画面中央に人物の顔が存在している。そこで公知の顔認識技術によって顔の存在が検出されると、顔領域を中心に横ずれ検知のための焦点検出領域AFARh(x1,y1)と、縦ずれ検知のための焦点検出領域AFARv(x3,y3)が設定される。ここで添え字のhは水平方向を表わし、(x1,y1)及び(x3,y3)は焦点検出領域の左上隅の座標を表わす。そして、焦点検出領域AFARh(x1,y1)の各セクション内に含まれる5個の焦点検出画素用SHAを加算し、これを30セクションに渡って連結した位相差検出用のA像信号がAFSIGh(A1)である。また、同様に各セクションの5個の焦点検出画素用SHBを加算し、これを30セクションに渡って連結した位相差検出用のB像信号がAFSIGh(B1)である。そして、A像信号AFSIGh(A1)とB像信号AFSIGh(B1)の相対的な横ずれ量を公知の相関演算によって演算することで、被写体の焦点ずれ量(デフォーカス量)を求めることができる。
【0071】
焦点検出領域AFARv(x3,y3)についても同様に焦点ずれ量を求める。そして、横ずれ及び縦ずれの焦点検出領域で検出した2つの焦点ずれ量を比較し、信頼性の高い値を採用すればよい。
【0072】
一方、画面左側の樹木の幹部は、縦線成分が主体、すなわち横方向に輝度分布を有しているため、横ずれ検知に適した被写体と判断され、横ずれ検知のための焦点検出領域AFARh(x2,y2)が設定される。また、画面右側の山並み稜線部は、横線成分が主体、すなわち縦方向に輝度分布を有しているため、縦ずれ検知に適した被写体と判断され、縦ずれ検知のための焦点検出領域AFARv(x4,y4)が設定される。
【0073】
以上のように本実施形態においては、横ずれ及び縦ずれ検出のための焦点検出領域が画面の任意位置に設定可能なため、被写体の投影位置や輝度分布の方向性が様々であっても、正確な焦点検出が可能である。
【0074】
図18〜図20は、本発明の好適な実施形態に係る撮像装置の焦点調節及び撮影方法等の制御方法を説明するためのフローチャートである。本フローチャートの制御方法は、後述する第2の実施形態〜第4の実施形態においても同様にして適用することができる。なお、本フローチャートの各工程は、特に言及がない限り、図1のCPU121により実行されるものとする。以下、先に説明した図1〜図17の各図を参照しながら、図18以降の制御フローを説明する。
【0075】
図18は、本発明の好適な実施形態に係る撮像装置のメインフローである。ステップS101において撮影者が撮像装置の電源スイッチをオン操作すると、ステップS103においてCPU121は撮像装置内の各アクチュエータや撮像素子の動作確認を行う。そして、メモリ内容や実行プログラムの初期化状態を検出すると共に、撮影準備動作を実行する。ステップS105では撮像素子の撮像動作を開始し、プレビュー用の低画素動画像を出力する。ステップS107では読み出した動画を撮像装置背面に設けられた表示器131に表示し、撮影者はこのプレビュー画像を目視して撮影時の構図決定を行なう。
【0076】
ステップS109では、プレビュー用動画像に顔が存在するか否かを認識する。そして、撮影領域に顔が存在していると認識された場合には(ステップS111で「YES」)、ステップS111からステップS113に移行し、焦点調節モードを顔AFモードに設定する。ここで顔AFモードとは、撮影領域の顔に焦点を合わせるAFモードを指す。
【0077】
一方、撮影領域に顔が存在していない場合は(ステップS111で「NO」)、ステップS111からステップS115に移行し、焦点調節モードを多点AFモードに設定する。ここで多点AFモードとは、撮影領域を例えば3×5=15分割し、各分割領域で焦点検出を行ない、焦点検出結果と被写体の輝度情報から主被写体を類推し、その領域を合焦させるモードを指す。
【0078】
ステップS113又はステップS115でAFモードを決定したら、ステップS117で焦点検出領域を決定する。ステップS121では、撮影準備スイッチがオン操作されたか否かを判別し、オン操作されていなければステップS105に戻り、撮像素子駆動からステップS117の焦点検出領域の決定を繰り返し実行する。
【0079】
ステップS121で撮影準備スイッチがオン操作されるとステップS131に移行し、焦点検出サブルーチンを実行する。
【0080】
図19は焦点検出サブルーチンのフロー図である。メインフローのステップS121からこのサブルーチンのステップS131に進むと、ステップS133においては、メインルーチンのステップS117で決定した焦点検出領域に含まれる焦点検出用画素を読み出す。ステップS134では、少なくとも2つの焦点検出部901を含むように、撮像素子107の撮像面にセクションを複数割り当てる。各セクションは、互いに重なり合わないように配置されることが好ましい。また、撮像素子107の撮像面の全ての焦点検出部901がいずれかのセクションに配置されるようにセクションを割り当てても良いし、一部の焦点検出部901がどのセクションにも配置されないようにセクションを割り当ててもよい。ステップS135では、ステップS134で割り当てた複数のセクションの各々において、焦点検出部901のうち第1の焦点検出用画素からの出力信号を合成して第1の合成信号を得る。同様に、ステップS134で割り当てた複数のセクションの各々において、第2の焦点検出用画素からの出力信号を合成して第2の合成信号を得る。ステップS136では、ステップS134で割り当てた複数のセクションに渡って、ステップS135で得られた第1の合成信号を連結して第1の連結信号を得る。同様に、ステップS134で割り当てた複数のセクションに渡って、ステップS135で得られた第2の合成信号を連結して第2の連結信号を得る。これらの第1、第2の連結信号は、相関演算用の2像の信号に対応する。具体的には、図17に示したAFSIGh(A1)とAFSIGh(B1)、又はAFSIGv(C3)とAFSIGv(D3)等の対の信号に対応する。ステップS139では得られた2像の信号の相関演算を行ない、2像の信号の相対的な位置ずれ量を演算する。ステップS141では、ステップS139の相関演算結果の信頼性を判定する。ここで、信頼性とは、2像の信号の一致度を指し、2像の信号の一致度が良い場合には、一般的に焦点検出結果の信頼性が高い。そこで、複数の焦点検出領域が選択されている場合は、信頼性の高い情報を優先的に使用する。
【0081】
ステップS143では、上記の信頼性の高い検出結果から焦点ずれ量を演算する。そして、ステップS145では、図18のメインフロー内のステップS151にリターンする。
【0082】
図18のステップS151では、図19のステップS143で演算した焦点ずれ量が許容値以下か否かを判断する。そして焦点ずれ量が許容値異常である場合は、非合焦と判断し、ステップS153でフォーカスレンズを駆動し、その後ステップS131〜ステップS151を繰り返し実行する。そしてステップS151にて合焦状態に達したと判定されると、ステップS155にて合焦表示を行ない、ステップS157に移行する。
【0083】
ステップS157では、撮影開始スイッチがオン操作されたか否かを判別し、オン操作されていなければステップS157にて撮影待機状態を維持する。ステップS157で撮影開始スイッチがオン操作されるとステップS161に移行し、撮影サブルーチンを実行する。
【0084】
図20は撮影サブルーチンのフロー図である。撮影開始スイッチが操作されると、ステップS161を経由して、ステップS163では光量調節絞りを駆動し、露光時間を規定するメカニカルシャッタの開口制御を行なう。ステップS165では、高画素静止画撮影のための画像読み出し、すなわち全画素の読み出しを行なう。ステップS167では読み出した画像信号の欠損画素補間を行なう。すなわち、焦点検出用画素の出力は撮像のためのRGBカラー情報を有しておらず、画像を得る上では欠陥画素に相当するため、周囲の撮像用画素の情報から補間により画像信号を生成する。
【0085】
ステップS169では、画像のγ補正、エッジ強調等の画像処理をおこない、ステップS171において、フラッシュメモリ133に撮影画像を記録する。ステップS173では、表示器131に撮影済み画像を表示し、ステップS175で図18のメインフローにリターンする。
【0086】
図18のメインフローに戻ると、ステップS181にて一連の撮影動作を終了する。
【0087】
以上のように、本発明の好適な第1の実施形態によれば、瞳分割機能を有した複数の焦点検出用画素の出力を合成して焦点検出演算に用いることができる。そのため、焦点検出信号のサンプリング特性とS/Nを向上させることができる。また、焦点検出用画素が離散的に配置されているため、撮像用画素の欠損が少なく、撮影画像の劣化も回避できる。
【0088】
また、位相差検出用信号を得るためのAF画素を長方形とし、この長方形領域内の焦点検出用画素の出力を合成したものをAF演算用1画素の信号としている。そして、この長方形領域の瞳分割方向と直交する方向の寸法を他方に対して小とすることで、瞳分割方向と直交する方向におけるAF画素のサンプリング能力の低下を防止することができる。従って、細い線や高周波の被写体の捕捉洩れが防止でき、焦点検出性能が向上する。
【0089】
また、横ずれ検出用画素と縦ずれ検出用画素を市松状に実質上等間隔かつ等配置密度で配置することができる。これにより、横方向に輝度分布を有する被写体と、縦方向に輝度分布を有する被写体の、いずれに対しても正確な焦点検出が可能となる。
【0090】
なお、本実施形態では、焦点検出用画素が撮像素子の撮像面の全領域に渡って分布している場合を例に示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明の範囲を逸脱しない範囲内で、撮像素子の周辺領域には焦点検出用画素を配置しない等の変更が可能である。
【0091】
(第2の実施形態)
第1の実施形態は、1対の横ずれ検出用画素、又は1対の縦ずれ検出用画素は、斜め方向に隣接するR画素とB画素の位置に割り当てられていた。以下に示す第2の実施形態は、焦点検出用画素が単一色の画素、すなわちR画素又はB画素のみの場所に割り当てられる実施形態である。図21〜図25を用いて第2の実施形態の構成を説明する。
【0092】
図21は第2の実施形態の焦点検出用画素配列を示す図であり、第1の実施形態の図9に対応する。図9に示した第1の実施形態では、ベイヤー配列を有した撮像用画素において、斜め方向に隣接するR画素とB画素の位置に、焦点検出用画素SHA、SHB、SVC及びSVDが割り当てられていた。これに対して図21に示す第2の実施形態では、ベイヤー配列におけるB画素のみに焦点検出用画素が割り当てられる。具体的には、一番左上のブロックBLKh(1、1)とその右下のブロックBLKh(2、2)においては、最下行の左寄りにある2個のB画素を水平方向に瞳分割を行なう1組の焦点検出用画素SHA及びSHBで置き換える。
【0093】
また残りのブロックBLKv(1、2)とBLKv(2、1)においては、左から2番目の列の下寄りにある2個のB画素を、垂直方向に瞳分割を行なう1組の焦点検出用画素SVC及びSVDで置き換える。
【0094】
この配置規則を一般化すると、第1の実施形態と同様に、ブロックBLK(i、j)において、i+jが偶数であれば水平瞳分割用の焦点検出画素を配置し、i+jが奇数であれば垂直瞳分割用の焦点検出画素を配置することになる。そして、2×2=4ブロック、すなわち20行×20列=400画素の領域がクラスタとなる。
【0095】
図22は、上記のクラスタを単位とした配置規則を説明するための図であり、第1の実施形態の図10に対応する。図22において、20行×20列=400画素で構成された一番左上のクラスタをCST(u、w)=CST(1、1)とする。そしてクラスタCST(1、1)においては、各ブロックの左下寄りにあるB画素を、焦点検出用画素SHA及びSHB、又はSVC及びSVDで置き換える。
【0096】
その右隣りのクラスタCST(1、2)においては、ブロック内における焦点検出用画素の配置を、クラスタCST(1、1)に対して上方向に2画素分シフトした位置に配置する。また、最初のクラスタCST(1、1)の下に隣接したクラスタCST(2、1)においては、ブロック内における焦点検出用画素の配置を、クラスタCST(1、1)に対して右方向に2画素分シフトした位置に配置する。以上の規則を繰り返し適用すると、図22に示した配置が得られ、図22に示した範囲がクラスタの上位に位置するフィールドとなる。なお、図10に示した第1の実施形態では、5×5=25クラスタが1フィールドであったが、第2の実施形態では4×4=16クラスタが1フィールドとなる。
【0097】
図23は、上記のフィールドを単位とした配置規則を説明するための図であり、第1の実施形態の図11に対応する。図23において、80行×80列=6、400画素で構成された一番左上のフィールドをFLD(q、r)=FLD(1、1)とする。そして第2の実施形態でも、すべてのフィールドFLD(q、r)は先頭フィールドFLD(1、1)と同様の配列となっている。そこで、FLD(1、1)を水平方向に37個、垂直方向に25個配列すると、3000列×2000行=600万画素の撮像領域は925個のフィールドで構成される。ただし、右端の40列は1フィールドが構成できなかった端数領域であり、この領域には焦点検出用画素が配置されないが、実質的に撮像領域全面に渡って焦点検出用画素を均一に分布させている。
【0098】
次に図24及び図25を用いて、焦点検出時の画素のグループと信号加算方法について説明する。図12は、撮影光学系によって形成された被写体像の、横ずれ方向の焦点検出を行なう場合の画素グループ化方法を説明する図であり、第1の実施形態の図12に対応する。
【0099】
図24に示す画素配列は図22で説明したものだが、焦点検出の際には、横方向に1ブロック、縦方向に8ブロックの合計8ブロックを1つのセクションとする。そして、第2の実施形態では、横方向に並んだ24セクションで、1つの焦点検出領域を構成する。すなわち、80行×240列=19、200画素の領域が1つの焦点検出領域となる。この1つの焦点検出領域がAFエリアである。ここで、1つのセクション内においては、横方向における一方の瞳分割を行なう画素SHAが4個、他方の瞳分割を行なう画素SHBも4個含まれている。そこで第2の実施形態においては、4個のSHAの出力を加算して、位相差演算用の一方の画像信号(A像と称する)の1AF画素とする。同様に、4個のSHBの出力を加算して、位相差演算用の他方の画像信号(B像と称する)の1AF画素とする。
【0100】
図25は、一つのセクションにおける、被写体像の捕捉能力を説明するための図であり、第1の実施形態の図13に対応する。図25(a)は図24の左端のセクションを切り出したものである。下端に示された水平線PRJhは、焦点検出用画素SHA及びSHBの瞳分割方向(第1の方向)と直交する第2の方向に延伸した第1の射影軸(Projection Line)である。右端に示された垂直線PRJvは、瞳分割方向に延伸した第2の射影軸である。ここで、1つのセクション内の画素SHAはすべて加算され、SHBも加算される。そこで、1セクションを1AF画素と見なした場合、1AF画素に含まれる受光部を瞳分割方向と直交する方向の射影軸PRJhに射影すると、画素SHAとSHBが交互に緻密に並ぶことがわかる。このときの、瞳分割方向と直交する方向の射影軸PRJhにおける画素SHAの平均的な配列ピッチをP1とすると、P1=PHh=2(単位は画素)となる。ピッチの代わりに空間周波数F1で表わすと、F1=0.5(単位は画素/画素)となる。同様に射影軸PRJhにおける画素SHBの配列ピッチもP1=2(単位は画素)、空間周波数表記ではF1=0.5(単位は画素/画素)となる。
【0101】
一方、1AF画素に含まれる受光部を瞳分割方向の射影軸PRJvに射影すると、画素SHAとSHBはまばらに並ぶことがわかる。このときの、射影軸PRJvにおける画素SHAの配列ピッチをP2とすると、P2=PHv=20(単位は画素)となる。ピッチの代わりに空間周波数F2で表わすと、F2=0.05(単位は画素/画素)となる。同様に射影軸PRJvにおける画素SHBの配列ピッチも、P2=20(単位は画素)、空間周波数表記ではF2=0.05(単位は画素/画素)となる。すなわち、第2の実施形態におけるAF画素の被写体像のサンプリング特性は、第1の実施形態とほぼ等しいことが判る。
【0102】
図25(a)で説明したAF画素(一つのセクション)に、細線の被写体像が投影された場合の画像捕捉能力を図25(b)にて説明する。図25(b)において、LINEvは、撮像素子107上に投影された細い縦線を表わし、その幅は画素換算で4画素、画像の実寸では幅8μmになっている。この時、セクションSCTh(1)内では、ブロックBLK(1、1)、ブロックBLK(3、1)及びブロックBLK(5、1)に含まれる焦点検出用画素が被写体像を捕捉する。すなわち第2の実施形態においても、1つのセクション内では、最低でも各1個ずつの画素SHAとSHBで画像を捕捉することになり、捕捉洩れは生じない。
【0103】
一方、図25(b)のLINEhは、撮像素子107上に投影された幅4画素分の細い横線を表わす。この時には、横線LINEhはブロックBLK(5、1)にかかっているが、焦点検出用画素SHA及びSHBには捕捉されない。しかしながら、セクションSCTh(1)は、縦線のように横方向に輝度分布を有する被写体について焦点検出を行なうためのものである。従って、横線のように縦方向に輝度分布を有する被写体については、焦点検出用画素による像の捕捉洩れが生じても構わない。
【0104】
なお、第2の実施形態における縦ずれ方向の焦点検出における特性は、図25を90度回転したものと等価であるため、説明は省略する。また、焦点検出動作も図17〜図20で説明したフローを用いればよい。なお、上記の説明では焦点検出用画素をB画素に割り当てたが、R画素に割り当てても良い。また、1組の焦点検出画素の配置も実施形態の形態に限定されない。例えば図21では横ずれ方向の2個1組の焦点検出用画素を、横方向に離間して配置したが、縦方向に離間配置しても構わない。
【0105】
以上の第2の実施形態によれば、焦点検出用画素を単一色の画素に割り当てたため、出力画像生成時の欠陥画素補間アルゴリズムが簡単になる。また、特定色における画像劣化や偽色が軽減される。
【0106】
(第3の実施形態)
第1の実施形態及び第2の実施形態で用いた焦点検出用画素は、2個で1組となり、2分割された瞳領域について、一方の画素が一方の瞳を通過する光束を受光し、他方の画素がもう一方の瞳を通過する光束を受光していた。これに対して以下に示す第3の実施形態は、2分割された瞳領域の光束を1つの画素で取得し、その信号を出力する撮像素子を用いた実施形態を示す。
【0107】
以下、図26及び図27を用いて第3の実施形態を説明する。
【0108】
図26は第3の実施形態の焦点検出用画素配列を示す図であり、第1の実施形態の図9に対応する。図9に示した第1の実施形態では、ベイヤー配列を有した撮像用画素において、斜め方向に隣接するR画素とB画素の位置に、焦点検出用画素SHA、SHB、SVC及びSVDが割り当てられていた。これに対して図26に示す第3の実施形態では、10×10=100画素の各ブロックにおいて、1個のR画素に焦点検出用画素が割り当てられる。具体的には、一番左上のブロックBLKh(1、1)とその右下のブロックBLKh(2、2)においては、左端列の最下端にある1個のR画素を水平方向に瞳分割を行なう1個の焦点検出用画素SHABで置き換える。ここで、焦点検出用画素SHABは、本出願人による特開2003−156677号公報に開示された技術を用いればよい。すなわち当公報の図2に開示された撮像素子のように、オンチップマイクロレンズ後方の光電変換素子を多分割することで撮影光学系の瞳分割を行ない、分割された各瞳領域からの光束を独立して取得し、画像信号として出力する。そのため、1画素で位相差検出用の1組の信号が得られる。
【0109】
また残りのブロックBLKv(1、2)とBLKv(2、1)においては、左端列の最下端にある1個のR画素を、垂直方向に瞳分割を行なう1個の焦点検出用画素SVABで置き換える。
【0110】
この配置規則を一般化すると、第1の実施形態と同様に、ブロックBLK(i、j)において、i+jが偶数であれば水平瞳分割用の焦点検出画素を配置し、i+jが奇数であれば垂直瞳分割用の焦点検出画素を配置することになる。そして、2×2=4ブロック、すなわち20行×20列=400画素の領域がクラスタとなる。
【0111】
図27は、上記のクラスタを単位とし、クラスタが複数集合した配置規則を説明するための図であり、第1の実施形態の図10に対応する。図27に示した全領域が、クラスタの上位となる1フィールドを表わすが、フィールドにおける配置規則は第1の実施形態と同一である。
【0112】
また、第3の実施形態における、撮像領域全域におけるフィールド配置や、焦点検出特性、焦点検出フローは、第1の実施形態の図11〜図20に示したものと同一なため、説明は省略する。
【0113】
以上の第3の実施形態によれば、焦点検出用画素に割り当てる画素数の比率が減少するため、出力画像の劣化や偽色が一層軽減される。また、出力画像生成時の欠陥画素補間アルゴリズムも単純化される。
【0114】
(第4の実施形態)
第1の実施形態〜第3の実施形態は、横ずれ検出用画素と縦ずれ検出用画素が等しい配置密度で配置されていたが、以下に示す第4の実施形態は、一方の画素のみを配置した実施形態である。図28〜図30を用いて第4の実施形態の構成を説明する。
【0115】
図28は第4の実施形態の焦点検出用画素配列を示す図であり、第1の実施形態の図12に対応する。第4の実施形態においては、画素配列の最小単位であるブロックは、第1の実施形態と同様に10行×10列=100画素で構成される。ただし、第4の実施形態が有する焦点検出用画素は、図6に示した画素、すなわち撮影光学系の瞳を水平方向に分割する画素SHA及びSHBのみである。また、焦点検出のための1つのセクションは2×5=10ブロック、すなわち50行×20列=1000画素で構成される。そして各セクションにおいては、焦点検出用画素ペアは図示のようにV字状に配列される。ただし、各ブロックBLK(i、j)において、jが奇数のブロック群と偶数のブロック群では、焦点検出用画素ペアの上下方向の配置場所を異ならせている。
【0116】
図29は、一つのセクションにおける、被写体像の捕捉能力を説明するための図であり、第1の実施形態の図13に対応する。図29(a)は図28の左端のセクションを切り出したものである。そして下端に示された水平線PRJhは、焦点検出用画素SHA及びSHBの瞳分割方向(第1の方向)と直交する第2の方向に延伸した第1の射影軸、右端に示された垂直線PRJvは、瞳分割方向に延伸した第2の射影軸である。第4の実施形態においても、1つのセクション内の画素SHAの出力はすべて加算され、SHBの出力も加算される。そこで、1セクションを1AF画素と見なした場合、1AF画素に含まれる受光部を瞳分割方向と直交する方向の射影軸PRJhに射影すると、画素SHAとSHBが交互に緻密に並ぶことがわかる。このときの、瞳分割方向と直交する方向の射影軸PRJhにおける画素SHAの配列ピッチをP1とすると、P1=PHh=2(単位は画素)となる。ピッチの代わりに空間周波数F1で表わすと、F1=0.5(単位は画素/画素)となる。同様に射影軸PRJhにおける画素SHBの配列ピッチもP1=2(単位は画素)、空間周波数表記ではF1=0.5(単位は画素/画素)となる。
【0117】
一方、1つのAF画素に含まれる受光部を瞳分割方向の射影軸PRJvに射影すると、画素SHAとSHBはまばら、かつ不等間隔に並ぶことがわかる。このときの、射影軸PRJvにおける画素SHAの配列ピッチは2つの値となり、大きい方のピッチはPHv1=6、小さい方のピッチはPHv2=4、平均値はP2=5(ともに単位は画素)となる。ピッチの代わりに平均空間周波数F2で表わすと、F2=0.2(単位は画素/画素)となる。同様に射影軸PRJvにおける画素SHBの平均配列ピッチも、P2=5(単位は画素)、平均空間周波数表記ではF2=0.2(単位は画素/画素)となる。
【0118】
すなわち、第4の実施形態におけるAF画素は、上記グループ化前の分散特性は、瞳分割方向とこれに直交する方向の配置特性が異なるが、グループ化する際のグループ形状を長方形とすることで、所望のサンプリング特性を得ている。具体的には、1セクションの瞳分割方向と直交する方向の最大寸法L1は20画素、瞳分割方向の最大寸法L2は50画素としている。すなわち、セクション寸法をL1<L2とすることで、瞳分割方向と直交する方向のサンプリング周波数F1を高周波(密)に、瞳分割方向のサンプリング周波数F2を低周波(疎)としている。
【0119】
図29(a)で説明したAF画素(一つのセクション)に、細線の被写体像が投影された場合の画像捕捉能力を図29(b)にて説明する。図29(b)において、LINEvは、撮像素子107上に投影された細い縦線を表わし、その幅は画素換算で4画素、画像の実寸では幅8μmになっている。この時、セクションSCTh(1)内では、ブロックBLK(3、1)とブロックBLK(4、1)に含まれる焦点検出用画素が被写体像を捕捉する。
【0120】
また、図29(b)のLINECは、縦線LINEv撮が反時計方向に15度回転した傾斜縦線である。この傾斜縦線は、ブロックBLK(4、2)に含まれる焦点検出用画素により捕捉される。一方、第4の実施形態においては縦ずれ検出画素は備えていないので、横線については焦点検出不能である。
【0121】
図30は撮像素子107の全領域における画素配置図であり、第1の実施形態の図11に対応する。第4の実施形態においては、図28で説明したセクションがフィールドにも対応するため、図30のように、撮影領域は40×150=6000個のフィールドで構成される。そして撮像領域全面に渡って、横ずれ方向の焦点検出が可能となっている。
【0122】
以上の第4の実施形態によれば、焦点検出用画素の配列規則が単純化されるため、この配列規則を記憶するメモリ領域が節約でき、機器を安価に製造できる。また、欠陥画素を補完するアルゴリズムも単純化され、画像処理速度が向上し、軽快な焦点調節を撮影が可能となる。
【0123】
以上説明した第1の実施形態〜第4の実施形態は、デジタルスチルカメラにおける実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明の撮像装置は、デジタルスチルカメラだけでなく、動画撮影を行なうカムコーダ(ムービーカメラ)、各種検査カメラ、監視カメラ、内視鏡カメラ、ロボット用カメラ等に適用されうる。また、以上説明した第1の実施形態〜第4の実施形態において、合成には、加算と平均化とが含まれるものとする。
【0124】
以上説明した第1の実施形態〜第4の実施形態に記載された構成要素の配置や数値等は例示的なものであり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、撮像素子を備えた電子カメラ等の撮像装置の焦点調節動作を提供するものであり、特にデジタルスチルカメラ、ムービーカメラに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の好適な実施形態に係る撮像装置の構成図である。
【図2】本発明の好適な実施形態に係る撮像素子の回路図である。
【図3】本発明の好適な実施形態に係る撮像素子の画素断面図である。
【図4】本発明の好適な実施形態に係る撮像素子の駆動タイミングチャートである。
【図5】本発明の好適な実施形態に係る撮像素子の撮像用画素の平面図と断面図である。
【図6】本発明の好適な実施形態に係る撮像素子の焦点検出用画素の平面図と断面図である。
【図7】本発明の好適な実施形態に係る撮像素子の他の焦点検出用画素の平面図と断面図である。
【図8】本発明の好適な実施形態に係る焦点検出を説明する概念図である。
【図9】本発明の好適な第1の実施形態に係る撮像素子の最小単位の画素配列説明図である。
【図10】本発明の好適な第1の実施形態に係る撮像素子の上位単位の画素配列説明図である。
【図11】本発明の好適な第1の実施形態に係る撮像素子の全領域における画素配列説明図である。
【図12】本発明の好適な第1の実施形態に係る横ずれ焦点検出時の画素グループ化方法説明図である。
【図13】本発明の好適な第1の実施形態に係る横ずれ焦点検出時の画像サンプリング特性説明図である。
【図14】本発明の好適な第1の実施形態に係る縦ずれ焦点検出時の画素グループ化方法説明図である。
【図15】本発明の好適な第1の実施形態に係る縦ずれ焦点検出時の画像サンプリング特性説明図である。
【図16】本発明の好適な第1の実施形態に係る撮像素子の瞳分割状況を説明する概念図である。
【図17】本発明の好適な第1の実施形態に係る焦点検出領域説明図である。
【図18】本発明の好適な実施形態に係るメイン制御フロー図である。
【図19】本発明の好適な実施形態に係る焦点検出サブルーチンフロー図である。
【図20】本発明の好適な実施形態に係る撮影サブルーチンフロー図である。
【図21】本発明の好適な第2の実施形態に係る撮像素子の最小単位の画素配列説明図である。
【図22】本発明の好適な第2の実施形態に係る撮像素子の上位単位の画素配列説明図である。
【図23】本発明の好適な第2の実施形態に係る撮像素子の全領域における画素配列説明図である。
【図24】本発明の好適な第2の実施形態に係る横ずれ焦点検出時の画素グループ化方法説明図である。
【図25】本発明の好適な第2の実施形態に係る横ずれ焦点検出時の画像サンプリング特性説明図である。
【図26】本発明の好適な第3の実施形態に係る撮像素子の最小単位の画素配列説明図である。
【図27】本発明の好適な第3の実施形態に係る撮像素子の上位単位の画素配列説明図である。
【図28】本発明の好適な第4の実施形態に係る焦点検出時の画素グループ化方法説明図である。
【図29】本発明の好適な第4の実施形態に係る焦点検出時の画像サンプリング特性説明図である。
【図30】本発明の好適な第4の実施形態に係る撮像素子の全領域における画素配列説明図である。
【符号の説明】
【0127】
107 撮像素子
901 焦点検出部
901a 第1の焦点検出用画素
901b 第2の焦点検出用画素
902 合成手段
903 連結手段
904 演算手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、2次元に構成された複数の光電変換素子で静止画及び動画の少なくとも一方を撮像可能な撮像素子を用いた撮像装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置の自動焦点検出・調節方法で撮影光学系を通過した光束を用いる一般的な方式として、コントラスト検出方式(ぼけ方式と呼ばれる)と位相差検出方式(ずれ方式と呼ばれる)とがある。
【0003】
コントラスト検出方式は動画撮影用ビデオムービー機器(カムコーダー)や電子スチルカメラで多く用いられる方式であり、撮像素子が焦点検出用センサとして用いられるものである。撮像素子の出力信号、特に高周波成分の情報(コントラスト情報)に着目し、その評価値が最も大きくなる撮影光学系の位置を合焦位置とする方式である。しかしながら、山登り方式とも言われるように、撮影光学系を微少量動かしながら評価値を求め、その評価値が結果的に最大であったとわかるまで動かす事が必要であるため、高速な焦点調節動作には不向きとされている。
【0004】
もう一方の位相差検出方式は、銀塩フィルムによる一眼レフカメラに多く用いられ、自動焦点検出(Auto Focus:AF)一眼レフカメラの実用化に最も貢献した技術である。位相差検出方式では、撮影光学系の射出瞳を通過した光束を2分割し、2分割した光束を一組の焦点検出用センサによりそれぞれ受光する。そして、その受光量に応じて出力される信号のずれ量、すなわち、光束の分割方向の相対的位置ずれ量を検出することで撮影光学系のピント方向のずれ量を直接求めるものである。従って、焦点検出用センサにより一度蓄積動作を行なえばピントずれの量と方向が得られ、高速な焦点調節動作が可能となっている。但し、撮影光学系の射出瞳を通過した光束を2分割し、それぞれの光束に対応する信号を得るためには、撮像光路中にクイックリターンミラーやハーフミラー等の光路分割手段を設け、その先に焦点検出用光学系とAFセンサを設けるのが一般的である。そのため、装置が大型、かつ高価となる欠点がある。
【0005】
この欠点を解消するために、撮像素子に位相差検出機能を付与し、専用のAFセンサを不要とし、かつ高速の位相差AFを実現するための技術も開示されている。
【0006】
例えば、特許文献1では、撮像素子の一部の受光素子(画素)において、オンチップマイクロレンズの光軸に対して受光部の感度領域を偏心させることで瞳分割機能を付与している。そしてこれらの画素を焦点検出用画素とし、撮像用画素群の間に所定の間隔で配置することで、位相差式焦点検出を行なう。また、焦点検出用画素が配置された箇所は撮像画素の欠損部に相当するため、周辺の撮像画素情報から補間して画像情報を生成している。
【0007】
また、特許文献2では、撮像素子の一部の画素の受光部を左右方向又は上下方向に2分割することで瞳分割機能を付与している。そしてこれらの画素を焦点検出用画素(焦点検出部)とし、撮像用画素群の間に所定の間隔で配置することで、位相差式焦点検出を行なう。また、当技術においても焦点検出用画素が配置された箇所は撮像画素が欠損しているため、周辺の撮像画素情報から補間して画像情報を生成している。
【0008】
また、特許文献3では、撮像素子の一部の画素の受光部を上下方向に2分割することで瞳分割機能を付与し、2分割された受光部の出力を個別に処理することで、上下方向に輝度分布を有した被写体に対して位相差式焦点検出を行なう。また、2分割受光部の出力を合算することで撮像信号にも用いるほか、左右方向に隣接した画素間のコントラストを検出することで、該方向に輝度分布を有する被写体に対してコントラスト式焦点検出を行なう技術が開示されている。
【0009】
また、特許文献4では、受光部を左右方向又は上下方向に分割した焦点検出用素子を、撮像素子の1行おきに繰り返し配置することで、左右方向及び上下方向に輝度分布を有した被写体に対して位相差式焦点検出を行なう技術が開示されている。
【特許文献1】特開2000−156823号公報
【特許文献2】特開2000−292686号公報
【特許文献3】特開2001−305415号公報
【特許文献4】特開2003−153291号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1〜4のいずれも、焦点検出部の1つ1つの輝度は小さく、被写体の輝度分布を十分に検出することが出来ない場合があった。そのため、正確な焦点検出を行うことが困難であるという課題があった。
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、焦点検出部における検出能力を向上させ、より正確な焦点検出を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の側面は、撮像装置に係り、瞳分割された第1の焦点検出用画素と第2の焦点検出用画素とで構成される焦点検出部を複数有する撮像素子と、複数の前記焦点検出部を含むように前記撮像素子にそれぞれ割り当てられた複数のセクションの各々において、前記第1の焦点検出用画素からの出力信号を合成して第1の合成信号を得る処理と、前記第2の焦点検出用画素からの出力信号を合成して第2の合成信号を得る処理とを行う合成手段と、前記複数のセクションに渡って、前記第1の合成信号を連結して第1の連結信号を得る処理と、前記第2の合成信号を連結して第2の連結信号を得る処理とを行う連結手段と、前記第1の連結信号及び前記第2の連結信号に基づいて、結像光学系の焦点ずれ量を演算する演算手段と、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の側面は、瞳分割された第1の焦点検出用画素と第2の焦点検出用画素とで構成される焦点検出部を複数有する撮像素子を備えた撮像装置の制御方法に係り、前記撮像素子に前記焦点検出部を複数含むセクションを複数割り当てる工程と、前記複数のセクションの各々において、前記第1の焦点検出用画素からの出力信号を合成して第1の合成信号を得る工程と、前記複数のセクションの各々において、前記第2の焦点検出用画素からの出力信号を合成して第2の合成信号を得る工程と、前記複数のセクションに渡って、前記第1の合成信号を連結して第1の連結信号を得る工程と、前記複数のセクションに渡って、前記第2の合成信号を連結して第2の連結信号を得る工程と、前記第1の連結信号及び前記第2の連結信号に基づいて、結像光学系の焦点ずれ量を演算する工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、焦点検出部における検出能力を向上させ、より正確な焦点検出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態に係る撮像装置及びその制御方法について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1〜図20は本発明の実施形態に係る撮像装置及びその制御方法を説明する図である。以下、図を用いて実施形態の作用を説明する。
【0017】
図1は本発明の好適な実施の形態に係る撮像装置の構成図であり、撮像素子を有したカメラ本体と撮影光学系が一体となった電子カメラを示している。同図において、101は撮影光学系(結像光学系)の先端に配置された第1レンズ群であり、光軸方向に進退可能に保持される。102は絞り兼用シャッタであり、その開口径を調節することで撮影時の光量調節を行なうほか、静止画撮影時には露光秒時調節用シャッタとしての機能も備える。103は第2レンズ群である。そして絞り兼用シャッタ102及び第2レンズ群103は一体となって光軸方向に進退し、第1レンズ群101の進退動作との連動により、変倍作用(ズーム機能)をなす。
【0018】
105は第3レンズ群であり、光軸方向の進退により、焦点調節を行なう。106は光学的ローパスフィルタであり、撮影画像の偽色やモアレを軽減するための光学素子である。107はCMOSイメージセンサとその周辺回路で構成された撮像素子である。この撮像素子は、横方向m画素、縦方向n画素の受光画素上に、ベイヤー配列の原色カラーモザイクフィルタがオンチップで形成された、2次元単板カラーセンサが用いられる。
【0019】
111はズームアクチュエータであり、不図示のカム筒を回動することで、第1レンズ群101〜第3レンズ群103を光軸方向に進退駆動し、変倍操作を行なう。112は絞りシャッタアクチュエータであり、絞り兼用シャッタ102の開口径を制御して撮影光量を調節すると共に、静止画撮影時の露光時間制御を行なう。114はフォーカスアクチュエータであり、第3レンズ群105を光軸方向に進退駆動して焦点調節を行なう。
【0020】
115は撮影時の被写体照明用電子フラッシュであり、キセノン管を用いた閃光照明装置が好適であるが、連続発光するLEDを備えた照明装置を用いても良い。116はAF補助光手段であり、所定の開口パターンを有したマスクの像を、投光レンズを介して被写界に投影し、暗い被写体や低コントラスト被写体に対する焦点検出能力を向上させる。
【0021】
121はCPUであり、撮像装置内でカメラ本体の種々の制御を司る。CPU121は、例えば、演算部、ROM、RAM、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、通信インターフェイス回路等を有する。そして、CPU121は、ROMに記憶された所定のプログラムに基づいて、撮像装置が有する各種回路を駆動し、AF、撮影、画像処理と記録等の一連の動作を実行する。
【0022】
122は電子フラッシュ制御回路であり、撮影動作に同期して照明手段115を点灯制御する。123は補助光駆動回路であり、焦点検出動作に同期してAF補助光手段116を点灯制御する。124は撮像素子駆動回路であり、撮像素子107の撮像動作を制御するとともに、取得した画像信号をA/D変換してCPU121に送信する。125は画像処理回路であり、撮像素子107が取得した画像のγ変換、カラー補間、JPEG圧縮等の処理を行なう。
【0023】
126はフォーカス駆動回路であり、焦点検出結果に基づいてフォーカスアクチュエータ114を駆動制御し、第3レンズ群105を光軸方向に進退駆動して焦点調節を行なう。128は絞りシャッタ駆動回路であり、絞りシャッタアクチュエータ112を駆動制御して絞り兼用シャッタ102の開口を制御する。129はズーム駆動回路であり、撮影者のズーム操作に応じてズームアクチュエータ111を駆動する。
【0024】
131はLCD等の表示器であり、撮像装置の撮影モードに関する情報、撮影前のプレビュー画像と撮影後の確認用画像、焦点検出時の合焦状態表示画像等を表示する。132は操作スイッチ群であり、電源スイッチ、レリーズ(撮影トリガ)スイッチ、ズーム操作スイッチ、撮影モード選択スイッチ等で構成される。133は着脱可能なフラッシュメモリであり、撮影済み画像を記録する。
【0025】
図2は本発明の好適な実施形態に係る撮像素子の概略的回路構成図を示したものであり、本発明者による特開平09−046596号公報等に開示された技術を用いて製造されうる。図2はCMOSイメージセンサが2次元に配列されたエリアセンサのうち2列×4行の画素領域を示したものである。撮像素子として利用する場合は、図2に示した画素領域が複数配置され、高解像度画像の取得を可能としている。本実施形態においては、画素ピッチが2μm、有効画素数が横3000列×縦2000行=600万画素、撮像画面サイズが横6mm×縦4mmのデジタルスチルカメラ用の撮像素子を一例として説明を行なう。
【0026】
図2において、1はトランジスタで構成された光電変換素子、2はフォトゲート、3は転送スイッチトランジスタである。光電変換素子1、フォトゲート2及び転送スイッチトランジスタ3により画素30−11〜30−32のうちの1画素が構成されている。4はリセット用トランジスタ、5はソースフォロワアンプトランジスタ、6は水平選択スイッチトランジスタ、7はソースフォロワの負荷トランジスタである。8は暗出力転送トランジスタ、9は明出力転送トランジスタ、10は暗出力蓄積容量CTN、11は明出力蓄積容量CTS、12は水平転送トランジスタである。13は水平出力線リセットトランジスタ、14は差動出力アンプ、15は水平走査回路、16は垂直走査回路である。なお、図2に示す各トランジスタは、例えば、MOSトランジスタで構成されうる。
【0027】
図3に2画素で構成されるユニットの断面図を示す。図3のユニット301は、図2の画素30−11及び画素30−21の2画素を1ユニットで構成したものを例示的に示したものである。図3において、17はPウェル、18は酸化膜等で形成されるゲート絶縁膜、19は一層目のポリSi、20は二層目のポリSi、21はn+フローティングディフュージョン部(FD)である。21のFDは他の転送トランジスタを介して他の光電変換素子と接続される。図3において、2つの転送スイッチトランジスタ3のドレインとFD部21を共通化して微細化とFD部21の容量低減による感度向上を図っているが、Al等の配線でFD部21を接続しても良い。
【0028】
次に、図4のタイミングチャートを用いて動作を説明する。このタイミングチャートは全画素独立出力の場合である。図4において、横軸は時間、縦軸は各信号の信号波形を示す。
【0029】
まず垂直走査回路16からのタイミング出力によって、制御パルスφLをハイとして垂直出力線をリセットする。また制御パルスφR0,φPG00,φPGe0をハイとし、リセット用トランジスタ4をオンとし、フォトゲート2の一層目のポリSi19をハイとしておく。期間T0において、制御パルスφS0をハイとし、選択スイッチトランジスタ6をオンさせ、第1、第2ラインの画素を選択する。次に制御パルスφR0をロウとし、FD部21のリセットを止め、FD部21をフローティング状態とする。FD部21に蓄積される電荷は、ソースフォロワアンプトランジスタ5のゲートを介して、電圧の変化としてソースから読み出される。その後、期間T1において制御パルスφTNをハイとし、FD部21から読み出された暗電圧をソースフォロワ動作で蓄積容量CTN10に出力させる。
【0030】
次に、第1ラインの画素の光電変換出力を行うため、第1ラインの制御パルスφTX00をハイとして転送スイッチトランジスタ3を導通した後、期間T2において制御パルスφPG00をローとする。この時フォトゲート2の下に拡がっていたポテンシャル井戸を上げて、光発生キャリアをFD部21に完全転送させるような電圧関係が好ましい。従って完全転送が可能であれば制御パルスφTXはパルスではなくある固定電位でもかまわない。
【0031】
期間T2でフォトダイオードの光電変換素子1からの電荷がFD部21に転送されることにより、FD部21の電位が光に応じて変化することになる。この時ソースフォロワアンプトランジスタ5がフローティング状態であるので、FD部21の電位を期間T3において制御パルスφTsをハイとして蓄積容量CTS11に出力する。この時点で第1ラインの画素の暗出力と光出力はそれぞれ蓄積容量CTN10とCTS11に蓄積されている。そして、期間T4で制御パルスφHCを一時ハイとして水平出力線リセットトランジスタ13を導通して水平出力線をリセットし、水平転送期間において水平走査回路15の走査タイミング信号により水平出力線に画素の暗出力と光出力が出力される。この時、蓄積容量CTN10とCTS11の差動増幅器14によって、差動出力VOUTを取れば、画素のランダムノイズ、固定パターンノイズを除去したS/Nの良い信号が得られる。また画素30−12、30−22の光電荷は、画素30−11、30−21と同時に夫々の蓄積容量CTN10とCTS11に蓄積される。しかしながら、その読み出しは水平走査回路15からのタイミングパルスを1画素分遅延させて、水平出力線に読み出して差動増幅器14から出力される。
【0032】
本実施形態では、差動出力VOUTをチップ内で行う構成を示しているが、チップ内に含めず、外部で従来のCDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)回路を用いても同様の効果が得られる。
【0033】
蓄積容量CTS11に明出力を出力した後、制御パルスφR0をハイとしてリセット用トランジスタ4を導通し、FD部21を電源VDDにリセットする。第1ラインの水平転送が終了した後、第2ラインの読み出しを行う。第2ラインの読み出しは、制御パルスφTXe0、制御パルスφPGe0を同様に駆動させ、制御パルスφTN、φTSに夫々ハイパルスを供給して、蓄積容量CTN10とCTS11に夫々光電荷を蓄積し、暗出力及び明出力を取り出す。以上の駆動により、第1、第2ラインの読み出しが夫々独立に行なえる。この後、垂直走査回路を走査させ、同様に第2n+1ライン、第2n+2ライン(n=1、2、…)の読み出しを行なえば、全画素独立出力が行える。例えば、n=1の場合は、まず制御パルスφS1をハイとし、次に次にφR1をローとする。次いで、制御パルスφTN、φTX01をハイとし、制御パルスφPG01をロー、制御パルスφTSをハイ、制御パルスφHCを一時ハイとして画素30−31、30−32の画素信号を読み出す。続いて、制御パルスφTXe1、φPGe1及び上記と同様に制御パルスを印加して、画素30−41、30−42の画素信号を読み出す。
【0034】
図5〜図7は、撮像用画素と焦点検出用画素の構造を説明する図である。本発明の好適な実施形態においては、2行×2列の4画素のうち、対角2画素にG(緑色)の分光感度を有する画素を配置し、他の2画素にR(赤色)とB(青色)の分光感度を有する画素を各1個配置した、ベイヤー配列が採用されている。そして、このベイヤー配列の間に、後述する構造の焦点検出用画素が所定の規則にて分散配置される。
【0035】
図5に撮像用画素の配置と構造を示す。図5(a)は2行×2列の撮像用画素の平面図である。周知のように、ベイヤー配列では対角方向にG画素が、他の2画素にRとBの画素が配置される。そして2行×2列の構造が繰り返し配置される。
【0036】
図5(a)におけるA−A断面図を図5(b)に示す。MLは各画素の最前面に配置されたオンチップマイクロレンズ、CFRはR(赤色)のカラーフィルタ、CFGはG(緑色)のカラーフィルタである。PD(Photo Diode)は図3で説明したCMOSイメージセンサの光電変換素子を模式的に示したものである。CL(Contact Layer)は、CMOSイメージセンサ内の各種信号を伝達する信号線を形成するための配線層である。TLは撮影光学系を模式的に示したものである。
【0037】
ここで、撮像用画素のオンチップマイクロレンズMLと光電変換素子PDは、撮影光学系TL(Taking Lens)を通過した光束を可能な限り有効に取り込むように構成されている。換言すると、撮影光学系TLの射出瞳EP(Exit Pupil)と光電変換素子PDは、マイクロレンズMLにより共役関係にあり、かつ光電変換素子の有効面積は大面積に設計される。また、図5(b)ではR画素の入射光束について説明したが、G画素及びB(青色)画素も同一の構造となっている。従って、撮像用のRGB各画素に対応した射出瞳EPは大径となり、被写体からの光束(光量子)を効率よく取り込んで画像信号のS/Nを向上させている。
【0038】
図6は、撮影光学系の水平方向(横方向)に瞳分割を行なうための焦点検出用画素の配置と構造を示す。ここで水平方向又は横方向とは、撮影光学系の光軸と撮影画面の長辺とが地面に平行となるように撮像装置を構えたとき、この光軸に直交し、かつ水平方向に伸びる直線に沿った方向をいう。また、図6における瞳分割方向は水平方向である。図6(a)は、焦点検出用画素を含む2行×2列の画素の平面図である。記録又は観賞のための画像信号を得る場合、G画素で輝度情報の主成分を取得する。そして人間の画像認識特性は輝度情報に敏感であるため、G画素が欠損すると画質劣化が認知されやすい。一方でR画素又はB画素は、色情報(色差情報)を取得する画素であるが、人間の視覚特性は色情報には鈍感であるため、色情報を取得する画素は多少の欠損が生じても画質劣化は認識され難い。そこで本実施形態においては、2行×2列の画素のうち、G画素は撮像用画素として残し、R画素とB画素を焦点検出用画素に置き換える。この焦点検出用画素を図6(a)においてSHA及びSHBと示す。
【0039】
図6(a)におけるA−A断面図を図6(b)に示す。マイクロレンズMLと、光電変換素子PDは図5(b)に示した撮像用画素と同一構造である。本実施形態においては、焦点検出用画素の信号は画像生成には用いないため、色分離用カラーフィルタの代わりに透明膜CFW(白色)が配置される。また、撮像素子で瞳分割を行なうため、配線層CLの開口部はマイクロレンズMLの中心線に対して一方向に偏倚している。具体的には、画素SHA及の開口部OPHAは右側に偏倚しているため、撮影光学系TLの左側の射出瞳EPHAを通過した光束を受光する。同様に、画素SHBの開口部OPHBは左側に偏倚しているため、撮影光学系TLの右側の射出瞳EPHBを通過した光束を受光する。よって、画素SHAを水平方向に規則的に配列し、これらの画素群で取得した被写体像をA像とする。また、画素SHBも水平方向に規則的に配列し、これらの画素群で取得した被写体像をB像とすると、A像とB像の相対位置を検出することで、被写体像のピントずれ量(デフォーカス量)が検出できる。
【0040】
なお、上記画素SHA及びSHBでは、撮影画面の横方向に輝度分布を有した被写体、例えば縦線に対しては焦点検出可能だが、縦方向に輝度分布を有する横線は焦点検出不能である。そこで本実施形態では、後者についても焦点状態を検出できるよう、撮影光学系の垂直方向(縦方向)にも瞳分割を行なう画素も備えるよう構成されうる。
【0041】
図7は、撮影光学系の垂直方向(上下方向又は縦方向)に瞳分割を行なうための焦点検出用画素の配置と構造を示す。ここで垂直方向、上下方向及び縦横方向は、撮影光学系の光軸と撮影画面の長辺とが地面に平行となるように撮像装置を構えたとき、この光軸に直交し、鉛直方向に伸びる直線に沿った方向をいう。また、図7における瞳分割方向は垂直方向である。図7(a)は、焦点検出用画素を含む2行×2列の画素の平面図であり、図6(a)と同様に、G画素は撮像用画素として残し、R画素とB画素のを焦点検出用画素としている。この焦点検出用画素を図7(a)においてSVC及びSVDと示す。
【0042】
図7(a)のA−A断面図を図7(b)に示す。図6(b)の画素が横方向に瞳分離する構造であるのに対して、図7(b)の画素は瞳分離方向が縦方向になっているが、その他の画素の構造は同様である。画素SVCの開口部OPVCは下側に偏倚しているため、撮影光学系TLの上側の射出瞳EPVCを通過した光束を受光する。同様に、画素SVDの開口部OPVDは上側に偏倚しているため、撮影光学系TLの下側の射出瞳EPVDを通過した光束を受光する。よって、画素SVCを垂直方向に規則的に配列し、これらの画素群で取得した被写体像をC像とする。また、画素SVDも垂直方向に規則的に配列し、これらの画素群で取得した被写体像をD像とする。すると、C像とD像の相対位置を検出することで、垂直方向に輝度分布を有する被写体像のピントずれ量(デフォーカス量)が検出できる。
【0043】
図8は、本発明の好適な実施形態における焦点検出を概略的に示す図である。撮像素子107は、瞳分割された第1の焦点検出用画素901aと第2の焦点検出用画素901bとで構成される焦点検出部901を複数有する。撮像素子107はまた、撮影光学系(結像光学系)で結像された被写体像を光電変換するための撮像用画素を複数含む。CPU121は、合成手段902と、連結手段903と、演算手段904と、を含む。CPU121はまた、複数の焦点検出部901を含むように、撮像素子107の撮像面にセクション(領域)CSTを複数割り当てる。CPU121は、セクションCSTの大きさ、配置、数等を適宜変更することができる。合成手段902は、撮像素子107に割り当てられた複数のセクションCSTの各々において、第1の焦点検出用画素901aからの出力信号を合成して1画素の第1の合成信号を得る処理を行う。合成手段902はまた、各セクションCSTにおいて、第2の焦点検出用画素901bからの出力信号を合成して1画素の第2の合成信号を得る処理を行う。連結手段903は、複数のセクションCSTにおいて、第1の合成信号である各画素を連結して第1の連結信号を得る処理と、第2の合成信号を連結して第2の連結信号を得る処理とを行う。このように、第1の焦点検出用画素901a及び第1の焦点検出用画素901bのそれぞれに対して、セクション数の画素が連結された連結信号が得られる。演算手段904は、第1の連結信号及び第2の連結信号に基づいて、結像光学系の焦点ずれ量を演算する。このように、セクション内に配置された同一の瞳分割方向における焦点検出用画素の出力信号を合成するため、焦点検出部の1つ1つの輝度は小さい場合であっても、被写体の輝度分布を十分に検出することが可能となる。また、後述するように、焦点検出部901を瞳分割方向(図8では、水平方向)に密に配置することにより、細線(高周波パターン)の画像捕捉能力が向上する。なお、図8では、説明を簡略化するために水平方向に瞳分割する場合を例に示したが、後述するように垂直方向に瞳分割する場合についても同様である。
【0044】
図9〜図11は、図5〜図7に示した撮像用画素及び焦点検出用画素の配置規則を説明する図である。
【0045】
図9は撮像用画素の間に焦点検出用画素を離散的に配置する場合の、本発明の好適な第1の実施形態に係る最小単位の配置規則を説明するための図である。図9において、10行×10列=100画素の正方形領域を1つのブロックと定義する。左上のブロックBLKh(1、1)において、一番左下のR画素とB画素を、水平方向(第1の方向)に瞳分割を行なう1組の焦点検出用画素(第1の焦点検出部)SHA及びSHBで置き換える。
【0046】
その右隣りのブロックBLKv(1、2)においては、同じく一番左下のR画素とB画素を、垂直方向(第2の方向)に瞳分割を行なう1組の焦点検出用画素(第2の焦点検出部)SVC及びSVDで置き換える。また、最初のブロックBLKh(1、1)の下に隣接したブロックBLKv(2、1)の画素配列は、ブロックBLKv(1、2)と同一とする。そして、その右隣りのブロックBLKh(2、2)の画素配列は、先頭のブロックBLKh(1、1)と同一とする。
【0047】
この配置規則を一般化すると、ブロックBLK(i、j)において、i+jが偶数であれば水平瞳分割用の焦点検出画素を配置し、i+jが奇数であれば垂直瞳分割用の焦点検出画素を配置することになる。そして、図9の2×2=4ブロック、すなわち20行×20列=400画素の領域を、ブロックの上位の配列単位として、クラスタと定義する。
【0048】
図10は、上記のクラスタを単位とした配置規則を説明するための図である。図10において、20行×20列=400画素で構成された一番左上のクラスタをCST(u、w)=CST(1、1)とする。クラスタCST(1、1)においては、各ブロックの一番左下のR画素とB画素を、焦点検出用画素SHA及びSHB、又は、SVC及びSVDで置き換える。
【0049】
その右隣りのクラスタCST(1、2)においては、ブロック内における焦点検出用画素の配置を、クラスタCST(1、1)に対して上方向に2画素分シフトした位置に配置する。また、最初のクラスタCST(1、1)の下に隣接したクラスタCST(2、1)においては、ブロック内における焦点検出用画素の配置を、クラスタCST(1、1)に対して右方向に2画素分シフトした位置に配置する。以上の規則を繰り返し適用すると図10に示した配置が得られる。
【0050】
この配置規則を一般化すると以下のようになる。なお、焦点検出用画素の座標は、図6又は図7で示したG画素を含む4画素を一つの単位(ペア)とし、そのうちの左上の画素の座標で規定する。また各ブロック内の座標は左上を(1、1)とし、下方向と右方向を正とする。
【0051】
以上の定義を適用すると、クラスタCST(u、w)において、各ブロック内の焦点検出用画素ペアの水平座標は2×u−1となり、垂直座標は11−2×wとなる。そして、図10の5×5=25クラスタ、すなわち100行×100列=1万画素の領域を、クラスタの上位の配列単位として、フィールドと定義する。
【0052】
図11は、上記のフィールドを単位とした配置規則を説明するための図である。同図において、100行×100列=1万画素で構成された一番左上のフィールドをFLD(q、r)=FLD(1、1)とする。そして本実施形態では、すべてのフィールドFLD(q、r)は先頭フィールドFLD(1、1)と同様の配列となっている。そこで、FLD(1、1)を水平方向に30個、垂直方向に20個配列すると、3000列×2000行=600万画素の撮像領域は600個のフィールドで構成される。そして撮像領域全面に渡って焦点検出用画素を均一に分布させることができる。
【0053】
次に図12〜図15を用いて、焦点検出時の画素のグループと信号加算方法について説明する。図12は、撮影光学系によって形成された被写体像の、横ずれ方向の焦点検出を行なう場合の画素グループ化方法を説明する図である。横ずれ方向の焦点検出とは、図6で説明した、撮影光学系の射出瞳を横方向(左右方向、水平方向)に分割するための焦点検出用画素を用いて、位相差式焦点検出を行なうことを指す。
【0054】
図12に示す画素配列は図10で説明したものであるが、焦点検出の際には、横方向に1ブロック、縦方向に10ブロックの合計10ブロックを1つのグループとし、これをセクション(ここでは、第1のセクション)と定義する。そして、本実施形態では、一例として、横方向に複数配列された30個のセクションで、1つの焦点検出領域を構成する。すなわち、100行×300列=3万画素の領域が1つの焦点検出領域となる。この1つの焦点検出領域をAFエリアと定義する。ここで、1つのセクション内においては、横方向における一方の瞳分割を行なう画素SHAが5個、他方の瞳分割を行なう画素SHBも5個含まれている。そこで本実施形態においては、5個のSHAの出力を加算して1画素の信号とし、位相差演算用の一方の画像信号(A像と称する)の1AF画素を得る。同様に、5個のSHBの出力を加算して1画素の信号とし、位相差演算用の他方の画像信号(B像と称する)の1AF画素を得る。
【0055】
図13は、一つのセクションにおける、被写体像の捕捉能力を説明するための図である。図13(a)は図12の左端のセクションを切り出したものである。下端に示された水平線PRJhは、焦点検出用画素SHA及びSHBの瞳分割方向(第1の方向)と直交する第2の方向に延伸した第1の射影軸(Projection Line)である。右端に示された垂直線PRJvは、瞳分割方向に延伸した第2の射影軸である。ここで、1つのセクション内の画素SHAはすべて加算され、SHBも加算される。そこで、1つのセクションを1つのAF画素と見なした場合、1つのAF画素に含まれる受光部を瞳分割方向と直交する方向の射影軸PRJhに射影すると、画素SHAとSHBが交互に緻密に並ぶことがわかる。このときの、瞳分割方向と直交する方向の射影軸PRJhにおける画素SHAの配列ピッチをP1とすると、P1=PHh=2(単位は画素)となる。ピッチの代わりに空間周波数F1で表わすと、F1=0.5(単位は画素/画素)となる。同様に射影軸PRJhにおける画素SHBの配列ピッチもP1=2(単位は画素)、空間周波数表記ではF1=0.5(単位は画素/画素)となる。
【0056】
一方、1つのAF画素に含まれる受光部を瞳分割方向の射影軸PRJvに射影すると、画素SHAとSHBはまばらに並ぶことがわかる。このときの、射影軸PRJvにおける画素SHAの配列ピッチをP2とすると、P2=PHv=20(単位は画素)となる。ピッチの代わりに空間周波数F2で表わすと、F2=0.05(単位は画素/画素)となる。同様に射影軸PRJvにおける画素SHBの配列ピッチも、P2=20(単位は画素)、空間周波数表記ではF2=0.05(単位は画素/画素)となる。
【0057】
すなわち、本実施形態におけるAF画素は、上記グループ化前の分散特性については、瞳分割方向とこれに直交する方向の配置上のピッチが等しい。しかしながら、グループ化する際のグループ形状を長方形とすることで、瞳分割方向のサンプリング誤差を低減している。具体的には、1セクションの瞳分割方向と直交する方向の最大寸法L1は10画素、瞳分割方向の最大寸法L2は100画素としている。すなわち、セクション寸法をL1<L2とすることで、瞳分割方向と直交する方向のサンプリング周波数F1を高周波(密)に、瞳分割方向のサンプリング周波数F2を低周波(疎)としている。
【0058】
図13(a)で説明したAF画素(一つのセクション)に、細線の被写体像が投影された場合の画像捕捉能力を図13(b)にて説明する。図13(b)において、LINEvは、撮像素子107上に投影された細い縦線を表わし、その幅は画素換算で4画素、画像の実寸では幅8μmになっている。この時、セクションSCTh(1)内では、ブロックBLK(3、1)とブロックBLK(5、1)に含まれる焦点検出用画素が被写体像を捕捉する。なお、被写体像の最小寸法は、撮影光学系の収差と撮像素子前面に配置された光学LPFの特性で決まるが、通常は非常に細い線でも2画素以上の幅になる。従って、本実施形態の1つのセクション内では、最低でも各1個ずつの画素SHAとSHBで画像を捕捉することになり、捕捉洩れは生じない。
【0059】
一方、図13(b)のLINEhは、撮像素子107上に投影された細い横線を表わし、その幅は前述のLINEvと同様に画素換算で4画素、画像の実寸では幅8μmになっている。この時には、横線LINEhはブロックBLK(5、1)にかかっているが、焦点検出用画素SHA及びSHBには捕捉されない。しかしながら、セクションSCTh(1)は、縦線のように横方向に輝度分布を有する被写体について焦点検出を行なうためのものである。従って、横線のように縦方向に輝度分布を有する被写体については、焦点検出用画素による像の捕捉洩れが生じても構わない。
【0060】
図14は、撮影光学系によって形成された被写体像の、縦ずれ方向の焦点検出を行なう場合の画素グループ化方法を説明する図である。縦ずれ方向の焦点検出とは、図7で説明した、撮影光学系の射出瞳を縦方向(上下方向、すなわち垂直方向)に分割するための焦点検出用画素を用いて、位相差式焦点検出を行なうことをいう。すなわち、図12を90度回転したものに相当する。
【0061】
図14に示す画素配列も図10で説明したものであるが、焦点検出の際には、横方向に10ブロック、縦方向に1ブロックの合計10ブロックを1つのグループとし、これをセクション(ここでは、第2のセクション)と定義する。そして、本実施形態では、一例として、縦方向に複数配列された30個のセクションで、1つの焦点検出領域を構成する。すなわち、300行×100列=3万画素の領域が1つの焦点検出領域となる。この1つの焦点検出領域も図12と同様にAFエリアと定義する。ここで、1つのセクション内においては、縦方向における一方の瞳分割を行なう画素SVCが5個、他方の瞳分割を行なう画素SVDも5個含まれている。そこで本実施形態においては、5個のSVCの出力を加算して、位相差演算用の一方の画像信号(C像と称する)の1AF画素とする。同様に、5個のSVDの出力を加算して、位相差演算用の他方の画像信号(D像と称する)の1AF画素とする。
【0062】
図15は、一つのセクションにおける被写体像の捕捉能力を説明するための図であり、図13を90度回転したものと等価である。図15(a)は図14の上端のセクションを切り出したものである。そして右端に示された垂直線PRJvは、焦点検出用画素SVC及びSVDの瞳分割方向(第2の方向)と直交する第1の方向に延伸した第3の射影軸、下端に示された水平線PRJhは、瞳分割方向に延伸した第4の射影軸である。図15(a)においても、1つのセクション内の画素SVCはすべて加算され、SVDも加算される。そこで、1セクションを1AF画素と見なした場合、1AF画素に含まれる受光部を瞳分割方向と直交する方向の射影軸PRJvに射影すると、画素SVC及びSVDが交互に緻密に並ぶことがわかる。このときの、瞳分割方向と直交する方向の射影軸PRJvにおける画素SVCの配列ピッチをP1とすると、P1=PVv=2(単位は画素)となる。ピッチの代わりに空間周波数F1で表わすと、F1=0.5(単位は画素/画素)となる。同様に射影軸PRJvにおける画素SVDの配列ピッチもP1=2(単位は画素)、空間周波数表記ではF1=0.5(単位は画素/画素)となる。
【0063】
一方、1つのAF画素に含まれる受光部を瞳分割方向の射影軸PRJhに射影すると、画素SVCとSVDはまばらに並ぶことがわかる。このときの、射影軸PRJhにおける画素SVCの配列ピッチをP2とすると、P2=PVh=20(単位は画素)となる。ピッチの代わりに空間周波数F2で表わすと、F2=0.05(単位は画素/画素)となる。同様に射影軸PRJvにおける画素SVDの配列ピッチも、P2=20(単位は画素)、空間周波数表記ではF2=0.05(単位は画素/画素)となる。
【0064】
以上のように、図15におけるAF画素のサンプリング特性は、瞳分割方向を基準に考えると、図13と同様の特性、すなわちF1>F2となっている。これは、図15のセクションにおいても、瞳分割方向と直交する方向のセクション寸法L1と、瞳分割方向の寸法L2を、L1<L2としたからである。これにより、空間周波数の高い被写体に対しても瞳分割方向と直交する方向の輝度情報を正確に検出することができるとともに、被写体輝度が低くても複数画素の加算によって焦点検出信号のS/N比を向上させることができる。
【0065】
図15(a)で説明したAF画素(一つのセクション)に、細線の被写体像が投影された場合の画像捕捉能力を図15(b)にて説明する。図15(b)において、LINEhは、撮像素子107上に投影された細い横線を表わし、その幅は画素換算で4画素、画像の実寸では幅8μmになっている。この時、セクションSCTv(1)内では、ブロックBLK(1、4)とブロックBLK(1、6)に含まれる焦点検出用画素が被写体像を捕捉する。
【0066】
一方、図15(b)のLINEvは、撮像素子107上に投影された細い縦線を表わし、その幅は前述のLINEhと同様に画素換算で4画素、画像の実寸では幅8μmになっている。この時には、縦線LINEvはブロックBLK(1、6)にかかっているが、焦点検出用画素SVC及びSVDには捕捉されない。しかしながら、セクションSCTv(1)は、横線のように縦方向に輝度分布を有する被写体について焦点検出を行なうためのものである。従って、縦線のように横方向に輝度分布を有する被写体については、焦点検出用画素による像の捕捉洩れが生じても構わない。
【0067】
図16は、第1の実施形態における撮像素子の瞳分割機能を概念的に説明する図である。TLは撮影光学系、107は撮像素子、OBJは被写体、IMGは被写体像である。
【0068】
撮像用画素は図5で説明したように、撮影光学系の射出瞳全域EPを通過した光束を受光する。一方、焦点検出用画素は図6及び図7で説明したように、瞳分割機能を有している。具体的には、図6の画素SHAは撮像面からレンズ後端を見て左側の瞳を通過した光束LHA、すなわち図16の瞳EPHAを通過した光束を受光する。同様に画素SHB、SVC及びSVDはそれぞれ瞳EPHB、EPVC及びEPVDを通過した光束LHB、LHC、LHDをそれぞれ受光する。そして、焦点検出用画素は、図11で説明したように撮像素子107の全領域に渡って分布しているため、撮像領域全域で焦点検出も可能となっている。
【0069】
図17は、焦点検出時に取得した画像と焦点検出領域を説明する図である。図17において、撮像面に形成された被写体像には、中央に人物、左側に近景の樹木、右側に遠景の山並みが写っている。そして本実施形態においては、焦点検出用画素は、横ずれ検出用の画素ペアSHA及びSHBと、縦ずれ検出用の画素ペアSVC及びSVDが、図11に示したように撮像領域全域に渡って均等な密度で配置されている。そして横ずれ検出の際には、位相差演算のためのAF画素信号を図12及び図13で示したようにグループ化処理する。また、縦ずれ検出の際には、位相差演算のためのAF画素信号を図14及び図15で示したようにグループ化処理する。よって、撮像領域の任意位置において、横ずれ検出及び縦ずれ検出のための測距領域を設定可能である。
【0070】
図17においては、画面中央に人物の顔が存在している。そこで公知の顔認識技術によって顔の存在が検出されると、顔領域を中心に横ずれ検知のための焦点検出領域AFARh(x1,y1)と、縦ずれ検知のための焦点検出領域AFARv(x3,y3)が設定される。ここで添え字のhは水平方向を表わし、(x1,y1)及び(x3,y3)は焦点検出領域の左上隅の座標を表わす。そして、焦点検出領域AFARh(x1,y1)の各セクション内に含まれる5個の焦点検出画素用SHAを加算し、これを30セクションに渡って連結した位相差検出用のA像信号がAFSIGh(A1)である。また、同様に各セクションの5個の焦点検出画素用SHBを加算し、これを30セクションに渡って連結した位相差検出用のB像信号がAFSIGh(B1)である。そして、A像信号AFSIGh(A1)とB像信号AFSIGh(B1)の相対的な横ずれ量を公知の相関演算によって演算することで、被写体の焦点ずれ量(デフォーカス量)を求めることができる。
【0071】
焦点検出領域AFARv(x3,y3)についても同様に焦点ずれ量を求める。そして、横ずれ及び縦ずれの焦点検出領域で検出した2つの焦点ずれ量を比較し、信頼性の高い値を採用すればよい。
【0072】
一方、画面左側の樹木の幹部は、縦線成分が主体、すなわち横方向に輝度分布を有しているため、横ずれ検知に適した被写体と判断され、横ずれ検知のための焦点検出領域AFARh(x2,y2)が設定される。また、画面右側の山並み稜線部は、横線成分が主体、すなわち縦方向に輝度分布を有しているため、縦ずれ検知に適した被写体と判断され、縦ずれ検知のための焦点検出領域AFARv(x4,y4)が設定される。
【0073】
以上のように本実施形態においては、横ずれ及び縦ずれ検出のための焦点検出領域が画面の任意位置に設定可能なため、被写体の投影位置や輝度分布の方向性が様々であっても、正確な焦点検出が可能である。
【0074】
図18〜図20は、本発明の好適な実施形態に係る撮像装置の焦点調節及び撮影方法等の制御方法を説明するためのフローチャートである。本フローチャートの制御方法は、後述する第2の実施形態〜第4の実施形態においても同様にして適用することができる。なお、本フローチャートの各工程は、特に言及がない限り、図1のCPU121により実行されるものとする。以下、先に説明した図1〜図17の各図を参照しながら、図18以降の制御フローを説明する。
【0075】
図18は、本発明の好適な実施形態に係る撮像装置のメインフローである。ステップS101において撮影者が撮像装置の電源スイッチをオン操作すると、ステップS103においてCPU121は撮像装置内の各アクチュエータや撮像素子の動作確認を行う。そして、メモリ内容や実行プログラムの初期化状態を検出すると共に、撮影準備動作を実行する。ステップS105では撮像素子の撮像動作を開始し、プレビュー用の低画素動画像を出力する。ステップS107では読み出した動画を撮像装置背面に設けられた表示器131に表示し、撮影者はこのプレビュー画像を目視して撮影時の構図決定を行なう。
【0076】
ステップS109では、プレビュー用動画像に顔が存在するか否かを認識する。そして、撮影領域に顔が存在していると認識された場合には(ステップS111で「YES」)、ステップS111からステップS113に移行し、焦点調節モードを顔AFモードに設定する。ここで顔AFモードとは、撮影領域の顔に焦点を合わせるAFモードを指す。
【0077】
一方、撮影領域に顔が存在していない場合は(ステップS111で「NO」)、ステップS111からステップS115に移行し、焦点調節モードを多点AFモードに設定する。ここで多点AFモードとは、撮影領域を例えば3×5=15分割し、各分割領域で焦点検出を行ない、焦点検出結果と被写体の輝度情報から主被写体を類推し、その領域を合焦させるモードを指す。
【0078】
ステップS113又はステップS115でAFモードを決定したら、ステップS117で焦点検出領域を決定する。ステップS121では、撮影準備スイッチがオン操作されたか否かを判別し、オン操作されていなければステップS105に戻り、撮像素子駆動からステップS117の焦点検出領域の決定を繰り返し実行する。
【0079】
ステップS121で撮影準備スイッチがオン操作されるとステップS131に移行し、焦点検出サブルーチンを実行する。
【0080】
図19は焦点検出サブルーチンのフロー図である。メインフローのステップS121からこのサブルーチンのステップS131に進むと、ステップS133においては、メインルーチンのステップS117で決定した焦点検出領域に含まれる焦点検出用画素を読み出す。ステップS134では、少なくとも2つの焦点検出部901を含むように、撮像素子107の撮像面にセクションを複数割り当てる。各セクションは、互いに重なり合わないように配置されることが好ましい。また、撮像素子107の撮像面の全ての焦点検出部901がいずれかのセクションに配置されるようにセクションを割り当てても良いし、一部の焦点検出部901がどのセクションにも配置されないようにセクションを割り当ててもよい。ステップS135では、ステップS134で割り当てた複数のセクションの各々において、焦点検出部901のうち第1の焦点検出用画素からの出力信号を合成して第1の合成信号を得る。同様に、ステップS134で割り当てた複数のセクションの各々において、第2の焦点検出用画素からの出力信号を合成して第2の合成信号を得る。ステップS136では、ステップS134で割り当てた複数のセクションに渡って、ステップS135で得られた第1の合成信号を連結して第1の連結信号を得る。同様に、ステップS134で割り当てた複数のセクションに渡って、ステップS135で得られた第2の合成信号を連結して第2の連結信号を得る。これらの第1、第2の連結信号は、相関演算用の2像の信号に対応する。具体的には、図17に示したAFSIGh(A1)とAFSIGh(B1)、又はAFSIGv(C3)とAFSIGv(D3)等の対の信号に対応する。ステップS139では得られた2像の信号の相関演算を行ない、2像の信号の相対的な位置ずれ量を演算する。ステップS141では、ステップS139の相関演算結果の信頼性を判定する。ここで、信頼性とは、2像の信号の一致度を指し、2像の信号の一致度が良い場合には、一般的に焦点検出結果の信頼性が高い。そこで、複数の焦点検出領域が選択されている場合は、信頼性の高い情報を優先的に使用する。
【0081】
ステップS143では、上記の信頼性の高い検出結果から焦点ずれ量を演算する。そして、ステップS145では、図18のメインフロー内のステップS151にリターンする。
【0082】
図18のステップS151では、図19のステップS143で演算した焦点ずれ量が許容値以下か否かを判断する。そして焦点ずれ量が許容値異常である場合は、非合焦と判断し、ステップS153でフォーカスレンズを駆動し、その後ステップS131〜ステップS151を繰り返し実行する。そしてステップS151にて合焦状態に達したと判定されると、ステップS155にて合焦表示を行ない、ステップS157に移行する。
【0083】
ステップS157では、撮影開始スイッチがオン操作されたか否かを判別し、オン操作されていなければステップS157にて撮影待機状態を維持する。ステップS157で撮影開始スイッチがオン操作されるとステップS161に移行し、撮影サブルーチンを実行する。
【0084】
図20は撮影サブルーチンのフロー図である。撮影開始スイッチが操作されると、ステップS161を経由して、ステップS163では光量調節絞りを駆動し、露光時間を規定するメカニカルシャッタの開口制御を行なう。ステップS165では、高画素静止画撮影のための画像読み出し、すなわち全画素の読み出しを行なう。ステップS167では読み出した画像信号の欠損画素補間を行なう。すなわち、焦点検出用画素の出力は撮像のためのRGBカラー情報を有しておらず、画像を得る上では欠陥画素に相当するため、周囲の撮像用画素の情報から補間により画像信号を生成する。
【0085】
ステップS169では、画像のγ補正、エッジ強調等の画像処理をおこない、ステップS171において、フラッシュメモリ133に撮影画像を記録する。ステップS173では、表示器131に撮影済み画像を表示し、ステップS175で図18のメインフローにリターンする。
【0086】
図18のメインフローに戻ると、ステップS181にて一連の撮影動作を終了する。
【0087】
以上のように、本発明の好適な第1の実施形態によれば、瞳分割機能を有した複数の焦点検出用画素の出力を合成して焦点検出演算に用いることができる。そのため、焦点検出信号のサンプリング特性とS/Nを向上させることができる。また、焦点検出用画素が離散的に配置されているため、撮像用画素の欠損が少なく、撮影画像の劣化も回避できる。
【0088】
また、位相差検出用信号を得るためのAF画素を長方形とし、この長方形領域内の焦点検出用画素の出力を合成したものをAF演算用1画素の信号としている。そして、この長方形領域の瞳分割方向と直交する方向の寸法を他方に対して小とすることで、瞳分割方向と直交する方向におけるAF画素のサンプリング能力の低下を防止することができる。従って、細い線や高周波の被写体の捕捉洩れが防止でき、焦点検出性能が向上する。
【0089】
また、横ずれ検出用画素と縦ずれ検出用画素を市松状に実質上等間隔かつ等配置密度で配置することができる。これにより、横方向に輝度分布を有する被写体と、縦方向に輝度分布を有する被写体の、いずれに対しても正確な焦点検出が可能となる。
【0090】
なお、本実施形態では、焦点検出用画素が撮像素子の撮像面の全領域に渡って分布している場合を例に示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明の範囲を逸脱しない範囲内で、撮像素子の周辺領域には焦点検出用画素を配置しない等の変更が可能である。
【0091】
(第2の実施形態)
第1の実施形態は、1対の横ずれ検出用画素、又は1対の縦ずれ検出用画素は、斜め方向に隣接するR画素とB画素の位置に割り当てられていた。以下に示す第2の実施形態は、焦点検出用画素が単一色の画素、すなわちR画素又はB画素のみの場所に割り当てられる実施形態である。図21〜図25を用いて第2の実施形態の構成を説明する。
【0092】
図21は第2の実施形態の焦点検出用画素配列を示す図であり、第1の実施形態の図9に対応する。図9に示した第1の実施形態では、ベイヤー配列を有した撮像用画素において、斜め方向に隣接するR画素とB画素の位置に、焦点検出用画素SHA、SHB、SVC及びSVDが割り当てられていた。これに対して図21に示す第2の実施形態では、ベイヤー配列におけるB画素のみに焦点検出用画素が割り当てられる。具体的には、一番左上のブロックBLKh(1、1)とその右下のブロックBLKh(2、2)においては、最下行の左寄りにある2個のB画素を水平方向に瞳分割を行なう1組の焦点検出用画素SHA及びSHBで置き換える。
【0093】
また残りのブロックBLKv(1、2)とBLKv(2、1)においては、左から2番目の列の下寄りにある2個のB画素を、垂直方向に瞳分割を行なう1組の焦点検出用画素SVC及びSVDで置き換える。
【0094】
この配置規則を一般化すると、第1の実施形態と同様に、ブロックBLK(i、j)において、i+jが偶数であれば水平瞳分割用の焦点検出画素を配置し、i+jが奇数であれば垂直瞳分割用の焦点検出画素を配置することになる。そして、2×2=4ブロック、すなわち20行×20列=400画素の領域がクラスタとなる。
【0095】
図22は、上記のクラスタを単位とした配置規則を説明するための図であり、第1の実施形態の図10に対応する。図22において、20行×20列=400画素で構成された一番左上のクラスタをCST(u、w)=CST(1、1)とする。そしてクラスタCST(1、1)においては、各ブロックの左下寄りにあるB画素を、焦点検出用画素SHA及びSHB、又はSVC及びSVDで置き換える。
【0096】
その右隣りのクラスタCST(1、2)においては、ブロック内における焦点検出用画素の配置を、クラスタCST(1、1)に対して上方向に2画素分シフトした位置に配置する。また、最初のクラスタCST(1、1)の下に隣接したクラスタCST(2、1)においては、ブロック内における焦点検出用画素の配置を、クラスタCST(1、1)に対して右方向に2画素分シフトした位置に配置する。以上の規則を繰り返し適用すると、図22に示した配置が得られ、図22に示した範囲がクラスタの上位に位置するフィールドとなる。なお、図10に示した第1の実施形態では、5×5=25クラスタが1フィールドであったが、第2の実施形態では4×4=16クラスタが1フィールドとなる。
【0097】
図23は、上記のフィールドを単位とした配置規則を説明するための図であり、第1の実施形態の図11に対応する。図23において、80行×80列=6、400画素で構成された一番左上のフィールドをFLD(q、r)=FLD(1、1)とする。そして第2の実施形態でも、すべてのフィールドFLD(q、r)は先頭フィールドFLD(1、1)と同様の配列となっている。そこで、FLD(1、1)を水平方向に37個、垂直方向に25個配列すると、3000列×2000行=600万画素の撮像領域は925個のフィールドで構成される。ただし、右端の40列は1フィールドが構成できなかった端数領域であり、この領域には焦点検出用画素が配置されないが、実質的に撮像領域全面に渡って焦点検出用画素を均一に分布させている。
【0098】
次に図24及び図25を用いて、焦点検出時の画素のグループと信号加算方法について説明する。図12は、撮影光学系によって形成された被写体像の、横ずれ方向の焦点検出を行なう場合の画素グループ化方法を説明する図であり、第1の実施形態の図12に対応する。
【0099】
図24に示す画素配列は図22で説明したものだが、焦点検出の際には、横方向に1ブロック、縦方向に8ブロックの合計8ブロックを1つのセクションとする。そして、第2の実施形態では、横方向に並んだ24セクションで、1つの焦点検出領域を構成する。すなわち、80行×240列=19、200画素の領域が1つの焦点検出領域となる。この1つの焦点検出領域がAFエリアである。ここで、1つのセクション内においては、横方向における一方の瞳分割を行なう画素SHAが4個、他方の瞳分割を行なう画素SHBも4個含まれている。そこで第2の実施形態においては、4個のSHAの出力を加算して、位相差演算用の一方の画像信号(A像と称する)の1AF画素とする。同様に、4個のSHBの出力を加算して、位相差演算用の他方の画像信号(B像と称する)の1AF画素とする。
【0100】
図25は、一つのセクションにおける、被写体像の捕捉能力を説明するための図であり、第1の実施形態の図13に対応する。図25(a)は図24の左端のセクションを切り出したものである。下端に示された水平線PRJhは、焦点検出用画素SHA及びSHBの瞳分割方向(第1の方向)と直交する第2の方向に延伸した第1の射影軸(Projection Line)である。右端に示された垂直線PRJvは、瞳分割方向に延伸した第2の射影軸である。ここで、1つのセクション内の画素SHAはすべて加算され、SHBも加算される。そこで、1セクションを1AF画素と見なした場合、1AF画素に含まれる受光部を瞳分割方向と直交する方向の射影軸PRJhに射影すると、画素SHAとSHBが交互に緻密に並ぶことがわかる。このときの、瞳分割方向と直交する方向の射影軸PRJhにおける画素SHAの平均的な配列ピッチをP1とすると、P1=PHh=2(単位は画素)となる。ピッチの代わりに空間周波数F1で表わすと、F1=0.5(単位は画素/画素)となる。同様に射影軸PRJhにおける画素SHBの配列ピッチもP1=2(単位は画素)、空間周波数表記ではF1=0.5(単位は画素/画素)となる。
【0101】
一方、1AF画素に含まれる受光部を瞳分割方向の射影軸PRJvに射影すると、画素SHAとSHBはまばらに並ぶことがわかる。このときの、射影軸PRJvにおける画素SHAの配列ピッチをP2とすると、P2=PHv=20(単位は画素)となる。ピッチの代わりに空間周波数F2で表わすと、F2=0.05(単位は画素/画素)となる。同様に射影軸PRJvにおける画素SHBの配列ピッチも、P2=20(単位は画素)、空間周波数表記ではF2=0.05(単位は画素/画素)となる。すなわち、第2の実施形態におけるAF画素の被写体像のサンプリング特性は、第1の実施形態とほぼ等しいことが判る。
【0102】
図25(a)で説明したAF画素(一つのセクション)に、細線の被写体像が投影された場合の画像捕捉能力を図25(b)にて説明する。図25(b)において、LINEvは、撮像素子107上に投影された細い縦線を表わし、その幅は画素換算で4画素、画像の実寸では幅8μmになっている。この時、セクションSCTh(1)内では、ブロックBLK(1、1)、ブロックBLK(3、1)及びブロックBLK(5、1)に含まれる焦点検出用画素が被写体像を捕捉する。すなわち第2の実施形態においても、1つのセクション内では、最低でも各1個ずつの画素SHAとSHBで画像を捕捉することになり、捕捉洩れは生じない。
【0103】
一方、図25(b)のLINEhは、撮像素子107上に投影された幅4画素分の細い横線を表わす。この時には、横線LINEhはブロックBLK(5、1)にかかっているが、焦点検出用画素SHA及びSHBには捕捉されない。しかしながら、セクションSCTh(1)は、縦線のように横方向に輝度分布を有する被写体について焦点検出を行なうためのものである。従って、横線のように縦方向に輝度分布を有する被写体については、焦点検出用画素による像の捕捉洩れが生じても構わない。
【0104】
なお、第2の実施形態における縦ずれ方向の焦点検出における特性は、図25を90度回転したものと等価であるため、説明は省略する。また、焦点検出動作も図17〜図20で説明したフローを用いればよい。なお、上記の説明では焦点検出用画素をB画素に割り当てたが、R画素に割り当てても良い。また、1組の焦点検出画素の配置も実施形態の形態に限定されない。例えば図21では横ずれ方向の2個1組の焦点検出用画素を、横方向に離間して配置したが、縦方向に離間配置しても構わない。
【0105】
以上の第2の実施形態によれば、焦点検出用画素を単一色の画素に割り当てたため、出力画像生成時の欠陥画素補間アルゴリズムが簡単になる。また、特定色における画像劣化や偽色が軽減される。
【0106】
(第3の実施形態)
第1の実施形態及び第2の実施形態で用いた焦点検出用画素は、2個で1組となり、2分割された瞳領域について、一方の画素が一方の瞳を通過する光束を受光し、他方の画素がもう一方の瞳を通過する光束を受光していた。これに対して以下に示す第3の実施形態は、2分割された瞳領域の光束を1つの画素で取得し、その信号を出力する撮像素子を用いた実施形態を示す。
【0107】
以下、図26及び図27を用いて第3の実施形態を説明する。
【0108】
図26は第3の実施形態の焦点検出用画素配列を示す図であり、第1の実施形態の図9に対応する。図9に示した第1の実施形態では、ベイヤー配列を有した撮像用画素において、斜め方向に隣接するR画素とB画素の位置に、焦点検出用画素SHA、SHB、SVC及びSVDが割り当てられていた。これに対して図26に示す第3の実施形態では、10×10=100画素の各ブロックにおいて、1個のR画素に焦点検出用画素が割り当てられる。具体的には、一番左上のブロックBLKh(1、1)とその右下のブロックBLKh(2、2)においては、左端列の最下端にある1個のR画素を水平方向に瞳分割を行なう1個の焦点検出用画素SHABで置き換える。ここで、焦点検出用画素SHABは、本出願人による特開2003−156677号公報に開示された技術を用いればよい。すなわち当公報の図2に開示された撮像素子のように、オンチップマイクロレンズ後方の光電変換素子を多分割することで撮影光学系の瞳分割を行ない、分割された各瞳領域からの光束を独立して取得し、画像信号として出力する。そのため、1画素で位相差検出用の1組の信号が得られる。
【0109】
また残りのブロックBLKv(1、2)とBLKv(2、1)においては、左端列の最下端にある1個のR画素を、垂直方向に瞳分割を行なう1個の焦点検出用画素SVABで置き換える。
【0110】
この配置規則を一般化すると、第1の実施形態と同様に、ブロックBLK(i、j)において、i+jが偶数であれば水平瞳分割用の焦点検出画素を配置し、i+jが奇数であれば垂直瞳分割用の焦点検出画素を配置することになる。そして、2×2=4ブロック、すなわち20行×20列=400画素の領域がクラスタとなる。
【0111】
図27は、上記のクラスタを単位とし、クラスタが複数集合した配置規則を説明するための図であり、第1の実施形態の図10に対応する。図27に示した全領域が、クラスタの上位となる1フィールドを表わすが、フィールドにおける配置規則は第1の実施形態と同一である。
【0112】
また、第3の実施形態における、撮像領域全域におけるフィールド配置や、焦点検出特性、焦点検出フローは、第1の実施形態の図11〜図20に示したものと同一なため、説明は省略する。
【0113】
以上の第3の実施形態によれば、焦点検出用画素に割り当てる画素数の比率が減少するため、出力画像の劣化や偽色が一層軽減される。また、出力画像生成時の欠陥画素補間アルゴリズムも単純化される。
【0114】
(第4の実施形態)
第1の実施形態〜第3の実施形態は、横ずれ検出用画素と縦ずれ検出用画素が等しい配置密度で配置されていたが、以下に示す第4の実施形態は、一方の画素のみを配置した実施形態である。図28〜図30を用いて第4の実施形態の構成を説明する。
【0115】
図28は第4の実施形態の焦点検出用画素配列を示す図であり、第1の実施形態の図12に対応する。第4の実施形態においては、画素配列の最小単位であるブロックは、第1の実施形態と同様に10行×10列=100画素で構成される。ただし、第4の実施形態が有する焦点検出用画素は、図6に示した画素、すなわち撮影光学系の瞳を水平方向に分割する画素SHA及びSHBのみである。また、焦点検出のための1つのセクションは2×5=10ブロック、すなわち50行×20列=1000画素で構成される。そして各セクションにおいては、焦点検出用画素ペアは図示のようにV字状に配列される。ただし、各ブロックBLK(i、j)において、jが奇数のブロック群と偶数のブロック群では、焦点検出用画素ペアの上下方向の配置場所を異ならせている。
【0116】
図29は、一つのセクションにおける、被写体像の捕捉能力を説明するための図であり、第1の実施形態の図13に対応する。図29(a)は図28の左端のセクションを切り出したものである。そして下端に示された水平線PRJhは、焦点検出用画素SHA及びSHBの瞳分割方向(第1の方向)と直交する第2の方向に延伸した第1の射影軸、右端に示された垂直線PRJvは、瞳分割方向に延伸した第2の射影軸である。第4の実施形態においても、1つのセクション内の画素SHAの出力はすべて加算され、SHBの出力も加算される。そこで、1セクションを1AF画素と見なした場合、1AF画素に含まれる受光部を瞳分割方向と直交する方向の射影軸PRJhに射影すると、画素SHAとSHBが交互に緻密に並ぶことがわかる。このときの、瞳分割方向と直交する方向の射影軸PRJhにおける画素SHAの配列ピッチをP1とすると、P1=PHh=2(単位は画素)となる。ピッチの代わりに空間周波数F1で表わすと、F1=0.5(単位は画素/画素)となる。同様に射影軸PRJhにおける画素SHBの配列ピッチもP1=2(単位は画素)、空間周波数表記ではF1=0.5(単位は画素/画素)となる。
【0117】
一方、1つのAF画素に含まれる受光部を瞳分割方向の射影軸PRJvに射影すると、画素SHAとSHBはまばら、かつ不等間隔に並ぶことがわかる。このときの、射影軸PRJvにおける画素SHAの配列ピッチは2つの値となり、大きい方のピッチはPHv1=6、小さい方のピッチはPHv2=4、平均値はP2=5(ともに単位は画素)となる。ピッチの代わりに平均空間周波数F2で表わすと、F2=0.2(単位は画素/画素)となる。同様に射影軸PRJvにおける画素SHBの平均配列ピッチも、P2=5(単位は画素)、平均空間周波数表記ではF2=0.2(単位は画素/画素)となる。
【0118】
すなわち、第4の実施形態におけるAF画素は、上記グループ化前の分散特性は、瞳分割方向とこれに直交する方向の配置特性が異なるが、グループ化する際のグループ形状を長方形とすることで、所望のサンプリング特性を得ている。具体的には、1セクションの瞳分割方向と直交する方向の最大寸法L1は20画素、瞳分割方向の最大寸法L2は50画素としている。すなわち、セクション寸法をL1<L2とすることで、瞳分割方向と直交する方向のサンプリング周波数F1を高周波(密)に、瞳分割方向のサンプリング周波数F2を低周波(疎)としている。
【0119】
図29(a)で説明したAF画素(一つのセクション)に、細線の被写体像が投影された場合の画像捕捉能力を図29(b)にて説明する。図29(b)において、LINEvは、撮像素子107上に投影された細い縦線を表わし、その幅は画素換算で4画素、画像の実寸では幅8μmになっている。この時、セクションSCTh(1)内では、ブロックBLK(3、1)とブロックBLK(4、1)に含まれる焦点検出用画素が被写体像を捕捉する。
【0120】
また、図29(b)のLINECは、縦線LINEv撮が反時計方向に15度回転した傾斜縦線である。この傾斜縦線は、ブロックBLK(4、2)に含まれる焦点検出用画素により捕捉される。一方、第4の実施形態においては縦ずれ検出画素は備えていないので、横線については焦点検出不能である。
【0121】
図30は撮像素子107の全領域における画素配置図であり、第1の実施形態の図11に対応する。第4の実施形態においては、図28で説明したセクションがフィールドにも対応するため、図30のように、撮影領域は40×150=6000個のフィールドで構成される。そして撮像領域全面に渡って、横ずれ方向の焦点検出が可能となっている。
【0122】
以上の第4の実施形態によれば、焦点検出用画素の配列規則が単純化されるため、この配列規則を記憶するメモリ領域が節約でき、機器を安価に製造できる。また、欠陥画素を補完するアルゴリズムも単純化され、画像処理速度が向上し、軽快な焦点調節を撮影が可能となる。
【0123】
以上説明した第1の実施形態〜第4の実施形態は、デジタルスチルカメラにおける実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明の撮像装置は、デジタルスチルカメラだけでなく、動画撮影を行なうカムコーダ(ムービーカメラ)、各種検査カメラ、監視カメラ、内視鏡カメラ、ロボット用カメラ等に適用されうる。また、以上説明した第1の実施形態〜第4の実施形態において、合成には、加算と平均化とが含まれるものとする。
【0124】
以上説明した第1の実施形態〜第4の実施形態に記載された構成要素の配置や数値等は例示的なものであり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、撮像素子を備えた電子カメラ等の撮像装置の焦点調節動作を提供するものであり、特にデジタルスチルカメラ、ムービーカメラに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の好適な実施形態に係る撮像装置の構成図である。
【図2】本発明の好適な実施形態に係る撮像素子の回路図である。
【図3】本発明の好適な実施形態に係る撮像素子の画素断面図である。
【図4】本発明の好適な実施形態に係る撮像素子の駆動タイミングチャートである。
【図5】本発明の好適な実施形態に係る撮像素子の撮像用画素の平面図と断面図である。
【図6】本発明の好適な実施形態に係る撮像素子の焦点検出用画素の平面図と断面図である。
【図7】本発明の好適な実施形態に係る撮像素子の他の焦点検出用画素の平面図と断面図である。
【図8】本発明の好適な実施形態に係る焦点検出を説明する概念図である。
【図9】本発明の好適な第1の実施形態に係る撮像素子の最小単位の画素配列説明図である。
【図10】本発明の好適な第1の実施形態に係る撮像素子の上位単位の画素配列説明図である。
【図11】本発明の好適な第1の実施形態に係る撮像素子の全領域における画素配列説明図である。
【図12】本発明の好適な第1の実施形態に係る横ずれ焦点検出時の画素グループ化方法説明図である。
【図13】本発明の好適な第1の実施形態に係る横ずれ焦点検出時の画像サンプリング特性説明図である。
【図14】本発明の好適な第1の実施形態に係る縦ずれ焦点検出時の画素グループ化方法説明図である。
【図15】本発明の好適な第1の実施形態に係る縦ずれ焦点検出時の画像サンプリング特性説明図である。
【図16】本発明の好適な第1の実施形態に係る撮像素子の瞳分割状況を説明する概念図である。
【図17】本発明の好適な第1の実施形態に係る焦点検出領域説明図である。
【図18】本発明の好適な実施形態に係るメイン制御フロー図である。
【図19】本発明の好適な実施形態に係る焦点検出サブルーチンフロー図である。
【図20】本発明の好適な実施形態に係る撮影サブルーチンフロー図である。
【図21】本発明の好適な第2の実施形態に係る撮像素子の最小単位の画素配列説明図である。
【図22】本発明の好適な第2の実施形態に係る撮像素子の上位単位の画素配列説明図である。
【図23】本発明の好適な第2の実施形態に係る撮像素子の全領域における画素配列説明図である。
【図24】本発明の好適な第2の実施形態に係る横ずれ焦点検出時の画素グループ化方法説明図である。
【図25】本発明の好適な第2の実施形態に係る横ずれ焦点検出時の画像サンプリング特性説明図である。
【図26】本発明の好適な第3の実施形態に係る撮像素子の最小単位の画素配列説明図である。
【図27】本発明の好適な第3の実施形態に係る撮像素子の上位単位の画素配列説明図である。
【図28】本発明の好適な第4の実施形態に係る焦点検出時の画素グループ化方法説明図である。
【図29】本発明の好適な第4の実施形態に係る焦点検出時の画像サンプリング特性説明図である。
【図30】本発明の好適な第4の実施形態に係る撮像素子の全領域における画素配列説明図である。
【符号の説明】
【0127】
107 撮像素子
901 焦点検出部
901a 第1の焦点検出用画素
901b 第2の焦点検出用画素
902 合成手段
903 連結手段
904 演算手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
瞳分割された第1の焦点検出用画素と第2の焦点検出用画素とで構成される焦点検出部を複数有する撮像素子と、
複数の前記焦点検出部を含むように前記撮像素子にそれぞれ割り当てられた複数のセクションの各々において、前記第1の焦点検出用画素からの出力信号を合成して第1の合成信号を得る処理と、前記第2の焦点検出用画素からの出力信号を合成して第2の合成信号を得る処理とを行う合成手段と、
前記複数のセクションに渡って、前記第1の合成信号を連結して第1の連結信号を得る処理と、前記第2の合成信号を連結して第2の連結信号を得る処理とを行う連結手段と、
前記第1の連結信号及び前記第2の連結信号に基づいて、結像光学系の焦点ずれ量を演算する演算手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像素子は、前記結像光学系で結像された被写体像を光電変換するための撮像用画素を複数有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
複数の前記焦点検出部のうち第1の焦点検出部は、前記第1の焦点検出用画素及び前記第2の焦点検出用画素が第1の方向に瞳分割され、かつ、前記複数のセクションのうち第1のセクションにおける前記第1の方向及び前記第1の方向に垂直な第2の方向において等間隔に配置され、
前記第1の焦点検出部の前記第1の方向における間隔は、前記第1の焦点検出部の前記第2の方向における間隔よりも小さいことを特徴する請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1のセクションの前記第1の方向における最大寸法は、前記第1のセクションの前記第2の方向における最大寸法よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
複数の前記焦点検出部のうち第2の焦点検出部は、前記第1の焦点検出用画素及び前記第2の焦点検出用画素が前記第2の方向に瞳分割され、かつ、前記複数のセクションのうち第2のセクションにおける前記第1の方向及び前記第2の方向において等間隔に配置され、
前記第2の焦点検出部の前記第2の方向における間隔は、前記第2の焦点検出部の前記第1の方向における間隔よりも小さいことを特徴する請求項3又は請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第2のセクションの前記第2の方向における最大寸法は、前記第2のセクションの前記第1の方向における最大寸法よりも小さいことを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1のセクションは、複数の正方形領域により構成され、
前記第1の焦点検出部は、前記複数の正方形領域の各々に1つずつ配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第2のセクションは、複数の正方形領域により構成され、
前記第2の焦点検出部は、前記複数の正方形領域の各々に1つずつ配置されていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の撮像装置。
【請求項9】
請求項7に記載の第1の焦点検出部が配置された正方形領域と、請求項8に記載の第2の焦点検出部が配置された正方形領域とが、前記第1の方向及び前記第2の方向において交互に配置されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
前記第1の焦点検出部の配置密度と前記第2の焦点検出部の配置密度とが等しいことを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
瞳分割された第1の焦点検出用画素と第2の焦点検出用画素とで構成される焦点検出部を複数有する撮像素子を備えた撮像装置の制御方法であって、
前記撮像素子に前記焦点検出部を複数含むセクションを複数割り当てる工程と、
前記複数のセクションの各々において、前記第1の焦点検出用画素からの出力信号を合成して第1の合成信号を得る工程と、
前記複数のセクションの各々において、前記第2の焦点検出用画素からの出力信号を合成して第2の合成信号を得る工程と、
前記複数のセクションに渡って、前記第1の合成信号を連結して第1の連結信号を得る工程と、
前記複数のセクションに渡って、前記第2の合成信号を連結して第2の連結信号を得る工程と、
前記第1の連結信号及び前記第2の連結信号に基づいて、結像光学系の焦点ずれ量を演算する工程と、
を含むことを特徴とする。
【請求項1】
瞳分割された第1の焦点検出用画素と第2の焦点検出用画素とで構成される焦点検出部を複数有する撮像素子と、
複数の前記焦点検出部を含むように前記撮像素子にそれぞれ割り当てられた複数のセクションの各々において、前記第1の焦点検出用画素からの出力信号を合成して第1の合成信号を得る処理と、前記第2の焦点検出用画素からの出力信号を合成して第2の合成信号を得る処理とを行う合成手段と、
前記複数のセクションに渡って、前記第1の合成信号を連結して第1の連結信号を得る処理と、前記第2の合成信号を連結して第2の連結信号を得る処理とを行う連結手段と、
前記第1の連結信号及び前記第2の連結信号に基づいて、結像光学系の焦点ずれ量を演算する演算手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像素子は、前記結像光学系で結像された被写体像を光電変換するための撮像用画素を複数有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
複数の前記焦点検出部のうち第1の焦点検出部は、前記第1の焦点検出用画素及び前記第2の焦点検出用画素が第1の方向に瞳分割され、かつ、前記複数のセクションのうち第1のセクションにおける前記第1の方向及び前記第1の方向に垂直な第2の方向において等間隔に配置され、
前記第1の焦点検出部の前記第1の方向における間隔は、前記第1の焦点検出部の前記第2の方向における間隔よりも小さいことを特徴する請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1のセクションの前記第1の方向における最大寸法は、前記第1のセクションの前記第2の方向における最大寸法よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
複数の前記焦点検出部のうち第2の焦点検出部は、前記第1の焦点検出用画素及び前記第2の焦点検出用画素が前記第2の方向に瞳分割され、かつ、前記複数のセクションのうち第2のセクションにおける前記第1の方向及び前記第2の方向において等間隔に配置され、
前記第2の焦点検出部の前記第2の方向における間隔は、前記第2の焦点検出部の前記第1の方向における間隔よりも小さいことを特徴する請求項3又は請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第2のセクションの前記第2の方向における最大寸法は、前記第2のセクションの前記第1の方向における最大寸法よりも小さいことを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1のセクションは、複数の正方形領域により構成され、
前記第1の焦点検出部は、前記複数の正方形領域の各々に1つずつ配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第2のセクションは、複数の正方形領域により構成され、
前記第2の焦点検出部は、前記複数の正方形領域の各々に1つずつ配置されていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の撮像装置。
【請求項9】
請求項7に記載の第1の焦点検出部が配置された正方形領域と、請求項8に記載の第2の焦点検出部が配置された正方形領域とが、前記第1の方向及び前記第2の方向において交互に配置されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
前記第1の焦点検出部の配置密度と前記第2の焦点検出部の配置密度とが等しいことを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
瞳分割された第1の焦点検出用画素と第2の焦点検出用画素とで構成される焦点検出部を複数有する撮像素子を備えた撮像装置の制御方法であって、
前記撮像素子に前記焦点検出部を複数含むセクションを複数割り当てる工程と、
前記複数のセクションの各々において、前記第1の焦点検出用画素からの出力信号を合成して第1の合成信号を得る工程と、
前記複数のセクションの各々において、前記第2の焦点検出用画素からの出力信号を合成して第2の合成信号を得る工程と、
前記複数のセクションに渡って、前記第1の合成信号を連結して第1の連結信号を得る工程と、
前記複数のセクションに渡って、前記第2の合成信号を連結して第2の連結信号を得る工程と、
前記第1の連結信号及び前記第2の連結信号に基づいて、結像光学系の焦点ずれ量を演算する工程と、
を含むことを特徴とする。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2009−3122(P2009−3122A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−163019(P2007−163019)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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