説明

擬似太陽光照射装置

【課題】スペクトル合致度の高い擬似太陽光を照射することのできる擬似太陽光照射装置を提供する。
【解決手段】擬似太陽光照射装置101は、光源1と、光学フィルター部4と、光源11と、光学フィルター部6と、光混合部5と、導光部材8と、光取り出し部9と、を備え、光混合部5にて合成された光源1からの光と光源11からの光とが混在する波長領域において、光学フィルター部4、6は、透過率が略一定となるような透過特性を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、擬似太陽光を照射面に照射する擬似太陽光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、クリーンなエネルギー源としての重要性が認められ、その需要が高まりつつある。太陽電池の利用分野は、大型機器類のパワーエネルギー源から、精密な電子機器類の小型電源まで、多岐に渡っている。
【0003】
太陽電池が様々な分野で広く利用されるには、太陽電池の特性、とりわけ、太陽電池の発電量などの出力特性が正確に測定されなければならない。出力特性が正確に測定されなければ、太陽電池の使用に際して様々な不都合が予測されるためである。そのため、太陽電池の検査、測定および実験に利用可能な、高精度の擬似太陽光を大面積に照射できる技術の開発が求められている。
【0004】
擬似太陽光に求められる主要な要素は、その擬似太陽光のスペクトルが基準太陽光(日本工業規格により制定:JIS C8941)に近いこと、および擬似太陽光の照度が基準太陽光と同程度であることとである。
【0005】
そこで、このような擬似太陽光を照射するための装置として、擬似太陽光照射装置が開発されている。この擬似太陽光照射装置は、一般的に太陽電池の受光面に均一な照度の人工光(擬似太陽光)を照射して、太陽電池の発電量などの出力特性を測定するために使用される。
【0006】
このような擬似太陽光照射装置に関して、例えば、特許文献1には、擬似太陽光照射装置の照度ムラを調整する技術が開示されている。具体的には、特許文献1に開示された擬似太陽光照射装置(ソーラーシュミレータ)は、ハロゲンランプとキセノンランプとを備え、ランプごとに配置された反射板によって、各ランプから出射された光を、太陽電池が設置された方向に向かって反射することで、擬似太陽光照射装置の照度ムラを調整している。また、この装置には、太陽電池と反射板との間に擬似太陽光のスペクトルを形成するための光学フィルタが設けられ、これによって、照度ムラが調整された擬似太陽光を、太陽電池に照射する擬似太陽光照射装置を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−48704号公報(2002年02月15日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の擬似太陽光照射装置は、スペクトル合致度が低いという問題がある。その理由を以下に説明する。
【0009】
太陽電池に擬似太陽光を照射した際、太陽電池に受光されずに、太陽電池の表面などで擬似太陽光照射装置側に反射した光(以下、反射光と称する)が生じる。この反射光が、擬似太陽光照射装置から照射された、太陽電池の出力特性を測定するための擬似太陽光に混入して、再度、太陽電池に照射された場合、太陽電池は、当該反射光を含んだ擬似太陽光を受光するため、反射光の混入分だけ太陽電池の発電量が増加する。すなわち、太陽電池は、実際の出力特性以上の値を示すことになり、測定された太陽電池の出力特性に誤差が生じていた。
【0010】
更に、2種類の光源の出射光を重ね合わせて基準太陽光を生成する場合、スペクトル合致度を広い波長領域、例えば多接合太陽電池用のソーラーシミュレータのスペクトルに関する規格(波長350nm〜1100nm、波長領域として50nm単位で分割)において高精度に調整するには、境界波長(例えば、波長700nm)よりも長波長領域における成分の制御が重要になる。しかし特許文献1に記載の技術では、太陽電池モジュールに照射される光にのうち、波長700nmよりも長波長領域の光にキセノンランプからの光も混在する。そのため、境界波長より長波長領域でのスペクトル制御が難しくなる。この結果、長波長側の波長領域では、擬似太陽光と基準太陽光とのスペクトルの差が大きくなる。よって、従来の擬似太陽光照射装置は、スペクトル合致度が低くなるといった問題がある。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、スペクトル合致度の高い擬似太陽光を照射することのできる擬似太陽光照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明に係る擬似太陽光照射装置は、第1の光を照射する第1の光源と、前記第1の光の透過率を調整する第1の光学フィルター部と、前記第1の光とは異なる分光分布を有する第2の光を照射する第2の光源と、前記第2の光の透過率を調整する第2の光学フィルター部と、前記第1の光学フィルター部で調整された前記第1の光と前記第2の光学フィルター部で調整された前記第2の光とを合成することにより擬似太陽光を出射する光混合部と、前記光混合部から出射された前記擬似太陽光を入射させて導光する導光部材と、前記導光部材に入射した前記擬似太陽光を、当該導光部材の照射面から被照射体に向けて取り出す光取り出し部と、を備えた擬似太陽光照射装置であって、前記光混合部にて合成された前記第1の光と前記第2の光とが混在する波長領域において、前記第1の光学フィルター部および前記第2の光学フィルター部は、透過率が略一定となるような透過特性を有することを特徴としている。
【0013】
第1の光源から照射された第1の光と第2の光源から照射された第2の光とが混在する波長領域では、第1の光および第2の光それぞれに対して光混合部で選択される光の割合が大きく変化する。そのため、当該波長領域においては、光混合部から出射される擬似太陽光のスペクトルが大きく変化する場合がある。しかし、上記構成によれば、第1の光学フィルター部および第2の光学フィルター部は、当該波長領域における透過率が略一定になるような透過特性を有している。そのため、当該波長領域におけるスペクトルの変動、特に光学フィルターへの入射角の違いによる変動を減らすことができる。さらに、第1の光学フィルター部および第2の光学フィルター部が光の透過率を調整する際に、第1の光源および第2の光源の光量バランスを制御するだけでも、擬似太陽光照射装置は、スペクトルを制御できるようになる。これにより、擬似太陽光照射装置は、被照射体に照射された擬似太陽光のスペクトルの合致度(基準太陽光と擬似太陽光とのスペクトルのズレ)を高めることができる。
【0014】
なお、上記の構成において、透過率が略一定であるとは、透過率が所定の範囲内であることを指している。ここで、当該所定の範囲は、上記擬似太陽光照射装置により提供される擬似太陽光が所望のスペクトルとなるよう予め定めておくことができる(以下同様)。
【0015】
また、本発明に係る擬似太陽光照射装置は、前記第1の光源の照射スペクトルの照度が、前記第1の光と前記第2の光とが混在する波長領域よりも長波長側の波長領域にて、略一定となるように、前記第1の光源の照射スペクトルを制御することが好ましい。
【0016】
前記第1の光と前記第2の光とが混在する波長領域よりも長波長側の波長領域は、スペクトル変化が大きい。しかし、上記構成によれば、当該長波長側の波長領域において、基準太陽光とのスペクトルを合致させる場合に、第1の光源の照射スペクトルが安定した一定値に近づくため、擬似太陽光の照射スペクトルと基準太陽光のスペクトルとのスペクトル合致度を合わせ込む際の誤差要因がさらに低減される。よって、擬似太陽光照射装置は、当該長波長側の波長領域でのスペクトルを制御しやすくなる。また、擬似太陽光のスペクトルの合致度も高くなる。
【0017】
なお、上記の構成において、照度が略一定であるとは、照度が所定の範囲内であることを指している。ここで、当該所定の範囲は、上記擬似太陽光照射装置により提供される擬似太陽光が所望のスペクトルとなるよう予め定めておくことができる(以下同様)。
【0018】
また、本発明に係る擬似太陽光照射装置における前記第1の光学フィルター部は、少なくとも1つ以上の光学フィルターを含み、前記光学フィルターは、前記第1の光と前記第2の光とが混在する波長領域における透過率が波長によらず略一定であり、当該波長領域よりも長波長側の波長領域における透過率が波長に応じて変化することが好ましい。
【0019】
第1の光学フィルター部の透過率が波長に応じて大きく変化する波長領域は、照射スペクトルの放射照度の変動範囲が小さい波長領域(平坦部)と略同じ領域である。ここで、照射スペクトルの放射照度の変動範囲が小さい波長領域とは、第1の光源の照射スペクトルが安定した一定値である領域、つまり、光混合部にて合成された第1の光と第2の光とが混在する波長領域よりも長波長側の領域である。当該長波長側の領域において、第1の光源の照射スペクトルが安定した一定値であるため、当該領域における照射スペクトルの制御は、第1の光学フィルター部の透過率制御のみで可能となる。
【0020】
そのため、基準太陽光のスペクトル変化が大きな波長領域でも、擬似太陽光照射装置は、照射スペクトルの制御性を向上させることができ、スペクトル合致度もより高精度に制御することができる。
【0021】
また、本発明に係る擬似太陽光照射装置における前記第1の光学フィルター部は、異なる透過特性を有する2つ以上の光学フィルターを含み、1つの光学フィルターが、波長900nm〜1000nmの波長領域において、当該波長領域以外の波長領域における透過率よりも低い透過率を有していることが好ましい。
【0022】
基準太陽光は、波長900nm〜1000nmの波長領域において、スペクトルが大きく低下している。そのため、当該波長領域では、基準太陽光とのスペクトル合致度の合わせ込みが難しい。上記構成によれば、基準太陽光へのスペクトル合致度の合わせ込みが難しい波長領域900nm〜1000nmにおいて、照射スペクトルの大きな低下に対応し、かつ、その他の波長領域への影響を抑制した透過特性を有する光学フィルターを用いることができため、光学フィルター部での透過率の制御性が高まり、結果としてスペクトル合致度が高くなる。
【0023】
また、本発明に係る擬似太陽光照射装置は、前記第1の光に指向性を付与する第1の指向性付与部と、前記第2の光に指向性を付与する第2の指向性付与部と、を更に備えており、前記第1の光学フィルター部は、前記第1の指向性付与部にて指向性が付与された前記第1の光の透過率を調整し、前記第2の光学フィルター部は、前記第2の指向性付与部にて指向性が付与された前記第2の光の透過率を調整することが好ましい。
【0024】
上記構成によれば、第1および第2の光学フィルター部への入射指向性を高めることになる。そのため、第1および第2の光学フィルター部への入射角度の違いによる透過率変化を大幅に抑制でき、第1および第2の光学フィルター部による透過率制御と照射スペクトルの変化の相関がさらに強まる。したがって、スペクトル合致度の制御性がさらに向上する。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る擬似太陽光照射装置は、第1の光を照射する第1の光源と、前記第1の光の透過率を調整する第1の光学フィルター部と、前記第1の光とは異なる分光分布を有する第2の光を照射する第2の光源と、前記第2の光の透過率を調整する第2の光学フィルター部と、前記第1の光学フィルター部で調整された前記第1の光と前記第2の光学フィルター部で調整された前記第2の光とを合成することにより擬似太陽光を出射する光混合部と、前記光混合部から出射された前記擬似太陽光を入射させて導光する導光部材と、前記導光部材に入射した前記擬似太陽光を、当該導光部材の照射面から被照射体に向けて取り出す光取り出し部と、を備えた擬似太陽光照射装置であって、前記光混合部にて合成された前記第1の光と前記第2の光とが混在する波長領域において、前記第1の光学フィルター部および前記第2の光学フィルター部は、透過率が略一定となるような透過特性を有することを特徴としている。
【0026】
したがって、擬似太陽光照射装置は、スペクトルを制御しやすくなり、被照射体に照射された擬似太陽光のスペクトルの合致度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る擬似太陽光照射装置の概略構成を示す側面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る擬似太陽光照射装置の概略構成を他の例を示す側面図である。
【図3】図1の擬似太陽光照射装置における光導入部の一部を示す図である。
【図4】図1の擬似太陽光照射装置における光学フィルター部の構成例を示す図である。
【図5】基準太陽光のスペクトルを示すグラフである。
【図6】図1の擬似太陽光照射装置における光混合部の透過特性を示すグラフである。
【図7】図1の擬似太陽光照射装置におけるハロゲンランプ側の光学フィルター部の透過特性を示すグラフである。
【図8】(a)は、ハロゲンランプ(赤外光域用)およびキセノンランプ(可視光域用)の照射スペクトルを示すグラフであり、(b)は、ハロゲンランプの照射スペクトルを示すグラフである。
【図9】本発明のさらに別の一実施形態に係る擬似太陽光照射装置の要部構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔実施形態1〕
本発明に係る太陽光照明装置に関する実施の形態(実施形態1)について、図面に基づいて説明すれば、以下のとおりである。本実施形態では、本発明に係る擬似太陽光照明装置を用いて、被照射体である太陽電池パネルまたは太陽電池モジュール(以下、太陽電池と称する)に、擬似太陽光を照射する場合について説明する。
【0029】
(擬似太陽光照射装置100の構成)
まず、本実施形態に係る擬似太陽光照射装置100の構成について図2を参照して説明する。本実施形態に係る擬似太陽光照射装置100は、太陽電池20の出力特性を測定するために、太陽電池20に対して擬似太陽光を照射するものである。なお、擬似太陽光とは、人工光の一種であり、自然光(太陽光)のスペクトルに限りなく近似したスペクトルを有する光である。
【0030】
図2は、本発明の実施の形態に係る擬似太陽光照射装置100の概略構成を示す図である。なお、図2では、太陽電池20を保持するための保持部材等を省略して図示している。
【0031】
擬似太陽光照射装置100は、光屈折部材(プリズムシート)7と、導光部材8と、光取り出し部(光取り出し手段)9と、光導入部10a、10bと、を備えている。擬似太陽光照射装置100は、導光部材8の照射面(上面)から擬似太陽光(図中矢印)を、太陽電池等の被照射体(図2においては、太陽電池20)に向けて出射する。以下、擬似太陽光照射装置100について詳細に説明する。なお、以下の説明では導光部材8の照射面側を上方、照射面と逆側(裏側)を下方とする。
【0032】
導光部材8は、互いに対向して配置された光導入部10a、10bの間に設けられている。導光部材8は、光導入部10a、10bから導光部材8の両側面に照射される擬似太陽光を、入射させ導光する。導光部材8は、導光した擬似太陽光を導光部材8の照射面(上面)から照射する。
【0033】
光取り出し部9は、導光部材8の下面(裏面)に形成されている。光取り出し部9は、光導入部10a、10bから出射された擬似太陽光を、導光部材8の照射面に取り出す。具体的には、光導入部10a、10bから導光部材8に入射した光(擬似太陽光)は、導光部材8の内部を伝搬する。このとき、光取り出し部9に当たった光は、導光部材8の照射対象である太陽電池20に向けて照射される。これにより、広い面積の照射面から均一に擬似太陽光を照射することが可能となる。光取出し部9は、例えば、導光部材8の表面に印刷等で形成された散乱体であり、印刷パターンの制御により、より容易に光を導光部材から取り出すことができる。このように、散乱体から形成することが可能な光取り出し部9は、導光部材8内部を伝搬する擬似太陽光を散乱させて、導光部材8の照射面へ導くことができる。また、散乱体の配置パターンを変更・調整すれば、擬似太陽光の照度ムラを調整することもできる。
【0034】
光屈折部材(プリズムシート)7は、導光部材8の照射面(上面)側に配置されている。光屈折部材7は、光の屈折効果により、導光部材8の照射面に対して垂直な方向に近くなるように、導光部材8から出た光の照射方向を制御している。
【0035】
光導入部10a、10bは、導光部材8の両側面に配置されている。擬似太陽光照射装置100では、光導入部10a、10bが、導光部材8の両端に擬似太陽光を出射する。そのため、より多くの光量(照度)の擬似太陽光を導光部材8の照射面から出射することができる。なお、光導入部10a、10bは、導光部材8の両端に設ける必要はなく、導光部材8の一方の端部にのみ設けられていてもよい。なお、光導入部10bの光学部品構成は、光導入部10aの構成と同一である。そのため、ここでは、光導入部10aの構成についてのみ説明する。
【0036】
図2に示されるように、光導入部10aは、光源(第1の光源)1、反射鏡2、光学フィルター部(第1の光学フィルター部)4、光混合部(波長選択ミラー、波長選択手段)5、光学フィルター部(第2の光学フィルター部)6、光源(第2の光源)11および反射鏡12を備えている。
【0037】
光導入部10aは、光源1からの光の透過成分と光源11からの光の反射成分とを光混合部5で合成することにより、擬似太陽光を生成し、当該擬似太陽光を導光部材8の端面(入射面)に照射する。
【0038】
光源1および光源11は、擬似太陽光を生成するために必要なスペクトル分布を有する光(第1の光、第2の光)を照射する光源である。光源1および光源11は、例えば、キセノンランプ(可視光域用)、あるいはハロゲンランプ(赤外光域用)などが用いられるがこれに限定されない。光源11は、光源1から照射される光(第1の光)とは異なる分光分布を有する光(第2の光)を照射するものであればよい。本実施形態では、光源1および光源11として棒状光源を用いているが、この形状に限らず、例えば点光源等でも構わない。
【0039】
光源1は、光学フィルター部4への出射方向以外が、反射鏡2に包囲されている。これにより、光源1から出射される光のうち、光学フィルター部4に向かわない光が反射鏡2で反射し、光学フィルター部4に向かって出射する。
【0040】
同様に、光源11は、光学フィルター部6への出射方向以外が、反射鏡12に包囲されている。これにより、光源11から出射される光のうち、光学フィルター部6に向かわない光が反射鏡12で反射し、光学フィルター部6に向かって出射する。
【0041】
光学フィルター部4、6は、それぞれ、光源1、11から出射された光の透過率を調整する光学素子である。光学フィルター部4、6は、通常エアマスフィルターとも呼ばれる。光学フィルター部4、6によってスペクトル調整された光は、光混合部5にそれぞれ入射する。
【0042】
光混合部5は、波長選択の機能を有する。つまり、光混合部5は、光源1および光源11から放射される光から擬似太陽光に必要な光(スペクトル)を選択(抽出)すると共に、選択された光を合成(混合)して擬似太陽光を出射する。
【0043】
なお、本実施形態では、光源1としてハロゲンランプ、光源11としてキセノンランプを用いており、光混合部5には、波長選択のための境界波長が設定されている波長選択ミラーを用いる。光源1がハロゲンランプの場合、光混合部(波長選択ミラー)5は、境界波長(波長選択ミラーの透過、反射の特性の境界となる波長)として設定される波長よりも長波長側の光を透過する一方、境界波長よりも短波長側の光を反射する。そして、長波長側の光と短波長側の光とを合成して擬似太陽光を合成する。ここで、光源としてハロゲンランプおよびキセノンランプを用い、これらの光成分を光混合部5で合成した場合、境界波長は、キセノンランプの発光スペクトルの輝線成分が少なくなるように、600nm〜700nmに選ぶのが好ましい。
【0044】
(擬似太陽光照射装置101の構成)
次に、図1を参照して、太陽電池20に照射される擬似太陽光のスペクトル分布を、擬似太陽光照射装置100より、更に実際の太陽光に近いものにするために、光源1および光源11から出射された光に指向性を付与する部材を備えた擬似太陽光照射装置101について説明を行う。図1は、擬似太陽光照射装置101の概略構成を示す側面図である。なお、図1では、太陽電池20を保持するための保持部材等を省略して図示している。また、説明の便宜上、図2の擬似太陽光照射装置100と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
【0045】
擬似太陽光照射装置101は、光屈折部材(プリズムシート)7と、導光部材8と、光取り出し部(光取り出し手段)9と、光導入部30a、30bと、を備えている。
【0046】
光導入部30a、30bは、導光部材8の両側面に配置されている。擬似太陽光照射装置101では、光導入部30a、30bが、導光部材8の両端に擬似太陽光を出射する。そのため、より多くの光量(照度)の擬似太陽光を導光部材8の照射面から出射することができる。なお、光導入部30a、30bは、導光部材8の両端に設ける必要はなく、導光部材8の一方の端部にのみ設けられていてもよい。なお、光導入部30bの光学部品構成は、光導入部30aの構成と同一である。そのため、ここでは、光導入部30aの構成についてのみ説明する。
【0047】
図1に示されるように、光導入部30aは、光源(第1の光源)1、テーパカプラ(第1の指向性付与部)3、光学フィルター部(第1の光学フィルター部)4、光混合部(波長選択ミラー、波長選択手段)5、光学フィルター部(第2の光学フィルター部)6、光源(第2の光源)11、テーパカプラ(第2の指向性付与部)13、集光素子(第1の指向性付与部)14、集光素子(第2の指向性付与部)15、反射部材16a、16b、および反射部材17a、17bを備えている。
【0048】
光導入部30aは、光源1からの光の透過成分と光源11からの光の反射成分とを光混合部5で合成することにより、擬似太陽光を生成し、当該擬似太陽光を導光部材8の端面(入射面)に照射する。
【0049】
集光素子14は、光源1から出射された光を集めて、テーパカプラ3に向けて反射させるものである。集光素子14は、光源1のテーパカプラ3への出射方向以外を包囲するように設けられている。これにより、光源1から出射される光のうち、テーパカプラ3に向かわない光が集光素子14で反射し、テーパカプラ3に向かって出射する。集光素子14には、例えば、楕円ミラー、放物面ミラーなどが用いられる。
【0050】
テーパカプラ3は、光導入部30aに設けられた光学素子である。テーパカプラ3は、光源1と光学フィルター部4との間に設けられている。テーパカプラ3の一方の端部は、光源1と近接して配置され、他方の端部は光学フィルター部4に近接して配置されている。
【0051】
反射部材16a、16bは、集光素子14に装着され、テーパカプラ3の入射面を包囲している。これにより、光源1からテーパカプラ3に向かって出射され、入射面に入射されなかった光が反射部材16a、16bで反射する。反射した光は、集光素子14で反射し、再度テーパカプラ3に向かって出射する。したがって光源1からの出力光が有効に利用される。
【0052】
集光素子15は、光源11から出射された光を集めて、テーパカプラ13に向けて反射させるものである。集光素子15は、光源11のテーパカプラ13への出射方向以外を包囲するように設けられている。これにより、光源11から出射される光のうち、テーパカプラ13に向かわない光が集光素子15で反射し、テーパカプラ13に向かって出射する。集光素子15には、例えば、楕円ミラー、放物面ミラーなどが用いられる。
【0053】
テーパカプラ13は、光導入部30aに設けられた光学素子である。テーパカプラ13は、光源11と光学フィルター部6との間に設けられている。テーパカプラ13の一方の端部は、光源11と近接して配置され、他方の端部は光学フィルター部6に近接して配置されている。
【0054】
反射部材17a、17bは、集光素子15に装着され、テーパカプラ13の入射面を包囲している。これにより、光源11からテーパカプラ13に向かって出射され、入射面に入射されなかった光が反射部材17a、17bで反射する。反射した光は、集光素子15で反射し、再度テーパカプラ13に向かって出射する。したがって光源11からの出力光が有効に利用される。
【0055】
図1に示すように、テーパカプラ3、13は、テーパカプラ3から出射される光(光源1からの光)の出射方向(x軸方向)と、テーパカプラ13から出射される光(光源11からの光)の出射方向(y軸方向)との成す角が90°になるように配置されている。
【0056】
光学フィルター部4、6は、それぞれテーパカプラ3、13の出射面に近接して設けられている。光学フィルター部4、6は、それぞれ光源1、11から出射された光の透過率を調整する光学素子である。光学フィルター部4、6によってスペクトル調整された光は、光混合部5にそれぞれ入射する。
【0057】
光学フィルター部4、6には、後述する指向性の改善原理(指向性の付与)により、指向性の高い光が入射する。光源(ハロゲンランプ)1の出射光をスペクトル調整する際、または、光源(キセノンランプ)11の出射光をスペクトル調整する際、光学フィルター部4、6への入射角度範囲が制限されることで、光学フィルター部4、6は、スペクトル調整性能が向上する。つまり、光学フィルター部4、6による透過率制御と照射スペクトルの変化の相関がさらに強まる。結果として、光源(ハロゲンランプ)1、光源(キセノンランプ)11のそれぞれの光学フィルター部4、6の出射光を合成して得られる擬似太陽光に対してのスペクトル合致度の制御性を、大幅に改善(スペクトル合致度がJIS規格でのMS級まで向上)することができる。
【0058】
(指向性の改善原理)
光源1から出力された光は集光素子14によって、放射指向性が制御され、図1におけるxy面の指向性を付与(指向性が改善)される。この指向性の改善原理について図1、および図3を用いて説明する。
【0059】
図1において、紙面の奥行き方向をy軸とする。本実施形態において、集光素子14を、例えば楕円ミラーとすると、楕円ミラーの楕円面の焦点に光が集まることにより、光源1からの光は、集光素子14による集光時の集光角の分だけの指向性を有する。さらに、反射部材16a、16bは、テーパカプラ3に入射せずに導光部材8に入るような指向性の悪い光を除去すると共に、光源1から出射されテーパカプラ3に入射しなかった光を反射する。反射部材16a、16bで反射された光は、集光素子14で再び反射してテーパカプラ3に入射する。
【0060】
また、光源1から出力された光は、テーパカプラ3によっても放射指向性が制御される。これにより、テーパカプラ3を出た光は図1のxz面の指向性が付与される。
【0061】
図3は、擬似太陽光照射装置101における光導入部30aの一部を示す図である。つまり、光導入部30aを図1のZ方向から見た上面図である。
【0062】
図3に示すように、テーパカプラ3は、対向する一対の面がテーパ形状(台形形状)になっている。テーパカプラ13も同一形状である。すなわち、テーパカプラ3、13の入射面から出射面に向かって、テーパカプラ3、13の幅(断面積)が徐々に増加する。このような構造によって、光源1、11から出力された光は、テーパカプラ3、13の側面で反射を繰り返すうちに、指向性(放射角)が改善される。これにより、テーパカプラ3、13の出射面に略垂直な方向に指向性が揃った(放射角が制御された)光が、テーパカプラ3、13の出射面から出射される。なお、テーパカプラ3、13から出射される光の放射角は、テーパカプラ3、13の側面の傾斜角とテーパカプラ3、13における光の進行方向の長さとによって、制御される。
【0063】
なお、図1および図3の擬似太陽光照射装置101において、光源1がハロゲンランプで、光源11がキセノンランプの場合、光混合部(波長選択ミラー)5は、境界波長(波長選択ミラーの透過、反射の特性の境界となる波長)として設定される波長よりも長波長側の光を透過する一方、境界波長よりも短波長側の光を反射する。ここで、光源としてハロゲンランプおよびキセノンランプを用い、これらの光成分を光混合部5で合成した場合、境界波長は、キセノンランプの発光スペクトルの輝線成分が少なくなるよう、600nm〜700nmに選ぶのが好ましい。
【0064】
(光学フィルター部4、6について)
図1の擬似太陽光照射装置101は、各光源に対して1枚のフィルターで構成された光学フィルター部4、6を備えている。しかし、光学フィルター部4、6は、複数枚のフィルターで構成されていてもよい。図4は、擬似太陽光照射装置101における光導入部30aの光学フィルター部4の構成を示す図である。また、図5は、基準太陽光のスペクトルを示すグラフである。
【0065】
本実施形態における擬似太陽光照射装置101では、図4に示すように、光学フィルター部4が複数枚(図4では2枚の光学フィルター4a、4b)で構成されている。このように、光学フィルター部4であれば、より細かな波長体でのスペクトル調整が可能となる。したがって、このような光学フィルター部4を有する擬似太陽光照射装置101では、光源(キセノンランプ)11側に配置される光学フィルター部6を通過した光と、光源(ハロゲンランプ)1側に配置された光学フィルター部4を通過した光を、光混合部5で合成することにより、図5に示すような基準太陽光により類似したスペクトル分布を有する擬似太陽光を生成することができる。
【0066】
また、光混合部5は、境界波長を波長650nmとしたとき、当該境界波長を境にして、光源(ハロゲンランプ)1の長波長側の光を透過し、光源(キセノンランプ)11の短波長側の光を反射して光合成(光混合)を行う。ハロゲンランプからの出力光は、擬似太陽光に必要な長波長側の成分を多く含み、キセノンランプからの出力光は、擬似太陽光に必要な短波長側の成分を多く含む。そのため、光混合部5は、境界波長未満の光を反射する一方、境界波長以上の光を透過する。
【0067】
図6は、光混合部5の透過特性を示すグラフである。図6において、横軸は光の波長を示し、縦軸は反射率(%)を示す。図6に示すように、光混合部5は、図6に示すように、境界波長の±50nmの範囲(つまり、600nm〜700nm)において光の反射率が大きく変化する。つまり、光の透過率が大きく変化する。つまり、光混合部5にて合成された光のうち、波長領域600nm〜700nmの光には、光源1からの光と、光源11からの光との両方が存在する(混在する)。
【0068】
図7は、本実施形態における光源(ハロゲンランプ)1側の光学フィルター部4の透過特性を示すグラフである。図7に示すように、本実施形態における光学フィルター部4は、境界波長の±50nmの範囲(600nm〜700nm)における光の透過率が略一定(図7においては、約96%〜98%)になるような透過特性を有している。この透過率が略一定であるとは、透過率が所定の範囲内にあることを示す。当該所定の範囲とは、擬似太陽光照射装置101により提供される擬似太陽光が所望のスペクトルとなるように予め定められた範囲である。なお、光学フィルター部6についても同様の透過特性を有している。
【0069】
このように、光混合部5にて合成された光源1からの光および光源11からの光が混在する波長領域(600nm〜700nm)では、光学フィルター部4、6は、透過率が略一定となるような透過特性を有している。光混合部5にて合成された光源1からの光および光源11からの光が混在する波長領域(600nm〜700nm)では、図6に示すように光混合部5で選択される光の割合が大きく変化する。そのため、当該波長領域においては、光混合部5から出射される擬似太陽光のスペクトルが大きく変化する場合がある。しかし、光学フィルター部4、6が、当該波長領域における透過率が略一定になるような透過特性を有していることにより、当該波長領域におけるスペクトルの変動、特に光学フィルターへの入射角の違いによる変動を減らすことができる。そのため、擬似太陽光として照射されるスペクトルは、光源1および光源11が持つ放射スペクトルと、光混合部5の透過特性、反射特性とによってほぼ決定される。そのため、擬似太陽光照射装置101は、スペクトルを制御しやすくなる。
【0070】
さらに、光学フィルター部4、6がスペクトル分布を調整する際に、光源1および光源11の光量バランスを制御するだけでも、擬似太陽光照射装置101は、スペクトルを制御できるようになる。これにより、擬似太陽光照射装置101は、太陽電池20に照射された擬似太陽光のスペクトルの合致度(基準太陽光と擬似太陽光とのスペクトルのズレ)を合わせ込みやすくなる。ここで、光源1および光源11の光量バランスの制御は、当該擬似太陽光照射装置101が行ってもよいし、擬似太陽光照射装置101とは別の装置またはユーザが行ってもよい。
【0071】
また、光源1がハロゲンランプの場合には、光源1が使用する波長帯、発光時の付加定格電圧、フィラメントの形状(太さや長さ)により、ハロゲンランプの放射スペクトルが変化する。
【0072】
具体的には、ハロゲンランプの放射照度のピーク位置は図8(a)の太線に示すように変化する。図8(a)は、ハロゲンランプ(赤外光域用)およびキセノンランプ(可視光域用)の照射(発光)スペクトルを示すグラフであり、(b)は、ハロゲンランプの照射スペクトルを示すグラフである。本実施形態においては、波長領域700nm〜1100nmの範囲において、光源の放射照度がある程度一定になるようにハロゲンランプの放射スペクトルを決める。本実施形態では、図8(b)にて示すように、光源(ハロゲンランプ)1の放射スペクトルのピーク波長を900nmとしている。また、本実施形態における光源1の放射スペクトルのピーク波長付近では、放射スペクトルの波長依存性が小さい。つまり、図8(b)に示すように波長領域700nm〜1100nmにおいて、ピーク(波長900nmのときの照度)に対する照度低下は10%以内である。これを、波長領域700nm〜1100nmにおける平均値からの差分で見ると、±5%以内と変動範囲としては小さい。そのため、この波長領域(700nm〜1100nm)を、光源1の照射スペクトルの放射照度が略一定の波長領域と見なすことができる。このように、光源1の照射スペクトルの放射照度は、光混合部5にて合成された光源1からの光および光源11からの光が混在する波長領域(600nm〜700nm)よりも長波長側の領域(700nm〜1100nm)にて、略一定となる。
【0073】
ここで、波長領域(700nm〜1100nm)において、擬似太陽光の照射スペクトルは、(ハロゲンランプの照射スペクトル)×(光学フィルター部4の透過率)=(擬似太陽光の照射スペクトル)で表すことができる。スペクトル変化が大きい長波長領域(700nm〜1100nm)において、基準太陽光とのスペクトルを合致させる場合に、ハロゲンランプの照射スペクトルが安定した一定値に近づくため、擬似太陽光の照射スペクトルと基準太陽光のスペクトルとのスペクトル合致度を合わせ込む際の誤差要因がさらに低減される。よって、擬似太陽光照射装置101は、波長領域(700nm〜1100nm)でのスペクトルを制御しやすくなる。また、太陽電池20に照射された擬似太陽光のスペクトルの合致度も高くなる。
【0074】
本実施形態で使用する光学フィルター部4の透過特性を図7に示したが、光学フィルター部4は、波長領域700nm〜1100nmにおいて、その透過特性を、基準太陽光のスペクトルに合わせて変化させている。
【0075】
図7に示す光源1のハロゲンランプ用の光学フィルター部4の透過特性において、透過率が波長に応じて変化する波長領域は、図8(b)に示すようなハロゲンランプの照射スペクトルの放射照度の平坦部(波長領域700nm〜1100nm)とほぼ同じ波長領域となっている。よって、波長領域700nm〜1100nmでのスペクトル制御は、波長領域700nm〜1100nmでの光学フィルター部4の透過率制御のみで可能となる。
【0076】
このように、ハロゲンランプ用の光学フィルター部4は、光混合部5にて合成された光源1からの光および光源11からの光が混在する波長領域(600nm〜700nm)における透過率が波長によらず略一定であり、当該波長領域よりも長波長側の波長領域(700nm〜1100nm)における透過率が波長に応じて変化するような光学フィルターを少なくとも1つ以上含んでいる。
【0077】
上記構成によれば、基準太陽光のスペクトル変化が大きな赤外波長領域でも、擬似太陽光照射装置101は、照射スペクトルの制御性を向上させることができ、スペクトル合致度もより高精度に制御することができる。
【0078】
また、図5に示すように、基準太陽光は、波長900nm〜1000nmの波長領域において、スペクトルが大きく低下している。そのため、当該波長領域では、基準太陽光とのスペクトル合致度の合わせ込みが難しい。
【0079】
そこで、図4のように、光学フィルター部4が異なる透過特性を有する2つ以上(例えば、光学フィルター4a、4bの2つ)の光学フィルターで構成されている場合、当該波長領域でのみ透過率を調整可能な1つの光学フィルターを有することが好ましい。つまり、1つの光学フィルター(例えば、光学フィルター4b)は、波長900nm〜1000nmの波長領域において、当該波長領域以外の波長領域における透過率よりも低い透過率を有していることが好ましい。
【0080】
例えば、光学フィルター4bは、波長900nm〜1000nmの波長領域において、当該波長領域の透過率の最大値が50%以下に設定され、波長領域900nm〜1000nm以外の波長領域の透過率を、略100%に設定されている。
【0081】
このような光学フィルター4bを用いることにより、基準太陽光へのスペクトル合致度の合わせ込みが難しい波長領域900nm〜1000nmで、更に透過率を調整することができ、結果としてスペクトル合致度を改善できる。
【0082】
〔実施形態2〕
本発明に係るさらに他の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態では、本発明の擬似太陽光照射装置を測定すべき対象の太陽電池に合わせて、照射範囲を広げるための構成を示す。図9は、本実施形態に係る擬似太陽光照射装置102の要部構成を示す図である。
【0083】
図9に示すように、擬似太陽光照射装置102では、図1に示す構成の擬似太陽光照射装置101を8列並べた構成により、モジュール全体を測定できるように、照射可能な範囲を広げている。
【0084】
具体的には、図9に示すように、擬似太陽光照射装置101における導光部材8が、複数(図9では8枚)の導光部材60a…60hに分割されている。さらに、各導光部材60a…60hに対し、擬似太陽光照射装置101における光導入部30a,30bに対応する複数(図9では、4つのユニット)の光導入部61a〜64a,…61h〜64hが設けられている。本実施形態では、一光路の幅を225mmとしおり、導光部材の全長1200mmとしている。これにより、最大1200mm×1800mmの擬似太陽光の照射範囲を有している。
【0085】
擬似太陽光照射装置102では、導光部材8を複数の導光部材60a…60hに分割することによって、導光部材60a…60h全体としての投入光量を高めることができる。また、擬似太陽光照射装置102では、複数の光導入部61a〜64aを1つの導光部材60aに設けることによって、光量増加を確保することができる。
【0086】
さらに、導光部材60a…60hを同等な照度で照射できる照射部配置とすることで、照度ムラなどを拡大することなく、照射範囲を広げることができる。よって、形成されるスペクトル合致度も照射範囲全体で高めることもできる。
【0087】
〔補足〕
なお、本発明は、以下のように表現することもできる。
【0088】
〔1〕第1の光源と、第1の光源の出射光の透過率を調整する第1の光学フィルター部、第2の光源と、第2の光源の出射光の透過率を調整する第2の光学フィルター部及び第1の光学フィルター部の出射光と、第2の光学フィルター部の出射光とを混合する光混合部と、前記光混合部を出射した光を導入する導光部材と、前記導光部材に設けられ、かつ前記導光部材から光を照射するための光取り出し部を有しており、前記光混合部で合成された第1の光源の出射光と第2の光源の出射光とが混在する波長領域において、第1の光学フィルター部の透過特性、及び第2の光学フィルター部の透過特性が透過率略一定の透過特性を示すことを特徴とする擬似太陽光照射装置。
【0089】
〔2〕前記第2の光源の照射スペクトルの照度が略一定の波長領域を有しており、前記照度が略一定の波長領域が、前記第1の光源の光と、第2の光源の光とが混在する波長領域より長波長側になるよう前記第2の光源が発光制御されることを特徴とする上記〔1〕に記載の擬似太陽光照射装置。
【0090】
〔3〕前記第2の光学フィルター部が、前記第1の光源の光と、第2の光源の光とが混在する波長領域において、その透過率が略一定であり、かつ、前記第2の光源の照射スペクトルの照度が略一定の波長領域においては透過率が変動する光学フィルターを少なくとも1種以上含むよう構成されていることを特徴とする上記〔1〕または〔2〕に記載の擬似太陽光照射装置。
【0091】
〔4〕前記第2の光学フィルター部が異なる透過特性の2種以上の光学フィルターで構成され、かつ、1つの光学フィルターが波長900nm-1000nmの波長領域だけで透過率が低下することを特徴とする上記〔1〕から〔3〕の何れかに記載の擬似太陽光照射装置。
【0092】
〔5〕前記第1の光源の出射光を、前期第1の光源の出射光に指向性を付与する第1の指向性付与手段を介して前記第1の光学フィルター部に入射させ、かつ 前記第2の光源の出射光を、前期第2の光源の出射光に指向性を付与する第2の指向性付与手段を介して前記第2の光学フィルター部に、入射させることを特徴とする上記〔1〕から〔4〕の何れかに記載の擬似太陽光照射装置。
【0093】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、太陽電池の検査、測定、および実験に好適に利用することができる。また、化粧品、塗料、接着剤、各種材料の退色および耐光試験にも利用することができる。さらに、光触媒の検査および実験、ならびに自然光を必要とするその他の各種実験にも利用することができる。
【符号の説明】
【0095】
1 光源(第1の光源、ハロゲンランプ)
2 反射鏡
3 テーパカプラ(第1の指向性付与部)
4 光学フィルター部(第1の光学フィルター部)
4a,4b 光学フィルター
5 光混合部(波長選択ミラー、波長選択手段)
6 光学フィルター部(第2の光学フィルター部)
7 光屈折部材(プリズムシート)
8 導光部材
9 光取り出し部(光取り出し手段)
10a,10b 光導入部
11 光源(第2の光源、キセノンランプ)
12 反射鏡
13 テーパカプラ(第2の指向性付与部)
14 集光素子(第1の指向性付与部)
15 集光素子(第2の指向性付与部)
16a,16b 反射部材
17a,17b 反射部材
20 太陽電池(被照射体)
30a,30b 光導入部
100 擬似太陽光照射装置
101 擬似太陽光照射装置
102 擬似太陽光照射装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光を照射する第1の光源と、
前記第1の光の透過率を調整する第1の光学フィルター部と、
前記第1の光とは異なる分光分布を有する第2の光を照射する第2の光源と、
前記第2の光の透過率を調整する第2の光学フィルター部と、
前記第1の光学フィルター部で調整された前記第1の光と前記第2の光学フィルター部で調整された前記第2の光とを合成することにより擬似太陽光を出射する光混合部と、
前記光混合部から出射された前記擬似太陽光を入射させて導光する導光部材と、
前記導光部材に入射した前記擬似太陽光を、当該導光部材の照射面から被照射体に向けて取り出す光取り出し部と、を備えた擬似太陽光照射装置であって、
前記光混合部にて合成された前記第1の光と前記第2の光とが混在する波長領域において、前記第1の光学フィルター部および前記第2の光学フィルター部は、透過率が略一定となるような透過特性を有することを特徴とする擬似太陽光照射装置。
【請求項2】
前記第1の光源の照射スペクトルの照度が、前記第1の光と前記第2の光とが混在する波長領域よりも長波長側の波長領域にて、略一定となるように、前記第1の光源の照射スペクトルを制御することを特徴とする請求項1に記載の擬似太陽光照射装置。
【請求項3】
前記第1の光学フィルター部は、少なくとも1つ以上の光学フィルターを含み、
前記光学フィルターは、前記第1の光と前記第2の光とが混在する波長領域における透過率が波長によらず略一定であり、当該波長領域よりも長波長側の波長領域における透過率が波長に応じて変化することを特徴とする請求項2に記載の擬似太陽光照射装置。
【請求項4】
前記第1の光学フィルター部は、異なる透過特性を有する2つ以上の光学フィルターを含み、
1つの光学フィルターが、波長900nm〜1000nmの波長領域において、当該波長領域以外の波長領域における透過率よりも低い透過率を有していることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の擬似太陽光照射装置。
【請求項5】
前記第1の光に指向性を付与する第1の指向性付与部と、
前記第2の光に指向性を付与する第2の指向性付与部と、を更に備えており、
前記第1の光学フィルター部は、前記第1の指向性付与部にて指向性が付与された前記第1の光の透過率を調整し、
前記第2の光学フィルター部は、前記第2の指向性付与部にて指向性が付与された前記第2の光の透過率を調整することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の擬似太陽光照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−96836(P2013−96836A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239819(P2011−239819)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】