説明

撮影システム及び撮影装置

【課題】ホワイトバランス調整をユーザ好みに容易にカスタマイズする。
【解決手段】デジタルカメラ10をパーソナルコンピュータ62に接続してメモリカード59から画像データD1をパーソナルコンピュータ62に取り込み、選択画像をディスプレイ63に表示する。パーソナルコンピュータ62を操作して選択画像の色合いの評価値を入力する。何らかの評価値が既に記憶されている測色データのうちいずれかと選択画像の測色データが一致する場合、測色データに対応付けされた過去の全評価値と選択画像の評価値とを加算平均し、得られた評価値でフラッシュメモリ48に記憶された補正パラメータを修正し、測色データに対応付けして記憶する。一致する測色データがない場合、選択画像の評価値で補正パラメータを修正し、評価値を測色データに対応付けして記憶する。撮影回数が増えるに従って補正パラメータが修正され、徐々に画像の色合いがユーザ好みになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮像して撮像信号を生成するとともに撮像信号のホワイトバランス補正を行なう撮影システム及び撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CCD型やCMOS型の固体撮像素子を用いて被写体を撮像(光電変換)し、得られた撮像信号をデジタルの画像データに変換してメモリカード等の記憶媒体に記憶するデジタルカメラやカメラ付き携帯電話などの撮影装置が普及している。このような撮影装置の多くは、カラーバランスの崩れをなくして被写体の色を正確に再現するために、ホワイトバランスを自動的に調整する機能(オートホワイトバランス機能)を備えている。
【0003】
このようなオートホワイトバランス機能を備えた撮影装置としては、撮影のための主撮像系とは別に補助撮像系を備え、この補助撮像系を用いて、焦点調整,露光調整,ホワイトバランス調整を行なうものが知られている(特許文献1)。一方、着脱式メモリカードを用い、ホワイトバランス調整機能なども含むファームウェアをアップデート可能な撮影装置が知られている(特許文献2)。
【特許文献1】特開平6−303486
【特許文献2】特開平7−274060
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像の善し悪しは、個人の好みで決定される場合が多い。ところが、上記特許文献1記載の撮影装置では、メーカーが提供する設定でしかホワイトバランスの調整を行なうことができないため、ユーザの好みを十分に反映した色合いの画像を撮影することができないという欠点がある。また、上記特許文献2記載の撮影装置では、ファームウェアをアップデートすれば、ホワイトバランスの調整もユーザ好みに修正できる可能性があるものの、ファームウェアを書き換えるという作業は、専門的な知識を必要とするため、一般のユーザが手軽に行なえるようなものではない。
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、ホワイトバランス調整をユーザ好みに容易にカスタマイズできる撮影システム及び撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮影システムは、被写体を撮像して画像を生成する撮像素子と、被写体の測色を行なう測色センサと、前記測色センサにより得られた測色データに基づいて補正パラメータを決定し、前記画像のホワイトバランスを調整するホワイトバランス調整回路とを備えた撮影装置と、前記撮影装置と着脱自在に電気的に接続され、前記ホワイトバランス調整回路によりホワイトバランス調整が行なわれた画像を表示する表示部と、前記表示部に表示された画像の色合いの評価値を入力可能とする入力部と、前記入力部からの評価値に基づき前記補正パラメータを変更する制御部とを備えた補正パラメータ変更装置とからなることを特徴とする。
【0007】
前記補正パラメータ変更装置は、前記入力部から入力された評価値を異なる測色データ毎に蓄積して記憶する記憶部を有し、前記制御部は、前記入力部から入力された評価値に基づき補正パラメータを変更する際に、当該画像の測色データが前記記憶部に評価値が記憶されている測色データのいずれかと同じ場合、当該測色データについて前記記憶部に記憶されている過去の評価値を加味した統計的処理により得られる評価値に基づいて補正パラメータを変更することを特徴とする。
【0008】
前記統計的処理は、前記入力部から入力された新たな評価値と過去の評価値の全てを加算平均することを特徴とする。また、前記測色センサは、複数個が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の撮影装置は、被写体を撮像して画像を生成する撮像素子と、被写体の測色を行なう測色センサと、前記測色センサにより得られた測色データに基づいて補正パラメータを決定し、前記画像のホワイトバランスを調整するホワイトバランス調整回路とを備えた撮影装置において、前記ホワイトバランス調整回路によりホワイトバランス調整が行なわれた画像を表示する表示部と、前記表示部に表示された画像の色合いの評価値を入力可能とする入力部と、前記入力部からの評価値に基づき前記補正パラメータを変更する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
前記入力部から入力された評価値を異なる測色データ毎に蓄積して記憶する記憶部を設け、前記測色センサにより新たに得られた測色データが前記記憶部に評価値が記憶されている測色データのいずれかと同じ場合、前記制御部は、前記測色データについて前記記憶部に記憶されている過去の評価値を加味した統計的処理により得られる評価値に基づいて補正パラメータを変更することを特徴とする。
【0011】
前記統計的処理は、前記入力部から入力された新たな評価値と過去の評価値の全てを加算平均することを特徴とする。また、前記測色センサは、複数個が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の撮影システム及び撮影装置によれば、ホワイトバランス調整回路によりホワイトバランス調整が行なわれた画像を表示部に表示し、この画像の色合いの評価値を入力することにより補正パラメータを変更するので、ホワイトバランス調整をユーザ好みに容易にカスタマイズできる。また、測色センサにより新たに得られた測色データが記憶部に評価値が記憶されている測色データのいずれかと同じ場合、過去の評価値を加味した統計的処理により得られる評価値に基づいて補正パラメータを変更するので、撮影回数が多くなるにつれて徐々にユーザの好みに近いホワイトバランス調整が行なわれるようになる。また、入力部から入力された新たな評価値と過去の評価値の全てを加算平均することとすると、ユーザの好みが反映された評価値を容易に得ることができる。また、測色センサを複数個設けると、被写体の色温度だけでなく、例えば被写体の上方部の色温度など、いわゆる環境色温度も加味したホワイトバランス調整を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の撮影装置であるデジタルカメラには、測色センサが設けられ、これから出力された測色データに基づいて撮像信号のホワイトバランスが調整される。撮像信号から得られるデジタルの画像データには、このホワイトバランス調整に使用された測色データが添付され、この画像データ及び測色データがメモリカードに記憶される。デジタルカメラをパーソナルコンピュータにケーブル接続して、メモリカードから画像データをパーソナルコンピュータに取り込み、画像をディスプレイに表示する。ユーザは、この画像の色合いを評価して、より自分好みとなるように、評価値を入力する。この評価値を含め過去に入力された評価値の加算平均値に基づいてデジタルカメラに記憶されている補正パラメータが修正される。これにより、徐々にユーザ好みの色合いが得られるようになる。以下、具体的に説明する。
【0014】
デジタルカメラ10の外観を示す図1において、デジタルカメラ10のカメラ本体11の前面には、沈胴式のズームレンズである撮影レンズ12、測色センサ13,及びストロボ発光部14が設けられている。なお、図示しないが、カメラ本体11の左手側には、メモリカード59(図3参照)を装着するためのカードスロットが設けられている。
【0015】
カメラ本体11の上面には、回転させることによりモードの切替を行うリング状のモード切換ダイヤル16,この中心部に設けられたシャッタボタン17,及び電源ボタン18が配設されている。
【0016】
シャッタボタン17は2段階式に構成され、軽く押して止める「半押し」の状態では自動焦点制御(AF)及び自動露出制御(AE)が作動してからAFとAEをロックし、「半押し」から更に押し込む「全押し」の状態で撮影が実行される。なお、カメラ本体11の背面には、ディスプレイ(LCD)53(図3参照)や各種の操作ボタンが設けられている。
【0017】
測色センサ13は、被写体の色温度を測定する。測色センサ13は、図2に示すように、半導体基板23に形成した3個のフォトダイオード24の上にR,G,Bフィルタ25〜27を被せ、各フォトダイオード24毎にフローティング・ディフュージョン(FD)キャパシタ28,ソース・フォロワ・アンプ29及びA/Dコンバータ30を設けたものである。
【0018】
Rフィルタ25を被せられたフォトダイオード24が被写体光を受けて信号電荷を出力すると、この信号電荷はFDキャパシタ28に蓄積され、蓄積電荷量に応じた信号電圧に変換される。この信号電圧がソース・フォロワ・アンプ29によって緩衝増幅されてからA/Dコンバータ30に入力される。A/Dコンバータ30は、信号電圧をデジタルの赤色成分の測色データに変換して後述するWBゲイン演算回路47(図3参照)に送る。
【0019】
同様に、Gフィルタ26を被せられたフォトダイオード24からの出力は緑色成分の測色データ、Bフィルタ27を被せられたフォトダイオード24からの出力は青色成分の測色データとしてWBゲイン演算回路47に送られる。
【0020】
デジタルカメラ10の電気的構成及び本発明の撮影システムを示す図3において、CPU35は、電源ボタン18を押圧操作することにより電源がオンにされると、フラッシュメモリ36に格納された制御プログラムをRAM37にロードして初期設定を行なう。この後、CPU35は、モード切換ダイヤル16,シャッタボタン17,電源ボタン18を含む操作部38から入力される各種の操作信号に応じて、データバス39を介してカメラ本体11の各部を制御する。
【0021】
撮影レンズ12は、焦点距離の変更(変倍)を行なう変倍レンズ及び焦点調節を行なうフォーカシングレンズを含むレンズ群と絞りとからなる。これらの移動はモータによって行なわれ、このモータは、CPU35に制御されるモータ駆動部41によって駆動される。
【0022】
撮影レンズ12の背後には、前述のCCDイメージセンサ(以下、単にCCDという)43が配置されている。CCD43は、受光面に二次元配列された複数の光電変換素子(フォトダイオード)を備え、撮影レンズ12を通過してその受光面に結像された被写体像を光電変換素子が光電変換する。CCD43は、各光電変換素子毎に受光量に応じた信号電荷を生成し、各信号電荷を電圧信号に変換することにより撮像信号を生成する。なお、CCD43には、R,G,Bのカラーフィルタが設けられており、撮像信号にはR,G,Bの色成分が含まれる。
【0023】
CCD43は、タイミングジェネレータ(TG)44から入力されるタイミング信号(クロックパルス)に基づいて制御される。スルー画表示の際には、CCD43からフィールド画(偶数フィールド又は奇数フィールド)の撮像信号が読み出され、CDS/AMP回路45に入力される。また、撮影時には、CCD43からフレーム画の撮像信号が読み出され、CDS/AMP回路45に入力される。
【0024】
CDS/AMP回路45は、相関二重サンプリング回路(CDS)と、増幅器(AMP)とからなる。CDSは、相関二重サンプリングを施すことにより、撮像信号に含まれるノイズを除去し、信号電荷の電荷量に正確に対応したR,G,Bの撮像信号を生成する。AMPは、撮像信号に含まれるR,G,Bの各色成分を増幅する。
【0025】
CDS/AMP回路45には、WBゲイン演算回路47が接続されている。WBゲイン演算回路47は、測色センサ13から入力される測色データに基づいて補正パラメータであるR,G,B成分の各ゲインを演算し(補正パラメータの決定)、得られた各ゲインをCDS/AMP回路45に送る。WBゲイン演算回路47によって測色データから決定された補正パラメータは、フラッシュメモリ48に記憶される。
【0026】
CDS/AMP回路45のAMPは、撮像信号のR,G,Bの各色成分にWBゲイン演算回路47から入力された各ゲインを乗算して撮像信号のホワイトバランスを調整する。
【0027】
データバス39には、CPU35,CDS/AMP回路45の他、A/D変換器46,画像信号処理回路50,圧縮伸長処理回路51,ビデオエンコーダ52,SDRAM53,メディアコントローラ54,AE/AF検出回路55が接続されている。CPU35には、操作部38,フラッシュメモリ33,RAM34の他、ストロボ発光部14を発光させるストロボ装置56が接続されている。
【0028】
CDS/AMP回路45から出力された撮像信号は、A/D変換器46によりデジタルの画像データに変換された後、画像信号処理回路50に送られる。画像信号処理回路50は、画像データに対して、階調変換、γ補正処理などの各種画像処理と、YC変換処理とを施す。撮影モード下で撮影処理が実行される前には、画像信号処理回路50に入力されたスルー画の画像データ(フィールド画)は、簡易な画像処理とYC変換処理とが施されてSDRAM53に一時的に書き込まれる。
【0029】
SDRAM53には、連続した2フィールド画分を記憶するスルー画用のメモリ領域があり、一方から読み出し中に、他方に書き込みをする。ビデオエンコーダ52は、SDRAM53に書き込まれた画像データをコンポジット信号に変換し、LCD58にスルー画像として表示する。
【0030】
また、撮影処理が実行されたときには、画像信号処理回路50に入力されたフレーム画の画像データは、本格的な画像処理とYC変換処理とが施され、SDRAM53に一時的にストアされた後、圧縮伸長処理回路51で圧縮処理が施されてから、メディアコントローラ54を介してメモリカード59に記憶される。このメモリカード59に記憶された画像データD1には、このホワイトバランス調整に使用された測色データC1が添付される。
【0031】
AE/AF検出回路55は、画像データに基づいて露出検出、焦点位置検出を行う。露出検出では、A/D変換器46から出力された画像データの輝度レベルを1画面分積算し、この積算値を露出情報として、データバス39を介してCPU35に出力する。焦点位置検出では、撮像信号から輝度レベルの高域成分のみを抽出して積算し、この積算値を焦点評価値として、CPU35に出力する。CPU35は、AE/AF検出回路55から入力された検出結果に基づいて、モータ駆動部41及びTG44を制御してシャッタ速度、絞り値を最適な値に調節する。
【0032】
フラッシュメモリ48及びメディアコントローラ54には、外部とデータの遣り取りを行なう例えばUSBのインターフェース60が接続されている。インターフェース60には、USBケーブル61を用いてパーソナルコンピュータ62が電気的に接続可能である。デジタルカメラ10をパーソナルコンピュータ62に接続した状態で、パーソナルコンピュータ62を操作するによって一般のユーザでも簡単にフラッシュメモリ48に記憶されている補正パラメータを書き換えることができる。
【0033】
パーソナルコンピュータ62には、補正パラメータを書き換えるための専用ソフトウエアがインストールされており、デジタルカメラ10をUSBケーブル61及びインターフェース60を介して接続すると、専用ソフトウエアが自動的に起動して、メモリカード59に記憶されている全ての画像データを読み込む。これにより、パーソナルコンピュータ62に接続されたディスプレイ63の画面に、図4(A)に示すように、読み込まれた画像データの画像がサムネール表示される。
【0034】
このサムネール表示された画像から所望の画像を選択すると、同図(B)に示すように、その選択画像64がディスプレイ63に拡大表示されるとともに、選択画像64の右側には、カラー調整パネル65が表示される。カラー調整パネル65には、上から下に向かって「赤強」,「青強」,「GOOD」,「赤弱」,「青弱」の文字が順次に配列されており、各右横にラジオボタンが付設されている。
【0035】
ユーザは、選択画像64を観察して、その色合いを評価し、例えば選択画像64の色合いが自分好みであると思ったら、マウス66を操作して「GOOD」の右側にあるラジオボタンにカーソル67を合わせてクリックする。また、例えば選択画像64の赤味を強くした方がよりよいと思う場合には、「赤強」の右側にあるラジオボタンをクリックする。このクリック操作に連動してディスプレイ63に表示された選択画像64の色合いが変化する。
【0036】
ユーザは、選択画像64の色合いの変化を観察して、これでよいと思ったら、キーボード68のエンターキーを押すか、マウス66を操作して画面上の決定キー69をクリックする。これにより、パーソナルコンピュータ62の専用ソフトウエアにより、選択画像64の色合いの評価値がパーソナルコンピュータ62のハードディスク70に形成されたフォルダ71(図5参照)に記憶されるとともに、USBケーブル61及びインターフェース60を介して、フラッシュメモリ48に記憶されている補正パラメータが評価値に基づいて修正される。
【0037】
選択画像64の色合いの評価値は、「赤強」,「青強」,「GOOD」,「赤弱」,「青弱」に対して、それぞれ例えば「4」,「−4」,「1」,「2」,「−2」と決められており、図5に示すように、各画像の測色データに対応付けされる。以降、異なる測色データ毎に評価値が撮影日順に蓄積して記憶される。
【0038】
次回以降に撮影された新たな選択画像をディスプレイ63に表示し、カラー調整パネル65のいずれかのラジオボタンをクリックしてから決定キー69をクリックすると、専用ソフトウエアは、新たな選択画像の測色データが、フォルダ71になんらかの評価値が既に記憶されている測色データのうちいずれかと一致するか否か調べる。
【0039】
一致する測色データがある場合、その測色データに対応付けして記憶されている全ての評価値(例えば測色データの値が「15」の場合、評価値は「1」,「2」,「1」,・・・)と新たな選択画像に対して入力された評価値とを加算平均し、得られた評価値に基づいてフラッシュメモリ48に記憶されている補正パラメータを修正するとともに、フォルダ71の同じ測色データに対応付けして記憶する。
【0040】
一致する測色データがない場合、新たな選択画像に対して入力された評価値を選択画像の測色データに対応付けして記憶するとともに、その評価値に基づいてフラッシュメモリ48に記憶されている補正パラメータを修正する。
【0041】
このように構成された撮影システムの作用について図6に示すフローチャートを参照して説明する。デジタルカメラ10は撮影モードにセットされているものとする。CCD43からフィールド画の撮像信号が読み出され(st1)、CDS/AMP回路45に入力される。一方、WBゲイン演算回路47には、測色センサ13から被写体の測色データが入力される。
【0042】
WBゲイン演算回路47は、測色センサ13から入力された測色データに基づいて補正パラメータ(R,G,B成分の各ゲイン)を決定し(st2)、これをCDS/AMP回路45に入力する。CDS/AMP回路45のAMPは、WBゲイン演算回路47から入力された各ゲインを用いて撮像信号の各色成分を増幅することにより、ホワイトバランス調整を行なう(st3)。このホワイトバランス調整は、フィールド画の撮像信号が読み出される毎に繰り返し行なわれる。
【0043】
ホワイトバランス調整が終わった撮像信号はA/D変換器46でデジタルの画像データに変換されてから画像信号処理回路50に入力される。画像データは、画像信号処理回路50で各種の処理を施された後、SDRAM53に一時的に格納された後、スルー画としてLCD58に表示される(st4)。
【0044】
シャッタボタン17を全押し操作すると(st5)、CCD43からフレーム画の撮像信号が読み出される(st6)。WBゲイン演算回路47は、シャッタボタン17の全押しと同時に測色センサ13から入力された測色データに基づいて補正パラメータを決定し(st7)、これをCDS/AMP回路45に入力するとともにフラッシュメモリ48に記憶する。
【0045】
フレーム画の撮像信号は、CDS/AMP回路45でR,G,B信号に変換されてから、WBゲイン演算回路47から入力された補正パラメータ(R,G,B成分の各ゲイン)により個別に増幅されてホワイトバランス調整が行なわれる(st8)。なお、各ゲインの算出に撮像信号を用いないから、高速に各ゲインを算出でき、シャッタボタン17の全押し時の被写体光の色温度をリアルタイムに反映したホワイトバランス調整を行なうことができる。
【0046】
ホワイトバランス調整が施された撮像信号は、A/D変換器46でデジタルの画像データに変換され、画像信号処理回路50に送られる。画像信号処理回路50で各種の処理を施された画像データは、SDRAM53に一時的に格納された後、圧縮伸長処理回路51で圧縮処理され、メディアコントローラ54によりメモリカード59に記憶される(st9)。メモリカード59に記憶された画像データD1には、このホワイトバランス調整に使用された測色データC1が添付され、1個の画像ファイルとされる。
【0047】
デジタルカメラ10による撮影が終了したら(st10)、インターフェース60を介してデジタルカメラ10とパーソナルコンピュータ62とをUSBケーブル61で接続する(st11)。パーソナルコンピュータ62に予めインストールされている専用ソフトウエアが起動し、メモリカード59内に記憶されている画像データが読み込まれてディスプレイ63にサムネール表示される。この中から、ユーザが所望の画像を選択すると、選択画像64がディスプレイ63に大きく表示される(st12)とともに、その右側にカラー調整パネル65が表示される。
【0048】
ユーザは、選択画像64を観察して色合いを評価し、自分の好みに合う色合いになるように、右側のカラー調整パネル65に配列されているラジオボタンをクリックする。例えば「青弱」のラジオボタンをクリックすると、選択画像64の青味が弱くなり、「赤強」のラジオボタンをクリックすると、選択画像64の赤味が強くなる。
【0049】
ユーザは、「赤強」のラジオボタンをクリックした場合の選択画像64の色合いが好ましいと感じたら、決定キー69をクリックする(st13)。これにより、専用ソフトウエアは、選択画像64の測色データが、フォルダ71になんらかの評価値が既に記憶されている測色データのうちいずれかと一致するか否かを調べる(st14)。
【0050】
一致する測色データがある場合(st14)、その測色データに対応付けして記憶されている全ての評価値と選択画像64に対して入力された評価値とを加算平均し(st15)、得られた評価値に基づいてフラッシュメモリ48に記憶されている補正パラメータを修正する(st16)とともに、フォルダ71の同じ測色データに対応付けして記憶する(st17)。
【0051】
一致する測色データがない場合(st14)、選択画像64に対して入力された評価値に基づいてフラッシュメモリ48に記憶されている補正パラメータを修正する(st16)とともに、その評価値を選択画像64の測色データに対応付けして記憶する(st17)。
【0052】
このようにして新たな画像を撮影する度にデジタルカメラ10をパーソナルコンピュータ62に接続して補正パラメータを修正してゆくから、撮影回数が増えるに従って徐々に画像の色合いがユーザ好みになる。
【0053】
次に、本発明の撮影装置であるデジタルカメラ72を示す図7において、デジタルカメラ72は、パーソナルコンピュータを接続することなく、単体でユーザ好みのホワイトバランス調整を行なうものである。なお、上記デジタルカメラ10と同じ部材には、同じ符号を付し、説明を省略する。
【0054】
デジタルカメラ72では、デジタルカメラ10からインターフェース60を省略し、フラッシュメモリ48がデータバス39に接続され、CPU35がパーソナルコンピュータ62と同様の役目を果たす。このため、フラッシュメモリ33には、パーソナルコンピュータ62にインストールされている専用ソフトウエアと同様のソフトウエアが記憶されており、モード切換ダイヤル16を操作して、「色合い変更モード」にセットすると、フラッシュメモリ33からRAM34にロードされ、CPU35により実行される。
【0055】
「色合い変更モード」にセットされると、ビデオエンコーダ52はメモリカード59から画像データを読み込み、タッチパネル機能を有するLCD73に画像をサムネール表示する。このうち1つの画像を選択してタッチすると、選択画像64がLCD73に拡大表示されるとともに、その右側にカラー調整パネル65が表示される。
【0056】
ユーザは、選択画像64の色合いを評価し、自分の好みに合う色合いになるように、右側のカラー調整パネル65に配列されているラジオボタンをスタイラスペン等でタッチする。例えば、「青強」のラジオボタンをタッチしてから、決定キー69をタッチすると、RAM34にロードされた専用ソフトウエアが実行され、「青強」の評価値に基づいてフラッシュメモリ48に記憶されている補正パラメータが修正されるとともに、「青強」の評価値が測色データ毎にフラッシュメモリ33に記憶される。
【0057】
以上説明した実施形態では、有線(USBケーブル)でデジタルカメラとパーソナルコンピュータとを接続したが、本発明はこれに限定されることなく、例えば無線LANを用いて接続するようにしてもよい。
【0058】
上記実施形態では、測色センサを1個だけとしたが、本発明はこれに限定されることなく、例えば2個や3個としてもよい。例えば2個とした場合、1個の測色センサは、被写体の中央部を測色し、他の1個の測色センサは、被写体の上方を測色するようにするのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明のデジタルカメラの外観を示す斜視図である。
【図2】測色センサの構成を示す説明図である。
【図3】デジタルカメラの電気的な構成及び撮影システムを示すブロック図である。
【図4】パーソナルコンピュータの概略を示す説明図である。
【図5】異なる測色データ毎に対応付けされて記憶された評価値の例を示す説明図である。
【図6】撮影システムの主なシーケンスを示すフローチャートである。
【図7】別の実施形態であるデジタルカメラの電気的な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0060】
10,72 デジタルカメラ
13 測色センサ
33,48 フラッシュメモリ
35 CPU
43 CCD
45 CDS/AMP
47 WBゲイン演算回路
59 メモリカード
60 インターフェース
62 パーソナルコンピュータ
63 ディスプレイ
64 選択画像
65 カラー調整パネル
70 ハードディスク
71 フォルダ
73 LCD
D1 画像データ
C1 測色データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して画像を生成する撮像素子と、被写体の測色を行なう測色センサと、前記測色センサにより得られた測色データに基づいて補正パラメータを決定し、前記画像のホワイトバランスを調整するホワイトバランス調整回路とを備えた撮影装置と、
前記撮影装置と着脱自在に電気的に接続され、前記ホワイトバランス調整回路によりホワイトバランス調整が行なわれた画像を表示する表示部と、前記表示部に表示された画像の色合いの評価値を入力可能とする入力部と、前記入力部からの評価値に基づき前記補正パラメータを変更する制御部とを備えた補正パラメータ変更装置と
からなることを特徴とする撮影システム。
【請求項2】
前記補正パラメータ変更装置は、前記入力部から入力された評価値を異なる測色データ毎に蓄積して記憶する記憶部を有し、前記制御部は、前記入力部から入力された評価値に基づき補正パラメータを変更する際に、当該画像の測色データが前記記憶部に評価値が記憶されている測色データのいずれかと同じ場合、当該測色データについて前記記憶部に記憶されている過去の評価値を加味した統計的処理により得られる評価値に基づいて補正パラメータを変更することを特徴とする請求項1記載の撮影システム。
【請求項3】
前記統計的処理は、前記入力部から入力された新たな評価値と過去の評価値の全てを加算平均することを特徴とする請求項2記載の撮影システム。
【請求項4】
前記測色センサは、複数個が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の撮影システム。
【請求項5】
被写体を撮像して画像を生成する撮像素子と、被写体の測色を行なう測色センサと、前記測色センサにより得られた測色データに基づいて補正パラメータを決定し、前記画像のホワイトバランスを調整するホワイトバランス調整回路とを備えた撮影装置において、
前記ホワイトバランス調整回路によりホワイトバランス調整が行なわれた画像を表示する表示部と、
前記表示部に表示された画像の色合いの評価値を入力可能とする入力部と、
前記入力部からの評価値に基づき前記補正パラメータを変更する制御部と
を備えたことを特徴とする撮影装置。
【請求項6】
前記入力部から入力された評価値を異なる測色データ毎に蓄積して記憶する記憶部を設け、前記測色センサにより新たに得られた測色データが前記記憶部に評価値が記憶されている測色データのいずれかと同じ場合、前記制御部は、前記測色データについて前記記憶部に記憶されている過去の評価値を加味した統計的処理により得られる評価値に基づいて補正パラメータを変更することを特徴とする請求項5記載の撮影装置。
【請求項7】
前記統計的処理は、前記入力部から入力された新たな評価値と過去の評価値の全てを加算平均することを特徴とする請求項6記載の撮影装置。
【請求項8】
前記測色センサは、複数個が設けられていることを特徴とする請求項5ないし7いずれか1項記載の撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−164878(P2009−164878A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−480(P2008−480)
【出願日】平成20年1月7日(2008.1.7)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】