説明

撮影装置

【課題】ハーフミラーを配置した撮影装置において、外部からの衝撃に対してハーフミラーを守るようにした撮影装置を提供する。
【解決手段】撮影光路内の反射位置と、撮影光路から退避した退避位置との間で可動なハーフミラー201と、このハーフミラー201を駆動する可動ミラー駆動機構215と、カメラの振動を検知するブレ検知回路216を具備し、このブレ検知回路216によってカメラ本体に衝撃があることを検知した場合に(S23)に、可動ミラー駆動機構215を制御してハーフミラー201を退避位置に退避させる(S33)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影レンズからの被写体光束を分割するハーフミラーを有する撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の撮影装置内には、フィルムや撮像素子等の画像記録系とファインダ光学系等の2系統に被写体光束を分割するためにハーフミラーを採用するものがあった。また、最近のデジタルカメラにおいては、スルー画表示機能(ライブビュー表示機能、電子ファインダ機能とも言う)を有するものがある。この機能は、被写体像の観察として、被写体画像データの記録用に設けられている撮像素子の出力を液晶モニタ等の表示装置に表示するものである。
【0003】
このようなスルー画表示機能を有するデジタルカメラとして、例えば、特許文献1には、可動ミラーをハーフミラーで構成し、撮影光学系を通過した被写体光束を撮像素子と位相差AFセンサの両方に導くようにしたデジタルカメラが提案されている。この構成によれば、スルー画表示を行いながら位相差AFも可能である。このように、特許文献1には、ハーフミラーを用いて、被写体光束を分割することが開示されている。また、特許文献2には、ハーフミラーを使用したカメラではないが、ブレ量を検知し手ブレ以外の状況で衝撃を受けた場合には、撮影レンズを繰り込むことが開示されている。
【特許文献1】特開2002−6208号公報
【特許文献2】特開平9−61869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、ハーフミラーを透過した被写体光束を撮像素子にて受光し、被写体像を表示装置に表示するにあたっては、光路長の変化を少なくするためには、ハーフミラーを極力薄くする必要がある。また、撮影時にはハーフミラーを撮影光路から退避させる必要があることから、ハーフミラーは可動に作成しなければならない。従って、極めて薄いハーフミラーでありながら、可動式であるために堅固に保持することができず、このため、動作時の衝撃や振動によっても割れてしまうおそれがある。また、ハーフミラーが破損しないまでも、位置が狂うとAF特性に影響がでてしまうおそれがある。
【0005】
特許文献2にはブレが所定量以上となると撮影レンズを繰り込む技術が開示されているが、この技術は鏡筒が直接、地面に衝突し破壊されることを防止する技術であり、カメラ内部の機構が衝撃によって間接的に破壊されることについての言及はない。
【0006】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、ハーフミラーを配置した撮影装置において、外部からの衝撃に対してハーフミラーを守るようにした撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため第1の発明に係わる撮影装置は、撮影光路内の第1の位置と、撮影光路から退避した第2の位置との間で可動なハーフミラーと、このハーフミラーを駆動する駆動手段と、カメラの振動を検知する検知手段と、この検知手段によって所定レベルを越えた振動が検知された場合に、上記駆動手段を制御して上記ハーフミラーを上記第2の位置に退避させる退避手段を具備する。
【0008】
第2の発明に係わる撮影装置は、上記第1の発明において、上記退避位置には、上記ハーフミラーが当接する緩衝部材が配置されている。
また、第3の発明に係わる撮影装置は、上記第1の発明において、上記ハーフミラーは、撮影レンズを介して入射した被写体光束の一部を透過する光透過特性を有する。
【0009】
上記目的を達成するため第4の発明に係わる撮影装置は、撮影光路内に進退可能な可動なハーフミラーと、このミラーを駆動する駆動手段と、カメラが落下したこと、もしくはカメラに衝撃が加わったことを検知して、警告信号を発する検知手段と、上記警告信号に応答して、上記駆動手段を制御して上記ハーフミラーを退避位置へ移動させるハーフミラー退避手段を具備する。
【0010】
上記目的を達成するため第5の発明に係わる撮影装置は、撮影光路内に進退可能な可動なハーフミラーと、カメラの振動を検知するセンサと、上記振動が所定レベルを越える場合に警告信号を出力する検知手段と、上記警告信号に応じて上記ハーフミラーを退避させる駆動手段を具備する。
第6の発明に係わる撮影装置は、上記第5の発明において、上記駆動手段は、上記ハーフミラーの退避後に、上記振動が所定レベル内になると上記ハーフミラーを復帰させる。
また、第7の発明に係わる撮影装置は、上記第5の発明において、上記ハーフミラーの退避位置に、上記ハーフミラーの衝撃を和らげる緩衝部材を配置する。
さらに、第8の発明に係わる撮影装置は、上記第5の発明において、上記撮影光路上に配置され、被写体光束を受光して被写体像信号を出力する撮像手段と、上記被写体像信号に基づいて被写体の動画像を表示装置に表示するスルー画表示手段を具備する。
さらに、第9の発明に係わる撮影装置は、上記第8の発明において、上記ハーフミラーの退避と共に、上記スルー画表示手段による上記動画像の表示を停止する。
さらに、第10の発明に係わる撮影装置は、上記第5の発明において、上記ハーフミラーの反射光路上に配置された測距手段と、上記ハーフミラーの透過光路上に配置された撮像手段を具備する。
さらに、第11の発明に係わる撮影装置は、上記第5の発明において、手ブレ補正機構を有し、上記センサの出力に基づいて上記手ブレ補正機構を駆動する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、検知手段によって所定レベルを越えた振動が検知された場合に、駆動手段を制御してハーフミラーを撮影光路から退避した位置に退避させる退避手段を具備するようにしたので、外部からの衝撃に対してハーフミラーを守るようにした撮影装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面に従って本発明を適用したデジタルカメラを用いて好ましい一実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラの電気系を主とするブロック図である。レンズ鏡筒10はカメラ本体20の前面のマウント開口部(不図示)に着脱自在となっている。マウント開口部を介してレンズ鏡筒10内のレンズ101a、101b等からなる撮影レンズによる被写体光束がカメラ本体20内に導かれる。本実施形態では、レンズ鏡筒10とカメラ本体20は別体で構成され、通信接点300を介して電気的に接続されている。また、カメラ本体20に設けた着脱検知スイッチ259によって着脱状態を検出可能となっている。
【0013】
レンズ鏡筒10の内部には、焦点調節および焦点距離調節用のレンズ101a、101bと、開口量を調節するための絞り103が配置されている。レンズ101aおよびレンズ101bは光学系駆動機構107によって駆動され、絞り103は絞り駆動機構109によって駆動されるよう接続されている。光学系駆動機構107、絞り駆動機構109はそれぞれレンズCPU111に接続されており、このレンズCPU111は通信接点300を介してカメラ本体20に接続されている。レンズCPU111はレンズ鏡筒10内の制御を行うものであり、光学系駆動機構107を制御してピント合わせや、ズーム駆動を行うとともに、絞り駆動機構109を制御して絞り値制御を行う。
【0014】
カメラ本体20内のミラーボックス内には、レンズ101a、101bを通過した光束の一部を透過する特性を有する可動の反射ミラー(便宜上、可動ハーフミラーという)201が配置されている。この可動ハーフミラー201は、可動ミラー駆動機構215によって駆動され、回動軸201aを中心に紙面垂直方向の軸に沿って回動可能である。可動ハーフミラー201がレンズ101a、101bの光路に対して45度に傾いた位置(図1において実線の位置)にあるときには、被写体光束の一部(例えば、30%)が反射され、カメラ本体20の底部に設けられた測距/測光センサ217に導かれる。また被写体光束の残り(例えば70%)は、可動ハーフミラー201を透過してCCD(Charge Coupled Devices)221の方向に導かれる。そして、可動ハーフミラー201がレンズ101a、101bの光路と略平行で、被写体光束を遮らない退避位置(図1において二点鎖線の位置)にあるときには、被写体光束の全部がCCD221に導かれる。
【0015】
この可動ハーフミラー201の構造については、図4を用いて後述する。なお、本実施形態においては、可動ハーフミラー201の回動中心は、ミラーボックス内の下側であったが、これに限らず、上側でも良く、また左右のいずれかに紙面に対して平行な回動中心にしても勿論構わない。また、回動中心は、マウント開口部から離れた方向、すなわちCCD221側であったが、これに限らず、マウント開口部側でも勿論構わない。また、本実施形態においては、ハーフミラーの反射率と透過率はそれぞれ30%と70%であるが、この比率に限られず、適宜変更できる。
【0016】
カメラ本体20内のミラーボックスの底部であって、可動ハーフミラー201によって反射された光束が導かれる位置に測距/測光センサ217が配置されている。この測距/測光センサ217は測距用のセンサと測光センサから構成されており、測光センサは被写体像を分割して測光する多分割測光素子で構成されている。また、測距センサはTTL位相差法によって測距するためのセンサである。この測距センサを含む測距センサユニット451の配置構造については、可動ハーフミラー201の構造と共に、図4を用いて後述する。測距/測光センサ217の出力は測距/測光処理回路219に送られる。測距/測光処理回路219は、測光センサの出力に基づいて評価測光値を出力し、また測距センサの出力に基づいて、レンズ101、101bによって結像される被写体像の焦点ズレ量を測定する。なお、測距センサと測光センサは別体に構成しても、一体に構成しても良い。
【0017】
カメラ本体20のブレを検知するためのブレセンサ216a、216b、216cが本体内に配置されている。図2に示すように、第1のブレセンサ216aは、x軸方向のブレ量を検知するセンサであり、第2のブレセンサ216bはy軸方向のブレ量を検知するセンサであり、第3のブレセンサ216cはz軸方向のブレ量を検知するセンサである。これらのブレセンサ216a、216b、216cは、ジャイロや角速度センサや加速度センサやショックセンサ等で構成され、それぞれブレ検知回路216に接続されている。なお、ブレ検知回路216の構成については、図3を用いて後述する。
【0018】
可動ハーフミラー201の後方であって、レンズ101a、101bの光軸上であって、撮影光路上には、露光時間制御およびCCD221の遮光用のフォーカルプレーンタイプのシャッタ203が配置されており、このシャッタ203はシャッタ駆動機構213によって駆動制御される。シャッタ203の後方には防塵フィルタ205が配置されており、これは、カメラ本体20のマウント開口部や本体内部で発生した塵埃がCCD221や光学素子に付着して塵埃の影が被写体像に写しこまれ、見苦しくなることを防止するためのフィルタである。防塵フィルタ205の周縁部の全周または一部に圧電素子207が固着され、この圧電素子207は防塵フィルタ駆動回路211に接続され、この回路によって駆動される。圧電素子207は防塵フィルタ駆動回路211によって、防塵フィルタ205が所定の超音波で振動するよう駆動され、その振動を利用して防塵フィルタ205の前面に付着した塵埃を除去する。なお、CCD等の撮像素子自体もしくは撮像素子の前面側に配設された光学素子に付着した塵埃を除去できるものであれば、本実施形態のような超音波振動を利用したものに限らず、空気ポンプ等を利用して空気流によって吹き飛ばすものや、静電気を利用して塵埃を集塵して除去するもの等、種々の方法に適宜、置き換えても勿論構わない。
【0019】
防塵フィルタ205の後方には、被写体光束から赤外光成分をカットするための赤外カットフィルタ209が配置され、その後方には被写体光束から高周波成分を取り除くための光学的ローバスフィルタ210が配置されている。そして、光学的ローパスフィルタ210の後方には、撮像素子としてのCCD221が配置されており、レンズ101a、101bによって結像される被写体像を電気信号に光電変換する。これらの防塵フィルタ205、赤外カットフィルタ209、光学的ローパスフィルタ210およびCCD211は、図示しない密封されたパッケージに一体に収納されており、塵埃がこのパッケージ内に侵入しないように構成されている。なお、本実施形態では撮像素子としてCCDを用いているが、これに限らずCMOS(Complementary Metal Oxide
Semiconductor)等の二次元撮像素子を使用できることはいうまでもない。
【0020】
CCD221を含むユニットは、手振れの動きを打ち消す方向に駆動される公知の手振れ補正機構に保持されており、この手振れ補正機構は手振れ補正機構駆動回路212によって駆動制御される。この手振れ補正のためのブレ量の検出はカメラ本体20内に設けられた前述のブレセンサ216a等によって行われる。なお、手振れ補正方法としては、本実施形態のように機械的に撮像素子を含むユニットを駆動する方法以外にも、撮像素子の出力をもとに画像処理によって手振れの除去された画像データを取得する等の方法でも勿論構わない。
【0021】
CCD221は撮像素子駆動回路223に接続され、入出力回路239からの制御信号によって駆動制御される。撮像素子駆動回路223によって、CCD221から出力された光電アナログ信号が増幅され、アナログデジタル変換(AD変換)される。撮像素子駆動回路223はASIC(Application Specific Integrated Circuit 特定用途向け集積回路)262内の画像処理回路227に接続され、この画像処理回路227によってデジタル画像データのデジタル的増幅(デジタルゲイン調整処理)、色補正、ガンマ(γ)補正、コントラスト補正、白黒・カラーモード処理、スルー画像処理といった各種の画像処理がなされる。画像処理回路227は、データバス261に接続されている。このデータバス261には、画像処理回路227の他、後述するシーケンスコントローラ(以下、「ボディCPU」と称す)229、圧縮伸張回路231、ビデオ信号出力回路233、SDRAM制御回路237、入出力回路239、通信回路241、記録媒体制御回路243、フラッシュメモリ制御回路247、スイッチ検出回路253が接続されている。
【0022】
データバス261に接続されているボディCPU229は、このデジタルカメラの動作を制御するものである。またデータバス261に接続されている圧縮伸張回路231はSDRAM238に記憶された画像データをJPEGやTIFFで圧縮するための回路である。なお、画像圧縮はJPEGやTIFFに限らず、他の圧縮方法も適用できる。データバス261に接続されたビデオ信号出力回路233は液晶モニタ駆動回路235を介して背面液晶モニタ26とファインダ内液晶モニタ29(図中F内液晶モニタと略記)に接続される。ビデオ信号出力回路233は、SDRAM238、または記録媒体245に記憶された画像データを、背面液晶モニタ26および/またはファインダ内液晶モニタ29に表示するためのビデオ信号に変換するための回路である。背面液晶モニタ26はカメラ本体20の背面に配置されるが、撮影者が観察できる位置であれば、背面に限らないし、また液晶に限らず他の表示装置でも構わない。ファインダ内液晶モニタ29は、ファインダ接眼部を介して撮影者によって観察できる位置に配置されており、背面液晶モニタ26と同様、液晶に限らず他の表示装置でも構わない。なお、被写体像の観察として背面液晶モニタ26のみとし、ファインダ接眼部およびファインダ内液晶モニタ29を省略することも可能である。
【0023】
SDRAM238は、SDRAM制御回路237を介してデータバス261に接続されており、このSDRAM238は、画像処理回路227によって画像処理された画像データまたは圧縮伸張回路231によって圧縮された画像データを一時的に記憶するためのバッファメモリである。上述の防塵フィルタ駆動回路211、手振れ補正機構駆動回路212、シャッタ駆動機構213、可動ミラー駆動機構215、ブレ検知回路216、測距/測光処理回路219、撮像素子駆動回路223に接続される入出力回路239は、データバス261を介してボディCPU229等の各回路とデータの入出力を制御する。レンズCPU111と通信接点300を介して接続された通信回路241は、データバス261に接続され、ボディCPU229等とのデータのやりとりや制御命令の通信を行う。
【0024】
データバス261に接続された記録媒体制御回路243は、記録媒体245に接続され、この記録媒体245への画像データ等の記録の制御を行う。記録媒体245は、xDピクチャーカード(登録商標)、コンパクトフラッシュ(登録商標)、SDメモリカード(登録商標)またはメモリスティック(登録商標)等の書換え可能な記録媒体のいずれかが装填可能となるように構成され、カメラ本体20に対して着脱自在となっている。その他、マイクロドライブ(登録商標)などの様なハードディスクユニットや無線通信ユニットを接続可能に構成してもよい。
【0025】
データバス261に接続されているフラッシュメモリ制御回路247は、フラッシュメモリ(Flash Memory)249に接続され、このフラッシュメモリ249は、カメラのフローを制御するためのプログラムが記憶されており、ボディCPU229はこのフラッシュメモリ249に記憶されたプログラムに従ってデジタルカメラの制御を行う。なお、フラッシュメモリ249は、電気的に書換可能な不揮発性メモリである。
【0026】
カメラ本体20やレンズ鏡筒10のパワー供給の制御を行うためのパワースイッチレバーに連動してオン・オフするパワースイッチ257と、シャッタレリーズ釦に連動するスイッチ、再生モードを指示する再生釦に連動するスイッチ、背面液晶モニタ26の画面でカーソルの動きを指示する十字釦に連動するスイッチ、撮影モードを指示するモードダイヤルに連動するスイッチ、選択された各モード等を決定するOK釦に連動するOKスイッチ、着脱検知スイッチ259等の各種スイッチ255は、スイッチ検出回路253を介してデータバス261に接続されている。なお、レリーズ釦は、撮影者が半押しするとオンする第1レリーズスイッチと、全押しするとオンする第2レリーズスイッチを有している。この第1レリーズスイッチ(以下、1Rと称する)のオンによりカメラは焦点検出、撮影レンズのピントあわせ、被写体輝度の測光等の撮影準備動作を行い、第2レリーズスイッチ(以下、2Rと称する)のオンにより撮像素子としてのCCD221の出力に基づいて被写体像の画像データの取り込みを行う撮影動作を実行する。
【0027】
次に図3(A)を用いて。ブレ検知回路216の構成について説明する。第1のブレセンサ216aは、電源VccとグランドGNDの間に接続されており、第1のブレセンサ216aの出力は、増幅回路270の入力端子に接続されている。増幅回路270は公知の非反転増幅回路であり、オペアンプ271の非反転入力端子に接続された抵抗273、オペアンプ271の非反転入力端子と出力端子の間に接続された抵抗275、オペアンプ270の反転入力端子と基準電圧Vrefとの間に接続された抵抗277から構成されている。
【0028】
増幅回路270の出力はウィンドコンパレータ280の入力に接続されている。このウィンドコンパレータ280は、基準電圧Vref+電圧αより高い場合、および基準電圧Vref−電圧αより低い場合に警告信号を出力する回路である。このウィンドコンパレータ280は、オペアンプ281の非反転入力端子とオペアンプ282の反転入力端子の接続点と増幅回路270の出力端子の間に接続された抵抗286、オペアンプ281の非反転入力端子と基準電圧Vref+αの間に接続された抵抗285、オペアンプ282の反転入力端子と基準電圧Vref−αの間に接続された抵抗287と、オペアンプ281の出力端子に接続されたダイオード283と、オペアンプ282の出力端子に接続されたダイオード284から構成されている。
【0029】
増幅回路270とウィンドコンパレータ280の接続点には、A/D変換器290が接続されており、増幅回路270の出力をアナログデジタル変換し、手振れ検知信号として出力する。この手振れ信号は、手振れ補正機構駆動回路212での手振れ補正に用いられる。以上の構成は第1のブレセンサ216aに対するブレ検知回路の構成であったが、第2のブレセンサ216bおよび第3のブレセンサ216cについても、同様のブレ検知回路が設けられている。
【0030】
このようにブレ検知回路216は構成されているので、第1のブレセンサ216aに振動や衝撃が加えられると、これに応じて信号を出力し、増幅回路270によって増幅され、図3(B)に示すグラフの出力OUTのように、基準電圧Vrefを中心に出力が変化する。ウィンドコンパレータ280は、電圧Vref+αより大きい出力または電圧Vref−αより小さい出力となると、その出力端子から警告信号を出力する。すなわち、図3(B)の時刻t1からt2の間は、出力がVref+αより大きく、また時刻t3以降は、出力がVref−αよりも小さいために、この間は警告信号を出力する。なお、このウィンドコンパレータ280から出力される警告信号はカメラ本体20に加えられた衝撃を警告する信号であり、A/D変換器290から出力される手振れ検知信号は手振れ量を表す信号であって、両者はその振動周波数が異なっている。
【0031】
次に、図4を用いて、可動ハーフミラー201の駆動手段・退避手段および測距センサユニット451について説明する。図4(A)は可動ハーフミラー201の反射状態における外観斜視図であり、(B)は可動ハーフミラー201の退避状態におけるXX断面図である。被写体光束の一部を透過し一部を反射するハーフミラー401はミラー枠403によって保持される。ハーフミラー401の厚さは0.4mm以下の非常に薄い板状ガラスにコーティング膜が付着され、前述したように一部の光束を透過し、他の光束を反射する。ミラー枠403は孔403aに介挿される軸411の回りに回動自在であり、図1の回動軸201aは、軸411の中心軸となる。カメラ本体20に固定されたピン409とミラー枠403に植設された駆動ピン405の間には開きバネ407の両端がそれぞれ係合しており、この開きバネ407のコイル部分は軸411に巻装されている。この開きバネ407のバネ力によって、ミラー枠403は図中反時計方向(矢印A方向)に付勢力を受けている。駆動ピン405と係止レバー413の一端が係合しており、この係止レバー413の他端に植設されたカムピン415はミラー用カム417に係接している。
【0032】
係止レバー413は回動中心が不図示のミラーボックスに軸支されており、駆動ピン405を介して開きバネ407のバネ力によって図中反時計方向(矢印B方向)に付勢力を受けている。よって、係止レバー413のカムピン415がミラー用カム417のカム面に圧接している。ミラー用カム417のカム面は回転中心からの半径方向の長さが変化するように形成されている。すなわち、カム面上の係止位置417aでは回転中心からの距離が長くなるように形成され、係止解除位置417bでは係止位置417aに比して回転中心からの距離が短くなるように形成されている。そして図中反時計回り方向に係止位置417aから係止解除位置417bへと段差417cをもってカム面が形成され、係止解除位置417bから係止位置417aへと滑らかに変位するようにカム面が形成される。
【0033】
ミラー用カム417の係止位置417aがカムピン415と当接する位置にあるとき、係止レバー413はミラー用カム417により矢印B方向の回動が規制されていることから、ミラー枠403を反射位置に保持する。この状態から、段差417cを経て係止解除位置417bがカムピン415と当接する位置へとミラー用カム417を図中時計回りに回動させると、係止レバー413の矢印B方向への回動が可能となる。よって開きバネ407の付勢力により、ミラー枠403が矢印A方向へと回動して退避位置へと変位する。なお、ミラー用カム417は図示しないモータによって回転駆動される。
【0034】
このように可動ハーフミラー201を撮影光路内の反射位置(図1中実線で示す位置)へと駆動させる駆動手段は、ミラー用カム417、係止レバー413などを含む。また可動ハーフミラー201を撮影光路外の退避位置(図1中二点鎖線で示す位置)へと駆動する退避手段は、開きバネ407を含んでいる。なお、駆動手段や退避手段は、このような構成に限らず、可動ハーフミラー201を駆動できれば他の構成でも良い。
【0035】
カメラ本体20のミラーボックス内のボディ底面423上であって、ミラー枠403が退避位置にあるときに当接する位置に、弾性部材421が配設されている。この弾性部材421はミラー枠403が退避位置に移動する際に緩衝部材として作用し、ミラー枠403の周縁部の形状とほぼ一致する。弾性部材421に囲まれるボディ底面423には、測距センサユニット451に被写体光束を導くための開口部としての測距センサ開口部423aが設けられている。可動ハーフミラー201が退避状態にあるときには、ハーフミラー401、ミラー枠403、弾性部材421およびボディ底面423によって測距センサ開口部423aは密封状態となる。
【0036】
ボディ底面423の下部には測距センサユニット451の枠体459が、測距センサ開口部423aと枠体開口部459aが一致するように配設されている。枠体459内には、枠体開口部459aを介して入射した被写体光束を反射する位置に設けられたミラー453と、被写体光束を結像するための一対の結像レンズ455と、測距用の測距センサ457が配設されている。なお、この測距センサユニット451は公知のTTL位相差測距を行うための光学系となっている。
【0037】
このように可動ハーフミラー201と測距ユニット451は構成されているので、図示しないモータにより、カムピン415が係止解除位置417bに接する位置に駆動されたときには、ミラー枠403および係止レバー413が開きバネ407の付勢力によって、矢印B方向に回動し、図4(B)に示す如き、ミラー枠403は退避位置となる。このときには、測距センサユニット451の開口部459aは可動ミラー201と弾性部材421によって密封状態となる。可動ミラー201が退避位置に移動すると、ユーザが指で触れ指紋等が付着するおそれや、破損されるおそれは小さくなる。また、反射位置から退避位置に移動する際の動作時の衝撃や振動は弾性部材421によって吸収されるため、ハーフミラー401が破損するおそれも殆どない。さらに、測距センサユニット451は、可動ハーフミラー201によって覆われるため、ゴミ等の塵埃が付着する心配がない。
【0038】
可動ハーフミラー201の退避状態において、モータによってミラー用カム417を回動させ、係止位置417aがカムピン415と接する位置になると、係止レバー413は時計方向(矢印B方向と逆方向)に回動され、開きバネ407の付勢力に抗して駆動ピン405を介しミラー枠403を時計方向(矢印A方向と逆方向)に回動させ、反射位置に戻る。これによって、可動ハーフミラー201はレンズ101a、101b通過した被写体光の一部を下方に反射し、測距センサ開口部423aおよび枠体開口部459aを通過し、ミラー453によって反射され、結像レンズ455によって瞳分割され、測距センサ457上に結像する。測距センサ457の出力に基づいてレンズ101a、101bの焦点状態が検出される。なお、図4の測距ユニット451には測光素子を設けていないが、測光素子を併設するようにしても構わない。
【0039】
次に、本発明の一実施形態におけるデジタルカメラの動作について図5に示すフローチャートを用いて説明する。図5に示すパワーオンリセットのフローに入ると、カメラ本体20のパワースイッチ257がオンとなったかを判定する(S1)。判定の結果、パワースイッチ257がオフの場合には、ステップS3に進み、低消費電力の状態であるスリープ状態となる。このスリープ状態ではパワースイッチ257がオンとなった場合のみに割り込み処理を行い、ステップS5以下においてパワースイッチオンのための処理を行う。パワースイッチがオンとなるまでは、パワースイッチ割り込み処理以外の動作を停止し、電源電池の消耗を防止する。ステップS1において、パワースイッチ257がオンであった場合には、ステップS2に進み、着脱スイッチ259がオフか否かを判定する。前述したように着脱検知スイッチ259は、レンズ鏡筒10がカメラ本体20から外されると、オフとなるスイッチである。オフであった場合、すなわちレンズ鏡筒10が離脱していた場合には、後述するステップS51に進む。これは、レンズ鏡筒10が離脱している状態でカメラ本体20のパワースイッチレバーが操作され、パワーオンとなった場合に、レンズ離脱時と同様な処理をするためである。ステップS2において、着脱スイッチ259がオンであった場合には、ステップS5以下に進み、パワースイッチオンのための処理を行う。
【0040】
ステップS5では、可動ハーフミラー201の復帰を行う。これは、パワースイッチ257がオフの状態では、可動ハーフミラー201は撮影光路から退避した位置にあるが(図1において二点鎖線の状態)、パワースイッチ257のオンに応じて、レンズ鏡筒10からの被写体光束を測距/測光センサ217に導き、測光および測距を行うためである。次に、防塵フィルタ205における塵埃除去動作を行う(S7)。これは防塵フィルタ205に固着された圧電素子207に防塵フィルタ駆動回路211から駆動電圧を印加し、前述したように超音波によって塵埃等を除去する動作である。
【0041】
続いて、シャッタ駆動回路213によってシャッタ203の開放動作を行う(S9)。これによって、可動ハーフミラー201を透過した被写体光束は、シャッタ203によって遮られないので、CCD221上に被写体像が結像される。このCCD221によって撮像された画像データを用いて背面液晶モニタ26に被写体像を動画表示するスルー画表示の開始を指示する(S11)。なお、スルー画表示動作の制御はこの開始指示を受けて画像処理回路227にて行われる。
【0042】
次に、図示しないモードダイヤル等によって設定された撮影モードや、ISO感度、マニュアル設定されたシャッタ速度や絞り値等の情報があればそれらの撮影条件の読み込みを行う(S13)。そして、測距/測光センサ217によって被写体輝度を測光し、露光量を演算し、この露光量を用いて撮影モード・撮影条件に従ってシャッタ速度や絞り値等の露光制御値の演算を行う(S15)。また、測光値や露光量等を用い、スルー画表示設定を行う(S17)。このステップでは、CCD221の駆動にあたっての電子シャッタスピードと感度の条件設定を行うために、ステップS15で求めた測光・露光量の演算結果、もしくは前回の表示画像を用いて、背面液晶モニタ26および/またはファインダ内液晶29に適切な明るさ(明度)の像を表示するための演算と設定を行う。
【0043】
次にステップS21に進み、レリーズ釦が半押しされたか、すなわち1Rスイッチがオンか否かの判定を行う。判定の結果、1Rがオンであった場合には、ステップS31に進み、撮影準備と撮影を行う撮影動作のサブルーチンを実行する。この撮影動作のサブルーチンでは、スルー画表示中にレリーズ釦が半押しされ、1Rがオンとなったとき、可動ハーフミラー201から反射された被写体光束の一部を測距/測光センサ217に導き、測光や測距をスルー画表示と並行して行うことができる。また、2Rがオンとなったときには、可動ハーフミラー201を退避させ、被写体像が結像されるCCD221の出力に基づいて画像データを記録媒体245に記録を行う。撮影動作のサブルーチンが終了すると、ステップS7に戻り、前述のステップを繰り返す。
【0044】
ステップS21に戻り、判定の結果、1Rスイッチがオフであった場合には、ステップS23に進み、ブレ検知回路216の出力に基づいて、カメラ本体20に衝撃が加えられているか否かの判定を行う。この判定は、ブレセンサ216a、216b、216cの出力信号に基づいてブレ検知回路216から警告信号が出力されているか否かで行う。3つのブレセンサの内、1つでもレベルが所定レベルを超えると警告信号が出力される。判定の結果、衝撃が加えられている場合には、ステップS33に進み、可動ハーフミラー201の退避動作を行う。
【0045】
退避動作は、前述したように、モータを駆動してミラー用カム417を回動させ、開きバネ407の付勢力によってミラー枠403を撮影光路から退避した位置に回動させることにより行う(図1の二点鎖線の位置)。続いて、カメラ本体20に衝撃が加えられており、画像にブレが生じている状況であるので、スルー画表示の停止を画像処理回路227に対して行い(S35)、シャッタ203の閉じ動作を行う(S37)。この状態で、衝撃が収まるのを待ち(S39)、衝撃がなくなったら、可動ハーフミラー201の復帰動作を、ステップS5と同様に行い、復帰動作終了後、ステップS7に戻り、前述の動作を繰り返す。
【0046】
ステップS23に戻り、判定の結果、衝撃がない場合には、ステップS25に進み、ステップS2と同様に、着脱検知スイッチ259がオフか否かを判定する。レンズ鏡筒10が離脱されると、ステップS35と同様に、スルー画停止指示を出力し(S45)、シャッタ203の閉じ動作を行う(S47)。この後、可動ハーフミラー201の退避動作を行う(S49)。退避動作は、ステップS33と同様に、モータを駆動してミラー用カム417を回動させ、開きバネ407の付勢力によってミラー枠403を撮影光路から退避した位置に回動させることにより行う。前述したように、可動ハーフミラー201の退避位置には、弾性部材421を設けてあるので、弾性部材421が緩衝部材として働き、衝撃を和らげ、破損を防止することができる。
【0047】
可動ハーフミラー201の退避が終わると、またはステップS2で着脱検知スイッチ259がオフであると判定された場合(すなわち、レンズ鏡筒10が離脱している場合)には、ステップS51に進み、着脱検知スイッチ259がオンか否かを判定する。ステップS25において、レンズ鏡筒10が離脱されたことを検出した後、レンズ鏡筒10が再び装着されたか否かを判定するものである。判定の結果、装着されていた場合には、ステップS55に進み、可動ハーフミラー201を復帰させる。これは、前述したように、モータを駆動してミラー用カム417を回動させ、開きバネ407の付勢力に抗して、カム面によって係止レバー413を時計方向に回動させ、ミラー枠403をレンズ101a、101bの光路中に介挿させる。可動ハーフミラー201の復帰が終わると、ステップS7に戻り、前述のステップを繰り返す。
【0048】
ステップS51に戻り、着脱検知スイッチ259がオフであった場合には、ステップS53に進み、パワースイッチ257がオンか否かを判定する。レンズ鏡筒10が離脱され、パワースイッチ257がオンの場合には、各種操作釦が操作されても、マウント開口部が開放のままなので、誤動作防止の観点から、カメラ動作を行わないようにしている。そのため、ステップS51にてレンズ鏡筒10の装着状態と、ステップS53においてパワースイッチレバーの操作状態の判定を繰り返し行う待機状態となる。ステップS53において、パワースイッチ257がオフと判定されると、ステップS3に戻り、スリープ状態になる。なお、ステップS51において、レンズ鏡筒10が離脱されたままであることを検出した場合に、ステップS53の判定を省略して、ステップS3に進みスリープ状態としてもよく、また、ステップS9に進み、各種操作釦による操作に基づく動作を行う等の変形は可能である。
【0049】
ステップS25に戻り、判定の結果、着脱検知スイッチ259がオン、すなわちレンズ鏡筒10がカメラ本体に装着されていた場合には、ステップS27に進み、パワースイッチ257がオンか否かを判定する。判定の結果、オンであった場合には、ステップS13に戻り、前述のステップを繰り返す。ステップS11において、スルー画表示が開始された後、ステップS19以降において各種操作釦等が操作されない限り、可動ハーフミラー201を透過した被写体光束は、シャッタ203によって妨げられないので、CCD221上に被写体像が結像し、このCCD221によって撮像された画像データが背面液晶モニタ26および/またはファインダ内液晶29に動画像としてスルー画表示される。
【0050】
ステップS27において、パワースイッチ257がオフと判定された場合には、ステップS31、S33と同様に、画像処理回路227に対してスルー画表示を停止するよう指示し(S28)、シャッタ203の閉じ動作を行う(S29)。この後、前述のステップS33と同様にして、可動ハーフミラー201の退避動作を行った後(S30)、ステップS3に戻りスリープ状態となる。なお、前述したように、可動ハーフミラー201の退避位置には、弾性部材421を設けてあるので、弾性部材421が緩衝部材として働き、衝撃を和らげ、破損を防止することができる。
【0051】
このように、本実施形態においては、スルー画表示可能なデジタルカメラにおいて、カメラの作動時にブレセンサ216a、216b、216cの出力を検知し、所定レベル以上のブレを検出した場合には(S23)、ハーフミラー201の退避動作を行っている(S33)。このため、カメラ本体20に加えられた衝撃によって、薄いハーフミラーが損傷を受けるおそれを防止することができる。なお、ブレ検知回路216から出力される警告信号はαを変更することによって、警告信号を出力するブレのレベルを変化させることができ、この値を低めに設定しておけば、衝撃を事前に予知することができる。
【0052】
また、本実施形態においては、衝撃を検知した場合には(S23)、スルー画表示を停止し(S35)、また、シャッタ203の閉じ動作を行っており(S47)、衝撃を受けている際に乱れた画像が表示されることがない。さらに、衝撃がなくなったことを検出すると(S39)、可動ハーフミラー201を復帰させ(S41)、スルー画表示を再開させている(S11)。このため、衝撃がある間だけ、スルー画を停止させ、衝撃がなくなり次第、スルー画を再開させているので、被写体像を最大限、表示することができ、シャッタチャンスを逃すことがない。
【0053】
さらに、本実施形態においては、手ブレ補正用のブレセンサ216a、216b、216cの出力を用いて、衝撃があるかないかの判定を行うようにしているので、手ブレ補正と衝撃検知のセンサを兼用でき、カメラの小型化を図ることができる。また、3つのセンサによって3軸方向の衝撃を検出することができる。
【0054】
さらに、本実施形態においては、可動ハーフミラー201が退避する際に(S33、S49)、可動ハーフミラー201は弾性部材421に当接するようにしているので、非常に薄いハーフミラー401に加えられる衝撃を和らげられることから破損するおそれを小さくすることができる。
【0055】
さらに、本実施形態においては、可動ハーフミラー201を撮影光路中に介挿し、被写体光束の一部を測距/測光センサ217に反射させているので、スルー画表示中にレリーズ釦が半押しされ、1Rがオンとなったとき、直ちに測光や測距をスルー画表示と並行して行うことができ便利である。
【0056】
さらに、本実施形態においては、パワーオンリセットのルーチンにおいては、レンズ鏡筒10が離脱したことを着脱検知スイッチ259によって検出すると(S25)、可動ハーフミラー201を撮影光路から退避させ、またレンズ鏡筒10が再装着されたことを着脱検知スイッチ259によって検出すると(S51)、可動ハーフミラー201を撮影光路中に介挿させる動作を行っている。このため、レンズ鏡筒10が外され、マウント部が開口状態となった際に、ユーザ等がマウント開口部からクリーニング用具等を挿入しようとしても、可動ハーフミラー201は退避状態となっているので、可動ハーフミラー201が破損したり、指紋をつけられたりするおそれがない。
【0057】
さらに、本実施形態においては、パワーオフ時にレンズ鏡筒10が外された場合にも、可動ハーフミラー201は退避状態となっているので、同様に、ユーザ等によって可動ハーフミラー201が破損されたり、指紋を付着される等のおそれがない。カメラのパワーオン時には、可動ハーフミラー201を撮影光路中に介挿しているので、測距動作や測光動作をスルー画表示動作と並行して行うことができる。
【0058】
さらに、本実施形態においては、可動ハーフミラー201の退避時には、測距センサユニット451が可動ハーフミラー201によって覆われるので、測距センサ457が露出することがなく、塵埃等が付着するおそれを小さくすることができる。さらに、弾性部材421等によって密封状態としているので、隙間から塵埃が入り込むおそれもない。
【0059】
なお、本実施形態においては、弾性部材421をボディ底面423に配設したが、これに限らず、例えば、可動ハーフミラー201が反射位置にあるときに当接する位置に配するようにしても構わない。さらに、弾性部材421はボディ底面423上に配設されていたが、ボディ底面423中に弾性部材421の全体を埋め込むようにしたり、また一部を埋め込むようにしても勿論構わない。
【0060】
また、本実施形態においては、撮像素子としてのCCD221は可動ハーフミラー201の透過光を受光し、測距/測光センサ217は可動ハーフミラー201の反射光を受光していたが、これとは逆にCCD221は反射光を、測距/測光センサ217は透過光を受光するように構成しても良い。
【0061】
さらに、本実施形態においては、撮像素子はCCD221のみであったが、これに限らず、別にファインダ光学系中に配置し、記録用の撮像素子とファインダ光学系中の撮像素子の出力の両方またはいずれかを切り換えてスルー画表示するものにも適用できる。
【0062】
本実施形態においては、本発明を一般的なデジタルカメラに適用したものであったが、これに限らず、携帯等の各種装置内の撮影装置でもよく、またベローズ、エクステンションチューブ等を装着するものでも良く、さらに顕微鏡、双眼鏡等の各種装置に取り付けられる専用カメラにも適用できることは勿論である。また、デジタルカメラに限らず、ミラーに衝撃を受ける装置であれば適用できることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明を適用した一実施形態におけるデジタルカメラの電気系の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態におけるブレセンサの配置箇所を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるブレ検知回路を説明する図であり、(A)はブレ検知回路のブロック図であり、(B)はブレ検知回路の出力を示す波形図である。
【図4】本発明の一実施形態における可動ハーフミラーと測距ユニットの部品構成を示す図であり、(A)は可動ハーフミラーの外観斜視図であり、(B)は測距ユニットを含む可動ハーフミラーのXX断面図である。
【図5】本発明の一実施形態におけるパワーオンリセットの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
10 レンズ鏡筒
20 カメラ本体
26 背面液晶モニタ
29 ファインダ内液晶モニタ
101a、101b レンズ
103 絞り
111 レンズCPU
201 可動ハーフミラー
203 シャッタ
205 防塵フィルタ
207 圧電素子
215 可動ミラー駆動機構
216 ブレ検知回路
216a、216b、216c ブレセンサ
217 測距/測光センサ
219 測距/測光処理回路
221 CCD
227 画像処理回路
229 ボディCPU
253 スイッチ検出回路
255 各種スイッチ
257 パワースイッチ
259 着脱検知スイッチ
270 増幅回路
280 ウィンドコンパレータ
401 ハーフミラー
403 ミラー枠
421 弾性部材
423 ボディ底面
451 測距センサユニット
457 測距センサ
459 枠体
459a 枠体開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光路内の第1の位置と、撮影光路から退避した第2の位置との間で可動なハーフミラーと、
このハーフミラーを駆動する駆動手段と、
カメラの振動を検知する検知手段と、
この検知手段によって所定レベルを越えた振動が検知された場合に、上記駆動手段を制御して上記ハーフミラーを上記第2の位置に退避させる退避手段と、
を具備していることを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
上記退避位置には、上記ハーフミラーが当接する緩衝部材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
上記ハーフミラーは、撮影レンズを介して入射した被写体光束の一部を透過する光透過特性を有することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項4】
撮影光路内に進退可能な可動なハーフミラーと、
このミラーを駆動する駆動手段と、
カメラが落下したこと、もしくはカメラに衝撃が加わったことを検知して、警告信号を発する検知手段と、
上記警告信号に応答して、上記駆動手段を制御して上記ハーフミラーを退避位置へ移動させるハーフミラー退避手段と、
を具備していることを特徴とする撮影装置。
【請求項5】
撮影光路内に進退可能な可動なハーフミラーと、
カメラの振動を検知するセンサと、
上記振動が所定レベルを越える場合に警告信号を出力する検知手段と、
上記警告信号に応じて上記ハーフミラーを退避させる駆動手段と、
を具備したことを特徴とする撮影装置。
【請求項6】
上記駆動手段は、上記ハーフミラーの退避後に、上記振動が所定レベル内になると上記ハーフミラーを復帰させることを特徴とする請求項5に記載の撮影装置。
【請求項7】
上記ハーフミラーの退避位置に、上記ハーフミラーの衝撃を和らげる緩衝部材を配置したことを特徴とする請求項5に記載の撮影装置。
【請求項8】
上記撮影光路上に配置され、被写体光束を受光して被写体像信号を出力する撮像手段と、上記被写体像信号に基づいて被写体の動画像を表示装置に表示するスルー画表示手段を具備したことを特徴とする請求項5に記載の撮影装置。
【請求項9】
上記ハーフミラーの退避と共に、上記スルー画表示手段による上記動画像の表示を停止することを特徴とする請求項8に記載の撮影装置。
【請求項10】
上記ハーフミラーの反射光路上に配置された測距手段と、上記ハーフミラーの透過光路上に配置された撮像手段を具備することを特徴とする請求項5に記載の撮影装置。
【請求項11】
手ブレ補正機構を有し、上記センサの出力に基づいて上記手ブレ補正機構を駆動することを特徴とする請求項5に記載の撮影装置。

【図2】
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【図4】
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【図1】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−11359(P2008−11359A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−181604(P2006−181604)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】