説明

操舵できる腸骨枝装置

【課題】動脈瘤のある体内脈管の治療に使用することができる人工器官を提供する。
【解決手段】人工器官10は、人工器官幹部20と人工器官枝部40を含んでいる。人工器官幹部は、グラフト本体25と、開口している第1端21と、開口している第2端23と、それらの間を延びる幹部ルーメン29と、を含んでいる。人工器官枝部は、グラフト本体45と、開口している第1端41と、開口している第2端43と、それらの間を延びる枝部ルーメン49と、を含んでいる。人工器官枝部の第1端は人工器官幹部に取り付けられており、枝部ルーメンは幹部ルーメンと流体連通している。人工器官枝部は、人工器官幹部に対して、中立配位と右偏向配位と左偏向配位の間で動かせる。第1の解放できる操舵部材と第2の解放できる操舵部材が、第1偏向配位と第2偏向配位とにそれぞれ関連付けられており、協働で人工器官枝部を中立配位に保持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2011年5月13日出願の米国仮特許出願第61/485,813号の優先権及び恩典を主張し、前記仮特許出願をここに参考文献としてそっくりそのまま援用する。
【0002】
本開示は、概括的には、医療装置に関する。より厳密には、本開示は、内腸骨動脈の潅流を維持するべく腹部大動脈瘤を排除するための腸骨枝装置に関する。
【背景技術】
【0003】
人間及び動物の身体の血管や管道の様な機能的脈管は、場合により、脆弱化することもあれば、破裂してしまうことすらある。例えば、大動脈壁が脆弱化し、動脈瘤を生じさせることもある。その様な動脈瘤は、血行動態による力に更に曝されると破裂しないとも限らない。年齢が60歳から75歳の間の西ヨーロッパ及びオーストラリア人男性では、直径が29mmより大きな大動脈瘤が6.9%に見られ、40mmより大きなものは1.8%に存在することが、1つの研究から分かっている。
【0004】
脆弱化した脈管、動脈瘤のある脈管、又は破裂した脈管のための1つの外科的介入は、ステントグラフトの様な管腔内人工器官の使用を伴う。その様な人工器官は、既存の脈管壁の脈管不全部位を跨ぐ長さ分を置換することによって、元の健康な脈管の機能性の一部又は全てを提供すること、及び/又は幾らかの残っている血管完全性を温存することができる。人工器官が脈管の不全部分を封鎖するのが好適である。脆弱化した脈管又は動脈瘤のある脈管にとっては、人工器官の小さな漏れでさえ、治療される脈管の昇圧又は当該脈管への流入を引き起こし、人工器官が治療しようとした病態を悪化させる原因となりかねない。この型式の人工器官は、例えば、腹部大動脈、腸骨動脈、又は腎動脈の動脈瘤を治療することができる。例えば、人工器官は、腸骨動脈の中に起こった動脈瘤又は腸骨動脈に関連した動脈瘤を跨ぐように使用されている。
【0005】
多くの症例では、脈管構造のその様な損傷又は欠陥のある部分が分枝脈管を含んでいることもある。例えば、腹腔動脈、上腸間膜動脈、左総頚動脈、及び腎動脈は、大動脈の分枝脈管であり、内腸骨動脈は、総腸骨動脈の分枝脈管である。分枝脈管が人工器官によって塞がれてしまうと、本来の血液循環が妨げられ、患者は窮地に陥りかねない。例えば、腹腔動脈が人工器官によって塞がれてしまうと、患者は、腸間膜虚血に付随する腹痛、体重減少、嘔気、鼓脹、及び軟便に見舞われる。何れの分枝脈管の閉塞にも、大抵は、不快な症状そして更には命を脅かしかねない症状が付きまとう。従って、配備時に、分枝脈管への開口に重ねて配置される側枝を有する人工器官を提供することが提案されている。例えば、二又大動脈人工器官の腸骨枝部が、対応する内腸骨動脈の中へ延びるように、及び/又は対応する内腸骨動脈へ流れを提供するように、設計されている。その様な人工器官は、一般的に、腸骨枝装置(IBD)と呼称されている。
【0006】
更に、動脈瘤は、分枝脈管の中へ広がってゆくこともある。例えば、動脈瘤は、大動脈から遠位方向に腸骨動脈分岐を通って総腸骨動脈の中へ進行しないとも限らない。動脈瘤は、一方又は両方の内腸骨動脈を含むほどの距離を進行するかもしれない。一方の内腸骨動脈を含んでいる動脈瘤は片側腸骨動脈瘤として知られており、両方の内腸骨動脈を含んでいる動脈瘤は両側腸骨動脈瘤として知られている。人工器官を分枝脈管の中へ配備することは、その様な動脈瘤の拡大及び/又は破裂を防ぐのに助けとなる。例えば、ステントグラフトの様な別の人工器官を、側枝部を通して分枝脈管の中へ配備して、分枝脈管の中まで広がる動脈瘤を治療したり、分枝脈管への血流経路を提供したりすることもできる。
【0007】
患者の解剖学的構造及び/又は医師の好みに適応するために、その様な人工器官の側枝部は、典型的には、人工器官の本体の左側か右側のどちらかに偏向されている。例えば、一方の総腸骨動脈内に配置されるように設計されているIBDは、左へ偏向されている側枝部を有し、他方の総腸骨動脈に配置されるように設計されている別のIBDは、右へ偏向されている側枝部を有していることであろう。その様なIBDは互いの鏡像であるので、それら2つのIBDは互いに置き換えが効かない。言い換えると、それぞれのIBDは、その設計対象となっている総腸骨動脈への設置にしか適さず、他方の総腸骨動脈への設置には適さないということである。
【特許文献1】米国仮特許出願第61/485,813号
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0095118号
【特許文献3】米国特許第7,407,509号
【特許文献4】米国特許出願公開第2005/0113905号
【特許文献5】米国特許第6,206,931号
【特許文献6】米国特許出願公開第2009/0171451号
【特許文献7】米国特許出願公開第2009/0149939号
【特許文献8】米国特許出願公開第2004/0098084号
【特許文献9】米国特許出願公開第2008/0114438号
【特許文献10】米国特許出願公開第2009/0254170号
【特許文献11】米国特許第7,435,253号
【発明の概要】
【0008】
管腔内人工器官が、動脈瘤のある身体脈管の治療のために使用されている。
【0009】
1つの実施例では、管腔内人工器官は、人工器官幹部と人工器官枝部を含むものとすることができる。人工器官幹部は、管状のグラフト本体と、開口している第1端と、開口している第2端と、人工器官幹部の第1端及び第2端と流体連通している幹部ルーメンと、を含んでいる。人工器官枝部は、管状のグラフト本体と、開口している第1端と、開口している第2端と、人工器官枝部の第1端及び第2端と流体連通している枝部ルーメンと、を含んでいる。人工器官枝部の第1端は、人工器官幹部の中間部分へ、枝部ルーメンが幹部ルーメンと流体連通するように接合されている。人工器官枝部は、人工器官幹部から延びていて、人工器官幹部に対して、中立配位と右偏向配位と左偏向配位の間で動かせる。中立配位では、人工器官枝部は、人工器官幹部と実質的に整列している。第1偏向配位では、人工器官枝部は、人工器官幹部から離れて第1の方向に人工器官幹部の第1側面へ延びている。第2偏向配位では、人工器官枝部は、人工器官幹部から離れて第2の方向に人工器官幹部の第1側面とは反対側の第2側面へ延びている。人工器官は、第1偏向配位と関連付けられている第1の解放できる操舵部材と、第2偏向配位と関連付けられている第2の解放できる操舵部材を含むことができる。操舵部材は、協働で人工器官枝部を中立配位に保持することができる。第1操舵部材又は第2操舵部材の一方が人工器官枝部から解放されると、人工器官枝部は、第1偏向配位又は第2偏向配位の一方へ移ってゆくことができる。
【0010】
別の実施例では、管腔内人工器官は、人工器官幹部と人工器官枝部を含むものとすることができる。人工器官幹部は、管状のグラフト本体と、開口している第1端と、開口している第2端と、人工器官幹部の第1端と第2端の間を延びる幹部ルーメンと、を含んでいる。人工器官枝部は、管状のグラフト本体と、開口している第1端と、開口している第2端と、人工器官枝部の第1端と第2端の間を延びる枝部ルーメンと、を含んでいる。人工器官枝部の第1端は、人工器官幹部へ接合されている。枝部ルーメンは、幹部ルーメンと流体連通している。人工器官枝部は、人工器官幹部から外向きに延びている。人工器官は、人工器官枝部の第2端に第1周方向位置で、そして人工器官幹部に当該人工器官幹部の第1側面の第2周方向位置で、解放可能に取り付けられている第1の解放できる操舵部材を含むことができる。人工器官は、人工器官枝部の第2端に第3周方向位置で、そして人工器官幹部に当該人工器官幹部の第1側面とは反対側の第2側面の第4周方向位置で、解放可能に取り付けられている第2の解放できる操舵部材を含むことができる。第1の解放できる操舵部材と第2の解放できる操舵部材は、協働で、人工器官枝部を、それが人工器官幹部と実質的に整列している中立配位に維持することができる。
【0011】
別の実施例では、人工器官枝部を、中立配位と第1偏向配位又は第2偏向配位の一方との間で操舵する方法は、人工器官幹部と人工器官枝部を含む人工器官を提供する段階を含むものとすることができる。人工器官枝部の第1端は人工器官幹部に取り付けられている。人工器官枝部の第2端は人工器官幹部に第1及び第2操舵部材によって解放可能に取り付けられている。本方法は、第1操舵部材又は第2操舵部材の一方を人工器官枝部又は人工器官幹部から選択的に解放し、人工器官枝部を第2偏向配位又は第1偏向配位それぞれへ動けるようにする段階を含むものである。
【0012】
当業者には、添付の図及び以下の詳細な説明を考察すれば、本発明の他のシステム、方法、特徴、及び利点が自明であるか又は自明となってゆくことであろう。全てのその様な追加のシステム、方法、特徴、及び利点は、本発明の範囲に含まれ、付随の特許請求の範囲によって網羅されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】人工器官幹部と人工器官枝部を有する人工器官の1つの実施例を描いている。
【0014】
【図2A】人工器官の枝部が中立配位にある状態の図1の人工器官の概略図である。
【図2B】図2Aと同様、人工器官の枝部が中立配位にある状態の図1の人工器官の概略図である。
【0015】
【図2C】図2a及び図2bの人工器官の断面図である。
【図2D】図2Cと同様、図2a及び図2bの人工器官の断面図である。
【0016】
【図3A】人工器官枝部が右偏向配位にある状態の図1の人工器官の概略図である。
【0017】
【図3B】図3aの人工器官の断面図である。
【0018】
【図4A】人工器官枝部が左偏向配位にある状態の図1の人工器官の概略図である。
【0019】
【図4B】図4aの人工器官の断面図である。
【0020】
【図5A】人工器官枝部が自由配位にある状態の図1の人工器官の概略図である。
【0021】
【図5B】図5aの人工器官の断面図である。
【0022】
【図6】縮径絞りを備えた図1の人工器官を描いている。
【0023】
【図7】腸骨動脈に配備された図1の人工器官を描いている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示全体を通して、「遠位」という用語は、血流に関して更に下流に当たる場所又は人工器官のそれが植え込まれたときに血流に関して更に下流に当たる部分を指すものとし、「遠位方向に」という用語は、血流の方向に又は更に下流に、を意味する。「近位」という用語は、血流に関して更に上流に当たる場所又は人工器官のそれが植え込まれたときに血流に関して更に上流に当たる部分を指すものとし、「近位方向に」という用語は、血流の方向とは逆の方向に又は更に上流に、を意味する。
【0025】
図1は、人工器官幹部20と人工器官枝部40を有する人工器官10の1つの実施形態を描いている。人工器官幹部20は、第1端開口22を備える第1端21と、第2端開口24を備える第2端23を有している。人工器官幹部20は、内面26と外面27を有する実質的に管状のグラフト本体25を含むことができる。グラフト本体25は、略円筒状の構成を形作っていてもよい。グラフト本体25の内面26は、人工器官幹部20の第1端21と第2端23の間を長手方向に延びる幹部ルーメン29を画定している。幹部ルーメン29は、流体を通過させるのに適する。人工器官幹部20は、更に、ステントの様な、少なくとも1つの支持構造30を含むことができる。支持構造30は、たった1つの単体構造を含んでいてもよいし、複数の独立した構造を含んでいてもよい。支持構造30及び/又はその様々な部分は、グラフト本体25の内面26上に、及び/又は外面27上に、配置させることができる。多数の支持構造30は、人工器官幹部20の長さに沿った何れの点に配置されていてもよい。
【0026】
人工器官枝部40は、第1端開口42を備える第1端41と、第2端開口44を備える第2端43を有している。人工器官枝部40は、内面46と外面47を有する実質的に管状のグラフト本体45を含むことができる。グラフト本体45は、略円筒状の構成を形作っていてもよい。グラフト本体45の内面46は、人工器官枝部40の第1端41と第2端43の間を長手方向に延びる枝部ルーメン49を画定している。枝部ルーメン49は、流体を通過させるのに適する。人工器官枝部40は、更に、少なくとも1つの支持構造50を含むことができる。支持構造50は、たった1つの単体構造を含んでいてもよいし、複数の独立した構造を含んでいてもよい。支持構造50及び/又はその様々な部分は、グラフト本体45の内面46上に、及び/又は外面47上に、配置させることができる。多数の支持構造50は、人工器官枝部40の長さに沿った何れの点に配置されていてもよい。
【0027】
人工器官枝部40の第1端41は、人工器官幹部20に、人工器官枝部が人工器官幹部のグラフト本体25から延びるように、取り付けられるものである。人工器官枝部40は、人工器官幹部20から、人工器官10が図1に示されている様に略Y字形状の構成を有するように延びている。人工器官枝部40は、人工器官幹部40側面から延びる周辺枝として構成されていてもよいし、Y字の人工器官幹部によって形成されている脚に取り付けられている対側枝として構成されていてもよい。人工器官枝部40は、人工器官幹部20から、人工器官幹部の本体25に対して何れの角度で延びていてもよい。人工器官枝部40は、図1に示されている様に、人工器官幹部20から鋭角で延びているのが好適である。人工器官枝部40は、人工器官幹部20に、当該人工器官幹部の第1端21と第2端23の間を延びる人工器官幹部の長さに沿った何れの点で取り付けられていてもよい。例えば、人工器官枝部40の第1端41は、人工器官幹部20に、図1に示されている様に人工器官幹部20の中間部分で取り付けられていてもよい。人工器官枝部40は、人工器官幹部20に、人工器官幹部の人工器官枝部より近位の部分及び遠位の部分が身体脈管の壁及び/又は動脈瘤治療用の別の人工気管に係合できる位置で取り付けられているのが好適である。
【0028】
人工器官枝部40は、人工器官幹部20に、縫合糸、ワイヤ、ステープル、クリップ、結合剤、又は確実な取り付けを実現するために使用することのできる他の方法、によって取り付けることができる。例えば、人工器官枝部40は、Hartleyによる米国特許出願公開第2006/0095118号に記載されている何れかの方法によって、人工器官幹部20に取り付けられていてもよく、前記特許出願を参考文献としてここにそっくりそのまま援用する。人工器官枝部40は、人工器官幹部のグラフト本体25及び/又は支持構造30に取り付けることができる。人工器官枝部40のグラフト本体45が、人工器官幹部20のグラフト本体25に、液密シールを形成するように取り付けられているのが好適である。例えば、人工器官枝部40のグラフト本体45は、人工器官幹部20のグラフト本体25に縫い付けられていてもよい。人工器官幹部20のグラフト本体25には、口が形成されている。当該口を人工器官枝部40の第1端開口42と整列させれば、口を通して幹部ルーメン29と枝部ルーメン49の間の流体連通が可能になる。この様にして、人工器官10は、血液が人工器官幹部20の第1端21と人工器官幹部の第2端23及び人工器官枝部40の第2端43それぞれとの間を幹部ルーメン29及び枝部ルーメン49を通って流れるための導管として機能するように構成されている。
【0029】
人工器官枝部40の第2端43は、ここに更に説明されている様に、人工器官幹部20に対して動かせるものとすることができる。そのために、人工器官枝部40には、当該人工器官枝部の第2端43を、例えば、人工器官幹部のグラフト本体25と当接した状態へ動かせるだけの可撓性がある。その様な可撓性のおかげで、更に、人工器官枝部は、ここに更に説明されている様に、中立配位から様々な偏向配位(例えば、右偏向配位又は左偏向配位)へ動くことができる。人工器官枝部40のグラフト本体45は、可撓性を高め、及び/又は捩れる危険性を減少させ、それにより人工器官枝部の開通性を温存する手助けをするように、クリンプ加工されていてもよい。人工器官枝部をクリンプ加工する場合の適したクリンプ及び方法は、Greenbergらへの米国特許第7,407,509号、及びGreenbergらによる米国特許出願公開第2005/0113905号に記載されており、それらを参考文献としてここにそっくりそのまま援用する。
【0030】
人工器官10は、動脈瘤のある身体脈管の治療のために患者の脈管構造内に設置される寸法と形状とすることができる。人工器官10の好適な寸法と形状は、それが植え込まれる解剖学的構造によって異なる。生理学的変化、配備特性、及び他の要因も、人工器官10の適正な寸法と形状の決定に寄与することであろう。例えば、人工器官10は、総腸骨動脈分岐に設置するのに適した寸法と形状を有するものとすることができる。そのために、人工器官幹部20は総腸骨動脈内に設置できるように構成され、人工器官枝部40は総腸骨動脈から内腸骨動脈の中へ延びるように構成されることになる。人工器官幹部20は、例えば、約10mmから約36mm、典型的には約22mmから約36mmの範囲の直径を有するものとすることができる。人工器官幹部20の直径は、当該人工器官幹部の長さに沿って一定であってもよい。代わりに、人工器官幹部20は、人工器官幹部の直径が当該人工器官幹部の長さに沿って変化するようにテーパが付けられていてもよい。人工器官枝部40は、例えば、約6mmから約24mm、典型的には約8mmから約12mmの範囲の直径を有するものとすることができる。人工器官枝部40の直径は、当該人工器官枝部の長さに沿って一定であってもよい。代わりに、人工器官枝部40は、人工器官枝部の直径が当該人工器官枝部の長さに沿って変化するようにテーパが付けられていてもよい。人工器官10は、脈管構造の動脈瘤部分を有効に橋架けするべく様々な他の人工器官と組み合わせて配備されてもよい。
【0031】
更に、人工器官に人工器官幹部から延びる多数の人工器官枝部を持たせることが考えられる。例えば、人工器官は、人工器官幹部から延びる2つ、3つ、又はそれ以上の人工器官枝部を有していてもよい。人工器官幹部には、様々な枝部が、当該人工器官幹部に対して様々な長手方向位置及び/又は周方向位置で取り付けられていてもよい。この様にして、人工器官は、患者の脈管構造内の様々な位置に設置されるように構成することができる。
【0032】
グラフト本体25、45は、当技術で知られている何れの材料で作られていてもよい。例えば、グラフト本体は、発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリテトラフルオロエチレン、シリコン、ポリウレタン、ポリアミド(ナイロン)、並びに他の可撓性生体適合性材料で作ることができる。グラフト本体は、同様に、知られている織物グラフト材料である例えばInvista社(カンザス州ウィチタ)からのDACRON(登録商標)の様な織ポリエステル、例えばThoratec Corporation社(カリフォルニア州プレザントン)からのTHORALON(登録商標)の様なポリエーテルウレタン類、又は例えばDSM Dyneema LLC社(ノースカロライナ州スタンレー)からのDYNEEMA(登録商標)などの超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)の様なポリエチレン、で作ることができる。グラフト本体は、同様に、生体再造形性(bioremodelable)材料である、例えば、再構成された又は天然由来のコラーゲン材料、細胞外マトリクス(ECM)材料、粘膜下組織、腎被膜、真皮コラーゲン、硬膜、心膜、大腿筋膜、漿膜、腹膜、又は基底膜の層、又は小腸粘膜下組織(SIS)を含む腸粘膜下組織、胃粘膜下組織、膀胱粘膜下組織、及び子宮粘膜下組織を含んでいてもよい。適した再造形性材料の1つの非限定的な例として、Cook Medical社(インディアナ州ブルーミントン)からのSURGISIS(登録商標)BIODESIGN(商標)がある。別の適した再造形性材料に、Cookらへの米国特許第6,206,931号に記載されているグラフト人工器官材料があり、前記特許をここに参考文献としてそっくりそのまま援用する。グラフト本体は、同様に、Greenbergらへの米国特許第7,407,509号又はKuppurathanamらによる米国特許出願公開第2009/0171451号に記載されている材料の何れかで作られていてもよく、前記特許及び特許出願をここに参考文献としてそっくりそのまま援用する。
【0033】
支持構造30、50及び/又は支持構造の様々な部分は、当技術で知られている何れかの適したステントパターンを有するステントとすることができる。ステントは、バルーン展開式であってもよい。ステントは、自己展開式であるのが好適である。ステントは、人工器官の開通性を維持し、周囲の脈管組織に対する適切なシール性を確保することができる。ステント設計及び設置での1つの目標は、内外を問わず、金属対金属接触点が生じないようにし、2つの異なった種類の合金の間の接触を防止し、微動を最小限に抑えることであろう。ステントの寸法設定、スペーシング、及び設計は、蛇行性の解剖学的構造においてもステント対ステント接触のないように確定されることになろう。ステントは、開存性を維持しながらも同時に人工器官の可撓性を最大化しなお且つ材料損耗及びステント疲労が低減されるように設置されるのが好適であろう。更に、ステントが人工器官枝部に干渉していないこと、ステントが電解腐食の可能性を最小限に抑えていること、及びステントが適度な接合部安定性を確保していることが好ましい。ステントの大きさ、スペーシング、及びスタガは、それぞれの人工器官設計に合わせて最適化されるのが好ましい。ここに述べられているステントの何れかは、人工器官の移動を減らすのを手助けする掛かり及び/又は他の錨着部材を有していてもよい。
【0034】
ステントパターンの1つの例に、Zステント又はGianturcoステント設計がある。それぞれのZステントには、一連の実質的に直線状の区分又はストラットが一連の曲がった区分又は曲がりによって相互接続されて含まれている。曲がった区分は、鋭い曲がり又は尖を含んでいてもよい。Zステントは、直線状の区分が互いに対して或る角度に設定され曲がった区分によって接続されたジグザグ構成に配列されている。Zステント設計は、大動脈の直線区間にとっては好適であるかもしれない。それは、大きな半径方向の力と長手方向の支持の両方を提供する。蛇行性の解剖学的構造、分枝、又は開窓では、ステント対ステント接触を回避するため、Zステントに代わるステント又は修正されたものを使用するのが好適であろう。代わりのステントには、例えば、環状ステント又は螺旋ステントが含まれる。また、解剖学的構造が複雑である状況では、外に出ているステントには、分枝脈管アクセスやシール性や固定を確保するのに利用されているワイヤ及び他の装置と絡み合う可能性がある。従って、場合によっては、ステントの幾つかを人工器官の内部面に付着させるのが望ましかもしれない。ここに述べられているステントは、標準医用等級ステンレス鋼で作られ、銀標準はんだ(鉛ゼロ/錫ゼロ)を使ってはんだ付けされている。他のステントでは、ニチノール又は他の形状記憶金属で作られているものもある。
【0035】
人工器官10の人工器官枝部40は、図2a−図4bに示されている様に、人工器官幹部20に対して中立配位と様々な偏向配位の間で操舵できるものである。図2a−図2dは、人工器官枝部40が中立配位にある状態の人工器官10を描いている。中立配位では、人工器官枝部40は概ね長手方向に人工器官幹部20に沿って配置されている。言い換えると、人工器官枝部40は、人工器官幹部20から、当該人工器官幹部の長手方向軸に概ね平行である方向に延びていている。人工器官枝部40のグラフト本体45の外面47は、人工器官幹部20のグラフト本体25の外面27に当接しており、人工器官枝部の長手方向軸は、人工器官幹部の長手方向軸と実質的に同一面内となろう。人工器官枝部40は、人工器官枝部のグラフト本体45の外面47が、実質的に、当該人工器官枝部の第1端41と第2端43の間を延びる全長さに沿って、人工器官幹部のグラフト本体25の外面27に当接するようにして、人工器官幹部20と概ね整列している。人工器官枝部40の第2端43は、ここに更に説明されている様に、人工器官枝部を中立配位に保持するには、人工器官枝部の円周に沿った複数の点で人工器官幹部20に解放可能に取り付けられている。人工器官枝部は、ここに更に説明されている様に、中立配位に保持されている人工器官枝部を人工器官幹部への複数の取付点の1つから選択的に解放することによって、中立配位から偏向配位へ動かせる。
【0036】
図3a−図3bは、人工器官枝部40が第1の右偏向配位にある状態の人工器官10を描いている。右偏向配位では、人工器官枝部40は、長手方向及び横断方向に人工器官幹部20に沿って配置されることになる。言い換えると、人工器官枝部40は、人工器官幹部20から、人工器官幹部の長手方向軸に平行な長手方向成分と人工器官幹部の長手方向軸に直交し同軸から離れる横断方向成分とを有する方向に延びているわけである。人工器官枝部40は、更に、円周方向に人工器官幹部20の周りに延びることになる。言い換えると、人工器官枝部40は、人工器官幹部20から、人工器官幹部の長手方向軸を中心に角度成分を有する方向に延びているわけである。人工器官枝部40のグラフト本体45の外面47の少なくとも一部分は、人工器官幹部20のグラフト本体25の外面27に当接している。人工器官枝部40は湾曲し、その結果、人工器官枝部の長手方向軸は直線状になっていない。図4a−図4bは、人工器官枝部40が第2の左偏向配位にある状態の人工器官10を描いている。左偏向配位での人工器官枝部40の位置は、右偏向配位での人工器官枝部の位置の鏡像となろう。人工器官枝部40の第2端43は、ここに更に説明されている様に、人工器官枝部を右偏向配位と左偏向配位の一方に保持するには、人工器官枝部の円周に沿った単一点で人工器官幹部20に解放可能に取り付けられている。
【0037】
人工器官枝部40は、操舵システム60を使って、中立配位と右偏向配位及び/又は左偏向配位の間で操舵できるものである。操舵システム60は、少なくとも1つの概ねフィラメント状の操舵部材を含むことができる。例えば、操舵システム60は、図2a−図2dに示されている様に、第1の右操舵部材70及び第2の左操舵部材90を含んでいてもよい。操舵部材は、人工器官枝部の第2端43を人工器官幹部に解放可能に取り付けるために人工器官幹部20及び人工器官枝部40に解放可能に取り付けられている。人工器官枝部40の人工器官幹部20に対する配位は、ここに更に説明されている様に、右操舵部材及び/又は左操舵部材の選択的解放によって調節することができる。
【0038】
図2a−図2dは、人工器官枝部40が中立配位にある状態の人工器官10を描いている。中立配位では、人工器官枝部40の長手方向軸と人工器官幹部20の長手方向軸は、平面Aに沿って実質的に同一面上にある。図2cに示されている様に、半直線Bが、人工器官幹部20の長手方向軸から平面Aに沿って延びている。人工器官幹部20の長手方向軸と半直線Bは、人工器官幹部の第1円筒座標系の基準軸と基準方向を形成することになる。人工器官幹部20の本体25に沿った何れかの点の位置は、人工器官幹部の長手方向軸に関する長手方向成分と半直線Bに関する角度成分を有することになる。同様に、図2dに示されている様に、半直線Cが、人工器官枝部の長手方向軸から延びている。半直線Cは、半直線Bと実質的に同じ方向に延びている。人工器官枝部40の長手方向軸と半直線Cは、人工器官枝部の第2円筒座標系の基準軸と基準方向を形成することになる。人工器官枝部40の本体45に沿った何れかの点の位置は、人工器官枝部の長手方向軸に関する長手方向成分と半直線Cに関する角度成分を有することになる。
【0039】
人工器官枝部40の第2端43は、人工器官枝部を中立配位と右偏向配位と左偏向配位のうちの1つに保持するべく、人工器官幹部20に解放可能に取り付けることができる。人工器官枝部40の第2端43は、如何なる手段によって人工器官幹部20に解放可能に取り付けられていてもよい。例えば、人工器官枝部40の第2端43は、牽引できる縫合糸又は糸によって、人工器官幹部20に解放可能に取り付けることができる。縫合糸又は糸は、例えば、当該縫合糸又は糸を切断するか又はトリガワイヤを操作することによって解放されるように構成することができるであろう。図2a−図2dに示されている実施例では、人工器官枝部40の第2端43は、右と左の操舵部材70、90によって、人工器官幹部20に解放可能に取り付けられている。操舵部材は、人工器官枝部40の第2端43を人工器官幹部に解放可能に取り付けるために、ここに更に説明されている様に人工器官幹部20及び/又は人工器官枝部40を縫う様に通されている。
【0040】
右操舵部材70は、第1端71と第2端72を有している。図2aに示されている様に、右操舵部材70の少なくとも一部分は、概ね長手方向に人工器官幹部20の幹部ルーメン29内に配置されている。右操舵部材は、人工器官幹部20及び/又は人工器官枝部40のグラフト本体を縫う様に通されている。例えば、右操舵部材70は、人工器官幹部20のグラフト本体25を第1貫通点80で貫通していてもよい。右操舵部材70は、同様に、人工器官幹部20のグラフト本体25を第2貫通点82で貫通していてもよい。右操舵部材70の、第1貫通点80と第2貫通点82の間を延びる区分78は、人工器官幹部20の外に配置されることになる。第1貫通点80は、人工器官枝部40の第2端43より近位の長手方向位置を有するものとすることができる。第1貫通点80は、人工器官幹部20の円周に沿った何れの点に配置されていてもよい。第1貫通点80は、平面Aから角度を離して配置されているのが好適である。例えば、第1貫通点80は、図2cに示されている様に半直線Bから約270度となる角度位置を有していてもよい。第2貫通点82は、人工器官枝部40の第2端43より遠位の長手方向位置を有するものとすることができる。第2貫通点82は、人工器官幹部20の円周に沿った何れの点に配置されていてもよい。第2貫通点80は、平面Aから角度を離して配置されているのが好適である。第2貫通点82の角度位置は、第1貫通点80の角度位置と同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、第2貫通点82は、図2cに示されている様に半直線Bから約270度となる角度位置を有していてもよい。言い換えると、第1貫通点80と第2貫通点82は同じ角度位置に配置されており、第2貫通点は第1貫通点の長手方向位置より遠位の長手方向位置を有しているということである。1つの実施例では、第1貫通点80と第2貫通点82は、長手方向に互いから約4mm乃至約8mm離間されている。
【0041】
右操舵部材70の外にある区分78は、図2a−図2dに示されている様に、湾曲又は曲がりを含むものとすることができる。その様な湾曲又は曲がりは、ここに更に説明されている様に、右操舵部材70が人工器官幹部20及び/又は人工器官枝部40に対して動くと、当該右操舵部材に従って移動するように構成することができる。言い換えると、右操舵部材70は、右操舵部材が人工器官幹部20及び/又は人工器官枝部40に対して動かされると、外にある区分78の曲線又は曲がりの形が現れたり崩れたりするように十分な可撓性のあるものとすることができる。外にある区分78は、人工器官枝部40の第2端43に解放可能に取り付けられているものである。このために、外にある区分78は、人工器官枝部40の、その第2端43に近接する環状部分を少なくとも部分的に取り巻くように構成することができる。例えば、右操舵部材70の外にある区分78は、人工器官枝部40のグラフト本体45を第3貫通点84で貫通していてもよい。第3貫通点84は、人工器官枝部40の第2端43に近接する長手方向位置を有するものとすることができる。1つの実施例では、第3貫通点84は、人工器官枝部40の第2端開口44から、約2mm乃至約6mmの長手方向距離だけ離間されている。第3貫通点84は、第1貫通点80の長手方向位置と第2貫通点82の長手方向位置の間となる長手方向位置を有しているのが好適である。第3貫通点84は、人工器官枝部40の円周に沿った何れの点に配置されていてもよい。第3貫通点84は、平面Aから角度を離して配置されているのが好適である。例えば、第3貫通点84は、図2dに示されている様に、半直線Cから約270度となる角度位置を有していてもよい。右操舵部材70の外にある区分78は、更に人工器官枝部40の第2端開口44を通過し、第3貫通点84と人工器官枝部の端開口44の間を長手方向に延びる人工器官枝部の環状部分を少なくとも部分的に取り巻いてもよい。この様にして、人工器官枝部40の第2端43は、右操舵部材の外にある区分78によって、第1貫通点80と第2貫通点82の間に保持されることになる。
【0042】
同じく、左操舵部材90は、第1端91と第2端92を有している。左操舵部材90は、人工器官幹部20のグラフト本体25を第4貫通点100及び第5貫通点102で貫通している。左操舵部材90の、第4貫通点100と第5貫通点102の間を延びる区分98は、人工器官幹部20の外に配置されることになる。第4貫通点100は、人工器官枝部40の第2端43より近位の長手方向位置を有するものとすることができる。例えば、第4貫通点100は、第1貫通点80の長手方向位置と同じ長手方向位置を有していてもよい。第4貫通点100は、人工器官幹部20の円周に沿った何れの点に配置されていてもよい。第1貫通点80と第4貫通点100は、人工器官幹部20の円周に関して互いに約180度離れて配置されていてもよい。例えば、第4貫通点100は、図2cに示されている様に、半直線Bから約90度となる角度位置を有していてもよい。第5貫通点102は、人工器官枝部40の第2端43より遠位の長手方向位置を有するものとすることができる。例えば、第5貫通点102は、第2貫通点82の長手方向位置と同じ長手方向位置を有していてもよい。第5貫通点102は、人工器官幹部20の円周に沿った何れの点に配置されていてもよい。第5貫通点102の角度位置は、第4貫通点100の角度位置と同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、第5貫通点102は、図2cに示されている様に、半直線Bから約90度となる角度位置を有していてもよい。言い換えると、第4貫通点100と第5貫通点102は、同じ角度位置に配置されており、第5貫通点は、第4貫通点の長手方向位置より遠位の長手方向位置を有しているということである。
【0043】
右操舵部材70の外にある区分78と同じく、左操舵部材90の外にある区分98も、図2a−図2dに示されている様に、湾曲又は曲がりを含むものとすることができる。外にある区分98は、人工器官枝部40の第2端43に解放可能に取り付けられているものである。例えば、左操舵部材90の外にある区分98は、人工器官枝部40のグラフト本体45を第6貫通点104で貫通していてもよい。第6貫通点104は、人工器官枝部40の第2端43に近接する長手方向位置を有するものとすることができる。例えば、第6貫通点104は、第3貫通点84の長手方向位置と同じ長手方向位置を有していてもよい。第6貫通点104は、人工器官枝部40の円周に沿った何れの点に配置されていてもよい。第6貫通点104は、第3貫通点84と第6貫通点104が互いに平面Aの反対側に平面Aから同じ角度距離だけ離間して位置するように配置されていてもよい。例えば、第6貫通点104は、図2dに示されている様に、半直線Cから約90度となる角度位置を有していてもよい。左操舵部材90の外にある区分98は、更に、人工器官枝部40の第2端開口44を通過して、第6貫通点104と人工器官枝部の端開口44の間を長手方向に延びる人工器官枝部の環状部分を少なくとも部分的に取り巻いてもよい。この様にして、人工器官枝部40の第2端43は、左操舵部材の外にある区分98によって、第4貫通点100と第5貫通点102の間に保持されることになる。
【0044】
操舵部材は、当技術で知られている何れかの型式のフィラメント状部材とすることができる。操舵部材は、ここに更に説明されている様に、人工器官を縫う様に通されるだけの十分な可撓性と、人工器官枝部を操舵するべく操作できるだけの十分な剛性と、を示す材料で作られているのが好適である。操舵部材は、例えば、限定するわけではないがニチノール及びステンレス鋼を含む生体適合性金属で作ることができる。更に例を挙げると、操舵部材は、限定するわけではないが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサン、ナイロン、ポリプロピレン、又はEthicon,Inc.社(ニュージャージー州サマービル)からのVICRYL(登録商標)の様な何れかの適した生体適合性生体材料を含む、縫合糸材料で作ることができる。
【0045】
操舵部材を人工器官幹部及び/又は人工器官枝部に解放可能に取り付けるための他の手段及び/又は構成が、本開示の範囲内で更に考えられる。例えば、操舵部材は、概ね長手方向に人工器官幹部の外面に沿って延びていてもよい。更に例を挙げると、操舵部材は、人工器官幹部の内面又は外面に取り付けられているスリーブ内を延びていてもよい。操舵部材は、人工器官幹部及び/又は人工器官枝部のグラフト本体を如何なる方式で縫う様に通されていてもよいし、及び/又はどれだけの数の貫通点を通ってどれだけの回数グラフト本体を貫通していてもよい。
【0046】
ここに説明されている様々な貫通点は、人工器官幹部及び/又は人工器官枝部のグラフト本体を貫く如何なる型式の貫通として構成することもできる。例えば、貫通点は、グラフト本体のグラフト材料の孔又はスリットとして構成されていてもよい。貫通点は、自己シール性を有するように構成されているのが好適である。言い換えると、貫通点は、血液及び/又は他の体液が貫通点を通って漏出するのを低減するように構成されているということである、貫通点は、例えば、グロメットで補強されていてもよいし、補強されていなくてもよい。1つの実施例では、貫通点は、Godlewskiらによる米国特許出願公開第2009/0149939号に記載されている様な補強された孔として構成することができ、前記特許出願を参考文献としてここにそっくりそのまま援用する。
【0047】
中立配位では、人工器官枝部40の第2端43の少なくとも一部分は、図2b−図2dに示されている様に、人工器官幹部20のグラフト本体25に形成されている陥凹32に受け入れ可能に係合されている。人工器官幹部20の、陥凹32を含んでいる部分は、図2c−図2dに示されている様に、概ね三日月形の横断面を有していて、陥凹が三日月の凹部分を形成している。陥凹32は、人工器官枝部40の第2端43を人工器官幹部20の長手方向軸に向けて半径方向内向きに引き寄せることによって形成することができる。言い換えると、人工器官枝部40の第2端43が内向きに引き寄せられて、人工器官幹部20のグラフト本体25を変形させ、陥凹32を形成させているわけである。人工器官枝部40の第2端43は、右操舵部材70及び/又は左操舵部材90によって、人工器官幹部20の長手方向軸に向けて半径方向内向きに引き寄せられる。例えば、右操舵部材70は、第1貫通点80、第2貫通点82、及び/又は第3貫通点84内に滑動可能に受け入れられているものとする。右操舵部材70の第1端71及び/又は第2端72をきつく引っ張って、第1端71と第2端72が互いに対して逆の長手方向に動くように右操舵部材に第1、第2、及び/又は第3貫通点内を滑動させる。その様に動かされると、右操舵部材70の外にある区分78の一部分が、第1貫通点80及び/又は第2貫通点82を通って人工器官幹部20の幹部ルーメン29の中へ引き込まれる。同時に、人工器官枝部40の第2端43が、人工器官幹部20の長手方向軸に向けて半径方向内向きに引き寄せられる。言い換えると、その様に動かされると、その結果、外にある区分78の長さが縮まって、人工器官枝部40の第2端43が半径方向内向きに引き寄せられることになるわけである。人工器官枝部40の第2端43を、左操舵部材90によって同様の方式で人工器官幹部20の長手方向軸に向けて半径方向内向きに引き寄せれば、人工器官幹部に陥凹32を形成することができる。陥凹32を形成することにより、人工器官10に、患者の脈管構造内を更に効率良く送達できるようにより小さい直径を持たせることができる。陥凹32は、更に、患者の脈管構造内を送達中は人工器官枝部40を中立配位に保持するのを手助けすることができるであろう。陥凹32の変形が、人工器官枝部を、ここに更に説明されている様に、右偏向配位又は左偏向配位に向けて付勢する手助けをすることになろう。
【0048】
人工器官枝部40は、操舵システム60を使って、中立配位、右偏向配位、及び/又は左偏向配位の間で操舵できるものである。右操舵部材70及び左操舵部材90のうち一方を人工器官枝部40及び/又は人工器官幹部20から選択的に解放することにより、人工器官枝部を左偏向配位又は右偏向配位それぞれへ動かせるようになる。操舵部材は、例えば、対抗する張力を人工器官枝部40へ与えることによって、人工器官枝部を中立配位に保持するべく協働することができる。例えば、右操舵部材は、人工器官枝部を右へ(即ち、人工器官幹部20の右側面に向かって)牽引しようとする力を人工器官枝部40に働かせることができる。反対に、左操舵部材90は、人工器官枝部を左へ(即ち、人工器官幹部20の左側面に向かって)牽引しようとする力を人工器官枝部40に働かせることができる。右操舵部材と左操舵部材によって相反する力を働かせることで、人工器官枝部40が中立配位に保持されることになる。操舵部材の一方を解放すると、対抗する張力が逃げる。人工器官枝部40を逆方向に牽引する力が存在しなければ、人工器官枝部40は、残る操舵部材の方向に偏向することになる。言い換えると、左操舵部材90が解放されると、人工器官枝部40の第2端43は、人工器官幹部20から離れて人工器官幹部の右側面へ向かう方向に延びるように動くわけである。同様に、右操舵部材70が解放されると、人工器官枝部40の第2端43は、人工器官幹部20から離れて人工器官幹部の左側面へ向かう方向に延びるように動くことになる。人工器官幹部の右側面と左側面は、人工器官幹部20の長手方向軸を含む平面で人工器官枝部の第1端41を通る平面(例えば、半直線Bを含む平面)の互いに反対側に配置されているものとする。
【0049】
例えば、人工器官枝部を右偏向配位へ動けるようにするには、左操舵部材90を人工器官枝部40及び/又は人工器官幹部20から解放すればよい。左操舵部材90は、例えば、左操舵部材の第1端91又は第2端92を後退させて当該操舵部材を人工器官枝部40及び/又は人工器官幹部20から抜くことによって、人工器官枝部及び/又は人工器官幹部から解放させることができる。左操舵部材90は、第4貫通点100、第5貫通点102、及び/又は第6貫通点104内に滑動可能に受け入れられており、よって、第1端91又は第2端92を後退させると、左操舵部材が第4貫通点、第5貫通点、及び/又は第6貫通点内を滑動する。左操舵部材90の第1端91又は第2端92は、当該第1端91又は当該第2端92が第4貫通点、第5貫通点、及び/又は第6貫通点との係合から滑り出るまで、後退させられる。言い換えると、左操舵部材90の端は、左操舵部材を人工器官幹部20及び/又は人工器官枝部40との係合から引きほどく(即ち、抜き去る)ように後退させられるわけである。左操舵部材90がもはや第4貫通点、第5貫通点、及び/又は第6貫通点内に受け入れられていない状態になれば、左操舵部材は人工器官幹部20及び/又は人工器官枝部40から自由になり、人工器官枝部が図3a−図3bに示されている様に中立配位から右偏向配位へ動けるようになる。
【0050】
右操舵部材70は、左操舵部材90の解放後も人工器官幹部20及び/又は人工器官枝部40に解放可能に取り付けられたままである。人工器官枝部40の第2端43は、人工器官幹部の展開力によって人工器官幹部20の長手方向軸から半径方向外向きに押し離されることになる。言い換えると、人工器官幹部の展開力が陥凹32を変形させ、人工器官幹部の人工器官枝部20の第2端43に近接する部分を展開形態へ向けて広がらせるわけである。人工器官枝部40の遠位端43は、陥凹32の変形と同時に、人工器官幹部20の長手方向軸から半径方向外向きに押し離されることになる。同時に、人工器官枝部40の第2端43は、人工器官枝部を右偏向配位に向けて付勢するためにそれに解放可能に取り付けられたままになっている右操舵部材70によって右方へ付勢されることになる。反対に、左操舵部材90が人工器官幹部20及び/又は人工器官枝部40に解放可能に取り付けられたままの状態で右操舵部材70を人工器官枝部及び/又は人工器官幹部から解放すれば、人工器官枝部が同様の様式で図4a−図4bの左偏向配位へ動けるようになる。
【0051】
1つの好適な実施形態では、2つの独立した操舵トリガワイヤが利用されている。第1のワイヤ(即ち、右操舵部材)は、送達システムを渡ってゆき押出器を出て主本体(即ち、人工器官幹部)のルーメンの中へ遠位端から入る。第1ワイヤは、グラフトを枝部の遠位縁のすぐ遠位側で〜3時の方角に刺し貫く。ワイヤは、次いで、枝部へ遠位端から進入し、枝部の中を近位方向に〜4mm進行して、枝部を刺し貫いて出る。ワイヤは、次いで、主本体を刺し貫いてルーメンに再進入し、ルーメンに従って進行し、装置の近位端を出てゆく。第2操舵トリガワイヤ(即ち、左操舵部材)は、第1ワイヤと同じ経路を取るが、主本体を〜9時の方角に刺し貫く。両方のワイヤが所定の場所に配置されているとき、枝部は12時に保持されるが、どちらかのワイヤが取り去られると、枝部は残るワイヤの方向に曲がって偏向してゆく。このおかげで、医師は、装置に、患者の解剖学的構造に最も適応するようにどちらかの方向への偏向を与えることができ、その上、部品点数及び医療施設の在庫基準を最小化することができる。
【0052】
別の実施形態では、牽引できる縫合糸又は糸を使用することができる。例えば、人工器官枝部の第2端は、人工器官枝部を中立配位に保持するべく人工器官幹部に縫い付けられてもよい。複数の縫合糸は、人工器官幹部及び人工器官枝部それぞれの円周の周りに、例えば、互いから約180度離間されていてもよい。縫合糸は、人工器官枝部を、人工器官幹部に、ここに説明されている貫通点と概ね同じ長手方向位置及び角度位置で、解放可能に取り付けられる。縫合糸は、例えば、トリガワイヤを操作するか、縫合糸を切断する又は引き結びをほどくことにより、解放することができる。更に例を挙げれば、人工器官枝部の第2端は、人工器官幹部に、クリップ、ワイヤ、ステープル、クリップ、結合剤、又はその他の方法、によって解放可能に取り付けることができるであろう。これらの取付手段の何れかを、例えば、トリガワイヤを操作することによって解放するようにしてもよい。その様な代替が本開示の範囲内で考えられる。
【0053】
人工器官10は、患者の脈管構造内の場所に設置するのに適しており、当該特定の場所が右に偏向している人工器官を必要としているのか或いは左に偏向している人工器官を必要としているのかに関わりなく、設置に適するものである。例えば、人工器官10の人工器官枝部40は、一方の総腸骨動脈に設置するには右偏向配位へ動かし、他方の総腸骨動脈に設置するには左偏向配位へ動かすことができる。こうして、人工器官10は、総腸骨動脈のどちらへの設置にも適する。その様な人工器官の1つの利点は、医療施設が異なった総腸骨動脈に設置するために多様な装置の在庫を維持する必要性を小さくすることである。
【0054】
人工器官枝部40は、左操舵部材90又は右操舵部材70が選択的に解放され、残る操舵部材が人工器官枝部及び/又は人工器官幹部20に解放可能に取り付けられたままになっていることによって、右偏向配位又は左偏向配位へ動かされることになる。人工器官枝部40が右偏向配位又は左偏向配位に入ってしまえば、残る操舵部材を人工器官幹部20及び/又は人工器官枝部から解放して、人工器官枝部の第2端43を人工器官幹部から自由にすることができる。これにより、人工器官枝部40は図5a−図5bに示されている自由配位へ動けるようになる。自由配位では、人工器官枝部40は人工器官幹部20と概ね整列することになろう。例えば、人工器官枝部40の長手方向軸と、人工器官幹部20の長手方向軸は、平面Aに沿って実質的に同一面内となろう。人工器官枝部40の第2端43は、人工器官枝部のグラフト本体45の外面47が、実質的に、当該人工器官枝部の第1端41と第2端43の間を延びる全長さに沿って、人工器官幹部のグラフト本体25の外面27に当接しないようにして、人工器官幹部20から離間されている。
【0055】
人工器官10及び/又はその一部分は、更に、圧縮形態と展開形態の間で動かせる。図6は、その一部分が圧縮形態にある状態の人工器官10を描いている。圧縮形態では、人工器官幹部20の、人工器官枝部40の第2端43に近接する部分(例えば、支持構造又はその一部分に対応する部分)は、圧縮状態に保持されることになる。言い換えると、人工器官幹部20の一部分は、人工器官幹部の当該部分の直径が縮まるように圧縮されるわけである。圧縮部分は、1つ又はそれ以上の縮径絞り120により圧縮形態に保持される。縮径絞り120は、人工器官幹部20のグラフト本体25を、人工器官枝部40の第2端43に近接する場所で周方向に取り囲んでいる。縮径絞り120は、図6に示されている様に、人工器官枝部40の第2端43より遠位に配置されるものとすることができる。縮径絞り120は、更に、ここに説明されている様に人工器官幹部20に形成されることになる陥凹32より遠位に配置させることができる。縮径絞り120は、人工器官幹部20周りに引き絞られ、幹部の一部分を圧縮状態へ押圧する。代わりに、人工器官幹部20の一部分を何れかの手段によって圧縮し、そうして次に縮径絞り120を人工器官幹部に取り付けて当該圧縮部分を圧縮された状態に保持するようにしてもよい。縮径絞り120は、人工器官幹部20に、縮径絞りが人工器官幹部から解放されれば人工器官幹部の圧縮部分が圧縮状態から展開しそれによって人工器官幹部が展開形態を獲得するように、解放可能に取り付けられている。人工器官幹部の圧縮部分は、図1に示されている展開形態へ一杯まで展開させられる。言い換えると、圧縮部分は、例えば自己展開式ステントの作用下に展開して、当該部分の圧縮以前の元の直径を実現させられるわけである。
【0056】
縮径絞り120は、患者の脈管構造内を送達するために人工器官10の外径を更に縮めるのを手助けすることができる。人工器官を送達装置内から配備させた後であっても縮径絞りによって人工器官10の外径を縮めることができ、そうすれば、人工器官を展開形態へ完全に展開させるに先立って人工器官の配置をより簡単に調節できるようになる。縮径絞りは、更に、人工器官枝部が中立配位にあるとき、人工器官幹部20のグラフト本体25が人工器官枝部40の第2端開口44を閉塞させないように手助けすることができる。言い換えると、人工器官幹部20の、人工器官枝部40の第2端43より遠位の部分を圧縮状態に保持することにより、人工器官幹部20のグラフト本体25のグラフト材料と人工器官枝部の第2端開口44の間に空間が維持されることになる。当該空間は、治療中に、器具及び/又は他の人工器官が人工器官枝部を通行できるようにする。
【0057】
図6に示されている様に、右操舵部材70及び/又は左操舵部材90は縮径絞り120に解放可能に取り付けることができる。縮径絞り120は、右操舵部材70及び/又は左操舵部材90を後退させると人工器官幹部20から解放されるように構成されていてもよい。例えば、右操舵部材70は、縮径絞り120に、右操舵部材を縮径絞りの一部分を縫う様に通すことによって解放可能に取り付けられていてもよい。右操舵部材70は、ここに説明されている様に、概ね長手方向に幹部ルーメン29内を延びている。右操舵部材70は、人工器官幹部20のグラフト本体25を縮径絞りより近位の位置で貫いて幹部ルーメン29を出てゆき、縮径絞りを通過し、人工器官幹部のグラフト本体を縮径絞りより遠位の位置で貫いて幹部ルーメンに再進入していてもよい。ここに説明されている様に、人工器官枝部40を左偏向配位に向かって操舵するべく右操舵部材70の第1端71又は第2端72を後退させる。右操舵部材70の第1端71又は第2端72を更に後退させてゆくと、右操舵部材が縮径絞り120との係合から解放される。縮径絞り120は、右操舵部材70が縮径絞りとの係合から解放されると縮径絞りが人工器官幹部20から解放されるように構成されていてもよい。言い換えると、人工器官枝部40を左偏向配位へ動けるようにするために右操舵部材70の一端を第1の距離だけ後退させ、その後、縮径絞り120を人工器官幹部20から解放するために更に第2の距離だけ後退させるわけである。こうして、右操舵部材70の第1端71又は第2端72を後退させると、まず人工器官枝部40が左偏向配位へ動けるようになり、次いで縮径絞り120が人工器官幹部20から解放されて人工器官幹部の展開が可能になる。代わりに、右操舵部材70は、右操舵部材の第1端71又は第2端72を後退させると、まず縮径絞り120が人工器官幹部20から解放され、次いで人工器官枝部40が左偏向配位へ動けるように、縮径絞り、人工器官幹部、及び/又は人工器官枝部を通されていてもよい。左操舵部材90も、縮径絞りに、同様の様式で解放可能に取り付けることができ、結果は同様である。例えば、左操舵部材90は、左操舵部材の第1端91又は第2端92を後退させると、人工器官枝部40が右偏向配位へ動けるようになり、次いで縮径絞り120が人工器官幹部20から解放されて人工器官幹部の展開が可能になるように、縮径絞り、人工器官幹部、及び/又は人工器官枝部を通されていてもよい。縮径絞り120は、右操舵部材70に限定した後退、或いは左操舵部材90に限定した後退、或いは右操舵部材と左操舵部材のうち一方の後退、或いは右操舵部材と左操舵部材の両方の後退、によって解放されるように構成することができるであろう。
【0058】
縮径絞り120は、直径締め付け用縫合糸として構成されていてもよい。1つの好適な実施形態では、2つの独立した操舵トリガワイヤ(即ち、右操舵部材と左操舵部材)が利用されている。ワイヤは、送達システムをグラフト(即ち、人工器官)に向かって渡ってゆき、位置決め装置の端を出て、主本体(即ち、人工器官幹部)のルーメンに遠位端から進入する。第1操舵ワイヤ(即ち、右操舵部材)は、グラフトを枝部の遠位縁より大凡15mm遠位で〜3時に刺し貫く。ワイヤは、直径締め付け用縫合糸を通過し、次いでグラフトを刺し貫いてルーメンに再進入する。ワイヤは、次いで、装置のルーメン内を近位方向に枝部の遠位縁より〜4mm遠位へ渡り、グラフトを刺し貫いてルーメンを出る。次に、ワイヤは、枝部に遠位端から進入し、枝部内を〜4mm渡り、次いで枝部を刺し貫いて出る。ワイヤは、次いで、主本体を刺し貫いてルーメンに再進入し、ルーメンに従って進行し、装置の近位端を出てゆく。第2操舵ワイヤ(即ち、左操舵部材)は、第1ワイヤと同じ経路を取るが、主本体を9時に刺し貫く。両方のワイヤが所定の場所に配置されているとき、グラフトはその縮径状態に保持され、枝部は12時に保持されている。どちらかのワイヤが取り去られると、まず枝部が残るワイヤの方向に曲がって偏向してゆき、その後ワイヤが完全に抜去されると、縮径縫合糸が解放され、直径が原寸に戻る。このおかげで、医師は、装置にどちらかの方向への偏向を与えることができ、更に、分枝脈管のカニューレ挿入にとっての改善された制御と可撓性が可能になる。
【0059】
縮径絞りは、当技術で知られている何れかの型式のフィラメント状部材とすることができる。例えば、縮径絞りは、グラフト材料に締結され、トリガワイヤ周りに輪にされ、そして人工器官幹部の直径が縮むようにきつく引っ張られる、何本かの縫合糸材料であってもよい。トリガワイヤが解放されると、縮径絞りの輪がほどけ、人工器官幹部は、その原寸へ展開することができる。ほどけた後も、縮径絞りは人工器官幹部のグラフト材料に固定されたままである。縮径絞りは、当技術で知られている何れの材料で作られていてもよい。例えば、縮径絞り120は、ここで操舵部材に関連付けて説明されている材料の何れかで作られていてもよい。縮径絞りの例には、Hartleyらによる米国特許出願公開第2004/0098084号、同第2008/0114438号、及び同第2009/0254170号に記載されているものが挙げられ、前記特許出願を参考文献としてここにそっくりそのまま援用する。縮径絞り120は、同様に、クリップ、スリーブ、リング、コイル、又は人工器官幹部の一部分を圧縮形態に保持する能力のあるその他の構成物として構成されていてもよい。
【0060】
図7は、患者の脈管構造内に配備された人工器官10を描いている。人工器官10は、例えば総腸骨動脈210に、人工器官枝部40が内腸骨動脈220と整列するようにして配備することができる。人工器官10は、標準的な管腔内技法を使って配備することができる。例えば、人工器官10は、Hartleyらへの米国特許第7,435,253号及びGreenbergらへの同第7,407,509号に記載されている装置及び/又は方法を使って配備されてもよく、前記特許を参考文献としてここにそっくりそのまま援用する。
【0061】
人工器官10は、送達形態へ圧縮されて導入器又はシースの様な送達装置の中へ装填される。右操舵部材70及び左操舵部材90は、概ね長手方向に送達装置内を延びている。右操舵部材70の第2端72と左操舵部材90の第2端92は、送達装置の遠位端の1つ又はそれ以上の制御機構に取り付けられている。制御機構を操作することで、(例えば、各端を後退させることによって)右操舵部材70の第2端72及び/又は左操舵部材90の第2端92を人工器官枝部40及び/又は人工器官幹部20から解放させ、人工器官枝部をここに説明されている様に操舵する。右操舵部材と左操舵部材は、図2aに示されている様に、人工器官幹部20の第2端開口24を通り近位方向に幹部ルーメン29を通って延びている。右操舵部材70と左操舵部材90は、人工器官枝部を中立配位に保持するべく人工器官枝部を人工器官幹部に解放可能に取り付けるために、ここに説明されている様に人工器官幹部20及び/又は人工器官枝部40を縫う様に通り抜けている。右操舵部材70と左操舵部材90は、幹部ルーメン29内を更に近位方向に延び、そして人工器官幹部20の第1端開口22を通って延びている。右操舵部材70の第1端71と左操舵部材90の第1端91は、送達装置の近位先端に解放可能に取り付けられていてもよい。この様にして、右操舵部材と左操舵部材は、送達装置の遠位端と近位端に解放可能に取り付けられ、人工器官幹部及び/又は人工器官枝部を縫う様に通されて、人工器官枝部を脈管構造内を送達するための中立配位に保持している。
【0062】
既知の手段を使って送達装置の近位先端を患者の脈管構造内に導入し、その中の治療部位へ操縦してゆく。例えば、送達装置の近位先端を患者の大腿動脈に導入し、総腸骨分岐に近接する位置へ操縦してゆく。人工器官10を、例えば送達装置のシースを後退させることによって配備して人工器官を展開できるようにする。配備されると、人工器官10は配備形態へ展開することであろう。人工器官10を配置したら、送達装置の制御機構を操作して、右操舵部材70の第1端71又は左操舵部材90の第1端91を送達装置の近位先端から解放させ、及び/又は右操舵部材の第2端72又は左操舵部材の第2端92を後退させて、人工器官枝部40を、図3a−図3bに示されている様に右偏向配位又は図4a−図4bに示されている様に左偏向配位へ操舵する。この様にして、人工器官10は、図7に示されている様に、人工器官幹部20が総腸骨動脈210に置かれ、人工器官枝部40の第2端開口44が内腸骨動脈の様な枝分かれした脈管220と整列するように配置される。
【0063】
人工器官10内には追加の器具(例えば、ガイドワイヤ又は第2の送達装置)が導入されることもある。例えば、第2の送達装置を人工器官枝部40の枝部ルーメン49内に導入する。第2の送達装置を、人工器官枝部40の枝部ルーメン49と枝分かれした脈管220の管腔の間に延ばして人工器官枝部40を枝分かれした脈管と整列に維持させる。残る右操舵部材70又は左操舵部材90を取り去って、人工器官枝部40の第2端43を人工器官幹部20から自由にする。残る操舵部材が解放されても、第2の送達装置が人工器官枝部40を枝分かれした脈管220と整列に維持している。言い換えると、人工器官枝部は、それを通って延びている第2の送達装置によって、自由形態へ動いてゆくこと(即ち、人工器官幹部20と整列すること)が妨げられている。ステントグラフトの様な第2の人工器官310を、第2の送達装置を使用して配備し、人工器官枝部40の第2端43と枝分かれした脈管220の間の空間を橋架けさせることもできる。当技術で知られている様に、脈管構造の動脈瘤部分を橋架けするべく追加の人工器官(例えば、二又ステントグラフト320)を同様の方式で配備することもできるであろう。1つの例では、人工器官10は、二又のステントグラフト320と一体化されている。言い換えると、ステントグラフト320の一方の脚(例えば、同側脚)が人工器官10を含んでいてもよい。一体化二又ステントグラフトは、ここに説明されている様に操舵できる枝部40を含むことができる。
【0064】
1つの実施例では、管腔内人工器官は、人工器官幹部と人工器官枝部を含むものとすることができる。人工器官幹部は、管状のグラフト本体と、開口している第1端と、開口している第2端と、人工器官幹部の第1端及び第2端と流体連通している幹部ルーメンと、を含んでいる。人工器官枝部は、管状のグラフト本体と、開口している第1端と、開口している第2端と、人工器官枝部の第1端及び第2端と流体連通している枝部ルーメンと、を含んでいる。人工器官枝部の第1端は、人工器官幹部の中間部分へ接合され、枝部ルーメンは幹部ルーメンと流体連通している。人工器官枝部は、人工器官幹部から延びていて、人工器官幹部に対して、人工器官枝部が人工器官幹部と実質的に整列している中立位置と、人工器官枝部の第2端が人工器官幹部から離れて第1の方向に人工器官幹部の第1側面へ延びている第1偏向配位と、人工器官枝部の第2端が人工器官幹部から離れて第2の方向に人工器官幹部の第1側面とは反対側の第2側面へ延びている第2偏向配位と、の間で動かせる。人工器官は、第1偏向配位と関連付けられている第1の解放できる操舵部材と、第2偏向配位と関連付けられている第2の解放できる操舵部材を含むことができる。操舵部材は、協働で人工器官枝部を中立配位に保持することができる。第1操舵部材又は第2操舵部材の一方が人工器官枝部から解放されると、人工器官枝部は、第1偏向配位又は第2偏向配位の一方へ移ってゆくことができる。
【0065】
1つの実施例では、第1操舵部材と第2操舵部材のそれぞれは、人工器官幹部と、人工器官枝部の第2端と、に解放可能に取り付けられている。第1操舵部材と第2操舵部材のそれぞれは、人工器官枝部の第2端の少なくとも一部分を人工器官幹部から解放するべく独立に解放できるものである。第1操舵部材と第2操舵部材のそれぞれは、取り付けられているときは、人工器官に掛かる対抗する張力を発生させて協働で人工器官枝部を中立配位に保持することができる。第1操舵部材と第2操舵部材のそれぞれは、人工器官幹部の本体を、人工器官枝部の第2端より近位の第1長手方向位置と、人工器官枝部の第2端より遠位の第2長手方向位置で貫通している。第1長手方向位置と第2長手方向位置の間には、各操舵部材の外にある区分が配置されることになる。第1操舵部材と第2操舵部材のそれぞれの外にある区分は、人工器官枝部の第2端を人工器官幹部に解放可能に取り付けるべく、人工器官枝部の本体を貫通し、人工器官枝部の開口している第2端を通って延びている。第1の解放できる操舵部材は、人工器官幹部に当該人工器官幹部の第1側面の第1周方向位置で解放可能に取り付けられており、第2の解放できる操舵部材は、人工器官幹部に当該人工器官幹部の第2側面の第2周方向位置で解放可能に取り付けられている。中立配位では、人工器官枝部の少なくとも一部分は、人工器官幹部の陥凹内に受け入れられている。第1操舵部材又は第2操舵部材の一方を人工器官幹部又は人工器官枝部の少なくとも一方から解放すると、人工器官枝部の第2端が人工器官幹部から部分的に解放され、人工器官枝部の第2端が人工器官幹部に対して第1操舵部材又は第2操舵部材の他方の方向に動けるようになる。第1操舵部材又は第2操舵部材の少なくとも一方は、人工器官枝部のグラフト本体及び人工器官幹部のグラフト本体を、それらの自己シール部分を抜けて、貫通している。人工器官幹部の、人工器官枝部の第2端付近の長手方向区分は、圧縮形態に保持されている。圧縮形態にある人工器官幹部の長手方向区分のグラフト本体は、人工器官枝部の開口している第2端から長手方向に離間されている。
【0066】
別の実施例では、管腔内人工器官は、人工器官幹部と人工器官枝部を含むものとすることができる。人工器官幹部は、管状のグラフト本体と、開口している第1端と、開口している第2端と、人工器官幹部の第1端と第2端の間を延びる幹部ルーメンと、を含んでいる。人工器官枝部は、管状のグラフト本体と、開口している第1端と、開口している第2端と、人工器官枝部の第1端と第2端の間を延びる枝部ルーメンと、を含んでいる。人工器官枝部の第1端は、人工器官幹部へ接合されている。枝部ルーメンは、幹部ルーメンと流体連通している。人工器官枝部は、人工器官幹部から外向きに延びている。第1操舵部材が、人工器官枝部の第2端に第1周方向位置で、そして人工器官幹部に当該人工器官幹部の第1側面の第2周方向位置で、解放可能に取り付けられている。第2操舵部材が、人工器官枝部の第2端に第3周方向位置で、そして人工器官幹部に当該人工器官幹部の第1側面とは反対側の第2側面の第4周方向位置で、解放可能に取り付けられている。第1の解放できる操舵部材と第2の解放できる操舵部材は、協働で、人工器官枝部を、当該人工器官枝部が人工器官幹部と実質的に整列している中立配位に維持することができる。第1周方向位置と第3周方向位置は、人工器官枝部の円周に関して互いから離間されている。第2周方向位置と第4周方向位置は、人工器官幹部の円周に関して互いから離間されている。中立配位では、人工器官枝部の第1周方向位置は人工器官幹部の第2周方向位置と接し、人工器官枝部の第3周方向位置は人工器官幹部の第4周方向位置と接している。第2操舵部材又は第1操舵部材の一方が解放されると、人工器官枝部は、人工器官幹部に対して、中立配位と、人工器官枝部が長手方向及び横断方向に人工器官幹部に対して第1の方向に当該人工器官幹部の第1側面へ延びている第1偏向配位と人工器官枝部が長手方向及び横断方向に人工器官幹部に対して第2の方向に当該人工器官幹部の第2側面へ延びている第2偏向配位のうち一方の偏向配位との間で動けるようになる。第2操舵部材が解放されると、人工器官枝部は、第1偏向配位へ動き、人工器官枝部の第1周方向位置は人工器官幹部の第2周方向位置と接し、人工器官枝部の第3周方向位置は人工器官幹部の第4周方向位置から離間されることになる。少なくとも1つの縮径絞りが、人工器官幹部に解放可能に取り付けられていてもよい。縮径絞りは、人工器官幹部の一部分を圧縮形態に保持するべく人工器官幹部のグラフト本体に係合することができる。人工器官幹部の圧縮部分のグラフト本体と人工器官枝部の開口している第2端の間には空間が配置されることになる。第1操舵部材と第2操舵部材のそれぞれは、人工器官枝部の第2端を人工器官幹部に解放可能に取り付けるべく人工器官枝部のグラフト本体及び人工器官幹部のグラフト本体を縫う様に通されている。人工器官幹部には、少なくとも1つの縮径絞りが解放可能に取り付けられている。縮径絞りは、人工器官幹部の一部分を圧縮形態に保持するべく人工器官幹部のグラフト本体に係合することができる。第1操舵部材又は第2操舵部材の少なくとも一方が縮径絞りに解放可能に取り付けられていてもよい。縮径絞りは、第1操舵部材又は第2操舵部材各々が縮径絞りから解放されると、人工器官幹部から解放される。第1操舵部材と第2操舵部材のそれぞれは、人工器官幹部の本体を、人工器官枝部の第2端より近位の第1長手方向位置と、人工器官枝部の第2端より遠位の第2長手方向位置で貫通している。第1長手方向位置と第2長手方向位置の間には各操舵部材の外にある区分が配置されることになる。第1操舵部材と第2操舵部材のそれぞれの外にある区分は、人工器官枝部の第2端を人工器官幹部に解放可能に取り付けるべく、人工器官枝部の本体を貫通し、人工器官枝部の開口している第2端を通って延びている。
【0067】
1つの実施例では、人工器官枝部を、中立配位と第1偏向配位又は第2偏向配位の一方との間で操舵する方法は、人工器官幹部と人工器官枝部を含む人工器官を提供する段階を含むものとすることができる。人工器官枝部の第1端は人工器官幹部に取り付けられ、人工器官枝部の第2端は人工器官幹部に第1及び第2操舵部材によって解放可能に取り付けられている。本方法は、第1操舵部材又は第2操舵部材の一方を人工器官枝部又は人工器官幹部から選択的に解放し、人工器官枝部を第2偏向配位又は第1偏向配位それぞれへ動けるようにする段階を含むものである。解放する段階は、第1操舵部材又は第2操舵部材の端を後退させて、当該操舵部材を人工器官幹部のグラフト本体から抜く段階を含んでいてもよい。本方法は、第1操舵部材又は第2操舵部材各々を、少なくとも1つの縮径絞りから解放して、人工器官幹部の一部分が圧縮形態から展開できるようにする段階を含んでいてもよい。第1操舵部材又は第2操舵部材各々を人工器官枝部から解放する段階は、当該操舵部材の端を第1の距離だけ後退させて、同操舵部材を人工器官枝部のグラフト本体から抜く段階を含んでいてもよく、第1操舵部材又は第2操舵部材各々を縮径絞りから解放する段階は、当該操舵部材の端を第2の距離だけ後退させて、同操舵部材を縮径絞りから抜く段階を含んでいてもよい。
【0068】
当業者には、装置のそれぞれの実施形態の特定の特徴は、それら特定の特徴への言及がなされていない場合でも、様々な実施形態の間で置き換えできるものであることが理解され得よう。様々な実施形態を示している図の描画は必ずしも縮尺が合っているわけではない。一部には或る特定の詳細事項が強調のために拡大されている描画もあり、諸部分の数又は比率が様々に異なっているからといって、本開示において別途規定のない限り、それを限定を課すものとの意に読み取ってはならない。当業者には、実施形態は、ここに明示的に示されていないものも、異なった実施形態に関して説明されている特徴を含め、本発明の範囲内で実践され得るものであり、ここに提示されている特許請求の範囲による範囲内に留まりながらも、互いに組み合わせたり、現在知られている技術又は将来開発されるであろう技術と組み合わせたりできることが理解されるであろう。故に、以上の詳細な説明は、限定を課すのではなくむしろ説明目的であると見なされることを主旨とする。そして、付随の特許請求の範囲が、そのあらゆる等価物を含め、本発明の精神及び範囲を定義することを意図するものであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0069】
10 人工器官
20 人工器官幹部
21 第1端
22 第1端開口
23 第2端
24 第2端開口
25 グラフト本体
26 グラフト本体の内面
27 グラフト本体の外面
29 幹部ルーメン
30 支持構造
32 陥凹
40 人工器官枝部
41 第1端
42 第1端開口
43 第2端
44 第2端開口
45 グラフト本体
46 グラフト本体の内面
47 グラフト本体の外面
49 枝部ルーメン
50 支持構造
60 操舵システム
70 右操舵部材
71 第1端
72 第2端
78 外にある区分
80 第1貫通点
82 第2貫通点
84 第3貫通点
90 左操舵部材
91 第1端
92 第2端
98 外にある区分
100 第4貫通点
102 第5貫通点
104 第6貫通点
120 縮径絞り
210 総腸骨動脈
220 枝分かれした脈管
310 第2の人工器官
320 二又ステントグラフト
A 平面
B、C 半直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状のグラフト本体と、開口している第1端と、開口している第2端と、前記第1端及び前記第2端と流体連通している幹部ルーメンと、を備えている人工器官幹部と、
管状のグラフト本体と、開口している第1端と、開口している第2端と、前記第1端及び前記第2端と流体連通している枝部ルーメンと、を備えている人工器官枝部であって、前記人工器官枝部の前記第1端は、前記人工器官幹部の中間部分へ接合されており、前記枝部ルーメンは前記幹部ルーメンと流体連通しており、前記人工器官枝部は、前記人工器官幹部から延びていて、前記人工器官幹部に対して、前記人工器官枝部が前記人工器官幹部と実質的に整列している中立位置と、前記人工器官枝部の前記第2端が前記人工器官幹部から離れる第1の方向の前記人工器官幹部の第1側面側へ延びている第1偏向配位と、前記人工器官枝部の前記第2端が前記人工器官幹部から離れる第2の方向の前記人工器官幹部の前記第1側面とは反対側の第2側面側へ延びている第2偏向配位と、の間で動かせる、人工器官枝部と、
前記第1偏向配位と関連付けられている第1の解放できる操舵部材及び前記第2偏向配位と関連付けられている第2の解放できる操舵部材であって、協働で前記人工器官枝部を前記中立配位に保持する、第1及び第2の解放できる操舵部材と、を備えている脈管内人工器官において、
前記第1操舵部材又は前記第2操舵部材の一方が前記人工器官枝部から解放されると、前記人工器官枝部は、前記第1偏向配位又は前記第2偏向配位の一方へ動くようにされた、脈管内人工器官。
【請求項2】
前記第1操舵部材と前記第2操舵部材のそれぞれは、前記人工器官幹部と、前記人工器官枝部の前記第2端と、に解放可能に取り付けられていて、独立して解放されて前記人工器官枝部の前記第2端の少なくとも一部分を前記人工器官幹部から解放するようにされており、前記第1操舵部材と前記第2操舵部材のそれぞれは、取り付けられているときは、前記人工器官枝部へ掛かる対抗する張力を発生させて協働で前記人工器官枝部を前記中立配位に保持する、請求項1に記載の人工器官。
【請求項3】
前記第1操舵部材と前記第2操舵部材のそれぞれは、前記人工器官幹部の前記本体を、前記人工器官枝部の前記第2端より近位の第1の長手方向位置と、前記人工器官枝部の前記第2端より遠位の第2の長手方向位置とにおいて貫通しており、前記第1の長手方向位置と前記第2の長手方向位置の間には各操舵部材の外部部分があり、前記第1操舵部材と前記第2操舵部材のそれぞれの前記外部部分は、前記人工器官枝部の前記本体を貫通し、前記人工器官枝部の前記開口している第2端を通って延びて、前記人工器官枝部の前記第2端を前記人工器官幹部に解放可能に取り付けるようにされている、請求項2に記載の人工器官。
【請求項4】
前記第1の解放できる操舵部材は、前記人工器官幹部に当該人工器官幹部の前記第1側面の第1周方向位置で解放可能に取り付けられており、前記第2の解放できる操舵部材は、前記人工器官幹部に当該人工器官幹部の前記第2側面の第2周方向位置で解放可能に取り付けられている、請求項2に記載の人工器官。
【請求項5】
前記中立配位では、前記人工器官枝部の少なくとも一部分は前記人工器官幹部の陥凹に受け入れられている、請求項1に記載の人工器官。
【請求項6】
前記第1操舵部材又は前記第2操舵部材の一方が前記人工器官幹部又は前記人工器官枝部の少なくとも一方から解放されると、前記人工器官枝部の前記第2端が前記人工器官幹部から部分的に解放され、前記人工器官幹部に対して、前記第1操舵部材又は前記第2操舵部材の他方の方向に動けるようにされている、請求項1に記載の人工器官。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−239896(P2012−239896A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−109213(P2012−109213)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【出願人】(511152957)クック メディカル テクノロジーズ エルエルシー (76)
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
【Fターム(参考)】