説明

操作表示装置

【課題】タッチパネルを構成する部品数を減らして製造コストを下げ、消費電力を低減すること。
【解決手段】操作表示装置1は液晶パネル2とバックライト部を備える。導光板3の4辺に沿って発光素子4を配置し、その発光面に対向する入射面10には反射溝13を形成して光束分離手段とする。反射溝13と液晶パネル2との間に第1ライトガイド15と可視光カットフィルタ14が配置され、近赤外光束34が液晶パネル2の視認側に導かれる。第2ライトガイド16は液晶パネル2を挟んで第1ライトガイド15と向かい合う位置に固定され、第2ライトガイド16とは画像表示領域を挟んで対向する位置に受光素子18を配置してタッチ入力装置を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力操作手段を備えた表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テレビジョン受像機やコンピュータの端末装置、広告媒体や標識などの用途に液晶を用いた薄型画像表示装置が用いられている。その基本構造は面光源装置と液晶パネルを内蔵する画像表示部と電気回路部、それらを支持する構造部、更に外装部から成る。近年注目されている装置は、本体部の厚みが数十mm程度の薄型ディスプレイや、LED(Light-emitting diode)光源を使用した長寿命で高色再現の液晶ディスプレイである。LED光源を使用した面光源装置の構造では、LED光源が面光源装置の側面部に配置され、光束の角度変換と拡散性を付与した導光板を利用して面発光させる、いわゆるサイドライト型が一般的である。
一方、ユーザが表示画像を見ながらPC(パーソナルコンピュータ)などの入力操作を行う機器として、キーボードやマウス、そして画像に重ね合わせて操作性を向上させるタッチパネルが普及している。特許文献1には、液晶式の画像表示装置に光学式タッチパネルを装着した構造例が開示されている。電源および制御回路に接続された発光器が一定周期で発光を繰り返し、指先などが入力盤に触れると、それまで発光器の赤外光を検知していた受光器が未検知状態となるため、赤外光を遮断した位置を特定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−035402公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の装置構成にて液晶ディスプレイにタッチパネル機能を付加するためには、発光器と、その駆動電源および制御回路が必要となる。よって、部品点数およびコストの増加や消費電力の増加が課題とされる。
そこで、本発明の目的は、タッチパネルを構成する部品数を減らして製造コストを下げ、消費電力を低減可能な操作表示装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明に係る装置は、表示パネルと光源および導光部材と、該表示パネルの表示面上での操作を光学的に検出する検出手段を備えた操作表示装置であって、前記導光部材は前記光源からの光を前記表示パネルへ導く第1導光部材と、該第1導光部材に設けた光束分離手段によって分離した前記光源からの光の一部を前記表示パネルの表示面に沿う方向に導く第2導光部材を備える。前記検出手段は、前記第2導光部材から出射した光を検出する受光手段を備え、前記表示パネルの表示面に沿う方向に進行する光の遮光状態を検出することにより操作位置を検出する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、タッチパネルを構成する部品数を減らして製造コストを下げ、消費電力を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図2乃至4と併せて本発明の第1実施形態を説明するために、操作表示装置の構成例を示す縦断面図である。
【図2】操作表示装置の平面図である。
【図3】操作表示装置の要部を示す側面図である。
【図4】光源の特性図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る操作表示装置の縦断面図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る操作表示装置の要部を示す側面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る操作表示装置の縦断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る操作表示装置の要部を示す側面図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る操作表示装置の要部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の各実施形態について添付図面を参照しつつ説明する。
【0009】
(第1実施形態)
図1は本発明に係る操作表示装置の構成例を示す縦断面図である。以下では図1の左方を表示画像の視認方向、つまり正面および前方とし、図1の上方をユーザから見て上方として説明する。図2は操作表示装置を正面から見た場合の図であり、図3は操作表示装置を上方から見た場合の要部の側面図(A視)であり、構造部品の一部を省略して示す。
操作表示装置1は表示パネルである液晶パネル2と、後述のバックライト部を備え、タッチ入力機能を有する薄型の装置である。液晶パネル2は、カラーフィルタを形成したガラス基板に電気配線を形成したガラス基板を向かい合わせて両基板間に液晶を封入し、更に該ガラス基板の端子部に後述の電気ケーブルを接続した構造を有する。ハードコート2aは、液晶パネル2の正面側の表面に貼り合わせた傷防止用のフィルムであり、硬質の透明樹脂をコーティングして形成されている。液晶パネル2の後方に配置した導光板3は、光源からの光を液晶パネル2に導く第1導光部材であり、表示面に直交する方向から見た場合の形状が略矩形状である。本例では、透明材料(アクリル樹脂など)で板形状に加工した光学部品である。導光板3の側方には複数の発光素子4が配置されている。本例ではLEDを使用するが、冷陰極ランプ(CCFL)などの線状光源を用いても構わない。LEDの発光レンズは、その寸法が4mm(図3のB寸法参照)×3mmの矩形状であり、白色光を発する。発光レンズは導光板3の4辺の側面に対向した状態で、ほぼ等間隔で並んでいる。
【0010】
導光板3と発光素子4を収容するケース5は、本例ではアルミニウム合金で板金加工した容器であり、正面に開口部を有する。ケース5は開口部以外の部分から光が漏れないように密閉構造をもち、更にLEDが発する熱を正面方向および後方に放熱する機能を有する。フレーム6はケース5の開口部の周囲を覆う部材であり、開口を有する枠形状をもつ。枠端部には後方に延びる壁面を有しており、ケース5とともに導光板3および発光素子4を収容する。フレーム6の前方に設けたパネルフレーム7は、鋼板を加工した部材であって開口を有する枠形状をもち、液晶パネル2の前方4辺を覆っている。フレーム6との組み合わせにより、両者は液晶パネル2を挟んで固定する機能を有する。また、パネルフレーム7に形成した貫通部7aは、後述の配線部材を挿通させるための開口穴部である。
緩衝材8はフレーム6と液晶パネル2との間に介在されており、フレーム6の開口縁に沿う4辺に亘って、両面テープで固定した弾性材料である。また、緩衝材9は、パネルフレーム7と液晶パネル2との間に介在されており、パネルフレーム7の開口縁に沿って両面テープで固定した弾性材料である。緩衝材8,9は、例えばシリコーン系ゴムシートを所望の幅に切断して製作することができる。これらの緩衝材は、液晶パネル2の4辺に亘ってその封止領域近傍を挟み込むように配置されて液晶パネル2の周辺部を支持する支持部材である。尚、緩衝材9には複数の貫通部9aが一定間隔で設けられている。
【0011】
導光板3の入射面10は、正面から見た場合、導光板3の4辺の側面部に設けられており、LEDの光束が入射される。この部分は鏡面に仕上げられている。複数の拡散反射面11は、導光板3の背面側に設けられた凹凸のパターンで構成されている。該パターンは、発光素子4に近い場所では少なく、発光素子4から遠ざかるに従って次第に密になる分布をもつ。尚、図示しないが、導光板3とケース5との空隙には可視光反射シートを挿入することにより、光の利用効率を高めている。出射面12は導光板3の正面側の表面であり、LEDから発した光を液晶パネル2へ向けて出射する機能を有する。図示しないが、表面には拡散性を有する光学シートや集光性を有する光学シートが積層されている。
【0012】
反射溝13は、導光板3の2辺(図2の上辺と左辺参照)に沿って一定間隔で形成した切り込み部である。図1に示すθは、導光板3の背面と反射溝13の斜面との間になす角度を表し、本例ではθ=45°である。また、図3に示す溝幅Aは0.5mmである。反射溝13は、発光素子4の発光面に対向する位置に形成されている。反射溝13に向かい合う位置には可視光カットフィルタ14が設けられており、導光板3の出射面12に接近して配置されている。第1ライトガイド15は、後述の第2ライトガイドとともに、光源からの光の一部を液晶パネル2の表示面に沿う方向に導く第2導光部材である。第1ライトガイド15は可視光カットフィルタ14と液晶パネル2との間に介在する導光部品であり、可視光カットフィルタ14を透過した光が周囲に漏れないように液晶パネル2へ入射させる役目をもつ。本例では第1ライトガイド15と可視光カットフィルタ14とが一体化されて、フレーム6の穴部に圧入固定されている。第2ライトガイド16は、液晶パネル2を挟んで第1ライトガイド15と対向する位置に配置した導光部品である。第2ライトガイド16にて液晶パネル2に接着固定した面が光の入射面であり、表示画面に対して直交する面が出射面である。この出射面に対向する緩衝材9には貫通部9aが形成されているので、第2ライトガイド16から出射した光は貫通部9aを通って表示画面に平行な方向に進行する。また、反射面17は、第2ライトガイド16を構成する一面に設けた斜面であり、液晶パネル2の表面に対する傾斜角度が45°とされている。反射面17には漏光を防ぐための遮光膜が表面に形成されている。
【0013】
受光素子18は液晶パネル2の表示面上での操作を光学的に検出する検出手段を構成し、本例ではパネルフレーム7の背面に設けられている。受光手段としてのフォトトランジスタがパネルフレーム7の2辺(図2の右辺と下辺参照)の開口縁に沿って配置されている。各フォトトランジスタの受光面は、第2ライトガイド16の出射面と対向するように位置している。つまり、受光素子18は導光板3の2辺(図2の上辺と左辺参照)に対して表示面の表示領域を挟んでそれぞれ対向した各辺に沿って、第2ライトガイド16とは反対側に配置されている。緩衝材9には受光面に対向する位置に貫通部9aが形成されているので、この貫通部9aを通った光が受光面に到達する。受光素子18を実装した基板19は、印刷配線を形成したガラスエポキシ製基板である。コネクタ20(図2参照)は、基板19の印刷配線に接続した実装部品であり、ケーブル21を用いて受光制御回路(図示せず)および電源部(図示せず)に接続されている。
COF(Chip On Film)22は、液晶パネル2へ駆動回路(図示せず)から映像信号を供給するためのフラットケーブルであり、図示しないがその中央付近に集積回路が実装されている。LEDを実装した基板23(図1参照)には印刷回路を含むフレキシブル基板を採用している。コネクタ24は基板23に実装され、ケーブル25を介して、LED駆動回路(図示せず)からの電力と信号を基板23へ供給する。
【0014】
次に、図1および2に示す矢印について説明する。
図1に矢印で示す入射光束30は、発光素子4から入射面10を介して導光板3に取り込まれた光の向きを模式的に示している。また、拡散光束31は、入射光束30が導光板3の内部で反射を繰り返す際、拡散反射面11で拡散反射する光の向きを示している。出射光束32は、液晶パネル2に照射される光の向きを示しており、導光板3の内部での輝度が前面に亘ってほぼ均一化した光束を表す。前述のように、導光板3の表面に積層した光学シート(図示せず)により照射光束の特性を変えることで、表示品位を向上させることができる。分離光束33は、発光素子4から発した光のうち、導光板3に入射せずに反射溝13の奥に形成した角度45°の反射面13aにて反射した光の向きを表す。つまり、光束分離手段としての反射面13aで発光素子4の光が分岐し、正面方向へ反射した一方の光を示している。近赤外光束34は、分離光束33のうち、可視光カットフィルタ14を透過した光の向きを示す。これは、第1ライトガイド15から液晶パネル2の周辺部内を透過した後、第2ライトガイド16へ入射し、更に反射面17により表示画面に平行な方向に光路変更を受ける。
位置検出光束35は、第2ライトガイド16の出射面から出た近赤外光束34が緩衝材9の貫通部9aを通過して、液晶パネル2の表面に沿って進行する光の向きを示す。図1には遮光物である指36やスタイラスなどの部材が、タッチパネルの入力操作時に液晶パネル2に接触した状態を示している。遮断光束37は、指などの遮光物によって遮光されないと仮定した場合の光の進行方向を示す。つまり、指36などで遮光された場合、図には消滅する光の向きを矢印で明示している。図2に示す遮断光束37aは、左辺に配置した第2ライトガイド16から出た光が遮断された状態を示し、遮断光束37bは、上辺に配置した第2ライトガイド16から出た光が遮断された状態を示している。
【0015】
次に、本実施形態におけるタッチパネルの検出の仕組みを説明する。
図4は本実施形態で使用するLEDの出射光束の波長分布を例示したグラフである。横軸には波長λをnm(ナノメートル)単位で示し、縦軸には相対照射強度を任意単位で示す。本例のLEDは、可視光域である400乃至700nmよりも広い範囲の波長域に亘る光を発することがわかる。タッチパネルには範囲Dで示す波長域(700乃至850nm)の光を利用している。
LEDから発した光の一部(液晶パネル2の表示画像に利用しない光)は、反射溝13で分離光束33となって、可視光カットフィルタ14に到達する。第1ライトガイド15を透過した近赤外光束34は、液晶パネル2の周辺部内を透過して第2ライトガイド16に入射した後、反射面17で表示画面に平行な方向へと向う。この近赤外光束は緩衝材9の貫通部9aを通過して、タッチパネルに利用する位置検出光束35となる。第2ライトガイド16と向かい合わせに配置した受光素子18は、通常動作時、すなわちLEDが点灯して液晶パネル2の表示画像が視認可能な状態では、常に位置検出光束35を検知している。このため、受光素子18と電気的に接続されている受光制御回路(図示せず)は指等の遮光物を検知していない状態、つまりタッチ入力が無い状態であると判断する。これに対し、例えば指36が液晶パネル2に触れて位置検出光束35を遮断すると、遮断光束37a、37b(図2参照)に対応する位置にある受光素子18は、位置検出光束35を検知できない。よって、受光制御回路(図示せず)はタッチ入力のある状態と判断する。この場合、図2にて右辺に位置する受光素子18と下辺に位置する受光素子18の検出位置から、タッチ入力の平面的な位置が判明する。つまり、図2の左右方向にX軸を設定し、上下方向にY軸を設定した場合の2次元座標にて、遮光物を検知した位置をXおよびY座標値として特定することができる。よって、液晶パネル2の表示面に沿う方向に進行する光の遮光状態を検出することにより、操作位置が検出可能である。
尚、上記の説明でタッチ入力用に位置検出光束35を利用するためのLEDと、反射溝13を設けていない部分、つまり導光板3の他の2辺に沿って配置したLEDでは、光量分布に違いが生じるので、バックライト部に利用する光量のバランスが崩れる。そこで、対策としては、タッチ入力に利用するLEDへの通電量(電流値)を増やすことで光量のバランスを保つ方法がある。あるいは、バックライト部のみに利用するLEDについては、その入射面10に幅0.5mmの遮光膜を貼り合わせて減光する方法を採用してもよい。
【0016】
以上に説明した操作表示装置の構成上の特徴をまとめると、以下のようになる。
・ケース5とフレーム6で導光板3および発光素子4を収容し、導光板3の4辺に対向する位置に発光素子4を一定間隔で配置して入射面10に接近させたこと。
・発光素子4は矩形状(4mm×3mm)の発光レンズ寸法をもち、350乃至850nmの波長域を有する白色LEDを使用したこと。
・導光板3における4辺の入射面10を鏡面仕上げとし、背面に拡散反射面11を形成して可視光反射シート(図示せず)を積層したこと。更に出射面12にて光学シートを積層したこと。
・フレーム6とパネルフレーム7を用いて、緩衝材8、9を介在させて液晶パネル2の周辺部を挟み込むこと。更に液晶パネル2の表面にハードコート処理を施したこと。
・導光板3の2辺(正面側から見て上辺と左辺)には、入射面10から出射面12にかけて所定幅(0.5mm)の反射溝13を一定間隔で形成したこと。反射溝13はLEDの発光レンズに向かい合う位置に形成し、更に反射溝13には拡散反射面11に対して角度45°を成す底面(斜面)を形成したこと。
・可視光カットフィルタ14と第1ライトガイド15を、反射溝13に対して向かい合う位置に配置し、出射面12に接近させてフレーム6の貫通部にカシメ固定したこと。そして第1ライトガイド15の他方の端面を液晶パネル2の周辺部に密着させたこと。
・第2ライトガイド16については、液晶パネル2を挟んで第1ライトガイド15に対向する位置に配置したこと。第2ライトガイド16には、遮光膜を設けた角度45°の反射面17を形成し、液晶パネル2に接する部分を入射面とし、画像表示面に直交する面を出射面としたこと。
・第2ライトガイド16の出射面とは画像表示領域を挟んで対向する2辺(正面側から見て下辺と右辺)に受光素子18を配置したこと。更に緩衝材9には第2ライトガイド16の出射面および受光素子18に向かい合う位置に複数の貫通部9aを設けたこと。
・広波長域のLEDが発する光の一部を、反射面13aで正面方向に取り出し、可視光カットフィルタ14、第1ライトガイド15、液晶パネル2、および第2ライトガイド16を経由して、画像表示面に導いたこと。
・タッチ入力操作にて、位置検出光束35が遮光される位置の受光素子18から、遮光物(検出対象)の位置座標を検出できること。
【0017】
第1実施形態によれば、以下の効果が得られる。
1.液晶パネル2をその背面側から均一に光を照射するバックライト部を構成できるため、均一性の高い表示画像が得られること。
2.タッチパネルに必要であった専用の発光器が不要となるので、部品点数およびコストや消費電力を低減できること。
3.信頼性の高いタッチ入力可能なタッチパネルを構成できること。これは、第2ライトガイド16の出射面に対向した受光素子18の配置と、液晶パネル2の表面にハードコート2aを施したことなどによる。
尚、本実施形態では、複数のLEDを導光板3の側面の4辺に配置した構成例を説明したが、隣り合う2辺のみにLEDを配置してもタッチ操作用の光束を取り出すこともできる。更には、正面から見て反射溝13を上辺と左辺に配置し、受光素子18を下辺と右辺に配置したが、このような配置には限定されない。上下方向または左右方向にて部品配置を入れ替えた構成、例えば反射溝13を上辺と右辺に配置し、受光素子18を下辺と左辺に配置した構成でも同様の効果が得られる。また、可視光カットフィルタ14と第1ライトガイド15の配置について前後方向の部品配置を入れ替えてもよい。この場合、第1ライトガイド15に入射した光束が可視光カットフィルタ14を介して液晶パネル2へ導かれるが、同様の効果が得られる。このような構成の変形や改変は以下に説明する実施形態でも同様である。
【0018】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態に係る操作表示装置を説明する。尚、第1実施形態の場合と同様の機能を有する構成要素については、既に使用した符号を用いることにより、詳細な説明を省略する。このような説明の省略の仕方は後述する別の実施形態でも同様とする。
図5は操作表示装置の縦断面図であり、図の左方が正面および前方である。図6は操作表示装置を上方から見た要部側面図(B視)である。
操作示装置51の導光板53は、透明アクリル樹脂を用いて略矩形の板形状に加工した光学部品である。ケース55は、導光板53と発光素子4を収容する容器であり、正面に開口部を有し、該開口部以外は密閉構造とされる。ケース55は発光素子4が発する熱を後方に放熱する機能を有する。凸部55aは、ケース55の背面部にて前方に絞り加工した部分であり、導光板53を押さえる役目をもつ。パネルフレーム57は板金加工により開口を有する枠形状とされ、液晶パネル2の前方4辺を覆う部材である。貫通穴部57aは後述の配線部品を通過させるための開口部である。緩衝材59は、パネルフレーム57の開口部に沿って両面テープで固定した弾性材料からなり、緩衝材8とともに、液晶パネル2の4辺の封止領域近傍を挟むように配置されている。尚、緩衝材59に貫通部は形成されていない。
【0019】
発光素子4を実装した基板23はケース55と導光板53の背面との間に位置しており、図5に示すように、ケース55の前面にて外周縁寄りの位置に取り付けられている。導光板53の背面にて4辺に沿った入射面60には発光素子4の光が入射され、鏡面に仕上げられている。斜面63は導光板53の4辺に形成されており、入射面60に対する傾斜角度θが45°をなし、表面には可視光反射膜が積層されている。第2ライトガイド66は、液晶パネル2を挟んで第1ライトガイド15に対向する位置に配置した導光部品であり、パネルフレーム57に形成した貫通穴に嵌合して接着剤で固定されている。第2ライトガイド66にて液晶パネル2に接する面が光の入射面である。第2ライトガイド66の一部はパネルフレーム57から正面側へ突出しており、表示画面に対して直交する出射面が形成されている。反射面67は第2ライトガイド66のうち、パネルフレーム57から正面側へ突出した部分に形成した角度45°の斜面であり、漏光を防ぐために遮光膜を表面に形成している。
ガイドリブ68は、導光板53の2辺(正面側から見て上辺と左辺)の斜面63に形成した厚み1mmの突起部であり、導光板53と一体的に樹脂成型で形成されている。図6に示す通り、ガイドリブ68は発光素子4の発光面幅中に含まれる位置で、中心より1mm(C寸法参照)の距離でずらして配置されているが、可視光カットフィルタ14に対しては互いの中心が対向する位置となるように合わせている。またガイドリブ68には、可視光カットフィルタ14に対向する面を除き、可視光反射膜が積層されている。
【0020】
次に、タッチパネルの検出の仕組みを説明する。
使用するLEDの特性は第1実施形態と同様であり、入力操作の検出には図4に示す範囲Dの光束を利用している。LEDから発した光の一部(液晶パネル2の表示画像に利用しない光)は、導光板53の入射面60から内部に入射され、ガイドリブ68により分離光束33として可視光カットフィルタ14に導かれる。第1ライトガイド15を透過した近赤外光束34は、液晶パネル2の周辺部を透過して第2ライトガイド66に入射し、反射面67で表示画面に平行な方向に向かう。これは、タッチパネルに利用する位置検出光束35となる。これ以後のタッチ入力にて検出対象のXおよびY座標を特定する原理については第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
液晶パネル2を背面から照射するバックライト部では、入射面60から導光板53内に入った光束30が斜面63で反射する。反射を繰り返す間に、第1実施形態と同様に拡散反射面11に当たる光が出射面12から出て液晶パネル2を照射する。
本実施形態では、図6に示すように発光素子4とガイドリブ68との中心同士をずらすことで、ガイドリブ68に取り込む光量を少なくしている。これにより、タッチ入力に利用するLEDに対し、バックライトのみに利用するLEDとの間で出射光束32の輝度バランスが改善される。
【0021】
第2実施形態について第1実施形態と相違する構成上の特徴をまとめると、以下のようになる。
・発光素子4を導光板53の背面側の4辺付近に一定間隔で配置して入射面60に接近させたこと。
・導光板53の入射面60を鏡面仕上げとし、4辺に形成した角度45°の斜面63には可視光反射膜を形成したこと。
・導光板53の2辺(正面から見て上辺と左辺)には、幅1mmのガイドリブ68を一定間隔で形成したこと。そしてガイドリブ68の配置については、発光素子4の発光レンズに向かい合う位置で中心同士を所定距離(1mm)だけずらし、更にガイドリブ68には正面側の面を除いて可視光反射膜を形成したこと。
・第2ライトガイド66については、液晶パネル2を挟んで第1ライトガイド15に対向する位置に配置したこと。更に第2ライトガイド66には、遮光膜を設けた角度45°の反射面67を形成し、液晶パネル2に接する部分を光入射面とし、パネルフレーム57よりも正面側に突出した部分に出射面を形成したこと。
・広波長域のLEDからの光の一部を斜面63に設けたガイドリブ68で正面側に取り出すこと。この光は、可視光カットフィルタ14、第1ライトガイド15、液晶パネル2の周辺部、および第2ライトガイド66を経由して、タッチパネルに利用する光束として画像表示面に導かれること。
第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて以下の効果が得られる。
LEDからの光を取り出すガイドリブ68を、LEDの発光レンズ中心位置から意図的にずらすことにより、取り込む光束を制限しているので、表示画像の明るさを均一化できる。これは、バックライトとしてタッチ入力に利用するLEDの輝度に対し、バックライトのみに利用するLEDの輝度との差が低減されることによる。
尚、正面から見てLEDをケースの4辺に配置せずに、隣り合う2辺のみに配置した実施形態では、LEDが配置されない2辺での斜面や入射面は不要である。また、ガイドリブや受光素子についても仕様に応じた任意の配置が可能である。
【0022】
(第3実施形態)
次に本発明の第3実施形態を説明する。
図7は操作表示装置の縦断面図であり、図の左方が正面側である。図8は操作表示装置を上方から見た要部側面図(C視)である。以下、第2実施形態との相違点を主として説明する。
操作表示装置81の導光板82には、前後方向に沿って導光穴84が形成されている。導光穴84は、発光素子4の発光面に対向する位置に形成された、直径1mm程度の穴部であり、導光板82の入射面60から斜面83にかけて貫通している。第1ライトガイド85は斜面83と可視光カットフィルタ14との間に介在する導光部品であり、導光板82を通過した光を周囲に漏らさずに可視光カットフィルタ14へ入射させる。尚、第1ライトガイド85と可視光カットフィルタ14とは一体化されて、フレーム6に形成した穴部に圧入固定されている。
【0023】
次に、タッチパネルの検出の仕組みを説明する。
発光素子4からの光の一部(液晶パネル2の表示画像に利用しない光)は、導光穴84を通り、分離光束33として第1ライトガイド85へ導かれる。可視光カットフィルタ14を透過した後、液晶パネル2の周辺部を透過した近赤外光は、第2ライトガイド66に入射する。反射面67で光路を90°変更された近赤外光は、表示画面に平行な方向に向かい、タッチパネルに利用する位置検出光束35となる。これ以後のタッチ入力にて検出対象のXおよびY座標を特定する原理については第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
液晶パネル2を背面から照射するバックライト部では、入射面60から導光板82内に入った光束30が斜面83で反射する。反射を繰り返す間、拡散反射面11に当たる光は出射面12から出て液晶パネル2を照射する。
【0024】
第3実施形態について第2実施形態と相違する構成上の特徴をまとめると、以下のようになる。
・導光板82の2辺(正面から見て上辺と左辺)に沿って、LEDの発光レンズに向かい合う位置には、直径1mmの導光穴84を一定間隔で連続して形成したこと。
・第1ライトガイド85については、導光穴84に対向する位置にて液晶パネル2と導光板82の間に配置したこと。
第3実施形態によれば、第2実施形態の効果に加えて、LEDからの光の一部を導光穴84から正面方向に取り出すことにより、LEDからの光を効率よく利用してタッチ入力検出を行うことができる。
【0025】
(第4実施形態)
次に本発明の第3実施形態を説明する。
図9は操作表示装置の要部を示す縦断面図であり、図の左方が正面側である。以下、第3実施形態との相違点を主として説明する。
操作表示装置91のフレーム92は、ケース55の開口部周囲を覆う枠形状をなす枠端部とその後方に延びる壁面を有し、第1ライトガイドの貫通穴部92aが形成されている。液晶パネル2の前方4辺を覆うパネルフレーム93は、フレーム92とともに液晶パネル2を挟持しており、第2ライトガイド66の貫通穴部93aを有する。
第1ライトガイド94は、可視光カットフィルタ95と導光板82との間に介在する導光部品であり、側方から見てクランク形状を有する。第1ライトガイド94の後端部は、導光穴84に向かい合う位置にて、斜面83に密着して配置されている。2箇所の屈曲部には全反射面94aと94bがそれぞれ形成されている。前端寄りの部分はフレーム92の貫通穴部92aに圧入固定されている。第1ライトガイド94は、入射面と出射面を除いて金属材料からなる可視光遮蔽膜で覆われていて、前端部に一体化された可視光カットフィルタ95は、第2ライトガイド66と向かい合わせの状態で密着している。
【0026】
次に、タッチパネルの検出の仕組みを説明する。
発光素子4からの光の一部(液晶パネル2の表示画像に利用しない光)は、導光穴84を通過し、分離光束33として第1ライトガイド94へ導かれる。最初の全反射面94aで90°の光路変更を受け、次の全反射面94bでの反射により前方に進む光は、可視光カットフィルタ95を透過し、近赤外光として第2ライトガイド66に入射する。反射面67での反射により、表示画面に平行な方向に向かう光は、タッチパネルに利用する位置検出光束35となる。これ以後のタッチ入力にて検出対象のXおよびY座標を特定する原理については第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0027】
第4実施形態において第3実施形態と相違する構成上の特徴をまとめると、以下のようになる。
・第1ライトガイド94は、2箇所の屈曲部にて全反射面94a,94bをそれぞれに有する形状とし、後端部を導光穴84に対向する位置で斜面83に密着させ、前端部には可視光カットフィルタ95を配置したこと。
・LEDからの光の一部は導光穴84を通過し、第1ライトガイド94、可視光カットフィルタ95、第2ライトガイド66を経由して、タッチパネルに利用する光束となること。第1ライトガイド94は、フレーム92に形成した貫通穴部92aを通して配置され、液晶パネル2の周辺部を迂回するので、光は液晶パネル2の周辺部を透過しない。
第4実施形態によれば、第3実施形態の効果に加えて以下の効果が得られる。
タッチ入力用光束となる光は、その途中経路で液晶パネル2を透過しないので光損失が低減される。よって、タッチ入力に利用するための入射光束を少なくすることができ、相対的にバックライトの輝度向上に寄与する。
【符号の説明】
【0028】
1,51,81,91 操作表示装置
2 液晶パネル
3,53,82 導光板
4 発光素子
8,9 緩衝材
10 入射面
11 拡散反射面
12 出射面
13 反射溝
14,95 可視光カットフィルタ
15,85,94 第1ライトガイド
16 第2ライトガイド
17 反射面
18 受光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと光源および導光部材と、該表示パネルの表示面上での操作を光学的に検出する検出手段を備えた操作表示装置であって、
前記導光部材は前記光源からの光を前記表示パネルへ導く第1導光部材と、該第1導光部材に設けた光束分離手段によって分離した前記光源からの光の一部を前記表示パネルの表示面に沿う方向に導く第2導光部材を備え、
前記検出手段は、前記第2導光部材から出射した光を検出する受光手段を備え、前記表示パネルの表示面に沿う方向に進行する光の遮光状態を検出することにより操作位置を検出することを特徴とする操作表示装置。
【請求項2】
前記光源および前記第1導光部材は前記表示パネルのバックライト部を構成し、
前記第1導光部材は、前記表示パネルに対向する出射面と、該出射面と対向する拡散反射面と、前記光源に対向する入射面を有し、前記光束分離手段は該入射面に対して傾斜した斜面によって形成されることを特徴とする請求項1記載の操作表示装置。
【請求項3】
可視光カットフィルタをさらに備え、
前記光源から発した光は前記斜面で分岐し、その一方の光は前記第1導光部材に入射し、他の光は前記第2導光部材に入射し、前記可視光カットフィルタを透過した近赤外光が前記受光手段によって検出されることを特徴とする請求項2記載の操作表示装置。
【請求項4】
前記光源は複数の発光素子を有し、
前記第1導光部材には前記複数の発光素子にそれぞれ対向した斜面を有する反射溝が形成されていることを特徴とする請求項2または3記載の操作表示装置。
【請求項5】
前記第2導光部材に反射面を設け、該第2導光部材に入射して前記表示パネルの周辺部を透過した光を当該反射面で反射させることにより、光路を前記表示面に沿う方向に変更することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の操作表示装置。
【請求項6】
前記表示パネルの周辺部を支持する支持部材を備えており、該支持部材には前記第2導光部材から出射した光を通過させる貫通部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載の操作表示装置。
【請求項7】
前記斜面にて、前記光源から前記第1導光部材に入射した光の一部を透過させて前記第2導光部材に導くことを特徴とする請求項2記載の操作表示装置。
【請求項8】
前記第1導光部材に穴部を形成し、前記光源からの光が当該穴部を通過して前記第2導光部材に入射することを特徴とする請求項2記載の操作表示装置。
【請求項9】
前記第2導光部材は複数の全反射面を有し、該第2導光部材に入射して前記複数の全反射面で反射した光は、前記表示パネルの周辺部を透過することなく、前記第2導光部材から前記受光手段に向けて出射することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の操作表示装置。
【請求項10】
前記第1導光部材は前記表示面に直交する方向から見た場合に矩形状をなし、その少なくとも隣り合う2辺には前記光源に対する入射面が形成されており、
前記受光手段は、前記第1導光部材の前記2辺に対して前記表示面の表示領域を挟んでそれぞれ対向した各辺に沿って前記第2導光部材とは反対側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項記載の操作表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−25330(P2013−25330A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156054(P2011−156054)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】