説明

撮影装置

【課題】適切な撮影パラメータの設定理由をユーザが理解できるようにすることにより、撮影技術の向上や知識の増大を図れるようにする。
【解決手段】オート撮影モード時の撮影パラメータを、撮影前または撮影途中の原画像から算出されるパラメータ決定情報に基づいて定める撮影パラメータ設定部9と、撮影パラメータの値の設定理由を、該撮影パラメータに対応するパラメータ決定情報の値に紐付けて格納している設定理由格納部8と、オート撮影モードでの撮影時の撮影パラメータの値から、設定理由格納部8を参照して設定理由を抽出し、該設定理由を撮影画像に関連付ける関連付け処理部11とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Auto撮影モードを有したデジタルカメラ等の撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラには、自動で撮影条件を設定するオート撮影モードの他に、手動で撮影条件を設定するマニュアル撮影モードがあり、この手動撮影モードでは、撮影パラメータ、例えば、ISOスピード、露出補正、シャッタスピード、ホワイトバランス、赤目補正、フラッシュ強度、手ぶれ補正、カラーバランスなどをユーザが設定する必要がある。
とはいえ、このように多くの撮影パラメータを被写体や撮影条件に合わせて適切に設定するのは難しい。
そこで、従来、特許文献1〜3に記載されているように、撮影者の撮影技量を向上させる技術が提案されている。
【0003】
例えば、撮影時にカメラが設定した最適な撮影条件を画像と共に履歴として記録しておき、次回の撮影時に撮影状況が似ている画像を選び、その画像の撮影条件をカメラに設定することにより最適な撮影設定が行えるというものがある。また、記録された撮影条件からユーザが使っていないカメラ機能を検出して表示し、より適切なカメラ設定をユーザに促すといったものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−200836号公報
【特許文献2】特開2009−017423号公報
【特許文献3】特開2005−348298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、先行技術の内容では撮影するときに状況が似たような画像を探し出すといった処理がなされるため、リアルタイム性にかける。さらに、あくまで似た状況の設定をするので、その撮影設定が、本来ユーザが撮影したい映像とマッチングしない可能性もある。また、撮影時にカメラ内部で設定される撮影条件が、どんな判定がなされて撮影条件が決定されたのかがユーザには伝わらないため、ユーザがマニュアル撮影しようとする際には適切な撮影設定ができない。
【0006】
本発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであって、適切な撮影パラメータの設定理由をユーザが理解できるようにすることにより、撮影技術の向上や知識の増大を図れるようにすることをその所期課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係る撮影装置は、自動で撮影条件を定めるオート撮影モードと手動で撮影条件を定めるマニュアル撮影モードとに切替可能なものであって、
前記オート撮影モード時の撮影パラメータを、撮影前または撮影途中の原画像から算出されるパラメータ決定情報に基づいて定める撮影パラメータ設定部と、
撮影パラメータの値の設定理由を、該撮影パラメータに対応する前記パラメータ決定情報の値に紐付けて格納している設定理由格納部と、
【0008】
前記オート撮影モードでの撮影時の撮影パラメータの値から、前記設定理由格納部を参照して前記設定理由を決定し、該設定理由を撮影画像に関連付ける関連付け処理部とを具備していることを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、オート撮影時に撮影装置内部で判定される撮影パラメータに関して、どのような理由でその設定がなされたかをユーザに知らせることができ、適切な撮影設定に関する知識をユーザが得られるようになる。
【0010】
パラメータ設定理由を把握しやすくするには、前記撮影画像を当該撮影画像に関連づけられた設定理由とともに表示する再生処理部をさらに具備しているものが好ましい。
具体的な態様としては、デジタルスチルカメラやデジタルムービーカメラを挙げることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上に述べた本発明によれば、オート撮影時に撮影装置内部で判定される撮影パラメータに関して、どのような理由でその設定がなされたかをユーザに知らせることができ、適切な撮影設定に関する知識をユーザが得られるようになる。そして、その適切な撮影パラメータ設定の理由をユーザが理解することにより、ユーザの撮影技術の向上を無理なく図ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る撮影装置の全体構成図である。
【図2】同実施形態における撮影装置の動作を示すフローチャート。
【図3】同実施形態における理由テーブルの一例を示す例示図。
【図4】同実施形態における撮影装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
本実施形態に係る撮影装置たるデジタルスチルカメラの概要を図1を参照して簡単に説明する。なお、このデジタルカメラは、図示しないCPUや内部メモリなどの情報処理機構を有しており、図1中の各部は、ハードウェア機器を含む他、前記メモリに格納されたプログラムにしたがってCPU等が動作することによって得られるソフトウェア機能部も含むものである。
【0015】
このデジタルカメラにおいて、被写体はレンズ1を通して、CCDやCMOS等のエリア受光素子3上に結像され、電気信号としてアナログ信号処理部4へ送られる。アナログ信号処理部4では、例えば信号が適切な大きさにゲインコントロールされるなどし、AD変換部5でデジタル信号に変換される。なお、受光素子3の前段に設けられている光学調整機構2とは、例えば絞りやシャッタスピード、露出などの調整機構であり、これらは機械的な光学調整機構であっても、CCD等に作用する電気的な光学調整機構であっても構わない。
【0016】
デジタル信号に変換された画像(ベイヤ配列原画像)は、撮影モード判定部6、オートパラメータ判定収集ブロックを経て、画像処理部10に送られ、ここでホワイトバランス調整、色補間、YCbCr画像変換、画像圧縮等の処理が施されて、記録処理ブロックでメモリカード等に格納される。
【0017】
しかして、本実施形態におけるデジタルスチルカメラの特徴的機構は、前記オートパラメータ判定収集ブロックに主としてあり、その動作について図2を参照して以下に説明する。
まず撮影モード判定部6が、ユーザの操作入力に基づいて、マニュアル撮影モードかオート撮影モードかを判断する(S11)。
【0018】
次に、オート撮影モードの場合、シャッタが押される前に、撮影パラメータ設定部10が1または複数のパラメータ決定情報に基づいて各種撮影パラメータの値を計算する(S12)。
【0019】
撮影パラメータとは、ISOスピード、露出補正、シャッタスピード、ホワイトバランス、赤目補正、フラッシュ強度、手ぶれ補正、カラーバランス、絞りなどである。
前記パラメータ決定情報は、パラメータ決定情報算出部9によって前記原画像が示す各情報に基づいて算出されるものである。
【0020】
理解のために具体例を説明する。例えば、撮影パラメータの1つである露出補正の値は、原画像の平均的な明るさに基づいて撮影パラメータ設定部10が計算する。ここでいう原画像の明るさがパラメータ決定情報であり、この原画像の明るさは前記パラメータ決定情報算出部9によって原画像の各画素値の大きさから算出される。
【0021】
同様に、例えば、ホワイトバランスの値は、原画像のR、G、B各画素値のバランスに基づいて算出される。また、例えばシャッタスピードの値は、原画像から判断される被写体の動きの速さや原画像の明るさから算出される。また、例えば、ISOスピードの値は、原画像から判断される被写体の動きの速さや原画像の明るさから算出される。また、例えば、フラッシュの強度(ON/OFF)は、原画像の明るさから算出される。
【0022】
そしてシャッタが押されると(S13)、撮影パラメータが確定し(S14)、光学調整機構2や画像処理部10に当該撮影パラメータでの動作が指令されて画像撮影が行われる(S16)とともに、原画像に対する画像処理や圧縮処理が施される(S17、S18)。
【0023】
ところで、前記パラメータ決定情報に対しては、その値によって、それぞれ理由が付された理由テーブルが、予めSDRAM等の内部メモリに設定した設定理由格納部8に格納されている。この理由テーブルの具体例を図3を参照して説明する。例えば、原画像の平均的な明るさを3つの領域に分け、明るさが最も大きい領域には、それに対応する理由として“画像が明るい”が付されている。また中間の領域には、“普通”が付され、最も明るさが小さい領域には“画像が暗い”が付されている。
【0024】
しかして、シャッタが押され、撮影パラメータが確定すると、関連付け処理部11が、各撮影パラメータの値算出に用いられたパラメータ決定情報の値から前記理由テーブルを参照し、各撮影パラメータの設定理由を決定する(S16)。そして、原画像に対する画像処理や圧縮処理が施された(S16、S17)後、各撮影パラメータ毎に付された設定理由内容を圧縮画像に関連づける(S19)。
【0025】
例えば、露出補正の値がαで、その算出基礎となったパラメータ決定情報である画像の明るさの値がβであり、このβが、前記理由テーブルにおける最も大きい領域に入っていた場合は、「露出補正の値をαにした理由は、画像が暗い、からです」といった理由内容が決定される。1つの撮影パラメータに対して複数の理由が付される場合もある。
最後に、メモリ記録処理部12が、圧縮画像と関連付けられた設定理由をメモリカード13等の記録媒体に格納する。
【0026】
なお、画像との関連付けはJPEG Fileのメーカー固有のデータが埋め込み可能なエリア(App2エリア)に直接埋め込んで記録してもよいし、Log Fileとして別のファイルに記録しFile名をApp2エリアに埋め込んでもよいし、JPEG FileとLog Fileとの関連付けを記録したさらに別のFileに記録しておくことも可能である。
他方、マニュアル撮影モードの場合は、ユーザが設定した各撮影パラメータの値に従って、従来通りの撮影動作が営まれる(S102〜S105)。
次に、画像を再生する場合の動作について説明する。
【0027】
ユーザの操作に基づいて画像が再生される場合は、図4に示すように、例えば、再生処理部14が、画像をLCD等の表示器15に表示する(S21)とともに、設定理由の詳細表示をするかどうかのユーザからの入力を待つ(S22)。そして理由表示する場合には、画像に関連づけられた理由内容を前記メモリから取得し、例えば画像に重ね合わせて、あるいは画像と領域を分けて、LCD15に同時表示する(S23)。なお、詳細表示をするかどうかの入力は、メニューで表示のON/OFFを設定することもできるし、画像を表示している際にボタンを押すことによって表示することも可能である。
一方、理由表示しない場合は、従来と同様の再生動作が営まれる。
【0028】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。例えば、撮影パラメータの設定理由は、撮影画像と同時に表示する必要はなく、例えば、撮影前のライブビュー画像に表示するようにしてもよい。またデジタルスチルカメラのみならず、動画を録画できるデジタルムービーカメラや、複合機能を有したものに本発明を適用しても、同様の作用効果を奏し得る。その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0029】
9・・・撮影パラメータ設定部
8・・・設定理由格納部
11・・・関連付け処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動で撮影条件を定めるオート撮影モードと手動で撮影条件を定めるマニュアル撮影モードとに切替可能なものであって、
前記オート撮影モード時の撮影パラメータを、撮影前または撮影途中の原画像から算出されるパラメータ決定情報に基づいて定める撮影パラメータ設定部と、
撮影パラメータの値の設定理由を、該撮影パラメータに対応する前記パラメータ決定情報の値に紐付けて格納している設定理由格納部と、
前記オート撮影モードでの撮影時の撮影パラメータの値から、前記設定理由格納部を参照して前記設定理由を決定し、該設定理由を撮影画像に関連付ける関連付け処理部とを具備していることを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記撮影画像を当該撮影画像に関連づけられた設定理由とともに表示する再生処理部をさらに具備している請求項1記載の撮影装置。
【請求項3】
デジタルスチルカメラである請求項1又は2撮影装置。
【請求項4】
デジタルムービーカメラである請求項1又は2記載の撮影装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−134679(P2012−134679A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283833(P2010−283833)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】