説明

撮像装置

【課題】表示装置に表示されている被写体像の明るさが変化したときに、ユーザは、その変化が周辺環境の明るさに起因するのか、露出値の変更に起因するのか判断に迷うことがあった。
【解決手段】上記課題を解決するために、撮像装置は、表示部と、周囲の明るさを検出する照度検出部と、照度検出部により検出された複数の照度情報を記憶する記憶部と、表示部における表示モードの切替え指示を受け付ける受付部と、受付部が切替え指示を受け付けたときに、記憶部に記憶されている複数の照度情報に基づいて表示部の輝度を決定する表示制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の観察画面と周辺環境の明るさの落差によりユーザが感じる不快感を緩和すべく、周辺環境の照度をセンサで取得して、表示装置の光源の輝度を変化させる技術が知られている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2004−264668号公報
[特許文献2]特開2009−204920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
カメラに備え付けられた表示装置で被写体像を表示する場合、例えば、被写体像を逐次表示するスルー画表示を行うような場合において、表示されている被写体像の明るさが変化したときに、ユーザは、その変化が周辺環境の明るさに起因するのか、露出値の変更に起因するのか判断に迷うことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の撮像装置における一つの態様においては、表示部と、周囲の明るさを検出する照度検出部と、照度検出部により検出された複数の照度情報を記憶する記憶部と、表示部における表示モードの切替え指示を受け付ける受付部と、受付部が切替え指示を受け付けたときに、記憶部に記憶されている複数の照度情報に基づいて表示部の輝度を決定する表示制御部とを備える。
【0005】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本実施形態に係るカメラのシステム構成図である。
【図2】動画撮影中に被写体像を表示する様子を示すカメラの背面図である。
【図3】照度テーブルのデータ形式を説明する説明図である。
【図4】表示制御に関する動作を説明するフロー図である。
【図5】輝度演算の処理を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0008】
図1は、本実施形態に係るカメラ10のシステム構成図である。カメラ10は、システム制御部11を備え、カメラ10を構成する各要素を直接的または間接的に制御する。システム制御部11は、システムメモリ12と通信する。システムメモリ12は、電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、例えばEEPROM(登録商標)等により構成される。システムメモリ12は、カメラ10の動作時に必要な定数、変数、設定値、プログラム等を、カメラ10の非動作時にも失われないように記録している。特に、ユーザが設定する各種設定値は、カメラ10のメニュー項目として、種類に応じて複数に分類され、ユーザに提示するメニュー画面と共に管理されている。
【0009】
カメラ10は、光学系20を備える。光学系20は、主にズームレンズ、フォーカスレンズ、手振れ補正レンズを含むレンズ群21、および、レンズシャッタ22により構成される。被写体像は光軸に沿って光学系20に入射し、撮像素子31の結像面に結像する。
【0010】
撮像素子31は、光学系20を透過して入射する被写体像である光学像を光電変換する素子であり、例えば、CCD、CMOSセンサが用いられる。撮像素子31で光電変換された被写体像は、A/D変換器32でアナログ信号からデジタル信号に変換される。
【0011】
デジタル信号に変換された被写体像は、画像データとして順次処理される。A/D変換器32によりデジタル信号に変換された画像データは、メモリ制御部33の制御に従い、一旦内部メモリ34に記憶される。内部メモリ34は、高速で読み書きのできるランダムアクセスメモリであり、例えばDRAM、SRAMなどが用いられる。内部メモリ34は、連写撮影、動画撮影において高速に連続して画像データが生成される場合に、画像処理の順番を待つバッファメモリとしての役割を担う。また、画像処理部35が行う画像処理、圧縮処理において、ワークメモリとしての役割も担うと共に、所定の目的に即して加工処理された画像データを一時的に保管する役割も担う。更に、システムメモリ12に記録されている定数、変数、設定値、プログラム等が適宜展開されて、カメラ10の制御に利用される。したがって、内部メモリ34は、これらの役割を担うに相当する十分なメモリ容量を備える。メモリ制御部33は、いかなる作業にどれくらいのメモリ容量を割り当てるかを制御する。
【0012】
画像処理部35は、設定されている撮影モード、ユーザからの指示に則して、画像データを所定の画像フォーマットに従った画像ファイルに変換する。例えば、静止画像としてJPEGファイルを生成する場合、色変換処理、ガンマ処理、ホワイトバランス処理等の画像処理を行った後に適応離散コサイン変換等を施して圧縮処理を行う。また、動画像としてMPEGファイルを生成する場合、所定の画素数に縮小されて生成された連続する静止画としてのフレーム画像に対して、フレーム内符号化、フレーム間符号化を施して圧縮処理を行う。
【0013】
画像処理部35によって処理された静止画像ファイル、動画像ファイルは、メモリ制御部33の制御により、内部メモリ34から記録媒体IF38を介して、記録媒体50に記録される。記録媒体50は、フラッシュメモリ等により構成される、カメラ10に対して着脱可能な不揮発性メモリである。ただし、記録媒体50は、着脱式に限らず、カメラ10に内蔵される例えばSSDなどの記録媒体であっても良い。このとき、記録媒体50に記録された静止画像ファイル、動画像ファイルは、有線によるUSB、無線によるLAN等により外部へ出力される。
【0014】
画像処理部35で処理された画像データは、記録用に処理される画像データに並行して、表示用画像データを生成する。通常の表示用画像データは、記録用に処理される画像データをコピーして間引き処理された、画素数の少ない画像データである。つまり、記録用に処理される画像データに従って生成される通常の表示用画像データは、記録用の画像データと同様のカラー情報であるRGB情報を有する。このように生成された表示用画像データは、表示制御部36により、赤色信号であるR信号、緑色信号であるG信号および青色信号であるB信号に変換されて表示部37へ出力される。また、同時に、表示制御部36は表示部37のバックライトの輝度を調整する輝度調整信号を出力する。
【0015】
表示部37は、LCDパネルとバックライトを備える液晶ディスプレイユニットである。表示部37は、表示制御部36が出力するRGB信号および輝度調整信号を受け取り、LCDパネルの各画素でRGB信号の階調を生成しつつ、バックライトの輝度を調整することにより、表示用画像データをユーザに視認されるように表示する。
【0016】
記録の有無に関わらず、画像処理部35が撮像素子31の出力に従って逐次表示用画像データを生成して表示部37へ出力すれば、スルー画としてのライブビュー表示を実現することができる。したがって、表示部37は、静止画および動画撮影後の再生表示、撮影前および動画撮影中のライブビュー表示を実現することができる。
【0017】
また、表示制御部36は、表示する画像データに付随する情報、および、システムメモリ12に記録されたメニュー画面等も、表示部37に単独で、あるいは表示画像に重畳して表示させることもできる。また、表示制御部36は、操作部材39の操作により非表示の指示がなされた場合には、表示部37による表示を禁止する。
【0018】
カメラ10は、ユーザからの操作を受け付ける操作部材39を複数備えているが、システム制御部11は、これら操作部材39が操作されたことを検知し、操作に応じた動作を実行する。また、カメラ10は操作部材39の類としてレリーズスイッチ40を備える。レリーズスイッチ40は、押下げ方向に2段階に検知できる押しボタンで構成されており、システム制御部11は、1段階目の押下げであるSW1の検知により撮影準備動作であるAF、AE等を実行し、2段階目の押下げであるSW2の検知により撮像素子31による被写体像の取得動作を実行する。
【0019】
照度センサ41は、ユーザが表示部37を観察する観察環境としての外界の明るさを検出する。表示制御部36は、システム制御部11を介して照度センサ41の検出結果とユーザ設定を取得し、取得結果に応じて表示制御を変更する。具体的な変更処理については後述する。
【0020】
ズームレンズ、フォーカスレンズ、手振れ補正レンズはレンズ制御部42により制御されて、被写体像の画角を変更し、被写体像の特定領域を撮像素子31の受光面上で合焦させ、手ぶれを打ち消して撮像素子31の受光面上で安定した結像状態を維持する。レンズシャッタ22は、露光制御部43により制御されて、設定された絞り値およびシャッタ速度を実現する。
【0021】
図2は、動画撮影中に被写体像を表示する様子を示すカメラの背面図である。カメラ10の背面には、カメラ10の背面には、表示部37の他に、操作部材39としての、ズームを指示するシーソースイッチ51、メニュー項目を選択する十字キー52、選択した項目を確定させる確定ボタン53、モードを切替えるモード切替えボタン54、表示部37における表示のON/OFFを切替えるディスプレイボタン55、メニュー項目を表示させるメニューボタン56、カメラ10の電源ON/OFFを切替える電源ボタン57を備える。
【0022】
また、照度センサ41が、表示部37の近傍に配設されている。更に、表示部37の上部には、光学ファインダ60が設けられている。光学ファインダ60は、被写体像を光学像として観察できる。したがって、ユーザは、表示部37によるライブビュー表示を実行しなくても被写体像を観察できるので、電力の消耗を避けることができる。
【0023】
図において表示部37には、動画撮影中に被写体像を表示するライブビュー表示の様子が示されている。表示制御部36は、動画撮影中であることを示す「REC」の文字情報およびアイコンを被写体像に重畳させると共に、バックライトの輝度が固定であることを示すメッセージを重畳させる。バックライトの輝度調整については後述する。
【0024】
図3は、照度値のデータを保存する照度テーブルのデータ形式を説明する説明図である。本実施形態においては、表示制御部36が、表示部37のバックライトの輝度を、表示部37の周辺環境における明るさを検出する照度センサ41の出力に応じて調整する。ただし、照度センサ41の出力を逐次反映させるのではなく、状況に応じて、システムメモリ12に記憶されている照度テーブルのデータを用いて輝度を調整する。
【0025】
カメラ10は、被写体の測光結果に基づいて、更にはユーザによる露出補正指示に基づいて、露出値を決定する。露光制御部43は、決定された露出値によりレンズシャッタ22を駆動する。したがって、測光結果が変化したり、ユーザの指示により露出補正を実行したりする場合には、静止画撮影の構図調整中および動画撮影中におけるライブビュー表示の被写体像に明暗の変化が現れる。ユーザは、ライブビュー表示の被写体像を視認しながら、好みの露出値が実現されているかを確認する。
【0026】
一方で、表示制御部36が、照度センサ41の出力を逐次反映させて表示部37のバックライトの輝度を変更してしまうと、ユーザは、表示部37に映し出される被写体像の明暗の変化が、露出値の変更に伴うものか、周辺環境の明るさの変化に伴うものか判断に迷うことがあった。露出値の変更に伴うのであれば、その明暗の変化は撮影されて記録される画像にも表れることになるが、周辺環境の明るさの変化に伴うものであれば、記録画像に対しては影響が無い。
【0027】
そこで、本実施形態においては、撮影モードにおけるライブビュー表示中は、照度センサ41の出力を逐次反映させず、バックライトの輝度を一定に保つ。また、表示制御部36は、単に表示開始時の照度センサ41の出力を利用するのではなく、システムメモリ12に記憶されている照度テーブルのデータを用いて輝度を一定に調整する。
【0028】
図2で示すように、照度センサ41は、表示部37の近傍に配設されるが、表示部37の近傍は、同時にユーザの把持部近傍でもあり、照度センサ41は、ユーザの指に隠され易い。ユーザの指に隠れた照度センサ41による出力をそのまま利用すると、表示制御部36は、周辺環境が暗いと判断してバックライトの輝度を高くする調整をしてしまう。そこで、システム制御部11は、一定の時間間隔で照度センサ41の出力を取得して算出した照度値を照度テーブルとして記憶し、表示制御部36は、撮影モードにおけるライブビュー表示の開始時に、この照度テーブルに基づいてバックライトの輝度値を決定する。このように、照度テーブルに基づいてバックライトの輝度値を決定することにより、たとえある時点において照度センサ41がユーザの指に隠されていたとしても、ユーザにとってより視認しやすい明るさで被写体像を表示することができる。
【0029】
図に示すように、照度テーブルは、カレントテーブルとパストテーブルの2つが用意される。カレントテーブルには、カメラ10の電源がオンにされた後に算出された照度値が格納されている。一方、パストテーブルには、前回の使用時における照度値が格納されている。それぞれの照度テーブルは、例えば4つの照度値をその取得時刻と共に格納できるように構成されている。また、照度値は、一定の時間間隔により新たな値が算出されるので、取得時刻が古いものから消去されて新しい値に書き換えられる。
【0030】
したがって、電源オンの直後であれば、カレントテーブルにおける全てのIDに対応する照度値がまだ揃っていない状況があり得る。また、パストテーブルに格納されたそれぞれの照度値は、前回の使用時において電源がオフにされた時間付近で算出された値である。特に、このうちの一つは、電源オフの指示と共に取得された照度センサ41の出力から算出された照度値である。現在の使用状態において電源がオフにされると、システム制御部11は、カレントテーブルの各値をパストテーブルに移動し、カレントテーブルをリセットする。
【0031】
次に、この照度テーブルを利用した、具体的な表示制御について説明する。図4は、表示制御に関する動作を説明するフロー図である。図のフローは、電源ボタン57が押されて、カメラ10の電源がオンとなる時点から開始する。
【0032】
システム制御部11は、電源がオンにされるとまずステップS101で、現在のモードが撮影モードか否かを判断する。撮影モードと判断したらステップS102へ進み、再生モードまたはメニューモードのいずれかと判断したらステップS113へ進む。なお、ユーザは、撮影モードと再生モードの切り替えを、モード切替えボタン54を押下げることにより指示する。メニュー項目の表示は、メニューボタン56を押下げることにより指示する。
【0033】
システム制御部11は、ステップS102で、照度センサ41の出力を得て環境照度を取得する。すなわち、カレントテーブルに現在の照度値と取得時刻を書き込む。そして、ステップS103へ進み、タイマー変数tにより計時をスタートさせる。
【0034】
タイマーをスタートさせると、システム制御部11はまず、ステップS104で、表示部37の表示がオンにされているか否かを判断する。なお、ユーザは、表示のオンオフ切り替えを、ディスプレイボタン55を押下げることにより指示する。
【0035】
したがって、カメラ10の表示モードとしては、撮影モードにおける表示オンおよび表示オフ、再生/メニューモードにおける表示オンの少なくとも3つが存在することになる。また、撮影モードの表示オンにおいては、一度の撮影シーケンスごとに、撮影直後の確認表示、記録処理中表示などが行われることを鑑みて、それぞれの撮影シーケンスに対する表示制御を一つの表示モードと規定しても良い。
【0036】
ステップS104で、表示部37の表示がオンにされていないと判断すると、システム制御部11は、ステップS105で、再生/メニューモードへの切り替え指示がなされたか否かを判断する。切り替え指示がなされていなければ、ステップS106へ進み、更に電源オフの指示がなされたか否かを判断する。電源オフの指示がなされていなければ、ステップS107へ進む。
【0037】
ステップS107でシステム制御部11は、タイマー変数tが予め設定された時間間隔tを超えたか否かを判断する。超えていなければステップS104へ戻り、ステップS104からステップS107の監視を継続する。なお、この間に表示部37の表示を実行することなく撮影シーケンスを実行する場合もあり得る。
【0038】
システム制御部11は、ステップS107で、タイマー変数tがtを超えたと判断したらステップS102へ戻って、再び環境照度を取得する。システム制御部11は、算出した照度値を取得時刻と共に、新たな値としてカレントテーブルに追加する。このようにして、時間間隔tごとに新たな環境照度が順次取得されて、カレントテーブルが更新されていく。図3に示したカレントテーブルの例によれば、4つの環境照度を蓄積しつつ、それ以上の環境照度が取得されれば古い値から削除して上書きしていく。
【0039】
システム制御部11が、ステップS104で表示部37の表示がオンにされていると判断すると、ステップS108へ進み、表示制御部36が、システムメモリ12に記憶されている照度テーブルを用いてバックライトの輝度値を演算する。具体的な演算処理については後述する。輝度値の演算が完了すると、ステップS109へ進み、表示制御部36は、演算した輝度値を適用して表示部37のバックライトを調整し、ライブビュー表示を実行する。その後バックライトの輝度を調整することなくライブビュー表示を継続する。
【0040】
システム制御部11は、ステップS110で、一連の撮影シーケンスが終了したか否かを判断する。なお、一連の撮影シーケンスもシステム制御部11が主体的に実行する。例えば、静止画撮影における一連の撮影シーケンスにおいてシステム制御部11は、レリーズスイッチ40のSW1を検知してAF、AE等の撮影準備動作を実行し、SW2を検知して撮像素子31による被写体像の取得動作を実行する。更にシステム制御部11は、画像処理部35により例えばJPEGファイルを生成させ、内部メモリ34から記録媒体IF38を介して、記録媒体50に記録する。
【0041】
システム制御部11は、ステップS110で、一連の撮影シーケンスを終了したと判断したら、再びステップS102へ戻る。そして、再度環境照度を取得する。つまり、1回の撮影シーケンスが終了したら、環境照度を取得し直してバックライトの輝度を再度調整し、次の撮影の指示を待つ。なお、撮影モードが選択されている間は、一旦表示部37の表示が開始されたら、同じ輝度値でバックライトの明るさを維持しても良い。
【0042】
システム制御部11は、ステップS110で、一連の撮影シーケンスがまだ終了していないと判断したら、ステップS111へ進み、再生/メニューモードへの切り替え指示がなされたか否かを判断する。切り替え指示がなされていなければ、ステップS112へ進み、更に電源オフの指示がなされたか否かを判断する。電源オフの指示がなされていなければ、ステップS110へ戻り撮影指示を待つ。
【0043】
ステップS101で再生モードまたはメニューモードのいずれかと判断した場合、ステップS105またはステップS111で再生モードまたはメニューモードへの切り替えが指示された場合は、ステップS113へ進む。システム制御部11は、ステップS113で、照度センサ41の出力を得て環境照度を取得する。そして、カレントテーブルに算出した照度値と取得時刻を書き込む。
【0044】
システム制御部11がステップS113で環境照度を取得すると、表示制御部36は、ステップS114で、この環境照度から演算した輝度値を適用して表示部37のバックライトを調整し、再生表示またはメニュー表示を実行する。すなわち、照度テーブルを用いることなく、直前の照度センサ41の出力をそのまま適用する。続いて、システム制御部11は、ステップS115へ進み、タイマー変数tにより計時をスタートさせる。
【0045】
システム制御部11は、ステップS116で、撮影モードへの切り替え指示がなされたか否かを判断する。切り替え指示がなされていればステップS102へ進み、なされていなければステップS117へ進む。ステップS117では、更に電源オフの指示がなされたか否かを判断する。電源オフの指示がなされていなければ、ステップS118へ進む。
【0046】
ステップS118でシステム制御部11は、タイマー変数tが予め設定された時間間隔tを超えたか否かを判断する。超えていなければステップS116へ戻り、ステップS116からステップS118の監視を継続する。なお、この間においてシステム制御部11は並行して、再生モードであれば表示制御部36を用いて指定された画像を再生表示し、メニューモードであれば、操作部材39の入力を受け付けてユーザからの指示を実行する。
【0047】
システム制御部11は、ステップS118で、タイマー変数tがtを超えたと判断したらステップS113へ戻って、再び環境照度を取得する。再生/メニューモードにおいては、このようにして、時間間隔tごとに新たな環境照度が取得されてバックライトの輝度が逐次更新される。なお、撮影モードにおいて照度テーブルを利用してバックライトの輝度を調整する場合は、照度センサ41への突発的な指掛かりの影響を軽減すべく、時間間隔tが比較的長く設定されている。一方、再生/メニューモードにおいて照度センサ41の出力を逐次反映させる調整を行う場合は、リアルタイムで環境照度の変化に対応すべく、時間間隔tが比較的短く設定されている。すなわち、t>tの関係を有する。
【0048】
ステップS106、ステップS112、ステップS117で電源オフが指示されたと判断したら、ステップS119へ進み、システム制御部11は、更に環境照度を取得する。そして、上述のように、システム制御部11は、カレントテーブルの各値をパストテーブルに移動し、カレントテーブルをリセットした上で、ここで取得した環境照度に対する照度値と取得時刻を、パストテーブルの最も古いIDに上書きする。そして、電源をオフにして一連の処理フローを終了する。
【0049】
図5は、図4のステップS108の輝度演算処理を詳細に説明するフロー図である。上述のように、電源オンから一定時間が経過しなければ、カレントテーブルにおける全てのIDに対応する照度値が揃わない。そこで、ステップS201で表示制御部36は、システムメモリ12に記憶されているカレントテーブルを読み出し、カレントテーブルに記述された環境情報取得数が規定値nに達しているか否かを確認する。規定値nは、例えば図3のカレントテーブルによれば、格納数(=4)と同数と定義することができる。もちろん、格納数未満に定義しても良い。
【0050】
表示制御部36は、規定値nに達していればステップS202へ進み、n個分の照度値を平均化した値を算出し、これにより表示部37のバックライトの輝度値を決定する(ステップS203)。輝度値を決定したらステップS109へ進む。
【0051】
ステップS201で規定値nに達していなければ、表示制御部36は、ステップS204へ進み、システムメモリ12に記憶されているパストテーブルを読み出す。さらにステップS205へ進み、現在時刻を取得する。
【0052】
そして、ステップS206で、表示制御部36は、これらの情報を用いて照度値を加重平均処理により算出する。加重平均処理は、具体的には、以下のように行う。まず、ステップS119の処理により、前回の電源オフ時に環境照度を取得してパストテーブルにその照度値と取得時刻を追記しているので、この取得時刻と現在時刻を比較して、前回のオフ時からの経過時間が予め設定された時間Tを超えていないかを確認する。そして、超えていればパストテーブルの照度値を参照せず、カレントテーブルのうち算出できた照度値のみを用いて平均処理を行う。
【0053】
一方、超えていなければパストテーブルの照度値を加味する。すなわち、今回のカメラ10の使用環境が前回の使用環境に近いと推測される場合であるとして、前回の使用時に取得された照度値を参照する。したがって、時間Tは、この推測が成立すると考えられる程度の時間が設定される。
【0054】
パストテーブルの照度値を参照する場合は、それぞれの照度値に対して対応する取得時刻から算出される経過時間に従って、0から1の間で重み付け係数を付与する。その上で、カレントテーブルに既に記述されている規定値n未満の照度値と合わせて加重平均処理を行う。つまり、カレントテーブルにある照度値を、パストテーブルにある照度値に対して相対的に重み付けを高くして加重平均処理を行う。表示制御部36は、このように算出された値により表示部37のバックライトの輝度値を決定する(ステップS207)。輝度値を決定したらステップS109へ進む。
【0055】
なお、パストテーブルおよびカレントテーブルに含まれる照度値のうち、異常値を示す値を除外する処理を行っても良い。例えば、ある照度値が前後の照度値に対して閾値以上に小さいまたは大きい場合に異常値と判別できる。また、一般的に、表示部37のバックライトが暗いよりも明るいほうが視認性が高いので、パストテーブルおよびカレントテーブルのいずれに関わらず、明るい照度値ほど重み付けを高くしても良い。なお、以上の重み付けについては、重み付け係数として0を付与することにより、特定の照度値の加味を回避することもできる。
【0056】
以上、図4および図5のフローで説明したように、表示制御部36は、システム制御部11が表示モードの切り替え指示を受け付けたときに、システムメモリ12に記憶されている照度テーブルを読み出して表示部37のバックライトの輝度を決定する。そして、少なくとも撮影モードの一度の撮影シーケンス中におけるライブビュー表示では、その輝度を変更しない。一方、再生/メニューモードにおける表示中は、環境照度に応じて逐次バックライトの輝度を変更する。もちろん、再生モードおよびメニューモードの少なくとも一方についても、照度テーブルを参照してバックライトの輝度を調整しても良い。
【0057】
上記の実施形態においては、表示部37は液晶ディスプレイユニットとして説明したが、液晶でなく有機ELなどの自発光型表示ユニットを適用することもできる。この場合、バックライトを調整するのではなく各画素の輝度を調整すれば良い。
【0058】
上記実施形態においては、撮像装置の例としてコンパクトデジタルカメラであるカメラ10を用いて説明したが、他の形式のカメラであっても良い。具体的には、レンズ交換式一眼レフカメラ、ミラーレス一眼カメラ、ビデオカメラ、カメラ付き携帯電話等に適用できる。
【0059】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0060】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0061】
10 カメラ、11 システム制御部、12 システムメモリ、20 光学系、21 レンズ群、22 レンズシャッタ、31 撮像素子、32 A/D変換器、33 メモリ制御部、34 内部メモリ、35 画像処理部、36 表示制御部、37 表示部、38 記録媒体IF、39 操作部材、40 レリーズスイッチ、41 照度センサ、42 レンズ制御部、43 露光制御部、50 記録媒体、51 シーソースイッチ、52 十字キー、53 確定ボタン、54 モード切替えボタン、55 ディスプレイボタン、56 メニューボタン、57 電源ボタン、60 光学ファインダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
周囲の明るさを検出する照度検出部と、
前記照度検出部により検出された複数の照度情報を記憶する記憶部と、
前記表示部における表示モードの切替え指示を受け付ける受付部と、
前記受付部が前記切替え指示を受け付けたときに、前記記憶部に記憶されている前記複数の照度情報に基づいて前記表示部の輝度を決定する表示制御部と
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、次に前記表示モードを切り替えるまでは、前記輝度を一定とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記受付部が、前記表示モードの切替え指示として、非表示状態であるオフモードから表示状態であるオンモードへ切り替える切替え指示を受け付けたときに前記輝度を決定する請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記受付部が、前記表示モードの切替え指示として、画像データを再生する再生モードまたはメニュー項目を表示するメニューモードから被写体像のスルー画を表示する撮影モードへ切り替える切替え指示を受け付けたときに前記輝度を決定する請求項1から3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記再生モードおよび前記メニューモードの少なくともいずれかの場合は、前記記憶部に記憶された前記複数の照度情報に依らず、前記照度検出部が定期的に検出する照度情報に基づいて、前記輝度を逐次変更する請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記記憶部に記憶される前記複数の照度情報の検出間隔は、前記再生モードまたは前記メニューモードの場合における検出間隔よりも長い請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記表示制御部は、一度の撮影シーケンスが終了するまでは、前記輝度を一定とする請求項1から6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像装置の電源がオンされた後に前記記憶部に記憶された前記複数の照度情報が、予め定められた数に満たない場合は、前記表示制御部は、前記電源がオンされるよりも前から記憶されている照度情報を加味して前記輝度を決定する請求項1から7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記表示制御部は、前記電源がオンされるよりも前から記憶されている照度情報を加味して前記輝度を決定する場合は、前記電源がオンされた後に前記記憶部に記憶された前記複数の照度情報の重み付けを高くして前記輝度を決定する請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記表示制御部は、前記電源の前回のオフから予め定められた時間が経過している場合には、前記電源がオンされるよりも前から記憶されている照度情報を加味しない請求項8または9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記電源がオンされるよりも前から記憶されている照度情報は、前記電源が前回オフにされるタイミングで記憶された照度情報を含む請求項8から10のいずれか1項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−222407(P2012−222407A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83000(P2011−83000)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】