説明

操作権限付与装置

【課題】 車両に搭載される操作機器の操作権限を、乗員の座席位置に応じて選択的に付与することができる操作権限付与装置を提供する。
【解決手段】 電極11は、車両に搭載される操作機器の操作部3に設けられる。電極21は、車両用シート2に設けられ、これに着席して操作部3に触れる乗員の人体Bを介して電極11に電気的に接続される。操作機器側制御部12は、乗員が操作部3に触れることで、電極11にリクエスト信号を送信する。シート側制御部22は、電極11に送信されたリクエスト信号を乗員の人体B及び電極21を介して受信し、リクエスト信号に応答して電極21にシートポジション信号を送信する。操作機器側制御部12は、電極21に送信されたシートポジション信号を乗員の人体B及び電極11を介して受信する。操作機器側制御部12は、受信されたシートポジション信号に基づき、操作部3に対応する操作機器の操作の許可又は禁止を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される操作機器の操作権限を付与する操作権限付与装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には、例えば操作機器としてのカーナビゲーションシステムが搭載されている。このカーナビゲーションシステムは、車両走行中に運転者が操作して前方不注意になることを防止するために、その操作に制限を加えることが一般的である。例えば、カーナビゲーションシステムは、車両走行中に所定階層(例えば3階層)以上に画面の切り替えを要する操作をソフトウェア的に禁止している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、こうしたカーナビゲーションシステムでは、車両状態(例えば、車両速度やトランスミッションシステムのシフトレバー位置など)に基づいて一律に操作に制限が加えられてしまう。従って、例えば助手席の搭乗者(乗員)であっても、何ら安全上の問題がないにも関わらず、操作に制限が加えられることになる。
【0004】
本発明の目的は、車両に搭載される操作機器の操作権限を、乗員の座席位置に応じて選択的に付与することができる操作権限付与装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両に搭載される操作機器の操作部に設けられる第1電極と、車両用シートに設けられ、該車両用シートに着席して前記操作部に触れる乗員の人体を介して前記第1電極に電気的に接続される第2電極と、前記乗員が前記操作部に触れることで、前記第1電極に要求信号を送信する送信手段と、前記第1電極に送信された要求信号を前記乗員の人体及び前記第2電極を介して受信するとともに、該要求信号に応答して前記第2電極に座席位置信号を送信する通信手段と、前記第2電極に送信された座席位置信号を前記乗員の人体及び前記第1電極を介して受信する受信手段と、前記受信された座席位置信号に基づき、前記操作部に対応する前記操作機器の操作の許可又は禁止を判断する判断手段とを備えたことを要旨とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の操作権限付与装置において、前記第2電極は、複数の前記車両用シートに配設されており、前記各第2電極に座席位置信号を送信する複数の通信手段は、互いに異なる周波数を有する座席位置信号を送信することを要旨とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の操作権限付与装置において、前記操作機器は、カーナビゲーションシステムであって、前記判断手段は、前記受信された座席位置信号が運転席以外の座席位置に相当するときに、前記操作部に対応する前記操作機器の操作を許可と判断することを要旨とする。
【0008】
(作用)
請求項1に記載の発明によれば、前記車両用シートに着席する乗員が前記操作部に触れることで、前記送信手段は前記第1電極に要求信号を送信する。前記通信手段は、この第1電極に送信された要求信号を前記乗員の人体及び前記第2電極を介して受信するとともに、該要求信号に応答して前記第2電極に座席位置信号を送信する。前記受信手段は、この第2電極に送信された座席位置信号を前記乗員の人体及び前記第1電極を介して受信する。前記判断手段は、受信された座席位置信号に基づき、前記操作部に対応する前記操作機器の操作の許可又は禁止を判断する。従って、前記判断手段による判断結果に基づいて前記操作部に対応する前記操作機器の操作を許可又は禁止させることで、該操作機器の操作権限を、乗員の座席位置に応じて選択的に付与することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、前記複数の通信手段は、互いに異なる周波数を有する座席位置信号を各第2電極に送信する。従って、異なる車両用シートに着席する乗員同士が身体接触するなどして各通信手段から座席位置信号が同時に送信され、これら座席位置信号が前記受信手段において同時に受信されたとしても、各対応する周波数の信号レベルを検知することで前記操作部を実際に操作した乗員の座席位置を精度よく判別することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、例えば車両走行中などであっても、前記座席位置信号が運転席以外の座席位置に相当すれば、前記判断手段による判断結果(操作許可)に基づいて前記操作機器としてのカーナビゲーションシステムの前記操作部に対応する操作を許可できる。つまり、前記操作部の操作に係る乗員が運転者以外であるとき、カーナビゲーションシステムの操作に無用の制限が加えられることを防止できる。
【発明の効果】
【0011】
以上詳述したように、請求項1乃至3に記載の発明では、車両に搭載される操作機器の操作権限を、乗員の座席位置に応じて選択的に付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態の操作権限付与装置10の電気的構成を示すブロック図であり、図2は、この電気的構成を模式的に示すブロック図である。同図に示されるように、車両には、操作機器としてのカーナビゲーションシステム1と、運転席及び助手席の各座席位置に対応して配置される複数の車両用シート2とが搭載されている(図1及び図2では、1つの車両用シート2を代表して図示)。そして、前記操作権限付与装置10は、カーナビゲーションシステム1の操作部3に設けられる第1電極としての操作機器側電極11と、送信手段、受信手段及び判断手段を構成する操作機器側制御部12とを備えている。そして、前記操作機器側電極11は、操作部3の表面に露出するようにその操作スイッチ3aとともにこれに一体的に設けられている。また、前記操作機器側制御部12は、カーナビゲーションシステム1の筐体内に収容されている。なお、上記操作機器側電極11は、前記カーナビゲーションシステム1の操作の許可又は禁止の判断を要する全ての操作部3にそれぞれ設けられるもので、ここでは1つの操作機器側電極11(操作部3)を代表して図示している。
【0013】
前記操作機器側制御部12は、操作機器側マイコン(マイクロコンピュータ)13と、リクエスト信号送信部14と、復調部15とを備えている。操作機器側マイコン13は、前記カーナビゲーションシステム1の操作の許可又は禁止の判断等も含めて同カーナビゲーションシステム1を統括制御する。つまり、上記操作機器側マイコン13は、カーナビゲーションシステム1による地図表示、マップマッチング、ルートガイダンス等の機能も含めてその動作全般を制御する。この操作機器側マイコン13は、全ての操作部3の操作スイッチ3aに電気的に接続されており、乗員によるいずれかの操作部3(操作スイッチ3a)の物理的な操作を表す信号を入力する。なお、操作機器側マイコン13は、この信号を入力することでリクエスト信号送信部14に対し以下に説明する駆動信号を出力する。
【0014】
前記リクエスト信号送信部14は、前記操作機器側マイコン13に電気的に接続されているとともに、全ての操作部3の操作機器側電極11に並列で電気的に接続されている。このリクエスト信号送信部14は、操作機器側マイコン13から駆動信号を入力することで、上記操作機器側電極11に対して要求信号としてのリクエスト信号を送信する。
【0015】
前記復調部15は、前記操作機器側マイコン13に電気的に接続されているとともに、全ての操作部3の操作機器側電極11に並列で電気的に接続されている。この復調部15は、上記操作機器側電極11を介して後述する座席位置信号としてのシートポジション信号を受信してこれを操作機器側マイコン13に出力する。
【0016】
前記操作権限付与装置10は、各座席位置の車両用シート2に設けられる第2電極としてのシート側電極21及び通信手段を構成するシート側制御部22を備えている。そして、前記シート側電極21は、シート表皮2a(図2参照)の表面に露出するように配置されている。このシート側電極21は、当該車両用シート2に着席して前記操作部3(操作機器側電極11)に触れる乗員(運転席の運転者若しくは助手席の搭乗者)の人体Bを介して前記操作機器側電極11に電気的に接続されるようになっている。つまり、これら操作機器側電極11及び操作機器側制御部12は、上記乗員の人体Bを介して微小電流が許容される生体電流通信を利用して電気的に接続されている。この生体電流通信に係る微小電流の大きさは、身体的障害がない程度のものである。具体的には、体脂肪計と同等であって、最高値が1nA〜500μAの範囲であることが望ましい。
【0017】
前記シート側制御部22は、シート側マイコン(マイクロコンピュータ)23と、ポジション信号送信部24と、復調部25とを備えている。上記復調部25は、前記シート側電極21及びシート側マイコン23に電気的に接続されている。この復調部25は、前記操作機器側電極11に送信されたリクエスト信号を前記乗員の人体B及び前記シート側電極21を介して受信してこれをシート側マイコン23に出力する。なお、シート側マイコン23は、このリクエスト信号に応答して前記ポジション信号送信部24に駆動信号を出力する。
【0018】
前記ポジション信号送信部24は、前記シート側電極21及びシート側マイコン23に電気的に接続されている。このポジション信号送信部24は、シート側マイコン23から駆動信号を入力することで、上記シート側電極21に対してシートポジション信号を送信する。このシートポジション信号は、当該車両用シート2の座席位置の情報を含む信号である。例えば運転席及び助手席の車両用シート2に配設されるポジション信号送信部24をそれぞれポジション信号送信部24a,24bとこれらの符号を区別して説明すると、運転席側のポジション信号送信部24aは、当該車両用シート2が運転席であることを表す、所定の周波数faを有する情報信号をシートポジション信号として生成等する。一方、助手席側のポジション信号送信部24bは、当該車両用シート2が助手席であることを表す、上記周波数faとは異なる所定の周波数fbを有する情報信号をシートポジション信号として生成等する。
【0019】
なお、上記ポジション信号送信部24からシート側電極21に送信されたシートポジション信号は、前記乗員の人体B及び前記操作機器側電極11を介して復調部15で受信される。上記復調部15は、このシートポジション信号を復調して操作機器側マイコン13に出力する。上記操作機器側マイコン13は、このシートポジション信号に基づいて、信号送受の発端となった前記操作部3(操作スイッチ3a)に対応する前記カーナビゲーションシステム1の操作の許可又は禁止を判断する。
【0020】
例えば、操作機器側マイコン13は、上記シートポジション信号が助手席に相当すれば、車両走行中などであっても、前記カーナビゲーションシステム1の操作を許可と判断する。そして、操作機器側マイコン13は、前記操作部3(操作スイッチ3a)に対応する前記カーナビゲーションシステム1の操作を許可して対応する動作に移行する。
【0021】
一方、操作機器側マイコン13は、上記シートポジション信号が運転席に相当すれば、車両走行中などにおいて、前記カーナビゲーションシステム1の操作を禁止と判断する。そして、操作機器側マイコン13は、前記操作部3(操作スイッチ3a)に対応する前記カーナビゲーションシステム1の操作を禁止して対応する動作を制限する。この際、操作機器側マイコン13は、注意喚起のためにカーナビゲーションシステム1が備えるディスプレイ装置の画面上に操作禁止である旨を表示させたり、あるいは、スピーカから警報音を発生させたりしてもよい。
【0022】
ここで、前記操作機器側制御部12の操作機器側マイコン13による制御態様について、図3のフローチャートに基づき総括的に説明する。この処理は、車両走行中であることを前提に、乗員による前記操作部3(操作スイッチ3a)の物理的な操作の都度に割り込み処理される。なお、車両走行中であることは、例えば現在の車両速度が所定速度を超えることやトランスミッションシステムのシフトレバー位置などに基づき判断してもよい。そして、前記車両用シート2に着席する乗員が、前記操作部3に触れてこれを操作すると、操作機器側マイコン13による図3のルーチンが開始される。
【0023】
処理がこのルーチンに移行すると、操作機器側マイコン13は、S(ステップ)101においてリクエスト信号を送信する。すなわち、操作機器側マイコン13は、前記リクエスト信号送信部14に駆動信号を出力して、リクエスト信号送信部14を介して操作機器側電極11にリクエスト信号を送信する。このとき、前記シート側制御部22は、この操作機器側電極11に送信されたリクエスト信号を、操作部3に触れる乗員の人体B及び前記シート側電極21を介して受信するとともに、このリクエスト信号に応答して同シート側電極21にシートポジション信号を送信することは既述のとおりである。
【0024】
従って、操作機器側マイコン13は、S102においてシートポジション信号を受信する。すなわち、操作機器側マイコン13は、前記シート側電極21に送信されたシートポジション信号を前記乗員の人体B及び前記操作機器側電極11を介して受信して、復調部15を介してこれを入力する。
【0025】
次に、操作機器側マイコン13は、S103において上記シートポジション信号に相当する乗員の座席位置が運転席か助手席かを判断する。そして、上記座席位置が運転席と判断されると、操作機器側マイコン13は、前記操作部3(操作スイッチ3a)に対応する前記カーナビゲーションシステム1の操作を禁止と判断してS104において禁止フラグをセットする。一方、上記座席位置が助手席と判断されると、操作機器側マイコン13は、前記操作部3(操作スイッチ3a)に対応する前記カーナビゲーションシステム1の操作を許可と判断してS105において許可フラグをセットする。
【0026】
そして、S104若しくはS105においていずれかのフラグをセットした操作機器側マイコン13は、このルーチンでの処理を終了する。なお、操作機器側マイコン13は、上記禁止フラグがセットされているときに前記操作部3(操作スイッチ3a)に対応する前記カーナビゲーションシステム1の操作を禁止して対応する動作を制限する。また、操作機器側マイコン13は、上記許可フラグがセットされているときに前記操作部3(操作スイッチ3a)に対応する前記カーナビゲーションシステム1の操作を許可して対応する動作に移行する。
【0027】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、前記操作機器側マイコン13(操作機器側制御部12)は、受信されたシートポジション信号に基づき、前記操作部3(操作スイッチ3a)に対応する前記カーナビゲーションシステム1の操作の許可又は禁止を判断する。そして、前記操作機器側マイコン13は、その判断結果に基づいて前記操作部3に対応する前記カーナビゲーションシステム1の操作を許可又は禁止することで、カーナビゲーションシステム1の操作権限を、乗員の座席位置に応じて選択的に付与することができる。
【0028】
(2)本実施形態では、各車両用シート2のシート側制御部22(ポジション信号送信部24a,24b)は、互いに異なる周波数fa,fbを有するシートポジション信号を各シート側電極21に送信する。従って、異なる車両用シート2に着席する乗員(運転者及び搭乗者)同士が身体接触するなどして各ポジション信号送信部24a,24bからシートポジション信号が同時に送信され、これらシートポジション信号が前記操作機器側制御部12において同時に受信されたとしても、各対応する周波数fa,fbの信号レベルを検知することで前記操作部3を実際に操作した乗員の座席位置を精度よく判別することができる。
【0029】
(3)本実施形態では、車両走行中などであっても、前記シートポジション信号が運転席以外(助手席)の座席位置に相当すれば、カーナビゲーションシステム1の前記操作部3(操作スイッチ3a)に対応する操作を許可できる。つまり、前記操作部3の操作に係る乗員が運転者以外(搭乗者)であるとき、カーナビゲーションシステム1の操作に無用の制限が加えられることを防止できる。
【0030】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態において、操作スイッチ3aが複数階層での操作に共用される場合、これに対応する操作の禁止又は許可の判断に際して操作時点の階層を併せ参照することはいうまでもない。
【0031】
・前記実施形態において、操作スイッチ3aとしてメカスイッチやタッチセンサを採用してもよい。
・前記実施形態において、十分な感度が得られるのであれば、前記操作機器側電極11を操作部3から露出させる必要はなく、例えば操作部3に埋設してもよい。同様に、シート側電極21をシート表皮2aから露出させる必要はなく、例えばシート表皮2aの下面側に配置してもよい。また、シート側電極21は、シートクッションやシートバックなど、人体Bが接触等しやすい車両用シート2の適宜箇所に配置すればよい。
【0032】
・前記実施形態において、前記シート側電極21及びシート側制御部22を、助手席側及び運転席側のいずれか一方の車両用シート2にのみ設けるようにしてもよい。例えば、前記シート側電極21及びシート側制御部22を助手席側の車両用シート2にのみ設ける場合には、前記操作機器側マイコン13はリクエスト信号の送信に伴いシートポジション信号の受信(応答)があった場合にカーナビゲーションシステム1の前記操作部3(操作スイッチ3a)に対応する操作を許可と判断し、なかった場合に同操作を禁止と判断すればよい。あるいは、前記シート側電極21及びシート側制御部22を運転席側の車両用シート2にのみ設ける場合には、前記操作機器側マイコン13はリクエスト信号の送信に伴いシートポジション信号の受信(応答)があった場合にカーナビゲーションシステム1の前記操作部3(操作スイッチ3a)に対応する操作を禁止と判断し、なかった場合に同操作を許可と判断すればよい。
【0033】
・前記実施形態において、操作機器側制御部12(操作機器側マイコン13)は、地図表示、マップマッチング、ルートガイダンス等、カーナビゲーションシステム1の一般的な動作制御用のマイコンとは別体で設けてもよい。この場合、操作部3(操作スイッチ3a)の物理的な操作を表す信号や、操作機器側マイコンによる判断結果(許可フラグ、禁止フラグ)を表す信号等をこれらマイコン間で授受しうるように構成すればよい。また、操作機器側制御部をカーナビゲーションシステム1の筐体内に配置する必要もない。
【0034】
・前記実施形態において、シート側制御部22を車両用シート2に配置する必要はない。
・操作機器として、車室内に持ち込まれた携帯用データ通信装置と車両に搭載された車両側データ通信装置との間での無線通信による照合一致に基づきエンジンを始動又は停止させるエンジンスタート・ストップシステムを採用してもよい。この場合の操作部は、エンジンを始動又は停止するためのスタート・ストップスイッチとなる。このような操作機器において、受信された座席位置信号が運転席以外の座席位置に相当するときに、前記操作部に対応する前記操作機器の操作を禁止と判断することで、この判断結果に基づいてエンジンスタート・ストップシステムの操作部(スタート・ストップスイッチ)に対応する操作(エンジンの始動又は停止)を禁止できる。つまり、運転者以外の乗員(例えば子供など)によるエンジンの始動又は停止を防止できる。
【0035】
・操作機器として、トランスミッションシステムを採用してもよい。この場合の操作部は、トランスミッションの変速段を切り替えるためのシフトレバーとなる。このような操作機器において、受信された座席位置信号が運転席以外の座席位置に相当するときに、前記操作部に対応する前記操作機器の操作を禁止と判断することで、この判断結果に基づいてトランスミッションシステムの操作部(シフトレバー)に対応する操作(トランスミッションの変速段の切り替え)を禁止できる。つまり、運転者以外の乗員(例えば子供など)によるトランスミッションの変速段の切り替えを防止できる。
【0036】
・操作機器として、車両ドアを解錠駆動するドアロックシステムを採用してもよい。この場合の操作部は、車両ドアを解錠するためのドアハンドルとなる。このような操作機器において、受信された座席位置信号が運転席以外の座席位置に相当するときに、前記操作部に対応する前記操作機器の操作を禁止と判断することで、この判断結果に基づいてドアロックシステムの操作部(ドアハンドル)に対応する操作(車両ドアの解錠)を禁止できる。つまり、運転者以外の乗員(例えば子供など)による車両ドアの解錠を防止できる。
【0037】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)請求項1又は2に記載の操作権限付与装置において、
前記操作機器は、車室内に持ち込まれた携帯用データ通信装置と車両に搭載された車両側データ通信装置との間での無線通信による照合一致に基づきエンジンを始動又は停止させるエンジンスタート・ストップシステムであって、
前記操作部は、エンジンを始動又は停止するためのスタート・ストップスイッチであり、
前記判断手段は、前記受信された座席位置信号が運転席以外の座席位置に相当するときに、前記操作部に対応する前記操作機器の操作を禁止と判断することを特徴とする操作権限付与装置。この技術的思想によれば、前記座席位置信号が運転席以外の座席位置に相当すれば、前記判断手段による判断結果(操作禁止)に基づいて前記操作機器としてのエンジンスタート・ストップシステムの前記操作部(スタート・ストップスイッチ)に対応する操作(エンジンの始動又は停止)を禁止できる。つまり、運転者以外の乗員(例えば子供など)によるエンジンの始動又は停止を防止できる。
【0038】
(ロ)請求項1又は2に記載の操作権限付与装置において、
前記操作機器は、トランスミッションシステムであって、
前記操作部は、トランスミッションの変速段を切り替えるためのシフトレバーであり、
前記判断手段は、前記受信された座席位置信号が運転席以外の座席位置に相当するときに、前記操作部に対応する前記操作機器の操作を禁止と判断することを特徴とする操作権限付与装置。この技術的思想によれば、前記座席位置信号が運転席以外の座席位置に相当すれば、前記判断手段による判断結果(操作禁止)に基づいて前記操作機器としてのトランスミッションシステムの前記操作部(シフトレバー)に対応する操作(トランスミッションの変速段の切り替え)を禁止できる。つまり、運転者以外の乗員(例えば子供など)によるトランスミッションの変速段の切り替えを防止できる。
【0039】
(ハ)請求項1又は2に記載の操作権限付与装置において、
前記操作機器は、車両ドアを解錠駆動するドアロックシステムであって、
前記操作部は、前記車両ドアを解錠するためのドアハンドルであり、
前記判断手段は、前記受信された座席位置信号が運転席以外の座席位置に相当するときに、前記操作部に対応する前記操作機器の操作を禁止と判断することを特徴とする操作権限付与装置。この技術的思想によれば、前記座席位置信号が運転席以外の座席位置に相当すれば、前記判断手段による判断結果(操作禁止)に基づいて前記操作機器としてのドアロックシステムの前記操作部(ドアハンドル)に対応する操作(車両ドアの解錠)を禁止できる。つまり、運転者以外の乗員(例えば子供など)による車両ドアの解錠を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態の電気的構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態の電気的構成を模式的に示すブロック図。
【図3】同実施形態の制御態様を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0041】
1…操作機器としてのカーナビゲーションシステム、2…車両用シート、3…操作部、10…操作権限付与装置、11…第1電極としての操作機器側電極、12…送信手段、受信手段及び判断手段を構成する操作機器側制御部、13…操作機器側マイコン、14…リクエスト信号送信部、15…復調部、21…第2電極としてのシート側電極、22…通信手段を構成するシート側制御部、23…シート側マイコン、24…ポジション信号送信部、25…復調部、B…人体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される操作機器の操作部に設けられる第1電極と、
車両用シートに設けられ、該車両用シートに着席して前記操作部に触れる乗員の人体を介して前記第1電極に電気的に接続される第2電極と、
前記乗員が前記操作部に触れることで、前記第1電極に要求信号を送信する送信手段と、
前記第1電極に送信された要求信号を前記乗員の人体及び前記第2電極を介して受信するとともに、該要求信号に応答して前記第2電極に座席位置信号を送信する通信手段と、
前記第2電極に送信された座席位置信号を前記乗員の人体及び前記第1電極を介して受信する受信手段と、
前記受信された座席位置信号に基づき、前記操作部に対応する前記操作機器の操作の許可又は禁止を判断する判断手段とを備えたことを特徴とする操作権限付与装置。
【請求項2】
請求項1に記載の操作権限付与装置において、
前記第2電極は、複数の前記車両用シートに配設されており、
前記各第2電極に座席位置信号を送信する複数の通信手段は、互いに異なる周波数を有する座席位置信号を送信することを特徴とする操作権限付与装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の操作権限付与装置において、
前記操作機器は、カーナビゲーションシステムであって、
前記判断手段は、前記受信された座席位置信号が運転席以外の座席位置に相当するときに、前記操作部に対応する前記操作機器の操作を許可と判断することを特徴とする操作権限付与装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−160115(P2006−160115A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−355562(P2004−355562)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】