説明

撹拌機能付き捕虫機

【課題】 捕虫機は、単に、捕虫を主体としており、充分に活用されず、灯火も、通常の蛍光灯、又は電球等の光源であり、害虫の誘因性、耐久性の欠如が指摘されていた。従って、捕虫以外に、他の機能を付加した多目的で、有意義な進化した捕虫機が要望され、害虫の誘因性、耐久性を備えた捕虫機が強く要望されているのが現況である。
【構成】 ファン用のモータを囲繞する誘導用のLEDでなる灯火と、灯火の下方に設けたファンと、ファンの下部に設けた誘導筒体と、誘導筒体の下方に設けた円筒形状のダクトと、ダクトの下端自由縁部に設けた捕虫袋とで、ダクトを、空気の撹拌用、整流用の通路として利用するために、管状で、かつ、所定の長さを有し、捕虫袋を、椀形に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捕虫機の周辺空気に、循環式の対流を付与できる撹拌機能付き捕虫機(循環式捕虫機)に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、捕虫機は、単に、捕虫を主体とすることから、充分に活用されていないこと、また灯火も、通常の蛍光灯、又は電球等の光源であることから、害虫の誘因性及び/又は耐久性の欠如が指摘されていた。従って、捕虫以外に、他の機能を付加した多目的で、有意義な進化した捕虫機が要望されることと、害虫の誘因性及び/又は耐久性を備えた捕虫機が強く要望されているのが現況である。
【0003】
以上のような要望に応え得る捕虫機の構造を、先行文献から検討すると、次のような複数の文献が挙げられるので、以下、説明する。
【0004】
文献(1)は、実用新案登録第3136423号の「害虫捕獲器」である。この考案は、筐体(本体ケース)内に、光源と、誘引された害虫及び筐体内の空気を取込む筒状ケースに取付けた捕虫袋と、前記害虫及び空気を、前記捕虫袋内に吸引する吸引手段と、捕虫袋を通過した空気を、筐体の内面に沿って循環させる空気循環手段と、スイッチ手段と、筒状ケースの開口部に設けられたシャッタ手段とで構成し、害虫を吸引手段により効率よく捕獲するとともに、この吸引手段の送風力のみで空気を循環させることで、運転時の消費電力も少なくすること等を意図する。しかし、この考案は、明細書に記載の如く、食品加工所や飲食店、工場、量販店、コンビニ等の施設に侵入すると不衛生となる害虫の捕獲を意図するものであり、小型の建屋(施設)に最適で、コンプレッサー等の動力源を要さない、経済的な捕獲機を提供するに留まり、その利用分野が限定されるものと、考えられる。
【0005】
また文献(2)は、実開平7−28374号の「捕虫機の捕虫袋構造」である。この考案は、ポール、建造物に吊架される捕虫機の捕虫袋構造であり、この捕虫袋構造は、誘引灯を備え、ファンを内装してなる筒体を有し、この筒体に取付けられる収れん構造の網体と、網体の下端に設けた連結筒と、連結筒に着脱自在に設けられた捕虫袋とで構成し、果樹園、圃場、その他農地等に立設されたポール等に、簡易かつ確実に、低所より吊架できる捕虫機の捕虫袋構造を提供することを意図する。しかし、この考案は、捕虫袋の交換の容易化を図り、低所よりの取扱の簡易化、捕虫機の多目的機能を発揮するには、必ずしも、充分とは、云えないものと考えられる。
【0006】
さらに文献(3)は、特開2007−74908の「誘虫装置および捕虫器」である。この発明は、捕虫器を、誘虫用光源から照射される、波長が300nm以上で、かつ400nm以下の紫外光を照射する誘虫用のLEDを内部に収納し、かつ下面が開口した誘虫装置本体と、誘虫装置本体の開口に取着された透光性のカバーと、カバーの一部に形成され、かつLEDからの紫外光を受けて活性酸素を発生し、有機物の結合を分解することによって、二酸化炭素を発生させる光触媒膜でなる誘虫装置と、粘着性の捕虫シートを用いた捕虫装置とで構成し、この紫外光を受けて光触媒が二酸化炭素を発生させ、走光性を有する虫に加えて、二酸化炭素に反応する吸血性の虫を、紫外光と二酸化炭素の両方で誘引し、誘虫効果を高めた誘虫装置を実現でき、また、吸血性の虫が光の届かない場所にいる場合でも二酸化炭素で誘引できるため、誘虫効果をさらに向上させることができる。しかし、この発明は、誘虫用光源により波長の中で、所定の紫外光を有効利用し、かつこの紫外光を受けて光触媒が発生する二酸化炭素の利用で、誘虫効果をさらに向上させるに留まるので、全ての害虫の捕獲には、問題があること、又は捕虫機の多目的機能を発揮するには、必ずしも、充分とは、云えないものと考えられる。
【0007】
さらに文献(4)は、特開2003−70402の「捕虫器」である。この発明は、捕虫器を、捕虫器本体の壁面に、発光波長ピークが約330nm〜約420nmの範囲内のLED及び/又は約450nm〜約520nmの範囲内の紫外線LEDを設け、また本体のベースに、略水平方向に捕獲手段としての捕虫紙と、カバーを被せ、カバーには透明なアクリル樹脂に紫外線を受けて青色に発光する蛍光材料を混入した構成とし、紫外線LEDで誘引した害虫を、青色の蛍光を発するカバーにとまり、その後、転落して捕虫紙で捕獲する構成とし、紫外線LEDは、小型で消費電力が小さく、かつ寿命が長くなり、低コスト化が可能となること、また、電源を乾電池とし、携帯用として役立てること、等を意図する。しかし、この発明も、前述の文献(3)と、略同様な改良点が考えられる。
【0008】
【特許文献1】実用新案登録第3136423号
【特許文献2】実開平7−28374号
【特許文献3】特開2007−74908
【特許文献4】特開2003−70402
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述した文献(1)〜文献(4)は、[背景技術]の欄で記載したような改良点が挙げられるのに対し、本発明は、以下の特徴を発揮することを目的とする。
[A] 誘導筒体の下方に、円筒形状のダクトを垂下し、ファンからの風を利用し、このダクトに吸込んだ空気を、整流空気として、捕虫袋から排気する循環ルートを形成する構造とすることで、この捕虫機に、撹拌機能を付与する。
[B] 灯火に、LED(発光ダイオード)を使用し、省電力と、耐久性の向上(長寿命化)と、メンテナンスフリーとを図る。そして、また、LEDの指向性を利用し、誘引光の拡散と、害虫の誘引効果の拡充を図る。
[C] 前述のダクト内の整流翼体で生成される整流空気の利用、及び/又は捕虫袋を椀形とすることで、ハウスにおける捕虫かつ撹拌装置としての役割を図る。この空気の撹拌を利用し、ハウスの葉面境界層を破壊し、光合成(炭酸ガスの吸収)の促進を図る。さらにハウス内の温度の均一化と、作物全体に、略均一な生育環境を提供できる。
[D] この撹拌機能付きの捕虫機は、ポール、又は建屋の柱・梁等の支柱への吊架を介して、簡易かつ速やかに設置できる。
[E] 各構成部品を、取外し、かつ取付け自在(着脱自在)にすることで、清掃の簡便化、交換の容易化と、又はメンテナンスフリーを図る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、前述の特徴である[A]〜[D]を、確実に達成することを意図する。
【0011】
請求項1は、屋外のポール、建屋の柱・梁等の支柱に吊架される汎用形の撹拌機能付き捕虫機であって、
この捕虫機は、ファン用のモータを囲繞するように設けた誘導用のLEDでなる灯火と、この灯火の下方に設けたファンと、このファンの下部に設けた誘導筒体と、この誘導筒体の下方に設けた円筒形状のダクトと、このダクトの下端自由縁部に設けた捕虫袋とで構成した撹拌機能付き捕虫機であって、
前記ダクトを、空気の撹拌用の通路、及び/又は整流用の通路として利用するために、管状で、かつ、所定の長さを有する構造とし、
前記捕虫袋を、椀形に形成したことを特徴とする撹拌機能付き捕虫機である。
【0012】
請求項2の発明は、前述の特徴である[A]〜[D]を、確実に達成することを意図する。
【0013】
請求項2は、請求項1に記載の撹拌機能付き捕虫機であって、
この誘導筒体の上方を、ベルマウス形状とする構成としたことを特徴とする撹拌機能付き捕虫機である。
【0014】
請求項3の発明は、前述の特徴である[A]、[C]を、確実に達成することを意図する。
【0015】
請求項3は、請求項1に記載の撹拌機能付き捕虫機であって、
このダクト内に、整流翼体を設ける構成としたことを特徴とする撹拌機能付き捕虫機である。
【0016】
請求項4の発明は、前述の特徴である[A]、[C]を、確実に達成することを意図する。
【0017】
請求項4は、請求項1に記載の撹拌機能付き捕虫機であって、
この捕虫袋は、前記ダクトからの整流空気を拡散することを意図し、硬質網体とする構成としたことを特徴とする撹拌機能付き捕虫機である。
【0018】
請求項5の発明は、前述の特徴である[D]、[E]を、確実に達成することを意図する。
【0019】
請求項5は、請求項1に記載の撹拌機能付き捕虫機であって、
この誘導筒体と、ダクト及び/又は捕虫袋を、着脱自在とする構成としたことを特徴とする撹拌機能付き捕虫機である。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明は、屋外のポール、建屋の柱・梁等の支柱に吊架される汎用形の撹拌機能付き捕虫機であって、
捕虫機は、ファン用のモータを囲繞するように設けた誘導用のLEDでなる灯火と、灯火の下方に設けたファンと、ファンの下部に設けた誘導筒体と、誘導筒体の下方に設けた円筒形状のダクトと、ダクトの下端自由縁部に設けた捕虫袋とで構成した撹拌機能付き捕虫機であって、
ダクトを、空気の撹拌用の通路、及び/又は整流用の通路として利用するために、管状で、かつ、所定の長さを有する構造とし、
捕虫袋を、椀形に形成したことを特徴とする撹拌機能付き捕虫機である。
【0021】
従って、請求項1は、前述の特徴である[A]〜[D]を、確実に達成できる。
【0022】
請求項2の発明は、請求項1に記載の撹拌機能付き捕虫機であって、
誘導筒体の上方を、ベルマウス形状とする構成としたことを特徴とする撹拌機能付き捕虫機である。
【0023】
従って、請求項2は、前述の特徴である[A]〜[D]を、確実に達成できる。
【0024】
請求項3の発明は、請求項1に記載の撹拌機能付き捕虫機であって、
ダクト内に、整流翼体を設ける構成としたことを特徴とする撹拌機能付き捕虫機である。
【0025】
従って、請求項3は、前述の特徴である[A]、[C]を、確実に達成できる。
【0026】
請求項4の発明は、請求項1に記載の撹拌機能付き捕虫機であって、
捕虫袋は、ダクトからの整流空気を拡散することを意図し、硬質網体とする構成としたことを特徴とする撹拌機能付き捕虫機である。
【0027】
従って、請求項4は、前述の特徴である[A]、[C]を、確実に達成できる。
【0028】
請求項5の発明は、請求項1に記載の撹拌機能付き捕虫機であって、
誘導筒体と、ダクト及び/又は捕虫袋を、着脱自在とする構成としたことを特徴とする撹拌機能付き捕虫機である。
【0029】
従って、請求項5は、前述の特徴である[D]、[E]を、確実に達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明の一例を説明する。
【0031】
図面の説明をすると、図1は捕虫機全体の側面図、図2は誘導筒体の俯瞰図、図3はダクトを一部欠截し、整流翼体を示した俯瞰図、図4は捕虫袋の俯瞰図、図5は誘導筒体とダクトの連繋の一例を示した要部の拡大正面図、図6は灯火の設置方法と灯火による光の流れの一例を示した拡大正面図である。
【0032】
図中1は汎用形の捕虫機Aを吊架する支持杆で、この支持杆1を介して、この捕虫機Aを屋外のポール、建屋の柱・梁等の支柱Pに吊架する。そして、この支持杆1は、ファン2の下部に設け、上方をベルマウス3a形状とした誘導筒体3に固止されている。また、この誘導筒体3は筒形状で、その上下端が開放されて、上方開口3b、下方開口3cとなっている。尚、このベルマウス3aは、空気の取り込みと、害虫の誘導に役立つ特徴を有する。このベルマウス3aは、設けることが望ましいが、限定されない。尚、この誘導筒体3の形状は、筒体以外にも、収れん形状、絞込み形状等の形状が考えられる。
【0033】
この誘導筒体3の上方開口3aには、ファン2用のガード5と、このカード5の上に立設した枠体6を介して、害虫を誘引するための誘導用のLEDでなる灯火7が、積み上げ式に、順次設けられている。この灯火7の中心空間Sにファン2用のモータ8を設け、長さ方向(長手方向)の寸法を小さくする。この寸法の狭小化を介して、全体の立上り寸法を小さくし(低寸法化)、その取扱の容易化と、設置スペースの狭小化と、後述するダクト10、捕虫袋等の着脱の容易化を図ることが望ましい。尚、この灯火7は、LEDであるため、長寿命であり、その発光性、耐光性等に優れており、また、視認性が良好で使用用途が幅広く、環境保全、省エネにも寄与することができ、枠体6内部に設置するため、破損、故障等の危険も回避・軽減でき、取替えを行う手間等の軽減等が図れる。
【0034】
また、前記灯火7は、枠体6の環状壁面に開設した複数個の孔6aに設け、かつLEDの指向性(水平方向への指向性)を利用し、誘引光の拡散と、害虫の誘引効果の拡充を図る。また人の目及び/又は人体への有害性を解消する。図中にコード6bと、端子6cを示す。そして、この枠体6は、モータ8を囲繞する構造を採用することで、低寸法化および小型化を達成する。また、この灯火7の拡散性の向上を図るために、図6の如く、灯火7を固定部材に設け、また、この固定部材に設けた封止部材8aと、反射部8bとで、灯火7を囲繞し、方向性及び/又は拡散性を確保する構造も可能であり、多様な使用と、捕虫が可能となる。図中8cはカバー板を示す。この図において、矢印は、光りの流れを示している。
【0035】
尚、前記支持杆1をガード5に設け、前記誘導筒体3に設けるより、吊架する位置を高くし、その取扱の容易化と、設置スペースの狭小化、着脱がスムーズに行えること等の効果も図ることも可能である。
【0036】
この誘導筒体3には、着脱自在に円筒形状のダクト10が、略水密状に設けられており、このダクト10は、空気の撹拌用の通路、及び/又は整流用の通路として利用するために、管状で、かつ、所定の長さLを有する構造とすることが必須である。尚、この所定の長さLは、そのダクト10を通過する空気の撹拌用の通路、及び/又は整流用の通路となるため、必要である。そして、この着脱自在の構造としては、図5に示す如く、ダクト10に複数の倒L形の切溝100を形成し、誘導筒体3に複数の突起30を設ける。この構造を利用して、例えば、ダクト10内に、誘導筒体3の突起30を絞込み及び/又はスリット等を介して、絞り込んだ状態で差込むとともに、この誘導筒体3に設けた突起をダクト10の切溝100の水平箇所(水平状態)に差し込むように、ダクト10を誘導筒体3に嵌合する(嵌挿する)。その後、ダクト10を回転し、突起30を切溝100の鍵箇所100aに引掛けて固定することで、このダクト10を誘導筒体3に吊架(固定)する構造である。また、図示しないが、蝶番等の抱持具を使用することも可能であり、螺着、ベルト止め、圧嵌等の吊架方法も可能である。尚、ダクト10は、軸方向において、拡縮可能とし、捕虫機Aの立上寸法調整により、狭小化と、汎用性と、多目的に対応できる特徴がある。尚、その他の例として、図面には記載しないが、誘導筒体3に倒L形の切溝を、ダクト10に突起を形成する場合もある。尚、倒L形の切溝100の鍵箇所100aを円形にすることも可能であり、突起30が確実を吊架(固定)できる役割を果たせば、限定されない。
【0037】
図中12は捕虫袋である椀形の硬質網体で、この硬質網体12はベルト14とバックル15を備えている(固止されている)。従って、この硬質網体12は、ベルト14とバックル15を介して、ダクト10の下側に着脱自在に設けられる構造である。この捕虫袋を椀形の硬質網体12とする効果は、ダクト10で生成される整流空気Cを、機外に誘導すること、この誘導を介して、ダクト10での整流の生成に、より寄与すること、また、撹拌装置としての役割が図れること等にある。さらに、この硬質網体12の形状を、椀形とすることで、図示しないハウスにおける捕虫の効率化と、捕虫機Aの狭小化が図れること、捕獲した虫の捕虫袋への効率的な誘導が図れること、等の実益がある。そして、この捕虫袋は、ネット形状の軟質網体でも可能であるが、最も望ましいのは、前述の椀形の硬質網体12がよい。尚、ベルト14とバックル15以外にも、硬質網体を確実に抱持でき、着脱を容易に行うことができるのであれば、紐や、帯等の矜持手段と、この矜持手段を係止する係止手段を備えれば、その構造(部材)は、限定されない。
【0038】
図中20は整流翼体で、この整流翼体20は、ダクト10に内装されており、その場所は限定されないが、吸込んだ空気に、整流効果を付与(整流空気Cの生成)するために、ダクト10の横断中心(長さLの中心位置)より下側に設けることが望ましい。また、必要により、この整流翼体20は、取付け位置を移動することも可能であり、回転可能(自転式の回転か、駆動式の回転とする)とし、整流効果の拡充と、捕獲した虫の付着防止、清掃の簡便化、交換の容易化と、又はメンテナンスフリーを図ることも可能である。この整流効果及び/又は整流空気C(捕虫機Aで生成する)は、ハウスにおける空気の撹拌装置としての役割を担うこと、この撹拌を利用し、ハウスで生息する作物の葉面境界層の破壊と、かつ葉緑体の気孔の閉塞回避を図り、もって、光合成及び/又は炭酸同化作用の促進を図ること、さらに、この農事栽培ハウス内の温度の均一化と、作物全体に、略均一な生育環境を提供することができる。尚、図示しないが、茸の栽培でも、この捕虫機は採用できるので、例えば、酸素の供給の促進と、茸栽培ハウス内の温度の均一化と、作物全体に、略均一な生育環境を提供できる。
【0039】
次に、本発明の捕虫機Aと、外気の吸込み、並びに空気の流れ(循環及び/又は撹拌・整流)に関して、説明する。
【0040】
この捕虫機A周辺部に滞留(浮遊)する外気は、モータ8を介して、ファン2を回転し、誘導筒体3のベルマウス3aより、吸気される。この外気の吸気量は、前記ベルマウス3aの開口の面積・形状、ファン2の回転数により、変化するものであり、気温、害虫の発生状況、周辺環境に対応して、対処する。また、このファン2の吸込により、外気とともに、害虫も吸い込まれる。
【0041】
そして、このベルマウス3aより吸い込まれた空気は、誘導筒体3の上方開口3bより誘導筒体3内→下方開口3c→ダクト10へと誘導される。このダクト10へと誘導された空気は、ダクト10内に配備した整流翼体20の自走回転又は駆動回転により、ダクト10内で整流(撹拌)空気Cとなる。そして、この整流空気Cは、捕虫機Aの下方に設置された硬質網体12より、網体の網の隙間を通過して、その機外へと排出される。害虫は、この整流翼体20により生成された整流空気Cとともに、硬質網体12へと誘導されるが、硬質網体12により補虫される。この硬質網体12の網目の形状は、害虫の大きさに応じて変化する。
【0042】
前記捕虫機A外に排出された空気は、捕虫機A周辺部に滞留(浮遊)する空気と混合(ミキシング空気となる)して、再度ベルマウス3aへと誘導されることから、この新しい空気の流れ及び/又は誘導されたミキシング空気の流れ、即ち、捕虫機Aの内外面全体の上下方向において、循環ルートを形成する構造である。従って、この捕虫機Aは、空気の撹拌機能として作用し、例えば、前述の如く、ハウスの葉面境界層の破壊と、葉緑体の気孔の閉塞回避を図り、光合成及び/又は炭酸同化作用の促進を図り、かつ農事栽培ハウス内の温度の均一化と、作物全体に、略均一な生育環境を提供できる。また、茸の栽培でも、この捕虫機Aは採用できるので、酸素の供給の促進と、茸栽培ハウス内の温度の均一化と、作物全体に、略均一な生育環境を提供できる。
【0043】
尚、前述したように、ダクト10の長さLを調整することにより、この循環ルートの流れをミキシング空気の吸込量を選択することができ、その外気と複合的(ミキシング空気の混入)に行うか、又は図示しない遮蔽部材等を介して、その外気のみの導入によるか、を調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は全体の側面図
【図2】図2は誘導筒体の俯瞰図
【図3】図3はダクトを一部欠截し、整流翼体を示した俯瞰図
【図4】図4は捕虫袋の俯瞰図
【図5】図5は誘導筒体とダクトの連繋の一例を示した要部の拡大正面図
【図6】図6は灯火の設置方法と灯火による光の流れの一例を示した拡大正面図
【符号の説明】
【0045】
1 支持杆
2 ファン
3 誘導筒体
3a ベルマウス
3b 上方開口
3c 下方開口
30 突起
5 ガード
6 枠体
6a 孔
6b コード
6c 端子
7 灯火
8 モータ
8a 封止部材
8b 反射部
8c カバー板
10 ダクト
100 切溝
100a 鍵箇所
12 硬質網体
14 ベルト
15 バックル
20 整流翼体
A 捕虫機
C 整流空気
P 支柱
S 中心空間
L 長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外のポール、建屋の柱・梁等の支柱に吊架される汎用形の撹拌機能付き捕虫機であって、
この捕虫機は、ファン用のモータを囲繞するように設けた誘導用のLEDでなる灯火と、この灯火の下方に設けたファンと、このファンの下部に設けた誘導筒体と、この誘導筒体の下方に設けた円筒形状のダクトと、このダクトの下端自由縁部に設けた捕虫袋とで構成した撹拌機能付き捕虫機であって、
前記ダクトを、空気の撹拌用の通路、及び/又は整流用の通路として利用するために、管状で、かつ、所定の長さを有する構造とし、
前記捕虫袋を、椀形に形成したことを特徴とする撹拌機能付き捕虫機。
【請求項2】
請求項1に記載の撹拌機能付き捕虫機であって、
この誘導筒体の上方を、ベルマウス形状とする構成としたことを特徴とする撹拌機能付き捕虫機。
【請求項3】
請求項1に記載の撹拌機能付き捕虫機であって、
このダクト内に、整流翼体を設ける構成としたことを特徴とする撹拌機能付き捕虫機。
【請求項4】
請求項1に記載の撹拌機能付き捕虫機であって、
この捕虫袋は、前記ダクトからの整流空気を拡散することを意図し、硬質網体とする構成としたことを特徴とする撹拌機能付き捕虫機。
【請求項5】
請求項1に記載の撹拌機能付き捕虫機であって、
この誘導筒体と、ダクト及び/又は捕虫袋を、着脱自在とする構成としたことを特徴とする撹拌機能付き捕虫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−195208(P2009−195208A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43146(P2008−43146)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(391008294)フルタ電機株式会社 (176)
【Fターム(参考)】