説明

攪拌ユニット

【課題】作業性を損なうことなく被攪拌物内への異物の混入を防止可能な攪拌ユニットを提供する。
【解決手段】本発明に係る攪拌ユニット1は、被攪拌物100が収容される容器110の上部の開口112上に載置される蓋体10と、蓋体10に取付けられて被攪拌物100を攪拌する攪拌装置20と、被攪拌物100を容器110内から外部に送出する送出管120を保持するために蓋体10に設けられる第1挿通孔32と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内の塗料等の被攪拌物を攪拌するための攪拌ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種物品の塗装においては、一斗缶などの容器内の塗料をポンプでスプレーガンに供給し、塗料をスプレーガンで各種物品に吹き付けて行う噴霧塗装が一般的に行われている。このような噴霧塗装では、塗料を容器内からポンプに送出するための送出管、およびポンプから返送される塗料を容器内に戻すための返送管が、容器の開放された上部開口から容器内に差し込まれて使用される。
【0003】
また、噴霧塗装においては、塗料を均一な状態に保つために、容器内の塗料を攪拌するための攪拌装置が使用される。従来、この攪拌装置は、エアモータ等により塗料内で羽根車を回転させるものが一般的であり、塗装中に送出管および返送管と共に羽根車を容器の上部開口から容器内に差し込んで使用することができるように、架台に支持されたものや容器の上部開口の縁に固定するもの等が存在している(例えば、非特許文献1または2参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】アネスト岩田株式会社 塗料攪拌機(平成22年1月7日検索)<http://www.anest-iwata.co.jp/products/paint/prd/supply/supply.html>
【非特許文献2】株式会社明治機械製作所 かくはん機(平成22年1月7日検索)<http://www.meijiair.co.jp/html/gun/product_gun_MAF.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の架台に支持された攪拌装置では、例えば塗料を収容した容器に攪拌装置をセットする場合に、大きな架台を持ち上げたり、モータおよび羽根車を架台から取外したりする必要がある等、作業性が悪いという問題があった。また、攪拌装置に対する容器の位置が定まっていないため、一旦容器に攪拌装置をセットした後は両者を共に移動させることが難しく、さらに容器の位置がずれた場合には回転する羽根車と容器が接触して摩耗粉や破片等が塗料内に混入し、塗装品質が劣化するという問題があった。
【0006】
また、従来の容器の縁に固定する攪拌装置では、容器の強度および剛性が不足している場合には、安定した状態で固定することが難しいという問題があった。特に、容器の上部を大きく開放したような場合には容器の剛性が大きく低下するため、不安定な状態で攪拌装置が固定されることとなり、羽根車と容器が接触する可能性が高まるという問題があった。
【0007】
また、従来の攪拌装置では、羽根車を容器内に差し込むために容器上部を大きく開放する必要があるにも関わらず、塵埃対策について考慮されていないため、大きく開放された容器の上部開口から塵埃等の異物が容器内の塗料に混入するという問題があった。さらに、従来の攪拌装置では、送出管および返送管の固定方法について考慮されていないため、送出管および返送管は単に容器内に差し込まれて使用されるのが一般的であり、ポンプの脈動等により送出管または返送管が移動し、回転する羽根車に接触する場合があるという問題があった。
【0008】
本発明は、斯かる実情に鑑みてなされたものであって、作業性を向上させると共に、被攪拌物内への異物の混入を防止可能な攪拌ユニットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明は、被攪拌物が収容される容器の上部の開口上に載置される蓋体と、前記蓋体に取付けられて前記被攪拌物を攪拌する攪拌装置と、前記被攪拌物を前記容器内から外部に送出する送出管を保持するために前記蓋体に設けられる第1挿通孔と、を備えることを特徴とする、攪拌ユニットである。
【0010】
(2)本発明はまた、前記被攪拌物を外部から前記容器内に返送する返送管を保持するために前記蓋体に設けられる第2挿通孔をさらに備えることを特徴とする、上記(1)に記載の攪拌ユニットである。
【0011】
(3)本発明はまた、前記攪拌装置は、前記被攪拌物の中で回転する回転体と、前記回転体を回転駆動する駆動装置と、前記回転体と前記駆動装置を繋ぐ駆動軸と、を備え、前記蓋体は、前記駆動装置を前記容器の反対側に着脱可能に固定する固定部と、前記蓋体に固定された駆動装置から前記容器側に向けて前記回転体および前記駆動軸が挿通される孔部と、を備え、前記孔部の内径は、前記回転体の外径よりも大きいことを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の攪拌ユニットである。
【0012】
(4)本発明はまた、前記固定部は、前記駆動装置と係合して前記駆動装置を前記蓋体に固定する係合部を備えることを特徴とする、上記(3)に記載の攪拌ユニットである。
【0013】
(5)本発明はまた、前記蓋体に突設され、前記容器の一部と当接することによって前記蓋体の位置ずれを防止するストッパをさらに備えることを特徴とする、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の攪拌ユニットである。
【0014】
(6)本発明はまた、前記容器内の被攪拌物の液面レベルを測定する液面計をさらに備えることを特徴とする、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の攪拌ユニットである。
【0015】
(7)本発明はまた、前記液面計は、前記蓋体に設けられた第3挿通孔に昇降自在に挿通される昇降部材と、前記昇降部材の下側に取付けられるフロートと、からなることを特徴とする、上記(6)に記載の攪拌ユニットである。
【0016】
(8)本発明はまた、前記蓋体に取付けられ、前記容器内に外部から供給される前記被攪拌物を濾過するフィルタを、さらに備えることを特徴とする、上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の攪拌ユニットである。
【0017】
(9)本発明はまた、外部から返送された前記被攪拌物を濾過するために、前記被攪拌物を外部から前記容器内に返送する返送管を前記フィルタに出口を向けた状態で保持するフィルタ用挿通孔をさらに備えることを特徴とする、上記(8)に記載の攪拌ユニットである。
【0018】
(10)本発明はまた、前記攪拌装置は、前記被攪拌物の中で回転する回転体を備え、前記回転体は、回転軸を中心に回転する本体と、前記本体の表面に設けられる吸入口と、前記本体の表面における前記吸入口よりも前記回転軸から遠心方向外側に設けられる吐出口と、前記吸入口と前記吐出口を繋ぐ流通路と、を備えることを特徴とする、上記(1)乃至(9)のいずれかに記載の攪拌ユニットである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、作業性を損なうことなく被攪拌物内への異物の混入を防止可能という優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)本発明の実施の形態に係る攪拌ユニットの平面図である。(b)図1(a)のA−A線断面図である。
【図2】(a)蓋体の平面図である。(b)図2(a)のB−B線断面図である。
【図3】(a)回転体の平面図である。(b)回転体の正面図(側面図)である。
【図4】(a)回転体の作動を示した平面図である。(b)回転体の作動を示した正面図(側面図)である。
【図5】(a)〜(c)攪拌装置の蓋体への取付け方法を示した図である。
【図6】(a)および(b)攪拌ユニットの使用例を示した概略図である。
【図7】攪拌ユニットの各部分の取外し方法を示した図である。
【図8】蓋体のその他の形態の例を示した図である。
【図9】蓋体のその他の形態の例を示した図である。
【図10】蓋体のその他の形態の例を示した図である。
【図11】回転体のその他の形態の例を示した図である。
【図12】回転体のその他の形態の例を示した図である。
【図13】(a)および(b)フィルタを攪拌ユニットに設けた例を示した図である。
【図14】(a)および(b)は、フィルタを着脱可能に構成した例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
【0022】
まず、本発明の実施の形態に係る攪拌ユニット1の構造について説明する。図1(a)は、攪拌ユニット1の平面図であり、同図(b)は、同図(a)のA−A線断面図である。本実施形態に係る攪拌ユニット1は、噴霧塗装に使用する塗料を塗装中に攪拌するものである。攪拌ユニット1は、同図(a)および(b)に示されるように、蓋体10と、蓋体10に取付けられる攪拌装置20と、蓋体10に設けられた第1固定筒30および第2固定筒40と、液面計50とから構成されている。
【0023】
蓋体10は、塗料(被攪拌物)100を収容した容器110上に載置される平板状の部材である。本実施形態では、例えば一斗缶等の直方体状の容器110上に載置して使用することを想定しているため、蓋体10を容器110の上部の形状に合わせた四角形状に構成している。
【0024】
この蓋体10は、容器110の上部に載置されて容器110の上部開口112を覆うことで、塵埃等の異物の外部から容器110内への進入を防止するように機能する。また、蓋体10は、攪拌装置20および液面計50を保持すると共に、塗料100を容器110の外部に送出する送出管120、および塗料100を外部から容器110内に返送する返送管130を保持するようになっている。蓋体10を構成する材質は、特に限定されるものではなく、攪拌装置20等を保持する強度を有するものであれば、例えば金属や樹脂、木材等のいかなるものであってもよい。
【0025】
図2(a)は、蓋体10の平面図であり、同図(b)は、同図(a)のB−B線断面図である。これらの図に示されるように、蓋体10の略中央には、攪拌装置20を容器110内に差し込むための円形断面の貫通孔である孔部16が形成されている。そして、蓋体10の上面(容器110の反対側の面)において、この孔部16の周囲には、攪拌装置20を固定するための固定部12が設けられている。この固定部12は、攪拌装置20の一部と係合する複数の係合ピン14を備えて構成されている。係合ピン14は、円柱状の胴部14aと、胴部14aの先端に設けられる頭部14bとからなり、頭部14bは胴部14aよりも大径に構成されている。
【0026】
また、蓋体10の外周部には、下側(容器110側)に向けて突出する位置決めストッパ18が形成されている。この位置決めストッパ18は、蓋体10を容器110上に載置した場合に容器110の上部開口112の外側に位置するように構成されており、容器110の側面に当接して蓋体10の位置ずれを制限することで蓋体10の位置決めをするためのものである。
【0027】
なお、本実施形態では、位置決めストッパ18を蓋体10の外周部の全周にわたって形成しているが、これに限定されるものではなく、位置決めストッパ18を部分的に形成するようにしてもよい。また、位置決めストッパ18は、蓋体10を容器110上に載置した場合に容器110の上部開口112の内側に位置するものであってもよい。
【0028】
また、蓋体10の所定の位置には、送出管120および返送管130を保持するための円筒状の部材である第1固定筒30および第2固定筒40が設けられている。これらの第1、第2固定筒30、40は、蓋体10を貫通して配置されている。従って、第1固定筒30および第2固定筒40の内部は、それぞれ蓋体10を貫通する第1挿通孔32および第2挿通孔42となっている。送出管120および返送管130は、それぞれ第1挿通孔32および第2挿通孔42に挿通された状態で第1固定筒30および第2固定筒40に保持されることとなる。なお、塗料100を容器110内へ返送する必要がなく、返送管130を使用しない場合には、第2固定筒40を設けないようにしてもよい。
【0029】
さらに、蓋体10には、液面計50を保持するための第3固定筒60が設けられている。この第3固定筒60は、第1固定筒30および第2固定筒40と同様に蓋体10を貫通して配置された円筒状の部材であり、その内部は、液面計50が昇降可能に挿通されて保持される挿通孔62となっている。
【0030】
図1に戻って、攪拌装置20は、例えばエアモータ等の回転駆動力を発生する駆動装置22と、駆動装置22の回転駆動力を出力する駆動軸24と、駆動軸24の先端に取付けられる攪拌用の回転体70とから構成されている。攪拌装置20は、駆動軸24および回転体70を孔部16に挿通した状態で、駆動装置22を蓋体10の上面(容器110の反対側の面)の固定部12に固定することによって蓋体10に取付けられ、保持される。そして、攪拌装置20は、駆動装置22によって回転体70を回転駆動し、回転体70を塗料100内部で回転させることにより塗料100を攪拌する。
【0031】
図3(a)は、回転体70の平面図であり、図3(b)は、回転体70の正面図(側面図も同一)である。これらの図に示されるように、回転体70は、略半球状の本体71と、本体71の表面に設けられた複数の吸入口72と、本体71の表面に設けられた複数の吐出口74と、吸入口72と吐出口74を繋ぐように本体71の内部に形成された流通路76とから構成されている。
【0032】
本体71は、この例では、略半球状、詳細には円盤の一方の底面71aを平面状に構成し、他方の底面71bを球面状に構成した形状となっている。本体71の底面71aの中心には、駆動軸24が接続される接続部78が設けられている。従って、本体71の中心軸Cが回転軸となる。なお、駆動軸24と接続部78の接続方法は、例えばネジや係合等、既知のいずれの方法であってもよい。
【0033】
本実施形態では、本体71を流通路76以外の部分を中実に構成することで、本体71の強度を高めるようにしている。本体71を構成する材質は、特に限定されるものではなく、例えば金属やセラミックス、樹脂、ゴム、木材等、使用条件に応じた適宜の材質を採用することができる。本実施形態の本体71は、シンプルで加工しやすい形態となっているため、製造方法に制限されることなく、多種多様な材質から本体71を構成することが可能となっている。
【0034】
吸入口72は、本体71における接続部78の反対側の底面71bに設けられている。本実施形態では、4つの吸入口72を中心軸Cを中心とする円周上に等間隔で並べて配置している。また、中心軸Cと同一方向に吸入口72を形成している。吐出口74は、本体71の側面71cに設けられている。本実施形態では、4つの吐出口74を、各吸入口72に対して本体71の遠心方向外側(半径方向外側)となる位置にそれぞれ配置している。また、中心軸Cに対して直交する方向に吐出口74を形成している。
【0035】
流通路76は、1つの吸入口72と1つの吐出口74を繋ぐ通路として形成されている。従って、本体71の内部には、4つの流通路が形成されている。各流通路76は、吸入口72から中心軸C方向に沿って直進した後に直角に曲がり、本体71の半径方向外側に向けて直進して吐出口74に到達するように形成されている。
【0036】
本実施形態では、流通路76をこのように構成することで、ドリルによる穴加工で容易に吸入口72、吐出口74および流通路76を形成できるようにしている。具体的には、吸入口72の位置から中心軸C方向に沿った穴加工、および吐出口74の位置から中心軸Cに向けた穴加工によって容易に吸入口72、吐出口74および流通路76を形成することができる。なお、本実施形態では、流通路76の断面形状を円形に構成しているが、これに限定されるものではなく、例えば楕円形や多角形等、その他の断面形状としてもよい。
【0037】
図4(a)は、回転体70の作動を示した平面図であり、図4(b)は、回転体70の作動を示した正面図(側面図)である。回転体70は、塗料100等のように流体である被攪拌物内において、駆動軸24に駆動されて中心軸Cを中心に回転することにより、被攪拌物を攪拌する。
【0038】
流体中に回転体70を浸漬して回転させると、流通路76内に進入した流体も回転体70と共に回転することとなる。すると、流通路76内の流体に遠心力が作用し、これらの図に示されるように、流通路76内の流体は回転体70の半径方向外側に向けて流動する。吐出口74は、吸入口72よりも本体71の半径方向外側に設けられているため、吐出口74では吸入口72よりも強い遠心力が働くこととなる。従って、流体は、回転体70が回転している限り吸入口72から吐出口74に向けて流動する。すなわち、流通路76内の流体が吐出口74から噴出すると共に、外部の流体が吸入口72から流通路76内に吸引される。これにより、回転体70の周囲の流体には、吐出口74のある側面71cから放射状に広がる流動と、吸入口72のある回転体70の先端に向かう流動が発生することとなる。
【0039】
また、流体中に回転体70を浸漬して回転させると、回転体70の表面近傍の流体が粘性の影響により回転体70と共に回転することとなる。従って、回転体70の表面近傍の流体にも遠心力が働き、これらの図に示されるように、表面近傍の流体は回転体70の表面に沿って側面71cまで流動し、吐出口74からの噴流の随伴流となる。
【0040】
本実施形態では、底面71bを球面状に構成することにより、本体71の形状を軸方向の厚みが半径方向外側に向けて漸次減少する形状としているため、回転体70の底面71b近傍の流動を、側面71cから放射状に広がる流動にスムーズに合流させることを可能としている。また、底面71bをこのような形状にすることで、回転体70の先端に向かう流動の一部を、底面71bに沿って側面71cまでスムーズに流動させて、側面71cから放射状に広がる流動に合流させることを可能としている。この結果、回転体70は、周囲の流体に強力な流動を発生させ、効率的な攪拌を行うことが可能となっている。
【0041】
また、吸入口72、吐出口74および流通路76を備える回転体70によれば、従来攪拌に使用されている羽根車等に比べて、外径(中心軸(回転軸)Cに直角な方向の寸法)を小さく構成しながらも、同等以上の攪拌能力を発揮することが可能となっている。このため、本実施形態では、回転体70の外径を駆動装置22の外径(回転軸に直角な方向の寸法)より小さく構成することで、攪拌装置20の蓋体10への取付け、取外しを容易にしている。
【0042】
図5(a)〜(c)は、攪拌装置20の蓋体10への取付け方法を示した図である。本実施形態では、駆動軸24の先端に回転体70を取付けた状態で攪拌装置20を蓋体10に取付けることが可能となっている。具体的には、まず、同図(a)に示されるように、蓋体10の上方(容器110の反対側)から回転体70および駆動軸24を孔部16内に挿入する。上述のように、本実施形態では、回転体70の外径を駆動装置22の外径より小さく構成することにより、孔部16の内径を回転体70の外径よりも大きく構成することが可能となっている。このため、先端に回転体70を取付けた状態で駆動軸24を孔部16内に挿入することができる。
【0043】
次に、駆動装置22のフランジ部26に設けられた係合孔28を蓋体10の固定部12の係合ピン14に係合させる。駆動装置22のフランジ部26に設けられた係合孔28は、同図(b)および(c)に示されるように、大径部28aおよび小径部28bから構成されている。従って、同図(b)に示されるように、係合ピン14の頭部14bを係合孔28の大径部28aに挿入してフランジ部26の下面を蓋体10の上面に当接させた後に、同図(c)に示されるように、駆動装置22を回転させて係合孔28の小径部18b内に係合ピン14の胴部14aを収容させることにより、係合孔28と係合ピン14が係合し、駆動装置22が蓋体10に固定されることとなる。
【0044】
なお、駆動装置22は、その他の係合構造によって蓋体10の固定部12と係合するものであってもよい。すなわち、既存のエアモータ等が備えている係合構造の規格に合わせて蓋体10の固定部12を構成することができる。また、係合構造以外にも、例えばネジやクランプ機構等によって駆動装置22を蓋体10に固定するようにしてもよい。
【0045】
図1に戻って、液面計50は、第3固定筒60の挿通孔62に昇降自在に挿通される棒状の昇降部材52と、昇降部材52の下側(容器110側)の端部に取付けられたフロート54とから構成されるフロート式の液面計である。フロート54は、塗料100から受ける浮力によって浮揚し、塗料100の液面レベルの変化に追随して昇降する。昇降部材52は、このフロート54の昇降に伴って昇降し、蓋体10の上方(容器110の反対側)への突出量が変化する。本実施形態の液面計50では、この昇降部材52の突出量の変化によって塗料100の液面レベルを示すようにしている。なお、昇降部材52の側面には目盛りが付されており、容易に塗料100の液面レベルを測定することができるようになっている。
【0046】
本実施形態では、このように液面計50を設けることにより、容器110の上部開口112を塞いで容器110内への塵埃の進入を防止しながらも、内部の塗料100の量を容易に把握することができるようになっている。また、液面計50を非常に簡易な構成とすることで、付着した塗料100の洗浄やメンテナンスを容易にし、攪拌ユニット1の使い勝手を向上させている。
【0047】
なお、被攪拌物の性状や容器110の大きさ、攪拌ユニット1の用途等によっては、液面計50として、例えばてこやリンク機構を備えるその他の構造のものを採用してもよいし、例えば超音波式や静電容量式等、フロート式以外のものを採用してもよい。本実施形態では、吸入口72、吐出口74および流通路76を備える回転体70を採用していることから、羽根車を使用する場合とは異なり、塗料100の液面が激しく波立ったり、大きな渦流の発生により容器110の側壁近傍の液面が盛り上がったりすることがない。このため、いずれの構造や方式の液面計であっても液面レベルを正確に測定することが可能となっている。
【0048】
送出管120は、容器110内の塗料100を外部に送出するためのものであり、返送管130は、塗料100を外部から容器110内に返送するためのものである。本実施形態では、送出管120および返送管130は、ポンプ140に接続されている。このポンプ140の吐出側には塗料を噴霧するスプレーガン150が接続されており、容器110内の塗料(塗料)100は、送出管120を通じてポンプに吸入され、スプレーガン150に供給される。そして、ポンプ140に吸入された塗料100のうちスプレーガン150に供給されなかった分は、返送管130を通じて容器110内に返送される。
【0049】
送出管120および返送管130は、例えば金属製や樹脂製等の硬質の管であり、上方から第1固定筒30の第1挿通孔32および第2固定筒40の第2挿通孔42内に挿入される。送出管120および返送管130には、スリーブ状の落下防止ストッパ160が取付けられており、第1挿通孔32および第2固定筒40の第2挿通孔42内に挿入された状態でストッパ160を第1固定筒30または第2固定筒40の上端に当接させることで、送出管120および返送管130は蓋体10に保持されるようになっている。
【0050】
落下防止ストッパ160は、蝶ネジタイプの固定ネジ162を締め込むことにより送出管120または返送管130に固定され、固定ネジ162を緩めた状態では送出管120または返送管130の長手方向にスライド可能となっている。従って、落下防止ストッパ160の固定位置を変更することにより、送出管120および返送管130の容器110内への差し込み深さを任意に変更することができる。
【0051】
次に、攪拌ユニット1の作用について説明する。図6(a)および(b)は、攪拌ユニット1の使用例を示した概略図である。上述のように、攪拌ユニット1は、塗料100を収容した容器110の上部開口112上に載置されて使用される。容器110上に攪拌ユニット1を載置する場合、蓋体10の位置決めストッパ18の内側に容器110の上縁を嵌め込むようにすることで、攪拌ユニット1を容易に位置決めすることができる。また、容器110上に攪拌ユニット1を載置した後は、振動等により攪拌ユニット1の位置がずれようとした場合に、位置決めストッパ18が容器110の側面に当接することで位置ずれを制限するようになっている。
【0052】
攪拌ユニット1が容器110上に載置された状態では、回転体70は塗料100内に浸漬された状態となる。また、液面計50は、昇降部材52が第3固定筒60に保持され、フロート54が塗料100に浮揚した状態となる。送出管120は、先端を塗料100内に浸漬した状態で第1固定筒30に保持され、返送管130は、先端を塗料100から露出させた状態で第2固定筒40に保持される。なお、返送管130の先端を塗料100内に浸漬させるようにしてもよい。
【0053】
駆動装置22によって回転体70を回転させることにより、上述のように回転体70から放射状に広がる流動、および回転体70の先端に向かう流動が発生する。これにより、同図(a)および(b)に示されるように、塗料100内に複雑な循環流が発生する。塗料100は、この循環流により十分に攪拌され、攪拌中は略均一な状態に保たれることとなる。従って、回転体70を回転させながら、ポンプ140により送出管120を通じて容器110内の塗料100を吸入することにより、スプレーガン150に常に均一な状態の塗料100を供給することが可能となる。この結果、噴霧塗装における塗装品質を、安定した状態で向上させることができる。
【0054】
また、攪拌ユニット1では、蓋体10によって容器110の上部開口112を塞いでいるため、外部からの塵埃等が容器110内に進入して塗料100内に混入しないようになっている。また、送出管120および返送管130を第1固定筒30および第2固定筒40で保持することにより回転体70と接触しないようにしているため、回転体70と送出管120または返送管130との接触により生じる摩耗粉や破片等が塗料100内に混入することがないようになっている。さらに、蓋体10に位置決めストッパ18を設けることにより、攪拌ユニット1の位置ずれによる回転体70と容器110との接触による摩耗粉や破片等の発生を防止している。すなわち、攪拌ユニット1によれば、塗料100内に異物が混入して塗装品質が劣化するのを、確実に防止することが可能となっている。
【0055】
また、攪拌ユニット1は、容器110上に載置されて使用されるものであるため、容器110のサイズに合わせてコンパクトに構成することが可能であり、塗装現場のスペース効率を向上させることができる。また、容器110と共に容易に移動させることができるため、塗装現場における作業性を悪化させることなく使用することができる。
【0056】
なお、本実施形態では、ポンプ140によって容器110内から塗料100を送出する例を示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ポンプ140を接続する以外の手法によって塗料100を容器110内から送出するようにしてもよい。また、容器110の形状は、本実施形態において示したものに限定されるものではなく、例えばペール缶やドラム缶等の円筒形状のものをはじめ、どのような形状のものであってもよいことは言うまでもない。
【0057】
図7は、攪拌ユニット1の各部分の取外し方法を示した図である。上述のように、本実施形態では、蓋体10の孔部16の内径を回転体70の外径よりも大きく構成しているため、係合孔28と係合ピン14の係合を解除した後にそのまま上方に持ち上げることにより、回転体70を付けたままで攪拌装置20を蓋体10から取外すことができる。また、送出管120よび返送管130は、上方に引き抜くことで第1固定筒30および第2固定筒40から取外すことができ、液面計50は、下方に引き抜くことで第3固定筒60から取外すことができる。
【0058】
このように、攪拌ユニット1では、各部分を容易且つ迅速に取外すことができるため、使用後の洗浄やメンテナンス時の作業性が大幅に向上している。特に、塗料100が付着した回転体70に触れることなく攪拌装置20を取外可能であることから、洗浄作業がきわめて容易であり、塗料100の色変更をスピーディーに行うことが可能となっている。
【0059】
次に、攪拌ユニット1のその他の形態について説明する。図8〜10は、蓋体10のその他の形態の例を示した図である。
【0060】
まず、図8(a)〜(c)は、蓋体10に、容器110上に載置した場合に容器110の上部開口112の外側に位置する外部位置決めストッパ18aと、容器110の上部開口112の内側に位置する内部位置決めストッパ18bとを組み合わせて設けた例を示している。なお、同図(a)は、この例の蓋体10の平面図であり、同図(b)は、同図(a)のC−C線断面図であり、同図(c)は、この例の蓋体10を容器110上に載置した状態を示したC−C線断面図である。
【0061】
この例では、同図(a)および(b)に示されるように、平面視が四角形状の蓋体10の3辺にそれぞれ外部位置決めストッパ18aを設けると共に、外部位置決めストッパ18aを省略した辺に対向する辺のやや内側に内部位置決めストッパ18bを設けている。このようにすることで、同図(c)に示されるように、例えば一斗缶等の容器110の四角形状の上壁114の3辺のみを切断して外側に折返すことにより上部を開放した場合にも、容器110上に蓋体10を載置することが可能となる。また、蓋体10の位置ずれを確実に防止することができる。
【0062】
図9(a)〜(c)は、容器110の折返した上壁114をストッパとして活用する場合の例を示している。なお、同図(a)は、この例の蓋体10の平面図であり、同図(b)は、同図(a)のD−D線断面図であり、同図(c)は、この例の蓋体10を容器110上に載置した状態を示したD−D線断面図である。
【0063】
この例では、同図(a)および(b)に示されるように、平面視が四角形状の蓋体10の対向する2辺にそれぞれ外部位置決めストッパ18aを設けると共に、残り2辺のうちの1辺に内部位置決めストッパ18bを設けている。同図(c)に示されるように、容器110の上壁114を折返して残している場合、折返した上壁114を蓋体10の端部と当接して位置ずれを制限するストッパとして活用することができる。従って、上壁114の折返し部分の反対側の外部位置決めストッパ18aを省略することで、蓋体10をより簡易且つ安価に構成することができる。
【0064】
なお、この例では、容器110の上部を部分的に開放した場合に対応させて、蓋体10のサイズをやや小さく設定した場合を示している。すなわち、蓋体10の大きさは、容器110の上部の全てを覆う大きさである必要はなく、容器110の上部開口112上に載置可能な大きさであればよい。
【0065】
図10(a)および(b)は、蓋体10の平面視の形状を三角形状に構成した例を示している。なお、同図(a)は、この例の蓋体10の平面図であり、同図(b)は、同図(a)のE−E線断面図である。
【0066】
この例では、同図(a)および(b)に示されるように、蓋体10を平面視が直角三角形状となるように構成し、互いに直行する2辺にそれぞれ外部位置決めストッパ18aを設けると共に、これらの外部位置決めストッパ18aのやや内側に棒状のピンからなる内部位置決めストッパ18bを設けている。このように、蓋体10の平面視の形状を三角形状に構成することにより、容器110の四角形状の上壁114の2辺のみを切断して外側に折返すことにより上部を開放した場合、すなわち容器110に三角形状の上部開口112を形成した場合にも、容器110上に蓋体10を載置することが可能となる。
【0067】
なお、蓋体10の形状は、上述の例に限定されるものではなく、容器110の形状や容器110の上部開口112の形状等に応じた形状であれば、例えば平面視が円形状となる形状等、どのような形状であってもよい。また、蓋体10は、容器110の上部開口112を完全に塞ぐものに限定されず、塗料100への塵埃等の混入が大きな問題とはならないような場合には、容器110の上部開口112を部分的に覆うものであってもよい。
【0068】
また、外部位置決めストッパ18aおよび内部位置決めストッパ18bの形状および配置は、特に限定されるものではなく、容器110に当接して蓋体110の位置ずれを制限することが可能であれば、容器110の形状等に合わせて、どのような形状のものをどのように配置してもよい。さらに、外部位置決めストッパ18aおよび内部位置決めストッパ18bを蓋体10に対して着脱可能に構成してもよい。
【0069】
また、蓋体10における、固定部12および孔部16、ならびに第1固定筒30、第2固定筒40および第3固定筒60の配置は、図2および図8〜10等に示した例に限定されるものではなく、適宜の配置を採用することができる。
【0070】
図11および図12は、回転体70のその他の形態の例を示した図である。回転体70は、駆動装置22により回転軸Cを中心に回転する本体71と、本体71の表面に設けられる吸入口72と、本体71の表面における吸入口72よりも回転軸Cから遠心方向外側に設けられる吐出口74と、吸入口72と吐出口74を繋ぐ流通路76とを備えるものであればどのような形状であってもよい。
【0071】
図11(a)および(b)は、図3(a)および(b)に示した例と同様に回転体70の本体71の回転軸C方向に垂直な断面の外周形状を円形状に構成した例を示しており、同図(a)は、本体71を球状に構成した例、同図(b)は、本体71を円盤状(楕円体状)に構成した例を示している。このように、本体71の回転軸Cに垂直な断面の外周形状を円形状に構成することにより、回転時に被攪拌物(塗料100)と衝突しないようにすることができる。これにより、回転開始時の反動が無くなるため、より安全に攪拌ユニット1を使用することが可能となる。また、例えばメタリック塗料等のように、塗料100にある程度の大きさが必要とされる粉末粒子が混入されているような場合に、このような粉末粒子を衝突によって粉砕することなく、攪拌を行うことができる。
【0072】
また、本体71の回転軸Cに垂直な断面の外周形状を円形状に構成することより、回転軸Cに対する不釣合いの発生を少なくすることができる。このため、不釣合いの発生しやすい羽根車等とは異なり、回転時の振動や振れ回り等を略解消することができる。
【0073】
図12(a)および(b)は、回転体70の本体71を、少なくとも一部分において回転軸C方向に垂直な断面の外周形状が円に複数の凸部または凹部を設けた形状となるように構成した例を示している。なお、同図(a)は、この例の回転体70の平面図であり、同図(b)は、この例の回転体70の正面図(側面図)である。
【0074】
この例では、同図(a)および(b)に示されるように、本体71は、円柱の外周面(側面71c)に12個の凸部71dを設けることによって12角柱状に構成されている。このように、複数の凸部71dを設けることにより、回転体70を回転させた場合に、回転体70の周囲の被攪拌物(塗料100)に適度な渦流または乱流が発生する。この渦流または乱流は、回転体70の回転に伴い、吐出口74からの流動と合成され、より複雑な流動(乱流)が回転体70の周囲に発生することとなるため、攪拌能力をさらに向上させることができる。
【0075】
なお、凸部71dの代わりに、側面71cを凹ませた凹部を設けるようにしてもよいし、凸部71dと凹部を組み合わせて設けるようにしてもよい。また、凸部71dまたは凹部は、同図(b)に示されるように回転軸C方向の全長にわたって設けるのではなく、部分的に設けるようにしてもよい。
【0076】
図13(a)および(b)は、外部から容器110に供給される塗料100を濾過するフィルタ80を攪拌ユニット1に設けた例を示した図である。なお、同図(a)は、この例の攪拌ユニット1の平面図であり、同図(b)は、同図(a)のF−F線断面図である。この例では、同図(a)および(b)に示されるように、蓋体10の一部を開口してそこにフィルタ80を設けている。また、ブラケット44を介して第2固定筒40をフィルタ80の上方に斜めに配置することにより、返送管130の先端をフィルタ80に向けるように構成している。
【0077】
すなわち、この例では、第2挿通孔42は、外部から返送された塗料100を濾過するために、返送管130をフィルタ80に出口を向けた状態で保持するフィルタ用挿通孔として構成されている。これにより、ポンプ140から返送管130を通じて容器110内に返送される塗料100は、フィルタ80を通過した上で容器110内に進入することとなる。なお、フィルタ80は、例えば金網やスポンジ、不織布等、用途に応じた材質から構成すればよい。
【0078】
このようにすることで、外部から返送された塗料100を、フィルタ80で濾過した上で容器110内に戻すことが可能となる。また、容器110内に塗料100を追加投入する場合に、このフィルタ80を通して投入することにより、異物を取り除いた塗料100を追加することができる。これにより、塗料100内に異物が混入する可能性をさらに低減することができ、塗装品質を安定して向上させることができる。
【0079】
図14(a)および(b)は、フィルタ80を着脱可能に構成した例を示した断面図である。同図(a)に示されるように、フィルタ80を蓋体80に対して着脱可能に構成することで、洗浄やメンテナンスを容易にすることができる。この場合、フィルタ80は、単に蓋体10上に載置されるものであってもよいし、係合やネジ等によって蓋体10に固定されるものであってもよい。また、同図(a)に示されるように、フィルタ80と第2固定筒40を一体的に着脱可能に構成してもよいし、フィルタ80を単独で着脱できるように構成してもよい。さらに、フィルタ80と第2固定筒40を一体的に着脱可能に構成した場合、同図(b)に示されるように、フィルタ80と第2固定筒40を取外した後に第2固定筒40のみを蓋体10に取付可能に構成してもよい。また、図示は省略するが、返送管130を使用しない場合には、フィルタ80を取外した後の孔を塞ぐ部材を取付けるようにしてもよい。
【0080】
以上説明したように、本実施形態に係る攪拌ユニット1は、被攪拌物(塗料)100が収容される容器110の上部の開口(上部開口)112上に載置される蓋体10と、蓋体10に取付けられて被攪拌物100を攪拌する攪拌装置20と、被攪拌物100を容器110内から外部に送出する送出管120を保持するために蓋体10に設けられる第1挿通孔32と、を備えている。
【0081】
このため、攪拌ユニット1を容器110上に載置するだけで、外部から容器110内への塵埃等の進入を防止すると共に、攪拌装置20が備える回転体70と送出管120との接触を防止することができる。これにより、作業性を損なうことなく塗料100内への異物の混入を防止することが可能となり、塗装品質を安定して向上させることができる。
【0082】
なお、本実施形態では、噴霧塗装に使用される塗料100を攪拌する攪拌ユニット1を例として示したが、本発明の攪拌ユニットはこれに限定されるものではなく、塗料100以外の各種流体や粉体等を攪拌するものであってもよい。例えば、医療の分野における点滴用の溶液や、食品加工や飲食店における調味料等の攪拌といった用途にも利用することができる。また、攪拌ユニット1は、各種工場等においてタンク等の上部に略恒常的に設置されて使用されるものであってもよい。また、蓋体10は、クランプ、係合または螺合等の既知の構造によって容器110に着脱可能に固定されるものであってもよい。
【0083】
また、攪拌ユニット1は、被攪拌物100を外部から容器110内に返送する返送管130を保持するために蓋体10に設けられる第2挿通孔42をさらに備えている。このため、返送管130を容器110内に挿入する必要がある場合にも、攪拌装置20が備える回転体70と返送管130との接触を防止し、塗装品質を安定して向上させることができる。
【0084】
また、攪拌装置20は、被攪拌物(塗料)100の中で回転する回転体70と、回転体70を回転駆動する駆動装置22と、回転体70と駆動装置22を繋ぐ駆動軸24と、を備え、蓋体10は、駆動装置22を容器110の反対側に着脱可能に固定する固定部12と、蓋体10に固定された駆動装置22から容器110側に向けて回転体70および駆動軸24が挿通される孔部16と、を備え、孔部16の内径は、回転体70の外径よりも大きくなっている。
【0085】
このため、駆動軸24に回転体70を取付けたままの状態で、攪拌装置20を蓋体10に着脱することが可能となり、攪拌ユニット1の組立や分解、洗浄やメンテナンス等を容易にし、作業性を向上させることができる。
【0086】
なお、本実施形態では、吸入口72、吐出口74および流通路76を備える回転体70を使用する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、被攪拌物の性状や用途、攪拌条件等によっては、プロペラ翼やタービン翼等を備える回転羽根や、スパイラル状や棒状、板状等の攪拌部材を備える回転体を採用してもよい。
【0087】
また、固定部12は、駆動装置22と係合して駆動装置22を蓋体10に固定する係合部(係合ピン)14を備えている。このため、攪拌装置20の着脱を容易且つ迅速に行うことができ、作業性を向上させることができる。
【0088】
また、攪拌ユニット1は、蓋体10に突設され、容器110の一部と当接することによって蓋体10の位置ずれを防止する位置決めストッパ18(外部位置決めストッパ18aおよび内部位置決めストッパ18b)をさらに備えている。このため、使用中に攪拌ユニット1の位置がずれて回転体70が容器110等に接触したり、攪拌ユニット1が転倒したりするような事態を防止することができる。これにより、作業時の安全性を高めると共に、回転体70の接触に起因する異物が塗料100内へ混入するのを防止することができる。
【0089】
また、攪拌ユニット1は、容器110内の被攪拌物(塗料)100の液面レベルを測定する液面計50をさらに備えている。このため、蓋体10で容器110の上部開口112を塞いで外部からの塵埃等の容器110内への進入を防止しながらも、塗料100の量を容易に把握することができ、塗装作業を効率的に行うことができる。
【0090】
また、液面計50は、蓋体10に設けられた第3挿通孔62に昇降自在に挿通される昇降部材52と、昇降部材52の下側に取付けられるフロート54と、からなる。このため、液面計50の取外しおよび洗浄がきわめて容易となり、作業性を向上させることができる。
【0091】
また、攪拌ユニット1は、蓋体10に取付けられ、容器110内に外部から供給される被攪拌物(塗料)100を濾過するフィルタ80を、さらに備えている。このため、例えば容器110内に塗料100を追加投入または新規投入する場合に、塗料100を濾過した上で容器110内に収容することが可能であり、塗料100内へ異物が混入する可能性をさらに低減することができる。
【0092】
また、攪拌ユニット1は、外部から返送された被攪拌物(塗料)100を濾過するために、被攪拌物100を外部から容器110内に返送する返送管130をフィルタ80に出口を向けた状態で保持するフィルタ用挿通孔(第2挿通孔42)をさらに備えている。このため、外部から返送される塗料100を、濾過した上で容器110内に戻すことが可能であり、塗料100内へ異物が混入する可能性をさらに低減することができる。なお、本実施形態では、第2挿通孔42をフィルタ用挿通孔とした例を示したが、第2挿通孔42とは別にフィルタ用挿通孔を設けるようにしてもよいことは言うまでもない。
【0093】
また、攪拌装置20は、被攪拌物(塗料)100の中で回転する回転体70を備え、回転体70は、回転軸Cを中心に回転する本体71と、本体71の表面に設けられる吸入口72と、本体71の表面における吸入口72よりも回転軸Cから遠心方向外側に設けられる吐出口74と、吸入口72と吐出口74を繋ぐ流通路76と、を備えている。
【0094】
このため、攪拌能力を維持しながらも、従来使用されている羽根車等に比べて回転体70を小さく構成することができる。これにより、攪拌装置20の着脱を容易にして作業性を向上させることができる。また、容器110が小さい場合であっても、送出管120、返送管130および液面計50を回転体70に接触しないように配置することができる。
【0095】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の攪拌ユニットは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の攪拌ユニットは、塗装の分野以外にも各種流体の攪拌の分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 攪拌ユニット
10 蓋体
12 固定部
14 係合ピン
16 孔部
18 位置決めストッパ
18a 外部位置決めストッパ
18b 内部位置決めストッパ
20 攪拌装置
22 駆動装置
24 駆動軸
32 第1挿通孔
42 第2挿通孔
50 液面計
52 昇降部材
54 フロート
62 第3挿通孔
70 回転体
71 回転体の本体
72 回転体の吸入口
74 回転体の吐出口
76 回転体の流通路
80 フィルタ
100 塗料(被攪拌物)
110 容器
112 容器の上部開口
120 送出管
130 返送管
C 回転体の中心軸(回転軸)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被攪拌物が収容される容器の上部の開口上に載置される蓋体と、
前記蓋体に取付けられて前記被攪拌物を攪拌する攪拌装置と、
前記被攪拌物を前記容器内から外部に送出する送出管を保持するために前記蓋体に設けられる第1挿通孔と、を備えることを特徴とする、
攪拌ユニット。
【請求項2】
前記被攪拌物を外部から前記容器内に返送する返送管を保持するために前記蓋体に設けられる第2挿通孔をさらに備えることを特徴とする、
請求項1に記載の攪拌ユニット。
【請求項3】
前記攪拌装置は、前記被攪拌物の中で回転する回転体と、前記回転体を回転駆動する駆動装置と、前記回転体と前記駆動装置を繋ぐ駆動軸と、を備え、
前記蓋体は、前記駆動装置を前記容器の反対側に着脱可能に固定する固定部と、前記蓋体に固定された駆動装置から前記容器側に向けて前記回転体および前記駆動軸が挿通される孔部と、を備え、
前記孔部の内径は、前記回転体の外径よりも大きいことを特徴とする、
請求項1または2に記載の攪拌ユニット。
【請求項4】
前記固定部は、前記駆動装置と係合して前記駆動装置を前記蓋体に固定する係合部を備えることを特徴とする、
請求項3に記載の攪拌ユニット。
【請求項5】
前記蓋体に突設され、前記容器の一部と当接することによって前記蓋体の位置ずれを防止するストッパをさらに備えることを特徴とする、
請求項1乃至4のいずれかに記載の攪拌ユニット。
【請求項6】
前記容器内の被攪拌物の液面レベルを測定する液面計をさらに備えることを特徴とする、
請求項1乃至5のいずれかに記載の攪拌ユニット。
【請求項7】
前記液面計は、前記蓋体に設けられた第3挿通孔に昇降自在に挿通される昇降部材と、前記昇降部材の下側に取付けられるフロートと、からなることを特徴とする、
請求項6に記載の攪拌ユニット。
【請求項8】
前記蓋体に取付けられ、前記容器内に外部から供給される前記被攪拌物を濾過するフィルタを、さらに備えることを特徴とする、
請求項1乃至7のいずれかに記載の攪拌ユニット。
【請求項9】
外部から返送された前記被攪拌物を濾過するために、前記被攪拌物を外部から前記容器内に返送する返送管を前記フィルタに出口を向けた状態で保持するフィルタ用挿通孔をさらに備えることを特徴とする、
請求項8に記載の攪拌ユニット。
【請求項10】
前記攪拌装置は、前記被攪拌物の中で回転する回転体を備え、
前記回転体は、回転軸を中心に回転する本体と、前記本体の表面に設けられる吸入口と、前記本体の表面における前記吸入口よりも前記回転軸から遠心方向外側に設けられる吐出口と、前記吸入口と前記吐出口を繋ぐ流通路と、を備えることを特徴とする、
請求項1乃至9のいずれかに記載の攪拌ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−161351(P2011−161351A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26060(P2010−26060)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(510183165)株式会社エディプラス (8)
【Fターム(参考)】