説明

撮像装置

【課題】撮像時に使用者が所望するとおりに容易に焦点調整できる撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明の撮像装置は、光学系を介して撮像した画像を表示する表示手段と、自動で光学系の焦点調節を行う自動焦点調節手段と、手動で光学系の焦点調節を行う手動焦点調節手段とを備え、表示手段は、自動焦点調節手段により主に焦点調節された第一の画像領域を含む画像中の第二の画像領域を、手動焦点調節手段の操作に応じて拡大表示し、同時に前記画像全体における拡大された前記第二の画像領域の位置関係を表示することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系の焦点位置を調節できる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動で焦点を調節し撮像を行うことが可能な撮像装置が広く一般的に使われている。被写体に対し自動で焦点を調節した後、使用者は所望するとおりに合焦されているかどうかで、撮像を行うか否かを判断する。その判断の容易のため、自動焦点調節された画像を、撮像後すぐに視認できる撮像装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1は、ライブ画像に基づいて光学系の焦点位置の自動調整を行い、合焦された領域を含む領域を拡大表示する撮像装置を開示している。また、特許文献1に記載の撮像装置は合焦している領域を示す指標を表示する。これにより、焦点位置を自動調整した後において、画像中のいずれの位置が合焦しているかを確認することができる。
【特許文献1】特許第3956861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
撮像している画像が好適に自動焦点調節されているか否かを確認したとき、使用者が所望するような位置に合焦していない場合がある。この場合、使用者は好適に合焦するよう何度も自動焦点調節を試すか、あるいは一貫して手動により焦点調節する必要がある。そのため、撮像後に合焦位置が好適かどうか確認できても、使用者は撮像作業を繰り返す必要があり利便性に欠けていた。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、撮像時に使用者が所望するとおりに容易に焦点調整できる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために本発明の撮像装置は、被写体像のフォーカス状態を変更可能な光学系と、前記光学系で形成された被写体像を撮像し画像データを生成する撮像手段と、
前記光学系で形成された被写体像内の複数の箇所において、それぞれフォーカス状態を検出可能なフォーカス状態検出手段と、前記フォーカス状態検出手段の検出結果に基づいて、前記複数の箇所のうちのいずれかにフォーカスを合わせるように前記光学系を制御するオートフォーカス制御手段と、マニュアル操作を受け付けて前記光学系のフォーカス状態を変更するマニュアルフォーカス変更手段と、前記撮像手段で形成された画像データに基づく画像を表示する表示手段と、前記オートフォーカス制御手段が前記光学系を制御した後、前記マニュアルフォーカス変更手段が前記光学系のフォーカス状態を変更した場合、前記オートフォーカス制御手段がフォーカスを合わせた箇所に応じて前記画像の拡大位置を決定し、前記決定に従って前記画像を拡大表示するよう前記表示手段を制御する表示制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の撮像装置によれば、撮像時に使用者が所望するとおりに容易に焦点調整できる撮像装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0009】
(実施の形態1)
本発明は例えばデジタルカメラ等の撮像する装置に適用できる。以下図面を用いて、デジタルカメラに適用した本発明の実施の形態1について説明する。
【0010】
〔1. 構成〕
〔1−1. 概要〕
図1は、本発明の実施の形態1に係るカメラシステム1の電気的構成を示すブロック図である。カメラシステム1は、カメラ本体2とそれに着脱可能な交換レンズ31とから構成される。カメラシステム1は、CCDイメージセンサー3で生成された画像データに基づいて、コントラスト方式のオートフォーカス動作が可能である。
【0011】
〔1−2. カメラ本体の構成〕
カメラ本体2は、CCDイメージセンサー3と、液晶モニタ10と、電子ビューファインダー9(EVF)と、カメラコントローラー6と、ボディマウント17と、前ダイヤル14と、レリーズ釦13と、電源16と、カードスロット11とを備える。
【0012】
カメラコントローラー6は、レリーズ釦13等の操作部材からの指示に応じて、CCDイメージセンサー3等のカメラシステム1全体を制御する。カメラコントローラー6は垂直同期信号をタイミング発生器4(TG)に送信する。これと並行して、カメラコントローラー6は、垂直同期信号に基づいて露光同期信号を生成する。カメラコントローラー6は、生成した露光同期信号を、ボディマウント17及びレンズマウント18を介して、レンズコントローラー23に周期的に繰り返して送信する。カメラコントローラー6は、制御動作や画像処理動作の際に、DRAM7をワークメモリとして使用する。カメラコントローラー6は、ハードワイヤードな電子回路で構成してもよいし、プログラムを用いたマイクロコンピューターなどで構成してもよい。また、画像処理部やワークメモリとは同一の半導体チップで構成しても別個でもよい。
【0013】
CCDイメージセンサー3は、交換レンズ31を介して入射される被写体像を撮像して画像データを生成する。生成された画像データは、ADコンバーター5でアナログ形式のデータからデジタル形式のデータに変換される。ADコンバーター5でデジタル化された画像データは、カメラコントローラー6で各種の画像処理が施される。ここで言う各種の画像処理とは、例えば、ガンマ補正処理、ホワイトバランス補正処理、キズ補正処理、YC変換処理、電子ズーム処理、JPEG圧縮処理等であるが、これらに限定されるものではない。また本発明においては、CCDイメージセンサー3に代えて、例えばCMOSイメージセンサーやNMOSイメージセンサーなど、他の撮像素子を用いても良い。
【0014】
CCDイメージセンサー3は、タイミング発生器4(TG)で制御されるタイミングで動作する。タイミング発生器4で制御されるCCDイメージセンサー3の動作は、静止画像の撮像動作、スルー画像の撮像動作、データ転送動作、電子シャッター動作等がある。スルー画像は主に動画像であり、静止画像の撮像のための構図を決めるために液晶モニタ10や電子ビューファインダー9(EVF)に表示されるものである。
【0015】
液晶モニタ10は、カメラ本体2の背面に配置されるものであり、カメラコントローラー6で処理された表示用の画像データが示す画像を表示する。液晶モニタ10は、動画像も静止画も選択的に表示可能である。また、画像の他、カメラシステム1全体の設定条件等を表示可能である。本実施例では、表示手段の一例として液晶モニタ10を示すが、本発明はこれに限らない。例えば、有機ELディスプレイ等の表示手段を用いてもよい。
【0016】
電子ビューファインダー9(EVF)は、カメラ本体2の背面上部に配置されるものであり、液晶モニタ10と同様に、カメラコントローラー6で処理された表示用の画像データが示す画像を表示する。
【0017】
液晶モニタ10と電子ビューファインダー9(EVF)への表示は同時に行ってもよいし、一方に切替表示できるようにしてもよい。同時表示する場合、液晶モニタ10に表示する画像と電子ビューファインダー9に表示する画像は同一でも異なっても構わない。
【0018】
フラッシュメモリ8は、画像データ等を記憶するための内部メモリとして機能する。またカメラコントローラー6が制御を行う際に使用するプログラムやパラメータを保存する。
【0019】
カードスロット11は、メモリカード12を着脱可能な接続手段である。カードスロット11は、メモリカード12を電気的及び機械的に接続可能である。また、カードスロット11は、メモリカード12を制御する機能を備えてもよい。
【0020】
メモリカード12は、内部にフラッシュメモリ等の記憶手段を備えた外部メモリである。メモリカード12は、カメラコントローラー6で処理された画像データ等のデータを記憶可能である。また、メモリカード12は、内部に記憶する画像データ等のデータを出力可能である。メモリカード12から出力された画像データはカメラコントローラー6で処理され、例えば液晶モニタ10等に再生表示される。本実施例では、外部メモリの一例としてメモリカード12を示すが、本発明はこれには限らない。例えば、光ディスク等の記憶媒体を外部メモリとしてもよい。
【0021】
電源16は、カメラシステム1で消費するための電力を供給する。電源16は、例えば乾電池であってもよいし、充電池であってもよい。また電源コードにより外部から供給される電力をカメラシステム1に供給されるものであってもよい。
【0022】
レリーズ釦13は、カメラ本体2上部に配置されている。使用者はレリーズ釦13を押下操作することにより、静止画撮像等の動作を実行できる。レリーズ釦13の押下操作には、半押操作と全押操作の二段階操作が含まれる。
【0023】
前ダイヤル14は、カメラ本体2の例えば前部に配置されている。使用者は前ダイヤル14を操作することにより、各種パラメータを変更できる。各種パラメータは、例えば、絞り値、シャッタースピード、露出補正値等が含まれる。また使用者が前ダイヤル14を操作することにより、後述する十字釦45に含まれる右釦と左釦に対応した動作が実行できてもよい。更には、使用者が前ダイヤル14を操作することで、液晶モニタ10や電子ビューファインダー9に再生表示される画像データの拡大倍率を変更できるようにしてもよい。
【0024】
顔検出部15は、撮像した画像に含まれる被写体の顔を検出する。撮像した画像から人の顔を検出する方法としては種々の方法が知られている。例えば、原画像から肌色情報を抽出してきて、肌色であると判断された画像領域を「顔」とする方法がある。他の方法としては、平均的な人の顔のモノクロ画像を予めデジタルカメラに記憶しておき、このモノクロ画像と撮像画像と比較したときの画像上の各位置での相関値が予め設定された閾値以上である画像領域を「顔」とする方法がある。画像データから顔検出部15が被写体の顔を検出できたとき、液晶モニタ10や電子ビューファインダー9は画像中の検出された被写体の顔を囲むように枠を表示してもよい。
【0025】
ボディマウント17は、交換レンズ31のレンズマウント18と機械的及び電気的に接続可能である。ボディマウント17は、レンズマウント18を介して、カメラ本体2と交換レンズ31との間でデータを送受信可能である。ボディマウント17は、カメラコントローラー6から受信した露光同期信号やその他制御信号を、レンズマウント18を介してレンズコントローラー23に送信する。また、ボディマウント17は、レンズマウント18を介してレンズコントローラー23から受信した信号をカメラコントローラー6に送信する。また、ボディマウント17は、電源16から受けた電力をレンズマウント18を介して交換レンズ31全体に供給する。
【0026】
〔1−3. 交換レンズの構成〕
交換レンズ31は、光学系とレンズコントローラー23と、レンズマウント18とを備える。交換レンズ31の光学系は、ズームレンズ20、OISレンズ24、フォーカスレンズ27を含む。
【0027】
ズームレンズ20は、交換レンズ31の光学系で形成される被写体像の倍率を変化させるためのレンズである。ズームレンズのレンズ構成は何枚でも何郡でもよい。ズームリング19は交換レンズ31の外装に設けられている。ズームリング19は、使用者による操作をズームレンズ20に伝える。この操作によりズームレンズ20は光学系の光軸方向に移動する。ズームレンズ検出部21はズームレンズ20の移動量を検出する。レンズコントローラー23は、ズームレンズ検出部21における検出結果を取得することにより、光学系におけるズーム倍率を把握することができる。レンズコントローラー23が把握したズーム倍率はレンズマウント18を介してカメラコントローラー6に送信される。
【0028】
OISレンズ24は、交換レンズ31の光学系で形成される被写体像のぶれを補正するためのレンズである。OISレンズのレンズ構成は何枚でも何群でもよい。OISレンズ24は、カメラシステム1のぶれを相殺する方向に移動することで、CCDイメージセンサー3上の被写体像のぶれを小さくする。OISレンズ24はジャイロセンサー等のぶれ検出器の検出結果に基づいてOIS駆動部25の動作により移動する。OIS駆動部25は、レンズコントローラー23からぶれ検出器の検出結果を得る。また、OIS駆動部25は、レンズコントローラー23に対して、光学的像ぶれ補正処理の状態を示す信号を送信する。レンズコントローラー23が受信した光学的像ぶれ補正処理の状態を示す信号はレンズマウント18を介してカメラコントローラー6に送信される。
【0029】
フォーカスレンズ27は、光学系から入射されCCDイメージセンサー3上に形成される被写体像の焦点状態を変化させるためのレンズである。フォーカスレンズのレンズ構成は何枚でも何群でもよい。フォーカスレンズ駆動部28は、レンズコントローラー23の制御に基づいてフォーカスレンズ27を光学系の光軸に沿って進退するように駆動する。フォーカスリング26は交換レンズ31の外装に設けられている。フォーカスリング26は使用者の操作に応じてフォーカスレンズ27を駆動させる。フォーカスリング27が使用者によって操作されると、操作に関する信号がレンズコントローラー23に出力される。レンズコントローラー23は、入力された操作に関する信号に応じて、フォーカスレンズ駆動部を駆動する。
【0030】
レンズコントローラー23は交換レンズ31全体を制御する。レンズコントローラー23は、ハードワイヤードな電子回路で構成してもよいし、プログラムを用いたマイクロコンピューターなどで構成してもよい。
【0031】
DRAM29は、レンズコントローラー23が制御の際にワークメモリとして使用される。また、フラッシュメモリ30は、レンズコントローラー23の制御の際に使用するプログラムやパラメータを保存する。
【0032】
〔1−4. カメラ本体背面の構成〕
図2は、カメラ本体2の背面図である。カメラ本体2の背面及び上面に各種釦が配置されている。また、カメラ本体2の背面には液晶モニタ10や電子ビューファインダー9(EVF)が配置されている。以下でカメラ本体2の背面における各構成の詳細を説明する。レリーズ釦13、電子ビューファインダー9(EVF)、液晶モニタ10については上述の通りである。
【0033】
電源スイッチ41は、カメラ本体2の電源を入り切りするためのスライドスイッチである。カメラ本体2の電源が入ると、ボディマウント17を介して交換レンズ31にも電力が供給される。
【0034】
撮影モードダイヤル40は、カメラシステム1を各種撮影モードに設定するためのダイヤルである。各種撮影モードには、マニュアルモード、絞り優先モード、シャッタースピード優先モード、ポートレート撮影モード、風景撮影モード、マクロ撮影モード等が含まれる。
【0035】
フォーカスモードダイヤル47は、カメラシステム1のフォーカスモードを設定するためのダイヤルである。フォーカスモードには、自動で被写体に焦点を合わせるオートフォーカスモードと、使用者が手動で焦点を調節できるマニュアルフォーカスモードが含まれる。オートフォーカスモードには、レリーズ釦13半押し時に合焦するAFS(Auto Focus Single)モードと、被写体の動きに合わせて連続的に合焦するAFC(Auto Focus Continuous)モードが含まれる。
【0036】
十字釦45は上釦、右釦、下釦及び左釦を含む。上釦を押下操作すると、カメラコントローラー6は、液晶モニタ10上に表示されているカーソルを上方向に移動させる等の制御を行う。右釦は、カーソルを右方向に移動させるなどの指示を与えるための操作手段である。下釦は、カーソルを下方向に移動させるなどの指示を与えるための操作手段である。左釦は、カーソルを左方向に移動させるなどの指示を与えるための操作手段である。
【0037】
決定釦44は、液晶モニタ10で表示されている選択項目を決定するための押下釦である。再生釦42は、フラッシュメモリ8やメモリカード12に記憶された画像データの再生表示を実行するための釦である。削除釦46は、画像データをフラッシュメモリ8やメモリカード12から削除するための押下釦である。画面釦43は、液晶モニタ10の表示方法を変更するための押下釦である。画面釦43の押下操作に応じて、液晶モニタ10は画面上にガイドラインを表示させたり、表示を停止させたりする。
【0038】
〔1−5. 本発明との対応〕
CCDイメージセンサー3は、本発明の撮像手段の一例である。カメラコントローラー6は、本発明のフォーカス状態検出手段の一例である。カメラコントローラー6は、本発明のオートフォーカス制御手段の一例である。フォーカスリング26及びフォーカスレンズ駆動部28からなる構成は、本発明のマニュアルフォーカス変更手段の一例である。液晶モニタ10は、本発明の表示手段の一例である。カメラコントローラー6は、本発明の表示制御手段の一例である。前ダイヤル14およびカメラコントローラー6からなる構成は、本発明の倍率変更手段の一例である。カメラシステム1は、本発明の撮像装置の一例である。
【0039】
〔2. 動作〕
〔2−1. 撮像準備動作〕
まず、撮像準備のためのカメラシステム1の動作を説明する。図3は、カメラシステム1の撮像準備動作を説明するための信号送受信を示す図である。
【0040】
カメラ本体2に交換レンズ31を装着した状態で、使用者が、カメラ本体2の電源を入れると、電源16は、ボディマウント17及びレンズマウント18を介して、交換レンズ31に電力を供給する(S11)。次に、カメラコントローラー6は、レンズコントローラー23に対して、交換レンズ31の認証情報を要求する(S12)。ここで、交換レンズ31の認証情報には、交換レンズ31が装着されているか否かに関する情報及びアクセサリーが装着されているか否かに関する情報が含まれる。レンズコントローラー23は、カメラコントローラー6からのレンズ認証要求に応答する(S13)。
【0041】
次に、カメラコントローラー6は、レンズコントローラー23に対して、初期化動作をするよう要求する(S14)。これを受けて、レンズコントローラー23は、絞りのリセット、OISレンズ24のリセット等の初期化動作を行う。そして、レンズコントローラー23は、カメラコントローラー6に対して、レンズ初期化動作が完了した旨を返信する(S15)。
【0042】
次に、カメラコントローラー6は、レンズコントローラー23に対して、レンズデータを要求する(S16)。レンズデータは、フラッシュメモリ30に格納されている。そこで、レンズコントローラー23は、フラッシュメモリ30からレンズデータを読み出して、カメラコントローラー140に返信する(S17)。ここで、レンズデータとは、レンズ名称、Fナンバー、焦点距離等の交換レンズ31特有の特性値である。
【0043】
カメラコントローラー6が、カメラ本体2に装着されている交換レンズ31のレンズデータを把握すると、撮像可能な状態になる。この状態では、カメラコントローラー6は、レンズコントローラー23に対して、交換レンズ31の状態を示すレンズ状態データを定期的に要求する(S18)。レンズ状態データは、例えば、ズームレンズ20によるズーム倍率情報、フォーカスレンズ27の位置情報、絞り値情報などが含まれる。この要求に応えて、レンズコントローラー23は、カメラコントローラー6に対して、要求されたレンズ状態データを返信する(S19)。
【0044】
また、この状態では、カメラシステム1は、CCDイメージセンサー3で生成した画像データが示す画像をスルー画像として液晶モニタ10に表示する制御モードで動作し得る。この制御モードをライブビューモードという。ライブビューモードでは、スルー画像が動画で液晶モニタ10に表示されるので、使用者は、液晶モニタ10を見ながら静止画像を撮像するための構図を決めることができる。ライブビューモードとするかどうかは使用者が選択可能である。ライブビューモードの他に、使用者が選択できる制御モードとしては、交換レンズ31からの被写体像を電子ビューファインダー(EVF)に導く制御モードもある。ライブビューモードにおけるオートフォーカス動作の方式としては、コントラスト方式が適している。ライブビューモードでは、連続的に、CCDイメージセンサー3で画像データを生成しているので、その画像データを用いたコントラスト方式のオートフォーカス動作が容易のためである。
【0045】
コントラスト方式のオートフォーカス動作を行う際には、カメラコントローラー6は、レンズコントローラー23に対して、コントラストAF用データを要求する(S20)。コントラストAF用データは、コントラスト方式のオートフォーカス動作の際に必要なデータであり、例えば、フォーカス駆動速度、フォーカスシフト量、像倍率、コントラストAF可否情報などが含まれる。
【0046】
〔2−2. 画像拡大表示動作〕
本実施の形態1に係るデジタルカメラ(以下カメラシステム1と呼ぶ)は、オートフォーカス動作により被写体に合焦した後、使用者によるフォーカスリング26の操作を受け付けて合焦位置を含む画像領域を拡大表示できる。図4および図5に示すフローチャートを用いて、実施の形態1に係るカメラシステム1の画像拡大表示動作について説明する。
【0047】
撮像時にカメラシステム1をオートフォーカスモード(以下AFモード)に設定していると、カメラシステム1は被写体の合焦できる場所を自動的に検出する(S30)。AFモードには合焦する方法として多点AFモード、顔検出AFモードなどがある。
【0048】
〔2−2−1. 合焦領域の決定〕
カメラシステム1は各種AFモードにより合焦できる場所を検出している状態で、使用者のレリーズ釦13の半押し操作を受け付けて(S31)、その検出された場所に合焦する(S32)。AFモードの例として、図4を用いて多点AFモードの合焦位置検出について説明し、図5を用いて顔検出AFモードの合焦位置検出について説明する。
【0049】
(多点AFモード)
カメラシステム1が多点AFモードに設定されている場合、カメラコントローラー6は、レリーズ釦13が半押し操作されるかどうかを監視する(S30)。レリーズ釦13が半押し操作されると、カメラコントローラー6は、光学系で形成された被写体像内の複数の箇所において、それぞれフォーカス状態を検出する(S31)。その後、カメラコントローラー6は、各箇所のフォーカス状態の検出結果に基づいて、複数の箇所のうちのいずれかにフォーカスを合わせるようにレンズコントローラー23に指示する。レンズコントローラー23は、フォーカスレンズ駆動部28を制御してフォーカスレンズ27を合焦位置に駆動する(S32)。画像内のいずれの箇所にフォーカスを合わせるかについては、例えばカメラシステム1から最も近い被写体が含まれる画像領域を優先したり、サイズの大きい被写体が含まれる画像領域を優先したりと、種々の決め方が考えられるが本発明はこれらに限定しない。
【0050】
(顔検出AFモード)
AFモードとして顔検出AFモードが設定されている場合、顔検出部15は、光学系で形成された被写体像内に顔があれば、その領域を検出する(S30)。その状態で、カメラコントローラー6は、レリーズ釦13が半押し操作されるかどうかを監視する(S31)。レリーズ釦13が半押し操作されると、カメラコントローラー6は、顔検出部15が顔領域を検出していれば、その領域にフォーカスを合わせるようにレンズコントローラー23に指示する。レンズコントローラー23は、フォーカスレンズ駆動部28を制御してフォーカスレンズ27を合焦位置に駆動する(S32)。なお、レリーズ釦13が半押し操作されたとき、画像内で顔が検出されなかった場合は、カメラコントローラー6は、一点AFモードや多点AFモードなど他のAFモードを採用する。また、画像中に複数の人物が含まれる場合、カメラシステム1は複数の顔領域を検出し得る。その場合は、使用者のレリーズ釦13の半押し操作により最重要の人物の顔領域に合焦する。最重要の人物は、例えばカメラシステム1から最も近い人物であったり、画像中に占めるサイズの大きい人物であったりと、種々の方法が考えられる。また、人物の撮像される頻度をシステムカメラ1が記憶しておき、その情報に基づき最重要人物を決定する方法でもよい。また、予めカメラシステム1に顔認証関連情報を登録しておいた人物を最重要人物としてもよい。しかし、本発明はこれらの方法に限定されない。
〔2−2−2 AF後のMF操作〕
使用者がレリーズ釦13の半押し操作を維持している間はカメラシステム1の合焦状態が保たれる。使用者がレリーズ釦13の操作から離れるとカメラシステム1の合焦状態は解除される。使用者がレリーズ釦13の半押し操作を維持している間、すなわち合焦状態が保たれている間、カメラシステム1は使用者のフォーカスリング26の操作を受け付ける(S33、S43)。カメラコントローラー6は、オートフォーカス制御の後、オートフォーカス制御により合焦状態となった領域の位置に応じて、液晶モニタ10に表示する画像の拡大位置を決定し、その決定に従って画像を拡大するよう液晶モニタ10を制御する(S34、S44)。
【0051】
図6に多点AFモードを採用した場合のAF領域付近の拡大表示のイメージ図を示す。フレームD1はカメラシステム1が撮像している画像全体を示す。点線枠D2は合焦領域を含む画像領域を示す。フレームD3は拡大表示された画像領域を示す。このとき拡大表示する画像範囲は、カメラシステム1が合焦している領域を少なくとも含んでいればよく、本発明は、点線枠D2内の画像領域のみの拡大表示に限定されない。これにより使用者は、この合焦位置を含む拡大された画像領域の表示を見ながら、フォーカスリング26の操作によって所望する通りに焦点位置を調整することができる。
【0052】
図9に顔検出AFモードを採用した場合のAF領域付近の拡大表示のイメージ図を示す。フレームD11はカメラシステム1が撮像している画像全体を示す。点線枠D12は検出された顔領域を含む画像領域を示す。フレームD13は拡大表示された画像領域を示す。このとき拡大表示する画像範囲は、カメラシステム1が合焦している顔領域を少なくとも含んでいればよく、本発明は、点線枠D12内の画像領域のみの拡大表示に限定されない。例えば、点線枠D12を越える範囲の画像領域を拡大表示してもよい。これにより使用者は、合焦された顔領域を含む拡大された画像領域の表示を見ながら、フォーカスリング26の操作によって所望する通りに焦点を調整することができる。
【0053】
また、液晶モニタ10に拡大表示された画面中に、カメラシステム1が撮像している画像全体と拡大表示されている画像との位置関係を示すフレームD4と点線枠D5を設けてもよい。フレームD4はカメラシステム1が撮像している画像全体を表し、点線枠D5は拡大表示されている画像のフレームD4における位置を示している。使用者の十字釦45の操作により、拡大表示する画像領域の位置を上下左右方向に微調整できるようにしてもよい。これにより使用者はシステムカメラ1が合焦した領域の画像全体に対する位置を確認しながら、フォーカスリング26の操作によって所望する通りに焦点調節することができる。
【0054】
また、カメラシステム1が拡大表示する合焦領域を含む画像の拡大倍率は、使用者の前ダイヤル14の操作により変更できる。すなわち、カメラコントローラー6は、オートフォーカス制御の後、マニュアルフォーカス調整がされた場合において、液晶モニタ6に表示される拡大画像の倍率を変更可能である。図7に合焦領域拡大表示のフローチャートを示す。カメラシステム1が合焦領域を液晶モニタ10に拡大表示しているとき、カメラシステム1は使用者による前ダイヤル14の操作を受け付ける(S50)。カメラシステム1は、使用者の前ダイヤル14の操作を受け付け、拡大表示している合焦領域を含む画像を所定の他の倍率での表示に変更する(S51)。このように、使用者は前ダイヤルを操作することで異なる拡大倍率での表示が可能である。図8と図10に多点モードAFと顔検出AFモードの場合の拡大倍率変更のイメージ図を示す。これにより、使用者は焦点の調節を容易に行うために必要な画像の拡大倍率を選択することができる。
【0055】
本発明の実施の形態1に係るカメラシステムは、オートフォーカスにより被写体に合焦した後、続けて使用者のフォーカスレンズ26の操作により焦点位置の調節が可能である。これにより、使用者が所望する好適な画像を容易に撮像することができる。
【0056】
特に顔検出AFモードにおいては、顔領域の何れの位置に合焦して撮像するかによって、仕上がる画像に現れる顔の印象が異なる。例えば、鼻の位置に合焦して撮像するのと、目の位置に合焦して撮像するのとでは、仕上がる画像に現れる顔の印象の差異が大きい。本発明の実施の形態1に係るカメラシステムは、一度顔検出AFにより被写体の顔領域に合焦した後、続けて使用者のフォーカスレンズ26の操作により焦点位置の調節が可能である。これにより、使用者が所望する好適な画像を容易に撮像することができる。
〔他の実施の形態〕
本発明の実施の形態1では、ズームレンズ20及びOISレンズ24を有する構成を例示したが、これらは本発明に必須の構成ではない。同様に、ぶれ補正機能を有さない交換レンズを装着したカメラシステムにも本発明は適用可能である。
【0057】
本発明の実施の形態1では、可動ミラーを備えないカメラ本体を例示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、カメラ本体内に可動ミラーを備えてもよいし、被写体像を分けるためのプリズムを備えてもよい。また、カメラボディ内ではなくアダプター内に可動ミラーを備える構成でもよい。
【0058】
本実施の形態1では、レンズ交換式のカメラシステム1を用いて説明したが、本発明はこれに限らない。カメラ本体とレンズとが一体になったカメラについても適用可能である。要するに、オートフォーカス機能とマニュアルフォーカス機能を備えたカメラであれば本発明を適用可能である。
【0059】
本発明の実施の形態1ではAFモードとして、多点AFモード、顔検出AFモードの場合を説明したが、本発明はこれに限らない。被写体に対しオートフォーカスするものであれば本発明を適用可能である。
【0060】
本発明の実施の形態1では、AFモードにおいてレリーズ釦半押状態時にマニュアルフォーカス操作をした場合に拡大画像を表示するとしたが、これに限らない。例えば、レリーズ釦13の半押操作により決定した合焦領域をカメラシステム1が記憶しておくという方法がある。この方法の場合、レリーズ釦13半押状態を解除した後であっても、記憶しておいた合焦領域に基づいてマニュアルフォーカス操作を受け付ければよい。要するに、オートフォーカスによって何れの画像領域に合焦するかを一度決定していれば、カメラシステム1がマニュアルフォーカス操作により画像拡大表示するタイミングはいつでもよい。
【0061】
本発明の実施の形態1では、コントラスト方式のオートフォーカス動作を行うカメラシステムを例示した。しかし、本発明はこのような実施例に限定しない。例えば、本発明は、位相差検出センサーを搭載した位相差方式のオートフォーカス動作を行うカメラシステムにも適用可能である。より詳細には、位相差検出センサーを搭載した場合、位相差検出センサーは、光学系で形成された被写体像内の複数の箇所において、それぞれフォーカス状態(この場合デフォーカス量)を検出可能である。そして、オートフォーカス制御手段は、位相差検出センサーの検出結果に基づいて、複数の箇所のうちのいずれかにフォーカスを合わせるように前記光学系を制御する。表示制御手段は、オートフォーカス制御の後、マニュアルフォーカス変更がされた場合、オートフォーカス制御手段がフォーカスを合わせた箇所に応じて画像の拡大位置を決定し、その決定に従って画像を拡大表示するよう表示手段を制御する。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明はデジタルカメラに限らない。例えばデジタルムービーカメラや、カメラ機能つき携帯電話等、画像を撮像する機器であれば適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態1に係る撮像装置の電気的構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1に係る撮像装置の背面図
【図3】本発明の実施の形態1に係る撮像装置の撮像準備動作の説明図
【図4】本発明の実施の形態1に係る撮像装置の拡大表示動作フローチャート
【図5】本発明の実施の形態1に係る撮像装置の拡大表示動作フローチャート
【図6】本発明の実施の形態1に係る撮像装置の拡大表示動作イメージ図
【図7】本発明の実施の形態1に係る撮像装置の拡大表示倍率変更フローチャート
【図8】本発明の実施の形態1に係る撮像装置の拡大表示倍率変更イメージ図
【図9】本発明の実施の形態1に係る撮像装置の拡大表示動作イメージ図
【図10】本発明の実施の形態1に係る撮像装置の拡大表示倍率変更イメージ図
【符号の説明】
【0064】
1 カメラシステム
2 カメラ本体
3 CCDイメージセンサー
6 カメラコントローラー
9 電子ビューファインダー(EVF)
13 レリーズ釦
14 前ダイヤル
15 顔検出部
17 ボディマウント
18 レンズマウント
19 ズームリング
20 ズームレンズ
23 レンズコントローラー
24 OISレンズ
26 フォーカスリング
27 フォーカスレンズ
31 交換レンズ
41 電源スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体像のフォーカス状態を変更可能な光学系と、
前記光学系で形成された被写体像を撮像し画像データを生成する撮像手段と、
前記光学系で形成された被写体像内の複数の箇所において、それぞれフォーカス状態を検出可能なフォーカス状態検出手段と、
前記フォーカス状態検出手段の検出結果に基づいて、前記複数の箇所のうちのいずれかにフォーカスを合わせるように前記光学系を制御するオートフォーカス制御手段と、
マニュアル操作を受け付けて前記光学系のフォーカス状態を変更するマニュアルフォーカス変更手段と、
前記撮像手段で形成された画像データに基づく画像を表示する表示手段と、
前記オートフォーカス制御手段が前記光学系を制御した後、前記マニュアルフォーカス変更手段が前記光学系のフォーカス状態を変更した場合、前記オートフォーカス制御手段がフォーカスを合わせた箇所に応じて前記画像の拡大位置を決定し、前記決定に従って前記画像を拡大表示するよう前記表示手段を制御する表示制御手段と、
を備える撮像装置。
【請求項2】
被写体のフォーカス状態を変更可能な光学系と、
前記光学系で形成された被写体像を撮像し画像データを生成する撮像手段と、
前記光学系で形成された被写体像内の顔領域を検出可能な顔検出手段と、
前記顔検出手段の検出結果に基づいて、前記顔領域にフォーカスを合わせるように前記光学系を制御するオートフォーカス制御手段と、
マニュアル操作を受け付けて前記光学系のフォーカス状態を変更するマニュアルフォーカス変更手段と、
前記撮像手段で形成された画像データに基づく画像を表示する表示手段と、
前記オートフォーカス制御手段が前記光学系を制御した後、前記オートフォーカス制御手段がフォーカスを合わせた顔領域の位置に応じて前記画像の拡大位置を決定し、前記決定に従って前記画像を拡大表示するよう前記表示手段を制御する表示制御手段と、
を備える撮像装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記画像の全体における前記拡大位置の位置関係を示す情報を、前記拡大表示した画像とともに表示する、
請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記オートフォーカス制御手段が前記光学系を制御した後、前記マニュアルフォーカス変更手段が前記光学系のフォーカス状態を変更した場合において、前記表示手段に表示される拡大画像の倍率を変更可能な倍率変更手段を更に備える、
請求項1から3のいずれかに記載の撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−141767(P2010−141767A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317953(P2008−317953)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】