説明

撮像装置

【課題】正確な焦点検出を行いつつ、ゴーストやフレアがない撮影画像を得る。
【解決手段】ハーフミラー21は、撮影レンズ10aを通過した被写体光束Lを反射光束L1と透過光束L2とに分割するミラーダウン位置と、被写体光束Lの光路から退避して被写体光束Lを撮像素子22へ導くミラーアップ位置との間で移動する。輝度判定部27cは、ミラーダウン位置で測光センサ24からの被写体像の輝度検出信号に基づいて被写体輝度が所定の閾値以上であるか否かを判定する。被写体輝度が所定の閾値未満である場合は、第2の焦点調節部27bは、AFセンサ23からの焦点検出信号に基づいて焦点調節を行い、透過光束L2の被写体像を撮像する。被写体輝度が所定の閾値以上である場合は、ハーフミラー21をミラーアップ位置へ駆動させ、第1の焦点調節部27aは、撮像素子22からの焦点検出信号に基づいて焦点調節を行い、被写体光束Lの被写体像を撮像する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラなどの撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影光学系の光路上に可動式のハーフミラーを設けた電子カメラが知られている。(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の電子カメラは、ハーフミラーが光路上にある時には、ハーフミラーで反射した被写体光束をファインダ光学系へ導くと共に、ハーフミラーを透過した被写体光束を撮像素子へ導き、ハーフミラーが撮影光学系の光路から退避している時には、撮像素子のみに被写体光束を導く構造になっている。特許文献1に記載の電子カメラでは、ハーフミラーがいずれの状態にあるときでも、撮像素子の出力に基づいてオートフォーカス(AF)や自動露出制御(AE)を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−032323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような電子カメラで撮影を行う際、被写体中に輝度の高い領域があると、その高輝度領域からの光束が撮影光学系およびハーフミラーなどの半透過反射部材を通過する時に内部で多重反射を起こし、ゴーストやフレアと呼ばれる現象が発生することがある。特に、ゴーストやフレアは、光束がハーフミラーを通過する時に発生し易い。ゴーストやフレアが発生すると、撮影画像中にゴーストやフレアが写ってしまうため、撮影画像の出来栄えに悪影響を及ぼす。また、ゴーストやフレアは撮影時の精確な焦点検出の妨げとなるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明に係る撮像装置は、撮影レンズを介して入射した被写体光束を光電変換することで電気信号として出力する撮影動作と、前記被写体光束を光電変換して出力される電気信号に基づいて前記撮影レンズの被写体への合焦位置を検出する合焦位置検出動作とを行う撮像手段と、前記撮像手段の合焦位置検出結果に基づき前記撮影レンズの焦点位置調節を行う第1の焦点位置調節手段と、前記撮影レンズの被写体への合焦位置を検出する合焦位置検出手段と、前記合焦位置検出手段の合焦位置検出結果に基づき前記撮影レンズの焦点位置調節を行う第2の焦点位置調節手段と、前記撮影レンズを通過した被写体光束の光路を前記撮像手段への光路と前記合焦位置検出手段への光路とに分割する第1の姿勢と、前記被写体光束の光路から退避して前記被写体光束を前記撮像手段へ導く第2の姿勢とをとる可動式の半透過反射部材と、前記被写体の輝度を検出する輝度検出手段と、を備え、前記半透過反射部材が前記第1の姿勢をとっているとき、前記輝度検出手段の検出結果が所定値未満である場合は、前記第2の焦点位置調節手段による前記焦点位置調節後に前記撮像手段による前記撮影動作を行い、前記輝度検出手段の検出結果が所定値以上である場合は、前記半透過反射部材を前記第1の姿勢から前記第2の姿勢とし、前記第1の焦点位置調節手段による前記焦点位置調節後に前記撮像手段による前記撮影動作を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の撮像装置によれば、半透過反射部材に起因するゴーストやフレアが発生するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置の構成を示す概略図である。
【図2】第1の実施の形態に係る撮像装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置の構成を示す概略図である。
【図4】第2の実施の形態に係る撮像装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の形態による撮像装置(例えば、デジタルカメラ)について、図1〜4を参照しながら説明する。
−第1の実施の形態−
<構成>
図1に示されるように、デジタルカメラ1は、レンズ鏡筒10及びカメラボディ20を備える。レンズ鏡筒10には、図示しないフォーカシングレンズ、ズーミングレンズ、絞りなどを有する撮影レンズ系10a及びレンズ駆動部28が収納されている。カメラボディ20には、可動式のハーフミラー21、撮像素子22、AFセンサ23、測光センサ24、電子ビューファインダ26、演算制御部27及びミラー駆動部29が収納され、カメラボディ20の外面には、ハーフミラー21を手動で動かすためのミラー操作部材31が設けられている。
【0009】
ハーフミラー21は、透明基板の表面に所定厚さの反射膜、裏面に反射防止膜が形成され、入射する光を透過光と反射光とに分割する光学素子である。ハーフミラー21は、撮影レンズ系10aを通過した被写体光束Lの光路上に位置する第1の姿勢(以下、ミラーダウンの位置)と、被写体光束Lの光路上から退避した第2の姿勢(以下、ミラーアップの位置)との間で移動可能に構成されている。なお、符号21Aは、ミラーアップの位置にあるハーフミラー21を示す。
【0010】
ハーフミラー21は、ミラーダウンの位置にあるときは、被写体光束Lのうちの一部を透過して透過光束L2として撮像素子22へ導くと共に、被写体光束Lの残部を反射して反射光束L1としてAFセンサ23及び測光センサ24へ導く。反射光束L1は、不図示の分岐光学系により2つの光束に分岐されてAFセンサ23、測光センサ24へそれぞれ導かれる。また、ハーフミラー21が符号21Aで示すミラーアップの位置にあるときは、被写体光束Lはすべて撮像素子22へ導かれる。
【0011】
撮像素子22は、電荷蓄積型のCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどから構成され、撮影レンズ系10aによって形成された被写体像を光電変換して、画像信号としての電気信号を出力すると共に、焦点検出信号としての電気信号を出力する。
焦点検出信号は、本実施の形態にあってはコントラスト式焦点検出用の信号であるが、瞳分割の位相差式焦点検出用の信号でもよい。
【0012】
AFセンサ23は、電荷蓄積型のCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどから構成され、撮影レンズ系10aによって形成された被写体像を光電変換して焦点検出信号を出力する。AFセンサ23は、焦点検出専用のエリアセンサである。AFセンサ23の焦点検出信号は、本実施の形態にあっては瞳分割の位相差式焦点検出用の信号であるが、コントラスト式焦点検出用の信号でもよい。
【0013】
測光センサ24は、撮影レンズ系10aによって形成された被写体像の輝度を被写体像全体にわたって検出し、輝度検出信号を出力する。被写体像の輝度検出信号から被写体の輝度分布が得られる。
【0014】
電子ビューファインダ26は、不図示の液晶素子と接眼レンズ26aとを有し、撮像素子22からの画像信号に基づき液晶素子に被写体のスルー画像、即ちライブビュー画像を表示する。撮影者は、接眼レンズ26aを介してライブビュー画像を観察する。なお、デジタルカメラ1の背面に液晶モニタ(図示しない)を設け、液晶モニタによってライブビュー画像を観察するようにしてもよい。また、電子ビューファインダ26と液晶モニタと両方にライブビュー画像を表示してもよい。
【0015】
演算制御部27は、撮像素子22からの焦点検出信号に基づき焦点調節を行う第1の焦点調節部27aと、AFセンサ23からの焦点検出信号に基づき焦点調節を行う第2の焦点調節部27bと、測光センサ24からの輝度検出信号に基づいて被写体像の輝度が所定の閾値以上か否かを判定する輝度判定部27cと、撮像素子22からの電気信号又は測光センサ24からの輝度検出信号に基づいて撮像素子22への露光量が最適となるように撮影レンズ系10aの絞り値や撮像素子22の蓄積時間などを制御する露出制御部27dとを有する。
なお、輝度判定部27cは、測光センサ24からの輝度検出信号の代わりに、撮像素子22からの電気信号に基づいて被写体輝度が所定の閾値以上か否かを判定することもできる。
【0016】
第1の焦点調節部27aは、撮像素子22からの焦点検出信号に基づきコントラスト評価値を算出して、さらにコントラスト評価値に基づき合焦位置を算出する。そして、レンズ駆動部28を制御して撮影レンズ系10aのフォーカシングレンズを合焦位置に駆動する。
具体的には、第1の焦点調節部27aは、撮影レンズ系10aの焦点位置を様々に変化させて焦点検出信号を取得し、これらの焦点検出信号の各々についてコントラスト評価値を算出する。そして、コントラスト評価値に基づき合焦位置を算出することで、フォーカシングレンズを合焦位置に駆動する。
【0017】
第2の焦点調節部27bは、AFセンサ23からの位相差式の一対の焦点検出信号の位相差を検出して、位相差からデフォーカス量を算出する。そして、デフォーカス量に基づきレンズ駆動部28を制御して、撮影レンズ系10aのフォーカシングレンズを合焦位置に駆動する。
【0018】
輝度判定部27cは、上述のように、測光センサ24が検出した被写体輝度が所定の閾値以上であるか、所定の閾値未満であるかを判定する。この所定の閾値は、例えば、被写体光束がハーフミラー21を透過した時に、撮影画像中のゴーストやフレアの発生、または焦点検出精度の低下の原因となるゴーストやフレアが発生するような輝度値に定められている。
なお、演算制御部27は、被写体輝度が所定の閾値以上である場合に、ゴーストやフレアの発生を表示又は音声で報知する。
【0019】
露出制御部27dは、輝度判定部27cによって被写体輝度が所定の閾値未満であると判定された場合は、測光センサ24からの輝度検出信号に基づいて撮影レンズ系10aの絞り値や撮像素子22の電荷蓄積時間などを制御する。一方、輝度判定部27cによって被写体輝度が所定の閾値以上であると判定された場合は、撮像素子22からの電気信号に基づいて撮影レンズ10系aの絞り値や撮像素子22の電荷蓄積時間などを制御する。
【0020】
また、演算制御部27は、撮影レンズ系10a、撮像素子22、レンズ駆動部28及びミラー駆動部29の動作を制御する。
レンズ駆動部28は、コントラスト検出式の第1の焦点調節部27aによって算出されたレンズ駆動量、或いは瞳分割型位相差検出式の第2の焦点調節部27aによって算出されたレンズ駆動量に基づき、フォーカシングレンズを光軸方向に移動させる。
【0021】
ミラー駆動部29は、撮影レンズ系10aを通過した被写体光束Lの光路上にハーフミラー21が位置するミラーダウン位置と、被写体光束Lの光路上からハーフミラー21が退避したミラーアップ位置との間でハーフミラー21を回転移動させる。
ミラー操作部材31は、ミラー駆動部29を使用せずに、手動操作によってハーフミラー21を回転移動させるための操作部材である。
【0022】
<撮影動作>
以上のように構成されたデジタルカメラ1による撮影動作を図2のフローチャートを参照して説明する。
撮影者がデジタルカメラ1の電源を投入し、ステップS11で、不図示のレリーズボタンを半押しする。このとき、ハーフミラー21はミラーダウン位置にあり、被写体光束Lを反射光束L1と透過光束L2とに分割する。反射光束L1はAFセンサ23及び測光センサ24にそれぞれ入射し、透過光束L2は撮像素子22に入射する。この時には、撮影者は電子ビューファインダ26を介して被写体のライブビュー画像を観察することができる。
【0023】
ステップS12では、AFセンサ23が反射光束L1に基づく位相差式の焦点検出信号を出力する。演算制御部27の第2の焦点調節部27bは、AFセンサ23からの位相差式の焦点検出信号に基づいてデフォーカス量を算出し、フォーカシングレンズを合焦位置まで焦点調節駆動する。この第2の焦点調節部27bによる焦点調節動作は、ハーフミラー21がミラーダウン位置にある間、繰り返し行われる。
【0024】
ステップS13では、演算制御部27の輝度判定部27cは、測光センサ24からの輝度検出信号に基づき、被写体輝度が所定の閾値以上であるか、所定の閾値未満であるかを判定する。
【0025】
輝度判定部27cが、被写体輝度が所定の閾値以上であると判定した場合、即ち被写体輝度がハーフミラー21においてゴーストやフレアを発生させるような高輝度であると判定した場合には、ステップS14へ進む。一方、輝度判定部27cが、被写体輝度が所定の閾値未満であると判定した場合、即ち被写体輝度がハーフミラー21においてゴーストやフレアを発生させることのない低輝度であると判定した場合には、ステップS19に進む。
【0026】
ステップS14では、演算制御部27は、ハーフミラー21をミラーアップ位置とするようにミラー駆動部29に対して指令信号を送出し、指定信号に応じてミラー駆動部29がハーフミラー21をミラーアップ位置に移動させる。ミラーアップ位置へのハーフミラー21の移動によって、撮像素子22に被写体像が結像する。
【0027】
ステップS15では、撮像素子22は、焦点検出信号を第1の焦点調節部27aへ出力する。第1の焦点調節部27aは、焦点検出信号に基づいて合焦位置を算出し、レンズ駆動部28を介して撮影レンズ系10aのフォーカシングレンズを合焦位置に駆動する。なお、ステップS14におけるハーフミラー21のミラーアップ位置への移動により合焦位置がずれるため、ステップS15において再度焦点調節を行うことで精確な焦点検出ができる。
【0028】
上述の第1の焦点調節部27aによる焦点調節動作に並行して、露出制御部27dは、撮像素子22からの電気信号に基づいて露出制御を行う。ステップS16では、撮影者が不図示のレリーズボタンを全押しすることによって撮影動作が実行され、ステップS17で、撮像素子22からの画像信号が所定の画像処理を施されて、記録媒体に記録される。
【0029】
ステップS18で、ミラー駆動部29がミラーアップ位置のハーフミラー21をミラーダウン位置に復帰させる。
【0030】
一方、ステップS13で、被写体輝度が所定の閾値未満であると判定された場合は、ハーフミラー21はミラーダウン位置のまま維持され、ステップS19で、撮影者が不図示のレリーズボタンを全押しすることによって第2の焦点調節部27bによる焦点調節及び露出制御部27dによる露出制御の下で、撮影動作が実行される。ステップS20で、撮像素子22からの画像信号が所定の画像処理を施されて、記録媒体に記録される。
【0031】
以上のように、被写体輝度が所定の閾値以上である場合は、ハーフミラー21をミラーアップ位置へ移動してから、焦点調節し撮像を行う。したがってハーフミラー21に起因するゴーストやフレアの発生を防ぎ、精確な焦点調節を行うことができると共に、撮影画像中にゴーストやフレアが写るのを抑えることができる。
【0032】
第1の実施の形態によるデジタルカメラ1によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)被写体輝度が所定の閾値以上であると判定した場合には、ハーフミラー21をミラーアップ位置に移動することで、ハーフミラー21に起因するゴーストやフレアを防ぎ、撮像素子22で撮像と焦点検出を行うことで精確な焦点調節と、撮影画像中のゴーストやフレアの写りを抑えて見栄えの良い撮影画像を得ることができる。
(2)被写体輝度が所定の閾値未満の場合は、被写体像にはゴーストやフレアが発生せず、ハーフミラー21の透過光束L2により撮像素子22が撮像を行い、反射光束L1によりAFセンサ23が焦点検出を行うので、撮影時にハーフミラー21をミラーアップ位置へ駆動する必要がないため、高速連写が可能になると共に、レリーズボタンを操作してから撮影開始までのタイムラグを小さくすることができる。
【0033】
第1の実施の形態の変形例は以下の通りである。
(1)第1の実施の形態では、被写体像輝度検出用の測光センサ24を設け、ハーフミラー21がミラーダウン位置にあるときには測光センサ24からの電気信号に基づいて被写体像の輝度検出を行っているが、測光センサ24を設けずに、ミラーダウン、ミラーアップに関係なく撮像素子22からの電気信号に基づいて輝度検出を行ってもよい。
(2)第1の実施の形態では、ハーフミラー21がミラーダウン位置にあるときには、測光センサ24の輝度検出信号に基づき、輝度判定部27cが高輝度判定を行うと共に露出制御部27dが露出制御を行ったが、自動露出制御のための専用のAEセンサを別に設けてもよい。
(3)第1の実施の形態では、AFセンサ23は、ハーフミラー21がミラーダウン位置にあるときに反射光束L1が入射する位置に配設しているが、ハーフミラー21の後方(図1中で右側)に半透過型のサブミラーを配置して、サブミラーによる反射光が入射する位置に配設してもよい。同様に、測光センサ24または上述した専用のAEセンサをサブミラーによる反射光が入射する位置に配設してもよい。
(4)第1の実施の形態では、ミラー駆動部29が演算制御部27からの指令信号に応じてハーフミラー21の駆動を行ったが、撮影者がミラー操作部材31を操作してハーフミラー21を手動で回転移動させてもよい。
(5)第1の実施の形態のハーフミラー21の代りに、これと同様の光束分割機能を有するペリクルミラーを用いてもよい。
【0034】
−第2の実施の形態−
上述の第1の実施の形態のデジタルカメラ1はAFセンサ23を備えていたが、図3に示す第2の実施の形態のデジタルカメラ2はAFセンサ23を備えていない。デジタルカメラ2はAFセンサ23を備えていないので、デジタルカメラ1が備えていた第2の焦点調節部27bも備えていない。また、デジタルカメラ1は電子ビューファインダ26を備えていたのに対し、デジタルカメラ2は光学ファインダ32を備えている点でも相違する。これらの相違点を除くと、デジタルカメラ2の構成は、デジタルカメラ1の構成と同様であるので、本実施の形態では、対応する構成部品には同一符号を付し、主として上述した構成上の相違点を説明する。
【0035】
<構成>
図3に示されるように、光学ファインダ32は、ハーフミラー21がミラーダウン位置にあるときにハーフミラー21で反射した反射光束L1が入射する位置に配設されている。光学ファインダ32は、反射光束L1の被写体像をスクリーン(不図示)上に結像させ、その像を観察する方式のファインダである。撮影者は、撮影レンズ10aによって結像された像そのものを観察する。デジタルカメラ2は、光学ファインダ32を備えているので、電子ビューファインダは不要となる。
【0036】
なお、ハーフミラー21がミラーダウン位置にあるときには、透過光束L2の被写体像が撮像素子22上に結像する。符号21Aは、ミラーアップ位置にあるハーフミラー21を示し、ミラーアップ位置では、光学ファインダ32による像の観察はできず、被写体光束Lの被写体像が撮像素子22上に結像する。
【0037】
デジタルカメラ2はAFセンサ23を備えていないため、ハーフミラー21のミラーダウン、ミラーアップに関係なく撮像素子22からの電気信号に基づいて撮影レンズ10aの合焦位置の検出を行わなければならない。演算制御部27の第1の焦点調節部27aは、ハーフミラー21がミラーダウン位置にあるときには、ハーフミラー21を透過した透過光束L2を用いて焦点検出を行い、ハーフミラー21がミラーアップ位置にあるときには、被写体光束Lを用いて焦点検出を行う。
【0038】
<撮影動作>
以上のように構成されたデジタルカメラ1による撮影動作を図4のフローチャートを参照して説明する。
撮影者がデジタルカメラ1の電源を投入し、ステップS31で、不図示のレリーズボタンを半押しする。このとき、ハーフミラー21はミラーダウン位置にあり、被写体光束Lを反射光束L1と透過光束L2とに分割する。反射光束L1は光学ファインダ32に入射し、透過光束L2は撮像素子22に入射する。この時には、撮影者は光学ファインダ32を介して被写体のライブビュー画像を観察することができる。
【0039】
ステップS32では、撮像素子22が透過光束L2に基づくコントラスト式の焦点検出信号を出力する。演算制御部27の第1の焦点調節部27aは、撮像素子22からのコントラスト式の焦点検出信号に基づいてコントラスト値を算出し、フォーカシングレンズを合焦位置まで焦点調節駆動する。第1の焦点調節部27aによる焦点調節動作は、ハーフミラー21がミラーダウン位置にある間、繰り返し行われる。
【0040】
ステップS33では、演算制御部27の輝度判定部27cは、測光センサ24からの輝度検出信号に基づき、被写体輝度が所定の閾値以上であるか、所定の閾値未満であるかを判定する。
【0041】
輝度判定部27cが、被写体輝度が所定の閾値以上であると判定した場合、即ち被写体輝度がハーフミラー21においてゴーストやフレアを発生させるような高輝度であると判定した場合には、ステップS34へ進む。一方、輝度判定部27cが、被写体輝度が所定の閾値未満であると判定した場合、即ち被写体輝度がハーフミラー21においてゴーストやフレアを発生させることのない低輝度であると判定した場合には、ステップS39に進む。
【0042】
ステップS34では、演算制御部27は、ハーフミラー21をミラーアップ位置とするようにミラー駆動部29に対して指令信号を送出し、指定信号に応じてミラー駆動部29がハーフミラー21をミラーアップ位置に移動させる。ミラーアップ位置へのハーフミラー21の移動によって、撮像素子22に被写体像が結像する。
【0043】
ステップS35では、撮像素子22は、焦点検出信号を第1の焦点調節部27aへ出力する。第1の焦点調節部27aは、焦点検出信号に基づいて合焦位置を算出し、レンズ駆動部28を介して撮影レンズ10aのフォーカシングレンズを合焦位置に駆動する。なお、ステップS34におけるハーフミラー21のミラーアップ位置への移動により合焦位置がずれるため、ステップS15において再度焦点調節を行うことで精確な焦点検出ができる。
【0044】
上述の第1の焦点調節部27aによる焦点調節動作に並行して、露出制御部27dは、撮像素子22からの電気信号に基づいて露出制御を行う。ステップS36では、撮影者が不図示のレリーズボタンを全押しすることによって撮影動作が実行され、ステップS37で、撮像素子22からの画像信号が所定の画像処理を施されて、記録媒体に記録される。
【0045】
ステップS38で、ミラー駆動部29がミラーアップ位置のハーフミラー21をミラーダウン位置に復帰させる。
【0046】
一方、ステップS33で、被写体輝度が所定の閾値未満であると判定された場合は、ハーフミラー21はミラーダウン位置のまま維持され、ステップS39で、撮影者が不図示のレリーズボタンを全押しすることによって第1の焦点調節部27aによる焦点調節及び露出制御部27dによる露出制御の下で、撮影動作が実行される。ステップS40で、撮像素子22からの画像信号が所定の画像処理を施されて、記録媒体に記録される。
【0047】
以上のように、被写体輝度が所定の閾値以上である場合には、ハーフミラー21をミラーアップ位置へ移動してから、焦点調節し撮像を行う。したがってハーフミラー21に起因するゴーストやフレアの発生を防ぎ、精確な焦点調節を行うことができると共に、撮影画像中にゴーストやフレアが写るのを抑えることができる。
【0048】
第2の実施の形態によるデジタルカメラ2によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)被写体輝度が所定の閾値以上であると判定した場合には、ハーフミラー21をミラーアップ位置に移動することで、ハーフミラー21に起因するゴーストやフレアを防ぎ、撮像素子22で撮像と焦点検出を行うことで精確な焦点調節と、撮影画像中のゴーストやフレアの写りを抑えて見栄えの良い撮影画像を得ることができる。
(2)被写体輝度が所定の閾値未満の場合は、被写体像にはゴーストやフレアが発生せず、ハーフミラー21の透過光束L2により撮像素子22が撮像と焦点検出を行い、反射光束L1が光学ファインダ32へ入射するので、撮影時でも被写体像を観察することができる。また、撮影時にハーフミラー21をミラーアップ位置へ駆動する必要がないため、高速連写が可能になると共に、レリーズボタンを操作してから撮影開始までのタイムラグを小さくすることができる。
(3)第2の実施の形態によるデジタルカメラ2は、AFセンサ23を備えていないため、第1の実施の形態によるデジタルカメラ1と比べて構成を簡素化できる。
【0049】
本発明は、その特徴を損なわない限り、以上説明した実施の形態に何ら限定されない。
【符号の説明】
【0050】
1、2:デジタルカメラ 10:レンズ鏡筒
10a:撮影レンズ系 20:カメラボディ
21、21A:ハーフミラー 22:撮像素子
23:AFセンサ 24:測光センサ
26:電子ビューファインダ 27:演算制御部
27a:第1の焦点調節部 27b:第2の焦点調節部
27c:輝度判定部 27d:露出制御部
28:レンズ駆動部 29:ミラー駆動部
31:ミラー操作部材 32:光学ファインダ
L:被写体光束 L1:反射光束
L2:透過光束

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影レンズを介して入射した被写体光束を光電変換することで電気信号として出力する撮影動作と、前記被写体光束を光電変換して出力される電気信号に基づいて前記撮影レンズの被写体への合焦位置を検出する合焦位置検出動作とを行う撮像手段と、
前記撮像手段の合焦位置検出結果に基づき前記撮影レンズの焦点位置調節を行う第1の焦点位置調節手段と、
前記撮影レンズの被写体への合焦位置を検出する合焦位置検出手段と、
前記合焦位置検出手段の合焦位置検出結果に基づき前記撮影レンズの焦点位置調節を行う第2の焦点位置調節手段と、
前記撮影レンズを通過した被写体光束の光路を前記撮像手段への光路と前記合焦位置検出手段への光路とに分割する第1の姿勢と、前記被写体光束の光路から退避して前記被写体光束を前記撮像手段へ導く第2の姿勢とをとる可動式の半透過反射部材と、
前記被写体の輝度を検出する輝度検出手段と、を備え、
前記半透過反射部材が前記第1の姿勢をとっているとき、前記輝度検出手段の検出結果が所定値未満である場合は、前記第2の焦点位置調節手段による前記焦点位置調節後に前記撮像手段による前記撮影動作を行い、
前記輝度検出手段の検出結果が所定値以上である場合は、前記半透過反射部材を前記第1の姿勢から前記第2の姿勢とし、前記第1の焦点位置調節手段による前記焦点位置調節後に前記撮像手段による前記撮影動作を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
撮影レンズを介して入射した被写体光束を光電変換することで電気信号として出力する撮影動作と、前記被写体光束を光電変換して出力される電気信号に基づいて前記撮影レンズの被写体への合焦位置を検出する合焦位置検出動作とを行う撮像手段と、
前記撮像手段の合焦位置検出結果に基づき前記撮影レンズの焦点位置調節を行う焦点位置調節手段と、
前記被写体を観察可能とするファインダと、
前記撮影レンズを通過した被写体光束の光路を前記撮像手段への光路と前記ファインダへの光路とに分割する第1の姿勢と、前記被写体光束の光路から退避して前記被写体光束を前記撮像手段へ導く第2の姿勢とをとる可動式の半透過反射部材と、
前記被写体の輝度を検出する輝度検出手段と、を備え、
前記半透過反射部材が前記第1の姿勢をとっているとき、前記輝度検出手段の検出結果が所定値未満である場合は、前記焦点位置調節手段による前記焦点位置調節後に前記撮像手段による前記撮影動作を行い、
前記輝度検出手段の検出結果が所定値以上である場合は、前記半透過反射部材を前記第1の姿勢から前記第2の姿勢とし、前記焦点位置調節手段による前記焦点位置調節後に前記撮像手段による前記撮影動作を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置において、
前記輝度検出手段は、前記撮像手段が出力する電気信号に基づいて被写体の輝度を検出することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の撮像装置において、
前記輝度検出手段は、前記被写体光束を測光する測光手段を有し、前記測光手段が出力する電気信号に基づいて被写体の輝度を検出することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記輝度検出手段または前記撮像手段の電気信号に基づき適正露出値を演算し、前記適正露出値に基づき前記撮像手段の露出条件を制御する露出制御手段を更に備え、
前記露出制御手段は、前記半透過反射部材が前記第1の姿勢をとっているとき、前記輝度検出手段の出力が所定値未満である場合は、前記輝度検出手段の電気信号に基づき露出制御を行い、前記輝度検出手段の出力が所定値以上である場合は、前記半透過反射部材を前記第1の姿勢から前記第2の姿勢として前記撮像手段による電気信号に基づいて露出制御を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項1または2に記載の撮像装置において、
前記輝度検出手段の出力が前記所定値以上であるときに、前記輝度検出手段の出力が前記所定値以上であることをユーザーに報知する報知手段と、
前記半透過反射部材を前記第1の姿勢から前記第2の姿勢へ切替駆動する反射部材駆動手段とを更に備えることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−225997(P2012−225997A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91125(P2011−91125)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】