撮像装置
【課題】光学系の光軸変位を適切に行うことができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、光学系を駆動して光学系の光軸を変位する駆動手段と、光学系による像の情報を検出する検出手段と、検出手段の検出結果に基づいて、光学系の光軸を変位するように駆動手段を制御する制御手段とを備えている撮像装置である。
【解決手段】撮像装置は、光学系を駆動して光学系の光軸を変位する駆動手段と、光学系による像の情報を検出する検出手段と、検出手段の検出結果に基づいて、光学系の光軸を変位するように駆動手段を制御する制御手段とを備えている撮像装置である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置として、手動で光学系の光軸を変位させることができる撮像装置が提案されている。例えば、特許文献1には、ユーザが手動で光学系の光軸を傾斜(チルト)または平行移動(シフト)させる撮像装置が開示されている。
【0003】
このような撮像装置には、ユーザが手回し可能な調整ノブの回転量に応じて、光学系を傾斜又は平行移動させる機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−203435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような撮像装置の場合、ユーザは、ファインダーを覗きながら又はスルー画像(ライブビュー画像)を見ながら調整ノブを直感的に操作する必要がある。このため、特に、上記撮像装置の操作に不慣れなユーザにとっては、光学系の光軸を適切に変位させるのが困難である。
【0006】
本発明は、かかる事情の下になされたものであり、光学系の光軸変位を適切に行うことができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る第1の撮像装置(5)は、光学系(200)を駆動して該光学系の光軸を変位する駆動手段(300,400)と、前記光学系による像の情報を検出する検出手段(50)と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記光学系の光軸を変位するように前記駆動手段を制御する制御手段(70)とを備えている撮像装置である。
【0008】
上記構成において、前記検出手段は、前記光学系による像面内に設定された複数の焦点検出位置(800,810,820)に対する前記光学系の焦点状態を前記像の情報として検出する構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記制御手段は、前記検出手段が検出した複数の前記焦点状態が合焦状態を示すように前記駆動手段によって前記光学系の光軸を傾斜することにより、前記光学系の像面を傾斜させることとしてもよい。
【0010】
上記構成において、前記制御手段は、前記複数の焦点検出位置のうちの第1の焦点検出位置に対して前記焦点検出手段が検出した前記焦点状態が合焦状態に近づくとともに、前記第1の焦点検出位置とは異なる第2の焦点検出位置に対して前記焦点検出手段が検出した前記焦点状態が合焦状態から遠ざかるように前記駆動手段によって前記光学系の光軸を変位することにより、前記光学系の像面を傾斜させることとしてもよい。
【0011】
上記構成において、前記検出手段は、前記光学系による像のエッジを前記像の情報として検出する構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記制御手段は、前記検出手段が検出した前記エッジの歪みを相殺するように前記駆動手段によって前記光学系を平行移動することにより、前記光学系の像を歪ませることとしてもよい。
【0013】
本発明に係る第2の撮像装置(5)は、光学系(200)と、前記光学系を駆動して該光学系の光軸を変位する駆動手段(300,400)と、前記光学系による像の情報に基づく駆動信号によって前記駆動手段を駆動する制御手段(70)とを備えている撮像装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光学系の光軸変位を適切に行うことができる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態に係る撮像装置の構成を説明するための概略図である。
【図2】一実施形態に係るレンズ鏡筒を模式的に示す斜視図である。
【図3】一実施形態に係るレンズ鏡筒の模式的な分解斜視図である。
【図4】一実施形態に係る電動チルトユニットの内部を模式的に示す図である。
【図5】図5(a)は、一実施形態に係る電動チルト機構近傍の拡大図である。図5(b)は、電動チルト機構を図5(a)のA方向から見た図である。
【図6】図6(a)は、一実施形態に係るチルトエンコーダ近傍の拡大図である。図6(b)は、チルトエンコーダを、図6(a)のB方向から見た図である。
【図7】図7(a)は、一実施形態に係るレンズ鏡筒を図2のZ方向とは反対側の方向から見た図であり、一部が透視されて図示されている。図7(b)は、電動シフトユニットの内部を模式的に示す図である。
【図8】図8(a)は、図7(a)の電動シフト機構近傍の拡大図であり、一部が透視されて図示されている。図8(b)は、図7(b)の電動シフト機構近傍の拡大図である。
【図9】図9(a)は、図7(a)のシフトエンコーダ近傍の拡大図であり、一部が透視されて図示されている。図9(b)は、図7(b)のシフトエンコーダ近傍の拡大図である。
【図10】図10(a)は、アオリ撮影を説明するための被写体像であって、ファインダーを通して視認される光学系による被写体像を示している。図10(b)は、逆アオリ撮像を説明するための被写体像であって、ファインダーを通して視認される光学系の被写体像を示している。
【図11】図11(a)は、アオリ撮像を行う場合の処理例(第1例)を示す図である。図11(b)は、アオリ撮像を行う場合の処理例(第2例)を示す図である。
【図12】図12(a)は、アオリ撮像を行う場合の処理例(第3例)を示す図である。図12(b)は、アオリ撮像を行う場合の処理例(第4例)を示す図である。
【図13】図13(a)は、逆アオリ撮像を行う場合の処理例(第1例)を示す図である。図13(b)は、逆アオリ撮像を行う場合の処理例(第2例)を示す図である。
【図14】図14(a)は、アオリ撮像を行わない場合の処理例を説明するための図である。図14(b)は、アオリ撮像を行わない場合の別の処理例を示す図である。
【図15】一実施形態に係る制御部がアオリ撮像および逆アオリ撮像を行う際のフローチャートの一例を示す図である。
【図16】図16(a)は、シフト撮像を説明するための被写体像であって、ファインダーを通して視認された被写体像を示す図である。図16(b)は、光学系が平行移動した後に、ファインダーを通して視認された被写体像を示す図である。
【図17】一実施形態に係る制御部がシフト撮像を行う際のフローチャートの一例を示す図である。
【図18】図18(a)は、一実施形態の比較例1に係るレンズ鏡筒の斜視図である。図18(b)は、レンズ鏡筒を鏡筒側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る撮像装置の一実施形態について説明する。図1は、一実施形態にかかる撮像装置5の構成を説明するための概略図である。撮像装置5は、一眼レフ方式のデジタルカメラであり、カメラ本体10と、カメラ本体10に対して着脱可能とされた、光学系200を有するレンズ鏡筒100と、を備える。
【0017】
カメラ本体10は、ファインダー20と、撮像素子30と、画像表示部40と、AF(Auto Focus)モジュール50と、操作スイッチ60と、制御部70と、を備える。ファインダー20は、レンズ鏡筒100が有する光学系200による像を目視観察するための光学式のファインダーである。撮像素子30は、光学系200による像を画像情報に変換する素子である。撮像素子30としては、例えばCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いることができる。画像表示部40としては、例えば液晶モニター等を用いることができる。画像表示部40は、制御部70からの指示の下、光学系200による像を撮像した画像を表示したり、撮影メニューを表示したりするものである。なお、光学系200による像を画像表示部40上でも目視観察可能とするため、ファインダー20に代えて、又はこれとともに、光学系200による像(スルー画像)を画像表示部40に表示することとしても良い(この表示は、ライブビュー表示などと呼ばれている)。
【0018】
AFモジュール50は、光学系200による像の情報を検出するモジュールである。具体的には、AFモジュール50は、光学系200の像面内に設定された複数の焦点検出位置における光学系200の焦点状態を像の情報として検出し、検出した焦点状態を制御部70に送信する。
【0019】
AFモジュール50の検出方式としては、例えば位相検出方式が用いられる。本実施形態におけるAFモジュール50は、位相検出方式によって光学系200による像の情報を検出する。この場合、AFモジュール50は、光学系200による像面内の複数位置に対応して、複数のフォーカスポイントエリアを設定する。これらのフォーカスポイントエリアは、ファインダー20を通じて、ユーザが視認することができる。なお、焦点検出の方法としては、上記に限らず、周知のコントラスト方式を用いることも可能である。
【0020】
操作スイッチ60は、ユーザによって操作される種々のスイッチを備え、ユーザによる操作情報は、制御部70に送信される。本実施形態において、操作スイッチ60は、選択ボタン及びOKボタン、並びにレリーズボタンを備えているものとする。選択ボタン及びOKボタンは、画像表示部40に表示される制御部70からの指示情報に対してユーザが選択したり、了解したりするときに押すボタンである。レリーズボタンは、半押し状態と全押し状態との2段階の状態を有し、撮影時に用いられる。
【0021】
制御部70は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えるマイクロコンピュータである。制御部70は、カメラ本体10内の各部の動作を統括的に制御するとともに、カメラ本体10に装着されるレンズ鏡筒100内の各部の動作も統括的に制御する。なお、制御部70は、光学系200による像のエッジを検出するエッジ検出部としての機能も有している。
【0022】
レンズ鏡筒100は、アオリレンズ又はPCレンズなどと呼ばれるものである。このレンズ鏡筒100は、光学系200と、電動チルトユニット300と、チルトエンコーダ310と、電動シフトユニット400と、シフトエンコーダ410と、手動回転ユニット500と、AF機構600と、を備える。
【0023】
光学系200は、メインレンズ、焦点距離調節レンズ、固定レンズ等の複数のレンズによって構成されている。この光学系200は、レンズ鏡筒100の概観を示す斜視図である図2に示すように、鏡筒210内に設けられている。
【0024】
電動チルトユニット300は、制御部70の指示を受けて光学系200の光軸を傾斜させるユニットである。この電動チルトユニット300は、図2に示すように、鏡筒210のカメラ本体10側に設けられている。
【0025】
チルトエンコーダ310は、光学系200の光軸の、電動チルトユニット300による傾斜量を検出して、その検出結果を制御部70に送信する。
【0026】
電動シフトユニット400は、制御部70の指示を受けて光学系200の光軸を当該光軸と直交する方向に平行移動させるユニットである。この電動シフトユニット400は、図2に示すように、電動チルトユニット300のカメラ本体10側に設けられている。
【0027】
シフトエンコーダ410は、光学系200の光軸の、電動シフトユニット400による平行移動量を検出して、その検出結果を制御部70に送信する。
【0028】
手動回転ユニット500は、光学系200を光軸回りに回転させるためのユニットである。手動回転ユニット500は、図2に示すように、電動シフトユニット300のカメラ本体10側に設けられている。
【0029】
AF機構600は、制御部70の指示を受けて、光学系200の焦点状態を調整するオートフォーカス(AF)機構である。
【0030】
次に、電動チルトユニット300及びチルトエンコーダ310の各構成について、詳細に説明する。図3は、レンズ鏡筒100の模式的な分解斜視図である。なお、図3及び図2においては、光学系200の光軸方向をX軸方向とし、それに直交する2軸方向を、Y軸方向及びZ軸方向としている。以下、これらの座標系を用いて、説明するものとする。
【0031】
電動チルトユニット300は、図2及び図3に示すように、鏡筒210の−X側の端部に接続されたチルト可動部材320と、チルト可動部材320の−X側に接続されたチルト固定部材330とを有する。チルト可動部材320及びチルト固定部材330は、図3に示すように、略矩形枠形状を有しており、その中央には、光学系200を介してカメラ本体10に入射する光を通過させるための貫通孔が形成されている。チルト可動部材320の−X側端部には、円弧状の凹部320aが形成され、これに対応して、チルト固定部材330の+X側端部には、円弧状の凸部330aが形成されている。チルト可動部材320は、チルト固定部材330の凸部330aに対して凹部320aを沿わせながら、Z軸回りに傾斜することが可能となっている。
【0032】
図4には、電動チルトユニット300の内部構造が模式的に示されている。図4に示すように、チルト固定部材330には、一対の連結駒340がネジ止めされており、当該連結駒340によってチルト可動部材320がチルト固定部材330に対して傾斜可能な状態で連結されている。また、チルト固定部材330の+Z側端部近傍及びチルト可動部材320の+Z側端部近傍には、電動チルト機構350が設けられている。
【0033】
図5(a)には、電動チルト機構350近傍の拡大図が示され、図5(b)には、図5(a)をA方向から見た状態を示す図が示されている。これら図5(a)、図5(b)に示すように、電動チルト機構350は、動力を発生させる電動アクチュエータ356と、電動アクチュエータ356において発生した動力が伝達されるウォームギア機構359と、駆動ユニット353と、を備える。
【0034】
電動アクチュエータ356は、チルト固定部材330に固定されている。電動アクチュエータ356は、Y軸方向に延びる回転軸355を有し、制御部70の指示の下、回転軸355をY軸回りに正転又は逆転させる。
【0035】
ウォームギア機構359は、ウォームギア358と、ウォームホイール360と、を有する。ウォームギア358は、回転軸355の−Y側端部に固定されており、回転軸355と一体となってY軸回りに回転する。ウォームホイール360は、ウォームギア358と噛み合っている。ウォームホイール360は、ウォームギア358の回転に伴って、Z軸回りに回転する。
【0036】
駆動ユニット353は、ピニオンギア354と、セグメントギア352と、を有する。ピニオンギア354は、ウォームホイール360と同軸とされており、ウォームホイール360の回転に伴って、Z軸回りに回転する。セグメントギア352は、チルト可動部材320に固定されている。セグメントギア352の歯部のピッチ線(隣接する歯のピッチを結んだ線)は、円弧形状を有している。セグメントギア352には、ピニオンギア354が噛み合っており、ピニオンギア354のX軸回りの回転により、セグメントギア352は、円弧形状に沿う方向に移動する。なお、図5(b)では、ウォームホイール360とピニオンギア354との位置関係をわかり易く図示するため、ピニオンギア354のうち、セグメントギア352に噛み合っている部分のみを図示している。
【0037】
上記のように構成される電動チルト機構350によると、電動アクチュエータ356の回転軸355がY軸回りに回転すると、ウォームギア358もY軸回りに回転し、これに伴って、ウォームホイール360及びピニオンギア354がZ軸回りに回転する。そして、ピニオンギア354のZ軸回りの回転により、セグメントギア352は、セグメントギア352のピッチ線(円弧形状)に沿う方向に移動する。これにより、チルト可動部材320が、チルト固定部材330に対して傾斜し、ひいては、光学系200の光軸がチルト固定部材330に対して傾斜するようになっている。
【0038】
ここで、ウォームギア機構359では、ウォームギア358側からウォームホイール360側を駆動することはできるものの、ウォームホイール360側からウォームギア358を駆動することはできない。このようなウォームギア機構359の性質は、自己停止性又はセルフロックと呼ばれている。このため、電動アクチュエータ356の回転が停止している場合、すなわち、電動アクチュエータ356において動力が発生していない場合に、チルト可動部材320に対して外部から力が加えられても、チルト可動部材320はチルト固定部材330に対して移動することはない。すなわち、電動アクチュエータ356において動力が発生していない場合には、チルト可動部材320は自動でロックされた状態となる。
【0039】
図4に戻り、チルトエンコーダ310は、チルト固定部材330の−Z側端部近傍及びチルト可動部材320の−Z側端部近傍に設けられている。図6(a)は、図4のチルトエンコーダ310近傍を拡大して示す図である。また、図6(b)は、チルトエンコーダ310を、図6(a)のB方向から見た状態を示す図である。これら図6(a)、図6(b)に示すように、チルトエンコーダ310は、磁気テープから成るスケール312とチルトエンコーダ本体314とを有する。スケール312は、チルト可動部材320の円弧状の面320c(図6(b))に貼付されている。チルトエンコーダ本体314は、チルト固定部材330の、スケール312と対向する位置に固定され、スケール312に記録された位置情報を検出して、その検出結果を制御部70に送信するものである。制御部70は、チルトエンコーダ本体314による検出結果に基づいて、チルト固定部材330に対するチルト可動部材320の傾斜量、ひいては光学系200の傾斜量を算出し、当該傾斜量に基づいて電動チルトユニット300の駆動量を制御する。なお、制御部70は、ファインダー20および画像表示部40の少なくとも一方に、傾斜量を表示することとしてもよい。
【0040】
次に、電動シフトユニット400及びシフトエンコーダ410の各構成について、図2、図3、及び図7〜図9に基づいて詳細に説明する。
【0041】
図2及び図3に示すように、電動シフトユニット400は、チルト固定部材330の−X側の端部に接続されたシフト可動部材320と、シフト可動部材320の−X側の端部に接続されたシフト固定部材330とを有する。シフト可動部材420及びシフト固定部材430は、図3に示すように、略矩形状を有しており、その中央には、光学系200を介してカメラ本体10に入射する光を通過させるための貫通孔が形成されている。
【0042】
図7(a)は、電動シフトユニット400を一部断面して示す図であり、図7(b)は、図7(a)をC方向から見た状態を示す図である。これらのうち、図7(a)に示すように、シフト可動部材420には、かぎ状部分420a,420bが設けられ、シフト固定部材430には、かぎ状部分420a,420bそれぞれと係合するかぎ状部分430a,430bが設けられている。各かぎ状部分420a,420b,430a,430bは、Z軸方向に延びているため、シフト可動部材420は、シフト固定部材430に対してZ軸方向にスライド移動可能となっている。シフト固定部材430の+Y側端部近傍及びシフト可動部材420の+Y側端部近傍には、図7(b)に示すように、電動シフト機構450が設けられている。
【0043】
図8(a)には、図7(a)の電動シフト機構450近傍の拡大図が示され、図8(b)には、図7(b)の電動シフト機構450近傍の拡大図が示されている。これら図8(a)、図8(b)に示すように、電動シフト機構450は、動力を発生させる電動アクチュエータ456と、電動アクチュエータ456において発生した動力が伝達されるウォームギア機構459と、駆動ユニット453と、を備える。
【0044】
電動アクチュエータ456は、金具451を介して、シフト可動部材420に固定されている。電動アクチュエータ456は、Z軸方向に延びる回転軸455を有し、制御部70の指示の下、回転軸455をZ軸回りに正転又は逆転させる。
【0045】
ウォームギア機構459は、ウォームギア458と、ウォームホイール460と、を有する。これらウォームギア458とウォームホイール460は、各回転軸がZ軸、Y軸であること以外は、前述した電動チルト機構350のウォームギア358及びウォームホイール360と同一である。
【0046】
駆動ユニット453は、ピニオンギア454と、セグメントギア452と、を有する。これらのうち、ピニオンギア454は、回転軸がY軸であること以外は、前述した電動チルト機構350のピニオンギア354と同一である。また、セグメントギア452は、シフト可動部材420に固定されており、歯部のピッチ線(隣接する歯のピッチを結んだ線)の方向がZ軸方向である点以外は、前述した電動チルト機構350のセグメントギア452と同一である。
【0047】
このように構成される電動シフト機構450によると、電動アクチュエータ456の回転軸455がZ軸回りに回転すると、ウォームギア458もZ軸回りに回転し、これに伴って、ウォームホイール460及びピニオンギア454がY軸回りに回転する。そして、ピニオンギア454のY軸回りの回転により、セグメントギア452はZ軸方向の力を受ける。これにより、シフト可動部材420がシフト固定部材430に対してZ軸方向にスライド移動することになる。なお、電動シフト機構450においても、上述した電動チルト機構350と同様、ウォームギア機構459が自己停止性又はセルフロックと呼ばれる性質を有する。このため、電動アクチュエータ456において動力が発生していない場合には、シフト可動部材420が自動でロックされた状態となり、外部からの力によっては、移動しないようになっている。
【0048】
図7(a)、図7(b)に戻り、シフトエンコーダ410は、シフト固定部材430の−Y側端部近傍及びシフト可動部材420の−Y側端部近傍に設けられている。図9(a)は、図7(a)のシフトエンコーダ410近傍を拡大して示す図である。また、図9(b)は、シフトエンコーダ410を、図9(a)のD方向から見た状態を示す図である。これら図9(a)、図9(b)に示すように、シフトエンコーダ410は、磁気テープから成るスケール412とシフトエンコーダ本体414とを備える。スケール412は、シフト可動部材420のうち、YZ方向に広がる面420c(図9(a))に貼付されている。シフトエンコーダ本体414は、シフト固定部材430の、スケール412と対向する位置に固定され、スケール412に記録された位置情報を検出して、その検出結果を制御部70に伝えるものである。制御部70は、シフトエンコーダ本体414による検出結果に基づいて、シフト固定部材430に対するシフト可動部材420のシフト量、ひいては光学系200のシフト量を算出し、当該シフト量に基づいて電動シフトユニット400の駆動量を制御する。なお、制御部70は、ファインダー20および画像表示部40の少なくとも一方に、シフト量を表示することとしてもよい。
【0049】
次に、図2に基づいて手動回転ユニット500について説明する。手動回転ユニット500は、シフト固定部材430に接続された回転可動部材510と回転可動部材510に接続された回転固定部材520とを有する。回転可動部材510および回転固定部材520は略矩形状を有しており、その中央には、光学系200を介してカメラ本体10に入射する光を通過させるための貫通孔が形成されている。回転可動部材510は、回転固定部材520に対して、X軸回りに回転可能となっている。この回転可動部材510は、ユーザから与えられる力を受けて回転する。回転可動部材510が回転すると、これに接続されている電動シフトユニット400、電動チルトユニット300、及び鏡筒210(光学系200)は、一体となって、X軸回りに回転する。なお、回転固定部材520は、レンズ側のマウントを有しており、カメラ本体側のマウントに対して固定することが可能となっている。レンズ側のマウント及びカメラ本体側のマウントとしては、例えば、バヨネット方式のマウントが採用される。
【0050】
以上のように構成されるレンズ鏡筒100では、図2の状態で、電動チルトユニット300を駆動することにより、光学系200の光軸をZ軸回りの方向にチルトさせることができるとともに、電動シフトユニット400を駆動することにより、光学系200の光軸をZ軸方向にシフトさせることができる。また、図2の状態から、手動回転ユニット500の回転可動部材510を90°回転させた状態では、電動チルトユニット300を駆動することにより、光学系200の光軸をY軸回りの方向にチルトさせることができるとともに、電動シフトユニット400を駆動することにより、光学系200の光軸をY軸方向にシフトさせることができる。
【0051】
次に、上記のように構成される撮像装置5による撮像方法の一例について、説明する。まず、撮像装置5によるアオリ撮像(又は「アオリ撮影」と呼ばれる)と、逆アオリ撮像(又は「逆アオリ撮影」と呼ばれる)について、図10〜図15に基づいて説明する。ここで、アオリ撮影とは、光学系200による像面内の複数位置に対応して設定された複数のフォーカスポイントエリアのうちから選択された複数のフォーカスポイントエリアにおける焦点状態が合焦状態を示すように光学系200の光軸を傾斜させて行われる撮影のことをいう。また、逆アオリ撮影とは、複数のフォーカスポイントエリアから選択された第1のフォーカスポイントエリア(第1対象エリア)における焦点状態を合焦状態に近づけるとともに、第1のフォーカスポイントエリアとは異なる第2のフォーカスポイントエリア(第2対象エリア)における焦点状態が合焦状態から遠ざかるように光学系200の光軸を傾斜させて撮像することをいう。以下、各撮影の具体例について説明する。
【0052】
まず、アオリ撮影について説明する。図10(a)は、アオリ撮影を説明するための図であり、ファインダー20を通して視認される光学系200による被写体像を示している。図10(a)では、ファインダー20を通じて、第1被写体(人)の光学系200による像である第1被写体像705と、第2被写体(木)の光学系200による像である第2被写体像715と、第3被写体(木)の光学系200による像である第3被写体像725と、が視認されている。第1被写体(人)は、第2被写体(木)よりも撮像装置5に近く、第3被写体(木)は、第1被写体(人)よりも撮像装置5に近い位置に存在している。
【0053】
また、本実施形態では、ファインダー20によって視認される光学系200による像面内の複数位置に対応して、3つのフォーカスポイントエリア800、フォーカスポイントエリア810およびフォーカスポイントエリア820が設定されている。フォーカスポイントエリア800は第1被写体像705に重なり、フォーカスポイントエリア810は第2被写体像715に重なり、フォーカスポイントエリア820は第3被写体像725に重なっているものとする。
【0054】
このような場合において、少なくとも2つのフォーカスポイントエリアにおける光学系200の焦点状態が合焦状態となるように(又は合焦状態に近づくように)して行われる撮影が、アオリ撮影である。この撮影により、第1被写体〜第3被写体のうちの少なくとも2つにピントが合った状態の撮影画像を得ることができる。
【0055】
図11(a)は、アオリ撮影を行う場合の、制御部70の処理例(第1例)を示す図である。図11(a)における、第1被写体(人)700、第2被写体(木)710、第3被写体(木)720は、図10(a)の被写体像715,705,725に対応している。また、図11(a)は、各被写体700,710,720を、被写体(人)700の頭の上側から見下ろした状態を示している。なお、図11(a)では、図示の便宜上、光学系200を1つのレンズとして示している。また、図11(a)に示す合焦面206は、光学系200の焦点状態が合焦状態となる面を示している。
【0056】
例えば、ユーザが、第1被写体700と第2被写体710に焦点を合わせようと考えている場合において、ユーザは、図10(a)で説明したフォーカスポイントエリア800を最初に選択し(以下、第1対象エリアと呼ぶ)、次いで、フォーカスポイントエリア810を選択したものとする(以下、第2対象エリアと呼ぶ)。この場合、制御部70は、フォーカスポイントエリア800における光学系200の焦点状態と、第2対象エリアであるフォーカスポイントエリア810における光学系200の焦点状態と、がそれぞれ合焦状態を示すように、AFモジュール50による検出結果に基づいて、AF機構600および電動チルト機構350を制御する。具体的には、制御部70は、AFモジュール50による検出結果に基づいて、フォーカスポイントエリア800に対する光学系200の焦点状態が合焦状態を示すようにAF機構600を制御するとともに、フォーカスポイントエリア800を合焦状態に保ちつつ、フォーカスポイントエリア810における光学系200のデフォーカス量が最小になるように、電動チルト機構350を制御して光学系200の光軸をチルトさせる。その結果、光学系200の光軸は像面204に対して傾斜する。このような制御を行うことで、第1被写体700および第2被写体710にピントが合った画像を得ることができる。
【0057】
図11(b)は、アオリ撮影を行う場合の制御部70の処理例(第2例)を示す図である。図11(b)のように、ユーザは、第1対象エリアとしてフォーカスポイントエリア810を選択し、第2対象エリアとしてフォーカスポイントエリア820を選択したものとする。この場合、制御部70は、図11(a)の場合と同様に、フォーカスポイントエリア810、820における光学系200の焦点状態がそれぞれ合焦状態を示すようにAF機構600および電動チルト機構350を制御する。この場合、第2被写体710および第3被写体720にピントが合った画像を得ることができる。
【0058】
図12(a)は、アオリ撮影を行う場合の制御部70の処理例(第3例)を示す図である。図12(a)のように、ユーザは、第1対象エリアとしてフォーカスポイントエリア800を選択し、第2対象エリアとしてフォーカスポイントエリア810、820を選択したものとする。この場合、制御部70は、フォーカスポイントエリア800、810、820に対する光学系200の焦点状態がそれぞれ合焦状態を示すようにAF機構600および電動チルト機構350を制御する。具体的には、制御部70は、フォーカスポイントエリア800における光学系200の焦点状態が合焦状態を示すようにAF機構600を制御するとともに、フォーカスポイントエリア800における光学系200の焦点状態を合焦状態に保ちつつ、フォーカスポイントエリア810、820におけるデフォーカス量が最小になるように、電動チルト機構350を制御して光学系200の光軸をチルトさせる。その結果、光学系200の光軸は像面204に対して傾斜する。この場合、第1被写体700にピントが合うとともに、第2被写体710および第3被写体720にもピントがほぼ合った画像を得ることができる。
【0059】
図12(b)は、アオリ撮影を行う場合の制御部70の処理例(第4例)を示す図である。図12(b)のように、ユーザは、第1対象エリアとしてフォーカスポイントエリア810を選択し、第2対象エリアとしてフォーカスポイントエリア800、820を選択したものとする。この場合にも、図12(a)と同様にして、フォーカスポイントエリア800、810,820における光学系200の焦点状態がそれぞれ合焦状態となるように、又は近づくようにAF機構600および電動チルト機構350を制御する。これにより、第2被写体710にピントが合い、第1被写体700および第3被写体720にもピントがほぼ合った画像を得ることができる。
【0060】
次に、逆アオリ撮影について説明する。図13(a)は、逆アオリ撮影を行う場合の制御部70の処理例(第1例)を示す図である。図13(a)に示すように、ユーザは、第1対象エリアとしてフォーカスポイントエリア800を選択し、第2対象エリアとしてフォーカスポイントエリア810、820を選択したものとする。このような場合、制御部70は、フォーカスポイントエリア800における光学系200の焦点状態が合焦状態となり、フォーカスポイントエリア810、820に対する光学系200の焦点状態が合焦状態から遠ざかるようにAF機構600および電動チルト機構350を制御する。具体的には、制御部70は、フォーカスポイントエリア800における光学系200の焦点状態が合焦状態を示すようにAF機構600を制御するとともに、フォーカスポイントエリア800の焦点状態を合焦状態に保ちつつ、電動チルト機構350を制御することによってフォーカスポイントエリア810、820における光学系200のデフォーカス量が大きくなるように光学系200の光軸をチルトさせる。この場合、第1被写体700にピントが合い、第2、第3被写体710、720を意図的にぼかした画像(図10(b)参照)を得ることができる。
【0061】
図13(b)は、逆アオリ撮影を行う場合の制御部70の処理例(第2例)を示す図である。この図13(b)に示すように、ユーザは、第1対象エリアとしてフォーカスポイントエリア810を選択し、第2対象エリアとしてフォーカスポイントエリア800、820を選択したものとする。この場合、制御部70は、フォーカスポイントエリア810における焦点状態を合焦状態とするとともに、フォーカスポイントエリア800、820における焦点状態を合焦状態から遠ざけるようにAF機構600および電動チルト機構350を制御する。この場合、第2被写体710にピントが合い、第1、第3被写体700、720を意図的にぼかした画像を得ることができる。
【0062】
なお、撮像装置5では、アオリ撮影又は逆アオリ撮影を行わず、通常の撮影を行うこともできる。図14(a)は、通常の撮影を行う場合の光学系200の合焦動作を説明するための図である。
【0063】
図14(a)の場合において、第1被写体700に焦点を合わせようとすると、制御部70は、AFモジュール50の検出結果に基づいてAF機構600を制御し、フォーカスポイントエリア800における光学系200の焦点状態が合焦状態を示すように光学系200の光軸方向の位置を変位させる。この場合、合焦面206の位置は、第1被写体700の位置と一致しているのみであるので、第1被写体700に合焦した画像を得ることはできるものの、第2、第3被写体710、720に合焦した画像を得ることはできない。また、図14(b)に示すように、第2被写体710に焦点を合わせようとすると、制御部70は、AFモジュール50の検出結果に基づいてAF機構600を制御し、フォーカスポイントエリア810における光学系200の焦点状態が合焦状態を示すように光学系200の光軸方向の位置を変位させる。この場合、合焦面206の位置は、第2被写体710の位置と一致しているのみであるので、第2被写体710に合焦した画像を得ることはできるものの、第1、第3被写体700、720に合焦した画像を得ることはできない。
【0064】
次に、本実施形態における、アオリ撮影又は逆アオリ撮影を行う場合の処理について、図15のフローチャートに沿って説明する。なお、制御部70は、図15のフローチャートを所定時間毎に繰り返し実行する。
【0065】
まず、制御部70は、ステップS10において、ユーザに対して、第1対象エリアの選択指令を行う。具体的には、制御部70は、フォーカスポイントエリア800、810、820(図10参照)のどのエリアを第1対象エリアとするかを、ユーザに選択させるための指令を、例えば画像表示部40に表示する。この指令に基づいて、ユーザは、操作スイッチ60の選択ボタンなどを用いて1つのエリアを選択する。この選択が終了すると、次のステップS20に移行する。
【0066】
次いで、制御部70は、ステップS20において、第2対象エリアの選択指令を行う。具体的には、制御部70は、フォーカスポイントエリア800、810、820のうちのどのエリアを第2対象エリアとするかを、ユーザに選択させるための指令を、例えば画像表示部40に表示する。この指令に基づいて、ユーザは、少なくとも1つのエリアを選択する。この選択が終了すると、次のステップS30に移行する。
【0067】
次いで、制御部70は、ステップS30において、レボルビング(回転)指令を行う。具体的には、制御部70は、ユーザに、手動回転ユニット500を回転するように促すための表示を、例えば画像表示部40に出力する。ユーザは、例えば、被写体像705,715,725が図10(a)に示すようにファインダー20を通して横方向に並んで見えているにもかかわらず、フォーカスポイントエリア800,810,820が縦方向に並んで見えているような場合には、それらの方向が合うように、手動回転ユニット500の回転可動部材510を90°回転させて、フォーカスエリアポイントの並び方向を横方向に設定する。
【0068】
次いで、制御部70は、ステップS40においてステップS30におけるレボルビングが完了したか否かを判定する。例えば、ステップS30のレボルビング指令を受けて、ユーザがレボルビングを実行し、その後にユーザがOKボタンを押した場合や、ユーザがレボルビングを行わずにOKボタンを押した場合などにおいて、ステップS40の判断が肯定される。
【0069】
次いで、制御部70は、ステップS50においてアオリ撮影を行うか否かを判断する。具体的には、制御部70は、ユーザにアオリ撮影を行うのか、逆アオリ撮影を行うのかを選択させるための画面を画像表示部40に表示する。そして、制御部70は、ユーザが操作スイッチ60の選択ボタンやOKボタンを用いて、アオリ撮影、逆アオリ撮影のいずれかを選択した時点で、その選択結果からアオリ撮影を行うか否かの判断を行う。
【0070】
ステップS50においてアオリ撮影を行うと判定された場合、制御部70は、ステップS60において、操作スイッチ60のレリーズボタンがユーザによって半押し状態にされたか否かを判定する。制御部70は、ステップS60の判定結果が肯定されるまで待機し、肯定された段階で、ステップS70に移行する。
【0071】
ステップS70では、制御部70は、AFモジュールからの情報に基づいて、第1対象エリアおよび第2対象エリアにおける光学系200の焦点状態を検出する。
【0072】
そして、ステップS80では、制御部70は、第1対象エリアおよび第2対象エリアにおける光学系200の焦点状態が合焦状態を示すように、又は合焦状態に近づくように、AF機構600および電動チルト機構350を制御する。なお、このステップS80の処理は、図11(a)〜図12(b)を用いて説明したのと同様の内容であるので説明を省略する。
【0073】
次いで、ステップS90では、制御部70は、レリーズボタンが全押し状態にされているか否かを判定し、ステップS90の判断が肯定された段階で、ステップS100において撮像を行うことで、アオリ撮影を完了し、図15の全処理を終了する。
【0074】
一方、ステップS50においてユーザにより逆アオリ撮影が選択されていた場合には、制御部70は、ステップS110において、レリーズボタンが半押し状態にされるまで待機する。そして、レリーズボタンが半押し状態とされると、制御部70は、ステップS120において、ステップS70と同様、第1対象エリアおよび第2対象エリアにおける光学系200の焦点状態を検出する。
【0075】
次いで、制御部70は、ステップS130において、第1対象エリアに対する光学系200の焦点状態が合焦状態となり、第2対象エリアに対する光学系200の焦点状態が合焦状態から遠ざかるように、AF機構600および電動チルト機構350を制御する。なお、このステップS130の処理は、図13(a),図13(b)を用いて説明したのと同様の内容であるので説明を省略する。
【0076】
その後は、ステップS90において、制御部70は、レリーズボタンが全押し状態にされているか否かを判定し、ステップS90の判断が肯定された段階で、ステップS100において撮像を行うことで、逆アオリ撮影を完了し、図15の全処理を終了する。
【0077】
以上、図15のような処理を繰り返すことにより、アオリ撮影又は逆アオリ撮影を自動で行うことが可能である。
【0078】
次に、本実施形態の撮像装置5を用いた、シフト撮影について説明する。図16(a)は、シフト撮影を説明するための被写体像(建物)であって、ファインダー20を通して視認された被写体像を示す図である。ここで、シフト撮影とは、制御部70によって検出されるエッジの歪み、例えば、図16(a)に示すように、被写体(建物)を下から見上げるようにして撮影するときの被写体像735の輪郭の歪みを相殺するように、光学系200を光軸に垂直な方向にシフト(平行移動)させて、図16(b)のような画像を撮像することをいう。なお、被写体像735のエッジは、パースペクティブによって鉛直方向に対してθ度歪んでいる。
【0079】
図17は、シフト撮影時における制御部70の処理を示すフローチャートである。制御部70は、ユーザが、操作スイッチ60の選択ボタン及びOKボタンを用いて、シフト撮影を行うことを選択した場合に、図17のフローチャートを実行する。
【0080】
制御部70は、まずステップS200において、操作スイッチ60のレリーズボタンが半押し状態にされるまで待機する。そして、レリーズボタンが半押し状態にされた段階で、ステップS210に移行し、制御部70は、光学系200による像のエッジの歪み(角度θ)を検出する。
【0081】
次いで、制御部70は、ステップS220において、ステップS210で検出されたエッジの歪みが相殺されるように、すなわち、θが0となるように、電動シフト機構450を制御して、光学系200をシフトさせる。図16(a)の場合、制御部70は、光学系200の光軸を上側に(被写体(建物)の上部に向かって)シフトさせる。これにより、光学系200による像のエッジが相殺されて、図16(b)のような像をファインダー20において確認することができるようになる。
【0082】
次いで、制御部70は、ステップS230において、レリーズボタンが全押し状態にされるまで待機し、レリーズボタンが全押し状態にされた段階で、制御部70は、ステップS240において、撮像を行う。この撮像の結果、被写体(建物)を水平方向の真正面から見たかのような写真(図16(b)のような写真)を撮影することが可能となる。このようなシフト撮影により得られる画像は、特に建築分野において好まれている。このようにして、シフト撮影が完了すると、図17の全処理を終了する。
【0083】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によると、制御部70が、光学系200による像の情報を検出するAFモジュール50の検出結果に基づいて電動チルト機構350又は電動シフト機構450を制御することによって、光学系200の光軸を変位させる。これにより、ユーザの手動による操作を必要とせずに、アオリ撮影、逆アオリ撮影、及びシフト撮影を行うことができることから、たとえこれらの撮影に熟練していないユーザであっても、光学系200の光軸変位を適切に行うことができる。
【0084】
図18(a)には、本実施形態の比較例に係るレンズ鏡筒900の斜視図が示されている。また、図18(b)には、レンズ鏡筒900を鏡筒210側から見た状態が示されている。本比較例に係るレンズ鏡筒900は、図18(a)、図18(b)に示すように、光学系の光軸をチルトさせるための手動チルトユニット910と、手動シフトユニット920とを備えている。手動チルトユニット910は、チルト調整ノブ913をユーザが回転することにより、チルト可動部材911をチルト固定部材912に対してチルトさせることができる。この手動チルトユニット910では、チルト動作を行わない場合には、チルトロックノブ914を用いてチルト動作をロックすることができるようになっている。また、手動シフトユニット920は、シフト調整ノブ923をユーザが回転することにより、シフト可動部材921をシフト固定部材922に対してシフトさせることができる。この手動シフトユニット920においても、シフト動作を行わない場合には、シフトロックノブ924を用いてシフト動作をロックすることができるようになっている。このように、比較例に係るレンズ鏡筒900によれば、ユーザは、鏡筒210をチルト又はシフトさせる毎に、チルト調整ノブ913又はシフト調整ノブ923を手動で調整する必要があり、また、チルト、シフトを行わない場合には、チルトロックノブ914およびシフトロックノブ924を手動で操作する必要がある。このため、操作には手間がかかり、かつ光学系200の光軸を適切に変位させるのに熟練を要することになる。しかるに、本実施形態では、上記構成を採用しているので、簡易且つ適切に、レンズ鏡筒の光軸を変位させることが可能である。
【0085】
また、本実施形態では、電動チルト機構350および電動シフト機構450が、ウォームギア機構を備えている。これにより、比較例のように手動でロックを行わなくとも、チルト可動部材320およびシフト可動部材420を自動でロック(セルフロック)することができる。また、本実施形態のレンズ鏡筒100には、手動回転ユニット500が設けられているので、チルト、シフトのみならずレボルビングを行うことも可能である。
【0086】
また、本実施形態の制御部70は、複数のフォーカスポイントエリアにおける光学系200の焦点状態が合焦状態を示すように光学系200の光軸を自動で傾斜させるので、ユーザの熟練度にかかわらず、アオリ撮影を適切に行うことができる。また、本実施形態の制御部70は、複数のフォーカスポイントエリアのうちの第1対象エリアにおける光学系200の焦点状態が合焦状態に近づくとともに、第1対象エリアとは異なる第2対象エリアにおける光学系200の焦点状態が合焦状態から遠ざかるように光学系200の光軸を自動で変位させるので、ユーザの熟練度にかかわらず、逆アオリ撮影を適切に行うことができる。更に、本実施形態の制御部70は、光学系200による像のエッジの歪み(角度θ)を相殺するように光学系200を自動でシフト移動させてシフト撮影を行うので、ユーザの熟練度にかかわらず、シフト撮影を適切に行うことができる。
【0087】
なお、上記実施形態では、制御部70が自動で光学系200の光軸を変位させる場合について説明したが、これに限らず、光学系200の傾斜角度又はシフト量を、ユーザが調整することとしても良い。この場合、カメラ本体10のボディの一部等に傾斜角度やシフト量を変更するためのボタンを設けておき、ユーザからのボタン操作に応じて、制御部70が、電動アクチュエータ356又は456を駆動することとしても良い。ユーザは、ファインダー20を覗きながら、又は画像表示部40に表示されるライブビュー画像(スルー画像)を見ながら、ボタン操作を行うことができる。このような構成を採用しても、アオリ撮影やシフト撮影を比較例の場合よりも簡易に行うことができ、かつ手動によるロック、ロック解除が不要となるため、使い勝手が向上する。
【0088】
また、カメラ本体10に、ユーザが光学系200の傾斜角度やシフト量を入力可能なボタンを設けておき、当該ボタンから入力された傾斜角度又はシフト量となるように、制御部70が、電動アクチュエータ356又は456を駆動することとしても良い。このような構成を採用しても、アオリ撮影やシフト撮影を比較例の場合よりも簡易に行うことができ、かつ手動によるロック、ロック解除が不要となるため、使い勝手が向上する。
【0089】
なお、上記実施形態では、アオリ撮影又は逆アオリ撮影と、シフト撮影を別個に行う場合について説明したが、これに限らず、必要に応じて、光学系200の光軸をチルトさせ、かつ光軸をシフトさせた状態で撮影を行うことも可能である。
【0090】
なお、上記実施形態では、カメラ本体10が、静止画像を撮影する場合について説明したが、これに限らず、カメラ本体10は、動画像の撮影が可能であっても良い。この場合、上記実施形態の構成を採用することで、制御部70は、動画撮影において、自動でチルト、シフト動作を適切に行うことができるようになる。かかる場合には、被写体像に追従して、自動でチルト、シフト動作を行うこともできる。また、上述したようにカメラ本体10のボディの一部等にチルト量やシフト量を変更するためのボタンが設けられている場合には、ユーザは、動画撮影中に、チルト、シフト量をリアルタイムで変更することも可能である。
【0091】
なお、上記実施形態では、制御部70は、AFモジュール50による検出結果に基づいて、光学系200のチルト動作を行う場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、オートフォーカスに、コントラスト方式を採用する場合には、当該コントラスト方式で検出されるコントラストに基づいて、光学系200のチルト動作を行うこととしても良い。
【0092】
また、上記実施形態では、手動回転ユニット500の回転可動部材510をユーザが手動で回転する場合について説明したが、これに限らず、回転可動部材510を電動で回転するように設定しても良い。
【0093】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、撮像装置5は、一眼レフ方式のデジタルカメラに限られず、コンパクトタイプのデジタルカメラであってもよい。レンズ鏡筒は、カメラ本体に対して着脱可能であってもよいし、着脱可能でなくてもよい。
【符号の説明】
【0094】
5 撮像装置
50 AFモジュール
70 制御部
200 光学系
300 電動チルトユニット
400 電動シフトユニット
800,810,820 フォーカスポイントエリア
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置として、手動で光学系の光軸を変位させることができる撮像装置が提案されている。例えば、特許文献1には、ユーザが手動で光学系の光軸を傾斜(チルト)または平行移動(シフト)させる撮像装置が開示されている。
【0003】
このような撮像装置には、ユーザが手回し可能な調整ノブの回転量に応じて、光学系を傾斜又は平行移動させる機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−203435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような撮像装置の場合、ユーザは、ファインダーを覗きながら又はスルー画像(ライブビュー画像)を見ながら調整ノブを直感的に操作する必要がある。このため、特に、上記撮像装置の操作に不慣れなユーザにとっては、光学系の光軸を適切に変位させるのが困難である。
【0006】
本発明は、かかる事情の下になされたものであり、光学系の光軸変位を適切に行うことができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る第1の撮像装置(5)は、光学系(200)を駆動して該光学系の光軸を変位する駆動手段(300,400)と、前記光学系による像の情報を検出する検出手段(50)と、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記光学系の光軸を変位するように前記駆動手段を制御する制御手段(70)とを備えている撮像装置である。
【0008】
上記構成において、前記検出手段は、前記光学系による像面内に設定された複数の焦点検出位置(800,810,820)に対する前記光学系の焦点状態を前記像の情報として検出する構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記制御手段は、前記検出手段が検出した複数の前記焦点状態が合焦状態を示すように前記駆動手段によって前記光学系の光軸を傾斜することにより、前記光学系の像面を傾斜させることとしてもよい。
【0010】
上記構成において、前記制御手段は、前記複数の焦点検出位置のうちの第1の焦点検出位置に対して前記焦点検出手段が検出した前記焦点状態が合焦状態に近づくとともに、前記第1の焦点検出位置とは異なる第2の焦点検出位置に対して前記焦点検出手段が検出した前記焦点状態が合焦状態から遠ざかるように前記駆動手段によって前記光学系の光軸を変位することにより、前記光学系の像面を傾斜させることとしてもよい。
【0011】
上記構成において、前記検出手段は、前記光学系による像のエッジを前記像の情報として検出する構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記制御手段は、前記検出手段が検出した前記エッジの歪みを相殺するように前記駆動手段によって前記光学系を平行移動することにより、前記光学系の像を歪ませることとしてもよい。
【0013】
本発明に係る第2の撮像装置(5)は、光学系(200)と、前記光学系を駆動して該光学系の光軸を変位する駆動手段(300,400)と、前記光学系による像の情報に基づく駆動信号によって前記駆動手段を駆動する制御手段(70)とを備えている撮像装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光学系の光軸変位を適切に行うことができる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態に係る撮像装置の構成を説明するための概略図である。
【図2】一実施形態に係るレンズ鏡筒を模式的に示す斜視図である。
【図3】一実施形態に係るレンズ鏡筒の模式的な分解斜視図である。
【図4】一実施形態に係る電動チルトユニットの内部を模式的に示す図である。
【図5】図5(a)は、一実施形態に係る電動チルト機構近傍の拡大図である。図5(b)は、電動チルト機構を図5(a)のA方向から見た図である。
【図6】図6(a)は、一実施形態に係るチルトエンコーダ近傍の拡大図である。図6(b)は、チルトエンコーダを、図6(a)のB方向から見た図である。
【図7】図7(a)は、一実施形態に係るレンズ鏡筒を図2のZ方向とは反対側の方向から見た図であり、一部が透視されて図示されている。図7(b)は、電動シフトユニットの内部を模式的に示す図である。
【図8】図8(a)は、図7(a)の電動シフト機構近傍の拡大図であり、一部が透視されて図示されている。図8(b)は、図7(b)の電動シフト機構近傍の拡大図である。
【図9】図9(a)は、図7(a)のシフトエンコーダ近傍の拡大図であり、一部が透視されて図示されている。図9(b)は、図7(b)のシフトエンコーダ近傍の拡大図である。
【図10】図10(a)は、アオリ撮影を説明するための被写体像であって、ファインダーを通して視認される光学系による被写体像を示している。図10(b)は、逆アオリ撮像を説明するための被写体像であって、ファインダーを通して視認される光学系の被写体像を示している。
【図11】図11(a)は、アオリ撮像を行う場合の処理例(第1例)を示す図である。図11(b)は、アオリ撮像を行う場合の処理例(第2例)を示す図である。
【図12】図12(a)は、アオリ撮像を行う場合の処理例(第3例)を示す図である。図12(b)は、アオリ撮像を行う場合の処理例(第4例)を示す図である。
【図13】図13(a)は、逆アオリ撮像を行う場合の処理例(第1例)を示す図である。図13(b)は、逆アオリ撮像を行う場合の処理例(第2例)を示す図である。
【図14】図14(a)は、アオリ撮像を行わない場合の処理例を説明するための図である。図14(b)は、アオリ撮像を行わない場合の別の処理例を示す図である。
【図15】一実施形態に係る制御部がアオリ撮像および逆アオリ撮像を行う際のフローチャートの一例を示す図である。
【図16】図16(a)は、シフト撮像を説明するための被写体像であって、ファインダーを通して視認された被写体像を示す図である。図16(b)は、光学系が平行移動した後に、ファインダーを通して視認された被写体像を示す図である。
【図17】一実施形態に係る制御部がシフト撮像を行う際のフローチャートの一例を示す図である。
【図18】図18(a)は、一実施形態の比較例1に係るレンズ鏡筒の斜視図である。図18(b)は、レンズ鏡筒を鏡筒側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る撮像装置の一実施形態について説明する。図1は、一実施形態にかかる撮像装置5の構成を説明するための概略図である。撮像装置5は、一眼レフ方式のデジタルカメラであり、カメラ本体10と、カメラ本体10に対して着脱可能とされた、光学系200を有するレンズ鏡筒100と、を備える。
【0017】
カメラ本体10は、ファインダー20と、撮像素子30と、画像表示部40と、AF(Auto Focus)モジュール50と、操作スイッチ60と、制御部70と、を備える。ファインダー20は、レンズ鏡筒100が有する光学系200による像を目視観察するための光学式のファインダーである。撮像素子30は、光学系200による像を画像情報に変換する素子である。撮像素子30としては、例えばCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を用いることができる。画像表示部40としては、例えば液晶モニター等を用いることができる。画像表示部40は、制御部70からの指示の下、光学系200による像を撮像した画像を表示したり、撮影メニューを表示したりするものである。なお、光学系200による像を画像表示部40上でも目視観察可能とするため、ファインダー20に代えて、又はこれとともに、光学系200による像(スルー画像)を画像表示部40に表示することとしても良い(この表示は、ライブビュー表示などと呼ばれている)。
【0018】
AFモジュール50は、光学系200による像の情報を検出するモジュールである。具体的には、AFモジュール50は、光学系200の像面内に設定された複数の焦点検出位置における光学系200の焦点状態を像の情報として検出し、検出した焦点状態を制御部70に送信する。
【0019】
AFモジュール50の検出方式としては、例えば位相検出方式が用いられる。本実施形態におけるAFモジュール50は、位相検出方式によって光学系200による像の情報を検出する。この場合、AFモジュール50は、光学系200による像面内の複数位置に対応して、複数のフォーカスポイントエリアを設定する。これらのフォーカスポイントエリアは、ファインダー20を通じて、ユーザが視認することができる。なお、焦点検出の方法としては、上記に限らず、周知のコントラスト方式を用いることも可能である。
【0020】
操作スイッチ60は、ユーザによって操作される種々のスイッチを備え、ユーザによる操作情報は、制御部70に送信される。本実施形態において、操作スイッチ60は、選択ボタン及びOKボタン、並びにレリーズボタンを備えているものとする。選択ボタン及びOKボタンは、画像表示部40に表示される制御部70からの指示情報に対してユーザが選択したり、了解したりするときに押すボタンである。レリーズボタンは、半押し状態と全押し状態との2段階の状態を有し、撮影時に用いられる。
【0021】
制御部70は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備えるマイクロコンピュータである。制御部70は、カメラ本体10内の各部の動作を統括的に制御するとともに、カメラ本体10に装着されるレンズ鏡筒100内の各部の動作も統括的に制御する。なお、制御部70は、光学系200による像のエッジを検出するエッジ検出部としての機能も有している。
【0022】
レンズ鏡筒100は、アオリレンズ又はPCレンズなどと呼ばれるものである。このレンズ鏡筒100は、光学系200と、電動チルトユニット300と、チルトエンコーダ310と、電動シフトユニット400と、シフトエンコーダ410と、手動回転ユニット500と、AF機構600と、を備える。
【0023】
光学系200は、メインレンズ、焦点距離調節レンズ、固定レンズ等の複数のレンズによって構成されている。この光学系200は、レンズ鏡筒100の概観を示す斜視図である図2に示すように、鏡筒210内に設けられている。
【0024】
電動チルトユニット300は、制御部70の指示を受けて光学系200の光軸を傾斜させるユニットである。この電動チルトユニット300は、図2に示すように、鏡筒210のカメラ本体10側に設けられている。
【0025】
チルトエンコーダ310は、光学系200の光軸の、電動チルトユニット300による傾斜量を検出して、その検出結果を制御部70に送信する。
【0026】
電動シフトユニット400は、制御部70の指示を受けて光学系200の光軸を当該光軸と直交する方向に平行移動させるユニットである。この電動シフトユニット400は、図2に示すように、電動チルトユニット300のカメラ本体10側に設けられている。
【0027】
シフトエンコーダ410は、光学系200の光軸の、電動シフトユニット400による平行移動量を検出して、その検出結果を制御部70に送信する。
【0028】
手動回転ユニット500は、光学系200を光軸回りに回転させるためのユニットである。手動回転ユニット500は、図2に示すように、電動シフトユニット300のカメラ本体10側に設けられている。
【0029】
AF機構600は、制御部70の指示を受けて、光学系200の焦点状態を調整するオートフォーカス(AF)機構である。
【0030】
次に、電動チルトユニット300及びチルトエンコーダ310の各構成について、詳細に説明する。図3は、レンズ鏡筒100の模式的な分解斜視図である。なお、図3及び図2においては、光学系200の光軸方向をX軸方向とし、それに直交する2軸方向を、Y軸方向及びZ軸方向としている。以下、これらの座標系を用いて、説明するものとする。
【0031】
電動チルトユニット300は、図2及び図3に示すように、鏡筒210の−X側の端部に接続されたチルト可動部材320と、チルト可動部材320の−X側に接続されたチルト固定部材330とを有する。チルト可動部材320及びチルト固定部材330は、図3に示すように、略矩形枠形状を有しており、その中央には、光学系200を介してカメラ本体10に入射する光を通過させるための貫通孔が形成されている。チルト可動部材320の−X側端部には、円弧状の凹部320aが形成され、これに対応して、チルト固定部材330の+X側端部には、円弧状の凸部330aが形成されている。チルト可動部材320は、チルト固定部材330の凸部330aに対して凹部320aを沿わせながら、Z軸回りに傾斜することが可能となっている。
【0032】
図4には、電動チルトユニット300の内部構造が模式的に示されている。図4に示すように、チルト固定部材330には、一対の連結駒340がネジ止めされており、当該連結駒340によってチルト可動部材320がチルト固定部材330に対して傾斜可能な状態で連結されている。また、チルト固定部材330の+Z側端部近傍及びチルト可動部材320の+Z側端部近傍には、電動チルト機構350が設けられている。
【0033】
図5(a)には、電動チルト機構350近傍の拡大図が示され、図5(b)には、図5(a)をA方向から見た状態を示す図が示されている。これら図5(a)、図5(b)に示すように、電動チルト機構350は、動力を発生させる電動アクチュエータ356と、電動アクチュエータ356において発生した動力が伝達されるウォームギア機構359と、駆動ユニット353と、を備える。
【0034】
電動アクチュエータ356は、チルト固定部材330に固定されている。電動アクチュエータ356は、Y軸方向に延びる回転軸355を有し、制御部70の指示の下、回転軸355をY軸回りに正転又は逆転させる。
【0035】
ウォームギア機構359は、ウォームギア358と、ウォームホイール360と、を有する。ウォームギア358は、回転軸355の−Y側端部に固定されており、回転軸355と一体となってY軸回りに回転する。ウォームホイール360は、ウォームギア358と噛み合っている。ウォームホイール360は、ウォームギア358の回転に伴って、Z軸回りに回転する。
【0036】
駆動ユニット353は、ピニオンギア354と、セグメントギア352と、を有する。ピニオンギア354は、ウォームホイール360と同軸とされており、ウォームホイール360の回転に伴って、Z軸回りに回転する。セグメントギア352は、チルト可動部材320に固定されている。セグメントギア352の歯部のピッチ線(隣接する歯のピッチを結んだ線)は、円弧形状を有している。セグメントギア352には、ピニオンギア354が噛み合っており、ピニオンギア354のX軸回りの回転により、セグメントギア352は、円弧形状に沿う方向に移動する。なお、図5(b)では、ウォームホイール360とピニオンギア354との位置関係をわかり易く図示するため、ピニオンギア354のうち、セグメントギア352に噛み合っている部分のみを図示している。
【0037】
上記のように構成される電動チルト機構350によると、電動アクチュエータ356の回転軸355がY軸回りに回転すると、ウォームギア358もY軸回りに回転し、これに伴って、ウォームホイール360及びピニオンギア354がZ軸回りに回転する。そして、ピニオンギア354のZ軸回りの回転により、セグメントギア352は、セグメントギア352のピッチ線(円弧形状)に沿う方向に移動する。これにより、チルト可動部材320が、チルト固定部材330に対して傾斜し、ひいては、光学系200の光軸がチルト固定部材330に対して傾斜するようになっている。
【0038】
ここで、ウォームギア機構359では、ウォームギア358側からウォームホイール360側を駆動することはできるものの、ウォームホイール360側からウォームギア358を駆動することはできない。このようなウォームギア機構359の性質は、自己停止性又はセルフロックと呼ばれている。このため、電動アクチュエータ356の回転が停止している場合、すなわち、電動アクチュエータ356において動力が発生していない場合に、チルト可動部材320に対して外部から力が加えられても、チルト可動部材320はチルト固定部材330に対して移動することはない。すなわち、電動アクチュエータ356において動力が発生していない場合には、チルト可動部材320は自動でロックされた状態となる。
【0039】
図4に戻り、チルトエンコーダ310は、チルト固定部材330の−Z側端部近傍及びチルト可動部材320の−Z側端部近傍に設けられている。図6(a)は、図4のチルトエンコーダ310近傍を拡大して示す図である。また、図6(b)は、チルトエンコーダ310を、図6(a)のB方向から見た状態を示す図である。これら図6(a)、図6(b)に示すように、チルトエンコーダ310は、磁気テープから成るスケール312とチルトエンコーダ本体314とを有する。スケール312は、チルト可動部材320の円弧状の面320c(図6(b))に貼付されている。チルトエンコーダ本体314は、チルト固定部材330の、スケール312と対向する位置に固定され、スケール312に記録された位置情報を検出して、その検出結果を制御部70に送信するものである。制御部70は、チルトエンコーダ本体314による検出結果に基づいて、チルト固定部材330に対するチルト可動部材320の傾斜量、ひいては光学系200の傾斜量を算出し、当該傾斜量に基づいて電動チルトユニット300の駆動量を制御する。なお、制御部70は、ファインダー20および画像表示部40の少なくとも一方に、傾斜量を表示することとしてもよい。
【0040】
次に、電動シフトユニット400及びシフトエンコーダ410の各構成について、図2、図3、及び図7〜図9に基づいて詳細に説明する。
【0041】
図2及び図3に示すように、電動シフトユニット400は、チルト固定部材330の−X側の端部に接続されたシフト可動部材320と、シフト可動部材320の−X側の端部に接続されたシフト固定部材330とを有する。シフト可動部材420及びシフト固定部材430は、図3に示すように、略矩形状を有しており、その中央には、光学系200を介してカメラ本体10に入射する光を通過させるための貫通孔が形成されている。
【0042】
図7(a)は、電動シフトユニット400を一部断面して示す図であり、図7(b)は、図7(a)をC方向から見た状態を示す図である。これらのうち、図7(a)に示すように、シフト可動部材420には、かぎ状部分420a,420bが設けられ、シフト固定部材430には、かぎ状部分420a,420bそれぞれと係合するかぎ状部分430a,430bが設けられている。各かぎ状部分420a,420b,430a,430bは、Z軸方向に延びているため、シフト可動部材420は、シフト固定部材430に対してZ軸方向にスライド移動可能となっている。シフト固定部材430の+Y側端部近傍及びシフト可動部材420の+Y側端部近傍には、図7(b)に示すように、電動シフト機構450が設けられている。
【0043】
図8(a)には、図7(a)の電動シフト機構450近傍の拡大図が示され、図8(b)には、図7(b)の電動シフト機構450近傍の拡大図が示されている。これら図8(a)、図8(b)に示すように、電動シフト機構450は、動力を発生させる電動アクチュエータ456と、電動アクチュエータ456において発生した動力が伝達されるウォームギア機構459と、駆動ユニット453と、を備える。
【0044】
電動アクチュエータ456は、金具451を介して、シフト可動部材420に固定されている。電動アクチュエータ456は、Z軸方向に延びる回転軸455を有し、制御部70の指示の下、回転軸455をZ軸回りに正転又は逆転させる。
【0045】
ウォームギア機構459は、ウォームギア458と、ウォームホイール460と、を有する。これらウォームギア458とウォームホイール460は、各回転軸がZ軸、Y軸であること以外は、前述した電動チルト機構350のウォームギア358及びウォームホイール360と同一である。
【0046】
駆動ユニット453は、ピニオンギア454と、セグメントギア452と、を有する。これらのうち、ピニオンギア454は、回転軸がY軸であること以外は、前述した電動チルト機構350のピニオンギア354と同一である。また、セグメントギア452は、シフト可動部材420に固定されており、歯部のピッチ線(隣接する歯のピッチを結んだ線)の方向がZ軸方向である点以外は、前述した電動チルト機構350のセグメントギア452と同一である。
【0047】
このように構成される電動シフト機構450によると、電動アクチュエータ456の回転軸455がZ軸回りに回転すると、ウォームギア458もZ軸回りに回転し、これに伴って、ウォームホイール460及びピニオンギア454がY軸回りに回転する。そして、ピニオンギア454のY軸回りの回転により、セグメントギア452はZ軸方向の力を受ける。これにより、シフト可動部材420がシフト固定部材430に対してZ軸方向にスライド移動することになる。なお、電動シフト機構450においても、上述した電動チルト機構350と同様、ウォームギア機構459が自己停止性又はセルフロックと呼ばれる性質を有する。このため、電動アクチュエータ456において動力が発生していない場合には、シフト可動部材420が自動でロックされた状態となり、外部からの力によっては、移動しないようになっている。
【0048】
図7(a)、図7(b)に戻り、シフトエンコーダ410は、シフト固定部材430の−Y側端部近傍及びシフト可動部材420の−Y側端部近傍に設けられている。図9(a)は、図7(a)のシフトエンコーダ410近傍を拡大して示す図である。また、図9(b)は、シフトエンコーダ410を、図9(a)のD方向から見た状態を示す図である。これら図9(a)、図9(b)に示すように、シフトエンコーダ410は、磁気テープから成るスケール412とシフトエンコーダ本体414とを備える。スケール412は、シフト可動部材420のうち、YZ方向に広がる面420c(図9(a))に貼付されている。シフトエンコーダ本体414は、シフト固定部材430の、スケール412と対向する位置に固定され、スケール412に記録された位置情報を検出して、その検出結果を制御部70に伝えるものである。制御部70は、シフトエンコーダ本体414による検出結果に基づいて、シフト固定部材430に対するシフト可動部材420のシフト量、ひいては光学系200のシフト量を算出し、当該シフト量に基づいて電動シフトユニット400の駆動量を制御する。なお、制御部70は、ファインダー20および画像表示部40の少なくとも一方に、シフト量を表示することとしてもよい。
【0049】
次に、図2に基づいて手動回転ユニット500について説明する。手動回転ユニット500は、シフト固定部材430に接続された回転可動部材510と回転可動部材510に接続された回転固定部材520とを有する。回転可動部材510および回転固定部材520は略矩形状を有しており、その中央には、光学系200を介してカメラ本体10に入射する光を通過させるための貫通孔が形成されている。回転可動部材510は、回転固定部材520に対して、X軸回りに回転可能となっている。この回転可動部材510は、ユーザから与えられる力を受けて回転する。回転可動部材510が回転すると、これに接続されている電動シフトユニット400、電動チルトユニット300、及び鏡筒210(光学系200)は、一体となって、X軸回りに回転する。なお、回転固定部材520は、レンズ側のマウントを有しており、カメラ本体側のマウントに対して固定することが可能となっている。レンズ側のマウント及びカメラ本体側のマウントとしては、例えば、バヨネット方式のマウントが採用される。
【0050】
以上のように構成されるレンズ鏡筒100では、図2の状態で、電動チルトユニット300を駆動することにより、光学系200の光軸をZ軸回りの方向にチルトさせることができるとともに、電動シフトユニット400を駆動することにより、光学系200の光軸をZ軸方向にシフトさせることができる。また、図2の状態から、手動回転ユニット500の回転可動部材510を90°回転させた状態では、電動チルトユニット300を駆動することにより、光学系200の光軸をY軸回りの方向にチルトさせることができるとともに、電動シフトユニット400を駆動することにより、光学系200の光軸をY軸方向にシフトさせることができる。
【0051】
次に、上記のように構成される撮像装置5による撮像方法の一例について、説明する。まず、撮像装置5によるアオリ撮像(又は「アオリ撮影」と呼ばれる)と、逆アオリ撮像(又は「逆アオリ撮影」と呼ばれる)について、図10〜図15に基づいて説明する。ここで、アオリ撮影とは、光学系200による像面内の複数位置に対応して設定された複数のフォーカスポイントエリアのうちから選択された複数のフォーカスポイントエリアにおける焦点状態が合焦状態を示すように光学系200の光軸を傾斜させて行われる撮影のことをいう。また、逆アオリ撮影とは、複数のフォーカスポイントエリアから選択された第1のフォーカスポイントエリア(第1対象エリア)における焦点状態を合焦状態に近づけるとともに、第1のフォーカスポイントエリアとは異なる第2のフォーカスポイントエリア(第2対象エリア)における焦点状態が合焦状態から遠ざかるように光学系200の光軸を傾斜させて撮像することをいう。以下、各撮影の具体例について説明する。
【0052】
まず、アオリ撮影について説明する。図10(a)は、アオリ撮影を説明するための図であり、ファインダー20を通して視認される光学系200による被写体像を示している。図10(a)では、ファインダー20を通じて、第1被写体(人)の光学系200による像である第1被写体像705と、第2被写体(木)の光学系200による像である第2被写体像715と、第3被写体(木)の光学系200による像である第3被写体像725と、が視認されている。第1被写体(人)は、第2被写体(木)よりも撮像装置5に近く、第3被写体(木)は、第1被写体(人)よりも撮像装置5に近い位置に存在している。
【0053】
また、本実施形態では、ファインダー20によって視認される光学系200による像面内の複数位置に対応して、3つのフォーカスポイントエリア800、フォーカスポイントエリア810およびフォーカスポイントエリア820が設定されている。フォーカスポイントエリア800は第1被写体像705に重なり、フォーカスポイントエリア810は第2被写体像715に重なり、フォーカスポイントエリア820は第3被写体像725に重なっているものとする。
【0054】
このような場合において、少なくとも2つのフォーカスポイントエリアにおける光学系200の焦点状態が合焦状態となるように(又は合焦状態に近づくように)して行われる撮影が、アオリ撮影である。この撮影により、第1被写体〜第3被写体のうちの少なくとも2つにピントが合った状態の撮影画像を得ることができる。
【0055】
図11(a)は、アオリ撮影を行う場合の、制御部70の処理例(第1例)を示す図である。図11(a)における、第1被写体(人)700、第2被写体(木)710、第3被写体(木)720は、図10(a)の被写体像715,705,725に対応している。また、図11(a)は、各被写体700,710,720を、被写体(人)700の頭の上側から見下ろした状態を示している。なお、図11(a)では、図示の便宜上、光学系200を1つのレンズとして示している。また、図11(a)に示す合焦面206は、光学系200の焦点状態が合焦状態となる面を示している。
【0056】
例えば、ユーザが、第1被写体700と第2被写体710に焦点を合わせようと考えている場合において、ユーザは、図10(a)で説明したフォーカスポイントエリア800を最初に選択し(以下、第1対象エリアと呼ぶ)、次いで、フォーカスポイントエリア810を選択したものとする(以下、第2対象エリアと呼ぶ)。この場合、制御部70は、フォーカスポイントエリア800における光学系200の焦点状態と、第2対象エリアであるフォーカスポイントエリア810における光学系200の焦点状態と、がそれぞれ合焦状態を示すように、AFモジュール50による検出結果に基づいて、AF機構600および電動チルト機構350を制御する。具体的には、制御部70は、AFモジュール50による検出結果に基づいて、フォーカスポイントエリア800に対する光学系200の焦点状態が合焦状態を示すようにAF機構600を制御するとともに、フォーカスポイントエリア800を合焦状態に保ちつつ、フォーカスポイントエリア810における光学系200のデフォーカス量が最小になるように、電動チルト機構350を制御して光学系200の光軸をチルトさせる。その結果、光学系200の光軸は像面204に対して傾斜する。このような制御を行うことで、第1被写体700および第2被写体710にピントが合った画像を得ることができる。
【0057】
図11(b)は、アオリ撮影を行う場合の制御部70の処理例(第2例)を示す図である。図11(b)のように、ユーザは、第1対象エリアとしてフォーカスポイントエリア810を選択し、第2対象エリアとしてフォーカスポイントエリア820を選択したものとする。この場合、制御部70は、図11(a)の場合と同様に、フォーカスポイントエリア810、820における光学系200の焦点状態がそれぞれ合焦状態を示すようにAF機構600および電動チルト機構350を制御する。この場合、第2被写体710および第3被写体720にピントが合った画像を得ることができる。
【0058】
図12(a)は、アオリ撮影を行う場合の制御部70の処理例(第3例)を示す図である。図12(a)のように、ユーザは、第1対象エリアとしてフォーカスポイントエリア800を選択し、第2対象エリアとしてフォーカスポイントエリア810、820を選択したものとする。この場合、制御部70は、フォーカスポイントエリア800、810、820に対する光学系200の焦点状態がそれぞれ合焦状態を示すようにAF機構600および電動チルト機構350を制御する。具体的には、制御部70は、フォーカスポイントエリア800における光学系200の焦点状態が合焦状態を示すようにAF機構600を制御するとともに、フォーカスポイントエリア800における光学系200の焦点状態を合焦状態に保ちつつ、フォーカスポイントエリア810、820におけるデフォーカス量が最小になるように、電動チルト機構350を制御して光学系200の光軸をチルトさせる。その結果、光学系200の光軸は像面204に対して傾斜する。この場合、第1被写体700にピントが合うとともに、第2被写体710および第3被写体720にもピントがほぼ合った画像を得ることができる。
【0059】
図12(b)は、アオリ撮影を行う場合の制御部70の処理例(第4例)を示す図である。図12(b)のように、ユーザは、第1対象エリアとしてフォーカスポイントエリア810を選択し、第2対象エリアとしてフォーカスポイントエリア800、820を選択したものとする。この場合にも、図12(a)と同様にして、フォーカスポイントエリア800、810,820における光学系200の焦点状態がそれぞれ合焦状態となるように、又は近づくようにAF機構600および電動チルト機構350を制御する。これにより、第2被写体710にピントが合い、第1被写体700および第3被写体720にもピントがほぼ合った画像を得ることができる。
【0060】
次に、逆アオリ撮影について説明する。図13(a)は、逆アオリ撮影を行う場合の制御部70の処理例(第1例)を示す図である。図13(a)に示すように、ユーザは、第1対象エリアとしてフォーカスポイントエリア800を選択し、第2対象エリアとしてフォーカスポイントエリア810、820を選択したものとする。このような場合、制御部70は、フォーカスポイントエリア800における光学系200の焦点状態が合焦状態となり、フォーカスポイントエリア810、820に対する光学系200の焦点状態が合焦状態から遠ざかるようにAF機構600および電動チルト機構350を制御する。具体的には、制御部70は、フォーカスポイントエリア800における光学系200の焦点状態が合焦状態を示すようにAF機構600を制御するとともに、フォーカスポイントエリア800の焦点状態を合焦状態に保ちつつ、電動チルト機構350を制御することによってフォーカスポイントエリア810、820における光学系200のデフォーカス量が大きくなるように光学系200の光軸をチルトさせる。この場合、第1被写体700にピントが合い、第2、第3被写体710、720を意図的にぼかした画像(図10(b)参照)を得ることができる。
【0061】
図13(b)は、逆アオリ撮影を行う場合の制御部70の処理例(第2例)を示す図である。この図13(b)に示すように、ユーザは、第1対象エリアとしてフォーカスポイントエリア810を選択し、第2対象エリアとしてフォーカスポイントエリア800、820を選択したものとする。この場合、制御部70は、フォーカスポイントエリア810における焦点状態を合焦状態とするとともに、フォーカスポイントエリア800、820における焦点状態を合焦状態から遠ざけるようにAF機構600および電動チルト機構350を制御する。この場合、第2被写体710にピントが合い、第1、第3被写体700、720を意図的にぼかした画像を得ることができる。
【0062】
なお、撮像装置5では、アオリ撮影又は逆アオリ撮影を行わず、通常の撮影を行うこともできる。図14(a)は、通常の撮影を行う場合の光学系200の合焦動作を説明するための図である。
【0063】
図14(a)の場合において、第1被写体700に焦点を合わせようとすると、制御部70は、AFモジュール50の検出結果に基づいてAF機構600を制御し、フォーカスポイントエリア800における光学系200の焦点状態が合焦状態を示すように光学系200の光軸方向の位置を変位させる。この場合、合焦面206の位置は、第1被写体700の位置と一致しているのみであるので、第1被写体700に合焦した画像を得ることはできるものの、第2、第3被写体710、720に合焦した画像を得ることはできない。また、図14(b)に示すように、第2被写体710に焦点を合わせようとすると、制御部70は、AFモジュール50の検出結果に基づいてAF機構600を制御し、フォーカスポイントエリア810における光学系200の焦点状態が合焦状態を示すように光学系200の光軸方向の位置を変位させる。この場合、合焦面206の位置は、第2被写体710の位置と一致しているのみであるので、第2被写体710に合焦した画像を得ることはできるものの、第1、第3被写体700、720に合焦した画像を得ることはできない。
【0064】
次に、本実施形態における、アオリ撮影又は逆アオリ撮影を行う場合の処理について、図15のフローチャートに沿って説明する。なお、制御部70は、図15のフローチャートを所定時間毎に繰り返し実行する。
【0065】
まず、制御部70は、ステップS10において、ユーザに対して、第1対象エリアの選択指令を行う。具体的には、制御部70は、フォーカスポイントエリア800、810、820(図10参照)のどのエリアを第1対象エリアとするかを、ユーザに選択させるための指令を、例えば画像表示部40に表示する。この指令に基づいて、ユーザは、操作スイッチ60の選択ボタンなどを用いて1つのエリアを選択する。この選択が終了すると、次のステップS20に移行する。
【0066】
次いで、制御部70は、ステップS20において、第2対象エリアの選択指令を行う。具体的には、制御部70は、フォーカスポイントエリア800、810、820のうちのどのエリアを第2対象エリアとするかを、ユーザに選択させるための指令を、例えば画像表示部40に表示する。この指令に基づいて、ユーザは、少なくとも1つのエリアを選択する。この選択が終了すると、次のステップS30に移行する。
【0067】
次いで、制御部70は、ステップS30において、レボルビング(回転)指令を行う。具体的には、制御部70は、ユーザに、手動回転ユニット500を回転するように促すための表示を、例えば画像表示部40に出力する。ユーザは、例えば、被写体像705,715,725が図10(a)に示すようにファインダー20を通して横方向に並んで見えているにもかかわらず、フォーカスポイントエリア800,810,820が縦方向に並んで見えているような場合には、それらの方向が合うように、手動回転ユニット500の回転可動部材510を90°回転させて、フォーカスエリアポイントの並び方向を横方向に設定する。
【0068】
次いで、制御部70は、ステップS40においてステップS30におけるレボルビングが完了したか否かを判定する。例えば、ステップS30のレボルビング指令を受けて、ユーザがレボルビングを実行し、その後にユーザがOKボタンを押した場合や、ユーザがレボルビングを行わずにOKボタンを押した場合などにおいて、ステップS40の判断が肯定される。
【0069】
次いで、制御部70は、ステップS50においてアオリ撮影を行うか否かを判断する。具体的には、制御部70は、ユーザにアオリ撮影を行うのか、逆アオリ撮影を行うのかを選択させるための画面を画像表示部40に表示する。そして、制御部70は、ユーザが操作スイッチ60の選択ボタンやOKボタンを用いて、アオリ撮影、逆アオリ撮影のいずれかを選択した時点で、その選択結果からアオリ撮影を行うか否かの判断を行う。
【0070】
ステップS50においてアオリ撮影を行うと判定された場合、制御部70は、ステップS60において、操作スイッチ60のレリーズボタンがユーザによって半押し状態にされたか否かを判定する。制御部70は、ステップS60の判定結果が肯定されるまで待機し、肯定された段階で、ステップS70に移行する。
【0071】
ステップS70では、制御部70は、AFモジュールからの情報に基づいて、第1対象エリアおよび第2対象エリアにおける光学系200の焦点状態を検出する。
【0072】
そして、ステップS80では、制御部70は、第1対象エリアおよび第2対象エリアにおける光学系200の焦点状態が合焦状態を示すように、又は合焦状態に近づくように、AF機構600および電動チルト機構350を制御する。なお、このステップS80の処理は、図11(a)〜図12(b)を用いて説明したのと同様の内容であるので説明を省略する。
【0073】
次いで、ステップS90では、制御部70は、レリーズボタンが全押し状態にされているか否かを判定し、ステップS90の判断が肯定された段階で、ステップS100において撮像を行うことで、アオリ撮影を完了し、図15の全処理を終了する。
【0074】
一方、ステップS50においてユーザにより逆アオリ撮影が選択されていた場合には、制御部70は、ステップS110において、レリーズボタンが半押し状態にされるまで待機する。そして、レリーズボタンが半押し状態とされると、制御部70は、ステップS120において、ステップS70と同様、第1対象エリアおよび第2対象エリアにおける光学系200の焦点状態を検出する。
【0075】
次いで、制御部70は、ステップS130において、第1対象エリアに対する光学系200の焦点状態が合焦状態となり、第2対象エリアに対する光学系200の焦点状態が合焦状態から遠ざかるように、AF機構600および電動チルト機構350を制御する。なお、このステップS130の処理は、図13(a),図13(b)を用いて説明したのと同様の内容であるので説明を省略する。
【0076】
その後は、ステップS90において、制御部70は、レリーズボタンが全押し状態にされているか否かを判定し、ステップS90の判断が肯定された段階で、ステップS100において撮像を行うことで、逆アオリ撮影を完了し、図15の全処理を終了する。
【0077】
以上、図15のような処理を繰り返すことにより、アオリ撮影又は逆アオリ撮影を自動で行うことが可能である。
【0078】
次に、本実施形態の撮像装置5を用いた、シフト撮影について説明する。図16(a)は、シフト撮影を説明するための被写体像(建物)であって、ファインダー20を通して視認された被写体像を示す図である。ここで、シフト撮影とは、制御部70によって検出されるエッジの歪み、例えば、図16(a)に示すように、被写体(建物)を下から見上げるようにして撮影するときの被写体像735の輪郭の歪みを相殺するように、光学系200を光軸に垂直な方向にシフト(平行移動)させて、図16(b)のような画像を撮像することをいう。なお、被写体像735のエッジは、パースペクティブによって鉛直方向に対してθ度歪んでいる。
【0079】
図17は、シフト撮影時における制御部70の処理を示すフローチャートである。制御部70は、ユーザが、操作スイッチ60の選択ボタン及びOKボタンを用いて、シフト撮影を行うことを選択した場合に、図17のフローチャートを実行する。
【0080】
制御部70は、まずステップS200において、操作スイッチ60のレリーズボタンが半押し状態にされるまで待機する。そして、レリーズボタンが半押し状態にされた段階で、ステップS210に移行し、制御部70は、光学系200による像のエッジの歪み(角度θ)を検出する。
【0081】
次いで、制御部70は、ステップS220において、ステップS210で検出されたエッジの歪みが相殺されるように、すなわち、θが0となるように、電動シフト機構450を制御して、光学系200をシフトさせる。図16(a)の場合、制御部70は、光学系200の光軸を上側に(被写体(建物)の上部に向かって)シフトさせる。これにより、光学系200による像のエッジが相殺されて、図16(b)のような像をファインダー20において確認することができるようになる。
【0082】
次いで、制御部70は、ステップS230において、レリーズボタンが全押し状態にされるまで待機し、レリーズボタンが全押し状態にされた段階で、制御部70は、ステップS240において、撮像を行う。この撮像の結果、被写体(建物)を水平方向の真正面から見たかのような写真(図16(b)のような写真)を撮影することが可能となる。このようなシフト撮影により得られる画像は、特に建築分野において好まれている。このようにして、シフト撮影が完了すると、図17の全処理を終了する。
【0083】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によると、制御部70が、光学系200による像の情報を検出するAFモジュール50の検出結果に基づいて電動チルト機構350又は電動シフト機構450を制御することによって、光学系200の光軸を変位させる。これにより、ユーザの手動による操作を必要とせずに、アオリ撮影、逆アオリ撮影、及びシフト撮影を行うことができることから、たとえこれらの撮影に熟練していないユーザであっても、光学系200の光軸変位を適切に行うことができる。
【0084】
図18(a)には、本実施形態の比較例に係るレンズ鏡筒900の斜視図が示されている。また、図18(b)には、レンズ鏡筒900を鏡筒210側から見た状態が示されている。本比較例に係るレンズ鏡筒900は、図18(a)、図18(b)に示すように、光学系の光軸をチルトさせるための手動チルトユニット910と、手動シフトユニット920とを備えている。手動チルトユニット910は、チルト調整ノブ913をユーザが回転することにより、チルト可動部材911をチルト固定部材912に対してチルトさせることができる。この手動チルトユニット910では、チルト動作を行わない場合には、チルトロックノブ914を用いてチルト動作をロックすることができるようになっている。また、手動シフトユニット920は、シフト調整ノブ923をユーザが回転することにより、シフト可動部材921をシフト固定部材922に対してシフトさせることができる。この手動シフトユニット920においても、シフト動作を行わない場合には、シフトロックノブ924を用いてシフト動作をロックすることができるようになっている。このように、比較例に係るレンズ鏡筒900によれば、ユーザは、鏡筒210をチルト又はシフトさせる毎に、チルト調整ノブ913又はシフト調整ノブ923を手動で調整する必要があり、また、チルト、シフトを行わない場合には、チルトロックノブ914およびシフトロックノブ924を手動で操作する必要がある。このため、操作には手間がかかり、かつ光学系200の光軸を適切に変位させるのに熟練を要することになる。しかるに、本実施形態では、上記構成を採用しているので、簡易且つ適切に、レンズ鏡筒の光軸を変位させることが可能である。
【0085】
また、本実施形態では、電動チルト機構350および電動シフト機構450が、ウォームギア機構を備えている。これにより、比較例のように手動でロックを行わなくとも、チルト可動部材320およびシフト可動部材420を自動でロック(セルフロック)することができる。また、本実施形態のレンズ鏡筒100には、手動回転ユニット500が設けられているので、チルト、シフトのみならずレボルビングを行うことも可能である。
【0086】
また、本実施形態の制御部70は、複数のフォーカスポイントエリアにおける光学系200の焦点状態が合焦状態を示すように光学系200の光軸を自動で傾斜させるので、ユーザの熟練度にかかわらず、アオリ撮影を適切に行うことができる。また、本実施形態の制御部70は、複数のフォーカスポイントエリアのうちの第1対象エリアにおける光学系200の焦点状態が合焦状態に近づくとともに、第1対象エリアとは異なる第2対象エリアにおける光学系200の焦点状態が合焦状態から遠ざかるように光学系200の光軸を自動で変位させるので、ユーザの熟練度にかかわらず、逆アオリ撮影を適切に行うことができる。更に、本実施形態の制御部70は、光学系200による像のエッジの歪み(角度θ)を相殺するように光学系200を自動でシフト移動させてシフト撮影を行うので、ユーザの熟練度にかかわらず、シフト撮影を適切に行うことができる。
【0087】
なお、上記実施形態では、制御部70が自動で光学系200の光軸を変位させる場合について説明したが、これに限らず、光学系200の傾斜角度又はシフト量を、ユーザが調整することとしても良い。この場合、カメラ本体10のボディの一部等に傾斜角度やシフト量を変更するためのボタンを設けておき、ユーザからのボタン操作に応じて、制御部70が、電動アクチュエータ356又は456を駆動することとしても良い。ユーザは、ファインダー20を覗きながら、又は画像表示部40に表示されるライブビュー画像(スルー画像)を見ながら、ボタン操作を行うことができる。このような構成を採用しても、アオリ撮影やシフト撮影を比較例の場合よりも簡易に行うことができ、かつ手動によるロック、ロック解除が不要となるため、使い勝手が向上する。
【0088】
また、カメラ本体10に、ユーザが光学系200の傾斜角度やシフト量を入力可能なボタンを設けておき、当該ボタンから入力された傾斜角度又はシフト量となるように、制御部70が、電動アクチュエータ356又は456を駆動することとしても良い。このような構成を採用しても、アオリ撮影やシフト撮影を比較例の場合よりも簡易に行うことができ、かつ手動によるロック、ロック解除が不要となるため、使い勝手が向上する。
【0089】
なお、上記実施形態では、アオリ撮影又は逆アオリ撮影と、シフト撮影を別個に行う場合について説明したが、これに限らず、必要に応じて、光学系200の光軸をチルトさせ、かつ光軸をシフトさせた状態で撮影を行うことも可能である。
【0090】
なお、上記実施形態では、カメラ本体10が、静止画像を撮影する場合について説明したが、これに限らず、カメラ本体10は、動画像の撮影が可能であっても良い。この場合、上記実施形態の構成を採用することで、制御部70は、動画撮影において、自動でチルト、シフト動作を適切に行うことができるようになる。かかる場合には、被写体像に追従して、自動でチルト、シフト動作を行うこともできる。また、上述したようにカメラ本体10のボディの一部等にチルト量やシフト量を変更するためのボタンが設けられている場合には、ユーザは、動画撮影中に、チルト、シフト量をリアルタイムで変更することも可能である。
【0091】
なお、上記実施形態では、制御部70は、AFモジュール50による検出結果に基づいて、光学系200のチルト動作を行う場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、オートフォーカスに、コントラスト方式を採用する場合には、当該コントラスト方式で検出されるコントラストに基づいて、光学系200のチルト動作を行うこととしても良い。
【0092】
また、上記実施形態では、手動回転ユニット500の回転可動部材510をユーザが手動で回転する場合について説明したが、これに限らず、回転可動部材510を電動で回転するように設定しても良い。
【0093】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、撮像装置5は、一眼レフ方式のデジタルカメラに限られず、コンパクトタイプのデジタルカメラであってもよい。レンズ鏡筒は、カメラ本体に対して着脱可能であってもよいし、着脱可能でなくてもよい。
【符号の説明】
【0094】
5 撮像装置
50 AFモジュール
70 制御部
200 光学系
300 電動チルトユニット
400 電動シフトユニット
800,810,820 フォーカスポイントエリア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系を駆動して該光学系の光軸を変位する駆動手段と、
前記光学系による像の情報を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記光学系の光軸を変位するように前記駆動手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記検出手段は、前記光学系による像面内に設定された複数の焦点検出位置に対する前記光学系の焦点状態を前記像の情報として検出することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記制御手段は、前記検出手段が検出した複数の前記焦点状態が合焦状態を示すように前記駆動手段によって前記光学系の光軸を傾斜することにより、前記光学系の像面を傾斜させることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記制御手段は、前記複数の焦点検出位置のうちの第1の焦点検出位置に対して前記焦点検出手段が検出した前記焦点状態が合焦状態に近づくとともに、前記第1の焦点検出位置とは異なる第2の焦点検出位置に対して前記焦点検出手段が検出した前記焦点状態が合焦状態から遠ざかるように前記駆動手段によって前記光学系の光軸を変位することにより、前記光学系の像面を傾斜させることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記検出手段は、前記光学系による像のエッジを前記像の情報として検出することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記制御手段は、前記検出手段が検出した前記エッジの歪みを相殺するように前記駆動手段によって前記光学系を平行移動することにより、前記光学系の像を歪ませることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
光学系と、
前記光学系を駆動して該光学系の光軸を変位する駆動手段と、
前記光学系による像の情報に基づく駆動信号によって前記駆動手段を駆動する制御手段とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項1】
光学系を駆動して該光学系の光軸を変位する駆動手段と、
前記光学系による像の情報を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記光学系の光軸を変位するように前記駆動手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記検出手段は、前記光学系による像面内に設定された複数の焦点検出位置に対する前記光学系の焦点状態を前記像の情報として検出することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記制御手段は、前記検出手段が検出した複数の前記焦点状態が合焦状態を示すように前記駆動手段によって前記光学系の光軸を傾斜することにより、前記光学系の像面を傾斜させることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記制御手段は、前記複数の焦点検出位置のうちの第1の焦点検出位置に対して前記焦点検出手段が検出した前記焦点状態が合焦状態に近づくとともに、前記第1の焦点検出位置とは異なる第2の焦点検出位置に対して前記焦点検出手段が検出した前記焦点状態が合焦状態から遠ざかるように前記駆動手段によって前記光学系の光軸を変位することにより、前記光学系の像面を傾斜させることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記検出手段は、前記光学系による像のエッジを前記像の情報として検出することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記制御手段は、前記検出手段が検出した前記エッジの歪みを相殺するように前記駆動手段によって前記光学系を平行移動することにより、前記光学系の像を歪ませることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
光学系と、
前記光学系を駆動して該光学系の光軸を変位する駆動手段と、
前記光学系による像の情報に基づく駆動信号によって前記駆動手段を駆動する制御手段とを備えたことを特徴とする撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−59283(P2011−59283A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207553(P2009−207553)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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