説明

撮影システム及び撮影装置

【課題】観光地等に行ったユーザが複数の場所を効率良く移動しながら満足のいく写真撮影を行えるようにすること。
【解決手段】被写体を撮影する撮像部101と、予め複数の手本画像を記憶しておく記憶部203と、それら記憶されている手本画像の中から、上記撮影された撮影画像に関連する所定の手本画像を選択し、選択された上記手本画像の撮影位置を取得する画像処理部207、キーワード処理部208及び制御部209と、それら取得した上記手本画像の撮影位置を、所定の撮影順に並べて表示する表示部108と、を備えることで、ユーザが表示部108の表示を見ながら複数の場所を効率良く移動でき、各撮影位置で満足のいく写真撮影を行えるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影システム及び撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、観光地等で写真撮影をする場合、誰かに案内してもらったり、写真教室に参加したり、詳細なガイドブックでもない限り、ベストな撮影スポットから、理想的な構図で撮影することは困難であった。
【0003】
一方、近年、携帯電話やインターネットなどのネットワークが普及してきており、それを介して写真やコンテンツを簡単に送受信できる環境が整いつつある。このようなIT環境を有効利用して、以下のような提案がなされている。
【0004】
例えば、特許文献1は、現在地から撮影可能な撮影対象を特定し、それを撮影するための好適な撮影ポイントを簡易に呈示する撮影支援方法を提案している。
【0005】
特許文献2は、その場所に相応しい撮影条件(撮影位置、撮影時刻、露出、絞り、等)をダウンロードできるようにする写真撮影情報提供システムを提案している。
【0006】
特許文献3は、車両等の事故又は故障時に、救援サービスを提供可能なサービス拠点に対して、現場の状況を撮影した画像を送信し、現場の状況を的確に判断できるようにする救援サービス提供システムを提案している。
【0007】
特許文献4は、写真プリントを受け取りやすい店に画像を送ることで、利用者が移動する場合であっても写真プリントを受け取れるようにする写真配送システムを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−45398号公報
【特許文献2】特開2006−135515号公報
【特許文献3】特開2005−56244号公報
【特許文献4】特開2003−131846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1乃至4によれば、撮影対象の特定が困難であり、それがどこから撮られたかが明快ではなった。
【0010】
一般に、ユーザの記憶の中の観光地や名所旧跡は、ガイドブックやテレビやインターネット上のコンテンツによって、先入観を植え付けられており、その典型的な写真がどの場所で撮影されたのかが分からないと、ユーザが満足のいく写真撮影が出来ない。
【0011】
また、そうした撮影ポイントは一箇所ではなく、複数あるので、どのように移動して撮れば良いのかが分からないことが多かった。
【0012】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、観光地等に行ったユーザが複数の場所を効率良く移動しながら満足のいく写真撮影を行える撮影システム及び撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の撮影システムの一態様は、
被写体を撮影する撮影部と、
予め複数の手本画像を記憶しておく手本画像記憶部と、
上記手本画像記憶部に記憶されている手本画像の中から、上記撮影部で撮影された撮影画像に関連する所定の手本画像を選択する手本画像選択部と、
上記手本画像選択部で選択された上記手本画像の撮影位置を取得する手本画像撮影位置取得部と、
上記手本画像撮影位置取得部で取得した上記手本画像の撮影位置を、所定の撮影順に並べて表示する表示部と、
を具備することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の撮影装置の一態様は、
被写体を撮影する撮影部と、
上記撮影部で撮影された撮影画像を所定のサーバに送信する送信部と、
上記撮影画像の送信に応答して上記サーバより送信される手本画像、上記手本画像の撮影位置を表す撮影位置情報、及び上記手本画像の撮影順を表す撮影順情報を受信する受信部と、
上記手本画像、上記撮影位置情報、及び上記撮影順情報を表示する表示部と、
を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、観光地等に行ったユーザが、ガイドブックやポスター、テレビなどで見たシーンを撮影したい場合に、何処からどのような順序で撮影していけば良いかをガイドすることで、ユーザが複数の場所を効率良く移動しながら満足のいく写真撮影を行える撮影システム及び撮影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1(A)は、本発明の第1実施形態に係る撮影システムの構成を示す図であり、図1(B)は、図1(A)中のカメラ及びウェブサーバのそれぞれの構成を示す図である。
【図2】図2(A)は、カメラのCPUが実行するROMに記憶された制御プログラムの内の第1実施形態に係る特徴部分の動作フローチャートを示す図であり、図2(B)は、ウェブサーバの制御部が実行するROMに記憶された制御プログラムの内の第2実施形態に係る特徴部分の動作フローチャートを示す図である。
【図3】図3は、カメラの表示部での表示例を示す図である。
【図4】図4は、カメラの表示部での別の表示例を示す図である。
【図5】図5は、カメラの表示部での更に別の表示例を示す図である。
【図6】図6は、カメラの表示部での他の表示例を示す図である。
【図7A】図7Aは、カメラのCPUが実行するROMに記憶された制御プログラムの内の本発明の第2実施形態に係る特徴部分の動作フローチャートを示す図である。
【図7B】図7Bは、ウェブサーバの制御部が実行するROMに記憶された制御プログラムの内の第2実施形態に係る特徴部分の動作フローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
[第1実施形態]
図1(A)は、本発明の第1実施形態に係る撮影システムの構成を示す図である。
【0019】
本実施形態に係る撮影システムは、本発明の撮影装置の第1実施形態としてのカメラ1と、該カメラ1と相互に通信可能なサーバ装置としてのウェブサーバ2とを含む。カメラ1とウェブサーバ2とが通信するための一例として、カメラ1はアクセスポイント3経由でインターネットを含むネットワーク4に無線接続され、ネットワーク4を経由してウェブサーバ2にアクセスする。なお、本実施形態では、ウェブサーバ2に接続するための初期設定は、予めカメラ1に登録されているものとする。
【0020】
カメラ1からアクセスポイント3に画像が送信されると、その画像はネットワーク4を経由して目的のウェブサーバ2で受信される。ウェブサーバ2は、その受信した画像を解析して、所定の処理を行い、カメラ1にデータを送信する。
【0021】
図1(B)は、上記カメラ1及びウェブサーバ2のそれぞれの構成を示す図である。
【0022】
カメラ1は、撮像部101、撮像制御部102、入力部103、ROM104、RAM105、記憶部106、記憶制御部107、表示部108、表示制御部109、MIC110、音声制御部111、通信部112、通信制御部113、位置情報取得部114、CPU115、及びSP116から構成される。
【0023】
ここで、撮像部101は、特に図示はしていないが、レンズと、該レンズによって集光した光を電気信号に変換するCCD等の撮像素子と、その周辺回路とで構成される。撮像制御部102は、この撮像部101を制御する。入力部103は、操作者がカメラ1に操作指示を与えるスイッチ等である。ROM104は、各種制御プログラムを格納し、RAM105は、プログラム実行のためにデータを一時的に保持する。記憶部106は、上記撮像部101で撮影した画像データを記憶するものであり、該カメラ1に固定された記憶媒体及び/又は該カメラ1に対して着脱自在な記憶媒体を含む。記憶制御部107は、画像データの記憶部106からの読み出し及び記憶部106への書き込みを制御する。
【0024】
表示部108は、撮影画像や各種情報を表示するLCD等を含み、表示制御部109は、該表示部108の表示項目及び表示サイズ等を制御する。MIC110は、音声を電気信号に変換して音声制御部111へ出力する。SP116は音声制御部111から入力された電気信号を音声に変換して出力する。そして、音声制御部111は、これらMIC110およびSP116の制御を行う。通信部112は、外部機器とのデータ送受信を有線または無線通信で行うもので、通信制御部113は、該通信部112による通信データのやりとりを制御する。位置情報取得部114は、位置情報を取得するGPS受信機等である。CPU115は、該カメラ1の各制御部及びROM104やRAM105を制御する。なお、このCPU115は、撮像制御部102及び入力部103とは直接接続され、ROM104、RAM105、記憶制御部107、表示制御部109、音声制御部111、通信制御部113、及び位置情報取得部114とは、バス117を介して接続されている。
【0025】
ウェブサーバ2は、ROM201、RAM202、記憶部203、記憶制御部204、通信部205、通信制御部206、画像処理部207、キーワード処理部208及び制御部209から構成される。ここで、ROM201は、プログラムを格納し、RAM202は、そのプログラムの実行に必要なデータを一時的に保持する。記憶部203は、手本画像データと画像キーワードとを関連付けたデータベースなどを記憶し、記憶制御部204は、記憶部203にデータを読み書きする制御を行う。通信部205は、外部機器とのデータ送受信を有線または無線通信で行うものであり、通信制御部206は、該通信部205での通信データのやりとりを制御する。画像処理部207は、画像処理を行うものであり、キーワード処理部208はキーワードに関する処理を行うものである。制御部209は、該ウェブサーバ2の各種制御部を制御するもので、CPU等で構成される。なお、この制御部209は、ROM201、RAM202、記憶制御部204、通信制御部206、及び画像処理部207とバス210を介して接続されている。
【0026】
上記画像処理部207は、特徴点検出部207A、特徴点比較部207B、画像検索部207C、及び圧縮伸張部207Dを含む。ここで、特徴点検出部207Aは、画像データから特徴点を検出する機能を有し、特徴点比較部207Bは、該特徴点検出部207Aで検出した特徴点と記憶部203のデータベースに記憶されている手本画像データ群の特徴点データとを比較する機能を有する。画像検索部207Cは、記憶部203に記憶されている画像データを検索する機能を有し、圧縮伸張部207Dは、通信部112により受信した画像データを伸張したり、該画像検索部207Cで検索した画像データを圧縮したりする機能を有する。
【0027】
また、上記キーワード処理部208は、画像キーワード抽出部208A、画像キーワードリスト生成部208B、及びユーザ名リスト生成部208Cを含む。ここで、画像キーワード抽出部208Aは、上記特徴点比較部207Bによって受信画像データと特徴点パターンが同類のものと判断された手本画像データに予め関連付けられている画像キーワードを抽出する機能を有し、画像キーワードリスト生成部208Bは、該画像キーワード抽出部208Aで抽出された画像キーワードをリスト化した画像キーワードリストを作成する機能を有する。ユーザ名リスト生成部208Cは、上記特徴点比較部207Bによって受信画像データと特徴点パターンが同類のものと判断された手本画像データに付随する付随キーワード(撮影位置、撮影時間、ユーザ名(撮影者名)、等)よりユーザ名をリスト化したユーザ名リストを作成する機能を有する。
【0028】
なお、手本画像データとは、別のカメラマン等が撮影した写真の画像データである。
【0029】
以下、上記のような構成のカメラ1とウェブサーバ2との間でやり取りされる通信及び処理について説明する。
【0030】
図2(A)は、カメラ1のCPU115が実行するROM104に記憶された制御プログラムの内、本実施形態に係る特徴部分の動作フローチャートを示す図であり、図2(B)は、ウェブサーバ2の制御部209が実行するROM201に記憶された制御プログラムの内の本実施形態に係る特徴部分の動作フローチャートを示す図である。
【0031】
即ち、カメラ1で撮影を行うと(ステップS101)、得られた画像データは、RAM105上に一時的な記憶データとして記憶され、記憶部106に記憶される(ステップS102)。そして、その撮影時の位置データが位置情報取得部114によって取得され、予め設定してある所定プロバイダが管理するアクセスポイント3に、通信部112を介して、上記画像データと位置データとが送信される(ステップS103)。なおこのとき、通信量を削減するために、画像データはRAWデータではなく圧縮されたフォーマットで送信されても良い。この送信後、カメラ1は、受信待ちとなる(ステップS104)。但し、所定時間内に受信が無いときには、本動作を終了して、通常の撮影や撮影画像データの表示といった通常のカメラの動作に移行する。
【0032】
カメラ1から送信されたデータがアクセスポイント3に受信されると、アクセスポイント3内部のルータ機能により、インターネット等のネットワーク4に接続されているサーバ(ウェブサーバ2)に上記画像データと位置データが届けられる。
【0033】
ウェブサーバ2は、上記画像データと位置データを受信すると(ステップS201)、画像処理部207の特徴点検出部207Aにより、そのカメラ1から受信した画像データに対して二値化及び輪郭抽出などの処理を行い、その画像の特徴点パターンを検出する(ステップS202)。つまり、受信した画像データを白黒にして、コーナー検出フィルタをかけて判定処理を行い、その画像を構成する各部の角部位置を特徴点として得る。これら特徴点のパターンつまり特徴点の配置及び分布が当該画像の特徴となる。
【0034】
そして、特徴点比較部207Bにより、その特徴点検出部207Aで抽出した画像データの特徴点パターンと、予め記憶部203のデータベースに記憶されている手本画像データ群の特徴点パターンを比較することで、抽出した特徴点パターンを検索キーとしたデータベースの検索を実施する(ステップS203)。例えば、有名な観光スポットで撮影された手本画像データでは、予め、上記特徴点(数百ポイントからなる)の配置情報が特徴点パターンとして抽出されて、ウェブサーバ2の記憶部203に構成したデータベースに登録されている。見る角度で変化する建造物などは、見る角度ごとに、複数セットの特徴点パターンがデータベース化されている。したがって、撮影画像データから同様の方法で特徴点パターンを抽出し、予め登録されているデータベースを照合し、一番高い一致度のものを選択することによって、対象物が何であるかを認識することが出来る。なおこのとき、上記カメラ1から受信した位置データによって、比較対象の手本画像データを当該位置周辺に絞ることで、誤認識の確率を低減することができる。
【0035】
勿論、本発明は、このような特徴点検出を行いパターンマッチングによって対象物を認識する手法に限定されるものではなく、統計的識別法や構造識別法などの他の画像認識手法を採用しても構わない。これら統計的識別法や構造識別法は公知であり、よってその説明は省略する。
【0036】
このように、特徴点検出部207A及び特徴点比較部207Bは、撮影画像データと類似する手本画像データを検索する第1の手本画像検索部として機能する。
【0037】
ここで、上記抽出した画像データの特徴点パターンに一致する特徴点パターンを持つ手本画像データが検索されなかった場合には(ステップS204)、通信部205を介してリスト=0をカメラ1に送信する(ステップS205)。その後、上記ステップS201に戻り、次の画像データ及び位置データが送られてくるのを待つ。
【0038】
カメラ1側では、受信があると(ステップS104)、上記のようなリスト=0を受信したかを判別する(ステップS105)。ここで、そのようなリスト=0を受信した場合には、CPU115は、表示部108に「構図を変えて再度撮影してください」や「別構図で撮影」等のメッセージを表示して(ステップS106)、上記ステップS101に戻る。
【0039】
これに対して、ウェブサーバ2において、上記抽出した画像データの特徴点パターンに一致する特徴点パターンを持つ手本画像データが有った場合には(ステップS204)、画像キーワード抽出部208Aによって、それら手本画像データに関連付けて登録されている画像キーワード(例えば、東京タワー)を記憶部203からそれぞれ抽出し、画像キーワードリスト生成部208Bにより、それら抽出された画像キーワードをRAM202に一時的に構成する画像キーワードリストに追加する(ステップS206)。ここで、カメラ1から受信した位置データによって検索対象を絞っているので、異なる画像キーワードが抽出される可能性は低いが、異なる画像キーワードが抽出された場合には、上記画像キーワードリストにある画像キーワードのうち最も多く抽出された画像キーワードが、カメラ1から受信した画像データの画像キーワードとして適切であると判断することができる。
【0040】
次に、制御部209は、ユーザ名リスト生成部208Cにより、上記記憶部203から上記手本画像データそれぞれに付随する付随キーワード(撮影位置、撮影時間、ユーザ名(撮影者名)、等)よりユーザ名を抽出して、それら抽出したユーザ名をリスト化したユーザ名リストをRAM105上に生成する(ステップS207)。このように、ユーザ名リスト生成部208C及び制御部209は、手本画像データの撮影者情報を取得する撮影者情報取得部として機能する。そして、制御部209は、その生成したユーザ名リストを上記抽出した画像キーワードと共に通信部205を介してカメラ1に送信する(ステップS208)。この送信後、ウェブサーバ2は、ユーザ名選択待ちとなる(ステップS209)。但し、所定時間内に選択されたユーザ名の受信が無いときには、上記ステップS201に戻り、次の画像データ及び位置データが送られてくるのを待つことになる。
【0041】
カメラ1側では、上記のように受信があると(ステップS104)、リスト=0を受信したかを判別するもので(ステップS105)、ここで、リスト=0以外を受信した場合には、更に、ユーザ名リストを受信したか否かを判別する(ステップS107)。そして、ユーザ名リストを受信していない、つまり画像キーワードしか受信しなかった場合には、CPU115は、表示部108に「リスト無し」を表示して(ステップS108)、本動作を終了する。
【0042】
これに対して、ユーザ名リストを受信した場合には、そのユーザ名リストをLCD等の表示部108に表示する(ステップS109)。カメラ1のユーザは入力部103、例えば十字ボタンとOKボタン等を操作して、このユーザ名リストより所望のユーザ名を選択し(ステップS110)、CPU115は、その選択されたユーザ名を通信部112を介してウェブサーバ2に送信する(ステップS111)。そしてこの送信後、カメラ1は、その選択ユーザに関する案内データの受信待ちとなり(ステップS112)、所定時間内にその受信が無いときには、本動作を終了することになる。
【0043】
ウェブサーバ2側では、上記選択されたユーザ名を受信すると(ステップS209)、制御部209は、上記抽出された画像キーワードに関連付けられ且つ上記選択されたユーザ名が付随データとして付随している手本画像データを、画像検索部207Cによって記憶部203から検索抽出し、それら抽出された手本画像データを、付随キーワードとしてそれらに付随する撮影時間に従って、撮影時間順にソートする(ステップS210)。即ち、画像検索部207Cは第2の手本画像検索部として機能し、制御部209は手本画像撮影位置取得部として機能する。制御部209は、次に、そのソートした手本画像データに付随キーワードとして付随する撮影位置を、記憶部203に記憶している地図情報に関連付ける(ステップS211)。そして、その地図情報に撮影時間順に手本画像データの撮影位置を辿る経路を探索し、その経路を表す画像を重畳させた画像データ(案内データ)を生成して、通信部205を介してカメラ1に送信する(ステップS212)。その後、上記ステップS201に戻り、次の画像データ及び位置データが送られてくるのを待つ。
【0044】
カメラ1側では、そのような案内データを受信すると(ステップS112)、その案内データを展開して、LCD等の表示部108に、選択したユーザが撮影した手本画像の時間順の経路を示す地図表示を表示する(ステップS113)。
【0045】
図3は、この表示部108での地図表示の表示例を示す図である。これは、地図情報上に、被写体の位置を示す被写体位置マーク501、選択したユーザが手本画像を撮影した撮影場所を示す撮影位置マーク502、及びそれら撮影場所間の移動経路を示す経路表示503と、ユーザの現在位置を示す現在位置マーク504を重畳したものである。
【0046】
なお、地図情報は、案内データの一部としてウェブサーバ2から送信するようにしたが、カメラ1内にある地図情報を用いても良い。また、通信容量に余裕がある場合は地図情報をウェブサーバ2から受信し、通信容量に余裕がない場合は、カメラ1内の地図情報を用いるようにしても良い。
【0047】
また、カメラ1内にある地図情報を用いる場合には、案内データをウェブサーバ2からカメラ1に送信するのではなく、上記ステップS210でのソート結果のみをカメラ1に送信し、カメラ1側で地図情報との関連付け、経路探索を行うようにしても良い。更に、その受信したソート結果を表示部108で表示できるようにしても良い。
【0048】
図4は、このソート結果の表示例を示す図である。これは、選択したユーザ名を示すユーザ名505、被写体名称(例:東京タワー)を表す画像キーワード506と、その画像キーワードに一致した手本画像データそれぞれに付随する位置507及び時間508のリスト形式の記載とからなっている。位置507は緯度経度で表記している。例えば、「N:35/1,41/1,774/100 E:139/1,48/1,774,100」は北緯35度41分7.74秒、東経139度48分7.74秒を示す。なお、これは一例であり、例えば住所やその場所の通称等、どのような形式であっても構わないことは勿論である。
【0049】
また、案内データには、各撮影場所での手本画像データも含めても良い。即ち、ウェブサーバ2において各手本画像データを圧縮伸張部207Dでサムネイル画像とした上で地図情報上に重畳する。あるいは、カメラ1内にある地図情報を用いる場合には、ウェブサーバ2ではソート結果に各サムネイル画像を関連付けて送信し、カメラ1側で地図情報上各サムネイル画像を重畳させる。なお、これらサムネイル画像のサイズは、予め決められたものでも良いし、上記ステップS201で受信した画像データのヘッダ情報として記載されている撮影機器情報に従ってカメラ1の表示部108の表示サイズを判別して、そのサイズによって適切な画像サイズを選択するようにしても良い。
【0050】
図5は、このような手本画像データを含む地図表示の例を示す図である。各撮影位置マーク502に対応させてサムネイル化された手本画像509が表示される。
【0051】
なお、入力部103の操作により、上記手本画像509を選択して表示部108のサイズに拡大表示できるようにしても良い。この場合、ウェブサーバ2に要求して表示部108のサイズに相応しい手本画像データをダウンロードして表示するか、受信したサムネイル画像を拡大して表示することとなるが、著作権が存在する手本画像データについては、カメラ1の記憶部106に記憶できないようにしたり、或いは何らかの課金を行った上でしか記憶できないようにしても良い。
【0052】
更に、地図情報を表示する際には、カメラ1の位置情報取得部114で取得される位置データに従って現在位置マーク504をリアルタイムに変更表示することができる。
【0053】
また、撮影位置マーク502が表示されている撮影場所で撮影すると、現在のカメラ1の位置データと各撮影場所の位置情報とから、当該撮影場所では撮影済みであることを判断し、表示部108に撮影済みであることをアイコン等で表示するようにしても良い。
【0054】
図6は、そのような撮影済みであることを示すチェックマーク510を表示するようにした場合の表示例を示す図である。
【0055】
以上のように、本第1実施形態によれば、観光地等に行ったユーザが、ガイドブックやポスター、テレビなどで見たシーンを撮影したい場合に、どこから撮影すれば良いかをガイドすることができるので、ユーザが満足のいく写真撮影を行えるようになる。
【0056】
例えば、富士山や東京タワーなどには、プロやハイアマチュアのカメラマンが特によく撮影するポイントがある。しかし、通常、そのような地点からカメラマンが撮影した画像のみが、媒体となってユーザの目に焼き付けられるので、カメラ1を持って出かけたユーザは、その観光スポットに行ったとしても、それと同じ風景が撮影できないと満足することができない。また、そうしたポイントは一箇所ではなく、複数あるので、どのように移動して撮れば良いのかが分からないことが多かった。
【0057】
本実施形態は、このようなユーザに対し、カメラ1を持っていくだけで、複数の場所を、効率良く移動しながら撮影旅行なり撮影ハイキングなりが楽しめるシステムを提供することができる。
【0058】
この複数の場所は、例えば、あるカメラマンや有名人などが、撮影した画像と関連付けられており、上記ウェブサーバ2には、こうした撮影者が移動した順番や経路の情報も有しており、その先達に倣って、移動しながら撮影を楽しむような状況をも想定している。これによって、ユーザは綿密な計画を立てなくとも、撮影スポットを見逃すことなく、効率良く、撮影や移動を楽しむことが出来る。
【0059】
また、ごく近くまで来ているのに、せっかくの撮影ポイントに気づかず、帰って来てから、それを知ってがっかりするというケースもよくあったが、こうした問題をも解決することが出来る。
【0060】
更に、各撮影ポイントでの手本画像をも表示することが出来るので、手本画像と同じ構図の撮影が行え、ユーザが満足のいく写真撮影を行えるようになる。
【0061】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
【0062】
図7Aは、カメラ1のCPU115が実行するROM104に記憶された制御プログラムの内、本第2実施形態に係る特徴部分の動作フローチャートを示す図であり、図7Bは、ウェブサーバ2の制御部209が実行するROM201に記憶された制御プログラムの内の本第2実施形態に係る特徴部分の動作フローチャートを示す図である。ここで、上記第1実施形態と同様の部分には図2(A)及び(B)と同一の参照符号を付すことで、その説明は省略する。
【0063】
即ち、上述したように、ウェブサーバ2側では、抽出した画像データの特徴点パターンに一致する特徴点パターンを持つ手本画像データが検索されなかった場合には(ステップS204)、通信部205を介してリスト=0をカメラ1に送信するが(ステップS205)、本第2実施形態においては、その後、上記ステップS201に戻るのではなく、画像キーワードの受信待ちとなって(ステップS213)、所定時間内に受信が無いときにのみ、上記ステップS201に戻るようにしている。
【0064】
そして、カメラ1側では、そのようなリスト=0を受信した場合には、本第2実施形態では、入力部103からのキー入力によって、またはMIC110と音声制御部111を利用した音声認識によって、ユーザが所望の画像キーワードを入力できるようにしている(ステップS114)。そして、この入力された画像キーワードを通信部112を介してウェブサーバ2に送信した後(ステップS115)、上記ステップS104に戻って受信待ちとなる。
【0065】
ウェブサーバ2側では、上記画像キーワードを受信すると(ステップS213)、その受信した画像キーワードに関連付けられた手本画像データを記憶部203から検索する(ステップS214)。そして、検索された手本画像データそれぞれに付随する付随キーワードよりユーザ名を抽出してユーザ名リストを生成する上記ステップS207以降の処理を実施する。
【0066】
以上のように、本第2実施形態では、画像キーワードが検索されなかった場合には、画像キーワードをカメラ1側で入力し、ウェブサーバ2に送信することで、ユーザ所望のユーザ名に対応する手本画像とその撮影位置を取得することができる。
【0067】
なお、ウェブサーバ2は、上記入力された画像キーワードを、送信した撮影画像データと関連付けて記憶部203のデータベースに追加登録するようにしても良い。この場合、撮影画像は、手本画像ではないが画像キーワードの抽出のみに使用するユーザ画像データとして登録される。このようなユーザ画像データを多数蓄積することで、画像キーワードの抽出精度を向上できる。
【0068】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0069】
例えば、撮影装置としてカメラ1を例に説明したが、カメラ付の携帯電話機であっても良い。
【0070】
また、経路探索においては、撮影順にとらわれずに、最も効率的に各撮影ポイントを回れるような経路を探索するようにしても良い。
【符号の説明】
【0071】
1…カメラ、 2…ウェブサーバ、 3…アクセスポイント、 4…ネットワーク、 101…撮像部、 102…撮像制御部、 103…入力部、 104,201…ROM、 105,202…RAM、 106,203…記憶部、 107,204…記憶制御部、 108…表示部、 109…表示制御部、 110…MIC、 111…音声制御部、 112,205…通信部、 113,206…通信制御部、 114…位置情報取得部、 115…CPU、 116…SP、 117,210…バス、 207…画像処理部、 207A…特徴点検出部、 207B…特徴点比較部、 207C…画像検索部、 207D…圧縮伸張部、 208…キーワード処理部、 208A…画像キーワード抽出部、 208B…画像キーワードリスト生成部、 208C…ユーザ名リスト生成部、 209…制御部、 501…被写体位置マーク、 502…撮影位置マーク、 503…経路表示、 504…現在位置マーク、 505…ユーザ名、 506…画像キーワード、 507…位置、 508…時間、 509…手本画像、 510…チェックマーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影する撮影部と、
予め複数の手本画像を記憶しておく手本画像記憶部と、
上記手本画像記憶部に記憶されている手本画像の中から、上記撮影部で撮影された撮影画像に関連する所定の手本画像を選択する手本画像選択部と、
上記手本画像選択部で選択された上記手本画像の撮影位置を取得する手本画像撮影位置取得部と、
上記手本画像撮影位置取得部で取得した上記手本画像の撮影位置を、所定の撮影順に並べて表示する表示部と、
を具備することを特徴とする撮影システム。
【請求項2】
上記撮影システムは、
上記撮影部と上記表示部とを含む撮影装置と、
上記手本画像記憶部と上記手本画像選択部と上記手本画像位置取得部とを含むサーバ装置と、
を含み、
上記撮影装置と上記サーバ装置とは相互に通信可能であることを特徴とする請求項1に記載の撮影システム。
【請求項3】
上記手本画像選択部は、
上記手本画像記憶部に記憶されている手本画像の中から、上記撮影画像と類似する手本画像を検索する第1の手本画像検索部と、
その撮影位置が、上記第1の手本画像検索部で検索された手本画像の撮影位置の近傍である手本画像を検索する第2の手本画像検索部と、
を含み、
上記第2の手本画像検索部で検索された手本画像を選択することを特徴とする請求項2に記載の撮影システム。
【請求項4】
上記所定の撮影順は、上記手本画像選択部で選択された手本画像と同様の画像を撮影しようとするときに、最も効率的な撮影順であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の撮影システム。
【請求項5】
上記手本画像選択部はさらに、上記第1の手本画像検索部で検索された手本画像の撮影者情報を取得する撮影者情報取得部を有し、
上記第2の手本画像検索部は、その撮影位置が上記第1の手本画像検索部で検索された手本画像の撮影位置の近傍であり、且つ上記撮影者情報取得部で取得した撮影者と同一の撮影者情報を有する手本画像を検索することを特徴とする請求項3に記載の撮影システム。
【請求項6】
上記所定の撮影順は、上記手本画像選択部で選択された手本画像の撮影者が撮影した順番であることを特徴とする請求項5に記載の撮影システム。
【請求項7】
被写体を撮影する撮影部と、
上記撮影部で撮影された撮影画像を所定のサーバに送信する送信部と、
上記撮影画像の送信に応答して上記サーバより送信される手本画像、上記手本画像の撮影位置を表す撮影位置情報、及び上記手本画像の撮影順を表す撮影順情報を受信する受信部と、
上記手本画像、上記撮影位置情報、及び上記撮影順情報を表示する表示部と、
を具備することを特徴とする撮影装置。
【請求項8】
上記表示部は、上記撮影位置情報を表示する際、上記撮影位置を含む周辺地図を表示し、その周辺地図上に上記撮影位置、及び上記撮影順を示す表示を行うことを特徴とする請求項7に記載の撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2012−130067(P2012−130067A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−51866(P2012−51866)
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【分割の表示】特願2007−131863(P2007−131863)の分割
【原出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】