説明

撮影システム、撮影装置及び撮影方法

【課題】大型化及びコストの増大を抑制しながら障害発生時において最重要な被写体を撮影して得られた画像情報の喪失を防止することができる撮影システム、撮影装置及び撮影方法を提供する。
【解決手段】IP通信網508及び監視元システム504の少なくとも一方にネットワーク障害が発生している間は、IPカメラAによって生成されたデジタル画像データがIPカメラAに設けられた画像データ記憶領域に記憶されるように制御し、IPカメラAに設けられた画像データ記憶領域に記憶されたデジタル画像データのデータ量が所定量に達した場合、IPカメラAで生成されたデジタル画像データがIPカメラB又はIPカメラCの画像データ記憶領域に記憶されるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影システム、撮影装置及び撮影方法に係り、特に、撮影装置で撮影されて得られた画像情報を通信手段を介して所定のサーバに送信する撮影システム、撮影装置及び撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顧客自身の操作によって現金の払い戻しや預け入れができる現金自動預け払い機(Automated teller machine;以下、「ATM」という。)が金融機関や小売店、大規模マンションなどの施設内に幅広く設置されている。このATMは、普通預金以外の取引や現金を介さない取引も広く取り扱うことができるようになってきており、年々利用者が増加してきている。
【0003】
その一方で、振り込め詐欺や盗撮、施設の営業時間外に施設内に侵入してATMから現金を盗み取るという窃盗などの犯罪も増加している。そのため、一般的に、ATMが設置されている施設に対しては、施設内を監視するための監視システムが導入されている。なお、監視システムは、ATMが設置された施設に限らず、例えば、美術館や博物館、事業所、ホテル、旅館などの施設にも広く導入されている。
【0004】
この監視システムとしては、例えば、施設内をインターネットプロトコル・カメラ(以下、「IPカメラ」という。)を用いて所定周期(例えば、1秒間隔)で終日撮影し、撮影して得られたデジタル画像データをIP通信網を介してサーバに送信して蓄積し、警備会社や施設の管理をしている者など(以下、「監視者」という。)によって施設内の終日の状況を監視する撮影システムが知られている。
【0005】
この種の撮影システムとしては、施設内に複数のIPカメラを設置することにより、施設内の複数箇所を同時に監視するものが知られている。
【0006】
しかし、撮影システムには、IP通信網又はサーバにIPカメラとサーバとの間での通信の妨げになるような障害が発生した場合、IPカメラで撮影して得られたデジタル画像データをサーバに送り届けることができなくなり、デジタル画像データが喪失してしまう虞がある、という問題点があった。
【0007】
そこで、障害が発生している間に撮影して得られたデジタル画像データを喪失させないための撮影システムとして、例えば図9に示すような撮影システムが提案されている。
【0008】
同図に示されるように、撮影システム500は、監視先システム502、監視元システウ504、デジタルビデオレコード・システム(DVRシステム)506、及びIP通信網508を含んで構成されている。
【0009】
監視先システム502は、監視対象が存在する施設内に導入されている。監視先システム502は、互いにLANケーブル510を介して接続されたIPカメラ512,514,516と、LANケーブル510及びIP通信網508に接続されたルータ518とを含んで構成されている。
【0010】
ここで、IPカメラ512,514,516の構成を図10を参照しながら説明する。なお、IPカメラ512,514,516の構成は同一であるので、ここではIPカメラ512を例に挙げて説明する。
【0011】
IPカメラ512は、レンズを含んで構成された光学ユニット530と、レンズの光軸後方に配設されたCCD532と、相関二重サンプリング回路(以下、「CDS」という。)534と、入力されたアナログ信号をデジタルデータに変換するアナログ/デジタル変換器(以下、「ADC」という。)536と、を含んで構成されており、CCD532の出力端子はCDS534の入力端子に、CDS534の出力端子はADC536の入力端子に、各々接続されている。
【0012】
ここで、CDS534による相関二重サンプリング処理は、固体撮像素子の出力信号に含まれるノイズ(特に熱雑音)等を軽減することを目的として、固体撮像素子の1画素毎の出力信号に含まれるフィードスルー成分レベルと画素信号成分レベルとの差をとることにより正確な画素データを得る処理である。
【0013】
また、IPカメラ512は、所定容量のラインバッファを内蔵すると共に入力されたデジタル画像データを所定の記憶領域に直接記憶させる制御を行う画像入力コントローラ538と、デジタル画像データに対して各種画像処理を施す画像信号処理回路540と、所定の圧縮形式(例えば、JPEG、MPEG4など)でデジタル画像データに圧縮処理を施す一方、圧縮処理されたデジタル画像データに伸張処理を施す圧縮・伸張処理回路542と、を含んで構成されている。
【0014】
また、IPカメラ512は、CPU(中央処理装置)544、ROM(Read Only Memory)546、RAM(Random Access Memory)548、NVM(Non Volatile Memory;不揮発性メモリ)550、及び通信インタフェース552を含んで構成されている。
【0015】
CPU544は、IPカメラ512全体の動作を司るものである。ROM546は、IPカメラ512の作動を制御する制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶された記憶媒体である。RAM548は、各種プログラムの実行時のワークエリア等として用いられる記憶媒体である。NVM550は、装置の電源スイッチが切られても保持しなければならない各種情報を記憶する不揮発性の記憶媒体である。
【0016】
通信インタフェース552は、LANケーブル510及びルータ518を介してIP通信網508に接続され、圧縮・伸張処理回路542によって圧縮・伸張処理が施されたデジタル画像データや各種情報(例えば、ルータ518を制御するための制御信号やIPカメラ512の稼動状況を示す情報など)を送信すると共に、監視元システム504からIP通信網508及びルータ518を介して各種情報(例えば、監視元システム504での障害の有無を示す情報など)を受信するためのものである。
【0017】
画像入力コントローラ538、画像信号処理回路540、圧縮・伸張処理回路542、CPU544、ROM546、RAM548、NVM550及び通信インタフェース552は、システムバス等のバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU544は、画像入力コントローラ538、画像信号処理回路540、圧縮・伸張処理回路542、ROM546、RAM548及びNVM550に対するアクセスと、通信インタフェース552を介した各種情報の受信と、通信インタフェース552を介した各種情報の送信と、を各々行うことができる。
【0018】
また、IPカメラ512には、主としてCCD532を駆動させるためのタイミング信号を生成してCCD532に供給するタイミングジェネレータ554が設けられている。当該タイミングジェネレータ554の入力端子はCPU544に、出力端子はCCD532に各々接続されており、CCD532の駆動は、CPU544によりタイミングジェネレータ554を介して制御される。
【0019】
更に、CPU544はモータ駆動部556の入力端子に接続され、モータ駆動部556の出力端子は光学ユニット530に備えられた焦点調整モータ、ズームモータ及び絞り駆動モータに接続されている。
【0020】
なお、光学ユニット530に含まれるレンズは複数枚のレンズを有し、焦点距離の変更(変倍)が可能なズームレンズとして構成されており、図示しないレンズ駆動機構を備えている。このレンズ駆動機構に上記焦点調整モータ、ズームモータ及び絞り駆動モータは含まれるものであり、焦点調整モータ、ズームモータ及び絞り駆動モータは各々CPU544の制御下でモータ駆動部556から供給された駆動信号によって駆動される。また、CPU544は、光学ズーム倍率を変更する際にはズームモータを駆動制御して光学ユニット530に含まれるレンズの焦点距離を変化させる。
【0021】
一方、監視元システム504は、例えば施設内を警備する警備会社や施設の管理者が駐在している管理人室などに導入されている。監視元システム504は、一例として図9に示すように、蓄積サーバ560、閲覧端末装置562及びルータ564を含んで構成されている。ルータ564は、蓄積サーバ560及びIP通信網508に接続されている。蓄積サーバ560は、監視先システム502から送信されたデジタル画像データをルータ564を介して受信し、受信したデジタル画像データを蓄積するものである。閲覧端末装置562は、ディスプレイ(図示省略)が接続された汎用のパーソナル・コンピュータ(以下、「PC」という。)を含んで構成されており、蓄積サーバ560に接続されている。閲覧端末装置562には蓄積サーバ560に蓄積されているデジタル画像データを閲覧するための閲覧用ソフトウェアがインストールされている。従って、監視者は、閲覧端末装置562を用いて閲覧用ソフトウェアを起動させることにより、蓄積サーバ560にアクセスすることによって蓄積サーバ560に蓄積されているデジタル画像データを取得し、取得したデジタル画像データにより示される画像をディスプレイを通じて過去の画像及びリアルタイム画像を閲覧することができる。
【0022】
他方、DVRシステム506は、DVRシステム506全体の動作を司る制御部570と、各種プログラムや各種パラメータ情報等を記憶するメモリ572と、デジタル画像データや各種情報を蓄積するハードディスクドライブ(HDD)574と、LANケーブル510に接続されて監視元システム502との間での各種情報の授受を司る送受信部576と、を含んで構成されている。制御部570、メモリ572、HDD574及び送受信部576は、システムバス等のバスBUS2を介して相互に接続されている。従って、制御部570は、メモリ572及びHDD574に対するアクセスと、送受信部576を介した各種情報の受信と、送受信部576を介した各種情報の送信と、を各々行うことができる。
【0023】
このように構成された撮影システム500では、IPカメラ512,514,516が各々所定周期(例えば、1秒間隔)で撮影して得たデジタル画像データを監視元システム504に送信する。監視元システム504は、監視先システム502から送信されたデジタル画像データを受信し、受信したデジタル画像データを時系列で蓄積サーバ560の所定の記憶領域に蓄積し、閲覧端末装置562からの要求に応じて閲覧端末装置562に対して、現時点で蓄積されているデジタル画像データを提供する。
【0024】
また、IP通信網508及び監視元システム504の少なくとも何れかにおいて、監視先システム502のIPカメラ512,514,516の各々によって撮影して得られたデジタル画像データの送受信を不可能にする障害やデジタル画像データの送受信に悪影響を及ぼす可能性の高い障害などの監視先システム502と監視元システム504との間で通信を行う上で好ましくない所定の障害が発生した場合、IPカメラ512,514,516は、所定の障害が発生している間、撮影して得たデジタル画像データをDVRシステム506に送信してHDD574に蓄積する。そして、所定の障害が解消されると、IPカメラ512,514,516は、撮影して得たデジタル画像データの監視元システム504への送信を再開し、DVRシステム506は、これまでにHDD574に蓄積されたデジタル画像データを監視元システム504に送信する。
【0025】
このように撮影システム500では、IP通信網508及び監視元システム504の少なくとも何れかに所定の障害が発生している間はデジタル画像データをDVRシステム506に蓄積し、障害が解消された際にDVRシステム506に蓄積されたデジタル画像データを監視元システム504に送信するようにしているので、IPカメラ512,514,516で得られたデジタル画像データの喪失を防止することができる。
【0026】
しかし、撮影システム500では、復旧作業が長時間に及ぶ場合、DVRシステム506のHDD574の記憶領域の空き容量が不足してしまう、という問題点があった。
【0027】
HDD574による蓄積可能な期間を延ばすための技術としては、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。この技術は、通信手段に障害が発生した場合、撮影周期を長くすることにより(例えば、フレームレートを小さくすることにより)、HDD574による蓄積可能な期間を延ばす、という技術である。
【0028】
その他、DVRシステム506のHDD574への記憶に加えて、IPカメラ152,514,516が、自身で撮影して得たデジタル画像データを自身のメモリ領域(例えば、NVM550)に蓄積する、という技術も考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】特開2005−26866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
しかしながら、撮影システム500に特許文献1に記載の技術を適用しても、記憶領域の空き容量が不足するという事態の発生を完全に無くすことはできないため、例えば施設内のATMの設置箇所や最重要監視対象物が置かれている箇所などの優先度の高い箇所を被写体として撮影して得られたデジタル画像データが優先度の低い箇所を被写体として撮影して得られたデジタル画像データと同じように喪失してしまう、という問題点があった。
【0031】
複数の被写体のうちの最も優先度の高い被写体を撮影して得たデジタル画像データの喪失を防止するための方法としては、DVRシステム506に二次記憶装置を増設するという方法や最も優先度の高い被写体として撮影を行うIPカメラに対してメモリを増設するという方法も考えられるが、DVRシステム506やIPカメラの大型化及びコストの増大を招いてしまう、という問題点があった。
【0032】
本発明は上記問題点を解決するために成されたものであり、大型化及びコストの増大を抑制しながら障害発生時において最も優先度の高い被写体を撮影して得た画像情報の喪失を防止することができる撮影システム、撮影装置及び撮影方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の撮影システムは、各々被写体を撮影して得られた画像情報を通信手段を介して外部装置に送信すると共に、各々に前記画像情報が記憶可能な記憶手段が設けられ、何れかの撮影装置の優先度が他の撮影装置の優先度より高く、優先度が最も高い最優先撮影装置で得られた画像情報が他の撮影装置に設けられた記憶手段に記憶可能に、前記最優先撮影装置と前記他の撮影装置とが接続された複数の撮影装置と、前記通信手段及び前記外部装置の少なくとも一方に障害が発生している間は、前記最優先撮影装置によって生成された画像情報が該最優先撮影装置に設けられた前記記憶手段に記憶されるように制御すると共に、該最優先撮影装置に設けられた前記記憶手段に記憶された画像情報の量が所定量に達した場合、該最優先撮影装置で生成された画像情報が前記他の撮影装置に設けられた前記記憶手段に記憶されるように制御する制御手段と、を含んで構成されている。
【0034】
請求項1に記載の撮影システムでは、複数の撮影装置の各々によって被写体が撮影されて生成された画像情報が通信手段を介して外部装置に送信され、複数の撮影装置の各々に前記画像情報が記憶可能な記憶手段が設けられ、複数の撮影装置の何れかの撮影装置の優先度が他の撮影装置の優先度より高く、優先度が最も高い最優先撮影装置で生成された画像情報が他の撮影装置に設けられた記憶手段に記憶可能に、前記最優先撮影装置と前記他の撮影装置とが接続される。
【0035】
そして、制御手段により、前記通信手段及び前記外部装置の少なくとも一方に障害が発生している間は、前記最優先撮影装置によって生成された画像情報が該最優先撮影装置に設けられた前記記憶手段に記憶されるように制御されると共に、該最優先撮影装置に設けられた前記記憶手段に記憶された画像情報の量が所定量に達した場合、該最優先撮影装置で生成された画像情報が前記他の撮影装置に設けられた前記記憶手段に記憶されるように制御される。
【0036】
従って、請求項1に記載の撮影システムによれば、前記通信手段及び前記外部装置の少なくとも一方に障害が発生している間は、前記最優先撮影装置によって生成された画像情報が該最優先撮影装置に設けられた前記記憶手段に記憶されるように制御されると共に、該最優先撮影装置に設けられた前記記憶手段に記憶された画像情報の量が所定量に達した場合、該最優先撮影装置で生成された画像情報が前記他の撮影装置に設けられた前記記憶手段に記憶されるように制御されるので、大型化及びコストの増大を抑制しながら障害発生時において最も優先度の高い被写体を撮影して得た画像情報の喪失を防止することができる。
【0037】
また、請求項2に記載の撮影システムは、請求項1に記載の発明において、前記他の撮影装置に設けられた前記記憶手段は、対応する前記撮影装置で生成された画像情報が記憶可能な主記憶領域及び前記最優先撮影装置で生成された画像情報が記憶可能な副記憶領域を有し、前記制御手段が、前記最優先撮影装置に設けられた前記記憶手段に記憶された画像情報の量が所定量に達した場合、前記最優先撮影装置で生成された画像情報が前記他の前記撮影装置に設けられた前記記憶手段の前記副記憶領域に記憶されるように制御するものである。これにより、他の撮影装置で撮影されて得られた画像情報の喪失も抑制しながら最も優先度の高い被写体を撮影して得た画像情報の喪失を防止することができる。
【0038】
また、請求項3に記載の撮影システムは、請求項2に記載の発明において、前記他の撮影装置を複数設けて優先度を異ならせ、前記主記憶領域の容量を、前記他の撮影装置の優先度が低くなるに従って小さくすると共に、前記副記憶領域の容量を、前記他の撮影装置の優先度が低くなるに従って大きくし、前記制御手段が、前記最優先撮影装置に設けられた前記記憶手段に記憶された画像情報の量が所定量に達した場合、前記最優先撮影装置で生成された画像情報が、前記他の撮影装置の優先度の最も低い撮影装置の前記記憶手段から優先度の高い撮影装置の前記記憶手段にかけて順に前記副記憶領域に記憶されるように制御するものである。これにより、より優先度の高い被写体を撮影して得た画像情報の記憶先の容量を増やすことができる。
【0039】
また、請求項4に記載の撮影システムは、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の発明において、前記記憶手段の各々を上書き可能とし、前記制御手段が、更に、前記最優先撮影装置で生成された画像情報が現時点で最も過去に記憶された画像情報に上書きされるように制御するものである。これにより、最も優先度の高い被写体を撮影して得た画像情報をより多く記憶することができる。
【0040】
また、請求項5に記載の撮影システムは、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の発明において、前記制御手段が、更に、前記障害が解消した場合、前記最優先撮影装置で生成された画像情報が前記通信手段を介して前記外部装置に送信されるように制御する共に、前記最優先撮影装置で生成された画像情報であって前記記憶手段の各々に記憶された画像情報が前記記憶手段の各々を通じて最も過去に記憶された画像情報から時系列に沿って前記通信手段を介して前記外部装置に送信されるように制御するものである。これにより、障害が発生していた間に最も優先度の高い被写体を撮影して得た画像情報を外部装置に送信することができる。
【0041】
また、請求項6に記載の撮影システムは、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の発明において、前記障害が発生している間、前記撮影装置によって生成された画像情報であって前記記憶手段に記憶される画像情報と該画像情報に関する撮影時期とを関連付ける関連付け手段を更に含んで構成されている。これにより、障害が発生していた間に最も優先度の高い被写体を撮影して得た画像情報の管理を容易にすることができる。
【0042】
また、請求項7に記載の撮影システムは、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の発明において、前記最優先撮影装置が、指定された周期で撮影して画像情報を生成し、前記制御手段が、更に、前記障害が発生している間は、前記周期に代えて、撮影時期に応じて予め定められた周期で撮影されるように前記最優先撮影装置を制御するものである。これにより、重要度の高い期間において被写体の状態をきめ細かく把握することができ、かつ重要度の低い期間において記憶手段に記憶される画像情報の量を少なくすることができる。
【0043】
また、請求項8に記載の撮影システムは、請求項7に記載の発明において、前記予め定められた周期を、前記障害が発生していないときの周期よりも長い周期とした。これにより、前記障害が発生している間に記憶手段に記憶される画像情報の量を少なくすることができる。
【0044】
また、請求項9に記載の撮影システムは、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の発明において、前記最優先撮影装置が、指定された周期で撮影して画像情報を生成し、前記制御手段が、更に、前記障害が発生している間は、前記最優先撮影装置によって時間的に前後して生成された画像情報間の差分が閾値を超えたときに、前記最優先撮影装置によって生成された画像情報が前記記憶手段に記憶されるように制御するものである。これによって、障害が発生している間に記憶手段に記憶される画像情報の量を抑制しながらも被写体の変化を見落とさないようにすることができる。
【0045】
また、上記目的を達成するために、請求項10に記載の撮影装置は、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の撮影システムに含まれる前記最優先撮影装置として機能する撮影装置であって、被写体を指定された周期で撮影して画像情報を生成する撮影手段と、前記制御手段として機能すると共に、前記障害が発生している間は、前記指定された周期に代えて、撮影時期に応じて予め定められた周期で撮影されるように前記撮影手段を制御する撮影制御手段と、を含んで構成されている。
【0046】
従って、大型化及びコストの増大を抑制しながら障害発生時において最も優先度の高い被写体を撮影して得た画像情報の喪失を防止することができると共に、重要度の高い期間において被写体の状態をきめ細かく把握することができ、かつ重要度の低い期間において記憶手段に記憶される画像情報の量を少なくすることができる。
【0047】
また、請求項11に記載の撮影装置は、請求項10に記載の発明において、前記予め定められた周期を、前記障害が発生していないときの周期よりも長い周期とした。これにより、前記障害が発生している間に記憶手段に記憶される画像情報の量を少なくすることができる。
【0048】
また、上記目的を達成するために、請求項12に記載の撮影装置は、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の撮影システムに含まれる前記最優先撮影装置として機能する撮影装置であって、被写体を指定された周期で撮影して画像情報を生成する撮影手段と、前記制御手段として機能すると共に、前記障害が発生している間は、前記撮影手段によって時間的に前後して生成された画像情報間の差分が閾値を超えたときに、前記撮影手段によって生成された画像情報が前記記憶手段に記憶されるように制御する撮影制御手段と、を含んで構成されている。
【0049】
従って、大型化及びコストの増大を抑制しながら障害発生時において最も優先度の高い被写体を撮影して得た画像情報の喪失を防止することができると共に、障害が発生している間に記憶手段に記憶される画像情報の量を抑制しながらも被写体の変化を見落とさないようにすることができる。
【0050】
また、上記目的を達成するために、請求項13に記載の撮影装置は、被写体を撮影して画像情報を生成する撮影手段と、前記撮影手段で生成した画像情報を送信する送信手段と、前記画像情報が記憶可能な記憶手段と、前記送信手段による送信先に所定の障害が発生している間は、撮影時期に応じて予め定められた周期で撮影されるように前記撮影手段を制御すると共に、前記撮影手段によって生成された画像情報が前記記憶手段に記憶されるように制御する制御手段と、を含んで構成されている。
【0051】
従って、大型化及びコストの増大を抑制しながら障害発生時において最も優先度の高い被写体を撮影して得た画像情報の喪失を防止することができると共に、重要度の高い期間において被写体の状態をきめ細かく把握することができ、かつ重要度の低い期間において記憶手段に記憶される画像情報の量を少なくすることができる。
【0052】
また、上記目的を達成するために、請求項14に記載の撮影方法は、各々被写体を撮影して生成された画像情報が記憶可能な記憶手段が設けられ、何れかの撮影装置の優先度が他の撮影装置の優先度より高く、優先度が最も高い最優先撮影装置で生成された画像情報が他の撮影装置に設けられた記憶手段に記憶可能に、前記最優先撮影装置と前記他の撮影装置とが接続された複数の撮影装置により画像情報を通信手段を介して外部装置に送信し、前記通信手段及び前記外部装置の少なくとも一方に障害が発生している間は、前記最優先撮影装置によって生成された画像情報が該最優先撮影装置に設けられた前記記憶手段に記憶されるように制御し、該最優先撮影装置に設けられた前記記憶手段に記憶された画像情報の量が所定量に達した場合、該最優先撮影装置で生成された画像情報が前記他の撮影装置に設けられた前記記憶手段に記憶されるように制御するものである。従って、大型化及びコストの増大を抑制しながら障害発生時において最も優先度の高い被写体を撮影して得た画像情報の喪失を防止することができる。
【発明の効果】
【0053】
本発明によれば、大型化及びコストの増大を抑制しながら障害発生時において最も優先度の高い被写体を撮影して得られた画像情報の喪失を防止することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】監視システムの構成を示す構成図である。
【図2】ステータス・テーブルの構成を示す模式図である。
【図3】データベースの構成を示す模式図である。
【図4】第1の画像データ取得後処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】第1〜3の送信処理サブルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】第2の画像データ取得後処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】第3の画像データ取得後処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】監視先システム全体の処理の流れを示すシーケンス図である。
【図9】従来の撮影システムの構成を示す構成図である。
【図10】従来のIPカメラの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の一例について詳細に説明する。なお、本実施形態では、本発明に係る撮影システムを、ATMが設置された金融機関の施設内を複数のIPカメラで撮影することによって監視する監視システムに適用した場合を例に挙げて説明する。また、図9に示す撮影システム500及び図10に示すIPカメラ512と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
図1には、本実施形態に係る監視システム10の構成の一例が示されている。同図に示されるように、監視システム10は、図9に示す撮影システム500と比べ、DVRシステム506を除いた点、及び監視先システム502に代えて監視先システム12を適用した点のみが異なっている。
【0057】
監視先システム12は、図9に示す撮影システム502と比べ、IPカメラ512,514,516に代えてIPカメラA〜C(以下、区別して説明する必要がない場合は末尾に符号を付さずに「IPカメラ」という。)を適用した点のみが異なっている。なお、本実施形態に係る監視システム10では、IPカメラAは、ATMの設置箇所を含む周辺領域を被写体として撮影し、IPカメラBは、夜間通用口を被写体として撮影し、IPカメラCは、駐車場を被写体として撮影しており、最優先度の高い被写体をATMの設置箇所を含む周辺領域とし、次に優先度の高い被写体を夜間通用口とし、最も優先度の低い被写体を駐車場とした。
【0058】
IPカメラAの構成部品は図10に示すIPカメラ512の構成部品と同一であるが、IPカメラAは、図10に示すIPカメラ512と比べ、ROM546に後述する第1の画像データ取得後処理プログラム、第1の送信処理サブルーチン及び上書き処理プログラムが予め記憶されている点、及びNVM550の記憶領域が後述するステータス・テーブル20が予め記憶されたテーブル記憶領域と、後述するデータベースが記憶されるデータベース記憶領域と、IPカメラAによって撮影して得られたデジタル画像データが記憶される画像データ記憶領域αと、その他のデータが記憶される記憶領域とに区分けされている点のみが異なっている。
【0059】
また、IPカメラBの構成部品はIPカメラ514の構成部品と同一であるが、IPカメラ514と比べ、ROM546に後述する第2の画像データ取得後処理プログラム及び第2の送信処理サブルーチンが予め記憶されている点、及びNVM550の記憶領域が後述するステータス・テーブル20が予め記憶されたテーブル記憶領域と、IPカメラBによって撮影して得られたデジタル画像データが記憶される主記憶領域及びIPカメラAによって撮影して得られたデジタル画像データが記憶される副記憶領域を有する画像データ記憶領域βと、その他のデータが記憶される記憶領域とに予め区分けされている点のみが異なっている。
【0060】
更に、IPカメラCの構成部品はIPカメラ516の構成部品と同一であるが、IPカメラ516と比べ、ROM546に後述する第3の画像データ取得後処理プログラムが予め記憶されている点、及びNVM550の記憶領域が後述するステータス・テーブル20が予め記憶されたテーブル記憶領域と、IPカメラAによって撮影して得られたデジタル画像データが記憶される画像データ記憶領域γと、その他のデータが記憶される記憶領域とに区分けされている点のみが異なっている。なお、以下では、画像データ記憶領域α〜γを区別して説明する必要がないときは末尾に符号を付さずに「画像データ記憶領域」と称する。
【0061】
図2には、IPカメラA〜Cの各々のNVM550のテーブル記憶領域に予め記憶されたステータス・テーブル20の一例が示されている。
【0062】
同図に示されるように、ステータス・テーブル20は、IPカメラA〜Cの各々の名称を示すIPカメラ情報と、IPカメラA〜Cの各々のIPアドレスと、IPカメラA〜Cの各々の撮影対象としての被写体の優先度と、IPカメラA〜Cの各々で撮影して得たデジタル画像データが自身のNVM550に記憶可能な容量を示す自領域情報と、NVM550の画像データ記憶領域においてIPカメラAで撮影されて得られたデジタル画像データが記憶可能な空き領域の容量を示す空き領域情報と、その空き領域のNVM550の画像データ記憶領域内での書き込み開始点のアドレスを示す開始アドレスと、NVM550の画像データ記憶領域においてIPカメラAで撮影されて得られたデジタル画像データが現時点で記憶されている記憶領域(画像データ記憶領域α〜γ)の使用容量を示す使用領域情報と、がIPカメラA〜Cの各々に対応付けられて構成されている。
【0063】
本実施形態では、ステータス・テーブル20の一例として、IPカメラAに対しては、IPアドレスとして「1.1.1.1」が、優先度として「2」が、自領域情報として「1GB」が、空き領域情報として「0GB」が、使用領域情報のデフォルト値として「0GB」が各々付与され、IPカメラBに対しては、IPアドレスとして「1.1.1.2」が、優先度として「1」が、自領域情報として「0.5GB」が、空き領域情報として「0.5GB」が、開始アドレスとして「3333333」が、使用領域情報のデフォルト値として「0GB」が各々付与され、IPカメラCに対しては、IPアドレスとして「1.1.1.3」が、優先度として「0」が、自領域情報として「0GB」が、空き領域情報として「1GB」が、開始アドレスとして「1111111」が、使用領域情報のデフォルト値として「0GB」が各々付与された例が挙げられている。
【0064】
また、ステータス・テーブル20には、IPカメラA〜Cの各々に関する情報が含まれているが、IPカメラA〜Cの各々において、ステータス・テーブル20のIPカメラA〜Cの何れに関する情報を指定するかは、例えば、IPカメラA〜Cの各々に設けられたディップ・スイッチ(図示省略)を操作することによって決定することができる。なお、以下では、IPカメラAが所有しているステータス・テーブル20であって、IPカメラAのディップ・スイッチが操作されることによって、IPカメラAに関する項目だけが有効化(使用可能な項目として指定)され、それ以外の項目が無効化(使用不可能な項目として指定)されたステータス・テーブル20をステータス・テーブル20Aと称し、IPカメラBが所有しているステータス・テーブル20であって、IPカメラBのディップ・スイッチが操作されることによって、IPカメラBに関する項目だけが有効化(使用可能な項目として指定)され、それ以外の項目が無効化(使用不可能な項目として指定)されたステータス・テーブル20をステータス・テーブル20Bと称し、IPカメラCが所有しているステータス・テーブル20であって、IPカメラCのディップ・スイッチが操作されることによって、IPカメラCに関する項目だけが有効化(使用可能な項目として指定)され、それ以外の項目が無効化(使用不可能な項目として指定)されたステータス・テーブル20をステータス・テーブル20Cと称する。
【0065】
図3には、IPカメラAにおけるNVM550のデータベース記憶領域に記憶されるデータベース30の一例が示されている。
【0066】
データベース30は、記憶先アドレス情報、識別情報、及び撮影時期情報を含んで構成されている。記憶先アドレス情報は、デジタル画像データが記憶されたIPカメラのIPアドレスを示す情報である。識別情報は、IPカメラAによってデジタル画像データが生成された際にそのデジタル画像データを識別可能にするための情報であり、この情報はデジタル画像データ毎に付与される固有の情報である。なお、ここでは、識別情報として画像ファイル名を適用しているが、これに限らず、デジタル画像データを識別可能にする他のユニークな情報であってもよい。撮影時期情報は、デジタル画像データに対応する撮影時期(例えば、年月日及び撮影時刻)を示す情報であり、この情報はデジタル画像データを生成した際にデジタル画像データ毎に付与される固有の情報である。データベース30には、IPカメラAで撮影されて得られたデジタル画像データが記憶されたIPカメラのIPアドレスを示す記憶先アドレス情報と、この記憶先アドレス情報により示されるIPカメラに記憶されたデジタル画像データを識別する識別情報と、この識別情報によって識別されるデジタル画像データに対応する撮影時期を示す撮影時期情報とが対応付けられた状態で先頭から時系列順に書き込まれる。
【0067】
次に、本実施形態に係る監視システム10の作用を説明する。
【0068】
監視システム10では、IPカメラA〜Cが各々撮影して得たデジタル画像データを監視元システム504に送信する。監視元システム504は、監視先システム12から送信されたデジタル画像データを受信し、受信したデジタル画像データを時系列で蓄積サーバ560の所定の記憶領域に蓄積し、閲覧端末装置562からの要求に応じて閲覧端末装置562に対して、現時点で蓄積されているデジタル画像データを提供する。
【0069】
また、監視システム10では、IPカメラAのCPU544が、所定周期で蓄積サーバ560との間でIP通信網508を介して所定信号の授受を行うことにより、IP通信網508及び監視元システム504の少なくとも何れかにおいて、監視先システム12のIPカメラA〜Cの各々によって撮影して得られたデジタル画像データの送受信を不可能にする障害やデジタル画像データの送受信に悪影響を及ぼす可能性の高い障害などの監視先システム12と監視元システム504との間で通信を行う上で好ましくない所定の障害(以下、「ネットワーク障害」という。)が発生しているか否かを判定している。また、IPカメラAは、「ネットワーク障害」が発生したか否かを示すネットワーク障害情報をIPカメラB及びCに対して送信する。IPカメラB及びCは、IPカメラAから送信されたネットワーク障害情報を受信し、受信したネットワーク障害情報に基づいて「ネットワーク障害」の発生の有無を判定する。
【0070】
ところで、監視システム10でネットワーク障害が発生した場合、IPカメラA〜Cの各々によって撮影して得られたデジタル画像データをIP通信網508を介して監視元システム504に送り届けることができなくなる。これによって最も優先度の高い被写体の監視ができなくなってしまうことは好ましいことではない。
【0071】
そこで、ネットワーク障害の発生に備えて、IPカメラAでは第1の画像データ取得後処理が、IPカメラBでは第2の画像データ取得後処理が、IPカメラCでは第3の画像データ取得後処理が各々実行される。
【0072】
次に、図4を参照して、第1の画像データ取得後処理を実行する際のIPカメラAの作用を説明する。なお、図4は、IPカメラAで撮影を行ってCPU544がデジタル画像データを取得した際にCPU544によって実行される第1の画像データ取得後処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。また、ここでは、錯綜を回避するために、データベース30に記憶先アドレス情報、識別情報及び撮影時期情報が未だに記憶されていない場合であって、かつステータス・テーブル20Aの使用領域情報により示される使用容量として小数点第2位以下を切り上げた値を適用した場合を例に挙げて説明する。更に、以下では、錯綜を回避するために、IPカメラAのCPU544をCPU554Aと称し、IPカメラBのCPU544をCPU554Bと称し、IPカメラCのCPU544をCPU554Cと称する。
【0073】
同図のステップ100では、ネットワーク障害が発生した否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ102へ移行し、ステータス・テーブル20Aにおいて使用領域情報により示される使用容量が自領域情報により示される容量に達しているか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ104へ移行する一方、否定判定となった場合にはステップ110へ移行する。
【0074】
ステップ104では、後述する第2の画像データ取得後処理によってIPカメラBから送信される容量情報(ステータス・テーブル20Bにおいて使用領域情報により示される使用容量が副記憶領域の未使用時の空き容量として予め定められた空き領域情報により示される容量に達したか否かを示す情報)及び第3の画像データ取得後処理によってIPカメラCから送信される容量情報(ステータス・テーブル20Cにおいて使用領域情報により使用容量が空き領域情報により示される容量に達したか否かを示す情報)の受信待ちを行う。本ステップ104では、容量情報を受信すると、肯定判定となってステップ106へ移行する。
【0075】
ステップ106では、上記ステップ104で受信した容量情報によりIPカメラBの副記憶領域及びIPカメラCの画像データ記憶領域γの何れにも空き領域がないか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ108へ移行し、ステータス・テーブル20A〜Cの使用領域情報を何れも「0GB」にリセットした後、ステップ110へ移行する。なお、本ステップ108では、IPカメラB及びCに対しては、ステータス・テーブル20B及び20Cの使用領域情報を「0GB」にリセットすることを要求するリセット要求信号を送信することによりIPカメラBのCPU544B及びIPカメラCのCPU544Cに対してリセットを実行させる。
【0076】
ステップ110では、デジタル画像データをIPカメラAの画像データ記憶領域αに記憶した後、ステップ112へ移行する。
【0077】
なお、本ステップ110では、ステータス・テーブル20Aにおいて使用領域情報により示される使用容量が自領域情報により示される容量に達していない限り、画像データ記憶領域αにデジタル画像データを時系列順に記憶する。また、画像データ記憶領域αに空き容量がない場合であっても、ステータス・テーブル20Aにおいて使用領域情報により示される使用容量が自領域情報により示される容量に達していない限り、現時点で画像データ記憶領域αに記憶されている最も過去のデジタル画像データを消去して最新のデジタル画像データを記憶する(画像データ記憶領域αに記憶されている最も過去のデジタル画像データがなくなるように画像データ記憶領域αに最新のデジタル画像データを上書きする)。
【0078】
ステップ112では、上記ステップ110で画像データ記憶領域αに記憶されたデジタル画像データに関する識別情報、撮影時期情報、及び記憶先アドレス情報を対応付けてデータベース30に時系列に沿って書き込むことによりデータベース30の内容を更新すると共に、上記ステップ110で画像データ記憶領域αに記憶されたデジタル画像データのデータ量をステータス・テーブル20Aの現時点の使用領域情報により示される使用容量に加算することにより使用領域情報を更新した後、本第1の画像データ取得後処理プログラムを終了する。なお、本ステップ112では、画像データ記憶領域αに最新のデジタル画像データが上書きされた場合、これによって画像データ記憶領域αで消去されたデジタル画像データに関する識別情報、撮影時期情報、及び記憶先アドレス情報を、画像データ記憶領域αに上書きされた最新のデジタル画像データに関する識別情報、撮影時期情報、及び記憶先アドレス情報に置き換えることによりデータベース30の内容を更新する。
【0079】
一方、ステップ106において否定判定となった場合にはステップ114へ移行する。ステップ114では、上記ステップ106でIPカメラBの副記憶領域及びIPカメラCの画像データ記憶領域γの何れにも空き容量があると判定された場合及びIPカメラCの画像データ記憶領域γにのみ空き容量があると判定された場合にはIPカメラCに対してデジタル画像データを送信し、IPカメラBの副記憶領域にのみ空き容量があると判定された場合にはIPカメラBに対してデジタル画像データを送信した後、ステップ116へ移行する。
【0080】
ステップ116では、上記ステップ114の処理によって送信されたデジタル画像データに関する識別情報、撮影時期情報、及び記憶先アドレス情報を対応付けてデータベース30に時系列に沿って書き込むことによりデータベース30の内容を更新した後、本第1の画像データ取得後処理プログラムを終了する。なお、本ステップ116では、上記ステップ114の処理によって送信された送信先のIPカメラの画像データ記憶領域に最新のデジタル画像データが上書きされた場合、これによって画像データ記憶領域で消去されたデジタル画像データに関する識別情報、撮影時期情報、及び記憶先アドレス情報を、画像データ記憶領域に上書きされた最新のデジタル画像データに関する識別情報、撮影時期情報、及び記憶先アドレス情報に置き換えることによりデータベース30の内容を更新する。
【0081】
一方、ステップ100において否定判定となった場合にはステップ118へ移行し、第1の送信処理サブルーチンを実行した後に本第1の画像データ取得後処理プログラムを終了する。
【0082】
図5は、CPU544Aによって実行される第1の送信処理サブルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【0083】
同図のステップ150では、蓄積サーバ560に対して送信要求情報の提供を要求するための通信(ポーリング)を行った後、ステップ152へ移行し、蓄積サーバ560から送信される送信要求情報を受信したか否かを判定する。ここで、蓄積サーバ560によって送信要求情報が送信され、送信要求情報を受信すると、肯定判定となってステップ154へ移行する一方、送信要求情報を受信しない場合にはステップ156へ移行し、所定条件(例えば、ステップ150の処理を実行してから所定時間経過した、との条件)を満足したか否かを判定し、肯定判定となった場合には本第1の送信処理サブルーチンを終了し、否定判定となった場合にはステップ152へ戻る。
【0084】
ステップ154では、データベース30に基づいて、IPカメラA〜Cの各NVM550を通じてIPカメラAで撮影して得たデジタル画像データが記憶されているか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ158へ移行し、最新のデジタル画像データを蓄積サーバ560に送信した後、本第1の送信処理サブルーチンを終了する
【0085】
一方、ステップ154において否定判定となった場合にはステップ160へ移行し、データベース30の撮影時期情報を参照して、IPカメラA〜Cの各NVM550を通じて最も過去のデジタル画像データ(撮影時期情報により示される撮影時期が最も過去のもの)を取得した後、ステップ162へ移行し、上記ステップ160で取得したデジタル画像データを蓄積サーバ560に送信すると共に、現時点で最新のデジタル画像データ(撮影して得られた最新のデジタル画像データ)を蓄積サーバ560に送信した後、ステップ154へ戻る。なお、上記ステップ160では、記憶先アドレス情報により示されるIPアドレスがIPカメラBを示している場合にはIPカメラBのCPU544Bを働かせてデジタル画像データを取得し、記憶先アドレス情報により示されるIPアドレスがIPカメラBを示している場合にはIPカメラCのCPU544Cを働かせてデジタル画像データを取得する。
【0086】
次に、図6を参照して、第2の画像データ取得後処理を実行する際のIPカメラBの作用を説明する。なお、図6は、IPカメラBで撮影を行ってCPU544Bがデジタル画像データを取得した際にCPU544Bによって実行される第2の画像データ取得後処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。また、ここでは、錯綜を回避するために、ステータス・テーブル20Bの使用領域情報により示される使用容量として小数点第2位以下を切り上げた値を適用した場合を例に挙げて説明する。
【0087】
同図のステップ200では、ネットワーク障害が発生した否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ202へ移行し、IPカメラBの主記憶領域に記憶されているデジタル画像データのデータ量が所定の閾値(例えば、0.5GB)に達しているか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ204へ移行し、現時点で取得しているデジタル画像データ(IPカメラBで撮影して得たデジタル画像データ)を消去した後、ステップ206へ移行する。
【0088】
ステップ206では、ステータス・テーブル20Bにおいて使用領域情報により示される使用容量が空き領域情報により示される容量(副記憶領域の未使用時の空き容量に相当)に達したか否かを示す容量情報をIPカメラAに送信した後、ステップ208へ移行する。
【0089】
一方、ステップ202において否定判定となった場合にはステップ210へ移行する。ステップ210では、主記憶領域にデジタル画像データを記憶した後、ステップ208へ移行する。
【0090】
ステップ208では、IPカメラAから送信されるリセット要求信号を受信したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ210へ移行する一方、否定判定となった場合にはステップ212へ移行する。
【0091】
ステップ210では、ステータス・テーブル20Bの使用領域情報を「0GB」にリセットした後、本第2の画像データ取得後処理プログラムを終了する。
【0092】
ステップ212では、IPカメラAから送信されるデジタル画像データを受信したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ214へ移行し、所定条件(例えば、ステップ206の処理を実行してから所定時間経過した、との条件)を満足したか否かを判定し否定判定となった場合にはステップ212に戻る一方、肯定判定となった場合には本第2の画像データ取得後処理プログラムを終了する。
【0093】
一方、ステップ212において肯定判定となった場合にはステップ216へ移行し、上記ステップ212で受信したデジタル画像データ(IPカメラAで撮影して得たデジタル画像データ)を副記憶領域に時系列順に記憶した後、ステップ218へ移行する。なお、本ステップ212では、ステータス・テーブル20Bにおいて使用領域情報により示される使用容量が空き領域情報により示される容量に達していない限り、副記憶領域にデジタル画像データを時系列順に記憶する。また、副記憶領域に空き容量がない場合であっても、ステータス・テーブル20Bにおいて使用領域情報により示される使用容量が空き領域情報により示される容量に達していない限り、現時点で副記憶領域に記憶されている最も過去のデジタル画像データを消去して最新のデジタル画像データを記憶する(副記憶領域に記憶されている最も過去のデジタル画像データがなくなるように副記憶領域に最新のデジタル画像データを上書きする)。
【0094】
ステップ218では、上記ステップ216で副記憶領域に記憶されたデジタル画像データのデータ量をステータス・テーブル20Bの現時点の使用領域情報により示される使用容量に加算することにより使用領域情報を更新した後、本第2の画像データ取得後処理プログラムを終了する。
【0095】
一方、ステップ200において否定判定となった場合にはステップ220へ移行し、第2の送信処理サブルーチンを実行した後、本第2の画像データ取得後処理プログラムを終了する。
【0096】
図5は、IPカメラBのCPU544Bによって実行される第2の送信処理サブルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【0097】
同図のステップ150Bでは、IPカメラAを介して蓄積サーバ560に対して送信要求情報の提供を要求するための通信(ポーリング)を行った後、ステップ152Bへ移行し、蓄積サーバ560から送信される送信要求情報をIPカメラAを介して受信したか否かを判定する。ここで、蓄積サーバ560によって送信要求情報が送信され、送信要求情報を受信すると、肯定判定となってステップ154Bへ移行する一方、送信要求情報を受信しない場合にはステップ156Bへ移行し、所定条件(一例として、ステップ150Bの処理を実行してから所定時間経過した、との条件)を満足したか否かを判定し、肯定判定となった場合には本第2の送信処理サブルーチンを終了し、否定判定となった場合にはステップ152Bへ戻る。
【0098】
ステップ154Bでは、副記憶領域にIPカメラAで撮影して得たデジタル画像データが記憶されているか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ158Bへ移行し、デジタル画像データをIPカメラAを介して蓄積サーバ560に送信した後、本第2の送信処理サブルーチンを終了する
【0099】
一方、ステップ154Bにおいて否定判定となった場合にはステップ160Bへ移行し、IPカメラAの指示に従って副記憶領域から最も過去のデジタル画像データ(撮影時期情報により示される撮影時期が最も過去のもの)を取得した後、ステップ162Bへ移行し、上記ステップ160Bで取得したデジタル画像データをIPカメラAを介して蓄積サーバ560に送信した後、ステップ154Bへ戻る。
【0100】
次に、図7を参照して、第3の画像データ取得後処理を実行する際のIPカメラCの作用を説明する。なお、図7は、IPカメラCで撮影を行ってCPU544Cがデジタル画像データを取得した際にCPU544Cによって実行される第3の画像データ取得後処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。また、ここでは、錯綜を回避するために、ステータス・テーブル20Cの使用領域情報により示される使用容量として小数点第2位以下を切り上げた値を適用した場合を例に挙げて説明する。
【0101】
同図のステップ250では、ネットワーク障害が発生した否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ252へ移行し、現時点で取得しているデジタル画像データ(IPカメラCで撮影して得たデジタル画像データ)を消去した後、ステップ254へ移行する。
【0102】
ステップ254では、ステータス・テーブル20Cにおいて使用領域情報により使用容量がステータス・テーブル20のIPカメラCに関する空き領域情報により示される容量(画像データ記憶領域γの未使用時の空き容量に相当)に達したか否かを示す容量情報をIPカメラAに送信した後、ステップ256へ移行する。
【0103】
ステップ256では、IPカメラAから送信されるリセット要求信号を受信したか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ258へ移行する一方、否定判定となった場合にはステップ260へ移行する。
【0104】
ステップ258では、ステータス・テーブル20Cの使用領域情報を「0GB」にリセットした後、本第3の画像データ取得後処理プログラムを終了する。
【0105】
ステップ260では、IPカメラAから送信されるデジタル画像データを受信したか否かを判定し、否定判定となった場合にはステップ262へ移行し、所定条件(例えば、ステップ254の処理を実行してから所定時間経過した、との条件)を満足したか否かを判定し否定判定となった場合にはステップ260に戻る一方、肯定判定となった場合には本第3の画像データ取得後処理プログラムを終了する。
【0106】
一方、ステップ260において肯定判定となった場合にはステップ264へ移行する。ステップ264では、上記ステップ260で受信したデジタル画像データ(IPカメラAで撮影して得たデジタル画像データ)を画像データ記憶領域γに時系列順に記憶した後、ステップ262へ移行する。なお、本ステップ264では、ステータス・テーブル20Cにおいて使用領域情報により示される使用容量が空き領域情報により示される容量に達していない限り、画像データ記憶領域γにデジタル画像データを時系列順に記憶する。また、画像データ記憶領域に空き容量がない場合であっても、ステータス・テーブル20Cにおいて使用領域情報により示される使用容量が空き領域情報により示される容量に達していない限り、現時点で画像データ記憶領域γに記憶されている最も過去のデジタル画像データを消去して最新のデジタル画像データを記憶する(画像データ記憶領域γに記憶されている最も過去のデジタル画像データがなくなるように画像データ記憶領域γに最新のデジタル画像データを上書きする)。
【0107】
ステップ266では、上記ステップ264で画像データ記憶領域γに記憶されたデジタル画像データのデータ量をステータス・テーブル20Cの現時点での使用領域情報により示される使用容量に加算することにより使用領域情報を更新した後、本第3の画像データ取得後処理プログラムを終了する。
【0108】
一方、ステップ250において否定判定となった場合にはステップ268へ移行し、第3の送信処理サブルーチンを実行した後、本第3の画像データ取得後処理プログラムを終了する。
【0109】
図5は、IPカメラCのCPU544Cによって実行される第3の送信処理サブルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【0110】
同図のステップ150Cでは、IPカメラAを介して蓄積サーバ560に対して送信要求情報の提供を要求するための通信(ポーリング)を行った後、ステップ152Cへ移行し、蓄積サーバ560から送信される送信要求情報をIPカメラAを介して受信したか否かを判定する。ここで、蓄積サーバ560によって送信要求情報が送信され、送信要求情報を受信すると、肯定判定となってステップ154Cへ移行する一方、送信要求情報を受信しない場合にはステップ156Cへ移行し、所定条件(一例として、ステップ150Cの処理を実行してから所定時間経過した、との条件)を満足したか否かを判定し、肯定判定となった場合には本第3の送信処理サブルーチンを終了し、否定判定となった場合にはステップ152Cへ戻る。
【0111】
ステップ154Cでは、IPカメラCにおける画像データ記憶領域γにIPカメラAで撮影して得たデジタル画像データが記憶されているか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ158Cへ移行し、デジタル画像データをIPカメラAを介して蓄積サーバ560に送信した後、本第3の送信処理サブルーチンを終了する
【0112】
一方、ステップ154Cにおいて否定判定となった場合にはステップ160Cへ移行し、IPカメラAの指示に従って、IPカメラCの画像データ記憶領域γから最も過去のデジタル画像データ(撮影時期情報により示される撮影時期が最も過去のもの)を取得した後、ステップ162Cへ移行し、上記ステップ160Cで取得したデジタル画像データをIPカメラAを介して蓄積サーバ560に送信した後、ステップ154Cへ戻る。
【0113】
次に、図8を参照して、上記第1〜3の画像データ取得後処理プログラムの実行により行われる監視先システム12全体の処理の流れを説明する。なお、図8は、監視先システム12におけるIPカメラA〜C間で行われる処理の流れを示すシーケンス図である。
【0114】
同図に示すように、IPカメラAは、撮影して得たデジタル画像データを画像データ記憶領域αに記憶し、IPカメラBは、撮影して得たデジタル画像データを画像データ記憶領域βの主記憶領域に記憶する。そして、IPカメラBは、主記憶領域の空き容量がなくなると、ステータス・テーブル20Bにおいて使用領域情報により示される使用容量が未だに空き領域情報により示される容量に達していないことを示す容量情報をIPカメラAに送信する。なお、この間、IPカメラCは、撮影してデジタル画像データを得る毎にそのデジタル画像データを消去すると共に、ステータス・テーブル20Cにおいて使用領域情報により示される使用容量が未だに空き領域情報により示される容量に達していないことを示す容量情報をIPカメラAに送信する。
【0115】
一方、IPカメラAは、ステータス・テーブル20Aにおいて使用領域情報により示される使用容量が自領域情報により示される容量に達すると、デジタル画像データを取得する毎にその取得したデジタル画像データをIPカメラCに送信する。IPカメラCは、IPカメラAから送信されたデジタル画像データを受信し、受信したデジタル画像データを画像データ記憶領域γに記憶すると共に、デジタル画像データを画像データ記憶領域γに記憶する毎にそのデータ量に応じてステータス・テーブル20Cの使用領域情報を更新する。IPカメラCは、ステータス・テーブル20Cにおいて使用領域情報により示される使用容量が空き領域情報により示される容量に達すると、ステータス・テーブル20Cにおいて使用領域情報により示される使用容量が空き領域情報により示される容量に達したことを示す容量情報をIPカメラAに送信する。
【0116】
IPカメラAは、IPカメラCから送信された容量情報を受信すると、デジタル画像データを取得する毎にその取得したデジタル画像データをIPカメラBに送信する。IPカメラBは、IPカメラAから送信されたデジタル画像データを受信し、受信したデジタル画像データを画像データ記憶領域βの副記憶領域に記憶すると共に、デジタル画像データを副記憶領域に記憶する毎にそのデータ量に応じてステータス・テーブル20の使用領域情報を更新する。IPカメラBは、ステータス・テーブル20Bにおいて使用領域情報により示される使用容量が空き領域情報により示される容量に達すると、ステータス・テーブル20Bにおいて使用領域情報により示される使用容量が空き領域情報により示される容量に達したことを示す容量情報をIPカメラAに送信する。これに応じて、IPカメラAは、ステータス・テーブル20Aの使用領域情報をリセットし、IPカメラB及びCに対してリセット要求信号を送信する。
【0117】
IPカメラB及びCは、IPカメラAから送信されたリセット要求信号に応じてステータス・テーブル20B及び20Cの使用領域情報をリセットする。
【0118】
一方、IPカメラAは、撮影して得たデジタル画像データを画像データ記憶領域αに上書きすると共に、デジタル画像データを上書きする毎にそのデータ量に応じてステータス・テーブル20Aにおいて使用領域情報を更新する。やがて、ステータス・テーブル20Aにおいて使用領域情報により示される使用容量が自領域情報により示される容量に達すると、デジタル画像データを取得する毎にその取得したデジタル画像データをIPカメラCに送信する。IPカメラCは、IPカメラAから送信されたデジタル画像データを受信し、受信したデジタル画像データを画像データ記憶領域γに上書きすると共に、デジタル画像データを画像データ記憶領域に上書きする毎にそのデータ量に応じてステータス・テーブル20Cの使用領域情報を更新する。IPカメラCは、ステータス・テーブル20Cにおいて使用領域情報により示される使用容量が空き領域情報により示される容量に達すると、ステータス・テーブル20CにおいてIPカメラCに関する使用領域情報により示される使用容量が空き領域情報により示される容量に達したことを示す容量情報をIPカメラAに送信する。
【0119】
IPカメラAは、IPカメラCから送信された容量情報を受信すると、デジタル画像データを取得する毎にその取得したデジタル画像データをIPカメラBに送信する。IPカメラBは、IPカメラAから送信されたデジタル画像データを受信し、受信したデジタル画像データを副記憶領域に上書きすると共に、デジタル画像データを副記憶領域に上書きする毎にそのデータ量に応じてステータス・テーブル20Bの使用領域情報を更新する。
【0120】
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る監視システム10は、ネットワーク障害が発生している間は、最も優先度の高い被写体を撮影して得たデジタル画像データを優先度の低い被写体を撮影するIPカメラに設けられた画像データ記憶領域に記憶しているので、大型化及びコストの増大を抑制しながら、ネットワーク障害が発生している間に最も優先度の高い被写体を撮影して得たデジタル画像データの喪失を防止することができる。
【0121】
上記実施形態では、所定周期で被写体を撮影する場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、障害が発生している間は上記の所定周期よりも長い周期で撮影を行うようにしてもよい。また、障害が発生している間の撮影時期に応じて予め定められた周期で撮影を行うようにしてもよい。例えば、下記の表1に示すように、通常時(ネットワーク障害が発生していないとき)は時間帯に拘らず1コマ/秒のフレームレートで撮影を行い、障害時(ネットワーク障害が発生したとき)の7時〜20時の時間帯は1コマ/4秒のフレームレートで撮影を行い、障害時の20時〜7時の時間帯は1コマ/2秒で撮影を行うようにしてもよい。この場合、7時〜20時の時間帯よりも20時〜7時の時間帯の方が犯罪が発生しやすいものと位置付けているため、犯罪が発生しやすい時間帯の映像をよりきめ細かく把握することができる。なお、このようなフレームレートの変更は、IPカメラA及びBのうちの少なくともIPカメラAに適用することが好ましい。
【0122】
【表1】

また、下記の表2に示すように、20時〜7時の時間帯は、撮影対象領域に動きがあった場合にのみ録画(デジタル画像データの画像データ記憶領域への記憶)を行うようにしてもよい。この場合、ネットワーク障害が発生している間の20時〜7時の時間帯において、IPカメラAによって時間的に前後して得られたデジタル画像データ間の差分が予め定められた値を超えたときに、撮影対象領域に動きがあったと判断し、その時点から所定期間だけ録画を行うようにしてもよい。なお、撮影対象領域に動きがあったと判断した場合、犯罪が発生している可能性が高いとみなし、フレームレートを通常時のフレームレート(例えば、1コマ/秒)に戻してもよいし、それ以外のフレームレートを採用してもよい。
【0123】
【表2】

また、時間帯に応じてフレームレートを変更することに限定する必要はなく、例えば、日時や季節などの他の条件に応じてフレームレートを変更することも可能である。
【0124】
また、上記実施形態では、監視先システム12を構成しているIPカメラとしてIPカメラA〜Cを例に挙げて説明したが、これに限らず、IPカメラは2台であってもよいし、4台以上であってもよい。なお、最も優先度の高い被写体を撮影して得たデジタル画像データを記憶するための記憶領域の容量は被写体の優先度が低いIPカメラほど大きくし、自身のIPカメラで撮影して得たデジタル画像データを記憶するための記憶領域の容量は被写体の優先度が低いIPカメラほど小さくすることが好ましい。これによって、ネットワーク障害が発生した場合、より優先度の高いデジタル画像データほど喪失を防止することができる。
【0125】
また、上記実施形態では、ステータス・テーブル20Aの使用領域情報により示される使用容量を1GBとした場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、使用領域情報により示される使用容量を0・8GBとしても良い。このように、使用領域情報は、自領域情報により示される容量以下の使用容量を示す情報であれば如何なる情報であってもよい。ステータス・テーブル20Bの使用領域情報については、空き領域情報により示される容量以下の使用容量を示す情報であれば如何なる情報であってもよい。また、ステータス・テーブル20Cの使用領域情報についてもステータス・テーブル20Bと同様に、空き領域情報により示される容量以下の使用容量を示す情報であれば如何なる情報であってもよい。
【0126】
また、上記実施形態では、IPカメラBの優先度とIPカメラCの優先度とを異なる値に設定したが、これに限らず、IPカメラBの優先度とIPカメラCの優先度とを同じ値に設定してもよい。
【0127】
また、上記実施形態では、IPカメラAのCPU544によって第1の画像データ取得後処理プログラムが実行される場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、監視先システム12にIPカメラA〜Cを制御する制御装置を更に設け、この制御装置によって第1の画像データ取得後処理プログラムが実行されるようにしてもよい。
【0128】
また、上記実施形態では、IPアドレスによりIPカメラA〜Cを特定し、画像ファイル名により格納された画像を管理するものとして説明しているが、IPアドレスに代えて、複数のカメラの格納領域に対して格納対象のカメラとその記憶領域の物理位置あるいは論理位置を示すアドレスを適用してもよい。この場合、例えば図3に示すアドレスの値は、上から下にかけて順に“1000001”、“1000010”、“1000011”のようにすればよい。この場合、先頭の3ビットにてカメラを特定し、残りのビットで画像の格納位置を特定している。
【0129】
また、上記実施形態では、IPカメラに内蔵されたNVM550にデジタル画像データを記憶する場合の形態例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、IPカメラに対して着脱自在なUSB(Universal Serial Bus)メモリや外付けHDDなどの外部記憶媒体にデジタル画像データを記憶するようにしてもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、LANケーブル510によってIPカメラA〜Cを相互に接続することによりIPカメラ間での通信を可能にする形態例を挙げて説明したが、これに限らず、例えば、無線LANやWi−Fi(登録商標)によってIPカメラ間で通信可能となるように構成してもよい。
【0131】
また、上記実施形態では、各種の処理プログラムがROMに予め記憶されている場合の形態例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、固定装置制御処理プログラムをCD−ROMやDVD−ROM、USBメモリなどのコンピュータによって読み取られる記録媒体に格納した状態で提供する形態を適用してもよいし、有線又は無線による通信手段を介して配信する形態を適用しても良い。
【符号の説明】
【0132】
A〜C IPカメラ
10 監視システム
12 監視先システム
544 CPU
550 NVM
560 蓄積サーバ
518,564 ルータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々被写体を撮影して生成された画像情報を通信手段を介して外部装置に送信すると共に、各々に前記画像情報が記憶可能な記憶手段が設けられ、何れかの撮影装置の優先度が他の撮影装置の優先度より高く、優先度が最も高い最優先撮影装置で生成された画像情報が他の撮影装置に設けられた記憶手段に記憶可能に、前記最優先撮影装置と前記他の撮影装置とが接続された複数の撮影装置と、
前記通信手段及び前記外部装置の少なくとも一方に障害が発生している間は、前記最優先撮影装置によって生成された画像情報が該最優先撮影装置に設けられた前記記憶手段に記憶されるように制御すると共に、該最優先撮影装置に設けられた前記記憶手段に記憶された画像情報の量が所定量に達した場合、該最優先撮影装置で生成された画像情報が前記他の撮影装置に設けられた前記記憶手段に記憶されるように制御する制御手段と、
を含む撮影システム。
【請求項2】
前記他の撮影装置に設けられた前記記憶手段は、対応する前記撮影装置で生成された画像情報が記憶可能な主記憶領域及び前記最優先撮影装置で生成された画像情報が記憶可能な副記憶領域を有し、
前記制御手段は、前記最優先撮影装置に設けられた前記記憶手段に記憶された画像情報の量が所定量に達した場合、前記最優先撮影装置で生成された画像情報が前記他の前記撮影装置に設けられた前記記憶手段の前記副記憶領域に記憶されるように制御する請求項1記載の撮影システム。
【請求項3】
前記他の撮影装置を複数設けて優先度を異ならせ、
前記主記憶領域の容量を、前記他の撮影装置の優先度が低くなるに従って小さくすると共に、前記副記憶領域の容量を、前記他の撮影装置の優先度が低くなるに従って大きくし、
前記制御手段は、前記最優先撮影装置に設けられた前記記憶手段に記憶された画像情報の量が所定量に達した場合、前記最優先撮影装置で生成された画像情報が、前記他の撮影装置の優先度の最も低い撮影装置の前記記憶手段から優先度の高い撮影装置の前記記憶手段にかけて順に前記副記憶領域に記憶されるように制御する請求項2記載の撮影システム。
【請求項4】
前記記憶手段の各々を上書き可能とし、
前記制御手段は、更に、前記最優先撮影装置で生成された画像情報が現時点で最も過去に記憶された画像情報に上書きされるように制御する請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の撮影システム。
【請求項5】
前記制御手段は、更に、前記障害が解消した場合、前記最優先撮影装置で生成された画像情報が前記通信手段を介して前記外部装置に送信されるように制御する共に、前記最優先撮影装置で生成された画像情報であって前記記憶手段の各々に記憶された画像情報が前記記憶手段の各々を通じて最も過去に記憶された画像情報から時系列に沿って前記通信手段を介して前記外部装置に送信されるように制御する請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の撮影システム。
【請求項6】
前記障害が発生している間、前記撮影装置によって生成された画像情報であって前記記憶手段に記憶される画像情報と該画像情報に関する撮影時期とを関連付ける関連付け手段を更に含む請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の撮影システム。
【請求項7】
前記最優先撮影装置は、指定された周期で撮影して画像情報を生成し、
前記制御手段は、更に、前記障害が発生している間は、前記周期に代えて、撮影時期に応じて予め定められた周期で撮影されるように前記最優先撮影装置を制御する請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の撮影システム。
【請求項8】
前記予め定められた周期を、前記障害が発生していないときの周期よりも長い周期とした請求項7記載の撮影システム。
【請求項9】
前記最優先撮影装置は、指定された周期で撮影して画像情報を生成し、
前記制御手段は、更に、前記障害が発生している間は、前記最優先撮影装置によって時間的に前後して生成された画像情報間の差分が閾値を超えたときに、前記最優先撮影装置によって生成された画像情報が前記記憶手段に記憶されるように制御する請求項1〜6の何れか1項に記載の撮影システム。
【請求項10】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の撮影システムに含まれる前記最優先撮影装置として機能する撮影装置であって、
被写体を指定された周期で撮影して画像情報を生成する撮影手段と、
前記制御手段として機能すると共に、前記障害が発生している間は、前記指定された周期に代えて、撮影時期に応じて予め定められた周期で撮影されるように前記撮影手段を制御する撮影制御手段と、
を含む撮影装置。
【請求項11】
前記予め定められた周期を、前記障害が発生していないときの周期よりも長い周期とした請求項10記載の撮影装置。
【請求項12】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の撮影システムに含まれる前記最優先撮影装置として機能する撮影装置であって、
被写体を指定された周期で撮影して画像情報を生成する撮影手段と、
前記制御手段として機能すると共に、前記障害が発生している間は、前記撮影手段によって時間的に前後して生成された画像情報間の差分が閾値を超えたときに、前記撮影手段によって生成された画像情報が前記記憶手段に記憶されるように制御する撮影制御手段と、
を含む撮影装置。
【請求項13】
被写体を撮影して画像情報を生成する撮影手段と、
前記撮影手段で生成した画像情報を送信する送信手段と、
前記画像情報が記憶可能な記憶手段と、
前記送信手段による送信先に所定の障害が発生している間は、撮影時期に応じて予め定められた周期で撮影されるように前記撮影手段を制御すると共に、前記撮影手段によって生成された画像情報が前記記憶手段に記憶されるように制御する制御手段と、
を含む撮影装置。
【請求項14】
各々被写体を撮影して生成された画像情報が記憶可能な記憶手段が設けられ、何れかの撮影装置の優先度が他の撮影装置の優先度より高く、優先度が最も高い最優先撮影装置で生成された画像情報が他の撮影装置に設けられた記憶手段に記憶可能に、前記最優先撮影装置と前記他の撮影装置とが接続された複数の撮影装置により画像情報を通信手段を介して外部装置に送信し、
前記通信手段及び前記外部装置の少なくとも一方に障害が発生している間は、前記最優先撮影装置によって生成された画像情報が該最優先撮影装置に設けられた前記記憶手段に記憶されるように制御し、
該最優先撮影装置に設けられた前記記憶手段に記憶された画像情報の量が所定量に達した場合、該最優先撮影装置で生成された画像情報が前記他の撮影装置に設けられた前記記憶手段に記憶されるように制御する撮影方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−49724(P2012−49724A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188770(P2010−188770)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】