説明

撮像装置及び撮像装置における視軸整合方法

【課題】少なくとも可視光学系と赤外線光学系を含む複数の光学系で撮像を行う撮像装置において、赤外線光学系の保守工数を低減する。
【解決手段】複数の赤外線光学系撮像ユニット50,100が光学フレーム105に搭載され、各撮像ユニット50,100は、光学レンズ系101.107、撮像センサ104,119を備えたセンサモジュール102,108及びセンサモジュール102,108を光学フレーム105に搭載するベース機構110,111を備えた撮像装置150において、センサモジュール102,108の撮像センサ104,119の3次元方向の位置を予め調整しておき、センサモジュール102,108の保守交換時には新たなセンサモジュール102,108をベース機構110,111に搭載して視軸方向の回転調整のみを行えば良いようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は撮像装置及び撮像装置における視軸整合方法に関し、特に、赤外線又は可視光線を用いた光学系を含む複数以上の撮像センサを有する撮像装置の構造、並びに撮像装置の視軸整合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置は目標物体(ターゲット)の探知、探索、識別に用いられ、海上に浮かぶ浮遊物や漂流者を探索する哨戒機や船舶に搭載されたり、路上を走行する車両に取り付けられたりしていた。撮像装置には、可視光線を用いるものの他、赤外線、紫外線やX線を使用して目標物体を撮像するものがある(特許文献1参照)。
【0003】
一方近年、撮像装置の性能向上(探知、識別性能)に対する以下のような要求がある。
(ア)撮像センサの高感度化、多素子化
(イ)撮像センサに使用する光学系の高倍率化及び視野の変倍化
(ウ)波長帯域の異なる撮像センサを用いたマルチセンサ化
(エ)撮影画像の低ノイズ化、画像処理の高速化
また、撮像装置に採用される各撮像センサは、赤外線用撮像センサを一例とした場合、1ピクセルあたり、約20μmのオーダの大きさを有する撮像素子が、縦方向に480、横方向に640程度並んで構成され、光学系の結像点に一致するよう設置されている。
【0004】
複数の撮像センサから各モニタ表示される映像は、一般的には視軸が整合されていることが探知・認識性能を向上するに際して重要である。この理由は、同一目標物体を画面中央で見た場合、それぞれの撮像センサから表示される目標物体は同じ位置でなければならないからである。このことを以下、視軸整合と称する。
【0005】
また、撮像装置の保守整備時には、撮像センサを備えたセンサモジュールを交換する場合があるが、撮像センサ交換後も同様に視軸整合が必要である。特に、赤外線センサを用いた撮像装置では、赤外線センサを冷却する為に冷却器を用いる場合があるため、冷却器の寿命から定期的なメンテナンスが必要とされる。このような撮像装置は、適宜筐体に実装され、下記に示す様な運用によって撮像装置として運用される。
(い)視軸が一定な固定カメラ装置
(ろ)視軸を任意の方向へ向ける為の「パン・チルト機構」を有する指向性カメラ装置
(は)視軸安定機能を有する「ジンバル」機構に搭載されるジンバル撮像装置
【0006】
ここで、ジンバル撮像装置の機能及び運用方法の一例を図1(a)、(b)を用いて説明する。図1(a)はジンバル撮像装置1の航空機2(例えば哨戒機2)への搭載例を示すものである。ジンバル撮像装置1は哨戒機2のコクピット3の直下の機体4に取り付けられており、必要時に機体4から突出させて海面や地表等を撮像する。また、ジンバル撮像装置1が船舶に搭載される場合には、ジンバル撮像装置1は船首や船橋(ブリッジ)の屋上部分に設置されることが多い。更に、ジンバル撮像装置1は車両に搭載されることもある。
【0007】
ジンバル撮像装置1は、図1(b)に示すように、一般的には航空機、船舶に設けられた固定台5にベース部分6が固定される。運用に適した空間安定性能を得るため、必要に応じて2軸(ヨー=アジマス(左右)方向・ピッチ=エレベーション(上下方向)方向)又は3軸(ロール(傾き方向)+ヨー+ピッチ方向)に回転軸を有する。図1(b)にはヨー方向yの回転軸7と、ピッチ方向pの回転軸8を備えたジンバル撮像装置1が示してある。また、この例のジンバル撮像装置1には2つの撮像装置が内蔵されており、符号9は2つの撮像装置が使用する波長帯域を透過する「光学ウインドウ」を示している。また、符号9a、9bは2つのウインドウ9の視軸を示している。
【0008】
図2は、図1(b)に示した撮像装置1に搭載された赤外線撮像装置10の一般的な構成例を示すものである。赤外線撮像装置10はウインドウ9の背面側に設けられ、撮像ユニット10Aと、画像処理ユニット10Bとから構成される。撮像ユニット10Aには、赤外線等、物体が放射する波長帯のエネルギーを集光する光学レンズ系11と、集光された赤外線エネルギーを検出する検知素子13を備えたセンサモジュール12がある。センサモジュール12は、検知素子13の受光面に投射されたエネルギーを検出し、光電流として出力する。
【0009】
一方、画像処理ユニット10Bは、増幅回路14、信号処理回路15、ビデオ回路16及びモニタ17から構成される。センサモジュール12から出力された光電流は、増幅回路14で増幅され、信号処理回路15とビデオ回路16で画像処理されて、ブラウン管や液晶表示器を使用したモニタ17に、検知素子13が検出した画像が示される。ここでは赤外線撮像装置10の一般的な構成例を説明したが、可視光線を使用する撮像装置の構成も、赤外線撮像装置10の構成と大差はない。
【0010】
撮像装置10は、可視・赤外線撮像装置に限らず高画質・高解像度が求められており、装置構造が複雑になり、維持管理も難易度が高くなってきている。この結果、顧客におけるメンテナンスも含め保守整備性を容易にすることが製品価値を向上させ、顧客満足度を得るキーとなる。そのために、撮像装置10の撮像ユニット10Aにおける視軸整合が可能な調整手段が望まれている。
【0011】
ここで、従来の赤外又は可視光学系を含む複数の撮像センサを有する撮像ユニット20の構造及び視軸整合方法を図3(a)〜(c)を用いて説明する。説明を簡単にするために、ここでは第1の光学系30と第2の光学系40を備えた撮像ユニット20について説明する。
【0012】
図3(a)は第1の光学系30において使用する第1のセンサモジュール31の構成を示すものである。第1のセンサモジュール31は、撮像センサ32を内蔵するセンサ部33と、センサ部33を後述する光学フレームに取り付ける取付ベース34とから構成される。センサ部33には、撮像センサ32を3軸(x、y、z)方向に移動させることができる移動機構35が内蔵されている。これは、撮像センサ32の設計位置は破線で示す位置であるが、製造ばらつきにより、製造後の撮像センサ32の位置は設計位置にはならず、例えば実線で示す位置にΔdet1だけずれるので、調整が必要となるためである。また、取付ベース34の取付面には、光学フレームとの位置合わせのための凹部36が設けられている。
【0013】
図3(b)は第2の光学系40において使用する第2のセンサモジュール41の構成を示すものである。第2のセンサモジュール41は、第1のセンサモジュール31と同様に光学フレーム上に取り付けられる。センサモジュール41には、撮像センサ42を内蔵するセンサ部43と、センサ部43を後述する光学フレームに取り付ける取付ベース44とがある。センサ部43には、撮像センサ42を3軸(x、y、z)方向に移動させることができる移動機構45が内蔵されている。この図にも撮像センサ42の設計位置を破線で示し、製造後の撮像センサ42の位置を実線で示してある。撮像センサ42の設計位置に対する製造後の位置の誤差はΔdet2である。また、取付ベース44の取付面には、光学フレームとの位置合わせのための凹部46が設けられている。
【0014】
ここで、図3(c)を用いて撮像ユニット20の全体の構造及び視軸整合方法を説明する。撮像ユニット20は、光学フレーム21に、第1の光学系30と第2の光学系40とが搭載されて構成される。第1の光学系30には複数の光学レンズ38を備えた第1の光学レンズ部37と第1のセンサモジュール31があり、第2の光学系40には複数の光学レンズ48を備えた第2の光学レンズ部47と第2のセンサモジュール41がある。第1の光学レンズ部37と第2の光学レンズ部47はそれぞれ、光学フレーム21に突設された取付部22,23に取り付けられている。また、第1のセンサモジュール31と第2のセンサモジュール41はそれぞれ光学フレーム21の上に、ガイドピン24,25によって位置決めされて取り付けられている。
【0015】
第1の光学レンズ部37と第2の光学レンズ部47についても、入射光の設計上の結像位置は破線で示す位置であるが、製造ばらつきにより、製造後の入射光の結像位置は設計位置にはならず、例えば実線で示す位置にそれぞれΔopt1, Δopt2だけずれる。また、光学フレーム21に突設されたガイドピン24,25についても、破線で示す設計上の位置に対して製造後のガイドピン24,25の位置は、実線で示すようにΔmecha1、Δmecha2だけずれる。視軸整合性を阻害する各構成部品の設計誤差(光学フレーム21、光学系37,47、撮像センサ32,42)は、総合でmmオーダとなる。
【0016】
すなわち、撮像ユニット20の各構成品で採用する部品(構造部品、撮像センサ、光学系)の寸法精度には、技術的及び費用対効果上の限界が存在する。また、視軸整合性を成立させる為の各構成品の中で「光学系、撮像センサ」に関しては、単独で物理的絶対位置を必要な精度(μmオーダ)計測する手段が存在しない。これらの理由より、撮像ユニット20のメンテナンス時には、視軸整合(視軸整合要求精度約20μm)を阻害するレベルにあることから、以下に説明する方法で視軸整合調整を実施していた。尚、撮像ユニット20で採用される撮像センサ32,42は、冷却器の寿命によって発生するメンテナンス(交換等)が顧客又はメーカにて定期的に必要であることから、メンテナンス毎に各撮像センサ間の視軸整合再調整が必須であった。
【0017】
図3(a)から(c)に示した従来の装置における視軸を整合して調整するためには、光学系の誤差(Δopt1, Δopt2)、光学フレームの誤差(Δmecha1、Δmecha2)、センサモジュールの誤差(Δdet1、Δdet2)の積上げ総誤差(Δ)分を視軸整合調整する。この調整は、センサモジュール31,41内の移動機構35,45により物理的に撮像センサ32,42を軸(x、y、z)並進方向、及び回転(rot)方向へ移動させることによって行う。1つの光学系と他の光学系との視軸整合(光軸を平行にする)は撮像ユニットの製造時に行われていた。したがって、センサモジュール31,41の交換時には、撮像センサ32,42の中心を各光学系の光軸に合わせる視軸整合調整が必須である。尚、このとき部品累積誤差(約1mm)に対して、視軸整合に必要な位置精度(約20μm以内)への調整が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2007−235760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、前述した従来の視軸整合調整方法には以下の要因より、多くの作業工数が掛かり、極めて難易度が高いという課題があった。
(a)撮像センサの多素子化(可視光ではハイビジョン化、赤外線では高精細化)、高感度化により撮像装置の探知性能を更に向上させる為に光学系の長焦点距離化(望遠化)が進んでいることから、視軸整合調整時の感度が大きくなった。
(b)撮像システムのマルチセンサ化(可視光系、中赤外線系、遠赤外線系等)が進み、視軸整合調整対象が多くなった。
(c)光学系長焦点距離化によって、光学系に高倍率ズームや複数視野を有する変倍光学系が採用されるため、光学系変倍時においても視軸整合機能を満足する必要が生じた。
(d)調整時における調整機構系の内部隙間や構造物の有する剛性(バネ性)により、調整時と固定後に再現性が無い範囲が存在することから調整が困難になった。
【0020】
そこで本出願は、撮像装置の視軸整合を確保しつつ、大幅な整合調整工数の削減、難易度の低減を実現する撮像装置及び撮像装置の視軸整合方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記目的を達成する本出願の撮像装置は、少なくとも可視光学系撮像ユニットと赤外線光学系撮像ユニットを含む複数の撮像ユニットと、撮像ユニットを搭載する光学フレームを有する撮像装置であって、各撮像ユニットは、光学レンズ系、撮像センサを備えたセンサモジュール及びセンサモジュールを光学フレームに搭載するベース機構を備え、撮像センサはセンサモジュールのベース機構に対する位置決め部材に対して3次元方向の位置が予め調整されており、ベース機構には、位置決めされて搭載されたセンサモジュールの撮像センサの位置を3次元方向に調整可能な調整機構が設けられており、光学フレームには、1つの撮像ユニットの光軸に対して他の撮像ユニットの光軸を平行に調整する光軸の調整機構が設けられていることを特徴としている。
【0022】
また、目的を達成する本出願の撮像装置の視軸整合方法は、少なくとも可視光学系撮像ユニットと赤外線光学系撮像ユニットを含む複数の撮像ユニットと、撮像ユニットを搭載する光学フレームを有し、撮像ユニットは光学レンズ系、撮像センサを内蔵するセンサモジュール及び該センサモジュールを搭載するベース機構を備える撮像装置における視軸整合方法であって、センサモジュールのベース機構への搭載位置の基準点に対して、撮像センサの位置を調整装置を用いて正確に調整する工程と、撮像ユニットの1つに対して、光学レンズ系とベース機構とを光学フレームに搭載した後にセンサモジュールをベース機構に搭載し、ベース機構に備えられた3次元方向調整で撮像センサ位置を光学レンズ系の結像位置に調整する工程と、他の撮像ユニットに対して、光学レンズ系と光学フレームとの間に設けられた光軸の調整機構で、他の光学系撮像ユニットの光軸を、撮像センサ位置の調整済の撮像ユニットの光軸に平行になるように調整する工程と、他の光学系撮像ユニットに対して、ベース機構を光学フレームに搭載した後にセンサモジュールをベース機構に搭載し、ベース機構に備えられた3次元方向調整で撮像センサ位置を光学レンズ系の結像位置に調整する工程とを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0023】
本出願によれば、センサ部の撮像センサ位置の位置精度を向上させ、3軸方向への移動機構を備えたベース機構を光学フレーム上に付加してこの上にセンサモジュールを搭載したので、センサモジュールの交換時の視軸整合調整が容易になった。即ち、撮像装置を構成する主要部品である「光学系」及び「光学フレーム」を部品レベルでは、製造性及びコストを重視して互換性は無くしたが、装置レベルにおいてセンサモジュールに位置互換性を持たせた。この結果、センサモジュールの交換時の視軸整合調整において「回転方向」のみの調整で容易に視軸整合が可能となり、従来装置に比べて撮像装置の性能向上と製造コストの維持を確保しつつ、保守整備のし易さが向上した。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)は撮像装置を備える哨戒機の斜視図、(b)は(a)に示す撮像装置の概観を示す斜視図である。
【図2】従来の赤外線撮像装置の一般的な構成例を示す構成図である。
【図3】(a)は光学フレームに取り付ける従来のセンサモジュールの一例の構成を示す側面図、(b)は光学フレームの別の場所に取り付ける従来のセンサモジュールの一例の構成を示す側面図、(c)は2系統の光学系を備えた撮像ユニットの構成例及び視軸整合方法を示す側面図である
【図4】(a)は本出願のセンサモジュールの構成を示す側面図、(b)は(a)に示したセンサモジュールのガイドピンに対する撮像センサの位置を調整する調整装置の構成を示す構成図である。
【図5】(a)は図4(b)に示した調整装置に取り付けられたセンサモジュールを平面視した平面図、(b)は(a)に示したセンサモジュールの一実施例の詳細な構造を示す断面図である。
【図6】(a)は図4(b)に示した調整装置の台座の上に、本出願の一実施例のセンサモジュールが計測用治具を介して取り付けられた状態を示す斜視図、(b)は図4(b)に示した調整装置の台座の上に、本出願の別の実施例のセンサモジュールが計測用治具を介して取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図7】(a)は本出願の一実施例の撮像ユニットにおけるセンサモジュールの視軸整合方法の第1の手順を説明する説明図、(b)は(a)のあおり機構の詳細な構成を示す部分断面図である。
【図8】図7(a)に示した本出願の一実施例の撮像ユニットにおけるセンサモジュールの視軸整合方法の第2の手順を説明する説明図である。
【図9】(a)は図8に示した本出願の一実施例の撮像ユニットにおけるセンサモジュールの視軸整合方法に使用されるコリメータの構成を示す側面図、(b)は(a)に示されるターゲットパターンのE矢視図である。
【図10】図9(a)に示すコリメータを使用して視軸を整合調整する際の、図2で説明したモニタに表示されるターゲットパターンの、視軸整合前と視軸整合後の位置を示す図である。
【図11】(a)は本出願の撮像ユニットを3つ備える撮像装置の具体的な装置概観を示す斜視図、(b)は(a)に示した撮像装置の正面図である。
【図12】(a)は図11(a)、(b)に示した撮像装置に内蔵された赤外線用の撮像ユニット内のウインドウからセンサモジュールまでの光路を示す光路図、(b)は本出願の撮像装置に内蔵された撮像ユニット内のウインドウからセンサモジュールまでの光路の別の実施例を示す光路図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を用いて本出願における撮像装置及び撮像装置の視軸整合方法の実施の形態を、具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。まず、本出願の撮像装置に使用するセンサモジュール102の構成について図4から図6を用いて説明する。なお、センサモジュール102は赤外線撮像ユニットに使用されるものとする。ここで、図4(a)はセンサモジュール102の側面図、図4(b)は図4(a)に示したセンサモジュール102のガイドピン116に対する撮像センサ104の位置を調整する計測機器117の構成を示す構成図である。また、図5(a)、(b)は図4(b)のW部を拡大して平面視した平面図及び断面図である。更に、図6(a)は図4(b)に示した計測機器117の台座118の上に計測用治具115を介してセンサモジュール102が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【0026】
図4(a)に示すように、センサモジュール102には側面視L字状の取付ベース103があり、取付ベース103の外側の面の一方が取付面となっていて、ガイドピン116が突設されている。また、取付ベース103の外側の面の他方の面に撮像センサ104があり、撮像センサ104の3次元方向の位置は、取付ベース103に設けられた調整機構130によって調整することができる。撮像センサ104は撮像センサカバー120で密封されている。調整機構130は、撮像センサ104の位置をx方向、y方向、z方向及び回転方向Rに調整することができる。113は調整機構130に設けられた調整ねじである。
【0027】
図4(a)のように構成されたセンサモジュール102は、図4(b)に示すような計測機器117に取り付けられ、ガイドピン116に対する撮像センサ104の位置が調整機構130によって調整される。計測機器117は、台座118、台座118の外周部に設けられた柱部121、柱部121に保持された天井部122、天井部122の台座118の対向面に設けられた赤外線照射部123及び台座118の上に固着された計測用治具115を備える。計測用治具115は赤外線照射部123の直下に配置されている。
【0028】
全てのセンサモジュール102は、製造後に撮像センサカバー120が取り付けられる前の状態で、撮像センサ104が赤外線照射部123に対向するように計測用治具115に取り付けられる。この状態が図4(b)並びに図6(a)に示される。このとき、取付ベース103の撮像センサの取付面103Sは台座118に平行であり、取付ベース103のガイドピン116の設置面103Pは台座118に垂直である。撮像センサ104はセンサ保持部125によって撮像センサの取付面103Sに取り付けられており、センサ保持部125は調整ネジ113によって撮像センサの取付面103Sの上をx,y方向に移動可能である。また、センサ保持部125と撮像センサの取付面103Sの間に高さ調整部材であるシム126を挿入することによって、撮像センサ104のz方向の撮像センサの取付面103Sからの距離を調節することができる。
【0029】
ここで、計測装置117を使用したセンサモジュール102の調整方法について説明する。尚、調整時におけるセンサモジュール102は、撮像センサカバー120を取り付ける前のセンサモジュール製造工程にて実施されるものである。センサモジュール102が計測用治具115に取り付けられると、まず、計測装置117の台座118と測定対象物である撮像センサ104との平行がとられる。
【0030】
次いで、ガイドピン116から撮像センサ104までのz方向計測が行われ、ガイドピン116から撮像センサ104までの距離が基準値内(約20μm以内)になるように、センサ保持部125と取付ベース103のセンサ取付面103との間にシム126が挿入される。この後、ガイドピン116から撮像センサ104の中心の位置が基準値以内(約20μm以内)になるように、調整ネジ113が緩められて撮像センサ104がx,y方向に移動させられて位置調整が行われる。位置調整時のx、y、z方向計測には、非接触計測が可能な光学系124を有する3次元測定機123が使用される。この3次元測定機123は、接触測定子と可視映像判定による非接触の両方の機能を有するものであり、ここでは可視映像による計測機能が使用される。123Aは原点位置位置計測時に使用する接触型測定子である。
【0031】
以上のようにして撮像センサ104の高さと中心位置が調整された後は、撮像センサ104の四隅のポイントA,B,C,D(図5(a)参照)が計測され、撮像センサ104の一辺が取付ベース103の一辺に平行になるように調整される。例えば、図5(a)に示されるように、撮像センサ104の長辺が取付ベース103の長辺に対して角度θだけ傾いていた場合は、この傾きが0にされる。そして、全ての調整が終了した状態で調整ねじ113が固定され、撮像センサカバー120が取り付けられてセンサモジュール102の組立てが完了する。
【0032】
なお、前述の実施例では、撮像センサ104の高さと中心位置、並びに取付ベース103との平行度の調整を調整ねじ113のみで行うようにしているが、実際の調整精度は基準値に対して約20μm以内であるので、細かい調整が必要である。そこで、センサモジュール102には、図5(b)並びに図6(b)に示すような微調整機構131が設けられている。微調整機構131では、センサ保持部125と取付ベースのセンサ取付面103Sとの間にシム保持スライダ127があり、シム126はシム保持スライダ127の凹部とセンサ保持部125との間に挿入されている。
【0033】
シム保持スライダ127は取付ベースのセンサ取付面103Sの上をx、y方向に移動可能であり、調整ねじ113によって取付ベースのセンサ取付面103Sの上に固定される。また、調整ねじ114はシム保持スライダ127の上にシム126を固着すると共に、緩められれば、センサ保持部125がシム保持スライダ127の中心線CLの回りに回転できるようになる。すなわち、微調整機構131は、第1のセンサモジュール102が光学フレーム105に設置された後に、回転方向(rot方向)のみ独立して位置調整が可能な構造を併せ持つ。
【0034】
次に、精度良く調整されたセンサモジュール102を用いて、本出願の一実施例の撮像装置150の視軸調整について図7及び図8を用いて説明する。なお、撮像装置150には光学フレーム105に、第1の光学系(第1の撮像ユニット)50と第2の光学系(第2の撮像ユニット)100があるものとする。そして、第1の光学系50には第1の光学レンズ部101と、前述の調整済みの第1のセンサモジュール102があり、第2の光学系100には第2の光学レンズ部107と、同じく調整済みの第2のセンサモジュール108があるものとする。
【0035】
また、撮像装置150に視軸調整用の平行光を送るために、撮像装置150の前方には図9に示すコリメータ60が設置されており、撮像装置150には図示はしないが図2で説明したような画像処理ユニットが接続されているものとする。コリメータ60は一方が開口する円筒形のハウジング61の内底部に凹面鏡62が設置され、凹面鏡62の焦点以遠のハウジング61内にコリメータ60の中心軸63に対して45度傾斜する平面鏡64が設置されたものである。平面鏡64の鏡面に対向するハウジング61の側面にはウインドウ65が設けられており、ウインドウ65の外側にはターゲットパターン66を備えた熱光源67がある。図9(b)に光を通す孔66Hを備えたターゲットパターン66の一実施例を示す。
【0036】
図9(a)に示すように、熱光源67からターゲットパターン66の孔66Hを通ってウインドウ65からハウジング61内に入射した光は、反射鏡64で反射して凹面鏡62に向かい、凹面鏡62で反射されて平行光となって撮像装置150に向かう。凹面鏡62で反射された平行光の直径(コリメータ60の有効開口)Φは、撮像装置150を包含する大きさを備える。
【0037】
コリメータ60から出射されたターゲットパターン66が、例えば、視軸整合が行われていない撮像装置150の第1の撮像ユニット50に入射されると、ターゲットパターン66によるマークMは、図10に示すようにモニタ17に表示され、モニタ17の中心点CPからずれた位置にある。後述する撮像装置150の視軸整合調整は、ターゲットパターン66によるマークMがモニタ17の中心点CPに表示されるようにする調整である。
【0038】
ここで、撮像装置150の視軸整合調整の一実施例について説明する。撮像装置150の視軸整合調整は初回製造時に実施される。この実施例では第1の光学系50を視軸基準として最初に視軸整合調整を実施し、次いで第2の光学系100の視軸整合調整を実施する場合について説明する。視軸整合調整時には前述の無縁遠方目標を表示するコリメータ60を使用する。
【0039】
(第1の光学系50の視軸調整)
図7(a)に示すように、まず、光学フレーム105の取付部141に第1の光学レンズ部101を固定する。第1の光学レンズ部101の構成は、図3で説明した従来の第1の光学レンズ部37の構成と同じで良い。次いで、光学フレーム105に突設されているガイドピン112に合わせて、光学フレーム105の上に第1のベース機構110を設置する。第1のベース機構110はこの上に第1のセンサモジュール102を搭載するものであり、内部に3軸並進方向(x1,y1,z1方向)調整機構(以後3軸調整機構)128が設けられている。
【0040】
第1のベース機構110を光学フレーム105の上に設置した後に、第1のベース機構110の上に、位置調整を実施済みの第1のセンサモジュール102をガイドピン116で位置決めして固定する。このとき第1の光学レンズ部101は前述のコリメータと正対している。この状態でコリメータにセットしたターゲットパターンを用い、第1の光学レンズ部101を通して第1のセンサモジュール102の撮像センサ104にターゲットパターンを結像させる。そして、撮像センサ104にて取得した画像をモニタ上に表示させる。この時、モニタ上に表示されたターゲットパターンの表示にピントが合い、かつモニタ中央に表示されるようにする。即ち、第1のベース機構110内に設けた3軸調整機構128により、第1のセンサモジュール102を微動させ、要求基準位置範囲内(約20μm以内)になるよう位置調整を実施する。これで第1の光学系50の視軸調整が完了する。
【0041】
(第2の光学系100の視軸調整)
第1の光学系50の視軸調整の完了後に、第2の光学系100の視軸調整を行う。第2の光学系100では、第2の光学レンズ部107を、光学フレーム105に設けられた光学系あおり機構106に取り付ける。あおり機構106は図7(b)に示すように、光学フレーム105に取り付けられるあおり調整ねじ142と、固定ボルト143、及び可動片144とから構成されている。そして、第2の光学レンズ部107は、そのフランジ部145が可動片144に取り付けられている。あおり機構106は、調整ねじ142を調整することにより、可動片144の光学フレーム105に対する取付角度を変更し、固定ボルト143でその取付角度を固定する。
【0042】
第2の光学系100の第2の光学レンズ部107は、あおり機構106の取付ボルト143を調整することにより、第1の光学系50の第1の光学レンズ部101と光軸が平行になるように光学フレーム105に固定する。このように、第2の光学レンズ部107をあおり機構106を介して光学フレーム105に固定するのは、光学フレーム105、第1の光学レンズ部101及び第2の光学レンズ部107の部品精度を、従来類似品の部品精度レベルと同等にしているからである。
【0043】
部品精度が従来通りであると、実際の光学フレーム105は破線で示す設計位置から実線で示す位置にずれる製造誤差(Δmecha1、Δmecha2)を有する。このため、光学フレーム105の第1の光学系50及び第2の光学系100の取付面は、製造誤差によりθfre傾いている。また、第1と第2の光学レンズ部101,107への入射光の結像位置は、破線で示す設計位置に対して、実線で示すようにΔopt1、Δdet2だけずれる。光学フレーム105の設計位置からのずれにより、光学フレーム105に第1と第2の光学レンズ部101,107を直接取り付けると、第1と第2の光学レンズ部101,107の光軸の間にθfreの角度が生じる。あおり機構106は、第1と第2の光学レンズ部101,107の光軸の間にθfreの角度を無くして、両者の光軸を平行にするためのものである。
【0044】
あおり機構106によって第1と第2の光学レンズ部101,107の光軸を平行にする場合には、第2の光学レンズ部107にボアサイト調整治具155を取り付け、第2のセンサモジュール108をボアサイト調整治具155に固定する。このとき、第2のベース機構は光学フレーム105に取り付けない。そして、第2のセンサモジュール108にて取得したターゲットパターン像が、モニタの画面中央でピントが合う状態で表示されるよう、第2のセンサモジュール108全体をx及びy方向へ位置調整する。このとき、ピント調整は第2の光学レンズ部107のフォーカス調整機構のピント調整機能にて実施することができる。
【0045】
ターゲットパターン像がモニタの画面中央でピントが合う状態に第2のセンサモジュール108を位置調整した後は、第2の光学レンズ部107全体をあおり106にて微動させ、第1の光学系50の光軸に対して、第2の光学系100の光軸を平行にする。このとき、第1の光学系50のモニタに表示されたターゲットパターン像と、第2の光学系100のモニタに表示されたターゲットパターン像とが一致するようにあおり機構106を調整する。あおり機構106の調整では、調整ねじ142により第2の光学レンズ部107全体をx1,y1方向へ調整し、位置が決まった状態でその位置を固定ボルト143を締め付けて固定する。以上で第2の光学系100のボアサイト調整が完了する。
【0046】
この後、第2の光学レンズ部107に取り付けられたボアサイト調整治具155を取り外し、図8に示すように、光学フレーム105に突設されているガイドピン112に合わせて、光学フレーム105の上に第2のベース機構111を設置する。第2のベース機構111はこの上に第2のセンサモジュール108を搭載するものであり、内部に3軸並進方向(x1,y1,z1方向)調整機構(以後3軸調整機構)129が設けられている。
【0047】
第2のベース機構111を光学フレーム105の上に設置した後に、第2のベース機構111の上に、位置調整を実施済みの第2のセンサモジュール108をガイドピン116で位置決めして固定する。このとき第2の光学レンズ部107は前述のコリメータと正対している。この状態でコリメータにセットしたターゲットパターンを用い、第2の光学レンズ部107を通して第2のセンサモジュール108の撮像センサ119にターゲットパターンを結像させる。そして、撮像センサ119にて取得した画像をモニタ上に表示させる。この時、モニタ上に表示されたターゲットパターンの表示にピントが合い、かつモニタ中央に表示されるよう、第2のベース機構111内に設けた3軸調整機構129により、第2のセンサモジュール111を微動させ、要求基準位置範囲内(約20μm以内)になるよう位置調整を実施する。
【0048】
このとき、モニタ上に表示されたターゲットパターンの傾きが第1のセンサモジュール102にて取得したターゲットパターン像と回転方向の傾きが一致するように、rot方向へ第2のセンサモジュール108内のrot調整機構(図示せず)により整合調整を実施する。以上で第2の光学系100の視軸調整が完了し、撮像装置150の新規製造時における視軸整合調整が完了する。
【0049】
(センサモジュール交換時の視軸整合調整)
以上説明した第1と第2の光学系50,100における第1と第2のセンサモジュール102,108の視軸整合調整は、撮像装置150の製造時に実施されるものである。一方、第1と第2のセンサモジュール102,108が赤外線用である場合に、第1と第2のセンサモジュール102,108は所定期間毎に交換が必要になる。交換時には第1と第2のセンサモジュール102,108に視軸整合調整が必要である。しかしながら、本出願の撮像装置150に使用する第1と第2のセンサモジュール102,108は、前述のように製造時にガイドピン116に対する撮像センサ104,119の位置が精密に調整されている。即ち、位置決め用のガイドピン116に対する第1と第2の撮像センサ104,119の位置調整は済んでいる。
【0050】
このため、位置調整が済んでいる第1と第2のセンサモジュール102,108は、交換時に第1と第2のベース機構110,111に搭載後、第1と第2のセンサモジュール102,108に設けられているrot調整機構によりrot方向調整のみ実施する。rot調整は、図5(b)に示すセンサ保持部125のΦD部の雌雄構造をガイドとして実施できる。すなわち、交換対象のセンサモジュールは、交換後のrot調整として、調整ねじ114を緩めてセンサ保持部125を回転させて軸整合調整のみを実行することにより、視軸調整が完了する。
【0051】
図11(a)は本出願の撮像ユニットを3つ備える撮像装置160の具体的な実施例の装置概観を示すものであり、図11(b)は図11(a)に示した撮像装置160を正面から見たものである。この実施例の撮像装置160には、可視光学系の撮像ユニット、中赤外線系の撮像ユニット及び遠赤外線系の撮像ユニットが内蔵されている。符号161が可視光学系の撮像ユニットのウインドウ、符号162が中赤外線系の撮像ユニットのウインドウ、符号163が遠赤外線系の撮像ユニットのウインドウである。
【0052】
図11(a)、(b)に示した撮像ユニットを3つ備える撮像装置160に使用される撮像センサが、全てrot調整可能な撮像センサであれば、製造時にガイドピンに対する撮像センサの位置が調整済なので、交換時にrot調整無しに視軸整合が可能である。一方、rot調整が不可能な可視撮像センサがあれば、そのセンサの製造誤差を含むrot位置を基準として、その他の撮像センサをrot調整して視軸整合を行う。
【0053】
可視光学系の撮像ユニットの光学系の光路は一直線状である。従って、可視光学系の撮像ユニットのセンサモジュール164は、撮像装置160の裏面側にある。可視光学系の撮像ユニットのセンサモジュール164は殆ど交換する必要がないので、撮像装置160の裏面側にあっても不便はない。一方、中赤外線系の撮像ユニット及び遠赤外線系の撮像ユニットの光学系の光路は2つの反射鏡によって180度曲げられている。遠赤外線系の撮像ユニットの光学系の例を図12(a)に示す。遠赤外線系の撮像ユニットの光学系170には2つの反射鏡171,172があり、ウインドウ163から入射した赤外線は、2つの反射鏡171,172で90度ずつ反射されて、ウインドウ163と同じ側に設けられたセンサモジュール166内の撮像センサ167に達する。中赤外線系の撮像ユニットの光学系の構成は遠赤外線系の撮像ユニットの光学系の構成と同じで良い。
【0054】
2つの反射鏡を使用して、中赤外線系の撮像ユニット及び遠赤外線系の撮像ユニットの光学系の光路は180度曲げられている。このため、中赤外線系の撮像ユニット及び遠赤外線系の撮像ユニットでは、センサモジュールを撮像装置160のインドウ162、163と同じ側に配置することができる。図11において、符号171で示す部分が中赤外線系の撮像ユニットのセンサモジュールであり、符号172で示す部分が遠赤外線系の撮像ユニットのセンサモジュールである。
【0055】
このように、中赤外線系の撮像ユニット及び遠赤外線系の撮像ユニットの光学系の光路が180度曲げられていると、センサモジュール171,172がウインドウ162,163と同じ側に来る。赤外線系の撮像ユニットは定期的な交換が必要なので、メンテナンスにおけるセンサモジュール171,172の交換が撮像装置160の正面側から行うことができて便利であり、センサモジュール171,172の交換工数を低減することができる。
【0056】
なお、図12(b)に示すように、撮像ユニットの光学系180の光路は1つの反射鏡181によって90度だけ曲げ、撮像ユニットのセンサモジュール186を撮像装置の本体の右側の側面、或いは左側の側面に配置することも可能である。183はウインドウ、187は撮像センサを示している。
【0057】
以上説明したように、本出願の撮像装置及び撮像装置の視軸整合方法によれば、以下が可能である。
(1)撮像装置の構成部品である光学系と光学フレームを構成上別部品としてから構成した場合、初回製造時において視軸整合調整を実施すれば、以降のセンサモジュール交換時の視軸整合調整は、回転方向の調整を除き不要ある。このため、撮像装置の視軸整合時に視軸の整合を確保しつつ大幅な整合調整工数の削減、難易度の低減が可能になる。
(2)よって、撮像装置の性能が向上し複雑な構成になっても、視軸整合調整時の負荷がこれまでよりも大幅に改善される。
(3)更に、製造メーカにおける装置メンテナンス時の視軸整合調整作業工数の大幅な削減(コスト低減効果)が見込まれる。
(4)ユーザにおける同様のメンテナンスも可能な構造とできることから、装置稼働率の向上が図れ、顧客満足度の高い製品を提供できる。
【0058】
(5)撮像センサ位置を製造毎に視軸整合に影響の無い精度以下に調整することが可能となる。
(6)センサモジュールのベース機構を付加することで、複雑で高性能になった撮像装置にもかかわらず、それを構成する各要素部品(光学系、光学フレーム部品等)は従来類似装置で実績のある部品精度相当で、撮像装置の視軸整合機能性能を満足する。
(7)コスト的に有利な専門業者にて設計及び製造委託したものを購入することが継続して可能となる。
(8)撮像装置製造に必要な部材費が安価で入手し構成する事が可能となり、製品利益率の向上に寄与する。
(9) 将来見込まれる撮像装置の更なる高性能化に対して、要求精度が調整可能な精度以下の場合は、技術的に本出願の技術を継続して採用可能である。
【0059】
以上、本発明を特にその好ましい実施の形態を参照して詳細に説明した。本発明の容易な理解のために、本発明の具体的な形態を以下に付記する。
【0060】
(付記1) 少なくとも可視光学系撮像ユニットと赤外線光学系撮像ユニットを含む複数の撮像ユニットと、該撮像ユニットを搭載する光学フレームを有する撮像装置であって、
前記各撮像ユニットは、光学レンズ系、撮像センサを備えたセンサモジュール及び前記センサモジュールを前記光学フレームに搭載するベース機構を備え、
前記撮像センサは前記センサモジュールの前記ベース機構に対する位置決め部材に対して3次元方向の位置が予め調整されており、
前記ベース機構には、位置決めされて搭載された前記センサモジュールの前記撮像センサの位置を3次元方向に調整可能な調整機構が設けられており、
前記光学フレームには、前記1つの撮像ユニットの光軸に対して他の撮像ユニットの光軸を平行に調整する光軸の調整機構が設けられていることを特徴とする撮像装置。
(付記2) 前記センサモジュールには、外部からの調整により前記撮像センサを光軸に対して回転させる回転機構が設けられていることを特徴とする付記1に記載の撮像装置。
(付記3) 前記1つの撮像ユニットが赤外線光学系撮像ユニットであり、前記他の撮像ユニットが可視光線系撮像ユニットであることを特徴とする付記1又は2に記載の撮像装置。
(付記4) 前記センサモジュールの前記ベース機構に対する位置決め部材が少なくとも2つのガイドピンとガイド穴であることを特徴とする付記1から3の何れかに記載の撮像装置。
(付記5) 前記ベース機構の前記光学フレームに対する位置決め部材が少なくとも2つのガイドピンとガイド穴であることを特徴とする付記1から4の何れかに記載の撮像装置。
【0061】
(付記6) 前記赤外線光学系撮像ユニットとして、遠赤外線光学系撮像ユニットと、注赤外線光学系撮像ユニットとが設けられていることを特徴とする付記1から5の何れかに記載の撮像装置。
(付記7) 前記各撮像ユニットの前記光学レンズ系は2つの反射鏡を備えており、前記各撮像ユニットへの入射光は前記反射鏡でそれぞれ90度ずつ反射され、前記センサモジュールは前記光学レンズ系の入射窓と同じ側から交換可能に前記撮像装置に搭載されることを特徴とする付記1から6の何れかに記載の撮像装置。
(付記8) 前記各撮像ユニットの前記光学レンズ系は1つの反射鏡を備えており、前記各撮像ユニットへの入射光は前記反射鏡で90度反射され、前記光学レンズ系に直交する方向に設けられた前記センサモジュール機構に入射されることを特徴とする付記1から6の何れかに記載の撮像装置。
(付記9) 少なくとも可視光学系撮像ユニットと赤外線光学系撮像ユニットを含む複数の撮像ユニットと、該撮像ユニットを搭載する光学フレームを有し、前記撮像ユニットは光学レンズ系、撮像センサを内蔵するセンサモジュール及び該センサモジュールを搭載するベース機構を備える撮像装置における視軸整合方法であって、
前記センサモジュールの前記ベース機構への搭載位置の基準点に対して、前記撮像センサの位置を調整装置を用いて正確に調整する工程と、
前記撮像ユニットの1つに対して、前記光学レンズ系と前記ベース機構とを前記光学フレームに搭載した後に前記センサモジュールを前記ベース機構に搭載し、前記ベース機構に備えられた3次元方向調整で前記撮像センサ位置を前記光学レンズ系の結像位置に調整する工程と、
他の前記撮像ユニットに対して、前記光学レンズ系と前記光学フレームとの間に設けられた光軸の調整機構で、前記他の光学系撮像ユニットの光軸を、前記撮像センサ位置の調整済の撮像ユニットの光軸に平行になるように調整する工程と、
前記他の光学系撮像ユニットに対して、前記ベース機構を前記光学フレームに搭載した後に前記センサモジュールを前記ベース機構に搭載し、前記ベース機構に備えられた3次元方向調整で前記撮像センサ位置を前記光学レンズ系の結像位置に調整する工程と、を備えることを特徴とする撮像装置における視軸整合方法。
(付記10) 前記センサモジュールにおける調整が、外部からの調整により前記撮像センサを光軸に対して回転させる調整を含むことを特徴とする付記9に記載の撮像装置。
【0062】
(付記11) 最初に調整する前記1つの撮像ユニットが前記可視光学系撮像ユニットであることを特徴とする付記9又は10に記載の撮像装置における視軸整合方法。
(付記12) 前記センサモジュールの前記ベース機構への搭載位置の基準点に対して、前記撮像センサの位置を正確に調整する工程が、
前記調整装置と前記撮像センサとの平行をとる工程と、
前記撮像センサの前記ガイドピンからのz方向の距離が基準値以内になるように調整する工程と、
前記撮像センサの中心までの前記ガイドピンからのx,y方向の距離がそれぞれ基準値以内になるように調整する工程と、
前記撮像センサの一辺が、前記センサモジュールの前記ベース機構への搭載面に平行になるように、前記撮像センサを前記中心に対して回転させる工程とを備えることを特徴とする付記8に記載の撮像装置における視軸整合方法。
(付記13) 前記基準点が、前記センサモジュールに突設された少なくとも2つのガイドピンと、前記ベース機構に設けられたガイド穴であることを特徴とする付記12に記載の撮像装置における視軸整合方法。
(付記14) 前記光軸の調整機構による、前記可視光学系撮像ユニットの光軸に対して赤外線光学系撮像ユニット及び他の光学系撮像ユニットの光軸を平行に調整する工程が、
前記他の光学系撮像ユニットの光出射面に、ボアサイト調整治具を用いて前記センサモジュールを、その光軸が前記赤外線光学系撮像ユニット及び他の光学系撮像ユニットの光軸に合わせて搭載する工程を含むことを特徴とする付記9から13の何れかに記載の撮像装置における視軸整合方法。
(付記15) 前記撮像センサの前記ガイドピンからのz方向の距離が基準値以内になるように調整する工程において、前記撮像センサの保持部に高さ調整用のシムが挿入されることを特徴とする付記9に記載の撮像装置における視軸整合方法。
【0063】
(付記16) 前記センサモジュールが交換された後の撮像装置における視軸整合方法であって、
前記ベース機構に対して新たに搭載された前記センサモジュールに対して、外部からの調整により前記撮像センサを光軸に対して回転させることを特徴とする付記10に記載の撮像装置における視軸整合方法。
【符号の説明】
【0064】
50 第1の光学系
100 第2の光学系
101 第1の光学レンズ部
102 第1のセンサモジュール
103 第1の取付ベース
104 第1の撮像センサ
105 光学フレーム
106 あおり機構
107 第2の光学レンズ部
108 第2のセンサモジュール
109 第2の取付ベース
110 第1のベース機構
111 第2のベース機構
112,116 ガイドピン
113,114 調整ねじ
115 計測用治具
117 計測機器
119 第2の撮像センサ
120 センサカバー
126 シム
128,129 3軸調整機構
130 調整機構
131 微調整機構
150 本願の撮像装置
155 ボアサイト調整治具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも可視光学系撮像ユニットと赤外線光学系撮像ユニットを含む複数の撮像ユニットと、該撮像ユニットを搭載する光学フレームを有する撮像装置であって、
前記各撮像ユニットは、光学レンズ系、撮像センサを備えたセンサモジュール及び前記センサモジュールを前記光学フレームに搭載するベース機構を備え、
前記撮像センサは前記センサモジュールの前記ベース機構に対する位置決め部材に対して3次元方向の位置が予め調整されており、
前記ベース機構には、位置決めされて搭載された前記センサモジュールの前記撮像センサの位置を3次元方向に調整可能な調整機構が設けられており、
前記光学フレームには、前記1つの撮像ユニットの光軸に対して他の撮像ユニットの光軸を平行に調整する光軸の調整機構が設けられていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記各撮像ユニットの前記光学レンズ系は2つの反射鏡を備えており、前記各撮像ユニットへの入射光は前記反射鏡でそれぞれ90度ずつ反射され、前記センサモジュールは前記光学レンズ系の入射窓と同じ側から交換可能に前記撮像装置に搭載されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
少なくとも可視光学系撮像ユニットと赤外線光学系撮像ユニットを含む複数の撮像ユニットと、該撮像ユニットを搭載する光学フレームを有し、前記撮像ユニットは光学レンズ系、撮像センサを内蔵するセンサモジュール及び該センサモジュールを搭載するベース機構を備える撮像装置における視軸整合方法であって、
前記センサモジュールの前記ベース機構への搭載位置の基準点に対して、前記撮像センサの位置を調整装置を用いて正確に調整する工程と、
前記撮像ユニットの1つに対して、前記光学レンズ系と前記ベース機構とを前記光学フレームに搭載した後に前記センサモジュールを前記ベース機構に搭載し、前記ベース機構に備えられた3次元方向調整で前記撮像センサ位置を前記光学レンズ系の結像位置に調整する工程と、
他の前記撮像ユニットに対して、前記光学レンズ系と前記光学フレームとの間に設けられた光軸の調整機構で、前記他の光学系撮像ユニットの光軸を、前記撮像センサ位置の調整済の撮像ユニットの光軸に平行になるように調整する工程と、
前記他の光学系撮像ユニットに対して、前記ベース機構を前記光学フレームに搭載した後に前記センサモジュールを前記ベース機構に搭載し、前記ベース機構に備えられた3次元方向調整で前記撮像センサ位置を前記光学レンズ系の結像位置に調整する工程と、を備えることを特徴とする撮像装置における視軸整合方法。
【請求項4】
前記センサモジュールの前記ベース機構への搭載位置の基準点に対して、前記撮像センサの位置を正確に調整する工程が、
前記調整装置と前記撮像センサとの平行をとる工程と、
前記撮像センサの前記ガイドピンからのZ方向の距離が基準値以内になるように調整する工程と、
前記撮像センサの中心までの前記ガイドピンからのx,y方向の距離がそれぞれ基準値以内になるように調整する工程と、
前記撮像センサの一辺が、前記センサモジュールの前記ベース機構への搭載面に平行になるように、前記撮像センサを前記中心に対して回転させる工程とを備えることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置における視軸整合方法。
【請求項5】
前記光軸の調整機構による、前記可視光学系撮像ユニットの光軸に対して赤外線光学系撮像ユニット及び他の光学系撮像ユニットの光軸を平行に調整する工程が、
前記他の光学系撮像ユニットの光出射面に、ボアサイト調整治具を用いて前記センサモジュールを、その光軸が前記赤外線光学系撮像ユニット及び他の光学系撮像ユニットの光軸に合わせて搭載する工程を含むことを特徴とする請求項3又は4に記載の撮像装置における視軸整合方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−74827(P2012−74827A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216902(P2010−216902)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】