説明

撮像装置

【課題】シンプルな構成で光軸に対する撮像素子の中心位置を精度よく調整可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置(10)は、撮像レンズ(11)と、該撮像レンズを保持するレンズホルダ(15)と、撮像素子(14)とを備える。特に、撮像素子は、撮像レンズの撮像素子側に撮像素子の外形に対応して第1の撮像レンズの像面側に突出するように形成された受け部(11a)により嵌め合わされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像レンズによって結像された被写体像を、光軸上に配置された撮像素子を用いて撮像する撮像装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像レンズによって結像された被写体像をCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどの撮像素子を用いて撮像する撮像装置が広く知られている。この種の撮像装置では、撮像素子の中心位置が光軸からズレていると、撮像画像に部分的に欠けや歪みが生じるなど乱れが生じてしまうという問題がある。このような撮像画像における乱れを抑制するために、撮像装置の組立時には、撮像素子の中心を光軸に精度よく合わせ込むことが要求されている。
【0003】
撮像素子の中心を光軸に精度よく調整するためには、撮像レンズに対する撮像素子の位置を微細に変更しつつ、調整後の位置に確実に固定する必要があるため、その作業負担は大変に大きいものであった。そこで、このような光軸に対する合わせ込み作業に関する負担を軽減するための手段として、例えば特許文献1には、撮像素子が配置されるシャーシ上に撮像素子の外形に対応する凹部を設け、当該凹部に撮像素子をはめ込み、付勢手段で押しつけ固定することによって、撮像素子の光軸ズレを構造的に抑制可能な撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−233946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、シャーシに対する撮像素子の取り付け誤差を排除することができるものの、撮像素子が取り付けられたシャーシ自体の光軸に対するズレを改善することはできない。つまり、シャーシに撮像素子を精度よく取り付けることによって光軸ズレを幾分かは改善できるかもしれないが、撮像素子が取り付けられたシャーシ自体の光軸ズレを改善できないため、結果的に、撮像素子の光軸ズレを十分に解消することができないという技術的問題点がある。
【0006】
本発明は、上述した問題点に鑑みなされたものであり、光軸に対する撮像素子の中心位置を容易、且つ、高精度に合わせ込み可能な撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の撮像装置は上記課題を解決するために、第1の撮像レンズと、該第1の撮像レンズを保持する第1のレンズホルダと、前記第1の撮像レンズを介して結像される被写体像を撮像する撮像素子とを備えた撮像装置において、前記撮像素子は、前記撮像素子の外形に対応して前記第1の撮像レンズの像面側に突出するように形成された受け部により嵌め合わされていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、撮像素子は、第1の撮像レンズの像面側に撮像素子の外形に対応して第1の撮像レンズの像面側に突出するように形成された受け部に嵌め合わされることによって保持されるため、撮像素子の中心の光軸に対するズレ量を抑制することができる。従って、煩雑な光軸の合わせ込み作業を行うことなく、光軸に対して撮像素子の中心を構造的に精度よく合わせ込むことができる。
【0009】
好ましくは、前記受け部は、前記第1の撮像レンズから像面側に突出するように一体的に形成されてなるとよい。
【0010】
この場合、受け部は撮像レンズと一体的に形成されているため、撮像装置の構成部品数を増加することなく、上述の撮像装置を実現することができる。即ち、部品数の削減が可能となるので、撮像装置の小型化に有効である。
【0011】
好ましくは、前記撮像素子及びその周辺部品を搭載する基板を更に備え、光軸方向における前記撮像素子と前記受け部との重なり長が、前記基板上に搭載された周辺部品の該基板表面に対する高さより短くなるように設定されているとよい。
【0012】
この場合、撮像素子が搭載された基板と受け部が設けられている第1の撮像レンズとの間に、周辺部品を設置するための隙間を確保できるので、基板上に周辺部品を効率的なレイアウトで配置することができる。その結果、撮像素子や周辺部品が搭載される基板サイズを縮小することができるので、より小型化に適した撮像装置を実現することができる。
【0013】
好ましくは、前記受け部は、前記撮像素子を被写体側から支持するように段差状に形成された支持面を有するとよい。
【0014】
この場合、撮像素子は受け部に形成された支持面によって被写体側から支持されるため、被写体像の焦点調整をするために撮像素子の位置を光軸方向に移動調整した場合であっても、基板側に配置された撮像素子や周辺部品が不意に第1の撮像レンズに接触して損傷することを防止できる。また、焦点調整をするために撮像素子の位置を光軸方向に移動調整する際に、支持面を移動距離を算出するための基準面として用いることができるため、焦点調整を容易に行うことが可能となる。
【0015】
好ましくは、前記撮像素子は前記受け部に接着材により固定されているとよい。
【0016】
一般的に、撮像素子は当該撮像素子が搭載された基板がレンズホルダにネジ止め固定される。この態様では、このようなポストやネジを用いることなく接着剤によって撮像素子を固定できるため、撮像装置の構成部品数を削減でき、より小型化に適した撮像装置を実現することができる。
【0017】
好ましくは、前記受け部は、前記撮像素子の撮像面中心の前記第1の撮像レンズの光軸に対するズレ角が5度未満になるように前記撮像素子を保持するとよい。一般的に、撮像素子の撮像面の法線方向の光軸に対するズレ量が5度以上になると、撮像画像に生じる乱れが人間に認識されてしまう。このような撮像素子の撮像面中心の第1の撮像レンズの光軸に対するズレ角は、受け部への撮像素子のはめ込み公差に依存する。本態様では、撮像素子の撮像面中心の第1の撮像レンズの光軸に対するズレ角が撮像画像の乱れとして認識不能なレベルに抑制される程度にはめ込み公差が抑制されるように受け部を形成することで、煩雑な合わせ込み作業を不要としつつ、良画質な撮像画像を撮像可能な撮像装置を実現することができる。
【0018】
好ましくは、前記第1の撮像レンズより被写体側に設けられた第2の撮像レンズと、前記第2の撮像レンズを保持する第2のレンズホルダとを更に備え、前記第2のレンズホルダは、光軸方向に移動可能なように螺合機構を介して前記第1のレンズホルダに固定されているとよい。より好ましくは、前記螺合機構は、前記第1のレンズホルダ及び前記第2のレンズホルダの互いに対向する面上に光軸に沿って螺旋状に形成されたネジ山を含んでなり、前記第1のレンズホルダ及び前記第2のレンズホルダを相対的に回転させることによって、光軸方向に移動可能に構成されているとよい。
【0019】
この場合、撮像素子を第1の撮像レンズに設けた受け部によって保持することで煩雑な光軸の合わせ込み作業を不要としつつ、第2のレンズホルダを光軸方向に移動することによって第1の撮像レンズと第2の撮像レンズとの間隔を変更し、焦点調整を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、撮像素子は、第1の撮像レンズの像面側に撮像素子の外形に対応して第1の撮像レンズの像面側に突出するように形成された受け部に嵌め合わされることによって保持されるため、撮像素子の中心の光軸に対するズレ量を抑制することができる。従って、煩雑な光軸の合わせ込み作業を行うことなく、光軸に対して撮像素子の中心を構造的に精度よく合わせ込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1に係る撮像装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1から鏡枠及びフロントケースを抽出して示す斜視図である。
【図3】図1の破線部を拡大して示す拡大断面図である。
【図4】撮像素子の撮像面中心の撮像レンズの光軸に対するズレ角を模式的に示す概念図である。
【図5】実施例2に係る撮像装置の概略構成を示す断面図である。
【図6】図5の破線部を拡大して示す拡大断面図である。
【図7】実施例3に係る撮像装置の概略構成を示す断面図である。
【図8】実施例4に係る撮像装置の概略構成を示す断面図である。
【図9】図8の破線部を拡大して示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0022】
まず図1から図4を参照して、実施例1に係る撮像装置について説明する。図1は実施例1に係る撮像装置10の概略構成を示す断面図であり、図2は図1から鏡枠及びフロントケースを抽出して示す斜視図であり、図3は図1の破線部を拡大して示す拡大断面図であり、図4は光軸に対する撮像素子の中心の変位量を示す模式図である。尚、図1、図3及び図4において、下側は被写体側、上側は像面側を示している。
【0023】
撮像装置10は、撮像レンズ11,12,13を介して撮像素子14上に結像された被写体像を撮像する撮像装置であり、本実施例では特に、撮像装置10は、図不示の車両に搭載された車載カメラである。
【0024】
撮像レンズ11,12,13は、被写体像を撮像素子14に結像させるための光学レンズであり、鏡枠15によって保持固定されている。尚、実施例1では、一例として複数の撮像レンズを収容して鏡枠15に取り付けられた場合を図示したが、単体の撮像レンズから構成しても良いことは勿論であり、用途に応じてズームレンズとしてもよい。鏡枠15は撮像レンズ11,12,13を保持する関係上強度が必要であり、例えばガラスフィラーが入ったポリカーボネートなどのエンジニアリングプラスチックなどで構成されている。
【0025】
撮像レンズ11,12,13を保持する鏡枠15は、撮像装置10の外装を部分的に構成するフロントケース16に固定されている。撮像装置10の外装は、該フロントケース16が像面側から図不示のリアケースに組み合わされなり、リアケース側にて車両本体に固定されている。
【0026】
撮像素子14はCCD(Charge
Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconducter)などの固体撮像素子からなる撮像素子であり、パッケージ外装で包装されることによって内部が保護された構成を有している。このようにパッケージ外装で包装された撮像素子14は、基板17の被写体側表面に形成されたプリント回路上に半田付け(図3の符号23を参照)で実装搭載されている。本実施例では特に、撮像素子14は画素数が30万であり、画素ピッチが5μmであるCCDイメージセンサを用いている。
【0027】
このように撮像素子14を実装搭載した基板17は、フロントケース16から像面側に延在して設けられたポスト18にネジ19で固定されている。図2に示すように、フロントケース16は略正方形状の断面を有しており、その四隅に像面側に延在するように形成されたポスト18が設けられている。尚、撮像素子14の光軸方向における位置を調整するために、ポスト18とネジ19との間にワッシャなどのスペーサを介在させてもよい。
【0028】
ポスト18の光軸方向の長さは、基板17上において撮像素子14の周辺に配置された周辺部品(図不示)が、被写体側に配置された鏡枠15や撮像レンズ11(の受け部11a)に接触しないように設定される。つまり、ポスト18は、基板17の表面と鏡枠15及び撮像レンズ11(の受け部11a)との間の隙間20が、基板17上に配置された周辺部品(図不示)のサイズ(高さ)より大きくなるように設けられている。これにより、基板上17に周辺部品を効率的なレイアウトで配置することができるので、省スペース化により、撮像装置10の小型化を図ることができる。尚、この種の車載カメラに使用される基板17上に実装搭載される周辺部品のサイズ(高さ)が0.5mm程度であることを考慮すると、隙間20は0.5mm以上に設定することが好ましい。
【0029】
撮像レンズのうち最も像面側に位置する撮像レンズ11には、光軸の直交方向の両側から撮像素子14を保持するための受け部11aが設けられている。受け部11aは、撮像素子14の外形に対応して撮像レンズ11の像面側に突出するように形成されている。これにより、撮像素子14が受け部11aにはめ込み固定されることによって、撮像素子14の中心は光軸に対して所定の誤差内に収められるので、煩雑な光軸の合わせ込み作業を行うことなく、光軸に対して撮像素子14の中心を構造的に精度よく合わせ込むことができる。
【0030】
ここで、受け部11aは撮像素子14の画素ピッチの6倍未満になるように設計されている。撮像素子14は第1の撮像レンズ11の受け部11aに嵌め合いにより保持されている。そのため、受け部11aは、撮像素子14をスムーズに嵌め合い可能なように当該撮像素子14の外形より広く(即ち、余裕を持たせるように)設計される必要がある。
【0031】
一般的に、光軸に対する撮像素子の中心のズレ量が撮像素子の画素ピッチの6倍以上になると、撮像画像の乱れとなって人間に認識可能となる(より一般的には、撮像素子14の撮像面中心の第1の撮像レンズ11の光軸に対するズレ角が5度以上になると撮像画像上の乱れが人間に認識されてしまう)。ここで図4は撮像素子14の撮像面中心の第1の撮像レンズ11の光軸に対するズレ角を模式的に示す概念図である。本来、第1の撮像レンズ11の光軸と撮像素子14の撮像面中心とが一致するのが理想的であるが、現実には受け部11aによる撮像素子14の嵌め込み公差によって撮像面中心には光軸とは若干ずれた位置にある被写体(図4の実線の延長線上にあるもの)が結像する。本発明では、撮像素子14の撮像面中心の第1の撮像レンズ11の光軸に対するズレ角が5度未満になるように受け部11aを形成することによって、受け部11aへの撮像素子14のはめ込み公差の影響によって、撮像画像の乱れが認識不能なレベルにならないように抑制されている。具体的には、上述したように撮像素子14の画素ピッチは5μmであるので、受け部11aは光軸に対する撮像素子の中心のズレ量が30μm未満になるように(即ち、撮像素子14の外形より30μm未満の余裕を持たせて)設けられている。これにより、撮像素子14の撮像面中心の第1の撮像レンズ11の光軸に対するズレ角を5度未満に抑えることができるので、撮像画像には人間が認識可能な乱れは生じず、良質な撮像画像を得ることができる。尚、光軸方向における受け部11の撮像素子14とのかぶせ量21は、0.1〜0.3mmに設定されている。
【0032】
本実施例のような車載カメラなどの撮像装置では、撮像素子14の画素ピッチが比較的大きい。そのため、上述のように受け部によって構造的に撮像素子を嵌め合い保持することによって、光軸ズレを人間が認識不能なレベルに抑えることが可能である。このように、本発明は、比較的画素ピッチの大きい撮像素子が用いられる撮像装置に特に適している。
【0033】
従来、光軸に対する撮像素子14の中心の合わせ込み作業は、撮像素子が実装搭載された基板を光軸の直交方向に動かして調整し、光軸に対する撮像素子14の中心のズレ量が少なくなる位置で基板をネジ止め固定することにより行われていた。この場合、光軸に対する撮像素子14の中心のズレ量を発生させる要因として、以下のものがあった。
【0034】
まず、(i)撮像素子内部における、光電変換素子のパッケージ外装に対する中心ズレがある。撮像素子はBGA方式やリード方式のパッケージ外装にCCDイメージセンサなどの光電変換素子が封止されて構成されるが、当該要因に基づいて、通常10μm程度のズレが生じてしまう。次に、(ii)基板に撮像素子を実装搭載させる際に生じるズレが存在する。このズレは、基板表面に設けられたプリント回路に撮像素子を半田付けなどによって実装する際に生ずるものである。半田付けの場合、セルフアライメント機能によってズレは抑制されるものの、基板上へのプリント回路パターンを形成する際の精度が低いため、通常100μm程度のズレが生じてしまう。また、(iii)撮像レンズを鏡枠に組み込む際に、各撮像レンズの光軸がズレることによって生じるものがあり、通常30μm程度のズレが生じてしまう。また、(iv)撮像レンズを保持する鏡枠とフロントケースとを組み合わせる際に通常30μm程度のズレが生じてしまう。
【0035】
このように従来技術では(i)〜(iv)のズレ要因を考慮する必要があり、合計180μmの誤差が発生していた。当該誤差は、上述の合わせ込み作業を実施することによって80μm程度にまで調整可能であった。一方、本発明では、撮像レンズ11に設けられた受け部11aによって撮像素子14の光軸の直交方向における位置が規定されるため、上記(ii)乃至(iv)のズレ要因を考慮する必要がない。その結果、本発明では煩雑な光軸の合わせ込み作業を行うことなく、10μmの精度を達成することができる。
【0036】
受け部11aは、撮像レンズ11から撮像素子14側に突出するように一体的に形成されている。そのため、より少ない部品数で撮像装置10を構成可能であり、撮像装置10の小型化を図ることができる。
【0037】
従来、撮像素子14が搭載された基板17には、光軸の合わせ込み作業を行う際に基板17を光軸の直交方向に移動可能なように、ポスト18に固定するためのネジ19の径より大きい径を有するネジ穴(図不示)が設けられていた。当該ネジ穴の径は合わせ込み作業の際の移動量を考慮して、ネジ19より大きく余裕を有するように確保しておく必要があった。一方、本発明では、上述のように合わせ込み作業が不要となるため、ネジ穴はネジ19が貫通可能なサイズを有する限りにおいて小さくすることができる。その結果、基板17におけるネジ穴の占める面積を削減でき、基板17を小型化することができる。
【0038】
また、撮像レンズ11の像面側は撮像素子14によって塞がれるため、内部に異物が侵入することを抑制することもできる。従来、内部への異物侵入を防止するために、撮像レンズの像面側には発泡体や樹脂を挟み込みこむことによって異物の侵入を防止する必要があった。本発明では、撮像レンズ11の像面側は撮像素子14によって塞ぐ構造にすることで、このような発泡体や樹脂を設ける必要がなく、部品数の削減に貢献している。
【実施例2】
【0039】
次に図5及び図6を参照して、実施例2に係る撮像装置について説明する。図5は実施例2に係る撮像装置の概略構成を示す断面図であり、図6は図5の破線部を拡大して示す拡大断面図である。
【0040】
この場合、撮像素子14を保持する撮像レンズ11の受け部11aには、撮像素子14を被写体側から支持するように段差状に形成された支持面11bが設けられている。これにより、被写体像の焦点調整をするために撮像素子14の位置を光軸方向に移動調整した場合であっても、基板17上に配置された撮像素子14の周辺部品が不意に撮像レンズ11の受け部11aや鏡枠15に接触して損傷することを防止できる。また、焦点調整をするために撮像素子14の位置を光軸方向に移動調整する際に、支持面11bを移動距離を算出するための基準面として用いることができるため、焦点調整を容易に行うことが可能となる。
【実施例3】
【0041】
次に図7を参照して、実施例3に係る撮像装置について説明する。図7は実施例3に係る撮像装置の概略構成を示す断面図である。
【0042】
この場合、撮像レンズ11によって基板17上に実装搭載された撮像素子14が保持されている。撮像素子14は基板を介してフロントケース16に固定されているため、撮像レンズ11は実質的にフロントケース16に固定されている。一方、撮像レンズ12,13は鏡枠15によって一体的に保持されている。本実施例では特に、フロントケース16と鏡枠15とは、螺合機構22を介して光軸方向に沿って移動可能に構成されている。螺合機構22は、フロントケース16の内周と鏡枠15の外周上に、光軸に沿って螺旋状に形成されたネジ山を含んでなり、フロントケース16と鏡枠15とを相対的に回転させることによって、光軸方向に沿って移動可能に構成されている。これにより、撮像素子14を撮像レンズ11に設けた受け部11aによって保持することで煩雑な光軸の合わせ込み作業を不要としつつ、螺合機構22によって撮像レンズ11に対して撮像レンズ12,13を光軸方向に移動することによって焦点調整を行うことができる。
【実施例4】
【0043】
次に図8及び図9を参照して、実施例4に係る撮像装置について説明する。図8は実施例4に係る撮像装置の概略構成を示す断面図であり、図9は図8の破線部を拡大して示す拡大断面図である。
【0044】
上記各実施例において光軸方向における焦点調整が済んだ後は、撮像素子14と受け部11a(支持部11bを含む)とを接着剤24により固定してもよい。一般的には、実施例1において示したように、撮像素子14は当該撮像素子14を搭載した基板17をポスト18にネジ19で固定されるが、この場合、このようなポストやネジを用いる必要がない。そのため、撮像装置10の構成部品数を削減でき、小型化に適した撮像装置を実現できる。
【0045】
また、上述したように撮像素子14は基板17上に半田付けにより実装搭載されているが、当該撮像素子14と基板17との間に生じる隙間に接着剤24を介在させることによって、実装強度を補強してもよい。例えば、車載カメラとして用いられる撮像装置10では、外部から100Gの衝撃を受けた場合にも耐えられるように設計する必要があるが、このように撮像素子14と基板17との間を接着剤で補強することによって、ポストやネジを用いることなく、外部からの衝撃に対して十分な耐久性を備えることも可能である。
【0046】
また、従来、基板17を固定するためのポスト18及びネジ部19の結合部に応力緩和等が発生し、撮像素子14と撮像レンズとの位置関係にズレが生じてしまうという問題があった。本態様では、撮像素子14が受け部11aによって保持されることによって、撮像素子14が撮像レンズ11に固定されているので、このような応力緩和に起因するズレの影響を受けにくくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、撮像レンズによって結像された被写体像を、光軸上に配置された撮像素子を用いて撮像する撮像装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
10 撮像装置
11,12,13 撮像レンズ
14 撮像素子
15 鏡枠
16 フロントケース
17 基板
18 ポスト
19 ネジ
22 螺合機構
24 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の撮像レンズと、該第1の撮像レンズを保持する第1のレンズホルダと、前記第1の撮像レンズを介して結像される被写体像を撮像する撮像素子とを備えた撮像装置において、
前記撮像素子は、前記撮像素子の外形に対応して前記第1の撮像レンズの像面側に突出するように形成された受け部により嵌め合わされていることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像素子及びその周辺部品を搭載する基板を更に備え、
光軸方向における前記撮像素子と前記受け部との重なり長が、前記基板上に搭載された周辺部品の該基板表面に対する高さより短くなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記受け部は、前記撮像素子を被写体側から支持するように段差状に形成された支持面を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像素子は前記受け部に接着材により固定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記受け部は、前記撮像素子の撮像面中心の前記第1の撮像レンズの光軸に対するズレ角が5度未満になるように前記撮像素子を保持することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1の撮像レンズより被写体側に設けられた第2の撮像レンズと、
前記第2の撮像レンズを保持する第2のレンズホルダと
を更に備え、
前記第2のレンズホルダは、光軸方向に移動可能なように螺合機構を介して前記第1のレンズホルダに固定されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記螺合機構は、前記第1のレンズホルダ及び前記第2のレンズホルダの互いに対向する面上に光軸に沿って螺旋状に形成されたネジ山を含んでなり、
前記第1のレンズホルダ及び前記第2のレンズホルダを相対的に回転させることによって、光軸方向に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−74934(P2012−74934A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218270(P2010−218270)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】