説明

撮像装置

【課題】画像処理設定の微調整に関する調整量を視覚的に容易に認識できる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、撮像素子を備える。撮像素子による撮像で得られた画像データを記録するメモリを備える。メモリに記録した画像データに基づく静止画像を表示し、その上に、ホワイトバランスゲインを設定するホワイトバランス設定画面をオンスクリーン表示する表示部(第1表示部92a)を備える。撮像素子による撮像で得られた画像データはRAWデータであり、メモリは、RAWデータがYCbCrデータに変換された状態で記録する。表示部に、ホワイトバランス設定画面が表示された状態で、ホワイトバランスゲインを設定するために使用される操作部を更に備え、操作部を操作することにより、ホワイトバランスゲインが変更されると、表示部は、ホワイトバランスゲインに対応したホワイトバランス調整を行った静止画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特にホワイトバランスゲインの設定を行う画面表示に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置において、ホワイトバランスゲインの設定が可能な撮像装置が提案されている。
【0003】
特許文献1などの撮像装置は、ホワイトバランスゲインの設定(ホワイトバランス調整)が可能である。
【特許文献1】特開昭63−314424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の装置におけるホワイトバランスゲインなどの画像処理の設定は、画像処理設定による効果を確認するために表示される動画像のプレビュー表示画像の上に表示される。そのため、実際に撮像により得る被写体に対する正確な画像処理設定が出来ない。
【0005】
したがって本発明の目的は、被写体に対する正確な画像処理設定が可能な撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る撮像装置は、撮像素子と、撮像素子による撮像で得られた画像データを記録するメモリと、メモリに記録した画像データに基づく静止画像を表示し、その上に、ホワイトバランスゲインを設定するホワイトバランス設定画面をオンスクリーン表示する表示部とを備える。
【0007】
好ましくは、撮像素子による撮像で得られた画像データはRAWデータであり、メモリは、RAWデータを、またはRAWデータをYCbCrデータに変換された状態で記録する。
【0008】
また、好ましくは、表示部に、ホワイトバランス設定画面が表示された状態で、ホワイトバランスゲインを変更するために使用される操作部を更に備え、操作部を操作することにより、ホワイトバランスゲインが変更されると、表示部は、画像データに基づく静止画像を、変更されたホワイトバランスゲインに対応したホワイトバランス調整を行った状態で表示する。
【0009】
また、好ましくは、メモリに記録するために撮像を行う指示のために使用される操作部を更に備え、操作部は、回転により所定位置にレバー指標を合わせることにより、撮像装置1の電源のオンオフ、及びメモリに記録するための撮像が行われる電源レバーである。
【0010】
本発明に係る撮像装置は、撮像素子と、撮像素子による撮像で得られた第1画像データを記録するメモリと、メモリに記録した第1画像データに基づく静止画像を表示し、その上に、第1画像データを静止画像として表示可能な第2画像データに変換する画像処理における調整量を設定する画像処理設定画面をオンスクリーン表示する表示部とを備える。
【0011】
また、好ましくは、画像処理は、ホワイトバランス、トーンカーブ、シャープネス、及び彩度の少なくとも1つの調整である。
【0012】
本発明に係る撮像装置は、撮像素子と、撮像素子による撮像で得られた画像データに基づく静止画像を表示し、その上に、ホワイトバランスゲインを設定するホワイトバランス設定画面をオンスクリーン表示する表示部とを備える。
【0013】
本発明に係る撮像装置は、撮像素子と、ホワイトバランスゲインを変更するために使用される操作部と、撮像素子による撮像で得られた画像データに基づく静止画像を表示する表示部とを備え、操作部を操作することにより、ホワイトバランスゲインが変更されると、表示部は、画像データに基づく静止画像を、変更されたホワイトバランスゲインに対応したホワイトバランス調整を行った状態で表示する。
【発明の効果】
【0014】
以上のように本発明によれば、被写体に対する正確な画像処理設定が可能な撮像装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。撮像装置1は、デジタルカメラである。
【0016】
撮像装置1の撮像に関する部分は、操作部10、制御部30、撮影部50、記録部70、バッファメモリ80、及び表示部90を備える(図1参照)。操作部10は、露出モード選択ダイヤル11、電源レバー12、レリーズボタン13、リセットキー14、ファンクションキー15、十字キー16、決定キー17、及びメニューキー18を有する(図1〜図3参照)。撮影部50は、絞りを含むレンズ51、シャッタ52、及びCCDなどの撮像素子53を有する。情報表示部90は、光学ファインダ91、及び第1、第2表示部92a、92bを有する。
【0017】
レリーズボタン13が全押しされることにより、被写体像は、レンズ51を介した光学像として、撮像素子53で撮像される。撮像された静止画像は、第1表示部92aに表示され、撮像された静止画像のデータは記録部70に記録される。被写体像の、レンズ51を介した光学像は、光学ファインダ91によって光学的に観察可能である。
【0018】
また、電源レバー12をプレビュー指示位置(不図示)に合わせることにより、被写体像は、レンズ51を介した光学像として、撮像素子53で撮像される。この場合、撮像された静止画像のデータはバッファメモリ80に一時記録されるが、記録部70には記録されない。バッファメモリ80に一時記録された画像データは、プレビュー表示に使用される他、第1、第2ホワイトバランス設定画面の確認画像として使用される。
【0019】
露出モード選択ダイヤル11は、絞り優先モードなどの露出モードを選択するためのダイヤルで、露出モード選択ダイヤル11を回転させ、ダイヤル指標位置(不図示)に合わせられたマークに対応する露出モードが、撮像装置1で設定された露出モードになる。
【0020】
電源レバー12は、撮像装置1の前面グリップ部分で且つレリーズボタン13の周囲に配置されたレバーで、使用者が撮像装置1を保持した状態で使用者の右手人差し指などを使って回転させて所定位置(オン指示位置、オフ指示位置、プレビュー指示位置)にレバー指標を合わせることにより、撮像装置1の電源のオンオフ、及びバッファメモリ80に記録するための撮像(プレビュー表示動作)が行われる。
【0021】
レリーズボタン13は、半押しすることにより測光スイッチ(不図示)がオン状態にされAEセンサ(不図示)による測光やAFセンサ(不図示)による測距及び合焦動作が行われる。
【0022】
レリーズボタン13は、全押しすることによりレリーズスイッチ(不図示)がオン状態にされ撮像が行われる。撮像により得られた画像データに対応する画像は、第1表示部92aに表示され、画像データは記録部70に記録される。レリーズボタン13の全押しに対応して撮像される画像は静止画像であってもよいし、動画像であってもよい。
【0023】
使用者が操作キーとしてのファンクションキー15、十字キー16、及び決定キー17を操作することにより、ホワイトバランスゲイン(ホワイトバランス調整におけるゲイン)の設定が行われる。リセットキー14、及びメニューキー18は、ホワイトバランスゲインの微調整において使用される。
【0024】
リセットキー14は、撮像装置1の前面グリップ部分で且つレリーズボタン13近傍に配置されたボタンで、ホワイトバランスゲインの微調整を行う際(第2ホワイトバランス設定画面が表示された状態(図8、図9参照)で)、使用者が撮像装置1を保持した状態で使用者の右手人差し指などを使って押下することにより、微調整したパラメータがリセットされ微調整が行われたかった状態に戻される(GM補正値、BA補正値がリセットされる)。
【0025】
ファンクションキー15は、撮像装置1の背面右下に配置される。十字キー16は、上方向キー16a、下方向キー16b、右方向キー16c、左方向キー16dを有し、決定キー17を囲む位置関係で、撮像装置1の背面右側に配置される。ファンクションキー15を押下することにより、機能設定画面(不図示)が第1表示部92aに表示され、さらに左方向キー16dを押下することにより、第1ホワイトバランス設定画面(図6、図7参照)が第1表示部92aに表示される。第1ホワイトバランス設定画面が表示された状態で、右方向キー16cを押下することにより、第2ホワイトバランス設定画面(図8、図9参照)が表示される。
【0026】
決定キー17は、十字キー16により設定されたホワイトバランスの設定状態(ホワイトバランスゲイン)を確定するのに使用される。第1ホワイトバランス設定画面が表示された状態で、決定キー17が押下されると、第1ホワイトバランス設定画面上の矩形枠で囲った表示領域に対応するホワイトバランスに関するモードに基づいてホワイトバランスゲインが確定され、機能設定画面の表示に切り替えられる。第2ホワイトバランス設定画面が表示された状態で、決定キー17が押下されると、第2ホワイトバランス設定画面上の調整量表示領域WB22における移動点位置に対応して、選択されたホワイトバランスに関するモードに対応するホワイトバランスゲイン(色味)の微調整量が確定され、第1ホワイトバランス設定画面の表示に切り替えられる。
【0027】
メニューキー18は、撮像装置1の背面左側に配置されたボタンで、ホワイトバランスゲインの微調整を行う際(第2ホワイトバランス設定画面が表示された状態で)、使用される。第2ホワイトバランス設定画面が表示された状態で、メニューキー18が押下されると、第2ホワイトバランス設定画面上の調整量表示領域WB22における移動点位置に対応して、選択されたホワイトバランスに関するモードに対応するホワイトバランスゲイン(色味)の微調整量を反映せずに、第1ホワイトバランス設定画面の表示に切り替えられる。また、メニューキー18は、画質調整などの設定開始ボタンとしても使用されてもよい。
【0028】
制御部30は、撮像に関する各部の制御、特に、微調整を含むホワイトバランスゲインの設定を行う場合に、操作部10の操作に対応して、ホワイトバランスの設定状態を変更し、プレビュー表示が行われている場合にはプレビュー表示されている静止画像に対してホワイトバランスの設定状態に基づくホワイトバランス調整を行い、且つホワイトバランスの設定状態に関する情報表示(第1、第2ホワイトバランス設定画面の表示)とホワイトバランス調整後の静止画像とを表示部90(第1表示部92a)に表示する制御を行う。
【0029】
光学ファインダ91は、使用者の一方の目でのぞき込んで被写体像のレンズ51を介した光学像や、使用者が設定するか測光により算出された露光条件を観察するファインダである。
【0030】
第1表示部92aは、撮像装置1の背面に配置された表示装置で、撮像により得られた画像(プレビュー表示に用いられる静止画像を含む)を表示する他、ホワイトバランスの設定状態に関する情報表示(第1、第2ホワイトバランス設定画面の表示)を行う。第2表示部92bは、撮像装置1の上面に配置された表示装置で、露光条件やホワイトバランスなどの画像処理や記録に関する機能設定状態を表示する。
【0031】
ファンクションキー15、及び十字キー16(左方向キー16d)を操作することにより、第1表示部92aは、ホワイトバランスの設定状態に関する情報表示を行う第1、第2ホワイトバランス設定画面を表示する。バッファメモリ80に画像データが一時記録されている場合は、最新の画像データを第1表示部92aに表示した状態(プレビュー表示)で、ホワイトバランスの設定状態に関する情報表示(第1、第2ホワイトバランス設定画面の表示)を重ねて行う(オンスクリーン表示、図6、図8参照)。バッファメモリ80に画像データが一時記録されていない場合は、ホワイトバランスの設定状態に関する情報表示(第1、第2ホワイトバランス設定画面の表示)だけを行う(図7、図9参照)。
【0032】
第1表示部92aにホワイトバランスの設定状態に関する情報(第1、第2ホワイトバランス設定画面)を表示させた状態で、十字キー16を操作することにより、ホワイトバランスの設定状態が変更される。
【0033】
第1ホワイトバランス設定画面は、表示画面がホワイトバランスの設定状態であることを文字で示すホワイトバランス表示領域WB1、選択されたホワイトバランスに関するモードを文字で示す第1選択モード表示領域WB2、電源レバー12のプレビュー指示位置にレバー指標を合わせることに対応する、新たに撮像を行ってプレビュー表示を行う指示をアイコンと文字で示すプレビュー指示表示領域WB3、決定キー17の押下に対応して、ホワイトバランスの設定状態を確定させるアイコンと文字を有する決定指示表示領域WB4、制御部30による自動制御でホワイトバランスを調整するオートホワイトバランスモードを文字で示すAWB表示領域WB5、太陽の下で撮影するときに設定する太陽光モードをアイコンで示す太陽光表示領域WB6、日陰で撮影するときに設定する日陰モードをアイコンで示す日陰表示領域WB7、曇りの日に撮影するときに設定する曇天モードをアイコンで示す曇天表示領域WB8、蛍光灯で照明されたものを撮影するときに設定する蛍光灯モードをアイコンと文字で示す蛍光灯表示領域WB9、白熱灯で照明されたものを撮影するときに設定する白熱灯モードをアイコンで示す白熱灯表示領域WB10、内蔵ストロボを使用して撮影するときに使用するストロボモードをアイコンで示すストロボ表示領域WB11、手動でホワイトバランスを調整するマニュアルモードをアイコンで示すマニュアル表示領域WB12、色温度を数値で設定する色温度設定モードを数値で示す色温度表示領域WB13、及びホワイトバランスゲインの微調整量を図示する移動点と移動点の移動範囲を図示する二次元座標から構成される調整量表示領域WB22を有する(図6、図7参照)。
【0034】
第1ホワイトバランス設定画面が表示された状態において、上方向キー16a、下方向キー16bを押下することにより、AWB表示領域WB5、太陽光表示領域WB6、日陰表示領域WB7、曇天表示領域WB8、蛍光灯表示領域WB9、白熱灯表示領域WB10、ストロボ表示領域WB11、マニュアル表示領域WB12、及び色温度表示領域WB13のいずれかに矩形枠が移動されて、矩形枠で囲った表示領域に対応するホワイトバランスに関するモードが選択される。選択されたモードの名称が、第1選択モード表示領域WB2に表示される。図6、図7は、日陰モードが選択された状態を示す。
【0035】
第1ホワイトバランス設定画面が表示された状態において、ホワイトバランスに関するモードが変更されると、プレビュー画像に対応する画像データが、変更されたホワイトバランスに関するモードに対応するホワイトバランスゲインに基づいてホワイトバランス調整される(図4のステップS16参照)。調整された後の静止画像が、ホワイトバランスの設定状態に関する情報(第1ホワイトバランス設定画面)表示の背面に表示される。そのため、ホワイトバランスを調整することによる結果を視覚的に認識することが可能になる。
【0036】
第1ホワイトバランス設定画面が表示された状態において、電源レバー12をプレビュー指示位置に合わせると、新たに撮像が行われ、撮像された画像データがバッファメモリ80に一時記録され、一時記録された画像データに対応する静止画像が、ホワイトバランスの設定状態に関する情報(第1ホワイトバランス設定画面)表示の背面に表示される。この時の静止画像は、第1ホワイトバランス設定画面上の矩形枠で囲った表示領域に対応するホワイトバランスに関するモードに基づいて設定されたホワイトバランスゲインを使ったホワイトバランス調整が行われた画像である。
【0037】
第1ホワイトバランス設定画面が表示された状態で、決定キー17が押下されると、第1ホワイトバランス設定画面上の矩形枠で囲った表示領域に対応するホワイトバランスに関するモードに基づいてホワイトバランスゲインが確定され、機能設定画面の表示に切り替えられる。
【0038】
第1ホワイトバランス設定画面が表示された状態において、右方向キー16cが押下されると、ホワイトバランスゲインの微調整を行う第2ホワイトバランス設定画面が表示される(図8、図9参照)。
【0039】
第2ホワイトバランス設定画面は、選択されたホワイトバランスに関するモードを文字で示す第1選択モード表示領域WB2、ホワイトバランスの設定状態を確定させる決定キー17に対応するアイコンと文字を有する決定指示表示領域WB4、ホワイトバランスゲインの微調整が行われている状態を図示する調整中表示領域WB21、ホワイトバランスゲインの微調整量を図示する移動点と移動点の移動範囲を図示する二次元座標から構成される調整量表示領域WB22、微調整量をリセットするリセットキー14に対応するアイコンと文字を有するリセット指示表示領域WB23、第1ホワイトバランス設定画面への切り替え表示を行うメニューキー18に対応するアイコンと文字を有する取消指示表示領域WB24、ホワイトバランスゲインの微調整量でG(グリーン)とM(マゼンタ)の間の色味の調整値を数値と上下方向矢印で表すGB補正値表示領域WB25、ホワイトバランスゲインの微調整量でB(ブルー)とA(アンバー)の間の色味の調整値を数値と左右方向矢印で表すBA補正値表示領域WB26、及び選択されたホワイトバランスに関するモードのアイコン表示とホワイトバランスゲインの微調整を設定する画面であることを示す第2選択モード表示領域WB27を有する。
【0040】
第2ホワイトバランス設定画面が表示された状態において、上方向キー16a、下方向キー16b、右方向キー16c、左方向キー16dを押下することにより、調整量表示領域WB22における移動点が移動せしめられ、移動点に対応して、選択されたホワイトバランスに関するモードに対応するホワイトバランスゲイン(色味)の微調整が行われる。具体的には、上方向キー16aの押下により、Gの色味が強められ、下方向キー16bの押下により、Mの色味が強められ、右方向キー16cの押下によりAの色味が強められ、左方向キー16dの押下によりBの色味が強められる。
【0041】
調整中表示領域WB21は、調整量表示領域WB22の上側に配置された第1調整中表示領域WB21a、調整量表示領域WB22の下側に配置された第2調整中表示領域WB21b、調整量表示領域WB22の右側に配置された第3調整中表示領域WB21c、及び調整量表示領域WB22の左側に配置された第4調整中表示領域WB21dを有する。第1〜第4調整表示領域WB21a〜WB21dは、それぞれ、調整量表示領域WB22を囲む円弧形状を有する。
【0042】
調整中表示領域WB21は、第2ホワイトバランス設定画面が表示された状態において、決定キー17が押下されて、ホワイトバランスゲインの微調整量が確定される前に、表示され(図8、図9参照)、決定キー17が押下された後の第1ホワイトバランス設定画面が表示された状態においては、表示されない(図6、図7参照)。これにより、微調整を行っている最中であるか否かを、視覚的に容易に認識することが可能になる。
【0043】
第1調整中表示領域WB21aは、グリーンの色構成を有し、第2調整中表示領域WB21bは、マゼンタの色構成を有し、第3調整中表示領域WB21cは、アンバーの色構成を有し、第4調整中表示領域WB21dは、ブルーの色構成を有する。
【0044】
調整量表示領域WB22は、ホワイトバランスゲインの微調整量を図示する移動点と移動点の移動範囲を図示する二次元座標から構成される。二次元座標の外形を構成する正方形枠は、上辺部WB22a、下辺部WB22b、右辺部WB22c、左辺部WB22dを有する。調整量表示領域WB22の二次元座標は透過しない色構成(例えば、白地に黒線の碁盤、または黒地に白線の碁盤)を有し、背面の画像は表示されない。
【0045】
上辺部WB22aは、左右方向の中心がグリーンで、右方向に向かってグリーンにアンバーの色味が加えられたグラデーションが施され、左方向に向かってグリーンにブルーの色味が加えられたグラデーションが施された色構成を有する。下辺部WB22bは、左右方向の中心がマゼンタで、右方向に向かってマゼンタにアンバーの色味が加えられたグラデーションが施され、左方向に向かってマゼンタにブルーの色味が加えられたグラデーションが施された色構成を有する。右辺部WB22cは、上下方向の中心がアンバーで、上方向に向かってアンバーにグリーンの色味が加えられたグラデーションが施され、下方向に向かってアンバーにマゼンタの色味が加えられたグラデーションが施された色構成を有する。左辺部WB22dは、上下方向の中心がブルーで、上方向に向かってブルーにグリーンの色味が加えられたグラデーションが施され、下方向に向かってブルーにマゼンタの色味が加えられたグラデーションが施された色構成を有する。
【0046】
第1〜第4調整中表示領域WB21a〜WB21dの色構成、及び上辺部WB22a、下辺部WB22b、右辺部WB22c、左辺部WB22dが、互いに隣接する辺部の中心に設定された色に近づくグラデーション表示をすることにより、調整量表示領域WB22の移動点を二次元座標上に移動させることにより強められる色味を視覚的に容易に認識することが可能になる。
【0047】
第2ホワイトバランス設定画面が表示された状態において、ホワイトバランスゲインの微調整が行われると、プレビュー画像に対応する画像データの微調整されたホワイトバランスゲインの補正量に対応してホワイトバランスゲインが微調整され、微調整された後の静止画像が、ホワイトバランスの設定状態に関する情報(第2ホワイトバランス設定画面)表示の背面に表示される。そのため、ホワイトバランスゲインを微調整することによる結果を視覚的に認識することが可能になる。
【0048】
第2ホワイトバランス設定画面が表示された状態において、電源レバー12をプレビュー指示位置に合わせると、新たに撮像が行われ、撮像された画像データがバッファメモリ80に一時記録され、一時記録された画像データに対応する静止画像が、ホワイトバランスの設定状態に関する情報(第2ホワイトバランス設定画面)表示の背面に表示される。この時の静止画像は、第2ホワイトバランス設定画面上の調整量表示領域WB22における移動点位置、及び選択されたホワイトバランスに関するモードに対応するホワイトバランスゲインを使ったホワイトバランス調整が行われた画像である。
【0049】
第2ホワイトバランス設定画面が表示された状態で、決定キー17が押下されると、第2ホワイトバランス設定画面上の調整量表示領域WB22における移動点位置に対応して、選択されたホワイトバランスに関するモードに対応するホワイトバランスゲイン(色味)の微調整量が確定され、第1ホワイトバランス設定画面の表示に切り替えられる。メニューキー18が押下されると、第2ホワイトバランス設定画面上の調整量表示領域WB22における移動点位置に対応して、選択されたホワイトバランスに関するモードに対応するホワイトバランスゲイン(色味)の微調整量を反映せずに、第1ホワイトバランス設定画面の表示に切り替えられる。
【0050】
次に、電源レバー12のレバー指標をプレビュー指示位置に合わせることにより行われるプレビュー表示に使用される画像データ生成の流れについて図4のフローチャートを用いて説明する。電源レバー12のレバー指標がプレビュー指示位置に合わせられると、使用者が設定するか測光により算出された露光条件で撮像が行われ、RAWデータが生成される。ステップS11で、RAWデータは、ホワイトバランス調整される。ステップS12で、補間処理が行われる。ステップS13で、γ補正が行われる。トーン、シャープネス、及び彩度の調整は、ステップS13で行われる。ステップS13の後、YCbCrデータが生成される。YCbCrデータは、プレビュー表示に使用される画像データであり、バッファメモリ80に一時記録される。S11〜S13への流れは、記録部70に記録されたRAWデータをプレビュー表示として使用する場合についても同じである。
【0051】
既にバッファメモリ80に一時記録されたYCbCrデータに、新たに設定されたホワイトバランスゲインを反映させる場合は、ステップS14で、YCbCrデータに対して、逆γ補正(γ補正を行う前の状態に戻す)が行われる。トーン及び彩度の逆調整(これらの調整を行う前の状態に戻す)についてもステップS14で行われる。ステップS15で、逆ホワイトバランス調整が行われ、YCbCrデータを生成する際に行われたホワイトバランス調整が行われる前の状態(ホワイトバランスゲインが乗算される前の状態)に戻される。ステップS16で、新たに設定されたホワイトバランスゲインを使ったホワイトバランス調整が行われ、ステップS12に進められる。
【0052】
次に、ホワイトバランスゲインを設定する流れを図5のフローチャートを用いて説明する。ステップS31で、第1ホワイトバランス設定画面(または第2ホワイトバランス設定画面)を表示するために、ファンクションキー15、及び十字キー16(左方向キー16d)を使って所定の操作が行われる。ステップS32で、バッファメモリ80に、一時記録された画像データ(YCbCrデータ)があるか否かが判断される。有る場合は、ステップS33に進められ、無い場合は、ステップS40に進められる。
【0053】
ステップS33で、バッファメモリ80に一時記録された画像データに基づく静止画像が第1表示部92aに表示され、その上に、第1ホワイトバランス設定画面(または第2ホワイトバランス設定画面)がオンスクリーン表示される(図4のステップS14〜S16、S12、S13参照)。ステップS34で、電源レバー12のレバー指標がプレビュー指示位置に合わされて、プレビュー表示のための画像データが新たに取得されたか否かが判断される。新たに取得された場合はステップS35に進められ、新たに取得されていない場合は、ステップS35を介さずに、ステップS36に進められる。
【0054】
ステップS35で、新たに取得された画像データに基づく静止画像が第1表示部92aに表示され、その上に、第1ホワイトバランス設定画面がオンスクリーン表示される(図4のステップS11〜S13参照)。ステップS36で、ホワイトバランスに関するパラメータが変更されたか否か、すなわち、ホワイトバランスゲインを変更する操作が行われたか否かが判断される。第1ホワイトバランス設定画面が表示された状態においては、ホワイトバランスに関するモードが変更されたか否かが判断され、第2ホワイトバランス設定画面が表示された状態においては、ホワイトバランスゲインの微調整量が変更されたか否かが判断される。
【0055】
ホワイトバランスに関するパラメータが変更された場合は、ステップS37に進められ、変更されていない場合は、ステップS37を介さずにステップS38に進められる。ステップS37で、ステップS35で表示された静止画像に対応する画像データが、新たに設定されたホワイトバランスゲインに基づくホワイトバランス調整が行われ、ホワイトバランス調整後の静止画像が、第1表示部92aに表示され、その上に、ホワイトバランスに関するパラメータが変更された状態の第1ホワイトバランス設定画面(または第2ホワイトバランス設定画面)がオンスクリーン表示される(図4のステップS14〜S16、S12、S13参照)。ステップS38で、ホワイトバランスゲインの設定を継続するか否か、すなわち、決定キー17や、メニューキー18の押下が行われたか否かが判断される。
【0056】
決定キー17や、メニューキー18が押下されていない場合は、現在表示されているホワイトバランス設定画面におけるホワイトバランスゲインの設定が継続されるとして、ステップS34に戻される。押下された場合は、現在表示されているホワイトバランス設定画面におけるホワイトバランスゲインの設定を終了するとして、ステップS39に進められる。ステップS39で、現在表示されているホワイトバランス設定画面の表示が終了される。
【0057】
ステップS40で、画像表示が行われない状態で、第1ホワイトバランス設定画面(または第2ホワイトバランス設定画面)が第1表示部92aに表示される。ステップS41で、電源レバー12のレバー指標がプレビュー指示位置に合わされて、プレビュー表示のための画像データが新たに取得されたか否かが判断される。新たに取得された場合はステップS35に進められ、新たに取得されていない場合は、ステップS42に進められる。ステップS42で、画像表示が行われない状態で、第1ホワイトバランス設定画面(または第2ホワイトバランス設定画面)が第1表示部92aに表示される。この時、ホワイトバランスに関するパラメータが変更された場合でも、静止画像への反映は行われない。
【0058】
ステップS43で、ホワイトバランスゲインの設定を継続するか否か、すなわち、決定キー17や、メニューキー18の押下が行われたか否かが判断される。
【0059】
決定キー17や、メニューキー18が押下されていない場合は、現在表示されているホワイトバランス設定画面におけるホワイトバランスゲインの設定が継続されるとして、ステップS41に戻される。押下された場合は、現在表示されているホワイトバランス設定画面におけるホワイトバランスゲインの設定を終了するとして、ステップS39に進められる。
【0060】
本実施形態では、ホワイトバランスゲインに関する設定が行われる際に、静止画像によるプレビュー表示が行われる。そのため、プレビュー表示を見ながら、撮像により得る予定の被写体に関する最適なホワイトバランスゲインを設定することが可能になる。動画像によるプレビュー表示を、ホワイトバランスゲインの設定時に表示する形態は従来から存在するが、動画像では、実際に撮像により得る被写体と異なる画像を表示することになるため、適正なホワイトバランスゲインを設定することが困難である上、常に撮像素子53による撮像を続けているため、撮像素子53の温度が上昇し、ノイズ発生の原因ともなる。
【0061】
第1表示部92aで行うプレビュー表示に使用する画像データは、記録部70に記録されたRAWデータまたはYCbCrデータであってもよい。また、記録部70やバッファメモリ80に記録する前の画像データであってもよい。
【0062】
また、微調整を含むホワイトバランスゲインの設定画面を使って説明したが、トーンカーブ、シャープネス、彩度の調整など、RAWデータを静止画像として表示可能なYCbCrデータに変換する他の画像処理画像処理に関する設定画面表示であってもよい。
【0063】
また、静止画像によるプレビュー表示の上に、ホワイトバランスゲインを設定するホワイトバランス設定画面をオンスクリーン表示する形態を説明したが、ホワイトバランス設定画面に示される情報は、オンスクリーン表示に限らず、第2表示部92bに表示する、あるいは、操作部10が有するキー上に表すなど、他の方法で示しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施形態における撮像装置の構成図である。
【図2】撮像装置の正面側から見た斜視図である。
【図3】撮像装置の背面側から見た斜視図である。
【図4】電源レバーのレバー指標をプレビュー指示位置に合わせることにより行われるプレビュー表示に使用される画像データ生成の流れを示すフローチャートである。
【図5】ホワイトバランスゲインを設定する流れを示すフローチャートである。
【図6】第1ホワイトバランス設定画面と、プレビュー画像を示す図である。
【図7】プレビュー画像を表示しない状態における、第1ホワイトバランス設定画面を示す図である。
【図8】第2ホワイトバランス設定画面と、プレビュー画像を示す図である。
【図9】プレビュー画像を表示しない状態における、第2ホワイトバランス設定画面を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
1 撮像装置
10 操作部
11 露出モード選択ダイヤル
12 電源レバー
13 レリーズボタン
14 リセットキー
15 ファンクションキー
16 十字キー
17 決定キー
18 メニューキー
30 制御部
50 撮影部
51 レンズ
52 シャッタ
53 撮像素子
70 記録部
80 バッファメモリ
90 表示部
91 光学ファインダ
WB1 ホワイトバランス表示領域
WB2 第1選択モード表示領域
WB3 プレビュー指示表示領域
WB4 決定指示表示領域
WB5 AWB表示領域
WB6 太陽光表示領域
WB7 日陰表示領域
WB8 曇天表示領域
WB9 蛍光灯表示領域
WB10 白熱灯表示領域
WB11 ストロボ表示領域
WB12 マニュアル表示領域
WB13 色温度表示領域
WB21 調整中表示領域
WB21a〜WB21d 第1〜第4調整中表示領域
WB22 調整量表示領域
WB22a 上辺部
WB22b 下辺部
WB22c 右辺部
WB22d 左辺部
WB23 リセット指示表示領域
WB24 取消指示表示領域
WB25 GB補正値表示領域
WB26 BA補正値表示領域
WB27 第2選択モード表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、
前記撮像素子による撮像で得られた画像データを記録するメモリと、
前記メモリに記録した前記画像データに基づく静止画像を表示し、その上に、ホワイトバランスゲインを設定するホワイトバランス設定画面をオンスクリーン表示する表示部とを備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像素子による撮像で得られた画像データはRAWデータであり、
前記メモリは、前記RAWデータを、または前記RAWデータをYCbCrデータに変換された状態で記録することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記表示部に、ホワイトバランス設定画面が表示された状態で、前記ホワイトバランスゲインを変更するために使用される操作部を更に備え、
前記操作部を操作することにより、前記ホワイトバランスゲインが変更されると、前記表示部は、前記画像データに基づく静止画像を、前記変更されたホワイトバランスゲインに対応したホワイトバランス調整を行った状態で表示することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記メモリに記録するために撮像を行う指示のために使用される操作部を更に備え、
前記操作部は、回転により所定位置にレバー指標を合わせることにより、撮像装置1の電源のオンオフ、及び前記メモリに記録するための撮像が行われる電源レバーであることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
撮像素子と、
前記撮像素子による撮像で得られた第1画像データを記録するメモリと、
前記メモリに記録した前記第1画像データに基づく静止画像を表示し、その上に、前記第1画像データを前記静止画像として表示可能な第2画像データに変換する画像処理における調整量を設定する画像処理設定画面をオンスクリーン表示する表示部とを備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
前記画像処理は、ホワイトバランス、トーンカーブ、シャープネス、及び彩度の少なくとも1つの調整であることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
撮像素子と、
前記撮像素子による撮像で得られた画像データに基づく静止画像を表示し、その上に、ホワイトバランスゲインを設定するホワイトバランス設定画面をオンスクリーン表示する表示部とを備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
撮像素子と、
前記ホワイトバランスゲインを変更するために使用される操作部と、
前記撮像素子による撮像で得られた画像データに基づく静止画像を表示する表示部とを備え、
前記操作部を操作することにより、前記ホワイトバランスゲインが変更されると、前記表示部は、前記画像データに基づく静止画像を、前記変更されたホワイトバランスゲインに対応したホワイトバランス調整を行った状態で表示することを特徴とする撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−72304(P2008−72304A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−247959(P2006−247959)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】