説明

操作装置

【課題】操作や回転操作を行う際の誤動作を防止して操作性を向上することのできる操作装置を提供する。
【解決手段】画面に表示されたメニューを回転操作可能なダイヤルの回転操作にて選択し、スライド操作部材22の押下操作によりメニューを決定する操作装置において、前記スライド操作部材22のスライド操作に修正機能を割り当てたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転操作部材と、スライド操作部材とを用いて表示画面を制御する操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、軸線方向に変位可能かつ軸線周りに回転可能とされた操作部材を備え、この操作部材による入力操作に応じて、表示装置の画面上にて各種処理項目を選択することにより、車載機器等を操作する操作装置が開示されている。
【特許文献1】特開2001−524708号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の技術においては、スライド操作と回転操作が一体となっているため、操作者がスライド操作または回転操作のみを行いたい場合であっても、これらの操作に伴って操作部材が回転やスライドして、予期せぬ動作が行われてしまう場合があり、操作性の点で好ましくないという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、スライド操作や回転操作を行う際の誤動作を防止して操作性を向上することのできる操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、画面に表示されたメニュー(例えば、実施の形態におけるメニュー31)を回転操作可能なダイヤルの回転操作にて選択し、スライド操作部材の押下操作によりメニューを決定する操作装置において、前記スライド操作部材のスライド操作に修正機能を割り当てたことを特徴とする。
【0005】
この発明によれば、スライド操作部材を1回スライド操作するだけで修正を行うことができるため、回転操作部材で修正を行う場合に必要な、選択しているメニューから修正機能のメニュー(例えば、実施の形態における修正メニュー32)に切り換えるための回転量の調整やそれに伴う画面の視認作業が不要となり、操作時間を短縮できるとともに利便性を増すことができる。
【発明の効果】
【0006】
以上説明したように、請求項1に記載した発明によれば、スライド操作部材を1回スライド操作するだけで入力修正を行うことができるため、操作時間を短縮でき、利便性を増すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態における操作装置を図面と共に説明する。図1は本発明の実施の形態における操作装置2を搭載した車両1の概略構成図である。
前記車両1には、操作装置2と、GPSセンサ3と、車速センサ4と、スピーカー5と、表示装置6と、ナビゲーション装置7とを備えている。ナビゲーション装置7は、操作装置2、GPSセンサ3、車速センサ4のそれぞれから信号が入力され、これらの信号に基づいて、スピーカー5や表示装置6に出力を行う。
以下、各装置について説明する。
【0008】
前記操作装置2は、操作者(この場合は車両の搭乗者)からの入力操作によって操作され、ナビゲーション装置7を介して表示装置6への入力作業を行うことが可能である。これについては、詳細を後述する。
GPSセンサ3は車両1の位置情報を検出するセンサ、車速センサ4は車両1の速度Vを検出するセンサであり、それぞれの検出値をナビゲーション装置7に入力する。
ナビゲーション装置7は、データベース8、メモリー9、CPU10、プログラム11を備えている。データベース8には、表示装置6に表示させる各種項目やその項目内容のデータが記憶されている。前記データベース8には、各データに対応する音声認識語彙を対応づけて記憶している。
【0009】
また、メモリー9には、データベース8から抽出されたデータや操作装置2から入力された入力済データ、および該データの音声識別語彙等が適宜書込、消去される。また、CPU10は、前記プログラム11に基づいて作動し、データベース8からメモリー9へのデータの抽出処理や、抽出されたデータに対応づけられた音声認識語彙の音声ファイルへの変換処理、スピーカー5や表示装置6への出力処理等を行う。表示装置6は、CPU10により出力される前記メモリー9上のデータや地図データをその表示画面に表示する。
スピーカー5は、CPU10により出力される音声ファイルを音声出力する。
【0010】
図1に示す操作装置が設けられるインパネの正面図である。同図に示したように、インパネ20の略中央部に操作部材2が突出形成されている。以下、操作装置2について説明する。
図3は図1に示す操作装置を示す斜視図である。操作装置2は、回転操作部材21の上に、スライド操作部材22の先端部(ツマミ部51)を突出させて設けた構成とされている。回転操作部材21は、その外形を円筒状に形成され、上面の径LK1が下面の径LK2に対して縮径され、その側面が傾斜面となっている。また、図5の説明において後述するが、回転操作部材21は軸心P周り(矢印R方向)に対する回転操作のみを可能とし、軸心P方向やこれに直交する方向(X方向、Y方向)に操作されないように設定されている。
【0011】
一方、スライド操作部材22は、回転操作部材21と同一の軸心Pを有した外形円筒形状に形成され、前記回転操作部材21の傾斜面を延長した位置(ラインS)よりも内側に配置されている。スライド操作部材22は、軸心P方向に矢印Qのように押下可能であって、軸心P方向に直交する2方向(X方向、Y方向)に対してスライド可能とされている。なお、本実施の形態において、スライドとは、スライド操作部材22が、P軸に対し、X−Y方向に平行移動すること、および、P軸に対し、X−Y方向に揺動することを含む。
【0012】
また、スライド操作部材22のツマミ部51は、回転操作部材21と同様に、上面の径LS1が下面の径LS2に対して縮径され、その側面が傾斜面となっているが、前記スライド操作部材22のツマミ部51の下面の径の大きさは、前記回転操作部材21の上面の径の大きさより小さくなっている。これにより、回転操作部材21の上面外周側は、スライド操作部材22のツマミ部51の下面から露出し、この部位が、後述する逃げ部25となる。さらに、前記回転操作部材21の高さ寸法HK(図5参照)は、前記スライド操作部材22のツマミ部51の高さ寸法HS(同図参照)よりも大きく設定されている。
【0013】
また、前記回転操作部材21を、その側面に連なるように突出形成した突出部23上に設けており、前記回転操作部材21と、突出部23が形成される一般面24との間隔を突出部23の寸法分(図3の矢印H)確保している。
【0014】
操作装置2の具体的な内部構造について図5を用いて説明する。図5は操作装置2の断面図である。図5に示したように、操作装置2は、インパネ20の一般面24から露出している部位を断面半円状に形成されているとともに、一般面24内に埋没している部分を断面凸状に形成されている。
【0015】
前記回転操作部材21は、外部に露出した回転ツマミ部53の下面内周側から、その軸心方向下側に延在する外側ホルダ54を有している。外側ホルダ54は、ケース67内周面に沿って形成され、該内周面に対向して下方に延在する。この外側ホルダ54は、前記ケース67の内側に回動可能に介装されている。これにより、操作者が回転ツマミ部53を回転操作すると、回転ツマミ部53と一体的に外側ホルダ54が軸心P周りに回転する。また、操作者が、軸心P方向やそれに直交する方向(X方向、Y方向)に操作しようとしても、ケース67によりこれらの方向への移動が規制される。従って、回転操作部材21は、回転操作のみを可能とされている。また、ケース67内にはエンコーダ(図示せず)が配設されており、エンコーダによって回転操作部材21の回転角度を検知して、ナビゲーション装置7に対して信号出力する。
【0016】
一方、操作者がツマミ部51を軸心P方向に押圧すると、ツマミ部51が軸心P方向に沿って下方に移動される。これによりケース67内に配置されたエンタスイッチ(図示せず)が押圧される。
【0017】
また、操作者がツマミ部51を軸心P方向に直交する方向(X方向、Y方向)にスライド操作すると、ケース67内に設けられたX方向、Y方向変位を検出するスイッチ(図示せず)によってスライド操作方向が検出される。なお、スライド操作を終了した後は、スライド操作部材22は図示しない復帰機構により所定位置に復帰する。
【0018】
上記のように構成したため、操作者が上側からこれらの操作部材21、22を把持する場合に上側の部分が干渉せず、それぞれの操作(スライド操作、回転操作)を容易に行うことができる。また、前記スライド操作部材22のツマミ部51の下面の径LS2の大きさは、前記回転操作部材21の上面の径LK1の大きさ以下であるので、操作者が回転操作部材21を操作する際にスライド操作部材22に接触して誤動作することを防止でき、回転操作性が向上する。また、スライド操作部材22のツマミ部51の下面の径LS2の大きさを回転操作部材21の上面の径LK1の大きさよりも小さくし、スライド操作部材22のツマミ部51の高さ寸法HSを回転操作部材21の高さ寸法HKよりも小さく設定しているため、スライド操作部材22のスライド部分を軽量化することができる。これにより、スライド操作を僅かな力で行うことができ、スライド操作性が向上する。
【0019】
また、回転操作部材21とスライド操作部材22のツマミ部51の径が異なるため、操作者はそれぞれの操作部材21、22を視認しなくても両者を容易に区別することができる。そして、回転操作部材21に形成された逃げ部25により操作者の指先や爪を逃すことができる。回転操作部材21を持つときにスライド操作部材22が指にあたらないので、操作者は前記スライド操作部材22を手の平に当接させた状態でスライド操作部材22を手の平で操作することができるとともに、回転操作部材21をそのまま指で操作することもできる。このように、それぞれの操作部材21、22を持ち替えることなく操作することができ、操作性がさらに向上する。
【0020】
また、前記回転操作部材21と、一般面24との間隔が突出部23の寸法H分確保されるので、操作者が回転操作部材21の基端側を把持した場合でも、操作者の爪や指先が前記一般面24に接触することを防止できる(図4のA,B参照)。よって、回転操作部材21操作時に爪や指先が一般面24に接触する違和感を操作者に与えることを防止でき、操作性が向上する。
【0021】
また、本実施の形態においては、前記スライド操作部材22のスライド操作に修正機能を割り当てている。これについて図7〜図10を用いて説明する。
図7〜図10は図1に示す表示装置6の表示画面の一例を示す説明図である。図7に示したように、表示装置6の表示画面には、複数のメニュー31が略楕円状に表示され、これらのメニュー31のうち、前記楕円下部側に表示されるメニューが修正メニュー(目的地消去)32とされている。これらのメニュー31を回転操作部材21の回転操作にて選択できるとともに(図8参照)、スライド操作部材22の押下操作によりメニュー31を決定することができる(図9参照)。そして、前記スライド操作部材22のスライド操作により、決定されたメニュー31を修正することができる。すなわち、図10に示すように、スライド操作部材メニュー31をスライド操作することにより一旦決定されたメニュー(この場合は「D警察署」)33をキャンセル(消去)することができる。なお、本実施の形態においては、1)スライド操作にて履歴の中から一つを削除、2)スライド操作にて入力したものを削除(電話番号入力等の入力済み数字の削除)、3)スライド操作にて削除したい対象をカーソルにて指し、エンタにて削除、4)スライド操作にて削除メニューに移動してエンタにて削除、5)選んだものを(メニューなど)をスライド操作にてキャンセル、の5つが可能であるが、修正機能はこれらのみに限られるものではない。
【0022】
このように、スライド操作部材22を1回スライド操作するだけで入力修正を行うことができるため、回転操作部材21で入力修正を行う場合に必要な、選択しているメニュー31から修正機能の修正メニュー32に切り換えるための回転量の調整やそれに伴う画面の視認作業が不要となり、操作時間を短縮できるとともに利便性を増すことができる。
【0023】
図6は図5に示す操作装置2の変形例である操作装置40を示す断面図である。図5と同様の部分については同一の番号を付している。操作装置40は、スライド操作部材42先端のツマミ部43の下面の径を,回転操作部材41の上面の径と略同一で若干大きく形成している。この場合においても、上述の操作装置2と同様に、スライド操作や回転操作を行う際の誤動作を防止して操作性を向上することができる。
【0024】
なお、本発明に係る操作装置は、上述した実施の形態にのみ限られるものでないことはもちろんであり、例えば、スライド操作部材の形状は、円錐や角錐形状であってもよい。
また、操作装置は、ナビゲーション装置7の他にも、エアコンディショナやその他機器の操作にも適用することができる。さらに、回転操作部材は、スライド操作部材と分離されていれば、回転操作のみが可能でなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は本発明の実施の形態における操作装置を搭載した車両の概略構成図である。
【図2】図1に示す操作装置が設けられるインパネの正面図である。
【図3】図1に示す操作装置を示す斜視図である。
【図4】図1に示す操作装置の操作例を示す説明図である。
【図5】図3に示す操作装置の断面図である。
【図6】図5に示す操作装置の変形例を示す断面図である。
【図7】図1に示す表示装置の表示画面の一例を示す説明図である。
【図8】図1に示す表示装置の表示画面の一例を示す説明図である。
【図9】図1に示す表示装置の表示画面の一例を示す説明図である。
【図10】図1に示す表示装置の表示画面の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0026】
1 車両
2,40 操作装置
6 表示装置
21、41 回転操作部材
22 スライド操作部材
23 突出部
51,43 ツマミ部(スライド操作部材の先端部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面に表示されたメニューを回転操作可能なダイヤルの回転操作にて選択し、スライド及び押下操作部材の押下操作により、決定とする操作装置において、前記スライド及び押下操作部材のスライド操作に修正機能を割り当てたことを特徴とする操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−16043(P2008−16043A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202136(P2007−202136)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【分割の表示】特願2003−352947(P2003−352947)の分割
【原出願日】平成15年10月10日(2003.10.10)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】