説明

撮像装置

【課題】好適な撮影モードの選択を可能とする撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置100は、被写体からの光を光電変換により電気信号に変換する撮像素子10と、前記撮像素子10と同時に前記撮像素子が受光する被写体からの光を受光して位相差検出を行う位相差検出部20と、焦点位置を調節するためのフォーカスレンズ群72と、前記フォーカスレンズ72の位置を検出するフォーカスレンズ位置検出部と、前記フォーカスレンズ位置検出部の出力と前記位相差検出部の出力とによって被写体距離を算出し、算出した当該被写体距離に応じて、複数の撮影モードから1つの撮影モードを自動的に選択する制御部50と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換を行う撮像素子を備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像素子を用いて、被写体像を電気信号に変換し、この電気信号をデジタル化して記録するデジタルカメラが普及している。
【0003】
デジタル一眼レフカメラは、被写体像の位相差を検出する位相差検出部を有し、これによりオートフォーカス(以下、単にAFともいう)を行う位相差検出方式AF機能を備えている。位相差検出方式AF機能によれば、デフォーカス方向及びデフォーカス量を検出できるため、フォーカスレンズの移動時間を短縮でき、迅速にフォーカスできるという利点を有する(例えば、特許文献1)。従来のデジタル一眼レフカメラでは、位相差検出部に被写体からの光を導くために、レンズ鏡筒から撮像素子への光路上に進出/退避可能に構成された可動ミラーを設けている。
【0004】
また、いわゆるコンパクトデジタルカメラは、撮像素子を用いたビデオAFによるオートフォーカス機能を採用している(例えば、特許文献2)。こうして、コンパクトデジタルカメラでは、被写体からの光を位相差検出部へ導くためのミラーをなくすことにより小型化を実現している。このようなコンパクトデジタルカメラでは、撮像素子へ光を入射させた状態でオートフォーカスを行うことができる。すなわち、オートフォーカスを行いながら、撮像素子を用いた種々の処理、例えば、撮像素子上に結像する被写体像から画像信号を取得して、カメラの背面に設けた画像表示部へ表示したり、記録部へ記録したりすることができる。このビデオAFによるオートフォーカス機能は、一般的に位相差検出方式AFに比べて精度が高いという利点がある。
【特許文献1】特開2007−163545号公報
【特許文献2】特開2007−135140号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に係るデジタルカメラのようにビデオAFではデフォーカス方向を瞬時に検出することができない。例えば、コントラスト検出方式AFによれば、コントラストピークを検出することで焦点を検出するが、フォーカスレンズを現在の位置から前後に移動させる等しないと、コントラストピークの方向、即ち、デフォーカス方向を検出することができない。そのため、焦点検出に時間がかかってしまう。
【0006】
一方、焦点検出に要する時間を短縮する観点からは位相差検出方式AFの方が有利であるが、特許文献1に係るデジタル一眼レフカメラのように位相差検出方式AFを採用している撮像装置においては、被写体からの光を位相差検出部へ導くべく、レンズ鏡筒から撮像素子への光路上に可動ミラーを進出させる必要があるため、位相差検出方式AFを行いながら、撮像素子を露光することができない。
【0007】
発明者は、かかる点に鑑みて、撮像素子を露光しつつ、位相差検出方式AFを行うことができる撮像装置を発明した。本出願は、当該撮像装置を応用し、好適な撮影モードの選択を可能とすることを第1の目的。また、本出願は、動画像の撮影時の位相差検出方式によるAFをスムーズに行うことを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記第1の目的は、次の撮像装置によって達成される。
【0009】
当該撮像装置は、
被写体からの光を光電変換により電気信号に変換する撮像素子と、
前記撮像素子と同時に前記撮像素子が受光する被写体からの光を受光して位相差検出を行う位相差検出部と、
焦点位置を調節するためのフォーカスレンズ群と、
前記フォーカスレンズの位置を検出するフォーカスレンズ位置検出部と、
前記フォーカスレンズ位置検出部の出力と前記位相差検出部の出力とによって被写体距離を算出し、算出した当該被写体距離に応じて、複数の撮影モードから1つの撮影モードを自動的に選択する制御部と、を備える。
【0010】
上記第2の目的は、次の撮像装置によって達成される。
【0011】
当該撮像装置は、
被写体からの光を光電変換により電気信号に変換する撮像素子と、
被写体からの光を受光して位相差検出を行う位相差検出部と、
前記位相差検出部の電荷蓄積時間を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、静止画を撮影する際の前記電荷蓄積時間と動画を撮影し記録する際の前記電荷蓄積時間とを異ならせる。
【発明の効果】
【0012】
本願の撮像装置によれば、好適な撮影モードの選択が可能である。また、動画像の撮影時の位相差検出方式によるAFをスムーズに行うことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1に係る撮像装置としてのカメラについて説明する。
【0015】
実施形態1に係るカメラ100は、図1に示すように、交換レンズ式の一眼レフデジタルカメラであり、主に、カメラシステムの主要な機能を有するカメラ本体4と、カメラ本体4に取り外し可能に装着された交換レンズ7とから構成されている。交換レンズ7は、カメラ本体4の前面に設けられたボディマウント41に装着されている。ボディマウント41には電気切片41aが設けられている。
【0016】
−カメラ本体の構成−
カメラ本体4は、被写体像を撮影画像として取得する撮像ユニット1と、撮像ユニット1の露光状態を調節するシャッタユニット42と、撮像ユニット1に入射する被写体像の赤外光除去とモアレ現象を軽減するためのIRカット兼OLPF(Optical Low Pass Filter)43と、液晶モニタで構成され、撮影画像やライブビュー画像や各種情報を表示す
る画像表示部44と、ボディ制御部5とを有している。このカメラ本体4が撮像装置本体を構成する。
【0017】
また、カメラ本体4には、カメラシステムの電源の入切を操作する電源スイッチ40aと、撮影者がフォーカシング時およびレリーズ時に操作するレリーズボタン40bと、種々の撮影モード及び機能のON/OFFを切り替える設定スイッチ40c〜40fとが設けられている。
【0018】
電源スイッチ40aにより電源がON状態になると、カメラ本体4および交換レンズ7の各部に電源が供給される。
【0019】
レリーズボタン40bは、2段式であって、半押しすることで後述するオートフォーカスやAE等を行う一方、全押しすることでレリーズが行われる。
【0020】
AF設定スイッチ40cは、後述する静止画撮影時の4つのオートフォーカス機能を切り替えるためのスイッチである。カメラ本体4は、このAF設定スイッチ40cが切り替えられることによって、静止画撮影時のオートフォーカス機能を4つのうちの何れかに設定するように構成されている。
【0021】
動画撮影モード選択スイッチ40dは、後述する動画撮影モードの設定/解除を行うためのスイッチである。カメラ本体4は、この動画撮影モード選択スイッチ40dが操作されることによって、静止画撮影モードと動画撮影モードとを切替可能に構成されている。
【0022】
RECボタン40eは、後述する動画撮影モードにおける動画像の記録開始操作および記録終了操作を受け付けるための操作部材である。RECボタン40eが押される操作をされることにより、カメラ100は動画像の記録を開始する。動画像の記録中にRECボタン40eが押される操作をされることにより、カメラ100は動画像の記録を終了する。
【0023】
おまかせiA設定スイッチ40fは、後述するおまかせiA機能の設定/解除を行うためのスイッチである。カメラ本体4は、このおまかせiA設定スイッチ40fが操作されることによって、おまかせiA機能のON/OFFを切替可能に構成されている。
【0024】
また、これらの設定スイッチ40c〜40fは、カメラ撮影機能を種々選択するメニュー内の選択項目であってもよいことは言うまでもない。
【0025】
さらにまた、マクロ設定スイッチ40fは、交換レンズ7に設けてもよい。
【0026】
撮像ユニット1は、詳しくは後述するが、光電変換により被写体像を電気信号に変換するものである。この撮像ユニット1は、ブレ補正ユニット45によって光軸Xに直交する平面内で移動可能に構成されている。
【0027】
ボディ制御部5は、ボディマイコン50と、不揮発性メモリ50aと、シャッタユニット42の駆動を制御するシャッタ制御部51と、撮像ユニット1の動作を制御すると共に撮像ユニット1からの電気信号をA/D変換してボディマイコン50へ出力する撮像ユニット制御部52と、例えばカード型記録媒体や内部メモリである画像格納部58からの画像データの読み出し及び該画像格納部58への画像データの記録を行う画像読み出し/記
録部53と、画像読み出し/記録部53を制御する画像記録制御部54と、画像表示部4
4の表示を制御する画像表示制御部55と、カメラ本体4のブレにより生じる像ブレ量を検出するブレ検出部56と、ブレ補正ユニット45を制御する補正ユニット制御部57とを含む。このボディ制御部5が制御部を構成する。
【0028】
ボディマイコン50は、カメラ本体4の中枢を司る制御装置であり、各種シーケンスの制御を行う。ボディマイコン50には、例えば、CPU,ROM,RAMが搭載されている。そして、ROMに格納されたプログラムがCPUに読み込まれることで、ボディマイコン50は様々な機能を実現することができる。
【0029】
このボディマイコン50は、電源スイッチ40a、レリーズボタン40b及び各設定スイッチ40c〜40fからの入力信号が入力されると共に、シャッタ制御部51、撮像ユニット制御部52、画像読み出し/記録部53、画像記録制御部54及び補正ユニット制御部57等に対し制御信号を出力するように構成されており、シャッタ制御部51、撮像ユニット制御部52、画像読み出し/記録部53、画像記録制御部54及び補正ユニット
制御部57等にそれぞれの制御を実行させる。また、ボディマイコン50は、後述するレンズマイコン80とマイコン間通信を行う。
【0030】
例えば、ボディマイコン50の指示により、撮像ユニット制御部52が撮像ユニット1からの電気信号をA/D変換してボディマイコン50へ出力する。ボディマイコン50は、取り込んだ電気信号に所定の画像処理を施して画像信号を作成する。そして、ボディマ
イコン50は、画像読み出し/記録部53に画像信号を送信すると共に、画像記録制御部
54に画像の記録及び表示の指示を行って、画像格納部58への画像信号の保存と画像表示制御部55への画像信号の送信を行わせる。画像表示制御部55は、送信されてきた画像信号に基づいて画像表示部44を制御して、該画像表示部44に画像を表示させる。
【0031】
また、ボディマイコン50は、詳しくは後述するが、レンズマイコン80を介して被写体までの物点距離を検出するように構成されている。
【0032】
不揮発性メモリ50aには、カメラ本体4に関する各種情報(本体情報)が格納されている。この本体情報には、例えば、カメラ本体4のメーカー名、製造年月日、型番、ボディマイコン50にインストールされているソフトのバージョン、およびファームアップに関する情報などのカメラ本体4を特定するための型式に関する情報(本体特定情報)、カメラ本体4がブレ補正ユニット45及びブレ検出部56等の像ブレを補正するための手段を搭載しているか否かに関する情報、ブレ検出部56の型番および感度などの検出性能に関する情報、エラー履歴なども含まれている。尚、これらの情報は、不揮発性メモリ50aの代わりにボディマイコン50内のメモリ部に格納されていてもよい。
【0033】
ブレ検出部56は、手ブレなどに起因するカメラ本体4の動きを検出する角速度センサを備える。角速度センサは、カメラ本体4が静止している状態での出力を基準としてカメラ本体4が動く方向に応じて正負の角速度信号を出力する。尚、本実施の形態では、ヨーイング方向及びピッチング方向の2方向を検出するために角速度センサを2個設けている。出力された角速度信号は、フィルタ処理、アンプ処理等を経て、A/D変換部によりデジタル信号に変換されてボディマイコン50に与えられる。
【0034】
−交換レンズの構成−
交換レンズ7は、カメラ本体4内の撮像ユニット1に被写体像を結ぶための撮像光学系を構成しており、主に、フォーカシングを行うフォーカス調節部7Aと、絞りを調節する絞り調節部7Bと、光路を調節することで像ブレを補正するレンズ用像ブレ補正部7Cと、交換レンズ7の動作を制御するレンズ制御部8とを有している。
【0035】
交換レンズ7は、レンズマウント71を介して、カメラ本体4のボディマウント41に取り付けられている。また、レンズマウント71には、交換レンズ7がカメラ本体4に取り付けられてときにボディマウント41の電気切片41aと電気的に接続される電気切片71aが設けられている。
【0036】
フォーカス調節部7Aは、フォーカスを調節するフォーカスレンズ群72で構成されている。フォーカスレンズ群72は、交換レンズ7の規格として定められた最至近合焦位置から無限合焦位置までの区間で光軸X方向に移動可能である。また、フォーカスレンズ群72は、後述するコントラスト検出方式による合焦位置検出の場合、合焦位置を挟んで光軸X方向前後に移動可能である必要があるため、上述の最至近合焦位置から無限合焦位置までの区間よりもさらに光軸X方向前後に移動可能なレンズシフト余裕区間を有している。なお、フォーカスレンズ群72は、必ずしも複数のレンズで構成される必要はなく、1枚のレンズで構成されていてもよい。
【0037】
絞り調節部7Bは、絞りまたは開放を調節する絞り部73で構成されている。この絞り部73が光量調節部を構成する。
【0038】
レンズ用像ブレ補正部7Cは、ブレ補正レンズ74と、ブレ補正レンズ74を光軸Xに直行する平面内で移動させるブレ補正レンズ駆動部74aとを有している。
【0039】
レンズ制御部8は、レンズマイコン80と、不揮発性メモリ80aと、フォーカスレンズ群72の動作を制御するフォーカスレンズ群制御部81と、フォーカスレンズ群制御部81の制御信号を受けてフォーカスレンズ群72を駆動するフォーカス駆動部82と、絞り部73の動作を制御する絞り制御部83と、交換レンズ7のブレを検出するブレ検出部84と、ブレ補正レンズ駆動部74aを制御するブレ補正レンズユニット制御部85とを有する。
【0040】
レンズマイコン80は、交換レンズ7の中枢を司る制御装置であり、交換レンズ7に搭載された各部に接続されている。具体的には、レンズマイコン80には、CPU、ROM、RAMが搭載されており、ROMに格納されたプログラムがCPUに読み込まれることで、様々な機能を実現することができる。例えば、レンズマイコン80は、ボディマイコン50からの信号に基づいてレンズ用像ブレ補正装置(ブレ補正レンズ駆動部74a等)を補正可能状態または補正不能状態に設定する機能を有している。また、レンズマウント71に設けられた電気切片71aとボディマウント41に設けられた電気切片41aとの接触により,ボディマイコン50およびレンズマイコン80は電気的に接続されており、互いに情報の送受信が可能となっている。
【0041】
また、不揮発性メモリ80aには、交換レンズ7に関する各種情報(レンズ情報)が格納されている。このレンズ情報には、例えば、交換レンズ7のメーカー名、製造年月日、型番、レンズマイコン80にインストールされているソフトのバージョンおよびファームアップに関する情報などの交換レンズ7を特定するための型式に関する情報(レンズ特定情報)、交換レンズ7がブレ補正レンズ駆動部74a及びブレ検出部84等の像ブレを補正するための手段を搭載しているか否かに関する情報、像ブレを補正するための手段を搭載している場合は、ブレ検出部84の型番および感度などの検出性能に関する情報、ブレ補正レンズ駆動部74aの型番および最大補正可能角度などの補正性能に関する情報(レンズ側補正性能情報)、像ブレ補正を行うためのソフトのバージョンなどが含まれている。さらに、レンズ情報には、ブレ補正レンズ駆動部74aの駆動に必要な消費電力に関する情報(レンズ側消費電力情報)およびブレ補正レンズ駆動部74aの駆動方式に関する情報(レンズ側駆動方式情報)も含まれている。尚、不揮発性メモリ80aは、ボディマイコン50から送信された情報を格納可能である。尚、これらの情報は、不揮発性メモリ80aの代わりに、レンズマイコン80内のメモリ部に格納されていてもよい。
【0042】
フォーカスレンズ群制御部81は、フォーカスレンズ群72の光軸方向の絶対位置を検出する絶対位置検出部81aと、フォーカスレンズ群72の光軸方向の相対位置を検出する相対位置検出部81bとを有している。絶対位置検出部81aは、交換レンズ7の筐体におけるフォーカスレンズ群72の絶対位置を検出するものである。絶対位置検出部81aは、例えば、数bitの接触型エンコーダ基板とブラシとによって構成され、絶対位置を検出可能に構成されている。相対位置検出部81bは、それのみではフォーカスレンズ群72の絶対位置を検出することができないが、フォーカスレンズ群72の移動方向は検出可能であり、例えば二相エンコーダを用いている。二相エンコーダは回転パルスエンコーダや、MR素子、ホール素子など、フォーカスレンズ群72の光軸方向の位置に応じて等しいピッチで2値の信号を交互に出力するものが2つ設けられており、これらのピッチの位相をずらすように設置されている。レンズマイコン80は、相対位置検出部81bの出力からフォーカスレンズ群72の光軸方向の相対位置を算出する。絶対位置検出部81aおよび相対位置検出部81bは、フォーカスレンズ位置検出部の一例である。
【0043】
ブレ検出部84は、手ブレなどに起因する交換レンズ7の動きを検出する角速度センサを備える。角速度センサは、交換レンズ7が静止している状態での出力を基準として交換レンズ7が動く方向に応じて正負の角速度信号を出力する。尚、本実施の形態では、ヨーイング方向及びピッチング方向の2方向を検出するために角速度センサを2個設けている。出力された角速度信号は、フィルタ処理、アンプ処理等を経て、A/D変換部によりデ
ジタル信号に変換されてレンズマイコン80に与えられる。
【0044】
ブレ補正レンズユニット制御部85は、移動量検出部(図示せず)を備える。移動量検出部は、ブレ補正レンズ74の実際の移動量を検出する検出部である。ブレ補正レンズユニット制御部85は、移動量検出部からの出力に基づいて、ブレ補正レンズ74を帰還制御している。
【0045】
尚、カメラ本体4及び交換レンズ7の両方にブレ検出部56,84とブレ補正装置45,74aを搭載した例を示したが、カメラ本体4及び交換レンズ7の何れかにブレ検出部及びブレ補正装置が搭載されていてもよく、何れにもブレ検出部及びブレ補正装置が搭載されていない場合であってもよい(その場合は、上述のブレ補正に関するシーケンスを排除すればよい)。
【0046】
−撮像ユニットの構成−
撮像ユニット1は、図2に示すように、被写体像を電気信号に変換するための撮像素子10と、撮像素子10を保持するためのパッケージ31と、位相差検出方式の焦点検出を行うための位相差検出ユニット20とを有している。
【0047】
撮像素子10は、インターライン型CCDイメージセンサであって、図3に示すように、半導体材料で構成された光電変換部11と、垂直レジスタ12と、転送路13と、マスク14と、カラーフィルタ15と、マイクロレンズ16とを有している。
【0048】
光電変換部11は、基板11aと、基板11a上に配列された複数の受光部(画素ともいう)11b,11b,…とを有している。
【0049】
基板11aは、Si(シリコン)ベースで構成されている。詳しくは、基板11aは、Si単結晶基板又はSOI(Silicon On Insulator wafer)で構成されている。特に、SOI基板は、Si薄膜とSiO2薄膜のサンドイッチ構造をなし、エッチングの処理などにおいてSiO2層で反応をとめることが可能であり、安定した基板加工を行う上で有利である。
【0050】
また、受光部11bは、フォトダイオードで構成されていて、光を吸収して電荷を発生する。受光部11b,11b,…は、基板11a上において行列状に配列された微小な方形の画素領域内にそれぞれ設けられている(図4参照)。
【0051】
垂直レジスタ12は、受光部11bごとに設けられており、受光部11bに蓄積された電荷を一時蓄積する役割を有する。つまり、受光部11bに蓄積された電荷は、垂直レジスタ12に転送される。垂直レジスタ12に転送された電荷は、転送路13を介して水平レジスタ(図示省略)に転送され、増幅器(図示省略)に送られる。増幅器に送られた電荷は、増幅され電気信号として取り出される。
【0052】
マスク14は、受光部11bを被写体側に露出させる一方、垂直レジスタ12及び転送路13を覆うように設けられていて、垂直レジスタ12及び転送路13に光が入射することを防止している。
【0053】
カラーフィルタ15及びマイクロレンズ16は、各受光部11bに対応して前記微小な方形の画素領域ごとに設けられている。カラーフィルタ15は、特定の色だけを透過させるためのものであり、原色フィルタ又は補色フィルタが用いられる。本実施形態では、図4に示すように、いわゆるベイヤー型の原色フィルタが用いられている。すなわち、撮像素子10全体としては、2行2列に隣接する4つのカラーフィルタ15,15,…(又は4つの画素領域)を1つの繰り返し単位としたときに、該繰り返し単位中において、一方の対角方向に2つの緑のカラーフィルタ(即ち、緑色の可視光波長域に対して緑色以外の他の色の可視光波長域よりも高い透過率を持つカラーフィルタ)15gが配列され、他方の対角方向に赤のカラーフィルタ(即ち、赤色の可視光波長域に対して赤色以外の他の色の可視光波長域よりも高い透過率を持つカラーフィルタ)15rと青のカラーフィルタ(即ち、青色の可視光波長域に対して青色以外の他の色の可視光波長域よりも高い透過率を持つカラーフィルタ)15bとが配列されている。全体として緑のカラーフィルタ15g,15g,…が縦横に1つおきに配置されている。
【0054】
マイクロレンズ16は、光を集光して受光部11bに入射させるものである。このマイクロレンズ16によって受光部11bを効率良く照射できる。
【0055】
このように構成された撮像素子10においては、マイクロレンズ16,16,…によって集光された光は、カラーフィルタ15r,15g,15bに入射し、各カラーフィルタに応じた色の光だけが該カラーフィルタを透過して、受光部11b,11b,…に照射する。各受光部11bは、光を吸収して電荷を発生する。この各受光部11bで発生した電荷は、垂直レジスタ12及び転送路13を介して増幅器に送られ、電気信号として出力される。つまり、受光部11b,11b,…からは、各カラーフィルタに対応した色の受光光量が出力として得られる。
【0056】
こうして、撮像素子10は、その撮像面全体における受光部11b,11b,…で光電変換を行うことによって、撮像面に形成された被写体像を電気信号に変換する。
【0057】
ここで、基板11aには、照射された光を透過させる透過部17,17,…が複数形成されている。透過部17は、基板11aにおける受光部11bが設けられている面とは反対側の面(以下、単に裏面ともいう)11cを切削、研磨又はエッチングにより凹状に陥没させることによって形成されており、周辺部よりも薄く形成されている。さらに詳しくは、透過部17は、最も薄肉になっている陥没面17aと、該陥没面17aと裏面11cとを繋ぐ傾斜面17b,17bとを有している。
【0058】
この基板11aにおける透過部17を光が透過する程度の厚みに形成することによって、光電変換部11に照射された光のうち該透過部17に照射された光の一部は電荷に変換されずに該光電変換部11を透過する。例えば、透過部17における基板11aの厚みを2〜3μmに設定することによって、近赤外光より長波長側を約50%透過させることができる。
【0059】
また、傾斜面17b,17bは、透過部17を透過する際に該傾斜面17bで反射する光が後述する位相差検出ユニット20のコンデンサレンズ21a,21a,…へ向かわない角度に設定されている。こうすることで、後述するラインセンサ24aに実像でない像が形成されることを防止している。
【0060】
この透過部17が、撮像素子10に入射する光を透過、即ち、通過させる薄肉部を構成する。ここで、少なくとも本明細書においては、「通過」は「透過」を含む概念である。
【0061】
このように構成された撮像素子10は、パッケージ31に保持されている(図2参照)。このパッケージ31が保持部を構成する。
【0062】
詳しくは、パッケージ31は、平板状の底板31aにフレーム32が設けられていると共に、四方には立壁31b,31b,…が設けられている。撮像素子10は、立壁31b,31b,…により四方を覆われるようにして、フレーム32にマウントされると共に、フレーム32に対してボンディングワイヤを介して電気的に接続されている。
【0063】
また、パッケージ31の立壁31b,31b,…の先端には、撮像素子10の撮像面(受光部11b,11b,…が設けられている面)を覆うようにカバーガラス33が取り付けられている。このカバーガラス33によって、撮像素子10の撮像面はゴミの付着などから保護されている。
【0064】
ここで、パッケージ31の底板31aには、撮像素子10の透過部17,17,…に対応する位置に該透過部17,17,…と同じ個数だけ開口31c,31c,…が貫通形成されている。この開口31c,31c,…により、撮像素子10を透過した光が、後述する位相差検出ユニット20まで到達する。この開口31cが通過部を構成する。
【0065】
尚、パッケージ31の底板31aには、必ずしも開口31cが貫通形成される必要はない。すなわち、撮像素子10を透過した光が位相差検出ユニット20まで到達する構成であれば、底板31aに透明部若しくは半透明部を形成する等の構成であってもよい。
【0066】
位相差検出ユニット20は、撮像素子10の背面側(被写体と反対側)に設けられて、撮像素子10からの通過光を受光して位相差検出を行う。詳しくは、位相差検出ユニット20は、受光した通過光を測距のための電気信号に変換する。この位相差検出ユニット20が位相差検出部を構成する。
【0067】
この位相差検出ユニット20は、図2,5に示すように、コンデンサレンズユニット21と、マスク部材22と、セパレータレンズユニット23と、ラインセンサユニット24と、これらコンデンサレンズユニット21、マスク部材22、セパレータレンズユニット23及びラインセンサユニット24を取り付けるためのモジュール枠25とを有している。コンデンサレンズユニット21、マスク部材22、セパレータレンズユニット23及びラインセンサユニット24は、撮像素子10の厚さ方向に沿って該撮像素子10側からこの順で並んでいる。
【0068】
コンデンサレンズユニット21は、複数のコンデンサレンズ21a,21a,…を一体的にユニット化したものである。コンデンサレンズ21a,21a,…は、透過部17,17,…と同じ数だけ設けられている。各コンデンサレンズ21aは、入射する光を集光するためのものであり、撮像素子10を透過して拡がりつつある光を集光して、セパレータレンズユニット23の後述するセパレータレンズ23aへと導く。各コンデンサレンズ21aは、入射面21bが凸状に形成されていると共に、入射面21b近傍が円柱状に形成されている。
【0069】
このコンデンサレンズ21aを設けることによって、セパレータレンズ23aへの入射角度が立つ(入射角が小さくなる)ため、セパレータレンズ23aの収差を抑えることができると共に、後述するラインセンサ24a上の被写体像間隔を小さくすることができる。その結果、セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aを小型化することができる。また、撮像光学系からの被写体像の焦点位置が撮像ユニット1から大きく外れたとき(詳しくは、撮像ユニット1の撮像素子10から大きく外れたとき)、その像のコントラストが著しく下がるが、本実施形態によれば、コンデンサレンズ21aとセパレータレンズ23aによる縮小効果によりコントラストの低下を抑え、焦点検出範囲を広くすることもできる。尚、焦点位置近傍における高精度な位相差検出等の場合、セパレータレンズ23aやラインセンサ24a等の寸法に余裕がある場合等においては、コンデンサレンズユニット21を設けなくてもよい。
【0070】
マスク部材22は、コンデンサレンズユニット21とセパレータレンズユニット23との間に配設される。マスク部材22は、各セパレータレンズ23aに対応する位置ごとに2つのマスク開口22a,22aが形成されている。つまり、マスク部材22は、セパレータレンズ23aのレンズ面を2つの領域に分割して、該2つの領域だけをコンデンサレンズ21a側に露出させている。すなわち、マスク部材22は、コンデンサレンズ21aにより集光された光を2つの光束に瞳分割して、セパレータレンズ23aへ入射させる。このマスク部材22により隣り合う一方のセパレータレンズ23aからの有害光などが他方のセパレータレンズ23aに入らないようにすることができる。尚、このマスク部材22は、設けなくともよい。
【0071】
セパレータレンズユニット23は、複数のセパレータレンズ23a,23a,…を有し、これら複数のセパレータレンズ23a,23a,…を一体的にユニット化したものである。セパレータレンズ23a,23a,…は、コンデンサレンズ21a,21a,…と同様に、透過部17,17,…と同じ数だけ設けられている。各セパレータレンズ23aは、マスク部材22を通過して入射してきた2つの光束を、同一の2つの被写体像としてラインセンサ24a上に結像させる。
【0072】
ラインセンサユニット24は、複数のラインセンサ24a,24a,…と該ラインセンサ24a,24a,…を設置する設置部24bとを有する。ラインセンサ24a,24a,…は、コンデンサレンズ21a,21a,…と同様に、透過部17,17,…と同じ数だけ設けられている。各ラインセンサ24aは、撮像面上に結像する像を受光して電気信号に変換する。つまり、ラインセンサ24aの出力から、2つの被写体像の間隔を検出することができ、その間隔によって撮像素子10に結像する被写体像の焦点のずれ量(即ち、デフォーカス量(Df量))及び焦点がどちらの方向にずれているか(即ち、デフォーカス方向)を求めることができる(以下、これらDf量及びデフォーカス方向等をデフォーカス情報ともいう)。
【0073】
このように構成されたコンデンサレンズユニット21、マスク部材22、セパレータレンズユニット23及びラインセンサユニット24は、モジュール枠25に配設されている。
【0074】
モジュール枠25は、枠状に形成された部材であって、その内周には、内側に向かって突出する取付部25aが設けられている。取付部25aの撮像素子10側には、階段状に第1取付部25b及び第2取付部25cが形成されている。また、取付部25aの撮像素子10と反対側には、第3取付部25dが形成されている。
【0075】
そして、撮像素子10側から、モジュール枠25の第2取付部25cにマスク部材22が取り付けられ、第1取付部25bにコンデンサレンズユニット21が取り付けられている。これらコンデンサレンズユニット21及びマスク部材22は、それぞれ第1取付部25b及び第2取付部25cに取り付けられる際に、図2,5に示すように、周縁部がモジュール枠25に嵌り込むように形成されており、それによりモジュール枠25に対して位置決めされる。
【0076】
一方、撮像素子10の反対側から、モジュール枠25の第3取付部25dにセパレータレンズユニット23が取り付けられている。第3取付部25dには、コンデンサレンズユニット21と反対側に突出する位置決めピン25eと方向基準ピン25fとが設けられている。一方、セパレータレンズユニット23には、これら位置決めピン25e及び方向基準ピン25fにそれぞれ対応する位置決め孔23b及び方向基準孔23cが形成されている。位置決めピン25eと位置決め孔23bとは嵌合するようにそれぞれの径が設定されている。一方、方向基準ピン25fと方向基準孔23cとは緩やかに嵌るようにそれぞれの径が設定されている。すなわち、セパレータレンズユニット23は、位置決め孔23b及び方向基準孔23cをそれぞれ第3取付部25dの位置決めピン25e及び方向基準ピン25fに挿通させることによって、第3取付部25dに取り付ける際の方向等の姿勢が規定されると共に、位置決め孔23bと位置決めピン25eとの嵌合によって第3取付部25dに対して位置決めされる。こうして、セパレータレンズユニット23が姿勢及び位置を決めて取り付けられたとき、セパレータレンズ23a,23a,…の各レンズ面は、コンデンサレンズユニット21の側を向くと共に、マスク開口22a,22aと対向した状態になる。
【0077】
こうして、コンデンサレンズユニット21、マスク部材22及びセパレータレンズユニット23は、モジュール枠25に対して位置決めされた状態で取り付けられる。すなわち、これらコンデンサレンズユニット21、マスク部材22及びセパレータレンズユニット23は、モジュール枠25を介して、互いの位置関係が位置決めされる。
【0078】
そして、ラインセンサユニット24が、セパレータレンズユニット23の背面側(コンデンサレンズユニット21と反対側)からモジュール枠25に対して取り付けられる。このとき、ラインセンサユニット24は、各セパレータレンズ23aを透過した光がラインセンサ24aに入射するように位置決めされた状態でモジュール枠25に取り付けられる。
【0079】
したがって、コンデンサレンズユニット21、マスク部材22、セパレータレンズユニット23及びラインセンサユニット24をモジュール枠25に取り付けることによって、コンデンサレンズ21a,21a,…に入射した光が、該コンデンサレンズ21a,21a,…を透過して、マスク部材22を介してセパレータレンズ23a,23a,…に入射し、セパレータレンズ23a,23a,…を透過した光がラインセンサ24a,24a,…上に結像するように、コンデンサレンズ21a,21a,…、マスク部材22、セパレータレンズ23a,23a,…及びラインセンサ24a,24a,…がそれぞれ位置決めされた状態で配列される。
【0080】
このように構成された撮像素子10と位相差検出ユニット20とは、互いに接合される。詳しくは、撮像素子10におけるパッケージ31の開口31cと位相差検出ユニット20におけるコンデンサレンズ21aとが、互いに嵌合するように構成されている。つまり、位相差検出ユニット20におけるコンデンサレンズ21a,21a,…を、撮像素子10におけるパッケージ31の開口31c,31c,…に嵌め込んだ状態で、モジュール枠25をパッケージ31に接着する。こうすることで撮像素子10と位相差検出ユニット20とを互いに位置決めした状態で接合することができる。このように、コンデンサレンズ21a,21a,…、セパレータレンズ23a,23a,…及びラインセンサ24a,24a,…は、一体的にユニット化されると共に、ユニット化された状態でパッケージ31に取り付けられる。
【0081】
このとき、全ての開口31c,31c,…と全てのコンデンサレンズ21a,21a,…とを互いに嵌合するように構成してもよい。あるいは、そのうちのいくつかの開口31c,31c,…とコンデンサレンズ21a,21a,…だけを嵌合状態とし、残りの開口31c,31c,…とコンデンサレンズ21a,21a,…とは緩やかに嵌るように構成してもよい。後者の場合には、最も撮像面中央に近いコンデンサレンズ21aと開口31cとが嵌合するように構成して撮像面内における位置決めを行い、さらに、撮像面中央から最も離れたコンデンサレンズ21aと開口31cとが嵌合するように構成して撮像面中央のコンデンサレンズ21a及び開口31c回り(即ち、回転角度)の位置決めを行うことが好ましい。
【0082】
こうして、撮像素子10と位相差検出ユニット20とを接合した結果、基板11aの背面側には、各透過部17ごとに、コンデンサレンズ21a、マスク部材22の一対のマスク開口22a,22a、セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aが配置される。
【0083】
このように、光を透過させるように構成した撮像素子10に対して、撮像素子10を収容するパッケージ31の底板31aに開口31c,31c,…を形成することによって、撮像素子10を透過した光をパッケージ31の背面側まで容易に到達させることができると共に、パッケージ31の背面側に位相差検出ユニット20を配設することによって、撮像素子10を透過した光を位相差検出ユニット20で受光する構成を容易に実現することができる。
【0084】
また、パッケージ31の底板31aに形成される開口31c,31c,…は撮像素子10を透過した光をパッケージ31の背面側に通過させる構成であれば任意の構成を採用することができるが、貫通孔である開口31c,31c,…を形成することによって、撮像素子10を透過した光を減衰させることなくパッケージ31の背面側まで到達させることができる。
【0085】
また、コンデンサレンズ21a,21a,…を開口31c,31c,…に嵌合させることによって、開口31c,31c,…を利用して、撮像素子10に対する位相差検出ユニット20の位置決めを行うことができる。尚、コンデンサレンズ21a,21a,…を設けない場合は、セパレータレンズ23a,23a,…を開口31c,31c,…に嵌合させるように構成すれば、同様に、撮像素子10に対する位相差検出ユニット20の位置決めを行うことができる。
【0086】
それと共に、コンデンサレンズ21a,21a,…にパッケージ31の底板31aを貫かせて、基板11aに接近させて配設することができるため、撮像ユニット1をコンパクトに構成することができる。
【0087】
このように構成された撮像ユニット1の動作について、以下に説明する。
【0088】
撮像ユニット1に被写体からの光が入射すると、該光は、カバーガラス33を透過し撮像素子10に入射する。該光は、撮像素子10のマイクロレンズ16により集光された後、カラーフィルタ15を透過することにより特定の色の光だけが受光部11bに到達する。受光部11bは光を吸収して電荷を発生する。発生した電荷は垂直レジスタ12及び転送路13を介して増幅器に送られ、電気信号として出力される。こうして、撮像素子10は、その撮像面全体において各受光部11bが光を電気信号に変換することによって、撮像面に形成された被写体像を、画像信号を作成するための電気信号に変換する。
【0089】
一方、透過部17,17,…では、撮像素子10に照射された光の一部が撮像素子10を透過する。撮像素子10を透過した光は、パッケージ31の開口31c,31c,…に嵌合されたコンデンサレンズ21a,21a,…へ入射する。各コンデンサレンズ21aを透過することにより集光された光は、マスク部材22に形成された各対のマスク開口22a,22aを通過する際に2つの光束に分割されて各セパレータレンズ23aに入射する。こうして瞳分割された光は、セパレータレンズ23aを透過して、ラインセンサ24a上の2つの位置に同一の被写体像として結像する。ラインセンサ24aは、光電変換により被写体像から電気信号を作成し出力する。
【0090】
ここで、撮像素子10から出力される電気信号は、撮像ユニット制御部52を介してボディマイコン50に入力される。そして、ボディマイコン50は、各受光部11bの位置情報と該受光部11bの受光光量に対応した出力データを撮像素子10の撮像面全体から得ることによって、撮像面に形成された被写体像を、電気信号として取得する。
【0091】
ここで、受光部11b,11b,…では同じ光量の光を受光しても光の波長が異なると蓄積電荷量が異なるため、撮像素子10の受光部11b,11b,…からの出力はそれぞれに設けられているカラーフィルタ15r,15g,15bの種類に応じて補正される。例えば、赤のカラーフィルタ15rが設けられたR画素11b、緑のカラーフィルタ15gが設けられたG画素11b及び青のカラーフィルタ15bが設けられたB画素11bがそれぞれのカラーフィルタに対応する色の光を同じ光量だけ受光したときに、R画素11b、G画素11b、B画素11bからの出力が同じレベルとなるように各画素の補正量が設定される。
【0092】
ただし、本実施形態では基板11aに透過部17,17,…を設けることによって、透過部17,17,…における光電変換効率が、それ以外の部分に比べて低くなる。つまり、同じ光量の光を受光しても、蓄積電荷量は、透過部17,17,…に対応する位置に設けられた画素11b,11b,…の方がそれ以外の部分に設けられた画素11b,11b,…よりも少なくなってしまう。その結果、透過部17,17,…に対応する位置に設けられた画素11b,11b,…から出力された出力データにそれ以外の部分に設けられた画素11b,11b,…から出力された出力データと同様の画像処理を施したのでは、透過部17,17,…に対応する部分の画像が適切に撮影されない(例えば、暗く撮影されてしまう)可能性がある。そこで、透過部17,17,…における各画素11bの出力を、透過部17,17,…の影響がなくなるように補正(例えば、透過部17,17,…における各画素11bの出力を増幅する等)される。
【0093】
また、この出力の低下は、光の波長により異なる。すなわち、波長が長いほど基板11aの透過率が高くなる。そのため、カラーフィルタ15r,15g,15bの種類により、基板11aを透過する光量に差が生じる。そこで、透過部17に対応する各画素11bについての透過部17の影響をなくす補正は、該各画素11bが受光する光の波長に応じて補正量を異ならせている。つまり、透過部17に対応する各画素11bについて、該各画素11bが受光する光の波長が長いほど補正量を大きくしている。
【0094】
ここで、各画素11bでは、前述の如く、受光する色の種類による蓄積電荷量の差をなくすための補正量が設定されており、この色の種類による蓄積電荷量の差をなくす補正に加えて、透過部17の影響をなくす補正がなされる。すなわち、透過部17の影響をなくす補正の補正量は、透過部17に対応する各画素11bについての補正量と、透過部17以外の位置に対応する画素11bであって且つ同じ色を受光する画素11bについての補正量との差となる。本実施形態では、以下に示す関係で色ごとに補正量を異ならせている。こうすることで安定した画像出力を得ることができる。
【0095】
Rk>Gk>Bk ・・・(1)
ここで、
Rk:透過部17のR画素補正量−透過部17以外のR画素補正量
Gk:透過部17のG画素補正量−透過部17以外のG画素補正量
Bk:透過部17のB画素補正量−透過部17以外のB画素補正量
とする。
【0096】
すなわち、赤、緑、青の3色のうち長波長である赤が最も透過率が高いため、赤の画素での補正量の差が最も大きい。また、該3色のうち短波長である青が最も透過率が低いため、青の画素での補正量の差が最も小さい。
【0097】
つまり、撮像素子10の各画素11bの出力の補正量は、各画素11bが透過部17に対応する位置に位置するか否か、および、各画素11bに対応するカラーフィルタ15の色の種類に基づいて決定される。各補正量は、例えば、透過部17からの出力と透過部17以外からの出力とにより表示される画像のホワイトバランス及び/又は輝度が等しくなるように決定される。
【0098】
ボディマイコン50は、受光部11b,11b,…からの出力データをこのように補正した後、該出力データに基づいて、各受光部、即ち、画素11bにおける位置情報、色情報及び輝度情報とを含む画像信号を作成する。こうして、撮像素子10の撮像面上に結像された被写体像の画像信号が得られる。
【0099】
このように撮像素子10からの出力を補正することによって、透過部17,17,…が設けられた撮像素子10であっても、被写体像を適切に撮影することができる。
【0100】
一方、ラインセンサユニット24から出力される電気信号も、ボディマイコン50に入力される。そして、ボディマイコン50は、ラインセンサユニット24からの出力に基づいて、ラインセンサ24a上に結像する2つの被写体像の間隔を求め、求めた間隔から、撮像素子10に結像する被写体像の焦点状態を検出することができる。例えば、ラインセンサ24a上に結像する2つの被写体像は、撮像レンズを透過して撮像素子10に結像する被写体像が正確に結像しているとき(合焦)には、所定の基準間隔を開けて所定の基準位置に位置する。それに対し、被写体像が撮像素子10よりも光軸方向手前側に結像しているとき(前ピン)には、2つの被写体像の間隔が合焦時の基準間隔よりも狭くなる。一方、被写体像が撮像素子10よりも光軸方向奥側に結像しているとき(後ピン)には、2つの被写体像の間隔が合焦時の基準間隔よりも広くなる。つまり、ラインセンサ24aからの出カを増幅した後、演算回路にて演算することによって、合焦か非合焦か、前ピンか後ピンか、Df量はどの位かを知ることができる。
【0101】
尚、本実施形態では、透過部17は基板11aにおいて周辺部よりも薄肉状に形成されているが、これに限られるものではない。例えば、基板11aに照射される光が基板11aを透過して基板11a背面側の位相差検出ユニット20に十分到達するように、基板11a全体の厚さを設定してもよい。この場合、基板11a全体が透過部となる。
【0102】
また、本実施形態では、基板11aに3つの透過部17,17,17が形成されると共に、コンデンサレンズ21a,セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aが透過部17,17,17に対応して3セット設けられているが、これに限られるものではない。これらの個数は3つに限定されるものではなく、任意の個数に設定し得る。例えば、図6に示すように、基板11aに9つの透過部17,17,…を形成すると共に、コンデンサレンズ21a,セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aを9セット設けるようにしてもよい。
【0103】
さらに、撮像素子10は、CCDイメージセンサに限られるものではなく、図7に示すように、CMOSイメージセンサであってもよい。
【0104】
撮像素子210は、CMOSイメージセンサであって、半導体材料で構成された光電変換部211と、トランジスタ212と、信号線213と、マスク214と、カラーフィルタ215と、マイクロレンズ216とを有している。
【0105】
光電変換部211は、基板211aと、フォトダイオードで構成された受光部211b,211b,…とを有している。各受光部211bごとに、トランジスタ212が設けられている。受光部211bで蓄積された電荷は、トランジスタ212で増幅され、信号線213を介して外部へ出力される。マスク214、カラーフィルタ215及びマイクロレンズ216は、前記マスク14、カラーフィルタ15及びマイクロレンズ16と同様の構
成である。
【0106】
そして、基板211aには、CCDイメージセンサと同様に、照射された光を透過させる透過部17,17,…が形成されている。透過部17は、基板211aにおける受光部211bが設けられている面とは反対側の面(以下、単に裏面ともいう)211cを切削、研磨又はエッチングにより凹状に陥没させることによって形成されており、周辺部よりも薄肉に形成されている。
【0107】
また、CMOSイメージセンサにおいては、トランジスタ212の増幅率を受光部211bごとに設定することができるため、各トランジスタ212の増幅率を各受光部11bが透過部17に対応する位置に位置するか否か、および、各受光部11bに対応するカラーフィルタ15の色の種類に基づいて設定することによって、透過部17,17,…に対応する部分の画像が、適切に撮影されないことを防止することができる。
【0108】
また、光が通過する撮像素子の構成としては、前述の如く、透過部17,17,…を設ける構成に限られるものではない。光が撮像素子を通過(前述の如く、透過も含む)する構成であれば、任意の構成を採用することができる。例えば、図8に示すように、基板311aに複数の貫通孔318a,318a,…が形成された通過部318を有する撮像素子310であってもよい。
【0109】
貫通孔318a,318a,…は、基板311aを厚さ方向に貫通して形成されている。詳しくは、基板311a上の行列状の画素領域において、2行2列に隣接する4つの画素領域を1単位としたときに、そのうちの3つの画素領域に受光部11b,11b,11bが配設され、残りの1つの画素領域に貫通孔318aが形成されている。
【0110】
そして、該4つの画素領域中の受光部11b,11b,11bが配設された3つの画素領域には、3つの受光部11b,11b,11bそれぞれに対応する3色のカラーフィルタ15r,15g,15bが配設されている。詳しくは、貫通孔318aに対して対角位置に位置する受光部11bには緑のカラーフィルタ15gが配設され、貫通孔318aと隣接する一方の受光部11bには赤のカラーフィルタ15rが配設され、貫通孔318aと隣接する他方の受光部11bには青のカラーフィルタ15bが配設されている。そして、貫通孔318aに対応する画素領域には、カラーフィルタが設けられていない。
【0111】
この撮像素子10においては、貫通孔318aに対応する画素を、該貫通孔318aに隣接する受光部11b,11b,…の出力を用いて補間する。具体的には、貫通孔318aと画素領域の対角方向に隣接する、緑のカラーフィルタ15gが設けられた4つの受光部11b,11b,…の出力の平均値を用いて貫通孔318aに対応する画素の信号を補間(標準補間)する。または、貫通孔318aと画素領域の対角方向に隣接する、緑のカラーフィルタ15gが設けられた4つの受光部11b,11b,…において別々の対角方向に隣接する2組の受光部11b,11b,…の出力の変化を比較し、変化の大きい方の組の対角方向に隣接する受光部11b,11bの出力の平均値、若しくは変化の小さい方の組の対角方向に隣接する受光部11b,11bの出力の平均値を用いて貫通孔318aに対応する画素の信号を補間(傾斜補間)する。補間したい画素が合焦被写体のエッジである場合、変化の大きい方の受光部11b,11bを用いると、エッジをだらしてしまい好ましくない結果となる。したがって、所定の閾値以上の変化がある場合は変化の小さい方を用い、所定の閾値未満の場合は変化の大きい方を用いて、できるだけ滑らかな傾斜を採用する。
【0112】
こうして、貫通孔318aに対応する受光部11bの出力データを補間した後、受光部11b,11b,…のそれぞれの出力データを用いて、各受光部11bに対応する画素の輝度情報及び色情報を求めて、さらには所定の画像処理や合成を行って画像信号を作成する。
【0113】
こうすることによって、通過部318,318,…における画像が暗く撮影されてしまうことを防止することができる。
【0114】
このように構成された撮像素子310は、入射してきた光を複数の貫通孔318a,318a,…を介して通過させることができる。
【0115】
このように、基板311aに、透過部17ではなく、複数の貫通孔318a,318a,…で構成される通過部318を設けることによっても、光が通過する撮像素子310を構成することができる。また、コンデンサレンズ21a、セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aの1セットに対して複数の貫通孔318a,318a,…からの光が入射するように構成することによって、コンデンサレンズ21a、セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aの1セットの大きさが画素の大きさに限定されないという点で好ましい。すなわち、コンデンサレンズ21a、セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aの1セットの大きさは、画素の狭小化による撮像素子310の高画素化を阻害しない点で好ましい。
【0116】
尚、この通過部318は、位相差検出ユニット20のコンデンサレンズ21aやセパレータレンズ23aに対応する位置だけに設けてもよいし、基板311a全体に設けてもよい。
【0117】
さらにまた、位相差検出ユニット20は、前述の構成に限られるものではない。例えば、撮像素子10の透過部17に対してコンデンサレンズ21aやセパレータレンズ23aが位置決めされる構成であれば、コンデンサレンズ21aとパッケージ31の開口31cとの嵌合は必ずしも必要ない。また、コンデンサレンズを有さない構成でもよい。あるいは、コンデンサレンズ及びセパレータレンズが一体的に形成されたものであってもよい。
【0118】
さらに、別の例としては、図9,10に示すように、撮像素子10の背面側において、コンデンサレンズユニット421と、マスク部材422と、セパレータレンズユニット423と、ラインセンサユニット424とが撮像素子10の撮像面と平行な方向に並んで配置される位相差検出ユニット420であってもよい。
【0119】
詳しくは、コンデンサレンズユニット421は、複数のコンデンサレンズ421a,421a,…を一体的にユニット化していると共に、入射面421bと反射面421cと出射面421dとを有している。すなわち、コンデンサレンズユニット421は、コンデンサレンズ421a,421a,…によって集光された光を反射面421cにより略90°の角度で反射させ、出射面421dから出射させる。その結果、撮像素子10を透過してコンデンサレンズユニット421へ入射した光は、反射面421cによってその光路が略垂直に曲げられて、出射面421dから出射してセパレータレンズユニット423のセパレータレンズ423aへ向かう。セパレータレンズ423aへ入射した光は、該セパレータレンズ423aを透過して、ラインセンサ424aに結像する。
【0120】
このように構成されたコンデンサレンズユニット421、マスク部材422、セパレータレンズユニット423及びラインセンサユニット424は、モジュール枠425に配設されている。
【0121】
モジュール枠425は、箱状に形成されており、その内部には、コンデンサレンズユニット421を取り付けるための段差部425aが形成されている。コンデンサレンズユニット421は、コンデンサレンズ421a,421a,…がモジュール枠425の外方を向くようにして該段差部425aに取り付けられている。
【0122】
また、モジュール枠425には、コンデンサレンズユニット421の出射面421dと対向する位置に、マスク部材422及びセパレータレンズユニット423を取り付けるための取付壁部425bが立設されている。この取付壁部425bには、開口425cが形成されている。
【0123】
マスク部材422は、取付壁部425bに対してコンデンサレンズユニット421の側から取り付けられている。一方、セパレータレンズユニット423は、取付壁部425bに対してコンデンサレンズユニット421と反対側から取り付けられている。
【0124】
こうして、撮像素子10の背面側において、撮像素子10を通過した光の光路を折り曲げることによって、コンデンサレンズユニット421、マスク部材422、セパレータレンズユニット423及びラインセンサユニット424等を、撮像素子10の厚さ方向に並べるのではなく、撮像素子10の撮像面に平行な方向に並べることができるため、撮像ユニット401の、撮像素子10の厚さ方向の寸法を小さくすることができる。つまり、撮像ユニット401をコンパクトに形成することができる。
【0125】
このように、撮像素子10の背面側において、撮像素子10を通過した光を受けて位相差検出を行うことができる構成であれば、任意の構成の位相差検出ユニットを採用することができる。
【0126】
−カメラの動作説明−
このように構成されたカメラ100は、種々の撮影モード及び機能を備えている。以下、カメラ100の種々の撮影モード及び機能と共にそのときの動作を説明する。
【0127】
−静止画撮影時のAF機能−
カメラ100は、静止画撮影モードにおいて、レリーズボタン40bが半押しされると、AFにより焦点を合わせるが、このAFとして、位相差検出方式AFと、コントラスト検出方式AFと、ハイブリッド方式AFと、被写体検出AFとの4つのオートフォーカス機能を有している。これら4つのオートフォーカス機能は、カメラ本体4に設けられたAF設定スイッチ40cを操作することによって、撮影者が選択可能となっている。
【0128】
以下に、各オートフォーカス機能によるカメラシステムの撮影動作を通常撮影モードを前提に説明する。ここで、通常撮影モードとは、通常の撮影を行うためのカメラ100の最も基本的な静止画撮影のための撮影モードである。
【0129】
(位相差検出方式AF)
まず、位相差検出方式AF方式によるカメラシステムの撮影動作について、図11,12を参照して説明する。
【0130】
電源スイッチ40aがONされると(ステップSa1)、カメラ本体4と交換レンズ7との交信が行われる(ステップSa2)。詳しくは、カメラ本体4内のボディマイコン50及び各種ユニットに電力が供給され、ボディマイコン50が起動する。同時に、電気切片41a,71aを介して、交換レンズ7内のレンズマイコン80及び各種ユニットに電極が供給され、レンズマイコン80が起動する。ボディマイコン50及びレンズマイコン80は、起動時に互いに情報を送受信するようプログラミングされており、例えばレンズマイコン80のメモリ部からボディマイコン50へ交換レンズ7に関するレンズ情報が送信され、このレンズ情報はボディマイコン50のメモリ部に格納される。
【0131】
続いて、ボディマイコン50は、レンズマイコン80を介してフォーカスレンズ群72を予め設定された所定の基準位置に位置させる(ステップSa3)と共に、それと並行して、シャッタユニット42を開状態にする(ステップSa4)。その後、ステップSa5へ進み、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされるまで待機する。
【0132】
こうすることで、交換レンズ7を透過して、カメラ本体4内に入射した光は、シャッタユニット42を通過して、さらにIRカット兼OLPF43を透過し、撮像ユニット1へ入射する。そして、撮像ユニット1にて結像した被写体像は画像表示部44に表示され、撮影者は画像表示部44を介して被写体の正立像を観察できる。詳しくは、ボディマイコン50は、撮像ユニット制御部52を介して撮像素子10からの電気信号を一定の周期で読み込み、読み込んだ電気信号に対して所定の画像処理を施した後、画像信号を作成し、画像表示制御部55を制御して画像表示部44にライブビュー画像を表示させる。
【0133】
また、撮像ユニット1へ入射した光の一部は、撮像素子10の透過部17,17,…を透過して位相差検出ユニット20へ入射する。
【0134】
ここで、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされる(即ち、S1スイッチ(図示省略)がONされる)と(ステップSa5)、ボディマイコン50は、位相差検出ユニット20のラインセンサ24aからの出カを増幅した後、演算回路にて演算することによって、合焦か非合焦か、前ピンか後ピンか、Df量はどの位かを求める(ステップSa6)。
【0135】
その後、ボディマイコン50は、ステップSa6で取得したDf量分だけデフォーカス方向にフォーカスレンズ群72をレンズマイコン80を介して駆動させる(ステップSa7)。
【0136】
このとき、本実施形態に係る位相差検出ユニット20は、コンデンサレンズ21a、マスク開口22a,22a、セパレータレンズ23a及びラインセンサ24aのセットを3セット、即ち、位相差検出を行う測距ポイント を3つ有している。そして、位相差検出方式AFやハイブリッド方式AFにおける位相差検出では、撮影者が任意に選択した測距ポイントに対応したセットのラインセンサ24aの出力に基づいてフォーカスレンズ群72を駆動させる。
【0137】
あるいは、複数の測距ポイントのうち最もカメラに近接した測距ポイントを選択してフォーカスレンズ群72の駆動を行うように、ボディマイコン50に自動最適化アルゴリズムを設定しておいてもよい。この場合、中抜け写真などが発生する確率を低減することができる。
【0138】
尚、この測距ポイントの選択は、位相差検出方式AFに限られるものではなく、位相差検出ユニット2を用いてフォーカスレンズ群72を駆動させる構成であれば、任意の方式のAFに採用できる。
【0139】
そして、合焦したか否かを判定する(ステップSa8)。詳しくは、ラインセンサ24aの出力から得られるDf量が所定値以下であるときには合焦した(YES)と判定してステップSa11へ進む一方、ラインセンサ24aの出力から得られるDf量が所定値より大きいときには合焦していない(NO)と判定してステップSa6へ戻り、ステップSa6〜Sa8を繰り返す。
【0140】
こうして焦点状態の検出とフォーカスレンズ群72の駆動を繰り返し、Df量が所定量以下になったときに合焦と判断され、フォーカスレンズ群72の駆動が停止される。
【0141】
また、ステップSa6〜Sa8における位相差検出方式AFと並行して、測光を行う(ステップSa9)と共に、像ブレ検出を開始する(ステップSa10)。
【0142】
すなわち、ステップSa9においては、撮像素子10によって該撮像素子10に入射してくる光の光量が測定される。つまり、本実施形態においては、撮像素子10に入射して該撮像素子10を透過した光を用いて上述の位相差検出方式AFを行っているため、該位相差検出方式AFと並行して、撮像素子10を用いて測光を行うことができる。
【0143】
詳しくは、ボディマイコン50が、撮像ユニット制御部52を介して撮像素子10からの電気信号を取り込み、該電気信号に基づいて被写体光の強度を測定することによって測光を行う。そして、ボディマイコン50は、測光の結果から、撮影モードに応じた露光時におけるシャッタスピードと絞り値を所定のアルゴリズムに従って決定する。
【0144】
そして、ステップSa9において測光が終了すると、ステップSa10において像ブレ検出を開始する。尚、ステップSa9とステップSa10とは並行して行ってもよい。
【0145】
また、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると、画像表示部44には、撮影画像と共に撮影に係る各種情報表示が表示され、撮影者は画像表示部44を介して各種情報を確認することができる。
【0146】
ステップSa11では、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされる(即ち、S2スイッチ(図示省略)がONされる)まで待機する。撮影者によりレリーズボタン40bが全押しされると、ボディマイコン50は、シャッタユニット42を一旦、閉状態にする(ステップSa12)。こうして、シャッタユニット42を閉状態にしている間に、後述する露光に備えて、撮像素子10の受光部11b,11b,…に蓄積されている電荷を転送してしまう。
【0147】
その後、ボディマイコン50は、カメラ本体4と交換レンズ7との交信情報、又は撮影者の任意の指定情報を基に像ブレの補正を開始する(ステップSa13)。具体的には、カメラ本体4内のブレ検出部56の情報を基に交換レンズ7内のブレ補正レンズ駆動部74aを駆動する。また、撮影者の意図に応じて、(i)交換レンズ7内のブレ検出部84とブレ補正レンズ駆動部74aを用いる、(ii)カメラ本体4内のブレ検出部56とブレ補正ユニット45を用いる、(iii)交換レンズ7内のブレ検出部84とカメラ本体4内のブレ補正ユニット45を用いる、の何れかが選択可能である。
【0148】
尚、像ブレ補正手段の駆動開始は、レリーズボタン40b半押し時点から開始することで、合焦させたい被写体の動きが軽減され、位相差検出方式AFをより正確に行うことが可能となる。
【0149】
また、ボディマイコン50は、像ブレの補正開始と並行して、ステップSa9における測光の結果から求められた絞り値となるようにレンズマイコン80を介して絞り部73を絞り込む(ステップSa14)。
【0150】
こうして、像ブレの補正が開始されると共に、絞り込みが完了すると、ボディマイコン50は、ステップSa9における測光の結果から求められたシャッタスピードに基づいてシャッタユニット42を開状態にする(ステップSa15)。こうして、シャッタユニット42を開状態にすることで、被写体からの光が撮像素子10に入射するようになり、撮像素子10では所定時間だけ電荷の蓄積を行う(ステップSa16)。
【0151】
そして、ボディマイコン50は、該シャッタスピードに基づいて、シャッタユニット42を閉状態にして、露光を終了する(ステップSa17)。露光完了後、ボディマイコン50では、撮像ユニット制御部52を介して撮像ユニット1から画像データを読み出し、所定の画像処理後、画像読み出し/記録部53を介して画像表示制御部55へ画像データを出力する。これにより、画像表示部44へ撮影画像が表示される。また、ボディマイコン50は、必要に応じて、画像記録制御部54を介して画像格納部58に画像データを格納する。
【0152】
その後、ボディマイコン50は、像ブレ補正を終了する(ステップSa18)と共に、絞り部73を開放する(ステップSa19)。そして、ボディマイコン50は、シャッタユニット42を開状態とする(ステップSa20)。
【0153】
レンズマイコン80は、リセットが完了すると、ボディマイコン50にリセット完了を伝える。ボディマイコン50は、レンズマイコン80からのリセット完了情報と露光後の一連の処理の完了を待ち、その後、レリーズボタン40bの状態が、押し込みされていないことを確認し、撮影シーケンスを終了する。その後、ステップSa5へ戻り、レリーズボタン40bが半押しされるまで待機する。
【0154】
尚、電源スイッチ40aがOFFされる(ステップSa21)と、ボディマイコン50は、フォーカスレンズ群72を予め設定された所定の基準位置に移動させる(ステップSa22)と共に、シャッタユニット42を閉状態にする(ステップSa23)。そして、カメラ本体4内のボディマイコン50及び各種ユニット、並びに交換レンズ7内のレンズマイコン80及び各種ユニットの作動を停止する。
【0155】
このように、位相差検出方式AFによるカメラシステムの撮影動作においては、位相差検出ユニット20に基づいたオートフォーカスと並行して、撮像素子10により測光が行われる。すなわち、位相差検出ユニット20は撮像素子10を透過した光を受けてデフォーカス情報を取得するため、デフォーカス情報を取得する際には必ず、被写体からの光が撮像素子10に照射されている。そこで、オートフォーカス時に撮像素子10を透過する光を用いて測光を行う。こうすることで、測光用のセンサを別途設ける必要がなくなると共に、レリーズボタン40bが全押しされる前に測光を行っておくことができるため、レリーズボタン40bが全押しされてから露光が完了するまでの時間(以下、レリーズタイムラグともいう)を短縮することができる。
【0156】
また、レリーズボタン40bの全押し前に測光を行う構成であっても、測光をオートフォーカスと並行して行うことによって、レリーズボタン40b半押し後の処理時間を長くしてしまうことも防止できる。その際、被写体からの光を測光用センサや位相差検出ユニットへ導くためのミラーを設ける必要がない。
【0157】
また、従来は、被写体から撮像装置に導かれる光の一部をミラー等で、撮像装置外に設けられた位相差検出ユニットへ導いていたのに対し、撮像ユニット1に導かれた光をそのまま用いて位相差検出ユニット20によって焦点状態を検出することができるため、焦点状態を非常に高精度に能力することができる。
【0158】
(コントラスト検出方式AF)
次に、コントラスト検出方式AFによるカメラシステムの撮影動作について、図13を参照して説明する。
【0159】
電源スイッチ40aがONされると(ステップSb1)、カメラ本体4と交換レンズ7との交信が行われ(ステップSb2)、フォーカスレンズ群72を所定の基準位置に位置させ(ステップSb3)、それと並行して、シャッタユニット42を開状態にし(ステップSb4)、レリーズボタン40bが半押しされるのを待機する(ステップSb5)ところまでは、位相差検出方式AFにおけるステップSa1〜Sa5と同じである。
【0160】
撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると(ステップSb5)、ボディマイコン50は、レンズマイコン80を介してフォーカスレンズ群72を駆動させる(ステップSb6)。詳しくは、被写体像の焦点が光軸方向の所定の方向(例えば、被写体側)に移動するようにフォーカスレンズ群72を駆動する。
【0161】
そして、ボディマイコン50は、撮像ユニット制御部52を介して取り込んだ撮像素子10からの出力に基づいて被写体像のコントラスト値を求め、該コントラスト値が低く変化したか否かを判定する(ステップSb7)。その結果、コントラスト値が低くなった(YES)ときにはステップSb8へ進む一方、コントラスト値が高くなった(NO)ときにはステップSb9へ進む。
【0162】
コントラスト値が低くなったときには、フォーカスレンズ群72を焦点が合う方向とは反対方向に駆動したということであるため、被写体像の焦点が光軸方向の前記所定の方向とは反対方向(例えば、被写体と反対側)に移動するようにフォーカスレンズ群72を反転駆動する(ステップSb8)。その後、コントラストピークを検出したか否かを判定し(ステップSb10)、コントラストピークを検出されない(NO)間はフォーカスレンズ群72の反転駆動(ステップSb8)を繰り返す。そして、コントラストピークが検出された(YES)ときには、フォーカスレンズ群72の反転駆動を停止すると共に、フォーカスレンズ群72をコントラスト値がピークとなった位置まで移動させ、ステップSa11へ進む。
【0163】
一方、ステップSb6でフォーカスレンズ群72を駆動させて、コントラスト値が高くなったときには、フォーカスレンズ群72を焦点が合う方向に駆動させているため、そのままフォーカスレンズ群72の駆動を継続して(ステップSb9)、コントラスト値のピークを検出したか否かを判定する(ステップSb10)。その結果、コントラストピークを検出されない(NO)間はフォーカスレンズ群72の駆動(ステップSb9)を繰り返す一方、コントラストピークが検出された(YES)ときには、フォーカスレンズ群72の駆動を停止すると共に、フォーカスレンズ群72をコントラスト値がピークとなった位置まで移動させ、ステップSa11へ進む。
【0164】
このように、コントラスト検出方式では、フォーカスレンズ群72をとりあえず駆動してみて(ステップSb6)、コントラスト値が低く変化したときにはフォーカスレンズ群72を反転駆動してコントラスト値のピークを探す(ステップSb8,Sb10)一方、コントラスト値が高く変化したときにはフォーカスレンズ群72をそのまま駆動してコントラスト値のピークを探す(ステップSb9,Sb10)。なお、コントラスト値の算出は、撮像素子10で撮像した被写体像全体を対象にしてもよく、その一部を対象にしてもよい。具体的には、ボディマイコン50は、撮像素子10の一部のエリアの画素からの出力に基づいてコントラスト値を算出してもよい。例えば、ボディマイコン50は、後述する被写体検出AFによって決定されたコントラストAFエリアの画像信号に基づいてコントラスト値を算出してもよい。
【0165】
また、このコントラスト検出方式AF(ステップSb6〜Sb10)と並行して、測光を行う(ステップSb11)と共に、像ブレ検出を開始する(ステップSb12)。これらステップSb11,Sb12は、位相差検出方式AFのステップSa9,Sa10と同様である。
【0166】
ステップSa11では、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされるまで待機する。レリーズボタン40bが全押しされてからのフローは、位相差検出方式AFと同様である。
【0167】
このコントラスト検出方式AFでは、ダイレクトにコントラストピークを捕らえることが可能となり、位相差検出方式AFと異なり、開放バック補正(絞りの開口度合いによるピントズレ)などの様々な補正演算が必要ないため高精度なピント性能を得ることができる。ただし、コントラスト値のピークを検出するためには、コントラスト値のピークを一旦超えるまでフォーカスレンズ群72を駆動する必要がある。こうして、フォーカスレンズ群72をコントラスト値のピークを一旦越えるところまで移動させた後、検出されたコントラスト値のピークの位置まで戻す必要があるため、フォーカスレンズ群72の往復駆動動作によりフォーカスレンズ群駆動系に生じるバックラッシュ分を取り除く必要がある。
【0168】
(ハイブリッド方式AF)
続いて、ハイブリッド方式AFによるカメラシステムの撮影動作について、図14を参照して説明する。
【0169】
電源スイッチ40aがONされてからレリーズボタン40bの半押しを待機する(ステップSc1〜Sc5)までは、位相差検出方式AFにおけるステップSa1〜Sa5と同じである。
【0170】
撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされると(ステップSc5)、ボディマイコン50は、位相差検出ユニット20のラインセンサ24aからの出カを増幅した後、演算回路にて演算して、合焦か非合焦かを検出する(ステップSc6)。さらに、ボディマイコン50は、前ピンか後ピンか、デフォーカス量はどの位かを求め、デフォーカス情報を取得する(ステップSc7)。その後、ステップSc10へ進む。このとき、複数の測距ポイントのすべてを用いてもよく、選択した一部を用いてもよい。
【0171】
一方、ステップSc6,Sc7と並行して、測光を行う(ステップSc8)と共に、像ブレ検出を開始する(ステップSc9)。これらステップSc6,Sc7は、位相差検出方式AFのステップSa9,Sa10と同様である。その後、ステップSc10へ進む。尚、ステップSc9の後は、ステップSc10ではなく、ステップSa11へ進んでもよい。
【0172】
このように、本実施形態においては、撮像素子10に入射して該撮像素子10を透過した光を用いて上述の位相差に基づく焦点検出を行っているため、該焦点検出と並行して、撮像素子10を用いて測光を行うことができる。
【0173】
ステップSc10では、ボディマイコン50は、ステップSc7で取得したデフォーカス情報に基づいて、フォーカスレンズ群72を駆動する。
【0174】
そして、ボディマイコン50は、コントラストピークが検出されたか否かを判定する(ステップSc11)。コントラストピークが検出されていない(NO)ときにはフォーカスレンズ群72の駆動(ステップSc10)を繰り返す一方、コントラストピークが検出された(YES)ときにはフォーカスレンズ群72の駆動を停止して、フォーカスレンズ群72をコントラスト値がピークとなった位置まで移動させた後、ステップSa11へ進む。
【0175】
具体的には、ステップSc10,Sc11において、ステップSc7で算出したデフォーカス方向及びデフォーカス量に基づき、フォーカスレンズ群72を高速に移動させた後、フォーカスレンズ群72を前述の速度よりも低速で移動させてコントラストピークを検出することが好ましい。
【0176】
このとき、算出したデフォーカス量に基づいて移動させるフォーカスレンズ群72の移動量(どこまで移動させるか)を位相差検出方式AFにおけるステップSa7と異ならせることが好ましい。詳しくは、位相差検出方式AFにおけるステップSa7では、デフォーカス量に基づいて合焦位置と予測される位置までフォーカスレンズ群72を移動させるのに対し、ハイブリッド方式AFにおけるステップSc10では、デフォーカス量に基づいて合焦位置と予測される位置よりも前後に離れた位置までフォーカスレンズ群72を駆動する。ハイブリッド方式AFでは、その後、合焦位置と予測される位置に向かってフォーカスレンズ群72を駆動しながらコントラストピークを検出する。
【0177】
なお、コントラスト値の算出は、撮像素子10で撮像した被写体像全体を対象にしてもよく、その一部を対象にしてもよい。具体的には、ボディマイコン50は、撮像素子10の一部のエリアの画素からの出力に基づいてコントラスト値を算出してもよい。例えば、ボディマイコン50は、後述する被写体検出AFによって決定されたAFエリアの画像信号に基づいてコントラスト値を算出してもよい。
【0178】
ステップSa11では、撮影者にレリーズボタン40bが全押しされるまで待機する。レリーズボタン40bが全押しされてからのフローは、位相差検出方式AFと同様である。
【0179】
このように、ハイブリッド方式AFでは、まず、位相差検出ユニット20によってデフォーカス情報を取得し、これらのデフォーカス情報に基づいてフォーカスレンズ群72を駆動する。そして、撮像素子10からの出力に基づいて算出されるコントラスト値がピークとなるフォーカスレンズ群72の位置を検出し、フォーカスレンズ群72を該位置に位置させる。こうすることで、フォーカスレンズ群72の駆動前にデフォーカス情報を検出することができるため、コントラスト検出方式AFのようにフォーカスレンズ群72をとりあえず駆動してみるというステップが必要ないため、オートフォーカスの処理時間を短縮することができる。また、最終的にはコントラスト検出方式AFによって焦点を合わすため、特に繰り返しパターンのある被写体やコントラストが極端に低い被写体などに対して、位相差検出方式AFよりも精度良く焦点を合わせることができる。
【0180】
そして、ハイブリッド方式AFは位相差検出を含んでいるにもかかわらず、撮像素子10を透過した光を用いて位相差検出ユニット20によりデフォーカス情報を取得しているため、撮像素子10による測光と位相差検出ユニット20によるデフォーカス情報の取得とを並行して行うことができる。その結果、位相差検出用に、被写体からの光の一部を分割させるミラーを設ける必要がなく、また、測光用のセンサを別途設ける必要もなく、さらに、レリーズボタン40bが全押しされる前に測光を行っておくことができるため、レリーズタイムラグを短縮することができる。そして、レリーズボタン40bが全押しされる前に測光を行う構成において、測光をデフォーカス情報の取得と並行して行うことによって、レリーズボタン40b半押し後の処理時間を長くしてしまうことも防止できる。
【0181】
(被写体検出AF)
続いて、被写体を検出し特定の被写体に対してAFを行う被写体検出AFについて説明する。図15は、被写体検出AFによる撮影動作における、AF方式決定まで間での流れを示すフローチャートである。
【0182】
電源スイッチ40aがONされてから特徴点検出(ステップSd5)直前までの動作(ステップSd1〜Sd4)は、位相差検出方式AFにおけるステップSa1〜Sa4と同じである。
【0183】
交換レンズ7を透過して、カメラ本体4内に入射した光は、シャッタユニット42を通過して、さらにIRカット兼OLPF43を透過し、撮像ユニット1へ入射する。そして、撮像ユニット1にて結像した被写体像は画像表示部44に表示され、撮影者は画像表示部44を介して被写体の正立像を観察できる。詳しくは、ボディマイコン50は、撮像ユニット制御部52を介して撮像素子10からの電気信号を一定の周期で読み込み、読み込んだ電気信号に対して所定の画像処理を施した後、画像信号を作成し、画像表示制御部55を制御して画像表示部44にライブビュー画像を表示させる。
【0184】
ボディマイコン50は、画像信号に基づき、被写体の特徴点を検出する(ステップSd5)。具体的には、ボディマイコン50は、画像信号に基づき、被写体中にあらかじめ設定された特徴点があるかどうか、ある場合はその位置、範囲を検出する。特徴点は、例えば、被写体の色、形状等である。例えば、特徴点として、被写体の顔が検出される。例えば、あらかじめ設定された特徴点は、一般的な顔の形状または色である。また、例えば、撮影者が画像表示部44に表示されたライブビュー画像から選択した被写体の一部の形状または色が特徴点としてあらかじめ設定される。特徴点は、これらの例に限られない。このようにして、ボディマイコン50は特定の被写体を検出する被写体検出部として機能する。
【0185】
特徴点検出(ステップSd5)は、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされる(即ち、S1スイッチ(図示省略)がONされる)まで連続して行われる。そして、ボディマイコン50は、画像表示制御部55を制御して、検出した特徴点の位置および範囲を例えば表示枠等の表示形態により画像表示部44に表示させる。
【0186】
ここで、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされる(即ち、S1スイッチ(図示省略)がONされる)と(ステップSd6)、ボディマイコン50は、AFエリアを決定する(ステップSd7)。具体的には、ボディマイコン50は、直前に検出した特徴点の位置および範囲で決定されるエリアをAFエリアとする。
【0187】
次に、ボディマイコン50は、AFエリアと測距ポイントが重複するかどうかを判断する(ステップSd8)。上述の通り、撮像ユニット1は、撮像素子10の露光と、位相差検出ユニット20の露光とを同時に行うことができる。そして、位相差検出ユニット20は、複数の測距ポイントを有している。そして、不揮発性メモリ50aには、複数の測距ポイントとそれぞれ対応する撮像素子10の撮像面における位置および範囲(エリア)が記憶されている。より具体的には、不揮発性メモリ50aには、複数の測距ポイントの位置および範囲とそれぞれ対応する撮像素子10の画素が記憶されている。すなわち、測距ポイントと当該測距ポイントと対応する撮像面のエリア(対応画素の集合)とは、同じ被写体光を受光する。具体的には、ボディマイコン50は、AFエリアが、測距ポイントに対応するエリアと重複するかどうかを判定する。
【0188】
ボディマイコン50は、AFエリアと測距ポイントとは重複しないと判断すると(ステップSd8でNO)、コントラスト検出方式AFを行うためのコントラストAFエリアを決定する(ステップSd9)。具体的には、例えば、ボディマイコン50は、AFエリアをコントラストAFエリアとする。そして、図13に示すコントラスト検出方式AFのS1スイッチON後の動作(ステップSd6からSd12)を行う。このとき、ボディマイコン50は、画像信号のうち、コントラストAFエリアに相当する部分の信号に基づき、コントラスト値を求める。
【0189】
ボディマイコン50は、AFエリアと測距ポイントとは重複すると判断すると(ステップSd8でYES)、使用する測距ポイントを選択する。具体的には、ボディマイコン50は、AFエリアと重複している測距ポイントを選択する。そして、図11に示す位相差検出方式AFのS1スイッチON後の動作(ステップSa6からSa10)を行う。このとき、ボディマイコン50は、選択した測距ポイントを用いて位相差焦点検出を行う。
【0190】
また、ボディマイコン50は、AFエリアと重複している測距ポイントを選択後、図14に示すハイブリッド方式AFのS1スイッチON後の動作(ステップSa6からSa10)を行うようにしてもよい。このとき、ボディマイコン50は、選択した測距ポイントを用いて位相差焦点検出を行い、AFエリアに相当する部分の信号に基づき、コントラスト値を求める。
【0191】
図16を用いて被写体検出AFの具体例を説明する。図16の被写体範囲枠1601は、撮像素子10において撮像される被写体の範囲を示す。被写体範囲枠1601の内部が被写体に相当する。破線で示した測距ポイント枠1602,1603,1604は、測距ポイントの位置を示す。測距ポイント枠1602,1603,1604の内部に含まれる被写体については、位相差焦点検出が可能である。被写体の特徴点として、顔を検出する例を用いて説明する。
【0192】
図16(A)に示す例では、ボディマイコン50は、画像信号に基づいて、特徴点として顔を検出する。顔枠1605は、検出した顔のエリアを示している。そして、ボディマイコン50は、顔枠1605のエリアをAFエリアと設定する。この例では、AFエリア1605と測距ポイント枠1603に対応する測距ポイントとは重複している。ボディマイコン50は、測距ポイント枠1603に対応する測距ポイントを用いた位相差検出方式AFを行う。または、ボディマイコン50は、測距ポイント枠1603に対応する測距ポイントを用いた位相差焦点検出とAFエリア1605の画像信号に基づくコントラスト値を用いたハイブリッド方式AFを行う。これにより、検出した特徴点(顔)に対し、迅速にAFを行うことができる。
【0193】
図16(B)に示す例では、ボディマイコン50は、画像信号に基づいて、特徴点として顔を検出する。顔枠1606,1607は、検出した顔のエリアを示している。そして、ボディマイコン50は、顔枠1606,1607をAFエリアと設定する。この例では、AFエリア1606,1607と測距ポイント枠1602,1603,1604に対応する測距ポイントとは重複していない。よって、ボディマイコン50は、顔枠1606,1607をAFエリアと設定し、さらに、顔枠1606,1607をコントラストAFエリアと設定する。そして、コントラストAFエリア1606,1607のコントラスト値に基づくコントラスト検出方式AFを行う。
【0194】
なお、被写体検出AFの変形例として、例えば図16(b)に示すように、特徴点として被写体の顔を検出し、顔のエリアに基づいて決定したAFエリア1606,1607よりも被写体の鉛直方向下側に位置する測距ポイント1602,1603,1604が、当該AFエリアと被写体の水平方向の位置が重複する場合、当該重複する測距ポイント1602,1604を用いた位相差検出方式AFを行うようにしてもよい。また、当該重複する測距ポイント1602,1604を用いた位相差焦点検出とAFエリア1606,1607の画像信号に基づくコントラスト値を用いたハイブリッド方式AFを行うようにしてもよい。顔の鉛直方向下側には、通常、体があるため、測距ポイントが被写体の体と重複している可能性が高いからである。なお、被写体の鉛直方向、水平方向を検知するために、カメラの姿勢を検知する例えば加速度センサ等の姿勢検知部を設けてもよい。
【0195】
−動画撮影モード−
次に、カメラ100の動画撮影時の機能について説明する。動画撮影モード選択スイッチ40dによって動作撮影モードが選択されると、カメラ制御部5は、動画撮影のための動作を行うようにカメラ100を制御する。
【0196】
動画撮影モードには、撮影動作が異なる複数の撮影モードが含まれる。複数の撮影モードには、マクロモード、風景モード、スポットライト認識モード、ローライト認識モードおよびノーマルモードが含まれる。
【0197】
(動画撮影モードの開始)
図17は、動画撮影モードにおけるフローチャートである。
【0198】
カメラ100の電源がONの状態で動画撮影モード設定スイッチ40dが操作され動画撮影モードが設定されると、動画撮影モードが開始される(ステップSe1)。また、動画撮影モード設定スイッチ40dが操作され動画撮影モードが設定された状態でカメラ100の電源が投入されると、動画撮影モードが開始される(ステップSe1)。動画撮影モードが開始されると、ズームレンズ群/フォーカスレンズ群の初期位置設定やホワイトバランスの取得、ライブビュー画像の表示の開始、測光などを行う。
【0199】
(動画記録の開始/終了指示)
撮影者によりRECボタン40eの操作がなされると、動画像の記録が開始される。具体的には、ボディマイコン50の指示により、撮像ユニット制御部52が撮像ユニット1からの電気信号をA/D変換してボディマイコン50へ周期的に出力する。ボディマイコン50は、取り込んだ電気信号に所定の画像処理およびフレーム内圧縮またはフレーム間圧縮処理等を行い、動画データを生成する。そして、ボディマイコン50は、画像読み出し/記録部53に動画データを送信し、画像格納部58への画像信号の保存を開始させる。
【0200】
また、ボディマイコンは、取り込んだ電気信号に所定の画像処理を施して画像信号を作成する。そして、ボディマイコン50は、画像読み出し/記録部53に画像信号を送信し、画像記録制御部54に画像の表示の指示を行う。画像表示制御部55は、送信されてきた画像信号に基づいて画像表示部44を制御して、該画像表示部44に画像を逐次表示させ、動画を表示する。
【0201】
動画像の記録中に再度RECボタン40eの操作がなされると、ボディマイコン50は、動画像の記録を終了する。
【0202】
この動画像の記録の開始/終了のシーケンスは、動画撮影モードのシーケンスの途中のどの位置にでも割り込むことが可能である。
【0203】
なお、撮影準備段階で静止画撮影のトリガーであるレリーズボタン40bが操作されることにより、静止画撮影を行うようにしてもよい。
【0204】
(撮影モードの自動選択機能)
図17は、撮影モードの自動選択のフローチャートである。以下、説明の便宜のため、撮影モードの自動選択機能を「おまかせiA」と呼ぶ。
【0205】
動画撮影モードの開始(ステップSe1)後、あるいは、後述する各AFの実行により(D)への移行後、ボディマイコン50は、「おまかせiA」がONに設定されているかを判定する(ステップSe2)。おまかせiAがOFFであれば、ノーマルモード(E)へ移行する。
【0206】
おまかせiAがONであれば、フォーカスレンズ群72の現在位置とデフォーカス情報とに基づいて被写体のおおよその距離を測定する(ステップSe3)。より具体的には、ボディマイコン50は、フォーカスレンズ群72の現在位置に基づいて、現在合焦している被写体の距離、すなわち、物点距離を算出可能である。そして、ボディマイコン50は、デフォーカス情報に基づいて、デフォーカス情報を取得した被写体に合焦するにはフォーカスレンズ群72をどこに移動すればよいか算出可能である。よって、ボディマイコン50は、当該フォーカスレンズ群72の移動すべき位置(目標位置)に対応する物点距離をデフォーカス情報を取得した被写体の距離として算出する。なお、本実施形態では、動画撮影モードの期間中常に合焦をさせているため、物点位置が被写体の距離とほぼ等しい状態となっている。そのため、ボディマイコン50は、フォーカスレンズ群72の位置に基づいて物点距離を算出し、当該物点距離を被写体距離として算出してもよい。
【0207】
ステップSe3において、測定した被写体距離が所定の第1距離よりも近いと判定した場合、マクロモード(F)へ移行する。
【0208】
また、ステップSe3において、測定した被写体距離が第1距離よりも大きい所定の第2距離よりも遠いと判定した場合、風景モード(G)へ移行する。
【0209】
測定した距離が第1距離と第2距離の間である場合は、撮像素子10からの画像信号に基づいて順次、モード判定を行う。例えば、本実施形態では、撮像素子10の撮像面に投影された被写体像の測光分布を画像信号に基づいて認識し、撮像面の中央付近の輝度が周辺に比べて所定値以上の差があると確認出来た場合、結婚式やステージのようにスポットライトがあると認識する(ステップSe4)。スポットライトがあると認識すると、スポットライトモード(H)に移行する。スポットライトなどの照明が当っていると、周辺の光量が極端に少ないため、露光として平均化されるとスポット光の照射された部分が、必要以上に露光オーバーとなり、人物などが白飛びしてしまう結果となる。スポットライトモードではその不具合を解消するため、ボディマイコン50は、露光を抑える制御を行う。
【0210】
ステップSe4にてボディマイコン50がスポットライトがないと判断した場合、ステップSe5に移行し、撮像素子10に投影された被写体像の測光データより、光量の少ないローライト状態であるかどうかを判定する。ローライト状態であると判定されると、ローライトモード(J)に移行する。ローライト状態とは、例えば日中室内での撮影等、窓や電灯の光など局所的に強い光が被写体像に含まれる状態が該当する。このような照明環境化では、窓や電灯の光など局所的に強い光に露光が平均化されてしまい、主被写体が暗く撮影されることがある。ローライトモードではその不具合を解消するため、ボディマイコン50は、測光分布に応じて露光を多く与えるよう制御する。
【0211】
図17では、ローライトモードの選択までを明示しているが、そのほかにもスポーツモードなど、画像信号またはデフォーカス情報等に基づいて類推可能な他の撮影モードへの移行を採用してもよい。
【0212】
上記様々な撮影モードへの移行判定によっていずれの撮影モードにも該当しないと判断した場合、ノーマルモード(E)へ移行する。
【0213】
(ノーマルモードAF)
図18は、ノーマルモードのAFのフローチャートである。まず、ボディマイコン50は、撮像素子10からの出力に基づき、被写体の特徴点として顔の位置または範囲を抽出する(ステップSe6)。ここで、ボディマイコン50が画像信号に基づき、被写体の顔があると検出した場合、フラグを0に設定し(ステップSe7)、認識した顔の領域と重複する位置に対応する測距ポイントがあるか否かを判定する(ステップSe8)。測距ポイントが存在した場合、位相差焦点検出(ステップSe9)へ進む。なお、顔認識(ステップSe6)および測距ポイント重複判断(ステップSe8)の各動作は、上述の被写体検出AF(図15)のステップSd5およびSd8と同様に行う。
【0214】
ステップSe9では、ボディマイコン50は、位相差焦点検出を行う(ステップSe9)。具体的には、ボディマイコン50は、検出した顔と対応する位置に配置された測距ポイントを用いて位相差焦点検出を行う。静止画撮影モードでの位相差焦点検出(ステップSa6,Sc6)においては、ボディマイコン50は、できるだけ早く焦点検出を行えるよう、測光情報をもとに、位相差検出ユニット20のS/Nを維持できる範囲において感度調整と電荷蓄積時間を最適な状態に制御する。具体的には、ボディマイコン50は後述する動画撮影モードでの位相差焦点検出(ステップSe9)における電荷蓄積時間よりも短い電荷蓄積時間を設定する。一方で、動画撮影モードの位相差焦点検出(ステップSe9)では、動画撮影において最適な焦点検出を行うため比較的時間をかけて測距を行うように、前記測光情報をもとに、位相差検出ユニット20のS/Nを維持できる範囲における感度調整と電荷蓄積時間を最適な状態で検出制御する。具体的には、ボディマイコン50は上述の静止画撮影モードでの位相差焦点検出(ステップSa6,Sc6)における電荷蓄積時間よりも長い電荷蓄積時間を設定する。感度は、電荷蓄積時間に応じて最適となるように制御される。また、電荷蓄積時間を長くすることにより、検出頻度を下げ、被写体の小刻みな動きによりフォーカスレンズ72の位置が小刻みに変動することがないように配慮している。
【0215】
位相差焦点検出が可能であった場合、ボディマイコン50は、ステップSe9で取得したDf量分が所定量αよりも小さいかどうかを判断する(ステップSe10)。Df量分が所定量αよりも小さいと判断した場合は、図17の(D)に戻り、おまかせiAの判断(ステップSe2)を行う。Df量分が第1所定量α以上であると判断した場合、取得したDf量だけデフォーカス方向にフォーカスレンズ群72をレンズマイコン80を介して駆動させ(ステップSe11)、その後、図17の(D)に戻り、おまかせiAの判断(ステップSe2)を行う。
【0216】
ステップSe11におけるフォーカスレンズ群72の合焦位置への駆動中も、ボディマイコン50は、デフォーカス情報の取得と並行してコントラスト値も算出を行っている。ステップSe28において、位相差焦点検出部が語検出を起こしやすいような被写体、例えば繰り返しパターン等によって、前記コントラスト値が小さくなってしまった場合には、位相差焦点検出が不適切と判断する。より具体的には、Df量が所定値よりも小さいのに対して、コントラスト値が小さく変化していく場合に、位相差焦点検出が不適切と判定する。
【0217】
ステップSe9において、被写体像がローコントラスト、または、低輝度であるなどの理由で位相差焦点検出が不可能、または、不適切と判断した場合は、ステップSe12へ移行する。具体的には、ボディマイコン50は、デフォーカス情報の取得データのS/Nが悪い場合や、出力値が低い場合に位相差焦点検出が不可能、または、不適切と判断する。
【0218】
ステップSe8に戻って、ボディマイコン50がステップSe6で認識した顔の領域と重複する位置に対応する測距ポイントがないと判断した場合も、ステップSe12へ進む。
【0219】
ステップSe12では、ボディマイコン50は、その後のステップSe14からステップSe16までに行うコントラスト値の算出に用いる被写体像のエリア、すなわち、AFエリアを、検出した顔のエリアに設定する(ステップSe12)。
【0220】
次に、ボディマイコン50は、ウォブリング方式によるコントラスト値算出を行う(ステップSe13)。具体的には、フォーカスレンズ群を現在の位置よりも物点距離が前後に移動するように移動し、物点位置が異なる位置でコントラスト値の算出を行う。ボディマイコン50は、算出した各コントラスト値とフォーカスレンズ群の位置に基づき、コントラスト値のピーク位置が確認できたかどうかを判断する(ステップSe14)。なお、ここでいうピーク位置とは、物点距離の増加に基づいてコントラスト値が極大値となるフォーカスレンズ群72の位置である。
【0221】
ボディマイコン50がピーク位置を確認できれば、後述するステップSe16へ進む。ボディマイコン50がピーク位置を確認できないときは、ステップSe15へ移行し、ボディマイコン50は、更に大きな振幅のウォブリング方式によるコントラスト値算出、もしくはスキャン駆動を行い、コントラスト値のピークを検出する(ステップSe15)。なお、スキャン駆動とは、静止画撮影のコントラスト検出方式AFのステップSb6からステップSb10のYESに進むまでの動作と同様の動作である。
【0222】
次に、ボディマイコン50は、検出したピーク位置にフォーカスレンズ群72を駆動するように制御するステップSe16。その後、図17の(D)に戻り、おまかせiAの判断(ステップSe2)を行う。
【0223】
ウォブリング方式あるいはスキャン駆動では、フォーカスレンズ群72の反転駆動があるため、AF速度が遅い。そのため、AF速度が速く、合焦位置へのフォーカスレンズの駆動方向が同時に判定できる位相差検出方式を優先するためステップSe8の判断を行っている。
【0224】
ステップSe6に戻って、ボディマイコン50が被写体の顔が認識できないと判断した場合、ボディマイコン50は、フラグが1かどうかを確認する(ステップSe17)。フラグは、後述するステップSe25において、撮影者に最も近い被写体の被写体像の位置に重複する位置に対応する測距ポイントがあるかどうかを示すものである。
【0225】
フラグが1の場合は、撮影者に最も近い被写体の被写体像の位置に重複する位置に対応する測距ポイントがあると判断された後である。そして、ボディマイコン50は、当該対応する測距ポイントにて位相差焦点検出を行い、Df量が第2所定量βよりも小さいかどうかを判断する(ステップSe18)。第2所定量βは、第1所定量αよりも大きい値である。ステップSe18では、ボディマイコン50は、Df量を算出した測距ポイントにまだ被写体像があるかどうかを判定する。被写体像がまだある場合は、後述のステップSe24での合焦時点から次にステップSe18に来るまでのわずかの時間に当該重複する測距ポイントでの合焦状態の変化が小さいと推測できるため、Df量の変化、すなわち、Df量が小さい(Df量<β)とボディマイコン50が判断すると、ステップSe9に移行し、当該測距ポイントを用いて位相差焦点検出を行う。
【0226】
後述のステップSe24での合焦時点から次にステップSe18に来るまでのわずかの時間に当該重複する測距ポイントから被写体像が移動した場合、当該測距ポイントは使用すべきでない。このような場合には、当該測距ポイントのDf量の変化、すなわち、Df量が大きい(Df量>β)とボディマイコン50が判断し、ステップSe21に移行する。
【0227】
ステップSe17にて、ボディマイコン50が、フラグが1でない、すなわち、フラグが0であると判断した場合、Se19においてウォブリング方式によるコントラスト値算出を行う(ステップSe19)。この動作は、ステップSe13と同様の動作であり、コントラスト値の算出は、被写体像の中央、複数のエリア、被写体像全体など、どのように行ってもよい。そして、ボディマイコン50は、ピーク位置が検出できたかどうかを判定する(ステップSe19)。ピーク位置が検出できた場合にはステップSe24に移行し、検出できなかった場合はステップSe20に移行する。
【0228】
ステップSe21以降の動作は、主被写体は撮影者に最も近いものであるだろうという想定のもと、撮影者に最も近い被写体に合焦させる動作である。まず、複数の測距ポイントのうち相対的に最も距離が近接である被写体像を受光している測距ポイントを選択し、当該測距ポイントからデフォーカス情報を取得する(ステップSe21)。そして、当該でフォーカス情報のうち、デフォーカス方向にフォーカスレンズ群72を駆動開始する(ステップSe22)。このステップでは、合焦したい被写体の方向を予測している。その後、ボディマイコン50は、スキャン駆動を行う(ステップSe23)。なお、スキャン駆動とは、静止画撮影のコントラスト検出方式AFのステップSb6からステップSb10のYESに進むまでの動作と同様の動作である。ステップSe23では、コントラスト値の算出は、被写体像の複数のエリアについてそれぞれ行い、最も距離が近接である位置にピーク位置を有するエリアでのピーク位置を算出する。
【0229】
ステップSe24では、ボディマイコン50は、ピーク位置にフォーカスレンズ群72を駆動するように制御する(ステップSe24)。その後、ボディマイコン50は、ピーク位置を算出した被写体像のエリアと重複する位置に対応する測距ポイントがあるかどうかを判断する(ステップSe25)。当該対応する測距ポイントがある場合は、ボディマイコン50は、どの測距ポイントが対応するかを記憶するとともに、フラグを1に設定し(ステップSe26)、図17の(d)に戻る。当該対応する測距ポイントがない場合は、ボディマイコン50は、フラグを0に設定し(ステップSe26)、図17の(d)に戻る。
【0230】
(マクロモードAF)
図19は、マクロモードのAFのフローチャートである。基本的にはノーマルモードのAFと同様の動作を行う。したがって、動作の説明は、ノーマルモードのAFと異なる点についてのみ行う。また、マクロモードのAFのフローチャート(図19)にて、ノーマルモードのAFのフローチャート(図18)と同様のものに同一の符号を付し、動作の説明を省略する。
【0231】
マクロモードでは、カメラ100に近接した被写体に合焦させる。そこで、ステップSf15のスキャン駆動、および、ステップSf23のスキャン駆動では、ノーマルモードのステップSe15またはステップSe23のときよりも、物点距離がより近づく範囲までピーク位置の検出を行う。
【0232】
その他は、ノーマルモードのAFと同様の動作である。マクロモードのAFが終わると、図17の(d)に戻る。
【0233】
(風景モードAF)
図20は、風景モードのAFのフローチャートである。基本的にはノーマルモードのAFと同様の動作を行う。したがって、動作の説明は、ノーマルモードのAFと異なる点についてのみ行う。また、風景モードのAFのフローチャート(図20)にて、ノーマルモードのAFのフローチャート(図18)と同様のものに同一の符号を付し、動作の説明を省略する。
【0234】
風景モードでは、カメラ100にから離れた被写体に合焦させる。そこで、ステップSg21では、複数の測距ポイントのうち相対的に最も距離が遠方である被写体像を受光している測距ポイントを選択し、当該測距ポイントからデフォーカス情報を取得する(ステップSg21)。また、ステップSg23では、コントラスト値の算出は、被写体像の複数のエリアについてそれぞれ行い、最も距離が遠方である位置にピーク位置を有するエリアでのピーク位置を算出する。ステップSe25でピークを算出したエリアと重複する位置に対応する測距ポイントがある場合には、ステップSg26にてフラグが2に設定される。そして、ステップSg17では、直前に最も遠方の被写体像と重複する位置に対応していた測距エリアがあったかどうかを、フラグが2であるかの判断にて行う。
【0235】
その他は、ノーマルモードのAFと同様の動作である。風景モードのAFが終わると、図17の(d)に戻る。
【0236】
(スポットライトモードAF)
図21は、スポットライトモードのAFのフローチャートである。基本的にはノーマルモードのAFと同様の動作を行う。したがって、動作の説明は、ノーマルモードのAFと異なる点についてのみ行う。また、スポットライトモードのAFのフローチャート(図21)にて、ノーマルモードのAFのフローチャート(図18)と同様のものに同一の符号を付し、動作の説明を省略する。
【0237】
後述のAF動作と並行して、スポットライトモードにおいては、被写体がスポットライトで照射されているため、露光を最適化する必要がある。そのため、ボディマイコン50は、スポットライトが照射されているエリアにおいて露光が最適となるように露光制御を行う。
【0238】
ステップSh6では、ボディマイコン50は、スポットライトが照射されている被写体像のエリア内で顔の認識を行う。
【0239】
スポットライトモードでは、ノーマルモードのステップSe21およびステップSe22に相当するステップがない。そして、ステップSh18ではステップSe18と同様の判断を行うが、ここでNOと判断した場合は、ステップSe19に移行する。また、ステップSh20では、ステップSe20と同様の判断を行い、NOと判断した場合には、ステップSh23に移行する。ステップSh23では、ステップSe23と同様にスキャン駆動を行うが、ボディマイコン50はコントラスト値の算出をスポットライトが照射されている被写体像に相当する部分の画像信号に基づいて行う。
【0240】
ステップSe25でピークを算出したエリアと重複する位置に対応する測距ポイントがある場合には、ステップSg26にてフラグが3に設定される。そして、ステップSh17では、直前にスポットライトと重複する位置に対応していた測距エリアがあったかどうかを、フラグが3であるかの判断にて行う。
【0241】
その他は、ノーマルモードのAFと同様の動作である。風景モードのAFが終わると、図17の(d)に戻る。
【0242】
(ローライトモードAF)
上述のローライト状態が検出されるとローライトモードに移行する。例えば日中室内での撮影等、窓や電灯の光など局所的に強い光が被写体像に含まれる状態が検出されるとローライトモードに移行する。このような照明環境化では、窓や電灯の光など局所的に強い光に露光が平均化されてしまい、主被写体が暗く撮影されることがある。ローライトモードではその不具合を解消するため、ボディマイコン50は、測光分布に応じて輝度が少ないエリアを明るく撮影するよう制御する。
【0243】
図22は、ローライトモードのAFのフローチャートである。ローライトモードでは、ノーマルモードのAFと同様の動作を行う。
【0244】
(自動追尾AF)
カメラ100は、自動追尾AFモードも有している。図23は、自動追尾AFモードのフローチャートである。基本的にはノーマルモードのAFと同様の動作を行う。したがって、動作の説明は、ノーマルモードのAFと異なる点についてのみ行う。また、自動追尾AFモードのフローチャート(図23)にて、ノーマルモードのAFのフローチャート(図18)と同様のものに同一の符号を付し、動作の説明を省略する。なお、自動追尾AFモードのどの段階においても上述の「動画記録の開始/終了指示」を受け付けることが可能である。
【0245】
ボディマイコン50は、画像信号に基づき、被写体の特徴点を検出する(ステップSk6)。具体的には、ボディマイコン50は、画像信号に基づき、被写体中にあらかじめ設定された特徴点があるかどうか、ある場合はその位置、範囲を検出する。特徴点は、例えば、被写体の色、形状等である。例えば、特徴点として、被写体の顔が検出される。例えば、あらかじめ設定された特徴点は、一般的な顔の形状または色である。また、例えば、撮影者が画像表示部44に表示されたライブビュー画像から選択した被写体の一部の形状または色が特徴点としてあらかじめ設定される。特徴点は、これらの例に限られない。
【0246】
特徴点は、撮影者によっても設定可能である。例えば、撮影者は、画像表示部44に表示されたライブビュー画像から選択した被写体を特徴点(すなわち追尾のターゲット)として設定可能である。具体的には、例えば、画像表示部44の画面の任意の領域を指示可能なタッチパネルとし、撮影者に指示された部分に表示されている被写体を特徴点として設定可能である。あるいは、画像表示部44の画面の所定の位置に表示されている被写体を特徴点として設定可能である。
【0247】
ステップSk6で特徴点を認識できなかったときは、図18のステップSe17からステップSe27と同様の動作を行い、図23の(K)に戻って再度特徴点認識(ステップSk6)を行う。
【0248】
ステップSk6で特徴点を認識できたときは、図18のステップSe8と同様に、認識した特徴点の領域と重複する位置に対応する測距ポイントがあるか否かを判定する(ステップSk8)。測距ポイントが存在した場合、位相差焦点検出(ステップSe9)へ進み、図18のステップSe9からステップSe11までと同様の動作を行い、図23の(K)に戻って再度特徴点認識(ステップSk6)を行う。
【0249】
ステップSk8にて対応する測距ポイントがない場合は、ステップSk28に進み、特徴点の動きを検出したうえで、その移動予測先を算出する。そして、ボディマイコン50は、当該移動予測先と重複する位置に対応する測距ポイントが存在するか否かを判定する(ステップSk28)。ここで、対応する測距ポイントが存在する場合は、合焦駆動をしばらく待機するため、フォーカスレンズ群72を駆動せずに図23の(K)に戻って再度特徴点認識(ステップSk6)を行う。その後、特徴点が測距ポイントに入った場合にはステップSk8でYESに進み位相差方式のAFが行われることになる。なお、特徴点の動きの検出は、公知の動きベクトルの検出方式によって実現可能である。また、「移動予測先」を、現在の位置からどの程度まで離れている位置とするかは、適宜設定可能である。
【0250】
ステップSk28で、特徴点の移動先に対応する測距ポイントがないと判定した場合は、ステップk12に進み、ボディマイコン50は、その後のステップSe14からステップSe16までに行うコントラスト値の算出に用いる被写体像のエリア、すなわち、AFエリアを、検出した特徴点のエリアに設定する(ステップSk12)。その後、図18のステップSe13からステップSe16と同様の動作を行い、図23の(K)に戻って再度特徴点認識(ステップSk6)を行う。
【0251】
《その他の実施形態》
本発明は、前記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0252】
(1)
「撮影モードの自動選択機能」を動画撮影モードに適用した例について説明したが、静止画撮影モードに適用してもよい。例えば、静止画撮影モードにてS1がONされる前のライブビュー表示段階では、図17に示すステップSe1からステップSe5を用いて撮影モードの選択を行い、各撮影モード(E〜J)に移行した後、各撮影モードに応じた露光制御、ホワイトバランス制御等を行い、合焦動作をさせずに図17の(D)に戻るようにする。静止画撮影前のライブビュー表示段階では、被写体に合焦させる必要がなく、フォーカスレンズ群72を駆動するための電力の消費を抑えることができる。また、ライブビュー表示段階で被写体に合焦させなくても、ステップSe3では、フォーカスレンズ群72の現在位置とデフォーカス情報とに基づいて被写体距離が測定可能である。
【0253】
(2)
また、静止画撮影モードにおいて、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされる(即ち、S1スイッチがONされる)とAFが開始される構成ついて説明したが、レリーズボタン40bは半押しされる前からAFを行ってもよい。また、合焦と判断するとAFを終了する構成について説明したが、合焦判定後もAFを継続するようにしてもよく、合焦判定をせずに継続してAFを行ってもよい。以下に具体例を説明する。図11,12において、ステップSa4でシャッタユニット42が開かれた後、ステップSa6の位相差焦点検出とステップSa7のフォーカスレンズ駆動とを繰り返して行うようにする。これと並行して、ステップSa5の判定、ステップSa9の測光、ステップSa10の像ブレ検出開始、ステップSa11の判定を行う。これにより、撮影者によりレリーズボタン40bが半押しされる前から合焦状態にすることができる。例えば、ライブビュー画像の表示と併用することにより、合焦状態でのライブビュー画像の表示が可能となる。また、位相差検出方式AFを用いれば、ライブビュー画像の表示と位相差検出方式AFとを併用さることができる。このような動作を「常時AFモード」としてカメラに備えるようにしてもよく、「常時AFモード」のON/OFFを切替可能に構成してもよい。
【0254】
(3)
ボディマイコン50は、動画撮影モードの際にデフォーカス情報に基づいてフォーカスレンズ群72を駆動する速度が、静止画撮影モードの際にデフォーカス情報に基づいてフォーカスレンズ群72を駆動する速度よりも遅くなるように制御してもよい。
【0255】
(4)
ボディマイコン50は、動画撮影モードの際にデフォーカス情報に基づいてフォーカスレンズ群72を駆動する速度を、デフォーカス量に応じて変更するようにしてもよい。例えば、図20から図23のステップSe11において、デフォーカス量に応じて所定の時間で合焦位置にフォーカスレンズ群72が移動するようにフォーカスレンズ群72を駆動する速度を制御してもよい。例えば、図23のSe11においては、撮影者がターゲットを変更した場合に、変更後のターゲットに対してフォーカスが所定の速度で、例えば、ゆっくりと合うような動画像を撮影することができ、撮影者の利便性が向上する。
【0256】
(5)
前記実施形態1,2では、撮像ユニット1をカメラに搭載した構成について説明しているが、これに限られるものではない。撮像ユニット1を搭載したカメラは、撮像素子の露光と位相差検出ユニットによる位相差検出を同時に行うことができるカメラの一例である。これに限られず、例えば撮像素子への光を分離する光分離素子(例えばプリズム、半透過ミラー等)により被写体光を撮像素子と位相差検出ユニットの両方に導くカメラであってもよい。また、撮像素子のマイクロレンズの一部をセパレータレンズとし、瞳分割された被写体光をそれぞれ受光部にて受光できるように配列したカメラであってもよい。
【0257】
(6)
尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0258】
《実施形態の特徴》
上記実施形態において特徴的な部分を以下に列記する。なお、上記実施形態に含まれる発明は以下に限定されるものではない。
【0259】
〔A1〕
撮像装置は、
被写体からの光を光電変換により電気信号に変換する撮像素子と、
前記撮像素子と同時に前記撮像素子が受光する被写体からの光を受光して位相差検出を行う複数の測距ポイントを有する位相差検出部と、
前記撮像素子からの出力に基づいて被写体の特徴点の位置または範囲を抽出する特徴点抽出部と、
前記特徴点の位置または範囲に基づいて前記複数の測距ポイントから少なくとも1つの測距ポイントを選択し、当該選択した測距ポイントからの信号を用いてオートフォーカスを制御する制御部と、を備える。
【0260】
これにより、好適な測距ポイントの選択が可能である。
【0261】
〔A2〕
A1に記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記特徴点の位置または範囲に対応する被写体からの光を受光する測距ポイントを選択する。
【0262】
〔A3〕
A1に記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記特徴点の位置または範囲に対応する被写体よりも当該被写体の鉛直方向下側であって当該被写体の水平方向に重複する範囲の被写体からの光を受光する測距ポイントを選択する。
【0263】
これにより、好適な測距ポイントの選択が可能である。
【0264】
〔A4〕
A1から3のいずれかに記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記撮像素子からの出力のうち、前記特徴点の位置または範囲に対応する出力をさらに用いてオートフォーカスを制御する。
【0265】
これにより、さらに高精度なAFが可能となる。
【0266】
〔A5〕
A1から4のいずれかに記載の撮像装置において、
前記撮像素子は、光が通過するように構成されており、
前記位相差検出部は、前記撮像素子を通過した光を受光するように構成されている。
【0267】
〔B1〕
撮像装置は、
被写体からの光を光電変換により電気信号に変換する撮像素子と、
前記撮像素子と同時に前記撮像素子が受光する被写体からの光を受光して位相差検出を行う位相差検出部と、
焦点位置を調節するためのフォーカスレンズ群と、
前記フォーカスレンズの位置を検出するフォーカスレンズ位置検出部と、
前記フォーカスレンズ位置検出部の出力と前記位相差検出部の出力とによって被写体距離を算出し、算出した当該被写体距離に応じて、複数の撮影モードから1つの撮影モードを自動的に選択する制御部と、を備える。
【0268】
これにより、好適な撮影モードの選択が可能である。また、フォーカスレンズ群が合焦位置にない場合でも、好適な撮影モードの選択が可能である。
【0269】
〔B2〕
B1に記載の撮像装置において、
前記制御部は、算出した被写体距離が、所定の第1距離よりも近いとき、第1撮影モードを選択する。
【0270】
〔B3〕
B2に記載の撮像装置において、
前記制御部は、算出した被写体距離が、前記第1距離よりも大きい所定の第2距離よりも遠いとき、第2撮影モードを選択する。
【0271】
〔B4〕
B3に記載の撮像装置において、
前記撮像素子は、前記撮像素子に入射する光の光量とその分布を測定する光測定部と、
前記制御部は、算出した被写体距離が第1距離と第2距離の間であるとき、前記撮像素子からの出力に基づいて前記撮像素子に入射する光の光量とその分布を測定し、当該光量と分布とに基づいて第3撮影モードを選択する。
【0272】
〔B5〕
B1からB4いずれかに記載の撮像装置において、
前記撮像素子は、光が通過するように構成されており、
前記位相差検出部は、前記撮像素子を通過した光を受光するように構成されている。
【0273】
〔B6〕
B1からB5のいずれかに記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記位相差検出部の検出結果に基づいてデフォーカス方向にフォーカスレンズ群を駆動したときに前記撮像素子からの出力に基づくコントラスト値が減少した場合、位相差検出によるフォーカス駆動を停止する。
【0274】
〔B7〕
撮像装置は、
被写体からの光を光電変換により電気信号に変換する撮像素子と、
被写体からの光を受光して位相差検出を行う位相差検出部と、
前記位相差検出部の電荷蓄積時間を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、静止画を撮影する際の前記電荷蓄積時間と動画を撮影し記録する際の前記電荷蓄積時間とを異ならせる。
【0275】
〔B8〕
B7に記載の撮像装置において、
前記制御部は、静止画を撮影する際の前記電荷蓄積時間よりも、動画を撮影し記録する際の前記電荷蓄積時間を長く設定する。
【産業上の利用可能性】
【0276】
以上説明したように、本発明は、撮像素子の露光と位相差検出ユニットによる位相差検出を同時に行うことができる撮像装置について特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0277】
【図1】本発明の実施形態1に係るカメラのブロック図
【図2】撮像ユニットの断面図
【図3】撮像素子の断面図
【図4】撮像素子の平面図
【図5】位相検出ユニットの平面図
【図6】変形例に係る撮像ユニットの斜視図
【図7】変形例に係る撮像素子の断面図
【図8】別の変形例に係る撮像素子の断面図
【図9】別の変形例に係る撮像ユニットの図2に相当する断面の断面図
【図10】別の変形例に係る撮像ユニットの図2に相当する断面と直交する断面の断面図
【図11】位相差検出方式AFによる撮影動作における、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート
【図12】位相差検出方式AFを始めとする各撮影動作における、レリーズボタンが全押しされた後の基本的な流れを示すフローチャート
【図13】コントラスト検出方式AFによる撮影動作における、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート
【図14】ハイブリッド方式AFによる撮影動作における、レリーズボタンが全押しされるまでの流れを示すフローチャート
【図15】被写体検出AFによる撮影動作における、AF方式決定まで間での流れを示すフローチャート
【図16】被写体検出AFの具体例を説明するための図
【図17】撮影モードの自動選択のフローチャート
【図18】ノーマルモードのAFのフローチャート
【図19】マクロモードのAFのフローチャート
【図20】風景モードのAFのフローチャート
【図21】スポットライトモードのAFのフローチャート
【図22】ローライトモードのAFのフローチャート
【図23】自動追尾AFモードのフローチャート
【符号の説明】
【0278】
1,401 撮像ユニット
10,210,310 撮像素子
20,420 位相差検出ユニット(位相差検出部)
40e 露光中AF設定スイッチ(設定スイッチ)
5 ボディ制御部(制御部、距離検出部)
72 フォーカスレンズ群(フォーカスレンズ)
100,200 カメラ(撮像装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの光を光電変換により電気信号に変換する撮像素子と、
前記撮像素子と同時に前記撮像素子が受光する被写体からの光を受光して位相差検出を行う位相差検出部と、
焦点位置を調節するためのフォーカスレンズ群と、
前記フォーカスレンズの位置を検出するフォーカスレンズ位置検出部と、
前記フォーカスレンズ位置検出部の出力と前記位相差検出部の出力とによって被写体距離を算出し、算出した当該被写体距離に応じて、複数の撮影モードから1つの撮影モードを自動的に選択する制御部と、
を備える撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記制御部は、算出した被写体距離が、所定の第1距離よりも近いとき、第1撮影モードを選択する、撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記制御部は、算出した被写体距離が、前記第1距離よりも大きい所定の第2距離よりも遠いとき、第2撮影モードを選択する、撮像装置。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像装置において、
前記撮像素子は、前記撮像素子に入射する光の光量とその分布を測定する光測定部と、
前記制御部は、算出した被写体距離が第1距離と第2距離の間であるとき、前記撮像素子からの出力に基づいて前記撮像素子に入射する光の光量とその分布を測定し、当該光量と分布とに基づいて第3撮影モードを選択する、撮像装置。
【請求項5】
請求項1から4いずれかに記載の撮像装置において、
前記撮像素子は、光が通過するように構成されており、
前記位相差検出部は、前記撮像素子を通過した光を受光するように構成されている、撮像装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の撮像装置において、
前記制御部は、前記位相差検出部の検出結果に基づいてデフォーカス方向にフォーカスレンズ群を駆動したときに前記撮像素子からの出力に基づくコントラスト値が減少した場合、位相差検出によるフォーカス駆動を停止する、撮像装置。
【請求項7】
被写体からの光を光電変換により電気信号に変換する撮像素子と、
被写体からの光を受光して位相差検出を行う位相差検出部と、
前記位相差検出部の電荷蓄積時間を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、静止画を撮影する際の前記電荷蓄積時間と動画を撮影し記録する際の前記電荷蓄積時間とを異ならせる、撮像装置。
【請求項8】
請求項7に記載の撮像装置において、
前記制御部は、静止画を撮影する際の前記電荷蓄積時間よりも、動画を撮影し記録する際の前記電荷蓄積時間を長く設定する、撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−193139(P2010−193139A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34972(P2009−34972)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】