説明

支持枠形成用ガラス組成物および支持枠形成材料

【課題】支持枠の形成に好適なガラス組成物およびこれを用いた支持枠形成材料を創案し、支持枠の寸法精度の向上および作製コストの低廉化等を達成すること。
【解決手段】本発明の支持枠形成用ガラス組成物は、ガラス組成として、モル%で、Bi 18〜33%、B 30〜55%、ZnO 0〜30%、MgO+CaO+SrO+BaO(MgO、CaO、SrOおよび/またはBaOの合量) 0〜30%含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支持枠形成用ガラス組成物およびこれを用いた支持枠形成材料に関し、各種形式のフィールドエミッションディスプレイ(FED)、蛍光表示管(VFD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機エレクトロルミネセンスディスプレイ(有機ELディスプレイ)等の平面表示装置に好適な支持枠形成用ガラス組成物およびこれを用いた支持枠形成材料に関する。
【背景技術】
【0002】
FEDは、前面ガラス基板と背面ガラス基板の間に、支持枠を介在させた構造を有している。また、FEDは、装置内部の気密信頼性を保つために、支持枠等が封着材料で封着されている。そして、前面ガラス基板、背面ガラス基板および支持枠で形成される装置内部の空間は、真空状態に保持されている。
【0003】
図1(a)は、従来のFED1の板厚方向の断面模式図であり、前面ガラス基板11と背面ガラス基板12の間に、支持枠13を介在している。図1(b)は、従来のFED1の平面方向の断面模式図であり、図1(a)のA−A’方向に切断し、前面ガラス基板側の上方から見た平面方向の断面模式図である。支持枠13は、前面ガラス基板11および背面ガラス基板12の外周縁に沿って形成されており、枠形状を有している。また、支持枠13は、前面ガラス基板と背面ガラス基板のギャップを均一に保持するため、高い寸法精度が要求される。
【0004】
従来の支持枠は、板引き成形された板ガラスを切削加工等することで作製されていた。特許文献1には、電子放出素子を搭載した背面ガラス基板と、背面ガラス基板と対向して配置されるとともに、電子放出素子から放出される電子線の照射により、画像が形成される画像形成部材を搭載した前面ガラス基板と、前面ガラス基板と背面ガラス基板の間にあって周縁を支持する支持枠を有し、これらの部材を封着材料で封着し気密構造となる平面表示装置の製造方法が記載されている。この支持枠は、特許文献1の明細書段落[0030]によると、青板ガラスを切削加工することで作製されている。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の支持枠は、ガラス基板を切削加工することで作製されるため、支持枠の寸法精度を高めることが困難である。特に、FEDの画面サイズが大きくなる程、ガラス基板の切削加工が困難になり、このことに起因して、支持枠の寸法精度を高めることが困難になるとともに、支持枠の作製コストが高騰する。
【0006】
また、特許文献2に記載の通り、予め短冊状にガラス板を切削加工した後、枠状になるように、これらを融着し、支持枠を作製することも検討されている。しかし、この方法は、短冊状のガラス片を互いに融着させる工程が必要になるため、支持枠の寸法精度を高めることが困難であることに加えて、支持枠の作製コストを低廉化することができない。
【特許文献1】特開平11−317164号公報
【特許文献2】特開2003−160347号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記事情に鑑み、現在、ガラス粉末等を焼結させて、ガラス基板上に支持枠を形成する方法が検討されている。この方法で支持枠を作製すれば、支持枠の寸法精度が高まるとともに、支持枠の作製コストが低廉化する。
【0008】
この方法に用いられるガラス粉末には、以下の特性が要求される。
(1)支持枠の寸法精度を高めるために、支持枠の焼結工程で、ガラスに結晶が析出しないこと、例えば結晶化ピーク温度が600℃以上であること
(2)支持枠の寸法精度を高めるために、ガラス基板の歪点以下で緻密に焼結できること、例えば軟化点が560℃以下であること
(3)ガラス基板の熱膨張係数に整合させるために、熱膨張係数が低いこと、例えば熱膨張係数が110×10−7/℃以下であること
(4)耐火性フィラー粉末と適合性がよいこと、例えばコーディエライト、アルミナ等を混合しても、焼結工程でガラスの熱的安定性が低下し難いこと等が要求される。なお、支持枠形成材料として、ガラス粉末と耐火性フィラー粉末の複合粉末を用いると、熱膨張係数を低下できるとともに、支持枠の寸法精度、特に形状維持性を高めることができる。
【0009】
そこで、本発明は、支持枠の形成に好適なガラス組成物およびこれを用いた支持枠形成材料を創案し、支持枠の寸法精度の向上および作製コストの低廉化等を達成することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、鋭意努力の結果、BiとBを必須成分とするビスマス系ガラスを用いるとともに、Bi、B、ZnOおよびアルカリ土類金属酸化物の含有量を所定範囲に規制することにより、上記技術的課題を解決できることを見出し、本発明として提案するものである。すわなち、本発明の支持枠形成用ガラス組成物は、ガラス組成として、モル%で、Bi 18〜33%、B 30〜55%、ZnO 0〜30%、MgO+CaO+SrO+BaO(MgO、CaO、SrOおよび/またはBaOの合量) 0〜30%含有することを特徴とする。
【0011】
支持枠形成用ガラス組成物において、ガラス組成範囲を上記のように規制すれば、支持枠の焼結工程でガラスが緻密に焼結し、且つガラスに結晶が析出し難くなり、その結果、支持枠の寸法精度を高めることができる。また、ガラス組成範囲を上記のように規制すれば、耐火性フィラー粉末との適合性が向上するため、耐火性フィラー粉末を添加しても、ガラスの熱的安定性が低下し難くなる。さらに、ガラス組成範囲を上記のように規制すれば、ガラスの熱膨張係数が低下するため、支持枠形成材料の熱膨張係数をガラス基板の熱膨張係数に整合させやすくなる。
【0012】
特に、本発明の支持枠形成用ガラス組成物は、Biの含有量を18モル%以上に規制している。このようにすれば、ガラスの軟化点が低下するため、ガラス基板の歪点以下でガラスが緻密に焼結しやすくなる。
【0013】
第二に、本発明の支持枠形成用ガラス組成物は、LiO+NaO+KO(LiO、NaOおよび/またはKOの合量)の含有量が3%以下であることを特徴とする。アルカリ金属酸化物は、ガラスの軟化点を低下させる成分であるが、溶融時に白金製溶融容器を侵食させやすくする成分である。アルカリ金属酸化物の含有量を3%以下に規制すれば、溶融ガラスが白金製溶融容器を侵食させ難くなり、溶融コストを低減することができる。また、アルカリ金属酸化物の含有量を3%以下に規制すれば、ガラスの耐候性を高めることができるとともに、FEDの製造工程において、支持枠に含まれるアルカリイオンが熱拡散し難くなり、結果として、FEDの信頼性を高めることができる。
【0014】
第三に、本発明の支持枠形成用ガラス組成物は、熱膨張係数が110×10−7/℃以下であることを特徴とする。ここで、「熱膨張係数」とは、押棒式熱膨張係数測定(TMA)装置で測定した値を指し、30〜300℃の温度範囲で測定した値を指す。
【0015】
第四に、本発明の支持枠形成材料は、上記の支持枠形成用ガラス組成物からなるガラス粉末を45〜99体積%、耐火性フィラー粉末を1〜55体積%含有することを特徴とする。
【0016】
第五に、本発明の支持枠形成材料は、耐火性フィラー粉末として、コーディエライトを1〜40体積%含有することを特徴とする。このようにすれば、支持枠形成材料の熱的安定性を低下させずに、支持枠形成材料の熱膨張係数が低下しやすくなる。
【0017】
第六に、本発明の支持枠形成材料は、耐火性フィラー粉末として、アルミナを1〜35体積%含有することを特徴とする。このようにすれば、支持枠形成材料の形状維持性が向上する。
【0018】
第七に、本発明の支持枠形成材料は、軟化点が480〜560℃であることを特徴とする。ここで、「軟化点」とは、示差熱分析(DTA)装置で測定した値を指し、DTAは室温から測定を開始し、昇温速度は10℃/分とする。なお、DTA装置で測定した軟化点は、図2に示す第四屈曲点の温度(Ts)を指す。
【0019】
第八に、本発明の支持枠形成材料は、熱膨張係数が60〜80×10−7/℃であることを特徴とする。
【0020】
第九に、本発明の支持枠形成材料は、抗折強度が85MPa以上であることを特徴とする。ここで、「抗折強度」とは、支持枠形成材料を緻密に焼結させた後、3×4×40mmの角柱に加工したものを測定試料として、三点荷重測定法で求めた値を指し、JIS R1601に準拠した方法で測定した値を指す。
【0021】
第十に、本発明の支持枠形成材料は、耐火性フィラー粉末として、コーディエライトを20〜40体積%含有し、且つ窒化物膜または酸窒化物膜上に支持枠を形成するために用いられることを特徴とする。
【0022】
第十一に、本発明の支持枠形成材料は、実質的にPbOを含有しないことを特徴とする。このようにすれば、近年の環境的要請を満たすことができる。ここで、「実質的にPbOを含有しない」とは、支持枠形成材料中のPbOの含有量が1000ppm(質量)以下の場合を指す。
【0023】
第十二に、本発明の支持枠形成材料は、FEDに用いることを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の支持枠形成用ガラス組成物において、ガラス組成を上記のように限定した理由を下記に示す。なお、以下の%表示は、特に限定がある場合を除き、モル%を指す。
【0025】
Biは、軟化点を下げるための主要成分であり、その含有量は18〜33%、好ましくは20〜30%、より好ましくは22〜28%である。Biの含有量が少ないと、ガラスの軟化点が高くなり、支持枠の形成に際し、ガラス基板が熱変形しやすくなる。また、Biの含有量が少ないと、ガラス基板上に支持枠を融着させるための温度が高くなる、或いは支持枠とガラス基板の融着強度が低下しやすくなる。一方、Biの含有量が多いと、ガラスが熱的に不安定になり、溶融時または焼結時にガラスが失透しやすくなる。
【0026】
は、ガラスネットワークを形成する成分であり、その含有量は30〜55%、好ましくは32〜50%、より好ましくは33〜46%である。Bの含有量が少ないと、ガラスが熱的に不安定になり、溶融時または焼結時にガラスが失透しやすくなる。一方、Bの含有量が多いと、ガラスの粘性が高くなり、低温で焼結し難くなる。
【0027】
ZnOは、溶融時または焼結時のガラスの失透を抑制する成分であり、その含有量は0〜30%、好ましくは1〜20%、より好ましくは5〜13%である。ZnOの含有量が多いと、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスの熱的安定性が低下しやすくなる。
【0028】
MgO+CaO+SrO+BaOは、ガラスの熱的安定性を向上させる成分であり、その含有量は0〜30%、好ましくは10〜25%である。MgO+CaO+SrO+BaOの含有量が多いと、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスの熱的安定性が低下しやすくなる。
【0029】
MgOは、ガラスの熱的安定性を向上させる成分であり、その含有量は0〜15%であり、好ましくは0〜10%であり、より好ましくは0〜7%である。MgOの含有量が多いと、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスの熱的安定性が低下しやすくなる。
【0030】
CaOは、ガラスの熱的安定性を向上させる成分であり、その含有量は0〜15%であり、好ましくは0〜10%であり、より好ましくは0〜7%である。CaOの含有量が多いと、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスの熱的安定性が低下しやすくなる。
【0031】
SrOは、ガラスの熱的安定性を向上させる成分であり、その含有量は0〜25%であり、好ましくは3〜20%であり、より好ましくは5〜15%である。SrOの含有量が多いと、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスの熱的安定性が低下しやすくなる。
【0032】
BaOは、ガラスの熱的安定性を向上させる成分であり、その含有量は0〜25%であり、好ましくは3〜20%であり、より好ましくは5〜15%である。BaOの含有量が多いと、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスの熱的安定性が低下しやすくなる。なお、BaOは、任意成分(添加しなくてもよい成分)である。
【0033】
本発明の支持枠形成用ガラス組成物は、例えば、上記成分以外にも下記の成分を35%まで含有することができる。
【0034】
SiOは、ガラスの耐候性を向上させる成分であり、その含有量は0〜15%、好ましくは0〜11%、より好ましくは0.1〜7%である。SiOの含有量が多いと、ガラスの軟化点が高くなり、低温で支持枠を形成することが困難になる。なお、SiOは、任意成分である。
【0035】
Alは、ガラスの耐候性を向上させる成分であり、その含有量は0〜7%、好ましくは0〜3%である。Alの含有量が多いと、ガラスの軟化点が高くなり、低温で支持枠を形成することが困難になる。
【0036】
CuOは、溶融時または焼結時のガラスの失透を抑制する成分であり、その含有量は0〜10%、好ましくは3〜7%である。CuOの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスの熱的安定性が低下しやすくなる。
【0037】
Feは、溶融時または焼結時のガラスの失透を抑制する効果があり、その含有量は0〜3%、好ましくは0〜1.5%である。Feの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスの熱的安定性が低下しやすくなる。
【0038】
CeOは、ガラスの溶融時または焼結時の失透を抑制する効果があり、その含有量は0〜5%、好ましくは0〜2%、より好ましくは0〜1%である。CeOの含有量が多いと、ガラス基板上に支持枠を融着させるための温度が高くなる、或いは支持枠とガラス基板の融着強度が低下しやすくなる。
【0039】
Sbは、ガラスの失透を抑制するための成分であり、その含有量は0〜5%が好ましく、0〜2%がより好ましく、0〜1%が更に好ましい。Sbは、ビスマス系ガラスのネットワーク構造を安定化させる効果があり、ビスマス系ガラスにおいて、Sbを適宜添加することによって、Biの含有量が多い場合であっても、ガラスの熱的安定性が低下する事態を防止することができる。ただし、Sbの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスの熱的安定性が低下しやすくなる。
【0040】
WOは、ガラスの失透を抑制するための成分であり、その含有量は0〜10%、好ましくは0〜2%である。ビスマス系ガラスにおいて、ガラスの軟化点を下げるためには、Biの含有量を多くする必要があるが、Biの含有量が多くなると、焼結時にガラスから結晶が析出して、ガラスの融着性が阻害される傾向がある。特に、Biの含有量が多い場合、その傾向が顕著になる。しかし、ビスマス系ガラスにおいて、WOを適宜添加すれば、Biの含有量が多い場合であっても、ガラスの熱的安定性が低下する事態を防止することができる。ただし、WOの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスの熱的安定性が低下しやすくなる。
【0041】
In+Ga(Inおよび/またはGaの合量)は、ガラスの失透を抑制するための成分であり、その含有量は合量で0〜5%、好ましくは0〜3%である。In+Gaは、ビスマス系ガラスのネットワーク構造を安定化させる効果があり、ビスマス系ガラスにおいて、In+Gaを適宜添加すれば、Biの含有量が多い場合であっても、ガラスの熱的安定性が低下する事態を防止することができる。ただし、In+Gaの含有量が多過ぎると、ガラス組成の成分バランスが損なわれて、逆にガラスの熱的安定性が低下しやすくなる。なお、Inの含有量は0〜1%がより好ましく、Gaの含有量は0〜0.5%がより好ましい。
【0042】
LiO+NaO+KOは、ガラスの軟化点を低下させる成分であり、その含有量は0〜15%、好ましくは0〜3%、より好ましくは0〜1%、特に好ましくは実質的に含有しない。LiO+NaO+KOの含有量が多いと、ガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなる。特に、LiO+NaO+KOが3%より多いと、溶融ガラスが白金製溶融容器を侵食させやすくなることに加えて、ガラスの耐候性を低下しやすくなり、しかもFEDの製造工程で支持枠に含まれるアルカリイオンが熱拡散しやすくなり、結果として、FEDの信頼性を低下しやすくなる。ここで、「実質的にLiO+NaO+KOを含有しない」とは、支持枠形成材料中のLiO+NaO+KOの含有量が1000ppm(質量)以下の場合を指す。
【0043】
LiOは、ガラスの軟化点を低下させる成分であり、その含有量は0〜10%、好ましくは0〜3%、より好ましくは0〜1%である。LiOの含有量が多いと、ガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなることに加えて、支持枠の形成に際し、支持枠形成用ガラス組成物に含まれるLiとガラス基板に含まれるアルカリ成分がイオン交換し、ガラス基板にマイクロクラックが発生しやすくなり、ガラス基板の機械的強度が低下する。特に、LiOが3%より多いと、溶融ガラスが白金製溶融容器を侵食させやすくなることに加えて、ガラスの耐候性が低下しやすくなり、しかもFEDの製造工程でアルカリイオンが熱拡散しやすくなり、結果として、FEDの信頼性を低下しやすくなる。
【0044】
NaOは、ガラスの軟化点を低下させる成分であり、その含有量は0〜10%、好ましくは0〜3%、より好ましくは0〜1%である。NaOの含有量が多いと、ガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなる。特に、NaOが3%より多いと、溶融ガラスが白金製溶融容器を侵食させやすくなることに加えて、ガラスの耐候性が低下しやすくなり、しかもFEDの製造工程でアルカリイオンが熱拡散しやすくなり、結果として、FEDの信頼性を低下しやすくなる。
【0045】
Oは、ガラスの軟化点を低下させる成分であり、その含有量は0〜10%、好ましくは0〜2%、より好ましくは0〜1%である。KOの含有量が多いと、ガラスの熱的安定性が損なわれ、その結果、ガラスが失透しやすくなる。特に、KOが3%より多いと、溶融ガラスが白金製溶融容器を侵食させやすくなることに加えて、ガラスの耐候性が低下しやすくなり、しかもFEDの製造工程でアルカリイオンが熱拡散しやすくなり、結果として、FEDの信頼性を低下しやすくなる。
【0046】
なお、LiO、NaOおよびKOは、それぞれ0.1〜1%含有させると、アルカリ混合効果を享受することができる。
【0047】
本発明の支持枠形成用ガラス組成物は、上記成分以外にも下記の成分を含有することができる。
【0048】
は、溶融時のガラスの失透を抑制する成分であるが、添加量が1%より多いと、溶融時にガラスが分相しやすくなる。
【0049】
MoO、La、YおよびGdは、溶融時にガラスの分相を抑制する成分であるが、これらの合量が7%より多いと、ガラスの軟化点が高くなり、低温で焼結し難くなる。
【0050】
また、その他の成分であっても、ガラスの特性を損なわない範囲で15%まで添加することができる。
【0051】
本発明の支持枠形成用ガラス組成物において、540℃における粘度は105.0〜105.8dPa・sが好ましく、105.3〜105.6dPa・sが好ましい。540℃における粘度が105.0dPa・sより低いと、支持枠の形状維持性が低下しやすくなる。540℃における粘度が105.8dPa・sより高いと、ガラス基板上に支持枠を融着させるための温度が高くなる、或いは支持枠とガラス基板の融着強度が低下しやすくなる。ここで、「540℃における粘度」とは、ガラス粉末を緻密に焼結させたものを測定試料とし、平行板粘度計で測定した値を指す。なお、通常、支持枠の焼結は、540℃前後で行われる。
【0052】
本発明に係るガラス粉末のみでは、ガラス基板の熱膨張係数に整合し難いが、耐火性フィラー粉末を添加すれば、ガラス基板の熱膨張係数に整合させることができる。また、耐火性フィラー粉末の添加量を少なくすれば、支持枠とガラス基板の融着強度を高めることができるとともに、支持枠の緻密性を高めることができる。したがって、耐火性フィラー粉末の添加量を少なくする観点から、ガラス粉末の熱膨張係数を低下させることは重要であり、本発明の支持枠形成用ガラス組成物において、熱膨張係数は110×10−7/℃以下が好ましく、105×10−7/℃以下がより好ましく、100×10−7/℃以下が更に好ましい。
【0053】
本発明に係るガラス粉末のみでは、ガラス基板の熱膨張係数に整合し難いとともに、機械的強度や形状維持性が十分ではない。このような事情に鑑み、本発明の支持枠形成材料は、ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を混合した複合粉末を使用する。このようにすれば、ガラス基板の熱膨張係数に整合するように、支持枠の熱膨張係数を低下できるとともに、支持枠の形状維持性や機械的強度を高めることができる。本発明の支持枠形成材料は、上記の支持枠形成用ガラス組成物からなるガラス粉末を45〜99体積%、耐火性フィラー粉末を1〜55体積%、好ましくはガラス粉末を50〜85体積%、耐火性フィラー粉末を15〜50体積%、より好ましくはガラス粉末を55〜70体積%、耐火性フィラー粉末を30〜45体積%含有する。耐火性フィラー粉末の含有量が1体積%より少ないと、耐火性フィラー粉末の添加に基づく効果が得られ難くなる。一方、耐火性フィラー粉末の含有量が55体積%より多いと、相対的にガラス粉末の含有量が少なくなるため、支持枠形成材料が緻密に焼結し難くなるとともに、支持枠とガラス基板が融着し難くなる。
【0054】
耐火性フィラー粉末は、ビスマス系ガラスとの適合性が良好であることが必要であり、例えば熱膨張係数が低く、機械的強度が高いことが必要である。耐火性フィラー粉末として、種々の材料が使用可能であるが、具体的には、アルミナ、コーディエライト、ジルコン、ウイレマイト、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウム、タングステン酸ジルコニウム、ジルコニア、酸化チタン、酸化スズ、酸化ニオブ、リン酸ジルコニウム、チタン酸アルミニウム、β−ユークリプタイト、β−スポジュメン、β−石英固溶体、ムライト、NZP型結晶(例えば、NbZr(PO、[AB(MO]の基本構造を有する結晶)若しくはこれらの混合物を目的に応じて適宜選択し使用すればよい。ここで、[AB(MO]の基本構造において、Aとして、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、Cu、Ni、Mn等の元素、Bとして、Zr、Ti、Sn、Nb、Al、Sc、Y等の元素、Mとして、P、Si、W、Mo等の元素が挙げられる。
【0055】
本発明の支持枠形成材料は、耐火性フィラーとして、コーディエライトを1〜40体積%含有することが好ましく、15〜35体積%含有することが好ましい。耐火性フィラー粉末として、コーディエライトを添加すれば、ガラスの熱的安定性を損なうことなく、支持枠形成材料の熱膨張係数を下げることできる。コーディエライトの含有量が1体積%より少ないと、支持枠形成材料の熱膨張係数が大きくなり、ガラス基板等と支持枠の熱膨張係数が整合し難くなり、支持枠を形成した後に、ガラス基板等と支持枠の界面にクラックが発生しやすくなる。一方、コーディエライトの含有量が40体積%より多いと、支持枠形成材料の粘性が高くなり、緻密な支持枠を形成し難くなる。
【0056】
本発明の支持枠形成材料は、耐火性フィラーとして、アルミナを1〜35体積%含有することが好ましく、5〜30体積%含有することがより好ましい。耐火性フィラー粉末として、アルミナを添加すれば、支持枠の形状維持性が向上するとともに、支持枠の機械的強度が向上する。アルミナの含有量が1体積%より少ないと、支持枠の形状維持性が低下しやすくなることに加えて、支持枠の機械的強度が低下しやすくなり、FED等の気密信頼性が損なわれやすくなる。一方、アルミナの含有量が35体積%より多いと、ガラス基板等の熱膨張係数に整合させ難くなり、支持枠を形成した後に支持枠やガラス基板等にクラックが発生しやすくなる。なお、アルミナの含有量を15体積%以上にすれば、支持枠の抗折強度を90MPa以上にしやすくなる。
【0057】
本発明の支持枠形成材料において、軟化点は480〜560℃が好ましく、490〜550℃がより好ましく、500〜540℃が更に好ましい。このようにすれば、ガラス基板の歪点以下(例えば、570℃以下)で支持枠形成材料が緻密に焼結しやすくなるため、支持枠の寸法精度を高めることができる。また、このようにすれば、支持枠とガラス基板の融着強度を高めることができる。軟化点が480℃より低いと、支持枠形成材料の焼結時にガラスが軟化変形しやすくなり、支持枠の寸法精度が低下しやすくなる。一方、支持枠形成材料の軟化点が560℃より高いと、ガラス基板の歪点以下で支持枠形成材料を緻密に焼結し難くなることに加えて、支持枠とガラス基板が融着し難くなり、結果として、FED等の気密信頼性を確保し難くなる。
【0058】
本発明の支持枠形成材料において、熱膨張係数は60〜80×10−7/℃が好ましく、65〜75×10−7/℃がより好ましい。このようにすれば、支持枠の形成の際に、支持枠とガラス基板形成材料の熱収縮挙動を整合させることができ、結果として、ガラス基板の反りを低減することができる。支持枠形成材料の熱膨張係数が60×10−7/℃より低いと、ガラス基板が反りやすくなるとともに、不当な引張応力がガラス基板に残留するおそれがある。支持枠形成材料の熱膨張係数が80×10−7/℃より高いと、ガラス基板が反りやすくなるとともに、不当な圧縮応力がガラス基板に残留するおそれがある。
【0059】
本発明者の詳細な調査により、支持枠の抗折強度を高めると、機械的衝撃または熱衝撃等を受けた時、支持枠と封着材料の界面でクラックが発生し難くなることが明らかになった。本発明の支持枠形成用材料において、抗折強度は85MPa以上が好ましく、88MPa以上がより好ましく、90MPa以上が更に好ましい。抗折強度が85MPaより低いと、機械的衝撃または熱衝撃等を受けると、支持枠と封着材料の界面でクラックが発生しやすくなり、結果として、FED等の気密信頼性が低下しやすくなる。
【0060】
本発明の支持枠形成材料は、耐火性フィラー粉末として、コーディエライトを20〜40体積%(好ましくは25〜40体積%)含有し、且つ窒化物膜または酸窒化物膜上に支持枠を形成するために用いられることが好ましい。平面表示装置に用いるガラス基板の表面には、アルカリイオンの熱拡散による素子の動作異常やガラス基板の表面の帯電による素子寿命の低下を防止するため、可動イオン拡散防止膜が形成されている。例えば、FEDに用いられるガラス基板の表面には、電子放出素子の動作異常や電子放出阻止の寿命低下を防止するため、可動イオン拡散防止膜として、窒化物膜または酸窒化物膜が形成されている。しかし、窒化物膜等を用いる場合、ガラス粉末等を焼結させて、ガラス基板上に支持枠を形成すると、窒化物膜等の近傍において、ガラスに発泡が生じやすくなり、その結果、支持枠とガラス基板の融着強度が低下しやすくなり、平面表示装置の気密信頼性が低下しやすくなる。
【0061】
このような事情に鑑み、本発明者が詳細な調査を行なったところ、支持枠を形成する時のガラスの粘度と、窒化物膜等の近傍におけるガラスの発泡に相関があることが明らかになった。すなわち、支持枠を形成する時のガラスの粘度を高めると、窒化物膜等の近傍において、ガラスに発泡が生じ難くなることが明らかになった。さらに、耐火性フィラー粉末として、コーディエライトを20〜40体積%添加すれば、支持枠形成材料の焼結工程でコーディエライトの一部をガラスに溶け込ませることができるため、ガラスの粘度を高めることができ、その結果、窒化物膜等の近傍において、ガラスに発泡が生じ難くなることを見出した。ただし、コーディライトの含有量が40体積%より多いと、支持枠を形成する時のガラスの粘度が高くなり過ぎ、支持枠とガラス基板が融着し難くなる。なお、窒化物膜または酸窒化物膜として、シリコンの窒化物膜、シリコンの酸窒化物膜、チタンの酸窒化物膜、ジルコニウムの酸窒化物膜、ニオブの酸窒化物膜、タンタルの酸窒化物膜等を例示することができる。また、窒化物膜等上に支持枠を形成する場合、[支持枠形成材料の軟化点+20℃]におけるガラス粉末の粘度は、105.3〜105.6dPa・sであることが好ましい。このようにすれば、窒化物膜等の近傍において、ガラスに発泡が生じ難くなり、支持枠とガラス基板の融着強度を高めることができる。ここで、「[支持枠形成材料の軟化点+20℃]におけるガラス粉末の粘度」とは、ガラス粉末を緻密に焼結させたものを測定試料とし、平行板粘度計で測定した値を指す。
【0062】
本発明の支持枠形成材料は、FEDに用いることが好ましい。本発明の支持枠形成材料は、支持枠の寸法精度を高めることができるため、前面ガラス基板と背面ガラス基板の間隔を均一にすることができ、FEDの装置内部で前面ガラス基板と背面ガラス基板の間に印加される加速電圧にバラツキが生じ難く、或いは蛍光体に衝突する電子の速度が変化し難く、その結果、FEDの輝度特性が低下する事態が生じ難い。また、FEDの装置内部は真空状態であるが、本発明の支持枠形成材料は、機械的強度を高めることができるため、そのような状態であっても、支持枠が衝撃破壊し難く、装置内部の気密信頼性を確保することができる。
【0063】
本発明の支持枠形成材料は、粉末のまま使用に供してもよいが、ビークルと均一に混練し、ペーストに加工すると取り扱いやすい。ビークルは、主に溶媒と樹脂とからなり、樹脂はペーストの粘性を調整する目的で添加される。また、必要に応じて、界面活性剤、増粘剤等を添加することもできる。作製されたペーストは、ディスペンサーやスクリーン印刷機等の塗布機を用いて塗布される。
【0064】
樹脂としては、アクリル酸エステル(アクリル樹脂)、エチルセルロース、ポリエチレングリコール誘導体、ニトロセルロース、ポリメチルスチレン、ポリエチレンカーボネート、メタクリル酸エステル等が使用可能である。特に、アクリル酸エステル、ニトロセルロースは、熱分解性が良好であるため、好ましい。
【0065】
溶媒としては、N、N’−ジメチルホルムアミド(DMF)、α−ターピネオール、高級アルコール、γ−ブチルラクトン(γ−BL)、テトラリン、ブチルカルビトールアセテート、酢酸エチル、酢酸イソアミル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ベンジルアルコール、トルエン、3−メトキシ−3−メチルブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチル−2−ピロリドン等が使用可能である。特に、α−ターピネオールは、高粘性であり、樹脂等の溶解性も良好であるため、好ましい。
【0066】
本発明の支持枠形成材料は、前面ガラス基板と背面ガラス基板のギャップを均一化するために、ガラスビーズ、ガラスファイバー等のスペーサーを含有することができる。
【実施例】
【0067】
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。表1〜4は、本発明の実施例(No.1〜19)および比較例(No.20〜22)を示している。
【0068】
【表1】

【0069】
【表2】

【0070】
【表3】

【0071】
【表4】

【0072】
まず、表1〜4に示したガラス組成となるように各種酸化物、炭酸塩等の原料を調合したガラスバッチを準備し、これを白金坩堝に入れて1000〜1200℃で2時間溶融した。次に、溶融ガラスの一部をステンレス製の金型に流し出し、その他の溶融ガラスは、水冷ローラーにより薄片状に成形した。なお、金型に流し出した試料は、成形後に所定の徐冷処理(アニール)を行い、密度測定に使用した。最後に、薄片状のガラスをボールミルにて粉砕後、目開き105μmの篩いを通過させて、平均粒子径約10μmの各試料を得た。
【0073】
耐火物フィラー粉末は、コーディエライト(表中ではCDRと表記)、アルミナ(表中ではALMと表記)を用いた。なお、耐火性フィラー粉末の平均粒子径は約10μmであった。
【0074】
表中に示す通り、ガラス粉末と耐火性フィラー粉末を混合し、試料No.1〜20を作製した。
【0075】
以上の試料を用いて、密度、熱膨張係数、ガラス転移点、屈伏点、軟化点、流動径、失透状態、540℃におけるガラスの粘度、発泡状態、耐候性および白金製溶融容器の侵食を評価した。
【0076】
密度は、真密度計(ウルトラピクノメーター)で測定した。
【0077】
熱膨張係数、ガラス転移点および屈伏点は、TMA装置により求めた。熱膨張係数は、30〜300℃の温度範囲にて測定した。
【0078】
軟化点は、DTA装置で測定した。測定は、大気中において、昇温速度10℃/分で行い、室温から測定を開始した。
【0079】
流動径は、各試料の真密度に相当する質量の粉末を金型により外径20mmのボタン状に乾式プレスし、これを40mm×40mm×2.8mm厚のガラス基板(日本電気硝子株式会社製PP−8C)上に載置し、空気中で5℃/分の速度で昇温した後、540℃20分で焼成した上で室温まで5℃/分で降温し、得られたボタンの直径を測定することで評価した。また、流動径が17.1mm以上であると、支持枠とガラス基板が融着し、流動径が18.0mm以下であると、試験した焼成条件で形状維持性が良好であることを意味する。
【0080】
失透状態は、次のようにして評価した。まず粉末加圧成型体を焼成炉で540℃20分保持した後、光学顕微鏡(倍率100倍)を用いて、試料の表面結晶を観察することにより、失透状態を評価した。失透が認められなかったものを「○」、失透が認められたものを「×」とした。なお、昇降温速度は、10℃/分とし、粉末加圧成型体の投入、取り出しは室温で行なった。
【0081】
540℃におけるガラスの粘度は、ガラス粉末を緻密に焼結させたものを測定試料とし、平行板粘度計を用いて測定した。
【0082】
発泡状態は、SiN膜およびSiON膜が形成されたガラス基板を用いて、上記と同様の流動径の評価を行い、SiN膜およびSiON膜の近傍において、直径40μm以上の発泡が生じているか否かを確認し、評価した。なお、SiNの表記のうち[N]は、化学的量論的表示を意味するものではなく、単に窒素成分を含むことを意味する。同様にして、SiONの表記のうち[ON]は、化学的量論的表示を意味するものではなく、単に酸素および窒素の各成分を含むことを意味する。
【0083】
耐候性は、次のようにして評価した。失透状態を評価した試料を測定試料とし、121℃、湿度95%、24時間の加速試験を実施した後、測定試料の表面に異物の発生や、ガラス成分のしみ出しが認められなかったものを「○」とし、異物の発生やガラス成分のしみ出しが認められたものを「×」とした。
【0084】
白金製溶融容器の侵食は、溶融ガラスを流し出した後の白金製溶融容器の内表面を目視観察し、白金製溶融容器にひび割れが認められなかったものを「○」、ひび割れが認められたものを「×」とし、評価した。
【0085】
試料No.1〜19は、流動径が17.3〜17.8mmであるため、支持枠とガラス基板が融着し、形状維持性が良好であった。また、試料No.1〜19は、失透状態の評価も良好であった。
【0086】
一方、試料No.20は、Biの含有量が多いため、流動径の評価が不良であり、発泡状態の評価も不良であった。試料No.21は、ZnOの含有量が多いため、失透状態の評価が不良であった。試料No.22は、Biの含有量が少ないため、流動径の評価が不良であり、アルカリ金属酸化物の含有量が多いため、耐候性および白金性溶融容器の侵食の評価が不良であった。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】(a)従来のFEDの板厚方向の断面模式図である。(b)従来のFEDの平面方向の断面模式図であり、図1(a)の点線方向に断面し、前面ガラス基板側から見た平面方向の断面模式図である。
【図2】DTA装置で測定した時のガラスの軟化点を示す模式図である。
【符号の説明】
【0088】
1 FED
11 前面ガラス基板
12 背面ガラス基板
13 支持枠
14 封着材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス組成として、モル%で、Bi 18〜33%、B 30〜55%、ZnO 0〜30%、MgO+CaO+SrO+BaO 0〜30%含有することを特徴とする支持枠形成用ガラス組成物。
【請求項2】
LiO+NaO+KOの含有量が3%以下であることを特徴とする請求項1に記載の支持枠形成用ガラス組成物。
【請求項3】
熱膨張係数が110×10−7/℃以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の支持枠形成用ガラス組成物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の支持枠形成用ガラス組成物からなるガラス粉末を45〜99体積%、耐火性フィラー粉末を1〜55体積%含有することを特徴とする支持枠形成材料。
【請求項5】
耐火性フィラー粉末として、コーディエライトを1〜40体積%含有することを特徴とする請求項4に記載の支持枠形成材料。
【請求項6】
耐火性フィラー粉末として、アルミナを1〜35体積%含有することを特徴とする請求項4または5に記載の支持枠形成材料。
【請求項7】
軟化点が480〜560℃であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の支持枠形成材料。
【請求項8】
熱膨張係数が60〜80×10−7/℃であることを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の支持枠形成材料。
【請求項9】
抗折強度が85MPa以上であることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の支持枠形成材料。
【請求項10】
耐火性フィラー粉末として、コーディエライトを20〜40体積%含有し、且つ窒化物膜または酸窒化物膜上に支持枠を形成するために用いられることを特徴とする請求項4〜9のいずれかに記載の支持枠形成材料。
【請求項11】
実質的にPbOを含有しないことを特徴とする請求項4〜10のいずれかに記載の支持枠形成材料。
【請求項12】
フィールドエミッションディスプレイに用いることを特徴とする請求項4〜11のいずれかに記載の支持枠形成材料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−6625(P2010−6625A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165479(P2008−165479)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】