撮影装置
【課題】特定の音声と同期して、各種動作を実行することのできる撮影装置を提供すること。
【解決手段】外部からの外部音声を入力する音声入力手段140と、前記外部音声を解析して、前記外部音声の特性である外部音声特性を抽出する音声解析手段171と、第1の特定音声の特性を、第1特定音声特性として記憶する第1音声特性記憶手段172と、前記外部音声特性と、前記第1特定音声特性とを比較し、該比較結果に基づいて、撮影準備動作を起動するか否かを判定する第1判定手段173とを備えることを特徴とする撮影装置。
【解決手段】外部からの外部音声を入力する音声入力手段140と、前記外部音声を解析して、前記外部音声の特性である外部音声特性を抽出する音声解析手段171と、第1の特定音声の特性を、第1特定音声特性として記憶する第1音声特性記憶手段172と、前記外部音声特性と、前記第1特定音声特性とを比較し、該比較結果に基づいて、撮影準備動作を起動するか否かを判定する第1判定手段173とを備えることを特徴とする撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、動画像を撮影する際において、動画像撮影中の音声を集音するために、集音マイクを備えた撮影装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−104316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、自動車レースなどの特定の撮影場面において、自動車の走行音などの特定の音声と同期して、撮影準備動作の起動や被写体像の撮影を行うことが望まれるような場面が存在するものの、従来の撮像装置においては、このように特定の音声と同期した動作を行なうことができなかった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、特定の音声と同期して、各種動作を実行することのできる撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の解決手段によって上記課題を解決する。なお、以下においては、本発明の実施形態を示す図面に対応する符号を付して説明するが、この符号は本発明の理解を容易にするためだけのものであって発明を限定する趣旨ではない。
【0007】
[1]本発明の撮影装置は、外部からの外部音声を入力する音声入力手段(140)と、前記外部音声を解析して、前記外部音声の特性である外部音声特性を抽出する音声解析手段(171)と、第1の特定音声の特性を、第1特定音声特性として記憶する第1音声特性記憶手段(172)と、前記外部音声特性と、前記第1特定音声特性とを比較し、該比較結果に基づいて、撮影準備動作を起動するか否かを判定する第1判定手段(173)とを備えることを特徴とする。
【0008】
[2]本発明の撮影装置において、前記外部音声特性および前記第1特定音声特性が、音量の情報、および音声波形の情報を含み、前記第1判定手段(173)が、前記外部音声の音量と、前記第1特定音声の音量との差分、および、前記外部音声の音声波形と、前記第1特定音声の音声波形との差分を算出し、各前記差分が、予め定められた所定の閾値以下である場合に、撮影準備動作を起動するように構成することができる。
【0009】
[3]本発明の撮影装置において、前記外部音声特性および前記第1特定音声特性が、音量の情報、および基本周波数の情報を含み、前記第1判定手段(173)が、前記外部音声の音量と、前記第1特定音声の音量との差分、および、前記外部音声の基本周波数と、前記第1特定音声の基本周波数との差分を算出し、各前記差分が、予め定められた所定の閾値以下である場合に、撮影準備動作を起動するように構成することができる。
【0010】
[4]本発明の撮影装置において、前記音声解析手段(171)が、所定のタイミングで繰り返し、前記外部音声特性の抽出を行い、前記第1判定手段(173)が、所定のタイミングで繰り返し、前記外部音声特性と、前記第1音声特性との比較を行うように構成することができる。
【0011】
[5]本発明の撮影装置において、ユーザがレリーズボタンを半押しした場合に、前記音声解析手段(171)が、半押し時において前記音声入力手段に入力された外部音声の外部音声特性を抽出し、前記第1音声特性記憶手段(172)が、該外部音声特性を、前記第1特定音声特性として、記憶するように構成することができる。
【0012】
[6]本発明の撮影装置において、前記第1の特定音声とは異なる第2の特定音声の特性を、第2特定音声特性として記憶する第2音声特性記憶手段(174)と、前記撮影準備動作が起動中である場合に、前記外部音声特性と、前記第2特定音声特性とを比較し、該比較結果に基づいて、撮影を行なうか否かを判定する第2判定手段(175)と、をさらに備えるように構成することができる。
【0013】
[7]本発明の撮影装置において、前記外部音声特性および前記第2特定音声特性が、音量の情報、および音声波形の情報を含み、前記第2判定手段(175)が、前記外部音声の音量と、前記第2特定音声の音量との差分、および、前記外部音声の音声波形と、前記第2特定音声の音声波形との差分を算出し、各前記差分が、予め定められた所定の閾値以下である場合に、撮影を実行するように構成することができる。
【0014】
[8]本発明の撮影装置において、前記外部音声特性および前記第2特定音声特性が、音量の情報、および基本周波数の情報を含み、前記第2判定手段(175)が、前記外部音声の音量と、前記第2特定音声の音量との差分、および、前記外部音声の基本周波数と、前記第2特定音声の基本周波数との差分を算出し、各前記差分が、予め定められた所定の閾値以下である場合に、撮影を実行するように構成することができる。
【0015】
[9]本発明の撮影装置において、前記音声解析手段(171)が、所定のタイミングで繰り返し、前記外部音声特性の抽出を行い、前記第2判定手段(175)が、所定のタイミングで繰り返し、前記外部音声特性と、前記第2音声特性との比較を行うように構成することができる。
【0016】
[10]本発明の撮影装置において、ユーザがレリーズボタンを半押しした場合に、前記音声解析手段(171)が、半押し時に前記音声入力手段に入力された外部音声の外部音声特性を抽出し、前記第2音声特性記憶手段(174)が、該外部音声特性を、前記第2特定音声特性として、記憶するように構成することができる。
【0017】
[11]本発明の撮影装置において、ユーザがレリーズボタンを全押しした場合に、前記音声解析手段(171)が、全押し時点から所定時間前までに前記音声入力手段に入力された外部音声の外部音声特性を抽出し、前記第2音声特性記憶手段(174)が、該外部音声特性を、前記第2特定音声特性として、記憶するように構成することができる。
【0018】
[12]本発明の撮影装置において、ユーザの操作により、前記音声入力手段から入力される外部音声を記録する記録手段と、ユーザの操作により、前記外部音声記録手段に記録された外部音声のうち、前記第1音声特性記憶手段に第1特定音声特性として記憶させる音声および/または前記第2音声特性記憶手段に第2特定音声特性として記憶させる音声を設定する設定手段(150)とをさらに備えるように構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、特定の音声と同期して、各種動作を実行することのできる撮影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る一眼レフデジタルカメラを示す要部構成図である。
【図2】図2は、カメラ制御部170の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、集音マイクにより集音された外部音声の具体例としてのピアノ音の音量の情報を示す図である。
【図4】図4は、集音マイクにより集音された外部音声の具体例としてのピアノ音の音声波形の情報を示す図である。
【図5】図5は、図4に示す音声波形をフーリエ変換することにより得られた周波数ごとの振幅のデータを示す図である。
【図6】図6は、図4に示す音声波形をフーリエ変換することにより得られた周波数ごとの位相のデータを示す図である。
【図7】図7は、外部音声と、起動用音声との音量差ΔVを算出する方法の一例を説明するための図である。
【図8】図8は、外部音声と、起動用音声との音声波形差ΔWを算出する方法の一例を説明するための図である。
【図9】図9は、「音記憶撮影モード」が選択されている場合におけるカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【図10】図10は、「音検知自動撮影モード」が選択されている場合におけるカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本実施形態が適用される一場面例を示す図である。
【図12】図12は、他の実施形態における、外部音声の解析方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係るデジタルカメラ1の構成を示すブロック図であり、上記発明の撮像装置に関する構成以外のカメラの一般的構成については、その図示と説明を一部省略する。
【0022】
本実施形態のカメラ1は、カメラボディ100とレンズ鏡筒200とを備え、これらカメラボディ100とレンズ鏡筒200はマウント部300により着脱可能に結合されている。本実施形態のカメラ1においては、レンズ鏡筒200は、撮影目的などに応じて、交換可能となっている。
【0023】
レンズ鏡筒200には、撮影レンズ210や絞り装置220などからなる撮影光学系が内蔵されている。
【0024】
撮影レンズ210は、複数のレンズから構成されるレンズ群からなり、焦点調節を行うためのフォーカスレンズや、撮影倍率を調整するためのズームレンズなどを含んでなり、これら各レンズは、レンズ制御部230からの駆動信号に基づいて、各レンズを駆動するための駆動モータが駆動することで、光軸L1方向に移動するような構成となっている。また、各レンズの移動は、レンズ鏡筒200に備えられたフォーカス環およびズーム環を回転操作されることによっても行われる。
【0025】
絞り装置220は、上記撮影光学系を通過して撮像素子110に至る光束の光量を制限するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り装置220による開口径の調節は、たとえば、自動露出モードにおいて演算された絞り値に応じた信号が、カメラ制御部170からレンズ制御部230を介して絞り駆動部へ送信されることにより行われる。また、開口径の調節は、カメラボディ100に設けられた操作部150によるマニュアル操作により、設定された絞り値に応じた信号がカメラ制御部170からレンズ制御部230を介して絞り駆動部へ送信されることによっても行われる。
【0026】
レンズ鏡筒200にはレンズ制御部230が設けられている。レンズ制御部230はマイクロプロセッサとメモリなどの周辺部品から構成され、カメラ制御部170と電気的に接続され、このカメラ制御部170から撮影倍率やデフォーカス量、絞り制御信号などの情報を受信するとともに、カメラ制御部170へ、撮影レンズ210を構成する各レンズのレンズ位置や絞り値などのレンズ情報を送信する。
【0027】
一方、カメラボディ100は、被写体からの光束を撮像素子110、ファインダ135、測光センサ137および焦点検出モジュール160へ導くためのミラー系120を備える。このミラー系120は、回転軸123を中心にして被写体の観察位置と撮影位置との間で所定角度だけ回転するクイックリターンミラー121と、このクイックリターンミラー121に軸支されてクイックリターンミラー121の回転に合わせて回転するサブミラー122とを備える。
【0028】
図1においては、ミラー系120が被写体の観察位置にある状態を実線で示し、被写体の撮影位置にある状態を二点鎖線で示す。ミラー系120は、被写体の観察位置にある状態では光軸L1の光路上に挿入される一方で、被写体の撮影位置にある状態では光軸L1の光路から退避するように回転する。
【0029】
クイックリターンミラー121はハーフミラーで構成され、被写体の観察位置にある状態では、被写体からの光束(光軸L1)の一部の光束(光軸L2,L3)を当該クイックリターンミラー121で反射してファインダ135および測光センサ137へ導き、一部の光束(光軸L4)を透過させてサブミラー122へ導く。これに対して、サブミラー122は全反射ミラーで構成され、クイックリターンミラー121を透過した光束(光軸L4)を焦点検出モジュール160へ導く。
【0030】
したがって、ミラー系120が観察位置にある場合は、被写体からの光束(光軸L1)はファインダ135、測光センサ135および焦点検出モジュール160へ導かれ、撮影者により被写体の観察が行われるとともに、露出演算や撮影レンズ210の焦点調節状態の検出が実行される。そして、撮影者がレリーズボタンを全押しするとミラー系120が撮影位置に回転し、被写体からの光束(光軸L1)は撮像素子110へ導かれ、撮影した画像データをメモリ180に保存する。
【0031】
撮像素子110は、カメラボディ100の、被写体からの光束の光軸L1上であって、撮影レンズ210の予定焦点面となる位置に設けられている。撮像素子110は、複数の光電変換素子が二次元に配列されたものであって、二次元CCDイメージセンサ、MOSセンサまたはCIDなどで構成することができる。この撮像素子110で光電変換された電気画像信号は、カメラ制御部170で画像処理されたのちメモリ180に保存される。なお、撮影画像を格納するメモリ180は内蔵型メモリやカード型メモリなどで構成することができる。
【0032】
一方、クイックリターンミラー121で反射された被写体光からの光束は、撮像素子110と光学的に等価な面に配置された焦点板131に結像し、ペンタプリズム133と接眼レンズ134とを介して撮影者により観察可能となっている。このとき、透過型液晶表示器132は、焦点板131上の被写体像に焦点検出エリアマークなどを重畳して表示するとともに、被写体像外のエリアにシャッター速度、絞り値、撮影枚数などの撮影に関する情報を表示する。これにより、撮影者は、撮影準備状態において、ファインダ135を通して被写体およびその背景ならびに撮影関連情報などを観察することができる。
【0033】
測光センサ137は、二次元カラーCCDイメージセンサなどで構成され、撮影の際の露出値を演算するため、撮影画面を複数の領域に分割して領域ごとの輝度に応じた測光信号を出力する。測光センサ137で検出された画像情報はカメラ制御部170へ出力され、自動露出制御に用いられる。
【0034】
焦点検出モジュール160は、サブミラー122で反射した光束の光軸L4上であって、撮像素子110の撮像面と光学的に等価な面の位置に固定されており、被写体光を用いた位相差検出方式により、撮影光学系のデフォーカス量を算出し、これに基づいてレンズ駆動量を演算し、これをレンズ制御部170へ送信する。そして、レンズ駆動量が、レンズ制御部170からレンズ制御部230に送信されることにより、撮影レンズ210に含まれるフォーカスレンズの位置が調整される。
【0035】
操作部150は、シャッターレリーズボタンや撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチであり、後述する起動用音声および撮像用音声を記憶するための「音記憶撮影モード」を選択するためのスイッチや、集音マイク140から入力された音声に基づいて、カメラ1の撮影準備動作の起動および撮影を自動的に行なうための「音検知自動撮影モード」を選択するためのスイッチなどを備えている。この操作部150により設定された各種モード、および操作信号はカメラ制御部170へ送信される。また、シャッターレリーズボタンのスイッチは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。
【0036】
表示部190は、撮像素子110からの画像情報を、カメラ制御部170を介して取得し、取得した画像情報に基づく画像を、表示部190に備えられたディスプレイに表示する。
【0037】
また、カメラボディ100には、集音マイク140が備えられている。集音マイク140は、カメラ1周囲の音声を集音し、集音した音声信号をカメラ制御部170に送信する。
【0038】
カメラボディ100にはカメラ制御部170が設けられている。カメラ制御部170はマイクロプロセッサとメモリなどの周辺部品から構成され、マウント部300に設けられた電気信号接点部によりレンズ制御部230と電気的に接続され、このレンズ制御部230からレンズ情報を受信するとともに、レンズ制御部230へ各種制御信号を送信する。また、カメラ制御部170は、上述したように撮像素子110から画像情報を読み出すとともに、必要に応じて所定の情報処理を施し、メモリ180および表示部190に出力する。さらに、カメラ制御部170は、撮影画像情報の補正やレンズ鏡筒200の焦点調節状態、絞り調節状態などを検出するなど、カメラ1全体の制御を司る。
【0039】
図2に、カメラ制御部170の構成を示すブロック図を示す。図2に示すように、カメラ制御部170は、音声解析部171、起動用音声記憶部172、第1音声特性比較部173、撮象用音声記憶部174、第2音声特性比較部175、および起動制御部176を有する。
【0040】
音声解析部171は、集音マイク140により集音されたカメラ1周囲の外部音声の音声信号を取得し、取得した音声信号の解析を行なう。具体的には、音声解析部171は、集音マイク140から入力された音声信号の解析を行うことで、外部音声の音声特性、すなわち、音量の情報、音声波形の情報、および基本周波数の情報を抽出する。図3、図4に、集音マイク140により集音された外部音声の具体的な例として、ピアノ音(特定の鍵盤を押した時のピアノの音)の音量の情報および音声波形の情報の一例を示す。ここで、図3は、ピアノ音の音量の情報を示す図であり、図3中においては、時間に対する音量の大きさの変化をグラフ化して示している。なお、この図3においては、音量の大きさを、最大音量を1として、規格化して表している。また、図4は、ピアノ音の音声波形の情報を示す図であり、図4中においては、時間に対する音声波形の変化をグラフ化して示している。なお、この図4においては、音声波形の振幅の大きさを、最大振幅を1として、規格化して表している。
【0041】
そして、音声解析部171は、集音マイク140から入力された音声信号の解析を行ない、図3、図4に示すように、外部音声の音量の情報、および音声波形の情報を抽出し、さらには、音声波形の情報に基づいて、音声波形をフーリエ変換することにより、音声信号を周波数ごとに分解する処理を行なう。ここで、図5に、図4に示す音声波形をフーリエ変換することにより得られた周波数ごとの振幅のデータを、図6に、図4に示す音声波形をフーリエ変換することにより得られた周波数ごとの位相のデータを、それぞれ示す。なお、図5においては、振幅の大きさを、最大振幅を1として、規格化して表している。そして、音声解析部171は、音声波形をフーリエ変換することにより得られた周波数ごとの振幅のデータから、基本周波数の情報を抽出する。ここで、基本周波数は、音声波形を構成する周波数成分のうち、周波数が最も低い周波数成分の周波数である。なお、図5、図6に示す例においては、1000Hz付近に基本周波数が存在することとなる。
【0042】
このように音声解析部171により抽出された外部音声の音量の情報、音声波形の情報、および基本周波数の情報は、起動用音声記憶部172、および大1音声特性比較部173に出力される。
【0043】
起動用音声記憶部172は、カメラ1の撮影準備動作の起動に用いるための起動用音声の音声特性の情報、すなわち、起動用音声の音量の情報、音声波形の情報、および基本周波数の情報を記憶する。本実施形態では、たとえば、「音記憶撮影モード」において、シャッターレリーズボタンが半押し(第1スイッチSW1オン)された際に、集音マイク140から入力された音声を、起動用音声記憶部172に記憶させるための起動用音声とすることができる。すなわち、本実施形態では、「音記憶撮影モード」において、シャッターレリーズボタンが半押しされた際に、集音マイク140から入力された音声を起動用音声とし、該音声の音声特性の情報を起動用音声記憶部172に記憶させることができる。具体例として、たとえば、図3〜図6に示す音声特性を有する音声が、たとえば、シャッターレリーズボタンが半押し(第1スイッチSW1オン)された際において、集音マイク140から入力された音声である場合に、該音声の音声特性を、起動用音声記憶部172に記憶させることができる。
【0044】
第1音声特性比較部173は、集音マイク140から入力された外部音声の音声特性(以下、適宜、「外部音声特性」とする。)を、音声解析部171から受信し、外部音声特性と、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声の音声特性との比較を行い、外部音声の音声特性と、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声の音声特性とが一致するか否かの判断を行なう。すなわち、第1音声特性比較部173は、外部音声が、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声と一致しているか否かの判断を行なう。
【0045】
集音マイク140から入力された外部音声と、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声とが、一致しているか否かの判断は、以下のようにして行われる。すなわち、まず、第1音声特性比較部173は、外部音声の音量および音声波形と、起動用音声の音量および音声波形とに基づいて、音量差ΔVおよび音声波形差ΔWを算出する。ここで、図7に、外部音声と、起動用音声との音量差ΔVを算出する方法の一例を、図8に、外部音声と、起動用音声との音声波形差ΔWを算出する方法の一例を、それぞれ示す。第1音声特性比較部173は、図7に示すように、外部音声の音量と、起動用音声の音量との差分を、時間ごとに算出し、算出した差分を時間積分することで、音量差ΔVを算出する。また、第1音声特性比較部173は、図8に示すように、外部音声の音声波形と、起動用音声の音声波形との差分を、時間ごとに算出し、算出した差分を時間積分することで、算出した差分を時間積分することで、音声波形差ΔWを算出する。
【0046】
そして、第1音声特性比較部173は、算出した音量差ΔV、音声波形差ΔWに基づいて、外部音声と、起動用音声とが一致するか否かの判定を行なう。具体的には、算出した音量差ΔVが所定の第1音量閾値V1以下であり、かつ、算出した音声波形差ΔWが所定の第1音声波形閾値W1以下である場合に、外部音声と、起動用音声とが一致していると判定する。なお、第1音量閾値V1としては、外部音声と、起動用音声とが、実質的に同一の音声の音量であると判断できるような値に設定することができる。同様に、第1音声波形閾値W1としては、外部音声と、起動用音声とが、実質的に同一の音声の音量波形であると判断できるような値に設定することができる。
【0047】
そして、第1音声特性比較部173は、外部音声と、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声とが一致していると判断した場合には、カメラ1の撮影準備動作の起動を行なわせるための起動用信号を、起動制御部176に送出し、起動制御部176に、カメラ1の撮影準備動作の起動を行なわせるための処理を実行させる。
【0048】
なお、起動用音声記憶部172に起動用音声が複数記憶されている場合には、第1音声特性比較部173は、外部音声の音声特性と一致する音声特性を有する起動用音声が少なくとも1つ存在する場合に、外部音声と、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声とが一致していると判断することができる。
【0049】
また、撮象用音声記憶部174は、カメラ1の撮像に用いるための撮像用音声の音声特性の情報、すなわち、起動用音声の音量の情報、音声波形の情報、および基本周波数の情報を記憶する。本実施形態では、たとえば、「音検知自動撮影モード」において、シャッターレリーズボタンが全押し(第2スイッチSW2オン)された際に、集音マイク140から入力された音声を、撮象用音声記憶部174に記憶させるための撮像用音声とすることができる。すなわち、本実施形態では、「音検知自動撮影モード」において、シャッターレリーズボタンが全押しされた際に、集音マイク140から入力された音声を撮像用音声とし、該音声の音声特性の情報を撮象用音声記憶部174に記憶させることができる。具体例として、たとえば、図3〜図6に示す音声特性を有する音声が、たとえば、シャッターレリーズボタンが全押し(第2スイッチSW2オン)された際において、集音マイク140から入力された音声である場合に、該音声の音声特性を、撮象用音声記憶部174に記憶させることができる。
【0050】
第2音声特性比較部175は、起動制御部176によりカメラ1の撮影準備動作が起動されている場合に、集音マイク140から入力された外部音声の音声特性を、音声解析部171から受信し、外部音声特性と、撮象用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声の音声特性との比較を行い、外部音声の音声特性と、撮象用音声記憶部174に記憶されている撮象用音声の音声特性とが一致するか否かの判断を行なう。すなわち、第2音声特性比較部175は、外部音声が、撮象用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声と一致しているか否かの判断を行なう。
【0051】
なお、集音マイク140から入力された外部音声と、撮象用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声とが、一致しているか否かの判断は、上述した第1音声特性比較部173と同様に行なうことができる。すなわち、第2音声特性比較部175は、外部音声の音量および音声波形と、撮像用音声の音量および音声波形とに基づき、音量差ΔV、音声波形差ΔWを算出し、音量差ΔVが第2音量閾値V2以下であり、かつ、音声波形差ΔWが第2音声波形閾値W2以下である場合に、外部音声と、撮像用音声とが一致していると判断することができる。なお、第2音量閾値V2、および第2音声波形閾値W2としては、上述した第1音量閾値V1、および第1音声波形閾値W1と同様にして設定することができ、また、第2音量閾値V2、および第2音声波形閾値W2は、上述した第1音量閾値V1、および第1音声波形閾値W1と、それぞれ同じ値としてもよい。
【0052】
そして、第2音声特性比較部175は、外部音声と、撮像用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声とが一致していると判断した場合には、カメラ1に撮像を行わせるための撮像用信号を、起動制御部176に送出し、起動制御部176に、カメラ1により撮影を行なわせるための処理を実行させる。
【0053】
なお、撮像用音声記憶部174に撮像用音声が複数記憶されている場合には、第2音声特性比較部175は、外部音声の音声特性と一致する音声特性を有する起動用音声が少なくとも1つ存在する場合に、外部音声と、撮像用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声とが一致していると判断することができる。
【0054】
起動制御部176は、カメラ1の撮影準備動作の起動、およびカメラ1の撮像動作の起動を制御する。具体的には、起動制御部176は、「音検知自動撮影モード」が選択されている場合において、上述した第1音声特性比較部173によって、外部音声と、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声とが一致していると判断した場合に、第1音声特性比較部173から、カメラ1の撮影準備動作の起動を行なわせるための起動用信号を受信し、受信した起動用信号に基づいて、カメラ1の撮影準備動作の起動を行なう。すなわち、起動制御部176は、第1音声特性比較部173からの起動用信号を受信すると、撮像素子110、測光センサ137、焦点検出モジュール160および表示部190を起動させる。そして、これにより、起動制御部176は、撮像素子110による撮像信号の取得、測光センサ137による測光信号の取得、焦点検出モジュール160による焦点検出用の信号の取得、および表示部190による撮影画像等の表示の各動作を開始させる。
【0055】
また、起動制御部176は、「音検知自動撮影モード」が選択されている場合において、カメラ1の撮影準備動作の起動が行なわれている状態において、上述した第2音声特性比較部175によって、外部音声と、撮像用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声とが一致していると判断した場合に、第2音声特性比較部175から、カメラ1に撮像を行なわせるための撮像用信号を受信し、受信した撮像用信号に基づいて、撮像素子110に被写体像の撮像を行なわせる。
【0056】
さらに、起動制御部176は、「音検知自動撮影モード」以外のモードが選択されている場合には、撮影者により、操作部150を介して、撮像操作が行なわれた場合に、カメラ1の撮影準備動作の起動、およびカメラ1の撮像動作の起動の制御を行う。すなわち、起動制御部176は、シャッターレリーズボタンが半押し(第1スイッチSW1オン)された場合に、カメラ1の撮影準備動作の起動を行ない、さらに、カメラ1の撮影準備動作が起動されている場合に、シャッターレリーズボタンが全押し(第2スイッチSW2オン)された場合に、カメラ1の撮像動作を起動する。
【0057】
次に、本実施形態に係るカメラの動作例を説明する。
【0058】
以下においては、起動用音声および撮像用音声を記憶するための「音記憶撮影モード」が選択されている場合における動作例を説明する。ここで、図9は「音記憶撮影モード」が選択されている場合におけるカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【0059】
以下に説明する動作はカメラ1の電源がオンとされ、「音記憶撮影モード」が選択された場合に開始される。なお、本実施形態のカメラ1は、電源がオンされた時点では、低消費電力モード(撮像素子110、測光センサ137、焦点検出モジュール160、および表示部190がオフとされているモード)に設定される。
【0060】
まず、ステップS101では、撮影者によりシャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたかどうかを判断し、第1スイッチSW1がオンした場合はステップS102へ進み、第1スイッチSW1がオンしていない場合はステップS101で待機する。
【0061】
ステップS102では、起動制御部176により、カメラ1の撮影準備動作の起動を行なわせるための処理が行なわれる。具体的には、起動制御部176により、撮像素子110による撮像信号の取得、測光センサ137による測光信号の取得、焦点検出モジュール160による焦点検出用の信号の取得、および表示部190による撮影画像等の表示の各動作を開始させるための処理が行なわれる。そして、ステップS102では、撮像素子110により取得された撮像信号に基づく画像を、スルー画像として表紙部190に表示するための処理が、カメラ制御部170により開始される。
【0062】
ステップS103では、シャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたタイミングにおいて、集音マイク140により、入力された外部音声の音声特性を、起動用音声記憶部172に、起動用音声特性として記憶させるための処理が行なわれる。具体的には、シャッターレリーズボタンの半押しがされたタイミングにおいて、集音マイク140により入力された外部音声について、音声解析部171により、音声特性、すなわち、音量の情報、音声波形の情報、および基本周波数の情報の抽出が行なわれる。なお、この場合における、音声特性の抽出の対象とされる外部音声の時間的な長さとしては特に限定されないが、予め定められた所定時間としてもよい。そして、音声解析部171により抽出された外部音声の音声特性が、起動用の音声特性として、起動用音声記憶部172に記憶される。
【0063】
ステップS104では、カメラ制御部170に備えられたタイマー(不図示)の起動が行なわれる。なお、既に、タイマーが起動している場合には、タイマーのカウント値をゼロに設定する処理が行なわれる。
【0064】
ステップS105では、カメラ制御部170により、測光センサ137により取得された測光信号に基づいて露出演算が行われる。
【0065】
ステップS106では、カメラ制御部170により、焦点検出モジュール160により取得された焦点検出用の信号に基づいて、光学系の焦点状態を検出するための演算が行われ、該演算結果に基づいて、撮影レンズ210を構成するフォーカスレンズを駆動することで、光学系の焦点調節が行なわれる。
【0066】
ステップS107では、カメラ制御部170により、撮影者によってシャッターレリーズボタンの全押し(第2スイッチSW2のオン)がされたかどうかの判断が行われる。第2スイッチSW2がオンした場合には、ステップS108に進む。一方、第2スイッチSW2がオンしていない場合には、ステップS111に進む。
【0067】
ステップS108では、起動制御部176により、撮像素子110に被写体像の撮像を行なわせる処理が行なわれ、これにより、撮像素子110によって、被写体像の撮影が行なわれ、画像信号が出力される。
【0068】
ステップS109では、ステップS108において、撮像素子110により出力された画像信号を、メモリ180に記憶させる処理が行なわれる。
【0069】
ステップS110では、シャッターレリーズボタンの全押し(第2スイッチSW2のオン)がされたタイミングにおいて、集音マイク140により、入力された外部音声の音声特性を、撮像用音声記憶部174に、撮像用音声特性として記憶させるための処理が行なわれる。具体的には、シャッターレリーズボタンの全押しがされたタイミングにおいて、集音マイク140により入力された外部音声について、音声解析部171により、音声特性、すなわち、音量の情報、音声波形の情報、および基本周波数の情報の抽出が行なわれる。なお、この場合における、音声特性の抽出の対象とされる外部音声の時間的な長さとしては特に限定されないが、予め定められた所定時間としてもよい。そして、音声解析部171により抽出された外部音声の音声特性が、撮像用の音声特性として、撮像用音声記憶部174に記憶される。
【0070】
ステップS111では、シャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)が継続されているか否かの判断が行なわれ、第1スイッチSW1がオンとなっている場合はステップS104に戻り、タイマーのカウント値がゼロに設定され、再度、ステップS105〜S110の処理を繰り返す。一方、第1スイッチSW1がオンとなっていない場合はステップS112に進む。
【0071】
ステップS112では、タイマーのカウント値が、予め定められた所定値以上となっているか否か(すなわち、第1スイッチがオフとなってから所定時間以上経過したか否か)の判定が行なわれる。タイマーのカウント値が、予め定められた所定値以上となっていない場合には、ステップS105に戻り、再度、ステップS105〜S111の処理を繰り返す。一方、タイマーのカウント値が、予め定められた所定値以上となった場合には、ステップS113に進む。
【0072】
ステップS113では、タイマーのカウント値が、予め定められた所定値以上となったため(第1スイッチがオフとなってから所定時間以上経過したため)、撮像素子110、測光センサ137、焦点検出モジュール160、および表示部190がオフとされ、低消費電力モードに移行し、ステップS101に戻る。
【0073】
以上のようにして、「音記憶撮影モード」において、シャッターレリーズボタンの半押し時の外部音声の音声特性を、起動用音声特性として起動用音声記憶部172に記憶させる処理が行なわれ(ステップS103)、また、シャッターレリーズボタンの全押し時の外部音声の音声特性を、撮像用音声特性として撮像用音声記憶部174に記憶させる処理が行なわれる(ステップS111)。
【0074】
次いで、カメラ1の撮影準備動作の起動および撮影を自動的に行なうための「音検知自動撮影モード」が選択されている場合における動作例を説明する。ここで、図10は「音検知自動撮影モード」が選択されている場合におけるカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【0075】
以下に説明する動作はカメラ1の電源がオンとされ、「音検知自動撮影モード」が選択された場合に開始される。なお、本実施形態のカメラ1は、電源がオンされた時点では、低消費電力モード(撮像素子110、測光センサ137、焦点検出モジュール160、および表示部190がオフとされているモード)に設定される。
【0076】
まず、ステップS201では、集音マイク140により、外部音声の入力が行なわれる。
【0077】
ステップS202では、音声解析部171により、ステップS201において入力された外部音声の解析が行なわれる。具体的には、音声解析部171は、集音マイク140から入力された音声信号の解析を行なうことで、外部音声の音声特性、すなわち、図3、図4に示すような音量の情報、音声波形の情報の抽出を行なう。
【0078】
ステップS203では、第1音声特性比較部173により、ステップS202において抽出された外部音声特性と、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声の音声特性との比較が行われ、これにより、外部音声と、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声とが一致しているか否かの判断が行なわれる。具体的には、第1音声特性比較部173は、外部音声の音量および音声波形と、起動用音声の音量および音声波形とに基づいて、音量差ΔVおよび音声波形差ΔWを算出し、算出した音量差ΔVが所定の第1音量閾値V1以下であり、かつ、算出した音声波形差ΔWが所定の第1音声波形閾値W1以下であるか否かの判断が行なわれる。外部音声と、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声とが一致していると判断された場合には、ステップS204に進む。一方、外部音声と起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声とが一致していないと判断された場合には、ステップS201に戻り、再度、外部音声の入力(ステップS201)、音声信号の解析(ステップS202)、および起動用音声と一致するか否かの判定(ステップS203)が行なわれる。すなわち、本実施形態では、起動用音声と一致する外部音声が入力されるまで、集音マイク140による、外部音声の入力、および外部音声と撮像用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声とが一致しているか否かの判断を、所定の時間間隔で繰り返し行なう。
【0079】
ステップS204では、外部音声と起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声とが一致していると判断されたため、第1音声特性比較部173により、カメラ1の撮影準備動作の起動を行なわせるための起動用信号が、起動制御部176に送出され、起動制御部176により、カメラ1の撮影準備動作の起動が行なわれる。具体的には、起動制御部176により、撮像素子110による撮像信号の取得、測光センサ137による測光信号の取得、焦点検出モジュール160による焦点検出用の信号の取得、および表示部190による撮影画像等の表示の各動作を開始させるための処理が行なわれる。そして、ステップS102では、撮像素子110により取得された撮像信号に基づく画像を、スルー画像として表紙部190に表示するための処理が、カメラ制御部170により開始される。
【0080】
ステップS205〜S207では、図9に示すステップS104〜S106と同様に、タイマーの起動、露出演算および光学系の焦点調節が行われる。
【0081】
ステップS208では、集音マイク140により、外部音声の入力が行なわれる。
【0082】
ステップS209では、上述したステップS202と同様にして、音声解析部171により、ステップS208において入力された外部音声の音声特性、すなわち、図3、図4に示すような音量の情報、音声波形の情報の抽出が行なわれる。
【0083】
ステップS210では、第2音声特性比較部175により、ステップS209において抽出された外部音声特性と、撮像用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声の音声特性との比較が行われ、これにより、外部音声と撮像用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声とが一致しているか否かの判断が行なわれる。具体的には、第2音声特性比較部175は、外部音声の音量および音声波形と、起動用音声の音量および音声波形とに基づいて、音量差ΔVおよび音声波形差ΔWを算出し、算出した音量差ΔVが所定の第2音量閾値V2以下であり、かつ、算出した音声波形差ΔWが所定の第2音声波形閾値W2以下であるか否かの判断が行なわれる。外部音声と、撮像用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声とが一致していると判断された場合には、ステップS211に進む。一方、外部音声と撮像用音声記憶部174に記憶されている起動用音声とが一致していないと判断された場合には、ステップS213に進む。
【0084】
ステップS211では、外部音声と撮像用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声とが一致していると判断されたため、第2音声特性比較部175により、カメラ1に撮像を行わせるための撮像用信号が、起動制御部176に送出される。そして、起動制御部176により、撮像素子110に被写体像の撮像を行なわせる処理が行なわれ、これにより、撮像素子110によって、被写体像の撮影が行なわれ、画像信号が出力される。
【0085】
ステップS212では、ステップS211において、撮像素子110により出力された画像信号を、メモリ180に記憶させる処理が行なわれる。
【0086】
ステップS213では、タイマーのカウント値が、予め定められた所定値以上となっているか否か(すなわち、撮影準備動作の起動が行なわれてから所定時間以上経過したか否か)の判定が行なわれる。タイマーのカウント値が、予め定められた所定値以上となっていない場合には、ステップS206に戻り、タイマーのカウント値が、予め定められた所定値以上となるまで、ステップS206〜S213の処理が繰り返し行なわれる。すなわち、本実施形態では、タイマーのカウント値が、予め定められた所定値以上となるまで、集音マイク140による、外部音声の入力、および外部音声と撮像用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声とが一致しているか否かの判断を、所定の時間間隔で繰り返し行なう。一方、タイマーのカウント値が、予め定められた所定値以上となった場合には、ステップS114に進む。
【0087】
ステップS214では、タイマーのカウント値が、予め定められた所定値以上となったため(撮影準備動作の起動が行なわれてから所定時間以上経過したため)、撮像素子110、測光センサ137、焦点検出モジュール160、および表示部190がオフとされ、低消費電力モードに移行し、ステップS201に戻る。
【0088】
以上のようにして、本実施形態では、「音検知自動撮影モード」において、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声と一致する外部音声が、集音マイク140を介して、入力された場合には、カメラ1の撮影準備動作の起動を行ない(ステップS203、S204)、また、撮像用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声と一致する外部音声が、集音マイク140を介して、入力された場合には、カメラ1による撮像を行なうものである(ステップS210〜S212)。
【0089】
本実施形態では、集音マイク140を介して、外部音声を入力し、入力された外部音声の音声特性と、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声の音声特性とを比較し、外部音声の音声特性が、起動用音声の音声特性と一致する場合に、カメラ1の撮影準備動作の起動を行なうような構成とすることにより、特定の外部音声がカメラ1周囲で発せられた場合に、このような特定の外部音声と同期して、カメラ1の撮影準備動作の起動を行なわせることが可能となる。
【0090】
また、本実施形態では、カメラ1の撮影準備動作が起動している場合に、集音マイク140を介して、外部音声を入力し、入力された外部音声の音声特性と、撮像用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声の音声特性とを比較し、外部音声の音声特性が、撮像用音声の音声特性と一致する場合に、カメラ1による撮影を行なうような構成とすることにより、特定の外部音声がカメラ1周囲で発せられた場合に、このような特定の外部音声と同期して、カメラ1による撮影を行なわせることが可能となる。
【0091】
さらに、本実施形態においては、シャッターレリーズボタンの半押し時(第1スイッチSW1のオン時)の外部音声の音声特性を、起動用音声特性として起動用音声記憶部172に記憶させ、また、シャッターレリーズボタンの全押し時(第2スイッチSW2のオン時)の外部音声の音声特性を、撮像用音声特性として撮像用音声記憶部174に記憶させることができ、これにより、所望の音声を予め登録しておき、予め登録した所望の音声に同期して、カメラ1の撮影準備動作の起動およびカメラ1による撮影を行なわせることができる。
【0092】
図11に、本実施形態が適用される一場面例を示す。なお、図11においては、図11(B)に示すように、たとえば、自動車レース等において、自動車が「α」に示す位置から、「β」に示す位置に向かって、カメラ1に近づいてくるような場面を示している。また、図11(A)は、図11(B)に示すような場面における、カメラ1に入力される自動車の走行音の音量の変化を示している。このような場面において、本実施形態によれば、「音記憶撮影モード」において、予め自動車が「α」に示す位置にあるときに、シャッターボタンの半押しを行い、自動車が「α」に示す位置にあるときの外部音声を、起動用音声として記憶させておき、また、自動車が「β」に示す位置にあるときに、シャッターボタンの全押しを行い、自動車が「β」に示す位置にあるときの外部音声を、撮像用音声として記憶させておくことができる。そして、このような場合において、本実施形態によれば、「音検知自動撮影モード」に設定しておくことで、自動車が「α」に示す位置にきたときに、カメラ1の撮影準備動作の起動が行なわれ、次いで、自動車が「β」に示す位置にきたときに、カメラ1により自動撮影を行わせることができる。なお、このような自動車レースにおいては、撮影者が撮影したい自動車以外の自動車も、コース上を走行していることが一般的であるが、本実施形態では、外部音声の音量に加えて、外部音声の音声波形が一致した場合に、カメラ1の撮影準備動作の起動および自動撮影を行うものであるため、このような場面においても、撮影者が撮影したい自動車を適切に撮影することができる。
【0093】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0094】
たとえば、上述した実施形態では、第1音声特性比較部173により、外部音声の音声特性と起動用音声の音声特性とが一致しているか否かを判断する際に、これらの音声特性のうち、音量および音声波形の情報に基づいて、音量差ΔVおよび音声波形差ΔWを算出し、音量差ΔVが所定の第1音量閾値V1以下であり、かつ、音声波形差ΔWが所定の第1音声波形閾値W1以下である場合に、外部音声の音声特性と起動用音声の音声特性とが一致していると判断するような構成を例示した。これに対し、本実施形態においては、音量差ΔVおよび音声波形差ΔWに代えて、音量差ΔVおよび基本周波数に基づいて、外部音声の音声特性と起動用音声の音声特性とが一致しているか否かの判断を行なってもよい。この場合においては、音量差ΔVが、所定の第1音量閾値V1以下であり、かつ、外部音声の基本周波数と起動用音声の基本周波数とが一致する場合に、外部音声の音声特性と起動用音声の音声特性とが一致していると判断することができる。なお、第1音声特性比較部173だけでなく、第2音声特性比較部175においても、音量差ΔVおよび音声波形差ΔWに代えて、音量差ΔVおよび基本周波数に基づいて、外部音声の音声特性と撮像用音声の音声特性とが一致しているか否かの判断を行なうことももちろん可能である。
【0095】
また、上述した実施形態では、「音記憶撮影モード」において、シャッターレリーズボタンの全押し(第2スイッチSW2のオン)がされた場合に、シャッターレリーズボタンの全押しがされたタイミングにおいて、集音マイク140により、入力された外部音声の音声特性を、撮像用音声記憶部174に、撮像用音声特性として記憶させるような構成を例示した(図9のステップS110)。これに対し、本実施形態においては、「音記憶撮影モード」において、シャッターレリーズボタンの全押し(第2スイッチSW2のオン)がされた場合には、シャッターレリーズボタンの全押しがされたタイミングから所定時間前までに入力された外部音声の音声特性を、撮像用音声記憶部174に、撮像用音声特性として記憶させるような構成としてもよい。このような構成とすることにより、撮影者が撮影したいタイミングにより近いタイミング(撮影者が撮影したいタイミングとほぼ一致したタイミング)で、自動撮影を行うことが可能となる。また、「音記憶撮影モード」において、シャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされた場合においても、シャッターレリーズボタンの半押しがされたタイミングから所定時間前までに入力された外部音声の音声特性を、起動用音声記憶部172に、起動用音声特性として記憶させるような構成としてもよい。
【0096】
さらに、上述した実施形態では、「音記憶撮影モード」において、シャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)、およびシャッターレリーズボタンの全押し(第2スイッチSW2のオン)がされた場合に、外部音声の音声特性を、それぞれ、起動用音声特性および撮像用音声特性として記憶させるような構成を例示した。これに対し、本実施形態においては、たとえば、カメラ1を、操作部150に、音声記憶用のスイッチを備えるような構成とし、この音声記憶用のスイッチを押しながら、シャッターレリーズボタンの半押し、またはシャッターレリーズボタンの全押しが行なわれた際に、外部音声の音声特性を、それぞれ、起動用音声特性および撮像用音声特性として記憶させるような構成としてもよい。あるいは、本実施形態においては、外部音声を所定時間連続して記録し、記録した外部音声をカメラ1で再生し、撮影者が、再生中の外部音声を聞きながら、所望のタイミングで、シャッターレリーズボタンの半押し、またはシャッターレリーズボタンの全押しをすることで、外部音声の音声特性を、それぞれ、起動用音声特性および撮像用音声特性として記憶させるような構成としてもよい。
【0097】
また、本実施形態においては、「音記憶撮影モード」において、シャッターレリーズボタンの半押し、またはシャッターレリーズボタンの全押しがされるか否かに拘わらず、集音マイク140により入力された外部音声について、音声解析部171によって、音声特性、すなわち、音量の情報、音声波形の情報、および基本周波数の情報の抽出を、所定の時間間隔で繰り返し行なうような構成とし、所定以上の音量を有する外部音声が入力された場合に、このような所定以上の音量を有する外部音声の音声特性を、起動用音声特性または撮像用音声特性として記憶させるような構成としてもよい。図12に、このような場合における、音声解析方法の一例を示す。なお、図12においては、図12(A)に示すような外部音声が、集音マイク140により入力された場合における音声解析方法を、図12(B)に示している。すなわち、図12における例においては、t1、t2、t3、t4およびt5のそれぞれのタイミングで、所定の時間長さT1の外部音声を繰り返し入力し、これら所定の時間長さT1の外部音声について、音声解析部171によって、音声特性を抽出する例を示している。そして、この場合において、たとえば、時間t5の時点で、所定以上の音量を有する外部音声が入力された場合に、本実施形態では、時間t5の時点から所定の時間長さT1の外部音声の音声特性を、起動用音声特性または撮像用音声特性として記憶させることができる。あるいは、たとえば、時間t5の時点で、所定以上の音量を有する外部音声が入力された場合に、時間t5より所定時間前、たとえば、t4の時点から所定の時間長さT1の外部音声の音声特性を、起動用音声特性または撮像用音声特性として記憶させるような構成としてもよい。また、このような処理が開始された際に、タイマーを起動させて、タイマーのカウント値が所定値となるまでは、集音マイク140により入力された外部音声について、音声解析部171によって、音声特性の抽出を、所定の時間間隔で繰り返し行なうような構成とし、タイマーのカウント値が所定値以上となったら、このような処理を終了するような構成としてもよい。
【0098】
なお、本実施形態の撮像装置1は、上述した一眼レフデジタルカメラに限定されず、レンズ一体型デジタルスチルカメラやビデオカメラにも適用できる。また、携帯電話機などに内蔵される小型カメラモジュール、監視カメラ、ロボット用視覚認識装置等にも適用できる。
【符号の説明】
【0099】
1…一眼レフデジタルカメラ
100…カメラボディ
110…撮像素子
137…測光センサ
140…集音マイク
150…操作部
160…焦点検出モジュール
170…カメラ制御部
190…表示部
200…レンズ鏡筒
210…撮影レンズ
220…絞り装置
230…レンズ制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、動画像を撮影する際において、動画像撮影中の音声を集音するために、集音マイクを備えた撮影装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−104316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、自動車レースなどの特定の撮影場面において、自動車の走行音などの特定の音声と同期して、撮影準備動作の起動や被写体像の撮影を行うことが望まれるような場面が存在するものの、従来の撮像装置においては、このように特定の音声と同期した動作を行なうことができなかった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、特定の音声と同期して、各種動作を実行することのできる撮影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の解決手段によって上記課題を解決する。なお、以下においては、本発明の実施形態を示す図面に対応する符号を付して説明するが、この符号は本発明の理解を容易にするためだけのものであって発明を限定する趣旨ではない。
【0007】
[1]本発明の撮影装置は、外部からの外部音声を入力する音声入力手段(140)と、前記外部音声を解析して、前記外部音声の特性である外部音声特性を抽出する音声解析手段(171)と、第1の特定音声の特性を、第1特定音声特性として記憶する第1音声特性記憶手段(172)と、前記外部音声特性と、前記第1特定音声特性とを比較し、該比較結果に基づいて、撮影準備動作を起動するか否かを判定する第1判定手段(173)とを備えることを特徴とする。
【0008】
[2]本発明の撮影装置において、前記外部音声特性および前記第1特定音声特性が、音量の情報、および音声波形の情報を含み、前記第1判定手段(173)が、前記外部音声の音量と、前記第1特定音声の音量との差分、および、前記外部音声の音声波形と、前記第1特定音声の音声波形との差分を算出し、各前記差分が、予め定められた所定の閾値以下である場合に、撮影準備動作を起動するように構成することができる。
【0009】
[3]本発明の撮影装置において、前記外部音声特性および前記第1特定音声特性が、音量の情報、および基本周波数の情報を含み、前記第1判定手段(173)が、前記外部音声の音量と、前記第1特定音声の音量との差分、および、前記外部音声の基本周波数と、前記第1特定音声の基本周波数との差分を算出し、各前記差分が、予め定められた所定の閾値以下である場合に、撮影準備動作を起動するように構成することができる。
【0010】
[4]本発明の撮影装置において、前記音声解析手段(171)が、所定のタイミングで繰り返し、前記外部音声特性の抽出を行い、前記第1判定手段(173)が、所定のタイミングで繰り返し、前記外部音声特性と、前記第1音声特性との比較を行うように構成することができる。
【0011】
[5]本発明の撮影装置において、ユーザがレリーズボタンを半押しした場合に、前記音声解析手段(171)が、半押し時において前記音声入力手段に入力された外部音声の外部音声特性を抽出し、前記第1音声特性記憶手段(172)が、該外部音声特性を、前記第1特定音声特性として、記憶するように構成することができる。
【0012】
[6]本発明の撮影装置において、前記第1の特定音声とは異なる第2の特定音声の特性を、第2特定音声特性として記憶する第2音声特性記憶手段(174)と、前記撮影準備動作が起動中である場合に、前記外部音声特性と、前記第2特定音声特性とを比較し、該比較結果に基づいて、撮影を行なうか否かを判定する第2判定手段(175)と、をさらに備えるように構成することができる。
【0013】
[7]本発明の撮影装置において、前記外部音声特性および前記第2特定音声特性が、音量の情報、および音声波形の情報を含み、前記第2判定手段(175)が、前記外部音声の音量と、前記第2特定音声の音量との差分、および、前記外部音声の音声波形と、前記第2特定音声の音声波形との差分を算出し、各前記差分が、予め定められた所定の閾値以下である場合に、撮影を実行するように構成することができる。
【0014】
[8]本発明の撮影装置において、前記外部音声特性および前記第2特定音声特性が、音量の情報、および基本周波数の情報を含み、前記第2判定手段(175)が、前記外部音声の音量と、前記第2特定音声の音量との差分、および、前記外部音声の基本周波数と、前記第2特定音声の基本周波数との差分を算出し、各前記差分が、予め定められた所定の閾値以下である場合に、撮影を実行するように構成することができる。
【0015】
[9]本発明の撮影装置において、前記音声解析手段(171)が、所定のタイミングで繰り返し、前記外部音声特性の抽出を行い、前記第2判定手段(175)が、所定のタイミングで繰り返し、前記外部音声特性と、前記第2音声特性との比較を行うように構成することができる。
【0016】
[10]本発明の撮影装置において、ユーザがレリーズボタンを半押しした場合に、前記音声解析手段(171)が、半押し時に前記音声入力手段に入力された外部音声の外部音声特性を抽出し、前記第2音声特性記憶手段(174)が、該外部音声特性を、前記第2特定音声特性として、記憶するように構成することができる。
【0017】
[11]本発明の撮影装置において、ユーザがレリーズボタンを全押しした場合に、前記音声解析手段(171)が、全押し時点から所定時間前までに前記音声入力手段に入力された外部音声の外部音声特性を抽出し、前記第2音声特性記憶手段(174)が、該外部音声特性を、前記第2特定音声特性として、記憶するように構成することができる。
【0018】
[12]本発明の撮影装置において、ユーザの操作により、前記音声入力手段から入力される外部音声を記録する記録手段と、ユーザの操作により、前記外部音声記録手段に記録された外部音声のうち、前記第1音声特性記憶手段に第1特定音声特性として記憶させる音声および/または前記第2音声特性記憶手段に第2特定音声特性として記憶させる音声を設定する設定手段(150)とをさらに備えるように構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、特定の音声と同期して、各種動作を実行することのできる撮影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る一眼レフデジタルカメラを示す要部構成図である。
【図2】図2は、カメラ制御部170の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、集音マイクにより集音された外部音声の具体例としてのピアノ音の音量の情報を示す図である。
【図4】図4は、集音マイクにより集音された外部音声の具体例としてのピアノ音の音声波形の情報を示す図である。
【図5】図5は、図4に示す音声波形をフーリエ変換することにより得られた周波数ごとの振幅のデータを示す図である。
【図6】図6は、図4に示す音声波形をフーリエ変換することにより得られた周波数ごとの位相のデータを示す図である。
【図7】図7は、外部音声と、起動用音声との音量差ΔVを算出する方法の一例を説明するための図である。
【図8】図8は、外部音声と、起動用音声との音声波形差ΔWを算出する方法の一例を説明するための図である。
【図9】図9は、「音記憶撮影モード」が選択されている場合におけるカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【図10】図10は、「音検知自動撮影モード」が選択されている場合におけるカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本実施形態が適用される一場面例を示す図である。
【図12】図12は、他の実施形態における、外部音声の解析方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係るデジタルカメラ1の構成を示すブロック図であり、上記発明の撮像装置に関する構成以外のカメラの一般的構成については、その図示と説明を一部省略する。
【0022】
本実施形態のカメラ1は、カメラボディ100とレンズ鏡筒200とを備え、これらカメラボディ100とレンズ鏡筒200はマウント部300により着脱可能に結合されている。本実施形態のカメラ1においては、レンズ鏡筒200は、撮影目的などに応じて、交換可能となっている。
【0023】
レンズ鏡筒200には、撮影レンズ210や絞り装置220などからなる撮影光学系が内蔵されている。
【0024】
撮影レンズ210は、複数のレンズから構成されるレンズ群からなり、焦点調節を行うためのフォーカスレンズや、撮影倍率を調整するためのズームレンズなどを含んでなり、これら各レンズは、レンズ制御部230からの駆動信号に基づいて、各レンズを駆動するための駆動モータが駆動することで、光軸L1方向に移動するような構成となっている。また、各レンズの移動は、レンズ鏡筒200に備えられたフォーカス環およびズーム環を回転操作されることによっても行われる。
【0025】
絞り装置220は、上記撮影光学系を通過して撮像素子110に至る光束の光量を制限するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り装置220による開口径の調節は、たとえば、自動露出モードにおいて演算された絞り値に応じた信号が、カメラ制御部170からレンズ制御部230を介して絞り駆動部へ送信されることにより行われる。また、開口径の調節は、カメラボディ100に設けられた操作部150によるマニュアル操作により、設定された絞り値に応じた信号がカメラ制御部170からレンズ制御部230を介して絞り駆動部へ送信されることによっても行われる。
【0026】
レンズ鏡筒200にはレンズ制御部230が設けられている。レンズ制御部230はマイクロプロセッサとメモリなどの周辺部品から構成され、カメラ制御部170と電気的に接続され、このカメラ制御部170から撮影倍率やデフォーカス量、絞り制御信号などの情報を受信するとともに、カメラ制御部170へ、撮影レンズ210を構成する各レンズのレンズ位置や絞り値などのレンズ情報を送信する。
【0027】
一方、カメラボディ100は、被写体からの光束を撮像素子110、ファインダ135、測光センサ137および焦点検出モジュール160へ導くためのミラー系120を備える。このミラー系120は、回転軸123を中心にして被写体の観察位置と撮影位置との間で所定角度だけ回転するクイックリターンミラー121と、このクイックリターンミラー121に軸支されてクイックリターンミラー121の回転に合わせて回転するサブミラー122とを備える。
【0028】
図1においては、ミラー系120が被写体の観察位置にある状態を実線で示し、被写体の撮影位置にある状態を二点鎖線で示す。ミラー系120は、被写体の観察位置にある状態では光軸L1の光路上に挿入される一方で、被写体の撮影位置にある状態では光軸L1の光路から退避するように回転する。
【0029】
クイックリターンミラー121はハーフミラーで構成され、被写体の観察位置にある状態では、被写体からの光束(光軸L1)の一部の光束(光軸L2,L3)を当該クイックリターンミラー121で反射してファインダ135および測光センサ137へ導き、一部の光束(光軸L4)を透過させてサブミラー122へ導く。これに対して、サブミラー122は全反射ミラーで構成され、クイックリターンミラー121を透過した光束(光軸L4)を焦点検出モジュール160へ導く。
【0030】
したがって、ミラー系120が観察位置にある場合は、被写体からの光束(光軸L1)はファインダ135、測光センサ135および焦点検出モジュール160へ導かれ、撮影者により被写体の観察が行われるとともに、露出演算や撮影レンズ210の焦点調節状態の検出が実行される。そして、撮影者がレリーズボタンを全押しするとミラー系120が撮影位置に回転し、被写体からの光束(光軸L1)は撮像素子110へ導かれ、撮影した画像データをメモリ180に保存する。
【0031】
撮像素子110は、カメラボディ100の、被写体からの光束の光軸L1上であって、撮影レンズ210の予定焦点面となる位置に設けられている。撮像素子110は、複数の光電変換素子が二次元に配列されたものであって、二次元CCDイメージセンサ、MOSセンサまたはCIDなどで構成することができる。この撮像素子110で光電変換された電気画像信号は、カメラ制御部170で画像処理されたのちメモリ180に保存される。なお、撮影画像を格納するメモリ180は内蔵型メモリやカード型メモリなどで構成することができる。
【0032】
一方、クイックリターンミラー121で反射された被写体光からの光束は、撮像素子110と光学的に等価な面に配置された焦点板131に結像し、ペンタプリズム133と接眼レンズ134とを介して撮影者により観察可能となっている。このとき、透過型液晶表示器132は、焦点板131上の被写体像に焦点検出エリアマークなどを重畳して表示するとともに、被写体像外のエリアにシャッター速度、絞り値、撮影枚数などの撮影に関する情報を表示する。これにより、撮影者は、撮影準備状態において、ファインダ135を通して被写体およびその背景ならびに撮影関連情報などを観察することができる。
【0033】
測光センサ137は、二次元カラーCCDイメージセンサなどで構成され、撮影の際の露出値を演算するため、撮影画面を複数の領域に分割して領域ごとの輝度に応じた測光信号を出力する。測光センサ137で検出された画像情報はカメラ制御部170へ出力され、自動露出制御に用いられる。
【0034】
焦点検出モジュール160は、サブミラー122で反射した光束の光軸L4上であって、撮像素子110の撮像面と光学的に等価な面の位置に固定されており、被写体光を用いた位相差検出方式により、撮影光学系のデフォーカス量を算出し、これに基づいてレンズ駆動量を演算し、これをレンズ制御部170へ送信する。そして、レンズ駆動量が、レンズ制御部170からレンズ制御部230に送信されることにより、撮影レンズ210に含まれるフォーカスレンズの位置が調整される。
【0035】
操作部150は、シャッターレリーズボタンや撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチであり、後述する起動用音声および撮像用音声を記憶するための「音記憶撮影モード」を選択するためのスイッチや、集音マイク140から入力された音声に基づいて、カメラ1の撮影準備動作の起動および撮影を自動的に行なうための「音検知自動撮影モード」を選択するためのスイッチなどを備えている。この操作部150により設定された各種モード、および操作信号はカメラ制御部170へ送信される。また、シャッターレリーズボタンのスイッチは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。
【0036】
表示部190は、撮像素子110からの画像情報を、カメラ制御部170を介して取得し、取得した画像情報に基づく画像を、表示部190に備えられたディスプレイに表示する。
【0037】
また、カメラボディ100には、集音マイク140が備えられている。集音マイク140は、カメラ1周囲の音声を集音し、集音した音声信号をカメラ制御部170に送信する。
【0038】
カメラボディ100にはカメラ制御部170が設けられている。カメラ制御部170はマイクロプロセッサとメモリなどの周辺部品から構成され、マウント部300に設けられた電気信号接点部によりレンズ制御部230と電気的に接続され、このレンズ制御部230からレンズ情報を受信するとともに、レンズ制御部230へ各種制御信号を送信する。また、カメラ制御部170は、上述したように撮像素子110から画像情報を読み出すとともに、必要に応じて所定の情報処理を施し、メモリ180および表示部190に出力する。さらに、カメラ制御部170は、撮影画像情報の補正やレンズ鏡筒200の焦点調節状態、絞り調節状態などを検出するなど、カメラ1全体の制御を司る。
【0039】
図2に、カメラ制御部170の構成を示すブロック図を示す。図2に示すように、カメラ制御部170は、音声解析部171、起動用音声記憶部172、第1音声特性比較部173、撮象用音声記憶部174、第2音声特性比較部175、および起動制御部176を有する。
【0040】
音声解析部171は、集音マイク140により集音されたカメラ1周囲の外部音声の音声信号を取得し、取得した音声信号の解析を行なう。具体的には、音声解析部171は、集音マイク140から入力された音声信号の解析を行うことで、外部音声の音声特性、すなわち、音量の情報、音声波形の情報、および基本周波数の情報を抽出する。図3、図4に、集音マイク140により集音された外部音声の具体的な例として、ピアノ音(特定の鍵盤を押した時のピアノの音)の音量の情報および音声波形の情報の一例を示す。ここで、図3は、ピアノ音の音量の情報を示す図であり、図3中においては、時間に対する音量の大きさの変化をグラフ化して示している。なお、この図3においては、音量の大きさを、最大音量を1として、規格化して表している。また、図4は、ピアノ音の音声波形の情報を示す図であり、図4中においては、時間に対する音声波形の変化をグラフ化して示している。なお、この図4においては、音声波形の振幅の大きさを、最大振幅を1として、規格化して表している。
【0041】
そして、音声解析部171は、集音マイク140から入力された音声信号の解析を行ない、図3、図4に示すように、外部音声の音量の情報、および音声波形の情報を抽出し、さらには、音声波形の情報に基づいて、音声波形をフーリエ変換することにより、音声信号を周波数ごとに分解する処理を行なう。ここで、図5に、図4に示す音声波形をフーリエ変換することにより得られた周波数ごとの振幅のデータを、図6に、図4に示す音声波形をフーリエ変換することにより得られた周波数ごとの位相のデータを、それぞれ示す。なお、図5においては、振幅の大きさを、最大振幅を1として、規格化して表している。そして、音声解析部171は、音声波形をフーリエ変換することにより得られた周波数ごとの振幅のデータから、基本周波数の情報を抽出する。ここで、基本周波数は、音声波形を構成する周波数成分のうち、周波数が最も低い周波数成分の周波数である。なお、図5、図6に示す例においては、1000Hz付近に基本周波数が存在することとなる。
【0042】
このように音声解析部171により抽出された外部音声の音量の情報、音声波形の情報、および基本周波数の情報は、起動用音声記憶部172、および大1音声特性比較部173に出力される。
【0043】
起動用音声記憶部172は、カメラ1の撮影準備動作の起動に用いるための起動用音声の音声特性の情報、すなわち、起動用音声の音量の情報、音声波形の情報、および基本周波数の情報を記憶する。本実施形態では、たとえば、「音記憶撮影モード」において、シャッターレリーズボタンが半押し(第1スイッチSW1オン)された際に、集音マイク140から入力された音声を、起動用音声記憶部172に記憶させるための起動用音声とすることができる。すなわち、本実施形態では、「音記憶撮影モード」において、シャッターレリーズボタンが半押しされた際に、集音マイク140から入力された音声を起動用音声とし、該音声の音声特性の情報を起動用音声記憶部172に記憶させることができる。具体例として、たとえば、図3〜図6に示す音声特性を有する音声が、たとえば、シャッターレリーズボタンが半押し(第1スイッチSW1オン)された際において、集音マイク140から入力された音声である場合に、該音声の音声特性を、起動用音声記憶部172に記憶させることができる。
【0044】
第1音声特性比較部173は、集音マイク140から入力された外部音声の音声特性(以下、適宜、「外部音声特性」とする。)を、音声解析部171から受信し、外部音声特性と、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声の音声特性との比較を行い、外部音声の音声特性と、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声の音声特性とが一致するか否かの判断を行なう。すなわち、第1音声特性比較部173は、外部音声が、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声と一致しているか否かの判断を行なう。
【0045】
集音マイク140から入力された外部音声と、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声とが、一致しているか否かの判断は、以下のようにして行われる。すなわち、まず、第1音声特性比較部173は、外部音声の音量および音声波形と、起動用音声の音量および音声波形とに基づいて、音量差ΔVおよび音声波形差ΔWを算出する。ここで、図7に、外部音声と、起動用音声との音量差ΔVを算出する方法の一例を、図8に、外部音声と、起動用音声との音声波形差ΔWを算出する方法の一例を、それぞれ示す。第1音声特性比較部173は、図7に示すように、外部音声の音量と、起動用音声の音量との差分を、時間ごとに算出し、算出した差分を時間積分することで、音量差ΔVを算出する。また、第1音声特性比較部173は、図8に示すように、外部音声の音声波形と、起動用音声の音声波形との差分を、時間ごとに算出し、算出した差分を時間積分することで、算出した差分を時間積分することで、音声波形差ΔWを算出する。
【0046】
そして、第1音声特性比較部173は、算出した音量差ΔV、音声波形差ΔWに基づいて、外部音声と、起動用音声とが一致するか否かの判定を行なう。具体的には、算出した音量差ΔVが所定の第1音量閾値V1以下であり、かつ、算出した音声波形差ΔWが所定の第1音声波形閾値W1以下である場合に、外部音声と、起動用音声とが一致していると判定する。なお、第1音量閾値V1としては、外部音声と、起動用音声とが、実質的に同一の音声の音量であると判断できるような値に設定することができる。同様に、第1音声波形閾値W1としては、外部音声と、起動用音声とが、実質的に同一の音声の音量波形であると判断できるような値に設定することができる。
【0047】
そして、第1音声特性比較部173は、外部音声と、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声とが一致していると判断した場合には、カメラ1の撮影準備動作の起動を行なわせるための起動用信号を、起動制御部176に送出し、起動制御部176に、カメラ1の撮影準備動作の起動を行なわせるための処理を実行させる。
【0048】
なお、起動用音声記憶部172に起動用音声が複数記憶されている場合には、第1音声特性比較部173は、外部音声の音声特性と一致する音声特性を有する起動用音声が少なくとも1つ存在する場合に、外部音声と、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声とが一致していると判断することができる。
【0049】
また、撮象用音声記憶部174は、カメラ1の撮像に用いるための撮像用音声の音声特性の情報、すなわち、起動用音声の音量の情報、音声波形の情報、および基本周波数の情報を記憶する。本実施形態では、たとえば、「音検知自動撮影モード」において、シャッターレリーズボタンが全押し(第2スイッチSW2オン)された際に、集音マイク140から入力された音声を、撮象用音声記憶部174に記憶させるための撮像用音声とすることができる。すなわち、本実施形態では、「音検知自動撮影モード」において、シャッターレリーズボタンが全押しされた際に、集音マイク140から入力された音声を撮像用音声とし、該音声の音声特性の情報を撮象用音声記憶部174に記憶させることができる。具体例として、たとえば、図3〜図6に示す音声特性を有する音声が、たとえば、シャッターレリーズボタンが全押し(第2スイッチSW2オン)された際において、集音マイク140から入力された音声である場合に、該音声の音声特性を、撮象用音声記憶部174に記憶させることができる。
【0050】
第2音声特性比較部175は、起動制御部176によりカメラ1の撮影準備動作が起動されている場合に、集音マイク140から入力された外部音声の音声特性を、音声解析部171から受信し、外部音声特性と、撮象用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声の音声特性との比較を行い、外部音声の音声特性と、撮象用音声記憶部174に記憶されている撮象用音声の音声特性とが一致するか否かの判断を行なう。すなわち、第2音声特性比較部175は、外部音声が、撮象用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声と一致しているか否かの判断を行なう。
【0051】
なお、集音マイク140から入力された外部音声と、撮象用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声とが、一致しているか否かの判断は、上述した第1音声特性比較部173と同様に行なうことができる。すなわち、第2音声特性比較部175は、外部音声の音量および音声波形と、撮像用音声の音量および音声波形とに基づき、音量差ΔV、音声波形差ΔWを算出し、音量差ΔVが第2音量閾値V2以下であり、かつ、音声波形差ΔWが第2音声波形閾値W2以下である場合に、外部音声と、撮像用音声とが一致していると判断することができる。なお、第2音量閾値V2、および第2音声波形閾値W2としては、上述した第1音量閾値V1、および第1音声波形閾値W1と同様にして設定することができ、また、第2音量閾値V2、および第2音声波形閾値W2は、上述した第1音量閾値V1、および第1音声波形閾値W1と、それぞれ同じ値としてもよい。
【0052】
そして、第2音声特性比較部175は、外部音声と、撮像用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声とが一致していると判断した場合には、カメラ1に撮像を行わせるための撮像用信号を、起動制御部176に送出し、起動制御部176に、カメラ1により撮影を行なわせるための処理を実行させる。
【0053】
なお、撮像用音声記憶部174に撮像用音声が複数記憶されている場合には、第2音声特性比較部175は、外部音声の音声特性と一致する音声特性を有する起動用音声が少なくとも1つ存在する場合に、外部音声と、撮像用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声とが一致していると判断することができる。
【0054】
起動制御部176は、カメラ1の撮影準備動作の起動、およびカメラ1の撮像動作の起動を制御する。具体的には、起動制御部176は、「音検知自動撮影モード」が選択されている場合において、上述した第1音声特性比較部173によって、外部音声と、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声とが一致していると判断した場合に、第1音声特性比較部173から、カメラ1の撮影準備動作の起動を行なわせるための起動用信号を受信し、受信した起動用信号に基づいて、カメラ1の撮影準備動作の起動を行なう。すなわち、起動制御部176は、第1音声特性比較部173からの起動用信号を受信すると、撮像素子110、測光センサ137、焦点検出モジュール160および表示部190を起動させる。そして、これにより、起動制御部176は、撮像素子110による撮像信号の取得、測光センサ137による測光信号の取得、焦点検出モジュール160による焦点検出用の信号の取得、および表示部190による撮影画像等の表示の各動作を開始させる。
【0055】
また、起動制御部176は、「音検知自動撮影モード」が選択されている場合において、カメラ1の撮影準備動作の起動が行なわれている状態において、上述した第2音声特性比較部175によって、外部音声と、撮像用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声とが一致していると判断した場合に、第2音声特性比較部175から、カメラ1に撮像を行なわせるための撮像用信号を受信し、受信した撮像用信号に基づいて、撮像素子110に被写体像の撮像を行なわせる。
【0056】
さらに、起動制御部176は、「音検知自動撮影モード」以外のモードが選択されている場合には、撮影者により、操作部150を介して、撮像操作が行なわれた場合に、カメラ1の撮影準備動作の起動、およびカメラ1の撮像動作の起動の制御を行う。すなわち、起動制御部176は、シャッターレリーズボタンが半押し(第1スイッチSW1オン)された場合に、カメラ1の撮影準備動作の起動を行ない、さらに、カメラ1の撮影準備動作が起動されている場合に、シャッターレリーズボタンが全押し(第2スイッチSW2オン)された場合に、カメラ1の撮像動作を起動する。
【0057】
次に、本実施形態に係るカメラの動作例を説明する。
【0058】
以下においては、起動用音声および撮像用音声を記憶するための「音記憶撮影モード」が選択されている場合における動作例を説明する。ここで、図9は「音記憶撮影モード」が選択されている場合におけるカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【0059】
以下に説明する動作はカメラ1の電源がオンとされ、「音記憶撮影モード」が選択された場合に開始される。なお、本実施形態のカメラ1は、電源がオンされた時点では、低消費電力モード(撮像素子110、測光センサ137、焦点検出モジュール160、および表示部190がオフとされているモード)に設定される。
【0060】
まず、ステップS101では、撮影者によりシャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたかどうかを判断し、第1スイッチSW1がオンした場合はステップS102へ進み、第1スイッチSW1がオンしていない場合はステップS101で待機する。
【0061】
ステップS102では、起動制御部176により、カメラ1の撮影準備動作の起動を行なわせるための処理が行なわれる。具体的には、起動制御部176により、撮像素子110による撮像信号の取得、測光センサ137による測光信号の取得、焦点検出モジュール160による焦点検出用の信号の取得、および表示部190による撮影画像等の表示の各動作を開始させるための処理が行なわれる。そして、ステップS102では、撮像素子110により取得された撮像信号に基づく画像を、スルー画像として表紙部190に表示するための処理が、カメラ制御部170により開始される。
【0062】
ステップS103では、シャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたタイミングにおいて、集音マイク140により、入力された外部音声の音声特性を、起動用音声記憶部172に、起動用音声特性として記憶させるための処理が行なわれる。具体的には、シャッターレリーズボタンの半押しがされたタイミングにおいて、集音マイク140により入力された外部音声について、音声解析部171により、音声特性、すなわち、音量の情報、音声波形の情報、および基本周波数の情報の抽出が行なわれる。なお、この場合における、音声特性の抽出の対象とされる外部音声の時間的な長さとしては特に限定されないが、予め定められた所定時間としてもよい。そして、音声解析部171により抽出された外部音声の音声特性が、起動用の音声特性として、起動用音声記憶部172に記憶される。
【0063】
ステップS104では、カメラ制御部170に備えられたタイマー(不図示)の起動が行なわれる。なお、既に、タイマーが起動している場合には、タイマーのカウント値をゼロに設定する処理が行なわれる。
【0064】
ステップS105では、カメラ制御部170により、測光センサ137により取得された測光信号に基づいて露出演算が行われる。
【0065】
ステップS106では、カメラ制御部170により、焦点検出モジュール160により取得された焦点検出用の信号に基づいて、光学系の焦点状態を検出するための演算が行われ、該演算結果に基づいて、撮影レンズ210を構成するフォーカスレンズを駆動することで、光学系の焦点調節が行なわれる。
【0066】
ステップS107では、カメラ制御部170により、撮影者によってシャッターレリーズボタンの全押し(第2スイッチSW2のオン)がされたかどうかの判断が行われる。第2スイッチSW2がオンした場合には、ステップS108に進む。一方、第2スイッチSW2がオンしていない場合には、ステップS111に進む。
【0067】
ステップS108では、起動制御部176により、撮像素子110に被写体像の撮像を行なわせる処理が行なわれ、これにより、撮像素子110によって、被写体像の撮影が行なわれ、画像信号が出力される。
【0068】
ステップS109では、ステップS108において、撮像素子110により出力された画像信号を、メモリ180に記憶させる処理が行なわれる。
【0069】
ステップS110では、シャッターレリーズボタンの全押し(第2スイッチSW2のオン)がされたタイミングにおいて、集音マイク140により、入力された外部音声の音声特性を、撮像用音声記憶部174に、撮像用音声特性として記憶させるための処理が行なわれる。具体的には、シャッターレリーズボタンの全押しがされたタイミングにおいて、集音マイク140により入力された外部音声について、音声解析部171により、音声特性、すなわち、音量の情報、音声波形の情報、および基本周波数の情報の抽出が行なわれる。なお、この場合における、音声特性の抽出の対象とされる外部音声の時間的な長さとしては特に限定されないが、予め定められた所定時間としてもよい。そして、音声解析部171により抽出された外部音声の音声特性が、撮像用の音声特性として、撮像用音声記憶部174に記憶される。
【0070】
ステップS111では、シャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)が継続されているか否かの判断が行なわれ、第1スイッチSW1がオンとなっている場合はステップS104に戻り、タイマーのカウント値がゼロに設定され、再度、ステップS105〜S110の処理を繰り返す。一方、第1スイッチSW1がオンとなっていない場合はステップS112に進む。
【0071】
ステップS112では、タイマーのカウント値が、予め定められた所定値以上となっているか否か(すなわち、第1スイッチがオフとなってから所定時間以上経過したか否か)の判定が行なわれる。タイマーのカウント値が、予め定められた所定値以上となっていない場合には、ステップS105に戻り、再度、ステップS105〜S111の処理を繰り返す。一方、タイマーのカウント値が、予め定められた所定値以上となった場合には、ステップS113に進む。
【0072】
ステップS113では、タイマーのカウント値が、予め定められた所定値以上となったため(第1スイッチがオフとなってから所定時間以上経過したため)、撮像素子110、測光センサ137、焦点検出モジュール160、および表示部190がオフとされ、低消費電力モードに移行し、ステップS101に戻る。
【0073】
以上のようにして、「音記憶撮影モード」において、シャッターレリーズボタンの半押し時の外部音声の音声特性を、起動用音声特性として起動用音声記憶部172に記憶させる処理が行なわれ(ステップS103)、また、シャッターレリーズボタンの全押し時の外部音声の音声特性を、撮像用音声特性として撮像用音声記憶部174に記憶させる処理が行なわれる(ステップS111)。
【0074】
次いで、カメラ1の撮影準備動作の起動および撮影を自動的に行なうための「音検知自動撮影モード」が選択されている場合における動作例を説明する。ここで、図10は「音検知自動撮影モード」が選択されている場合におけるカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【0075】
以下に説明する動作はカメラ1の電源がオンとされ、「音検知自動撮影モード」が選択された場合に開始される。なお、本実施形態のカメラ1は、電源がオンされた時点では、低消費電力モード(撮像素子110、測光センサ137、焦点検出モジュール160、および表示部190がオフとされているモード)に設定される。
【0076】
まず、ステップS201では、集音マイク140により、外部音声の入力が行なわれる。
【0077】
ステップS202では、音声解析部171により、ステップS201において入力された外部音声の解析が行なわれる。具体的には、音声解析部171は、集音マイク140から入力された音声信号の解析を行なうことで、外部音声の音声特性、すなわち、図3、図4に示すような音量の情報、音声波形の情報の抽出を行なう。
【0078】
ステップS203では、第1音声特性比較部173により、ステップS202において抽出された外部音声特性と、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声の音声特性との比較が行われ、これにより、外部音声と、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声とが一致しているか否かの判断が行なわれる。具体的には、第1音声特性比較部173は、外部音声の音量および音声波形と、起動用音声の音量および音声波形とに基づいて、音量差ΔVおよび音声波形差ΔWを算出し、算出した音量差ΔVが所定の第1音量閾値V1以下であり、かつ、算出した音声波形差ΔWが所定の第1音声波形閾値W1以下であるか否かの判断が行なわれる。外部音声と、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声とが一致していると判断された場合には、ステップS204に進む。一方、外部音声と起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声とが一致していないと判断された場合には、ステップS201に戻り、再度、外部音声の入力(ステップS201)、音声信号の解析(ステップS202)、および起動用音声と一致するか否かの判定(ステップS203)が行なわれる。すなわち、本実施形態では、起動用音声と一致する外部音声が入力されるまで、集音マイク140による、外部音声の入力、および外部音声と撮像用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声とが一致しているか否かの判断を、所定の時間間隔で繰り返し行なう。
【0079】
ステップS204では、外部音声と起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声とが一致していると判断されたため、第1音声特性比較部173により、カメラ1の撮影準備動作の起動を行なわせるための起動用信号が、起動制御部176に送出され、起動制御部176により、カメラ1の撮影準備動作の起動が行なわれる。具体的には、起動制御部176により、撮像素子110による撮像信号の取得、測光センサ137による測光信号の取得、焦点検出モジュール160による焦点検出用の信号の取得、および表示部190による撮影画像等の表示の各動作を開始させるための処理が行なわれる。そして、ステップS102では、撮像素子110により取得された撮像信号に基づく画像を、スルー画像として表紙部190に表示するための処理が、カメラ制御部170により開始される。
【0080】
ステップS205〜S207では、図9に示すステップS104〜S106と同様に、タイマーの起動、露出演算および光学系の焦点調節が行われる。
【0081】
ステップS208では、集音マイク140により、外部音声の入力が行なわれる。
【0082】
ステップS209では、上述したステップS202と同様にして、音声解析部171により、ステップS208において入力された外部音声の音声特性、すなわち、図3、図4に示すような音量の情報、音声波形の情報の抽出が行なわれる。
【0083】
ステップS210では、第2音声特性比較部175により、ステップS209において抽出された外部音声特性と、撮像用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声の音声特性との比較が行われ、これにより、外部音声と撮像用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声とが一致しているか否かの判断が行なわれる。具体的には、第2音声特性比較部175は、外部音声の音量および音声波形と、起動用音声の音量および音声波形とに基づいて、音量差ΔVおよび音声波形差ΔWを算出し、算出した音量差ΔVが所定の第2音量閾値V2以下であり、かつ、算出した音声波形差ΔWが所定の第2音声波形閾値W2以下であるか否かの判断が行なわれる。外部音声と、撮像用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声とが一致していると判断された場合には、ステップS211に進む。一方、外部音声と撮像用音声記憶部174に記憶されている起動用音声とが一致していないと判断された場合には、ステップS213に進む。
【0084】
ステップS211では、外部音声と撮像用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声とが一致していると判断されたため、第2音声特性比較部175により、カメラ1に撮像を行わせるための撮像用信号が、起動制御部176に送出される。そして、起動制御部176により、撮像素子110に被写体像の撮像を行なわせる処理が行なわれ、これにより、撮像素子110によって、被写体像の撮影が行なわれ、画像信号が出力される。
【0085】
ステップS212では、ステップS211において、撮像素子110により出力された画像信号を、メモリ180に記憶させる処理が行なわれる。
【0086】
ステップS213では、タイマーのカウント値が、予め定められた所定値以上となっているか否か(すなわち、撮影準備動作の起動が行なわれてから所定時間以上経過したか否か)の判定が行なわれる。タイマーのカウント値が、予め定められた所定値以上となっていない場合には、ステップS206に戻り、タイマーのカウント値が、予め定められた所定値以上となるまで、ステップS206〜S213の処理が繰り返し行なわれる。すなわち、本実施形態では、タイマーのカウント値が、予め定められた所定値以上となるまで、集音マイク140による、外部音声の入力、および外部音声と撮像用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声とが一致しているか否かの判断を、所定の時間間隔で繰り返し行なう。一方、タイマーのカウント値が、予め定められた所定値以上となった場合には、ステップS114に進む。
【0087】
ステップS214では、タイマーのカウント値が、予め定められた所定値以上となったため(撮影準備動作の起動が行なわれてから所定時間以上経過したため)、撮像素子110、測光センサ137、焦点検出モジュール160、および表示部190がオフとされ、低消費電力モードに移行し、ステップS201に戻る。
【0088】
以上のようにして、本実施形態では、「音検知自動撮影モード」において、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声と一致する外部音声が、集音マイク140を介して、入力された場合には、カメラ1の撮影準備動作の起動を行ない(ステップS203、S204)、また、撮像用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声と一致する外部音声が、集音マイク140を介して、入力された場合には、カメラ1による撮像を行なうものである(ステップS210〜S212)。
【0089】
本実施形態では、集音マイク140を介して、外部音声を入力し、入力された外部音声の音声特性と、起動用音声記憶部172に記憶されている起動用音声の音声特性とを比較し、外部音声の音声特性が、起動用音声の音声特性と一致する場合に、カメラ1の撮影準備動作の起動を行なうような構成とすることにより、特定の外部音声がカメラ1周囲で発せられた場合に、このような特定の外部音声と同期して、カメラ1の撮影準備動作の起動を行なわせることが可能となる。
【0090】
また、本実施形態では、カメラ1の撮影準備動作が起動している場合に、集音マイク140を介して、外部音声を入力し、入力された外部音声の音声特性と、撮像用音声記憶部174に記憶されている撮像用音声の音声特性とを比較し、外部音声の音声特性が、撮像用音声の音声特性と一致する場合に、カメラ1による撮影を行なうような構成とすることにより、特定の外部音声がカメラ1周囲で発せられた場合に、このような特定の外部音声と同期して、カメラ1による撮影を行なわせることが可能となる。
【0091】
さらに、本実施形態においては、シャッターレリーズボタンの半押し時(第1スイッチSW1のオン時)の外部音声の音声特性を、起動用音声特性として起動用音声記憶部172に記憶させ、また、シャッターレリーズボタンの全押し時(第2スイッチSW2のオン時)の外部音声の音声特性を、撮像用音声特性として撮像用音声記憶部174に記憶させることができ、これにより、所望の音声を予め登録しておき、予め登録した所望の音声に同期して、カメラ1の撮影準備動作の起動およびカメラ1による撮影を行なわせることができる。
【0092】
図11に、本実施形態が適用される一場面例を示す。なお、図11においては、図11(B)に示すように、たとえば、自動車レース等において、自動車が「α」に示す位置から、「β」に示す位置に向かって、カメラ1に近づいてくるような場面を示している。また、図11(A)は、図11(B)に示すような場面における、カメラ1に入力される自動車の走行音の音量の変化を示している。このような場面において、本実施形態によれば、「音記憶撮影モード」において、予め自動車が「α」に示す位置にあるときに、シャッターボタンの半押しを行い、自動車が「α」に示す位置にあるときの外部音声を、起動用音声として記憶させておき、また、自動車が「β」に示す位置にあるときに、シャッターボタンの全押しを行い、自動車が「β」に示す位置にあるときの外部音声を、撮像用音声として記憶させておくことができる。そして、このような場合において、本実施形態によれば、「音検知自動撮影モード」に設定しておくことで、自動車が「α」に示す位置にきたときに、カメラ1の撮影準備動作の起動が行なわれ、次いで、自動車が「β」に示す位置にきたときに、カメラ1により自動撮影を行わせることができる。なお、このような自動車レースにおいては、撮影者が撮影したい自動車以外の自動車も、コース上を走行していることが一般的であるが、本実施形態では、外部音声の音量に加えて、外部音声の音声波形が一致した場合に、カメラ1の撮影準備動作の起動および自動撮影を行うものであるため、このような場面においても、撮影者が撮影したい自動車を適切に撮影することができる。
【0093】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0094】
たとえば、上述した実施形態では、第1音声特性比較部173により、外部音声の音声特性と起動用音声の音声特性とが一致しているか否かを判断する際に、これらの音声特性のうち、音量および音声波形の情報に基づいて、音量差ΔVおよび音声波形差ΔWを算出し、音量差ΔVが所定の第1音量閾値V1以下であり、かつ、音声波形差ΔWが所定の第1音声波形閾値W1以下である場合に、外部音声の音声特性と起動用音声の音声特性とが一致していると判断するような構成を例示した。これに対し、本実施形態においては、音量差ΔVおよび音声波形差ΔWに代えて、音量差ΔVおよび基本周波数に基づいて、外部音声の音声特性と起動用音声の音声特性とが一致しているか否かの判断を行なってもよい。この場合においては、音量差ΔVが、所定の第1音量閾値V1以下であり、かつ、外部音声の基本周波数と起動用音声の基本周波数とが一致する場合に、外部音声の音声特性と起動用音声の音声特性とが一致していると判断することができる。なお、第1音声特性比較部173だけでなく、第2音声特性比較部175においても、音量差ΔVおよび音声波形差ΔWに代えて、音量差ΔVおよび基本周波数に基づいて、外部音声の音声特性と撮像用音声の音声特性とが一致しているか否かの判断を行なうことももちろん可能である。
【0095】
また、上述した実施形態では、「音記憶撮影モード」において、シャッターレリーズボタンの全押し(第2スイッチSW2のオン)がされた場合に、シャッターレリーズボタンの全押しがされたタイミングにおいて、集音マイク140により、入力された外部音声の音声特性を、撮像用音声記憶部174に、撮像用音声特性として記憶させるような構成を例示した(図9のステップS110)。これに対し、本実施形態においては、「音記憶撮影モード」において、シャッターレリーズボタンの全押し(第2スイッチSW2のオン)がされた場合には、シャッターレリーズボタンの全押しがされたタイミングから所定時間前までに入力された外部音声の音声特性を、撮像用音声記憶部174に、撮像用音声特性として記憶させるような構成としてもよい。このような構成とすることにより、撮影者が撮影したいタイミングにより近いタイミング(撮影者が撮影したいタイミングとほぼ一致したタイミング)で、自動撮影を行うことが可能となる。また、「音記憶撮影モード」において、シャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされた場合においても、シャッターレリーズボタンの半押しがされたタイミングから所定時間前までに入力された外部音声の音声特性を、起動用音声記憶部172に、起動用音声特性として記憶させるような構成としてもよい。
【0096】
さらに、上述した実施形態では、「音記憶撮影モード」において、シャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)、およびシャッターレリーズボタンの全押し(第2スイッチSW2のオン)がされた場合に、外部音声の音声特性を、それぞれ、起動用音声特性および撮像用音声特性として記憶させるような構成を例示した。これに対し、本実施形態においては、たとえば、カメラ1を、操作部150に、音声記憶用のスイッチを備えるような構成とし、この音声記憶用のスイッチを押しながら、シャッターレリーズボタンの半押し、またはシャッターレリーズボタンの全押しが行なわれた際に、外部音声の音声特性を、それぞれ、起動用音声特性および撮像用音声特性として記憶させるような構成としてもよい。あるいは、本実施形態においては、外部音声を所定時間連続して記録し、記録した外部音声をカメラ1で再生し、撮影者が、再生中の外部音声を聞きながら、所望のタイミングで、シャッターレリーズボタンの半押し、またはシャッターレリーズボタンの全押しをすることで、外部音声の音声特性を、それぞれ、起動用音声特性および撮像用音声特性として記憶させるような構成としてもよい。
【0097】
また、本実施形態においては、「音記憶撮影モード」において、シャッターレリーズボタンの半押し、またはシャッターレリーズボタンの全押しがされるか否かに拘わらず、集音マイク140により入力された外部音声について、音声解析部171によって、音声特性、すなわち、音量の情報、音声波形の情報、および基本周波数の情報の抽出を、所定の時間間隔で繰り返し行なうような構成とし、所定以上の音量を有する外部音声が入力された場合に、このような所定以上の音量を有する外部音声の音声特性を、起動用音声特性または撮像用音声特性として記憶させるような構成としてもよい。図12に、このような場合における、音声解析方法の一例を示す。なお、図12においては、図12(A)に示すような外部音声が、集音マイク140により入力された場合における音声解析方法を、図12(B)に示している。すなわち、図12における例においては、t1、t2、t3、t4およびt5のそれぞれのタイミングで、所定の時間長さT1の外部音声を繰り返し入力し、これら所定の時間長さT1の外部音声について、音声解析部171によって、音声特性を抽出する例を示している。そして、この場合において、たとえば、時間t5の時点で、所定以上の音量を有する外部音声が入力された場合に、本実施形態では、時間t5の時点から所定の時間長さT1の外部音声の音声特性を、起動用音声特性または撮像用音声特性として記憶させることができる。あるいは、たとえば、時間t5の時点で、所定以上の音量を有する外部音声が入力された場合に、時間t5より所定時間前、たとえば、t4の時点から所定の時間長さT1の外部音声の音声特性を、起動用音声特性または撮像用音声特性として記憶させるような構成としてもよい。また、このような処理が開始された際に、タイマーを起動させて、タイマーのカウント値が所定値となるまでは、集音マイク140により入力された外部音声について、音声解析部171によって、音声特性の抽出を、所定の時間間隔で繰り返し行なうような構成とし、タイマーのカウント値が所定値以上となったら、このような処理を終了するような構成としてもよい。
【0098】
なお、本実施形態の撮像装置1は、上述した一眼レフデジタルカメラに限定されず、レンズ一体型デジタルスチルカメラやビデオカメラにも適用できる。また、携帯電話機などに内蔵される小型カメラモジュール、監視カメラ、ロボット用視覚認識装置等にも適用できる。
【符号の説明】
【0099】
1…一眼レフデジタルカメラ
100…カメラボディ
110…撮像素子
137…測光センサ
140…集音マイク
150…操作部
160…焦点検出モジュール
170…カメラ制御部
190…表示部
200…レンズ鏡筒
210…撮影レンズ
220…絞り装置
230…レンズ制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からの外部音声を入力する音声入力手段と、
前記外部音声を解析して、前記外部音声の特性である外部音声特性を抽出する音声解析手段と、
第1の特定音声の特性を、第1特定音声特性として記憶する第1音声特性記憶手段と、
前記外部音声特性と、前記第1特定音声特性とを比較し、該比較結果に基づいて、撮影準備動作を起動するか否かを判定する第1判定手段とを備えることを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮影装置において、
前記外部音声特性および前記第1特定音声特性は、音量の情報、および音声波形の情報を含み、
前記第1判定手段は、前記外部音声の音量と、前記第1特定音声の音量との差分、および、前記外部音声の音声波形と、前記第1特定音声の音声波形との差分を算出し、各前記差分が、予め定められた所定の閾値以下である場合に、撮影準備動作を起動することを特徴とする撮影装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮影装置において、
前記外部音声特性および前記第1特定音声特性は、音量の情報、および基本周波数の情報を含み、
前記第1判定手段は、前記外部音声の音量と、前記第1特定音声の音量との差分、および、前記外部音声の基本周波数と、前記第1特定音声の基本周波数との差分を算出し、各前記差分が、予め定められた所定の閾値以下である場合に、撮影準備動作を起動することを特徴とする撮影装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の撮影装置において、
前記音声解析手段は、所定のタイミングで繰り返し、前記外部音声特性の抽出を行い、
前記第1判定手段は、所定のタイミングで繰り返し、前記外部音声特性と、前記第1音声特性との比較を行うことを特徴とする撮影装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の撮影装置において、
ユーザがレリーズボタンを半押しした場合に、前記音声解析手段は、半押し時において前記音声入力手段に入力された外部音声の外部音声特性を抽出し、
前記第1音声特性記憶手段は、該外部音声特性を、前記第1特定音声特性として、記憶することを特徴とする撮影装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の撮影装置において、
前記第1の特定音声とは異なる第2の特定音声の特性を、第2特定音声特性として記憶する第2音声特性記憶手段と、
前記撮影準備動作が起動中である場合に、前記外部音声特性と、前記第2特定音声特性とを比較し、該比較結果に基づいて、撮影を行なうか否かを判定する第2判定手段と、をさらに備えることを特徴とする撮影装置。
【請求項7】
請求項6に記載の撮影装置において、
前記外部音声特性および前記第2特定音声特性は、音量の情報、および音声波形の情報を含み、
前記第2判定手段は、前記外部音声の音量と、前記第2特定音声の音量との差分、および、前記外部音声の音声波形と、前記第2特定音声の音声波形との差分を算出し、各前記差分が、予め定められた所定の閾値以下である場合に、撮影を実行することを特徴とする撮影装置。
【請求項8】
請求項6に記載の撮影装置において、
前記外部音声特性および前記第2特定音声特性は、音量の情報、および基本周波数の情報を含み、
前記第2判定手段は、前記外部音声の音量と、前記第2特定音声の音量との差分、および、前記外部音声の基本周波数と、前記第2特定音声の基本周波数との差分を算出し、各前記差分が、予め定められた所定の閾値以下である場合に、撮影を実行することを特徴とする撮影装置。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載の撮影装置において、
前記音声解析手段は、所定のタイミングで繰り返し、前記外部音声特性の抽出を行い、
前記第2判定手段は、所定のタイミングで繰り返し、前記外部音声特性と、前記第2音声特性との比較を行うことを特徴とする撮影装置。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれかに記載の撮影装置において、
ユーザがレリーズボタンを半押しした場合に、前記音声解析手段は、半押し時に前記音声入力手段に入力された外部音声の外部音声特性を抽出し、
前記第2音声特性記憶手段は、該外部音声特性を、前記第2特定音声特性として、記憶することを特徴とする撮影装置。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれかに記載の撮影装置において、
ユーザがレリーズボタンを全押しした場合に、前記音声解析手段は、全押し時点から所定時間前までに前記音声入力手段に入力された外部音声の外部音声特性を抽出し、
前記第2音声特性記憶手段は、該外部音声特性を、前記第2特定音声特性として、記憶することを特徴とする撮影装置。
【請求項12】
請求項6〜11のいずれかに記載の撮影装置において、
ユーザの操作により、前記音声入力手段から入力される外部音声を記録する記録手段と、
ユーザの操作により、前記外部音声記録手段に記録された外部音声のうち、前記第1音声特性記憶手段に第1特定音声特性として記憶させる音声および/または前記第2音声特性記憶手段に第2特定音声特性として記憶させる音声を設定する設定手段とをさらに備えることを特徴とする撮影装置。
【請求項1】
外部からの外部音声を入力する音声入力手段と、
前記外部音声を解析して、前記外部音声の特性である外部音声特性を抽出する音声解析手段と、
第1の特定音声の特性を、第1特定音声特性として記憶する第1音声特性記憶手段と、
前記外部音声特性と、前記第1特定音声特性とを比較し、該比較結果に基づいて、撮影準備動作を起動するか否かを判定する第1判定手段とを備えることを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮影装置において、
前記外部音声特性および前記第1特定音声特性は、音量の情報、および音声波形の情報を含み、
前記第1判定手段は、前記外部音声の音量と、前記第1特定音声の音量との差分、および、前記外部音声の音声波形と、前記第1特定音声の音声波形との差分を算出し、各前記差分が、予め定められた所定の閾値以下である場合に、撮影準備動作を起動することを特徴とする撮影装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮影装置において、
前記外部音声特性および前記第1特定音声特性は、音量の情報、および基本周波数の情報を含み、
前記第1判定手段は、前記外部音声の音量と、前記第1特定音声の音量との差分、および、前記外部音声の基本周波数と、前記第1特定音声の基本周波数との差分を算出し、各前記差分が、予め定められた所定の閾値以下である場合に、撮影準備動作を起動することを特徴とする撮影装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の撮影装置において、
前記音声解析手段は、所定のタイミングで繰り返し、前記外部音声特性の抽出を行い、
前記第1判定手段は、所定のタイミングで繰り返し、前記外部音声特性と、前記第1音声特性との比較を行うことを特徴とする撮影装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の撮影装置において、
ユーザがレリーズボタンを半押しした場合に、前記音声解析手段は、半押し時において前記音声入力手段に入力された外部音声の外部音声特性を抽出し、
前記第1音声特性記憶手段は、該外部音声特性を、前記第1特定音声特性として、記憶することを特徴とする撮影装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の撮影装置において、
前記第1の特定音声とは異なる第2の特定音声の特性を、第2特定音声特性として記憶する第2音声特性記憶手段と、
前記撮影準備動作が起動中である場合に、前記外部音声特性と、前記第2特定音声特性とを比較し、該比較結果に基づいて、撮影を行なうか否かを判定する第2判定手段と、をさらに備えることを特徴とする撮影装置。
【請求項7】
請求項6に記載の撮影装置において、
前記外部音声特性および前記第2特定音声特性は、音量の情報、および音声波形の情報を含み、
前記第2判定手段は、前記外部音声の音量と、前記第2特定音声の音量との差分、および、前記外部音声の音声波形と、前記第2特定音声の音声波形との差分を算出し、各前記差分が、予め定められた所定の閾値以下である場合に、撮影を実行することを特徴とする撮影装置。
【請求項8】
請求項6に記載の撮影装置において、
前記外部音声特性および前記第2特定音声特性は、音量の情報、および基本周波数の情報を含み、
前記第2判定手段は、前記外部音声の音量と、前記第2特定音声の音量との差分、および、前記外部音声の基本周波数と、前記第2特定音声の基本周波数との差分を算出し、各前記差分が、予め定められた所定の閾値以下である場合に、撮影を実行することを特徴とする撮影装置。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載の撮影装置において、
前記音声解析手段は、所定のタイミングで繰り返し、前記外部音声特性の抽出を行い、
前記第2判定手段は、所定のタイミングで繰り返し、前記外部音声特性と、前記第2音声特性との比較を行うことを特徴とする撮影装置。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれかに記載の撮影装置において、
ユーザがレリーズボタンを半押しした場合に、前記音声解析手段は、半押し時に前記音声入力手段に入力された外部音声の外部音声特性を抽出し、
前記第2音声特性記憶手段は、該外部音声特性を、前記第2特定音声特性として、記憶することを特徴とする撮影装置。
【請求項11】
請求項6〜10のいずれかに記載の撮影装置において、
ユーザがレリーズボタンを全押しした場合に、前記音声解析手段は、全押し時点から所定時間前までに前記音声入力手段に入力された外部音声の外部音声特性を抽出し、
前記第2音声特性記憶手段は、該外部音声特性を、前記第2特定音声特性として、記憶することを特徴とする撮影装置。
【請求項12】
請求項6〜11のいずれかに記載の撮影装置において、
ユーザの操作により、前記音声入力手段から入力される外部音声を記録する記録手段と、
ユーザの操作により、前記外部音声記録手段に記録された外部音声のうち、前記第1音声特性記憶手段に第1特定音声特性として記憶させる音声および/または前記第2音声特性記憶手段に第2特定音声特性として記憶させる音声を設定する設定手段とをさらに備えることを特徴とする撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−185343(P2012−185343A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48627(P2011−48627)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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