説明

撮影装置、及び撮影方法

【課題】顔画像撮影において、撮影処理の効率化を図ることである。
【解決手段】被写体の画像を撮影するカメラ部41と、カメラ部41の撮影を指示するための入力部45と、被撮影者の椅子への着席を検出し、着席が検出されるとカメラ部41に前記被撮影者の画像をフレーム撮影させ、撮影画像データを取得し、フレーム撮影により取得された撮影画像データに基づき、フレーム撮影画像の被撮影者の顔位置が顔画像撮影に適しているか否かを判定し、フレーム撮影画像中の被撮影者の顔位置が顔画像撮影に適していると判定された時に、入力部45に対する撮影指示入力を待機するCPU43と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔画像を撮影する撮影装置、及び撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車免許証等の免許証類、身分証明書、パスポート、外国人登録証、図書館利用カード、キャッシュカード、クレジットカード、従業者証、社員証、会員証、医療カード及び学生証等のIDカードが普及している。このIDカードは、カード表面に個人情報が直接印刷された紙、或いはプラスチック製のカードや、上記個人情報がカード内蔵のメモリに記録されたICカードであり、多くの場合、カード表面に顔写真が印刷若しくは貼付されている。最近では、デジタルカメラの普及と技術的進歩に伴って、IDカード作成時に、デジタル画像データをもとに、IDカード表面に顔写真を印刷することが多くなっている。
【0003】
撮影ボタンを押すことで、被撮影者を認識し、自動でフレーミングを行う装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。フレーミング完了した後に、撮影装置を操作するオペレータは、撮影された顔画像をモニタで確認し、被撮影者が目をつぶっていないか、笑っていないか等、IDカード用の写真として適しているか否かを判定し、IDカード用の写真として不適切な画像であった場合は、撮り直し等の処置をとっていた。
【特許文献1】特開平5−268513号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来の撮影装置にあっては、被撮影者の着席後、オペレータが撮影ボタンを押してフレーミングを開始させるため、カメラの移動時間分、撮影タイミングが遅れ目つぶりの発生や、撮影時間の遅延がおきるという問題があった。
【0005】
本発明の課題は、顔画像撮影において、撮影処理の効率化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、
被写体の画像を撮影するカメラ部と、
前記カメラ部の撮影を指示するための撮影指示手段と、
被撮影者の椅子への着席を検出する着席検出手段と、
前記着席検出手段により着席が検出されると前記カメラ部に前記被撮影者の画像をフレーム撮影させ、撮影画像データを取得するフレーム撮影手段と、
前記フレーム撮影手段により取得された撮影画像データに基づき、フレーム撮影画像の被撮影者の顔位置が顔画像撮影に適しているか否かを判定する顔位置判定手段と、
前記顔位置判定手段によりフレーム撮影画像中の被撮影者の顔位置が顔画像撮影に適していると判定された時に、前記撮影指示手段に対する撮影指示入力を待機する撮影待機手段と、を備えることを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の撮影装置において、
前記顔位置判定手段によりフレーム撮影画像中の被撮影者の顔位置が顔画像撮影に適していないと判定された時に、前記被撮影者の顔画像を所定の撮影領域内に位置させるために前記カメラ部の位置を調整する位置調整手段を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の撮影装置において、
前記撮影指示による前記カメラ部の撮影は、IDカード用の画像撮影であることを特徴としている。
【0009】
請求項4記載の発明は、
被撮影者の椅子への着席を検出する着席検出工程と、
前記着席検出工程において着席が検出されると、被写体の画像を撮影するカメラ部に前記被撮影者の画像をフレーム撮影させ、撮影画像データを取得するフレーム撮影工程と、
前記フレーム撮影工程において取得された撮影画像データに基づき、フレーム撮影画像の被撮影者の顔位置が顔画像撮影に適しているか否かを判定する顔位置判定工程と、
前記顔位置判定工程においてフレーム撮影画像中の被撮影者の顔位置が顔画像撮影に適していると判定された時に、前記カメラ部の撮影を指示するための撮影指示手段に対する撮影指示入力を待機する撮影待機工程と、を含むことを特徴としている。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載の撮影方法において、
前記顔位置判定工程においてフレーム撮影画像中の被撮影者の顔位置が顔画像撮影に適していないと判定された時に、前記被撮影者の顔画像を所定の撮影領域内に位置させるために前記カメラ部の位置を調整する位置調整工程を含むことを特徴としている。
【0011】
請求項6記載の発明は、請求項4又は5に記載の撮影方法において、
前記撮影指示による前記カメラ部の撮影は、IDカード用の画像撮影であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1及び4記載の発明によれば、顔画像撮影において、撮影処理時間が短縮され、撮影処理の効率化を図ることができる。
【0013】
請求項2及び5記載の発明によれば、撮影時間の短縮化を図ることができるとともに、撮影装置を操作するオペレータの負担を軽減させることができる。
【0014】
請求項3及び6記載の発明によれば、IDカード用の顔画像撮影を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、以下の実施の形態では、主に、会社等の団体に所属する社員のIDカード(在職証明カード、社員証等)を想定してIDカード作成システム100の説明を行うが、これに限らず、所定の資格を管理・統括する団体に適用することも可能である。この場合、IDカード作成システム100は、有資格者に対して発行されるIDカード(免許証明カード等)を作成する。
【0016】
まず、構成を説明する。
図1は、本発明を適用した実施の形態におけるIDカード作成システム100の概略構成を示すブロック図である。図1に示すように、IDカード作成システム100は、DB(Data Base)1aを有するホスト1、ファイルサーバ2、登録端末3、撮影装置4、IDカードプリンタ5、画像サーバ6により構成され、DB1aを除く各装置は、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワークにより互いに接続されている。
【0017】
ホスト1は、DB(Data Base)1aを備え、登録端末3から入力された社員の個人情報(ID情報)を、各種識別情報(例えば、ICカードを希望するか否かを示す情報、IDカードの種類(在職(社員)証明、経歴証明等)を示す情報、或いは、制度改定の前後等を示すバージョン情報等)と共に、各社員のID番号に対応付けてDB1a内に格納する。また、ホスト1は、DB1aに格納される情報の更新や読み出しを制御する。
【0018】
ファイルサーバ2は、撮影装置4からIDカードプリンタ5に送信された個人情報、各種識別情報、顔写真及び申請書等の画像情報をID番号に対応付けて格納する。
【0019】
登録端末3は、社員の個人情報や、その更新情報、及び、IDカードの種類や制度改定等に伴うバージョン等の変更事項を入力するための端末であり、ID番号や上記の各種情報を入力するためのキーボードや、ICカード内のICチップに記録されたID番号等を読み取るためのICカードリーダ(ICカードR/W)、印刷されたID番号を読み取るためのOCR(Optical Character Reader)等の入力装置を備える。
撮影装置4の構成説明は、図2において後述する。
【0020】
IDカードプリンタ5は、IDカードに記載されるべき各種の個人情報(ID番号、氏名、所属等)や顔写真の画像情報を撮影装置4から受信し、受信した情報に基づいてIDカードを作成する。
【0021】
画像サーバ6は、各社員のID番号と顔画像データとを対応付けて格納しており、指定されたID番号の顔画像データの顔検出処理を行う。顔検出処理とは、画像データの輝度変化、色調変化等から、顔の輪郭、目、鼻、口等の位置を検出する処理のことである。また、画像サーバ6は、顔検出処理により検出された顔の位置から、顔の特徴量を算出する。
【0022】
図2は、本発明を適用した撮影装置4を含む撮影システムS、及び撮影装置4の要部構成を示すブロック図を示している。撮影システムSは、撮影装置4、背景板10、椅子20、照明器から構成されている。
【0023】
撮影装置4は、写真館等に設置される撮影装置であり、図2に示すように、カメラ部41、雲台42、CPU43、表示部44、入力部45、メモリ46、通信部47、印刷部48により構成される。
【0024】
カメラ部41は、ガラス又はプラスチックからなる光学レンズ、及びCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の光学センサにより構成され、光学レンズを介して入力される静止画像(椅子20に着座している被撮影者30の(顔)画像)を光学センサで電気信号に変換して画像を生成する。このカメラ部41は、雲台42によって支持されている。
【0025】
雲台42は、カメラ部41を支持するための器具であり、CPU43から出力される制御信号に従って、上下方向(鉛直方向)の移動等を行う。なお、この雲台42は、特許請求の範囲における位置調整手段としての機能を有する。
【0026】
CPU(Central Processing Unit)43は、メモリ46に格納された撮影装置用の制御プログラムに従って、各種の制御動作を行う。具体的には、IDカード更新の際に、カメラ部41により、被撮影者30の顔画像が複数(例えば、4フレーム)撮影されると、CPU43は、撮影された顔画像の顔検出処理を行い、顔検出処理より検出された顔位置から顔全体の特徴量を計算し、画像サーバ6から取得した顔画像の特徴量と比較照合することで、両顔画像が同一人物の顔画像であるか否かを判定する。また、CPU43は、この顔画像の比較照合に並行して、上記撮影された複数の顔画像毎に、目つぶりの度合いを判定する目つぶり判定を行う(図3参照)。
【0027】
更に、CPU43は、AF(オートフレーミング)処理のため、被撮影者30の画像が撮影されると、CPU43は、この撮影された画像に基づいて、被撮影者30の顔画像をフレーム内の規定領域(後述)に位置させるために、カメラ部41のカメラの移動量を算出するAF計算を行う(図3参照)。なお、このCPU43は、特許請求の範囲における
着席検出手段、フレーム撮影手段、顔位置判定手段、撮影待機手段としての機能を有する。
【0028】
表示部44は、CRT(Cathode Ray Tube)又はLCD(Liquid Crystal Display)等を備え、CPU43から出力される表示制御信号に従って、所要の表示を行う。
【0029】
入力部45は、社員のID番号や上記の各種情報を入力するためのキーボードや、ICカード上のICチップに記録されたID番号等を読み取るためのICカードリーダ(ICカードR/W)、印刷されたID番号を読み取るためのOCR、撮影を指示するための撮影ボタン、表示部44に表示された画像の確認のための確認ボタン等の各種ボタンを備える。なお、この入力部45は、特許請求の範囲における撮影指示手段としての機能を有する。
【0030】
メモリ46は、CPU43によって実行される各種制御プログラムや、各種動作に使用するデータを予め格納している。また、メモリ46は、カメラ部41から取り込まれた画像データや、CPU43による演算結果を一時格納する。
【0031】
通信部47は、LAN、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された伝送媒体に接続可能なインターフェイスであり、モデム(MODEM:Modulater/DEModulater)、ターミナルアダプタ(Terminal Adapter)等によって構成され、電話回線、ISDN回線、専用線等の通信回線を介して、通信ネットワークに接続される外部機器との通信を行うための通信制御を行う。
【0032】
印刷部48は、印刷用紙に装着された給紙部(図示せず)と排紙部(図示せず)を備え、CPU43から出力される制御信号に従って、昇華方式によって、顔画像を上記印刷用紙に印刷出力する。なお、印刷方法としては、インクジェット方式や、赤外レーザ光やLED(Light-Emitting Diode)による投射光を用いた電子写真方式等を用いてもよい。
【0033】
図2において、背景板10は、撮影装置4による撮影の際に被撮影者30の背景になる板であり、単色で反射率が一定である。椅子20は、被撮影者30の顔画像撮影の際に被撮影者30が着座するための椅子である。照明器は、撮影の際に、椅子20に着座した被撮影者30を照明する。
【0034】
次に、本実施の形態の動作を説明する。
図3及び図4のフローチャートを参照して、IDカード更新時におけるIDカード作成システム100の動作について説明する。
【0035】
まず、図3のフローチャートを参照して、登録端末3から社員のID番号が入力された際の動作を説明する。
まず、登録端末3の入力装置により、社員のID番号が登録端末3に入力されると(ステップT1)、当該ID番号は、ファイルサーバ2に送信される。ファイルサーバ2は、登録端末3から受信したID番号を検索キーとして、ファイルサーバ2内に格納された顔画像データを検索し(ステップT2)、当該ID番号に対応する顔画像データを抽出する。
【0036】
ファイルサーバ2で抽出された顔画像データは、画像サーバ6に送信され、画像サーバ6は、ファイルサーバ2から受信した顔画像データと、対応するID番号とを対応付けて格納する(ステップT3)。
【0037】
撮影装置4の入力部45より、IDカードの更新手続のために、社員が持参したIDカードに記載されたID番号が入力されると(ステップT4)、当該ID番号は、画像サーバ6に送信されるとともに、後述のステップS1に移行する。画像サーバ6は、当該ID番号を検索キーとして、画像サーバ6内に格納された顔画像データを検索し、当該ID番号に対応する顔画像データを抽出(取得)する(ステップT6)。ステップT6で抽出された顔画像データは、上記社員のIDカードが前回作成された際に撮影された顔画像である。
【0038】
次いで、画像サーバ6は、ステップT6で抽出した顔画像データに対して、顔検出処理を実行する(ステップT7)。次いで、画像サーバ6は、ステップT7において検出された顔位置から、顔全体の特徴量を計算し(ステップT8)、計算結果を撮影装置4に送信する。なお、ステップT7における顔検出処理、及びステップT8における特徴量計算を、撮影装置4が行うようにしてもよい。
【0039】
次に、撮影装置4において実行される撮影処理について説明する。以下では、IDカードの更新手続のために顔画像を撮影する社員を被撮影者30と称す。
【0040】
撮影装置4の電源が投入され、入力部45から社員のID番号が入力され(ステップT4)、被撮影者30の着席が検出されると(ステップS1)、カメラ部41は、被撮影者30の画像を1フレーム撮影する(ステップS2)。入力部45からのID番号入力により、撮影装置4は、ホスト1が備えるDB1aから、当該ID番号に対応する社員のID情報を取得する。
【0041】
ステップS2の撮影によってカメラ部41から取り込まれた撮影画像は、画像データとして、メモリ46に格納される。
【0042】
CPU43は、メモリ46に格納された撮影画像データに基づいて、AF(オートフレーミング)計算を開始する(ステップS3)。このAF計算において、CPU43は、被撮影者30の頭頂を検出し(ステップS4;YES)、検出した頭頂位置から、カメラ部41のカメラ位置の移動量を計算する。この移動量は、例えば、被撮影者30の顔位置をフレーム内の中央に位置させるために必要なカメラ移動量である。
【0043】
ステップS4における被撮影者30の頭頂検出は、例えば、被撮影者30の撮影画像データから、輝度変化を検出することで行う。背景板10に対応する画像データは、輝度が一定であるのに対し、人物に対応する画像データは、背景板10の画像データとは輝度が異なるため、人物像の輪郭を検出することができるのである。
【0044】
被撮影者30の頭頂が検出されなければ(ステップS4;NO)、ステップS1に戻り、被撮影者30の頭頂が検出されると(ステップS4;YES)、CPU43は、検出された頭頂の位置から、被撮影者30の顔位置がフレーム内の規定領域に位置しているか否かを判定することで(ステップS5)、現在のカメラ位置が、証明写真の顔画像撮影に適しているか否かを判定する。規定領域とは、顔画像撮影の撮影領域として予め規定された領域であり、例えば、頭頂位置とフレーム上部との間で所定範囲(例えば、4mm〜6mm)のスペースを確保しているような領域である。
【0045】
ステップS5において、現在のカメラ位置が、証明写真の顔画像撮影に適していないと判定された場合(ステップS5;NG)、CPU43は、雲台42に対し、ステップS3で計算された移動量だけカメラ移動を指示する制御信号を出力して雲台42自身を移動させ(ステップS6)、入力部45の撮影ボタンの押下を待機する(ステップS7)。
【0046】
ステップS5において、被撮影者30の顔位置がフレーム内の規定領域に位置し、現在のカメラ位置が、証明写真の顔画像撮影に適していると判定された場合(ステップS5;OK)、CPU43は、表示部44に対し、当該顔画像の位置が良好である旨を表示する表示制御信号を出力してステップS7に移行し、オペレータによる入力部45の撮影ボタンの押下を待機する。ステップS7において、撮影ボタンが押下されない場合(ステップS7;NO)、撮影装置4は、ステップS1〜S6の処理を繰り返す。
【0047】
入力部45により、被撮影者30が持参したIDカードに記載されたID番号が入力され(ステップT4)、ステップS7において、表示部44に表示された顔画像の位置が良好であることを確認したオペレータによって、撮影ボタンが押下されると(ステップS7;YES)、カメラ部41は、被撮影者30の画像を連続して4フレーム撮影する(ステップS8)。ステップS8の撮影によってカメラ部41から取り込まれた撮影画像は、画像データとして、メモリ46に格納される。
【0048】
次いで、CPU43は、ステップS8で撮影された4フレーム分の画像データのうち、例えば1番目に撮影された画像データに基づいて、AF計算を行う(ステップS9)。そして、CPU43は、ステップS3におけるAF計算の計算結果と、ステップS9におけるAF計算の結果とを比較することで、撮影ボタン押下直前の被撮影者30の顔位置と、撮影ボタン押下後の被撮影者30の顔位置とを比較し、顔位置のずれが所定の許容範囲内であるか否かを判定する(ステップS10)。ここで、所定の許容範囲とは、顔位置のずれによって上記の規定領域を超えない範囲である。
【0049】
ステップS10において、被撮影者30の顔位置のずれが所定の許容範囲を超えたと判定されると(ステップS10;NO)、CPU43は、雲台42に対し、ステップS9で計算された移動量だけカメラ移動を指示する制御信号を出力して雲台42を移動させる(ステップS11)。雲台42が移動されると、カメラ部41は、被撮影者30の画像を連続して4フレーム撮影する(ステップS12)。ステップS12の撮影によってカメラ部41から取り込まれた撮影画像は、画像データとしてメモリ46に格納される。
【0050】
ステップS10において、被撮影者30の顔位置のずれが所定の許容範囲内と判定された場合(ステップS10;YES)、又は、ステップS12で、被撮影者30の画像が4フレーム撮影されると、CPU43は、メモリ46に格納された被撮影者30の4つの画像データに対して、顔検出処理を実行する(ステップS13)。
【0051】
次いで、CPU43は、上記4つの画像データの目の特徴点を検出し、各画像データ別に目つぶりの度合いを判定し、当該4つの画像データの中から、目つぶりの無い画像を抽出する(ステップS14)。具体的には、CPU43は、各画像データ別に、画像データの濃淡から、目の特徴点(目の中央や目尻、目頭等)がある場所を検出し、これら目の特徴点の画像情報に所定の変換を施し、ニューラルネットワークに入力する。
【0052】
ニューラルネットワークでは、上記各画像の目の特徴点の画像情報に所定の変換を施した情報を総合的に解析して、目の状態を出力する。CPU43は、ニューラルネットワークから出力された各画像の目の状態から、目が一番開いている顔画像を目つぶり無し画像として抽出し、表示部44に対し、この抽出した顔画像の表示を指示する表示制御信号を出力する。表示部44は、CPU43から出力された表示制御信号に従って、当該顔画像を表示する(ステップS15)。
【0053】
なお、ステップS14における目つぶり無し画像の抽出方法は、上述の内容に限定されるものではなく、例えば、画像データの輝度変化量等から目の特徴量を抽出し、抽出された目の特徴量から、目の開閉量を計算し、4つの画像データの中から目の開閉量が大きい顔画像を目つぶり無し画像として抽出するようにしてもよい。
【0054】
ステップS14の目つぶり無し画像の抽出に並行して、CPU43は、メモリ46に格納された被撮影者30の画像データから、顔全体の特徴量を計算する(ステップS16)。そして、CPU43は、画像サーバ6から受信した、上記ID番号に対応する顔画像の特徴量(即ち、ステップT8において画像サーバ6により計算された顔画像の特徴量)と、ステップS16で計算された顔画像の特徴量との比較照合を行う(ステップS17)。
【0055】
ステップS17における比較照合の結果、照合率が所定値より高く、画像サーバ6に格納されていた顔画像と上記で撮影された顔画像が、同一人物の顔画像であると判断すると(ステップS18;YES)、CPU43は、表示部44に対し、両顔画像が被撮影者30本人の顔画像である旨を表示する表示制御信号を出力し、表示部44は、CPU43から出力された表示制御信号に従って、例えば、「本人です。」や、「OK」等と表示する(ステップS19)。このとき、表示部44には、目つぶり無し画像も表示されている。
【0056】
次いで、撮影装置4のオペレータによって、入力部45の確認ボタンが押下されると(ステップS20)、CPU43は、ステップT4で取得したID情報と、表示部44に表示されている目つぶり無しの顔画像とを対応付けたファイルを作成し(ステップS21)、ステップS1に戻る。一方、ステップS21で作成されたファイルは、IDカード印刷のため、IDカードプリンタ5に送信され、IDカードプリンタ5において、IDカード表面に、顔画像、及びID情報が印刷される(ステップS25)。また、ステップS21で作成されたファイルは、ファイルサーバ2に登録されることになる。
【0057】
ステップS17における比較照合の結果、照合率が所定値より低く、画像サーバ6に格納されていた顔画像と上記で撮影された顔画像が、同一人物の顔画像でないと判断すると(ステップS18;NO)、CPU43は、表示部44に、画像サーバ6から取得した、上記ID番号に対応する顔画像の表示(旧顔画像)と、ステップS8又はS12で撮影された顔画像(新顔画像)との表示を指示する表示制御信号を出力する。表示部44は、当該表示制御信号に従って、旧顔画像及び新顔画像を表示する(ステップS22)。なお、ステップS22における顔画像の表示は、旧顔画像のみでもよい。
【0058】
撮影装置4のオペレータは、表示部44に表示された新旧の顔画像から、両顔画像が同一人物、即ち、被撮影者30本人の顔画像であるか否かを判定する(ステップS23)。
【0059】
ステップS23において、上記新旧の顔画像が被撮影者30本人の顔画像であると判定されると(ステップS23;YES)、オペレータにより確認ボタンが押下され(ステップS20)、CPU43は、目つぶり無しの新顔画像と、上記ID番号とを対応付けたファイルを作成する(ステップS21)。
【0060】
ステップS23において、旧顔画像が被撮影者30本人の顔画像でないと判定されると(ステップS23;NO)、オペレータのキー入力により、表示部44に警告画面が表示され、本撮影処理が中止され(ステップS24)、次の撮影処理に移行することになる。
【0061】
次に、図4のフローチャートを参照して、ICカードR/Wから社員のID番号が入力された際の動作を説明する。なお、図4に示したフローチャートは、図3に示したフローチャートのうち、ステップT7及びT8、ステップS1〜S24が同一であるため、この部分の説明は省略し、図3のフローチャートと異なる部分のみを説明する。
【0062】
IDカードを更新する社員のID番号が、入力部45を構成するICカードR/Wから入力されると(ステップP1)、IDカード内のICから、当該社員の顔画像が読み出されるとともに(ステップP2)、上述のステップS1に移行する。また、ステップP1のID番号の入力により、IDカード内のICから当該社員のID情報が取得される。ステップP2で、IDカード内のICから顔画像が読み出されると、図3のフローチャートと同様に、撮影装置4又は画像サーバ6において、当該顔画像に対する顔検出処理が行われ(ステップT7)、顔全体の特徴量が計算される(ステップT8)。
【0063】
ステップS21において、ステップP1のID番号入力によって取得されたID情報と、表示部44に表示されている目つぶり無しの顔画像とを対応付けたファイルが作成されると、作成されたファイルは、IDカード印刷のため、IDカードプリンタ5に送信され、IDカードプリンタ5において、IDカード表面に、顔画像、及びID情報が印刷され(ステップS26)、IDカード内のICに、当該顔画像とID情報が書きこまれる(ステップS27)。このように、IDカード内のICに、顔画像とID情報とを書き込むことによって、次回のIDカード更新時にIDカード内のデータ(顔画像及びID情報)を用いることができる。
【0064】
以上のように、本実施の形態の撮影装置4によれば、IDカードの更新の際、IDカード用の顔画像撮影を行うことができ、撮影された顔画像の自動目つぶりの確認と、自動本人照合とを、並行して行うことで(図3のステップS14〜S17)、更新作業に従事する作業者の負担が軽減されるとともに、撮影処理時間が短縮され、撮影処理の効率化を図ることができる。特に、自動目つぶり判定を行い、目つぶりの無い画像を抽出することで、IDカード用の写真として適した画像が出力される。また、顔画像照合のために、前回撮影された顔画像の特徴量の計算を画像サーバ6にさせた場合、撮影装置4の負荷が少なくなる。
【0065】
また、撮影ボタンの押下による撮影指示がある前に、予めAF処理を行い、被撮影者30の顔画像がフレーム内の規定領域に位置していれば、撮影指示を待機する。このため、撮影指示があった際に、撮影画像中の被撮影者の顔位置の再調整が不要となることで、撮影時間が短縮され、撮影処理の効率化を図ることができる。また、AF処理により被撮影者30の顔画像がフレーム内の規定領域に位置していなければ、被撮影者30の顔画像を所定の撮影領域内に位置させるために雲台42を移動する。このため、カメラ部41の移動動作が不要となることで、撮影時間の短縮化を図ることができるとともに、カメラ部41を操作するオペレータの負担を軽減させることができる。
【0066】
更に、撮影指示があった際に、被撮影者の顔画像が撮影領域外に位置してしまっても、再度、カメラの位置調整を行うことで、常に、顔画像撮影に適したカメラ位置での撮影が可能になる。
【0067】
なお、本実施の形態の記載内容は、上述の内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明を適用したIDカード作成システム100の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の撮影装置を適用した撮影装置4を含む撮影システムS、及び撮影装置4の要部構成を示すブロック図である。
【図3】IDカード更新時におけるIDカード作成システム100の動作を示すフローチャートである。
【図4】IDカード更新時におけるIDカード作成システム100の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1 ホスト
1a DB
2 ファイルサーバ
3 登録端末
4 撮影装置
41 カメラ部
42 雲台
43 CPU
44 表示部
45 入力部
46 メモリ
47 通信部
48 印刷部
5 IDカードプリンタ
6 画像サーバ
10 背景板
20 椅子
30 被撮影者
S 撮影システム
100 IDカード作成システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の画像を撮影するカメラ部と、
前記カメラ部の撮影を指示するための撮影指示手段と、
被撮影者の椅子への着席を検出する着席検出手段と、
前記着席検出手段により着席が検出されると前記カメラ部に前記被撮影者の画像をフレーム撮影させ、撮影画像データを取得するフレーム撮影手段と、
前記フレーム撮影手段により取得された撮影画像データに基づき、フレーム撮影画像の被撮影者の顔位置が顔画像撮影に適しているか否かを判定する顔位置判定手段と、
前記顔位置判定手段によりフレーム撮影画像中の被撮影者の顔位置が顔画像撮影に適していると判定された時に、前記撮影指示手段に対する撮影指示入力を待機する撮影待機手段と、を備えることを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記顔位置判定手段によりフレーム撮影画像中の被撮影者の顔位置が顔画像撮影に適していないと判定された時に、前記被撮影者の顔画像を所定の撮影領域内に位置させるために前記カメラ部の位置を調整する位置調整手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記撮影指示による前記カメラ部の撮影は、IDカード用の画像撮影であることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮影装置。
【請求項4】
被撮影者の椅子への着席を検出する着席検出工程と、
前記着席検出工程において着席が検出されると、被写体の画像を撮影するカメラ部に前記被撮影者の画像をフレーム撮影させ、撮影画像データを取得するフレーム撮影工程と、
前記フレーム撮影工程において取得された撮影画像データに基づき、フレーム撮影画像の被撮影者の顔位置が顔画像撮影に適しているか否かを判定する顔位置判定工程と、
前記顔位置判定工程においてフレーム撮影画像中の被撮影者の顔位置が顔画像撮影に適していると判定された時に、前記カメラ部の撮影を指示するための撮影指示手段に対する撮影指示入力を待機する撮影待機工程と、を含むことを特徴とする撮影方法。
【請求項5】
前記顔位置判定工程においてフレーム撮影画像中の被撮影者の顔位置が顔画像撮影に適していないと判定された時に、前記被撮影者の顔画像を所定の撮影領域内に位置させるために前記カメラ部の位置を調整する位置調整工程を含むことを特徴とする請求項4に記載の撮影方法。
【請求項6】
前記撮影指示による前記カメラ部の撮影は、IDカード用の画像撮影であることを特徴とする請求項4又は5に記載の撮影方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−189717(P2007−189717A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−31907(P2007−31907)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【分割の表示】特願2002−126235(P2002−126235)の分割
【原出願日】平成14年4月26日(2002.4.26)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】