説明

撮像装置

【課題】顔検出の結果を考慮したいときに、閃光撮像時の発光量を顔に適した発光量になるように制御する。
【解決手段】カメラ1は、測光センサ36を有し結像光学系21による被写体像を撮像する。また、カメラ1は閃光装置41を有し、ボディ側制御装置38の制御により閃光撮像前の予備発光と閃光撮像時の本発光を行う。カメラ1は、第1調光モードと第2調光モードとを有し、表示部39に表示されたメニュー画面を介して操作部材40を利用してその調光モードを設定することができる。第1モードでは、測光値に基づいて、主要被写体が適正露出になるように本発光時の第1の発光量を算出する。第2モードでは、測光値に基づいて、主要被写体と背景の明るさのバランスを考慮して本発光時の第2の発光量を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スピードライトなどの閃光装置の発光量を制御して閃光撮像時の露出を適正にする発明が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−103367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
顔検出機能を有する撮像装置において閃光装置の発光量を制御するとき、検出された顔にできるだけ適した発光量になるように制御することが考えられている。しかし、増灯方式のように、スピードライトを自由に配置して様々な角度から照射できる場合、たとえば、被写体の横から照射する場合、顔領域全体からの反射光量を受講できないために顔領域に重みをおいった発光量演算の精度が低下してしまうという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による撮像装置は、結像光学系による被写体像を撮像する撮像手段と、閃光撮像前の予備発光と閃光撮像時の本発光を行う第1の閃光手段と、予備発光時に撮像手段が撮像した被写体像を測光し、測光値を算出する測光手段と、撮像手段が撮像した被写体像から顔画像を検出する顔検出手段と、測光値に基づいて、主要被写体が適正露出になるように本発光時の第1の発光量を制御する第1発光量制御手段と、測光値と、顔検出手段により検出された顔画像とに基づいて、主要被写体と背景の明るさのバランスを考慮して本発光時の第2の発光量を制御する第2発光量制御手段と、本発光時の発光量を制御する複数の調光モードの中から調光モードを設定する設定手段と、設定手段によって設定された調光モードに応じて、本発光時の発光量の制御を第1発光量制御手段と第2発光量制御手段とで切り替える切替手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、顔検出の結果を考慮したいときに、閃光撮像時の発光量を顔に適した発光量になるように制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施の形態による撮像装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】本発光時の発光量を算出するためのフローチャートの一例である。
【図3】顔検出結果の使用判定の判定結果の一例を示す図である。
【図4】顔検出処理に関するフローチャートの一例である。
【図5】顔領域の検出結果の一例である。
【図6】顔領域までの距離について説明するための図の一例である。
【図7】顔領域のサイズについて説明するための図の一例である。
【図8】顔領域選択処理に関するフローチャートの一例である。
【図9】顔領域選択処理に関するフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本願発明の一実施の形態による測光装置を備える撮像装置について、その一構成例を例示するブロック図である。図1に例示する撮像装置は、デジタル一眼レフカメラであって、交換レンズ2とカメラボディ3とを備える。カメラ1の交換レンズ2は不図示のマウント部によりカメラボディ3に交換可能に装着される。図1にカメラ1とともに図示されているリモート閃光装置5は、カメラ1により制御される外付けのスピードライトである。なお、図1にはリモート閃光装置5が一つだけ図示されているが、リモート閃光装置5は複数存在してもよい。
【0009】
交換レンズ2は、フォーカシング用レンズやズーミング用レンズを含む結像光学系21と、絞り22と、レンズ側制御装置23とを備える。レンズ側制御装置23は、CPUやRAM、ROMなどを有する。レンズ側制御装置23は、結像光学系21や絞り22の駆動制御や状態検出などの処理を行う。
【0010】
カメラボディ3は、クイックリターンミラー30とシャッタ31と撮像素子32とファインダスクリーン33とペンタプリズム34と再結像光学系35と測光センサ36と接眼レンズ37とボディ側制御装置38と表示部39と操作部材40と記録媒体41とマスタ閃光装置42とを備える。
【0011】
被写体からの光束は、結像光学系21を介してカメラボディ3へ入射される。クイックリターンミラー30が図示位置にあるときは、カメラボディ3へ入射した被写体光束は、クイックリターンミラー30に反射され、ファインダスクリーン33の拡散面に結像する。ファインダスクリーン33を透過した光束は、ペンタプリズム34に入射する。ペンタプリズム34にファインダ光学系光軸341に沿って入射した被写体光束は、ペンタプリズム34により接眼レンズ37へ導かれる。ペンタプリズム34に測光光学系光軸342に沿って入射した被写体光束は、ペンタプリズム34により再結像光学系35へ導かれる。再結像光学系35は、再結像レンズを有し、測光光学系光軸342に沿って入射した被写体光束を測光センサ36の受光面36aに再結像させる。クイックリターンミラー30が退避状態にありは、シャッタ31が開放状態にあるときはカメラボディ3へ入射した被写体光束は撮像素子32へ導かれる。
【0012】
撮像素子32および測光センサ36は、それらの受光面に二次元状に画素が配列されている。各画素は、赤(R)、緑(G)、または青(B)のカラーフィルタを有しており、ベイヤ配列に基づいて受光面に配列されている。各画素は、被写体光束を受光すると、電荷が蓄積され、蓄積された電荷はボディ側制御装置38によりカラー画像信号として読み出される。
【0013】
ボディ側制御装置38はCPUやRAM、ROMなどを有し、カメラボディ3の各部位を制御して顔検出処理などの各種処理を実行する。表示部39は、液晶モニタであって、各種メニュー画面や撮像した画像の再生表示を行う。操作部材40は、レリーズスイッチや電源スイッチ、ファンクションスイッチなどである。記録媒体41は、メモリーカードなどの着脱可能な記録媒体であって、撮像素子32により撮像された被写体像に関する画像などを記録する。
【0014】
マスタ閃光装置42は、閃光発光器421と、閃光発光器421を制御する発光制御部422と、通信部423とを有している。リモート閃光装置5は、閃光発光器51と、閃光発光器51を制御する発光制御部52と、通信部53とを備えている。通信部423と通信部53とは、無線通信を行うことができる。
【0015】
ボディ側制御装置38は、発光制御部422および発光制御部52を介して閃光発光器421および閃光発光器51を制御し、閃光撮像前の予備発光と閃光撮像時の本発光とを行う。ボディ側制御装置38が行う閃光撮像には、マスタ閃光装置42だけで予備発光および本発光を行う一灯方式と、マスタ閃光装置42に加えてリモート閃光装置5も発光させて予備発光および本発光を行う増灯方式とが存在する。ボディ側制御装置38は、予備発光時の被写体からの反射光を測光センサ36で受光し、その反射光量に基づいて本発光時の発光量を制御する。
【0016】
ボディ側制御装置38は、予備発光時の測光値(反射光量)に基づいて本発光時の発光量を制御する調光モードを少なくとも三つ備える。調光モードは、操作部材40などを介して設定することができる。一つ目の調光モード(第1調光モードと称する)では、ボディ側制御装置38は、予備発光時の測光値に基づいて、主要被写体が適正露出になるように本発光の発光量を制御する。
【0017】
二つ目の調光モード(第2調光モードと称する)では、ボディ側制御装置38は、主要被写体と背景の明るさのバランスを考慮して本発光の発光量を制御する。たとえば、第2調光モードでは、主要被写体と背景の明るさのバランスをとるため、シャッタ31のシャッタスピードは第1調光モードよりも遅くなる。そして、スローシャッタにしたことにより主要被写体が過度に明るく撮像されることを防止するため本発光の発光量を第1調光モードよりも小さい値に補正される。
【0018】
また、第2調光モードにおいて、顔検出処理により顔領域が検出されている場合は、顔検出処理により検出される顔領域を考慮して本発光の発光量を補正する三つ目の調光モード(第3調光モードと称する)へ移行することができる。第3調光モードでは、第2調光モードにおける本発光時の発光量を、顔検出処理により検出される顔領域を重視したバランスになるように補正することができる。この補正は、対象の顔領域のサイズ(後述)によって補正量が変化する。顔領域が大きいときの補正量は顔領域が小さいときより補正量が大きい。
【0019】
顔検出処理により顔領域が検出されていないとき、第1調光モードと第2調光モードとのいずれかを利用するかは、表示部39に表示されたメニュー画面と操作部材40とを介してユーザが選択することができる。また、顔検出処理により顔領域が検出されており、第3調光モードに移行できるときは第3調光モードへ移行することについても、表示部39に表示されたメニュー画面と操作部材40とを介してユーザが選択できることにしてもよい。
【0020】
図2は、ボディ側制御装置38が本発光時の発光量を算出するために実行する発光量算出処理に関するフローチャートである。ステップS100では、ボディ側制御装置38は、測光センサ36の受光面36aに再結像した被写体像に基づいて、後述する顔検出処理を実行する。これにより、測光センサ36により撮像された被写体像の中から顔画像がある顔領域を検出し、さらにはその顔領域に関する各種情報を得る。
【0021】
ステップS200では、ボディ側制御装置38は、操作部材40に含まれるレリーズスイッチ等を介して、ユーザが撮像指示を行ったか否かを判定する。ボディ側制御装置38は、ユーザが撮像指示を行った場合は処理をステップS300に進め、ユーザが撮像指示を行っていない場合は処理をステップS100に進める。
【0022】
ステップS300では、ボディ側制御装置38は、顔検出結果を使用するか否かを判定する。たとえば、ボディ側制御装置38は、カメラ1の閃光撮像方式(一灯方式または増灯方式)と、ユーザにより選択された調光モード(第1調光モードや第2調光モード)とに基づいて、図3に例示するようなルックアップテーブルを参照して、顔検出結果を使用するか否かを判定する。ボディ側制御装置38は、顔検出結果を使用するときは処理をステップS400に進め、顔検出結果を使用しないときは処理をステップS900に進める。
【0023】
図3は、ボディ側制御装置38が図2のステップS300の判定のために参照するルックアップテーブルの一例である。図3に例示されるルックアップテーブル300は、ボディ側制御装置38のROMなどに記憶されており、2×2で分割された四つのセル301a〜301dを有する。ルックアップテーブル300の行は、カメラ1の調光モードが第1調光モードおよび第2調光モードのいずれであるかで分類している。そして、ルックアップテーブル300の列は、閃光撮像方式が一灯方式および増灯方式のいずれであるかで分類している。
【0024】
(a) カメラ1が第1調光モードかつ一灯方式の場合、ボディ側制御装置38はステップS300においてセル301aを参照し、顔検出結果を使用しないと判定される。
(b) カメラ1が第1調光モードかつ増灯方式の場合、ボディ側制御装置38はステップS300においてセル301bを参照し、顔検出結果を使用しないと判定される。
(c) カメラ1が第2調光モードかつ一灯方式の場合、ボディ側制御装置38はステップS300においてセル301cを参照し、顔検出結果を使用すると判定される。顔検出結果を使用すると判定されることにより、第2調光モードのカメラ1は第3調光モードへ移行可能な状態となる。
(d) カメラ1が第2調光モードかつ増灯方式の場合、ボディ側制御装置38はステップS300においてセル301dを参照し、顔検出結果を使用しないと判定される。
【0025】
図2のステップS400では、ボディ側制御装置38は、ステップS100において顔領域が検出されたか否かを判定する。顔領域が検出されている場合は、ボディ側制御装置38は第3調光モードへ移行することを選択し、処理をステップS500へ進める。一方、顔領域が検出されていない場合は、ボディ側制御装置38は第3調光モードへ移行せず第2調光モードとして処理を進めることを選択し、処理をステップS900へ進める。
【0026】
図2のステップS500では、ボディ側制御装置38は、予備発光を行い、ステップS100で検出された各顔領域を含む被写体からの反射光量を測定する。ステップS600では、ボディ側制御装置38は、ステップS100で検出された各顔領域について、モニタ測光値RMKaoを算出する。たとえば、定常光下における顔領域からの反射光量を測定し、ステップS500で測定した予備発光時の顔領域からの反射光量から定常光下での反射光量を減ずることにより算出する。
【0027】
ステップS700では、ボディ側制御装置38は、後述する顔領域選択処理を実行し、本発光量の演算に使用する顔領域を一つ選択する。ステップS800では、ボディ側制御装置38は、ステップS700で選択した顔領域を考慮して本発光の発光量を制御する。すなわち、第2調光モードにおける本発光時の発光量を、顔検出処理により検出される顔領域を重視したバランスになるように補正した発光量を算出する。
【0028】
ステップS900では、ボディ側制御装置38は、予備発光を行い被写体からの反射光量を測定する。そして、ステップS1000では、ボディ側制御装置38は、ステップS900で測定された反射光量に基づいて本発光時の発光量を算出する。調光モードが第1調光モードのときは被写体像に含まれる主要被写体が適正露出になるように本発光の発光量を算出する。調光モードが第2調光モードのときは主要被写体と背景の明るさのバランスを考慮して本発光の発光量を算出する。
【0029】
図4は、図2のステップS100で実行される顔検出処理に関するフローチャートの一例である。図4のステップS110では、ボディ側制御装置38は、測光センサ36の受光面36aに再結像した被写体像の中から顔領域を検出する。顔領域が検出された場合、ボディ側制御装置38は、顔領域が検出された旨を表すフラグをセットしてもよい。このようにすることで、図2のステップS400の処理を簡略化することができる。
【0030】
ステップS120では、ボディ側制御装置38は、ステップS110で検出された顔領域について、それぞれを識別するためのIDである顔番号を付与する。ステップS130では、ボディ側制御装置38は、ステップS110で検出した顔領域の位置を算出する。顔領域の位置は、たとえば各顔領域の中心位置などでよい。
【0031】
図5は、顔領域の検出結果の一例を示す図である。図5には、測光センサ36の受光面36aに再結像した被写体像360の一例が図示されている。被写体像360には、顔領域361a〜361cが含まれる。顔領域361aは被写体像360の左下端側に存し、顔領域361bは被写体像360の中央下側に存し、顔領域361cは被写体像360の右上端側に存する。顔領域361aおよび顔領域361cは、顔領域361bよりも相対的に大きい。
【0032】
図5に例示する被写体像の場合では、図4のステップS110において顔領域361a〜361cが検出される。ステップS120では、顔領域361aに顔番号「0」を付与し、顔領域361bに顔番号「1」を付与し、顔領域361cに顔番号「2」を付与する。そして、ステップS130では、顔領域361a〜361cの中心位置362a〜362cが算出される。
【0033】
図4のステップS140では、ボディ側制御装置38は、被写体像360が再結像される測光センサ36の受光面36aの画面中心からステップS130で検出した顔領域の位置までの距離DistKaoを算出する。
【0034】
図6は、受光面36aの画面中心からステップS130で検出した顔領域の位置までの距離DistKaoについて説明するための図である。図6には、測光センサ36の受光面36aの画面中心の位置に十字型の中心マークCPが表示されている。図6には、この中心マークCPが示す画面中心から各顔領域361a〜361cの中心位置362a〜362cまでの距離DistKao0〜DistKao2が矢印で表示されている。図6の例では、距離DistKao1は距離DistKao0および距離DistKao2よりも小さい。距離DistKao0と距離DistKao2とは、略等しい。
【0035】
図4のステップS150では、ボディ側制御装置38は、ステップS110で検出された顔領域について、その顔領域のサイズKaoSizeを算出する。ボディ側制御装置38は、たとえばステップS110で検出された顔領域についてその顔領域の形状を近似する正方形を描画し、その正方形の一辺の長さを顔領域のサイズKaoSizeとして算出する。
【0036】
図7は、顔領域のサイズKaoSizeについて説明するための図である。図7には、顔領域361a〜361cの形状を近似する正方形363a〜363cが例示されている。正方形363a〜363cの一辺は、顔領域361a〜361cのそれぞれに関する縦横の寸法のうち短い方の寸法に合わせられている。図7では、正方形363aの一辺がKaoSize0であり、正方形363bの一辺がKaoSize1であり、正方形363cの一辺がKaoSize2である。
【0037】
図4のステップS150において、ボディ側制御装置38は、各顔領域のサイズを算出したら、図4の処理を終了する。図4の処理において検出された顔領域と、その顔領域について算出された情報(DistKaoやKaoSizeなど)は、ボディ側制御装置38のRAMなどに記憶され、図2のステップS200以降の処理において参照される。
【0038】
図8および図9は、図2のステップS700で実行される顔領域選択処理に関するフローチャートの一例である。図8のステップS710では、ボディ側制御装置38は、図2のステップS100で検出された顔領域のうち、図2のステップS600で算出した顔領域のモニタ測光値RMKaoが所定の閾値ThVal以上の顔領域について、その顔領域のサイズKaoSizeの最大値である最大サイズKaoSizeMaxを算出する。ここで、所定の閾値ThValは、ノイズにより誤検出した顔を除去するための閾値であって、設計段階において予め設定されている。
【0039】
図8のステップS720では、ボディ側制御装置38は、図2のステップS100で検出された顔領域のうち、図2のステップS600で算出した顔領域のモニタ測光値RMKaoが所定の閾値ThVal以上であり、かつ、顔領域のサイズKaoSizeが図8のステップS710で算出された最大サイズKaoSizeMaxと等しい顔領域を検出し、その個数KaoSizeMaxCntを算出する。
【0040】
図8のステップS730では、ボディ側制御装置38は、ステップS720で算出された個数KaoSizeMaxCntが1および2以上のいずれであるかを判定する。ボディ側制御装置38は、個数KaoSizeMaxCntが1の場合は処理をステップS740に進め、個数KaoSizeMaxCntが2以上の場合は処理を図9のステップS750に進める。
【0041】
図8のステップS740では、ボディ側制御装置38は、ステップS710やステップS720で検出された顔領域のサイズが最大値KaoSizeMaxの顔領域を一つ選択する。そして、選択された顔領域を図2のステップS700の顔領域選択処理の処理結果として出力する。
【0042】
図9のステップS750では、ボディ側制御装置38は、図2のステップS100で検出された顔領域のうち、図2のステップS600で算出した顔領域のモニタ測光値RMKaoが所定の閾値ThVal以上の顔領域について、受光面36aの画面中心から各顔領域までの距離DistKaoの最小値である最小距離DistKaoMinを算出する。
【0043】
図9のステップS760では、ボディ側制御装置38は、図2のステップS100で検出された顔領域のうち、図2のステップS600で算出した顔領域のモニタ測光値RMKaoが所定の閾値ThVal以上であり、かつ、距離DistKaoが図9のステップS750で算出された最小距離DistKaoMinと等しい顔領域を検出し、その個数DistKaoMinCntを算出する。
【0044】
図9のステップS770では、ボディ側制御装置38は、ステップS760で算出された個数DistKaoMinCntが1および2以上のいずれであるかを判定する。ボディ側制御装置38は、個数DistKaoMinCntが1の場合は処理をステップS780に進め、個数DistKaoMinCntが2以上の場合は処理をステップS790に進める。
【0045】
図9のステップS780では、ボディ側制御装置38は、ステップS750やステップS760で検出された距離DistKaoが最小距離DistKaoMinの顔領域を一つ選択する。そして、選択された顔領域を図2のステップS700の顔領域選択処理の処理結果として出力する。
【0046】
図9のステップS790では、ボディ側制御装置38は、図4のステップS120で付与された顔番号が最小の顔番号を選択する。そして、選択された顔領域を図2のステップS600の顔領域選択処理の処理結果として出力する。
【0047】
以上で説明した実施の形態によれば、以下の作用効果が得られる。
本発明の一実施の形態によるカメラ1は、測光センサ36を有し結像光学系21による被写体像を撮像する。また、マスタ閃光装置42を有し、ボディ側制御装置38の制御により閃光撮像前の予備発光と閃光撮像時の本発光を行う。また、測光センサ36により予備発光時に被写体像を測光し、測光値を算出する。ボディ側制御装置38は、測光センサ36により撮像された被写体像から顔画像を検出する顔検出処理を実行する(ステップS100)。カメラ1は、第1調光モードと第2調光モードという調光モードを有し、表示部39に表示されたメニュー画面を介して操作部材40を利用してその調光モードを設定することができる。第1モードが選択されたときは、測光値に基づいて、主要被写体が適正露出になるように本発光時の第1の発光量を算出する(ステップS1000)。第2モードが選択されたときは、測光値に基づいて、主要被写体と背景の明るさのバランスを考慮して本発光時の第2の発光量を算出する(ステップS1000)。このようにすることで、顔検出の結果を考慮したいときに、閃光撮像時の発光量を顔に適した発光量になるように制御することができる。
【0048】
以上で説明した実施形態は、以下のように変形して実施できる。
図4のステップS150における顔領域のサイズの算出において、顔領域のサイズを顔領域の形状を近似する正方形の一辺として算出した。しかし、顔領域を長方形で近似し、その長辺と短辺との二辺を顔領域のサイズとして算出することにしてもよい。
【0049】
図8および図9に例示した顔領域選択処理では、顔領域のサイズに基づく顔領域の選択を行った後に顔領域までの距離に基づく顔領域の選択を行ったが、顔領域までの距離に基づく顔領域の選択を行った後に顔領域のサイズに基づく顔領域の選択を行うことにしてもよい。また、顔領域のモニタ測光値RMKaoが所定の閾値ThVal以上の顔領域を検出する処理をステップS710よりも前に実行し、その検出した顔領域についてのみ図8および図9に記載した処理を実行することにしてもよい。ステップS750以降の顔領域までの距離に基づく顔領域の選択については、図2のステップS100で検出された顔領域ではなく、ステップS720において検出される顔領域のサイズKaoSizeが最大サイズKaoSizeMaxの顔領域の中から顔領域を選択することにしてもよい。また、図9のS790において、顔領域のサイズKaoSizeと顔領域までの距離DistKaoとにより顔領域を一に選択できないとき、顔番号に基づいて選択することにしたが、ランダムに顔領域を選択することにしてもよいし、複数の顔領域を選択することにしてもよい。
【0050】
図2のステップS300において、ルックアップテーブル300を参照することにしたが、それ以外の方法でもよい。たとえば、調光モードが第2調光モードか否かについての判定と、閃光撮像の方式が一灯方式か否かについての判定とを、ボディ側制御装置38が実行し、それらの判定結果が共に肯定判定されたときのみ顔検出結果を使用することにしてもよい。
【0051】
以上で説明した実施の形態および各変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【符号の説明】
【0052】
1 カメラ
2 交換レンズ
3 カメラボディ
5 リモート閃光装置
21 結像光学系
22 絞り
23 レンズ側制御装置
30 クイックリターンミラー
31 シャッタ
32 撮像素子
33 ファインダスクリーン
34 ペンタプリズム
35 再結像光学系
36 測光センサ
36a 受光面
37 接眼レンズ
38 ボディ側制御装置
39 表示部
40 操作部材
41 記録媒体
42 マスタ閃光装置
300 ルックアップテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
結像光学系による被写体像を撮像する撮像手段と、
閃光撮像前の予備発光と閃光撮像時の本発光を行う第1の閃光手段と、
前記予備発光時に前記撮像手段が撮像した被写体像を測光し、測光値を算出する測光手段と、
前記撮像手段が撮像した被写体像から顔画像を検出する顔検出手段と、
前記測光値に基づいて、主要被写体が適正露出になるように前記本発光時の第1の発光量を制御する第1発光量制御手段と、
前記測光値と、前記顔検出手段により検出された顔画像とに基づいて、前記主要被写体と背景の明るさのバランスを考慮して前記本発光時の第2の発光量を制御する第2発光量制御手段と、
本発光時の発光量を制御する複数の調光モードの中から調光モードを設定する設定手段と、
前記設定手段によって設定された調光モードに応じて、本発光時の発光量の制御を前記第1発光量制御手段と前記第2発光量制御手段とで切り替える切替手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
閃光撮像前の予備発光と閃光撮像時の本発光を行う第2の閃光手段と、
前記第2の閃光手段を発光させる場合、前記第2発光量制御手段は、前記顔検出手段が検出した顔画像を使用せず、前記測光値に基づいて、前記主要被写体と背景の明るさのバランスを考慮して前記本発光時の前記第2の発光量を制御することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像装置において、
前記結像光学系による被写体像を撮像し、記録用の画像を生成する第2の撮像手段と、
前記記録用の画像を記録する記録手段と、
前記結像光学系を通過した被写体像を、前記撮像手段と前記第2の撮像手段とに導く導光手段とをさらに備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
結像光学系による被写体像を撮像する撮像手段と、
閃光撮像前の予備発光と閃光撮像時の本発光を行う第1の閃光手段と、
前記予備発光時に前記撮像手段が撮像した被写体像を測光し、測光値を算出する測光手段と、
前記撮像手段が撮像した被写体像から顔画像を検出する顔検出手段と、
第1モードと第2モードと第3モードとを選択する選択手段と、
前記選択手段により前記第1モードが選択されたとき、前記測光値に基づいて、主要被写体が適正露出になるように前記本発光時の第1の発光量を算出する第1算出手段と、
前記選択手段により前記第2モードが選択されたとき、前記測光値に基づいて、前記主要被写体と背景の明るさのバランスを考慮して前記本発光時の第2の発光量を算出する第2算出手段と、
前記選択手段により前記第3モードが選択されたとき、前記顔検出手段が検出した顔画像に基づいて、前記第2の発光量を補正して第3の発光量を算出する補正手段と、
を備え、
前記第1の閃光手段は、前記選択手段により前記第1モードが選択されたときは前記第1の発光量に基づいて本発光を行い、前記選択手段により前記第2モードが選択されたときは前記第2の発光量に基づいて本発光を行い、前記選択手段により前記第3モードが選択されたときは前記第3の発光量に基づいて本発光を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置において、
閃光撮像前の予備発光と閃光撮像時の本発光を行う第2の閃光手段をさらに備え、
前記補正手段は、前記第2の閃光手段を発光させる場合は、前記選択手段により前記第3モードが選択されたときであっても前記第2の発光量の補正を行わず、
前記第1の閃光手段は、前記第2の閃光手段を発光させる場合は、前記選択手段により前記第3モードが選択されたときであっても前記第2の発光量に基づいて本発光を行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の撮像装置において、
前記結像光学系による被写体像を撮像し、記録用の画像を生成する第2の撮像手段と、
前記記録用の画像を記録する記録手段と、
前記結像光学系を通過した被写体像を、前記撮像手段と前記第2の撮像手段とに導く導光手段とをさらに備えることを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−46340(P2013−46340A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184575(P2011−184575)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】