説明

撮像装置

【課題】 被写体を測定するための測定領域の調整を高精度かつ迅速に行うことができる撮像装置を提供する。
【解決手段】 被写体からの光を撮像する撮像素子12と、撮像素子に基づくスルー画像を表示する表示部20と、表示部に表示されるスルー画像中の被写体を測定するための測定領域を任意に調整する調整部とを有する撮像装置2において、調整部24bは、スルー画像に対する測定領域の調整を、所定の自由度で粗く調整する粗調整部と、スルー画像に対する測定領域の調整を、所定の自由度よりも細かい自由度で微調整する微調整部と、調整部24bの機能を、粗調整部による粗調整機能と微調整部による微調整機能との間で切り換える切換部10とを備え、微調整部は、切換部により粗調整機能から微調整機能に切換られた際には、粗調整部により粗調整された測定領域を基点として、測定領域の微調整を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を測定するための測定領域を調整可能な撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撮影画面の所定領域(AFエリア)内の被写体に、フォーカスレンズを移動させることにより自動的に合焦させるオートフォーカス機能を備えており、撮影画面内において予め設定されている複数のエリアの中から選択された1つのエリアをAFエリアとする撮像装置が存在する。また、上述のオートフォーカス機能を備え、ユーザーがグリップボタンを所望の方向に傾けて操作することにより撮影画面内の中央エリアから移動させた任意のエリアをAFエリアとする撮像装置も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−88655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数のエリアの中から選択された1つのエリアをAFエリアとする上述の撮像装置においては、ユーザーが所定の操作部材等を操作することによりAFエリアを迅速に設定することができるが、予め設定されている複数のエリア以外のエリアをAFエリアとして設定することができないため、所望の構図内の所望のエリアにAFエリアを設定することができない場合があった。また、上述の特許文献1記載の撮像装置においては、所望の構図内の所望のエリアにAFエリアを設定することができるが、画面の中央エリアからグリップボタンを所望の方向に傾けて操作させることにより所望のエリアに移動させる必要があるため、撮影画面内の周辺部をAFエリアとして設定したい場合等、AFエリアを設定するのに時間を要する場合があり、シャッターチャンスを逃す場合があった。
【0005】
本発明の目的は、被写体を測定するための測定領域の調整を高精度かつ迅速に行うことができる撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下のような解決手段により上記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施の形態に対応する符号を付して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0007】
本発明の撮像装置は、被写体からの光を撮像する撮像素子(12)と、前記撮像素子(12)に基づくスルー画像を表示する表示部(20)と、前記表示部(20)に表示される前記スルー画像中の前記被写体を測定するための測定領域を任意に調整する調整部(24)とを有する撮像装置において、前記調整部(24b)は、前記スルー画像に対する前記測定領域の調整を、所定の自由度で粗く調整する粗調整部と、前記スルー画像に対する前記測定領域の調整を、前記所定の自由度よりも細かい自由度で微調整する微調整部と、前記調整部(24b)の機能を、前記粗調整部による粗調整機能と前記微調整部による微調整機能との間で切り換える切換部(10)とを備え、前記微調整部は、前記切換部(10)により前記粗調整機能から前記微調整機能に切換られた際には、前記粗調整部により粗調整された前記測定領域を基点として、前記測定領域の微調整を開始することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の撮像装置によれば、被写体を測定するための測定領域を調整する調整部が粗調整部、微調整部、及び粗調整部による粗調整機能と微調整部による微調整機能との間で切り換える切換部を備えているため、測定領域の調整を高精度かつ迅速に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態に係る電子カメラのシステム構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る電子カメラにおいてスルー画像中のAFエリアを調整する際の処理について説明するためのフローチャートである。
【図3】実施の形態に係る表示部の表示例を示す図である。
【図4】実施の形態に係る表示部の表示例を示す図である。
【図5】実施の形態に係る表示部の表示例を示す図である。
【図6】実施の形態に係る表示部の表示例を示す図である。
【図7】実施の形態に係る表示部の表示例を示す図である。
【図8】実施の形態に係る表示部の表示例を示す図である。
【図9】実施の形態に係る電子カメラにおいてスルー画像中のAFエリアを微調整する際の他の処理について説明するためのフローチャートである。
【図10】実施の形態に係る表示部の表示例を示す図である。
【図11】選択枠とAF領域との大きさ及び位置関係を説明するための図である。
【図12】変形例に係る表示部の表示例を示す図である。
【図13】変形例に係る表示部の表示例を示す図である。
【図14】変形例に係る表示部の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る撮像装置としての電子カメラについて説明する。図1は、この実施の形態に係る電子カメラ2のシステム構成を示すブロック図である。図1に示すように、電子カメラ2には、フォーカスレンズ6及びフォーカスレンズ6の光軸方向への駆動を制御するレンズ駆動部8等を備えた撮影レンズ4が装着されている。フォーカスレンズ6は、被写体に対する合焦位置を調整するためのレンズであり、レンズ駆動部8は、電子カメラ2(後述する制御部10)からの制御に従い、フォーカスレンズ6を駆動させる。なお、この実施の形態においては、撮影レンズ4が電子カメラ2に対して着脱可能なレンズ交換式の電子カメラを例に挙げて説明するが、レンズ一体式の電子カメラであってもよい。
【0011】
電子カメラ2は、マイクロプロセッサ等により構成され、電子カメラ2の各部を統括的に制御する制御部10を備えている。制御部10には、撮像素子12、記録媒体18、表示部20、操作部24、及び記憶部26が接続されている。撮像素子12は、CCDまたはCMOS等により構成され、撮影レンズ4を介した被写体からの光を撮像して撮像信号を制御部10に対して出力する。制御部10は、撮像素子12からの撮像信号に基づいて画像データを作成する。また、制御部10は、作成された画像データのコントラスト値を検出し、検出されたコントラスト値に基づいてコントラスト方式のオートフォーカスを行う。具体的には、レンズ駆動部8を介してフォーカスレンズ6を光軸方向に移動させることによりフォーカス位置を調節する。
【0012】
記録媒体18は、電子カメラ2に設けられたカードスロット(図示せず)に着脱可能に装着される可搬性を有する記録媒体であり、例えば、CFカード、SDカード、スマートメディア等が用いられる。記録媒体18には、制御部10において作成された画像データ等が記録される。表示部20は、電子カメラ2の背面部に配置されるLCD等により構成されるモニタまたはEVF等により構成され、撮像素子12からの撮像信号に基づくスルー画像、記録媒体18に記憶されている画像データに基づく画像、スルー画像中の被写体をフォーカスさせる領域(オートフォーカス領域、以下、AF領域という。)を粗調整するための複数の選択枠34(図4参照)、及び画像に関する情報等を表示する。
【0013】
操作部24は、電子カメラ2の電源をオンオフする電源スイッチ(図示せず)、撮影を指示するシャッターボタン(図示せず)、表示部20にメニュー等を表示させるためのメニューボタン24a、メニュー項目等の選択や様々な設定時に操作される十字操作キー24b、メニュー項目等の選択や様々な設定に対する確定操作を行うための決定(OK)ボタン24c、微調整時においてAF領域を移動させる際に操作されるAF領域移動ボタン(例えば、ファンクションボタン等)24d、微調整時において粗調整時のAF領域の大きさを縮小させる際に操作されるAF領域縮小ボタン(例えば、AF−Lボタン等)24e等を備えて構成されている。
【0014】
この実施の形態に係る電子カメラ2では、十字操作キー24b、AF領域移動ボタン24d、AF領域縮小ボタン24eを操作することにより、表示部20に表示されるスルー画像中の被写体をフォーカスさせる領域(AF領域)を任意に調整することができる。以下、図2に示すフローチャートを参照して、この実施の形態に係る電子カメラ2において、表示部20に表示されるスルー画像中のAF領域を調整する際の処理について説明する。
【0015】
まず、制御部10は、ユーザーによりAF領域の調整指示(例えば、メニューボタン24aの押下)がなされると、表示部20に、例えば図3に示すようなAF領域調整モードの選択画面30を表示する(ステップS10)。AF領域調整モードの選択画面30には、AF領域調整モードとして選択可能な3つの項目、粗調モード、微調モード及び粗微調モードが表示される。粗調モード、微調モード及び粗微調モードについては後述する。ユーザーにより十字操作キー24b等を用いて何れかの調整モード(図3では、粗微調モード)が選択され、決定(OK)ボタン24cが押下されると、制御部10は、選択画面30においてユーザーにより粗微調モードが選択されたか否かを判別する(ステップS11)。
【0016】
ステップS11において粗微調モードが選択されていない、即ち粗調モードまたは微調モードが選択されたと判別された場合には(ステップS11、No)、制御部10は、表示部20にスルー画像を表示し(ステップS12)、ユーザーにより粗調モードが選択された場合には粗調モードにより、ユーザーにより微調モードが選択された場合には微調モードによりAF領域の調整を行う(ステップS13)。
【0017】
粗調モードとは、表示部20に表示されているスルー画像に対するAF領域を所定の自由度で粗く調整するモードのことである。具体的には、制御部10は、例えば図4に示すように、スルー画像32上にスルー画像32に対する位置及び大きさが予め設定されている複数の選択枠34を表示し、スルー画像32の中心部に位置する選択枠34aをAF領域36として設定する。ユーザーは、個々の選択枠間を移動せしめる十字操作キー24bを用いて所定の選択枠(例えば選択枠34a)から所定の選択枠の上下左右の選択枠(例えば選択枠34b〜34i)に移動させることによりAF領域を粗調整する。制御部10は、例えば図5に示すように、ユーザーにより選択枠34aから移動され、選択された選択枠34jをAF領域(選択枠内の被写体をフォーカスさせる)36として設定する。
【0018】
微調モードとは、表示部20に表示されているスルー画像に対するAF領域を所定の自由度より細かい自由度で微調整するモードのことである。具体的には、制御部10は、例えば図6に示すように、スルー画像32上の中心部に移動枠38を表示し、移動枠38をAF領域36として設定する。ユーザーは、移動枠38をスルー画像32上の任意の位置に移動せしめる十字操作キー24bを用いて移動枠38を移動させることによりAF領域36を微調整する。制御部10は、例えば図7に示すように、ユーザーにより移動された移動枠38の位置をAF領域(移動枠内の被写体をフォーカスさせる)36の位置として設定する。
【0019】
一方、ステップS11において粗微調モードが選択されたと判別された場合には(ステップS11、Yes)、制御部10は、表示部20にスルー画像を表示し(ステップS14)、粗微調モードによりAF領域の調整を行う。粗微調モードとは、上述の粗調モードによる粗調整機能と微調モードによる微調整機能とを互いに切り換え、粗調モードによる粗調整及び微調モードによる微調整の両方によりAF領域のスルー画像に対する位置の調整を行うモードのことである。具体的には、制御部10は、例えば図4に示すように、スルー画像32上にスルー画像32に対する位置及び大きさが予め設定されている複数の選択枠34を表示し、この複数の選択枠34中の何れかを選択することによりAF領域36を粗調整する(ステップS15)。即ち、十字操作キー24bを用いて所定の選択枠(例えば選択枠34a)から所定の選択枠の上下左右の選択枠(例えば選択枠34b〜34i)に移動させることにより、スルー画像32内のAF領域36の位置を粗調整する(ステップS15)。
【0020】
ここで、制御部10は、ステップS15においてユーザーにより十字操作キー24bを用いたAF領域36の粗調整が行われている間は、粗調整が終了するまでフォーカスレンズ6の駆動を禁止する。即ち、AF領域36(選択されている選択枠)内の被写体に対する合焦動作を禁止する。このように、AF領域36の粗調整がなされている際に、選択枠34の移動に伴いフォーカスレンズ6が移動するのを待機する必要がないため、選択枠34の移動を迅速に行うことができ、AF領域36の粗調整を迅速に行うことができる。なお、粗調整が終了するまでの間、フォーカスレンズ6の駆動を禁止しているが、スルー画像32に基づく画像データのコントラスト値からのフォーカス位置の検出については、禁止してもよく、または継続させてもよい。
【0021】
次に、制御部10は、十字操作キー24b、及び十字操作キー24bの機能を切り換えるために操作されるAF領域移動ボタン24dの操作が同時になされたか否かを判別する(ステップS16)。ステップS16において十字操作キー24b及びAF領域移動ボタン24dの操作が同時になされたと判別された場合には(ステップS16、Yes)、制御部10は、十字操作キー24bの機能を、粗調整機能から微調整機能に切り換える。即ち、制御部10は、粗微調モードにおいて、十字操作キー24bのみの操作であるか、または十字操作キー24b及びAF領域移動ボタン24dの同時操作であるかを判別することにより、十字操作キー24bの機能を、粗調整機能と微調整機能との間で切り換える。
【0022】
制御部10は、微調整機能に切り換えた後、ステップS15において粗調整されたAF領域36の位置を基点としてAF領域36の微調整を開始する(ステップS17)。例えば、ステップS15において、図4及び図5に示すように、AF領域36が選択枠34aから選択枠34jに移動された場合には、選択枠34jを移動枠としてAF領域36の微調整を開始する。ステップS17におけるAF領域36の微調整では、ステップS15におけるAF領域36の粗調整の際に移動可能なAF領域36のステップ幅より小さいステップ幅でAF領域36を移動させる。即ち、選択枠34から他の選択枠34へ移動可能な粗調整に対し、微調整では、図8に示すように、移動枠40が選択枠34と他の選択枠34との間を移動させることができる。ユーザーは、AF領域移動ボタン24dの押下を継続した状態で、十字操作キー24bを用いて移動枠40を移動させることによりAF領域36を微調整する。
【0023】
ここで、制御部10は、ステップS17においてユーザーにより十字操作キー24b及びAF領域移動ボタン24dを用いたAF領域36の微調整が行われている間は、微調整(移動)されている移動枠40(AF領域36)内の被写体が常時合焦するように、フォーカスレンズ6をレンズ駆動部8を介して継続駆動させる。即ち、制御部10は、移動枠40内の被写体に基づく画像データのコントラスト値からフォーカス位置を検出し、検出結果に基づいてフォーカスレンズ6の移動量を算出し、算出結果に基づいてフォーカスレンズ6を移動させる。このように、AF領域36の微調整がなされている際に、移動枠40の移動に伴いフォーカスレンズ6が移動するため、移動枠40内の被写体の合焦状態を確認しつつAF領域36の微調整を行うことができる。
【0024】
一方、ステップS13の処理の後、またはステップS16において十字操作キー24b及びAF領域移動ボタン24dの操作が同時になされていないと判別された後(ステップS16、No)、例えば、シャッターボタン(図示せず)が半押しされた場合等には、制御部10は、調整されたAF領域36内の被写体が合焦するように、フォーカスレンズ6をレンズ駆動部8を介して駆動させる(ステップS18)。
【0025】
なお、制御部10は、粗微調モードにおいて、ステップS17またはS18の処理を行っている際に、十字操作キー24bのみの操作がなされたことを検出した場合には、十字操作キー24bの機能を微調整機能から粗調整機能に切り換える。この場合には、制御部10は、微調整された移動枠40(AF領域36)の位置近傍に位置する選択枠(図8では、選択枠34j)を基点としてAF領域36の位置の粗調整を開始する。
【0026】
次に、図9に示すフローチャートを参照して、粗微調モードにおいてスルー画像中のAF領域の他の微調整方法について説明する。
【0027】
まず、ユーザーにより粗微調モードが選択された後、制御部10は、図4に示すように、表示部20にスルー画像32、及びスルー画像32上に複数の選択枠34を表示し(ステップS20)、この複数の選択枠34の中の何れかを選択することによりAF領域36のスルー画像32に対する位置の粗調整を行う(ステップS21)。
【0028】
次に、制御部10は、十字操作キー24b、及び十字操作キー24bの機能を切り換えるために操作されるAF領域縮小ボタン24eの操作が同時になされたか否かを判別する(ステップS22)。ステップS22において十字操作キー24b及びAF領域縮小ボタン24eの操作が同時になされたと判別された場合には(ステップS22、Yes)、制御部10は、十字操作キー24bの機能を粗調整機能から微調整機能に切り換え、ステップS21において粗調整されたAF領域36(例えば図5に示す選択枠34j)の位置を基点としてAF領域36の大きさを縮小する(ステップS23)。
【0029】
具体的には、図10に示すように、AF領域36の大きさを、ステップS21における粗調整の際のAF領域36の大きさ(図10では選択枠34jの大きさ)よりも小さくする。ユーザーは、AF領域縮小ボタン24eの押下を継続した状態で、十字操作キー24bを用いてAF領域36の大きさを小さくする。ここで、制御部10は、ステップS23においてユーザーにより十字操作キー24b及びAF領域縮小ボタン24eを用いたAF領域36の大きさの縮小が行われている間は、縮小中のAF領域36内の被写体が常時合焦するように、フォーカスレンズ6をレンズ駆動部8を介して継続駆動させる。
【0030】
次に、制御部10は、十字操作キー24b及びAF領域移動ボタン24dの操作が同時になされたか否かを判別する(ステップS24)。ステップS24において十字操作キー24b及びAF領域移動ボタン24dの操作が同時になされたと判別された場合には(ステップS24、Yes)、制御部10は、ステップS23において縮小されたAF領域36の位置を基点としてAF領域36の位置の微調整を行う(ステップS25)。ここで、ステップS25において微調整に用いられるAF領域36は、図11に示すように、ステップS21において粗調整で使用された選択枠34j(図10参照)の範囲内(選択枠34j内及び選択枠34jの線状)及びその近傍でのみ移動可能である。また、ステップS25における微調整時においても、ステップS23における縮小時と同様に、移動中のAF領域36内の被写体が常時合焦するように、フォーカスレンズ6をレンズ駆動部8を介して継続駆動させる。
【0031】
一方、ステップS22において十字操作キー24b及びAF領域縮小ボタン24eの操作が同時になされていないと判別された後(ステップS22、No)、例えば、シャッターボタン(図示せず)が半押しされた場合等には、制御部10は、粗調整されたAF領域36内の被写体が合焦するように、フォーカスレンズ6をレンズ駆動部8を介して駆動させる(ステップS26)。
【0032】
この実施の形態に係る電子カメラ2によれば、AF領域を粗調整する粗調整機能及び微調整する微調整機能を備えており、また、粗調整機能と微調整機能との間で切り換え可能であり、切り換えの際に一方の調整機能により調整されたAF領域位置を基点として他方の調整機能による調整を行うことができるため、AF領域の調整を高精度かつ迅速に行うことができる。
【0033】
次に、上述の実施の形態に係る電子カメラ2において、制御部10がスルー画像中の人物の顔領域を認識するための顔領域認識部を備えている場合の粗微調モードにおけるAF領域の他の調整方法(変形例)について説明する。
【0034】
まず、図2に示すステップS10において選択画面30(図3参照)が表示され、ステップS11において粗微調モードが選択されたと判別された場合には(ステップS11、Yes)、制御部10は、表示部20にスルー画像を表示すると同時に(ステップS14)、顔領域認識部において周知の技術を用いてスルー画像中の人物の顔領域の認識を行う。即ち、図12に示すように、スルー画像42中の人物の顔領域44a〜44gを検出する。そして、ユーザーは、この複数の顔領域44a〜44jの中から何れかを十字操作キー24bを用いて選択し、制御部10は、選択された顔領域(図12では顔領域44b)をAF領域46とする粗調整を行う(ステップS15)。なお、制御部10は、ステップS15においてAF領域46の粗調整が行われている間は、粗調整が終了するまでフォーカスレンズ6の駆動を禁止する。
【0035】
次に、ステップS16において十字操作キー24b及びAF領域移動ボタン24dの操作が同時になされたと判別された場合には(ステップS16、Yes)、制御部10は、十字操作キー24bの機能を粗調整機能から微調整機能に切り換え、ステップS15において粗調整されたAF領域46、即ち選択された顔領域44bを基点としてAF領域の微調整を行う(ステップS17)。即ち、顔領域から他の顔領域へ移動可能な粗調整に対し、微調整では、図13に示すように、AF領域46の位置を、粗調整による自由度より細かい自由度で移動させることができる。ユーザーは、AF領域移動ボタン24dの押下を継続した状態で、十字操作キー24bを用いてAF領域46を移動させる。なお、制御部10は、ステップS17においてAF領域46の微調整が行われている間は、微調整(移動)されているAF領域46内の被写体が常時合焦するように、フォーカスレンズ6を継続駆動させる。
【0036】
一方、ステップS16において十字操作キー24b及びAF領域移動ボタン24dの操作が同時になされていないと判別された後(ステップS16、No)、例えば、シャッターボタン(図示せず)が半押しされた場合等には、制御部10は、調整されたAF領域46内の被写体が合焦するように、フォーカスレンズ6を駆動させる(ステップS18)。
【0037】
また、上述のように、制御部10がスルー画像中の人物の顔領域を認識するための顔領域認識部を備えている場合であって、粗微調モードにおいてAF領域を微調整する他の方法について説明する。
【0038】
図7に示すステップS20において、図12に示すように、表示部20にスルー画像42、及びスルー画像42上の顔領域44a〜44jを表示した後、ステップS21においてこの複数の顔領域44a〜44jの中の何れかを選択することによりAF領域46のスルー画像32に対する位置の粗調整を行う。
【0039】
次に、ステップS22において十字操作キー24b及びAF領域縮小ボタン24eの操作が同時になされたと判別された場合には(ステップS22、Yes)、制御部10は、十字操作キー24bの機能を粗調整機能から微調整機能に切り換え、粗調整されたAF領域46、即ち選択された顔領域(図12では顔領域44b)の位置を基点としてAF領域46の大きさを縮小する(ステップS23)。具体的には、図14に示すように、AF領域46の大きさを、ステップS21における粗調整の際のAF領域46の大きさ(図14では顔領域44bの大きさ)よりも小さくする。
【0040】
次に、ステップS24において十字操作キー24b及びAF領域移動ボタン24dの操作が同時になされたと判別された場合には(ステップS24、Yes)、制御部10は、ステップS23において縮小されたAF領域46の位置を基点としてAF領域46の微調整を行う(ステップS25)。ここで、ステップS25において微調整に用いられるAF領域46は、ステップS21において粗調整で使用された顔領域44b(図14参照)の範囲内(顔領域44b内及び顔領域44bの線状)及びその近傍でのみ移動可能である。例えば、顔領域44b内の人物の目をフォーカスさせたい場合等、AF領域46を顔領域44b内の人物の目の位置まで移動させる。即ち、顔領域44bの範囲内において、顔領域44bの大きさよりも小さな領域をAF領域46として調整を行う。
【0041】
上述の変形例によれば、電子カメラ2に設けられている顔領域認識機能を用いてAF領域の調整を容易かつ迅速に行うことができる。即ち、複数の顔領域が認識された場合には、その複数の顔領域の中の何れかを選択し、選択された顔領域をAF領域とする粗調整を行うことができ、選択された顔領域の位置からAF領域の微調整を行うことができる。また、選択された顔領域の大きさよりもAF領域を小さくすることもできるため、顔領域の中でフォーカスさせたい領域(例えば、目、鼻、口等)がある場合等、フォーカスさせたい領域に対応する大きさのAF領域に微調整することができる。
【0042】
なお、上述の変形例においては、粗微調モードにおけるAF領域の調整について説明したが、粗調モードまたは微調モードにおいても顔領域を用いてAF領域の調整を行うことができる。粗調モードにおいては、図2に示すステップS15または図9に示すステップS21の処理と同様の処理を行うことによりAF領域の調整を行うことができる。微調モードにおいても、図2に示すステップS17、図9に示すステップS23、またはステップS25の処理と同様の処理を行うことによりAF領域の調整を行うことができる。なお、微調モードでは、一つの顔領域が認識された場合にはその認識された顔領域をAF領域とし、複数の顔領域が認識された場合にはその中の何れかを選択し、選択された顔領域をAF領域とする。そして、認識または選択された顔領域(AF領域)を移動させる。または、AF領域の大きさを縮小し、選択された顔領域の範囲内において縮小されたAF領域を移動させる。
【0043】
また、上述の実施の形態においては、十字操作キー24bの機能を、十字操作キー24bのみ操作がなされた場合には粗調整機能に、十字操作キー24b及びAF領域移動ボタン24dの操作が同時になされた場合には微調整機能に切り換えているが、十字操作キー24bのみ操作がなされた場合には微調整機能に、十字操作キー24b及びAF領域移動ボタン24dの操作が同時になされた場合には粗調整機能に切り換える構成にしてもよい。
【0044】
また、上述の実施の形態においては、十字操作キー24bのみの操作であるか、十字操作キー24b及びAF領域移動ボタン24dの同時操作であるかにより、十字操作キー24bの機能を粗調整機能と微調整機能との間で切り換えているが、十字操作キー24bまたはその他所定の操作部材(図示せず)がダブルクリック操作された場合に、十字操作キー24bの機能を、粗調整機能から微調整機能へ、または微調整機能から粗調整機能へ切り換える構成にしてもよい。また、十字操作キー24bまたはその他所定の操作部材(図示せず)が所定時間以上継続して操作された場合、即ち所定時間以上継続して押下(長押し)された場合に、十字操作キー24bの機能を、粗調整機能から微調整機能へ、または微調整機能から粗調整機能へ切り換える構成にしてもよい。
【0045】
また、メニューの中のメニュー項目に、粗微調モードにおける粗調整機能から微調整機能への切換、及び微調整機能から粗調整機能への切換を行う項目を加え、十字操作キー24bの機能を切り換える際に、メニュー画面を表示部20に表示し、十字操作キー24b等を用いて操作することにより、十字操作キー24bの機能を、粗調整機能から微調整機能へ、または微調整機能から粗調整機能へ切り換える構成にしてもよい。
【0046】
また、上述の実施の形態においては、十字操作キー24bを操作することによりAF領域の粗調整及び微調整を行う例について説明したが、十字操作キー24b以外の操作部材を用いてAF領域の粗調整及び微調整を行う構成にしてもよい。
【0047】
また、上述の実施の形態においては、スルー画像に対するAF領域の調整を行っているが、スルー画像に対する測光領域の調整等、スルー画像中の被写体を測定するための測定領域の調整についても本発明を適用することができる。
【0048】
また、上述の実施の形態においては、フォーカス位置の検出方法(オートフォーカス機能)としてコントラスト検出方式によるオートフォーカス機能を備えた電子カメラを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば特開2009−89144号公報記載のような、撮像素子12の一部に、瞳分割位相差検出方式を行うためのAF用画素が埋め込まれた撮像素子を用いてオートフォーカス機能を実現する電子カメラについても本発明を適用することができる。また、例えば位相差検出方式によるオートフォーカス機能を備えた周知のAFセンサを撮像素子とは別個に設けた電子カメラ、具体的には被写体光をハーフミラー(このハーフミラーは透過光を撮像素子へ、反射光をAFセンサへ導くもの)を介してAFセンサと撮像素子に導くように構成された電子カメラにも、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0049】
2…電子カメラ、4…撮影レンズ、6…フォーカスレンズ、8…レンズ駆動部、10…制御部、12…撮像素子、18…記録媒体、20…表示部、24…操作部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの光を撮像する撮像素子と、
前記撮像素子に基づくスルー画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示される前記スルー画像中の前記被写体を測定するための測定領域を任意に調整する調整部と、を有する撮像装置において、
前記調整部は、
前記スルー画像に対する前記測定領域の調整を、所定の自由度で粗く調整する粗調整部と、
前記スルー画像に対する前記測定領域の調整を、前記所定の自由度よりも細かい自由度で微調整する微調整部と、
前記調整部の機能を、前記粗調整部による粗調整機能と前記微調整部による微調整機能との間で切り換える切換部と、
を備え、
前記微調整部は、前記切換部により前記粗調整機能から前記微調整機能に切換られた際には、前記粗調整部により粗調整された前記測定領域を基点として、前記測定領域の微調整を開始することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記微調整部は、前記粗調整部により粗調整される際に移動可能な前記測定領域のステップ幅より小さいステップ幅で前記測定領域を移動させることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記微調整部での調整に用いられる前記測定領域の大きさは、前記粗調整部で使用される前記測定領域の大きさよりも小さいことを特徴とする請求項1または請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記微調整部での調整に用いられる前記測定領域は、前記粗調整部で使用される前記測定領域の範囲内およびその近傍でのみ移動可能であることを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記スルー画像中の人物の顔領域を認識する顔領域認識部を更に備え、
前記粗調整部は、前記顔領域認識部により認識された複数の前記人物の顔領域の何れかを選択することを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記スルー画像中の人物の顔領域を認識する顔領域認識部を更に備え、
前記微調整部は、前記顔領域認識部により認識された前記人物の顔領域の範囲内において、当該顔領域の大きさよりも小さな領域を前記測定領域として前記調整を行うことを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記調整部は、前記測定領域を前記スルー画像上の任意の位置に移動せしめる第1操作部材、及び当該第1操作部材の機能を切り換えるために操作される第2操作部材を更に備え、
前記切換部は、前記第1操作部材及び前記第2操作部材の操作が同時になされた場合には、前記調整部の機能を前記粗調整機能と前記微調整機能のうちの何れか一方から他方に、または何れか他方から一方に切り換えることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記調整部は、ダブルクリック操作が可能な操作部材を更に備え、
前記切換部は、前記操作部材によりダブルクリック操作がなされた場合には、前記調整部の機能を前記粗調整機能と前記微調整機能のうちの何れか一方から他方に、または何れか他方から一方に切り換えることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項9】
操作部材を更に備え、
前記切換部は、前記操作部材により所定時間以上継続操作がなされた場合には、前記粗調整から前記微調整に、または前記微調整から前記粗調整に切り換えることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記スルー画像中のフォーカス領域に対する合焦位置を調整するためのフォーカスレンズの駆動を制御するフォーカスレンズ駆動制御部を更に備え、
前記調整部は、前記測定領域として前記フォーカス領域を設定し、
前記フォーカスレンズ駆動制御部は、前記粗調整部により前記フォーカス領域の前記位置が粗調整動作されている間は、当該粗調整動作が終了するまで前記フォーカスレンズの駆動を禁止し、
前記微調整部により前記フォーカス領域の前記位置が微調整動作されている間は、前記微調整部により微調整される前記フォーカス領域が常時合焦するように、前記フォーカスレンズを継続駆動させることを特徴とする請求項1〜請求項9の何れか一項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記粗調整部は、前記スルー画像内に予め設定されている複数の選択領域の中の何れかを選択することにより前記測定領域の前記スルー画像内の位置を粗調整し、
前記切換部により前記微調整から前記粗調整に前記調整部の機能を切り換えられた際に、前記微調整部により微調整された前記測定領域の前記位置近傍に位置する前記選択領域を基点として前記測定領域の前記位置の粗調整を開始することを特徴とする請求項1〜請求項10の何れか一項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−119969(P2011−119969A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275336(P2009−275336)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】