説明

撮像装置

【課題】電池収納部を小型化しても、精度良くロックレバーを固定でき、落下衝撃などによるロック機構の破壊を防ぎ組立性を向上した撮像装置を提供することである。
【解決手段】 ロックレバーと電池室の固定ビスより電池挿入口側の位置決め突起に対する電池室側の嵌合穴を長穴にし、位置決め突起の根本をなだらかなRにし、突起先端部に向けて徐々に細く略円錐形になるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロック機構を有する収納装置に関するものであって、詳しくは撮像装置の電池固定部材に関し、特に撮像装置本体であるカメラ落下衝撃時の電池固定部材破壊防止に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の撮像装置の電池収納部を図2、電池保持部材である電池のロックレバー303について図3の概略斜視図を用いて説明する。
【0003】
300はカメラの電源として作用する電池、301は電池を収納する電池室である。302は電池蓋、303は先端にL字型をした爪部303aを有する電池ロックレバーであり、電池室301にビス304で固定されている。
【0004】
電池ロックレバー303は電池300挿入時にテーパー部分303bが押される事で力を受けJ方向に撓む。電池ロックレバー303が撓むことで、電池300が電池室301に収納可能になる。電池300の収納後に電池ロックレバーの爪部303aの先端が電池300に引っ掛かり、電池300が電池室301から抜け落ちるのを防止する。
【0005】
電池300を取り出すには電池300に覆いかぶさっている電池ロックレバーの爪部303aを指でJ方向に押すことで、電池ロックレバーの爪部303aによる電池300の係止を解除する。係止が解除されると電池300は電池室301に具備された不図示の排出バネによってN方向に排出される。
【0006】
電池ロックレバー303は電池300と当接する面303aと使用者が電池300を電池ロック状態から解除するために力を加えるテーパー部303bを備える。電池ロックレバー303の平面部303fに位置決め凸部303dがあり凸部が電池室301側にもうけられた穴と嵌合することで位置決めして取り付ける。
【0007】
また、電池ロックレバーの平面部303fにはビス304で固定するためのビス穴303eがある。電池ロックレバー303は変曲点303cを備え、変曲部303cより先端側を電池室内部に、平面部303fを電池室301の外部からビス締めする構造により変曲部303cが落下時の衝撃を吸収し破壊し難い構造となっている。
【0008】
ここで、電池ロックレバー303を高精度に電池室301に取り付けを行うためには、位置決め部303dの間隔をなるべく長い距離を確保する必要がありカメラの電池収納部の大型化を招く。また変曲部303cを備えるために電池ロックレバーが大型化する。
【0009】
上記問題を解決するために特許文献1では電池収納部機構を、電池をロックする爪が回転することでロック解除し、落下衝撃で電池ロックが外れない機構にしている。特許文献2では電池に凸部を設け、電池収納部に凹部を設け、電池の凸と電池収納部の凹の間にできたスペースにロック機構をスライド挿入することで電池の抜け止めをおこなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−327216号公報
【特許文献2】特開2009−134888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1及び2において提案された手段はいずれも新たな部品を追加し、コストアップを招くほか、電池収納部の大型化ひいては撮像装置の大型化につながる。
【0012】
そこで、本発明の目的は、電池収納部を小型化し、落下衝撃などによるロック機構の破壊を防ぎ組立性を向上した撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係わる第1の発明では収納部、前記収納部に収納される被収納部材、前記被収納部材を前記収納部から挿抜する方向に付勢する力をもち、
前記収納部に固定され、前記被収納部材が収納状態では接触する弾性部材、前記収納部に位置決め固定され、前記被収納部材が前記バネ部材に押出されるのを防ぐ略L字形状をした保持部材を備える撮像装置において、
前記保持部材には前記収納部との位置決めのために少なくとも2つの凸部があり、前記保持部材上の前記ビス締め位置より被収納部材の挿入口の方向側を第1の範囲とし、
前記第1の範囲内に存在する位置決めダボに嵌合する前記収納部に設けられた穴は長穴である事を特徴とする撮像装置。
【0014】
また本発明に係わる第2の発明では、前記第1の発明において、前記保持部材上の凸部の根本は略半径R状で、所定の範囲より先端側は先端に向かって徐々に細くなる形状であることを特徴とする撮像装置。
【0015】
また本発明に係わる第2の発明では、前記第1の発明において、前記第1の範囲は前記ビス締め位置より被収納部材の挿入口の方向側でなおかつ前記被収納部材に接触する部分の幅と同幅の範囲とすることを特徴とする撮像装置
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば電池収納部を小型化し、落下衝撃などによるロック機構が破壊せず、組立性の良い撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態の電池収納部の概略図
【図2】従来の電池収納部の概略図
【図3】従来のロックレバーの斜視図
【図4】本実施形態の概略斜視図
【図5】本実施形態の分解斜視図
【図6】本実施形態のロックレバーの斜視図
【図7】本実施形態の電池収納部の断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
図4(a)は本発明の実施の形態の一例を示す撮像装置であるデジタルカメラの底面から見た概略斜視図である。また、図4(b)は本発明の実施の形態の一例を示す撮像装置であるデジタルカメラの電池蓋204を開けた状態の概略斜視図である。
【0019】
201は不図示の固体撮像素子、レンズを含む撮像手段、信号処理部、電源回路部、電池収納部、撮影した画像を記録媒体に記録する記録手段を具備している撮像装置であるデジタルカメラを示す。202は固体撮像素子によって電気信号に変換された被写体像等のデータを記録するための記録媒体であるSDメモリーカード(以下「SDカード」と呼ぶ)である。203はデジタルカメラの電源として作用する電池である。204はSDカード202と電池203を保護するためのデジタルカメラ外装の一部となっている電池蓋である。電池蓋204は外装に面している部分である電池蓋外装204a、電池203の収納部内装に面している電池蓋内装204b、電池蓋開閉時に作動させる電池蓋ロック爪204cで構成されている。205は電池203の収納部である電池室、206は端部が電池室205に不図示のビスで固定され電池203をロックするための電池ロックレバー、207はSDカード202の収納部であるSDカードスロットである。208はデジタルカメラの前面外装であるフロントカバー、209はデジタルカメラ背面外装であるバックカバー、210はデジタルカメラ201を三脚に固定するための三脚ネジである。211は電池蓋204の開閉を検知するスィッチで、電池蓋204が開放されると、カメラ本体の主電源が落ちる前に、SDカード202に書き込まれたデータを保護する機構になっている。
【0020】
SDカードスロット207にSDカード202、電池室205に電池203が収納され電池蓋204が閉じられた状態からSDカード202や電池203を取り出すには、先ず電池蓋204に設けられた電池蓋ロック爪204cを電池の挿入方向と直交するA方向にスライドさせた後、電池蓋204が軸204dを中心に先端部が弧を描くようにB方向に回動させ図4(b)の状態にする。次に、SDカード202を取り出す場合はSDカード端面をSDカードの挿入方向であるC方向に押し込む。すると、SDカードスロット207の不図示の緊定が解除され、SDカードスロット207に具備された不図示の排出バネによって排出される。SDカードを挿入する場合はSDカード端面をC方向に押し込むと、SDカードスロット207の緊定が作動し、SDカードがSDスロット207内で保持される(このような動作はプッシュプッシュ方式と呼ばれる)。電池203を取り出す場合は、電池203に引っ掛かり電池を緊定しているロックレバー206を矢印D方向に作動させて電池203の緊定を解除させることで、電池室205内の不図示の排出バネによって電池203が排出される。
【0021】
次に、デジタルカメラ内の電池収納構造を、図5の分解斜視図を使って説明する。
【0022】
電池蓋204は電池蓋外装204aと電池蓋内装204bで電池蓋ロック爪204cを挟みビス204eを締める構成となっている。電池蓋外装204aは中央部に電池蓋ロック爪204cの凸部を挿入するための穴が開いており、軸204dをフロントカバー208で支持することで、軸204dを中心に回転し、開閉することができる。電池ロック爪204cは使用者が開閉時に指をかける凸部とバネ性を持つ部分とロックがかかる先端部から構成されている。指をかける凸部をスライドするとバネ性部分が電池蓋外装204aと当接し反力を発生させ電池蓋ロック爪先端部が可動する構造である。また、電池蓋ロック爪先端部は電池室205とバックカバー209の間の空間に挿入することで、電池蓋を閉じた状態にロックすることが可能である。
【0023】
次に電池保持構造について述べる。電池接片コネクタ213は電池室内に設置され不図示の電子基板に半田などで固定されている。電池203に設けられた不図示の接片から接片コネクタ213を介してカメラ本体内に電力の供給と電気的通信を行っている。電池接片コネクタ213の導通部はバネ性をもっており、電池の排出を助ける働きと電池側の接片を付勢する事で常に導通性を保ち瞬断等を防いでいる。排出バネ214はロックレバー206を解除した際に電池203が排出バネ214に付勢されることで、使用者の電池取出しを容易にしている。排出バネ214は電池室に設けられた不図示の穴から挿入し、押さえ部材215で押さえ固定ビス216で電池室205と押さえ部材215を固定することで電池203を排出する方向に付勢している。
【0024】
電池保持部材であるロックレバー206と電池室205の構成について図4の概略斜視図、図5の分解斜視図、図6のロックレバーの概略斜視図を用いて説明する。
【0025】
ロックレバー206は電池203と当接する面206fと使用者が電池203を電池ロック状態から解除するために力を加えるテーパー部分206gを備える。電池203挿入時にテーパー部分206gが押される事で力を受けD方向に撓む。このロックレバー206が撓むことで電池203を電池室205に収納可能にする。電池203の収納後にロックレバーの爪部206fの先端が電池203に引っ掛かり、電池203が電池室205から抜け落ちるのを防止する。電池203を取り出すにはロックレバーの爪部206gを指でD方向に押すことで、ロックレバーの爪部206fが電池203の係止を解除し電池室205に具備された排出バネ214によって取り出すことが出来る。排出バネ214を電池ロックレバー206に対向する位置に設けることで電池203が常にロックレバー206に付勢され、安定して電池を保持固定する事が可能となっている。
【0026】
本発明の電池室と電池ロックレバーの詳細について電池室205の外側から見た図1を用いて説明する。ロックレバー206は電池室内にあるため点線で示している。
【0027】
電池ロックレバー206は弾性のある樹脂材であるとともに略L形状をしている。電池室に設けられた第1の穴205b、第2の穴205cにロックレバー側に設けられた第1の突起206b、第2の突起206cを挿入する事で位置決めを行い、ビス穴206aと205aをビス212で締める事でロックレバー206は電池室205に固定されている。電池ロックレバー206の第1の突起206bは、固定用ビス穴206aから電池当接面206fの幅までの範囲206eにある。第1の突起206bを挿入する第1の穴205bは長穴形状で、第2の突起206cを挿入する第2の穴は丸穴である。
【0028】
本発明ではロックレバー206及び電池室205の位置決め突起206b、206cを、ビス穴206aを挟んでN方向に距離を取る事でA方向の幅を小型化している。上記構成にすることで位置決めの精度を保ちつつ、小型化することが可能となる。
【0029】
しかし、電池挿入状態で電池挿入方向Nに衝撃が加わるとロックレバーがN方向に延びるように力が加わり、ビス穴206aより電池排出口に近い範囲206e内の第1の突起206bに剪断応力がかかり易くなる。そこで、本発明では電池室205のロックレバーの第1の突起206bに対する第1の穴205bを長穴とする事で、衝撃が加わった場合の剪断応力を軽減し破壊を防いでいる。
【0030】
次にロックレバー206の剪断応力軽減形状の詳細を図6、図7を用いて説明する。図6はロックレバー206の斜視図、図7は電池室205をDの方向に切った断面図である。
【0031】
本発明ではロックレバーの突起の根本を一段下げてなだらかな半径206dを設ける事で剪断応力を分散し影響を軽減している。剪断応力に対しては位置決め突起のD方向の嵌合長さを長くすればするほど先端側に力がかかり不利になる。しかしながら、電池室205内部にはロックレバー206が撓み退避する空間205dがあり、組立時に205eを支点にしてロックレバー206がE方向に回転する。位置決め突起206cが短いとロックレバーが回転したときに、位置決め穴205cから位置決め突起206cが抜けてしまいビス212を締める際にロックレバーが浮いてしまい作業性が低下する。そこで組立作業性向上と剪断応力の影響軽減を両立させるため、位置決め突起をD方向に長くし、嵌合部を必要最小限にし、先端部に向かって徐々に細く略円錐形状にする。
【0032】
このような構成によって、落下による衝撃があっても206b、206cの位置決め突起の嵌合部分は少ないため破壊されることがなく、小型で組立作業性の良い電池収納部を提供することができる。
【符号の説明】
【0033】
201:撮像装置
202:SDカード
203:電池
204:電池蓋
205:電池室
206:ロックレバー
207:SDカードスロット
208:フロントカバー
209:バックカバー
210:三脚ねじ
211:検知スイッチ
212:ビス
213:電池接片コネクタ
214:排出バネ
215:押さえ部材
216:ビス


【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納部と、(電池室205)
前記収納部に収納される被収納部材と、(電池203)
前記被収納部材を前記収納部から挿抜する方向に付勢する力をもち、前記収納部に固定され、前記被収納部材が収納状態では接触する弾性部材(排出バネ214)と、
前記収納部に位置決め固定され、前記被収納部材が前記バネ部材に押出されるのを防ぐL字形状をした保持部材(ロックレバー206)と、
を備える撮像装置において、
前記保持部材には前記収納部との位置決めのために少なくとも2つの凸部があり(206b、206c)、
前記保持部材上の前記ビス締め位置(206a)より被収納部材の挿入口の方向(N)側を第1の範囲(206e)とし、
前記第1の範囲内に存在する位置決めダボ(206b)に嵌合する前記収納部に設けられた穴(205b)は長穴であることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記保持部材上の凸部(206b、206c)の根本は半径R状(206d)で、所定の範囲より先端側は先端に向かって徐々に細くなる形状であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記第1の範囲は前記ビス締め位置(206a)より被収納部材の挿入口の方向(N)側でなおかつ前記被収納部材に接触する部分の幅(206f)と同幅の範囲(206e)とすることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−118157(P2012−118157A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265957(P2010−265957)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】