説明

撮像装置

【課題】撮影環境に応じて相関多重サンプリング処理のサンプリング回数を可変すること。
【解決手段】温度センサ11は画素アレイ部51の温度を測定し、サンプリング回数決定部121は測定温度に反比例して温度サンプリング回数を設定する。出力レベル算出部21は前回のフレームで出力された画像信号が示す画像の明るさを算出し、この明るさに反比例して明るさサンプリング回数を設定してサンプリング回数決定部121へ出力する。そして、サンプリング回数決定部121は温度サンプリング回数と明るさサンプリング回数を比較し、温度サンプリング回数が明るさサンプリング回数以下であるとき、温度サンプリング回数をサンプリング回数Mに設定してカラムADCアレイ部53へ出力する。一方、温度サンプリング回数が明るさサンプリング回数より大きいとき、明るさサンプリング回数をサンプリング回数Mに設定してカラムADCアレイ部53へ出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り返し積分技術を利用した相関多重サンプリング回路とカラムADC回路を備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の画素がマトリクス状に配列された画素部と、画素部の各列に対応して設けられ、各画素が出力した画素信号を読み出してデジタルの画像信号を出力するカラムADC(Analog to Digital Converter)を備えるCMOSイメージセンサが知られている。このCMOSイメージセンサを用いた撮像装置においては、近年の高画質化の要請に伴い、イメージセンサが取得した画像信号の輝度範囲、即ちダイナミックレンジの低下防止が1つの大きなテーマとなっている。そこで、特許文献1〜3にはダイナミックレンジの拡大を図った技術が記載されている。
【0003】
また、折り返し積分技術(Folding Integration Technique)を用いた列並列CMS(Correlated Multiple Sampling:相関多重サンプリング)回路をカラムADCに用いることによって、ダイナミックレンジ低下を防止する方法が知られている。言い換えると、画素が出力したリセット信号とシグナル信号を、折り返し積分技術を用いてそれぞれ複数回サンプリングして積分し、その差分を画像信号とすることによって、画像信号のSN比を良くする(ダイナミックレンジを広げる)方法である。
【0004】
図7は、従来の固体撮像装置5の構成を示したブロック図である。固体撮像装置5には外部からSYSCLK(例えば、54MHzのクロック信号)が入力される。PLL(Phase Locked Loop)回路55はこのSYSCLKを取り込み、逓倍したクロック信号を出力する。タイミングジェネレータ(TG)56はPLL回路55にて逓倍されたクロック信号を取り込み、固体撮像装置5の構成要素の動作に必要なタイミング信号を生成する。またTG56は、タイミング信号を制御するレジスタを内部に有し、そのレジスタは外部から入力されるレジスタ制御信号によって読み書き可能となっている。
【0005】
ローデコーダ52は、垂直方向の走査回路と画素アレイ部51を駆動するドライバ回路から構成されており、画素制御信号を生成して画素アレイ部51に出力する。画素アレイ部51は画素GCがマトリクス状に配置されており、画素GC内のFETがローデコーダ52によって行毎に駆動され、その出力線は列方向に共通に接続され、カラムADCアレイ部53に接続されている。
【0006】
カラムADCアレイ部53は、各列に折り返し積分技術を用いたCMS回路31が形成され、画素アレイ部51からの画素信号を相関多重サンプリング処理を用いてデジタル信号に変換する。カラムデコーダ54は水平方向の走査回路であり、TG56から出力されるタイミング信号に従ってCMS回路31を順次選択する。
【0007】
カラムデコーダ54によって選択されたCMS回路31は、変換後のデジタル信号を画像信号として全列共通の水平信号線に出力する。センスアンプ58は、水平信号線に出力された各列の画像信号を増幅して出力する。シリアライザ60は、センスアンプ58が出力したパラレルの画像信号をシリアライズし、LVDS信号の規格に乗せて外部に出力する。以上の構成要素は1チップに集積化されており、固体撮像素子5を構成している。
【0008】
図8は、画素アレイ部51を構成する画素GCの一例を示した回路図である。1画素は光電変換素子(PD)、転送トランジスタ(TX)、リセットトランジスタ(RST)、増幅トランジスタ(SF)及び行選択トランジスタ(SEL)を備える。FD(Floating Diffusion)は浮遊拡散層であり、PDが蓄積した電荷を電圧に変換する部分である。FDによって電圧に変換されたPD電荷は、SFとSELを介して垂直信号線L_1に出力する。
【0009】
図9は、画素GCの動作を示すタイミングチャートである。時刻t0は、前フレームの露光期間の終了を示している。また、露光期間中はφRSTをハイレベルにして、FDを常時PVDDでリセットし、PDから溢れ出る電荷を排出している。
【0010】
時刻t1において、φRSTをローレベル、φVSENをハイレベル、φTXをローレベルにすることで、FDのリセットレベルがSF及びSELを介してCMS回路31へ画素リセット信号として出力される。
【0011】
時刻t2において、φRST及びφVSENをローレベル、φTXをハイレベルにすることで、PDに蓄積された電荷がFDへ転送される。そして時刻t3において、φRST及びφTXをローレベル、φVSENをハイレベルにすることで、FDに転送された信号レベルがSF及びSELを介してCMS回路31へ画素シグナル信号として出力される。CMS回路31では、時刻t1で出力された画素リセット信号(ノイズ)と時刻t2で出力された画素シグナル信号(ノイズ+シグナル)の差分を取って画像信号を得ている。
【0012】
図10は、折り返し積分技術を用いたCMS回路31の回路図であり、図11はそのタイミングチャートである。図10と図11を用いてCMS回路31の回路動作について説明する。
【0013】
まず、画素GCのRSTをオンにしてFDをリセットすると共に、φRをオンにして積分器91をリセットする。次に、RSTをオフにし、SELをオンにすることでVFDの電圧レベルが画素リセット信号としてCMS回路31に出力される。続けてφ1をオンにしてコンデンサC1に画素リセット信号を取り込み、φ2をオンにしてコンデンサC1とコンデンサC2とを接続してコンデンサC1が取り込んだ画素リセット信号をコンデンサC2に転送する。
【0014】
この時、積分器91の出力VSCが変化するが、積分器91の出力に比較器92を接続することで、閾値VとVSCが常に比較される構成とする。VSCがVより大きい場合、VSCの出力飽和を防ぐために、比較器92の後段に接続されたLOGIC93がφD1をオンにする。これにより、コンデンサC1の参照電圧がVREFHに切り替えられる。つまり、積分器91の入力が大きく引き下げられ、コンデンサC1からコンデンサC2に信号転送が行われてもVSCのプラス側への飽和を防ぐことができる。
【0015】
一方、VSCがVより小さい場合、比較器92の後段に接続されたLOGIC93がφD2をオンにする。これにより、コンデンサC1の参照電圧がVREFLに切り替えられる。つまり、積分器91の入力が大きく引き上げられ、コンデンサC1からコンデンサC2に信号転送が行われてもVSCのマイナス側への飽和を防ぐことができる。
【0016】
このように、画素リセット信号をコンデンサC1にM回(Mは2以上の整数)サンプリングし、コンデンサC1からコンデンサC2に電荷転送することによって積分していく。この間、積分器91の出力を比較器92に接続し、VSCとVの比較結果に応じてLOGIC93がコンデンサC1の参照電圧をVREFL又はVREFHに切り替えることにより、VSCの出力飽和を抑制している。
【0017】
次に、TXをオンにして、PDからFDへ電荷転送を行う。その後、SELをオンにすることでFDの電圧レベルが画素シグナル信号として出力され、画素リセット信号の読み出しと同じように、コンデンサC1からコンデンサC2に電荷転送される。比較器91はVSCとVを比較してLOGIC93がコンデンサC1の参照電圧をVREFL又はVREFHに切り替える。画素シグナル信号のサンプリングはM回行われる。
【0018】
CMS回路31に入力する信号が大きければ大きいほど、VSCの出力飽和を防ぐためにLOGIC93がVREFHを選択する回数が多くなる。つまり、比較器91がVSC>Vと判断した回数(信号Dがハイになった回数=LOGIC93がφD1をオンにしてVREFHを選択した回数)をCOUNTER94がカウントし、この結果が画素リセット信号及び画素シグナル信号のデジタル変換後の信号となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2007−251997号公報
【特許文献2】特開平11−220659号公報
【特許文献3】特開2003−250094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
図12は、CMS回路31のサンプリング回数Mと最終的なノイズの関係を示したグラフである。ノイズはMのルート分の1の係数である値に漸近する形で減少する。つまり、サンプリング回数がある回数域を超えると、ノイズ低減効果は減少する。
【0021】
一方で、ノイズ低減は図10に示すコンデンサC1及びC2に対するサンプリング、積分動作で実現される。ノイズ低減効果を得るためには、コンデンサC1及びC2の容量を大きくする必要があり、容量を大きくすることで、サンプリング及び積分処理に伴う充電電流が大きくなり、画素アレイ部51の消費電流が増大する。この消費電流の増大は、チップ温度の上昇を招き、温度上昇による暗電流のバラツキ増加によって画素信号のノイズが増大する。つまり、相関多重サンプリング処理を用いたことによるノイズ低減効果を十分得ることができなかった。
【0022】
本発明の目的は、撮影環境に応じて相関多重サンプリング処理のサンプリング回数を可変することによってチップ温度の上昇を防ぎ、更にノイズ低減効果を得ることができる撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明による撮像装置は、複数の画素がマトリックス状に配置された画素部と、前記画素部の各行を順次選択する垂直走査回路と、前記画素部の各列に対応して設けられ、前記垂直走査回路により選択された行の画素が出力した画素信号をアナログ/デジタル変換して画像信号を出力するものであり、まず前記画素信号を相関多重サンプリング処理を用いてアナログ/デジタル変換して前記画像信号の上位ビット群を出力し、その後アナログ/デジタル変換を行うことによって前記画像信号の下位ビット群を出力する複数の読出回路と、撮像状態情報を用いて前記相関多重サンプリング処理のサンプリング回数を設定する設定手段と、を備えたものである。
【0024】
画素部から画素信号を読み出してアナログ/デジタル変換する読出回路に相関多重サンプリング回路を用いると、ノイズ低減効果は得られるが、充電電流の増大により画素部の消費電流が大きくなる。消費電力が増えると、基板温度が上昇し、更には暗電流のバラツキ増加を招くため、逆にノイズが増えてしまい、相関多重サンプリング処理によるノイズ低減効果を得られにくかった。
【0025】
そこで、撮像状態情報に基づいてサンプリング回数を設定する。こうすることで、撮影環境に応じたサンプリングを行うことができる。言い換えると、必要以上の無駄なサンプリングを行うことを防ぐことができる。従って、消費電流の増加、基板温度の上昇を抑えることができ、撮影環境に応じたSN比の高い画像信号を得ることができる。
【0026】
また、上記構成において、前記撮像状態情報とは、前記画素部の温度情報及び/又は前記読出回路が前回出力した画像信号が示す画像の明るさであることが好ましい。
【0027】
画素部の温度が上昇すると、画素部の暗電流のバラツキが大きくなり、画像信号のSN比に影響を及ぼす。また、画像が明るい(撮影環境が明るい)と、画像信号のSN比は大きくなりノイズが目立たなくなるが、画像が暗いとSN比は小さくなりノイズが目立つ。このように画素部の温度や画像の明るさによってSN比は異なるため、サンプリング回数も各情報に応じて可変されることによって、無駄なサンプリングをなくすことができる。
【0028】
また、上記構成において、前記画素部の温度を測定し、当該測定温度を前記画素部の温度情報として出力する出力手段と、前記読出回路が前回出力した画像信号から画像の明るさを算出する算出手段と、を更に備え、前記画素部の温度情報を用いて前記サンプリング回数を設定する場合、前記設定手段は前記画素部の温度が高いほど前記サンプリング回数を少なく、低いほど前記サンプリング回数を多く設定し、前記画像の明るさを用いて前記サンプリング回数を設定する場合、前記設定手段は前記画像の明るさが明るいほど前記サンプリング回数を少なく、暗いほど前記サンプリング回数を多く設定し、前記画素部の温度情報及び前記画像の明るさの両方を用いて前記サンプリング回数を設定する場合、前記設定手段は前記画素部の温度情報を用いて設定した前記サンプリング回数と前記画像の明るさを用いて設定した前記サンプリング回数のうち小さい方を前記サンプリング回数として設定するものであることが好ましい。
【0029】
この構成によれば、設定手段は、画素部の温度が高いほどサンプリング回数を少なく設定するため、サンプリングが複数回行われることによる画素部の温度上昇を抑えることができる。更に、設定手段は、画像が明るいほどサンプリング回数を少なく設定するため、無駄なサンプリングを防ぎ、消費電力の増加、画素部の温度上昇を抑えることができる。
【0030】
そして、設定手段は、画素部の温度が低いほどサンプリング回数を多く設定し、画像が暗いほどサンプリング回数を多く設定する。つまり、画素部の温度が低く、撮影環境が暗いと、読出回路はサンプリングを繰り返すために高いSN比の画像信号を得ることができる。
【0031】
また、上記構成において、前記設定手段は、前記画素部の温度が予め定められた温度より高い又は前記画像の明るさが予め定められた明るさより明るいときは前記サンプリング回数を0回に設定するものであることが好ましい。
【0032】
画素部の温度が予め定められた温度より高いときは暗電流のバラツキ増加により相関多重サンプリング処理によるノイズ低減効果を十分得られない可能性がある。そこで、設定手段がサンプリング回数を0回にすることで消費電流が低減して、画素部の温度上昇を抑え、暗電流の増大によるノイズ増加を防ぐことができる。
【0033】
また、撮影環境が十分明るいときは相関多重サンプリング処理によるノイズ低減処理はなくてもよい。従って、設定手段がサンプリング回数を0回にすることで、無駄なサンプリングを防ぎ、画素部の温度上昇を抑えることができる。尚、設定手段がサンプリング回数を0回に決定すると、読出回路は、画素部から読み出したリセット信号及びシグナル信号に対してアナログ/デジタル変換を巡回的に繰り返すことによって画像信号を出力する(読出回路は巡回型ADC回路としてのみ機能する)。
【0034】
また、上記構成において、前記画素部は黒レベルの基準となる信号を生成する黒基準画素部を有し、前記黒基準画素部が出力した信号の黒レベル値を算出し、当該黒レベル値を前記画素部の温度情報として出力する出力手段と、前記読出回路が前回出力した画像信号から画像の明るさを算出する算出手段と、を更に備え、前記画素部の温度情報を用いて前記サンプリング回数を設定する場合、前記設定手段は前記黒レベル値が高いほど前記サンプリング回数を少なく、低いほど前記サンプリング回数を多く設定し、前記画像の明るさを用いて前記サンプリング回数を設定する場合、前記画像の明るさが明るいほど前記サンプリング回数を少なく、暗いほど前記サンプリング回数を多く設定し、前記画素部の温度情報及び前記画像の明るさの両方を用いて前記サンプリング回数を設定する場合、前記設定手段は前記黒レベル値を用いて設定したサンプリング回数と前記画像の明るさを用いて設定したサンプリング回数のうち小さい方を前記サンプリング回数として設定することが好ましい。
【0035】
黒基準画素部が出力する信号は、画素部の温度に比例するため、画素部の温度情報として用いることができる。また、黒基準画素部を用いて黒レベル値を算出する回路は、黒基準画素部以外の有効画素が出力した画素信号の黒レベルを補正するため一般的に用いられる回路であるため、特別な回路を配置することなく、温度情報を取得することができる。
【0036】
そして、設定手段は、画像の明るさと黒レベル値に基づいてサンプリング回数を決定する。こうすることで、必要以上の無駄なサンプリングを防ぎ、消費電流の増加、画素部の温度の上昇を抑えることができる。そして、撮影環境に応じたSN比の高い画像信号を得ることができる。
【0037】
また、上記構成において、前記設定手段は、前記黒レベル値が予め定められた値より高い又は前記画像の明るさが予め定められた明るさより明るいときは前記サンプリング回数を0回に設定するものであることが好ましい。
【0038】
黒レベル値が予め定められた値より高いということは、画素部の温度が高いことを示しているため、暗電流が増加して相関多重サンプリング処理によるノイズ低減効果を十分得られない可能性がある。そこで、無駄なサンプリングを行わないために設定手段がサンプリング回数を0回にすることで消費電流が低減し、画素部の温度上昇を抑えることができる。
【0039】
また、撮影環境が十分明るいときは相関多重サンプリング処理によるノイズ低減処理は必要ない。従って、設定手段がサンプリング回数を0回にすることで、無駄なサンプリングを防ぎ、画素部の温度上昇を抑えることができる。尚、設定手段がサンプリング回数を0回にすると、読出回路は、画素部から読み出したリセット信号及びシグナル信号に対してアナログ/デジタル変換を巡回的に繰り返すことによって画像信号を出力する(読出回路は巡回型ADC回路としてのみ機能する)。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、設定手段が画素部の温度情報や画像の明るさに応じて相関多重サンプリング処理のサンプリング回数を決定するため、無駄なサンプリングをなくし、最適なサンプリング回数を設定することができる。無駄なサンプリングがなくなることにより、消費電流が低減するため、画素部の温度上昇が抑えられると共に暗電流のバラツキを抑えることができ、画素信号のノイズを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1の実施の形態における撮像装置の構成を示したブロック図。
【図2】カラムADCの等価回路。
【図3】第1の実施の形態におけるサンプリング回数決定部がサンプリング回数Mの決定する際の処理の流れを示したフローチャート。
【図4】第2の実施の形態における撮像装置の構成を示したブロック図。
【図5】第3の実施の形態における撮像装置の構成を示したブロック図。
【図6】第3の実施の形態におけるサンプリング回数決定部がサンプリング回数Mの決定する際の処理の流れを示したフローチャート。
【図7】従来の固体撮像装置の構成を示したブロック図。
【図8】画素アレイ部を構成する画素GCの一例を示した回路図。
【図9】画素GCの動作を示すタイミングチャート。
【図10】折り返し積分技術を用いたCMS回路の回路図。
【図11】折り返し積分技術を用いたCMS回路の動作を示すタイミングチャート。
【図12】CMS回路のサンプリング回数と最終的なノイズの関係を示したグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明における撮像装置について第1〜第3の実施の形態を用いて説明する。尚、以下の実施の形態における撮像装置における画素アレイ部51の画素GCは図8に示した画素GCと同じであり、他の構成要素についても図7に示した従来の固体撮像装置5の構成要素と同じものは同じ符号を付し、説明を省略する。
【0043】
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態における撮像装置1の構成を示したブロック図である。撮像装置1は、固体撮像装置101と出力レベル算出部21を有する。尚、固体撮像装置101については従来の固体撮像装置5と異なる部分のみ説明する。ここで、画素アレイ部51は画素部に相当し、ローデコーダ52は垂直走査回路に相当し、カラムADCアレイ部53は読出回路に相当する。
【0044】
出力レベル算出部21(算出手段、設定手段)は、固体撮像装置101から出力された画像信号の明るさを算出し、明るさサンプリング回数を設定して後述する明るさSHレジスタ123へ出力する。明るさサンプリング回数については後ほど詳しく説明する。
【0045】
温度センサ11(出力手段)は、画素アレイ部51の温度を測定するためのセンサであり、測定温度を後述するサンプリング回数決定部121へ出力する。
【0046】
TG12はサンプリング回数決定部(設定手段)121、温度SHレジスタ122及び明るさSHレジスタ123を有する。サンプリング回数決定部121は、温度センサ11が出力した測定温度から温度サンプリング回数を設定し、設定した回数を温度SHレジスタ122へ書き込む。その後サンプリング回数決定部121は、温度SHレジスタ122が記憶する温度サンプリング回数と明るさSHレジスタ123が記憶する明るさサンプリング回数を比較して、カラムADC13が用いるサンプリング回数Mを決定する。サンプリング回数Mの決定方法は、後ほど詳しく説明する。
【0047】
図2は、カラムADC13の等価回路である。カラムADC13は、折り返し積分技術を利用したCMS回路と巡回型ADCとを組み合わせた回路である。具体的には、巡回型ADC回路を利用してCMS処理を実現させている。つまり、図2は折り返し積分技術を利用したCMS回路と巡回型ADCを組み合わせた回路としているが、実際には巡回型ADC回路だけで折り返し積分技術を用いたCMS回路としての機能も実現できるようになっている。
【0048】
カラムADC13は、サンプリング/ホールド(S/H)回路131、加算器132、SC積分器133、1.5bADC回路134、1.5bDAC回路135、加算回路136、レジスタ137及び138を有する。そして、図2の右側の回路図は、カラムADC13のフェーズ毎のブロック130の回路形態を示している。図2には記載されていないスイッチの接続がフェーズ毎に切り替わることによって、図2の右側に示したブロック130A、130B及び130Cの形態に遷移する。
【0049】
カラムADC13の回路動作としては、初めにサンプリング回数決定部121が決定した回数Mに従って相関多重サンプリング処理することによって画像信号の上位ビットを取得し、その後巡回型ADC回路が下位ビットを決定する。
【0050】
まず、画像信号の上位ビットを決めるAD変換動作(折り返し積分技術を用いた相関多重サンプリング処理によるAD変換)について説明する。この折り返し積分技術を用いた相関多重サンプリング処理によるアナログ/デジタル変換の際の回路形態は、図2の右側に示したブロック130Aとブロック130Bが交互に遷移することで表すことができる。
【0051】
カラムADC13におけるφFIADCがオン、φCADCがオフとなることで、ブロック130は、図2の右側に示すブロック130Aの回路形態となる。ブロック130Aにおいて、画素GCが出力する画素リセット信号又は画素シグナル信号がVINとして入力され、コンデンサC1が信号を取り込む。続いてブロック130Bの回路形態に移り、コンデンサC1の電荷がコンデンサC2に転送され、積分器133が積分動作を行う。
【0052】
そして、再びブロック130Aに戻り、1.5bADC回路(比較器)134が積分器133の出力と参照電圧(±1/2VREF)を比較する。続いてブロック130Bの回路形態に移り、1.5bADC回路134の比較結果に基づいてDAC135が積分器133の出力が飽和しないようにコンデンサC1の参照電圧を切り換える。
【0053】
この一連の動作を画素リセット信号及び画素シグナル信号についてM回(サンプリング回数決定部121が決定した回数)繰り返すことで相関多重サンプリング処理を実現し、ノイズ低減を図ることができる。そしてADDER136とREGISTER137によって構成されたCOUNTERが1.5bADC回路134の出力D1がハイレベルになった回数(積分器133の出力が参照電圧(+1/2VREF)を超えた回数)をカウントすることによって、信号をデジタル変換したときの上位ビット群が決定される。
【0054】
続いて、画像信号の下位ビットを決めるAD変換動作(巡回型ADC)について説明する。この巡回型ADC回路を用いたアナログ/デジタル変換の際の回路形態は、図2の右側に示したブロック130Bとブロック130Cが交互に遷移することで表すことができる。下位ビットは、折り返し積分技術を用いた相関多重サンプリング処理によるAD変換終了後の残差電圧を巡回型ADCによってA/D変換して求める。まずブロック130Cにおいて、コンデンサC2はアンプ133(ブロック130A及び130Bでは積分器として使用)の入出力間で接続され、1.5bADC134がアンプ133の出力と参照電圧(±1/4VREF)を比較する。
【0055】
続いてブロック130Bの回路形態に移り、コンデンサC1の一端がDAC135に接続され、他端がアンプ133の入力に接続される。1.5bADC回路134の比較結果に基づいてDAC135が積分器133の出力が飽和しないようにコンデンサC1の参照電圧を切り換える。更に、DAC135の出力に1.5bADC134の比較結果を供給することで、元信号と前段AD変換結果との差分信号が生成され、次のサイクルでコンデンサC1に接続するアナログ電圧が決まる。再びブロック130Cに戻り、前のサイクルのアンプ133の出力は、入力側にフィードバックされて、次のサイクルのAD変換が開始する。
【0056】
この一連の動作が必要回数繰り返される。そして、ブロック130Cの出力D及びDと出力されるデジタルコード、1.5bADC134への入力Vとの関係は次式のようになる。
【0057】
【数1】

【0058】
即ち、1.5bADC134は、入力Vを(1)−VREFから−VREF/4、(2)−VREF/4からVREF/4、(3)VREF/4からVREFの3領域に分割し、これらの領域に対して3値のA/D変換を行って−1、0、1のデジタルコードを割り当てて出力する。最初に出力されたデジタルコードが上位桁となる。
【0059】
尚、図2に示すカラムADC13の詳しい回路動作については、「ISSCC2011『An 80μ Vrms-Temporal-Noise 82dB-Dynamic Range CMOS Image Sensor with a 13-to-10b Variable-Resolution Column-Parallel Folding-Integration/Cyclic ADC』」を参考にされたい。更に、巡回型ADCの詳しい回路動作については、特開2005−136540号公報を参考にされたい。
【0060】
また、本実施の形態では、折り返し積分技術を利用したCMS回路に対して相性の良い巡回型ADCを用いてカラムADC13を構成した場合を例に説明するが、巡回型ADCに限定されるものではない。
【0061】
図1に戻る。上記したように、サンプリング回数決定部121は、温度センサ11が出力した測定温度を取り込んで、カラムADC13による画素信号のサンプリング回数Mを決定する。図3は、第1の実施の形態におけるサンプリング回数決定部121がサンプリング回数Mの決定する際の処理の流れを示したフローチャートである。図3を用いて、サンプリング回数Mの決定方法を説明する。
【0062】
まず、温度センサ11は画素アレイ部51の温度を測定し、測定温度をサンプリング回数決定部121へ出力する(ステップS11)。サンプリング回数決定部121は、測定温度に反比例して温度サンプリング回数を設定し、その回数を温度SHレジスタ122へ書き込む(ステップS12)。温度サンプリング回数とは、サンプリング回数決定部121がサンプリング回数Mを最終決定するときに用いる値である。
【0063】
例えば、温度サンプリング回数の最大値を16回としたとき、サンプリング回数決定部121は、測定温度が高くなるに従って温度サンプリング回数が12回、10回、8回、4回・・・と少なくなるように設定する。サンプリング回数決定部121は、測定温度に対応付けて温度サンプリング回数が記憶されたデータテーブルを予め記憶し、このデータテーブルを用いて温度サンプリング回数を設定してもよいし、予め定められた計算式に測定温度を代入することによって温度サンプリング回数を導出するようにしてもよい。
【0064】
画素アレイ部51の温度が上昇すると暗電流のバラツキが大きくなり、画像信号のSN比に影響を及ぼす。そこで、サンプリング回数決定部121は、温度サンプリング回数を測定温度に反比例させて決定する。こうすることで、画素アレイ部51の温度が要求するサンプリング回数M(温度サンプリング回数)は画素アレイ部51の温度が高いほど少なくなる。サンプリング回数Mが少ないと、カラムADC13におけるサンプリング及び積分処理の回数が減って画素アレイ部51の消費電流が少なくなり、画素アレイ部51の温度上昇を抑制又は低下させることができる。これにより画素アレイ部51の暗電流のバラツキが減り、ノイズを抑えることができる。
【0065】
出力レベル算出部21は、前回のフレームで出力された画像信号が示す画像の明るさを算出し(ステップS13)、この明るさに反比例して明るさサンプリング回数を設定してその回数を明るさSHレジスタ123へ出力する(ステップS14)。
【0066】
例えば、明るさサンプリング回数の最大値を16回としたとき、サンプリング回数決定部121は画像が明るくなるに従って明るさサンプリング回数が12回、10回、8回、4回・・・と少なくなるように設定する。画像が明るい(撮影環境が明るい)と、画像信号のSN比は大きくなりノイズが目立たなくなるが、画像が暗いとSN比は小さくなりノイズが目立つ。そこで、出力レベル算出部21が明るさサンプリング回数を画像の明るさに反比例させて設定することで、画像の明るさが要求するサンプリング回数M(明るさサンプリング回数)は画像が暗いほど多くなる。サンプリング回数Mが増えると、カラムADC13の折り返し積分技術を利用した列並列CMS回路によるノイズ低減効果を得ることができる。
【0067】
出力レベル算出部21が算出する画像の明るさは、画像の中の最も暗い領域の出力値を元に算出してもよいし、画像の平均出力、ヒストグラムにおける所定の値(例えばメジアン値)等を元に算出してもよい。また、出力レベル算出部21は、画像の明るさをもとに決定されるAE(Auto Exposure)制御値、絞り値、又は画素GCの積分時間等を連動させて明るさサンプリング回数を決定してもよい。
【0068】
そして、サンプリング回数決定部121は、温度SHレジスタ122から温度サンプリング回数を、明るさSHレジスタ123から明るさサンプリング回数を読み出し、両者を比較する(ステップS15)。温度サンプリング回数が明るさサンプリング回数以下であるとき(ステップS15;YES)、サンプリング回数決定部121は温度サンプリング回数をサンプリング回数Mに設定してカラムADCアレイ部53へ出力する(ステップS16)。一方、温度サンプリング回数が明るさサンプリング回数より大きいとき(ステップS15;NO)、サンプリング回数決定部121は明るさサンプリング回数をサンプリング回数Mに設定してカラムADCアレイ部53へ出力する(ステップS17)。
【0069】
この一連の処理は1フレーム毎に行われる。尚、温度センサ11による温度測定は、1フレーム毎ではなく、数フレームに1回の割合で行ってもよい。温度センサ11による温度測定が行われなかったときのサンプリング回数Mは、温度SHレジスタ122が記憶する温度サンプリング回数を用いてサンプリング回数Mが決定される。
【0070】
また、本実施の形態では、サンプリング回数決定部121は画素アレイ部51の温度と画像の明るさの両方を用いてサンプリング回数Mを決定しているが、何れか一方のみを用いて決定してもよい。
【0071】
以上、説明したように、カラムADC13における折り返し積分技術を利用したCMS回路のサンプリング回数Mを、画素アレイ部51の温度が高い又は画像が明るいときはサンプリング回数Mが少なくなるように設定することで、カラムADC13のサンプリング及び積分処理の回数が減って画素アレイ部51の消費電流が少なくなり、画素アレイ部51の温度上昇を抑制することができる。これにより、画素アレイ部51の温度上昇に伴う暗電流のバラツキを低減することができ、SN比を良くすることができる。
【0072】
一方、画素アレイ部51の温度が低い又は画像が暗いときはサンプリング回数Mが多くすることで、高いSN比の画像信号を得ることができ、撮影環境が暗くても高画質の画像を得ることができる。
【0073】
このように、サンプリング回数Mが画素アレイ部51の温度と撮影環境を考慮して決定されるため、画素アレイ部51の温度上昇を抑えつつ、相関多重サンプリング処理によるノイズ低減効果を効果的に得ることができる。
【0074】
〔第2の実施の形態〕
第1の実施の形態では、出力レベル算出部21は固体撮像装置101の外部に別途設けられていたが、第2の実施の形態では、出力レベル算出部22を固体撮像装置102内に配置して1チップ化した場合について説明する。
【0075】
図4は、第2の実施の形態における撮像装置1の構成を示したブロック図である。尚、第1の実施の形態における撮像装置1の構成要素と同じものについては同じ符号を付し、説明を省略する。また、本実施の形態におけるサンプリング回数決定部121がサンプリング回数Mの決定する際の処理の流れは、図3のフローチャートと同じである。
【0076】
出力レベル算出部22は、前回のフレームで出力された画像信号が示す画像の明るさを算出し、この明るさに反比例して明るさサンプリング回数を決定する。第1の実施の形態において説明した出力レベル算出部21と同様に、明るさサンプリング回数の最大値を例えば16回としたとき、画像が明るくなるに従って明るさサンプリング回数が12回、10回、8回、4回・・・と少なくなるように決定する。こうすることで、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0077】
〔第3の実施の形態〕
第1及び第2の実施の形態では、画素アレイ部51の温度と画像の明るさに基づいてサンプリング回数Mが決まる撮像装置1について説明した。第3の実施の形態では、画素アレイ部51の温度に替わって画素アレイ部51の黒基準画素部が出力する黒レベル信号を用いてサンプリング回数決定部121がサンプリング回数Mを決める場合について説明する。
【0078】
図5は、第3の実施の形態における撮像装置1の構成を示したブロック図である。尚、第2の実施の形態における撮像装置1の構成要素と同じものについては同じ符号を付し、説明を省略する。また、第1の実施の形態と同様に、出力レベル算出部22は固体撮像装置103の外部に設けられていても構わない。
【0079】
画素アレイ部51は、黒レベルの基準信号を出力する遮光された黒基準画素部51Bを有する。黒レベル算出部23(出力手段)は、黒基準画素部51Bから出力された画素信号を用いて黒レベル値を算出する。この黒レベル値は、黒基準画素部51B以外の有効画素が出力した画素信号の黒レベルの補正に用いられる。
【0080】
また、黒レベル値は画素部の温度に比例する。そこで、サンプリング回数決定部121は黒レベル算出部23が算出した黒レベル値をチップの温度情報として用いてが希望サンプリング回数を決定する。希望サンプリング回数とは、温度サンプリング回数及び明るさサンプリング回数と同様に、サンプリング回数決定部121がサンプリング回数Mを最終決定するときに用いる値である。
【0081】
例えば、希望サンプリング回数の最大値を16回としたとき、サンプリング回数決定部121は、黒レベル値が低くなるに従って希望サンプリング回数が12回、10回、8回、4回・・・と少なくなるように設定する。黒レベル値が高いときは画素アレイ部51の温度が高いことを示しているため、暗電流の量が多い。即ち、暗電流のバラツキが増加し、相関多重サンプリング処理によるノイズ低減効果が得られにくい。従って、無用なサンプリングを重ねて画素アレイ部51の温度が上昇することを防ぐために希望サンプリング回数を少なく設定する。
【0082】
一方、黒レベル値が低いときは画素アレイ部51の温度が低いことを示しているため、暗電流の量も少なく、相関多重サンプリング処理によるノイズ低減効果を得られやすい。従って、サンプリング回数決定部121は希望サンプリング回数を多く設定する。こうすることで、黒レベル値が要求するサンプリング回数M(希望サンプリング回数)は黒レベル値が低いほど多くなる。サンプリング回数Mが増えると、カラムADC13の折り返し積分技術を利用した相関多重サンプリングによるノイズ低減効果を得ることができる。
【0083】
また、黒レベル算出部23は有効画素が出力した信号の黒レベル補正を行うために一般的に用いられている回路部である。そのため、特別な回路を配置することなく、画素アレイ部51の温度を示す情報を得ることができる。
【0084】
TG12は、温度SHレジスタ122に替えて、黒レベルSHレジスタ124を有する。サンプリング回数決定部121は、黒レベル算出部23が出力した黒レベル値から希望サンプリング回数を設定し、設定した回数を黒レベルSHレジスタ124へ書き込む。その後サンプリング回数決定部121は、黒レベルSHレジスタ124が記憶する希望サンプリング回数と明るさSHレジスタ123が記憶する明るさサンプリング回数を比較して、カラムADC13が用いるサンプリング回数Mを決定する。
【0085】
図6は、第3の実施の形態におけるサンプリング回数決定部121がサンプリング回数Mの決定する際の処理の流れを示したフローチャートである。まず、黒レベル算出部23は黒基準画素部51の黒レベル値を算出し、黒レベル値をサンプリング回数決定部121へ出力する(ステップS21)。サンプリング回数決定部121は、黒レベル値に反比例して希望サンプリング回数を設定し、その回数を黒レベルSHレジスタ124へ書き込む(ステップS22)。
【0086】
出力レベル算出部22は、前回のフレームで出力された画像信号が示す画像の明るさを算出し(ステップS23)、この明るさに基づいて明るさサンプリング回数を設定してその回数を明るさSHレジスタ123へ出力する(ステップS24)。
【0087】
次に、サンプリング回数決定部121は、黒レベルSHレジスタ124から希望サンプリング回数を、明るさSHレジスタ123から明るさサンプリング回数を読み出して、両者を比較する(ステップS25)。希望サンプリング回数が明るさサンプリング回数以下であるとき(ステップS25;YES)、サンプリング回数決定部121は希望サンプリング回数をサンプリング回数Mに設定してカラムADCアレイ部53へ出力する(ステップS26)。一方、希望サンプリング回数が明るさサンプリング回数より大きいとき(ステップS25;NO)、サンプリング回数決定部121は明るさサンプリング回数をサンプリング回数Mに設定してカラムADCアレイ部53へ出力する(ステップS27)。
【0088】
尚、本実施の形態では、サンプリング回数決定部121は黒レベル値と画像の明るさの両方を用いてサンプリング回数Mを決定しているが、何れか一方のみを用いて決定してもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 撮像装置
101、102、103 固体撮像装置
11 温度センサ
12 TG
121 サンプリング回数決定部
122 温度SHレジスタ
123 明るさSHレジスタ
124 黒レベルSHレジスタ
13 カラムADC
21、22 出力レベル算出部
23 黒レベル算出部
51 画素アレイ部
52 ローデコーダ
53 カラムADCアレイ部
54 カラムデコーダ
55 PLL
57 DAC
58 センスアンプ
60 シリアライザ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素がマトリックス状に配置された画素部と、
前記画素部の各行を順次選択する垂直走査回路と、
前記画素部の各列に対応して設けられ、前記垂直走査回路により選択された行の画素が出力した画素信号をアナログ/デジタル変換して画像信号を出力するものであり、まず前記画素信号を相関多重サンプリング処理を用いてアナログ/デジタル変換して前記画像信号の上位ビット群を出力し、その後アナログ/デジタル変換を行うことによって前記画像信号の下位ビット群を出力する複数の読出回路と、
撮像状態情報を用いて前記相関多重サンプリング処理のサンプリング回数を設定する設定手段と、
を備えた撮像装置。
【請求項2】
前記撮像状態情報とは、前記画素部の温度情報及び/又は前記読出回路が前回出力した画像信号が示す画像の明るさである請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記画素部の温度を測定し、当該測定温度を前記画素部の温度情報として出力する出力手段と、
前記読出回路が前回出力した画像信号から画像の明るさを算出する算出手段と、
を更に備え、
前記画素部の温度情報を用いて前記サンプリング回数を設定する場合、前記設定手段は前記画素部の温度が高いほど前記サンプリング回数を少なく、低いほど前記サンプリング回数を多く設定し、前記画像の明るさを用いて前記サンプリング回数を設定する場合、前記設定手段は前記画像の明るさが明るいほど前記サンプリング回数を少なく、暗いほど前記サンプリング回数を多く設定し、前記画素部の温度情報及び前記画像の明るさの両方を用いて前記サンプリング回数を設定する場合、前記設定手段は前記画素部の温度情報を用いて設定した前記サンプリング回数と前記画像の明るさを用いて設定した前記サンプリング回数のうち小さい方を前記サンプリング回数として設定するものである請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記画素部の温度が予め定められた温度より高い又は前記画像の明るさが予め定められた明るさより明るいときは前記サンプリング回数を0回に設定するものである請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記画素部は黒レベルの基準となる信号を生成する黒基準画素部を有し、
前記黒基準画素部が出力した信号の黒レベル値を算出し、当該黒レベル値を前記画素部の温度情報として出力する出力手段と、
前記読出回路が前回出力した画像信号から画像の明るさを算出する算出手段と、
を更に備え、
前記画素部の温度情報を用いて前記サンプリング回数を設定する場合、前記設定手段は前記黒レベル値が高いほど前記サンプリング回数を少なく、低いほど前記サンプリング回数を多く設定し、前記画像の明るさを用いて前記サンプリング回数を設定する場合、前記画像の明るさが明るいほど前記サンプリング回数を少なく、暗いほど前記サンプリング回数を多く設定し、前記画素部の温度情報及び前記画像の明るさの両方を用いて前記サンプリング回数を設定する場合、前記設定手段は前記黒レベル値を用いて設定したサンプリング回数と前記画像の明るさを用いて設定したサンプリング回数のうち小さい方を前記サンプリング回数として設定するものである請求項2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記設定手段は、前記黒レベル値が予め定められた値より高い又は前記画像の明るさが予め定められた明るさより明るいときは前記サンプリング回数を0回に設定するものである請求項5に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−98598(P2013−98598A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236704(P2011−236704)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】